説明

画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラム

【課題】画像の編集加工機能を利用して不正に特殊原稿が出力されることを防止すると共に、特殊原稿の塗り潰し処理の遅延による生産性の低下を防止できるようにする。
【解決手段】入力画像データをHDD20に蓄積する前に、画像データが特殊原稿か否かを検知する第1の特殊原稿検知手段と、画像データを加工処理する第1の画像加工処理手段とを含む第1の画像データ処理装置12と、HDD20から読み出した画像データが特殊原稿か否かを検知する第2の特殊原稿検知手段と、画像データを加工処理する第2の画像加工処理手段とを含む第2の画像データ処理装置18と、画像データの加工処理条件を指定する操作表示装置32と、HDD20に蓄積された画像データを第2の画像加工処理手段で加工処理すると特殊原稿となる可能性がある場合の加工処理条件を蓄積するHDD20と、塗り潰し処理を行う塗り潰し手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を蓄積する前後で画像処理を行う画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の画像処理装置には、画像を装置内のメモリ等に蓄積する際に、蓄積前の画像と蓄積後の画像に対して、それぞれ編集加工を行えるものが登場してきている。この種の画像処理装置は、蓄積した画像に対して再度編集加工等を行い、画像を出力することができるという付加価値を提供することができる。
【0003】
また、例えば特許文献1には、様々なデバイスからの入力画像データに対して、紙幣・有価証券等の特殊原稿の画像の特徴を検出するプログラムを実行して判定を行い、特殊原稿と判定すると、特殊原稿の画像データを出力できないようにする技術が開示されている。
【0004】
そこで、蓄積の前後で画像データを編集加工できる画像処理装置に対して、上記特許文献1の技術を適用した場合は、様々な入力機器から入力される画像データを蓄積する前に、不正利用を防止する目的で特殊原稿か否かを判定してから画像を蓄積する必要があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の画像処理装置において、画像データを蓄積する前後で編集加工できるとすると、蓄積前の入力画像データに編集加工が施されることにより特殊原稿と判定することができない。また、蓄積後の出力画像データは、そのままでは特殊原稿と判定されないが、蓄積後の出力画像データに対して編集加工を施すことにより、最終的な完成画像として特殊原稿に相当する画像が作成できてしまうという問題があった。
【0006】
このような画像処理装置の場合は、画像の蓄積の前後で行われる編集加工が一定の可逆性を持っていて、編集加工が自在に設定できるという構成上のメリットにより、その可逆性を悪用した場合の問題点が指摘されている。そこで、画像処理装置における蓄積後の特殊原稿の検知は、画像の加工処理後に行うようにすれば良いとも考えられるが、偽造を防止するための塗り潰し等の書き込み処理がさらに遅延するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、画像の編集加工機能を利用して不正に特殊原稿が出力されることを防止すると共に、特殊原稿の塗り潰し処理の遅延による生産性の低下を防止することができる画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、入力された画像データを蓄積する蓄積手段と、前記蓄積手段に蓄積される前の画像データが特殊原稿であるか否かを検知する第1の特殊原稿検知手段と、前記蓄積手段に蓄積される前の画像データを加工処理する第1の画像加工処理手段と、前記蓄積手段から読み出された画像データが特殊原稿であるか否かを検知する第2の特殊原稿検知手段と、前記蓄積手段から読み出された画像データを加工処理する第2の画像加工処理手段と、前記第1の画像加工処理手段と前記第2の画像加工処理手段との少なくとも一方に対して画像データの加工処理条件を指定する操作手段と、前記蓄積手段に蓄積された画像データを、蓄積後に前記第2の画像加工処理手段が加工処理すると特殊原稿となる可能性がある場合の加工処理条件を蓄積する加工処理条件蓄積手段と、前記画像データが特殊原稿と検知されると画像の塗り潰し処理を行う塗り潰し手段と、を備え、前記操作手段から前記第2の画像加工処理手段に対して指定した蓄積後の加工処理条件が、前記加工処理条件蓄積手段に蓄積された加工処理条件と一致すると、前記第2の特殊原稿検知手段により検知を行い、前記第1の特殊原稿検知手段と前記第2の特殊原稿検知手段のいずれか一方で特殊原稿であることが検知されると、前記塗り潰し手段により画像を塗り潰すことを特徴とする。
【0009】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、画像処理装置で実行される画像処理方法であって、前記画像処理装置は、蓄積手段と、第1の特殊原稿検知手段と、第1の画像加工処理手段と、第2の特殊原稿検知手段と、第2の画像加工処理手段と、操作手段と、加工処理条件蓄積手段と、塗り潰し手段とを備え、前記蓄積手段は、入力された画像データを蓄積する工程と、前記第1の特殊原稿検知手段は、蓄積前の画像データが特殊原稿であるか否かを検知する工程と、前記第1の画像加工処理手段は、蓄積前の画像データを加工処理する工程と、前記第2の特殊原稿検知手段は、蓄積後の画像データが特殊原稿であるか否かを検知する工程と、前記第2の画像加工処理手段は、蓄積後の画像データを加工処理する工程と、前記操作手段は、前記第1の画像加工処理手段と前記第2の画像加工処理手段との少なくとも一方に対して画像データの加工処理条件を指定する工程と、前記加工処理条件蓄積手段は、前記蓄積手段に蓄積された画像データを、蓄積後に前記第2の画像加工処理手段が加工処理すると特殊原稿となる可能性がある場合の加工処理条件を蓄積する工程と、前記塗り潰し手段は、前記画像データが特殊原稿と検知されると画像の塗り潰し処理を行う工程と、を含み、前記操作手段から前記第2の画像加工処理手段に対して指定した蓄積後の加工処理条件が、前記加工処理条件蓄積手段に蓄積された加工処理条件と一致すると、前記第2の特殊原稿検知手段により検知を行い、前記第1の特殊原稿検知手段と前記第2の特殊原稿検知手段のいずれか一方で特殊原稿であることが検知されると、前記塗り潰し手段により画像を塗り潰すことを特徴とする。
【0010】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、画像処理装置に搭載される画像処理プログラムであって、コンピュータを、入力された画像データを蓄積する蓄積手段と、前記蓄積手段に蓄積される前の画像データが特殊原稿であるか否かを検知する第1の特殊原稿検知手段と、前記蓄積手段に蓄積される前の画像データを加工処理する第1の画像加工処理手段と、前記蓄積手段から読み出された画像データが特殊原稿であるか否かを検知する第2の特殊原稿検知手段と、前記蓄積手段から読み出された画像データを加工処理する第2の画像加工処理手段と、前記第1の画像加工処理手段と前記第2の画像加工処理手段との少なくとも一方に対して画像データの加工処理条件を指定する操作手段と、前記蓄積手段に蓄積された画像データを、蓄積後に前記第2の画像加工処理手段が加工処理すると特殊原稿となる可能性がある場合の加工処理条件を蓄積する加工処理条件蓄積手段と、前記画像データが特殊原稿と検知されると画像の塗り潰し処理を行う塗り潰し手段として機能させ、前記操作手段から前記第2の画像加工処理手段に対して指定した蓄積後の加工処理条件が、前記加工処理条件蓄積手段に蓄積された加工処理条件と一致すると、前記第2の特殊原稿検知手段により検知を行い、前記第1の特殊原稿検知手段と前記第2の特殊原稿検知手段のいずれか一方で特殊原稿であることが検知されると、前記塗り潰し手段により画像を塗り潰すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1の特殊原稿検知手段により蓄積前の画像データが特殊原稿であるか否かを検知する。蓄積後の画像データを加工処理すると特殊原稿となる可能性がある場合は、その加工処理条件を蓄積し、第2の画像加工処理手段に対して指定された蓄積後の画像データの加工処理条件が蓄積された加工処理条件と一致すると、第2の特殊原稿検知手段により画像データが特殊原稿であるか否かを検知する。第1の特殊原稿検知手段と第2の特殊原稿検知手段のいずれか一方で画像データが特殊原稿であると検知されると、塗り潰し手段により画像データの塗り潰し処理が行われる。これにより、画像データの加工処理機能を利用して不正に特殊原稿が出力されるのを防止すると共に、特殊原稿の塗り潰し処理の遅延による生産性の低下を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、第1の実施の形態に係る画像処理装置の全体構成図である。
