説明

画像処理装置およびその方法、プログラムならびに記録媒体

【課題】レーザビームプリンタ(LBP)やインクジェットプリンタなどにおいて、色変換処理に用いる変換テーブルのデータ量を削減する。
【解決手段】入力色空間を複数に分割した各小立体の格子点毎に出力色空間の対応する値を保持した変換テーブルデータを圧縮化し、その圧縮変換テーブルデータを記憶する記憶手段と、前記圧縮変換テーブルデータを元の変換テーブルデータに復元する復元手段と、前記復元された変換テーブルデータを用いて補間演算により、入力画像データを出力画像データに変換する変換手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式やインクジェット方式などの画像処理技術に係り、特に入力カラー画像データをカラー印刷のための出力カラー画像データに色変換する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式やインクジェット方式などの画像処理装置でカラー画像を印刷する際には、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色の色材が用いられることが多い。また、コンピュータのディスプレイに表示された画像を表すRGB画像データを入力とする、トナー/インク色を表すCMYK信号インクジェットプリンタについては、近年4色以上のインクを用いたプリンタが出てきている。ここでは、説明の簡単化のため4色を用いた場合で説明する。
【0003】
入力画像としては、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の3色分解信号で表現されたカラー画像が用いられることが多く、CMYKのインクを用いる場合、このRGB画像データからCMYK画像データへの色変換処理が必要となる。一般に色変換処理は線形マスキング演算による方法があり、具体的には、以下のような線形マトリックス演算によりRGB画像データからCMYK画像データを求める。
【0004】
【数1】

【0005】
しかしながら、通常RGBやL*a*b*などからCMYKへの色変換処理は、入力画像データと出力画像データとの間で非線形性な関係があるため、線形マトリックス演算では色変換精度が不十分な場合がある。また、ある程度モデル化ができたとしてもこの変換自体に要する演算量が膨大になってしまう。
【0006】
このことから、近年では3次元のルックアップテーブル(以下、LUT)を用いた補間演算による方法を用いたものが多い(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。この3次元ルックアップテーブルは、RGB空間を図6のように複数の単位立方体に分割し、各格子点のRGBデータに対して変換するCMYKのデータをLUTとして保持しておく。格子点間のRGBの変換は、例えば、注目点のRGBを含む立方体の頂点である8つの格子点におけるCMYKデータを用いて補間演算により行う。このような方法であれば、分割数が多ければ多いほど、非線形性に対する追従性が良くなり、色変換精度が良くなる。
【0007】
【特許文献1】特許第2874660号明細書
【特許文献2】特開2001−346061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このようなLUT補間による方法は、各格子点の出力データをLUTとして保持する必要があるため、線形マスキング演算による方法よりも保持する色変換パラメータ数、つまり、データ量が多くなってしまう。また、色変換精度向上のためにRGB空間の単位立方体による分割数を増加させると、さらにデータ量が増えてしまう。このようなことから、色変換精度と色変換パラメータ量はトレードオフの関係にあって、両立させることが難しい。
【0009】
ところで、RGB画像データからCMYK画像データへの色変換処理は3対4の変換であるため、色が3信号で表現されることを考えると、測色的な要請からでは一意に決定せず、多くの場合が一つのRGBから複数のCMYKが測色的に一致する。ここで、従来の技術として、ある入力色に対して、K(ブラック)を最大墨、最小墨といった上限と下限を設定することで、測色的に一致するCMYが存在する。ここでのK(ブラック)の設定できる範囲は、色空間において色再現域の最外郭に近い領域の色を除けば、ある程度大きな幅を持っている。したがって、Kの設定に関しては、色空間の分割数の少ないLUTを用いたとしても、十分適切な値を設定することができる。一方、CMYの設定に関しては、測色的な一致を保証するために、ある程度分割数の多いLUTを用いることが望ましい。このことは、K(ブラック)についてだけ言えることではなく、C(シアン)に関してのみ分割数の少ないLUTを用いることも可能である。
【0010】
例えば、特許文献1には、カラーデータのR,G,B成分のうちの1成分を他の成分よりも細かく分割させた色空間で各格子点毎にそれぞれ対応するCMY値を有する各色別の色変換テーブル(LUT)を用いることで、色変換テーブル格納メモリの増大を防止することが記載されている。また、特許文献2には、RGBからLabの色変換において、例えば、L信号は16分割、a,b信号は8分割のLUTを用いるようにして、全体としてLUTの規模を軽減することが記載されている。しかしながら、色変換精度などの点から分割数の削減には限度があり、したがって、LUTの規模や使用メモリ量の軽減には限界がある。
【0011】
