説明

画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記録媒体

【課題】画像の近似曲線の生成を高速に行う画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】画像データのエッジ部を近似する近似曲線をベジェ曲線により生成するフィッティング処理部を有し、フィッティング処理部は、ベジェ曲線の始点をAとし、終点をEとし、始点Aにおけるベジェ曲線の接線上に存在する制御点をZ1とし、終点Eにおけるベジェ曲線の接線上に制御点をZ2としたときに、閉曲線AZ1Z2Eが1組の四角形を形成し、線分AZ1と線分AEのなす角度が0度より大きく、180度未満となり、線分EZ2と線分EAのなす角度が0度より大きく、180度未満となり、線分Z1Aと線分Z1Z2のなす角度が0度より大きく、180度未満となり、線分Z2Eと線分Z2Z1のなす角度が0度より大きく、180度未満となるように制御点Z1、Z2の位置の移動を行うことにより近似曲線を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の近似曲線を生成する画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータシステムなどで扱うデジタル画像に於いて、認識オブジェクトの美的形状補正、及び画像データ退避容量の縮小化を目的として、認識オブジェクトのエッジ部における曲線、直線の形状を、例えば、図1に示すように、近似多項式で表現して置き換えることが行われる。このような近似多項式表現での置き換えは、例えば、画像認識や、文字フォントの作成などの際に行われる。
【0003】
使用される近似多項式として、Bスプラインやベジェなどがある。これらの近似多項式により曲線近似を行う際には、近似を行う曲線の始点、終点、及び曲線の形状を特徴付ける制御点それぞれの位置の決定方法が問題となる。
【0004】
ベジェ曲線は、デジタル空間で描画を行う上で、始点と終点における曲線の接線の扱い易く、描画を高速に行うことが可能であるという利点を持っている。しかし、「画像のエッジ部を近似する際に、始点と終点の間を取り持つ制御点の位置が描画する曲線上に無く、また、この制御点の位置の選び方により、曲率が大きく変化する」という扱いにくい点がある。図2〜5は、制御点の位置を変えた際の3次ベジェ曲線を示す図である。これらの図において、A、Eが始点、終点であり、Z1、Z2が制御点である。図2〜5が示すように、制御点は曲線上にない。また、始点、終点、2つの制御点それぞれの位置関係により、曲線の曲率が大きく変わることがわかる。
【0005】
そこで、多くの場合、ベジェ曲線は、限定した使用方法が用いられている。例えば、エッジ部の曲線を近似する際に、図2で示すような弓形形状の曲線だけ使用するなどの方法が用いられている。
【0006】
しかし、この弓形形状が保持できる条件が不明確であり、また、弓形形状が保てても、当てはめる対象の画像のエッジ部に重ね合せる方法に要領を得るものが無いのが現状である。特に、現状では、曲率がプラスからマイナスに変化する変曲点の存在の有無や、変曲点が存在する際にその変曲点の位置の明確化などが簡潔に表現できていない。このため、漸近的な当てはめを行えば、形状を損ねないように当てはめをすることは出来るが、この漸近的な当てはめでは処理時間が長くなってしまうという問題があった。
【0007】
そこで、例えば、特許文献1では、3次曲線の凸閉包性が使用されている。つまり、図2に示すように、弓形形状の3次ベジェ曲線は、始点、終点、及び2つの制御点から構成される凸領域(四角形)の内部からはみ出すことがないことを使用している。
【0008】
また、例えば、特許文献2では、ベジェ曲線を、曲線、及び曲面の近似に使用する際の接線、及び法線の扱い方が開示されている。また、例えば、特許文献3では、ベジェ曲線を、曲線の近似に使用する際の接線、法線、及びベジェ曲線の内分点の扱い方が開示されている。
【0009】
また、特許文献4では、ベジェ曲線上の点のうちで、始点の接線上にある制御点を変化させたときに最大の移動をする点が媒介変数t=1/3の点であることを示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1では、始点、終点、及び2つの制御点から構成される凸領域(四角形)を構成することが、3次ベジェ曲線が、図2に示すような弓形形状であることの十分条件であることが明確に示されていない。
【0011】
また、特許文献2、3では、曲線上における変曲点の有無についての言及がなく、ベジェ曲線により曲線近似の限界が明確になっていない。
【0012】
また、特許文献4では、ベジェ曲線上の点のうちで、始点の接線上にある制御点を変化させたときに最大の移動をする点が媒介変数t=1/3の点であることを、曲線の当てはめに適用する方法については記載されていない。
【0013】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、画像の近似曲線の生成を高速に行う画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明における画像処理装置は、画像データのエッジ部を近似する近似曲線をベジェ曲線により生成するフィッティング処理部を有し、前記フィッティング処理部は、ベジェ曲線により前記近似曲線を生成する際に、当該ベジェ曲線の始点をAとし、当該ベジェ曲線の終点をEとし、前記始点Aにおける当該ベジェ曲線の接線上に存在する当該ベジェ曲線の制御点をZ1とし、前記終点Eにおける当該ベジェ曲線の接線上に存在する当該ベジェ曲線の制御点をZ2としたときに、閉曲線AZ1Z2Eが1組の四角形を形成し、線分AZ1と線分Aのなす角度が0度より大きく、180度未満となり、線分EZ2と線分EAのなす角度が0度より大きく、180度未満となり、線分Z1Aと線分Z1Z2のなす角度が0度より大きく、180度未満となり、線分Z2Eと線分Z2Z1のなす角度が0度より大きく、180度未満となるように前記制御点Z1、Z2の位置の移動を行うことにより前記近似曲線を生成することを特徴とする。
【0015】
また、本発明における画像処理方法は、画像データのエッジ部を近似する近似曲線をベジェ曲線により生成するフィッティング処理ステップを有し、前記フィッティング処理ステップは、ベジェ曲線により前記近似曲線を生成する際に、当該ベジェ曲線の始点をAとし、当該ベジェ曲線の終点をEとし、前記始点Aにおける当該ベジェ曲線の接線上に存在する当該ベジェ曲線の制御点をZ1とし、前記終点Eにおける当該ベジェ曲線の接線上に存在する当該ベジェ曲線の制御点をZ2としたときに、閉曲線AZ1Z2Eが1組の四角形を形成し、線分AZ1と線分Aのなす角度が0度より大きく、180度未満となり、線分EZ2と線分EAのなす角度が0度より大きく、180度未満となり、線分Z1Aと線分Z1Z2のなす角度が0度より大きく、180度未満となり、線分Z2Eと線分Z2Z1のなす角度が0度より大きく、180度未満となるように前記制御点Z1、Z2の位置の移動を行うことにより前記近似曲線を生成することを特徴とする。
【0016】
また、本発明におけるプログラムは、画像処理装置を、画像データのエッジ部を近似する近似曲線をベジェ曲線により生成するフィッティング処理手段として機能させ、前記フィッティング処理手段は、ベジェ曲線により前記近似曲線を生成する際に、当該ベジェ曲線の始点をAとし、当該ベジェ曲線の終点をEとし、前記始点Aにおける当該ベジェ曲線の接線上に存在する当該ベジェ曲線の制御点をZ1とし、前記終点Eにおける当該ベジェ曲線の接線上に存在する当該ベジェ曲線の制御点をZ2としたときに、閉曲線AZ1Z2Eが1組の四角形を形成し、線分AZ1と線分Aのなす角度が0度より大きく、180度未満となり、線分EZ2と線分EAのなす角度が0度より大きく、180度未満となり、線分Z1Aと線分Z1Z2のなす角度が0度より大きく、180度未満となり、線分Z2Eと線分Z2Z1のなす角度が0度より大きく、180度未満となるように前記制御点Z1、Z2の位置の移動を行うことにより前記近似曲線を生成することを特徴とする。
【0017】
また、本発明における記録媒体は、上記本発明におけるプログラムを記録し、コンピュータ読み取り可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、画像の近似曲線の生成を高速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理装置における処理を説明する図である。
【図2】3次ベジェ曲線の一例を示す図である。
【図3】3次ベジェ曲線の一例を示す図である。
【図4】3次ベジェ曲線の一例を示す図である。
【図5】3次ベジェ曲線の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る画像処理装置の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る画像処理装置における処理動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
近似曲線として、2次ベジェ曲線及び3次ベジェ曲線を採用する。3次ベジェ曲線B3(t)は、始点をA、終点をE、制御点をZ1、Z2とすると、
3(t)=(1−t)3A+3(1−t)2tZ1+3(1−t)t22+t3
と表現される。ここで、B3(t)、A、E、Z1、Z2はベクトルであり、媒介変数tは、0から1の範囲のスカラー変数である。
【0022】
この3次ベジェ曲線は、次のような幾何学的特徴を持つ。
(a)曲線は、線分AZ1、及び線分EZ2に接する。
(b)曲線上の点Z'=B3(0.5)とすると、
Z'=(A+3Z1+3Z2+E)/8
【0023】
ベジェ曲線は、媒介変数0<t<1の間に変曲点を持たないときに、画像の曲線に対する近似曲線として適応性に優れた弓形形状の曲線を保つ。つまり、媒介変数0<t<1の間に変曲点を持たないように曲線の変形を行えば、曲線は弓形形状を保ったままで変形することができる。
【0024】
そこで、3次ベジェ曲線は、次の条件を満たすときに、媒介変数0<t<1の間に変曲点を持たないことを証明する。
条件:「始点→第1制御点→第2制御点→終点の順に直線で結んだ閉図形AZ12Eが1組の四角形を形作り、4頂点で成す4角(内角)が総て180度未満である。つまり、∠AZ12 < 180度、かつ ∠Z12E < 180度、かつ ∠Z2EA < 180度、かつ ∠EAZ1 < 180度。」
【0025】
まず、3次ベジェ曲線に変曲点が存在するときに、変曲点を示す媒介変数tの満たすべき式を導く。
【0026】
変曲点では曲率が0になるため、変曲点を示す媒介変数tは、
【数1】

