説明

画像処理装置、画像処理システム、プログラム及び画像形成媒体

【課題】互いに異なる種類の複写制限画像を検出対象とする複数の複写装置のいずれにおいても、複写を制限することのできる画像を生成する画像処理装置を提供する。
【解決手段】処理対象となる画像データを受け付け、複写対象画像に埋め込まれ、複写装置に検出されることで当該複写対象画像の複写を制限する複写制限画像を示す情報を、互いに異なる種類の複写制限画像を検出対象とする互いに異なる種類の複写装置に応じて複数種類取得し、取得した情報に対応する複数種類の複写制限画像のそれぞれを処理対象となる画像データに埋め込んで、形成対象画像を生成し、出力する画像処理装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理システム、プログラム及び画像形成媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、無断複製の禁止が必要とされる原稿画像を生成するに際し、生成された印刷物の無断複製を防止する画像生成装置および画像読取装置が記載されている。具体的に、この特許文献1に記載される画像生成装置は、原画像の複製を制御するための制御情報の種類に応じてパターン画像の配列方法を変えることでパターン画像領域を生成し、原画像とパターン画像領域とを合成する。そして、画像読取装置は、画像生成装置により生成された画像を読み取り、読み取られた読取画像に含まれているパターン画像を検知し、この検知結果に基づいて、複製の動作を制御するようにしている。また、特許文献1〜4には、画像読取装置が検出対象とするパターン画像として、印刷する画像の背景領域内に小さな点画像や斜線画像を一定の規則に従って繰り返し配置したパターン画像が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−014023号公報
【特許文献2】特開2003−280469号公報
【特許文献3】特開2008−199622号公報
【特許文献4】特開2009−004990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、互いに異なる種類の複写制限画像を検出対象とする複数の複写装置のいずれにおいても、複写を制限することのできる画像を生成する画像処理装置、画像処理システム及びプログラム、並びにこのような画像が形成された画像形成媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、処理対象となる画像データを受け付ける受付手段と、複写対象画像に埋め込まれ、複写装置に検出されることで当該複写対象画像の複写を制限する複写制限画像を示す情報を、互いに異なる種類の複写制限画像を検出対象とする互いに異なる種類の複写装置に応じて複数種類取得する情報取得手段と、前記情報取得手段が取得した情報に対応する複数種類の複写制限画像のそれぞれを前記受付手段が受け付けた画像データに埋め込んで、形成対象画像を生成する生成手段と、前記生成手段が生成した形成対象画像を出力する出力手段と、を含むことを特徴とする画像処理装置である。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置であって、前記複写制限画像に関する情報を複写装置の種類に対応させて記憶する記憶装置に対して、問い合わせを行う問合せ手段をさらに含み、前記受付手段は、出力先の複写装置の指定を受け付け、前記情報取得手段は、前記問合せ手段による問い合わせの結果、前記記憶装置に、前記受付手段によって指定を受け付けた出力先の複写装置に対応する複写制限画像とは異なる種類の複写制限画像に関する情報が記憶されている場合に、前記記憶装置から、前記出力先の複写装置に対応する複写制限画像に関する情報と、当該異なる種類の複写制限画像に関する情報と、を取得し、前記出力手段は、前記形成対象画像を前記出力先の複写装置に出力することを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載の画像処理装置であって、前記記憶装置は、複数種類の複写制限画像にそれぞれ対応する複数種類の複写装置が共通して検出対象とする複写制限画像である共通複写制限画像に関する情報を記憶することを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の画像処理装置であって、前記情報取得手段は、前記記憶装置に前記共通複写制限画像が記憶されている場合に、当該共通複写制限画像に関する情報と、当該共通複写制限画像に対応していない複写装置が検出対象とする複写制限画像に関する情報と、を取得することを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項記載の画像処理装置であって、前記生成手段は、前記情報取得手段が取得した複数種類の情報に対応する複数種類の複写制限画像のうち、少なくとも一部の種類の複写制限画像を、前記画像データを分割してなる複数の分割領域のそれぞれに一種類ずつ埋め込んで前記形成対象画像を生成することを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の画像処理装置であって、前記生成手段は、前記少なくとも一部の種類の複写制限画像のそれぞれを検出対象とする複写装置の数に応じて、当該複写制限画像を埋め込む前記分割領域の面積を決定することを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項5又は6記載の画像処理装置であって、前記生成手段は、前記少なくとも一部の種類の複写制限画像のそれぞれを検出対象とする複写装置の数に応じて、当該複写制限画像を埋め込む前記分割領域の位置を決定することを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の画像処理装置であって、前記生成手段は、前記少なくとも一部の種類の複写制限画像のうち、当該複写制限画像を検出対象とする複写装置の数が多い複写制限画像を、前記画像データの中央に近い分割領域に埋め込むことを特徴とする。
【0013】
請求項9記載の発明は、請求項5から8のいずれか一項記載の画像処理装置であって、前記生成手段は、前記情報取得手段が取得した複数種類の情報に対応する複数種類の複写制限画像のうち、少なくとも一種類の複写制限画像の平均濃度を、他の種類の複写制限画像の平均濃度に応じて変化させてから、前記画像データに埋め込むことを特徴とする。
