説明

画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】画像入力装置が読み取った原稿の確認のための表示、及び、画像出力装置で出力する画像のプレビュー表示を、短時間で精度よく可能にする画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置1は、画像入力装置2が原稿画像を読み取って得た画像データに画像処理を施し、上記画像データを出力する画像出力装置3に供給すると共に、上記画像データを画像表示装置4に供給する。画像処理装置1は、画像表示装置4に供給する上記画像データに、画像入力装置2の色再現特性及び画像表示装置4の表色再現特性に基づいた、第一色補正処理を施す第一色補正部11と、第一色補正処理が施された上記画像データに対して、画像出力装置3の色再現特性及び画像表示装置4の表色再現特性に基づいた、第二色補正処理を施す第二色補正部14とを備え、第一色補正処理が施された画像データ、及び、第二色補正処理が施された画像データを、画像表示装置4に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力画像データのサムネイルやプレビューの表示を行う画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機や複合機などの画像形成装置において、原稿をスキャンし、コピー出力や送信出力等の出力を行う際、原稿種別やあざやかさ調整などの各種画質設定項目を選択した後、出力前に操作パネルに画像データをプレビュー表示させることがなされている。このようにプレビュー表示を行うことで、ユーザの意図する出力が得られるか否かを確認したり、出力のやり直しによる手間や、紙やトナーの無駄な消費を軽減したりすることができる。
【0003】
コピー出力の画像データをプレビュー表示させる技術として、特許文献1に提案されている技術がある。特許文献1では、次の(1)から(3)を行うことで、出力画像とプレビュー画像の色味をマッチングさせる技術が提案されている。(1)YMCKの出力画像データを3×4逆マスキングの補正回路に入力し、CMYの濃度情報に変換する。(2)逆対数変換の補正回路でRGB信号に変換して、モニタの色温度、モニタの発色特性及び照明光に基づく3×3マトリックスを用いてモニタの色補正を行う。(3)さらに、複数のγ値の補正データを選択してモニタに表示を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-37093(1997年2月7日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、YMCKの出力画像データをCMYの濃度情報に変換し、さらに、逆対数変換の補正回路でRGB信号に変換しているため、プレビュー表示まで処理時間がかかる。
【0006】
また、特許文献1では、RGBデータを一旦CMYデータに変換し、CMYデータをさらにCMYKデータに変換し、その後、CMYKデータをCMYデータに変換してからRGBデータに変換しており、つまり計4回の非線形変換を行っている。このように、プレビュー画像の作成までに複数の非線形変換が施されるため、プレビュー時の色再現性が低下する。
【0007】
また、コピー出力のプレビュー画像、つまり、コピー出力用に画質調整処理された画像の確認はできるが、スキャンした原稿を確認することはできない。例えば、出力する原稿、原稿の天地方向、複数の原稿の順序等については、ユーザが設定した画質調整処理など複雑な処理を行うことなく確認できることが好ましい。しかし、特許文献1には、スキャンした原稿を確認するような処理については考慮されていない。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、画像出力を行う際、画像入力装置が読み取った原稿の確認のための表示及び、画像出力装置で出力する画像のプレビュー表示を、短時間で精度よく可能にする画像処理装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像処理装置は、上記課題を解決するために、画像入力装置が原稿画像を読み取って得た画像データに画像処理を施し、画像出力装置にて出力する際、上記画像データを画像表示装置に供給する画像処理装置であって、上記画像表示装置に供給する上記画像データに、上記画像入力装置の色再現特性及び上記画像表示装置の表色再現特性に基づいた、第一色補正処理を施す第一色補正部と、上記第一色補正処理が施された上記画像データに対して、上記画像出力装置の色再現特性及び上記画像表示装置の表色再現特性に基づいた、第二色補正処理を施す第二色補正部とを備え、上記第一色補正処理が施された画像データ、及び、上記第二色補正処理が施された上記画像データを、上記画像表示装置に供給することを特徴としている。
【0010】
上記構成によると、画像表示装置に供給される画像データには、画像入力装置の色再現特性及び画像表示装置の表色再現特性に基づいた第一色補正処理が施される。よって、画像表示装置にて表示される画像の色が画像入力装置にて読み取った原稿の画像の色に近くなるよう、つまり、これらの色の差が小さくなるよう、処理することができる。
【0011】
さらに、上記構成によると、上記第一色補正処理が施された画像データに対して、画像出力装置の色再現特性及び画像表示装置の表色再現特性に基づいた、第二色補正処理が施される。よって、画像表示装置にて表示される画像の色が印刷される画像の色に近くなるよう、つまり、これらの色の差を小さくすることができる。
【0012】
そして、第一色補正処理が施された画像データ、及び、上記第二色補正処理が施された上記画像データが、画像表示装置に供給される。よって、画像表示装置には、読み取った原稿に近い色の画像及び、画像出力装置での出力に近い色の画像が表示される。
【0013】
そのため、第一色補正処理が施された画像データが画像表示装置にて表示されることで、ユーザは、画像入力装置が読み取った原稿が意図したものに間違い無いことを精度よく確認することができる。また、第一色補正処理は、画像入力装置の色再現特性及び画像表示装置の表色再現特性に基づくものであり、つまり、画像出力装置の色再現特性に基づく処理は施されていないため、短時間で原稿の画像の色に近い色の画像を、画像表示装置にて表示することができる。
【0014】
また、第二色補正処理が施された画像データが画像表示装置にて表示されることで、ユーザは、出力物の画像を短時間で精度よく確認することができる。
【0015】
このように、ユーザは、画像出力装置での出力前に、原稿の画像及び出力物の画像を短時間で精度よく確認できる。
【0016】
ここで、本発明の画像処理装置では、上記画像出力装置は、画像印刷を実行する印刷装置であってもよい。上記画像出力装置が印刷装置であると、印刷前に、画像表示装置にて原稿の画像の色に近い色の画像及び印刷物の色に近い色の画像が表示される。よって、よって、ユーザは、印刷前に、原稿の画像及び印刷物の画像を精度よく確認できる。
【0017】
また、本発明の画像処理装置では、上記構成に加え、上記第一色補正部は、マトリクス演算により、上記第一色補正処理を施してもよい。
【0018】
色補正処理をルックアップテーブルを用いて行うと、色補正精度を向上させることができるが、メモリ容量が増加する。ここで、画像入力装置にて読み取った原稿の画像データを順次表示する場合、原稿の天地方向、順序、内容等が確認できればよい。よって、第一色補正部では、マトリクス係数を用いて、画像表示装置にて表示される画像の色が原稿の画像の色に近くなるよう第一色補正処理を行う。すなわち、本発明の上記構成によると、メモリ容量を抑え、原稿画像と画像表示装置に表示される画像との色差を小さくすることができる。
【0019】
また、本発明の画像処理装置では、上記構成に加え、上記第一色補正部及び第二色補正部は、それぞれ、動作の要否の指示入力を受け付け、当該指示入力に従って上記補正処理を実行するあるいは実行しなくてもよい。
【0020】
第一色補正部での第一色補正処理の動作と、第二色補正部での第二色補正処理の動作とが、それぞれ選択可能になる。つまり、ユーザは、第一色補正処理後の原稿に近い色の画像の表示、及び、第二補正処理後の印刷出力画像に近い色の画像の表示を、それぞれ選択でき、どちらか一方を表示させて確認してもよいし、どちらも表示させてもよいし、どちらも表示させなくてもよい。このように、上記構成によると、ユーザに対して使いやすい画像処理装置を提供することができる。
【0021】
また、本発明の画像処理装置では、上記構成に加え、上記第二色補正部は、上記印刷装置に供給される画像データに色補正を施す色補正処理部と兼用されてもよい。
【0022】
上記構成によると、画像処理装置に従来から備えられた色補正処理部を、第二色補正部として兼用することで、第二色補正処理を行う新たな回路は必要なく、装置の回路規模が大型化するのを抑制することができる。
【0023】
本発明の画像形成装置は、上記課題を解決するために、上記いずれかに記載の画像処理装置と、原稿画像を読み取る画像入力装置と、画像データを出力する画像出力装置と、画像データの表示を行う画像表示装置と、を備えることを特徴とする。
【0024】
上記構成によると、画像表示装置に、原稿の画像の色との差を小さくした画像を短時間で表示でき、かつ、出力物の画像の色との差を小さくした画像を、短時間で表示することができる。このように、ユーザが、画像出力装置での出力前に、原稿の画像の色味に近い画像及び出力物の色味に近い画像を、短時間で精度よく確認できる画像形成装置を提供することができる。
