説明

画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム

【課題】フレーム間の相関を用いた画像情報圧縮によって符号化されて記録された動画から、ノイズ劣化の少ない高画質の静止画を生成することができる画像処理装置、画像処理方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】撮像装置1は、圧縮処理された圧縮データを復号する復号部として機能する画像処理部126と、外部からの指示に基づき、又は自動的に、画像処理部126から出力されるフレーム画像列から、2以上のフレーム画像を選択フレーム画像として選択するフレーム選択部と、フレーム選択部が選択した選択フレーム画像をフィルタ処理することにより一のフレーム画像を生成するフィルタ処理部とを有し、フィルタ処理部は、圧縮処理で生じたノイズの大きさに基づき、異なる重み係数を使用したフィルタ処理を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画像から静止画を取得するための画像処理装置、画像処理方法、及びプログラムに関し、特に、複数枚のフレーム画像から静止画を取得するための画像処理装置、画像処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のデジタルビデオカメラでは、撮像系を通して入力される、時系列に連続する複数のフレーム画像データ(あるいはフィールド画像データ)を、MPEG(Moving Picture Experts Group)−2やH.264/AVCなどのフレーム間の相関を用いた画像情報圧縮処理の符号化を行って記録媒体に記録している。
【0003】
MPEG−2の動画像データは、フレーム内のみの相関を利用してフレーム内圧縮を行ったIピクチャ(Intra Picture:フレーム内符号化画像)と、時間的に前のピクチャとの間で動き補償フレーム間予測を行って、フレーム間の相関を利用した圧縮を行ったPピクチャ(Predictive coded:フレーム間順方向予測符号化画像)と、さらに複数のピクチャとの間で動き補償フレーム間予測を行って、フレーム間の相関を利用した圧縮を行ったBピクチャ(Bi-directionally predictive coded:双方向予測符号化画像)とで構成される。さらに、H.264/AVCでは、Bピクチャは、双予測ピクチャ(Bi-predictive Picture)とされ、MPEG−2の場合は、前と後のピクチャを参照するのに対して、H.264/AVCの場合は、前と後でもよく、前と前でもよく、後と後でもよいというように自由度を高めている
【0004】
図5は、MPEG−2におけるフレーム構造を示す図である。図5に示すように、時系列に連続する複数のフレームのそれぞれがI、P、Bピクチャとして扱われる。図中の矢印は動き補償フレーム間予測の方向を示したもので、Pピクチャは時間的に前のPピクチャ又はIピクチャから予測される。Bピクチャは、時間的に前と後ろのPピクチャ又はIピクチャから動き補償フレーム間予測される。一般に、Iピクチャは最も細かい量子化ステップで量子化され、Pピクチャはより粗く、Bピクチャはさらに粗い量子化ステップで量子化されることが多い。
【0005】
また、H.264/AVCでは、Iピクチャ、Pピクチャ、Bピクチャの構造に加えて、1枚のフレーム画像を複数の領域(スライスと呼ぶ)に分割して、スライス単位でIスライス、Pスライス、Bスライスとすることができる。この場合も、一般にIスライスは最も細かい量子化ステップで量子化され、Pスライスはより粗く、Bスライスはさらに粗い量子化ステップで量子化されることが多い。
【0006】
なお、量子化ステップはマクロブロックと呼ばれる画素ブロック単位で異なる値とされる。したがって、1つのピクチャ内でも比較的細かい量子化ステップで量子化されたマクロブロックと、比較的荒い量子化ステップで量子化されたマクロブロックとが混在する。
【0007】
ところで、従来から、動画用に記録された信号やデジタルデータの一部を抽出して、別途静止画を生成するビデオカメラレコーダーが製品化されている。このような装置においては、記録された動画像データを再生しながら、ユーザによって選択された1枚のフレーム画像を選択し、静止画として抽出することが考えられる。
【0008】
これに対し、動画像から静止画像を取得する際に、複数枚のフレーム画像を抽出し、その複数枚のフレーム画像から静止画像を得る装置が従来提案されている。例えば、特許文献1には、動画像の表示中にユーザから入力される一時停止指示操作が検出されると、動画像に代えて、複数の静止画像のうち少なくとも2以上の静止画像を合成した一時停止表示用合成画像を表示モニタに表示させる一時停止表示制御手段を有する撮像装置が開示されている。
これは、通常の静止画像の鑑賞では像流れのない鮮明な画像が好まれる一方で、動画像再生中に一時停止して静止画像を観賞する場合は、像流れのある画像の方が動きに流れが生じるので好ましいことがあるため、そのような静止画を取得することを目的としたものである。
【0009】
さらに、特許文献1においては、動画再生に用いる合成画像の生成時に加算するフレーム数を「3」に設定した場合、中心のフレームを基準画像とし、基準画像に対して時間軸方向で前(過去)と後(未来)との1フレーム分ずつを補間画像に設定し、画像の加算比率を「0.25:0.5:0.25」に設定する。この特許文献1に記載の撮像装置のおいては、動きベクトルの大きさ(換言すれば被写体の動き量)に応じて、合成画像を生成する際の加算枚数や加算比率を制御している。これにより、画像ファイルを動画再生するときには、加算フレーム数及び加算比率のデータを参照することで、動画再生に適した合成画像を容易に生成することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−045619号公報