【0014】
請求項10記載の発明は、請求項9に記載の画像処理装置であって、前記生成手段は、前記少なくとも1種類の複写制限画像が、単位画像を予め定められた規則で配列して構成されるものである場合、当該単位画像の大きさを変化させることを特徴とする。
【0015】
請求項11記載の発明は、請求項9に記載の画像処理装置であって、前記生成手段は、前記少なくとも1種類の複写制限画像が、複数の単位画像を予め定められた規則で配列して構成されるものである場合、当該単位画像間の間隔を変化させることを特徴とする。
【0016】
請求項12記載の発明は、画像処理装置と記憶装置とを含み、前記記憶装置は、複写対象画像に埋め込まれ、複写装置に検出されることで当該複写対象画像の複写を制限する複写制限画像を示す情報を、互いに異なる種類の複写制限画像を検出対象とする互いに異なる種類の複写装置のそれぞれに対応させて複数種類記憶し、前記画像処理装置は、処理対象となる画像データ及び出力先の複写装置の指定を受け付ける受付手段と、前記記憶装置に対して問い合わせを行う問合せ手段と、前記問合せ手段による問い合わせの結果、前記記憶装置に、前記受付手段によって指定を受け付けた出力先の複写装置に対応する複写制限画像とは異なる種類の複写制限画像に関する情報が記憶されている場合に、前記記憶装置から、前記出力先の複写装置に対応する複写制限画像に関する情報と、当該異なる種類の複写制限画像に関する情報と、を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段が取得した情報に対応する複数種類の複写制限画像のそれぞれを前記処理対象となる画像データに埋め込んで、形成対象画像を生成する生成手段と、前記生成手段が生成した形成対象画像を前記出力先の複写装置に出力する出力手段と、を含むことを特徴とする画像処理システムである。
【0017】
請求項13記載の発明は、処理対象となる画像データを受け付ける受付手段、複写対象画像に埋め込まれ、複写装置に検出されることで当該複写対象画像の複写を制限する複写制限画像を示す情報を、互いに異なる種類の複写制限画像を検出対象とする互いに異なる種類の複写装置に応じて複数種類取得する情報取得手段、前記情報取得手段が取得した情報に対応する複数種類の複写制限画像のそれぞれを前記受付手段が受け付けた画像データに埋め込んで、形成対象画像を生成する生成手段、及び前記生成手段が生成した形成対象画像を出力する出力手段、としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0018】
請求項14記載の発明は、複写対象画像に埋め込まれ、複写装置に検出されることで当該複写対象画像の複写を制限する複写制限画像であって、互いに異なる種類の複写制限画像を検出対象とする互いに異なる種類の複写装置に応じた複数種類の複写制限画像のそれぞれを、一つの画像データに埋め込んでなる形成対象画像が形成された画像形成媒体である。
【発明の効果】
【0019】
請求項1,13,及び14記載の発明によれば、互いに異なる種類の複写制限画像を検出対象とする複数の複写装置のいずれにおいても、複写を制限することのできる画像が形成された媒体を提供できる。
【0020】
請求項2及び12記載の発明によれば、出力先の複写装置と、出力先の複写装置が検出対象とする複写制限画像とは異なる複写制限画像を検出対象とする複写装置のいずれにおいても、複写を制限することのできる画像を生成することができる。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、記憶装置に記憶された情報に対応する複写制限画像を検出対象とする複写装置に加えて、他の複写装置でも複写を制限できる可能性のある画像を生成できる。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比べて、画像データに埋め込む複写制限画像の種類を少なくできる。
【0023】
請求項5記載の発明によれば、それぞれ繰り返しパターンによって構成される複数種類の複写制限画像を埋め込んだ画像を生成できる。
【0024】
請求項6乃至8記載の発明によれば、検出対象とする複写装置の数が多い複写制限画像ほど検出されやすくなるように埋め込まれた画像を生成できる。
【0025】
請求項9乃至11記載の発明によれば、それぞれ繰り返しパターンによって構成される複数種類の複写制限画像を埋め込んだ画像を生成する場合に、当該画像において各種類の複写制限画像が埋め込まれた領域の境界を目立ちにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像生成装置を含む画像処理システムの全体概要を示す概要図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像生成装置の概略構成を示す構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像生成装置が実現する機能を示す機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る画像生成装置が生成する形成対象画像の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像生成装置が実行する処理の流れの一例を示すフロー図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る画像生成装置が生成する形成対象画像の別の例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る画像生成装置が生成する形成対象画像のさらに別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
【0028】
図1は、本実施形態に係る画像生成装置2を含んだ画像処理システム1の全体概要を示す概要図である。この画像処理システム1は、画像生成装置2と、複写装置管理装置3と、画像形成装置4と、複数の複写装置5と、を含んで構成されている。これらの装置は、互いに通信手段(ここでは企業内のローカルエリアネットワークとする)を介して接続されており、相互にデータ通信を行う。
