説明

画像処理装置、画像形成装置及びプログラム

【課題】従来よりも効率よく印刷ジョブを処理することができる画像処理装置、画像形成装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】ワークステーション3Aの制御部11Aが、搭載されている描画プロセッサ22を使用して、印刷ジョブを所定時間内に処理可能であるか否かを判別し、当該印刷ジョブが所定時間内に処理可能でないと判断した場合に、制御部11Aが、ワークステーション3Bに搭載されている描画プロセッサ22を一部の印刷ジョブの処理に割り当て、前記ワークステーション3Aに搭載されている描画プロセッサ及び当該割り当てた描画プロセッサに印刷ジョブの処理を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、2台の片面印刷装置を利用して、ロール紙のような連続紙の両面にデータを印刷する両面印刷システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。2台の片面印刷装置は、互いの同様の構成及び処理能力を有しており、一方の片面印刷装置が連続紙の表面にデータを印刷し、他方の片面印刷装置が連続紙の裏面に別のデータを印刷する。
【0003】
また、従来より、動的にチップ内部の回路構成を入れ替えることが可能なダイナミック・リコンフィギュラブル・プロセッサ(DRP;Dynamic ReConfigurable Processor)が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−287421号公報
【0005】
【特許文献2】特開2010−3035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来よりも効率よく印刷ジョブを処理することができる画像処理装置、画像形成装置、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の画像処理装置は、搭載されているハードウエア資源を使用して、印刷ジョブを所定時間内に処理可能であるか否かを判別する判別手段と、当該印刷ジョブが所定時間内に処理可能でないと判断された場合に、別の画像処理装置に搭載されているハードウエア資源を前記印刷ジョブの一部分の処理に割り当てて、前記搭載されているハードウエア資源及び当該別の画像処理装置に搭載されているハードウエア資源により前記印刷ジョブの処理を実行させる実行手段とを備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項2の画像処理装置は、請求項1の画像処理装置において、前記実行手段は、前記印刷ジョブが所定時間内に処理可能でないと判断された場合に、前記別の画像処理装置に一部分の前記印刷ジョブの処理依頼を通知し、前記別の画像処理装置に搭載されているハードウエア資源の使用許可を前記別の画像処理装置から受信する場合に、前記別の画像処理装置に搭載されているハードウエア資源を前記印刷ジョブの一部分の処理に割り当てることを特徴とする。
【0009】
請求項3の画像処理装置は、請求項1又は2に記載の画像処理装置において、前記実行手段は、前記印刷ジョブが所定時間内に処理可能でないと判断された場合に、一部分の前記印刷ジョブ及び実行されるべき画像処理及び処理順番を含む設定情報を前記別の画像処理装置に送信し、前記別の画像処理装置は、前記設定情報に基づいて前記別の画像処理装置に搭載されているハードウエア資源で実行される画像処理及び処理順番を変更し、前記一部分の印刷ジョブの処理を実行し、当該一部分の印刷ジョブの処理結果を画像処理装置に送信することを特徴とする。
【0010】
請求項4の画像処理装置は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置において、前記実行手段は、前記印刷ジョブが所定時間内に処理可能であると判断された場合に、搭載されているハードウエア資源を前記別の画像処理装置の一部分の印刷ジョブの処理に割り当て、前記搭載されているハードウエア資源に当該別の画像処理装置の一部分の印刷ジョブの処理を実行させることを特徴とする。
【0011】
請求項5の画像処理装置は、請求項4に記載の画像処理装置において、前記実行手段は、前記別の画像処理装置の一部分の印刷ジョブ並びに実行されるべき画像処理及び処理順番を含む設定情報を前記別の画像処理装置から受信し、前記受信された設定情報に基づいて前記搭載されているハードウエア資源で実行される画像処理及び処理順番を変更し、前記搭載されているハードウエア資源に当該受信した一部分の印刷ジョブの処理を実行させることを特徴とする。
【0012】
請求項6の画像処理装置は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置において、前記判別手段は、前記搭載されているハードウエア資源を使用して、前記印刷ジョブ内の1ページの画像データを処理する場合の処理時間を算出し、前記算出された処理時間が、1つのハードウエア資源が1ページの画像データを処理する場合の予め決められている処理時間に、前記搭載されているハードウエア資源の個数を乗算して得られた値未満である場合に、前記印刷ジョブを所定時間内に処理可能でないと判別し、前記算出された処理時間が、前記乗算により得られた値以上である場合に、前記印刷ジョブを所定時間内に処理可能であると判別することを特徴とする。
【0013】
請求項7の画像処理装置は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像処理装置において、前記ハードウエア資源は、動的にチップ内部の回路構成を入れ替えることが可能なダイナミック・リコンフィグラブル・プロセッサであることを特徴とする。
【0014】
請求項8の画像形成装置は、前記請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置と、前記画像処理装置で処理された印刷ジョブを印刷する印刷装置とを備えることを特徴とする。
【0015】
