画像処理装置、撮影装置および画像処理プログラム
【課題】簡単な構成で立体視画像を得ること。
【解決手段】画像処理装置1は、画像を再生表示する表示手段15と、続けて撮影された複数コマの画像の各特徴量に基づいて、複数コマの画像を組合わせて1枚の画像を合成する画像合成手段16と、画像合成手段16で合成された画像を表示手段15に再生表示させる表示制御手段16と、再生表示中の合成画像のうち所定領域を選択するための操作部材20と、操作部材20からの選択操作信号が示す領域をそれぞれ含む2コマの画像であって、所定の基線長に対応する2画像を複数コマの画像の中から抽出する画像抽出手段16と、を備える。
【解決手段】画像処理装置1は、画像を再生表示する表示手段15と、続けて撮影された複数コマの画像の各特徴量に基づいて、複数コマの画像を組合わせて1枚の画像を合成する画像合成手段16と、画像合成手段16で合成された画像を表示手段15に再生表示させる表示制御手段16と、再生表示中の合成画像のうち所定領域を選択するための操作部材20と、操作部材20からの選択操作信号が示す領域をそれぞれ含む2コマの画像であって、所定の基線長に対応する2画像を複数コマの画像の中から抽出する画像抽出手段16と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、撮影装置および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
立体視可能なパノラマ画像を生成する技術が知られている(特許文献1参照)。従来技術では、連続する2つのフレーム画像を比較し、基準フレーム画像を2等分する中心線から等距離にある2本の基準線上の各画素におけるオプティカルフローの大きさを算出し、オプティカルフローの大きさに基づいてスリット画像の幅をそれぞれ決定し、基準フレーム画像からスリット画像をそれぞれ切り出し、右目用および左目用のパノラマ画像を生成するためのスリット画像をそれぞれ結合し、右目用および左目用のパノラマ画像をそれぞれ生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−164326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、スリット画像の切り出しに至る処理、および切り出し後の結合処理に要する処理負担が大きいという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による画像処理装置は、画像を再生表示する表示手段と、続けて撮影された複数コマの画像の各特徴量に基づいて、複数コマの画像を組合わせて1枚の画像を合成する画像合成手段と、画像合成手段で合成された画像を表示手段に再生表示させる表示制御手段と、再生表示中の合成画像のうち所定領域を選択するための操作部材と、操作部材からの選択操作信号が示す領域をそれぞれ含む2コマの画像であって、所定の基線長に対応する2画像を複数コマの画像の中から抽出する画像抽出手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、簡単な構成で立体視画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施の形態による画像処理装置を搭載した電子カメラを正面から見た図である。
【図2】図1の電子カメラを背面から見た図である。
【図3】電子カメラの構成を例示するブロック図である。
【図4】平行移動中の電子カメラを示す図である。
【図5】図4と異なる方向へ平行移動する電子カメラを示す図である。
【図6】続けて撮影した画像1〜画像Nまでの画像群を例示する図である。
【図7】LCDモニタに再生表示された合成画像を例示する図である。
【図8】LCDモニタに再生表示された合成画像および枠を例示する図である。
【図9】抽出した2コマの画像を例示する図である。
【図10】立体視画像の取得のためにCPUが実行する処理の流れを説明するフローチャートである。
【図11】コンピュータ装置を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。図1は、本発明の一実施の形態による画像処理装置を搭載した電子カメラ1を正面から見た図である。電子カメラ1の正面に撮影光学系11が配される。電子カメラ1の上面には、電源スイッチ20aと、撮影ボタン20bと、モード切替えダイヤル20cとが設けられる。図2は、図1の電子カメラ1を背面から見た図である。電子カメラ1の背面には、LCDモニタ15、十字キースイッチ20d、再生スイッチ20e、および削除スイッチ20fが設けられる。
【0009】
図3は、電子カメラ1の構成を例示するブロック図である。図1において、電子カメラ1は、撮影光学系11と、撮像素子12と、画像処理部13と、SDRAM14と、LCDモニタ15と、CPU16と、不揮発性メモリ17と、カードインターフェース(I/F)18と、通信インターフェース(I/F)19と、操作部材20と、振れセンサ21とを備える。
【0010】
CPU16、不揮発性メモリ17、カードインターフェース18、通信インターフェース19、画像処理部13、SDRAM14およびLCDモニタ15は、それぞれがバス25を介して接続されている。
【0011】
撮影光学系11は、ズームレンズやフォーカシングレンズを含む複数のレンズ群で構成され、被写体像を撮像素子12の受光面に結像させる。なお、図1を簡単にするため、撮影光学系11を単レンズとして図示している。
【0012】
撮像素子12は、受光素子が受光面に二次元配列されたCMOSイメージセンサなどによって構成される。撮像素子12は、撮影光学系11を通過した光束による像を光電変換し、デジタル画像信号を生成する。デジタル画像信号は、画像処理部13に入力される。画像処理部13は、デジタル画像データに対して各種の画像処理(色補間処理、階調変換処理、輪郭強調処理、ホワイトバランス調整処理など)を施す。
【0013】
LCDモニタ15は液晶パネルなどによって構成される。LCDモニタ15は、CPU16からの指示に応じて画像や操作アイコン、メニュー画面などを表示する。SDRAM14は、画像処理部13による画像処理の前工程や後工程でのデジタル画像データを一時的に記憶する他、CPU16によるプログラム実行時に用いられる。不揮発性メモリ17は、フラッシュメモリなどによって構成される。電源オフ時にも記憶内容を保持するので、CPU16が実行するプログラムなどを記憶する。
【0014】
CPU16は、不揮発性メモリ17が記憶するプログラムを実行することにより、電子カメラ1が行う動作を制御する。CPU16は、AF(オートフォーカス)動作制御や、自動露出(AE)演算も行う。AF動作は、たとえば、スルー画像のコントラスト情報に基づいてフォーカシングレンズ(不図示)の合焦位置を求める。スルー画像は、レリーズ操作前に撮像素子12によって所定の時間間隔(たとえば60コマ/毎秒)で繰り返し取得されるモニタ用画像のことをいう。
【0015】