【0025】
本発明の画像処理方法は、上記課題を解決するために、画像入力装置が原稿画像を読み取って得た画像データに画像処理を施し、画像出力装置にて出力する際、上記画像データを画像表示装置に供給する画像処理方法であって、上記画像表示装置に供給する上記画像データに、上記画像入力装置の色再現特性及び上記画像表示装置の表色再現特性に基づいた、第一色補正処理を施す第一色補正ステップと、上記第一色補正処理が施された上記画像データに対して、上記画像出力装置の色再現特性及び上記画像表示装置の表色再現特性に基づいた、第二色補正処理を施す第二色補正ステップとを含み、上記第一色補正処理が施された画像データ、及び、上記第二色補正処理が施された上記画像データを、上記画像表示装置に供給することを特徴としている。
【0026】
上記方法によると、上記画像処理装置と同様の効果を奏し、原稿の画像の色と画像表示装置にて表示される画像の色との差を小さくし、かつ、出力物の画像の色と画像表示装置にて表示される画像の色との差を小さくする、画像処理方法を提供することができる。
【0027】
第一色補正処理が施された画像データが画像表示装置に表示されることで、ユーザは、画像入力装置が読み取った原稿が意図したものに間違い無いことを精度よく確認することができる。また、第一色補正処理は、画像入力装置の色再現特性及び画像表示装置の表色再現特性に基づくものであり、つまり、画像出力装置の色再現特性に基づく処理は施されていないため、短時間で原稿の画像の色に近い色の画像を、画像表示装置にて表示することができる。
【0028】
また、第二色補正処理が施された画像データが画像表示装置に表示されることで、ユーザは、出力物の画像を短時間で精度よく確認することができる。
【0029】
このように、上記方法によると、ユーザは、画像出力装置での出力前に、原稿の画像及び出力物の画像を短時間で精度よく確認できる。
【0030】
また、本発明の画像処理装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記画像処理装置における上記各部として動作させることにより上記画像処理装置をコンピュータにて実現させる画像処理プログラム、及びその画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0031】
これらの構成によれば、上記画像処理プログラムを、コンピュータに読み取り実行させることによって、上記画像処理装置と同一の作用効果を実現することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る画像処理装置は、以上のように、上記画像表示装置に供給する上記画像データに、上記画像入力装置の色再現特性及び上記画像表示装置の表色再現特性に基づいた、第一色補正処理を施す第一色補正部と、上記第一色補正処理が施された上記画像データに対して、上記画像出力装置の色再現特性及び上記画像表示装置の表色再現特性に基づいた、第二色補正処理を施す第二色補正部とを備え、上記第一色補正処理が施された画像データ、及び、上記第二色補正処理が施された上記画像データを、上記画像表示装置に供給する。
【0033】
上記構成によると、画像表示装置に供給される画像データには、画像入力装置の色再現特性及び画像表示装置の表色再現特性に基づいた第一色補正処理が施される。よって、画像表示装置にて表示される画像の色が画像入力装置にて読み取った原稿の画像の色に近くなるよう、つまり、これらの色の差が小さくなるよう、処理することができる。
【0034】
さらに、上記構成によると、上記第一色補正処理が施された画像データに対して、画像出力装置の色再現特性及び画像表示装置の表色再現特性に基づいた、第二色補正処理が施される。よって、画像表示装置にて表示される画像の色が印刷される画像の色に近くなるよう、つまり、これらの色の差を小さくすることができる。
【0035】
そして、第一色補正処理が施された画像データ、及び、上記第二色補正処理が施された上記画像データが、画像表示装置に供給される。よって、画像表示装置には、読み取った原稿に近い色の画像及び、画像出力装置での出力に近い色の画像が表示される。
【0036】
そのため、第一色補正処理が施された画像データが画像表示装置にて表示されることで、ユーザは、画像入力装置が読み取った原稿が意図したものに間違い無いことを精度よく確認することができる。また、第一色補正処理は、画像入力装置の色再現特性及び画像表示装置の表色再現特性に基づくものであり、つまり、画像出力装置の色再現特性に基づく処理は施されていないため、短時間で原稿の画像の色に近い色の画像を、画像表示装置にて表示することができる。
【0037】
また、第二色補正処理が施された画像データが画像表示装置にて表示されることで、ユーザは、出力物の画像を短時間で精度よく確認することができる。
【0038】
このように、ユーザは、画像出力装置での出力前に、原稿の画像及び出力物の画像を短時間で精度よく確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本実施形態の画像処理装置を示したブロック図であり、(a)は、第一色補正処理後に画像表示装置にて表示する際のデータの流れ、(b)は、第二色補正処理後に画像表示装置にて表示する際のデータの流れを示す。
【図2】上記画像処理装置が備えたガンマ補正部が用いる画像表示装置の特性に合わせたガンマ曲線の一例を一示す図である。
【図3】上記画像処理装置の処理手順を示したフローチャートである。
【図4】本実施形態の画像形成装置が有する操作パネルでの初期画面の一例を示す図である。
【図5】上記操作パネルでのプレビュー表示の設定画面の一例を示す図である。
【図6】本実施形態の画像形成装置を示したブロック図であり、コピアモード且つフルカラーモードにて印刷処理を行う際の画像データの流れを示したブロック図である。
【図7】(a)は、コピアモード且つシングルカラーモードにて印刷処理が行われる際の上記画像処理装置内の一部を示したブロック図であり、(b)は、コピアモード且つ2色カラーモードにて印刷処理が行われる際の上記画像処理装置内の一部を示したブロック図である。
【図8】上記画像形成装置を示したブロック図であり、コピアモード且つフルカラーモードにてプレビュー表示処理を行う際の画像データの流れを示したブロック図である。
【図9】(a)は、コピアモード且つシングルカラーモードにてプレビュー表示が行われる際の上記画像処理装置内の一部を示したブロック図であり、(b)は、コピアモード且つ2色カラーモードにてプレビュー表示が行われる際の上記画像処理装置内の一部を示したブロック図である。
【図10】(a)は、上記画像処理装置が備えた出力階調補正部が用いる画像表示装置の表示特性に応じたガンマ曲線の一例を示した図である。(b)は、文字をくっきりと表示させるためのガンマ曲線を実線で示し、画像表示装置の表示特性に応じたガンマ曲線を破線で示した図である。
【図11】コピアモード且つフルカラーモードが選択されている場合の上記画像形成装置の処理手順を示したフローチャートである。
【図12】本実施形態の画像形成装置の変形例を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
(画像処理装置)
本発明の画像処理装置の一形態について図に基づいて説明する。図1は、本実施形態の画像処理装置1の主要構成を示すブロック図である。画像処理装置1は、画像入力装置2が原稿画像を読み取って得た画像データに対して、画像処理を施し、画像を出力する画像出力装置3に供給する。そして、画像出力装置3にて画像出力する際に、画像処理装置1が画像表示装置4にも画像データを供給し、画像を表示する。ここでは、画像処理装置1が画像表示装置4にて画像を表示させる際の構成及び処理について説明する。その他の構成及び処理については、後述の画像形成装置の説明内にて説明する。
【0041】
図1に示すように、画像処理装置1は、第一色補正部11、ガンマ補正部12、解像度変換部13、第二色補正部14を備えている。ここで、図1(a)は、画像データを原稿に近い色(色味)に色変換して、画像表示装置4に供給する際のデータの流れを示すブロック図である。図1(b)は、画像データを出力データに近い色(色味)に変換し、画像データを画像表示装置4に表示する際のデータの流れを示すブロック図である。
【0042】
画像入力装置2は、原稿を読み取り、RGB信号からなる画像データを生成する画像読取手段である。画像入力装置2は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)を備えたスキャナにより構成される。
【0043】
第一色補正部11は、原稿をスキャンして得られる画像データのRGB信号を入力として、原稿の色味に近くなるようにRGB信号の値を変換する(第一色変換処理)。入力のRGB信号は、画像入力装置2(スキャナ)の色空間に適合しているデータである。第一色補正部11は、このRGB信号を画像表示装置4の色空間に適合するRGBの画像データへ変換する処理を行う。この変換処理は、下記の式1によってマトリクス演算を行う。
【0044】
【数1】

【0045】
画像入力装置2がカラー用である場合、カラーチャート原稿の各色パッチを画像入力装置2で読み取ってRGBデータを求める。さらに、画像入力装置2で読み取ったカラーチャート原稿の各パッチを画像表示装置4に表示して測色器で測色してR’G’B’値を求める。このようにして得たRGB値とR’G’B’値を基に、両者を対応付けるための係数をニューラルネットワークやマスキング演算係数決定法により求める。なお、画像表示装置4は、事前にL値に基づく基準色を表示して測色し、カラーキャリブレーションを行っておくのが好ましい。