を満たす。ここで、×はベクトル積である。つまり、この式は、ベジェ曲線を表すベクトルB3(t)の1次微分ベクトルの方向と2次微分ベクトルの方向とが一致することを示している。ここで、
【数2】

であることより、
U=−3A+9Z1−9Z2+3E
V=6A−12Z1+6Z2
W=−3A+3Z1
とおくと、
【数3】

となることから、tについて整理をすると、
【数4】

となる。これが、変曲点を示す媒介変数tの満たすべき式である。つまり、逆にいうと、この式が0<t<1において実数解を持たないのであれば、0<t<1には変曲点が存在しないことになる。
【0027】
そこで、この式を使い、上記の条件を満たすならば、3次ベジェ曲線が媒介変数0<t<1の間に変曲点を持たないことを証明する。つまり、上記の条件「始点→第1制御点→第2制御点→終点の順に直線で結んだ閉図形AZ12Eが1組の四角形を形作り、4頂点で成す4角(内角)が総て180度未満である」ことが、3次ベジェ曲線が媒介変数0<t<1の間に変曲点を持たないことの十分条件であることを証明する。
【0028】
一般化した以下の座標を使用する。
・始点A(0,0)
・終点E(x3,y3
・制御点Z1(x1,0)‥‥0<x1
・制御点Z2(x2,y2)‥‥0<y2≦y3
【0029】
この4点により、四角形が形作られ、4頂点で成す4角(内角)が総て180度未満であることを満たしているとする。この配置で形成される3次ベジェ曲線について、上記の変曲点を求める方程式の左辺をF(t)とすると、
【数5】

