説明

画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体

【課題】本発明は、ブラック1色を、他の色を、はみ出すことなく混ぜあわせて濃い黒にする。
【解決手段】カラープリンタ装置1は、CPU11が、外部のホスト装置から送られてきたカラーの画像データから黒の文字データを判別し、該黒の文字データに対して黒以外の所定色一色の文字データを追加文字データとして追加して合成文字データを生成するとともに、フォント処理部15で、該追加文字データの文字の線を該黒の文字データの線よりも細くする細線化処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に関し、詳細には、ブラック1色を、他の色をはみ出すことなく混ぜあわせて濃い黒にする画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からプリンタ、複写装置、複合装置等の画像形成装置、例えば、電子写真方式の画像形成装置においては、感光体等の像担持体の劣化により、ベタ画像部分や文字部分において転写ムラ等による画像劣化が発生することがある。特に、感光体(像担持体)とトナー(画像形成材)を収納した現像部が一体となったプロセスカートリッジを使用した画像形成装置においては、トナー残量が少なくなって、いわゆるトナーニアエンド付近になると、K(ブラック)単色による転写ムラが顕著に発生する。転写ムラ等の画像ムラが発生すると、図10に示すように、印刷の濃度が低下し、画像、特に、文字が薄くなって、画像品質が低下する。
【0003】
そこで、従来から、図11に示すように、K色のベタ画像を、C(シアン)色、M(マゼンタ)色、Y(イエロー)色及びK色の4色を組み合わせて印刷(画像形成)することで、転写ムラ等の画像ムラによる画像品質の低下等を防止することが行われている。
【0004】
ところが、従来のCMYK4色での印刷による転写ムラ等の画像ムラの防止方法にあっては、文字やグラフィック等の通常状態においてはK単色で印刷する画像部分をCMYK4色で印刷するため、トナーを大量に消費してしまうとともに、印刷に使用する各色の印刷に色ずれが発生して、画質が劣化することとなる。
【0005】
また、従来、画像データを解析して、画像の中から、彩度値が所定値以下の文字からなる文字領域を抽出して、該文字領域を、文字の輪郭部分である文字輪郭領域と、該文字の内部の文字内部領域とに分離し、文字輪郭領域の画像データ及び文字内部領域の画像データを、少なくとも1種類の無彩色インク及び少なくとも3種類の有彩色インクについてのインク量データに変換して、該文字内部領域については、該文字輪郭領域よりも有彩色インクが多く使用されるように、それぞれの領域の画像データを該インク量データに変換して、滲みの少ないはっきりした文字の形成を図った技術が提案されている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記公報記載の従来技術にあっては、文字をK色だけでなく、CMYK色で印刷しているため、CMYK色の間で色ずれが起こりやすく、画質が劣化するという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、画像形成材の消費量を削減しつつ、転写ムラ及び色ずれを抑制して画質を向上させることのできる画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、カラーの画像データから黒の文字データを判別して、該黒の文字データに対して黒色以外の所定色一色の文字データを追加文字データとして追加して合成文字データを生成するとともに、該追加文字データの文字の線を該黒の文字データの線よりも細くする細線化処理を行うことを特徴としている。
【0009】
また、本発明は、前記追加文字データの文字の線を、主走査方向と副走査方向のうち少なくともいずれかの方向において細くする細線化処理を行うことを特徴としてもよい。
【0010】
さらに、本発明は、前記追加文字データの文字の線を、前記黒の文字データのピクセル単位で、前記画像データを出力する際の解像度として指定されている指定出力解像度に応じて、または、前記黒の文字データのフォントサイズに応じて、細くする細線化処理を行うことを特徴としてもよい。
【0011】