本発明はこの点を鑑みて、色変換処理において、色変換精度を低下させることなく、色変換パラメータ数、すなわち保持すべきデータ量を押えることの可能な画像処理装置および方法、プログラム並びにその記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、入力色空間を複数に分割した各小立体の格子点毎に出力色空間の対応する値を保持した変換テーブルデータを用いて、入力画像データを出力画像データに変換する画像処理装置であって、前記変換テーブルデータを圧縮化した圧縮変換テーブルデータを記憶する記憶手段と、前記圧縮変換テーブルデータを元の変換テーブルデータに復元する復元手段と、前記復元された変換テーブルデータを用いて補間演算により、入力画像データを出力画像データに変換する変換手段とを有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の画像処理装置は、前記復元された変換テーブルデータを一時的に保持する一時保持手段をさらに有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の画像処理装置では、前記復元手段は、入力画像データに基づき、前記圧縮変換テーブルデータにおける前記補間演算に必要なデータのみを復元することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の画像処理装置では、前記記憶手段は、出力画像データを構成する複数の色成分における第1の色成分に対応する、第1の分割数を使用した第1の変換テーブルデータを圧縮化した第1の圧縮変換テーブルデータと、前記第1の色成分以外の残りの第2の色成分に対応する、前記第1の分割数より少ない第2の分割数を使用した第2の変換テーブルデータを圧縮化した第2の圧縮変換テーブルデータを記憶し、前記変換手段は、復元された第1の変換テーブルデータを用いて前記第1の色成分に対する補間演算を実施し、復元された第2の変換テーブルデータを用いて前記第2の色成分に対する補間演算を実施することを特徴とする。第2の変換テーブルデータは、当該出力画像データのとる値域を越えた値を含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の画像処理装置では、前記記憶手段は、出力画像データを構成する複数の色成分における第1の色成分に対応する、変換テーブルデータを圧縮化した圧縮変換テーブルデータを記憶し、前記変換手段は、復元された前記変換テーブルデータを用いて前記第1の色成分に対する補間演算を実施し、前記第1の色成分以外の残りの第2の色成分については、補間演算にかえて線形マトリック演算を実施することを特徴とする。
【0017】
出力画像データは少なくともCMYKの色成分からなり、第1の色成分はCMYであり、第2の色成分は、CMY以外のKあるいはその他の成分であることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の画像処理装置は、複数の画像出力手段を有し、前記変換された出力画像データに基づき、前記複数の画像出力手段により記録媒体に対して並行して画像形成を実施することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の画像処理装置は、前記変換された出力画像データに基づき、画像形成を実施するインクジェット記録手段を有することを特徴とする。
【0020】
本発明は、入力色空間を複数に分割した各小立体の格子点毎に出力色空間の対応する値を保持した変換テーブルデータを用いて、入力画像データを出力画像データに変換する画像処理方法であって、前記変換テーブルデータを圧縮化した圧縮変換テーブルデータを記憶手段に記憶しておき、前記記憶された圧縮変換テーブルデータを元の変換テーブルデータに復元し、前記復元された変換テーブルデータを用いて補間演算により、入力画像データを出力画像データに変換することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の画像処理方法は、前記復元された変換テーブルデータを一時保持手段に保持することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の画像処理方法は、復元処理では、入力画像データに基づき、前記圧縮変換テーブルデータにおける前記補間演算に必要なデータのみを復元することを特徴とする。
【0023】
また、本発明の画像処理方法は、復元前記記憶手段には、出力画像データを構成する複数の色成分における第1の色成分に対応する、第1の分割数を使用した第1の変換テーブルデータを圧縮化した第1の変換テーブルデータと、前記第1の色成分以外の残りの第2の色成分に対応する、前記第1の分割数より少ない第2の分割数を使用した第2の変換テーブルデータを圧縮化した第2の圧縮変換テーブルデータが記憶され、変換処理では、復元された第1の変換テーブルデータを用いて前記第1の色成分に対する補間演算を実施し、復元された第2の変換テーブルデータを用いて前記第2の色成分に対する補間演算を実施することを特徴とする。第2の変換テーブルデータは、当該出力画像データのとる値域を越えた値を含むことを特徴とする。
【0024】
また、本発明の画像処理方法は、前記記憶手段には、出力画像データを構成する複数の色成分における第1の色成分に対応する、変換テーブルデータを圧縮化した圧縮変換テーブルデータが記憶され、変換処理では、復元された前記変換テーブルデータを用いて前記第1の色成分に対する補間演算を実施し、前記第1の色成分以外の残りの第2の色成分については、補間演算にかえて線形マトリック演算を実施することを特徴とする。
【0025】