【図2】図2は、図1の第1の画像データ処理装置の構成ブロック図である。
【図3】図3は、図1の第2の画像データ処理装置の構成ブロック図である。
【図4】図4は、第1の実施の形態に係る動作を説明するフローチャートである。
【図5】図5は、第2の実施の形態に係る彩度調整テーブルの設定例を示す図である。
【図6】図6は、第3の実施の形態に係る原稿の濃淡特性変換例を示す線図である。
【図7】図7は、第3の実施の形態に係るコントラスト調整テーブルの設定例を示す図である。
【図8】図8は、第3の実施の形態に係るコントラスト調整テーブルの別の設定例を示す図である。
【図9】図9は、第3の実施の形態に係るコントラスト調整テーブルのさらに別の設定例を示す図である。
【図10】図10は、第5の実施の形態に係る第2の画像データ処理装置の構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本発明にかかる画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る画像処理装置の全体構成図である。なお、本実施の形態では、本発明における画像処理装置を、コピー、ファックス、プリンタなどの複数の機能を一つの筐体に収納したデジタル画像処理装置(MFP:Multi Function Peripherals)に適用した例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、複写機、ファクシミリ装置、スキャナ装置などスキャナ機能を備えた装置であれば、いずれの装置にも本発明における画像処理装置を適用することができる。
【0015】
画像処理装置100は、図1に示すように、読取り装置10と、第1の画像データ処理装置12と、メモリ14と、バス制御装置16と、第2の画像データ処理装置18と、蓄積手段および加工処理条件蓄積手段としてのHDD20と、CPU22と、プロッタI/F装置24と、プロッタ装置26と、S.B.28と、ROM30と、操作手段としての操作表示装置32と、回線I/F装置34と、外部I/F装置36とを備え、汎用規格の拡張バス38を介して接続されている。
【0016】
読取り装置10は、原稿をスキャンして得られる原稿の濃淡情報に基づいて、RGB各8ビットのデジタル画像データを生成し、第1の画像データ処理装置12に出力する。
【0017】
第1の画像データ処理装置12は、読取り装置10、外部I/F装置36、メモリ14を通じたPC52からのデジタル画像データ、あるいは外部メディア54からのデジタル画像データに対して、後述する画像処理を施してバス制御装置16に出力する。
【0018】
バス制御装置16は、本画像処理装置100内で必要な画像データや制御コマンド等の各種データをやり取りする。
【0019】
第2の画像データ処理装置18は、第1の画像データ処理装置12で処理されたデジタル画像データに対して、後述する画像処理を施してバス制御装置16に出力する。
【0020】
HDD20は、蓄積手段および加工処理条件蓄積手段として、各部で処理されたデジタル画像データ、およびそのデジタル画像データの付帯情報等を蓄積する記憶装置である。
【0021】
CPU22は、ROM30に格納されたプログラムに従って、本画像処理装置100の制御全体を司るマイクロプロセッサである。
【0022】
メモリ14は、CPU22が本画像処理装置100の制御を行う際に、プログラムや中間処理データを一時的に記憶するためなどに使用される揮発性メモリである。
【0023】
プロッタI/F装置24は、CPU22から送られてくるCMYKのデジタル画像データを受け取って、プロッタ装置26の専用I/Fに出力する。
【0024】
プロッタ装置26は、CMYKのデジタル画像データを受け取ると、レーザービームを用いた電子写真プロセスなどにより、転写紙に印字出力する。
【0025】
S.B.28は、South Bridgeと呼ばれるバスのブリッジ機能を汎用回路化したものである。
【0026】
ROM30は、CPU22が画像処理装置100の制御を行う際のプログラムを格納するメモリである。
【0027】
操作表示装置32は、本画像処理装置100のユーザインターフェースであり、LCD(液晶表示装置)とキースイッチ等から構成され、装置の各種状態や操作方法をLCDに表示し、ユーザからのキースイッチ入力を検知する。
【0028】
また、本画像処理装置(MFP)100は、装置外にあるFAX50と、電話回線および回線I/F装置34を介して、画像データの授受を行う。
【0029】
さらに、本画像処理装置100は、装置外にあるPC52やSDカード等の外部メディア54、イーサネット(登録商標)等のネットワーク、および外部I/F装置36を介して、各種制御や画像データの入出力を行う。
【0030】
図2は、図1の第1の画像データ処理装置の構成ブロック図である。第1の画像データ処理装置12は、図2に示すように、蓄積前の画像データを加工処理する第1の画像加工処理手段としての第1の画像加工処理部120と、蓄積前の画像データが特殊原稿か否かを検知する第1の特殊原稿検知手段としての第1の特殊原稿検知部127とを備えている。
【0031】
第1の画像加工処理部120は、図2に示すように、スキャナγ変換部121、変倍処理部122、フィルタ処理部123、色補正部124、階調補正部125、および圧縮処理部126などを備えている。
【0032】
スキャナγ変換部121は、RGB各8ビットの読取り画像データに対してγ変換を行って、反射率リニアから濃度リニアへ階調特性を変換するものである。
【0033】
変倍処理部122は、操作表示装置32で指定された解像度に基づいて変倍処理を行うものである。
【0034】
フィルタ処理部123は、文字部の強調や、絵柄部の平滑化などの任意のフィルタ処理を行うものである。
【0035】
色補正部124は、フィルタ処理部123から得たRGB画像データに対して、例えばAdobeRGB、sRGB等のデバイス非依存の色空間へ変換を行うものである。
【0036】
階調補正部125は、色補正部124によって補正されたRGB画像データに対して、出力特性を変更するものである。例えば、階調補正部125は、操作表示装置32からコントラストを高くする処理の指示があると、入力階調に対して出力階調の階調変化量が多くなるように画像データを補正する。
【0037】
圧縮処理部126は、操作表示装置32などで指定された解像度に従って、RGBデータを圧縮処理する。圧縮処理は、公知の方法でデータ圧縮を行い、RGB画像データとしてHDD20に蓄積される。
【0038】
第1の特殊原稿検知部127は、紙幣や証券といった偽造が違法にあたる特殊原稿を検知する箇所である。例えば、第1の特殊原稿検知部127は、特殊原稿を検知すると、階調補正部125に対して当該画像を塗り潰すような階調補正を指示する。