さらに、本発明は、像担持体上に少なくとも黒色単色のベタパッチを形成し、該ベタパッチの濃度を検出して、検出した該ベタパッチの濃度に基づいて、前記合成文字データの生成及び前記細線化処理を制御することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、画像形成材の消費量を削減しつつ、転写ムラ及び色ずれを抑制して画質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例を適用したカラープリンタ装置の要部ブロック構成図。
【図2】主走査方向及び副走査方向の付加文字の細線化を示す図。
【図3】ピクセル数での細線化処理の説明図。
【図4】フォントサイズによって細らせるピクセル数を調整しつつ行う細線化処理の説明図。
【図5】作像部の規格に基づく色ずれの範囲での設定細線化ピクセル数の設定を示す図。
【図6】ブラックの文字にシアンの文字を付加するリッチブラック処理の説明図。
【図7】付加文字の細線化を伴うリッチブラック処理の説明図。
【図8】細線化を伴うリッチブラック処理の要否判定処理を示すフローチャート。
【図9】リッチブラック処理制御を伴う作像処理を示すフローチャート。
【図10】転写ムラの発生状態を示す図。
【図11】CMYK色を組み合わせて転写ムラを防止する場合の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【実施例1】
【0015】
図1〜図9は、本発明の画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体の一実施例を示す図であり、図1は、本発明の画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体の一実施例を適用したカラープリンタ装置1の要部ブロック構成図である。
【0016】
図1において、カラープリンタ装置(画像形成装置)1は、制御部2、オペレションパネル3、作像部4及び濃度センサ5等を備えており、制御部(画像処理装置)2は、CPU(Central Processing Unit )11、ROM(Read Only Memory)12、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)13、A/D変換部14、フォント処理部15、データ受付部16、パネル制御部17及びテストパターン生成部18等を備えている。
【0017】
カラー複写装置1は、制御部2のデータ受付部16にLAN(Local Area Network)等のネットワークを介してコンピュータ等のホスト装置が接続され、該ホスト装置の搭載するプリンタドライバ20からRGB(赤(Red)、緑(Green)、青(Blue))等の印刷データ(画像データ)と印刷設定からなる印刷ジョブをデータ受付部16が受信する。
【0018】
データ受付部16は、ホスト装置とCPU11との間のデータやコマンドの授受を行い、特に、プリンタドライバ20から印刷データと印刷設定からなる印刷ジョブを受信して、CPU11に渡す。
【0019】
オペレションパネル3は、少なくともカラープリンタ装置1に動作させる各種動作命令等の設定操作を行う操作キーや画像形成部1からユーザに通知する各種情報を表示出力するLCD(Liquid Crystal Display)等の表示部等を備えており、操作キーから入力された各種キー操作データを制御部2のパネル制御部17に出力して、パネル制御部17から送られてくる表示データを表示部に表示出力する。
【0020】
パネル制御部17は、オペレションパネル3とCPU11との間のデータの授受を行い、オペレションパネル3からの各種キー操作データをCPU11に出力し、また、CPU11からの表示データをオペレションパネル3に出力する。
【0021】
作像部(パッチ形成手段)4は、電子写真方式のカラーの作像部が用いられており、図示しないが、電子写真方式で用紙に、CMYK等のカラーの描画データに基づいて印刷処理を行うのに必要な部品、例えば、給紙部から搬送されてくる用紙(像担持体)の搬送経路上に、並んで配設されている感光体(像担持体)、感光体を一様に帯電させる帯電部、一様に帯電されている各感光体に制御部2から送られてくるカラー画像データに基づいてそれぞれ変調されたレーザ光を照射して静電潜像を形成させる光書込部、静電潜像の形成された感光体に対応する色のトナー(画像形成材)を供給してトナー画像を形成する現像部、感光体上のトナー画像を用紙に転写させる転写部及び転写後の感光体上の残留トナーを清掃するクリーニング部等を備えている。