説明

画像処理装置、撮影システム、画像処理方法及びプログラム

【課題】 被検眼の画像において視神経乳頭部の位置を精度よく特定する。
【解決手段】 網膜解析部12は画像取得部11が取得した断層画像を解析して、網膜の各層の境界面の位置を特定する。また網膜解析部12はILM及びIS/OSの三次元形状を特定する。視神経乳頭特定部13は特定された各境界面の位置とILMの形状の情報とに基づいて断層画像から視神経乳頭部を特定する。乳頭解析部14は視神経乳頭部を解析して視神経乳頭部の外縁で囲まれるディスク領域(視神経円板)を特定する。画像処理装置10はこのC/D比、R/D比を断層画像とともに表示部40に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼部の断層画像を解析する画像処理装置、撮影システム、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
網膜の視神経乳頭部は視神経の束が眼の深部へと潜り込む部位である。緑内障などの病気の場合この視神経乳頭部に変化が現れるためこの視神経乳頭部を特定することは診断上重要である。
【0003】
特許文献1では、網膜内の層の一つである網膜色素上皮の端部を求めることで視神経乳頭部の領域(ディスク領域)を特定する技術が開示されている。この技術では、視神経乳頭部の中心付近の直下には網膜色素上皮が存在しないという解剖学的な特徴を利用している。また特許文献2では、前眼部から眼底表面までの深さを用いて視神経乳頭部にあって陥凹した領域を特定する技術が開示されている。この技術では視神経乳頭部が眼底の表面において陥凹している点を利用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2009−523563号公報
【特許文献2】特開2008−73188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
網膜色素上皮が存在しないことに基づいて視神経乳頭部を特定しようとする場合、血管下や病変下では偽像が発生し網膜色素上皮が不鮮明となるため、この偽像が発生した領域を視神経乳頭部としてしまうおそれがある。また網膜の表面形状に基づいて特定しようとする場合、視神経乳頭部以外の凹部を誤って視神経乳頭部としてしまう恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、網膜の断層画像に基づいて網膜における層が途切れた領域と、前記網膜と硝子体との境界面における陥凹部とを取得する取得手段と、前記層が途切れた領域でありかつ前記陥凹部である領域に基づいて視神経乳頭部を特定する特定手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
かかる構成を有することにより、網膜の境界面の形状と網膜の層構造を考慮して正確に視神経乳頭部を特定することができる。
【0008】
特に網膜層内の病変によって層構造が変化している場合には、網膜色素上皮が不鮮明となるものの、その部位で網膜硝子体との境界面は病変により押し上げられ凸部となることが多い。この形状は陥凹している視神経乳頭部とは大きくことなるため、網膜の境界面の形状を用いることで病変部を誤って視神経乳頭部として特定してしまう誤りを減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】光干渉断層撮影システムの構成図である。
【図2】光干渉断層撮影装置20の構成図である。
【図3】視神経乳頭部付近の断層画像の一例を示す図である。
【図4】画像処理装置10が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】乳頭解析部14が実行するディスク領域の特定処理を示す図である。
【図6】網膜解析部12が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】視神経乳頭部付近の画像とAスキャンプロファイルを示す図である。
【図8】網膜解析部12により特定されたILM及びIS/OSを示す図である。
【図9】視神経乳頭特定部13が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】IS/OSが存在しない領域の特定処理を示す図である。
【図11】陥凹領域の中心位置の特定処理を示す図である。
【図12】その他の実施例に係る乳頭解析部14が実行するディスク領域の特定処理を示す図である。
【図13】網膜が傾いて撮影された場合の視神経乳頭部付近の断層画像を示す図である。
【図14】その他の実施例に係る乳頭解析部14が実行するディスク領域の特定処理を示す図である。
【図15】その他の実施例に係る画像処理装置1500の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施例1)
本実施例に係る光干渉断層撮影システム1の構成を図1に基づき説明する。本システムでは、光干渉断層撮影装置20が被検眼の断層画像を撮影する。この撮影された断層画像に視神経乳頭部の解析処理を施して表示部40に表示する。
【0011】
