説明

画像処理装置、画像処理方法及び記録媒体

【課題】色材節約処理による画質劣化を許容範囲内に留めつつ、文字画像の背景を写真画像で構成しているオリジナル画像の文字判読性の低下を抑える。
【解決手段】オリジナル画像情報取得手段によって、オリジナル画像が低線数網点画像を含まない画像種である旨の情報が取得された場合には、色材節約処理として、画像のエッジ部よりも非エッジ部の色材の節約量を多くする第1節約処理を選択する一方で、画像種情報取得手段によって低線数網点画像を含む画像種である旨の情報が取得された場合には、色材節約処理として、画像のエッジ部と非エッジ部とで色材の節約量を一様にする第2節約処理を選択する選択処理を実施し、選択処理によって選択した色材節約処理をオリジナル画像の全体に対して施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリジナル画像に対して色材を節約した条件での画像形成を可能にする色材節約処理を施す画像処理装置、画像処理方法、及びコンピュータを同画像処理装置として機能させるためのプログラムを記録した記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トナーやインク等の色材を用いて画像を形成する画像形成装置において、通常出力モードの他に、色材の使用量を節約して出力する色材節約モードを備えるものが知られている。色材節約モードの色材節約処理方法としては、各画素のデータを低濃度に変換する方法、画素を間引く方法等が知られているが、いずれも画像濃度を低下させて画像を出力するものであるため、画質を劣化させてしまうことになる。文字画像の場合には、その画質の劣化度合いによっては、文字の判読が困難になることもある。
【0003】
そこで、文字画像のエッジ部を検出し、エッジ部における色材節約量を非エッジ部における色材節約量よりも少なくすることで、文字のエッジ部を強調して文字判読性の低下を抑えるようにした色材節約処理を行う技術が知られている。しかしながら、この色材節約処理では、文字画像のみならず、写真画像に対してもシャープなエッジがあれば検出して同様の処理を行ってしまう。このため、文字画像と写真画像とが混在する画像に適用すると、写真画像内の描画物のエッジ部を強調して画質劣化を引き起こしてしまう。
【0004】
一方、特許文献1には、パソコン等から送られてくるオリジナル画像の情報に基づいて、オリジナル画像について文字領域と写真領域とを判別し、文字領域と写真領域とに対して互いに異なる内容の色材節約処理を施すプリンタが記載されている。かかる構成によれば、文字領域に対してはエッジ部を強調する色材節約処理を施して文字判読性の向上を図りつつ、写真領域に対しては領域全体で色材節約量を一様にする色材節約処理を施すことで、エッジ部を強調してしまうことによる写真画像の画質劣化を回避することが可能になる。しかしながら、オリジナル画像の情報がページ記述言語(以下、PDLという)などの描画コマンドを含むデータである場合には、文字領域と写真領域とを適切且つ迅速に判別することが可能であるが、ビットマップ画像データなどの画像データだけからなるものである場合には、文字領域と写真領域とを判別することができない。
【0005】
画像データだけからなるオリジナル画像の文字領域と写真領域とを判別するものとしては、特許文献2に記載の複写機が知られている。この複写機は、原稿の画像をスキャナによって読み取って画像データだけからなるオリジナル画像の情報を得た後、そのオリジナル画像の画像特徴量を解析した結果に基づいて、オリジナル画像における文字領域と写真領域とを判別する。そして、文字領域に対してはエッジ部を強調する色材節約処理を施す一方で、写真領域に対してはその領域全体で色材節約量を一様にする色材節約処理を施す。
【0006】
【特許文献1】特開平11−151833号公報
【特許文献2】特開2005−234391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献2には、画像特徴量の解析結果に基づいて文字領域と写真領域とを判別するための具体的方法が開示されていない。種々の公知の技術を駆使したとしても、画像データだけからなるオリジナル画像の文字領域と写真領域とを精度良く判別することは困難である。特に、文字画像の背景に写真画像が存在する場合には、文字と写真とを判別することは極めて困難であり、文字画像と、その背景にある写真画像とが混在する混在領域を全体として写真領域であると誤って判別してしまう可能性が高い。このような誤判別が起こると、前述の混在領域における文字のエッジ部を強調することができず、文字判読性を低下させてしまうことになる。
【0008】
本発明者は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、次のような画像処理装置、画像処理方法及び記録媒体を提供することである。即ち、色材節約処理による画質劣化を許容範囲内に留めつつ、文字画像の背景を写真画像で構成しているオリジナル画像の文字判読性の低下を抑えることができる画像処理装置等である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、オリジナル画像の情報を取得するオリジナル画像情報取得手段と、画像形成に用いられる色材の使用量を節約する色材節約モードか否かを設定する節約モード設定手段と、該節約モード設定手段によって該色材節約モードが設定された場合に、該オリジナル画像に対して色材を節約した条件での画像形成を可能にする色材節約処理を施す色材節約処理手段とを備える画像処理装置において、
上記オリジナル画像について、低線数網点画像を含む画像種であるか否かの情報を取得する画像種情報取得手段を設け、
該画像種情報取得手段によって低線数網点画像を含まない画像種である旨の情報が取得された場合には、上記色材節約処理として、画像のエッジ部よりも非エッジ部の色材の節約量を多くする第1節約処理を選択する一方で、該画像種情報取得手段によって低線数網点画像を含む画像種である旨の情報が取得された場合には、上記色材節約処理として、画像のエッジ部と非エッジ部とで色材の節約量を一様にする第2節約処理を選択する選択処理を実施し、該選択処理によって選択した色材節約処理を上記オリジナル画像の全体に対して施すように、上記色材節約処理手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像処理装置において、上記オリジナル画像について、少なくとも、低線数網点画像を含まない画像種であるのか、低線数網点画像を含む画像種であるのか、あるいは文字画像のみを含む画像種であるのかをそれぞれ区別し得る情報を取得するように上記画像種情報取得手段を構成するとともに、上記選択処理として、上記オリジナル画像について、低線数網点画像を含まない画像種である旨の情報が該画像種情報取得手段によって取得された場合には上記第1節約処理を選択し、低線数網点画像を含む画像種である旨の情報が該画像種情報取得手段によって取得された場合には上記第2節約処理を選択し、且つ、文字画像のみを含む画像種である旨の情報が該画像種情報取得手段によって取得された場合には、画像のエッジ部と非エッジ部とで色材の節約量を一様にし且つ画像全体の色材の節約量を上記第1節約処理の非エッジ部よりも少なくする第3節約処理を選択する処理を実施するように、上記色材節約処理手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の画像処理装置において、上記オリジナル画像について、低線数網点画像を含む画像種である旨の情報が上記画像種情報取得手段によって取得された場合であっても、該情報とは別に、写真画像を含まない画像種である旨の情報が該画像種情報取得手段によって取得された場合には、上記第2節約処理の代わりに上記第1節約処理を選択する選択処理を実施するように、上記色材節約処理手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかの画像処理装置において、上記オリジナル画