説明

画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム

【課題】同じような構図で撮影した場合であっても、多彩な画像処理効果を容易に得る。
【解決手段】制御部(CPU)20は、シャッタ半押し状態で、画像取得部10、アナログ信号処理部15でリアルタイムで取り込まれるスルー画像上の複数の箇所における、デジタルカメラから対象物までの距離(距離情報)、合焦程度(合焦情報)、顔認証(顔情報)を取得し、シャッタ全押し時に、画像データと、そのときの複数の箇所における特徴パラメータとを取り込んで画像メモリ31に保存する。また、制御部(CPU)20は、これら特徴パラメータと予め設定されている順位とに従って、画像データ内の複数の箇所に対して順位付けを行い、該順位付けに従って、処理程度を変えて画像処理(モザイク、ぼかしなど)を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、デジタルカメラにおいて、撮影画像から人物の顔を検出し、該顔部分に対して輪郭強調処理、それ以外にはボカシ処理といった主被写体とそれ以外を分けて画像処理を施す技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、主被写体とそれ以外とを自動的に特定する技術として、撮影画面上で複数の箇所を測距し、主被写体を含む対象物までの距離を検出し、該距離に応じてボカシ処理や、輪郭強調の程度を変える技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−257585号公報
【特許文献2】特開2003−087545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、単純に、特定人物の顔に輪郭強調処理を施したり、対象物までの距離に応じてボカシ処理や、輪郭強調の程度を変えるだけであり、同じような構図で撮影した場合には、いつも同じような画像処理が施されるだけであり、バリエーションに欠けるという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、同じような構図で撮影した場合であっても、多彩な画像処理効果を容易に得ることができる画像処理装置、画像処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的達成のため、請求項1記載の発明は、撮影された画像中の複数の箇所を順位付けする順位付け手段と、前記順位付け手段により施された順位付けに基づいて、前記画像中の複数の箇所に対して、所定の画像処理を施す画像処理実行手段とを備えることを特徴とする画像処理装置である。
【0008】
また、好ましい態様として、例えば請求項2記載のように、請求項1に記載の画像処理装置において、前記画像中の複数の箇所の特徴パラメータを取得する特徴パラメータ取得手段を備え、 前記順位付け手段は、前記特徴パラメータ取得手段により取得された複数の箇所の特徴パラメータに基づいて、前記画像中の複数の箇所に対して順位付けすることを特徴とする。
【0009】
また、好ましい態様として、例えば請求項3記載のように、請求項2に記載の画像処理装置において、前記特徴パラメータと、該特徴パラメータに対してどのように順位付けを施すかを示す複数組の順位付け情報とを対応付けて記憶する順位付け記憶手段と、前記順位付け記憶手段に記憶されている複数組の順位付け情報から1組の順位付け情報を選択する選択手段とを備え、前記順位付け手段は、前記選択手段により選択された順位付け情報と前記特徴パラメータ取得手段により取得された画像中の複数の箇所の特徴パラメータとに基づいて、前記画像中の複数の箇所を順位付けすることを特徴とする。
【0010】
また、好ましい態様として、例えば請求項4記載のように、請求項2または3に記載の画像処理装置において、記特徴パラメータ取得手段は、少なくとも、前記画像中の複数の箇所の撮影位置からの距離を示す距離情報、前記画像中の複数の箇所における合焦度合、前記画像中の複数の箇所に対する顔認識により特定された人物情報のいずれか1つを取得することを特徴とする。
【0011】