画像処理装置10は、図1に示す各ブロックをASICやFPGAその他のハードウェアとして有しており、後述する図4、6、9の処理を実行するように構成されている。網膜解析部12は画像取得部11が取得した断層画像を解析して、網膜の各層の境界面の位置を特定する。また網膜解析部12はILM及びIS/OSの三次元形状を特定する。ここで網膜解析部12はILMにおける陥凹部と、IS/OSにおける層が途切れた領域を断層画像に基づき特定された三次元形状から取得する。視神経乳頭特定部13は特定された各境界面の位置とILMの形状の情報とに基づいて断層画像から視神経乳頭部を特定する。乳頭解析部14は視神経乳頭部を解析して視神経乳頭部の外縁で囲まれるディスク領域(視神経円板)を特定する。また、ディスク領域に基づいて視神経乳頭部の陥凹部であるカップ領域(円板陥凹、乳頭陥凹)を特定する。乳頭解析部14は更にC/D比、R/D比を算出する。そして画像処理装置10はこのC/D比、R/D比を断層画像とともに表示部40に表示させる。
【0012】
図2に基づいて光干渉断層撮影装置20の構成を説明する。ここで光干渉断層撮影装置20は光干渉断層計(OCT;Optical Coherence Tomography)の原理を用いたOCT撮影装置である。指示取得部21は、被検眼の眼底表面に対して二次元の計測範囲及び計測深度を調整する指示情報を取得する。指示情報に基づいてガルバノミラー駆動機構201はガルバノミラー202が駆動する。低コヒーレンス光源203からの光をハーフミラー204で信号光と参照光に分割する。信号光はガルバノミラー202、対物レンズ205を経由して被検眼206で反射または散乱される。参照光は固定配置された参照ミラー207で反射または散乱される。これら信号光および参照光の戻り光をハーフミラー204は重畳して干渉光を生成する。回折格子208はこの干渉光を波長λ1〜λnの波長成分に分光して、各波長成分を1次元光センサアレイ209によって検出する。画像再構成部210は1次元光センサアレイ209から出力された干渉光の各波長成分の検出信号に基づいて、網膜の断層画像が再構成する。
【0013】
なお、眼底の任意の位置に信号光を照射して一次元の画像を得ることをAスキャンと呼ぶ。またこの深さ方向の一次元の画像をAスキャン画像と呼ぶ。さらにガルバノミラー202により任意の線に沿って信号光を断続的に眼底へ入射させることにより眼底上を走査することをBスキャンと呼ぶ。また、Bスキャンにより得られた断層画像をBスキャン画像と呼ぶ。さらに、眼底表面の所定の領域内の複数の位置でAスキャンして得られた画像からAスキャンの方向と交差する画像をCスキャン画像と呼ぶ。
【0014】
図3は上述の光干渉断層撮影装置20にて撮影された視神経乳頭部付近の断層画像の例である。眼底表面を平行なn本のラインに沿って信号光でスキャン(Bスキャン)し得られた画像T1乃至Tnである。x軸方向はBスキャンと平行な方向、y軸方向はスキャンラインの並ぶ方向、z軸方向は眼の深さ方向である。
【0015】
図3の境界L1はILM(内境界膜)と硝子体の境界(以下、ILM境界)であり、網膜と硝子体の境界とする。境界L2はNFL(神経線維層)とその下部の層との境界(以下、NFL境界)である。境界L3はIS/OS(視細胞内節外節接合部)とその上部層との境界(以下、IS/OS境界)である。境界L4はRPE(網膜色素上皮)とその下部の層との境界(以下、RPE境界)である。
【0016】
図3に示されるとおり、視神経乳頭部の特徴として、第一に視神経乳頭部ではILM境界が凹む。第二にIS/OS(IS/OS境界)やRPE(RPE境界)が存在していない。この二つの特徴を用いて、網膜層の断層画像から視神経乳頭部の位置を特定する。
【0017】
ILM境界の形状は個人差が大きいことが知られており、視神経乳頭部の陥凹がそれほど大きくなく、乳頭部以外の領域でILM境界の凹部が現れる場合もある。しかしながら解剖学上RPEが存在しないのは病変等一部の例外を除いて視神経乳頭部だけである。そのため、陥凹部が複数存在していても、RPEの有無で判定することにより精度よく視神経乳頭部の位置を特定することができる。
【0018】
さらに、これら二つの特徴を合わせて用いる効果は、血管や病変による偽像領域がある場合に顕著である。領域v1は偽像領域と呼ばれる領域である。偽像領域は、血管や病変がOCTの信号光を吸収し、血管や病変より深い位置に到達する信号光がきわめて弱くなることで発生する。偽像領域では、現実には存在する層や構造が画像上から消えてしまう。
【0019】
出血や白斑などの病変による偽像が発生する多くの場合には病変部の上部のILM境界は硝子体側に押し上げられる。結果としてILM境界が凸部を形成することとなる。また、血管が存在している場合にも、血管の上部が凹部を形成することは少ない。本実施例ではILM境界が凹部を形成するか否かを判定して視神経乳頭部を特定することで、RPEの有無のみで視神経乳頭部の位置を特定する際の欠点を補うことができる。
【0020】
図3において領域C5は視神経乳頭領域を示しており、ディスク領域と呼ばれる。また領域D7は視神経乳頭の陥凹部の縁で囲まれる領域を示しており、カップ領域と呼ばれる。本実施例では特許文献1の定義に従い、ディスク領域をRPEの端部で囲まれる領域として定義する。またカップ領域は、図3のように、RPE端を結んだ面から垂直上方向に所定の距離だけ平行移動した面と、ILMとの交点を結ぶ曲面として定義する。
【0021】