【特許文献2】特開2008−003674号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】大久保 榮監修「改訂版H.264/AVC教科書(インプレス標準教科書シリーズ)」、インプレス社(2006年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、動画像中から1つのフレーム画像を静止画として取り出すと、撮像素子によるノイズ成分が動画像より目立ちやすいという問題点がある。これは、動画像では人間の時間軸方向の視覚が鈍感であるため、つまり動画像ではフレーム間の補間を行っているため、動画像の方が1フレーム中のノイズ成分が見えにくくなるためと考えられる。特に、撮影環境が暗かった場合には、各フレーム画像のノイズ成分が大きくなる。これは、撮像素子の各セルに入射する光量が少ないために、光電変換の出力が小さく、ノイズに埋もれてしまうためである。
【0013】
更に、ユーザが選択したフレーム画像がBピクチャであった場合、他のピクチャよりも粗い量子化ステップで量子化しているため、量子化によるノイズ成分による劣化も目だってしまう。
【0014】
また、H.264/AVCでは、デブロッキング・フィルタ処理が行われる場合がある。これは、ブロック歪みと呼ばれるノイズを緩和するために、ブロック境界に平滑化フィルタをかけるものである。このデブロッキング・フィルタは、ブロック歪みを緩和する一方で、本来の画像データの高域成分を減衰させてしまうという弊害を起こすこともある。デブロッキング・フィルタの強度はスライス単位で可変であり、個々のブロック境界の画素にフィルタ処理が行われるか否かは、周辺ブロックを含めたブロックの属性で決定される。
【0015】
特許文献1の目的とは異なるが、特許文献1に記載の撮像装置のように、複数枚の静止画像を合成することで、上述の画像に含まれるノイズ成分を相殺することができる。しかしながら、量子化によるノイズ成分や、デブロッキング・フィルタによるブロック歪は、単に複数のフレーム画像を単純に合成したのみでは、取り除くことができない。
【0016】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、フレーム間の相関を用いた画像情報圧縮によって符号化されて記録された動画から、ノイズ劣化の少ない高画質の静止画を生成することができる画像処理装置、画像処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る画像処理装置は、圧縮処理された圧縮データを復号する復号部と、外部からの指示に基づき、又は自動的に、前記復号部から出力されるフレーム画像列から、2以上のフレーム画像を選択フレーム画像として選択するフレーム選択部と、前記フレーム選択部が選択した選択フレーム画像をフィルタ処理することにより一のフレーム画像を生成するフィルタ処理部とを有し、前記フィルタ処理部は、前記圧縮処理で生じたノイズの大きさに基づき、異なる重み係数を使用したフィルタ処理を実施することを特徴とするものである。
【0018】
本発明においては、動画像から複数フレームを選択して1枚の静止画像を生成するに当たり、例えば、量子化ノイズ及びデブロッキング・フィルタによる減衰ノイズ等の圧縮処理で生じたノイズの大きさに基づき、異なる重み係数を使用したフィルタ処理を実施することにより、撮像素子に基づくノイズと共に、圧縮時のノイズを低減することができる。
【0019】
また、前記復号部は、異なる量子化ステップを使用して圧縮処理された圧縮データを復号するものであって、前記フィルタ処理部は、前記選択フレーム画像の圧縮時の量子化ステップに基づき、異なる重み係数を使用したフィルタ処理を実施することができる。これにより、量子化ノイズを低減することができる。
【0020】
さらに、前記フィルタ処理部は、デブロッキング・フィルタ処理で使用するFIR(Finite Impulse Response Filter)フィルタ処理の有無に応じて異なる重み係数を使用することができ、これにより、撮像素子によるノイズと共に減衰ノイズを低減することができる。
【0021】
本発明に係る他の画像処理装置は、圧縮処理された圧縮データを復号する復号部と、外部からの指示に基づき、又は自動的に、前記復号部から出力されるフレーム画像列から、2以上のフレーム画像を選択フレーム画像として選択するフレーム選択部と、前記フレーム選択部が選択した選択フレーム画像をフィルタ処理することにより一のフレーム画像を生成するフィルタ処理部とを有し、記フィルタ処理部は、前記選択フレーム画像が、Iピクチャ若しくはスライス(Intra Picture or slice:フレーム内符号化画像)、Pピクチャ若しくはスライス(Predictive coded Picture or slice:フレーム間順方向予測符号化画像)又はBピクチャ若しくはスライス(双方向予測ピクチャ Bi-directional Predictive Picture or slice若しくは双予測ピクチャ Bi-predictive Picture or slice)のいずれであるかを示すピクチャタイプ若しくはスライスタイプに応じて異なる重み係数を使用したフィルタ処理を実施することを特徴とするものである。
【0022】
また、前記Iピクチャ若しくはスライス、前記Pピクチャ若しくはスライス及び前記Bピクチャ若しくはスライスの重み係数をそれぞれKi、Kp、Kbとした場合、Ki、Kp、Kbは下記を満たすものとすることができる。つまり、Iピクチャ又はスライスは画質が最もよいため、重み係数を最も大きくし、Bピクチャ又はスライスは画質が最も悪いので、重み係数を最も小さいものとすることで、より効率よく量子化ノイズを低減する。
Ki≧Kp≧Kb
かつ
Ki=Kp=Kbを含まない
【0023】
また、前記フィルタ処理部は、画像圧縮時の圧縮率に応じて前記重み係数Ki、Kp、Kbを異ならせるものであって、前記圧縮率が高い場合は、各重み係数の比率が1から離れる値とし、前記圧縮率が低い場合は、各重み係数の比率が1に近くなる値となるよう設定することができる。ピクチャ毎に重み係数を異ならせると共に、圧縮率に応じて、同じピクチャ内でも異なる重み係数を採用することで、より効率よく量子化ノイズを低減することができる。
【0024】
具体的には、前記フィルタ処理部は、前記デブロッキング・フィルタ処理で使用するFIRフィルタのタップ数に基づき、前記選択フレーム毎に予め定められた異なる重み係数を使用したり、前記デブロッキング・フィルタ処理で使用するFIRフィルタ処理前後の画素値の差分の絶対値の大きさに基づいて異なる重み係数を使用したりすることができる。
