説明

画像処理装置およびその制御方法、および、プログラム

【課題】利用者の意図に沿ったきめ細かい出力制御を行うことができる画像処理装置およびその制御方法、および、プログラムを提供する。
【解決手段】入力された画像データに基づき、画像データの出力禁止を表す付加情報である出力禁止情報を抽出する禁止情報抽出手段と、入力された画像データに基づき、画像データの出力禁止を解除する条件を表す付加情報である解除条件情報を抽出する解除条件抽出手段と、出力禁止情報と解除条件情報を参照し、解除条件を満たすような出力先の入力を利用者に促す操作指示手段と、操作指示手段の表示に従って利用者が入力する画像データの出力態様に関する指示入力を受け付ける操作受付手段と、出力禁止情報および解除条件情報と、操作受付手段が受け取った内容に応じ、画像データの出力の許可あるいは禁止を決定する出力制御手段と、出力制御手段が出力禁止を決定した場合には画像データの出力を禁止する出力禁止手段を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データに付加された付加情報に基づいて前記画像データに施す処理を決定する画像処理装置およびその制御方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紙や電子で取り扱われる情報(文字、図形、画像など)のセキュリティが重要視されており、不正な閲覧、改変、複製に対しての制限を確実に行えることが重要となってきている。
【0003】
電子データの場合は内容のデータ以外に付加的な情報を追加し、それを元にデータを扱うシステムやアプリケーションで閲覧/加工に対するアクセス制御を行うことは容易であるが、紙原稿の画像については電子データと同様に取り扱うのは困難である。
【0004】
従来、紙に印刷された画像データから画像データが機密データであることを表す付加情報を抽出し、紙原稿の複写を禁止する方法が提案されている。なお、付加情報は電子透かしや地紋を画像データに付加することにより、画像データに付加されている。

この方法の応用として、抽出された付加情報に応じた処理を画像データに行う方法も提案されている。
【0005】
紙原稿の画像に付加する情報については、複製や加工によって情報が失われないようにするなど、様々な方法が実現されている。
【0006】
また、情報の内容についても、単一の情報を埋め込んで、その情報が抽出されたら複写を禁止する、というだけではなく、きめ細かい制御ができるようになってきている。
【0007】
たとえば、複写を制限するための情報とあわせて複写禁止の解除条件を画像データに付加し、解除条件に合致するときのみ複写禁止を解除する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0008】
この方法では、特定の条件(日時、パスワード、認証)を満たした場合にのみ複写禁止を解除する機能を用いた出力された印刷物の無断複製を、高度な検出判定処理を必要とせずに提供することを目的とした方法である。
【0009】
また、紙に対する複写のみではなく、2つ以上のアプリケーション(メール送信やFAX送付など)についても画像に埋め込まれた付加情報により機器の制御を行う方法が提案されている(非特許文献1参照)。
【0010】
この方法では、紙への複写は禁止するがメールの送信は許可する、あるいはメールはアドレス帳に記載された宛先にのみ許可する、などのきめ細かい制御が可能である。
【0011】
なお、これらの付加情報により複写や複製を制限するためには、画像に埋め込まれた付加情報の読み取りと、出力の制御を確実に行うことが必要となる。
【0012】
例えば、特許文献2には、複写機の原稿カバーが所定の角度まで閉じられたことを検出すると原稿を先読みし、原稿に出力制御情報が埋め込まれているかどうかを先に判断することによって、制御コードの検出に時間がかかって出力を抑制できなくなることを防止する技術が開示されている。
【特許文献1】特許第4039093号
【特許文献2】特開2007−166228号公報
【非特許文献1】公技番号2007−500377号(発明協会公開技報)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1や非特許文献1の技術については、きめ細かい複写・複製制御が可能ではあるが、利用者が事前に複写・複製できる条件を知らない場合、可能であるはずの出力が得られなかったり、条件を満たすために操作をやり直さなければならないという問題点がある。
【0014】