請求項9のプログラムは、コンピュータを、搭載されているハードウエア資源を使用して、印刷ジョブを所定時間内に処理可能であるか否かを判別する判別手段、及び当該印刷ジョブが所定時間内に処理可能でないと判断された場合に、別の画像処理装置に搭載されているハードウエア資源を前記印刷ジョブの一部分の処理に割り当てて、前記搭載されているハードウエア資源及び当該別の画像処理装置に搭載されているハードウエア資源により前記印刷ジョブの処理を実行させる実行手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、従来よりも効率よく印刷ジョブを処理することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、別の画像処理装置に搭載されているハードウエア資源の使用許可が得られた場合に、従来よりも効率よく印刷ジョブを処理することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、実行されるべき画像処理及び処理順番を指定する場合でも、従来よりも効率よく印刷ジョブを処理することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、搭載されているハードウエア資源を有効活用することができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、別の画像処理装置で指定された、実行されるべき画像処理及び処理順番に従って、別の画像処理装置の一部分の印刷ジョブを処理することができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、搭載されているハードウエア資源の処理能力を考慮して、印刷ジョブを所定時間内に処理可能であるか否かの判断をすることができる。
【0022】
請求項7の発明によれば、ハードウエア資源の割り当てが容易になる。
【0023】
請求項8の発明によれば、従来よりも効率よく印刷ジョブを処理することができる。
【0024】
請求項9の発明によれば、従来よりも効率よく印刷ジョブを処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置を含むシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】ワークステーション3A,3Bの構成図である。
【図3】ハードウエアアクセラレータ13A−1の構成を示す図である。
【図4】端末装置6及びワークステーション3Aで実行される処理を示すフローチャートである。
【図5】記憶部12Aに格納されるデータの一例を示す図である。
【図6】(A)は、ハードウエアアクセラレータ13A−1が実行する画像処理の一例を示すシーケンス図である。(B)は、ハードウエアアクセラレータ13A−2〜13A−Nが実行する画像処理の一例を示すシーケンス図である。
【図7】(A)は、ワークステーション、ハードウエアアクセラレータ及び描画プロセッサの番号と機能との関係を示すデータベースである。(B),(C)は、図7(A)のデータベースの一部分を示す図である。
【図8】印刷装置2Aの処理時間とワークステーション3Aの処理時間との関係を示す図である。
【図9】ワークステーション3A及び3Bが実行する処理を示すフローチャートである。
【図10】ハードウエアアクセラレータ13B−1の設定情報が変更される一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0027】
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置を含むシステムの構成を示すブロック図である。
【0028】
図1のシステムは、画像形成装置1A,1B、前処理装置4、後処理装置5、及び端末装置6を備えている。画像形成装置1A,1Bは、業務用の大型印刷システムであり、それぞれ印刷装置2A,2B及びワークステーション3A−1〜3A−4,3B−1〜3B−4を備えている。尚、各印刷装置に接続されるワークステーションの個数は、4つに限定されるものではなく、1つ以上であればよい。以下の説明では、同一の機能を有する複数の構成要素を区別する必要がない場合は、1つの参照符号で構成要素を特定する。例えば、ワークステーション3A−1〜3A−4,3B−1〜3B−4は、それぞれワークステーション3A,3Bとして表す。
【0029】
ワークステーション3A,3Bは、コンピュータであり、ネットワーク7を介して端末装置6に接続されている。尚、端末装置6はワークステーション3A,3Bと高速なデータ転送媒体で接続されていてもよい。また、ワークステーション3A,3Bも、高速なデータ転送媒体を介してそれぞれ印刷装置2A,2Bに接続されていてもよい。
【0030】
前処理装置4は、ロール状に巻かれている連続紙(以下、ロール紙という)を備え、ロール紙を印刷装置2Aに搬送する。印刷装置2Aは、ロール紙の表(おもて)面に画像データやテキストデータなどを印刷し、印刷したロール紙を出力する。印刷装置2Aから出力されたロール紙は、反転されて、印刷装置2Bに入力される。印刷装置2Bは、ロール紙の裏面に画像データやテキストデータなどを印刷し、後処理装置5に出力する。後処理装置5は、印刷装置2Bから出力されたロール紙を巻き取る。
【0031】
端末装置6は、印刷装置2A,2Bでロール紙に印刷される印刷ジョブ及び印刷指示を作成し、印刷ジョブ及び印刷指示をネットワーク7を介してワークステーション3A,3Bに送信する。ワークステーション3A,3Bは、端末装置6から送信されてきた印刷ジョブ及び印刷指示を受信し、印刷ジョブを印刷装置2A,2Bで印刷可能なラスター形式の画像データに変換するとともに、このラスター形式の画像データが印刷装置2A,2Bでロール紙に印刷されるように印刷装置2A,2Bの印刷動作を制御する。尚、ラスター形式のデータとは、画像を格子状に多くのピクセルに分割したときに、各ピクセルの色や濃度をRGBやYMCK等の表色系を用いて表現した数値である。印刷装置2A,2Bは、それぞれワークステーション3A,3Bの制御に基づいて印刷指示に応じた画像データやテキストデータなどをロール紙上に印刷する。