ここでも、出力画像データは少なくともCMYKの色成分からなり、第1の色成分はCMYであり、第2の色成分は、CMY以外のKあるいはその他の成分であることを特徴とする。
【0026】
また、本発明の画像処理方法は、前記変換された出力画像データに基づき、複数の画像出力を行って記録媒体に対して並行して画像形成を実施することを特徴とする。
【0027】
また、本発明の画像処理方法は、前記変換された出力画像データに基づき、インクジェット記録処理を行って画像形成を実施することを特徴とする。
【0028】
さらに、本発明は、上記のような画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、さらに、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、色変換処理において、色変換精度を低下することなく、色変換処理におけるデータ量を抑えることができる画像処理装置およびその方法、ならびにプログラムおよびその記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
初めに、図1により、本発明に係る画像処理装置の一実施の形態の動作環境について、その概要を説明する。
【0031】
図1において、10は画像等を表示するためのディスプレイ、12はカラー画像を読み取るスキャナ、20は各機能を総括的に制御するためのOS(Operating System)、30は入出力指示等のユーザとのインターフェイスを含んだアプリケーション制御を行うアプリケーション、40はインクジェットプリンタとのインターフェースを司るプリンタドライバ1、50はレーザビームプリンタ(LBP)とのインターフェースを司るプリンタドライバ2、60は多値といった情報を記録紙に出力するレーザビームプリンタ(LBP)、70は2値情報を記録紙に出力するインクジェットプリンタである。一般に、OS20、アプリケーション30、プリンタドライバ40、50などはホストコンピュータ上(パーソナルコンピュータなど)に用意されるが、このうちプリンタドライバ40、50はあらかじめ各プリンタ60、70に用意されてもよい。
【0032】
アプリケーション30はOS(Operating System)20、例えば、Windows(米国Microsoft社の登録商標。以下、同様)のようないわゆる基本ソフト上で動作している。以下、OS30がWindowsであることを前提に説明する。アプリケーション30において、印刷を行う場合は、そのプログラム内から、OS20が提供するサブシステムのうちグラフィック・サブ・システムの機能を用いて行われる。OS30がWindowsの場合、GDI(Graphic Device Interface)と呼ばれるディスプレイやプリンタに対する画像情報の処理を司っている。このGDIは、ディスプレイやプリンタといった各デバイスごとの依存性を吸収するためにデバイスドライバと呼ばれるモジュールを動的にリンクし、それぞれのデバイスに対する出力処理を行う。プリンタに対するこのモジュールは、プリンタドライバと呼ばれる。図1の40、50はこれを示している。
【0033】
さて、Windowsでは、GDIを介してプリンタドライバ40、50に描画要求がされる。プリンタドライバ40、50では、ラスタライズ、スクリーニング、レンダリング、カラーマッチング、カラー調整、RGBからCMYKへの色変換といった処理が行われる。以下に、各処理について簡単に説明する。
(1) ラスタライズ:パーソナルコンピュータ(PC)などで文字をレーザビームプリンタやインクジェットプリンタといったプリンタ(記録装置)に出力する時は、最終的には小さな点の集合で表現する。文字や画像のデータをラスタデータに展開することをいう。
(2) スクリーニング:ラスタデータに展開されたラスタイメージまたはスキャンラインかされた描画要求は、フレームメモリにレンダリング時にスクリーン処理を施す。スクリーン処理には、パターンディザ法、誤差拡散法といったものがある。
(3) レンダリング:スクリーン処理を施したテキスト/グラフィック/イメージの各描画要求は、フレームメモリにレンダリングされる。レンダリングには、1ページ分のフレームメモリを使用するするフレーム方式とフレームメモリの一部しか持たないバンド方式との2通りの方法がある。
(4) カラーマッチング:Windowsでは、カラー指定はsRGB空間でRGB値にて指定される。これをプリンタでCMYK各色のトナー/インクでモニタ表示に近い色でプリントするためにカラーマッチングを使用する。ここで、カラーマッチングには、Windowsで使用されているICMと、各社独自のカラーマッチングとの2種類がある。
(5)色変換処理:CMYK色でプリントするプリントエンジンでは、Windows GDIで指定されるRGB値をCMYK値に変換する必要がある。変換処理には、カラーマッチングにてCMYK値に変換する方法と、墨生成/UCR処理にて行う方法とがある。
【0034】
プリンタドライバ40、50で行われる処理は、上述の処理だけではないが、主にこれらの処理が行われ、レーザビームプリンタ(LBP)70やインクジェットプリンタ60といったプリンタ(記録装置)に情報を送ることで印刷が行われる。
【0035】
次に本実施形態のレーザビームプリンタ(LBP)70とインクジェットプリンタ60について説明する。
【0036】