像について、新聞の画像である旨の情報が上記画像種情報取得手段によって取得された場合には、低線数網点画像を含む画像種であるとみなして上記第2節約処理を選択する選択処理を実施するように、上記色材節約処理手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の画像処理装置において、新聞の画像である旨の情報が上記画像種情報取得手段によって取得された場合であっても、該情報とは別に、写真画像を含まない画像種である旨の情報が該画像種情報取得手段によって取得された場合には、上記第2節約処理の代わりに上記第1節約処理を選択する選択処理を実施するように、上記色材節約処理手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかの画像処理装置において、上記オリジナル画像について、低線数網点画像を含まない画像種である旨の情報が上記画像種情報取得手段によって取得された場合であっても、該情報とは別に、写真画像のみを含む画像種である旨の情報が該画像種情報取得手段によって取得された場合は、上記第1節約処理の代わりに上記第2節約処理を選択する選択処理を実施するように、上記色材節約処理手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れかの画像処理装置において、
画像種にかかわらず上記オリジナル画像に対して上記第1節約処理を仮に施す仮節約処理手段と、該仮節約処理手段による処理後の画像について、上記オリジナル画像に対する階調の逆転を引き起こしているか否かを判定する階調逆転判定手段とを上記画像種情報取得手段に設け、該階調逆転判定手段によって階調の逆転を引き起こしていると判定された場合には、上記第2節約処理を選択する選択処理を実施するように、上記色材節約処理手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7の何れかの画像処理装置において、上記第2節約処理にて、上記オリジナル画像の低濃度部を白に変換する処理を実施するように、上記色材節約処理手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、オリジナル画像の情報を取得するオリジナル画像情報取得工程と、画像形成に用いられる色材の使用量を節約する色材節約モードか否かを設定する節約モード設定工程と、該節約モード設定工程で該色材節約モードが設定された場合に、該オリジナル画像に対して色材を節約した条件での画像形成を可能にする色材節約処理を施す色材節約処理工程とを実施する画像処理方法において、
上記オリジナル画像の画像種の情報を取得する画像種情報取得工程を設け、
上記オリジナル画像について、低線数網点画像を含まない画像種であるのか、低線数網点画像を含む画像種であるのかを区別し得る情報を取得する画像種情報取得工程を設け、
上記色材節約処理工程にて、該画像種情報取得工程で取得された情報が低線数網点画像を含まない画像種である旨の情報であった場合には、上記色材節約処理として、画像のエッジ部よりも非エッジ部の色材の節約量を多くする第1節約処理を選択する一方で、該画像種情報取得工程で取得された情報が低線数網点画像を含む画像種である旨の情報であった場合には、上記色材節約処理として、画像のエッジ部と非エッジ部とで色材の節約量を一様にする第2節約処理を選択する選択処理を実施し、該選択処理によって選択した色材節約処理を上記オリジナル画像の全体に対して施すことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、オリジナル画像の情報を取得するオリジナル画像情報取得手段、画像形成に用いられる色材の使用量を節約する色材節約モードか否かを設定する節約モード設定手段、該節約モード設定手段によって該色材節約モードが設定された場合に、該オリジナル画像に対して色材を節約した条件での画像形成を可能にする色材節約処理を施す色材節約処理手段として、コンピュータを機能させるためのプログラムを機械読み取り可能に記録した記録媒体において、
上記オリジナル画像について、低線数網点画像を含まない画像種であるのか、低線数網点画像を含む画像種であるのかを区別し得る情報を取得する画像種情報取得手段としてコンピュータを機能させるとともに、
上記色材節約処理について、画像のエッジ部よりも非エッジ部の色材の節約量を多くする第1節約処理を実施するのか、画像のエッジ部と非エッジ部とで色材の節約量を一様にする第2節約処理を実施するのかを、該画像種の情報の取得結果に応じて選択する選択処理を実施し、該選択処理によって選択した色材節約処理を上記オリジナル画像の全体に施す手段として、上記色材節約処理手段を機能させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
これらの発明においては、以下に説明する理由により、色材節約処理による画質劣化を許容範囲内に留めつつ、文字画像の背景を写真画像で構成しているオリジナル画像の文字判読性の低下を抑えることができる。
【0011】
即ち、写真画像は、フィルム現像によって得られる銀塩写真や、デジタル写真データのプリンタ出力によって得られるプリント写真などの印画紙写真画像と、印刷の分野で広く用いられている印刷写真画像とに大別される。そして、印刷写真画像は、マトリクス状に隙間なくならぶ複数の画素に対してそれぞれドットを形成することによって得られるデジタル画像ではなく、互いに所定の間隔をあけて並ぶ複数の網点領域に対してそれぞれ印刷材を点状に印刷することによって得られる網点画像として形成されるのが一般的である。本発明者は実験により、写真画像が網点画像からなる印刷写真画像よりも画質に優れた印画紙写真画像である場合には、エッジ部を強調する色材節約処理によって画質を劣化させたとしても、色材節約処理を行っていることを加味すれば、画質の劣化は概ね許容範囲内に留まることがわかった。また、画質に劣る網点画像からなる印刷写真画像であっても、150lpiや175lpiのスクリーン線数で印刷された、いわゆる高線数網点画像からなる印刷写真画像である場合にも、色材節約処理を行っていることを加味すれば、エッジ部の強調による画質劣化は、概ね許容範囲内に留まることがわかった。
一方、写真画像が、100lpi以下のスクリーン線数で印刷された、いわゆる低線数網点画像の印刷写真であると、エッジ部の強調による画質劣化に加えて、階調を逆転させてしまうことがわかった。エッジ部の強調を伴う色材節約処理を行った後には、処理前に比較的低濃度であった箇所よりも、比較的高濃度であった箇所を低濃度にしてしまうのである。このため、低線数網点画像からなる印刷写真画像に対してエッジ部を強調する色材節約処理を施すと、許容範囲内とは到底言えないレベルの画質劣化を引き起こしてしまう。
なお、文字画像と低線数網点画像で構成された写真画像が混在するものの代表例は新聞である。また、低線数網点画像であっても、写真画像のような色調変化に富むものではなく、グラフや図形などの色調変化の少ない画像であれば、エッジ部を強調する色材節約処理を施したとしても、それによって階調逆転を引き起こしてしまうことは希であることもわかった。
【0012】
本発明においては、低線数網点画像を含むオリジナル画像に対しては、色材の節約量を一様にする第2節約処理を画像領域全体に施すことで、低線数網点画像に対してエッジ部を強調する第1節約処理を施してしまうことによる階調逆転の発生を回避する。これにより、色材節約処理による画質劣化を許容範囲に留める。一方、低線数網点画像を含まないオリジナル画像に対しては、エッジ部を強調する第1節約処理を画像領域全体に施す。これにより、オリジナル画像が文字画像の背景を写真画像で構成しているものであったとしても、文字画像に対して第1節約処理を施して文字判読性の低下を抑えることができる。また、文字画像の背景を構成する写真画像は低線数網点画像ではないので、第1節約処理によってエッジ部が強調されたとしても、それによる画質劣化は許容範囲内に留まる。