C/D比(cup−to−disc ratio;陥凹乳頭径比)はこのカップ領域の外縁の直径と、ディスク領域の直径の比で定義される。C/D比が大きい場合すなわち陥凹が大きい場合には緑内障が疑われる。また、R/D比(rim−to−disc ratio;リム乳頭径比)はリム領域の幅とこの幅の計測位置及び乳頭中心を通過する乳頭径との比として定義される。リム領域とは、ディスク領域の外縁とカップ領域の外縁に囲まれる領域を意味する。R/D比が小さい場合すなわち陥凹部の領域が視神経乳頭の領域に対して大きい場合には緑内障が疑われる。
【0022】
図4は本実施形態のフローチャートである。画像処理装置10が実行する具体的な処理手順を、このフローチャートに沿って説明する。
【0023】
<ステップS401>ステップS401にて画像取得部11は、光干渉断層撮影装置20で撮像した複数の二次元断層画像T1乃至Tn(図3参照)を取得する。
【0024】
<ステップS402>ステップS302にて網膜解析部12は、二次元断層画像T1乃至Tnのそれぞれについてy軸方向に並ぶ画素列ごとにILM境界およびIS/OS境界の位置と形状を特定する。処理の詳細は図5のステップS501乃至ステップS511で後述する。
【0025】
<ステップS403>ステップS403にて視神経乳頭特定部13は、網膜解析部12で特定したILM境界が窪んだ形状をしており、かつIS/OSの特定を失敗した位置を視神経乳頭部として特定する。また、窪みの形状に基づいて視神経乳頭部のディスク領域の中心位置を特定する。この処理の詳細は図6のステップS601乃至S604で後述する。
【0026】
<ステップS404>ステップS404にて乳頭解析部14は特定された視神経乳頭部の位置に基づいて領域成長法によるディスク領域の特定を行う。また、ディスク領域に基づいてカップ領域の特定を行う。
【0027】
乳頭解析部14は、ステップS403で特定したディスク領域の中心を基点として、ディスク領域を特定する。本実施形態では、図5のように「ディスク領域の中心」ラベルのついたA−scanをシードポイントSとして、「IS/OS特定不可」ラベルの付いたA−scanを領域成長の対象とする。すると、ディスク領域Rを内側から広げて特定することができる。また、特定したディスク領域Rの両端にあたるT1、T2がRPE端であると言える。
【0028】
このように、ディスク領域の中心を特定し、中心(ディスクの内側)からディスク領域を特定することで、ディスク領域とRPE端の特定の際、網膜内に存在する偽像の影響を減らすことができる。
【0029】
このように、画像から特定されたILMとIS/OSの境界情報を用いて、視神経乳頭陥凹部の中央付近を特定し、ディスクの内側からRPE端を探索するため、血管や病変部から生じる偽像の影響を受けず、RPE端特定の誤りを減らすことができる。
【0030】
なお、基点は必ずしも陥凹部の中心である必要はなく、ディスクの内側の領域である確率が高い所定の位置であればよい。ただし、陥凹部の中心位置はディスクの内側の領域である確率が高いため、視神経乳頭領域の外縁を特定する処理の精度を向上させることができる。
【0031】
<ステップS405>ステップS405にて、乳頭解析部14はC/D比、R/D比を算出する。
【0032】
<ステップS406>ステップS406において画像処理装置10は特定されたRPE端とカップ領域、ディスク領域を断層画像に重畳し、表示部40にその画像を表示させる。
【0033】
また、算出されたC/D比、R/D比についても、画像上またはそれ以外に表示する。これにより視神経乳頭部の陥凹の形状と特定されたカップ領域またはディスク領域の関係が明示される。よってユーザは陥凹の形状と算出されたC/D比、R/D比の根拠を画像から把握することができる。
【0034】
また別の例としては、カップ領域とディスク領域をCスキャン画像に射影して得られる二次元領域をCスキャン画像に重畳して表示する。これにより、カップ領域及びディスク領域の形状を把握することができる。なお、Cスキャン画像に限らず、眼底カメラなど他のモダリティにより撮影された眼底の表面画像であっても、Bスキャン画像群を深さ方向に積算して得られた積算画像であっても、またBスキャン画像群を用いて生成した投影画像であってもよい。
【0035】
<網膜層境界特定処理>
図6に従い、ステップS402におけるILMとIS/OSの特定処理の詳細を説明する。この処理は、ILMが陥凹部を形成している領域を特定するためと、網膜におけるIS/OS層が途切れた領域を特定するための前処理である。
【0036】
<ステップS601>
ステップS601において、網膜解析部12は、ステップS401で取得したOCT断層画像に対して画像変換を行う。本実施形態では断層画像に対して、メディアンフィルタとSobelフィルタをそれぞれ適用して、メディアン画像とSobel画像を作成する。ここで、画素値は信号の強度が強い場合に大きく、弱い場合に小さくなるとする。
【0037】
本実施形態において、SobelフィルタはA−scanにおける浅い方向(画像の上方)から見て、低い輝度値から高い輝度値への境界を強調するように方向性をもたせている。その理由は以下のとおりである。本件では、視神経乳頭部の解析に必要な部位であるディスクを検出するために、ILMの形状特徴とIS/OSの境界情報を用いている。そのため、ILMとIS/OSを特定することが重要である。網膜層構造において、ILMは輝度値の低い硝子体と比較的輝度値の高い網膜組織との境界であり、IS/OSも浅い方向に比較的暗い組織と接している。つまり、上記のような方向性をもたせることでILMとIS/OSがより強調される。