作像部4は、カラーの描画データ及び制御信号により光書込部を動作させて、各色(例えば、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色)毎に、それぞれの色の一様に帯電されている感光体上に各色の静電潜像を形成し、現像部により各色のトナーを、対応する色の感光体上に供給して現像して各色のトナー画像を形成する。作像部4は、給紙部から用紙を各色の感光体と転写部との間に給紙して、各色の感光体上のトナー画像を順次重ね合わせて用紙に転写させてカラートナー画像を形成し、カラートナー画像の転写された用紙を定着部に搬送して、定着部で加熱・加圧して用紙上のカラートナー画像を定着させることで、印刷処理を行う。なお、図1では、作像部4がトナー画像(画像形成材像)を形成する対象としての用紙または感光体を像担持体30として記載している。
【0022】
なお、作像部4は、上記構成に限るものではなく、例えば、1つのまたは各色の感光体上に形成した各色のトナー画像を、像担持体としての中間転写体に順次転写してカラーのトナー画像を形成し、中間転写体上のカラートナー画像を用紙に転写する構成等であってもよい。また、作像部4としては、電子写真方式の作像部に限るものではなく、例えば、インクジェット方式の作像部であってもよいが、本実施例では、電子写真方式の作像部が用いられているものとして、以下説明する。
【0023】
CPU(文字判別手段、文字データ生成手段、制御手段)11は、ROM12内のプログラムに基づいてカラープリンタ装置1の各部を制御して、カラープリンタ装置1としての基本処理を実行するとともに、後述する本実施例の黒文字に他の一色を付加するリッチブラック処理を実行するとともに、付加する色の文字の線幅を細らせる付加色細線化処理(細線化処理)を行う画像処理方法を実行する。
【0024】
すなわち、カラープリンタ装置1は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )、DVD(Digital Versatile Disk)、SD(Secure Digital)カード、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている本発明の画像処理方法を実行する画像処理プログラムを読み込んでROM12、NVRAM13、図示しないハードディスク等に導入することで、後述する黒文字に他の一色を付加するとともに、付加する色の文字の線幅を細らせる(付加色)細線化処理を伴う画像処理方法を実行する画像処理装置を搭載する画像形成装置として構築されている。この画像処理プログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
【0025】
CPU11は、データ受付部16を介してプリンタドライバ20から送られてきた印刷データと印刷設定を受け取ると、該印刷データ(画像データ)に対して印刷設定で指定されている印刷処理を作像部4で行うのに必要な画像処理、特に、RGBの画像データからCMYK等のビットマップデータ等の描画データ(なお、以下の説明では、描画データが、CMYK画像データであるとして説明する。)へのラスタライズ処理を行うとともに、ラスタライズ処理において、付加細線化処理を伴うリッチブラック処理の要否判定と必要なときの付加色細線化処理をフォント処理部15に実行させる。
【0026】
CPU11は、画像処理したCMYKの描画データと制御信号をテストパターン生成部18から作像部4に出力して、作像部4の上述のように該描画データに基づいて、カラーのトナー画像を像担持体30上に形成させる。
【0027】
また、CPU11は、所定タイミングに、NVRAM13またはROM12に格納されているカラーのテストパターン(パッチ)データをテストパターン生成部18に出力し、テストパターン生成部18がテストパターンPtを生成して作像部4に出力して、作像部4に像担持体30上にテストパターンPtを形成させる。
【0028】
濃度センサ(濃度検出手段)5は、例えば、反射型光センサ等で構成され、テストパターンPtの各色の濃度を検出して、アナログの濃度検出信号を制御部2のA/D変換部14に出力する。
【0029】
A/D変換部14は、濃度センサ5から入力されるアナログの濃度検出信号をデジタル変換してCPU11に出力する。
【0030】
CPU11は、A/D変換部14からの濃度検出信号に基づいて、転写ムラ等の画像ムラの発生、特に、黒ベタの転写ムラが発生するか否かを判定して、印刷データのラスタライズ処理においてフォント処理部15を用いた付加細線化処理を伴うリッチブラック処理の要否判定を行うとともに、リッチブラック処理が必要なときに、該付加細線化処理を伴うリッチブラック処理を行う。