よって、本発明によれば、色材節約処理による画質劣化を許容範囲内に留めつつ、文字画像の背景を写真画像で構成しているオリジナル画像の文字判読性の低下を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を画像処理装置に適用した第一の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像処理装置のブロック図である。図1のブロック図に基づき説明する。
【0014】
<スキャナ>
オリジナル画像情報取得手段としてのスキャナ10から、オリジナル画像情報としてのRGB信号からなる画像データを取得する。RGB信号はスキャナγ補正11を行い、反射率リニアな信号から濃度リニアな信号へ変換する。
【0015】
<操作パネル>
操作パネル23は、色材セーブモードON/OFFを選択して設定することができ、節約モード設定手段としての機能を有している。また、操作パネル23は、原稿種を選択して設定することができる。原稿種は <0>自動、<1>文字/写真原稿、<2>文字原稿、<3>写真原稿、<4>地図原稿、<5>新聞原稿の中から選択する。<1>文字/写真原稿を選択した場合は、さらに写真部が<1−1>印刷写真であるか<1−2>印画紙写真であるか選択する。<3>写真原稿を選択した場合も同様に、<3−1>印刷写真であるか<3−2>印画紙写真であるか選択する。
【0016】
<自動原稿種判定>
スキャナ10により取得したオリジナル画像情報としてのRGB信号に基づき自動原稿種判定22が行われる。図2は、自動原稿種判定22のブロック図である。自動原稿種判定22では、文字領域判定220により文字領域の有無を、網点領域判定221により網点領域の有無を、低線数網点領域判定222により低線数網点領域の有無を、印画紙領域判定223により印画紙領域の有無を、それぞれ判定する。これらの判定結果から、自動原稿種総合判定224にて原稿種を判定する。低線数網点領域が存在する場合は、[4]低線数網点原稿であると判定する。低線数網点領域が存在しない場合は、他の判定結果を参照して、以下のように原稿種を判定する。文字領域が存在し、かつ、網点領域が存在する場合は、[1]文字/写真原稿で写真部が[1−1]印刷写真であると判定し、文字領域が存在し、かつ、網点領域が存在せず、かつ、印画紙領域が存在する場合は、[1]文字/写真原稿で写真部が[1−2]印画紙写真であると判定する。文字領域が存在せず、かつ、網点領域が存在する場合は、[3]写真原稿で写真部が[3−1]印刷写真であると判定し、文字領域が存在せず、かつ、網点領域が存在せず、かつ、印画紙原稿が存在する場合は、[3]写真原稿で写真部が[3−1]印刷写真であると判定する。いずれにも該当しない場合は、[2]文字原稿であると判定する。
【0017】
なお、文字領域判定220は、特開平4−96571号公報に記載の、文字領域(2値領域)の画素と多値領域の画素をそれぞれ計数してその計数値に基づいて原稿種を判定する方法を用いて行う。また、網点領域判定221は、特開平7−298074号公報に記載の、網点領域の画素(ピーク画素)の計数値に基づいて原稿種を判定する方法を用いて行う。また、印画紙領域判定223は、特開平7−298074号公報に記載の、写真領域の画素(中間レベル画素)の計数値に基づいて原稿種を判定する方法を用いて行う。 低線数網点領域判定222に関しては、本実施形態の特徴部に係る部分であるので、以下に詳細を説明する。
【0018】
<低線数網点判定>
図3は、低線数網点判定222のブロック図である。色変換225にてRGBから形成画像情報を構成する色要素であるCMYへの変換を行い、CMY各色で低線数網点領域を検出してOR238にて論理輪演算を行っていずれかの色で低線数網点領域が存在すれば低線数網点領域が存在すると判定する。各色での低線数網点領域の検出は、ここではDCT(離散コサイン変換)を利用して周期を算出し100lpi以下の低線数網点を検出するものであり、平均DCT係数算出部226、227、228と、周期算出229、230、231と、中間領域検出235、236、237と、100lpi以下検出232、233、234とから構成される。なお、DCTの詳細は、例えば特開平4−21265号公報などに記載されている。
【0019】
原稿の周期性が現われるのは、主に中間部であるため、中間領域検出ではブロック内画素値の平均がある範囲(th1,th2)にある場合にのみ有効ブロックとし、該有効ブロックについて、100lpi以下の低線数網点であるか否か判定する。ハイライトやダーク部では網点の周期が正しく検出されないため、誤判定を防ぐ理由から画像のハイライト部、ダーク部は周期検出の対象としない。
【0020】
図4は、平均DCT係数算出部の処理フローチャートである。また、図5は、各DCT係数の平均化の様子を示す図である。DCTは8画素×8画素のブロック単位で行う。8ライン分の画像データをセットし(ステップ101)、ブロック内の画素値の平均値Aveを算出する(ステップ102)。すなわち、原稿の周期性が現われるのは、主に中間部(つまり、ブロック内が全て黒画素または白画素でない)であるため、ブロック内の画素値の平均がある範囲(th1,th2)にある場合にのみ有効ブロックとし(ステップ103)、2次元DCT係数を算出する(ステップ104)。各係数に加算する(ステップ105)。例えば、図5に示すように、各ブロックの同じ位置にあるDCT係数A00、B00、C00を加算する。主走査方向について上記処理を行い(ステップ107)、主走査方向の処理が終了すると(ステップ106)、副走査方向について同様の処理を行い(ステップ109)、副走査方向の処理が終了すると(ステップ108)、平均DCTを算出する(ステップ110)。図5の例では、3ブロックについての平均DCT、F00=(A00+B00+C00)/3、...、F77=(A77+B77+C77)/3を求める。
【0021】
周期算出では、原稿に特定の周期がある場合にはDCT係数にピークが現われるため、これを3×3のマスクを利用してそのピーク位置を検出する。具体的には図6に示すようなマスクを8×8の平均DCT係数全体にかけて、図6に示す式に従って、8×8の各位置でMを算出する。
【0022】
100lpi以下検出232、233、234では、最大のM値を持つピーク位置から注目原稿の周期を判定する。ここでは、該ピーク位置が存在する位置によって、図7の黒丸の位置にピーク位置があり、かつ、最大Mが所定値以上であれば、100lpi以下の低線数網点であると判定する。ピークが検出されないか、あるいは最大Mが所定値より小さいか、あるいは、ピーク位置が図7の白丸の位置にある場合には、100lpi以下の低線数網点でないと判定する。
【0023】
以上、DCTを利用した低線数網点領域判定を説明したが、これに限定されるものではなく、特開平1−133470号公報に記載されているような、例えばパターンマッチングによって、局所的に周期を持つ箇所を検出する手段を備え、検出された複数の周期の内で、最も相関のあるものをその原稿の周期と判定するように構成しても良い。
【0024】
<原稿種決定>
原稿種決定25では、操作パネル23でユーザーが選択した原稿種と自動原稿種判定22の結果とから、図8に示すように原稿種を決定する。ユーザーが選択した原稿種が<0>自動または<1>文字/写真の<1−1>印刷写真以外の場合は、ユーザーが選択したとおりの原稿種とする。<0>自動の場合は、自動原稿種判定の結果を有効にする。<1>文字/写真の<1−1>印刷写真の場合は、自動原稿種判定の結果が[4]低線数網点原稿の場合のみ自動原稿種判定の方の結果を有効にする。
【0025】
このように、原稿種を選択する操作パネル23、自動原稿種判定22、および、原稿種決定25が、画像データの原稿種を取得するオリジナル画像種情報取得手段としての機能を果たしている。
【0026】
<像域分離>
図10は、像域分離24のブロック図である。各ブロックについて説明する。
【0027】
<エッジ判定>