【0025】
また、前記フィルタ処理部は、デブロッキング・フィルタ処理を行なわない、ブロック境界以外の画素については、マクロブロックの量子化ステップに基づき、前記選択フレーム毎に予め定められた重み係数を使用し、前記デブロッキング・フィルタ処理を実施する画素については量子化ステップ及び当該デブロッキング・フィルタ処理で使用するFIRフィルタ処理前後の画素値の差分の絶対値の大きさに応じて異なる重み係数を使用することができ、撮像素子によるノイズ、減衰ノイズ、及び量子化ノイズの各種のノイズを低減することができる。
【0026】
本発明に係る画像処理方法は、圧縮処理された圧縮データを復号する復号工程と、外部からの指示に基づき、又は自動的に、前記復号部から出力されるフレーム画像列から、2以上のフレーム画像を選択フレーム画像として選択するフレーム選択工程と、前記フレーム選択工程にて選択された選択フレーム画像をフィルタ処理することにより一のフレーム画像を生成するフィルタ処理工程とを有し、前記フィルタ処理工程では、前記選択フレーム画像が、Iピクチャ若しくはスライス(Intra Picture or slice:フレーム内符号化画像)、Pピクチャ若しくはスライス(Predictive coded Picture or slice:フレーム間順方向予測符号化画像)又はBピクチャ若しくはスライス(双方向予測ピクチャ Bi-directional Predictive Picture or slice若しくは双予測ピクチャ Bi-predictive Picture or slice)のいずれであるかを示すピクチャタイプ若しくはスライスタイプに応じて異なる重み係数を使用したフィルタ処理を実施することを特徴とするものである。
【0027】
本発明に係るプログラムは、圧縮処理された圧縮データを復号する復号処理と、外部からの指示に基づき、又は自動的に、前記復号部から出力されるフレーム画像列から、2以上のフレーム画像を選択フレーム画像として選択するフレーム選択処理と、前記フレーム選択処理にて選択された選択フレーム画像をフィルタ処理することにより一のフレーム画像を生成するフィルタ処理とを実行させ、前記フィルタ処理では、前記選択フレーム画像が、Iピクチャ若しくはスライス(Intra Picture or slice:フレーム内符号化画像)、Pピクチャ若しくはスライス(Predictive coded Picture or slice:フレーム間順方向予測符号化画像)又はBピクチャ若しくはスライス(双方向予測ピクチャ Bi-directional Predictive Picture or slice若しくは双予測ピクチャ Bi-predictive Picture or slice)のいずれであるかを示すピクチャタイプ又はスライスタイプに応じて異なる重み係数を使用したフィルタ処理を実行させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、フレーム間の相関を用いた画像情報圧縮によって符号化されて記録された動画から、ノイズ劣化の少ない高画質の静止画を生成することができる画像処理装置、画像処理方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる撮像装置の一例を示した外観図である
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる撮像装置を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかる撮像装置における静止画像データ生成手順を示すフローチャートである。
【図4】MPEG−2におけるフレーム構造を示す図である。
【図5】(b)はユーザによって選択されたフレーム画面を示す図であり、(b)はその前後のフレーム画面のうちの1つを示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の第3の変形例における撮像装置を示すブロック図である。
【図7】1つのフレームが2つのスライスに分割されている例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態おける撮像装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0031】
この実施の形態は、本発明を、動画像から複数枚のフレーム画像を選択して1枚の静止画像を生成する際に、圧縮処理で生じたノイズの大きさに基づき、異なる重み係数を使用したフィルタ処理を実施する画像処理装置に適用したものである。
【0032】
上述したように、本願発明者は、鋭意実験研究し、複数枚のフレーム画像を単純に平均化処理しても撮像素子に基づくランダムなノイズを除去することはできても、量子化ノイズやブロック歪みを取り除けないことを知見し、圧縮処理によるノイズの大きさに基づき、異なる重み係数を使用したフィルタ処理を実施することで、動画像に生じている撮像素子によるノイズを除去すると共に圧縮処理によるノイズをも取り除くことができる方法を見出した。
【0033】
具体的に圧縮処理で生じたノイズとは、例えば、量子化ノイズやデブロッキング・フィルタによる減衰ノイズである。ここで、量子化ノイズを取り除くためには、複数のフレーム画像に対し、圧縮時の量子化ステップに基づき、異なる重み係数を使用したフィルタ処理を実施する。この場合、各選択フレーム画像について、フレーム毎、フレームに含まれるスライス毎、又はフレームに含まれるマクロブロック毎に、異なる重み係数を使用してフィルタ処理を実施することも可能である。フィルタ処理とは、例えば、量子化ステップに応じた重み係数を使用した加重平均フィルタによるものである。さらに、選択した複数のフレーム画像が、Iピクチャ、Pピクチャ、又はBピクチャのいずれかであるかを示すピクチャタイプに応じて異なる重み係数を使用することも可能である。
【0034】
また、デブロッキング・フィルタの減衰ノイズを取り除くためには、複数のフレーム画像を合成する際に、デブロッキング・フィルタ処理で使用するFIR(Finite Impulse Response Filter)フィルタ処理の有無に応じて異なる重み係数を使用することができる。また、デブロッキング・フィルタ処理で使用するFIRフィルタのタップ数に応じて異なる重み係数を使用したり、デブロッキング・フィルタ処理で使用するFIRフィルタ処理前後の画素値の差分の絶対値の大きさに応じて異なる重み係数を使用することも可能である。以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0035】