また、好ましい態様として、例えば請求項5記載のように、請求項1乃至4に記載の画像処理装置において、前記画像処理実行手段は、ぼかし処理、モザイク処理、ホワイトバランス処理、色処理、階調処理、輸郭強調処理のいずれかを実行することを特徴とする。
【0012】
また、上記目的達成のため、請求項6記載の発明は、撮影された画像中の複数の箇所を順位付けする順位付けステップと、前記順位付けに基づいて、前記画像中の複数の箇所に対して、所定の画像処理を施す画像処理実行ステップとを含むことを特徴とする画像処理方法である。
【0013】
また、好ましい態様として、例えば請求項7記載のように、請求項6記載の画像処理方法において、前記画像中の複数の箇所の特徴パラメータを取得する特徴パラメータ取得ステップを含み、前記順位付けステップは、前記取得された特徴パラメータに基づいて、前記画像中の複数の箇所に対して順位付けすることを特徴とする。
【0014】
また、好ましい態様として、例えば請求項8記載のように、請求項7記載の画像処理方法において、前記特徴パラメータと、該特徴パラメータに対してどのように順位付けを施すかを示す複数組の順位付け情報とを対応付けて記憶する順位付け記憶ステップと、前記記憶されている複数組の順位付け情報から1組の順位付け情報を選択する選択ステップとを含み、前記順位付けステップは、前記選択された順位付け情報と前記取得された画像中の複数の箇所の特徴パラメータとに基づいて、前記画像中の複数の箇所を順位付けすることを特徴とする。
【0015】
また、好ましい態様として、例えば請求項9記載のように、請求項7または8に記載の画像処理方法において、前記特徴パラメータ取得ステップは、少なくとも、前記画像中の複数の箇所の撮影位置からの距離を示す距離情報、前記画像中の複数の箇所における合焦度合、前記画像中の複数の箇所に対する顔認識により特定された人物情報のいずれか1つを取得することを特徴とする。
【0016】
また、好ましい態様として、例えば請求項10記載のように、請求項6乃至9に記載の画像処理方法において、前記画像処理実行ステップは、ぼかし処理、モザイク処理、ホワイトバランス処理、色処理、階調処理、輸郭強調処理のいずれかを実行することを特徴とする。
【0017】
また、上記目的達成のため、請求項11記載の発明は、撮影された画像に対して所定の画像処理を施す画像処理装置のコンピュータに、撮影された画像中の複数の箇所を順位付けする順位付け機能、前記順位付けに基づいて、前記画像中の複数の箇所に対して、所定の画像処理を施す画像処理実行機能、を実行させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、同じような構図で撮影した場合であっても、多彩な画像処理効果を容易に得ることができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態によるデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による、対象物までの距離と該距離に応じて施される画像処理の順位との対応関係を示す概念図である。
【図3】本実施形態による、対象物の合焦度合と該合焦度合に応じて施される画像処理の順位との対応関係を示す概念図である。
【図4】本実施形態による、顔認識と該顔認識に応じて施される画像処理の順位との対応関係を示す概念図である。
【図5】本実施形態において、各順位と画像処理の程度との対応関係を示す概念図である。
【図6】本実施形態において、各々、距離、合焦程度、顔認識に対して、例えば、AutoAが設定された場合の画像処理の程度を示す概念図である。
【図7】本実施形態のデジタルカメラにおいて、検出すべき特徴パラメータ、実行すべき画像処理、及び順位を設定する際の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】本実施形態のデジタルカメラによる撮影時の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】本実施形態のデジタルカメラによる、動作の一例を説明するための概念図である。
【図10】本実施形態のデジタルカメラによる、動作の一例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0021】
A.実施形態の構成