図11は、像域分離24のエッジ判定240のブロック図である。エッジ判定240では、3値化回路2000によって、RGB各8ビットからなる入力画像のうちG信号を2つの閾値th1およびth2(th1<th2)にて3値化する。0がシャドー側、255がハイライト側で、0≦G≦th1ならば黒画素、th1<G<th2ならば中間画素、th2≦G≦255ならば白画素とする。黒画素パターンマッチング2001では3×3のマトリクス内の黒画素パターンが図12のいずれかとマッチングしたときに注目画素を連結黒画素と判定する。白画素パターンマッチング2002も同様に白画素が図13とマッチするかどうかをみて連結白画素を判定する。計数2003と2004では、注目画素を中心とした3×3画素内で連結黒画素の数と連結白画素を計数し、計数値が一定値(例えば2)以上のとき"1"を出力し、AND2005にて両方の計数結果が"1"である場合にエッジ部であると判定する。つまり、文字の輪郭部分には連結白画素及び連結黒画素が同時に一定以上の密度で存在するという性質を利用して判定する。
【0028】
<白地判定>
図14は、像域分離24の白地判定241のブロック図である。白地判定241では、2値化2010にてG信号に対して白画素であるか黒画素であるかを2値判定する。判定した白画素でパターンマッチング2011を行い、孤立で存在する白画素の判定を覆す。具体的には図15の縦横斜め4方向の白画素連続性を見るパターンでパターンマッチングを行い、マッチすれば白画素、マッチしなければ黒画素ということにする。次に、注目画素を含む周囲11×11画素をみて、その中に1つでも白画素があれば注目画素を白画素に覆す膨張処理2012を行う。更に、注目画素を含む周囲17×17画素をみて、その中に1つでも黒画素があれば注目画素を黒画素に覆す収縮処理2013を行う。収縮処理後に白画素として残った領域が、最終的に白地判定される領域ということになる。
【0029】
<網点判定>
図16は、像域分離24の網点判定242のブロック図である。網点判定242では、 ピーク画素検出による方法を用いて行う。ピーク画素検出は、注目画素が濃度変化の山または谷を示す極点であるかどうかを、周囲の画素との濃度関係から判定するものである。M×M画素からなるブロック内において、中心画素の濃度レベルが他のすべての濃度レベルよりも高い、あるいは低いときに、数式1あるいは数式2のようにして極点かどうかを判定する。数式1によりピーク画素を検出しているのがピーク画素検出(3×3)2020、数式2によりピーク画素を検出しているのがピーク画素検出(5×5)2021である。
【数1】

【数2】

つまり、中心画素を挟んで対称の位置にある2つの画素レベルの平均値と中心画素の濃度差の絶対値が、閾値ΔmTHよりも大きいときに、中心画素をピークとして検出する。RGB各信号に対してピーク画素検出を行ってもよいが、簡略化する場合はG信号に対してピーク検出を行う。そして、ピーク画素の情報を基に、その領域が網点領域であるかどうかを判定する。OR回路2022にて2つのピーク画素検出2020と2021のうちどちらか一方でもピーク画素として検出されればピーク画素と判定し、ブロック化2023にて4×4画素からなるブロック毎にピーク画素が1つでも存在すればアクティブブロックと判定し、密度補正2024にて注目ブロックを中心とした5×5ブロック内におけるアクティブブロックを計数して計数値が所定個以上の場合に注目ブロックを網点ブロックとし、最後に膨張2025で3×3ブロックでの膨張処理を行い1つでも網点ブロックが存在すれば注目ブロックを網点領域とする。
【0030】
<色判定>
図18は、像域分離24の色判定243のブロック図である。色判定243では、有彩画素検出2030でMax(|R−G|,|G−B|,|B−R|)>th3(th3は所定の閾値)に該当する画素を有彩画素として検出し、ブロック判定2031で4×4画素からなるブロック毎に有彩画素が1つでも存在すればアクティブブロックと判定し、膨張2032で7×7ブロックでの膨張処理を行い1つでもアクティブブロックが存在すれば注目ブロックを有彩領域とする。これは色判定の方法の一例であり、網点判定のように計数処理するなどして誤判定を排除する処理を加えればより高性能に判定できる。
【0031】
<文字エッジ検出>
図19は、像域分離24の文字エッジ検出244のブロック図である。文字エッジ検出244では、エッジ判定240と白地判定241と網点判定242との結果から、白地上文字エッジ判定2040で文字エッジ候補画素を判定する。エッジかつ白地かつ非網点の場合に文字エッジ候補画素であると判定する。前述のエッジ判定240によると、内側エッジ/外側エッジともに1dotずつが文字エッジ候補画素として検出される。内外1dotずつの計2dotでは、フィルタ13の処理に対して不十分であるので、膨張(3×3)2041にて膨張処理を行いその結果を"白地上文字エッジ"とする。膨張(3×3)2041は、注目画素を中心とした3×3画素の文字エッジ候補画素を参照し、1つでも文字エッジ候補画素が存在すれば注目画素を文字エッジとする処理である。膨張量はここでは3×3であるが、スキャナの色ずれ特性やフィルタ処理での必要膨張量を考慮して5×5などにしても良い。黒文字/色文字判定2042では、文字エッジと色判定243との結果から、白地上文字エッジかつ有彩色の場合に"白地上色文字"であると判定し、白地上文字エッジかつ無彩色の場合に"白地上黒文字"であると判定する。
【0032】
<蓄積>
スキャナ10により取得してスキャナγ補正11された画像データ、原稿種決定25の結果、および、像域分離24の結果は、同期をとるため一旦それらのデータを蓄積21する。また、操作パネル23からの色材セーブモードON/OFFの情報も合わせて蓄積21する。
【0033】
<原稿種に応じた画像処理切り替え>
蓄積21された原稿種毎に、図9のように画像処理の各処理を切り替える。以下、処理毎に詳細を説明する。
【0034】
<スキャナ色補正>
スキャナ色補正12では、スキャナ特性に依存したRGB信号をスキャナに依存しないデバイス非依存のR’G’B’信号に変換する。印刷の網点パッチの色とスキャナで読み取ったR’G’B’値とが平均色差最小になるように設定した印刷用の色補正パラメータと、印画紙のパッチの色とスキャナで読み取ったR’G’B’値とが平均色差最小になるように設定した印画紙用の色補正パラメータを準備しておき、原稿種に応じて図9のとおり切り替える。
【0035】
<フィルタ>
図20は、フィルタ13のブロック図である。エッジ強調130および平滑化131の2つのフィルタ処理を行い、両者のフィルタ処理の結果を、エッジ量算出132にて検出されるエッジ量に基づく比率で合成する。原稿種に応じてエッジ強調130と平滑化131で使用するフィルタパラメータを切り替える。合成133も原稿種に応じて固定の比率で合成する(実質的にエッジ量および像域分離結果に応じた切り替えを無効にする)か、エッジ量に応じて変動比率で合成するか切り替える。原稿種が(7)低線数網点または(8)新聞の場合は固定比率で合成する。その他の原稿種で、変動比率で合成する場合は、エッジ量が大きいときはエッジ強調130の出力結果の割合が大きくなるように、エッジ量が小さいときは平滑化131の出力結果の割合が大きくなるように合成する。
【0036】
図21は、エッジ量算出132のブロック図である、エッジ量検出フィルタ1〜4で、それぞれ図22に示した4種類の7×7フィルタを使用して、マスキング演算を行う。それら4つの出力のうち絶対値が最大のものを最大値選択138で選択し、選択された信号に対してLUT変換を行う。LUTは、文字用エッジ量LUT1339と網点用エッジ量LUT1340と連続調用エッジ量LUT1341の3種類が用意されており、最終的にどのLUTからの出力信号をエッジ量算出132の結果とするかを、像域分離24の結果を用いてセレクタ1342で選択する。像域分離24の結果が白地上黒文字または白地上色文字の場合は文字エッジ量LUT、網点の場合は網点用エッジ量LUT、その他の場合は連続階調用エッジ量LUTの出力が選択される。原稿種によっては、像域分離結果に関係なく(3)印刷写真の場合は常に網点用エッジ量LUTの出力を選択し、(4)印画紙写真の場合は常に連続調用エッジ量LUTの出力を選択する(像域分離結果による切り替えを実質的に無効にする)。