【0032】
印刷装置1A,1Bでは、例えば、ロール紙の幅方向に2ページ分のA4サイズの画像データ又はテキストデータなどが形成される。また、印刷装置1A,1Bでは、例えば、A4サイズの画像データ又はテキストデータなどがロール紙の搬送方向に連続で印刷される。また、印刷装置2A,2Bは、カラー印刷装置でも白黒印刷装置でもよい。
【0033】
図2は、ワークステーション3A,3Bの構成図である。図2では、ワークステーション3Bの構成は括弧書で示す。
【0034】
ワークステーション3Aは、制御部11A(判別手段、実行手段)、記憶部12A、ハードウエアアクセラレータ13A−1〜13A−N(N:自然数)、印刷装置インタフェース(I/F)ボード14A、ネットワークインタフェースカード(NIC)15A、及びユーザインタフェース17Aを備えている。同様に、ワークステーション3Bは、制御部11B(判別手段、実行手段)、記憶部12B、ハードウエアアクセラレータ13B−1〜13B−N、印刷装置インタフェース(I/F)ボード14B、ネットワークインタフェースカード(NIC)15B、及びユーザインタフェース17Bを備えている。ワークステーション3Bの構成は、ワークステーション3Aの構成と同様であるので、以下、その説明は省略する。
【0035】
制御部11Aは、CPUで構成され、記憶部12A、ハードウエアアクセラレータ13A−1〜13A−N、印刷装置インタフェース(I/F)ボード14A、ネットワークインタフェースカード(NIC)15A及びユーザインタフェース(UI)17Aにバス16Aを介して接続されている。制御部11Aは、記憶部12A、ハードウエアアクセラレータ13A−1〜13A−N、印刷装置インタフェース(I/F)ボード14A、ネットワークインタフェースカード(NIC)15A及びUI17Aの動作を制御する。また、制御部11Aは、ネットワークインタフェースカード(NIC)15Aを介して、ワークステーション3Bの制御部11Bと通信する。
【0036】
ネットワークインタフェースカード15Aは、端末装置6から送信されてきた印刷ジョブを受信する。ハードウエアアクセラレータ13A−1〜13A−Nは、印刷ジョブに対して、指定された各種の画像処理を行って、印刷ジョブを印刷装置1Aで印刷可能なラスター形式の画像データに変換し、記憶部12Aに格納する。また、ハードウエアアクセラレータ13A−1〜13A−Nは、ネットワークインタフェースカード(NIC)15Aを介して、ワークステーション3Bのハードウエアアクセラレータ13B−1〜13B−Nと通信可能である。記憶部12Aは、メモリ又はハードディスクドライブ等で構成されている。印刷装置インタフェース(I/F)ボード14Aは、記憶部12Aに格納された画像処理後の印刷データに所定の処理を行い、処理後の印刷データを印刷装置1Aに対して転送する。この所定の処理は、印刷装置1Aからの補正データ(例えば、ドラム上の色再現特性の分布データ)に基づいて階調を補正する処理、及び印刷データの転送に使用されるプロトコルを選択する処理である。
【0037】
UI17Aは、記憶部12Aに格納されるデータやテーブル情報等を編集する場合に、使用される。
【0038】
図3は、ハードウエアアクセラレータ13A−1の構成を示す図である。ハードウエアアクセラレータ13A−2〜13A−N,13B−1〜13B−Nの構成は、ハードウエアアクセラレータ13A−1の構成と同様である。
【0039】
ハードウエアアクセラレータ13A−1は、ソフトウエアによるラスタイメージ処理(RIP)を補助するRIPアシストボードとして機能する。また、ハードウエアアクセラレータ13A−1は、ロール紙上に指定されたサイズ(例えばA4サイズ)のページを作成するページ作成ボードとして機能する。
【0040】
ハードウエアアクセラレータ13A−1は、外部インタフェース21、描画プロセッサ22−1〜22−N(N:自然数)、及びメモリ23−1〜23−Nを備えている。描画プロセッサ22−1〜22−Nは、バス24を介して外部インタフェース21に接続されている。描画プロセッサ22−1〜22−Nは、それぞれメモリ23−1〜23−Nに接続されている。
【0041】
外部インタフェース21は、図2のバス16Aとバス24との間に設けられている通信インタフェースである。外部インタフェース21は、図2の制御部11Aと描画プロセッサ22−1〜22−Nとの間のデータ通信を実行する。
【0042】
次に、描画プロセッサ22−1の構成を説明する。尚、描画プロセッサ22−2〜22−Nの構成は、描画プロセッサ22−1の構成と同様である。
【0043】
描画プロセッサ22−1は、動的にチップ内部の回路構成を入れ替えることが可能なプロセッサ(ダイナミック・リコンフィグラブル・プロセッサ)である。描画プロセッサ22−1は、複数の画像処理が指示された場合には、回路構成の入れ替え処理を繰り返し実行する。例えば、描画プロセッサ22−1は、最初の画像処理の終了後に、次の画像処理に対応するようにチップ内部の回路構成を入れ替える。描画プロセッサ22−1は、システム制御部31と、演算器群32と、結線情報格納部33と、高速バススイッチ34と、メモリインタフェース35と、バスインタフェース36とを備えている。
【0044】
演算器群32は、加算器、乗算器等の各種演算器により構成されている。結線情報格納部33は、演算器群22に含まれる各種の演算器を組み合わせることにより、制御部11Aから要求された画像処理を実現するための複数の結線情報を格納する。この複数の結線情報はメモリ23−1から読み出されて、結線情報格納部33に格納される。
【0045】
システム制御部31は、制御部11Aからの画像処理コマンド(画像処理要求)に基づいて、結線情報格納部43に格納されている1つの結線情報を選択し、選択された結線情報に基づいて演算器群42に含まれる各種の演算器を組み合わせることにより、要求された画像処理を実行する。従って、ダイナミック・リコンフィグラブル・プロセッサである描画プロセッサ22−1は、複数の画像処理が指示された場合でも、結線情報を適宜変更するだけで、要求された複数の画像処理を実行するので、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)よりもチップ面積が小さくなる。尚、本実施の形態では、描画プロセッサ22としてダイナミック・リコンフィグラブル・プロセッサを使用するが、FPGAやASICを描画プロセッサ22として使用してもよい。