【0038】
<ステップS602>
ステップS602において、網膜解析部12は、ステップS601で作成したメディアン画像を用いて、背景(硝子体)の平均輝度値を算出する。本実施形態では、まず、メディアン画像に対してP−tile法による二値化処理を行い、背景領域を特定する。次に、背景領域におけるメディアン画像の輝度値の平均値を算出する。
【0039】
P−tile法による二値化処理とは、処理対象となる画像のヒストグラムを作成し、輝度値の高い方、もしくは低い方から累積して、所定の割合Pに達したときの輝度値を閾値として二値化する方法である。本実施形態では、画像中における網膜領域の割合がおおよそわかっているため、経験的にPの値を、輝度値の高い方から30パーセントとして二値化処理を行い、輝度値が閾値以下の画素を背景画素とする。
【0040】
背景画素を特定したら、背景画素におけるメディアン画像の輝度値を参照し、背景の平均輝度値を算出する。
【0041】
<ステップS603>
ステップS603において、網膜解析部12は、ステップS601で作成した変換画像からプロファイルを作成する。本実施形態では、メディアン画像とSobel画像の両方からA−scan毎にプロファイルを作成する。メディアン画像からプロファイルを作成することで、OCT画像において特に問題となるノイズを抑制し、より輝度値の傾向を把握しやすくなるという効果がある。また、Sobel画像からプロファイルを作成することで、後段で行われる網膜層境界の特定において、網膜層境界の候補点を検出しやすくなるという効果がある。図7に断層画像中のあるA−scanA7におけるメディアン画像とSobel画像から作成したプロファイルを示す。図7のように、メディアン画像のプロファイルPM7からは輝度値の傾向が、Sobel画像のプロファイルPS67からは網膜層境界の候補点が見てとれる。
【0042】
また、必ずしもこれらの変換画像からプロファイルを作成する必要はなく、原画像やその他の変換画像から所定の強さのエッジを検出できればよい。
【0043】
<ステップS604>
ステップS604において、網膜解析部12は、ステップS603で作成したプロファイルから極大点(以下、ピークとする)を検出する。本実施形態では、Sobel画像から作成したプロファイルにおけるピークを検出する。検出には経験的、または画像情報に基づいて定められる閾値を用いる。網膜において、ILM及びIS/OSは多くの信号を反射または散乱させる。そのため、ステップS601で述べた浅い方向から見て、低い輝度値から高い輝度値への境界を強調するように方向性をもつSobelフィルタを用いれば、強いエッジとして検出し易い。この他に、この方向性をもつSobelフィルタで検出される強いエッジは病変部(硝子体皮質の剥がれなど)以外に存在しないため、閾値を調整することによって、この方法でILM及びIS/OSを優先的に抽出することができる。
【0044】
<ステップS605>
ステップS605において、網膜解析部12は、ステップS604で検出したピークを数え、その数を基に処理を分岐させる。本実施形態では、本ステップ入力時に網膜層境界や硝子体皮質として特定されていないピークが2点以上存在する場合(ステップS605でYes)、A−scanにおいて、浅い方向から順に2つのピークを選ぶ。そして、それぞれ第一ピーク、第二ピークとして、ステップS506へ進む。また、ピークが1つの場合(ステップS605でNo)、一番大きなピークを第一ピークとして、ステップS608に進む。
【0045】
<ステップS606>
ステップS606において、網膜解析部12は、ステップS605で選ばれた2つのピーク間のメディアン画像のプロファイルと背景の平均輝度値を比較する。本実施形態では、まず、第一ピークと第二ピークの間に存在する画素に対して、ステップS602で算出した背景の平均輝度値に係数である1.2を掛けた値を閾値として設定する。次に、この閾値よりも大きい輝度値をもつ画素を数え、その数から、ピーク間に存在する全画素数に対する数の割合を算出する。
【0046】
なお、この係数は経験的に求めたものであり、これに限定されるものではない。例えば、背景の平均輝度値と背景以外の領域(二値化処理における閾値以上の領域)の平均輝度値との割合などを用いて、画像情報から動的に係数を決定してもよい。
【0047】
<ステップS607>
ステップS607において、網膜解析部12は、ステップS606で算出した割合を基に処理を分岐させる。本実施形態では、算出された割合が1/2以上のとき(ステップS607でYes)、ピーク間に網膜組織が存在すると判断し、ステップS608へ進む。算出された割合が1/2より小さいとき(ステップS507でNo)、ピーク間は背景であると判断し、第一ピークは層境界として特定せず(硝子体皮質と特定する)、ステップS605に戻り、2点のピークを選び直す。
【0048】
なお、本実施形態では、閾値以上の画素の割合から網膜組織であるか、背景であるかを判断しているが、これに限定されるものではない。例えば、プロファイルから特徴量を算出し、それを入力として識別器を用いた判定を行ってもよい。