【0039】
図3は、図1の第2の画像データ処理装置の構成ブロック図である。第2の画像データ処理装置18は、図3に示すように、蓄積後の画像データを加工処理する第2の画像加工処理手段としての第2の画像加工処理部180と、蓄積後の画像データが特殊原稿か否かを検知する第2の特殊原稿検知手段としての第2の特殊原稿検知部188とを備えている。
【0040】
第2の画像加工処理部180は、図3に示すように、反転処理部181、変倍処理部182、フィルタ処理部183、色補正部184、階調補正部185、諧調処理部186、および圧縮処理部187などを備えている。
【0041】
反転処理部181は、操作表示装置32で反転の指定があった場合は、画像の反転処理を行うものである。
【0042】
変倍処理部182は、操作表示装置32で指定された解像度に対応した変倍処理を行うものである。
【0043】
フィルタ処理部183は、文字部の強調、あるいは絵柄部を平滑化するといった任意のフィルタ処理を行うものである。
【0044】
色補正部184は、フィルタ処理部183から得たRGB画像データに対して色空間の変換を行うものである。これは、出力色空間に応じて色空間に変換するもので、例えば、紙出力目的であれば出力プロッタに応じたCMYKデータに変換し、配信目的であれば出力先のモニタの色空間(sRGB、AdobeRGB)等に変換することができる。
【0045】
階調補正部185は、色補正部184によって補正された画像データに対して、出力特性を変更するものである。例えば、階調補正部185は、操作表示装置32からコントラストを高くする処理の指示があると、入力階調に対して出力階調の階調変化量が多くなるように画像データを補正する。
【0046】
階調処理部186は、出力条件に従ってベタ画像をディザ法や誤差拡散法などのスクリーン処理を行うものである。
【0047】
圧縮処理部187は、操作表示装置32等で指定された解像度に従ってCMYKデータを圧縮処理するものである。圧縮処理は、公知の方法で圧縮を行い、CMYK画像データとしてHDD20に蓄積される。
【0048】
第2の特殊原稿検知部188は、反転処理後の画像データに対して特殊原稿の検知を行うものである。第2の特殊原稿検知部188は、紙幣や証券といった偽造が違法にあたる特殊原稿を検知する箇所であり、特殊原稿を検知すると、CPU22を介してプロッタI/F装置24へ塗り潰すための書き込みを指示する。
【0049】
第1の実施の形態では、以上のように構成されており、HDD20の物理交換等による不正な画像データの蓄積に対しても特殊原稿の検知処理を行うことができる。
【0050】
次に、上記した第1の画像データ処理装置12による蓄積前処理と、第2の画像データ処理装置18による蓄積後処理の制御動作について説明する。
【0051】
図4は、第1の実施の形態に係る動作を説明するフローチャートである。図4に示すように、画像データをHDD(蓄積手段)20に蓄積するユースケースとしては、以下のイ〜ニの例を考えることができる。
イ.読取り装置10からの画像データを蓄積するケース。
ロ.PC52からの入力データを蓄積するケース。
ハ.外部メディア54からの入力データを蓄積するケース。
ニ.その他の手法により蓄積するケース。(例えば、HDDの交換による不正な蓄積を行うケース、あるいは、蓄積データを電気的に強制変換することにより改ざんして蓄積するケースなどがある。)
【0052】
図4では、蓄積する画像データの入力元が上記いずれかのユースケースに該当するかを判断する(ステップS100)。上記イ.のケースでは、読取り装置10からの入力画像データに対して、図2に示す第1の画像データ処理装置12の第1の特殊原稿検知部127にて、入力画像データが特殊原稿か否かを検知する(図4のステップS102)。イ.のケースでは、読取り装置10から入力画像データが直接入力されるため、事前に加工処理される可能性が無いことから、第1の特殊原稿検知部127で特殊原稿か否かを検知するだけで良い。このため、第2の画像データ処理装置18を動作させる必要が無くなる。第1の特殊原稿検知部127は、後述する特殊原稿の検知処理を行い、紙幣や証券といった偽造が違法にあたる特殊原稿の場合(ステップS104でYes)、階調補正部125に対して当該画像を塗り潰すように階調補正を指示する(ステップS106)。また、第1の特殊原稿検知部127は、特殊原稿でないと判断すると(ステップS104でNo)、画像データを第1の画像加工処理部120で加工処理して、HDD20に蓄積する(ステップS108)。
【0053】
上記ロ.のケースでは、PC52からの入力画像データに対して、上記イ.のケースと同様に第1の特殊原稿検知部127にて、入力画像データが特殊原稿か否かを検知する(ステップS110)。ただし、入力特性が異なるので、検知基準は必ずしもイ.のケースと同じということではなく、任意に決めてよい。上記ロ.のケースでは、PC52からの画像データを入力するが、入力前の画像データが既に加工処理されている可能性も考えられるため、第1の特殊原稿検知部127で検知動作を行うだけでは足りず、第2の画像データ処理装置18の第2の特殊原稿検知部188を動作させるように制御をする。つまり、第1の画像データ処理装置12のパスを通った場合は、最後段の処理である圧縮処理部126で画像データを圧縮すると共に、画像ヘッダにパスを通過した履歴等を残しておき、第2の画像データ処理装置18の第2の特殊原稿検知部188を動作させるように制御する。
【0054】
ロ.のケースでは、第1の特殊原稿検知部127は、後述する特殊原稿の検知処理を行い(ステップS110)、紙幣や証券といった偽造が違法にあたる特殊原稿の場合(ステップS112でYes)、階調補正部125に対して当該画像を塗り潰すように階調補正を指示する(ステップS114)。また、第1の特殊原稿検知部127は、特殊原稿でないと判断しても(ステップS112でNo)、蓄積後の加工処理によって特殊原稿となる可能性の有無を判定する(ステップS116)。特殊原稿となる可能性がある場合は、その加工処理条件を画像データと共にHDD20に蓄積する(ステップS118、120)。蓄積後の画像データの処理動作については、後述する。
【0055】
また、上記ハ.のケースは、上記ロ.のケースと同様であるので、ステップS110〜ステップS120までの動作説明を省略する。ただし、第1の特殊原稿検知部127にて、入力画像データが特殊原稿か否かを検知する場合に、入力特性が異なるので、検知基準は必ずしも上記のイ.やロ.と同じということではなく、例えば、画像データのexif情報等を参照し、入力元を把握した上で任意に決めてよい。上記ハ.のケースでは、外部メディア54からの画像データを入力するが、外部メディア54に蓄積されている画像データが既に加工処理されている可能性も考えられるため、第1の特殊原稿検知部127で検知動作を行うだけでは足りず、第2の画像データ処理装置18の第2の特殊原稿検知部188を動作させるように制御をする。つまり、第1の画像データ処理装置12のパスを通った場合は、最後段の処理である圧縮処理部126で画像データを圧縮すると共に、画像ヘッダにパスを通過した履歴等を残しておき、第2の画像データ処理装置18の第2の特殊原稿検知部188を動作させるように制御する。
【0056】
上記ニ.のケースでは、第1の画像データ処理装置12のパスを通らない不正な蓄積データであるため、第2の画像データ処理装置18の第2の特殊原稿検知部188にて特殊原稿か否かを検知する。ここで、不正な蓄積データか否かの判断は、第1の画像データ処理装置12のパスを通ると、最後段の処理である圧縮処理部126で画像データを圧縮すると共に、画像ヘッダにパスを通過した履歴を残すため(ステップS136)、画像ヘッダにパスを通過した履歴が残っていなければ不正な蓄積データと判断し(ステップS138)、第2の画像データ処理装置18の第2の特殊原稿検知部188を動作させるように制御する。また、画像ヘッダにパスを通過した履歴が残っている場合は、適正な蓄積データとして処理される(ステップS140)。