【0046】
高速バススイッチ34は、システム制御部31、演算器群32、メモリインタフェース35、及びバスインタフェース36の間のデータ経路を高速に切り替えるためのバススイッチである。メモリインタフェース35は、メモリ23−1と高速バススイッチ34との間でデータの送受信を行うためのインタフェースである。バスインタフェース36は、バス24と高速バススイッチ34との間でデータの送受信を行うためのインタフェースである。メモリ23−1は、後述する接続情報及びテーブルを格納する。
【0047】
描画プロセッサ22−1は、上記構成を使用し、制御部11Aからの画像処理コマンドで指定された画像処理機能を短時間で実現する。
【0048】
図4は、端末装置6及びワークステーション3Aで実行される処理を示すフローチャートである。尚、図4の処理はワークステーション3Bでも実行可能である。
【0049】
まず、端末装置6が、印刷ジョブを受信し、印刷ジョブをページ単位に分割する(ステップS1)。次に、制御部11Aは、各ページに含まれるデータをテキストデータと画像データとに分割する(ステップS2)。制御部11Aは、分割されたテキストデータに対しソフトウエアでラスタイメージ処理(RIP)を実行する(ステップS3)。
【0050】
一方、ハードウエアアクセラレータ13A−1は、分割された画像データに対しラスタイメージ処理(RIP)を実行する(ステップS4)。尚、複数のハードウエアアクセラレータがステップS4を実行してもよい。ステップS4のRIPでは、JPEG(Joint Photographic Experts Group)伸張処理、拡大・縮小処理、色空間変換処理等の各種画像処理が行われる。そして、ステップS4では、RIP済みのYMCK形式のRAW画像が生成される。
【0051】
その後、制御部11Aは、RIP済みの画像データを受け取り、このRIP済みの画像データと、ソフトウェアによりRIPを行ったテキストデータとを合成して、YMCK各色毎の2値画像を生成する(ステップS5)。
【0052】
ハードウエアアクセラレータ13A−2〜13−Nは、2値画像である1ページ分の画像データを受信し、受信した画像データに対して、回転処理や面付け処理(例えばA3サイズの領域に2ページのA4サイズの画像データを貼り付ける処理)を実行する(ステップS6)。
【0053】
最後に、印刷装置I/Fボード14Aが、回転処理や面付け処理が完了した画像データをハードウエアアクセラレータ13A−2〜13−Nから受信し、印刷装置1Aからの補正データ(例えば、ドラム上の色再現特性の分布データ)に基づいて受信した画像データの階調を補正する処理、及び印刷データの転送に使用されるプロトコルを選択する処理を実行し、全ての処理が完了した画像データを印刷装置1Aに送信する(ステップS7)。
【0054】
図5は、記憶部12Aに格納されるデータの一例を示す図である。尚、記憶部12Bにも同様のデータが格納されている。
【0055】
図5に示すように、記憶部12Aは、伸張処理用接続情報41、縮小処理用接続情報42、回転処理用接続情報43、色変換処理用接続情報44、ユーザTRC(tone reproduction curve)処理用接続情報45、キャリブレーション処理用接続情報46、フィルタ処理用接続情報47、拡大処理用接続情報48、スクリーン処理用接続情報49、ページ回転処理用接続情報50、及びページ面付け処理用接続情報51を備えている。また、記憶部12Aは、色変換テーブル52、ユーザTRCテーブル53、及びキャリブレーションテーブル54を備えている。
【0056】
各接続情報及び各テーブルは、描画プロセッサ22で使用される。伸張処理用接続情報41は、JPEG伸張処理のような、画像データの伸張処理に使用される。縮小処理用接続情報42は、描画プロセッサ22が画像データを縮小する際に使用される。回転処理用接続情報43は、描画プロセッサ22が画像データを回転する際に使用される。
【0057】
色変換処理用接続情報44及び色変換テーブル52は、描画プロセッサ22が画像データの色変換を実行する際に使用される。例えば、描画プロセッサ22は、色変換テーブル52に従って画像データのRGB成分をCMY成分に変換する。ユーザTRC処理用接続情報45及びユーザTRCテーブル53は、描画プロセッサ22が画像データの階調を補正する際に使用される。例えば、描画プロセッサ22は、ユーザにより指定された、ユーザTRCテーブル53内の階調補正カーブに従って、画像データの階調を補正する。
【0058】
キャリブレーション処理用接続情報46及びキャリブレーションテーブル54は、描画プロセッサ22が画像データにキャリブレーション処理を実行する際に使用される。キャリブレーション処理とは、印刷装置2Aの環境変化や経時変化による影響を補償するために、画像データの階調を補正する処理である。キャリブレーションテーブル54は、描画プロセッサ22が、所定のタイミング(例えば、印刷ジョブの開始時点や各1000ページの印刷が終了する時点)で印刷装置2Aから補正データを受信することにより、更新される。フィルタ処理用接続情報47は、描画プロセッサ22が画像データ内のノイズを削除する際に使用される。
【0059】
拡大処理用接続情報48は、描画プロセッサ22が、指定されたサイズに画像データを拡大するために使用される。スクリーン処理用接続情報49は、描画プロセッサ22が、CMY成分の多値化された画像データとK成分の多値化された画像データとをCMYK成分の2値化の画像データに変換する際に使用される。ページ回転処理用接続情報50は、描画プロセッサ22が1ページ分の画像データを回転する際に使用される。ページ面付け処理用接続情報51は、描画プロセッサ22が、所定の領域に各ページの画像データを貼り付ける際に使用される。