【0031】
なお、カラープリンタ装置1は、通常、作像部4による形成画像(印刷画像)の濃度が経時変化するため、電源オン時、指定枚数印刷時、ユーザによる要求時等の所定時に、テストパターンを作像部4で印刷して濃度検出部でテストパターンの濃度を検出し、該テストパターンの濃度の検出結果に基づいて転写ムラの有無を判定して、γ補正等の濃度補正を行う構成となっている。そこで、上記テストパターン生成部18及び濃度センサ5は、カラープリンタ装置1が通常備えているテストパターン生成部や濃度検出部等の構成を利用することができる。
【0032】
NVRAM13は、一般的に各機能の初期設定値を格納する他、CPU11の制御下で、制御部2の動作に必要な各種データを記憶する。
【0033】
フォント処理部(文字データ補正手段)15は、黒文字に他の一色を付加してリッチブラック印刷する場合に、CPU11の制御下において、ブラックの文字に付加する色の文字(付加文字)の線幅を細らせる細線化処理を行う。フォント処理部15は、付加文字の細線化処理においては、主走査方向のみ、副走査方向のみ、あるいは、図2に示すように、主走査方向と副走査方向の両方向について細線化処理を行う。また、フォント処理部15は、CPU11がホスト装置から送られてきたRGBの画像データをCMYKの描画データにラスタライズ処理する際に、付加文字の細線化処理を行う。
【0034】
そして、フォント処理部15は、付加文字の細線化処理において、基本的には、細線化の単位を、作像部4で出力するデータのピクセルとして、細線化するピクセル数(以下、設定細線化ピクセル数という。)を予め設定して、出力する画像データのピクセルから設定細線化ピクセル数を細らせることで細線化処理を行うが、作像部4で出力されるデータのピクセル数は、出力における解像度によって変化するため、出力解像度によって、実際に細線化するピクセル数(以下、実行細線化ピクセル数という。)を補正する。例えば、図3に示すように、600dpiのときに3pixel細らせることが設定細線化ピクセル数として設定されている場合、1200dpiで出力するときには、6pixelを実行細線化pixel数として、細線化処理を実行する。なお、図3では、濃いハッチングと薄いハッチングを合わせた8pixelであった付加文字を、薄いハッチング部分を圧縮して濃いハッチング部分のみとする細線化処理を行う場合が示されている。すなわち、フォント処理部15は、出力する解像度によって実行細線化ピクセル数を変化させる。
【0035】
また、フォント処理部15は、細線化処理においては、フォントサイズによって設定細線化ピクセル数を補正して、実行細線化ピクセル数を決定してもよい。すなわち、設定細線化ピクセル数を設定して細線化する場合、フォントサイズによっては、設定細線化ピクセル数だけ細らせて細線化処理を行うと、文字が消えてしまう場合がある。例えば、図4に示すように、設定細線化ピクセル数が、「3ピクセル」であると、フォントサイズが大きいときには、図4(a)に示すように、設定細線化ピクセル数である「3ピクセル」細らせる細線化処理を行っても文字が消えることはないが、図4(b)に示すように、3ピクセルで構成されているフォントサイズの文字フォントについては、設定細線化ピクセル数である「3ピクセル」細らせると、文字が消えてしまう。このような場合には、フォント処理部15は、例えば、最低、1dotは残すような細線化処理を行う。
【0036】
さらに、上記説明においては、細線化処理を主走査方向と副走査方向の双方において同じピクセル数ずつ細らせて細線化処理を行う場合について説明したが、主走査方向と副走査方向の双方について同じピクセル数を細らせる細線化処理に限るものではなく、例えば、主走査方向のみ、副走査方向のみ、あるいは、主走査方向と副走査方向のピクセル数を異ならせる細線化処理を行ってもよい。また、この細線化処理における主走査方向と副走査方向のピクセル数を、図5に示すように、主走査方向は、Paピクセル、副走査方向は、Pbピクセル等のように、作像部4の規格に基づく色ずれの範囲内で設定するようにしてもよい。
【0037】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例のカラープリンタ装置1は、印刷データの文字をK色と他の3色CMYのうちの1色を追加して文字データを生成するとともに、該追加文字を細線化して付加する。
【0038】