【0037】
原稿種が(3)印刷写真の場合は、擬似中間調処理18との干渉によるモアレを抑制するため平滑化で網点を潰すような平滑化フィルタを適用し、写真部のエッジが鈍り過ぎないようにするためエッジ量に応じてエッジ強調した画像と変動比率で合成する。原稿種が(4)印画紙写真の場合は、粒状性改善を考慮したノイズ除去用の弱い平滑化フィルタを適用し、エッジ量に応じてエッジ強調した画像と変動比率で合成する。原稿種が(1)文字/写真(印刷写真)、(2)文字/写真(印画紙写真)、(5)文字、(6)地図の場合も夫々の原稿種に適した平滑化フィルタ、エッジ強調フィルタを用い、像域分離結果を使った分離適応型のフィルタ処理を行う。
【0038】
原稿種が(7)低線数網点または(8)新聞の場合は、ノイズ除去するだけで網点を潰さない(印画紙写真用よりも弱い)平滑化フィルタ、および、平滑化によって鈍ったエッジを少し強調するエッジ強調フィルタを適用し、固定比率で合成処理する。低線数網点の場合、網点を潰すことと文字鮮鋭性を両立することが大変困難であり、網点をエッジ量に応じて中途半端に平滑化するとエッジ量との関係でテクスチャが発生することがあるため、網点を潰さず画像全体に一様なフィルタ処理を施す方がよい。
【0039】
<プリンタ色補正>
プリンタ色補正14では、デバイス非依存のR’G’B’信号から、プリンタのトナーの色に対応したC’M’Y’信号への変換を行う。
【0040】
<墨処理>
墨処理15では、C’M’Y’信号に応じてK信号を発生させ(墨生成)、C’M’Y’信号からKに応じた量を減ずる(下色除去(UCR))処理を行う。墨生成、UCRともに式で行う方法、LUTで行う方法等があるが、本実施形態では墨生成をLUTで行い、UCRを式で行う場合について説明する。
【0041】
図23は、墨生成のLUTである。墨生成では、C’M’Y’(0が白、255が黒)の最小値Min(C’M’Y’)を算出し、これをLUTへ入力して出力値を得る。黒文字用墨生成テーブルと色文字/写真用墨生成テーブルの2つを予め準備しておく。
【0042】
そして、図9のとおりに原稿種に応じた切り替えを行い、分離適応の場合は像域分離24の結果に応じて白地上黒文字に対しては黒文字用、白地上色文字またはその他の領域に対しては色文字/写真用の墨生成テーブルを適用する。(5)文字や(6)地図に対して黒文字用の墨生成テーブルを適用する。これは、(5)文字や(6)地図では色地上黒文字画質を重視しているためであり、墨率を高くすることで出力時に版ずれがあった場合も影響なくくっきり再生できるようにするためである。(7)低線数網点や(8)新聞に対して黒文字用の墨生成テーブルを適用する。これは、色地上黒文字画質を重視していることに加えて、以下の理由による。通常写真部の特にハイライトに対しては、墨率を高くすることで粒状性が悪くなることがあり、これを防止するためにあまり墨率を高くしない。低線数網点原稿、特に新聞原稿は元々原稿に粒状感がありコピーにおいて粒状性の改善を特に重視する必要が無いため、黒文字用の墨生成テーブルを適用しても問題ない。
【0043】
UCRは、数式3により行う。ここで、αはUCR調整パラメータである。
【数3】

UCR調整パラメータも墨生成に合わせて切り替える。黒文字用墨生成テーブルが適用される領域ではα=1とし、色文字/写真用墨生成テーブルが適用される領域に対しては例えばα=0.5とする。
【0044】
<エッジ検出>
図24は、エッジ検出20のブロック図である。C’M’Y’各色毎にエッジ検出200、201、202にて多値のエッジ量を検出する。図25は、エッジ量検出200、201、202のブロック図である。エッジ量検出200、201、202では、エッジ量検出フィルタ1〜4で、それぞれ図26に示す4種類の7×7フィルタを使用して、マスキング演算を行う。4つの出力のうち絶対値が最大のものを最大値選択217で選択し、出力する。
【0045】
さらに、図24の最大値選択203で、エッジ量検出200、201、202で検出した3色のエッジ量のうち最大のものを選択し、2値化204にて予め設定した閾値と比較して、閾値以上であれば1、閾値未満であれば0を出力する。一方、信号合成205で、C’M’Y’の3信号を所定の割合で足し合わせて1信号に変換する。例えば(C’×1/4+ M’×2/4+Y’×1/4)を合成信号として出力する。ラプラシアンフィルタ演算206で、合成信号に対して図27のフィルタを使用してマスキング演算を行い、符号判定207にて正の値か否かを判定する。正なら1、負なら0を出力する。論理積演算208で、2値化204の出力値と符号判定207の出力値が共に1である場合に、エッジであることを表す1を出力する。
【0046】
図28は、文字エッジにおけるエッジ検出20の結果を表した図である。エッジ量はエッジ部でレスポンスし、正の値で出力される。ラプラシアンは、文字の内側エッジに相当するエッジの高濃度側では正の値、文字の外側エッジに相当するエッジの低濃度側では負の値で出力される。ラプラシアンの符号判定が加わっていることにより、ラプラシアンが正の内側エッジでのみエッジ量が有効になり、ラプラシアンが負の外側エッジではエッジ量が無効になる。最終的に内側エッジがエッジとして検出される。
【0047】
<色材セーブ処理>
色材セーブ処理16、操作パネル23にてユーザーが色材セーブモードをONにした場合、原稿種決定25、および、エッジ検出20からのエッジ検出結果に応じて、色材セーブ処理を切り替える。図29は、切替えられる色材セーブ処理16のγ変換を示すグラフである。
【0048】
原稿種が(1)文字/写真(印刷写真)、(2)文字/写真(印画紙写真)または(6)地図の場合は、エッジ検出20結果に応じてエッジ部は実質的に色材セーブ処理16が無効になるエッジ用セーブγ、非エッジ部には出力濃度値が入力濃度値の約半分になる非エッジ用セーブγを適用して、エッジ部を強調する。
【0049】
原稿種が(3)印刷写真または(4)印画紙写真の場合は、エッジ検出結果に関わらず画像全体に非エッジ用セーブγを適用する。
【0050】
原稿種が(5)文字、(7)低線数網点、(8)新聞の場合には、エッジ検出20結果に関わらず画像全体に文字用セーブγを適用する。(5)文字原稿に対してエッジ部はエッジ用セーブγ、非エッジ部には非エッジ用セーブγを適用するエッジ適応型の色材セーブ処理を行うと、太文字でエッジ部だけ濃度保存され文字内部が薄く再現され、文字判読性は十分であるが文字画質としては多少問題がある。そこで、(5)文字原稿に対してエッジ検出結果を使わず画像全体を一様に薄くする色材セーブ処理を行うが、あまり薄くしすぎると文字判読性が悪くなるので、色材セーブ効果があって、かつ、文字判読性が確保できるようにエッジ用セーブγと非エッジ用セーブγの中間のγを使用する。
【0051】
(7)低線数網点や(8)新聞の場合は、エッジ検出20で網点率50%付近の網点ドットで大きいエッジ量が検出されエッジと判定されてしまうことが多く、一方高濃度網点ドットはエッジと判定されない。スキャナ解像度が、600dpi×600dpiの場合、高線数網点で構成されるの写真画像ではスキャナの能力により網点がボケて読み取られる。また、通常用いられるフィルタ処理で、文字の鮮鋭性を保ったまま網点の起伏を潰すことがある程度可能である。このため、高線数網点ではエッジ判定手段により網点ドットがエッジとは判定されない。一方、低線数網点で構成される写真画像では、スキャナ解像度の影響もなく、文字の鮮鋭性を考慮するとフィルタ処理で網点の起伏を潰すことができない。このため、エッジ判定手段は、網点ドットをエッジと判定してしまう虞がある。さらに、エッジと判定される網点ドットは、網点率50%前後の低線数網点に限定される。少なくとも、網点率0%や網点率100%では、網点ドットの起伏がないためエッジとは判定されないことは明らかである。また、網点率50%から網点率0%に近づくに従って、あるいは、網点率50%から網点率100%に近づくに従って、網点ドットの起伏は検出されにくくなりエッジと判定されにくくなる。つまり、低線数網点では、網点率50%付近で網点ドットがエッジとして判定されてしまい、色材節約処理がおこなわれずに濃度が保存され、網点率100%に近づくに従ってエッジとして判定されにくくなり色材節約処理によって濃度を下げて出力される。これにより、階調が逆転する。