【0029】
画像生成装置2は、例えばパーソナルコンピュータ等の画像処理装置であって、利用者の指示に応じて、画像形成装置4又は複写装置5に形成させる画像(形成対象画像)を生成し、画像形成装置4又は複写装置5に対して出力する。本実施形態における画像生成装置2の構成及び機能については、後述する。
【0030】
複写装置管理装置3は、サーバコンピュータ等の情報処理装置であって、画像処理システム1に含まれ、通信手段を介して画像生成装置2及び複写装置管理装置3と接続されている各複写装置5に関する情報を取得、管理する。複写装置管理装置3の機能についても、後述する。
【0031】
画像形成装置4は、プリンタ等であって、画像生成装置2から入力された形成対象画像を、紙などの記録媒体上に形成する画像形成処理を行う。
【0032】
複写装置5は、コピー機等であって、紙などの記録媒体上に形成された画像(複写対象画像)を読み取って、他の記録媒体上に当該読み取った複写対象画像を形成する複写処理を行う。本実施形態では、各複写装置5が複写の対象とする画像は、画像形成装置4又は複写装置5によって記録媒体上に形成された画像であるものとする。この複写対象画像内には、複写制限用の符号画像(以下、複写制限画像という)が含まれることがある。複写制限画像は、複写対象画像に埋め込まれ、複写装置5によって検出されることで、当該複写制限画像が埋め込まれた複写対象画像の複写装置5による複写を制限する画像である。複写制限画像は、例えば、複写制限を表す情報が埋め込まれた2次元コード画像や電子透かし画像、あるいは複写制限を示す繰り返しパターン画像、である。各複写装置5は、利用者から記録媒体上に形成された複写対象画像を複写する指示を受けた場合、まず複写対象画像を読み取って、当該読み取った複写対象画像内に複写制限画像が含まれているか否かを判定する。複写対象画像内から複写制限画像が検出された場合には、複写装置5は、当該複写対象画像の複写を制限することとし、複写処理を中止する。
【0033】
さらに、本実施形態において、画像処理システム1内には、互いに異なる種類の(すなわち、互いに機種又はメーカーが異なる)複数の複写装置5が設置されていることとする。これらの複写装置5は、互いに異なる種類の複写制限画像を読み取り制限の対象とする。以下では具体例として、画像処理システム1内には3つの複写装置5a,5b及び5cが含まれ、複写装置5aは複写制限画像Iaを、複写装置5bは複写制限画像Ibを、複写装置5cは複写制限画像Icを、それぞれ検出対象とするものとする。例えば複写対象画像内に複写制限画像Iaだけが含まれている場合、複写装置5aは複写制限画像Iaを検出対象とするので、この複写対象画像の複写を制限する。しかしながら、複写装置5b及び5cは、複写制限画像Iaを検出対象としないので、このような複写対象画像をそのまま複写してしまうことになる。
【0034】
なお、本実施形態では、各複写装置5は、媒体上に形成された画像の複写処理だけでなく、画像形成装置4と同様の画像形成処理も実行することとする。すなわち、画像生成装置2は、ユーザから画像形成指示を受け付けた場合、画像形成装置4及び複数の複写装置5のいずれかに対して、画像形成処理を実行させる。
【0035】
ここで、画像生成装置2のハードウェア構成について、説明する。画像生成装置2は、図2に示すように、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、を含んで構成されている。また、画像生成装置2は、操作部14及び表示部15と接続されている。
【0036】
制御部11は、CPU等のプログラム制御デバイスであって、記憶部12に記憶されるプログラムに従って各種の情報処理を実行する。
【0037】
記憶部12は、例えばRAMやROM等のメモリ素子を含んで構成され、制御部11が実行するプログラムや各種のデータを記憶する。また、記憶部12は制御部11のワークメモリとしても機能する。特に本実施形態では、記憶部12は、一般的に知られている各種の複写装置が検出対象とする複写制限画像(候補複写制限画像)に関する情報(以下、候補複写制限画像情報という)を記憶している。候補複写制限画像情報は、例えば候補複写制限画像の画像データそのものであってもよいし、候補複写制限画像の生成に用いられる情報(候補複写制限画像のパターンを規定する情報など)であってもよい。なお、この候補複写制限画像情報は、画像処理システム1に含まれる各複写装置5が検出対象とする複写制限画像Ia,Ib及びIcだけでなく、画像処理システム1に含まれない他の複写装置が検出対象とする各種の複写制限画像についても用意されている。
【0038】
通信部13は、例えばLANカード等の通信インタフェースであって、通信手段を介して、複写装置管理装置3や画像形成装置4、複写装置5などとの間でデータ通信を行う。
【0039】
操作部14は、例えばキーボードやマウス等であって、画像生成装置2の利用者が画像生成装置2に対する各種の指示操作を行うために用いられる。操作部14が利用者から受け付けた指示操作の内容を示す情報は、制御部11に対して出力される。また、表示部15は、液晶ディスプレイ等であって、制御部11の指示に従って、各種の画像を表示し、利用者に提示する。
【0040】
次に、画像生成装置2が実現する機能について説明する。画像生成装置2は、利用者から複写制限画像を埋め込んだ画像の形成を行うべき旨の指示及び出力先の画像形成装置(画像形成装置4又は複数の複写装置5のいずれか)の指定を受け付けた場合に、形成対象画像に埋め込むべき複数種類の複写制限画像(以下、埋め込み複写制限画像という)を取得する。そして、利用者が指定する元画像に取得した埋め込み複写制限画像を埋め込んで形成対象画像を生成し、出力先の画像形成装置に対して出力する。これを受けて画像形成装置は、複数種類の複写制限画像が埋め込まれた形成対象画像を、紙などの記録媒体上に形成する。
【0041】
画像生成装置2は、機能的に、図3に示すように、情報取得部21と、形成対象画像生成部22と、を含んで構成されている。これらの機能は、制御部11が記憶部12に記憶されているプログラムを実行することにより、実現される。このプログラムは、画像形成装置用のデバイスドライバプログラムであってもよい。また、このプログラムは、例えば光ディスク等のコンピュータ読み取り可能な各種の情報記憶媒体に格納されて画像生成装置2に提供されてもよいし、インターネット等の通信手段を介して画像生成装置2に提供されてもよい。