【0049】
<ステップS608>
ステップS608において、網膜解析部12は、ピークの一つをILMとして特定する。本実施形態では、ステップS607において、ピーク間に網膜組織が存在すると判断された第一ピークと第二ピークについて、ILMは網膜組織の上端に存在することから、第一ピークをILMとして特定する。また、ステップS605から分岐されてきた場合も、第一ピークをILMとして特定する。
【0050】
<ステップS609>
ステップS609において、網膜解析部12は、ステップS608で特定したILMよりも、同じA−scan上で深い方向(画像の下方)に閾値以上の特徴点が存在するか調べる。本実施形態では、同じA−scan上で特定したILMのピークの大きさに係数である0.8を掛けた値を閾値として設定する。この閾値以上のピークがILMよりも深い方向に存在するかを調べる。存在した場合(ステップS609でYes)、ステップS610に進む。存在しなかった場合(ステップS609でNo)、ステップS611に進む。
【0051】
なお、この閾値は経験的に求めたものであり、これに限定されるものではない。例えば、ピークの大きさの他に、ピーク間の距離などを用いてもよい。
【0052】
<ステップS610>
ステップS610において、網膜解析部12は、ステップS609で設定した閾値以上のピークをIS/OSとして特定する。閾値以上のピークが複数存在した場合、本実施例では、閾値以上のピーク群の中で、一番浅い位置に存在するピークをIS/OSとする。
【0053】
<ステップS611>
ステップS611において、網膜解析部12は、IS/OSを特定することができなかったとし、A−scanに「IS/OS特定不可」ラベルを付け、処理を終了する。
【0054】
このように、ピーク間にある組織を判定し、その結果に基づいて層境界の種類を特定することにより、特定の誤りを減らすことができる。図8に、この方法を用いてILMとIS/OSを特定した断層画像を示す。図中の太い実線で描かれたD1とD3はそれぞれ特定されたILMとIS/OSである。図8からわかるように、ILMは全てのA−scanで特定されている。一方、IS/OSは特定できないA−scanも存在し、そのようなA−scanにはステップS611で述べたとおり、「IS/OS特定不可」ラベルが付けられている。
【0055】
また、Bスキャン画像におけるILMの位置が特定されるため、ILMの形状を特定することができる。
【0056】
<視神経乳頭陥凹特定処理>
図9に従い、ステップS403における視神経乳頭陥凹特定処理の詳細を説明する。
【0057】
<ステップS901>
ステップS901からステップS903において、視神経乳頭特定部13は、ステップS402で特定したILM、IS/OSの境界情報を基に、ディスク領域の中心を特定する。特に、ステップS801では、ディスク領域の中心候補となる領域(以下、候補領域とする)を特定する。本実施形態では、ディスク領域にはIS/OSが存在しないことに着目する。まず、各A−scanについて近傍のA−scanを含めた局所領域を設定する。そして、局所領域内においてステップS411で「IS/OS特定不可」ラベルが付けられたA−scanの割合を算出する。具体的には、図10に示すように対象となるA−scan(図中のA1、A2)とその所定の範囲の近傍を含めた局所領域(図中のR1、R2)を設定する。この局所領域内に存在するA−scanの1/2以上に「IS/OS特定不可」ラベルが付いていたら、中心のA−scanに「候補領域」ラベルを付ける。例えば図10において、局所領域内でIS/OSが太い実線BLで表されているA−scanはIS/OSが特定されているとし、その他のA−scanには「IS/OS特定不可」ラベルが付けられているとする。図10からわかるように、局所領域R1は「IS/OS特定不可」ラベルの付いたA−scanが1/2以上存在するため、A1には「候補領域」ラベルが付けられる。一方、局所領域R2は「IS/OS特定不可」ラベルの付いたA−scanが存在しないため、A2には「候補領域」ラベルが付けられない。
【0058】
<ステップS902>
ステップS902において、視神経乳頭特定部13は、ステップS901で特定した候補領域において、ILMの勾配を算出する。本実施形態では、図11と同様に、対象となるA−scanとその近傍のA−scanを含めた局所領域を設定し、「候補領域」ラベルの付いたA−scanを局所領域の中心として処理を行う。勾配の算出方法は、中心のA−scanにおけるILMの座標値を基準にして、近傍のA−scanにおけるILMの座標値との差を求める。ここでの勾配は画像の上下方向の成分(図11におけるz座標値)だけに着目し、下方向を正として中心のA−scanと全ての近傍A−scanとの差の総和をとる。中心のA−scanにおけるILMのz座標値をIc、近傍のA−scanにおけるILMのz座標値をIiとすると、勾配の算出方法は以下の式になる。
【0059】
【数1】

【0060】
この式1により算出される勾配の値は、図11のように局所領域の中心がILMの陥凹構造の中心付近にくるとき、大きな値をとるようになる。
【0061】
<ステップS803>
ステップS803において、視神経乳頭特定部13は、ステップS802で算出したILMの勾配を調べ、最大の勾配をもつA−scanを視神経乳頭陥凹部の中心とする。ディスク領域の中心となるA−scanには「ディスク領域の中心」ラベルを付ける。