<1>本発明の第1の実施形態
本実施の形態においては、復号されたフレーム画像列から、ユーザからの指示に基づき、又は自動的に2以上のフレーム画像を選択し、これらのフレーム画像がIピクチャ、Pピクチャ、Bピクチャのいずれかであるかによって、重み係数を変えてフィルタ処理を行うことで、ノイズ劣化の少ない高画質の静止画を生成する。
【0036】
<1−1>撮像装置
先ず、本第1の実施形態にかかる撮像装置について説明する。図1は、第1の実施形態にかかる撮像装置100の一例を示した外観図である。撮像装置100は、携帯性を有し、本体102と、撮像レンズ104と、複数の操作部106と、モニタとしての液晶モニタ108とを有する。
【0037】
本体102は、撮像レンズ104を通じて撮像された画像データを再視聴可能に記録すると共に、操作部106へのユーザ入力に応じてその記録タイミングや画角を調整する。
【0038】
また、操作部106へのユーザ入力に応じて、記録した動画像データの再生や、フレーム画像の選択、及び静止画の生成が行われる。再生した動画像は、外部出力されるとともに液晶モニタ108に表示される。
【0039】
図2は、第1の実施形態にかかる撮像装置100を示すブロック図である。撮像装置100は、撮像部120と、信号処理部122と、画像記憶部124と、画像処理部126と、記録I/F(インターフェース)部128と、画像出力部130と、撮像記録再生制御部132とメイン記憶部134とを有する。なお、操作部106、信号処理部122、画像記憶部124、画像処理部126、記録I/F部128、画像出力部130、メイン記憶部134、駆動制御部154及び撮像記録再生制御部132はシステムバス136を介して接続されている。
【0040】
撮像部120は、撮像レンズ104を通じて被写体を撮像し画像データを生成する。撮像部120は、具体的に、近赤外光を遮るIR(infrared:赤外線)カットフィルタ140、ズーム機能を実現するためのズームレンズ142、焦点調整に用いられるフォーカスレンズ144、露光調整に用いられる絞り146、撮像レンズ104を通じて入射する被写体像等の光を光電変換し画像信号を生成するCCD(Charge Coupled Devices)等で構成される撮像素子(撮像回路)148、撮像素子148からの画像信号を増幅する増幅器150、増幅された画像信号をデジタルの画像データに変換するA/D(アナログディジタル)変換器152、ズームレンズ142、フォーカスレンズ144及び絞り146の駆動を制御する駆動制御部154、及びその駆動回路156を有する。
【0041】
信号処理部122は、入力された信号に対して輝度信号や色信号を形成するなどの信号処理を行ってカラー映像信号を形成し、画像記憶部124に伝達する。また、画面の平均輝度を求めるなどして、その結果を撮像記録再生制御部132へ出力する。
【0042】
画像記憶部124は、SDRAM(Synchronous-DRAM)等のバッファメモリで構成され、画像データを一時的に記憶し、画像処理部126等にその画像データを参照させることができる。
【0043】
画像処理部126は、画像記憶部124からの動画像データをMPEG−2、MPEG−4、H.264/AVC等の形式で圧縮して記録用のデータを生成する。また、画像処理部126は、画像記憶部124からの静止画像をJPEG(Joint Photographic Experts Group)等の形式で圧縮して記録用のデータを生成する。さらに、画像処理部126は、撮像記録再生制御部132の指示により画像データを縮小して表示用画像(ビュー画像)を生成する。一方、記録したデータを再生する際には、画像処理部126は、圧縮された記憶用データを伸長復元する処理を実行する。
【0044】
記録I/F部128は、符号化処理を通じ画像データを符号化して記録信号(データストリーム)を生成し、その記憶信号を任意の記録媒体160に記録する。任意の記録媒体160としては、DVDやBDといった電源不要な媒体や、RAM、EEPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD等の電源を要する媒体を適用することができる。また、SDカードなどの外部から接続可能な別体の記録媒体を用いることもできる。
【0045】
駆動制御部154は、撮像記録再生制御部132からの指示を受けて、ズームレンズ142、フォーカスレンズ144及び絞り146の駆動を制御する。
【0046】
メイン記憶部134は、撮像記録再生制御部132で処理されるプログラムなどを記憶する。
【0047】
撮像記録再生制御部132は、半導体集積回路により撮像装置100全体を管理及び制御し、撮像などに必要となる各種演算を実行する。また、撮像記録再生制御部132は、静止画像生成部133としても機能する。
【0048】
記録された動画像データから静止画像を生成する場合、記録媒体160にある動画像データを記録I/F部128経由で読み出して、画像処理部126で圧縮データの伸張復元を行って、その結果のフレーム画像を画像記憶部124に格納する。ユーザ操作に基づいて選択された、あるフレーム画像とその前後の複数のフレーム画像が画像記憶部124に格納される。また、各フレーム画像がI、P、Bピクチャのいずれのピクチャタイプで符号化されていたかという情報も格納される。
【0049】
静止画像生成部133は、フレーム選択部201及びフィルタ処理部202を有し、画像記憶部124に格納されている複数のフレーム画像に対して、フィルタ処理の一種である動き補償重み付き平均処理を行って静止画データを生成する。
【0050】
<1−2>静止画像生成部の構成