また、特許文献2の技術によっても、利用者は操作を行う前に原稿が複写できないことを知ることはできるが、原稿カバーを下ろすタイミングで原稿情報の読み込みが行われるため、紙への複写、FAX送信などどのような種類の出力を行いたいのかにかかわらず、一律に禁止または許可を判断し、出力を確実に抑制することは可能であるが、きめ細かい出力制御を行うことができない、という問題点がある。
【0015】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、利用者の意図に沿ったきめ細かい出力制御を行うことができる画像処理装置およびその制御方法、および、プログラムを提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、画像データに付加された付加情報に基づいて前記画像データに施す処理を決定する画像処理装置であって、入力された画像データに基づき、画像データの出力禁止を表す付加情報である出力禁止情報を抽出する禁止情報抽出手段と、入力された画像データに基づき、画像データの出力禁止を解除する条件を表す付加情報である解除条件情報を抽出する解除条件抽出手段と、前記出力禁止情報と解除条件情報を参照し、解除条件を満たすような出力先の入力を利用者に促す操作指示手段と、前記操作指示手段の表示に従って利用者が入力する画像データの出力態様に関する指示入力を受け付ける操作受付手段と、前記出力禁止情報および解除条件情報と、前記操作受付手段が受け取った内容に応じ、画像データの出力の許可あるいは禁止を決定する出力制御手段と、前記出力制御手段が出力禁止を決定した場合には前記画像データの出力を禁止する出力禁止手段を備えたものである。
【0017】
また、画像データに付加された付加情報に基づいて前記画像データに施す処理を決定する画像処理装置の制御方法であって、入力された画像データに基づき、画像データの出力禁止を表す付加情報である出力禁止情報を抽出する禁止情報抽出ステップと、入力された画像データに基づき、画像データの出力禁止を解除する条件を表す付加情報である解除条件情報を抽出する解除条件抽出ステップと、前記出力禁止情報と解除条件情報を参照し、解除条件を満たすような出力先の入力を利用者に促す操作指示ステップと、前記操作指示ステップの表示に従って利用者が入力する画像データの出力態様に関する指示入力を受け付ける操作受付ステップと、前記出力禁止情報および解除条件情報と、前記操作受付ステップが受け取った内容に応じ、画像データの出力の許可あるいは禁止を決定する出力制御ステップと、前記出力制御ステップが出力禁止を決定した場合には前記画像データの出力を禁止する出力禁止ステップを備えたものである。
【0018】
また、コンピュータに、請求項2に記載の画像処理装置の制御方法の各ステップを機能させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0019】
したがって、本発明によれば、利用者の出力実行指示の前の段階で、画像データに付加された出力禁止情報および禁止解除条件情報を抽出し、当該画像データの出力条件に合致するような指示を行うよう利用者に促すことができるため、画像データの原稿の複製・複写についてのセキュリティを下げることなく利用者の利便性を高めることができるという効果を得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施例にかかるネットワークシステムを示している。
【0022】
同図において、ローカルエリアネットワークLANには、複数のワークステーション装置WS1〜WSn、ファイルサーバ装置FS、メールサーバ装置MS、および、ネットワーク対応複合機FXが接続されている。
【0023】
ここで、ファイルサーバ装置FSは、ローカルエリアネットワークLANに接続されているワークステーション装置WS1〜WSnを利用するユーザ、および、ネットワークネットワーク対応複合機FXに対して、周知のファイルサーバ機能(ファイルの保存および参照等)を提供するためものである。
【0024】
また、メールサーバ装置MSは、ローカルエリアネットワークLANに接続されているワークステーション装置WS1〜WSnを利用するユーザ、および、ネットワークネットワーク対応複合機FXに対して、周知のメールサーバ機能(電子メールの収集および配信機能など)を提供するためのものである。
【0025】