【0052】
図30は、低線数網点に対してエッジ検出20を行った場合のエッジ検出フィルタ1および絶対値化後の算出結果を説明した図である。ここでは説明を簡単にするため、網点画像が2値画像で黒画素が1、白画素が0の値を持つものとする。600dpiで網点率50%の場合、黒画素と白画素の境界に位置する注目画素で絶対値化後のエッジ量は10になる(図30の左図)。一方、網点率94%の場合は、絶対値化後のエッジ量は2になる(図30の右図)。これを2値化204にて、例えば閾値5で2値化すると、50%網点ではエッジが検出され、94%網点ではエッジが検出されない。エッジ適応型の色材セーブ処理16を行うと50%網点はエッジ用セーブγが適用され濃度保存されるが94%網点は非エッジ用セーブγが適用され濃度保存されないため階調逆転が発生する。そこで、階調逆転を防止するため、エッジ検出を使わず画像全体を薄くする色材セーブ処理で、且つ、文字判読性が確保できるように画像全体に文字用セーブγを適用する。
【0053】
<プリンタγ補正、擬似中間調処理 >
プリンタγ補正17では、プリンタの濃度特性に合わせて濃度変換テーブルを用いた変換処理が行い、擬似中間調処理18では、ディザや誤差拡散等の擬似中間調処理を施す。例えば、擬似中間調としてディザ処理を行うものとし、原稿種と像域分離結果に応じてディザ線数を切り替える。プリンタ出力解像度が600dpiの装置に対して、文字用ディザは300線ディザ、写真用ディザは200線ディザとする。プリンタγ補正テーブルもそれに合わせて切り替え、文字用と写真用のγテーブルを持つ。図9のとおりに原稿種に応じた切り替えを行い、分離適応の場合は像域分離結果に応じて白地上黒文字または白地上色文字の領域に対しては文字用、その他の領域に対しては写真用のディザおよびプリンタγを適用する。
【0054】
以上、第一の実施形態によれば、操作パネル23でユーザーが選択した原稿種および自動原稿種判定22の結果に応じてオリジナル画像種情報を取得し、取得された画像種情報により最適な色材節約処理を施すことができる。
詳しくは、低線数網点画像を含むオリジナル画像に対しては、色材の節約量を一様にする第2節約処理を画像領域全体に施すことで、低線数網点画像に対してエッジ部を強調する第1節約処理を施してしまうことによる階調逆転の発生を回避する。これにより、色材節約処理による画質劣化を許容範囲に留める。
一方、低線数網点画像を含まないオリジナル画像に対しては、エッジ部を強調する第1節約処理を画像領域全体に施す。これにより、オリジナル画像が文字画像の背景を写真画像で構成しているものであったとしても、文字画像に対してエッジ部を強調する第1節約処理を施して文字判読性の低下を抑えることができる。また、文字画像の背景を構成する写真画像は低線数網点画像ではないので、第1節約処理によってエッジ部が強調されたとしても、それによる画質劣化は許容範囲内に留まる。
よって、色材節約処理による画質劣化を許容範囲内に留めつつ、文字画像の背景を写真画像で構成しているオリジナル画像の文字判読性の低下を抑えることができる。
【0055】
また、文字画像のみを含むオリジナル画像に対しては、色材の節約量を一様にし、且つ、色材の節約量を第1節約処理の非エッジ部よりも少なくする第3節約処理を画像領域全体に施す。これにより、文字画像の文字判読性の低下を抑制する。なお、第一の実施形態では、第2節約処理と第3節約処理とは、何れも文字用セーブγを適用して画像全体を一様に薄くするもので説明を行ったが、これに限られるものではない。第2節約処理は、色材の節約量を一様にして画像領域全体に施すものであれば、他のセーブγを適用してもよい。また、第3節約処理は、色材の節約量を第1節約処理の非エッジ部よりも少ない色材セーブγを適用して文字判読性を確保するものであればよい。
【0056】
また、低線数網点画像を含まないオリジナル画像であっても、写真画像のみを含むオリジナル画像に対しては、色材の節約量を一様にした節約処理を画像領域全体に施す。これにより、写真画像のエッジ強調による画質劣化を抑制することができる。
【0057】
次に、本発明を画像処理装置に適用した第二の実施形態について説明する。
第一の実施形態の画像処理装置では、ユーザーが操作パネル23で<5>新聞原稿を指定した場合、または、ユーザーが操作パネル23で<0>自動または<1>文字/写真(<1−1>印刷写真)を指定し、かつ、自動原稿種判定22の結果が[4]低線数網点であった場合に、エッジ、非エッジに関わらず文字用色材セーブγによる色材セーブ処理を行うものであった。これは、前述の通り色材セーブ処理による階調逆転を発生させないためであるが、新聞原稿やその他の低線数網点を含む全ての原稿でエッジ部を強調する第1節約処理を行ったからと言って階調逆転が発生するわけではない。階調逆転が発生するのは、網点率50%前後(40%〜60%あたり)の低線数網点領域と、それよりも網点率が高い高濃度領域(60%〜100%)が同一原稿内に存在する場合に限定される。例えば、文字の背景の網掛けが低線数網点に該当するが高濃度領域が存在しない場合、階調逆転が発生するおそれは無いので文字判読性を重視して第1節約処理を行っても構わない。さらには、文字の背景の網掛けが網点率50%前後の低線数網点領域に該当し、かつ、高濃度領域が存在する場合であっても、文字原稿で高濃度領域が存在するのは白抜き文字の背景部であると考えられ、白抜き文字の背景部と黒文字背景の網点部の階調が逆転したとしても、特に大きな問題ではない。階調が逆転して問題になるのは、低線数網点で構成された写真部で濃度が連続的に変化するような領域である。低線数網点で構成されていても、グラフや図形などの色調変化の少ない画像であれば、問題とならない。第二の実施形態の画像処理装置は、このような問題に対応するものである。
【0058】
以下、第二の実施形態の画像処理装置の特徴的な構成について説明する。なお、第二の実施形態の画像処理装置の構成は、以下の示す特徴的な構成の他は第一の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0059】
第二の実施形態の画像処理装置では、ユーザーが操作パネル23で<5>新聞原稿を指定した場合、または、ユーザーが操作パネル23で<0>自動または<1>文字/写真(<1−1>印刷写真)を指定し、かつ、自動原稿種判定22の結果が[4]低線数網点であった場合には、その原稿に写真が含まれるかどうかを操作パネル23上でユーザーに問い合わせて選択してもらう。写真が含まれる場合は、第一の実施形態と同様にエッジ、非エッジに関わらず文字用色材セーブγを用いて、色材の節約量を一様にする第2節約処理を行う。一方、写真が含まれない場合は、エッジ部を強調する第1節約処理を行う。
【0060】
以上、第二の実施形態によれば、新聞やその他の低線数網点を含む原稿の中でも、エッジを強調する第1節約処理を施した場合に階調逆転が発生する可能性があり、かつ、階調逆転した場合に問題になる写真部を含む原稿である場合に限り、エッジを強調する第1節約処理でなく色材の節約量を一様にする第2節約処理を施すことで階調逆転の発生しない色材セーブ画像を提供することができる。また、写真部のない新聞原稿等ではエッジを強調する第1節約処理を施すことで文字判読性に優れた色材セーブ画像を提供することができる。
【0061】
次に、本発明を画像処理装置に適用した第三の実施形態について説明する。
第二の実施形態の画像処理装置では、ユーザーが操作パネル23で原稿種を指定し、階調逆転が発生する可能性がある場合は、さらに、その原稿に写真が含まれるかどうかを操作パネル23上でユーザーに問い合わせて選択してもらう。このように、ユーザーに再度問い合わせて選択してもらうことは、ユーザーの手間が増え面倒に感じさせてしまうこともある。第三の実施形態の画像処理装置は、このような問題に対応するものである。