【0042】
情報取得部21は、互いに異なる種類の複写装置が検出対象とする複数種類の複写制限画像に関する情報を、埋め込み複写制限画像の情報として取得する。具体的に、情報取得部21は、通信手段を介して画像生成装置2に接続された複数の複写装置5のそれぞれが検出対象とする種類の複写制限画像の画像データそのものを、埋め込み複写制限画像として取得してもよい。本実施形態に係る画像処理システム1においては、既に述べたように、3つの複写装置5a〜5cが画像生成装置2と接続されており、これらの複写装置5a〜5cはそれぞれ複写制限画像Ia,Ib又はIcを検出対象とするため、これら3種類の複写制限画像Ia〜Icを埋め込み複写制限画像として取得することになる。また、情報取得部21は、複写制限画像そのものを取得する代わりに、複写制限画像に関する情報として、複写制限画像の生成に用いられる情報を取得してもよい。このような複写制限画像の生成に用いられる情報としては、画素塊を含むパターン画像を予め定められた規則で配列する情報などがある。具体的には、複数の構成要素であるドットの組合せによって特定の情報を意味するパターン画像を予め定められた規則で配列する情報や、仮想グリッドからのドットのずれ方向によって特定の情報を埋め込む情報などが挙げられる。
【0043】
本実施形態では、情報取得部21は、通信手段を介して接続された複写装置管理装置3に対して、画像処理システム1内に存在する複写装置5が検出対象とする複写制限画像の種類を問い合わせる。そして、この問い合わせに対する複写装置管理装置3の応答を受信することで、埋め込み複写制限画像の種類を特定する。さらに情報取得部21は、記憶部12に記憶されている候補複写制限画像情報の中から、埋め込み複写制限画像として特定された種類の複写制限画像を生成するための情報を読み出すことによって、埋め込み複写制限画像を取得する。なお、出力先の画像形成装置として複数の複写装置5のいずれかが利用者によって指定された場合、情報取得部21は、この出力先として指定された複写装置5が検出対象とする複写制限画像については、必ず埋め込み複写制限画像として選出することとする。この場合、情報取得部21は、その他に埋め込み複写制限画像として選出すべき複写制限画像がないかを複写装置管理装置3に対して問い合わせる。そして、複写装置管理装置3に出力先の複写装置5が検出対象としない種類の複写制限画像に関する情報が記憶されている場合、その旨の応答を受けて、埋め込み複写制限画像を選出する。一方、その他の複写制限画像に関する情報が複写装置管理装置3に記憶されていなければ、情報取得部21は出力先の複写装置5が検出対象とする複写制限画像だけを埋め込み複写制限画像として選出することになる。
【0044】
このような処理を実現するために、複写装置管理装置3は、通信手段を介して自分自身に接続されている複写装置5の種類を特定し、その種類を示す情報(例えば機種名や型番、メーカー名など)を記憶している。具体例として、複写装置管理装置3は、接続機器の種別情報を取得する問い合わせを、ブロードキャスト送信によって同一セグメント内の全てのネットワーク接続機器に対して送信する。この問い合わせは、例えばMIB(Management Information Base)の取得要求であってもよい。そして、複写装置管理装置3は、この問い合わせに対する各ネットワーク接続機器の応答内容を参照することにより、自分自身に接続されている複写装置5の種類に関する情報を取得する。複写装置管理装置3は、このような問い合わせを定期的に行うことにより、自分自身と接続された複写装置5の種類に変更があった場合(新しい種類の複写装置5が接続された場合や、これまで設置されていた複写装置5が撤去された場合など)にも、自分自身が記憶する複写装置5の種類を示す情報を、最新の状態を反映するように更新し続ける。
【0045】
さらに、複写装置管理装置3は、複写制限画像と複写装置の種類との対応に関する情報を記憶する記憶装置として機能する。具体的に、複写装置管理装置3は、一般的に知られている各種の複写制限画像(すなわち、画像生成装置2の記憶部12に候補複写制限画像情報が記憶されている候補複写制限画像)のそれぞれについて、当該種類の複写制限画像を検出対象とする複写装置の種類を示す情報を記憶している。複写装置管理装置3は、画像生成装置2から問い合わせを受けた場合には、画像処理システム1内の複写装置5の種類を示す情報と、各種類の複写制限画像を検出対象とする複写装置の種類を示す情報と、を用いて、画像処理システム1内の複写装置5が検出対象とする複写制限画像の種類を特定し、当該特定した複写制限画像の種類を示す情報を画像生成装置2に対して返信する。画像生成装置2は、この複写装置管理装置3から通知された複写制限画像を、埋め込み複写制限画像として特定する。
【0046】
次に、形成対象画像生成部22は、情報取得部21が取得した複数種類の埋め込み複写制限画像のそれぞれを一つの元画像に埋め込んで、出力先として指定された画像形成装置に形成させる形成対象画像を生成する。ここで元画像は、利用者が指定した、利用者が印刷を希望する内容を表す画像である。形成対象画像生成部22は、生成した形成対象画像を、出力先として利用者が指定した画像形成装置(画像形成装置4又は複数の複写装置5のいずれか)に対して出力する。これにより、形成対象画像生成部22が生成した形成対象画像は、紙などの記録媒体に形成される。
【0047】
具体的に、形成対象画像生成部22は、複数種類の埋め込み複写制限画像のうち、少なくとも一部の種類の複写制限画像については、元画像を分割してなる複数の領域(分割領域)のそれぞれに、これらの複写制限画像を一種類ずつ埋め込むことによって、形成対象画像を生成する。ここで、複写制限用の複写制限画像としては、ある程度の大きさの領域内に複数個並べて配置する(すなわち、繰り返しパターンとして埋め込む)タイプと、繰り返さずに一つの画像のみを埋め込むタイプと、が存在する。前者の例は、点画像(ドットパターン)や斜線画像などの単位画像を一定の規則にしたがって配置してなる複写制限画像であって、このタイプの複写制限画像は、元画像の背景領域(余白領域)内に繰り返しパターンとして埋め込まれる。後者の例は、QRコード(登録商標)などの2次元バーコード画像である。形成対象画像生成部22は、埋め込み複写制限画像のうち、QRコードなどの繰り返されないタイプの複写制限画像については、元画像内のいずれかの位置(例えば右上の隅)に一つだけ、もしくは離れた位置(例えば右上の隅と左下の隅)に複数個を埋め込むこととする。そして、繰り返しパターンとして埋め込まれるタイプの複写制限画像については、前述したように、元画像内の分割領域のそれぞれに一種類ずつ埋め込むこととする。このようにして、一つの元画像内に複数種類の複写制限画像が埋め込まれてなる形成対象画像が生成される。