【0046】
あるいは、カラーチャート原稿の各色パッチを画像入力装置2で読み取って得られたRGBデータに対応するL値を求める。これとともに、読み取ったカラーチャート原稿の各パッチを画像表示装置4に表示して測色器で測色してL’a’b’値を求める。このようにして得たL値とL’a’b’値を基に、両者を対応付けるための係数をニューラルネットワークやマスキング演算係数決定法により求めるようにしてもよい。上記の式1の係数値としては、例えば下記の値を用いることができる。
【0047】
【数2】

【0048】
ガンマ補正部12は、画像表示装置4の特性に合わせて、画像データのRGB信号に対してガンマ補正を行う。図2に入力のRGB信号と出力のRGBを対応付けたガンマ曲線を示す。ガンマ曲線のガンマ値は、画像表示装置4のガンマ値を考慮して設定する。例えば、画像表示装置4のガンマ値が2.2であれば、ガンマ補正部12において、2.2の逆数である0.45のガンマ値のガンマ曲線で補正を行う。
【0049】
解像度変換部13は、画像表示装置4での画像データの表示を短時間で行うため、画像入力装置2で形成された画像データの解像度(例えば、1200dpi、600dpi等)と画像表示装置4の解像度(例えば、150dpi、75dpi等)とが異なる場合に、画像データの解像度を下げる処理を行う。解像度の変換は、例えば、バイリニア法を用いる。
【0050】
バイリニア法は、変換前の複数の画素の重み付き平均値を、変換後の画素値とすることにより、解像度を下げた画像を作成する方法である。本実施形態では、変換後の解像度は、例えば、75dpi×75dpiとする。この場合、入力画像の解像度が600dpi×600dpiであれば、バイリニア法で1/8の解像度に変換する。
【0051】
解像度変換後の画像データは、画像表示装置4に送られ、原稿に近い色味のデータとして表示される。また、記憶装置5にも格納される。
【0052】
第二色補正部14は、図1(b)に示すように、記憶装置5から読み出された画像データのRGB信号に対して、画像出力装置3での実際の出力物(出力画像)の色味に近くなるように色味を変換する(第二色変換処理)。変換方法は、第二色補正部14に入力されるRGB信号それぞれの値と、画像表示装置4に表示した際に、実際の出力物に近い色味で表示されるRGB信号それぞれの値とを対応付けたLUT(ルックアップテーブル)を作成し、作成したLUTから出力値をルックアップすることによって実現される。色味を変換された画像データは、画像表示装置4に供給され、出力物の色味に近い色味のデータとして表示される。
【0053】
なお、出力のためのプレビュー表示の際に、第二色補正部14で補正する画像データは、第1色補正処理、ガンマ補正処理、及び解像度変換処理が施されたデータである。
【0054】
第二色補正部14での処理は、具体的には、下記のように行う。カラーチャート原稿の各色パッチを画像入力装置2で読み取り、第一色補正処理及びガンマ補正処理を施したR’G’B’値を画像表示装置4に表示し、測色器で測色してL’a’b’値を求める。カラーチャート原稿の各色パッチを画像入力装置2で読み取って画像出力装置3にて印刷出力し、印刷出力された各色パッチを測色器で測色し、L’’a’’b’’値を求める。上記で求めたL’a’b’値とR’G’B’値との対応を基に、L’’a’’b’’値に対応するR’’G’’B’’値を求める。R’G’B’値とR’’G’’B’’値を基に、両者を対応付けるLUTをニューラルネットワークやマスキング演算係数決定法により作成する。
【0055】
画像表示装置4は、画像データのカラー表示が可能なディスプレイ(モニタ)であり、例えば、液晶ディスプレイにより構成される。
【0056】
画像出力装置3は、印刷、ファイリング、あるいは、送信(e-mail送信、ファクシミリ送信)において、各処理に対応した出力を行う装置である。例えば、印刷の場合は、電子写真方式またはインクジェット方式を用いたカラープリンタ(印刷装置)であり、ファイリングの場合はデータの記録が可能なハードディスクであり、送信(e-mail送信、ファクシミリ送信)の場合は、電話回線またはインターネットに接続し、外部装置へ画像データの送信を行う装置である。
【0057】
図3に、画像処理装置1における処理の流れのフローチャートを示す。最初に、プレビュー判定記号Pの値を0にしておく(ステップS1)。次に、ユーザからの出力物をプレビュー表示するための出力プレビュー表示の指示入力があるかを判定する。本実施形態では、画像処理装置1を備えた画像形成装置100は、出力プレビュー表示を行うか否かをユーザが選択可能に構成されているものとする。ユーザは、例えば、図4に示す画像形成装置100が有する操作パネルの初期画面において、プレビューボタン401を選択し、そこから遷移する図5に示すプレビュー表示の設定画面において、オンボタン501を選択し押圧(タッチ)することで、画像処理装置1に対して出力プレビュー表示を指示する入力を行うことができる。また、ユーザは、プレビュー表示の設定画面においてオフボタン502を選択することで、画像処理装置1に対して出力プレビュー表示をしない指示を入力することができる。また、ユーザは、初期画面においてプレビューボタン401を選択しないことで、出力プレビュー表示をしないようにすることができる。
【0058】
ユーザが設定画面においてプレビューボタン401を選択しない場合、あるいは、プレビュー表示の設定画面においてオフボタン502を選択した場合、つまり、出力プレビュー表示の指示入力が無い場合(S2においてNO)、プレビュー判定記号Pの値を1とする(S3)。ユーザが出力プレビュー表示を選択した場合、つまり、出力プレビュー表示の指示入力がある場合(S2においてYES)、プレビュー判定記号Pの値は0のまま、次に進む。
【0059】
次に、ユーザからのスキャンインの指示があるかを判定する(S4)。本実施形態では、画像処理装置1を備えた画像形成装置100は、スキャンイン行うか否かをユーザが選択可能に構成されている。ユーザは、例えば、図4に示す画像形成装置100が有する操作パネルの初期画面において、スキャンインボタン402を押圧することでスキャンインを選択して入力する。
【0060】
スキャンインの指示入力があった場合(S4においてYES)、次に、プレビュー判定記号P=1であるかを判定する(S5)。
【0061】
P=1でない場合(S5においてNO)は、原稿基準画像と、出力基準画像の両方を表示すると判定する。ここで、原稿基準画像とは、原稿に近い色味に変換された画像データのことであり、出力基準画像とは、出力物に近い色味に変換された画像データのことである。そして、原稿に近い色味に色変換処理を施した原稿基準画像を作成し(S6)、出力物に近い色味に色変換処理を施した出力基準画像を作成し(S7)、原稿基準画像、出力基準画像の順で、画像データが表示する(S8)。
【0062】
スキャンインの指示入力があった場合(S4においてYES)、かつ、プレビュー判定記号P=1である場合(S5においてYES)は、原稿基準画像のみを表示すると判定し、原稿に近い色味に色変換処理を施した原稿基準画像を作成し(S9)、原稿基準画像を表示する(S10)。
【0063】
スキャンインの指示入力がない場合(S4においてNO)にも、プレビュー判定記号P=1であるかを判定する(S11)。この判定にてP=1でない場合は(S11においてNO)、出力基準画像のみを表示すると判定し、出力物に近い色味に色変換処理を施した出力基準画像を作成し(S12)、出力基準画像を表示する(S13)。
【0064】
S11の判定にてP=1である場合は(S11においてYES)、画像の表示は行わないと判定し、画像出力装置3での出力(印刷、送信等)に合わせた色補正処理を施し(S14)、画像表示装置4での表示は行わない(S15)。
【0065】
ユーザが、スキャンインを選択すると、画像入力装置2のADF等に置かれた原稿は順次読み込まれ(スキャンされ)、第一色補正、ガンマ補正、解像度変換処理が施され(原稿を表示して確認するための最低限の処理)、スキャンした順に、画像表示装置4に表示される。本実施形態では、この画像を原稿基準画像と称している。
【0066】
ユーザは表示される原稿基準画像を見て、原稿の天地方向の修正、順序等を確認し、誤っている箇所があると訂正を行う。訂正する方法としては、画像表示装置4をタッチパネルで構成し、指やペンで入力する動作の軌跡を認識できるように構成しておき、次のように行えばよい。例えば、原稿の天地方向を変更する場合は、原稿が正しい方向(あるいは、ユーザが意図する方向)になるように、表示されている原稿を回転させたりすることで、原稿の順序が正しくなるように、対象となる原稿の位置を変更するように訂正すればよい。
【0067】
また、ユーザは、この段階で、原稿を画像出力装置3で出力する際の条件設定(フルカラー、白黒、シングルカラー、2色カラーの設定、鮮やかさの設定、濃度の設定等)を行う。これらの条件設定を行い、スタートボタンを押すと、記憶装置5に格納されている画像データが読み出され、図1の復号部以降の処理が行われる。この時、ユーザによって、出力プレビュー表示を行うよう設定されている場合は、出力基準画像のプレビュー表示が行われる。
【0068】
次に、図4に示す操作パネルの初期画面を基にユーザが行う各動作に対する処理を以下にまとめる。
【0069】