図2は本発明が適用可能な記録装置の構成例を示す断面図であり、例えばレーザビームプリンタ(以下、LBP)の場合を示す。図2において、1500はLBP本体であり、外部に接続されているホストコンピュータから供給される印刷情報(文字コード等)やフォーム情報あるいはマクロ命令等を入力して記憶するとともに、それらの情報に従って対応する文字パターンやフォームパターン等を作成し、記録媒体である記録紙上に像を形成する。1501は操作のためのスイッチおよびLED表示器等が配されている操作パネル、1000はLBP本体1500全体の制御およびホストコンピュータから供給される文字情報等を解析するプリンタ制御ユニットである。このプリンタ制御ユニット1000は、主に文字情報を対応する文字パターンのビデオ信号に変換してレーザドライバ1502に出力する。レーザドライバ1502は半導体レ−ザ1503を駆動するための回路であり、入力されたビデオ信号に応じて半導体レーザ1503から発射されるレーザ光1504をオン・オフ切り換えする。レーザ光1504は回転多面鏡1505で左右方向に振らされて静電ドラム1506上を走査露光する。これにより、静電ドラム1506上には文字パターンの静電潜像が形成されることになる。この潜像は、静電ドラム1506周囲に配設された現像ユニット1507により現像された後、記録紙に転写される。この記録紙にはカットシートを用い、カットシート記録紙はLBP1500に装着した用紙カセット1508に収納され、給紙ローラ1509および搬送ローラ1510と搬送ローラ1511とにより、装置内に取り込まれて、静電ドラム1506に供給される。また、LBP本体1500には、図示しないカードスロットを少なくとも1個以上備え、内蔵フォントに加えてオプションカード,言語系の異なる制御カード(エミュレーションカード)を接続できるように構成されている。なお、レーザビームプリンタ(LBP)は、CMYKの各色に対応したドラムで記録媒体に出力するタンデム型の画像処理装置とCMYKの4色を1つのドラムで記録媒体に出力する1ドラム型の画像処理装置があるが、本発明はこのどちらにも適用可能である。
【0037】
図3は本発明を適用可能な記録装置の別の構成例を示す図であり、インクジェットプリンタの場合を示す。図3において、駆動モータ5013の正逆回転に連動して駆動力伝達ギア5011,5009を介して回転するリードスクリュー5005の螺旋溝5004に対して係合するキャリッジHCは図示しないピンを有し、矢印x,y方向に往復移動される。このキャリッジHCには、インクジェットカートリッジIJCが搭載されている。5002は紙押え板であり、キャリッジ移動方向にわたって紙をプラテン5000に対して押圧する。5007,5008はフォトカプラで、キャリッジのレバー5006のこの域での存在を確認して、モータ5013の回転方向切り換え等を行うためのホームポジション検知手段として機能する。5016は記録ヘッドの全面をキャップするキャップ部材5022を指示する部材、5015はこのキャップ内を吸引する吸引手段でキャップ内開口5023を介して記録ヘッドの吸引回復を行う。5017はクリーニングブレードで、部材5019により前後方向に移動可能となる。5018は本体支持板で、上記5017,5019を支持する。5012は、吸引回復の吸引を開始するためのレバーで、キャリッジと係合するカム5020の移動に伴って移動し、駆動モータからの駆動力がクラッチ切り換え等の公知の伝達手段で移動制御される。
【0038】
これらのキャッピング,クリーニング,吸引回復は、キャッリジがホームポジション側領域にきたときにリードスクリュー5005の作用によってそれらの対応位置で所望の処理が行えるように構成されているが、周知のタイミングで所望動作を行うように構成されていればよい。
【0039】
図4は、図3に示した記録装置の制御構成を説明するブロック図である。図2に示した記録装置(出力装置)の制御構成も基本的に同様である。
【0040】
図4において、1700は記録信号を入力するインターフェース、1701はMPU、1702は前記MPU1701が実行する制御プログラムやホスト印刷情報等を格納するROM、1703はDRAMで、各種データ(上記記録信号やヘッドに供給される記録データ等)を保存しておく。1704は記録ヘッド1708に対する記録データの供給制御を行うゲートアレイで、インターフェース1700,MPU1701,DRAM1703間のデータの転送制御も行う。1710は前記記録ヘッド1708を搬送するためのキャリアモータ、1709は記録用紙搬送のための搬送モータ、1705は前記記録ヘッドを駆動するヘッドドライバ、1706は前記搬送モータ1709を駆動するモータドライバ、1707は前記キャリアモータ1710を駆動するモータドライバである。ここで、破線で囲った部分が制御部本体を示す。
【0041】
このように構成された記録装置において、インターフェース1700を介してパーソナルコンピュータ(PC)1711より記録信号が入力されると、ゲートアレイ1704とMPU1701との間で記録信号がプリント用の記録データに変換される。そして、モータドライバ1706,1707が駆動されるとともに、ヘッドドライバ1705に送られた記録データに従って記録ヘッドが駆動され印字が実行される。
【0042】
なお、MPU1701はインターフェース1700を介してパーソナルコンピュータ(PC)1711との通信処理が可能となっており、DRAM1703に関するメモリ情報および資源データ等やROM1702内のホスト印刷情報をパーソナルコンピュータ1711に通知可能に構成され、さらに、パーソナルコンピュータ1711が接続されたプリンタと通信してプリンタ環境設定状態を自動判定して、相互に整合するプリンタ環境を自動設定するように構成されている。
【0043】