【0060】
制御部11Aが画像処理要求を描画プロセッサ22−1に出力するときに、画像処理要求に対応する、結線情報を含む接続情報及びテーブルは、一緒に描画プロセッサ22−1に出力され、メモリ23−1に格納される。メモリ23−1に格納された接続情報は、システム制御部31により結線情報格納部43に格納される。システム制御部31は、その画像処理要求に基づいて、結線情報格納部43に格納されている1つの結線情報を選択し、選択された結線情報に基づいて演算器群42に含まれる各種の演算器を組み合わせることで、その画像処理を実行する回路を作成し、要求された画像処理を実行する。尚、テーブルが必要な画像処理では、システム制御部31は、適宜メモリ23−1からテーブル読み出す。
【0061】
図6(A)は、ハードウエアアクセラレータ13A−1が実行する画像処理の一例を示すシーケンス図である。図6(B)は、ハードウエアアクセラレータ13A−2〜13A−Nが実行する画像処理の一例を示すシーケンス図である。
【0062】
図6(A)では、ハードウエアアクセラレータ13A−1が、ソフトウエアによるラスタイメージ処理(RIP)を補助するRIPアシストボードとして機能しており(以下、RIPアシスト機能という)、画像データに対しラスタイメージ処理(RIP)を実行している。RIPアシスト機能で実行されるラスタイメージ処理は、伸張処理用接続情報41を使用する伸張処理(P1)、縮小処理用接続情報42を使用する縮小処理(P2)、回転処理用接続情報43を使用する回転処理(P3)、色変換処理用接続情報44及び色変換テーブル52を使用する色変換処理(P4)、ユーザTRC処理用接続情報45及びユーザTRCテーブル53を使用するユーザTRC処理(P5)、キャリブレーション処理用接続情報46及びキャリブレーションテーブル54を使用するキャリブレーション処理(P6)、フィルタ処理用接続情報47を使用するフィルタ処理(P7)、拡大処理用接続情報48を使用する拡大処理(P8)及びスクリーン処理用接続情報49を使用するスクリーン処理(P9)を含む。上述したように、ハードウエアアクセラレータ13A−1に含まれる描画プロセッサ22は、結線情報を適宜変更するだけで、要求された複数の画像処理を実行するので、描画プロセッサ22は、各処理P1〜P8の終了後に次の処理に対応するようにチップ内部の回路構成を順次入れ替える。
【0063】
図6(B)では、ハードウエアアクセラレータ13A−2〜13A−Nが、ロール紙上に指定されたサイズ(例えばA4サイズ)のページを作成するページ作成ボードとして機能する(以下、ページ作成機能という)。ページ作成機能で実行される処理は、ページ回転処理用接続情報50を使用するページ回転処理(P10)及びページ面付け処理用接続情報51を使用するページ面付け処理(P11)を含む。
【0064】
尚、複数のハードウエアアクセラレータがRIPアシストボードとして機能してもよいし、1つハードウエアアクセラレータがページ作成ボードとして機能してもよい。
【0065】
ユーザがUI17A又は端末装置6を介して上記画像処理(P1〜P11)のうち、RIPアシスト機能又はページ作成機能として実行する画像処理や処理順番を制御部11Aに設定する。このRIPアシスト機能又はページ作成機能として実行する画像処理や処理順番は設定情報として記憶部12Aに保存される。図6(A)、(B)のシーケンス図は設定情報として機能する。制御部11Aは、印刷ジョブを端末装置6から受信したときに、設定情報を記憶部12Aから読み出し、設定情報に従って、当該設定された処理に対応する接続情報及びテーブルを順次後述する図7(A)〜(C)のデータベースで指定されたハードウエアアクセラレータ13Aに出力する。尚、設定情報はシーケンス図で設定されるので、ユーザはハードウエアアクセラレータ13A及び印刷装置I/Fボード14Aで実行される画像処理や処理順番を認識しやすい。
【0066】
図7(A)は、ワークステーション、ハードウエアアクセラレータ及び描画プロセッサの番号と機能との関係を示すデータベースである。図7(B),(C)は、図7(A)のデータベースの一部分を示す図である。
【0067】
図7(A)のデータベースは、記憶部12Aに格納されており、ワークステーション3Aに設けられたユーザインタフェース17Aや端末装置6から設定される。また、図7(A)のデータベースは、ユーザインタフェース17Aや端末装置6から編集可能である。尚、データベースは、記憶部12Bにも格納されている。
【0068】
図7(A)に示すように、データベースには、全てのワークステーションに含まれるハードウエアアクセラレータ及び描画プロセッサの番号と機能との関係が記載されている。図7(A)では、ハードウエアアクセラレータ13A−1に含まれる全ての描画プロセッサ22−1〜22−Nが、ロール紙の表面のRIPアシスト機能に割り当てられているが、例えば、図7(B)に示すように、ハードウエアアクセラレータ13A−1に含まれる各描画プロセッサにRIPアシスト機能又はページ作成機能が割り当てられてもよい。さらに、図7(C)に示すように、RIPアシスト機能又はページ作成機能内の特定の画像処理が描画プロセッサに割り当てられてもよい。
【0069】
制御部11Aは、このデータベースに従って、RIPアシスト機能やページ作成機能が割り当てられているハードウエアアクセラレータ及び描画プロセッサを認識する。尚、各画像処理に割り当てられるハードウエアアクセラレータ13Aや描画プロセッサ22は、データベースに従って変更されるが、制御部11Aは、端末装置6又はUI17Aからの指示(具体的には、データベースの書き換え)によって、各画像処理に割り当てられるハードウエアアクセラレータ13Aや描画プロセッサ22を変更してもよい。
【0070】
図8は、印刷装置2Aの処理時間とワークステーション3Aの処理時間との関係を示す図である。
【0071】