カードインターフェース18はコネクタ(不図示)を有し、該コネクタにメモリカードなどの記憶媒体30が接続される。カードインターフェース18は、接続された記憶媒体30に対するデータの書き込みや、記憶媒体30からのデータの読み込みを行う。記憶媒体30は、半導体メモリを内蔵したメモリカード、またはハードディスクドライブなどで構成される。
【0016】
通信インターフェース19は、たとえば、不図示のコネクタに接続された外部機器との間でTCP/IPプロトコルを用いた通信を行う。この通信により、外部機器からのコマンドやデータを受信したり、記憶媒体30が記憶している画像データや音声データなどを外部機器へ送信したりする。操作部材20は、上述した電源スイッチ20aをはじめ、撮影ボタン20bや十字キースイッチ20dなどの操作部材20a〜20fを含む。操作部材20は、撮影操作、モード切替え操作や各種選択操作など、各操作に応じた操作信号をCPU16へ送出する。振れセンサ21は、たとえば加速度センサによって構成される。振れセンサ21はピッチ方向およびヨー方向に生じた加速度を検出し、検出信号をCPU16へ送出する。
【0017】
本実施形態は、電子カメラ1で立体視画像(いわゆる3D画像)を得る点に特徴を有する。このため、以降の説明は立体視画像の取得を中心に行う。始めに、本実施形態で行う立体視画像の取得手順の概要を説明する。本実施形態では、電子カメラ1によって所定のフレームレート、たとえば60コマ/毎秒で撮像を繰り返し、取得した一連の画像群の中から立体視効果が得られる2コマの画像を抽出する。この取得手順は、概ね次の5段階に分けられる。
段階1.連続撮影
段階2.1枚の画像に合成(プレビュー画像)
段階3.プレビュー画像を表示
段階4.領域選択操作受け付け
段階5.2コマの画像を抽出
【0018】
<段階1>
「段階1」では、ユーザーが電子カメラ1に連続撮影を行わせる。このときユーザーは、一連の画像群を取得中の電子カメラ1を図4に例示するように平行移動させる。図4は、平行移動中の電子カメラ1を示す図である。ユーザーは、電子カメラ1の撮影光学系11を主要被写体に向け、該主要被写体からの距離が概ね一定となる平面上で平行移動させる。電子カメラ1を平行移動させる方向は、図5に例示する渦巻き状であってもジグザグ状であっても構わない。図5は、図4と異なる方向へ平行移動する電子カメラ1を示す図である。平行移動中の電子カメラ1は、図6に例示するように、続けて撮影した画像1〜画像NまでのN枚の画像群をSDRAM14に一次記憶させる。図6において、画像1は動画撮影開始後最初のコマの画像であり、画像Nは動画撮影終了前で最終コマの画像である。
【0019】
CPU16は、振れセンサ21によって各コマの撮影時にそれぞれ検出されていた加速度信号を、各コマの画像の付加情報としてSDRAM14に一次記憶させる。加速度信号を記憶させておくことで、各コマの画像を撮影した際の電子カメラ1の相対的な位置情報((m-1)コマを撮影した位置から(m)コマを撮影した位置までの電子カメラ1の移動方向および移動量)を算出できる。
【0020】
<段階2>
電子カメラ1のCPU16は、SDRAM14に一次記憶したN枚の画像群を繋ぎ合わせることによって一枚の画像を合成する。電子カメラ1のCPU16は、たとえば、画像1の所定領域(たとえば、画面中央を含む所定範囲)内の画像データから特徴量を抽出し、公知のテンプレートマッチング処理を行うためのテンプレート情報を生成する。テンプレート情報は、たとえば低解像度(撮像素子12で取得できる画像の約1/9サイズ)の縮小画像データである。
【0021】
CPU16は、画像2のデータを対象に上記テンプレート情報を用いたテンプレートマッチング処理を施すことにより、画像1の被写体と類似する領域を画像2から検出する。CPU16は、画像2のうち上記検出領域を含む所定範囲内の画像データから特徴量を抽出し、新たにテンプレート情報を生成する。CPU16は、画像3のデータを対象にテンプレートマッチング処理を施すことにより、画像2の被写体と類似する領域を画像3から検出する。以降同様に、画像Nまで前後するコマの画像間でテンプレートマッチング処理を施すことにより、先に取得されたコマの画像の被写体と類似する領域を、後から取得されたコマの画像から検出する。CPU16は、画像間で重複する被写体領域を代表画像(たとえば、先に取得されたコマの画像)で表し、画像間で重複しない被写体領域を適宜繋ぎ合わせることにより、1枚の画像を合成する。このように合成することで、合成後の画像は各コマの画像の範囲より広い範囲をもつこととなる。本説明では、合成画像をプレビュー画像と呼ぶことにする。
【0022】
<段階3>
CPU16は、「段階2」で得たプレビュー画像(合成画像)をLCDモニタ15に再生表示させる。図7は、LCDモニタ15に再生表示された合成画像71を例示する図である。本説明では、たとえば、図7に写っている動物72を主要被写体にする例を説明する。
【0023】
<段階4>
CPU16は、ユーザーによる選択操作を受け付ける。ユーザーは、たとえば、十字キースイッチ20dおよび再生スイッチ20eを操作することにより、合成画像71のうち主要被写体72を含む領域を選択する。この選択範囲が、立体視画像(いわゆるステレオ画像)の範囲に対応する。CPU16は、選択操作信号に基づいて、選択領域を示す枠81を合成画像71に重ねて表示させる。図8は、LCDモニタ15に再生表示された合成画像71および枠81を例示する図である。
【0024】
<段階5>
CPU16は、N枚の画像群の中から主要被写体72を含む画像を検出する。CPU16は、たとえば、合成画像71のうち枠81で囲まれた選択範囲内の画像データから特徴量を抽出し、テンプレート情報を生成する。テンプレート情報は、上述したものと同様である。CPU16は、N枚の画像群を対象に上記テンプレート情報を用いたテンプレートマッチング処理を施すことにより、枠81内の被写体と類似する被写体領域を有するコマの画像を検出する。
【0025】
枠81内の被写体と類似する被写体領域を有するコマをp枚検出したと仮定すると、CPU16は、p枚の画像の中から基線長に相当する視差を確保し得る2コマの画像を抽出する。基線長は、たとえば、人の左右の目の間隔(眼幅)に相当する65mmとする。CPU16は、上述した付加情報に基づいて各コマの撮影位置を算出し、撮影位置が水平方向に65mm離れている2コマの画像を抽出する。図9は、抽出した2コマの画像を例示する図であり、画像Xが右目に相当するコマの画像であり、画像Yが左目に相当するコマの画像である。抽出した2コマの画像によって得られる立体視の視差方向は、水平方向である。
【0026】
上述した立体視画像の取得のためにCPU16が実行する処理の流れについて、図10に例示するフローチャートを参照して説明する。CPU16は、電源スイッチ20aのオン操作信号が入力されると、図10による処理を実行するプログラムを起動する。
【0027】