【0048】
図4は、このようにして生成される形成対象画像の一例を模式的に示す図である。なお、この図においては、元画像自体の内容は省略されている。同図の例では、横方向に直線状に延びる2本の境界線によって元画像が3つの分割領域A1,A2及びA3に分割されている。そして、分割領域A1内の背景領域には複写制限画像Iaが、分割領域A2内の背景領域には複写制限画像Ibが、分割領域A3内の背景領域には複写制限画像Icが、それぞれ繰り返しパターンとして配置される。各複写装置5は、複写対象画像の全体を端から順に読み取りながら、その中に自身が検出対象とする複写制限画像が含まれていないかを検索する。そのため、このように3種類の複写制限画像Ia,Ib及びIcが埋め込まれた画像が形成された記録媒体を複写対象とする場合、複写制限画像Iaを検出対象とする複写装置5a、複写制限画像Ibを検出対象とする複写装置5b、及び複写制限画像Icを検出対象とする複写装置5cのいずれも、当該記録媒体上に形成された画像の中から複写制限画像を検出して、当該画像の複写を制限することになる。
【0049】
ここで、本実施形態に係る画像生成装置2が実行する処理の流れの具体例について、図5のフロー図に基づいて説明する。この処理は、制御部11が記憶部12に格納されたプログラムを実行することで、実現される。
【0050】
まず画像生成装置2は、利用者から複写制限用の複写制限画像を埋め込んだ画像の形成指示及び出力先の画像形成装置の指定を受け付けると、形成対象画像に埋め込むべき複写制限画像の種類に関する問い合わせを複写装置管理装置3に対して送信する(S1)。この問い合わせに対する複写装置管理装置3からの応答を受信することによって、画像生成装置2は、埋め込み複写制限画像の種類を特定する(S2)。このとき、複写装置管理装置3が複数種類の複写制限画像に関する情報を記憶していれば、画像生成装置2は複写装置管理装置3からの応答に含まれるこれらの情報を元に、埋め込み複写制限画像の種類を特定する。一方、出力先として複数の複写装置5のいずれかが指定され、当該指定された複写装置5が検出対象とする複写制限画像以外の複写制限画像に関する情報が複写装置管理装置3に記憶されていなければ、情報取得部21は、出力先の複写装置5が検出対象とする複写制限画像のみを埋め込み複写制限画像として選出する。
【0051】
続いて画像生成装置2は、利用者によって指定された画像形成の対象となる文書データに基づいて、出力先の画像形成装置が処理可能な元画像のデータ(ここではPDL形式の画像データ)を生成する(S3)。
【0052】
以降の処理は、S2の処理によって、出力先として複数の複写装置5のいずれかが指定され、指定された複写装置5が検出対象とする複写制限画像以外の複写制限画像が埋め込み複写制限画像として選出された場合(S4:Y)と、そうでない場合(S4:N)とに分岐する。複数種類の複写制限画像が埋め込み複写制限画像として特定された場合、次に画像生成装置2は、S2で特定された埋め込み複写制限画像の種類のうち、繰り返しパターンとして埋め込まれる複写制限画像の種類の数に応じて、元画像を複数の分割領域に分割する(S5)。そして、記憶部12に記憶されている候補複写制限画像情報を参照することによって、S2で特定された複数種類の埋め込み複写制限画像それぞれの画像データを生成する(S6)。
【0053】
続いて画像生成装置2は、S6で生成された複数種類の複写制限画像のそれぞれを、S5で得られた分割領域、又は元画像内の予め定められた位置のいずれかに埋め込む(S7)。これにより、複数種類の埋め込み複写制限画像はそれぞれ元画像に合成されて、形成対象画像が生成される。最後に画像生成装置2は、S7で生成した形成対象画像のデータを出力先の画像形成装置に出力して、画像形成装置に対する印刷指示を行う(S8)。
【0054】
一方、S2で出力先の複写装置5が検出対象とする複写制限画像以外の複写制限画像が埋め込み複写制限画像として選出されなかった場合、画像生成装置2は、出力先の複写装置5が検出対象とする複写制限画像の画像データを生成して(S9)、元画像全体の背景領域に生成した複写制限画像を埋め込んで形成対象画像を生成する(S10)。そして、出力先の複写装置5に対して、生成した形成対象画像を出力する(S8)。
【0055】
なお、ここでは1ページの文書を印刷する場合など、形成対象画像が一つだけの場合のフローについて説明したが、利用者が印刷対象として指定した文書が複数ページの文書の場合、各ページの文書に基づいて元画像を生成し、生成した元画像のそれぞれに複数種類の複写制限画像を埋め込めばよい。すなわち、S3〜S6の処理を複数ページの元画像それぞれについて実行することで、各ページに複数種類の複写制限画像が埋め込まれた形成対象画像のデータが生成される。
【0056】
なお、以上の説明においては、画像処理システム1内の複写装置5は、それぞれ他の複写装置5とは異なる一種類の複写制限画像のみを検出対象とすることとしているが、各複写装置5が検出対象とする複写制限画像の種類は、このような例に限られない。例えば、各メーカーが提供する複写装置の中には、予め定められた複写制限画像(以下、共通複写制限画像Idという)を検出対象とするものも考えられる。この共通複写制限画像Idは、検出対象とする複写制限画像を異機種間で共通化するために定められたものである。画像処理システム1内に存在する複写装置5が、いずれも共通複写制限画像Idを検出対象とする場合、この共通複写制限画像Idだけを埋め込み複写制限画像として形成対象画像内に埋め込んでおけば、どの複写装置5でも当該形成対象画像の複写が制限される。そこで画像生成装置2は、共通複写制限画像Idに関する情報も候補複写制限画像情報の一つとして記憶しておき、当該画像生成装置2に接続された複写装置5がいずれもこの共通複写制限画像Idを検出対象とする場合には、共通複写制限画像Idだけを元画像に埋め込んで形成対象画像を生成してもよい。