図8に示すように、印刷装置2Aが、解像度600dpi*600dpiであるA4サイズの1ページの画像データを400ppm(page/minute)の速度で印刷する場合、0.15秒(=60/400ppm)で印刷が終了する。従って、印刷装置2Aの処理能力を最大限利用する場合、例えばハードウエアアクセラレータ13A−1は、0.15秒以内にRIPアシスト機能を実行し、画像データをハードウエアアクセラレータ13A−2〜13A−2に出力する必要がある。同様に、ハードウエアアクセラレータ13A−2〜13A−2は、0.15秒以内にページ作成機能を実行し、画像データを印刷装置I/Fボード14Aに出力する必要がある。同様に、印刷装置I/Fボード14Aは、0.15秒以内に所定の処理を実行し、画像データを印刷装置2Aに出力する必要がある。
【0072】
ところで、RIPアシスト機能及びページ作成機能は、図6(A)、(B)に示すように複数の画像処理を含むシーケンスである。制御部11Aは、入力される画像データの画素数によって、各画像処理にかかる時間を計算する。尚、描画プロセッサ22が所定の画素数を処理する時間は、予め決まっている。例えば、描画プロセッサが10万画素を処理する時間は1/10000秒である。
【0073】
RIPアシスト機能において、各描画プロセッサ22の処理時間が3秒であり、且つ0.15秒以内にRIPアシスト機能を完了させる場合、20個(=3/0.15)の描画プロセッサ22が必要になる。このとき、1つのハードウエアアクセラレータ13Aに4個の描画プロセッサ22が実装されている場合、5つのハードウエアアクセラレータ13Aが必要になる。各ワークステーション3A−1〜3A−4が1つのハードウエアアクセラレータ13Aを実装していても、1つのハードウエアアクセラレータ13A又は4つの描画プロセッサ22が不足する。
【0074】
本実施の形態では、ワークステーション3Aが実装するハードウエアアクセラレータ13A又は描画プロセッサ22を使用しても、所望の画像処理時間内に全ての画像処理が完了しない場合に、ワークステーション3Bが実装するハードウエアアクセラレータ13B又は描画プロセッサ22を使用する。即ち、処理時間の長い印刷ジョブを受信したワークステーション3Aが、表面の印刷ジョブの処理時間と裏面の印刷ジョブの処理時間との時間差を考慮して、処理時間の短い印刷ジョブを受信したワークステーション3Bに含まれる描画プロセッサ22を利用する。
【0075】
図9は、ワークステーション3A及び3Bが実行する処理を示すフローチャートである。ここでは、ワークステーション3Aは図9の左側のフローチャートの処理を実行し、ワークステーション3Bは図9の右側のフローチャートの処理を実行する。また、印刷装置2Aがロール紙の表面に画像データのページを印刷し、印刷装置2Bがロール紙の裏面にテキストデータのページを印刷するものとする。
【0076】
まず、制御部11Aは、印刷ジョブの性質を調査する(ステップS11A)。具体的には、制御部11Aは、印刷ジョブに含まれるデータが画像データであるか否かを判断する。ここでは、印刷ジョブに含まれるデータは画像データのみである。
【0077】
次に、制御部11Aは、ワークステーション3Aが装備しているハードウエア資源(描画プロセッサ22)を調査する(ステップS12A)。具体的には、制御部11Aは、ワークステーション3Aが装備している描画プロセッサ22の個数やバージョンを調査している。
【0078】
次に、制御部11Aは、ハードウエア資源を使用して、印刷ジョブ内の1枚のA4サイズの画像データを処理する場合の処理時間を算出する(ステップS13A)。例えば、制御部11Aは、1個の描画プロセッサ22が所定の画素数を処理する時間に装備している描画プロセッサ22の個数を乗算し、A4サイズの1つの画像データの画素数を乗算結果で除算することで、処理時間を算出する。
【0079】
次に、制御部11Aは、処理時間が所定時間よりも短いか否かを判別する(ステップS14A)。ここで、所定時間とは、ワークステーション3Aが装備しているハードウエア資源の個数に、1個の描画プロセッサ22がA4サイズの1つの画像データの画像処理にかかる時間を乗算した値を示す。つまり、所定時間とは、予め決められている処理時間(即ち1つのハードウエア資源が1ページの画像データを処理する場合の処理時間)にワークステーション3Aが装備しているハードウエア資源の個数を乗算した値である。
【0080】
ステップS14AでNOの場合、即ち、ワークステーション3Aだけで印刷ジョブを所定時間内に処理できない場合には、制御部11Aは、画像処理の依頼を制御部11Bに通知する(ステップS15A)。制御部11Aは、ワークステーション3Bのハードウエア資源の使用許可を制御部11Bから受信したか否かを判別する(ステップS16A)。ステップS16でNOの場合は、制御部11Aは、画像処理が実行できないと判断し、本処理を終了する。一方、ステップS16でYESの場合は、制御部11Aは、実行されるべき画像処理や処理順番を含む設定情報及び一部分の印刷ジョブを制御部11Bに送信する(ステップS17A)。
【0081】
その後、ハードウエアアクセラレータ13A及び印刷装置I/Fボード14Aが、画像処理を実行する共に、印刷装置I/Fボード14Aが、制御部11Bから画像処理の結果を受信し、全ての画像処理の結果を印刷装置2Aに出力する(ステップS18A)。印刷ジョブが終了するまで、ステップS18A及び後述するステップS24Aが繰り返される(ステップS19A)。印刷ジョブが終了すると、本処理は終了する。
【0082】
ステップS14AでYESの場合、即ち、ワークステーション3Aだけで所定時間内に印刷ジョブを処理できる場合には、制御部11Aは、制御部11Bから画像処理の依頼を受信したか否かを判別する(ステップS20A)。ステップS20AでNOの場合には、ワークステーション3Aは通常の運用状態なので、本処理を終了する。一方、ステップS20AでYESの場合には、制御部11Aは、ワークステーション3Aのハードウエア資源の使用許可を制御部11Bに通知する(ステップS21A)。制御部11Aは、実行されるべき画像処理や処理順番を含む設定情報及び一部分の印刷ジョブを制御部11Bから受信する(ステップS22A)。制御部11Aは、受信した設定情報で指定された画像処理に対応するプログラム及びテーブル、一部分の印刷ジョブ並びに画像処理要求を順次利用可能なハードウエアアクセラレータ13Aに出力する(ステップS23A)。ハードウエアアクセラレータ13A内の描画プロセッサ22は、画像処理要求に基づいて回路構成を変更し、受信したプログラム及びテーブルに基づいて一部分印刷ジョブの画像処理を実行し、画像処理の結果を制御部11Bに送信する(ステップS24A)。その後、手順はステップS19Aに進む。