図10のステップS10において、CPU16は、撮影ボタン20bの押下を示す操作信号が入力されるとステップS20へ進む。ステップS20において、CPU16は「ステレオ撮影モード」か否かを判定する。CPU16は、たとえば、操作部材20を構成するモード切替えダイヤル20cから「ステレオ撮影モード」を示す操作信号が入力されている場合にステップS20を肯定判定してステップS30へ進む。CPU16は、モード切替えダイヤル20cから「ステレオ撮影モード」を示す操作信号が入力されていない場合には、ステップS20を否定判定してステップS130へ進む。ステップS130では、CPU16は、モード切替えダイヤル20cからの操作信号に対応する他の撮影モード(たとえば、静止画撮影モード)による撮影処理を行う。
【0028】
ステップS30において、CPU16は、上記「段階1」による動画像の撮影、保存処理を開始させてステップS40へ進む。ステップS40において、CPU16は撮影終了か否かを判定する。CPU16は、撮影ボタン20bの押下操作信号が再度入力された場合にステップS40を肯定判定し、動画像の撮影、保存処理を終了させてステップS50へ進む。CPU16は、撮影ボタン20bの押下操作信号が再度入力されない場合には、ステップS40を否定判定してステップS30へ戻る。ステップS30へ戻る場合は動画像の撮影、保存処理を継続する。以上の処理により、続けて撮影した画像1〜画像NまでのN枚の画像群をSDRAM14に一次記憶する。
【0029】
ステップS50において、CPU16は、上記「段階2」によるプレビュー画像の生成処理(合成処理)を行ってステップS60へ進む。ステップS60において、CPU16は、上記「段階3」によるプレビュー画像の表示処理を行ってステップS70へ進む。ステップS70において、CPU16は、プレビュー画像の傾き調整を行う。CPU16は、たとえば、図7に例示した合成画像71を十字キースイッチ20dからの操作信号に応じて回転させて、回転後の合成画像をLCDモニタ15に表示させる。回転中心は、合成画像71の略中心とし、略中心点の回りに回転させる。このようにプレビュー画像を傾ける理由は、ステップS110において抽出する2コマの画像によって得られる立体視の視差方向を、水平方向と異なる方向とすることを可能にするためである。CPU16は、以上のようにプレビュー画像の傾き調整を行うとステップS80へ進む。なお、CPU16は、十字キースイッチ20dからの操作信号が入力されない場合は、ステップS70をスキップしてステップS80へ進む。
【0030】
ステップS80において、CPU16は、上記「段階4」による領域選択操作の受け付けを行ってステップS90へ進む。この領域は、立体視画像(いわゆるステレオ画像)の範囲に対応するもので、図8に例示したように、LCDモニタ15の表示画面上において選択領域を示す枠81の位置および大きさをユーザー操作に応じて決定する。ユーザーは、たとえば、十字キースイッチ20dを操作してカーソル82を移動させる。CPU16は、たとえば、OKスイッチ(不図示)の押下操作信号に応じて、その時点で表示中のカーソル82の位置を示す座標を記憶する。CPU16は、2点の座標を記憶した場合に、該2点を対角とする長方形を枠81とする。枠81で囲まれる領域が選択範囲である。
【0031】
ステップS90において、CPU16は基線長を算出してステップS100へ進む。本実施形態では、上述したように基線長を65mmとする。ステップS100において、CPU16は、選択範囲が立体視画像(いわゆるステレオ画像)の生成可能な範囲であるかを判定する。CPU16は、上記選択範囲について基線長に相当する視差を確保し得る画像が存在する場合にステップS100を肯定判定してステップS110へ進む。CPU16は、上記選択範囲について基線長に相当する視差を確保し得る画像が存在しない場合には、ステップS100を否定判定してステップS80へ戻る。S80へ戻る場合は、たとえば、「もう一度領域を選択してください」。というメッセージをLCDモニタ15に表示させてユーザーによる再操作を促す。
【0032】
ステップS110において、CPU16は、上記「段階5」による2コマの画像を抽出し、ステップS120へ進む。これにより、枠81で囲まれる選択範囲内の被写体と類似する被写体領域を有し、かつ基線長に相当する視差を確保し得る2コマの画像を抽出する。CPU16は、LCDモニタ15に表示中のプレビュー画像に代えて、たとえば、2コマの画像を所定の表示レートで交互に表示させる。ユーザーは、LCDモニタ15に表示された立体視画像を確認できる。
【0033】
ステップS120において、CPU16はカードインターフェース18へ指示を送り、抽出した2コマの画像のデータをステレオ画像のデータとして記憶媒体30に保存させて図10による処理を終了する。
【0034】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)電子カメラ1は、画像を再生表示するLCDモニタ15と、続けて撮影された複数コマの画像の各特徴量に基づいて、複数コマの画像を組合わせて1枚の画像を合成するCPU16と、合成された画像をLCDモニタ15に再生表示させるCPU16と、再生表示中の合成画像のうち所定領域を選択するための操作部材20と、操作部材20からの選択操作信号が示す領域をそれぞれ含む2コマの画像であって、所定の基線長に対応する2画像を複数コマの画像の中から抽出するCPU16とを備えるので、簡単な構成で立体視画像を得ることができる。
【0035】
(2)上記(1)の電子カメラ1において、複数コマの画像のデータが格納される画像ファイルは、各画像の撮影時に検出された電子カメラ1の撮影位置を示す第1情報をそれぞれ含み、CPU16は、第1情報に基づいて水平方向に基線長離れた2つの撮影位置でそれぞれ撮影された2コマの画像を抽出する。これにより、2眼カメラでなくても立体視画像を得ることができる。
【0036】
(3)上記(1)または(2)の電子カメラ1において、CPU16によって抽出された2コマの画像を関連づける第2情報を生成するCPU16をさらに備えるので、各画像に対する加工を必要としない。これにより、続けて撮影された複数コマの画像をそのままにしつつ、立体視画像を得ることができる。
【0037】
(4)上記(3)の電子カメラ1において、CPU16は、第2情報に基づいて2コマの画像データを用いた立体視画像をLCDモニタ15に表示させるので、立体視画像専用のファイルを生成したり、立体視画像専用のファイルを読出すことなしに、立体視画像を確認することができる。
【0038】
(5)電子カメラ1は、被写体像を撮像する撮像素子12と、電子カメラ1の撮影位置を検出する振れセンサ21と、撮像素子12で撮像した画像データと、振れセンサ21で検出した撮影位置を示す情報とを含む画像ファイルを生成するCPU16と、画像データに基づく再生画像を表示するLCDモニタ15と、続けて撮影された複数コマの画像の各特徴量に基づいて、複数コマの画像を組合わせて1枚の画像を合成するCPU16と、合成された画像をLCDモニタ15に再生表示させるCPU16と、再生表示中の合成画像のうち所定領域を選択するための操作部材20と、操作部材20からの選択操作信号が示す領域をそれぞれ含む2コマの画像であって、情報に基づいて水平方向に基線長離れた2つの撮影位置でそれぞれ撮影された2コマの画像を複数コマの画像の中から抽出するCPU16とを備えるので、簡単な構成で立体視画像を得ることができる。