図1は、本発明の実施形態によるデジタルカメラの構成を示すブロック図である。図において、画像取得部10は、レンズ11、シャッタ12、LPF13からなる。レンズ11は、通常の光学レンズであり、非球面レンズを重ねたレンズ群からなる。シャッタ12は、シャッタボタンが操作されると、制御部20によって駆動されるドライバ14により動作する、所謂メカニカルシャッタである。なお、デジタルカメラによっては、メカニカルシャッタを備えない場合もあり、沈胴式のレンズ構造、メカニカルズームを搭載する機種の場合、これらの駆動制御もドライバ14で行なう。LPF13は、水晶ローパスフィルタであり、モアレの発生を防ぐために搭載されている。
【0022】
次に、アナログ信号処理部15は、撮像センサ(CCD,CMOS)16、サンプリング/信号増幅処理部17、A/Dコンバータ18からなる。撮像センサ16は、被写体画像(イメージ)を結像し、RGBの各色の光の強さを、電流値に変換する。サンプリング/信号増幅処理部17は、ノイズや色むらを抑えるための相関二重サンプリング処理や信号増幅処理を行なう。A/Dコンバータ18は、アナログフロントエンドとも呼ばれ、サンプリング・増幅したアナログ信号をデジタル信号に変換する(RGB,CMYG各色について12bitデータに変換してバスラインに出力する)。
【0023】
次に、制御部(CPU)20は、後述するプログラムメモリ30に格納されるプログラムを実行してデジタルカメラ(撮像装置)の全体を制御する。特に、本実施形態では、制御部(CPU)20は、シャッタ半押し状態で、画像取得部10、アナログ信号処理部15でリアルタイムで取り込まれるスルー画像上の複数の箇所における、デジタルカメラから対象物までの距離(距離情報)、合焦程度(合焦情報)、顔認証(顔情報)(これらを総称して特徴パラメータとする)を取得し、シャッタ全押し時に、画像取得部10、アナログ信号処理部15でリアルタイムで取り込まれた画像データと、そのときの複数の箇所における特徴パラメータとを取り込んで画像メモリ31に保存する。
【0024】
また、制御部(CPU)20は、これら特徴パラメータと予め設定されている順位とに従って、画像データ内の複数の箇所に対して順位付けを行い、該順位付けに従って、処理程度を変えて画像処理(モザイク処理、ぼかし処理など)を施すようになっている。この画像処理は、撮影時に行うようにしてもよいし、撮影した画像データを再生するときに行うようにしてもよい。なお、上記予め設定されている順位については後述する。
【0025】
プレビューエンジン22は、録画モード(記録モード、撮影モードともいう)において、画像取得部10、アナログ信号処理部15を介して入力されたデジタルデータ、もしくはシャッタ操作検出直後、イメージバッファ26に格納されたデジタルデータ、および、画像メモリ31に格納されたデジタルデータを表示部25に表示させるために間引き処理を行なう。
【0026】
D/Aコンバータ23は、プレビューエンジン22により間引き処理されたデジタルデータを変換し、後段のドライバ24に出力する。ドライバ24は、後段の表示部25に表示されるデジタルデータを一時記憶するバッファ領域を備え、キー操作部27、制御部20を介して入力された制御信号に基づいて表示部25を駆動させる。表示部25は、カラーTFT液晶や、STN液晶などからなり、スルー画像や、撮影後の画像データ、設定メニューなどを表示する。
【0027】
イメージバッファ26は、アナログ信号処理部15、もしくはデジタル信号処理部28を介して入力され、デジタル信号処理部28に渡すまで一時的に撮影直後のデジタルデータを格納する。キー操作部27は、シャッタボタンを含め、記録/再生モードの切り換えキー、十字キー、メニューキー等などの各種操作キーなどからなる。デジタル信号処理部28は、アナログ信号処理部15を介して入力されたデジタルデータ(非圧縮のRAWイメージデータ)に対して、ホワイトバランス処理、色処理、階調処理、輸郭強調、モザイク処理、ぼかし処理などを行なう。画像圧縮/伸張処理部29は、デジタル信号処理部28を介して入力されたデジタルデータ(非圧縮のRAWイメージデータ)をJPEG方式に圧縮符号化したり、再生モードにおいては、JPEG形式のファイルを伸張する。
【0028】