【0057】
通常動作においては以上のような動作が行われる。上記ロ.とハ.とニ.のケースでは、蓄積された画像データを第2の画像データ処理装置18の第2の画像加工処理部180によって加工処理すると特殊原稿となりうる場合、第2の特殊原稿検知部188において特殊原稿と検知する。この第2の特殊原稿検知部188における特殊原稿検知については、後述する(ステップS126〜S130)。
【0058】
蓄積前に画像データを加工処理する場合の個別動作は、上記イ.とロ.とハ.のケースが対象となる。上記ニ.のケースは、蓄積データに変更が加えられる場合であるので、蓄積前の画像データの加工処理は意味がなくなる。そこで、蓄積前の画像データの各加工処理についてユースケース毎に記載する。特殊原稿の特性を変化させ、特殊原稿検知に対する影響が想定される加工処理としては、以下の1〜4等をあげることができる。
1.変倍処理
2.色加工処理(彩度調整、カラーバランス調整等)
3.γ変換処理(コントラスト調整等)
4.反転処理
【0059】
ユーザは、操作表示装置32を使って画像データの加工処理条件を指定すると、加工処理条件によって第1の特殊原稿検知部127の動作が変わる(ステップS102、S110)。まず、上記1.の変倍処理については、例えば特殊原稿に該当しない大きいサイズの画像を入力画像データとして蓄積前に縮小し、蓄積後に拡大することで最終画像として特殊原稿に該当するサイズを再現する場合などが考えられる。より具体的には、特殊原稿の縦×横のサイズをA×Bとする。変倍処理では、縦A、横Bのそれぞれの長さに対して指定の倍率で変倍されるが、ここでは縦方向のA一辺の変倍過程を例に示し、横方向のBは同様な演算過程となるので説明を省略する。
【0060】
まず、特殊原稿をとある倍率で変倍した画像は、Aに対して縮小あるいは拡大したものであるから、Aの画像の長さに対していくらか長いか短くなったものとすることができ、ここではその長さをLとする。上記したように、入力画像データを蓄積前に縮小し、蓄積後に拡大する場合は、入力画像データ内にある特殊原稿部分の長さはLとなり、蓄積前加工で縮小率β(β<1)が指定されると、その長さはL×βとなる。蓄積後加工では、拡大率δ(δ>1)によって拡大されたときに、A=L×β×δとなるものが特殊原稿の長さに該当する。
【0061】
また、スキャナなどの読取り装置10、PC52、あるいはSDカードなどの外部メディア54からの入力画像データに対して、蓄積前に縮小指定がなされた場合は、変倍処理部122によって縮小される縮小画像に対して、第1の特殊原稿検知部127により特殊原稿の検知が行われる(ステップS102、S110)。第1の特殊原稿検知部127は、変倍処理の影響を見ており、蓄積前時点では下記(1)式に該当する画像かどうかを確認している。つまり、蓄積前の加工処理の時点で特殊原稿のサイズに該当するか否かを確認している。
A=L×β・・・・(1)
第1の特殊原稿検知部127は、上記(1)式に該当すると判断すると、その他の特殊原稿検知処理を行って、特殊原稿であると検知すると(ステップS104、S112でYes)、階調補正部125に対して入力画像データをベタ画像にする塗り潰し処理を行わせる(ステップS106、S114)。
【0062】
また、上記PC52、あるいはSDカードなどの外部メディア54からの入力画像データの場合、第1の特殊原稿検知部127は、上記(1)式に該当しないと判断すると(ステップS112でNo)、蓄積後の第2の画像加工処理部180の変倍処理部182において、A=L×β×δとなる拡大率δが指定されると特殊原稿サイズに該当する可能性があるため(ステップS116でYes)、このδの値を保存する(ステップS118)。このとき、第1の特殊原稿検知部127では、第1の画像加工処理部120の変倍処理部122で入力画像データに対して再度δの倍率で変倍処理を行い、その画像に対して特殊原稿のパターンと照合することにより、特殊原稿の可能性の有無を判断する。その結果、特殊原稿の可能性が無い場合は(ステップS116でNo)、そのまま加工処理された画像データをHDD20に蓄積する(ステップS120)。特殊原稿の可能性がある場合は(ステップS116でYes)、δの値を蓄積情報として画像データとともにHDD20に蓄積する(ステップS118、S120)。なお、スキャナなどの読取り装置10からの入力画像データの場合は、画像データが直接入力されて事前に加工処理される可能性が無いため、第1の特殊原稿検知部127で特殊原稿か否かを検知するだけで良く、第2の画像加工処理部180における加工処理条件(δ値など)を蓄積情報として画像データとともにHDD20に蓄積する必要はない。
【0063】
次に、蓄積後の画像データの処理について説明する。第2の特殊原稿検知部188は、蓄積後の出力指定時に変倍処理が指定されていないと(ステップS122でNo)、特殊原稿検知を行わないが、変倍処理が指定され(ステップS122でYes)、その拡大率が上記保存したδであれば(ステップS124でYes)、蓄積前に検知した変倍に関する画像の特徴を検知する工程を省いた特殊原稿の検知を行う(ステップS126)。第2の特殊原稿検知部188は、特殊原稿と検知すると(ステップS128でYes)、図1に示すプロッタI/F装置24に対して出力禁止処理としての塗り潰し処理を行うように指示する(ステップS130)。また、第2の特殊原稿検知部188は、蓄積後の出力指定時に変倍処理が指定されているが、その拡大率が上記保存したδ以外の値の場合(ステップS124でNo)、通常の特殊原稿検知を行わない。
【0064】
このように、本第1の実施の形態では、蓄積前後の変倍処理を利用した特殊原稿の偽造を防止することができると共に、蓄積後の画像データの加工処理前でも特殊原稿と検知すると、直ちに塗り潰し処理を行うため、塗り潰し遅延による生産性の低下を抑制することができる。
【0065】
なお、本実施の形態の画像処理装置100で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。また本実施の形態の画像処理装置100で実行されるプログラムを、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0066】
また、本実施の形態の画像処理装置100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態の画像処理装置100で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0067】
また、本実施の形態の画像処理装置100で実行されるプログラムは、上述した各部(スキャナγ変換部、変倍処理部、フィルタ処理部、色補正部、階調補正部、圧縮処理部、第1の特殊原稿検知部、反転処理部、階調処理部等)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)22が上記ROM30からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、スキャナγ変換部、変倍処理部、フィルタ処理部、色補正部、階調補正部、圧縮処理部、第1の特殊原稿検知部、反転処理部、階調処理部等が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0068】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態と同様に、蓄積前に画像データを加工処理する場合の個別動作において、上記イ.とロ.とハ.のユースケースが対象となる。基本的な動作については、上記第1の実施の形態のとおりであるが、第2の実施の形態では、ユーザが蓄積前の画像データの加工処理条件のうち、上記2.の色加工処理を指定した場合である。問題となる色加工処理の動作とは、例えば色相環の対象性を利用して、通常の特殊原稿の色彩的特徴からずらした入力画像データを蓄積前後で色彩的加工処理を施し、最終的に特殊原稿に相当する色再現を実現させる場合である。