また、ワークステーション装置WS1〜WSnには、ローカルにデータ処理する機能や、ローカルエリアネットワークLANを介して種々のデータのやりとりを行うための種々のソフトウェアなどの種々のプログラムが導入されており、特定のユーザにより使用されるものである。ここで、特定のユーザは、一人または複数人のユーザであってよい。例えば、電子メールをやりとりするための電子メール機能、ローカルエリアネットワークLANを介してネットワーク対応複合機FXに対して印刷動作を指令するためのネットワークプリントホスト装置機能等を備えている。
【0026】
また、ネットワーク対応複合機FXは、ローカル操作により読取原稿の複写物を形成する複写機能、ローカル接続されたワークステーション装置WSからのプリント要求を受け付けて印刷物を記録出力するネットワークプリンタ機能、ローカルエリアネットワークLANを介してワークステーション装置WS1〜WSnからのネットワークプリント要求機能を受け付けて印刷物を記録出力するネットワークプリンタ機能、画情報や各種レポートなどを電子メールとしてやりとりするための電子メール処理機能、ファイルサーバ装置FSに作成された保存領域(例えば、フォルダなど)に画像データを保存するネットワークファイル転送機能、および、アナログ公衆回線網PSTNに接続し、この公衆網を伝送路として用いてグループ3ファクシミリ伝送手順による画情報伝送を行う伝送機能を備えている。
【0027】
図2は、ネットワーク対応複合機FXの構成例を示している。
【0028】
同図において、システム制御部1は、このネットワーク対応複合機FXの各部の制御処理、および、ファクシミリ伝送制御手順処理などの各種制御処理を行うものであり、システムメモリ2は、システム制御部1が実行する制御処理プログラム、および、処理プログラムを実行するときに必要な各種データなどを記憶するとともに、システム制御部1のワークエリアを構成するものであり、パラメータメモリ3は、このネットワーク対応複合機FXに固有な各種の情報を記憶するためのものであり、時計回路4は、現在時刻情報を出力するものである。
【0029】
カラースキャナ5は、フルカラーで所定の解像度で原稿画像を読み取るためのものであり、カラープロッタ6は、所定の解像度でフルカラー画像を記録出力するためのものであり、操作表示部7は、このネットワーク対応複合機FXを操作するためのもので、各種の操作キー、および、各種の表示器からなる。
【0030】
符号化復号化部8は、画像データに対してファクシミリ符号化方式に従った符号化復号化処理を適用するためのものであり、磁気ディスク装置9は、符号化圧縮された状態の画情報(ファクシミリ画像データ)、各種のプログラムファイル、あるいは、各種プログラム(アプリケーション)で使用するファイル群などを多数記憶するためのものである。
【0031】
グループ3ファクシミリモデム10は、グループ3ファクシミリのモデム機能を実現するためのものであり、伝送手順信号をやりとりするための低速モデム機能(V.21モデム)、および、おもに画情報をやりとりするための高速モデム機能(V.17モデム、V.34モデム、V.29モデム、V.27terモデムなど)を備えている。
【0032】
網制御装置11は、このネットワーク対応複合機FXをアナログ公衆回線網PSTNに接続するためのものであり、自動発着信機能を備えている。
【0033】
ローカルエリアネットワークインターフェース回路12は、このネットワーク対応複合機FXをローカルエリアネットワークLANに接続するためのものであり、ローカルエリアネットワーク伝送制御部13は、ローカルエリアネットワークLANを介して、他のデータ端末装置との間で種々のデータをやりとりするための各種所定のプロトコルスイートの通信制御処理を実行するためのものである。
【0034】
これらの、システム制御部1、システムメモリ2、パラメータメモリ3、時計回路4、スキャナ5、プロッタ6、操作表示部7、符号化復号化部8、磁気ディスク装置9、グループ3ファクシミリモデム10、網制御装置11、および、ローカルエリアネットワーク伝送制御部13は、内部バス14に接続されており、これらの各要素間でのデータのやりとりは、主としてこの内部バス14を介して行われている。
【0035】
また、網制御装置11とグループ3ファクシミリモデム10との間のデータのやりとりは、直接行なわれている。
【0036】