【0062】
かかる処理により、視神経乳頭部の位置を特定できると同時に中心位置も特定することが出来る。
【0063】
また別の方法では、中心のA−Scan位置の左右の領域にて共に勾配値が正になる領域を特定することで、ILMにおける陥凹部の領域を特定することができる。陥凹部の領域かつIS/OSが特定不可である領域を視神経乳頭部の候補領域とする。候補領域が1つしかない場合には係る候補領域が視神経乳頭部の領域となる。候補領域が複数ある場合には、最も陥凹の度合が大きい領域、即ち上記式1の勾配の値が最も大きい領域を視神経乳頭部として特定する。かかる方法によっても、視神経乳頭部の位置を特定することが出来る。紛らわしい血管が少ない網膜や、ILMが平坦で病変が少ない正常眼の網膜で有効である。
【0064】
また、本実施例では窪み度合いを評価する指標として特定位置付近での勾配値を用いたがこれに限らず、前記境界面の複数の位置の夫々において該位置を含む所定範囲における該境界面の湾曲具合や、深さ方向への変化量などを用いることとしてもよい。また別の例として、ILMの曲面に最小二乗法等を用いて近似した基準平面を設定し、この基準平面とILMの曲面とのAスキャン方向(z軸方向)への位置の差を指標として用い、窪み度合を算出してもよい。
【0065】
(実施例2)
実施例2は、実施例1のステップS404において、ディスク領域の形状を考慮した領域成長法を用いる例を説明する。視神経乳頭部付近には太い血管が集まっており、それゆえに血管による偽像領域が多く存在する。実施例1のように単純な領域成長法によってディスク領域を特定することを考えると、視神経乳頭部から太い血管が伸びている症例の場合、血管による偽像領域も含めてディスク領域としてしまう。そこで本実施形態では、ステップS404の領域成長法の拘束条件として「領域の形状」を加えることでより精度高くディスク領域を特定する。処理について、視神経乳頭陥凹特定処理以外は共通するため、説明は省略する。装置の構成については実施例1と同様であるため、説明は省略する。
【0066】
図12に従い、実施例1のステップS404に対応するディスク領域及びカップ領域処理の詳細を説明する。
【0067】
<ステップS1201>
ステップS1201において、視神経乳頭特定部13は、前ステップまでに特定したディスク領域を基に所定の大きさのディスク領域探索範囲を指定する。本実施形態では、特定済みの領域に外接する楕円の所定倍率の楕円を考え、その楕円内を探索範囲とする。前ステップまでにディスク領域を存在していない場合、ステップS503で求めた「ディスク領域の中心」ラベルを中心として所定の半径の円を考え、その円内を探索範囲とする。
【0068】
<ステップS1202>
ステップS1202において、視神経乳頭特定部13は、ステップS1201で指定したディスク領域探索範囲において、未だディスク領域特定処理を行っていない領域(以下、未判定領域とする)が存在するかどうかを調べる。本実施形態では、特定済みのディスク領域の輪郭線上の画素をシードポイントとして、領域成長法によるディスク領域特定処理を考える。そのため、輪郭線上の各シードポイントの近傍に未判定領域が存在するかどうかを調べる。未判定領域が存在した場合(ステップS1202でYes)、ステップS1203へ進む。未判定領域が存在しなかった場合(ステップS1202でNo)、処理を終了する。
【0069】
<ステップS1203>
ステップS1203において、視神経乳頭特定部13は、未判定領域に対してディスク領域特定処理を行う。本実施形態では、特定済みのディスク領域の輪郭線上の画素をシードポイントとして、領域成長法でディスク領域を拡張していく。ステップS1201で指定した探索範囲内に未判定領域が無くなるまで処理を繰り返す。
【0070】
<ステップS1204>
ステップS1204において、視神経乳頭特定部13は、特定したディスク領域を評価し、指標を算出する。本実施形態では、ディスク領域は楕円形であるという知見に基づいて評価を行う。具体的には、特定したディスク領域に外節する楕円を求め、その楕円の面積と特定されたディスク領域の面積の割合(以下、充填率とする)を評価指標として算出する。
【0071】
なお、特定したディスク領域の評価指標はこれに限られるものではない。例えば、ステップS1203における領域成長法などのディスク領域特定処理において、処理の前後における領域の面積や形状の変化を評価指標として用いてもよい。
【0072】
<ステップS1205>
ステップS1205において、視神経乳頭特定部13は、ステップS1204で算出した評価指標に基づき、処理を分岐させる。本実施形態では、評価指標として充填率を求めており、充填率が所定の値以下の場合(ステップS1205でYes)、特定したディスク領域について楕円形をしていないと考え、ディスク領域特定処理の繰り返しを終了する。充填率が所定の値より大きい場合(ステップS1205でNo)、ステップS1201へ戻り、ディスク領域特定処理を繰り返す。
【0073】
このように、形状を考慮したディスク領域特定処理を行うことにより、視神経乳頭部の周りに血管など網膜層構造を変化させる構造物が存在しても、精度よく、ディスク領域を特定することができる。
【0074】
(実施例3)