【0039】
(変形例1)
上述した説明では、カメラの撮影位置情報((m-1)コマを撮影した位置から(m)コマを撮影した位置までの電子カメラ1の移動方向および移動量)を振れセンサ21による検出信号に基づいて相対位置として算出するようにした。この代わりに、GPS衛星からの電波を受信して絶対位置として算出する構成にしてもよい。
【0040】
(変形例2)
続けて撮影した画像1〜画像NまでのN枚の画像群をSDRAM14に一次記憶させる例を説明したが、動画像データのファイルとして記憶媒体30に保存してもよい。各コマの撮影時の撮影位置情報を、各コマの画像の付加情報として保存内容に含める点は上述した例と同様である。記憶媒体30に保存した動画像のデータに基づいてプレビュー画像を生成し得るように構成することで、撮り貯めた動画像データの中から、任意の被写体を立体視し得る画像を選ぶことが可能になる。
【0041】
(変形例3)
また、続けて撮影した画像1〜画像NまでのN枚の画像群のデータを保存する場合に、1つのファイルとして保存してもよいし、複数のファイルとして保存してもよい。複数のファイルに分けて保存する場合は、たとえば、同じフォルダ内に保存したり、互いを関連づける情報を付加しておくことにより、続けて撮影した一連の画像群であることがわかるようにしておく。
【0042】
(変形例4)
続けて撮影した画像1〜画像Nの画像のうち、(m-1)コマを撮影した位置から(m)コマを撮影した位置までの電子カメラ1の移動量が所定値以下の場合は、(m)コマの画像の保存を省略するようにしてもよい。
【0043】
(変形例5)
基線長を65mmとする例を説明したが、基線長の値を変更可能に構成してもよい。
【0044】
(変形例6)
図10のステップS110において、撮影位置が水平方向に65mm離れているコマの画像が存在しない場合でも、撮影位置が60mm離れている画像と70mm離れている画像とが存在する場合には、これら撮影位置が60mm離れている画像と70mm離れている画像とに基づいて生成した合成画像を抽出画像の1つとしてもよい。変形例2のように、撮り貯めた動画像データの中から任意の被写体を立体視し得る画像を選ぶ場合には、動画像を撮り直すことが困難である。ちょうどよい基線長に該当するコマの画像が存在しなくても、立体視し得る画像を適切に選ぶことができる。
【0045】
(変形例7)
上述した実施形態では、電子カメラ1に画像処理装置を搭載する例を説明したが、画像処理装置をパーソナルコンピュータによって構成するようにしてもよい。図10に例示したフローチャートのうちステップS50以降の処理を行うプログラムを図11に示すコンピュータ装置100に実行させることにより、画像処理装置を構成してもよい。プログラムをパーソナルコンピュータ100に取込んで使用する場合には、パーソナルコンピュータ100のデータストレージ装置にプログラムをローディングした上で、当該プログラムを実行させることによって画像処理装置として使用する。
【0046】
パーソナルコンピュータ100に対するプログラムのローディングは、プログラムを格納したCD−ROMなどの記憶媒体104をパーソナルコンピュータ100にセットして行ってもよいし、ネットワークなどの通信回線101を経由する方法でパーソナルコンピュータ100へローディングしてもよい。通信回線101を経由する場合は、通信回線101に接続されたサーバー(コンピュータ)102のハードディスク装置103などにプログラムを格納しておく。プログラムは、記憶媒体104や通信回線101を介する提供など、種々の形態のコンピュータプログラム製品として供給することができる。
【0047】
以上説明した変形例7によれば、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。なお、パーソナルコンピュータによって構成する他にも、デジタルフォトフレームやプロジェクタ等にも上述したステレオ画像を生成させるように構成して構わない。
【0048】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0049】
1…電子カメラ
12…撮像素子
13…画像処理部
14…SDRAM
15…LCDモニタ
16…CPU
17…不揮発性メモリ
30、104…記憶媒体
100…パーソナルコンピュータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、撮影装置および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
立体視可能なパノラマ画像を生成する技術が知られている(特許文献1参照)。従来技術では、連続する2つのフレーム画像を比較し、基準フレーム画像を2等分する中心線から等距離にある2本の基準線上の各画素におけるオプティカルフローの大きさを算出し、オプティカルフローの大きさに基づいてスリット画像の幅をそれぞれ決定し、基準フレーム画像からスリット画像をそれぞれ切り出し、右目用および左目用のパノラマ画像を生成するためのスリット画像をそれぞれ結合し、右目用および左目用のパノラマ画像をそれぞれ生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−164326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、スリット画像の切り出しに至る処理、および切り出し後の結合処理に要する処理負担が大きいという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による画像処理装置は、画像を再生表示する表示手段と、続けて撮影された複数コマの画像の各特徴量に基づいて、複数コマの画像を組合わせて1枚の画像を合成する画像合成手段と、画像合成手段で合成された画像を表示手段に再生表示させる表示制御手段と、再生表示中の合成画像のうち所定領域を選択するための操作部材と、操作部材からの選択操作信号が示す領域をそれぞれ含む2コマの画像であって、所定の基線長に対応する2画像を複数コマの画像の中から抽出する画像抽出手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、簡単な構成で立体視画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施の形態による画像処理装置を搭載した電子カメラを正面から見た図である。
【図2】図1の電子カメラを背面から見た図である。
【図3】電子カメラの構成を例示するブロック図である。
【図4】平行移動中の電子カメラを示す図である。
【図5】図4と異なる方向へ平行移動する電子カメラを示す図である。
【図6】続けて撮影した画像1〜画像Nまでの画像群を例示する図である。
【図7】LCDモニタに再生表示された合成画像を例示する図である。
【図8】LCDモニタに再生表示された合成画像および枠を例示する図である。
【図9】抽出した2コマの画像を例示する図である。