【0057】
また、複数の複写装置5のうちの一部の複写装置5は共通複写制限画像Idを検出対象とするが、残りの複写装置5は共通複写制限画像Idに対応していない場合には、情報取得部21は、共通複写制限画像Idに加えて、共通複写制限画像Idに対応していない複写装置5のそれぞれが検出対象とする複写制限画像を埋め込み複写制限画像として選択してもよい。この場合、共通複写制限画像Id及び独自形式の複写制限画像のそれぞれを検出対象とする複写装置5については、共通複写制限画像Idを優先して埋め込み複写制限画像として取得し、独自の複写制限画像は埋め込み対象として選択しないこととする。こうすれば、元画像に埋め込まれる埋め込み複写制限画像の種類の数が少なくなる。
【0058】
さらに、情報取得部21は、画像処理システム1内の複数の複写装置5がいずれも共通複写制限画像Idを検出対象としない場合にも、これらの複写装置5が検出対象とする複写制限画像に加えて、共通複写制限画像Idを埋め込み複写制限画像として取得することとしてもよい。この場合、画像生成装置2は、利用者から複写制限画像を埋め込んだ画像の形成指示を受けた際には、必ず共通複写制限画像Idを埋め込み複写制限画像に含めて形成対象画像を生成することになる。こうすれば、画像処理システム1内の複写装置5だけでなく、他の共通複写制限画像Idに対応した複写装置5においても、画像形成装置が形成した画像の複写が制限されることになる。
【0059】
図6は、このように、複写装置5a,5b及び5cがそれぞれ検出対象とする独自形式の複写制限画像Ia,Ib及びIcに加えて、共通複写制限画像Idが埋め込まれた形成対象画像の一例を示す図である。この図の例では、共通複写制限画像Idは一つのQRコードであることとしている。また、その他の複写制限画像Ia,Ib及びIcは、図4の例と同様に、それぞれ分割領域A1,A2又はA3に一種類ずつ埋め込まれている。
【0060】
また、以上の説明においては、形成対象画像生成部22は、繰り返しパターンによって構成される複写制限画像を埋め込むべき分割領域を生成する場合に、元画像を横方向に延びる直線に沿って等分することにより、元画像を分割することとしている。しかしながら、元画像を分割して分割領域を生成する方法は、このようなものに限られない。例えば形成対象画像生成部22は、縦方向に沿って延びる直線に沿って元画像を分割してもよいし、縦方向に延びる直線、及び横方向に延びる直線の両方を境界線として用いて、格子状に元画像を分割することにより、必要な数の分割領域を生成してもよい。また、分割領域の境界線を目立ちにくくするために、直線ではなく曲線に沿って元画像を分割してもよい。
【0061】
さらに、形成対象画像生成部22は、繰り返しパターンからなる複写制限画像のそれぞれを埋め込むべき分割領域の面積や位置を、当該複写制限画像を検出対象とする複写装置5の数に応じて決定してもよい。これまでの例では、複写制限画像Ia,Ib及びIcのそれぞれを検出対象とする複写装置5の数は、いずれも1つで、同数であると仮定していた。しかしながら、画像処理システム1内には、同じ複写制限画像を検出対象とする同種の複写装置5が複数存在する場合もあり得る。そして、ある複写制限画像を検出対象とする複写装置5が他の複写制限画像を検出対象とする複写装置5よりも多い場合、このような複写制限画像は、特に他の複写制限画像よりも精度よく検出可能であることが望ましい。そこで、形成対象画像生成部22は、このような複写制限画像を検出しやすくなるような態様で形成対象画像内に埋め込んでもよい。
【0062】
具体例として、形成対象画像生成部22は、繰り返しパターンからなる複数種類の複写制限画像のそれぞれについて、画像生成装置2に接続されている複数の複写装置5のうち当該複写制限画像を検出対象とする複写装置5の数に応じて、当該複写制限画像を埋め込むべき分割領域の面積を決定する。このとき、検出対象とする複写装置5の数が多い複写制限画像を埋め込む分割領域の面積が、検出対象とする複写装置5の数が少ない複写制限画像を埋め込む分割領域よりも大きくなるようにする。こうすれば、面積の大きな分割領域に埋め込まれた複写制限画像ほど、複写装置5によって検出されやすくなるため、より多くの複写装置5において複写制限画像が正確に検出される可能性が高まる。具体的には、例えば図4や図6に例示したように各分割領域が横方向に延びる帯状の領域の場合、各分割領域の幅(縦方向の高さ)を、当該分割領域に埋め込まれる複写制限画像を検出対象とする複写装置5の数に比例するように決定すればよい。
【0063】
また、形成対象画像生成部22は、繰り返しパターンからなる複数種類の複写制限画像のそれぞれについて、画像生成装置2に接続されている複数の複写装置5のうち当該複写制限画像を検出対象とする複写装置5の数に応じて、当該複写制限画像を埋め込むべき分割領域の位置を決定する。このとき、検出対象とする複写装置5の数が多い複写制限画像を、より元画像の中央に近い分割領域に埋め込むこととし、検出対象とする複写装置5の数が少ない複写制限画像については、元画像の中央から離れた(すなわち、外側に近い)分割領域に埋め込むこととする。ここで、「中央」とは、複写制限画像が検知されやすい程度に中央に位置していることをいい厳密に中央である必要はない。こうすれば、より中央に近い分割領域に埋め込まれた複写制限画像ほど、複写装置5によって検出されやすくなるため、より多くの複写装置5において複写制限画像が検出される可能性が高まる。あるいは、形成対象画像生成部22は、検出対象とする複写装置5の数が多い複写制限画像を、より文書の先頭(横書きの文書であれば上側)に近い分割領域に埋め込むこととし、検出対象とする複写装置5の数が少ない複写制限画像については、文書の末尾(横書きの文書であれば下側)に近い分割領域に埋め込むこととしてもよい。
【0064】
図7は、画像処理システム1内に、複写制限画像Ib及びIcのそれぞれを検出対象とする複写装置5が1つずつ、複写制限画像Iaを検出対象とする複写装置5が2つ存在する場合に、形成対象画像生成部22が生成する形成対象画像の一例を示す図である。この図の例では、複写制限画像Iaを埋め込む分割領域A1が、形成対象画像の中央に配置されている。また、この分割領域A1は、他の分割領域A2及びA3の2倍の面積になっている。
【0065】