ここで、本実施例において、基本的には、ローカルエリアネットワークLANに接続されている端末相互間でのデータのやりとりは、いわゆるTCP/IPと呼ばれるトランスポートレイヤまでの伝送プロトコルと、それ以上の上位レイヤの通信プロトコルとの組み合わせ(いわゆるプロトコルスイート)が適用して行われる。例えば、電子メールのデータのやりとりでは上位レイヤの通信プロトコルとしてSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)という通信プロトコルが適用され、ネットワークプリント機能にかかるデータのやりとりでは、例えば、LPR(Line PRinter daemon protocol)が適用される。また、ファイルサーバ装置FSとの間のファイル転送のプロトコルとしてはFTP(File Transfer Protocol)などが適用される。
【0037】
また、TCP/IP,SMTP,LPR,FTPなどの通信プロトコル、および、電子メールのデータ形式やデータ構造などについては、それぞれIETFから発行されているRFC文書により規定されている。例えば、TCPはRFC793、IPはRFC793、SMTPはRFC821、電子メールの形式は、RFC822,RFC1521,RFC1522(MIME(Multi Purpose Mail Extension)形式)などでそれぞれ規定されている。また、LPRは、RFC1179などで規定されている。
【0038】
図3は、ネットワーク対応複合機FXについて、画像データに付加された付加情報に基づいて前記画像データに施す処理を決定する画像処理機能の構成の一例を示したブロック図である。
【0039】
この画像処理機能は、原稿読取手段21、付加情報抽出手段22、付加情報抽出手段22としての禁止情報抽出手段23および解除条件抽出手段24、加工手段25、出力手段26、出力条件判定手段27、出力制御手段28、操作指示手段29、操作指示手段29としての出力モード選択手段30、操作受付手段31、原稿検知手段32、読取指示手段35からなる。
【0040】
また、利用者とのインタフェース(操作表示部7)として表示部(液晶パネルなど)33と入力デバイス(タッチパネルやキーボード、ボタン、認証用のカード読み取り部分)34を持つ。
【0041】
ここで、原稿読取手段21は図2のカラースキャナ5に対応する。また、付加情報抽出手段22は、原稿に書かれた、人間が認識する文字や図形とは別に、埋め込まれた情報(付加情報)を読みだす。
【0042】
禁止情報抽出手段23は、原稿画像に埋め込まれた付加情報の中の出力禁止に関わる情報を読みだし、解除条件抽出手段24は、原稿画像に埋め込まれた付加情報の中の出力禁止解除条件に関わる解除条件情報を読みだす。
【0043】
加工手段25は、原稿読取手段21により読み取られた原稿画像を出力に応じた形に加工するものである。加工の内容としては回転、縮小、拡大など一般的な複写機の加工と同等である。
【0044】
出力手段26は、読み取られた原稿を出力する手段であり、紙への画像書き込み(カラープロッタ6の機能)、メール送信機能、ネットワークデータ送信機能(ローカルエリアネットワーク伝送制御部13の機能)などを持つ。
【0045】
出力条件判定手段27は、付加情報抽出手段22により抽出された出力禁止情報、禁止解除情報および出力モード選択手段30からの出力先から、出力の可否および出力のための条件判断を行い、出力制御手段28および操作指示手段29への動作命令を行う。
【0046】
出力制御手段28は、出力条件判定手段27の指示を受け、出力手段26への動作命令を行う。
【0047】
操作指示手段29は、画像処理装置に付随する操作表示部7の液晶パネルへ、利用者への指示を表示させる。操作受付手段31は、画像処理装置に付随する操作表示部7の入力デバイス(タッチパネルやキーボード、ボタン)を通じて利用者からの出力指示を受け付ける。
【0048】
出力モード選択手段30は、操作指示手段29の一部分であり、特に出力モード(コピー、FAX、メール送信、HDD保存など)についての利用者からの出力指示を受け付ける。
【0049】
原稿検知手段32は、原稿読取手段21(カラースキャナ5)に付随する形で配置され、原稿読取手段21に原稿が読み取れる形でセットされたことを検知する。
【0050】
ここで、原稿に埋め込まれた情報とはバーコードなどの図形でも構わないが、改変しにくい情報として、背景ドットパターンとする。背景ドットパターンはドット配置などの特徴であり、いわゆる地紋パターンである。例えば、ドットが連続してなる線図であり、散点状、格子状など、模様状のドット群の繰り返しで、文書の背景に一様に形成されている。背景ドットパターンは原稿読取手段21によって認識できる大きさのドット(線のときは線幅)により構成され、複写したときに残る。
【0051】