となる。このとき、
【数6】

である。また、ベクトル(E−Z1)とベクトル(Z2−Z1)のなす角度は上記の条件より、0度より大きく、180度より小さい。よって、ベクトル(E−Z1)とベクトル(Z2−Z1)の外積のz成分に対して、
【数7】

が成り立つ。よって、このとき、
【数8】

である。
【0030】
これらの結果を使うと、
(i)F(t)のt2の係数が0以下のとき、つまり、
【数9】

のときは、F(t)は上に凸の関数である。よって、F(0)>0、F(1)>0であるので、0≦t≦1の範囲で、F(t)>0である。
【0031】
(ii)F(t)のt2の係数が0より大きいとき、つまり、
【数10】

のときは、F(t)は下に凸の関数である。このときは、F(t)が極小値をとるときの媒介変数tの大きさにより場合分けが必要になる。F(t)は、
【数11】

において、極小値をとる。この極小値をとるときの媒介変数tをt=tmとする。このとき、上記の結果を使うと、3y2≦y3であれば、tm≦0であり、3y2>y3であれば、tm>0である。
【0032】
(a)tm≦0であるときは、F(t)は下に凸の関数であることと、F(0)>0、F(1)>0より、0≦t≦1の範囲で、F(t)>0であることがわかる。
【0033】
(b)tm>1のときは、F(t)は下に凸の関数であることと、F(0)>0、F(1)>0より、0≦t≦1の範囲で、F(t)>0であることがわかる。
【0034】
(c)0<tm≦1のときは、F(t)=0が解を持つかどうかの判定を行う。2次方程式の判別式はb2−4ac=x1(y3+3y2)(y3−y2)−4y2(x23−x32)となる。ここで、
【数12】

であるので、判別式b2−4ac<0となる。よって、F(t)=0に解は存在しない。この結果と、F(0)>0、F(1)>0より、0≦t≦1の範囲で、F(t)>0であることわかる。
【0035】
以上、上記のすべての場合において、0≦t≦1の範囲で、F(t)>0であることがわかる。つまり、媒介変数0≦t≦1の間に変曲点を持たない。よって、条件「始点→第1制御点→第2制御点→終点の順に直線で結んだ閉図形AZ12Eが1組の四角形を形作り、4頂点で成す4角(内角)が総て180度未満である」ことが、3次ベジェ曲線が媒介変数0<t<1の間に変曲点を持たないことの十分条件であることが証明できた。
【0036】
よって、条件「始点→第1制御点→第2制御点→終点の順に直線で結んだ閉図形AZ12Eが1組の四角形を形作り、4頂点で成す4角(内角)が総て180度未満である」が成り立つ変形をする限りは、曲線は変曲点を持たず、弓形を保つことができる。
【0037】
つまり、条件「始点→第1制御点→第2制御点→終点の順に直線で結んだ閉図形AZ12Eが1組の四角形を形作り、4頂点で成す4角(内角)が総て180度未満である」が成り立つ変形を行うことにより、これまでのような漸近的な当てはめを行うことがなくなり、画像の近似曲線の生成を高速に行うことが可能になる。
【0038】
ベジェ曲線を、変換対象の画像、図形のエッジ部に当てはめる方法としてはいろいろと考えられる。例えば、ベジェ曲線を当てはめる場合に、有限要素法の重み付き残差法−選定法を用いることを考える。
【0039】
まず、有限要素法の重み付き残差法−選定法を説明する。有限要素法の重み付き残差法−選定法については、例えば、「スプライン関数入門」(桜井、他著、東京電機大学出版局)などに記載されている。
【0040】
線形微分方程式、
AU(t)=F(t)、a<t<b
において、境界条件U(a)=Ua、U(b)=Ubを満たすU(t)を求める場合を考える。ここで、Aは線形微分演算子であり、F(t)はtの関数である。
【0041】
関数U'(t)を上記の境界条件を満たす線型独立関数(基底関数)φi(t)の1次結合、
【数13】

として、厳密解との差(残差、誤差)
AU'(t)−F(t)=ε
を如何に最小にするかを重みwi(t)を与えて、次の関係を作って検討するのが、重み付き残差法である。
【数14】