【図10】立体視画像の取得のためにCPUが実行する処理の流れを説明するフローチャートである。
【図11】コンピュータ装置を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。図1は、本発明の一実施の形態による画像処理装置を搭載した電子カメラ1を正面から見た図である。電子カメラ1の正面に撮影光学系11が配される。電子カメラ1の上面には、電源スイッチ20aと、撮影ボタン20bと、モード切替えダイヤル20cとが設けられる。図2は、図1の電子カメラ1を背面から見た図である。電子カメラ1の背面には、LCDモニタ15、十字キースイッチ20d、再生スイッチ20e、および削除スイッチ20fが設けられる。
【0009】
図3は、電子カメラ1の構成を例示するブロック図である。図1において、電子カメラ1は、撮影光学系11と、撮像素子12と、画像処理部13と、SDRAM14と、LCDモニタ15と、CPU16と、不揮発性メモリ17と、カードインターフェース(I/F)18と、通信インターフェース(I/F)19と、操作部材20と、振れセンサ21とを備える。
【0010】
CPU16、不揮発性メモリ17、カードインターフェース18、通信インターフェース19、画像処理部13、SDRAM14およびLCDモニタ15は、それぞれがバス25を介して接続されている。
【0011】
撮影光学系11は、ズームレンズやフォーカシングレンズを含む複数のレンズ群で構成され、被写体像を撮像素子12の受光面に結像させる。なお、図1を簡単にするため、撮影光学系11を単レンズとして図示している。
【0012】
撮像素子12は、受光素子が受光面に二次元配列されたCMOSイメージセンサなどによって構成される。撮像素子12は、撮影光学系11を通過した光束による像を光電変換し、デジタル画像信号を生成する。デジタル画像信号は、画像処理部13に入力される。画像処理部13は、デジタル画像データに対して各種の画像処理(色補間処理、階調変換処理、輪郭強調処理、ホワイトバランス調整処理など)を施す。
【0013】
LCDモニタ15は液晶パネルなどによって構成される。LCDモニタ15は、CPU16からの指示に応じて画像や操作アイコン、メニュー画面などを表示する。SDRAM14は、画像処理部13による画像処理の前工程や後工程でのデジタル画像データを一時的に記憶する他、CPU16によるプログラム実行時に用いられる。不揮発性メモリ17は、フラッシュメモリなどによって構成される。電源オフ時にも記憶内容を保持するので、CPU16が実行するプログラムなどを記憶する。
【0014】
CPU16は、不揮発性メモリ17が記憶するプログラムを実行することにより、電子カメラ1が行う動作を制御する。CPU16は、AF(オートフォーカス)動作制御や、自動露出(AE)演算も行う。AF動作は、たとえば、スルー画像のコントラスト情報に基づいてフォーカシングレンズ(不図示)の合焦位置を求める。スルー画像は、レリーズ操作前に撮像素子12によって所定の時間間隔(たとえば60コマ/毎秒)で繰り返し取得されるモニタ用画像のことをいう。
【0015】
カードインターフェース18はコネクタ(不図示)を有し、該コネクタにメモリカードなどの記憶媒体30が接続される。カードインターフェース18は、接続された記憶媒体30に対するデータの書き込みや、記憶媒体30からのデータの読み込みを行う。記憶媒体30は、半導体メモリを内蔵したメモリカード、またはハードディスクドライブなどで構成される。
【0016】
通信インターフェース19は、たとえば、不図示のコネクタに接続された外部機器との間でTCP/IPプロトコルを用いた通信を行う。この通信により、外部機器からのコマンドやデータを受信したり、記憶媒体30が記憶している画像データや音声データなどを外部機器へ送信したりする。操作部材20は、上述した電源スイッチ20aをはじめ、撮影ボタン20bや十字キースイッチ20dなどの操作部材20a〜20fを含む。操作部材20は、撮影操作、モード切替え操作や各種選択操作など、各操作に応じた操作信号をCPU16へ送出する。振れセンサ21は、たとえば加速度センサによって構成される。振れセンサ21はピッチ方向およびヨー方向に生じた加速度を検出し、検出信号をCPU16へ送出する。
【0017】
本実施形態は、電子カメラ1で立体視画像(いわゆる3D画像)を得る点に特徴を有する。このため、以降の説明は立体視画像の取得を中心に行う。始めに、本実施形態で行う立体視画像の取得手順の概要を説明する。本実施形態では、電子カメラ1によって所定のフレームレート、たとえば60コマ/毎秒で撮像を繰り返し、取得した一連の画像群の中から立体視効果が得られる2コマの画像を抽出する。この取得手順は、概ね次の5段階に分けられる。
段階1.連続撮影
段階2.1枚の画像に合成(プレビュー画像)
段階3.プレビュー画像を表示
段階4.領域選択操作受け付け
段階5.2コマの画像を抽出
【0018】
<段階1>
「段階1」では、ユーザーが電子カメラ1に連続撮影を行わせる。このときユーザーは、一連の画像群を取得中の電子カメラ1を図4に例示するように平行移動させる。図4は、平行移動中の電子カメラ1を示す図である。ユーザーは、電子カメラ1の撮影光学系11を主要被写体に向け、該主要被写体からの距離が概ね一定となる平面上で平行移動させる。電子カメラ1を平行移動させる方向は、図5に例示する渦巻き状であってもジグザグ状であっても構わない。図5は、図4と異なる方向へ平行移動する電子カメラ1を示す図である。平行移動中の電子カメラ1は、図6に例示するように、続けて撮影した画像1〜画像NまでのN枚の画像群をSDRAM14に一次記憶させる。図6において、画像1は動画撮影開始後最初のコマの画像であり、画像Nは動画撮影終了前で最終コマの画像である。
【0019】
CPU16は、振れセンサ21によって各コマの撮影時にそれぞれ検出されていた加速度信号を、各コマの画像の付加情報としてSDRAM14に一次記憶させる。加速度信号を記憶させておくことで、各コマの画像を撮影した際の電子カメラ1の相対的な位置情報((m-1)コマを撮影した位置から(m)コマを撮影した位置までの電子カメラ1の移動方向および移動量)を算出できる。
【0020】
<段階2>
電子カメラ1のCPU16は、SDRAM14に一次記憶したN枚の画像群を繋ぎ合わせることによって一枚の画像を合成する。電子カメラ1のCPU16は、たとえば、画像1の所定領域(たとえば、画面中央を含む所定範囲)内の画像データから特徴量を抽出し、公知のテンプレートマッチング処理を行うためのテンプレート情報を生成する。テンプレート情報は、たとえば低解像度(撮像素子12で取得できる画像の約1/9サイズ)の縮小画像データである。
【0021】