【0069】
まず、色加工処理は、図2に示す第1の画像加工処理部120の色補正部124で行われる。この色補正部124の色加工処理の概要を以下説明する。例えば、特殊原稿の入力画像データのRGBをAR,AG,ABとすると、変倍処理と同様に色加工時におけるiR,iG,iBのデータは、次式(2)に示すように、oR,oG,oBに変換される。
【数1】

上記(2)式は、一般に色空間の変換等に用いられる線形色変換マスキング係数であり、特定の色から色へのマッピングを示している。このマッピング基準は、様々な色変換ポリシーの元で作成され、例えば色相毎に分割して各色相(hue)に応じて設定されるものがある。上記(2)式の場合は、説明を簡略化するため、{hue:R,G,B,C,M,Y}の単純な6色相のモデルとする。この場合、マスキング係数は9×6=54個の各変換係数を持っており、色加工を行った場合は、対称の色に該当する色相のマスキング係数が調整されることになる。
【0070】
具体例としては、彩度調整時には高彩度にすれば全色相のマスキング係数はデフォルトに対して大きくなり、低彩度の場合は逆に小さくなる。カラーバランス調整時には、R版を濃くした場合hue=Rのマスキング係数が大きくなる。色相調整では色相付近の色相に該当する色相のマスキング係数が変更される。R色相をマゼンタよりにずらした場合は、hue=Rとhue=Mのマスキング係数が調整され、R色相の色がマゼンタ側の色に近くなるような色変換係数が設定される。以上が色加工調整機能の概要である。
【0071】
また、別の具体例としては、彩度調整を用いて全体の彩度を低彩度にして蓄積し、蓄積後の彩度調整において高彩度にすることが考えられる。このときの変換係数は、次式(3)に示すように、入力データ群aRaGaBに対して出力データ群oRoGoBは、全体が低彩度になるのでa1‘hue<a1hueというようになる。
【数2】

そして、上記した変倍処理の場合と同様に、下記(4)式を満たすか否かを確認する。
oR,oG,oB≒AR,AG,AB・・・(4)
第1の特殊原稿検知部127は、上記(4)式に該当すると確認されると、その他の特殊原稿検知処理を行い、特殊原稿であることを検知すると(ステップS102、S112でYes)、階調補正部125に対して入力画像データをベタ画像にする塗り潰し処理を行わせる(ステップS106、S114)。
【0072】
上記(4)式に該当しない場合は(ステップS112でNo)、蓄積後の第2の画像加工処理部180の色補正部184において、彩度補正をどの程度行った場合に画像データのRGB値がAR,AG,AB値の値に近似されるかどうかを確認する。下記(5)式の関係にあるマスキング係数は一意に定義することができる。
【数3】

このため、下記(6)式のようになり、
【数4】

蓄積後の彩度調整の設定値を上記マスキング係数の値から導くことができる。これは、とある彩度調整による設定により、マスキング係数値を下記(7)式のように書くことができる。
【数5】

このとき、下記(8)式となる設定値があるか否かを確認することを指す。
A’’’,B’’’,C’’’≒A’’,B’’,C’’・・・(8)
【0073】
図5は、第2の実施の形態に係る彩度調整テーブルの設定例を示す図である。本第2の実施の形態では、操作表示装置32の表示部上に図5のような彩度調整テーブルが表示され、表示部の中心に■をマークしたデフォルト設定に対して、低高彩度のそれぞれ3段階ずつ計7段階が設定できるとすると、マスキング係数は各彩度調整毎に7種類定義することができるため、それらと比較する。以上のような設定環境において、画像データの蓄積後、どのように設定された場合にAR,AG,ABと近似するかを蓄積画像データと共にHDD20に保存する。
【0074】
図2に示す第1の画像加工処理部120の色補正部124では、蓄積前の画像データに対して再度、上記過程によって算出された彩度調整の調整値を適用して、その画像データに対して第1の特殊原稿検知部127によって特殊原稿の色彩パターンと照合することにより、特殊原稿の可能性があるかどうかを判断する。その結果、特殊原稿の可能性が無い場合は(ステップS116でNo)、そのまま操作表示装置32の設定に従って加工された画像データをHDD20に蓄積する(ステップS120)。特殊原稿の可能性がある場合は(ステップS116でYes)、彩度調整の設定値と色彩に関する画像特徴が特殊原稿であるという判断結果を蓄積情報として画像データとともにHDD20に蓄積する(ステップS118、S120)。
【0075】
次に、画像データの蓄積後処理について説明する。蓄積後の出力指定時に彩度調整が指定されなければ(ステップS122でNo)、第2の特殊原稿検知部188は特殊原稿の検知処理を行わない。しかし、第2の特殊原稿検知部188は、蓄積後の出力指定時に彩度調整が指定され(ステップS122でYes)、その調整設定が保存された設定値であれば(ステップS124でYes)、蓄積前処理部で検知した色彩に関する画像の特徴を検知する工程を省いた特殊原稿の検知を行う(ステップS126)。第2の特殊原稿検知部188は、特殊原稿と検知すると(ステップS128でYes)、プロッタI/F装置24に対して出力禁止処理である塗り潰し処理を行うように指示する(ステップS130)。第2の特殊原稿検知部188は、蓄積後の出力指定時に彩度調整が指定され(ステップS122)、その調整設定が保存された設定値以外の値の場合(ステップS124でNo)、通常の特殊原稿検知を行わない。
【0076】
このように、本第2の実施の形態では、蓄積前後の彩度調整を利用した特殊原稿の偽造を防止することができると共に、蓄積後の画像データの加工処理前でも特殊原稿と検知すると、直ちに塗り潰し処理を行うため、塗り潰し遅延による生産性の低下を抑制することができる。なお、上記過程は、彩度調整だけでなく、CMYKの特定の色味を調整するカラーバランス調整、あるいは色相の定義を変える色相調整においても同様の過程を用いることによって、色彩的な加工を利用した特殊原稿の偽造防止と、塗り潰し遅延による生産性の低下を抑制することができる。
【0077】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態は、上記第1の実施の形態と同様に、蓄積前に画像データを加工処理する場合の個別動作において、上記イ.とロ.とハ.のユースケースが対象となる。基本的な動作については、上記第1の実施の形態のとおりであるが、第3の実施の形態では、ユーザが蓄積前の画像データの加工処理条件のうち、上記3.のγ変換処理を指定した場合である。問題となるγ変換処理の動作とは、蓄積前のコントラスト調整によるγ変換処理によって濃淡分布が特殊原稿の特徴に合致しないものとし、蓄積後のγ変換処理を組み合わせることで、最終画像の濃淡分布を特殊原稿の特徴に合致させる場合である。
【0078】
図6は、第3の実施の形態に係る原稿の濃淡特性変換例を示す線図であり、図7は、第3の実施の形態に係るコントラスト調整テーブルの設定例を示す図であり、図8は、第3の実施の形態に係るコントラスト調整テーブルの別の設定例を示す図であり、図9は、第3の実施の形態に係るコントラスト調整テーブルのさらに別の設定例を示す図である。図6において、横軸は、入力画像データのコントラスト値(ここでは、白が「255」で、黒が「0」)であり、縦軸は、γ変換処理後のデータのコントラスト値を示している。
【0079】