【0042】
選点法は、この重み関数wi(t)として解領域の内点tiを用いたデルタ関数wi(t)=δ(t-ti)とする方法である。即ち、当てはめる関数群のそれぞれが決定できる最適でかつ必要最低限度の場所に選点を限定し、選んだ総ての選点上では誤差を無くする方法である。そこで、この方法を画像又は図形の輪郭に曲線や直線をフィッティングさせる場合にも適用することを考える。
【0043】
一組の3次ベジェ曲線を一意に決定するには、4点(始点(A)、終点(E)、制御点(Z1、Z2))の位置を明確化しなければならない。これらを決定する為には、一組の3次ベジェ曲線に対して少なくとも4選点を取って、評価(誤差を最小化)することが必要である。
【0044】
元の画像又は図形データが、特徴がつかみ辛く(角点の位置が不明確)、形式的(単に折返しルール:上下又は左右の折返しを適用して、セグメント分割した場合など)に、始点、終点が決められた場合、誤差については、総ての点が同等に近い為、選点は、始点,終点,とその両者の間の等間隔に離れた2点(両者から1/3ずつの距離の点)を選ぶのが妥当である。
【0045】
元の画像又は図形データの特徴がつかみ易く、角点(曲線と直線の接続点や曲率の急変点及びG1連続とならない点)等に明確にセグメント分割した場合、始点、終点の(位置の)値の信頼性が高い(セグメント分割した時の誤差がない)ものとして、かつ元の画像又は図形データの輪郭が3次ベジェ曲線に正確にフィッティングすると仮定する。
【0046】
このとき、元の画像又は図形データに対して、正確な輪郭を表す関数をB'3(t)、仮想の輪郭を表す関数をB3(t)とすると、
B'3(t)=(1−t)3A+3(1−t)2tZ1'+3(1−t)t22'+t3
3(t) =(1−t)3A+3(1−t)2tZ1 +3(1−t)t22 +t3
となる。両者の差で形成される面積(誤差面積)T
【数15】

を最小にする選点を選ぶことを考える。これが、2つの制御点を選ぶ際の有力な方法の1つである。
【0047】
以上の仮定により、δZ1=Z1−Z1',δZ2=Z2−Z2'として、B3(t)の形状誤差δB3(t)が、0≦t≦1の範囲のいたるとこで一定であり、かつtに誤差がない(δt=0)と仮定すると、
【数16】

であるので、∂B3/∂Z1及び∂B3/∂Z2が、0≦t≦1の範囲で、それぞれ最大値を取る時が、δZ1及びδZ2がそれぞれ最小となり、最も信頼性の高いZ1、Z2が得られる時になる。すなわち、Z1については、
【数17】

が最大になる箇所:t=1/3の時の場所である。同様に、Z2については、t=2/3の時の場所である。
【0048】
よって、制御点Z1の位置は、t=1/3の描画位置と元の画像又は図形エッジ位置との一致性で決定し、及び制御点Z2の位置は、t=2/3の描画位置と元の画像又は図形エッジ位置との一致性で決定する方法を取るのが適切である。つまり、t=1/3の位置において、曲線を元の画像のエッジ部に一致するように、制御点Z1の位置を始点Aにおける曲線の接線上で移動させ、t=2/3の位置において、曲線を元の画像のエッジ部に一致するように、制御点Z2の位置を終点Eにおける曲線の接線上で移動させることにより、曲線の当てはめを行うと良い。
【0049】
また、n次のベジェ多項式に適用すると、上記の3次ベジェ多項式の場合と同様に、
B'n(t)=(1−t)nA+n(1−t)n-1tZ1'+‥‥+n(1−t)tn-1n-1'+tn
n(t) =(1−t)nA+n(1−t)n-1tZ1 +‥‥+n(1−t)tn-1n-1 +tn
となるので、Zkについては、
【数18】