ユーザが、操作パネルの初期画面において、出力プレビュー表示を行うようにプレビューをオンに設定し、スキャンインボタン402を押圧すると、読み込まれた原稿について原稿に近い色になるように色補正(第一色補正処理)され、順次、操作パネルに表示される。ユーザが、続いて、画像出力装置3での出力のためのスタートを指示するために、スタートボタンを押圧すると、設定された条件に基づく処理、出力物に近い色になるように色補正処理(第二色補正処理)が行われ、出力基準画像が操作パネルに表示される。
【0070】
ユーザが、スキャンインボタン402を押圧せず、出力プレビュー表示の設定をオンにし、スタートボタンを押圧すると、出力物に近い色になるように色補正処理(第二色補正)が行われ、出力基準画像が表示される。
【0071】
ユーザが、プレビュー表示の設定をオフにし、スキャンインボタン402を押圧すると、読み込まれた原稿に近い色になるよう色補正を行い、順次、原稿基準画像が表示される処理のみが行われる。
【0072】
ユーザが、プレビュー表示の設定をオフにし、スタートボタンを押圧すると、原稿基準画像及び出力基準画像の表示を行うことなく出力処理(コピー、イメージ送信、ファクシミリ送信等)に対する画像処理が行われる。
【0073】
(画像形成装置)
次に、本実施形態の画像処理装置1を備えた、本実施形態の画像形成装置の一形態について図に基づいて説明する。図5は、本実施形態の画像形成装置100の概略構成を示すブロック図である。画像形成装置100は、コピアモード、プリントモード、ファクシミリ送信モード、ファクシミリ受信モード、及びイメージ送信モードの中からいずれかのモードが選択されると、選択されたモードを実行するデジタルカラー複合機である。
【0074】
コピアモード(複写モード)とは、画像データを読み込み(原稿を読み取って画像データを生成し)、この画像データの画像を用紙に印刷するモードを意味する。また、プリントモードとは、画像形成装置100に接続されているPC等の端末装置から送られてくる画像データの画像を用紙に印刷するモードを意味する。
【0075】
ファクシミリ送信モードとは、原稿を読み取って得られる画像データを電話回線によって外部装置に送信する通常のファクシミリモードと、前記画像データをメールに添付してインターネットによって送信するインターネットファクシミリモードとを意味する。ファクシミリ受信モードとは、外部装置から画像データをファクシミリ受信装置にて受信し、受信した画像データの画像を用紙に印刷するモードを意味する。イメージ送信モードとは、(1)原稿を読み取って得られる画像データを電子メールに添付して指定されたアドレスへ送信するモード(scan to e-mailモード)、(2)原稿を読み取って得られる画像データをユーザにより指定されたフォルダに送信するモード(scan to ftpモード)、(3)原稿を読み取って得られる画像データを画像形成装置100に装着されたUSBメモリなどに送信するモード(scan to usbモード)を意味する。なお、本実施形態においては、画像処理の動作上から、ファクシミリ送信モードとイメージ送信モードとを上記のように分類している。しかし、モードの分類は上記に限定されない。
【0076】
また、コピアモードまたはプリントモードが選択されている場合、ユーザは、白黒画像を出力する白黒モード,フルカラーの画像を出力するフルカラーモード,ユーザの所望する1色のみからなる単色画像を出力するシングルカラーモード,ユーザの所望する1色と黒色とからなる2色画像を出力する2色カラーモードのいずれかを選択できるようになっている。
【0077】
例えば、コピアモードまたはプリントモードにおいて、ユーザがシングルカラーモードを選択した場合、上記単色画像が印刷されることになる。また、コピアモードまたはプリントモードにおいて、ユーザが2色カラーモードを選択した場合、上記2色画像の画像データが印刷される。なお、シングルカラーモードでは、ユーザは、R(赤),G(緑),B(青),C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)の中から所望の色を1つ選択することになる。
【0078】
また、2色カラーモードでは、画像データより有彩色を抽出して、抽出された有彩色をユーザが指定した色に変換する有彩色抽出モードと、ユーザが色を指定し、画像データにおいて指定された系統の色のみを指定色に変換する色指定モードとが備えられており、2色カラーモードを選択すると何れかが選択されるようになっている。有彩色抽出モードにおいて、指定色として赤を選択すると、有彩色として抽出された色が全て赤に変換され、無彩色は黒で表現される。一方、色指定モードにおいて、色変換を行う色として赤、指定色として赤を選択すると、赤系統の色として抽出された色は赤に変換され、それ以外の色(青や緑、無彩色など)は黒に変換される。指定色は、シングルカラーの場合と同様に、R(赤),G(緑),B(青),C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)の中から所望の色が1つ選択される。
【0079】
また、本実施形態では、コピアモードにおいて、自動判別モードを設定することが可能である。この自動判別モードが設定されている場合、画像形成装置100は、複写対象がカラー原稿か白黒原稿であるかを判別する自動カラー判別処理(ACS)を行い、カラー原稿と判別される場合は上記のフルカラーモードで出力処理を行い、白黒原稿と判別される場合は上記の白黒モードで出力処理を行うようになっている。
【0080】
画像形成装置100は、図5に示されるように、画像処理装置1、画像入力装置2、画像出力装置3、画像表示装置4、記憶装置5、受信装置6、送信装置7、制御部8を有している。
【0081】
画像入力装置2は、コピアモード、ファクシミリ送信モード、イメージ送信モードにおいて、原稿を読み取り画像データを生成する画像読取手段である。より具体的に説明すると、画像入力装置2は、CCD(Charge Coupled Device)を備えたスキャナ部を有し、原稿から反射してきた光を、RGBに色分解された電気信号(アナログの画像信号)に変換し、この電気信号を画像処理装置1に入力するものである。
【0082】
なお、画像入力装置2は、上記のフルカラーモード,シングルカラーモード,2色カラーモードのいずれのモードが選択されている場合であっても、フルカラーにて原稿画像の読み取りを行う。また、画像入力装置2は、画像処理装置1において前述した自動カラー判別処理が行われる場合であってもフルカラーにて原稿画像の読み取りを行う。
【0083】
画像処理装置1は、画像入力装置2にて原稿を読み取って得られた画像データ(画像信号)に対して、画像処理を施す集積回路であり、ASIC(Application specific integrated circuit)から構成される。画像処理装置1は、以下の構成を有するが、上記で図1を用いて説明した構成については、同じ番号を付し、上記で説明した内容については簡略する。画像処理装置1は、図5に示すように、A/D(アナログ/デジタル)変換部21、シェーディング補正部22、入力処理部23、原稿種別自動判別部24、第一色補正部11、ガンマ補正部12、解像度変換部13、領域分離処理部25、圧縮部26、領域分離信号圧縮部27、復号部28、領域分離信号復号部29、画質調整部30、2色化処理部31、第二色補正部14、黒生成/下色除去部32、空間フィルタ部33、変倍部34、出力階調補正部35、及び中間調生成部36の各ブロックを有している。画像処理装置1に含まれる各ブロックの処理内容については後で詳述する。
【0084】
なお、画像処理装置1は、コピアモード、ファクシミリ送信モード、イメージ送信モードにおいて、画像入力装置2から送られてきた画像データに画像処理を行う。プリントモードにおいて、端末装置から送信されてきた画像データに画像処理を行う。ファクシミリ受信モードにおいて、外部装置から受信した画像データに画像処理を行う。そして、画像処理装置1は、コピアモード、プリントモード、ファクシミリ受信モードにおいて、画像処理を施した画像データを画像出力装置3に送信し、ファクシミリ送信モードにおいて、画像処理を施した画像データを送信装置7に送信する。
【0085】
また、画像処理装置1は、イメージ送信モードのscan to e-mailモードにおいて、画像処理を施した画像データをメール処理部(不図示)に送信し、scan to ftpモードにおいて、画像処理を施した画像データを所定のフォルダに送信し、scan to usbモードにおいて、画像処理を施した画像データを所定のUSBメモリに送信する。
【0086】
画像出力装置(プリンタ)3は、画像処理装置1から送られてきた画像データの画像を記録媒体(例えば紙等)に印刷(形成)するものである。画像出力装置3として、例えば、電子写真方式またはインクジェット方式を用いたカラープリンタを挙げることができる。なお、本実施形態においての「印刷」とは、プリントモードにおける印刷、コピアモードでの印刷、ファクシミリ受信モードでの印刷のいずれかを意味する。
【0087】
画像表示装置4は、画像形成装置100の操作パネル(不図示)に備えられている液晶ディスプレイであり、カラー画像の表示が可能な表示手段である。また、画像表示装置4は、タッチパネルに覆われており、画像形成装置100の入力インターフェイスとしての機能を有している。つまり、画像表示装置4には、画像形成装置100に対して各種コマンドの入力を行うためのGUI(グラフィカルユーザインターフェイス)や操作ガイドが表示される。
【0088】