すなわち、カラープリンタ装置1は、感光体の劣化等により転写ムラが発生すると、上述のように、印刷の濃度が低下し、画像、特に、文字が薄くなって、画像品質が低下する。そこで、従来のように、CMYK4色を組み合わせて印刷すると、トナー等の画像形成材の消費量が多くなってしまうとともに、印刷に使用する各色の印刷に色ずれが発生して、画質が劣化することとなる。
【0039】
そこで、本実施例のカラープリンタ装置1は、転写ムラが発生するおそれがあるときに、K色の文字を印刷する場合には、該K色の文字に対して、CMY色のうち所定の一色、例えば、図6に示すように、C色の同じフォントサイズの文字を付加文字として付加して合成文字画像を生成するとともに、図7に示すように、付加文字を細らせる細線化処理を行って付加する。なお、K色に付加する文字の色は、C色に限るものではなく、その他のM色、Y色であってもよい。
【0040】
すなわち、付加文字を一色にした場合であっても、図6に示したように、K色の文字と一色の付加色の文字の間で色ずれが発生すると、画質が劣化する。
【0041】
そこで、本実施例のカラープリンタ装置1は、図7に示したように、付加文字の線を細くする細線化処理をフォント処理部15で行った後に、K色の文字に付加する細線化を伴うリッチブラック処理を行う。
【0042】
そして、カラープリンタ装置1は、細線化処理を伴うリッチブラック処理を行うか否かを、ユーザによるオペレションパネル3のキー操作またはホスト装置のプリンタドライバ20による設定結果に基づいて判定し、また、図8に示すように、テストパターンPtの濃度に基づいて自動判定する。このリッチブラック処理の実行要否の自動判定を行うか否かをオペレションパネル3のキー操作で設定することができる。なお、ユーザが手動操作によってリッチブラック処理を行うか否か判定するときには、例えば、ユーザが実際の印刷物を見て判断して、ホスト装置のプリンタドライバ20の設定項目やカラープリンタ装置1のオペレションパネル4からリッチブラック処理の実行の可否を設定する。
【0043】
まず、リッチブラック処理の実行要否の自動判定について、図8に基づいて説明する。カラープリンタ装置1は、所定のタイミングに像担持体30上にカラーのテストパターンPtを形成して、該テストパターンPtの濃度を検出した結果に基づいて、図8に示すように、細線化処理を伴うリッチブラック処理の実行を行うか否か判断する。
【0044】
すなわち、カラープリンタ装置1は、所定のタイミングにおいて、CPU11が、ROM12またはNVRAM13に格納されているテストパターンデータをテストパターン生成部18に渡して、テストパターン生成部18が作像部4にテストパターンPtを像担持体30上に形成する(ステップS101)。
【0045】
カラープリンタ装置1は、濃度センサ5によって像担持体30上に形成されたテストパターンPtの濃度を検出して(ステップS102)、アナログの濃度検出信号を制御部2のA/D変換部14に出力し、A/D変換部14がアナログの濃度検出信号をデジタル変換してCPU11に出力する(ステップS103)。
【0046】
CPU11は、予め設定されている細線化処理を伴うリッチブラック処理が必要か否かの基準となる閾値濃度と濃度検出信号とを比較して、テストパターンPtの濃度が閾値濃度の範囲外であるか否か判断し(ステップS104)、テストパターンPtの濃度が閾値濃度の範囲内であると、細線化処理を伴うリッチブラック処理(図8では、フォント処理と記載されている。)の要否を示すフラグ(フォント処理フラグ)を、オフ(OFF)にして、リッチブラック処理要否判定処理を終了する(ステップS105)。
【0047】
ステップS104で、テストパターンPtの濃度が閾値濃度の範囲外であると、CPU11は、フォント処理服をオン(ON)にして、リッチブラック処理要否判定処理を終了する(ステップS106)。
【0048】
そして、カラープリンタ装置1は、ホスト装置から印刷データと印刷設定からなる印刷ジョブを受信すると、CPU11が、該印刷ジョブの印刷データを印刷するに際して、まず、オペレションパネル3による手動設定で、細線化処理を伴うリッチブラック処理であるフォント処理(以下、適宜、単に、リッチブラック処理という。)がオン(ON)に設定されているかチェックし(ステップS201)、手動設定でリッチブラック処理がオンになっていないときには、手動設定で自動リッチブラック処理を行う設定となっているかチェックする(ステップS202)。
【0049】