が最大になる箇所t=k/nの時が最も信頼性の高いZkが得られる場所となる。
【0050】
図6は、本発明の実施形態に係る画像処理装置の構成を示す図である。CPU(中央処理装置)1は、この画像処理装置の動作制御を行う。ROM(リード・オンリ・メモリ)2は、CPU1が起動時に実行するプログラムや必要なデータ等を記憶する。RAM(ランダム・アクセス・メモリ)3は、CPU1のワークエリア等を構成する。時計回路4は、現在日時情報を出力する。磁気ディスク装置5は、種々のアプリケーションプログラム、ワークデータ、ファイルデータ、画像データデータなどの種々のデータを記憶する。
【0051】
2値画像生成部6は、2値画像のエッジ部を同定する時などに、磁気ディスク装置5などから入力された多値濃淡画像を2値化し、その出力データは画像エッジ同定部7などに与えられる。
【0052】
画像エッジ同定部7は、ベジェ曲線を画像や図形エッジ部などにフィッティングするために、その事前処理として、磁気ディスク装置5などから入力された多値濃淡画像、又は2値画像生成部6から入力された2値画像に対し、画像のエッジ部を同定し、その同定情報を、出力データとしてセグメント分割部8に与えられる。
【0053】
セグメント分割部8は、ベジェ曲線を画像や図形のエッジ部などにフィッティングするための事前処理の第二段階として、画像エッジ同定部7から入力された画像エッジ部の同定情報を基に、画像をセグメントに分割し、その分割情報を出力データとして、フィッティング処理部9などに与えられる。
【0054】
フィッティング処理部9、ベジェ曲線を画像や図形のエッジ部などにフィッティングする時に、セグメント分割部8から入力された分割情報を基に、各セグメント内の画像のエッジ部にベジェ曲線を当てはめ、ベジェ曲線弓形判定部10判定結果に従って、その当てはめ(フィッティング)できた情報を出力データとして、磁気ディスク装置5、ネットワーク伝送制御部18、及び描画部11などに与えられる。
【0055】
ベジェ曲線弓形判定部10は、フィッティング処理部9から入力されたベジェ曲線を形成する(始点、終点、及び制御点のそれぞれの位置)情報を基に、そのベジェ曲線が弓形を形成するかどうか判定し、その判定結果情報を出力データとして、フィッティング処理部9などに与えられる。
【0056】
描画部11は、フィッティング処理部9から入力されたベジェ曲線情報などを基に、ベジェ曲線を描画し、その描画した情報を出力データとして、磁気ディスク装置5、及びネットワーク伝送制御部18などに与えられる。
【0057】
CRT画面表示装置12は、この画像処理装置を操作するための画面を表示するためのものであり、表示制御部13は、CRT画面表示装置12の表示内容を制御するためのものである。
【0058】
キーボード装置14は、この画像処理装置に種々のキー操作を行うためのものであり、画面指示装置15は、CRT画面表示装置12の任意の点を指示する等の操作作業を行うためのものであり、入力制御部16は、キーボード装置14および画面指示装置15の入力情報を取り込む等するためのものである。
【0059】
ネットワークインタフェース回路17は、この画像処理装置をネットワーク(図示略)に接続するためのものであり、ネットワーク伝送制御部18は、ネットワークを介して他の端末装置との間で種々の情報をやりとりするための伝送制御処理を行うためのものである。
【0060】
これらのCPU1、ROM2、RAM3、時計回路4、磁気ディスク装置5、2値画像生成部6、画像エッジ同定部7、セグメント分割部8、フィッティング処理部9、ベジェ曲線弓形判定部10、描画部11、CRT画面表示装置12、表示制御部13、入力制御部16、および、ネットワーク伝送制御部18は、バス19に接続されており、これらの各要素間のデータのやりとりは、主としてこのバス19を介して行われる。
【0061】
また、CRT画面表示装置12、キーボード装置14および画面指示装置15は、ユーザに対するユーザ・インタフェース機能を実現しており、例えば、各種操作指示や機能選択指令、編集データ等を入力したり、画像任意角度回転やノイズ除去のために画像ブロック単位に処理するブロックサイズを入力したり、画像処理後のデータ内容を隠蔽する目的で、画像データを暗号化する時および暗号化された画像を解読する時に、秘密キーを入力するために用いられる。また、キー操作により、変更後の画像を入力イメージ画像データと重ね合わせて表示させたり、どちらか一方のみを選択して表示させたりするような表示操作機能も実現することができる。
【0062】
また、処理画像データは、例えば、磁気ディスク装置5にあらかじめ保存されたもの、あるいは、ネットワークを介し、他の端末装置等から受信したものを適用することができる。
【0063】
なお、さらに、交換可能な記憶媒体を適用できる光学ディスク装置(例えば、CD−ROM駆動装置、DVD駆動装置など)や、デジタルスチルカメラ装置、スキャナ装置を備えて、処理画像データを入力するようにすることも可能である。
【0064】
図7は、本発明の実施形態に係る画像処理装置における処理動作を示す図である。以下の処理は、画像入力装置(図6には表されていないが、スキャナなどの入力装置をもった画像処理装置)やネットワークなどを介して入力された画像に2値化、エッジ抽出、セグメント分割が行われた画像について実施される。実施形態によっては入力された画像を一旦磁気ディスク装置に蓄積してからメモリに呼び出して処理するなどの場合もありうる。
【0065】
まず、画像輪郭線へのベジェ曲線当てはめ処理全体の初期設定を行う(S101)。ここで、画像エッジ部線の辿り方(左/右廻り識別)の決定、当てはめベジェ曲線の始点、終点、及び制御点の位置情報、個数の格納領域確保などを行う。
【0066】
画像のエッジ部を線で辿って、その線が閉曲線又は閉折線の候補となるものを抽出する。つまり、閉曲線又は閉折線の候補となるものの位置を認識する(S102)。
【0067】
ベジェ曲線当てはめ処理を終了すべきかどうか、判定する(S103)。ここで、例えば、ステップS102において抽出された閉曲線候補のうちで、ステップS105〜ステップS115の処理が未処理である閉曲線候補すべてが、閉曲線を形成できないときはベジェ曲線当てはめ処理全体が終了したとみなし、閉曲線を形成できる閉曲線候補が存在するときは、ベジェ曲線当てはめ処理全体が終了していないと判定する。
【0068】