CPU16は、画像2のデータを対象に上記テンプレート情報を用いたテンプレートマッチング処理を施すことにより、画像1の被写体と類似する領域を画像2から検出する。CPU16は、画像2のうち上記検出領域を含む所定範囲内の画像データから特徴量を抽出し、新たにテンプレート情報を生成する。CPU16は、画像3のデータを対象にテンプレートマッチング処理を施すことにより、画像2の被写体と類似する領域を画像3から検出する。以降同様に、画像Nまで前後するコマの画像間でテンプレートマッチング処理を施すことにより、先に取得されたコマの画像の被写体と類似する領域を、後から取得されたコマの画像から検出する。CPU16は、画像間で重複する被写体領域を代表画像(たとえば、先に取得されたコマの画像)で表し、画像間で重複しない被写体領域を適宜繋ぎ合わせることにより、1枚の画像を合成する。このように合成することで、合成後の画像は各コマの画像の範囲より広い範囲をもつこととなる。本説明では、合成画像をプレビュー画像と呼ぶことにする。
【0022】
<段階3>
CPU16は、「段階2」で得たプレビュー画像(合成画像)をLCDモニタ15に再生表示させる。図7は、LCDモニタ15に再生表示された合成画像71を例示する図である。本説明では、たとえば、図7に写っている動物72を主要被写体にする例を説明する。
【0023】
<段階4>
CPU16は、ユーザーによる選択操作を受け付ける。ユーザーは、たとえば、十字キースイッチ20dおよび再生スイッチ20eを操作することにより、合成画像71のうち主要被写体72を含む領域を選択する。この選択範囲が、立体視画像(いわゆるステレオ画像)の範囲に対応する。CPU16は、選択操作信号に基づいて、選択領域を示す枠81を合成画像71に重ねて表示させる。図8は、LCDモニタ15に再生表示された合成画像71および枠81を例示する図である。
【0024】
<段階5>
CPU16は、N枚の画像群の中から主要被写体72を含む画像を検出する。CPU16は、たとえば、合成画像71のうち枠81で囲まれた選択範囲内の画像データから特徴量を抽出し、テンプレート情報を生成する。テンプレート情報は、上述したものと同様である。CPU16は、N枚の画像群を対象に上記テンプレート情報を用いたテンプレートマッチング処理を施すことにより、枠81内の被写体と類似する被写体領域を有するコマの画像を検出する。
【0025】
枠81内の被写体と類似する被写体領域を有するコマをp枚検出したと仮定すると、CPU16は、p枚の画像の中から基線長に相当する視差を確保し得る2コマの画像を抽出する。基線長は、たとえば、人の左右の目の間隔(眼幅)に相当する65mmとする。CPU16は、上述した付加情報に基づいて各コマの撮影位置を算出し、撮影位置が水平方向に65mm離れている2コマの画像を抽出する。図9は、抽出した2コマの画像を例示する図であり、画像Xが右目に相当するコマの画像であり、画像Yが左目に相当するコマの画像である。抽出した2コマの画像によって得られる立体視の視差方向は、水平方向である。
【0026】
上述した立体視画像の取得のためにCPU16が実行する処理の流れについて、図10に例示するフローチャートを参照して説明する。CPU16は、電源スイッチ20aのオン操作信号が入力されると、図10による処理を実行するプログラムを起動する。
【0027】
図10のステップS10において、CPU16は、撮影ボタン20bの押下を示す操作信号が入力されるとステップS20へ進む。ステップS20において、CPU16は「ステレオ撮影モード」か否かを判定する。CPU16は、たとえば、操作部材20を構成するモード切替えダイヤル20cから「ステレオ撮影モード」を示す操作信号が入力されている場合にステップS20を肯定判定してステップS30へ進む。CPU16は、モード切替えダイヤル20cから「ステレオ撮影モード」を示す操作信号が入力されていない場合には、ステップS20を否定判定してステップS130へ進む。ステップS130では、CPU16は、モード切替えダイヤル20cからの操作信号に対応する他の撮影モード(たとえば、静止画撮影モード)による撮影処理を行う。
【0028】
ステップS30において、CPU16は、上記「段階1」による動画像の撮影、保存処理を開始させてステップS40へ進む。ステップS40において、CPU16は撮影終了か否かを判定する。CPU16は、撮影ボタン20bの押下操作信号が再度入力された場合にステップS40を肯定判定し、動画像の撮影、保存処理を終了させてステップS50へ進む。CPU16は、撮影ボタン20bの押下操作信号が再度入力されない場合には、ステップS40を否定判定してステップS30へ戻る。ステップS30へ戻る場合は動画像の撮影、保存処理を継続する。以上の処理により、続けて撮影した画像1〜画像NまでのN枚の画像群をSDRAM14に一次記憶する。
【0029】
ステップS50において、CPU16は、上記「段階2」によるプレビュー画像の生成処理(合成処理)を行ってステップS60へ進む。ステップS60において、CPU16は、上記「段階3」によるプレビュー画像の表示処理を行ってステップS70へ進む。ステップS70において、CPU16は、プレビュー画像の傾き調整を行う。CPU16は、たとえば、図7に例示した合成画像71を十字キースイッチ20dからの操作信号に応じて回転させて、回転後の合成画像をLCDモニタ15に表示させる。回転中心は、合成画像71の略中心とし、略中心点の回りに回転させる。このようにプレビュー画像を傾ける理由は、ステップS110において抽出する2コマの画像によって得られる立体視の視差方向を、水平方向と異なる方向とすることを可能にするためである。CPU16は、以上のようにプレビュー画像の傾き調整を行うとステップS80へ進む。なお、CPU16は、十字キースイッチ20dからの操作信号が入力されない場合は、ステップS70をスキップしてステップS80へ進む。
【0030】
ステップS80において、CPU16は、上記「段階4」による領域選択操作の受け付けを行ってステップS90へ進む。この領域は、立体視画像(いわゆるステレオ画像)の範囲に対応するもので、図8に例示したように、LCDモニタ15の表示画面上において選択領域を示す枠81の位置および大きさをユーザー操作に応じて決定する。ユーザーは、たとえば、十字キースイッチ20dを操作してカーソル82を移動させる。CPU16は、たとえば、OKスイッチ(不図示)の押下操作信号に応じて、その時点で表示中のカーソル82の位置を示す座標を記憶する。CPU16は、2点の座標を記憶した場合に、該2点を対角とする長方形を枠81とする。枠81で囲まれる領域が選択範囲である。
【0031】
ステップS90において、CPU16は基線長を算出してステップS100へ進む。本実施形態では、上述したように基線長を65mmとする。ステップS100において、CPU16は、選択範囲が立体視画像(いわゆるステレオ画像)の生成可能な範囲であるかを判定する。CPU16は、上記選択範囲について基線長に相当する視差を確保し得る画像が存在する場合にステップS100を肯定判定してステップS110へ進む。CPU16は、上記選択範囲について基線長に相当する視差を確保し得る画像が存在しない場合には、ステップS100を否定判定してステップS80へ戻る。S80へ戻る場合は、たとえば、「もう一度領域を選択してください」。というメッセージをLCDモニタ15に表示させてユーザーによる再操作を促す。
【0032】