実施例3は、実施例1のステップS404において、エッジ成分のトレースを用いてディスク領域とRPE端をより精密に特定する例を説明する。断層画像において、図13のように網膜が傾いた状態で撮像されることがある。網膜が傾いた状態で撮像されると、特にRPE端など、特徴的な構造をもつ部位の信号が低下してしまうことがある。例えば図13中のRPE端T62において、先端にいくにつれて輝度値が低下するため、エッジ成分が弱くなる。つまり、固定の閾値を用いた特定方法では、RPE端を実際の位置よりもディスク領域の外側にずれて特定してしまうことがある。そこで本実施形態では、ステップS504の後にエッジトレースによるRPE端の精密抽出処理を加えることで、より高い精度でRPE端を特定する。
【0075】
視神経乳頭特定部13は予め特定されたRPE端からエッジ成分をディスクの内側にトレースすることで、RPE端の正確な位置を特定する。本実施形態では、まず特定された各RPE端について、座標値とエッジ成分を調べる。次に、各RPE端の位置を開始点として、ディスクの内側に向かってエッジをトレースしていく。トレースは各RPE端の位置におけるエッジ成分を参照して、内側の近傍に存在するエッジ成分が一番近い位置に探索点を更新し、参照するエッジ成分も更新する。これを繰り返すことで、正確なRPE端及びディスク領域を特定する。処理の詳細についてはステップS1401からステップS1403で後述する。このように、一度特定したRPE端から、撮影条件などによる輝度の低下を考慮して再探索することで、より精度よくRPE端を特定することができる。
【0076】
<視神経乳頭陥凹精密抽出処理>
図14に従い、視神経乳頭陥凹精密抽出処理の詳細を説明する。
【0077】
<ステップS1401>
ステップS1401において、視神経乳頭特定部13は、ステップS1304で特定した、RPE端の位置におけるエッジ成分をSobel画像から参照し、エッジトレースの際に扱う閾値を決定する。本実施形態では、RPE端の位置のエッジ成分に係数である0.3を掛けた値を閾値とする。
【0078】
なお、この係数は経験的に求めたものであり、これに限定されるものではない。
【0079】
<ステップS1402>
ステップS1402において、視神経乳頭特定部13は、ステップS1401で求めた閾値とRPE端のエッジ成分を用いて、近傍のA−scanに閾値以上、且つ、RPE端のエッジ成分に一番近いエッジ成分をもつ画素を探索する。本実施形態では、近傍のA−scanとはB−scan画像内で、RPE端からディスクの内側方向に隣り合っているA−scanとする。また、探索については、探索開始点のRPEから上下所定の範囲で近傍のA−scanを探索し、上記の条件に一番合う画素を探す。
【0080】
探索範囲内に閾値以上の画素が存在した場合(ステップS1402でYes)、閾値以上の画素の中で、エッジ成分が最もRPE端の位置のエッジ成分に近い画素を新たなRPE端として更新し、ステップS1401に戻る。閾値以上の画素が存在しなかった場合(ステップS1402でNo)、RPE端の更新は行わず、ステップS1403に進む。
【0081】
<ステップS1403>
ステップS1403において、視神経乳頭特定部13は、ステップS1402で特定されたRPE端を最終的なRPE端として特定する。
【0082】
また、3次元画像として処理する場合、ディスクの形状を考慮して、C−scan画像平面で特定したRPE端に内節する楕円を求め、その楕円上の点を最終的なRPE端としてもよい。そうすることで、ディスク領域から延びる血管による偽造によってずれたRPE端を補正するという効果がある。
【0083】
このように、エッジ成分と位置情報を用いてトレースすることで、撮影条件などによる輝度の低下が生じた場合でも、精度よく、また他の網膜層境界と間違えずにRPE端を特定することができる。以上の構成により、偽像によってIS/OSやRPEが検出できない領域が存在しても、より高い精度でディスク領域を特定することができる。
【0084】
(その他の実施形態)
上述の実施例では、ILMの境界面の形状の窪み具合を用いて視神経乳頭部を特定したが、ILMは一例であり、硝子体皮質を境界面として用いてもよい。要は硝子体と網膜との境界面が陥凹している領域を用いればよい。
【0085】
また、IS/OSの層が途切れた領域を用いて視神経乳頭部を特定したがIS/OSに限られない。神経線維層、GCL、INL、IPL、OPLまたはIS/OSの各層またはその層境界の少なくともいずれか1つが存在しない領域を前記層が途切れた領域として取得することとしてもよい。また、これらのうち複数の層または層の境界が存在していないことを条件として、視神経乳頭部を特定することとすれば、更に特定精度を向上させることができる。
【0086】
画像処理装置10で行われている処理を複数の装置で分散させ画像処理システムとして実現してもよい。また図1に示す1ブロックに対応する回路において行われる処理を複数の回路または機能ブロックで分散させて実現してもよい。
【0087】
本発明をコンピュータのハードウェアとソフトウェアの協働により実現する場合、図15で示すようにハードウェア構成が考えられる。画像処理装置1500はCPU1501、RAM1502、ROM1503、HDD1504、I/F1505を有する。また、画像処理装置に対するユーザからの入力を受け付けるキーボード1506及びマウス1507を有している。ここで、ROM1503またはHDD1504には、先述の図4,6,9,12,14のフローチャートに示す処理を実行するためのプログラムが格納されている。このプログラムをRAM1502に展開されCPU1501で実行されることにより、当該フローチャートに示す処理が実現される。