プログラムメモリ30は、制御部20にロードされる各種プログラムなどを格納する。画像メモリ31は、各種ファイル形式に変換されたデジタルデータを格納する。カードI/F32は、外部記録媒体33と撮像装置本体との間のデータ交換を制御する。外部記録媒体33は、コンパクトフラッシュ(登録商標)、メモリースティック、SDカード等からなる。
【0029】
マイクロフォン36は、動画撮影時などに音声を入力する。スピーカ37は、動画再生時などに音声を出力する。音声処理部38は、所定のコーディックにより符号化(圧縮)/復号化(伸張)などを行うことにより、スピーカ37へ出力する音声データのアナログ化、マイクロフォン36からの音声信号のデジタル化などを行う。
【0030】
次に、図2は、本実施形態による、対象物までの距離と該距離に応じて施される画像処理の順位との対応関係を示す概念図である。順位には、予め設定されているAutoA〜Dとユーザが任意に設定可能なマニュアルとがある。AutoA〜Dのいずれを設定するかは、ユーザにより変更可能である。例えば、AutoAの場合、対象物までの距離が0〜2mまでは順位「1」、2〜∞までは順位「4」が設定されている。つまり、距離が0〜2mまでの対象物に対しては、「1」に順位付けされ、2〜∞までの対象物に対しては、「4」に順位付けされる。
【0031】
同様に、AutoBの場合、対象物までの距離が0〜2mまでは「1」、2〜5mまでは「2」、5〜15mまでは「3」、15〜∞までは「4」が設定されている。つまり、距離が0〜2mまでの対象物に対しては、「1」に順位付けされ、2〜5mまでの対象物に対しては、「2」に順位付けされ、5〜15の対象物に対しては、「3」に順位付けされ、15〜∞までの対象物に対しては、「4」に順位付けされる。以下、AutoC、AutoDについても同様である。マニュアルでは、各距離に対して任意の順位が設定可能である。
【0032】
次に、図3は、本実施形態による、対象物の合焦度合と該合焦度合に応じて施される画像処理の順位との対応関係を示す概念図である。順位には、予め設定されているAutoA〜Dとユーザが任意に設定可能なマニュアルとがある。AutoA〜Dのいずれを設定するかは、ユーザにより変更可能である。例えば、AutoAの場合、対象物の合焦度合が(−80%以下)−40%までには「3」、(100%以下)−80%までには「2」、100%には「1」、(100%以上)+120%までには「2」、(+120%以上)+160%までには「3」が設定されている。
【0033】
つまり、合焦程度が100%の対象物に対しては、「1」に順位付けされ、(100%以下)−80%まで、及び(100%以上)+120%までの対象物には、「2」に順位付けされ、(−80%以下)−40%まで、及び(+120%以上)+160%までの対象物には、「3」に順位付けされる。同様に、AutoBの場合、合焦程度が100%の対象物に対しては、「2」に順位付けされ、それ以外の対象物に対しては、「1」に順位付けされる。以下、AutoC、AutoDについても同様である。マニュアルでは、各合焦程度に対して任意の順位が設定可能である。
【0034】
次に、図4は、本実施形態による、顔認識と該顔認識に応じて施される画像処理の順位との対応関係を示す概念図である。順位には、予め設定されているAutoA〜Dとユーザが任意に設定可能なマニュアルとがある。AutoA〜Dのいずれを設定するかは、ユーザにより変更可能である。例えば、AutoAの場合、人物「A」さんの顔である認識された対象物に対しては、「1」に順位付けされ、人物「B」さんの顔である認識された対象物に対しては、「2」に順位付けされ、人物「C」さんの顔である認識された対象物に対しては、「3」に順位付けされ、人物「D」さんの顔である認識された対象物に対しては、「4」に順位付けされる。
【0035】
なお、図2乃至図4に示す特徴パラメータの分割数や、順位は、一例であり、必要に応じて、適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0036】
