説明

画像処理装置、画像処理方法及びプログラム

【課題】通信時間及び電力を削減するとともに記憶領域を削減できるようにする。
【解決手段】複数のマッチング処理パターンを保持する外部記憶装置を有する画像処理装置であって、複数のマッチング処理パターンを保持する手段と、任意の入力に対し前記マッチング処理パターンの一部を適用する手段と、前記外部記憶装置から前記マッチング処理パターンの一部もしくは全部を取得する手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関し、特に、被写体を検出するために用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の被写体検出手法において、検出可能な被写体の種別に幅を持たせるための代表的な手法として以下の2つの技術があった。一つは、入力画像から部分画像を切り出し、その部分画像の特性に合わせた検出手段を複数用意することにより、様々な被写体の形状に対応できる検出手段を複数用いる手法である(例えば、特許文献1及び2参照)。また、もう一つは、複数の被写体を検出するために、どの検出手段を用いればよいかを判別できる判別手段を別途用意する手法である(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−226512号公報
【特許文献2】特開2007−128127号公報
【特許文献3】特開2007−109229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、複数の被写体検出手段を保持できるデジタルスチルカメラにおいて、ある画像から特定の被写体を検出するための被写体検出手段を探したり、保持する多くの画像に対し被写体検出手段を用いて、被写体名をタグ付けしたりする場合がある。この場合多くの検出手段を同時に保持すると多くの記憶領域が必要である。また、サーバ等から検出手段をダウンロードする場合においても、検出手段のすべてを同時にダウンロードする場合には、検出手段の容量に応じた通信時間および電力が必要となる。
【0005】
本発明は前述の問題点に鑑み、通信時間及び電力を削減するとともに記憶領域を削減できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像処理装置は、複数のマッチング処理パターンを保持する外部記憶装置を有する画像処理装置であって、複数のマッチング処理パターンを保持する手段と、任意の入力に対し前記マッチング処理パターンの一部を適用する手段と、前記外部記憶装置から前記マッチング処理パターンの一部もしくは全部を取得する手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の被写体検出手段を適用する上で、被写体検出手段の全体を保持する必要がなく、記憶領域を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】撮像装置及び外部記憶装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】画像データベースに記憶される画像の具体例を示す図である。
【図3】検出手段データベースに保持される検出手段の具体例を示す図である。
【図4】全体的な流れの一例を示すフローチャートである。
【図5】検出手段を初期化する詳細な手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】ダウンロードする詳細な手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態において、画像処理装置である撮像装置100及び外部記憶装置150の構成例を示すブロック図である。
図1において、撮像装置100はデジタルスチルカメラなどの撮像機能を持つ装置であり、画像データベース110、保持部120、適応部130及び取得部140を備えている。ここで、保持部120は、検出手段の一部もしくは全部を保持するためのものである。また、適応部130は、任意の入力に対し検出手段の一部を適応するためのものである。さらに、取得部140は、外部記憶装置150から検出手段の一部もしくは全部を取得するためのものである。
【0010】
一方、外部記憶装置150はサーバなどの記憶機能を持つ装置であり、被写体検出のための検出手段データベース160と検出手段を保持する保持部170とを備えている。また、撮像装置100及び外部記憶装置150は通信回線180によって互いに通信することができる。
【0011】
図2は、図1の画像データベース110に記憶される画像の具体例を示す図であり、撮像装置100によって撮像された複数枚の検出用画像が画像データベース110に記憶されている。図3は、図1の検出手段データベース160に保持される検出手段(マッチング処理パターン)の具体例を表したものである。図2では検出用画像の具体例として動物画像を用いているので、検出手段データベース160に記憶されているのは、犬検出手段、鳥検出手段、猿検出手段、猫検出手段などの動物を検出できる検出手段が保持されているとする。
【0012】
図4は、本実施形態の全体的な流れの一例を示すフローチャートである。
まず、図2のステップS200において、検出手段を初期化する。ここで、検出手段とは複数の弱検出手段から構成される被写体を検出するためのものであり、弱検出手段は、ブースティングのアルゴリズムに使用される比較的性能の低いものを示す。
【0013】
次に、ステップS300において、最適な検出手段の弱検出手段をダウンロードする。この処理は、撮像装置100の画像データベース110に記憶された画像内の被写体を検出するために必要な検出手段を、外部記憶装置150の検出手段データベース160からダウンロードするための処理である。
【0014】
次に、ステップS400において、ダウンロードを継続するか否かを判断する。この処理は、本実施形態の終了判定を行うための処理であり、任意の検出手段に関して全ての弱検出手段をダウンロードする、もしくは、これ以上弱検出手段のダウンロードを続けても検出結果が変わらないと判断したときに終了する。これにより、その時点で一番多くの弱検出手段をダウンロードした検出手段を最適な検出手段とする。