また、画像形成装置100では、コピアモードにおいて、原稿を読み取った後、原稿に近い色味に変換された画像データを画像表示装置4に表示することが可能になっている。
【0089】
また、画像形成装置100では、コピアモードまたはファクシミリ受信モードにおいて、印刷実行前に、実際の印刷物に近い色味に変換された画像データを出力のプレビューとして画像表示装置4に表示することが可能になっている。さらに、画像形成装置100では、ファクシミリ送信モードまたはイメージ送信モードにおける送信実行前において、送信対象となる画像のプレビューを画像表示装置4に表示することが可能になっている。
【0090】
ここで、コピアモードまたはイメージ送信モードにおいて、フルカラーモードが選択されている場合はフルカラー画像のプレビューが表示され、シングルカラーモードが選択されている場合は単色画像のプレビューが表示され、2色カラーモードが選択されている場合は2色画像のプレビューが表示されるようになっている。
【0091】
なお、画像表示装置4は、液晶ディスプレイに限定されるものではなく、液晶ディスプレイ以外の表示手段(例えば、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等)であってもよい。
【0092】
記憶装置5は、画像処理装置1にて扱われる画像データを一旦保存するためのメモリあるいはハードディスクである。
【0093】
受信装置6は、電話回線またはインターネットに接続しており、ファクシミリ通信によって外部装置から画像データを受信する装置である。また、送信装置7は、電話回線またはインターネットに接続しており、画像入力装置2にて入力された画像データをファクシミリ通信によって外部装置へ送信する装置である。
【0094】
制御部8は、CPU(Central Processing Unit)あるいはDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサを含むコンピュータであり、画像形成装置100に備えられる各種ハードウェアを統括的に制御するものである。また、制御部8は、画像形成装置100に備えられる各ハードウェア間のデータ転送を制御する機能も有する。
【0095】
次に、コピアモードにおいて、画像処理装置1の各ブロックにて実行される処理の内容を詳細に説明する。なお、本実施形態の画像処理装置1には、或るモードaが選択されている時は動作する一方で前記モードaとは異なるモードbが選択されている時は動作しないようなブロックが存在する(モードa、モードbは、コピアモード、ファクシミリ送信モード、ファクシミリ受信モード、イメージ送信モードのいずれかである)。
【0096】
また、画像処理装置1には、選択されているモードに応じて処理内容を変更するブロックも存在する。さらに、画像処理装置1には、選択されているモードが同じであっても、印刷用(送信用)の画像データの処理時は動作する一方でプレビュー用の画像データの処理時は動作しないようなブロックや、印刷用(送信用)の画像データの処理時とプレビュー用の画像データの処理時とで処理内容を変更するブロックが存在する。
【0097】
そこで、以下では、画像処理装置1に含まれる各ブロックにて実行される処理の内容について、コピアモードついて説明すると共に、印刷処理時と画像データ表示時とで分けて説明する。
【0098】
(1)コピアモードの印刷処理(画像印刷ジョブ)
以下では、図6に基づいて画像処理装置1について説明する。図6はコピアモード且つフルカラーモードにて印刷処理を行う際の画像処理装置1内の画像データの流れを示している。
【0099】
A/D(アナログ・デジタル)変換部21は、画像入力装置2から送られてきたカラー画像信号(RGBアナログ信号)をデジタルの画像データ(RGBデジタル信号)に変換するブロックである。シェーディング補正部22は、A/D変換部21から送られてきた画像データに対して、画像入力装置2の照明系、結像系、撮像系で生じる各種の歪みを取り除く処理を施すブロックである。入力処理部23は、シェーディング補正部22より送られてくるRGBの画像データのそれぞれに対してγ補正処理などの階調変換処理(入力処理)を施すブロックである。
【0100】
原稿種別自動判別部24は、入力処理部23にてγ補正等の処理がなされたRGBの画像データ(RGBの濃度信号)に基づき、画像入力装置2にて読み取られた原稿の種別の判定を行う。ここで、判定される原稿の種別としては、文字原稿、印刷写真原稿、文字と印刷写真とが混在した文字印刷写真原稿等がある。また、原稿種別自動判別部24は、上記画像データに基づき、読み取られた原稿がカラー原稿であるか白黒原稿であるのかの判別を行う処理である自動カラー判別処理(ACS:Auto Color Selection)やブランク原稿であるか否か(無地の原稿であるか否か)の判定処理も行うことができる。なお、原稿種別自動判別部24から出力されるRGBの画像データは、領域分離処理部25及び圧縮部26に入力するようになっている。
【0101】
領域分離処理部25は、原稿種別自動判別部24から送られてくるRGBの画像データに基づき、入力画像の画素毎に、当該画素がどのような画像領域に分類されるのかを判別し、この判別結果を示す領域分離信号を生成する処理を行う。ここで、領域分離処理部25において判別される画像領域には、黒文字領域、色文字領域、網点領域等がある。なお、領域分離処理部25は、画素毎に画像領域の判定を行う形態ではなく、複数の画素よりなるブロック毎に画像領域の判定が行われる形態であってもよい。
【0102】
圧縮部26は、原稿種別自動判別部24から送られてくる画像データ(RGB信号)を符号化する処理を行うブロックである。なお、上記符号化は、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式に基づいて行われる。
【0103】
領域分離信号圧縮部27は、画素毎に生成された領域分離信号に対して圧縮処理を施すブロックである。なお、領域分離信号圧縮部27における圧縮処理は、例えば、可逆圧縮方法であるMMR(Modified Modified Reed)方式、MR(Modified Reed)方式に基づいて行われる。
【0104】
制御部8は、圧縮部26から出力された符号化コード(符号化された画像データ)と領域分離信号圧縮部27から出力された領域分離信号コード(圧縮された領域分離信号)とを一旦記憶装置5に保存し、ファイリングデータとして管理する。そして、制御部8は、コピー出力動作が指示された場合、記憶装置5から上記の符号化コード及び当該符号化コードに対応する領域分離信号コードを読み出し、復号部28、領域分離信号復号部29にそれぞれ引き渡す。
【0105】
なお、制御部8は、上記符号化コードの保存アドレスまたはデータ名と、領域分離信号コードの保存アドレスとを対応付けて管理テーブルに記入する。つまり、制御部8は、当該管理テーブルを用いて、符号化コード及び領域分離信号コードの読み出しまたは書き込みの制御を行っている。
【0106】
復号部28は、上記符号化コードに対して復号化処理を施すことによって、上記符号化コードをRGBの画像データに伸張する。また、領域分離信号復号部29は、上記領域分離信号コードに対して復号化処理を施す。復号化した領域分離信号は、黒生成/下色除去部32、空間フィルタ部33、中間調生成部36に引き渡される。そして、黒生成/下色除去部32、空間フィルタ部33、中間調生成部36においては、画像領域の種類に応じて画像処理内容の切替えが行われる。
【0107】
画質調整部30は、復号部28から送られてくるRGBの画像データについて、下地の検出を行って下地除去補正を行う。さらに、画質調整30部は、ユーザによって操作パネル(不図示)から入力される設定情報に基づいて、RGBのバランス(カラー調整、赤み青みといった全体のカラー調整)、明るさ、鮮やかさの調整を行う。
【0108】
さらに、画質調整部30は、シングルカラーモードが選択されている場合、RGBの画像データを、RGBの補色となるCMYの画像データに変換する処理を行う。ここで、シングルカラーモードにおいてのRGBの画像データからCMYの画像データへの変換処理は、下記の式2を用いることによって実行される。なお、式2における係数r1〜r3は下記の表1に基づいて定められる。例えば、ユーザがシングルカラーモードにおいて所望の色としてシアンを選択している場合、下記の表1の「Cyan」の欄に属するr1〜r3の値が参照され、r1=1,r2=0,r3=0が選択されることになる。
【0109】
【数3】

【0110】
【表1】

【0111】
つまり、フルカラーモードの場合の画質調整部30からの出力は、図6に示されるように、RGBの画像データとなるところ、シングルカラーモードが選択されている場合の画質調整部30からの出力は、図7(a)に示されるように、CMYの画像データとなる。なお、2色カラーモードが選択されている場合の画質調整部30からの出力は、図7(b)に示されるように、RGBの画像データとなる。なお、図7(a)は、コピアモード且つシングルカラーモードにて印刷処理が行われる際の画像処理装置1の一部のブロックを示したものである。図7(b)は、コピアモード且つ2色カラーモードにて印刷処理が行われる際の画像処理装置1の一部のブロックを示したものである。
【0112】
また、画質調整部30にて実行される鮮やかさの調整は、上記式2のマトリクスのr1〜r3及びa1〜a3の各値を変更した上で当該マトリクスを用いることによって実現可能である。それゆえ、上記の鮮やかさの調整と、シングルカラーモードにおける画像データの変換処理(RGBからCMYへの変換)とについては、マトリクスを共用でき、画像処理回路を共用できる。よって、本実施形態では、上記の鮮やかさの調整と、シングルカラーモードにおける画像データの変換処理とが、同じ処理部(画質調整部30)で行われるのである。