また、プリンタ制御言語切り換えに伴って、プリンタのメモリに設定されているデータをパーソナルコンピュータ1711に一時登録ファイルとして転送し、プリンタ制御言語切り換え後のプリンタ処理終了後、プリンタのプリンタ環境を再起させるために、一時登録ファイルをプリンタに帰還転送して再設定可能に構成されている。
【0044】
上述の形態以外に、ワードプロセッサやホストコンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として一体または別体に設けられるものの他に、リーダ等を組み合わせた複写装置、送受信機能を有するファクシミリ装置のような形態をとるものであっても良いのは言うまでもない。
【0045】
以下、本発明に係る画像処理装置の主要部の実施例について詳細に説明する。
【実施例1】
【0046】
図5は本実施例の構成図である。図5において、100は圧縮されたLUTデータ(圧縮変換テーブルデータ)が格納される圧縮データバッファである。110は圧縮されたLUTデータを復元(伸長)するデータ復元部である。120は復元されたLUTデータが格納されるLUTデータバッファである。130はLUTデータバッファ120に格納されたLUTデータに基づき、RGB入力画像データに補間演算を施してCMYK出力画像データを生成する色変換処理部である。図5の構成は、ホストコンピュータあるいはプリンタ側のいずれでも実現可能である。例えば、ホストコンピュータ側に色変換機能をもたせる場合は、該ホストのハードウェア資源(CPU、メモリ等)及びソフトウェア資源(アプリケーション、プリンタドライバ等)で構成され、プリンタ側に色変換機能を持たせる場合には、該プリンタにおける同様の資源で構成される。
【0047】
色変換処理部103にて実行される処理を説明すると、入力画像データは、スキャナで読み取られたRGB信号を想定するが、例えば、パーソナルコンピュータのアプリケーションで作成された画像のモニタRGB信号や、均等色空間信号であるL*a*b*信号等でも良いのは言うまでもない。また、RGB信号は、0〜255の値を取る8ビット信号で表されるものとし、同様にCMYK信号についても8ビットで表されるものとする。
【0048】
図6は入力色空間を4分割した例を示している。入力されたRGBの画像データに基づいて、その画像データが図6に示されるどの補間立体(小立方体)に属するかが判定され、その判定結果に基づき補間処理に必要な八つの格子点、つまり補間立体の頂点に対応する格子点番号が決定される。そして、この決定された格子点番号それぞれに対応する複数の格子点データ(CMYKデータ)がLUTデータバッファ102から読み出される。続いて、読み出された複数の格子点データおよび入力画像データを用いて、CMYK各色成分ごとに立方体補間演算を行ない、CMYK出力データが生成される。
【0049】
LUTデータバッファ102には、図7に示すように、格子点番号の順番に同一の格子点に対応する復元されたCMYKデータの組が並べて格納されている。図7に示すようにデータを並べることによって、補間演算処理に必要な格子点データを適宜、簡単に読み出すことができる。
【0050】
入力画像データの色空間RGBを出力画像データの色空間CMYKへ色変換する補色反転処理、ならびに100%のUCRである下色除去処理を行うための各色成分を分割した変換テーブルの作成方法を説明する。なお、各色成分のデータは8ビット(0から255)で表現されるものとする。
K=255−Max(R,G,B)
C=(255−R)−K
M=(255−G)−K
Y=(255−B)−K
ただし、関数Max()は最大値を出力とする。
【0051】
図8は変換テーブルの各格子点の入力データの一例、図9は変換テーブルの各格子点の出力データの一例をそれぞれ示す。図9に示す各格子点のデータに一対一で対応する出力データを、上述の式に基づき求めると、図10に示すようになる。圧縮データバッファ100には、図10に示す格子点番号と出力データ(C、M、Y、K)の対応関係を表すLUTデータが圧縮されたものが記憶されている。
【0052】
圧縮データバッファ100に格納された圧縮されたLUTデータは、必要に応じて、データ復元部101により図7に示すようなLUTデータに復元され、LUTデータバッファ102に格納される。ここで、圧縮データバッファ100に格納されるLUTデータは一つに限らず、圧縮データバッファ100をデータベース形式にすることで、複数の圧縮されたLUTデータを格納することができる。また、入出力画像データの色空間は、RGBおよびCMYKに限らず、YIQ、LabおよびXYZなどの色空間でも構わない。
【0053】
ここで、圧縮データバッファ100に格納されているLUTデータは、図10に示すように、色成分ごとに格子点の番号順に並べられて圧縮されている。色成分ごとに格子点の番号順にLUTデータを並べる利点は、圧縮効率を向上させることができるからある。この理由は、一般的に出力画像データが一次色(シアン、マゼンタおよびイエロー)や、二次色(レッド、グリーンおよびブルー)で表現される部分は、墨成分Kが存在しないため、少なくともK色のデータは零が連続する。例えば、レッド(C,M,Y,K)=(0,255,255,0)からマゼンタ(C,M,Y,K)=(0,255,0,0)への遷移部分は、MおよびY色のデータで表現されるため、CおよびK色に関しては0が連続する。このような傾向は、補色反転および100%UCR処理の色変換処理に限らず、出現するものである。従って、LUTデータを色成分ごとに格子点の番号順に並べて圧縮することにより、値が0であるデータが連続する場合が増す。つまり、格子点の番号順にLUTデータを並べて圧縮する場合に比べて、図10に示す本実施形態のLUTのデータの並べ方は、圧縮率を飛躍的に向上させることができ、圧縮されたLUTデータを格納する圧縮データバッファ100の記憶容量を節約することができる。なお、LUTデータの圧縮方法は、同一のデータが連続すると圧縮率が高くなるような圧縮方法を用いればよい。