ステップS110において、CPU16は、上記「段階5」による2コマの画像を抽出し、ステップS120へ進む。これにより、枠81で囲まれる選択範囲内の被写体と類似する被写体領域を有し、かつ基線長に相当する視差を確保し得る2コマの画像を抽出する。CPU16は、LCDモニタ15に表示中のプレビュー画像に代えて、たとえば、2コマの画像を所定の表示レートで交互に表示させる。ユーザーは、LCDモニタ15に表示された立体視画像を確認できる。
【0033】
ステップS120において、CPU16はカードインターフェース18へ指示を送り、抽出した2コマの画像のデータをステレオ画像のデータとして記憶媒体30に保存させて図10による処理を終了する。
【0034】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)電子カメラ1は、画像を再生表示するLCDモニタ15と、続けて撮影された複数コマの画像の各特徴量に基づいて、複数コマの画像を組合わせて1枚の画像を合成するCPU16と、合成された画像をLCDモニタ15に再生表示させるCPU16と、再生表示中の合成画像のうち所定領域を選択するための操作部材20と、操作部材20からの選択操作信号が示す領域をそれぞれ含む2コマの画像であって、所定の基線長に対応する2画像を複数コマの画像の中から抽出するCPU16とを備えるので、簡単な構成で立体視画像を得ることができる。
【0035】
(2)上記(1)の電子カメラ1において、複数コマの画像のデータが格納される画像ファイルは、各画像の撮影時に検出された電子カメラ1の撮影位置を示す第1情報をそれぞれ含み、CPU16は、第1情報に基づいて水平方向に基線長離れた2つの撮影位置でそれぞれ撮影された2コマの画像を抽出する。これにより、2眼カメラでなくても立体視画像を得ることができる。
【0036】
(3)上記(1)または(2)の電子カメラ1において、CPU16によって抽出された2コマの画像を関連づける第2情報を生成するCPU16をさらに備えるので、各画像に対する加工を必要としない。これにより、続けて撮影された複数コマの画像をそのままにしつつ、立体視画像を得ることができる。
【0037】
(4)上記(3)の電子カメラ1において、CPU16は、第2情報に基づいて2コマの画像データを用いた立体視画像をLCDモニタ15に表示させるので、立体視画像専用のファイルを生成したり、立体視画像専用のファイルを読出すことなしに、立体視画像を確認することができる。
【0038】
(5)電子カメラ1は、被写体像を撮像する撮像素子12と、電子カメラ1の撮影位置を検出する振れセンサ21と、撮像素子12で撮像した画像データと、振れセンサ21で検出した撮影位置を示す情報とを含む画像ファイルを生成するCPU16と、画像データに基づく再生画像を表示するLCDモニタ15と、続けて撮影された複数コマの画像の各特徴量に基づいて、複数コマの画像を組合わせて1枚の画像を合成するCPU16と、合成された画像をLCDモニタ15に再生表示させるCPU16と、再生表示中の合成画像のうち所定領域を選択するための操作部材20と、操作部材20からの選択操作信号が示す領域をそれぞれ含む2コマの画像であって、情報に基づいて水平方向に基線長離れた2つの撮影位置でそれぞれ撮影された2コマの画像を複数コマの画像の中から抽出するCPU16とを備えるので、簡単な構成で立体視画像を得ることができる。
【0039】
(変形例1)
上述した説明では、カメラの撮影位置情報((m-1)コマを撮影した位置から(m)コマを撮影した位置までの電子カメラ1の移動方向および移動量)を振れセンサ21による検出信号に基づいて相対位置として算出するようにした。この代わりに、GPS衛星からの電波を受信して絶対位置として算出する構成にしてもよい。
【0040】
(変形例2)
続けて撮影した画像1〜画像NまでのN枚の画像群をSDRAM14に一次記憶させる例を説明したが、動画像データのファイルとして記憶媒体30に保存してもよい。各コマの撮影時の撮影位置情報を、各コマの画像の付加情報として保存内容に含める点は上述した例と同様である。記憶媒体30に保存した動画像のデータに基づいてプレビュー画像を生成し得るように構成することで、撮り貯めた動画像データの中から、任意の被写体を立体視し得る画像を選ぶことが可能になる。
【0041】
(変形例3)
また、続けて撮影した画像1〜画像NまでのN枚の画像群のデータを保存する場合に、1つのファイルとして保存してもよいし、複数のファイルとして保存してもよい。複数のファイルに分けて保存する場合は、たとえば、同じフォルダ内に保存したり、互いを関連づける情報を付加しておくことにより、続けて撮影した一連の画像群であることがわかるようにしておく。
【0042】
(変形例4)
続けて撮影した画像1〜画像Nの画像のうち、(m-1)コマを撮影した位置から(m)コマを撮影した位置までの電子カメラ1の移動量が所定値以下の場合は、(m)コマの画像の保存を省略するようにしてもよい。
【0043】
(変形例5)
基線長を65mmとする例を説明したが、基線長の値を変更可能に構成してもよい。
【0044】
(変形例6)
図10のステップS110において、撮影位置が水平方向に65mm離れているコマの画像が存在しない場合でも、撮影位置が60mm離れている画像と70mm離れている画像とが存在する場合には、これら撮影位置が60mm離れている画像と70mm離れている画像とに基づいて生成した合成画像を抽出画像の1つとしてもよい。変形例2のように、撮り貯めた動画像データの中から任意の被写体を立体視し得る画像を選ぶ場合には、動画像を撮り直すことが困難である。ちょうどよい基線長に該当するコマの画像が存在しなくても、立体視し得る画像を適切に選ぶことができる。
【0045】
(変形例7)
上述した実施形態では、電子カメラ1に画像処理装置を搭載する例を説明したが、画像処理装置をパーソナルコンピュータによって構成するようにしてもよい。図10に例示したフローチャートのうちステップS50以降の処理を行うプログラムを図11に示すコンピュータ装置100に実行させることにより、画像処理装置を構成してもよい。プログラムをパーソナルコンピュータ100に取込んで使用する場合には、パーソナルコンピュータ100のデータストレージ装置にプログラムをローディングした上で、当該プログラムを実行させることによって画像処理装置として使用する。
【0046】
パーソナルコンピュータ100に対するプログラムのローディングは、プログラムを格納したCD−ROMなどの記憶媒体104をパーソナルコンピュータ100にセットして行ってもよいし、ネットワークなどの通信回線101を経由する方法でパーソナルコンピュータ100へローディングしてもよい。通信回線101を経由する場合は、通信回線101に接続されたサーバー(コンピュータ)102のハードディスク装置103などにプログラムを格納しておく。プログラムは、記憶媒体104や通信回線101を介する提供など、種々の形態のコンピュータプログラム製品として供給することができる。
【0047】
以上説明した変形例7によれば、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。なお、パーソナルコンピュータによって構成する他にも、デジタルフォトフレームやプロジェクタ等にも上述したステレオ画像を生成させるように構成して構わない。