次に、静止画像生成部133の詳細について説明する。図2に示すように、静止画像生成部133は、フレーム選択部201及びフィルタ処理部202を有する。フレーム選択部201は、外部からの指示に基づき、又は自動的に、圧縮処理された圧縮データを復号する復号部として機能する画像処理部126から出力されるフレーム画像列から、2以上のフレーム画像を選択フレーム画像として選択する。この選択フレーム画像は、時間軸に対して連続するフレーム画像であっても、不連続のフレーム画像であってもよい。フィルタ処理部202は、フレーム選択部201が選択した選択フレーム画像をフィルタ処理することにより一のフレーム画像を生成する処理部である。このフィルタ処理部202は、圧縮処理で生じたノイズの大きさに基づき、異なる重み係数を使用したフィルタ処理を実施する。具体的には、フレーム選択部201が選択した複数のフレーム画像のそれぞれが、Iピクチャ、Pピクチャ、Bピクチャのいずれかであるかによって、重み係数を変えて加重平均フィルタにより静止画像データを生成する。
【0051】
<1−3>静止画像データ生成動作
次に、静止画像データ生成手順について説明する。図3は、静止画像データ生成手順を示すフローチャートである。操作部106に対するユーザ操作によって、撮像装置100は静止画データ生成モードになり、画像処理を開始する。
【0052】
図3に示すように、画像処理を開始すると、ユーザ操作に基づくフレーム画像の選択が行われる。フレーム画像の選択は、動画像をスロー再生やコマ送り再生しながら、ユーザが操作部106を操作することで行われる(ステップS200)。
【0053】
フレーム画像が選択されると、そのフレーム画像は、画像記憶部124に記憶される。また、そのフレーム画像の時系列で直前の2枚と直後の2枚のフレーム画像が伸張復元されて、画像記憶部124に記憶される。また、これら計5枚のフレーム画像のピクチャタイプ情報が選択されて画像記憶部124に記憶される(ステップS201)。
【0054】
図4は、MPEG−2におけるフレーム構造を示す図である。ここで、ユーザ操作に基づいて選択されたフレーム画像が、図4の矢印で示したフレーム画像であるとする。ここでは、B(2)で表す。直前の2枚はIピクチャとBピクチャであり、I(1)とB(1)で表す。直後の2枚はPピクチャとBピクチャであり、P(1)とB(3)で表す。
【0055】
Iピクチャに対する重み係数をKi、Pピクチャに対する重み係数をKp、Bピクチャに対する重み係数をKbとする。ここで、Ki≧Kp≧Kbで、Ki=Kp=Kb ではない数値である。
【0056】
各フレームの画素を、pI(1)、pB(1)、pB(2)、pP(1)、pB(3)で表す。5枚のピクチャを通じて被写体が静止していると見なされた場合には、フレーム画像の各画素について、次のように以下の式(1)に基づき重み付き平均化処理を行って静止画の各画素pSを算出する。
pS=(Ki×pI(1)+Kb×pB(1)+Kb×pB(2)+Kp×pP(1)+Kb×pB(3))/(Ki+Kb+Kb+Kp+Kb)・・・(1)
【0057】
<1−4>動き補償の重み付き平均化処理
次に、被写体に動きがあると見なされた場合の処理について、図5を参照して説明する。図5(b)はユーザによって選択されたフレーム画面303であり、図5(a)に示すフレーム画像301はフレーム画像303の前後のフレーム画面のうちの1つである。図5(a)の画面左上にある四角形の灰色物体302が、図5(b)では少し右側に移動している(304)。灰色物体302を除いた背景は静止しているものとする。図5(a)と図5(b)のフレーム画面301、303から灰色物体302の動きベクトルVが算出される。動きベクトルVの算出は、勾配法やマッチング法などの公知の方法で行われる(例えば特許文献2)。
【0058】
上記(1)式の重み付き平均化処理を行うに当たって、灰色物体302に属する画素については、図5(b)のフレーム画像304の画素に対して、図5(a)では動きベクトルVだけ移動した画素302を用いて演算を行う。つまり、灰色物体302については、フレーム画像301内の灰色物体302と、フレーム画像303内の物体304とで、上記(1)式の演算を実施する。一方、静止している背景に属する画素については、画面内の同じ位置の画素を用いて演算を行う。また、図5(b)で、灰色物体302が移動したことにより新たに出現した領域Gは、図5(a)には相当する画素が存在しないので、図5(a)のフレーム画像301に相当する重み係数を0として、上記(1)式の演算を行う。演算結果の静止画は、画像記憶部124に格納する(ステップS220)。画像記憶部124に格納された静止画は、画像処理部126で読み出されて、JPEG符号化され、記録媒体160に記録される(ステップS230)。以上で静止画データ生成手順が終了する。
【0059】
本実施の形態においては、複数枚のフレーム画像から1枚の静止画を生成するため、撮像素子に基づくノイズを低減できると共に、Iピクチャ、Pピクチャ、Bピクチャの各ピクチャタイプに応じて異なる重み係数を使用したフィルタ処理を実施することにより、量子化によって生じる量子化ノイズを低減することができる。
【0060】
<1−5>第1の変形例
次に、第1の実施形態の第2の変形例について説明する。上記の第1の実施形態においては、動き補償の重み付き平均化処理について説明したが、動き適応の重み付き平均化処理としてもよい。動き適応の場合、静止していないと見なされる部分の画素について、演算対象から除外する。図5の例では、例えば、図5(b)のフレーム画像303をユーザが選択したフレーム画像とすると、図5(a)のフレーム画像301と図5(b)のフレーム画像303で動きのある領域(G、304)に属する図5(a)のフレーム画像301の画素については、重み係数を0として上記(1)式の演算を行う。その他の画素については、画面内の同じ位置の画素を用いて演算を行う。画質の点では、動き補償を行った方がよいが、動き適応の方が処理手段である回路の規模を小さくできるという利点がある。
【0061】
<1−6>第2の変形例
次に、第1の実施形態の第2の変形例について説明する。フレーム選択部201は、所定速度以上のズーム操作又はパンチルト操作が行われたフレーム画像については、選択フレーム画像から除外するようにすることができる。すなわち、動画の撮影中に比較的動きの速いズーム操作やパンチルト操作が行われた場合に、それらのフレーム画像を除外する。これは、比較的動きの速いズーム操作やパンチルト操作が行われていた場合、動き補償が適正に行われなくなるからである。
【0062】