【0054】
データ復元部101が実行する処理例を示す。効率的に圧縮するために図10に示すように並べられている圧縮されたLUTデータが、圧縮データバッファ100から読み出されて復元される。復元されたLUTデータは色成分ごとに格子点番号順にデータが並んでいるが、このデータの並びが図7に示すように並べ替えられ、並べ替えられたデータがLUTデータバッファ102に格納される。なお、データ復元部101では、入力された画像データRGBに基づき、圧縮データバッフア100から色変換処理部103で補間演算に必要な部分の圧縮されたLUTデータのみを読出し、復元し、LUTデータバッファ102に格納することも可能である。これにより、LUTデータバッファ102の必要メモリ量を軽減できる。
【0055】
本実施例のデータ復元部101および色変換処理部103は、プリンタ側に色変換機能を持たせる場合、例えばROMに格納されたプログラムをCPUに供給することで実現可能である。あるいは、ホストコンピュータ側に持たせる場合は、パーソナルコンピュータなどにプログラムを供給することによりドライバとして実現することも可能である。それらの場合、LUTデータバッファ102は、CPUのワークメモリとして利用されるRAMなどの上に割り当てればよい。また、圧縮データバッファ100はROMやハードディスクなどの不揮発性メモリに格納すればよいことは言うまでもない。
【実施例2】
【0056】
本実施例の場合、入力されたRGB信号は、色変換処理部によりLUTを用いた補間演算処理により、CMYK信号に変換されるが、図5の色変換処理部103は、図11のように、CMYは3入力で3出力の色変換手段103−1により算出され、Kは、3入力で1出力の色変換手段103−2により算出される。ここで、CMYを算出する色変換手段103−1は例えば、RGB空間の各成分であるR軸、B軸、G軸を32分割した格子点の値を用いて補間演算処理によりCMYを算出する。K(ブラック)を算出する色変換手段103−3は、RGB空間のR軸、B軸、G軸を8分割した格子点の値を用いて、同様に補間演算を行うことでKを算出する。圧縮データバッファ100には、CMYを算出する色変換手段103−1に対しては、RGB空間のR軸、B軸、G軸を32分割した格子点のCMY値のLUTデータが圧縮して格納され、Kを算出刈る色変換手段103−2に対しては、TGB空間のR軸、G軸、B軸を8分割した格子点のK値のLUTデータが圧縮して格納されている。データ復元部101での復元処理は先の実施例1と同様である。
【0057】
ここで、K(ブラック)のRGB空間の分割数は、CMYを算出する色変換手段よりも少ない分割数であるため、LUTとして保持するパラメータ数も少なくて済む。具体的には、K(ブラック)のような8分割の場合は、9の3乗である729個の格子点があり、同数の8ビット信号を保持する。一方、CMYのような32分割の場合は、33の3乗である35973個の格子点があり、CMY各々に対して、35973個の8ビット信号を保持することになる。よって、本発明の構成とすることで、K(ブラック)に関しては、CMYに比べて保持するLUTのデータ量が約50分の1で済む。また、CMYK全てに関してRGB色空間を32分割として補間演算処理を行う場合と比べても、Kの分のデータ量はほとんど無視できるので、約3/4のデータ量を削減することができる。圧縮データバッファ100には、これが圧縮して格納されるため、更なるデータ量の削減が可能になる。
【0058】
このように、Kのデータ量を削減したにも関わらず、CMYに対してはRGB色空間の各成分を32分割した格子点の値をLUTデータとして保持し、このLUTデータを用いて補間演算処理を行っているため、入力信号と出力信号とを非線形に追従することが可能であり、色変換精度がほとんど変わらないという効果が得ることができる。また、このLUTデータは、圧縮されて圧縮データバッファ100に格納されるためデータ量を削減できる。
【実施例3】
【0059】
本実施例の場合、図5の色変換処理部103は、図12に示すように、CMYについては、実施例2の32分割LUT色変換手段103−1と同様のLUT色変換手段103−3によりLUTを用いた補間演算によって算出を行なうが、K(ブラック)については、線形マスキング色変換手段103−4により線形マスキング法によって算出を行う点が特徴である。線形マスキング法を用いることで、色相毎にK(ブラック)の設定を変えることができ、より適切なKの設定ができる。特に、Kをハイライトの色に入れると、ざらつきが目につき、画質が悪くなることがある。低濃度から高濃度への色のグラデーションに対してどこからKを入れるか、いわゆる墨を入れる墨開始点の設定が画質に影響を与える。したがって、色相毎に墨の開始点の調整ができることが望ましい。
【0060】
ここで、線形マスキング色変換手段103−4での線形マスキング処理について具体的に述べる。入力画像データをRGB画像データとすると、以下のような式に基づく線形演算によって、Kを算出することができる。
K=a0+a1×R+a2×G+a3×B
ただし、線形分割マスキング方において、RGB画像データによって規定される色相に応じて、パラメータa0、a1、a2、a3を異ならせることにより、色変換精度を向上させることができる。
【0061】