【0113】
2色化処理部31は、2色カラーモードが選択されている場合、図7(b)に示すように、画質調整部30から出力されたRGBの画像データをCMYの画像データに変換する処理を行うブロックである。2色カラーモードにおいて、RGBの画像データは、上記した方法に基づいてCMYの画像データに変換処理される。
【0114】
また、2色化処理部31は、フルカラーモードが選択されている場合、図6に示されるように、画質調整部30から出力されたRGBの画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま第二色補正部14へ引き渡す(スルーする)。さらに、2色化処理部31は、シングルカラーモードが選択されている場合、図7(a)に示すように、画質調整部30から出力されたCMYの画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま第二色補正部14へ引き渡す(スルーする)。
【0115】
第二色補正部14は、フルカラーモードが選択されている場合、図6に示すように、2色化処理部31から出力されるRGBの画像データをCMYの画像データに変換する色補正処理を行うと共に、当該画像データに対して色再現性を高める処理を施す色補正処理部としての機能を有するブロックである。なお、上記の色補正処理は、入力値(RGB)と出力値(CMY)とを対応付けたLUT(ルックアップテーブル)を作成し、作成したLUTから出力値をルックアップすることによって実現される。つまり、本実施形態では、上記した第二色補正処理を施す第二色補正部14は、画像出力装置3に供給される画像データに色補正を施す色補正処理部と兼用されている。
【0116】
また、第二色補正部14は、シングルカラーモードまたは2色カラーモードが選択されている場合、図7(a)及び(b)に示されるように、2色化処理部31から出力されたCMYの画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま黒生成/下色除去部32へ引き渡す(スルーする)。
【0117】
黒生成/下色除去部32は、フルカラーモードまたは2色カラーモードが選択されている場合、第二色補正部14から出力されたCMYの画像データから黒(K)の画像データを生成する黒生成を行う一方、元のCMYの画像データから黒(K)の画像データを差し引いて新たなCMYの画像データを生成する処理を行うブロックである。これにより、フルカラーモードまたは2色カラーモードが選択されている場合、図6及び図7(b)に示されるように、CMYの画像データは黒生成/下色除去部32によってCMYKの4色の画像データに変換される。
【0118】
また、黒生成/下色除去部32は、シングルカラーモードが選択されている場合、図7(a)に示されるように、第二色補正部14から出力されたCMYの画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま後段の空間フィルタ部33へ引き渡す(スルーする)。
【0119】
なお、フルカラーモードまたは2色カラーモードが選択されている場合、黒生成/下色除去部32の出力、及び、黒生成/下色除去部32よりも後段の各ブロックの入出力は、図6のように、CMYKの画像データとなる。しかし、シングルカラーモードが選択されている場合、図7(a)に示されるように、黒生成/下色除去部32の出力、及び、黒生成/下色除去部32よりも後段の各ブロックの入出力は、図6とは異なり、CMYの画像データとなる。
【0120】
空間フィルタ部33は、黒生成/下色除去部32より出力されるCMYKまたはCMYの画像データに対して、領域分離信号(領域識別信号)を基にデジタルフィルタによる空間フィルタ処理(強調処理、平滑化処理等)を行う。つまり、空間フィルタ部33では、領域分離信号に基づいて、画像領域毎に異なる画像処理が実行される。
【0121】
変倍部34は、操作パネル(不図示)を介してユーザによって入力される変倍コマンド(印刷画像の倍率を示した情報)に基づいて、画像の拡大や縮小処理を行うブロックである。
【0122】
出力階調補正部35は、変倍部34から出力された画像データに対して、用紙等の記録媒体に出力するための出力γ補正処理を行うブロックである。中間調生成部36は、誤差拡散法やディザ法を用いて、画像出力装置3において画像を印刷するために必要な階調再現処理(中間調生成処理)を実行するものである。
【0123】
そして、中間調生成部36から出力されるCMYKまたはCMYの画像データは、画像出力装置3に引き渡され、画像出力装置3は、当該画像データの画像を記録媒体(例えば紙等)上に印刷する。
【0124】
(2)コピアモードでの画像データ表示
次に、コピアモードにて、原稿を読み取って得た画像データを、原稿に近い色味に変換して表示する場合、及び出力(印刷)に近い色味に変換して出力のプレビューとして表示する場合において、画像処理装置1の各ブロックにて実行される処理の内容を、図8に基づいて説明する。図8は、図6の画像形成装置100と同じ画像形成装置100を示すブロック図であり、コピアモード且つフルカラーモードにて画像表示を行う際の画像データの流れを示している。
【0125】
なお、A/D(アナログ/デジタル)変換部21、シェーディング補正部22、入力処理部23、原稿種別自動判別部24、領域分離処理部25、圧縮部26、領域分離信号圧縮部27、復号部28、画質調整部30、2色化処理部31の処理については、上記したコピアモードでの印刷処理時と同じであるため、以下ではその説明を省略する。
【0126】
第一色補正部11には、原稿種別自動判別部24からのRGBの画像データが入力される。なお、入力された画像データは、画像入力装置(スキャナ)2の色空間に適合しているデータである。そして、第一色補正部11は、入力された画像データのRGB値を原稿に近い色味のRGB値に変換する処理を行い、ガンマ補正部12に渡す。
【0127】
ガンマ補正部12は、画像表示装置4の特性に合わせて、画像データのRGB値に対してガンマ補正を行い、解像度変換部13に渡す。
【0128】
解像度変換部13は、画像データのサイズを縮小し、画像の表示を高速化するため、画像データの解像度を下げる処理を行う。解像度変換部13にて解像度を下げられた画像データは、図8に示すように、原稿に近い色味の画像(原稿基準画像)として、画像表示装置4に送られ、表示される。
【0129】
このように、画像表示装置4にて表示される原稿基準画像の色が、画像入力装置2で読み取った原稿の画像の色に近くなるよう、つまり、これらの色の差が小さくなるよう、処理することができる。そのため、ユーザは、画像表示装置4にて、画像入力装置2にて読み取った原稿が意図したものに間違い無いことを精度よく確認することができる。また、第一色補正部11での色補正処理は、画像入力装置の色再現特性及び画像表示装置の表色再現特性に基づくものであり、つまり、画像出力装置3の色再現特性に基づく処理はされていないため、短時間で原稿の画像の色に近い色の原稿基準画像を、画像表示装置4にて表示することができる。
【0130】
また、解像度変換部13にて解像度を下げられた画像データは、圧縮部26にも送られる。
【0131】
出力(印刷)のプレビューとして画像(出力基準画像)を表示する際、領域分離信号復号部29は、図8に示すように、復号化した領域分離信号を空間フィルタ部33及び出力階調補正部35に引き渡す。
【0132】
第二色補正部14には、フルカラーモードにおいて、RGBの画像データが入力される。そして、第二色補正部14は、この画像データのRGB値を出力(印刷)物に近い色味のR’G’B’値に変換する。この変換処理は、入力のRGB値と出力のR’G’B’値とを対応付けたLUTを作成し、作成したLUTから出力値をルックアップすることによって実現される。
【0133】
本実施形態では、フルカラーモードにおいて、印刷処理時におけるRGBの画像データからCMYKの画像データへの変換処理と、画像データ表示時におけるRGBの画像データの色味変換処理とについて、画像処理回路を共用している。
【0134】
ここで、図8は、図6と同様、フルカラーモードが選択されている場合の画像形成装置100を示したものであり、第二色補正部14は、フルカラーモードにおいて、RGBの画像データが入力されるようになっている。しかし、シングルカラーモードまたは2色カラーモードでは、図9(a)及び(b)に示すように、第二色補正部14はCMYの画像データが入力されるようになっている。なお、図9(a)は、コピアモード且つシングルカラーモードにて出力のプレビュー表示処理が行われる際の、画像処理装置1の一部のブロックを示したものである。図9(b)は、コピアモード且つ2色カラーモードにて出力のプレビュー表示処理が行われる際の、画像処理装置1の一部のブロックを示したものである。
【0135】
そして、第二色補正部14は、シングルカラーモードまたは2色カラーモードでは、入力されたCMYの画像データをR’G’B’の画像データに変換する処理を行う。つまり、第二色補正部14印刷処理の印刷特性に適合したCMYの画像データを出力物に近い色味のR’G’B’の画像データに変換する処理を行う。なお、CMYの画像データをR’G’B’の画像データに変換する処理も、入力のCMY値と出力のR’G’B’値とを対応付けたLUTを作成し、作成したLUTから出力値をルックアップすることによって実現される。