なお、形成対象画像生成部22は、繰り返しパターンからなる共通複写制限画像Idを埋め込み複写制限画像とする場合、検出対象とする複写装置5の数が多い複写制限画像に代えて、又はこれに加えて、共通複写制限画像Idについても、面積の大きな分割領域やより中央に近い分割領域に埋め込むこととしてもよい。
【0066】
また、形成対象画像生成部22は、検出対象とする複写装置5の数ではなく、各複写制限画像の属性に応じて、各複写制限画像を埋め込むべき分割領域の位置を決定してもよい。具体的には、例えば画質的に目立ちにくい種類の複写制限画像については、より元画像の中央に近い分割領域に埋め込むこととし、画質的に目立ちやすい種類の複写制限画像については、より元画像の中央から離れた分割領域に埋め込むこととする。こうすれば、目立ちやすい種類の複写制限画像を目立ちやすい位置に配置してしまうことが避けられる。なお、各種類の複写制限画像の目立ちやすさを示す情報は、予め候補複写制限画像情報に含めて記憶されてよい。
【0067】
さらに、形成対象画像生成部22は、各種類の複写制限画像を分割領域に埋め込む際には、これら複数種類の複写制限画像のうち、少なくとも一種類の複写制限画像については、その平均濃度を他の種類の複写制限画像の平均濃度に応じて変化させてから元画像に埋め込むこととしてもよい。ここで、ある複写制限画像の平均濃度を変化させる際には、当該複写制限画像を埋め込む分割領域に隣接する分割領域に埋め込まれる複写制限画像(隣接複写制限画像)の平均濃度に応じて、当該複写制限画像の平均濃度を変化させることとする。すなわち、少なくとも一種類の複写制限画像の平均濃度を、隣接複写制限画像の平均濃度に近くなるように変化させる。こうすれば、互いに隣接する複写制限画像同士の平均濃度が近くなり、分割領域の境界線が目立ちにくくなる。
【0068】
具体的に、形成対象画像生成部22は、ドットパターンや斜線画像などの画素塊を含む予め定められた単位画像を繰り返し配置して生成される複写制限画像については、この単位画像の大きさや間隔を調整することで、複写制限画像全体の平均濃度を調整する。このような単位画像の大きさや間隔は、通常、複写装置5により検出可能となるように予め定められている。しかしながら、各複写装置5は、複写制限画像を確実に検出するために、ある程度の範囲内で単位画像の大きさや間隔が変動することを想定し、このような変動があっても複写制限画像を検出するようになっている。そのため、予め定められた範囲内で単位画像の大きさや間隔を変化させることで、形成対象画像生成部22は、各種類の複写制限画像の平均濃度を変化させる。具体的に、例えば形成対象画像生成部22は、複数種類の埋め込み複写制限画像のうち、平均濃度の初期値が最も高い複写制限画像に合わせて、他の種類の埋め込み複写制限画像の平均濃度を変化させる。これにより、形成対象画像全体で背景領域に埋め込まれた複写制限画像の平均濃度の差が吸収され、その背景がより均一に近くなる。
【0069】
なお、本発明の実施の形態は、以上説明したものに限られない。例えば以上の説明では、埋め込み複写制限画像は、画像生成装置2に直接通信接続された複写装置5が検出対象とする複写制限画像であることとしたが、画像生成装置2に直接接続されておらず、複写装置管理装置3を介して間接的に接続されている複写装置5が検出対象とする複写制限画像についても、埋め込み複写制限画像として取得することとしてもよい。あるいは、画像生成装置2に全く接続されておらず、画像処理システム1内に含まれない複写装置だけが検出対象とする複写制限画像も、埋め込み複写制限画像として取得することとしてもよい。この場合、例えば画像生成装置2は、候補複写制限画像情報を記憶している全ての複写制限画像を、埋め込み複写制限画像とする。こうすれば、画像処理システム1外の複写装置による複写も制限される可能性が高くなる。あるいは画像生成装置2は、利用者の選択によって、埋め込み複写制限画像の種類を特定してもよい。なお、これらの場合、複写装置管理装置3は必ずしも必要でない。
【0070】
また、以上の説明では、画像生成装置2が予め候補複写制限画像情報を記憶部12に記憶しておくこととしたが、候補複写制限画像情報は複写装置管理装置3内に記憶されることとしてもよい。この場合、画像生成装置2は、利用者から複写制限画像を埋め込んだ画像の形成指示を受けた場合、その都度、複写装置管理装置3に問い合わせを行い、形成対象画像内に埋め込むべき複写制限画像に関する情報(複写制限画像の画像データそのものや、複写制限画像の生成に用いられるパターン画像の配列規則等に関する情報)を受信すればよい。
【0071】
また、以上の説明において複写装置管理装置3が実行することとした機能の一部又は全部は、画像生成装置2が実行することとしてもよい。例えば画像生成装置2は、一般的に知られている各種の複写装置の種類を特定する情報と、当該種類の複写装置が検出対象とする複写制限画像の種類を特定する情報と、を関連づけて記憶しておく。こうすれば、複写装置管理装置3は単に画像処理システム1内の複写装置5の種類を特定し、画像生成装置2に通知するだけで、画像生成装置2側で各複写装置5が検出対象とする複写制限画像の種類を特定することが可能となる。
【符号の説明】
【0072】
1 画像処理システム、2 画像生成装置、3 複写装置管理装置、4 画像形成装置、5 複写装置、11 制御部、12 記憶部、13 通信部、14 操作部、15 表示部、21 情報取得部、22 形成対象画像生成部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象となる画像データを受け付ける受付手段と、
複写対象画像に埋め込まれ、複写装置に検出されることで当該複写対象画像の複写を制限する複写制限画像を示す情報を、互いに異なる種類の複写制限画像を検出対象とする互いに異なる種類の複写装置に応じて複数種類取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段が取得した情報に対応する複数種類の複写制限画像のそれぞれを前記受付手段が受け付けた画像データに埋め込んで、形成対象画像を生成する生成手段と、
前記生成手段が生成した形成対象画像を出力する出力手段と、
を含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記複写制限画像に関する情報を複写装置の種類に対応させて記憶する記憶装置に対して、問い合わせを行う問合せ手段をさらに含み、
前記受付手段は、出力先の複写装置の指定を受け付け、