【0062】
以下、第三の実施形態の画像処理装置の特徴的な構成について説明する。なお、第三の実施形態の画像処理装置の構成は、以下の示す特徴的な構成の他は第一、第二の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0063】
第三の実施形態の画像処理装置では、ユーザーが操作パネル23で<5>新聞原稿を指定した場合、または、ユーザーが操作パネル23で<0>自動または<1>文字/写真(<1−1>印刷写真)を指定し、かつ、自動原稿種判定22の結果が[4]低線数網点であった場合に、階調逆転の可能性を自動的に判定する階調逆転可能性判定を設ける。そして、階調逆転可能性判定により階調逆転可能性があると判定される原稿であれば、非エッジに関わらず文字用色材セーブγを用いて、色材の節約量を一様にする第2節約処理を行う。一方、階調逆転可能性判定により階調逆転可能性がないと判定される原稿であれば、エッジ部を強調する第1節約処理を行う。
【0064】
図31は、第三の実施形態の画像処理装置の特徴部である階調逆転可能性判定を設けたものであり、墨処理15から色材セーブ処理16までの部分のブロック図である。これは、図1に示す画像処理装置全体のフローのブロック図で点線で囲った部分30に対応する。図31において、高濃度領域検出31では、25×25画素の平均値をC’M’Y’各色に対して求め、どれか一色でも平均値が予め設定した閾値以上であれば高濃度領域が存在するとして検出する。閾値は網点率60%くらいが検出結果の境界になるような値に設定しておく。周期性判定32は、自動原稿種判定22の低線数網点領域判定222と同様にDCTを用いて行う。
【0065】
図32は、周期性判定32のブロック図である。周期性判定32の平均DCT係数算出321、周期算出322は低線数網点領域判定222のものと同じである。周期有無判定323は、周期算出322でピークが検出され、かつ、最大Mが所定値以上である場合に、エッジ検出結果に周期性があると判定する。階調逆転可能性判定33は、エッジ検出結果に周期性があり、かつ、高濃度領域が存在する場合に、階調逆転の可能性がある原稿であると判定し、これに該当しない場合は階調逆転の可能性がない原稿であると判定する。
【0066】
以上、第三の実施形態によれば、新聞やその他の低線数網点を含む原稿の中でも、エッジ部を強調する第1節約処理を施してしまうと階調逆転が発生する可能性があり、かつ、階調逆転した場合に問題になる写真部を含む原稿である場合に限り、色材の節約量を一様にする第2節約処理を施すことで階調逆転の発生しない色材セーブ画像を提供することができる。また、写真部のない新聞原稿等ではエッジ部を強調する第1節約処理の色材セーブ処理を施すことで文字判読性に優れた色材セーブ画像を提供することができる。 さらに、階調逆転可能性を自動で判定するため、ユーザーの手間を省くことができる。
【0067】
次に、本発明を画像処理装置に適用した第四の実施形態について説明する。
上記第一、第二、第三の実施形態の画像処理装置において、原稿種が(8)新聞の場合、新聞用セーブγを使って色材セーブ処理を行うと、一般にコピー用紙よりも濃度の高い新聞の紙白部を白に変換して出力でき、色材節約効果もでるので効果的である。図33は、切替えられる色材セーブ処理16に新聞用セーブγを加えたものを示すグラフである。新聞用セーブγは、図33に示すように、濃度部を白に変換するように設定されている。この新聞用セーブγを使って色材セーブ処理16を行うと、一般にコピー用紙よりも濃度の高い新聞の紙白部を白に変換して出力でき、色材節約効果もでるので効果的である。
【0068】
このように、原稿種が(8)新聞の場合だけ新聞用セーブγを適用し、(7)低線数網点の場合は文字用セーブγを適用してもよいが、原稿種が(8)新聞と(7)低線数網点の何れかの場合に新聞用セーブγを適用してもよい。これは、新聞原稿のコピーをとる際にユーザーが操作パネル<0>自動や<1>文字/写真の原稿種を指定することもあるので、それを考慮して(7)低線数網点にも新聞用セーブγを適用してもよい。
【0069】
以上、第四の実施形態によれば、特に新聞原稿に対して紙の色を白に変換することができ、画質面でも色材節約効果の面でも効果的な色材セーブ処理を行うことができる。
【0070】
なお、上記第一、第二、第三、第四の実施形態では、色材セーブ処理16をγにより実施する例を示したが、本発明の目的に対してはエッジを強調する第一節約処理を行うか、色材の節約量を一様にする第2節約処理を行うかが重要であって、色材セーブ処理をγで行うか、あるいは間引き処理等別の方法で行うかは重要ではない。γ以外の方法でも構わない。
【0071】
なお、上記第一、第二、第三、第四の実施形態では、スキャナで画像データを取得する例を示したが、本発明の目的に対しては他の方法で画像データ取得するものでもかまわない。例えば、PDLにより画像データを取得する画像処理装置にも適用可能である。
【0072】
また、上記第一、第二、第三、第四の実施形態に係る画像処理装置を用いた画像処理方法にも、本発明の適用が可能である。
【0073】
また、上記第一、第二、第三、第四の実施形態に係る画像処理装置として、コンピュータを機能させるためのプログラムを記録したCD−ROMやフラッシュメモリ等の機械読み取り可能な記録媒体にも、本発明の適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】第一の実施形態に係る画像処理装置のブロック図。
【図2】自動原稿種判定のブロック図。
【図3】低線数網点判定のブロック図。
【図4】平均DCT係数算出部の処理フローチャート。
【図5】DCT係数の平均化の様子を示す図。
【図6】周期算出で用いる3×3のマスク。
【図7】8×8の各位置で算出されたMにより低線数網点を判定する説明図。
【図8】原稿種を決定するための対応を示す図。
【図9】決定された原稿種により切替えられる各処理の説明図。
【図10】像域分離のブロック図。
【図11】像域分離のエッジ判定のブロック図。
【図12】黒画素パターンマッチング用のマトリックス。
【図13】白画素パターンマッチング用のマトリックス。
【図14】像域分離の白地判定のブロック図。
【図15】白画素連続性パターンマッチング用のマトリックス。
【図16】像域分離の網点判定のブロック図。
【図17】(a)は(3×3)、(b)は(5×5)のピーク画素検出の説明図。
【図18】像域分離の色判定のブロック図。
【図19】像域分離の文字エッジ検出のブロック図。
【図20】フィルタのブロック図。
【図21】フィルタのエッジ量算出のブロック図。
【図22】図21で用いられるエッジ量検出フィルタ。
【図23】墨生成のLUT。
【図24】エッジ検出のブロック図。
【図25】エッジ検出のエッジ量検出のブロック図。
【図26】図25で用いられるエッジ量検出フィルタ。
【図27】符号判定用のフィルタ。
【図28】文字エッジにおけるエッジ検出の結果を表した図。
【図29】切替えられるエッジ用、非エッジ用、文字用の色材セーブ処理のγ変換を示すグラフ。
【図30】低線数網点に対してエッジ検出を行った場合のエッジ検出フィルタおよび絶対値化後の算出結果を説明した図。
【図31】第三の実施形態に係る階調逆転可能性判定を設けたもののブロック図。
【図32】周期性判定のブロック図。
【図33】新聞用の色材セーブ処理のγ変換を示すグラフ。
【符号の説明】
【0075】
10 スキャナ
11 スキャナγ補正
12 スキャナ色補正
13 フィルタ
14 プリンタ色補正
15 墨処理
16 色材セーブ処理
17 プリンタγ補正
18 擬似中間調処理
19 プリンタ
20 エッジ検出
22 自動原稿判定
23 操作パネル
24 像域分離
25 原稿種決定