ステップS202で、自動リッチブラック処理の実行がオンになっていると、CPU11は、上記図8のリッチブラック処理の要否判定処理でフォント処理フラグがオンに設定されているかチェックし(ステップS203)、フォント処理フラグがオンであると、CPU11は、印刷データを作像部4で印刷出力する際の出力解像度を印刷設定から取得して、出力解像度に基づいてフォント処理部15で付加文字を細らせる量を決定する(ステップS204)。
【0050】
次に、CPU11は、決定した細らせる量が付加文字のフォントサイズに対して適切であるか否か判定、すなわち、付加文字が消えてしまわないか判定し(ステップS205)、細らせる量が適切でないときには、図4に示したように、フォントサイズに基づいて細らせる量を補正してフォント処理部15に渡す(ステップS206)。
【0051】
CPU11は、印刷データを作像部4で印刷可能な描画データにラスタライズ処理する際に、フォント処理部15に補正後の細らせ量に基づいて付加文字の細線化処理を行わせて、フォント処理部15で細線化処理された付加文字を、描画データの対応する文字データに付加するリッチブラック処理を行い(ステップS207)、リッチブラック処理した描画データを作像部4に渡して、作像部4で印刷する作像処理を行う(ステップS208)。
【0052】
上記ステップS205で、フォントサイズに対して細らせる量が適切であるときには、CPU11は、ステップS207に移行して、印刷データを作像部4で印刷可能な描画データにラスタライズ処理する際に、フォント処理部15に、ステップS204で決定した細らせ量に基づいて付加文字の細線化処理を行わせて、該細線化処理された付加文字を描画データの対応する文字データに付加するリッチブラック処理を行い(ステップS207)、リッチブラック処理した描画データを作像部4に渡して、作像部4で印刷する作像処理を行う(ステップS208)。
【0053】
また、ステップS203で、フォント処理フラグがオフのときには、CPU11は、リッチブラック処理(フォント処理)を伴わない通常のラスタライズ処理を印刷データに対して行い(ステップS209)、ラスタライズ処理した描画データを作像部4に渡して、作像部4で印刷する作像処理を行う(ステップS208)。
【0054】
さらに、ステップS202で、手動設定で自動リッチブラック処理を行う設定となっていないときには、CPU11は、リッチブラック処理(フォント処理)を伴わない通常のラスタライズ処理を印刷データに対して行い(ステップS209)、ラスタライズ処理した描画データを作像部4に渡して、作像部4で印刷する作像処理を行う(ステップS208)。
【0055】
また、ステップS201で、手動設定でフォント処理がオンになっているときには、CPU11は、ステップS204に移行して、印刷データを作像部4で印刷出力する際の出力解像度を印刷設定から取得して、出力解像度に基づいてフォント処理部15で付加文字を細らせる量を決定する処理から上記同様に処理して、細線化処理した付加文字を描画データの対応する文字データに付加するリッチブラック処理を行って、処理した描画データを作像部4に渡して、作像部4で印刷する作像処理を行う(ステップS204〜S208)。
【0056】
このように、本実施例のカラープリンタ装置1は、CPU11が、カラーの画像データから黒の文字データを判別して、該黒の文字データに対して黒色以外の所定色一色の文字データを追加文字データとして追加して合成文字データを生成するとともに、該追加文字データの文字の線を該黒の文字データの線よりも細くする細線化処理を行っている。
【0057】
したがって、処理対象の画像データの黒の文字データに他の色の文字を付加して黒色を濃くするリッチブラック処理において、黒文字に黒色以外の一色の文字を付加するとともに、該付加文字を細らせて付加することができ、トナー等の画像形成材の消費量を削減することができるとともに、黒文字から付加文字がはみ出すことで色ずれが発生して画質が劣化することを防止することができる。
【0058】
また、本実施例のカラープリンタ装置1は、黒の文字データに付加する追加文字データの文字の線を、主走査方向と副走査方向のうち少なくともいずれかの方向において細くする細線化処理を行っている。
【0059】
したがって、リッチブラック処理において、黒文字に黒色以外の一色の文字を付加するとともに、該付加文字を適切かつ容易に細らせて付加することができ、トナー等の画像形成材の消費量を削減することができるとともに、黒文字から付加文字がはみ出て画質が劣化することを適切かつ容易に防止することができる。
【0060】