次に、図5は、本実施形態において、各順位と画像処理の程度との対応関係を示す概念図である。上述した順位には、画像処理の程度が対応付けられている。画像処理としてモザイク処理の場合、「1」に順位付けされた対象物には「−(なし)」、「2」に順位付けされた対象物には「2(2ピクセルを1ピクセルに)」、「3」に順位付けされた対象物には「4(4ピクセルを1ピクセルに)」、「4」に順位付けされた対象物には「8(8ピクセルを1ピクセルに)」が対応付けられている。つまり、「1」に順位付けされた対象物には、モザイク処理は施されず、「2」、「3」、「4」に順位付けされた対象物には、その順位に応じて強いモザイク処理が施される。
【0037】
同様に、画像処理としてぼかし処理の場合、「1」に順位付けされた対象物には「−(なし)」、「2」に順位付けされた対象物には「弱」、「3」に順位付けされた対象物には「中」、「4」に順位付けされた対象物には「強」が対応付けられている。つまり、「1」に順位付けされた対象物には、ぼかし処理は施されず、「2」、「3」、「4」に順位付けされた対象物には、「3」に順位付けされた対象物に対する画像処理の程度「中」を基準として、「2」に順位付けされた対象物には「中」より弱いぼかし処理が施され、「4」に順位付けされた対象物には「中」より強くぼかし処理が施される。
【0038】
なお、図5に示す画像処理の程度は、一例であり、必要に応じて、あるいは画像処理の内容に応じて適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0039】
次に、図6(a)〜(c)は、本実施形態において、各々、距離、合焦程度、顔認識に対して、例えば、AutoAが設定された場合の画像処理の程度を示す概念図である。対象物までの距離に対しては、図6(a)に示すように、AutoAが設定された場合、ぼかし処理であれば、0〜2mまでの対象物は「1」に順位付けされているので無処理であり、2〜∞までの対象物は「4」に順位付けされていので強いぼかし処理が施される。
【0040】
同様に、モザイク処理であれば、0〜2mまでの対象物は「1」に順位付けされているので無処理であり、2〜∞までの対象物は「4」に順位付けされていので8ピクセルを1ピクセルとする、強いモザイク処理が施される。
【0041】
対象物の合焦度合に対しては、図6(b)に示すように、AutoAが設定された場合、ぼかし処理であれば、合焦程度が100%の対象物は「1」に順位付けされるので無処理であり、(100%以下)−80%まで、及び(100%以上)+120%までの対象物は「2」に順位付けされるので弱いぼかし処理が施され、(−80%以下)−40%まで、及び(+120%以上)+160%までの対象物は「3」に順位付けされるので中程度(基準値)のぼかし処理が施される。
【0042】
同様に、モザイク処理であれば、合焦程度が100%の対象物は「1」に順位付けされるので無処理であり、(100%以下)−80%まで、及び(100%以上)+120%までの対象物は「2」に順位付けされるので2ピクセルを1ピクセルとする、弱いモザイク処理が施され、(−80%以下)−40%まで、及び(+120%以上)+160%までの対象物は「3」に順位付けされるので4ピクセルを1ピクセルとする、やや強いモザイク処理が施される。
【0043】
また、対象物の顔認識に対しては、図6(c)に示すように、AutoAが設定された場合、ぼかし処理であれば、人物「A」さんの顔である認識された対象物は「1」に順位付けされるので無処理であり、人物「B」さんの顔である認識された対象物は「2」に順位付けされるので弱いぼかし処理が施され、人物「C」さんの顔である認識された対象物は「3」に順位付けされるので中程度(基準)のぼかし処理が施され、人物「D」さんの顔である認識された対象物は「4」に順位付けされるので強くぼかし処理が施される。
【0044】
同様に、モザイク処理であれば、人物「A」さんの顔である認識された対象物は「1」に順位付けされるので無処理であり、人物「B」さんの顔である認識された対象物は「2」に順位付けされるので2ピクセルを1ピクセルとする、弱いモザイク処理が施され、人物「C」さんの顔である認識された対象物は「3」に順位付けされるので4ピクセルを1ピクセルとする、やや強いモザイク処理が施され、人物「D」さんの顔である認識された対象物は「4」に順位付けされるので8ピクセルを1ピクセルとする、強いモザイク処理が施される。
【0045】
B.実施形態の動作
次に、上述した実施形態の動作について説明する。