【0048】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0049】
1…電子カメラ
12…撮像素子
13…画像処理部
14…SDRAM
15…LCDモニタ
16…CPU
17…不揮発性メモリ
30、104…記憶媒体
100…パーソナルコンピュータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を再生表示する表示手段と、
続けて撮影された複数コマの画像の各特徴量に基づいて、前記複数コマの画像を組合わせて1枚の画像を合成する画像合成手段と、
前記画像合成手段で合成された画像を前記表示手段に再生表示させる表示制御手段と、
前記再生表示中の合成画像のうち所定領域を選択するための操作部材と、
前記操作部材からの選択操作信号が示す領域をそれぞれ含む2コマの画像であって、所定の基線長に対応する2画像を前記複数コマの画像の中から抽出する画像抽出手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記複数コマの画像のデータが格納される画像ファイルは、各画像の撮影時に検出された撮影装置の撮影位置を示す第1情報をそれぞれ含み、
前記画像抽出手段は、前記第1情報に基づいて水平方向に前記基線長離れた2つの撮影位置でそれぞれ撮影された2コマの画像を抽出することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像処理装置において、
前記画像抽出手段によって抽出された2コマの画像を関連づける第2情報を生成する情報生成手段をさらに備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置において、
前記表示制御手段は、前記第2情報に基づいて前記2コマの画像データを用いた立体視画像を前記表示手段に表示させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
被写体像を撮像する撮像手段と、
装置の撮影位置を検出する位置検出手段と、
前記撮像手段で撮像した画像データと、前記位置検出手段で検出した撮影位置を示す情報とを含む画像ファイルを生成するファイル生成手段と、
画像データに基づく再生画像を表示する表示手段と、
続けて撮影された複数コマの画像の各特徴量に基づいて、前記複数コマの画像を組合わせて1枚の画像を合成する画像合成手段と、
前記画像合成手段で合成された画像を前記表示手段に再生表示させる表示制御手段と、
前記再生表示中の合成画像のうち所定領域を選択するための操作部材と、
前記操作部材からの選択操作信号が示す領域をそれぞれ含む2コマの画像であって、前記情報に基づいて水平方向に基線長離れた2つの撮影位置でそれぞれ撮影された2コマの画像を前記複数コマの画像の中から抽出する画像抽出手段と、
を備えることを特徴とする撮影装置。
【請求項6】
続けて撮影された複数コマの画像の各特徴量に基づいて、前記複数コマの画像を組合わせて1枚の画像を合成する第1処理と、
前記第1処理で合成した画像を表示装置に再生表示させる第2処理と、
前記再生表示中の合成画像のうち所定領域を選択するための操作を受け付ける第3処理と、
前記第3処理で受け付けた選択操作信号が示す領域をそれぞれ含む2コマの画像であって、所定の基線長に対応する2画像を前記複数コマの画像の中から抽出する第4処理と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項1】
画像を再生表示する表示手段と、
続けて撮影された複数コマの画像の各特徴量に基づいて、前記複数コマの画像を組合わせて1枚の画像を合成する画像合成手段と、
前記画像合成手段で合成された画像を前記表示手段に再生表示させる表示制御手段と、
前記再生表示中の合成画像のうち所定領域を選択するための操作部材と、
前記操作部材からの選択操作信号が示す領域をそれぞれ含む2コマの画像であって、所定の基線長に対応する2画像を前記複数コマの画像の中から抽出する画像抽出手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記複数コマの画像のデータが格納される画像ファイルは、各画像の撮影時に検出された撮影装置の撮影位置を示す第1情報をそれぞれ含み、
前記画像抽出手段は、前記第1情報に基づいて水平方向に前記基線長離れた2つの撮影位置でそれぞれ撮影された2コマの画像を抽出することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像処理装置において、
前記画像抽出手段によって抽出された2コマの画像を関連づける第2情報を生成する情報生成手段をさらに備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置において、
前記表示制御手段は、前記第2情報に基づいて前記2コマの画像データを用いた立体視画像を前記表示手段に表示させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
被写体像を撮像する撮像手段と、
装置の撮影位置を検出する位置検出手段と、
前記撮像手段で撮像した画像データと、前記位置検出手段で検出した撮影位置を示す情報とを含む画像ファイルを生成するファイル生成手段と、
画像データに基づく再生画像を表示する表示手段と、
続けて撮影された複数コマの画像の各特徴量に基づいて、前記複数コマの画像を組合わせて1枚の画像を合成する画像合成手段と、
前記画像合成手段で合成された画像を前記表示手段に再生表示させる表示制御手段と、
前記再生表示中の合成画像のうち所定領域を選択するための操作部材と、
前記操作部材からの選択操作信号が示す領域をそれぞれ含む2コマの画像であって、前記情報に基づいて水平方向に基線長離れた2つの撮影位置でそれぞれ撮影された2コマの画像を前記複数コマの画像の中から抽出する画像抽出手段と、
を備えることを特徴とする撮影装置。
【請求項6】
続けて撮影された複数コマの画像の各特徴量に基づいて、前記複数コマの画像を組合わせて1枚の画像を合成する第1処理と、
前記第1処理で合成した画像を表示装置に再生表示させる第2処理と、
前記再生表示中の合成画像のうち所定領域を選択するための操作を受け付ける第3処理と、
前記第3処理で受け付けた選択操作信号が示す領域をそれぞれ含む2コマの画像であって、所定の基線長に対応する2画像を前記複数コマの画像の中から抽出する第4処理と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−165247(P2012−165247A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24988(P2011−24988)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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