【0015】
図5は、図4のステップS200の検出手段を初期化する処理の詳細な手順の一例を示すフローチャートである。撮像装置100は、本実施形態の処理が始まる前の段階では、検出手段を全く保持していないので、ステップS200において始めに検出に必要な検出手段をダウンロードすることとする。
【0016】
まず、ステップS210は、すべての検出手段群について、ステップS220の処理を繰り返すための処理である。ここで、検出手段群とは、図1の外部記憶装置150の検出手段データベース160に保持されている検出手段のことであり、例えば、図3に示すような検出手段を示している。
【0017】
ステップS220においては、検出手段群中の検出手段における、最も重みの大きい弱検出手段をダウンロードする。検出手段データベース160に保持されている各検出手段は全て複数の弱検出手段から構成され、各弱検出手段は重みを保持している。ステップS220では、検出手段ごとに、その重みの最も大きな弱検出手段を1つダウンロードする。
【0018】
図6は、図4のステップS300における最適な検出手段の弱検出手段をダウンロードする詳細な手順の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS310は、以下のステップS320〜ステップS360までの処理を検出手段群におけるすべての検出手段ついて繰り返すための処理である。ここで検出手段群とは、例えば、図3で示した複数の検出手段のことであり、図1の外部記憶装置150の検出手段データベース160の備える検出手段の種類と一致する。
【0019】
次に、ステップS320は、以下のステップS330〜ステップS350までの処理を検出用画像群におけるすべての画像ついて繰り返すための処理である。ここで検出用画像群とは、図2で示した画像の集合であり、撮像装置100の画像データベース110に記憶された画像である。
【0020】
ステップS330においては、弱検出手段を処理するものであり、ある検出手段を用いて、ある画像が被写体として検出されるか否かの判定を実行する。次に、ステップS340において、被写体の検出を継続するか否かを判断する。例えば、ステップS330の結果から、被写体が検出されなかった画像に対して、これ以上ダウンロードを続けることによって被写体を検出することができるかどうかを判断する。本実施形態では、適応アルゴリズムにブースティングを想定しているので、ステップS340では、各弱検出手段の持つ重みの総和を利用して判断することが可能である。
【0021】
この判断の結果、検出を継続する場合は、再びステップS330〜ステップS350までの処理を繰り返す。一方、ステップS340の判断の結果、検出を継続しない場合は、ステップS350において、検出用画像群から画像を削除する。ステップS340においてこれ以上ダウンロードを続けても検出できないと判断された画像に関しては再度検出を行う必要がない。そのため、ステップS350では、検出用画像群から削除する。ただし、検出用画像群は検出手段ごとに所有しているとする。例えば、ステップS350において、検出手段が猿検出手段の場合、猿検出手段に属する検出用画像群から該当画像を削除するものとする。このとき、猿検出手段以外の検出手段(犬検出手段、鳥検出手段、猫検出手段)に属する検出用画像群においては削除しないものとする。
【0022】
ステップS360は、検出できた画像の枚数を求める処理であり、検出用画像群内の画像を何枚検出できたかを数えるための処理である。このとき、正しく検出できたかどうかは問わないので、例えば犬を猫と検出したとしても猫検出手段は検出することができたものして、猫検出手段の検出枚数を一枚加える。
【0023】
ステップS370においては、検出できた画像の枚数が一番多い検出手段の弱検出手段をダウンロードする。具体的にはまず、ステップS360で数えた各検出手段における検出された枚数を比較して、一番多く検出された検出手段を求める。そして、その検出手段における撮像装置100が保持していない弱検出手段の中で、重みの一番大きい弱検出手段を一つダウンロードする。このとき、ステップS360において数えた枚数が一番大きな枚数が2つあった場合は、ステップS370において両方の検出手段に対してダウンロードを実行するものとする。
【0024】
以上のように本実施形態によれば、複数の被写体検出手段を適用する上で、被写体検出手段の全体を保持する必要がなく、記憶領域を削減できる。
【0025】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0026】
120 保持部
130 適応部
140 取得部
170 保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマッチング処理パターンを保持する外部記憶装置を有する画像処理装置であって、
複数のマッチング処理パターンを保持する手段と、
任意の入力に対し前記マッチング処理パターンの一部を適用する手段と、
前記外部記憶装置から前記マッチング処理パターンの一部もしくは全部を取得する手段とを備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
複数のマッチング処理パターンを保持する外部記憶装置を有する画像処理装置の画像処理方法であって、
任意の入力に対し前記マッチング処理パターンの一部を適用する工程と、
前記外部記憶装置から前記マッチング処理パターンの一部もしくは全部を取得する工程とを備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項3】
請求項2記載の画像処理方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−48672(P2012−48672A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192794(P2010−192794)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】