図7は、本実施形態のデジタルカメラにおいて、検出すべき特徴パラメータ、実行すべき画像処理、及び順位を設定する際の動作を説明するためのフローチャートである。ユーザが設定モードを選択すると、まず、特徴パラメータの設定(特徴パラメータの設定操作)であるか否かを判断し(ステップS10)、特徴パラメータの設定が指示された場合には、選択すべき特徴パラメータとして、距離、合焦度合、及び顔認識のいずれかを選択させ(ステップS12)、選択された特徴パラメータを検出すべき特徴パラメータとして設定する(ステップS14)。次に、全ての設定が終了したか否か(設定モードの終了操作)を判断し(ステップS32)、設定モードの終了操作がない場合には、ステップS10に戻る。
【0046】
また、特徴パラメータの設定でない場合には、画像処理の設定(画像処理の設定操作)であるか否かを判断し(ステップS16)、画像処理の設定が指示された場合には、選択すべき画像処理として、モザイク処理、またはぼかし処理のいずれかを選択させ(ステップS18)、選択された画像処理を、実行すべき画像処理として設定する(ステップS20)。次に、上述したステップS32で、全ての設定が終了したか否か(設定モードの終了操作)を判断し、設定モードの終了操作がない場合には、ステップS10に戻る。
【0047】
また、特徴パラメータでも、画像処理の設定でもない場合には、順位の設定(順位の設定操作)であるか否かを判断し(ステップS22)、順位の設定が指示された場合には、予め設定されている順位から選択するか、マニュアルで設定するかを判断する(ステップS24)。そして、予め設定されている順位から選択することが指示された場合には、現在設定されている画像処理で設定可能な上述したAutoA〜AutoDのいずれかを選択させ(ステップS26)、選択された順位を適用すべき順位として設定する(ステップS30)。なお、デフォルトとして、AutoAが設定されているものとする。次に、上述したステップS32で、全ての設定が終了したか否か(設定モードの終了操作)を判断し、設定モードの終了操作がない場合には、ステップS10に戻る。
【0048】
一方、マニュアル設定が指示された場合には、キー操作部27からの入力に従って順位を決定し(ステップS28)、該決定した順位を適用すべき順位として設定する(ステップS30)。次に、上述したステップS32で、全ての設定が終了したか否か(設定モードの終了操作)を判断し、設定モードの終了操作がない場合には、ステップS10に戻る。一方、設定モードの終了操作があった場合には、当該処理を終了する。
【0049】
図8は、本実施形態のデジタルカメラによる撮影時の動作を説明するためのフローチャートである。ユーザにより撮影モードが選択されると、まず、画像取得部10、アナログ信号処理部15でリアルタイムで取り込まれるスルー画像を表示部25に表示し(ステップS40)、シャッタが半押しされたか否かを判断する(ステップS42)。そして、シャッタが半押しされない場合には、ステップS40へ戻り、スルー画像の表示を継続する。
【0050】
一方、シャッタが半押しされると、オートフォーカスエリアの対象物に自動的に合焦するオートフォーカス処理を実行し(ステップS44)、露出を調節する露出処理を実行する(ステップS46)。該オートフォーカスや、露出の状態は、表示部25にリアルタイムで表示される。次に、画像取得部10、アナログ信号処理部15でリアルタイムで取り込まれるスルー画像から、設定内容に応じて特徴パラメータ(距離、合焦度合、顔認識)を取得する(ステップS48)。次に、シャッタが全押しされたか否かを判断し(ステップS50)、シャッタが全押しされない場合には、ステップS40に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0051】
したがって、シャッタが全押しされず、半押し状態が継続している間は、画像取得部10、アナログ信号処理部15でリアルタイムで取り込まれるスルー画像から、設定内容に応じて特徴パラメータ(距離、合焦度合、顔認識)を取得する動作を継続する。
【0052】