ステップS103において、ベジェ曲線当てはめ処理全体が終了したと判定されたときは(S103、No)、抽出した全近似ベジェ曲線データを格納し(S104)、全体処理を終了する。ステップS103において、ベジェ曲線当てはめ処理全体が終了していないと判定されたときは(S103、Yes)、ステップS102、S103に於いて形成した閉曲線に辿って、折り返し点(頂点、右端点、最下点、及び左端点)を、それぞれ始点及び終点に選ぶことにより、閉曲線を分割し、一組のベジェ曲線に当てはめる画像の対象領域を明確化する(S105)。例えば、抽出していた閉曲線を右回りに辿って、例えば、折返し点毎に、一組のB3(3次ベジェ)曲線の切れ目(始点、終点)とする。
【0069】
続く処理は、一組のB3曲線を画像エッジ部近似曲線として、位置合せするものである。以下、この位置合せの方法について、説明する。
【0070】
始点及び終点から、画像エッジ境界接線上で、互いに近付く方向に延した位置をZ1、及びZ2の初期位置として設定する(S106)。Z1、及びZ2の初期位置として、例えば、Z1=Z2(点A、Eを通るエッジ接線の交点)、又は点A、Eとこの交点との、それぞれ中点をZ1、Z2とする方法などが考えられる。
【0071】
これら一組のベジェ曲線当てはめの一連の処理に於いて、位置を調整する為の判定を行う(S107)。媒介変数t=1/3又は媒介変数t=2/3で計算される評価点の位置が塗潰し領域内に存在するときは(S107、Yes)、制御点Z1(又はZ2)を、直線AZ1(又はEZ2)のZ1側(又はZ2側)の延長線上にスライドして、B3の位置が、画像塗潰し部の境界に近付けられるようにしてから(S108)。制御点をスライドさせたあとの曲線が弓形であるかを判定する(S110)。つまり、上述した、近似ベジェ曲線が変曲点を持たないための十分条件が成り立っているかを確認する。媒介変数t=1/3又は媒介変数t=2/3で計算される評価点の位置が塗潰し領域外に存在すれば(S107、No)、制御点Z1(又はZ2)を、直線AZ1(又はEZ2)のA側(又はE側)の延長線上にスライドして、B3の位置が、画像塗潰し部の境界に近付けられるようにし(S109)、制御点をスライドさせたあとの曲線が弓形であるかを判定する(S110)。
【0072】
ステップS110において、十分条件が成り立っているならば(S110、Yes)、制御点位置の決定処理を終了し、一組の閉曲線に沿って分割処理したベジェ曲線当てはめ処理が、終わったかどうかを判定する(S112)。近似ベジェ曲線が変曲点を持たないための十分条件が成り立っていない場合(S110、No)は、スライド処理の戻し処理を行って、近似ベジェ曲線が変曲点を持たないための十分条件が成り立つ状態に戻してから(S111)、制御点位置の決定処理を終了し、一組の閉曲線に沿って分割処理したベジェ曲線当てはめ処理が、終わったかどうかを判定する(S112)。
【0073】
ステップS112では、一組の閉曲線に沿って分割処理したベジェ曲線当てはめ処理が、終わったかどうかを判定している。つまり、閉曲線上を辿って開始点に戻っていれば、一組の閉曲線対象処理が終わったと判定し、戻っていなければ、一組の閉曲線対象処理が終わってないと判定する。一組の閉曲線対象処理が終わっていないときは(S112、No)、また、あらたに始点及び終点に選ぶことにより、閉曲線を分割し、一組のベジェ曲線に当てはめる画像の対象領域を明確化する(S105)。そして、ステップS106以下の処理を行う。一組の閉曲線対象処理が終わっているときは(S112、Yes)、次の閉曲線捜索を行うために、処理済みの情報を退避格納し、ベジェ曲線当てはめ処理を終了すべきかどうか、判定する(S103)。そして、ステップS103以下の処理を行う。
【0074】
上記の処理動作は、入力された画像に2値化、エッジ抽出、セグメント分割が行われた画像にたいして実施するが、そのベジェ近似が十分な精度でなかった場合には、再度、セグメント分割を実施してベジェ近似をやり直すことも考えられる。
【0075】
図1を参照しながら、画像又は図形データのエッジ部(画像の色別の濃淡値が急激に変化している場所)を結んで出来る線(輪郭線)に辿って、折り返し点(頂点、右端点、最下点、及び左端点)を、それぞれ始点及び終点に選ぶ際の例を示す。例えば、図1において、輪郭線を右回りに辿る場合は、次のようにすると良い。
(1):始点を頂点のA点とし、終点を右端点のE点とする。
次に、(1)に繋がる次のベジェ曲線は、
(2):右端点を始点として、最下点を終点とする。
同様に、(2)に繋がる次のベジェ曲線は、
(3):最下点を始点として、左端点を終点とする。
(3)に繋がる次のベジェ曲線は、
(4):左端点を始点として、頂点を終点とする。
【0076】
なお、セグメント分割の方法については、周知であるので、省略する。また、セグメント分割された元の画像又は図形の隣り合うセグメント接続位置に於いて、元の画像又は図形のエッジ部が滑らかに曲線変化(曲線の傾きの値が連続に変化)する場合には、元の画像又は図形エッジ線を近似代用する3次ベジェ曲線の隣り合う組をB3(m),B3(m+1)で表現すると、B3(m)の制御点Z2と終点、及びB3(m+1)の始点と制御点Z1の4点は、同一直線上に存在させ、かつB3(m)の終点=B3(m+1)始点にすることによって、滑らかな曲線を表現できることは、周知であるので、説明を省略する。
【0077】
ベジェ曲線は、「任意の曲線へ最も当てはめ易い弓形形状に於いても、画像のエッジ部を近似する際に、始点と終点の間を取り持つ制御点の位置が描画する曲線上に無く、また、この制御点の位置の選び方により、曲率が大きく変化し、変曲点の存在有無や存在位置が明確化できていない」という扱い辛い点があった。このため、以前は、多くの場合、弓形形状を損ねないように、漸近的な当てはめを行っており、処理時間が長くなるものであったが、本発明により、「この弓形形状が保持できる条件が明確になり、また、当てはめる対象の画像エッジ部へ効率の良い重ね合せ方法を適用することによって、高速処理化できる」ようになる。
【0078】
例えば、上述した実施形態における処理動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成によって実行することも可能である。
【0079】
なお、ソフトウェアによる処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムが格納されているROM(Read Only Memory)から、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリ(RAM)にプログラムを読み込んで実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。