コントラスト設定は、図1の操作表示装置32において、図7のように設定することができる。図7の■は、設定値を示している。コントラスト設定は、図2の第1の画像加工処理部120の階調補正部125で行われるγ特性の変換処理であり、その加工処理が指定されると階調補正部125においてγ変換処理が行われる。例えば、特殊原稿の濃淡特性をリニアと定義し、それに対して原稿データは、図6に示すような特性になっているとする。このとき、蓄積前の画像データ加工時に、図8に示すように、図7よりも2段階高いコントラスト設定を行ったときの濃淡特性が、図6における蓄積前加工画像のように変化して蓄積される。同様に、蓄積後の画像データの加工時に、図9に示すように、図7よりも3段階低いコントラスト設定を行ったときの濃淡特性が、図6における蓄積後加工画像のように変化して蓄積される。つまり、蓄積後加工画像の濃淡特性は、特殊原稿の画像特性と同じになり、特殊原稿の濃淡を再現していることがわかる。
【0080】
より具体的には、特殊原稿の濃淡特性(γ特性)をγ_ngとし、操作表示装置32によってコントラスト調整を指定した場合、まず蓄積前加工画像のXをyに変換する変換関数fをy=f(x)として記載すると、原稿の濃淡特性γ_orgが下記(9)式の条件に該当するか否かを確認する。
γ_ng ≒ f(γ_org)・・・・(9)
第1の特殊原稿検知部127は、上記(9)式に該当すると判断すると、その他の特殊原稿の検知処理を行って(ステップS102、S110)、特殊原稿であると検知すると(ステップS104、S112でYes)、階調補正部125に対して入力画像データをベタ画像にする塗り潰し処理を行わせる(ステップS106、S114)。
【0081】
上記(9)式に該当しない場合は(ステップS112でNo)、蓄積後の第2の画像加工処理部180の階調補正部185において、蓄積後加工であるγ変換の変換関数gを同様にy=g(x)とすれば、下記(10)式に示すような変換関数gが存在するどうかを確認する(ステップS116)。
γ_ng ≒ g{f(γ_org)}・・・・(10)
ここでは、原稿の濃淡特性が特殊原稿の特徴に近づく加工設定である変換関数gを抽出するが、変換関数gが存在しない場合は(ステップS116でNo)、特殊原稿の濃淡特性になりえないため、操作表示装置32で指定された変換関数fを施した画像を蓄積する(ステップS120)。また、変換関数gが存在する場合は(ステップS116でYes)、変換関数gを画像データと共にHDD20に蓄積する(ステップS118、S120)。
【0082】
次に、画像データの蓄積後処理について説明する。蓄積後の出力指定時にコントラスト調整が指定されなければ(ステップS122でNo)、第2の特殊原稿検知部188は特殊原稿の検知処理を行わない。しかし、第2の特殊原稿検知部188は、蓄積後の出力指定時にコントラスト調整が指定され(ステップS122でYes)、その設定が変換関数gに該当すれば(ステップS124でYes)、蓄積前処理部で検知した濃淡特性に関する画像の特徴を検知する工程を省いた特殊原稿の検知を行う(ステップS126)。第2の特殊原稿検知部188は、特殊原稿と検知すると(ステップS128でYes)、プロッタI/F装置24に対して出力禁止処理である塗り潰し処理を行うように指示する(ステップS130)。第2の特殊原稿検知部188は、蓄積後の出力指定時にコントラスト調整が指定され(ステップS122でYes)、その設定が変換関数g以外の場合(ステップS124でNo)、通常の特殊原稿検知を行わない。
【0083】
このように、本第3の実施の形態では、蓄積前後のコントラスト調整を利用した特殊原稿の偽造を防止することができると共に、蓄積後の画像データの加工処理前でも特殊原稿と検知すると、直ちに塗り潰し処理を行うため、塗り潰し遅延による生産性の低下を抑制することができる。
【0084】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態は、上記第1の実施の形態と同様に、蓄積前に画像データを加工処理する場合の個別動作において、上記イ.とロ.とハ.のユースケースが対象となる。基本的な動作については、上記第1の実施の形態のとおりであるが、第4の実施の形態では、ユーザが蓄積前の画像データの加工処理条件のうち、上記4.の反転処理を指定した場合である。問題となる反転処理の動作とは、例えば入力画像が、通常、特殊原稿に該当しない濃淡特性や色彩特性であるものを、反転処理した後に特殊原稿が再現される場合である。反転処理は、図2の第1の画像加工処理部120のスキャナγ変換部121で行われる。ユーザが操作表示装置32で反転処理を指定すると、第1の画像データ処理装置12の第1の画像加工処理部120のスキャナγ変換部121は、入力画像データを反転処理する。反転加工が施されると、第1の特殊原稿検知部127は、反転処理された画像データに対して、特殊原稿検知を行う(ステップS102、S110)。ただし、蓄積前加工において、色加工、またはγ変換加工といった画像加工処理が行われた場合は、スキャナγ変換部121では反転処理を行わず、その他の指定された画像加工処理を行った後に階調補正部125によって反転処理を行い、第1の特殊原稿検知部127で特殊原稿検知を行う(ステップS102、S110)。
【0085】
次に、画像データの蓄積後処理について説明する。操作表示装置32から反転処理が指定されると、反転処理部181は、蓄積後の画像データを反転処理する。第2の特殊原稿検知部188は、反転処理後の画像データに対して特殊原稿検知を行う(ステップS126)。
【0086】
上記したように、1.〜4.のユースケースが実際に組み合わせて行われた場合は、それぞれのユースケースを組み合わせた特殊原稿の検知処理を行う。この場合、第1の特殊原稿検知部127の検知は、全ての画像加工指定が終了するタイミングで検知を行うようにする。例えば、(変倍処理+コントラスト調整)の場合は、階調補正部185のγ変換処理が終わった後に特殊原稿検知を行うことになる。
【0087】
このように、本第4の実施の形態では、蓄積前後の反転処理を利用した特殊原稿の偽造を防止することができると共に、蓄積後の画像データの加工処理前でも特殊原稿と検知すると、直ちに塗り潰し処理を行うため、塗り潰し遅延による生産性の低下を抑制することができる。
【0088】
なお、上記第1〜第4の実施の形態では、画像加工条件が指定された場合、特殊原稿の疑いのある加工処理条件全てを、加工処理条件蓄積手段としてのHDD20に予め蓄積している。しかしながら、本発明は、必ずしも全ての加工条件を加工処理条件蓄積手段に対して予め蓄積する必要はなく、ハードウェアの性能等を加味して、特定の画像加工条件が指定された場合にのみ限定して蓄積するようにしてもよい。例えば、本第4の実施の形態では、変倍処理、色加工処理、γ変換処理、反転処理の各条件にしたがって、蓄積する前に事前に蓄積後特殊原稿となる設定を抽出する形式としたが、これを蓄積前に蓄積する設定を色加工処理と反転処理のみに限定するような形式で実施しても良い。
【0089】
(第5の実施の形態)
図10は、第5の実施の形態に係る第2の画像データ処理装置の構成ブロック図である。第5の実施の形態の基本的な動作については、上記第1の実施の形態のとおりであるが、ここでは第2の画像データ処理装置18の構成が図3ではなく、図10のように構成されている点に特徴がある。これは、蓄積前に変倍処理の指定があった場合、変倍処理後の画像データに対してのみ特殊原稿検知を行い、特殊原稿の設定の可能性のある変倍率γの算出は行わず、図10の蓄積後の変倍処理部1820の変倍処理後の画像を用いて第2の特殊原稿検知部1880で検知を行うものである。
【0090】
このように、本第5の実施の形態では、以上のような構成を採用することによって、画像処理モジュールが比較的前段にある変倍モジュールに対して変倍率δを探索する時間を省いて、加工処理が後半にある色補正部や階調補正部についてのみ蓄積前でフォローすることにより、処理付加の責務のバランスをとって、前段の処理付加を削減し、かつ後段の塗り潰しのための書き込み処理に間に合うように構成にしている。