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリジナル画像の情報を取得するオリジナル画像情報取得手段と、画像形成に用いられる色材の使用量を節約する色材節約モードか否かを設定する節約モード設定手段と、該節約モード設定手段によって該色材節約モードが設定された場合に、該オリジナル画像に対して色材を節約した条件での画像形成を可能にする色材節約処理を施す色材節約処理手段とを備える画像処理装置において、
上記オリジナル画像について、低線数網点画像を含む画像種であるか否かの情報を取得する画像種情報取得手段を設け、
該画像種情報取得手段によって低線数網点画像を含まない画像種である旨の情報が取得された場合には、上記色材節約処理として、画像のエッジ部よりも非エッジ部の色材の節約量を多くする第1節約処理を選択する一方で、該画像種情報取得手段によって低線数網点画像を含む画像種である旨の情報が取得された場合には、上記色材節約処理として、画像のエッジ部と非エッジ部とで色材の節約量を一様にする第2節約処理を選択する選択処理を実施し、該選択処理によって選択した色材節約処理を上記オリジナル画像の全体に対して施すように、上記色材節約処理手段を構成したことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1の画像処理装置において、
上記オリジナル画像について、少なくとも、低線数網点画像を含まない画像種であるのか、低線数網点画像を含む画像種であるのか、あるいは文字画像のみを含む画像種であるのかをそれぞれ区別し得る情報を取得するように上記画像種情報取得手段を構成するとともに、
上記選択処理として、上記オリジナル画像について、低線数網点画像を含まない画像種である旨の情報が該画像種情報取得手段によって取得された場合には上記第1節約処理を選択し、低線数網点画像を含む画像種である旨の情報が該画像種情報取得手段によって取得された場合には上記第2節約処理を選択し、且つ、文字画像のみを含む画像種である旨の情報が該画像種情報取得手段によって取得された場合には、画像のエッジ部と非エッジ部とで色材の節約量を一様にし且つ画像全体の色材の節約量を上記第1節約処理の非エッジ部よりも少なくする第3節約処理を選択する処理を実施するように、上記色材節約処理手段を構成したことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2の画像処理装置において、
上記オリジナル画像について、低線数網点画像を含む画像種である旨の情報が上記画像種情報取得手段によって取得された場合であっても、該情報とは別に、写真画像を含まない画像種である旨の情報が該画像種情報取得手段によって取得された場合には、上記第2節約処理の代わりに上記第1節約処理を選択する選択処理を実施するように、上記色材節約処理手段を構成したことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかの画像処理装置において、
上記オリジナル画像について、新聞の画像である旨の情報が上記画像種情報取得手段によって取得された場合には、低線数網点画像を含む画像種であるとみなして上記第2節約処理を選択する選択処理を実施するように、上記色材節約処理手段を構成したことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項4の画像処理装置において、
新聞の画像である旨の情報が上記画像種情報取得手段によって取得された場合であっても、該情報とは別に、写真画像を含まない画像種である旨の情報が該画像種情報取得手段によって取得された場合には、上記第2節約処理の代わりに上記第1節約処理を選択する選択処理を実施するように、上記色材節約処理手段を構成したことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかの画像処理装置において、
上記オリジナル画像について、低線数網点画像を含まない画像種である旨の情報が上記画像種情報取得手段によって取得された場合であっても、該情報とは別に、写真画像のみを含む画像種である旨の情報が該画像種情報取得手段によって取得された場合は、上記第1節約処理の代わりに上記第2節約処理を選択する選択処理を実施するように、上記色材節約処理手段を構成したことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかの画像処理装置において、
画像種にかかわらず上記オリジナル画像に対して上記第1節約処理を仮に施す仮節約処理手段と、該仮節約処理手段による処理後の画像について、上記オリジナル画像に対する階調の逆転を引き起こしているか否かを判定する階調逆転判定手段とを上記画像種情報取得手段に設け、該階調逆転判定手段によって階調の逆転を引き起こしていると判定された場合には、上記第2節約処理を選択する選択処理を実施するように、上記色材節約処理手段を構成したことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかの画像処理装置において、
上記第2節約処理にて、上記オリジナル画像の低濃度部を白に変換する処理を実施するように、上記色材節約処理手段を構成したことを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
オリジナル画像の情報を取得するオリジナル画像情報取得工程と、画像形成に用いられる色材の使用量を節約する色材節約モードか否かを設定する節約モード設定工程と、該節約モード設定工程で該色材節約モードが設定された場合に、該オリジナル画像に対して色材を節約した条件での画像形成を可能にする色材節約処理を施す色材節約処理工程とを実施する画像処理方法において、
上記オリジナル画像の画像種の情報を取得する画像種情報取得工程を設け、
上記オリジナル画像について、低線数網点画像を含まない画像種であるのか、低線数網点画像を含む画像種であるのかを区別し得る情報を取得する画像種情報取得工程を設け、
上記色材節約処理工程にて、該画像種情報取得工程で取得された情報が低線数網点画像を含まない画像種である旨の情報であった場合には、上記色材節約処理として、画像のエッジ部よりも非エッジ部の色材の節約量を多くする第1節約処理を選択する一方で、該画像種情報取得工程で取得された情報が低線数網点画像を含む画像種である旨の情報であった場合には、上記色材節約処理として、画像のエッジ部と非エッジ部とで色材の節約量を一様にする第2節約処理を選択する選択処理を実施し、該選択処理によって選択した色材節約処理を上記オリジナル画像の全体に対して施すことを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
オリジナル画像の情報を取得するオリジナル画像情報取得手段、画像形成に用いられる色材の使用量を節約する色材節約モードか否かを設定する節約モード設定手段、該節約モード設定手段によって該色材節約モードが設定された場合に、該オリジナル画像に対して色材を節約した条件での画像形成を可能にする色材節約処理を施す色材節約処理手段として、コンピュータを機能させるためのプログラムを機械読み取り可能に記録した記録媒体において、
上記オリジナル画像について、低線数網点画像を含まない画像種であるのか、低線数網点画像を含む画像種であるのかを区別し得る情報を取得する画像種情報取得手段としてコンピュータを機能させるとともに、
上記色材節約処理について、画像のエッジ部よりも非エッジ部の色材の節約量を多くする第1節約処理を実施するのか、画像のエッジ部と非エッジ部とで色材の節約量を一様にする第2節約処理を実施するのかを、該画像種の情報の取得結果に応じて選択する選択処理を実施し、該選択処理によって選択した色材節約処理を上記オリジナル画像の全体に施す手段として、上記色材節約処理手段を機能させることを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2009−200860(P2009−200860A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40810(P2008−40810)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】