【0083】
ワークステーション3Aだけで所定時間内に印刷ジョブを処理できない場合は(ステップS14でNO)、ステップS15A〜17Aに示すように、制御部11Aは、印刷ジョブを所定時間内に処理するために、ワークステーション3Bに装備されている描画プロセッサ22を利用する。一方、ワークステーション3Aだけで所定時間内に印刷ジョブを処理できる場合は(ステップS14でNO)、ステップS21A〜24Aに示すように、ワークステーション3Bの印刷ジョブを処理するために、制御部11Aは、ワークステーション3Bに、ワークステーション3Aに装備されている描画プロセッサ22を割り当てている。同様に、描画プロセッサ22の割り当ては、制御部11Bでも実行される。
【0084】
また、ここでは、印刷装置2Aが画像データのページを印刷し、印刷装置2Bがテキストデータのページを印刷するので、ワークステーション3Aだけで印刷ジョブを処理できない場合が想定される。一方、印刷装置2Bはテキストデータのページを印刷するので、制御部11BがソフトウエアRIPを実行する。従って、ワークステーション3Bでは、不使用の描画プロセッサ22が余っている場合が想定される。
【0085】
従って、制御部11Aが、実行されるべき画像処理や処理順番を含む設定情報及び一部分の印刷ジョブを制御部11Bに送信する(ステップS17A)と、制御部11Bは、その設定情報及び一部分の印刷ジョブを受信し(ステップS22B)、その設定情報に従って一部分の印刷ジョブの画像処理を実行している(ステップS23B、24B)。
【0086】
図10に、ハードウエアアクセラレータ13B−1の設定情報が変更される一例を示す。図10に示すように、制御部11Aからの設定情報の受信前には、制御部11Bは、ハードウエアアクセラレータ13B−1に設定情報を設定していない。これは、制御部11BがテキストデータのソフトウエアRIPを実行するためである。一方、制御部11Aからの設定情報の受信後には、制御部11Bは、ハードウエアアクセラレータ13B−1に、制御部11Aから受信した設定情報を設定している。これにより、ハードウエアアクセラレータ13B−1に含まれる描画プロセッサ22が、設定情報に従って制御部11Aから受信した一部分の印刷ジョブの画像処理を実行する。
【0087】
尚、制御部11Aからの設定情報の受信前に、制御部11Bが、ハードウエアアクセラレータ13B−1に設定情報を設定していても、この設定情報の変更は可能である。
【0088】
図9に戻り、ワークステーション3Bで実行される処理(ステップS11B〜S24Bの処理)は、上述したステップS11A〜S24Aの処理と同様であるので、その詳細な説明は省略する。図9に示すように、制御部11Aが、画像処理の依頼を制御部11Bに通知する(ステップS15A)場合、制御部11Bは、ステップS20Bで制御部11Aから画像処理の依頼を受信したか否かを判別している。また、制御部11Bが、ステップS21Bでワークステーション3Bのハードウエア資源の使用許可を制御部11Aに通知する場合(ステップS21B)、制御部11Aは、ワークステーション3Bのハードウエア資源の使用許可を制御部11Bから受信したか否かを判別している(ステップS16A)。このように、ワークステーション3AがステップS11A〜S19Aのルートを通る場合、ワークステーション3BはステップS11B〜S14B,ステップ20B〜ステップS24B,S19Bのルートを通る。逆に、ワークステーション3AはステップS11A〜S14A,ステップ20A〜ステップS24A,S19Aのルートを通る場合、ワークステーション3BはステップS11B〜S19Bのルートを通る。
【0089】
図9では、画像データの画像処理を実行するワークステーション3Aとテキストデータの処理を実行するワークステーション3Bとの間で、描画プロセッサ22のハードウエア資源の割り当てが行われるが、ワークステーション3A−1とワークステーション3A−2〜3A−4との間で描画プロセッサ22のハードウエア資源の割り当てが行われてもよい。例えば、画像データが黒一色であり、ワークステーション3A−1が黒色の画像データを処理する場合、ワークステーション3A−2〜3A−4に搭載されている描画プロセッサは使用されていないので、ワークステーション3A−1は、黒色の画像データの処理をワークステーション3A−2〜4に搭載されている描画プロセッサ22にも割り当ててもよい。
【0090】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ワークステーション3Aの制御部11Aが、ワークステーション3Aに搭載されている描画プロセッサ22を使用して、印刷ジョブを所定時間内に処理可能であるか否かを判別する。制御部11Aが、当該印刷ジョブが所定時間内に処理可能でないと判断した場合に、ワークステーション3Bに搭載されている描画プロセッサ22を借り、前記ワークステーション3Aに搭載されている描画プロセッサ22及び当該借りた描画プロセッサ22に印刷ジョブの処理を実行させる。よって、従来よりも効率よく印刷ジョブが処理される。
【0091】
また、制御部11Aが、印刷ジョブが所定時間内に処理可能であると判断した場合に、ワークステーション3Aに搭載されている描画プロセッサ22のハードウエア資源をワークステーション3Bに割り当て、ワークステーション3Aに搭載されている描画プロセッサ22にワークステーション3Bの一部分の印刷ジョブの処理を実行させる。よって、ワークステーション3Aに搭載されている描画プロセッサ22が有効活用される。
【0092】