【0091】
また、本第5の実施の形態では、処理モジュール自体を入れ替えることによる仕上がりの画質の劣化を考慮して、画像処理モジュールの各責務順を入れ替えることは想定していない。しかし、本画像処理モジュールの処理順以外の場合においても、同様な思想の元、処理モジュールが画像処理の前半にあるものについては蓄積後の加工処理後に第2の特殊原稿検知部1880で検知し、処理モジュールが後半にあるものについては蓄積前時点でフォローする観点で責務を決定すればよい。
【0092】
このように、本第5の実施の形態では、蓄積前の特殊原稿の検出処理と、蓄積後の特殊原稿の検出処理の処理責務の分散をより最適にすることができる。また、本第5の実施の形態では、蓄積前の特殊原稿の検出処理で色加工に関する処理責務を持ち、蓄積後の特殊原稿の検出処理でその他の加工に対する責務を持つことで、特殊原稿の検出処理の処理責務の分散をより最適にすることができる。さらに、本第5の実施の形態では、蓄積前の特殊原稿の検出処理でγ処理に関する処理責務を持ち、蓄積後の特殊原稿の検出処理でその他の加工に対する責務を持つことで、特殊原稿の検出処理の処理責務の分散をより最適にすることができる。
【0093】
(第6の実施の形態)
第6の実施の形態の基本的な動作については、上記第1の実施の形態のとおりである。変倍処理については、例えば特殊原稿に該当しない大きいサイズの画像を入力画像データとして蓄積前に縮小し、蓄積後に拡大することで最終画像として特殊原稿に該当するサイズを再現する場合などが考えられる。より具体的には、特殊原稿の縦×横のサイズをA×Bとする。変倍処理では、縦A、横Bのそれぞれの長さに対して指定の倍率で変倍されるが、ここでは縦方向のA一辺の変倍過程を例に示し、横方向のBは同様な演算過程となるので説明を省略する。まず、特殊原稿をとある倍率で変倍した画像は、Aに対して縮小あるいは拡大したものであるから、Aの画像の長さに対していくらか長いか短くなったものとすることができ、ここではその長さをLとする。上記したように、入力画像データを蓄積前に縮小し、蓄積後に拡大する場合は、入力画像データ内にある特殊原稿部分の長さはLとなり、蓄積前加工で縮小率β(β<1)が指定されると、その長さはL×βとなる。蓄積後加工では、拡大率δ(δ>1)によって拡大されたときに、A=L×β×δとなるものが特殊原稿の長さに該当する。
【0094】
また、スキャナなどの読取り装置10やSDカードなどの外部メディア54からの入力画像データに対して、蓄積前に縮小指定がなされた場合は、変倍処理部122によって縮小される縮小画像に対して、第1の特殊原稿検知部127により特殊原稿の検知が行われる(ステップS102、S110)。第1の特殊原稿検知部127は、変倍処理の影響を見ており、蓄積前時点では上記(1)式(A=L×β)に該当する画像かどうかを確認している。つまり、蓄積前の加工処理の時点で特殊原稿のサイズに該当するか否かを確認している。第1の特殊原稿検知部127は、上記(1)式に該当すると判断すると、その他の特殊原稿検知処理を行い(ステップS104、S112)、特殊原稿であると検知すると(ステップS104、S112でYes)、階調補正部125に対して入力画像データをベタ画像にする塗り潰し処理を行わせる(ステップS106、S114)。
【0095】
第1の特殊原稿検知部127は、上記(1)式に該当しないと判断すると(ステップS112でNo)、蓄積後の第2の画像加工処理部180の変倍処理部182において、A=L×β×δとなる拡大率δが指定されると特殊原稿サイズに該当する可能性があるため(ステップS116)、このδの値を保存する(ステップS118)。ここまでは、上記第1の実施の形態と同じである。本第6の実施の形態における特徴は、δ値の探索方法にある。つまり、通常δ値を探索する場合は、指定可能な変倍値全てを探索すればよいが、一般的には操作表示装置32によって指定できる変倍率が整数倍などに限定されていることが多いため、上記の探索処理は冗長となる。そこで、第6の実施の形態では、δの条件を下記変換式(11)によって定められる値に限定することができる。
δ=A/(L×β)・・・(11)
これにより、操作表示装置32で指定できる変倍率の集合は、次式(12)のように表すことができる。
{U:u,u,・・・,u:n∈N,(u<u<・・・<u)}・・・(12)
このため、次式(13)において、次式(14)を満たす自然数k,k+1の範囲のみを調べればよいことになる。
,uk+1∈U・・・(13)
≦δ<uk+1・・・(14)
【0096】
一方、上記のようなkが存在しない場合は、変倍率δを設定することができないため、変倍の影響を受ける特殊原稿の再現ができないことになる(ステップS116でNo)。例えば、変倍指定が1%(1/100)〜300%(1×300)で1%刻みに変倍指定できる場合において、δが450%(1×450)相当であったとき、条件を満たすk,k+1は存在しないことになり、MFPの変倍では特殊原稿サイズを再現できないことになる。
【0097】
また、δ値を包含するu,uk+1が存在する場合は、第1の画像加工処理部120の変倍処理部122で画像データに対して再度u,uk+1の倍率で変倍処理を行い、その画像に対して、第1の特殊原稿検知部127により特殊原稿のパターンと照合し、特殊原稿の可能性があるかどうかを判断する(ステップS116)。u,uk+1のいずれも特殊原稿の可能性がある場合は(ステップS116でYes)、両方の変倍設定値を画像データと共にHDD20に蓄積する(ステップS118、S120)。また、いずれか一方のみが特殊原稿の可能性がある場合は、可能性のある変倍設定値のみを画像データと共にHDD20に蓄積する(ステップS118、S120)。また、いずれも特殊原稿の可能性が無い場合は、特殊原稿の再現可能性が無いため(ステップS116でNo)、そのまま加工処理された画像データをHDD20に蓄積するようにする(ステップS120)。これは、例えばu=2.610(261%),uk+1=2.620(262%)である場合には、δ=2.615(261.5%)であれば、両者ともに検知する可能性がある。また、δ=2.611(261.1%)の時は、uのときに検知し、uk+1では検知しない場合がある。そして、変倍指定率がより限定された範囲である場合、すなわちδ=2.615(261.5%),u=2.600(260%),uk+1=2.700(270%)であるような場合には、u,uk+1のいずれも検知しない場合があるということを示している。
【0098】
次に、蓄積後の画像データの処理について説明する。第2の特殊原稿検知部188は、蓄積後の出力指定時に変倍処理が指定されていないと、特殊原稿検知を行わないが、変倍処理が指定され、その拡大率が上記の通り決定された拡大率δであれば、蓄積前に検知した変倍に関する画像の特徴を検知する工程を省いた特殊原稿の検知を行う。第2の特殊原稿検知部188は、特殊原稿と検知すると、図1に示すプロッタI/F装置24に対して出力禁止処理としての塗り潰し処理を行うように指示する。また、第2の特殊原稿検知部188は、蓄積後の出力指定時に変倍処理が指定されているが、その拡大率が上記の通り決定された拡大率δ以外の値の場合については通常の特殊原稿検知を行わない。
【0099】
このように、本第6の実施の形態では、変倍処理を指定した場合に特殊原稿検知に要する時間を短縮することができる。
【0100】
なお、本第6の実施の形態では、上記した260%と270%の例に示すように、u,uk+1の値がδの値自体から明らかにかけ離れている場合は、270%に対する変倍処理を試行して特殊原稿検知処理を省略するような任意の閾値を設けることによって、検知範囲を制限する形式としてもよい。