例えば、RGBの各信号の大小関係に基づいて、R>G>Bのとき、RY(レッド−イエロー)色相、R>B>Gのとき、RM(レッド−マゼンタ)色相、G>R>Bのとき、GY(グリーン−イエロー)色相、G>B>Rのとき、GC(グリーン−シアン)色相、B>R>Gのとき、BM(ブルー−マゼンタ)色相、B>G>Rのとき、BC(ブルー−シアン)色相と色相判定を行ない、各色相について異なるパラメータを用いて演算を行う。この際の保持すべきパラメータの数は、4×6=24個となる。また、少しパラメータ数を増やし、RGBの1乗の項だけでなく、RGBの2乗以上の項も式に加えた非線形マスキング方を用いることもできる。
【0062】
一方、CMYに対しては、実施例2の場合と同様に、RGB空間の分割数の多い格子点をLUTとして保持し、その値を用いた補間演算処理をすることにより、RGBからCMYKへの色変換精度としては十分な変換系を構築することが可能である。また、このLUTデータは、圧縮された圧縮データバッフア100に格納されるためデータ量を削減できる。なお、K用のLUTデータは不要であるため、圧縮データバッファ100やLUTデータバッファ102の必要メモリ量は実施例2より更に軽減できる。
【0063】
また、このように線形マスキング法によって、Kを算出することで、LUTを用いて算出する場合と比べて墨開始点の設定に関しては、より詳細に設定することが可能となる。墨開始点とは、ハイライトからシャドーへの色のグラデーションに対してKを入れ始める点のことを言う。墨開始点がハイライト側にあると、画像出力した際に黒のドットが目立ち、粒状性が悪化することがあるため、墨開始点の設定は画質に大きな影響を与えることがある。
【0064】
例えば、RからKへの一対一の変換を例として、線形マスキング法とLUTとの違いを説明する。図13は、RGB空間をR軸、G軸、B軸を4分割した格子点の値をLUTとして用いた変換で得られるRとKとの関係である。図14は、線形マスキング法によって得られるRとKとの関係である。前者の場合は、4つの折れ線で変換を決めることができるため、基本的には線形マスキング法よりも変換自由度は高い。しかし、墨開始点については、0、64、128、192といった値にしか設定することができない。一方、線形マスキング法では変数Rの線形関数として変換を決めるため、自由度は少ないが墨開始点についてはR=0〜255のどの値でも設定可能である。したがって、色変換パラメータ数を減らし、かつ墨開始点の調整に優れた色変換を行うことができる。
【実施例4】
【0065】
本実施例は、タンデム式の画像処理装置に適用されるものである。タンデム式の画像処理装置は、CMYKそれぞれのデータを現像ユニットへ送出するためのタイミングを適切に制御するために、CMYKそれぞれに対して一つずつ3入力1出力の色変換回路を用意する必要が出てくる。先に、レーザビームプリンタ(LBP)の説明をしたが、LBPは大きく分けて2種類ある。各色成分に対して独立して画像形成を行うタンデム式のプリンタと全ての色成分を画像形成を行う1ドラム式のプリンタである。本実施例は、タンデム式の画像処理装置に適用することを想定したものである。
【0066】
図15に本実施例における色変換処理部103の構成を示す。図15において、LUT色変換手段103−5〜103−7はそれぞれC,M,Yの色変換回路で、基本的に実施例2や3のLUT色変換手段103−1や103−4をそれぞれC,M,Y用に独立させたものである。線形マスキング色変換手段103−8は実施例3の線形マスキング色変換手段103−4と同様のK用の色変換回路である。実施例3で説明したように、CMYとKとで色変換の回路構成が異なることは、大きなデメリットとはならず、データの削減や必要なメモリ量の軽減を考えるとメリットのみ得ることができる。なお、図15では、Kへの色変換回路は、線形マスキング方によるものとしたが、実施形態2と同様にCMYに比べてKの方がRGB空間の分割数の少ないLUTを用いる方法でもよい。このような構成とすることで、色変換処理のパラメータ数、つまり、データ量が削減できるので、ハードウェア回路によって色変換処理を実現する場合には、高価なメモリを削減することができ、効果が大きい。
【実施例5】
【0067】
本実施例は、実施例2と同様に、Kの算出のみにRGB空間の分割数の少ないLUTを用いて補間演算処理を行ない、色変換におけるデータ量の削減を図ったものである。しかしながら、実施例3でも述べたように、画質に大きな影響を与える墨開始点の制御も、分割の幅でしか制御できないということが生じてしまう。そこで、本実施例は、LUTの値に出力信号の値域を越える値、特に負の値を設定する方法を用いることで、この課題を解決する。
【0068】
図16は、LUTを用いた色変換処理において、LUTの値に負の値をとることを許容した場合のR信号とK信号との関係である。R信号からK信号への一対一変換とし、LUTの分割数は4とする。前述の図13では負の値をとることを許容しなかった場合と異なり、変換直線とK=0の交わる点、すなわち、墨開始点を0〜255の任意の値に設定できることがわかる。図16は、墨開始点を100に設定した場合を示す。この場合、墨開始点以下のRの値については、Kが負の値として出力されるが、負の値が出力された場合に0にクリッピングするような処理を不可することで問題なく色変換することができる。これにより、色変換処理におけるデータ量を削減することができ、かつ墨開始点の細かい設定が可能になる。
【0069】