【0080】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROMに予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、フロッピー(登録商標)ディスク等の磁気ディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスク、MO(Magneto Optical)ディスク等の光磁気ディスクなどのリムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。
【0081】
このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することが可能である。
【0082】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送したりし、コンピュータでは、転送されてきたプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることが可能である。
【0083】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
【0084】
また、本発明における画像処理装置は、前記フィッティング処理部は、ベジェ曲線により前記近似曲線を生成する際に、当該ベジェ曲線の媒介変数をtとしたときに、当該ベジェ曲線のt=1/3の点において、当該ベジェ曲線と前記画像データのエッジ部が一致するように前記制御点Z1の位置の移動を行い、当該ベジェ曲線のt=2/3の点において、当該ベジェ曲線と前記画像データのエッジ部が一致するように前記制御点Z2の位置の移動を行うことにより前記近似曲線を生成するようにしても良い。
【0085】
また、本発明における画像処理装置は、前記フィッティング処理部は、ベジェ曲線により前記近似曲線を生成する際に、前記エッジ部の輪郭線の前記始点Aにおける接線上に前記制御点Z1が存在するように、当該制御点Z1の位置の移動を行い、前記エッジ部の輪郭線の前記終点Eにおける接線上に前記制御点Z2が存在するように、当該制御点Z2の位置の移動を行うことにより前記近似曲線を生成するようにしても良い。
【0086】
また、本発明における画像処理装置は、前記画像データのエッジ部の輪郭線を分割するセグメント分割部を有し、前記セグメント分割部は、前記画像データのエッジ部の輪郭線を当該輪郭線の頂点と右端点と最下点と左端点において分割し、前記フィッティング処理部は、ベジェ曲線により前記近似曲線を生成する際に、当該ベジェ曲線の始点を前記輪郭線の頂点としたときは、当該ベジェ曲線の終点を前記輪郭線の終点を右端点とし、当該ベジェ曲線の始点を前記輪郭線の右端点としたときは、当該ベジェ曲線の終点を前記輪郭線の終点を最下点とし、当該ベジェ曲線の始点を前記輪郭線の最下点としたときは、当該ベジェ曲線の終点を前記輪郭線の終点を左端点とし、当該ベジェ曲線の始点を前記輪郭線の左端点としたときは、当該ベジェ曲線の終点を前記輪郭線の終点を頂点とするようにしても良い。
【0087】
また、本発明における画像処理方法は、前記フィッティング処理ステップは、ベジェ曲線により前記近似曲線を生成する際に、当該ベジェ曲線の媒介変数をtとしたときに、当該ベジェ曲線のt=1/3の点において、当該ベジェ曲線と前記画像データのエッジ部が一致するように前記制御点Z1の位置の移動を行い、当該ベジェ曲線のt=2/3の点において、当該ベジェ曲線と前記画像データのエッジ部が一致するように前記制御点Z2の位置の移動を行うことにより前記近似曲線を生成するようにしても良い。
【0088】
また、本発明における画像処理方法は、前記フィッティング処理ステップは、ベジェ曲線により前記近似曲線を生成する際に、前記エッジ部の輪郭線の前記始点Aにおける接線上に前記制御点Z1が存在するように、当該制御点Z1の位置の移動を行い、前記エッジ部の輪郭線の前記終点Eにおける接線上に前記制御点Z2が存在するように、当該制御点Z2の位置の移動を行うことにより前記近似曲線を生成するようにしても良い。
【0089】
また、本発明における画像処理方法は、前記画像データのエッジ部の輪郭線を分割するセグメント分割ステップを有し、前記セグメント分割ステップは、前記画像データのエッジ部の輪郭線を当該輪郭線の頂点と右端点と最下点と左端点において分割し、前記フィッティング処理ステップは、ベジェ曲線により前記近似曲線を生成する際に、当該ベジェ曲線の始点を前記輪郭線の頂点としたときは、当該ベジェ曲線の終点を前記輪郭線の終点を右端点とし、当該ベジェ曲線の始点を前記輪郭線の右端点としたときは、当該ベジェ曲線の終点を前記輪郭線の終点を最下点とし、当該ベジェ曲線の始点を前記輪郭線の最下点としたときは、当該ベジェ曲線の終点を前記輪郭線の終点を左端点とし、当該ベジェ曲線の始点を前記輪郭線の左端点としたときは、当該ベジェ曲線の終点を前記輪郭線の終点を頂点とするようにしても良い。
【符号の説明】
【0090】
6 2値画像生成部
7 画像エッジ同定部
8 セグメント分割部
9 フィッティング処理部
10 ベジェ曲線弓形判定部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0091】
【特許文献1】特開平10−198811号公報
【特許文献2】特許第3705923号公報
【特許文献3】特許第3402110号公報
【特許文献4】特許第4153065号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データのエッジ部を近似する近似曲線をベジェ曲線により生成するフィッティング処理部を有し、