【符号の説明】
【0101】
10 読取り装置
12 第1の画像データ処理装置
14 メモリ
16 バス制御装置
18 第2の画像データ処理装置
20 HDD
22 CPU
24 プロッタI/F装置
26 プロッタ装置
28 S.B.
30 ROM
32 操作表示装置
34 回線I/F装置
36 外部I/F装置
38 拡張バス
100 画像処理装置
120 第1の画像加工処理部
121 スキャナγ変換部
122 変倍処理部
123 フィルタ処理部
124 色補正部
125 階調補正部
126 圧縮処理部
127 第1の特殊原稿検知部
180 第2の画像加工処理部
181 反転処理部
182 変倍処理部
183 フィルタ処理部
184 色補正部
185 階調補正部
186 階調処理部
187 圧縮処理部
188 第2の特殊原稿検知部
1800 第2の画像加工処理部
1810 反転処理部
1820 変倍処理部
1830 フィルタ処理部
1840 色補正部
1850 階調補正部
1860 階調処理部
1870 圧縮処理部
1880 第2の特殊原稿検知部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0102】
【特許文献1】特開平10−198838号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像データを蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積手段に蓄積される前の画像データが特殊原稿であるか否かを検知する第1の特殊原稿検知手段と、
前記蓄積手段に蓄積される前の画像データを加工処理する第1の画像加工処理手段と、
前記蓄積手段から読み出された画像データが特殊原稿であるか否かを検知する第2の特殊原稿検知手段と、
前記蓄積手段から読み出された画像データを加工処理する第2の画像加工処理手段と、
前記第1の画像加工処理手段と前記第2の画像加工処理手段との少なくとも一方に対して画像データの加工処理条件を指定する操作手段と、
前記蓄積手段に蓄積された画像データを、蓄積後に前記第2の画像加工処理手段が加工処理すると特殊原稿となる可能性がある場合の加工処理条件を蓄積する加工処理条件蓄積手段と、
前記画像データが特殊原稿と検知されると画像の塗り潰し処理を行う塗り潰し手段と、
を備え、前記操作手段から前記第2の画像加工処理手段に対して指定した蓄積後の加工処理条件が、前記加工処理条件蓄積手段に蓄積された加工処理条件と一致すると、前記第2の特殊原稿検知手段により検知を行い、前記第1の特殊原稿検知手段と前記第2の特殊原稿検知手段のいずれか一方で特殊原稿であることが検知されると、前記塗り潰し手段により画像を塗り潰すことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記加工処理条件蓄積手段は、前記操作手段により前記第1の画像加工処理手段に対して特定の画像加工処理を指定した場合のみ、加工処理条件を蓄積することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記特定の画像加工処理は、色加工処理であることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記特定の画像加工処理は、γ変換処理であることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記特定の画像加工処理は、変倍処理であることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第2の特殊原稿検知手段は、前記操作手段が前記第1の画像加工処理手段に対して変倍処理を指定した場合に、蓄積前の変倍率に対して前記操作手段により指定できる変倍率のみを探索対象として対となる変倍率を探索し、特殊原稿を検知することを特徴とする請求項1または5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
画像処理装置で実行される画像処理方法であって、
前記画像処理装置は、蓄積手段と、第1の特殊原稿検知手段と、第1の画像加工処理手段と、第2の特殊原稿検知手段と、第2の画像加工処理手段と、操作手段と、加工処理条件蓄積手段と、塗り潰し手段とを備え、
前記蓄積手段は、入力された画像データを蓄積する工程と、
前記第1の特殊原稿検知手段は、蓄積前の画像データが特殊原稿であるか否かを検知する工程と、
前記第1の画像加工処理手段は、蓄積前の画像データを加工処理する工程と、
前記第2の特殊原稿検知手段は、蓄積後の画像データが特殊原稿であるか否かを検知する工程と、
前記第2の画像加工処理手段は、蓄積後の画像データを加工処理する工程と、
前記操作手段は、前記第1の画像加工処理手段と前記第2の画像加工処理手段との少なくとも一方に対して画像データの加工処理条件を指定する工程と、
前記加工処理条件蓄積手段は、前記蓄積手段に蓄積された画像データを、蓄積後に前記第2の画像加工処理手段が加工処理すると特殊原稿となる可能性がある場合の加工処理条件を蓄積する工程と、
前記塗り潰し手段は、前記画像データが特殊原稿と検知されると画像の塗り潰し処理を行う工程と、
を含み、前記操作手段から前記第2の画像加工処理手段に対して指定した蓄積後の加工処理条件が、前記加工処理条件蓄積手段に蓄積された加工処理条件と一致すると、前記第2の特殊原稿検知手段により検知を行い、前記第1の特殊原稿検知手段と前記第2の特殊原稿検知手段のいずれか一方で特殊原稿であることが検知されると、前記塗り潰し手段により画像を塗り潰すことを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
画像処理装置に搭載される画像処理プログラムであって、
コンピュータを、
入力された画像データを蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積手段に蓄積される前の画像データが特殊原稿であるか否かを検知する第1の特殊原稿検知手段と、
前記蓄積手段に蓄積される前の画像データを加工処理する第1の画像加工処理手段と、
前記蓄積手段から読み出された画像データが特殊原稿であるか否かを検知する第2の特殊原稿検知手段と、
前記蓄積手段から読み出された画像データを加工処理する第2の画像加工処理手段と、
前記第1の画像加工処理手段と前記第2の画像加工処理手段との少なくとも一方に対して画像データの加工処理条件を指定する操作手段と、
前記蓄積手段に蓄積された画像データを、蓄積後に前記第2の画像加工処理手段が加工処理すると特殊原稿となる可能性がある場合の加工処理条件を蓄積する加工処理条件蓄積手段と、
前記画像データが特殊原稿と検知されると画像の塗り潰し処理を行う塗り潰し手段と
して機能させ、前記操作手段から前記第2の画像加工処理手段に対して指定した蓄積後の加工処理条件が、前記加工処理条件蓄積手段に蓄積された加工処理条件と一致すると、前記第2の特殊原稿検知手段により検知を行い、前記第1の特殊原稿検知手段と前記第2の特殊原稿検知手段のいずれか一方で特殊原稿であることが検知されると、前記塗り潰し手段により画像を塗り潰すことを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−172108(P2011−172108A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35219(P2010−35219)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】