さらに、本実施例のカラープリンタ装置1は、黒の文字データに付加する追加文字データの文字の線を、該黒の文字データのピクセル単位で、細くする細線化処理を行っている。
【0061】
したがって、リッチブラック処理において、黒文字に黒色以外の一色の文字を付加するとともに、該付加文字を適切かつ容易に細らせて付加することができ、トナー等の画像形成材の消費量を削減することができるとともに、黒文字から付加文字がはみ出て画質が劣化することを適切かつ容易に防止することができる。
【0062】
また、本実施例のカラープリンタ装置1は、追加文字データの文字の線を、画像データを出力する際の解像度として指定されている指定出力解像度に応じて、細くする細線化処理を行っている。
【0063】
したがって、リッチブラック処理において、黒文字に黒色以外の一色の文字を付加するとともに、該付加文字を適切かつ容易に細らせて付加することができ、トナー等の画像形成材の消費量を削減することができるとともに、黒文字から付加文字がはみ出て画質が劣化することを適切かつ容易に防止することができる。
【0064】
さらに、本実施例のカラープリンタ装置1は、追加文字データの文字の線を、黒の文字データのフォントサイズに応じて、細くする細線化処理を行っている。
【0065】
したがって、リッチブラック処理において、黒文字に黒色以外の一色の文字を付加するとともに、該付加文字を適切かつ容易に細らせて付加することができ、トナー等の画像形成材の消費量を削減することができるとともに、黒文字から付加文字がはみ出て画質が劣化することを適切かつ容易に防止することができる。
【0066】
また、本実施例のカラープリンタ装置1は、追加文字データの文字の線を、画像データの出力解像度における最大色ずれ量以内の範囲で、細くする細線化処理を行っている。
【0067】
したがって、リッチブラック処理において、黒文字に黒色以外の一色の文字を付加するとともに、該付加文字をより一層適切に細らせて付加することができ、トナー等の画像形成材の消費量を削減することができるとともに、黒文字から付加文字がはみ出て画質が劣化することをより一層適切に防止することができる。
【0068】
さらに、本実施例のカラープリンタ装置1は、像担持体20上に少なくとも黒色単色のベタパッチであるテストパターンPtを作像部(パッチ形成手段)4で形成し、該テストパターンPtの濃度を濃度センサ(濃度検出手段)5で検出して、CPU11が、検出したテストパターンPtの濃度に基づいて、合成文字データの生成及びフォント処理部(文字データ補正手段)15による細線化処理を制御している。
【0069】
したがって、画像ムラが発生するおそれを適切に判断して、画像ムラが発生するおそれがあるときに、細線化処理を伴うリッチブラック処理を行って、黒文字に黒色以外の一色の文字を付加するとともに、該付加文字を適切にかつ容易に細らせて付加することができ、トナー等の画像形成材の消費量を削減することができるとともに、黒文字から付加文字がはみ出て画質が劣化することをより一層適切に防止することができる。
【0070】
また、本実施例のカラープリンタ装置1は、CPU11が、濃度センサ5の検出したテストパターンPtの濃度が所定の閾値を下回ると、合成文字データの生成及びフォント処理部15による細線化処理を行っている。
【0071】
したがって、画像ムラが発生するか否かを適切に判断して、画像ムラが発生するおそれがあるときに、リッチブラック処理を行って、黒文字に黒色以外の一色の文字を付加するとともに、該付加文字を適切にかつ容易に細らせて付加することができ、トナー等の画像形成材の消費量を削減することができるとともに、黒文字から付加文字がはみ出て画質が劣化することをより一層適切に防止することができる。
【0072】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、画像品質の劣化を防止しつつ画像形成材の消費を削減する画像処理装置及び該画像処理装置を搭載するプリンタ装置、複写装置、複合装置等の画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に利用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 カラープリンタ装置
2 制御部
3 オペレションパネル
4 作像部
5 濃度センサ
11 CPU
12 ROM
13 NVRAM
14 A/D変換部
15 フォント処理部
16 データ受付部
17 パネル制御部
18 テストパターン生成部
20 プリンタドライバ