【0136】
黒生成/下色除去部32は、図8,図9(a)及び(b)に示すように、シングルカラーモード,2色カラーモード,フルカラーモードのいずれのモードであっても、第二色補正部14から出力されたR’G’B’の画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま後段の空間フィルタ部33へ引き渡す(スルーする)。
【0137】
空間フィルタ部33は、黒生成/下色除去部32より出力されたR’G’B’の画像データに対して、領域分離信号を基にデジタルフィルタによる空間フィルタ処理(強調処理、平滑化処理等)を行う。つまり、空間フィルタ部33では、印刷処理時と同様、領域分離信号に基づいて、画像領域毎に異なる画像処理が実行される。
【0138】
変倍部34は、空間フィルタ部33から出力されたR’G’B’の画像データに対して、何も処理を行わず、当該画像データをそのまま後段の出力階調補正部35へ引き渡す(スルーする)。なお、図8は、スキャンインの指示入力があり、原稿に近い色味に変換して画像表示装置4にて表示する場合を示しているため、第二色補正部14に渡されるデータは、解像度変換部13にて間引き処理されたデータである。よって、変倍部34にて間引き処理を行う必要はなく、変倍部34はスルーする。
【0139】
出力階調補正部35は、変倍部34から出力された画像データに対して、領域分離信号を基に出力γ補正処理を行う。より具体的に説明すると、出力階調補正部35は、領域分離信号を基に、画像領域に応じて異なるガンマ曲線を選択し、画像領域毎に出力γ補正処理の内容を異ならせている。例えば、文字以外の領域に対しては、画像表示装置4の表示特性に応じたガンマ曲線が選択され、文字領域に対しては、文字をくっきりと表示させるためのガンマ曲線が選択される。ここで、図10(a)は、画像表示装置4の表示特性に応じたガンマ曲線である。また、図10(b)の実線で示される曲線は文字をくっきりと表示させるためのガンマ曲線である。なお、図10(b)の破線は、画像表示装置4の表示特性に応じたガンマ曲線であり、文字をくっきりと表示させるためのガンマ曲線と比較するために図示したものである。
【0140】
なお、本実施形態では、出力階調補正部35は、領域分離信号に基づいてガンマ曲線の選択を行っているが、領域分離信号による選択を行わず、図10(a)のガンマ曲線のみを用いて出力階調補正を行うようにしてもよい。
【0141】
そして、中間調生成部36は、出力階調補正部35から出力されたR’G’B’の画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま後段の画像表示装置4へ引き渡す(スルーする)。これにより、画像表示装置4は、R’G’B’の画像データに基づいて、出力(印刷)のプレビューである出力基準画像を表示できる。
【0142】
このように、画像表示装置4にて表示される出力基準画像の色が画像出力装置3にて印刷される画像の色に近くなるよう、つまり、これらの色の差を小さくする。よって、画像出力装置3での印刷出力に近い色の出力基準画像が表示される。そのため、ユーザは、コピー(印刷)出力前に、出力物の画像を精度よく確認できる。
【0143】
なお、出力階調補正部35において実行される出力γ補正処理は、中間調生成部36において実行するようにしてもよい。
【0144】
以上では、コピアモードが選択された場合の、原稿に近い色味に変換した原稿基準画像を表示する処理、及び、出力(印刷)に近い色味に変換した出力基準画像を表示する処理について説明した。上記以外にも、例えば、ファックス送信モードあるいはイメージ送信モードが選択された場合に、つまり、原稿の読み込みを行う場合には、原稿に近い色味に変換した原稿基準画像を表示する処理を行ってもよい。
【0145】
また、イメージ送信モードが選択された場合には、イメージ送信での出力に近い色味に変換した出力基準画像を表示する処理を行ってもよい。この場合、例えば、一般的に広く使用されているsRGB色空間のモニタに限定し、sRGB色空間におけるRGB値とL値との対応と、画像表示装置4におけるR’G’B’値とL’a’b’値との対応を基に、RGB値とR’G’B’値を対応付けるLUTを作成することで、イメージ送信する画像をsRGB色空間のモニタで見た際の色味を画像表示装置4にて実現することができる。
【0146】
また、ファックス受信モードあるいはプリントモードの場合(原稿の読み込みがない場合)には、出力(印刷)に近い色味に変換した出力基準画像を表示する処理を行ってもよい。
【0147】
(3)コピアモードにおける処理の流れ
次に、コピアモード且つフルカラーモードが選択されている場合の処理の流れの一例を図11に基づいて説明する。図11は、コピアモード且つフルカラーモードが選択されている場合の、画像形成装置100の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【0148】
まず、画像形成装置100は、コピアモードが選択され、スキャンインキーが押圧されたか(スキャンインの指示が入力されたか)を判定する(S21)。スキャンインキーが押圧された場合はS22〜S31を実行し、スキャンインキーが押圧されていない場合はS32〜S37を実行する。以下では、まずS22〜S31について説明し、その後、S32〜S37について説明する。
【0149】
スキャンインキーが押圧されると(S21にてYES)、原稿をスキャンすることによって(S22)、RGBのアナログ信号を生成する。なお、S21のスキャンインキーを押す前に、ユーザは、プレビュー表示の要否を示す設定情報を入力することにより、画像形成装置100に対してプレビュー表示の有無を設定しているものとする。
【0150】
S22の後、画像形成装置100は、RGBのアナログ信号をRGBの画像データ(デジタル信号)に変換し(S23)、上記画像データに対してシェーディング補正を施し(S24)、シェーディング補正後のRGBの画像データに対して入力γ補正処理等の入力処理を施す(S25)。
【0151】
S25の後、画像形成装置100は、RGBの画像データに基づいて原稿種別判定処理及び領域分離処理を行い(S26)、S21にてスキャンインキーの押圧があったので、第1色補正処理(S27)、ガンマ補正処理(S28)、解像度変換処理(S29)を行って、原稿に近い色味の画像データを形成する。そして、原稿に近い色味の画像(原稿基準画像)を表示する(S30)。さらに、この画像データを記憶装置5に保存する(S31)。
【0152】
S21にてスキャンインキーが押圧されない場合(S21にてNO)、スタートキーが押圧されたか(スタートの指示が入力されたか)を判定する(S32)。スタートキーが押さ圧されていない場合(S32にてNO)、S21に戻る。スタートキーが押圧されると(S32にてYES)、S22と同様に、原稿をスキャンすることによって(S33)、RGBのアナログ信号を生成する。
【0153】
S33の後、画像形成装置100は、S23〜S25と同様に、RGBのアナログ信号をRGBの画像データ(デジタル信号)に変換し(S34)、上記画像データに対してシェーディング補正を施し(S35)、シェーディング補正後のRGBの画像データに対して入力γ補正処理等の入力処理を施す(S36)。S36の後、画像形成装置100は、S26と同様、RGBの画像データに基づいて原稿種別判定処理及び領域分離処理を行う(S37)。そして、この画像データを記憶装置5に保存する(S31)。
【0154】
S31の後、画像形成装置100は、プレビュー表示を行う設定がされているか否か(指示入力があったか否か)を判定し(S38)、プレビュー表示を行う設定がされていない場合は(S38にてNO)、S39〜S46を実行し、プレビュー表示を行う設定がされている場合(S38にてYES)S47〜S53を実行する。以下では、まずS39〜S46について説明し、その後、S47〜S53について説明する。
【0155】
S38にてプレビュー表示を行う設定がされていないと判定した場合(S38にてNO)、画像形成装置100は、RGBの画像データを記憶装置5から読み出し、下地除去補正や鮮やかさの調整等の画質調整処理を行う(S39)。その後、画像形成装置100は、画像入力装置(スキャナ)2の特性に応じたRGBの画像データを、画像出力装置(プリンタ)3の特性に応じたCMYの画像データに変換し(S40)、さらに、CMYの画像データをCMYKの画像データに変換する(S41)。
【0156】
その後、画像形成装置100は、領域分離処理の結果を基にCMYKの画像データに対して空間フィルタ処理を行い(S42)、空間フィルタ処理後のCMYKの画像データに対して変倍処理を施す(S43)。S43の後、画像形成装置100は、CMYKの画像データに対して出力γ補正(出力階調補正)処理(S44)及び階調再現処理を行い(S45)、当該画像データの画像を用紙に印刷し(S46)、処理を終了する。
【0157】
S38においてプレビュー表示を行う設定がされていると判定した場合(S38においてYES)、画像形成装置100は、RGBの画像データを記憶装置5から読み出し、S39の画質調整処理と同じ画質調整処理を行う(S47)。その後、画像形成装置100は、画像入力装置(スキャナ)2の特性に応じたRGBの画像データを、画像表示装置4の特性に応じたR’G’B’の画像データに変換する(S48)。S18の後、画像形成装置100は、領域分離処理の結果を基にR’G’B’の画像データに対して空間フィルタ処理を行う(S49)。そして、S21でスキャンインの指示入力が無かった場合には、R’G’B’の画像データが画像表示装置4のディスプレイの解像度及びサイズに適合するものになるように当該R’G’B’の画像データに対して間引き処理を行う(S50)。これは、スキャンインを行っていない場合には、解像度変換部13での処理が行われない(解像度変換部13を通らない)ため、変倍部34にて間引き処理を行う必要があるからである。スキャンインを行った場合には、解像度変換部13での処理が行われているため、S50は飛ばして、S49の次にS51に進む。