図4は、出力禁止解除条件を定めた解除条件テーブルの一例を示している。
【0052】
同図において、解除条件コードは、付加情報の値として設定されるものであり、この場合は、−1(出力禁止せず)〜6までの7段階の値をとる。また、図中の「×」は、対応する動作が禁止されることをあらわし、「○」は対応する動作が禁止されていないことを表す。また、それ以外の値は、対応する動作について、利用者から当該入力値が指定された場合に、その動作が許可される(禁止解除される)ことをあらわす。
【0053】
例えば、「暗号化PDF」は、暗号化されたPDF(Portable Document Format)ファイルのみ処理可能であることをあらわす。
【0054】
また、「暗号化/印刷不可」は、暗号化されかつ印刷不可に設定されたPDFファイルのみ処理可能であることをあらわす。
【0055】
また、「アドレス帳登録宛先のみ」は、図示しないアドレス帳機能に登録された宛先が、送信宛先に指定された場合のみ処理可能であることをあらわす。
【0056】
図5,6は、本実施例にかかる動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【0057】
まず、利用者は出力対象となる原稿をカラースキャナ5に置く。原稿が原稿読取手段21に置かれた事を原稿検知手段32が検知する(ステップ101)。利用者は入力デバイス34より、原稿の出力モード(紙への複写、メール送信、FAX送信、HDDへ保存など)を選択する(ステップ102)。
【0058】
それにより、出力モード選択手段30は、利用者からの出力モード指示を受け取る(ステップ103)。読取指示手段35は、原稿検知手段32からの原稿検知がされた後、出力モード選択手段30からの出力先指示を受けて、原稿読取手段21に読取指示を行う。このとき、出力の可否を左右する出力条件が存在しない出力モードが指定された場合は、読取指示を行わなくてもよい(ステップ104,105)。
【0059】
たとえばデータの「暗号化」をすることが出力条件となる場合、出力モードが「コピー(紙への複写)」であった場合は、出力後のデータを暗号化することはできないため、出力可否を左右する条件を利用者が設定することができない。この場合、読取指示手段35は先んじての読取指示を行わず、利用者が出力指示を行ってからの原稿読み取りを行う。
【0060】
次に、原稿読取手段21は、原稿の画像データを読み込む(ステップ106)。禁止情報抽出手段23は、読み取られた画像より出力禁止情報を抽出する(ステップ107)。解除条件抽出手段24は、読み取られた画像より解除条件情報を抽出する(ステップ108)。
【0061】
出力条件判定手段27は、出力モード選択手段30から入力された出力モードと、抽出された出力禁止情報、出力禁止解除情報から出力可否の判定を行い、判定に応じて出力制御手段28または操作指示手段29へ指示を行う(ステップ109〜110)。
【0062】
出力禁止情報が抽出されなかった場合、原稿の出力制限が存在しないことを出力制御手段28へ伝える(ステップ110)。それにより、出力制御手段28は出力手段26に待機指示を行う(ステップ111)。
【0063】
出力禁止情報が抽出され(ステップ109の結果がYES)、出力禁止解除情報が抽出されなかった場合(ステップ112の結果がNO)、または、出力禁止情報および出力禁止解除情報が抽出され、出力モード選択手段30が受け取った出力モードと出力禁止解除情報を照らし合わせた結果、出力が不可だった場合(ステップ113の結果がNO)、出力制御手段28に出力禁止を伝える(ステッ117)。出力制御手段28は出力手段26に出力禁止指示を行う(ステップ118)。
【0064】
一方、出力禁止情報および出力禁止解除情報が抽出され、出力モード選択手段30が受け取った出力モードと出力禁止解除情報を照らし合わせた結果、出力時の条件が存在する場合は(ステップ113の結果がYES)、出力条件に合致した出力指示を行うよう、操作指示手段29に指示を行う(ステップ114,115)。
【0065】
それにより、操作指示手段29は出力条件判定手段27から得た出力条件を表示部33を通して利用者に提示する。例として、解除条件としてコード「6」が抽出され、利用者によって選択された出力モードが「FAX送信」だった場合、機器に登録されたアドレス帳の中からFAX送信先を選択するよう指示する。
【0066】