前記情報取得手段は、前記問合せ手段による問い合わせの結果、前記記憶装置に、前記受付手段によって指定を受け付けた出力先の複写装置に対応する複写制限画像とは異なる種類の複写制限画像に関する情報が記憶されている場合に、前記記憶装置から、前記出力先の複写装置に対応する複写制限画像に関する情報と、当該異なる種類の複写制限画像に関する情報と、を取得し、
前記出力手段は、前記形成対象画像を前記出力先の複写装置に出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記記憶装置は、複数種類の複写制限画像にそれぞれ対応する複数種類の複写装置が共通して検出対象とする複写制限画像である共通複写制限画像に関する情報を記憶することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記情報取得手段は、前記記憶装置に前記共通複写制限画像が記憶されている場合に、当該共通複写制限画像に関する情報と、当該共通複写制限画像に対応していない複写装置が検出対象とする複写制限画像に関する情報と、を取得することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記生成手段は、前記情報取得手段が取得した複数種類の情報に対応する複数種類の複写制限画像のうち、少なくとも一部の種類の複写制限画像を、前記画像データを分割してなる複数の分割領域のそれぞれに一種類ずつ埋め込んで前記形成対象画像を生成する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記生成手段は、前記少なくとも一部の種類の複写制限画像のそれぞれを検出対象とする複写装置の数に応じて、当該複写制限画像を埋め込む前記分割領域の面積を決定する
ことを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記生成手段は、前記少なくとも一部の種類の複写制限画像のそれぞれを検出対象とする複写装置の数に応じて、当該複写制限画像を埋め込む前記分割領域の位置を決定する
ことを特徴とする請求項5又は6記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記生成手段は、前記少なくとも一部の種類の複写制限画像のうち、当該複写制限画像を検出対象とする複写装置の数が多い複写制限画像を、前記画像データの中央に近い分割領域に埋め込む
ことを特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記生成手段は、前記情報取得手段が取得した複数種類の情報に対応する複数種類の複写制限画像のうち、少なくとも一種類の複写制限画像の平均濃度を、他の種類の複写制限画像の平均濃度に応じて変化させてから、前記画像データに埋め込む
ことを特徴とする請求項5から8のいずれか一項記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記生成手段は、前記少なくとも1種類の複写制限画像が、単位画像を予め定められた規則で配列して構成されるものである場合、当該単位画像の大きさを変化させることを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記生成手段は、前記少なくとも1種類の複写制限画像が、複数の単位画像を予め定められた規則で配列して構成されるものである場合、当該単位画像間の間隔を変化させることを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項12】
画像処理装置と記憶装置とを含み、
前記記憶装置は、
複写対象画像に埋め込まれ、複写装置に検出されることで当該複写対象画像の複写を制限する複写制限画像を示す情報を、互いに異なる種類の複写制限画像を検出対象とする互いに異なる種類の複写装置のそれぞれに対応させて複数種類記憶し、
前記画像処理装置は、
処理対象となる画像データ及び出力先の複写装置の指定を受け付ける受付手段と、
前記記憶装置に対して問い合わせを行う問合せ手段と、
前記問合せ手段による問い合わせの結果、前記記憶装置に、前記受付手段によって指定を受け付けた出力先の複写装置に対応する複写制限画像とは異なる種類の複写制限画像に関する情報が記憶されている場合に、前記記憶装置から、前記出力先の複写装置に対応する複写制限画像に関する情報と、当該異なる種類の複写制限画像に関する情報と、を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段が取得した情報に対応する複数種類の複写制限画像のそれぞれを前記処理対象となる画像データに埋め込んで、形成対象画像を生成する生成手段と、
前記生成手段が生成した形成対象画像を前記出力先の複写装置に出力する出力手段と、
を含むことを特徴とする画像処理システム。
【請求項13】
処理対象となる画像データを受け付ける受付手段、
複写対象画像に埋め込まれ、複写装置に検出されることで当該複写対象画像の複写を制限する複写制限画像を示す情報を、互いに異なる種類の複写制限画像を検出対象とする互いに異なる種類の複写装置に応じて複数種類取得する情報取得手段、
前記情報取得手段が取得した情報に対応する複数種類の複写制限画像のそれぞれを前記受付手段が受け付けた画像データに埋め込んで、形成対象画像を生成する生成手段、及び
前記生成手段が生成した形成対象画像を出力する出力手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項14】
複写対象画像に埋め込まれ、複写装置に検出されることで当該複写対象画像の複写を制限する複写制限画像であって、互いに異なる種類の複写制限画像を検出対象とする互いに異なる種類の複写装置に応じた複数種類の複写制限画像のそれぞれを、一つの画像データに埋め込んでなる形成対象画像が形成された画像形成媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−176401(P2011−176401A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36985(P2010−36985)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】