そして、シャッタが全押しされると、画像取得部10、アナログ信号処理部15でリアルタイムで取り込まれる画像データとともに、特徴パラメータ(距離、合焦度合、顔認識)を画像メモリ31に保存する(ステップS52)。次に、特徴パラメータと予め設定されている順位とに基づいて、撮影された画像データの各部を順位付けし(ステップS54)、該順位付けに基づいて、撮影された画像データの各部に対して、予め設定されている画像処理を実施する(ステップS56)。
【0053】
次に、ユーザ操作により撮影モードが終了したか否かを判断し(ステップS58)、終了操作がない場合には、ステップS40に戻り、上述した処理を繰り返す。一方、終了操作があった場合には、当該処理を終了する。
【0054】
例えば、図9(a)に示すように、特徴パラメータとして「距離」、順位としてAutoA、画像処理として「ぼかし」が設定され、図10に示すように、人物A(1.5m)、B(4m)、C(8m)がカメラから徐々に離れるような位置で撮影された場合には、人物Aを含む同距離に位置する対象物の順位は「1」、人物B、Cを含む同距離に位置する対象物の順位は「4」となる。したがって、人物Aを含む同距離に位置する対象物に対しては、ぼかし処理が施されず(無処理)、人物B、Cを含む同距離に位置する対象物に対しては、強いぼかし処理が施されることになる。
【0055】
また、図9(b)に示すように、特徴パラメータとして「顔認識」、順位としてAutoB、画像処理として「モザイク」が設定され、図10に示すような画像が得られた場合には、人物Aの順位は「4」、人物Bの順位は「1」、人物Cの順位は「2」となる。したがって、人物Aに対しては、8ピクセルを1ピクセルとする、強いモザイク処理が施され、人物Bに対しては、モザイク処理が施されず(無処理)、人物Cに対しては、2ピクセルを1ピクセルとする、弱いモザイク処理が施されることになる。
【0056】
上述した実施形態によれば、撮影画像の各部に対して、各部の特徴パラメータに基づいて順位付けし、該順位付けに基づいて撮影画像の各部に画像処理を施すようにしたので、特徴パラメータや、順位付け方法、実施する画像処理を適宜変更することで、多彩な画像処理効果を得ることができる。例えば、特定の距離に位置する被写体や、特定の合焦度合にある被写体、あるいは特定の人物を、強調したり、ぼかしたり、モザイクをかけたりと、撮影目的や、撮影状況に応じた画像処理を容易に施すことができる。また、ユーザは、画像処理の具体値や、単位などを熟知していなくても、処理程度を考慮した順位を指定するだけでよいので、容易に多彩な画像処理効果を得ることができる。
【0057】
なお、上述した実施形態では、撮影時に画像処理を施すようにしたが、これに限らず、撮影時には、特徴パラメータとともに画像データを保存しておき、再生時に、適用する順位を選択し、特徴パラメータに基づいて再生する画像データの各部における順位を特定し、該順位に基づいて画像処理を施すようにしてもよい。
【0058】
また、上述した実施形態では、画像処理として、ぼかし処理、モザイク処理を挙げたが、これに以外にも、ホワイトバランス処理や、色処理、階調処理、輸郭強調処理などを実行するようにしてもよい。
【0059】
また、上述した実施形態では、1つの特徴パラメータを取得し、その特徴パラメータに基づいて画像の各部に順位付けするようにしたが、2つ以上の特徴パラメータ、例えば、顔認識と距離、顔認識と合焦度合などを組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 画像取得部
11 レンズ
12 シャッタ
13 LPF
14 ドライバ
15 アナログ信号処理部
16 撮像センサ
17 サンプリング/信号増幅処理部
18 A/Dコンバータ
20 制御部(CPU)
22 プレビューエンジン
23 D/Aコンバータ
24 ドライバ
25 表示部
26 イメージバッファ
27 キー操作部
28 デジタル信号処理部
29 画像圧縮/伸張処理部
30 プログラムメモリ
31 画像メモリ
32 カードI/F
33 外部記録媒体
38 音声処理部
36 マイクロフォン
37 スピーカ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影された画像中の複数の箇所を順位付けする順位付け手段と、
前記順位付け手段により施された順位付けに基づいて、前記画像中の複数の箇所に対して、所定の画像処理を施す画像処理実行手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像中の複数の箇所の特徴パラメータを取得する特徴パラメータ取得手段を備え、 前記順位付け手段は、