それにより、利用者は提示された条件に沿った出力指示を行うので、操作受付手段31は出力指示を受け取り、出力条件判定手段27へ渡す(ステップ116)。したがって、110へ移行し、出力条件判定手段27は出力指示が条件を満たしていることを確認し、出力条件が満たされていることを出力制御手段28へ伝える。出力制御手段28は出力手段26に待機指示を行う。
【0067】
なお、いずれの場合も、出力手段26に出力禁止が伝えられた場合はその後の利用者の操作にかかわらず原稿の出力は実施されない。また、出力手段26に出力待機が伝えられた場合は、利用者からの出力開始指示に従って出力を実施する。
【0068】
このようにして、本実施例では、利用者の出力実行指示より前に原稿の読み取りを行い、読み取った原稿の出力条件に合致するような指示を行うよう利用者に促すことができるため、原稿の複製・複写についてのセキュリティを下げることなく利用者の利便性を高めることができる。
【0069】
図7,8は、本実施例にかかる動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
【0070】
まず、利用者は入力デバイス34より、原稿の出力モード(紙への複写、メール送信、FAX送信、HDDへ保存など)を選択する(ステップ201)。それにより、出力モード選択手段30は利用者からの出力モード指示を受け取る(ステップ202)。
【0071】
次いで、利用者は、カラースキャナ5に置く。原稿が原稿読取手段21に置かれた事を原稿検知手段32が検知する(ステップ203)。読取指示手段35は、出力モード選択手段30からの出力先指示を受けた後、原稿検知手段32からの原稿検知がされると、一定時間経過後、原稿読取手段21に読取指示を行う(ステップ204)。なお、一定時間が経過する前に原稿検知手段が原稿の検知をできなくなった場合(原稿が取り去られた場合など)はステップ203へ戻る。
【0072】
次に、読取指示手段35は、原稿読取手段21に読取指示を行う。このとき、出力の可否を左右する出力条件が存在しない出力モードが指定された場合は、読取指示を行わなくてもよい(ステップ205,206)。
【0073】
そして、原稿読取手段21は、原稿の画像データを読み込む(ステップ207)。禁止情報抽出手段23は、読み取られた画像より出力禁止情報を抽出する(ステップ208)。解除条件抽出手段24は、読み取られた画像より解除条件情報を抽出する(ステップ209)。
【0074】
出力条件判定手段27は、出力モード選択手段30から入力された出力モードと、抽出された出力禁止情報、出力禁止解除情報から出力可否の判定を行い、判定に応じて出力制御手段28または操作指示手段29へ指示を行う(ステップ210〜211)。
【0075】
出力禁止情報が抽出されなかった場合、原稿の出力制限が存在しないことを出力制御手段28へ伝える(ステップ211)。それにより、出力制御手段28は出力手段26に待機指示を行う(ステップ212)。
【0076】
出力禁止情報が抽出され(ステップ210の結果がYES)、出力禁止解除情報が抽出されなかった場合(ステップ213の結果がNO)、または、出力禁止情報および出力禁止解除情報が抽出され、出力モード選択手段30が受け取った出力モードと出力禁止解除情報を照らし合わせた結果、出力が不可だった場合(ステップ214の結果がNO)、出力制御手段28に出力禁止を伝える(ステッ218)。出力制御手段28は出力手段26に出力禁止指示を行う(ステップ219)。
【0077】
一方、出力禁止情報および出力禁止解除情報が抽出され、出力モード選択手段30が受け取った出力モードと出力禁止解除情報を照らし合わせた結果、出力時の条件が存在する場合は(ステップ214の結果がYES)、出力条件に合致した出力指示を行うよう、操作指示手段29に指示を行う(ステップ215,216)。
【0078】
それにより、操作指示手段29は出力条件判定手段27から得た出力条件を表示部33を通して利用者に提示する。例として、解除条件としてコード「6」が抽出され、利用者によって選択された出力モードが「FAX送信」だった場合、機器に登録されたアドレス帳の中からFAX送信先を選択するよう指示する。
【0079】
それにより、利用者は提示された条件に沿った出力指示を行うので、操作受付手段31は出力指示を受け取り、出力条件判定手段27へ渡す(ステップ217)。したがって、211へ移行し、出力条件判定手段27は出力指示が条件を満たしていることを確認し、出力条件が満たされていることを出力制御手段28へ伝える。出力制御手段28は出力手段26に待機指示を行う。
【0080】