【0088】
なお、画像処理装置に複数のCPUで分散させて本発明を実現することとしてもよい。また、コンピュータ上で稼動しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述の機能が実現される場合も本発明の範囲に含まれる。またソフトウェアであるプログラムまたはプログラムコードを記録した記録媒体もまた本発明を構成する。
【0089】
上述した本実施の形態における記述は、本発明に係る好適な画像処理装置の一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0090】
1 光干渉断層撮影システム
10 画像処理装置
20 光干渉断層撮影装置
30 保存部
40 表示部
11 画像取得部
12 網膜解析部
13 視神経乳頭特定部
14 乳頭解析部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
網膜の断層画像に基づいて網膜における層が途切れた領域と、前記網膜と硝子体との境界面における陥凹部とを取得する取得手段と、
前記層が途切れた領域でありかつ前記陥凹部である領域に基づいて視神経乳頭部を特定する特定手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記特定手段は、前記陥凹部の形状に基づいて視神経乳頭部の領域の外縁を特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記特定手段は、前記視神経乳頭部の領域内の所定の位置を基点に領域成長法により視神経乳頭部の領域の外縁を特定する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記特定手段は、前記陥凹部の形状に基づいて前記基点の位置を特定する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記特定手段は、前記陥凹部における陥凹の中心位置に基づいて前記基点の位置を特定する
ことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記取得手段は、前記断層画像において網膜色素上皮が存在しない領域を前記層が途切れた領域として取得し、網膜と硝子体との境界面が窪み度合いを閾値を超える位置に基づいて前記陥凹部の領域を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記取得手段は、前記断層画像において神経線維層、GCL、INL、IPL、OPLまたはIS/OSの各層またはその層境界の少なくともいずれか1つが存在しない領域を前記層が途切れた領域として取得する
を有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記特定手段は、前記境界面の複数の位置の夫々について、該境界面の窪み度合いを示す指標を算出し、該指標により最も窪みが大きいと評価された前記境界面の位置を視神経乳頭部の位置として特定し、
該窪み度合いを評価する指標は、前記境界面の複数の位置の夫々において該位置を含む所定範囲における該境界面の湾曲、勾配または深さ方向への変化量、の少なくともいずれか1つである
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記境界面の基準平面を設定する設定手段を更に有し、
前記特定手段は、前記境界面と基準平面との眼の深さ方向への位置の差に基づいて前記境界面の窪み具合を算出することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項10】
請求項1に記載の画像処理装置と、
被検眼を撮影して網膜の断層画像を得るOCT撮影装置と、
前記特定された視神経乳頭部を前記網膜の表面画像または投影画像に表示する表示手段と、
を有することを特徴とする撮影システム。
【請求項11】
眼部の断層画像に基づいて、網膜における層が途切れた領域と、前記網膜と硝子体との境界面における陥凹部とを取得するステップと、
前記層が途切れた領域でありかつ前記陥凹部である領域に基づいて視神経乳頭部を特定するステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
眼部の断層画像に基づいて、網膜における層が途切れた領域と、前記網膜と硝子体との境界面における陥凹部とを取得するステップと、
前記層が途切れた領域でありかつ前記陥凹部である領域に基づいて視神経乳頭部を特定する処理と、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−120756(P2012−120756A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275144(P2010−275144)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】