例えば、図4において、例えば5枚のフレーム画像を選択する場合、ユーザ操作に基づいて選択されたフレーム画像よりも後ろのフレーム画像において、比較的動きの速いズーム操作やパンチルト操作が行われていた場合には、前2枚+後ろ2枚の代わりに、前4枚とする。比較的動きの速いズーム操作やパンチルト操作が行われていたか否かの判定は、フレーム選択部201は、フレーム画像全体の動きベクトルの平均値が所定値以上であるフレーム画像については、選択フレーム画像から除外するようにしてもよいし、フレーム画像に基づいて動きベクトルを算出して判断してもよいし、撮影時の操作情報を動画ストリームに格納し、再生時に選択するようにしてもよい。
【0063】
<1−7>第3の変形例
次に、第3の変形例について説明する。図6は、第1の実施形態の第3の変形例における撮像装置100aを示すブロック図である。図6に示すように、静止画像生成部133は、図2の構成に加えて、対象物検出部203を有する。この対象物検出部203は、圧縮処理された圧縮データを復号する復号部として機能する画像処理部126から出力されるフレーム画像列に含まれる2以上のフレーム画像に特定の対象物画像が含まれるか否かを検出する。そして、フレーム選択部201は、対象物検出部203の検出結果に基づき、対象物が含まれる2以上のフレームを選択フレーム画像として選択する。
【0064】
たとえば、対象物検出部203は、動画内のユーザの笑顔を自動検出し、ユーザの笑顔が含まれているフレーム画像を選択することができる。また、笑顔以外でも、ユーザの設定に応じて、他の対象物を含んでいる場合に自動的にフレーム選択するようにしてもよい。これにより、ユーザは、所望の静止画を動画像からユーザの選択ではなく、自動で取得することができ、より操作性が向上する。
【0065】
<1−8>その他の変形例
次に、選択フレームが5枚のフレーム画像からなる場合について説明する。先ず、フレーム選択部201は、選択フレーム画像に1以上のIピクチャが含まれるように選択することができる。つまり、5枚のフレーム画像の中に必ずIピクチャが含まれるように、フレーム画像選択を限定する。例えば、図4において、ユーザの指示により、1番目のPピクチャが選択された場合には、フレーム選択部201は、前3枚、後ろ1枚のピクチャを選択フレーム画像とすることにより、選択フレーム画像にIピクチャを含めることができる。
【0066】
選択フレーム画像にIピクチャを含めることにより、画質的にはIピクチャが最もよいため、静止画の画質を向上することができる。同様に、Bピクチャの画質は、Iピクチャ又はPピクチャの画質より劣るため、フレーム選択部201におけるフレーム画像選択では、I又はPピクチャに限定して選択するようし、Bピクチャについては重み付き平均化処理から除外することで、生成する静止画の画質を向上することができる。なお、本例では、静止画像生成部133が、5枚の選択フレームを使用して重み付き平均化処理を行うものとしたが、選択フレームは、5枚以外の枚数でもよいことは言うまでもない。
【0067】
また、上記第1の実施形態及び変形例では、フレーム画像を例にとって説明したが、インターレス走査の映像データの場合には、フィールド画像としてもよい。その場合、フレーム画像の場合と同様の処理を行ってもよい。又は、奇数フィールドは奇数フィールドのみで動き補償の重み付き平均化処理を行って画像を作成し、偶数フィールドは偶数フィールドのみで動き補償の重み付き平均化処理を行って画像を作成して、最後にIP変換して静止画像を生成するようにしてもよい。
【0068】
さらに、フィルタ処理部201は、画像圧縮時の圧縮率に応じて重み係数Ki、Kp、Kbを異ならせる、すなわち、値の比率を異ならせることができる。この場合、圧縮率が高い場合は、各重み係数の比率が1から離れる値とし、圧縮率が低い場合は、各重み係数の比率が1に近くなる値となるよう設定することができる。
【0069】
すなわち、圧縮率が比較的小さい場合に、Ki、Kp、Kbが比較的近い値になるようにする。例えば、{1、0.9、0.8}等である。一方、圧縮率が比較的大きい場合には、Ki、Kp、Kbの値の比率に差がつくようにする。例えば、{1、0.7、0.3}等である。圧縮率が比較的小さい場合には、Pピクチャ、及びBピクチャの量子化ノイズの量が比較的小さいため、Pピクチャ、Bピクチャの画素の値の混合比率を大きくしても、量子化ノイズの影響を受けにくいからである。
【0070】
<2>本発明の第2の実施形態
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、本発明を、H.264/AVC規格で規格化されているIスライス、Pスライス、Bスライスからなる動画像から静止画像を生成する撮像装置に適用したものである。
【0071】
図7は、1つのフレームが2つのスライスに分割されている例を示す図である。この場合、第1の実施形態においてピクチャとしたものを、本実施形態においては、スライスとする。
【0072】
本実施形態においては、撮像装置の構成は、図2に示す第1の実施形態にかかる撮像装置の構成と同様であって、図3に示す静止画生成部においては、フレーム選択部をスライス選択部とする。図8は、本第2の実施形態における撮像装置100bを示す図である。図8に示すように、図2に示すフレーム選択部201の代わりに、スライス選択部204を有している。スライス選択部204は、外部からの指示に基づき、又は自動的に、圧縮処理された圧縮データを復号する復号部として機能する画像処理部126から出力されるフレーム画像列から、2以上のスライス画像、好ましくは4以上のスライス画像を選択スライス画像として選択する。フィルタ処理部202は、スライス選択部204が選択した選択スライス画像をフィルタ処理することにより一のフレーム画像を生成する処理部である。このフィルタ処理部202は、圧縮処理で生じたノイズの大きさに基づき、異なる重み係数を使用したフィルタ処理を実施する。具体的には、スライス選択部204が選択した複数のスライス画像のそれぞれが、Iスライス、Pスライス、Bスライスのいずれかであるかによって、重み係数を変えて加重平均フィルタにより静止画像データを生成する。
【0073】
本第2の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様の効果を奏する。さらに、上述の第1乃至第3の変形例並びにその他の変形例についても、本実施の形態で適用可能である。