Pt テストパターン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】
【特許文献1】特開2009−190347号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーの画像データから黒の文字データを判別する文字判別手段と、
前記黒の文字データに対して黒以外の所定色一色の文字データを追加文字データとして追加して合成文字データを生成する文字データ生成手段と、
前記追加文字データの文字の線を前記黒の文字データの線よりも細くする細線化処理を行う文字データ補正手段と、
を備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記文字データ補正手段は、
前記追加文字データの文字の線を、主走査方向と副走査方向のうち少なくともいずれかの方向において細くする細線化処理を行うことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記文字データ補正手段は、
前記追加文字データの文字の線を、前記黒の文字データのピクセル単位で、細くする細線化処理を行うことを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記文字データ補正手段は、
前記追加文字データの文字の線を、前記画像データを出力する際の解像度として指定されている指定出力解像度に応じて、細くする細線化処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記文字データ補正手段は、
前記追加文字データの文字の線を、前記黒の文字データのフォントサイズに応じて、細くする細線化処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記文字データ補正手段は、
前記追加文字データの文字の線を、前記画像データの出力解像度における最大色ずれ量以内の範囲で、細くする細線化処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
像担持体上に少なくとも黒色単色のベタパッチを形成するパッチ形成手段と、
前記ベタパッチの濃度を検出する濃度検出手段と、
前記濃度検出手段の検出した前記ベタパッチの濃度に基づいて、前記文字データ生成手段による前記合成文字データの生成及び前記文字データ補正手段による前記細線化処理を制御する制御手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、
前記濃度検出手段の検出した前記ベタパッチの濃度が所定の閾値を下回ると、前記文字データ生成手段による合成文字データの生成及び前記文字データ補正手段による前記細線化処理を行わせることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の画像処理装置を搭載していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
カラーの画像データから黒の文字データを判別する文字判別処理ステップと、
前記黒の文字データに対して黒以外の所定色一色の文字データを追加文字データとして追加して合成文字データを生成する文字データ生成処理ステップと、
前記追加文字データの文字の線を前記黒の文字データの線よりも細くする文字データ補正ステップと、
を有していることを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
コンピュータに、
カラーの画像データから黒の文字データを判別する文字判別処理と、
前記黒の文字データに対して黒以外の所定色一色の文字データを追加文字データとして追加して合成文字データを生成する文字データ生成処理と、
前記追加文字データの文字の線を前記黒の文字データの線よりも細くする文字データ補正と、
を実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項12】
請求項11記載の画像処理プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−222650(P2012−222650A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87350(P2011−87350)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】