【0158】
その後、画像形成装置100は、領域分離処理の結果を基に、R’G’B’の画像データに対して出力γ補正(出力階調補正)処理を行う(S51)。S51の後、画像形成装置100は、R’G’B’の画像データに基づいて出力基準画像の表示(出力プレビュー表示)を行う(S52)。この出力基準画像は、出力(印刷)物に使い色味の画像となっている。
【0159】
そして、S52の後、プリント許可を示すコマンドがユーザから入力されると(S53にてYES)、画像形成装置100は、記憶装置5に記憶されているRGBの画像データを再度読み出し、この画像データに基づいてS39〜S46の処理を実行して印刷を行う。これに対し、S52の後、プリント取消を示すコマンドがユーザから入力される、あるいはプリント許可を示すコマンドがユーザから入力されないと(S53にてNO)、画像形成装置100は処理を終了する。
【0160】
(1−4)変形例
図6に示した画像形成装置100では、圧縮画像データ(符号化コード)と領域分離信号コードとを対応付けて記憶装置5に格納している。しかし、図12に示す画像形成装置100aのように、画像入力装置2にて原稿を読み取って画像データを得た後、領域分離処理及び原稿種別判別処理を行う前に、読み取った画像データを符号化して一旦記憶装置5に格納しておき、記憶装置5から読み出して復号化した画像データについて原稿種別判別処理や領域分離処理を施すように構成してもよい。
【0161】
また、図6に示した画像形成装置100や図12に示す画像形成装置100aは、コピアモード・プリントモード・ファクシミリ送信モード・ファクシミリ受信モード・イメージ送信モード等のジョブの選択中に画像ファイリングモード(画像ファイリングジョブ)を実行可能としてもよい。この画像ファイリングモードとは、コピアモード等のジョブの選択中において、画像入力装置2にて得られた画像データまたは外部から受信した画像データに基づいて画像ファイル(JPEG、TIFFファイル等)を作成し、この画像ファイルを記憶装置5に保存するモードである。
【0162】
ここで、画像ファイリングモードのファイリング時において、画像入力装置2にて得られた画像データまたは外部から受信した画像データは画像処理装置1にて画像ファイル(JPEG、TIFFファイル等)に変換され、その後、不図示のファイリング処理部(ジョブ装置)に送られ、このファイリング処理部が上記画像ファイルを記憶装置5に保存する。
【0163】
また、各ジョブ(コピアモード・プリントモード・ファクシミリ送信モード等)の選択中においてプレビューを行う場合、画像ファイリングモードの実行の有無に拘わらず、画像入力装置2にて得られた画像データまたは外部から受信した画像データは画像処理装置1にて処理され、その後、画像表示装置4に送られる。さらに、各ジョブの選択中においてプレビューを行う場合、画像ファイリングモードの実行の有無に拘わらず、画像処理装置1にて実行される画像処理の内容は同一である。例えば、コピアモードにおける原稿に近い色味での表示時及び出力近い色味での表示時には、画像ファイリングモードの実行の有無に関係なく、画像処理装置1の処理内容は、図8及び図9(a),(b)に示す処理となる。
【0164】
画像形成装置100における、プリントモード、ファクシミリ送信モード、ファクシミリ受信モード、イメージ送信モードでの各処理については、説明を省略する。なお、上記したように、これらのモードにおいても、原稿の読み込みを行う場合には、原稿に近い色味に変換して表示する処理、及び出力(イメージ送信)に近い色味に変換して出力のプレビューとして表示する処理を行ってもよい。
【0165】
(プログラム・記録媒体)
本実施形態の画像処理装置1は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0166】
すなわち、画像処理装置1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラム及び各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるフィルタ係数の合成処理を行うプログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、画像処理装置1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0167】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0168】
また、画像処理装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0169】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、上述した実施形態において開示された各技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0170】
本発明の画像処理装置は、画像データを取り扱うプレビュー表示可能な装置に用いることができ、複合機、複写機、ファクシミリに、特に好適である。
【符号の説明】
【0171】
1 画像処理装置
2 画像入力装置
3 画像出力装置
4 画像表示装置
5 記憶装置
6 受信装置
7 送信装置
8 制御部
11 第一色補正部
12 ガンマ補正部
13 解像度変換部
14 第二色補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像入力装置が原稿画像を読み取って得た画像データに画像処理を施し、画像出力装置にて出力する際、上記画像データを画像表示装置に供給する画像処理装置であって、
上記画像表示装置に供給する上記画像データに、上記画像入力装置の色再現特性及び上記画像表示装置の表色再現特性に基づいた、第一色補正処理を施す第一色補正部と、
上記第一色補正処理が施された上記画像データに対して、上記画像出力装置の色再現特性及び上記画像表示装置の表色再現特性に基づいた、第二色補正処理を施す第二色補正部とを備え、
上記第一色補正処理が施された画像データ、及び、上記第二色補正処理が施された上記画像データを、上記画像表示装置に供給することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
上記画像出力装置は、画像印刷を実行する印刷装置であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
上記第一色補正部は、マトリクス演算により、上記第一色補正処理を施すことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
上記第一色補正部及び第二色補正部は、それぞれ、動作の要否の指示入力を受け付け、当該指示入力に従って上記補正処理を実行するあるいは実行しないことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
上記第二色補正部は、上記印刷装置に供給される画像データに色補正を施す色補正処理部と兼用されることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の画像処理装置と、原稿画像を読み取る画像入力装置と、画像データを出力する画像出力装置と、画像データの表示を行う画像表示装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
画像入力装置が原稿画像を読み取って得た画像データに画像処理を施し、画像出力装置にて出力する際、上記画像データを画像表示装置に供給する画像処理方法であって、
上記画像表示装置に供給する上記画像データに、上記画像入力装置の色再現特性及び上記画像表示装置の表色再現特性に基づいた、第一色補正処理を施す第一色補正ステップと、
上記第一色補正処理が施された上記画像データに対して、上記画像出力装置の色再現特性及び上記画像表示装置の表色再現特性に基づいた、第二色補正処理を施す第二色補正ステップとを含み、
上記第一色補正処理が施された画像データ、及び、上記第二色補正処理が施された上記画像データを、上記画像表示装置に供給することを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか1項に記載の画像処理装置を動作させるための画像処理プログラムであって、コンピュータを上記画像処理装置の上記各部として機能させるための画像処理プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の画像処理プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−95021(P2012−95021A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239547(P2010−239547)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】