前記特徴パラメータ取得手段により取得された複数の箇所の特徴パラメータに基づいて、前記画像中の複数の箇所に対して順位付けすることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記特徴パラメータと、該特徴パラメータに対してどのように順位付けを施すかを示す複数組の順位付け情報とを対応付けて記憶する順位付け記憶手段と、
前記順位付け記憶手段に記憶されている複数組の順位付け情報から1組の順位付け情報を選択する選択手段と
を備え、
前記順位付け手段は、
前記選択手段により選択された順位付け情報と前記特徴パラメータ取得手段により取得された画像中の複数の箇所の特徴パラメータとに基づいて、前記画像中の複数の箇所を順位付けすることを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記特徴パラメータ取得手段は、
少なくとも、前記画像中の複数の箇所の撮影位置からの距離を示す距離情報、前記画像中の複数の箇所における合焦度合、前記画像中の複数の箇所に対する顔認識により特定された人物情報のいずれか1つを取得することを特徴とする請求項2または3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像処理実行手段は、
ぼかし処理、モザイク処理、ホワイトバランス処理、色処理、階調処理、輸郭強調処理のいずれかを実行することを特徴とする請求項1乃至4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
撮影された画像中の複数の箇所を順位付けする順位付けステップと、
前記順位付けに基づいて、前記画像中の複数の箇所に対して、所定の画像処理を施す画像処理実行ステップと
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
前記画像中の複数の箇所の特徴パラメータを取得する特徴パラメータ取得ステップを含み、
前記順位付けステップは、
前記取得された特徴パラメータに基づいて、前記画像中の複数の箇所に対して順位付けすることを特徴とする請求項6記載の画像処理方法。
【請求項8】
前記特徴パラメータと、該特徴パラメータに対してどのように順位付けを施すかを示す複数組の順位付け情報とを対応付けて記憶する順位付け記憶ステップと、
前記記憶されている複数組の順位付け情報から1組の順位付け情報を選択する選択ステップと
を含み、
前記順位付けステップは、
前記選択された順位付け情報と前記取得された画像中の複数の箇所の特徴パラメータとに基づいて、前記画像中の複数の箇所を順位付けすることを特徴とする請求項7記載の画像処理方法。
【請求項9】
前記特徴パラメータ取得ステップは、
少なくとも、前記画像中の複数の箇所の撮影位置からの距離を示す距離情報、前記画像中の複数の箇所における合焦度合、前記画像中の複数の箇所に対する顔認識により特定された人物情報のいずれか1つを取得することを特徴とする請求項7または8に記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記画像処理実行ステップは、
ぼかし処理、モザイク処理、ホワイトバランス処理、色処理、階調処理、輸郭強調処理のいずれかを実行することを特徴とする請求項6乃至9に記載の画像処理方法。
【請求項11】
撮影された画像に対して所定の画像処理を施す画像処理装置のコンピュータに、
撮影された画像中の複数の箇所を順位付けする順位付け機能、
前記順位付けに基づいて、前記画像中の複数の箇所に対して、所定の画像処理を施す画像処理実行機能、
を実行させることを特徴とするプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−232961(P2010−232961A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78170(P2009−78170)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】