【0074】
<3>本発明の第3の実施形態
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第1の実施形態では、I、P、Bの各ピクチャタイプに画質が依存するものとしたが、より詳細には、画質は、各マクロブロックの量子化ステップの大きさに依存している。
【0075】
そこで、記録した動画像データを再生して伸張復元する際に、各フレーム画像の全マクロブロックの量子化ステップを抽出して、図2に示す画像記憶部124に格納する。量子化ステップの値に対応して、重み係数Kを決めておく。量子化ステップが大きくなるほど、重み係数Kが小さくなるように決める。そして、第1の実施形態においては、ピクチャタイプに応じた重み係数を使用したのに対し、本実施形態においては、マクロブロックの量子化ステップに応じた重み係数を使用するものとする。
【0076】
本実施形態においては、撮像装置の構成は、図2に示す第1の実施形態にかかる撮像装置の構成と同様であって、静止画生成部の構成も、図2に示す静止画生成部と同様である。ここで、フィルタ処理部202は、フレーム選択部201が選択した選択フレーム画像をフィルタ処理することにより一のフレーム画像を生成する処理部であるが、本実施形態におけるフィルタ処理部202は、フレーム選択部201が選択した選択フレーム画像において、マクロブロックの量子化ステップに応じた重み係数を使用して、加重平均フィルタにより静止画像データを生成する。
【0077】
また、各マクロブロックの量子化ステップの代わりに、ピクチャ毎の量子化ステップの平均値を算出し、その平均値に対応してピクチャ毎の重み係数Kを決めるようにしてもよい。その場合は、フィルタ処理部202は、ピクチャタイプ毎ではなく、各ピクチャ毎に決定された重み係数を使用してフィルタ演算すればよい。
【0078】
本第3の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様の効果を奏する。さらに、上述の第1乃至第3の変形例並びにその他の変形例についても、本実施の形態で適用可能である。
【0079】
<4>本発明の第4の実施形態
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。なお、本実施の形態にかかる撮像装置及び静止画生成部の構成は、図2に示す実施の形態1にかかる撮像装置及び静止画生成部の構成と同様である。上述したように、H.264/AVCのデブロッキング・フィルタ処理は、スライス毎の設定パラメータに応じて、特定のブロック境界の画素について、3乃至5タップのFIRフィルタを施すものである。FIRフィルタ処理により、量子化に伴うブロック歪が軽減される。一方、FIRフィルタ処理により本来の信号の空間周波数高域成分が失われることがある。
【0080】
記録した動画像データを再生して伸張復元する際に、各フレーム画像の全ブロックの境界の画素について、どのようなFIRフィルタをかけたかの情報を抽出して、画像記憶部124に格納しておく。そして、フィルタ処理部201は、デブロッキング・フィルタ処理で使用するFIRフィルタ処理の有無に応じて異なる重み係数を使用するものとする。すなわち、どのようなFIRフィルタをかけたかに対応して、重み係数Kを決めておく。この場合、例えば、フィルタのタップ数が大きいほど、重み係数Kが小さくなるように決める。フィルタをかけていない画素の重み係数が最も大きくなるようにする。
【0081】
又は、どのようなFIRフィルタをかけたかの情報の代わりに、FIRフィルタをかける前の画素値とかけた後の画素値との差分の絶対の情報を抽出するようにしてもよい。差分の絶対値が大きいほど、重み係数Kが小さくなるように決定することができる。
【0082】
なお、どのようなFIRフィルタをかけたか、又はFIRフィルタをかける前後の差分の絶対値と、上述の第3の実施形態におけるマクロブロックの量子化ステップとの組み合わせに応じて重み係数Kを決めるようにしてもよい。すなわち、ブロック境界以外の画素についてはマクロブロックの量子化ステップに応じて重み係数Kを決める。ブロック境界については、量子化ステップに加えて、FIRフィルタをかける前後の差分の絶対値を加味して重み係数Kを決める。ブロック境界以外の画素や差分が0の画素については量子化ステップに応じた重み係数Kとし、差分が0でない画素については、その差分の絶対値に応じてさらに重み係数Kを小さくする。
【0083】
本実施の形態においては、複数枚のフレーム画像から1枚の静止画を生成するため、撮像素子に基づくノイズを低減できると共に、FIRフィルタ処理の有無に応じて異なる重み係数を使用することで、H.264/AVCのデブロッキング・フィルタ処理で生じた圧縮処理時のノイズ(デブロッキング・フィルタによる減衰ノイズ)を低減することができる。さらに、合わせて量子化ステップに応じた重み係数を使用すれば、量子化ノイズを低減することも可能となる。
【0084】
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【0085】
例えば、上述の実施の形態では、ハードウェアの構成として説明したが、これに限定されるものではなく、任意の処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。この場合、コンピュータプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0086】
100 撮像装置
102 本体
104 撮像レンズ
106 操作部
108 液晶モニタ
120 撮像部
122 信号処理部
124 画像記憶部
126 画像処理部
128 部
130 画像出力部
132 撮像記録再生制御部
133 静止画像生成部
134 メイン記憶部
136 システムバス
140 カットフィルタ
142 ズームレンズ
144 フォーカスレンズ
148 撮像素子
150 増幅器
152 変換器
154 駆動制御部
156 駆動回路I/F 記録
201 フレーム選択部
202 フィルタ処理部
203 対象物検出部
204 スライス選択部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮処理された圧縮データを復号する復号部と、