前記フィッティング処理部は、ベジェ曲線により前記近似曲線を生成する際に、当該ベジェ曲線の始点をAとし、当該ベジェ曲線の終点をEとし、前記始点Aにおける当該ベジェ曲線の接線上に存在する当該ベジェ曲線の制御点をZ1とし、前記終点Eにおける当該ベジェ曲線の接線上に存在する当該ベジェ曲線の制御点をZ2としたときに、閉曲線AZ1Z2Eが1組の四角形を形成し、線分AZ1と線分Aのなす角度が0度より大きく、180度未満となり、線分EZ2と線分EAのなす角度が0度より大きく、180度未満となり、線分Z1Aと線分Z1Z2のなす角度が0度より大きく、180度未満となり、線分Z2Eと線分Z2Z1のなす角度が0度より大きく、180度未満となるように前記制御点Z1、Z2の位置の移動を行うことにより前記近似曲線を生成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記フィッティング処理部は、ベジェ曲線により前記近似曲線を生成する際に、当該ベジェ曲線の媒介変数をtとしたときに、当該ベジェ曲線のt=1/3の点において、当該ベジェ曲線と前記画像データのエッジ部が一致するように前記制御点Z1の位置の移動を行い、当該ベジェ曲線のt=2/3の点において、当該ベジェ曲線と前記画像データのエッジ部が一致するように前記制御点Z2の位置の移動を行うことにより前記近似曲線を生成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記フィッティング処理部は、ベジェ曲線により前記近似曲線を生成する際に、前記エッジ部の輪郭線の前記始点Aにおける接線上に前記制御点Z1が存在するように、当該制御点Z1の位置の移動を行い、前記エッジ部の輪郭線の前記終点Eにおける接線上に前記制御点Z2が存在するように、当該制御点Z2の位置の移動を行うことにより前記近似曲線を生成することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像データのエッジ部の輪郭線を分割するセグメント分割部を有し、
前記セグメント分割部は、前記画像データのエッジ部の輪郭線を当該輪郭線の頂点と右端点と最下点と左端点において分割し、
前記フィッティング処理部は、ベジェ曲線により前記近似曲線を生成する際に、当該ベジェ曲線の始点を前記輪郭線の頂点としたときは、当該ベジェ曲線の終点を前記輪郭線の終点を右端点とし、当該ベジェ曲線の始点を前記輪郭線の右端点としたときは、当該ベジェ曲線の終点を前記輪郭線の終点を最下点とし、当該ベジェ曲線の始点を前記輪郭線の最下点としたときは、当該ベジェ曲線の終点を前記輪郭線の終点を左端点とし、当該ベジェ曲線の始点を前記輪郭線の左端点としたときは、当該ベジェ曲線の終点を前記輪郭線の終点を頂点とすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
画像データのエッジ部を近似する近似曲線をベジェ曲線により生成するフィッティング処理ステップを有し、
前記フィッティング処理ステップは、ベジェ曲線により前記近似曲線を生成する際に、当該ベジェ曲線の始点をAとし、当該ベジェ曲線の終点をEとし、前記始点Aにおける当該ベジェ曲線の接線上に存在する当該ベジェ曲線の制御点をZ1とし、前記終点Eにおける当該ベジェ曲線の接線上に存在する当該ベジェ曲線の制御点をZ2としたときに、閉曲線AZ1Z2Eが1組の四角形を形成し、線分AZ1と線分Aのなす角度が0度より大きく、180度未満となり、線分EZ2と線分EAのなす角度が0度より大きく、180度未満となり、線分Z1Aと線分Z1Z2のなす角度が0度より大きく、180度未満となり、線分Z2Eと線分Z2Z1のなす角度が0度より大きく、180度未満となるように前記制御点Z1、Z2の位置の移動を行うことにより前記近似曲線を生成することを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
前記フィッティング処理ステップは、ベジェ曲線により前記近似曲線を生成する際に、当該ベジェ曲線の媒介変数をtとしたときに、当該ベジェ曲線のt=1/3の点において、当該ベジェ曲線と前記画像データのエッジ部が一致するように前記制御点Z1の位置の移動を行い、当該ベジェ曲線のt=2/3の点において、当該ベジェ曲線と前記画像データのエッジ部が一致するように前記制御点Z2の位置の移動を行うことにより前記近似曲線を生成することを特徴とする請求項5に記載の画像処理方法。
【請求項7】
前記フィッティング処理ステップは、ベジェ曲線により前記近似曲線を生成する際に、前記エッジ部の輪郭線の前記始点Aにおける接線上に前記制御点Z1が存在するように、当該制御点Z1の位置の移動を行い、前記エッジ部の輪郭線の前記終点Eにおける接線上に前記制御点Z2が存在するように、当該制御点Z2の位置の移動を行うことにより前記近似曲線を生成することを特徴とする請求項5または6に記載の画像処理方法。
【請求項8】
前記画像データのエッジ部の輪郭線を分割するセグメント分割ステップを有し、
前記セグメント分割ステップは、前記画像データのエッジ部の輪郭線を当該輪郭線の頂点と右端点と最下点と左端点において分割し、
前記フィッティング処理ステップは、ベジェ曲線により前記近似曲線を生成する際に、当該ベジェ曲線の始点を前記輪郭線の頂点としたときは、当該ベジェ曲線の終点を前記輪郭線の終点を右端点とし、当該ベジェ曲線の始点を前記輪郭線の右端点としたときは、当該ベジェ曲線の終点を前記輪郭線の終点を最下点とし、当該ベジェ曲線の始点を前記輪郭線の最下点としたときは、当該ベジェ曲線の終点を前記輪郭線の終点を左端点とし、当該ベジェ曲線の始点を前記輪郭線の左端点としたときは、当該ベジェ曲線の終点を前記輪郭線の終点を頂点とすることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項9】
画像処理装置を、
画像データのエッジ部を近似する近似曲線をベジェ曲線により生成するフィッティング処理手段として機能させ、
前記フィッティング処理手段は、ベジェ曲線により前記近似曲線を生成する際に、当該ベジェ曲線の始点をAとし、当該ベジェ曲線の終点をEとし、前記始点Aにおける当該ベジェ曲線の接線上に存在する当該ベジェ曲線の制御点をZ1とし、前記終点Eにおける当該ベジェ曲線の接線上に存在する当該ベジェ曲線の制御点をZ2としたときに、閉曲線AZ1Z2Eが1組の四角形を形成し、線分AZ1と線分Aのなす角度が0度より大きく、180度未満となり、線分EZ2と線分EAのなす角度が0度より大きく、180度未満となり、線分Z1Aと線分Z1Z2のなす角度が0度より大きく、180度未満となり、線分Z2Eと線分Z2Z1のなす角度が0度より大きく、180度未満となるように前記制御点Z1、Z2の位置の移動を行うことにより前記近似曲線を生成することを特徴とするプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−28632(P2011−28632A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175434(P2009−175434)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】