また、上記実施の形態では、制御部11Aがワークステーション3Bとの間で自動的に描画プロセッサ22の割り当てを行っているが、制御部11Aは、端末装置6又はUI17Aからの指示(具体的には、データベースの書き換え)によって、ワークステーション3Bとの間で描画プロセッサ22の割り当てを行ってもよい。
【0093】
ワークステーション3Aの機能を実現するためのソフトウェアのプログラムが記録されている記録媒体を、ワークステーション3Aに供給し、制御部11Aが記憶媒体に格納されたプログラムを読み出し実行することによっても、上記実施の形態と同様の効果を奏する。プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えば、CD−ROM、DVD、又はSDカードなどがある。
【0094】
また、ワークステーション3Aが、ワークステーション3Aの機能を実現するためのソフトウェアのプログラムを実行することによっても、上記実施の形態と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0095】
1A,1B 画像形成装置
2A,2B 印刷装置
3A−1〜3A−4,3B−1〜3B−4 ワークステーション(WS)
6 端末装置
11A,11B 制御部
12A,12B 記憶部
13A−1〜13A−N,13B−1〜13B−N ハードウエアアクセラレータ
14A,14B 印刷装置I/Fボード
22−1〜22−N 描画プロセッサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭載されているハードウエア資源を使用して、印刷ジョブを所定時間内に処理可能であるか否かを判別する判別手段と、
当該印刷ジョブが所定時間内に処理可能でないと判断された場合に、別の画像処理装置に搭載されているハードウエア資源を前記印刷ジョブの一部分の処理に割り当てて、前記搭載されているハードウエア資源及び当該別の画像処理装置に搭載されているハードウエア資源により前記印刷ジョブの処理を実行させる実行手段と
を備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記実行手段は、前記印刷ジョブが所定時間内に処理可能でないと判断された場合に、前記別の画像処理装置に一部分の前記印刷ジョブの処理依頼を通知し、前記別の画像処理装置に搭載されているハードウエア資源の使用許可を前記別の画像処理装置から受信する場合に、前記別の画像処理装置に搭載されているハードウエア資源を前記印刷ジョブの一部分の処理に割り当てることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記実行手段は、前記印刷ジョブが所定時間内に処理可能でないと判断された場合に、一部分の前記印刷ジョブ及び実行されるべき画像処理及び処理順番を含む設定情報を前記別の画像処理装置に送信し、
前記別の画像処理装置は、前記設定情報に基づいて前記別の画像処理装置に搭載されているハードウエア資源で実行される画像処理及び処理順番を変更し、前記一部分の印刷ジョブの処理を実行し、当該一部分の印刷ジョブの処理結果を画像処理装置に送信する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記実行手段は、前記印刷ジョブが所定時間内に処理可能であると判断された場合に、搭載されているハードウエア資源を前記別の画像処理装置の一部分の印刷ジョブの処理に割り当て、前記搭載されているハードウエア資源に当該別の画像処理装置の一部分の印刷ジョブの処理を実行させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記実行手段は、前記別の画像処理装置の一部分の印刷ジョブ並びに実行されるべき画像処理及び処理順番を含む設定情報を前記別の画像処理装置から受信し、前記受信された設定情報に基づいて前記搭載されているハードウエア資源で実行される画像処理及び処理順番を変更し、前記搭載されているハードウエア資源に当該受信した一部分の印刷ジョブの処理を実行させることを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記判別手段は、前記搭載されているハードウエア資源を使用して、前記印刷ジョブ内の1ページの画像データを処理する場合の処理時間を算出し、前記算出された処理時間が、1つのハードウエア資源が1ページの画像データを処理する場合の予め決められている処理時間に、前記搭載されているハードウエア資源の個数を乗算して得られた値未満である場合に、前記印刷ジョブを所定時間内に処理可能でないと判別し、前記算出された処理時間が、前記乗算により得られた値以上である場合に、前記印刷ジョブを所定時間内に処理可能であると判別することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記ハードウエア資源は、動的にチップ内部の回路構成を入れ替えることが可能なダイナミック・リコンフィグラブル・プロセッサであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置で処理された印刷ジョブを印刷する印刷装置と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
コンピュータを、
搭載されているハードウエア資源を使用して、印刷ジョブを所定時間内に処理可能であるか否かを判別する判別手段、及び
当該印刷ジョブが所定時間内に処理可能でないと判断された場合に、別の画像処理装置に搭載されているハードウエア資源を前記印刷ジョブの一部分の処理に割り当てて、前記搭載されているハードウエア資源及び当該別の画像処理装置に搭載されているハードウエア資源により前記印刷ジョブの処理を実行させる実行手段と
して機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−198228(P2011−198228A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66221(P2010−66221)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】