外部からの指示に基づき、又は自動的に、前記復号部から出力されるフレーム画像列から、2以上のフレーム画像を選択フレーム画像として選択するフレーム選択部と、
前記フレーム選択部が選択した選択フレーム画像をフィルタ処理することにより一のフレーム画像を生成するフィルタ処理部とを有し、
前記フィルタ処理部は、前記圧縮処理で生じたノイズの大きさに基づき、異なる重み係数を使用したフィルタ処理を実施することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記復号部は、異なる量子化ステップを使用して圧縮処理された圧縮データを復号し、
前記フィルタ処理部は、前記選択フレーム画像の圧縮時の量子化ステップに基づき、異なる重み係数を使用したフィルタ処理を実施することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記フィルタ処理部は、デブロッキング・フィルタ処理で使用するFIRフィルタ処理に応じて異なる重み係数を使用することを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項4】
圧縮処理された圧縮データを復号する復号部と、
外部からの指示に基づき、又は自動的に、前記復号部から出力されるフレーム画像列から、2以上のフレーム画像を選択フレーム画像として選択するフレーム選択部と、
前記フレーム選択部が選択した選択フレーム画像をフィルタ処理することにより一のフレーム画像を生成するフィルタ処理部とを有し、
前記フィルタ処理部は、前記選択フレーム画像が、Iピクチャ若しくはスライス、Pピクチャ若しくはスライス又はBピクチャ若しくはスライスのいずれであるかを示すピクチャタイプ若しくはスライスタイプに応じて異なる重み係数を使用したフィルタ処理を実施することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
前記Iピクチャ若しくはスライス、前記Pピクチャ若しくはスライス及び前記Bピクチャ若しくはスライスの重み係数をそれぞれKi、Kp、Kbとした場合、Ki、Kp、Kbは下記を満たすことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
Ki≧Kp≧Kb
かつ
Ki=Kp=Kbを含まない
【請求項6】
前記フィルタ処理部は、画像圧縮時の圧縮率に応じて前記重み係数Ki、Kp、Kbを異ならせるものであって、前記圧縮率が高い場合は、各重み係数の比率が1から離れる値とし、前記圧縮率が低い場合は、各重み係数の比率が1に近くなる値となるよう設定ことを特徴とする請求項4又は5記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記フィルタ処理部は、前記選択フレーム画像を動き適応又は動き補償の重み付き平均化処理することにより前記一のフレーム画像を生成することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記フィルタ処理部は、前記デブロッキング・フィルタ処理で使用するFIRフィルタのタップ数に基づき、前記選択フレーム毎に予め定められた異なる重み係数を使用することを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記フィルタ処理部は、前記デブロッキング・フィルタ処理で使用するFIRフィルタ処理前後の画素値の差分の絶対値の大きさに基づき、前記選択フレーム毎に予め定められた重み係数を使用することを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記フィルタ処理部は、デブロッキング・フィルタ処理を行なわない、ブロック境界以外の画素については、マクロブロックの量子化ステップに基づき、前記選択フレーム毎に予め定められた重み係数を使用し、前記デブロッキング・フィルタ処理を実施する画素については量子化ステップ及び当該デブロッキング・フィルタ処理で使用するFIRフィルタ処理前後の画素値の差分の絶対値の大きさから選択される1以上に応じて異なる重み係数を使用することを特徴とする請求項3、8、及び9のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項11】
圧縮処理された圧縮データを復号する復号工程と、
外部からの指示に基づき、又は自動的に、前記復号部から出力されるフレーム画像列から、2以上のフレーム画像を選択フレーム画像として選択するフレーム選択工程と、
前記フレーム選択工程にて選択された選択フレーム画像をフィルタ処理することにより一のフレーム画像を生成するフィルタ処理工程とを有し、
前記フィルタ処理工程では、前記選択フレーム画像が、Iピクチャ若しくはスライス、Pピクチャ若しくはスライス又はBピクチャ若しくはスライスのいずれであるかを示すピクチャタイプ若しくはスライスタイプに応じて異なる重み係数を使用したフィルタ処理を実施することを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
圧縮処理された圧縮データを復号する復号処理と、
外部からの指示に基づき、又は自動的に、前記復号部から出力されるフレーム画像列から、2以上のフレーム画像を選択フレーム画像として選択するフレーム選択処理と、
前記フレーム選択処理にて選択された選択フレーム画像をフィルタ処理することにより一のフレーム画像を生成するフィルタ処理とを実行させ、
前記フィルタ処理では、前記選択フレーム画像が、Iピクチャ若しくはスライス、Pピクチャ若しくはスライス又はBピクチャ若しくはスライスのいずれであるかを示すピクチャタイプ又はスライスタイプに応じて異なる重み係数を使用したフィルタ処理を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−178713(P2012−178713A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40512(P2011−40512)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】