なお、いずれの場合も、出力手段26に出力禁止が伝えられた場合はその後の利用者の操作にかかわらず原稿の出力は実施されない。また、出力手段26に出力待機が伝えられた場合は、利用者からの出力開始指示に従って出力を実施する。
【0081】
このようにして、本実施例では、利用者の画像処理装置の操作手順の違いにかかわらず原稿の読み取りを行い、その後の操作手順を利用者に指示することにより、上述した例と同様にセキュリティを下げることなく利用者の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施例にかかるネットワークシステムを示したブロック図。
【図2】ネットワーク対応複合機FXの構成例を示したブロック図。
【図3】ネットワーク対応複合機FXについて、画像データに付加された付加情報に基づいて前記画像データに施す処理を決定する画像処理機能の構成の一例を示したブロック図。
【図4】出力禁止解除条件を定めた解除条件テーブルの一例を示した概略図。
【図5】本実施例にかかる動作の一例を説明するためのフローチャート(図6に続く)。
【図6】本実施例にかかる動作の一例を説明するためのフローチャート(図5の続き。
【図7】本実施例にかかる動作の他の例を説明するためのフローチャート(図8に続く)。
【図8】本実施例にかかる動作の一例を説明するためのフローチャート(図7の続き。
【符号の説明】
【0083】
FX ネットワーク対応複合機
1 システム制御部
2 システムメモリ
3 パラメータメモリ
21 原稿読取手段
22 付加情報抽出手段
23 禁止情報抽出手段
24 解除条件抽出手段
25 加工手段
26 出力手段
27 出力条件判定手段
28 出力制御手段
29 操作指示手段
30 出力モード選択手段
31 操作受付手段
32 原稿検知手段
33 表示部
34 入力デバイス
35 読取指示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに付加された付加情報に基づいて前記画像データに施す処理を決定する画像処理装置であって、
入力された画像データに基づき、画像データの出力禁止を表す付加情報である出力禁止情報を抽出する禁止情報抽出手段と、
入力された画像データに基づき、画像データの出力禁止を解除する条件を表す付加情報である解除条件情報を抽出する解除条件抽出手段と、
前記出力禁止情報と解除条件情報を参照し、解除条件を満たすような出力先の入力を利用者に促す操作指示手段と、
前記操作指示手段の表示に従って利用者が入力する画像データの出力態様に関する指示入力を受け付ける操作受付手段と、
前記出力禁止情報および解除条件情報と、前記操作受付手段が受け取った内容に応じ、画像データの出力の許可あるいは禁止を決定する出力制御手段と、
前記出力制御手段が出力禁止を決定した場合には前記画像データの出力を禁止する出力禁止手段を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
画像データに付加された付加情報に基づいて前記画像データに施す処理を決定する画像処理装置の制御方法であって、
入力された画像データに基づき、画像データの出力禁止を表す付加情報である出力禁止情報を抽出する禁止情報抽出ステップと、
入力された画像データに基づき、画像データの出力禁止を解除する条件を表す付加情報である解除条件情報を抽出する解除条件抽出ステップと、
前記出力禁止情報と解除条件情報を参照し、解除条件を満たすような出力先の入力を利用者に促す操作指示ステップと、
前記操作指示ステップの表示に従って利用者が入力する画像データの出力態様に関する指示入力を受け付ける操作受付ステップと、
前記出力禁止情報および解除条件情報と、前記操作受付ステップが受け取った内容に応じ、画像データの出力の許可あるいは禁止を決定する出力制御ステップと、
前記出力制御ステップが出力禁止を決定した場合には前記画像データの出力を禁止する出力禁止ステップを備えたことを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項3】
コンピュータに、請求項2に記載の画像処理装置の制御方法の各ステップを機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−98667(P2010−98667A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−269807(P2008−269807)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】