なお、上述の実施形態では入力RGB画像データからCMYK出力データへの変換処理を想定していた。本発明は、これに限らず、CMYKに加えてO(オレンジ)やG(グリーン)等の特色と呼ばれる色を加えることで、CMYKOGの6色に変換する場合にもて起用することができる。具体的には、K(ブラック)、O(オレンジ)、G(グリーン)への色変換については、実施例2のような分割数のあまり多くない色変換処理を行ない、CMYへの色変換処理については、分割数の多いLUTを用いた色変換処理を行う。このような構成とすることで、色変換精度については、CMYを高精度に変換することができ、かつ色変換処理のデータ量を減らすことができる。
【0070】
また、上述の実施形態では、入力色空間をRGB色空間、出力色空間をCMYK色空間としたが、CMYK四色の濃いインクと、薄いcmy三色のインクを採用するような高精細な印刷を目的としたカラーインクジェットプリンタのCMYKcmy色空間などにも、本実施形態を適用することができる。例えば、CMYKcmy色空間で画像を形成する場合、画像の高濃度部分は濃いCMYKインクで表現され、低濃度部分は薄いcmyインクで表現されることになる。従って、高濃度領域に対応する出力画像データはcmy色のデータが零になることが多く、逆に低濃度領域に対応する出力画像データはCMYK色のデータが零になることが多い。その結果、CMYKcmy色空間のLUTデータにおいては、零が連続する部分がCMYK色空間に比べてより多くなり、LUTデータの圧縮効率はさらに向上する。また、本実施形態によれば、CMYKcmy色空間に限らず、色成分数の多い色空間への色変換を行う場合、そのLUTデータの圧縮効率を向上させることもできる。
【0071】
さらに、実施形態では、8点を用いた立方体補間演算の説明をしたが、色変換の補間演算は、6点を用いた三角柱補間演算や斜三角柱補間演算、4点を用いる四面体補間演算など他の形状の補間演算を利用することが可能であれば、いずれでも適用することができる。
【0072】
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0073】
また、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0074】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(Operating System)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の動作環境の概要構成を示す図。
【図2】本発明を適用可能な出力装置の構成例を示す図。
【図3】本発明を適用可能な記録装置の構成例を示す図。
【図4】図3に示した記録装置の制御装置の構成例を示す図。
【図5】本発明の画像処理装置の主要部の構成例を示す図。
【図6】変換テーブルの座標設定の一例を示す図。
【図7】LUTデータバッファに格納されるデータの構成例を示す図。
【図8】変換テーブルの各格子点の入力データの一例を示す図。
【図9】変換テーブルデータの各格子点の出力データの一例を示す図。
【図10】圧縮される変換テーブルデータのデータの並べ方を示す図。
【図11】本発明による色変換処理部の構成例を示す図。
【図12】本発明による色変換処理部の別の構成例を示す図。
【図13】本発明のRとKの関係2を示すグラフ。
【図14】本発明のRとKの関係2を示す別のグラフ。
【図15】本発明による色変換処理部の更に別の構成例を示す図。
【図16】本発明のRとKの関係2を示す更に別のグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力色空間を複数に分割した各小立体の格子点毎に出力色空間の対応する値を保持した変換テーブルデータを用いて、入力画像データを出力画像データに変換する画像処理装置であって、
前記変換テーブルデータを圧縮化した圧縮変換テーブルデータを記憶する記憶手段と、
前記圧縮変換テーブルデータを元の変換テーブルデータに復元する復元手段と、
前記復元された変換テーブルデータを用いて補間演算により、入力画像データを出力画像データに変換する変換手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記復元された変換テーブルデータを一時的に保持する一時保持手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記復元手段は、入力画像データに基づき、前記圧縮変換テーブルデータにおける前記補間演算に必要なデータのみを復元することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、出力画像データを構成する複数の色成分における第1の色成分に対応する、第1の分割数を使用した第1の変換テーブルデータを圧縮化した第1の圧縮変換テーブルデータと、前記第1の色成分以外の残りの第2の色成分に対応する、前記第1の分割数より少ない第2の分割数を使用した第2の変換テーブルデータを圧縮化した第2の圧縮変換テーブルデータを記憶し、
前記変換手段は、復元された第1の変換テーブルデータを用いて前記第1の色成分に対する補間演算を実施し、復元された第2の変換テーブルデータを用いて前記第2の色成分に対する補間演算を実施する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
第2の変換テーブルデータは、当該出力画像データのとる値域を越えた値を含むことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、出力画像データを構成する複数の色成分における第1の色成分に対応する、変換テーブルデータを圧縮化した圧縮変換テーブルデータを記憶し、
前記変換手段は、復元された前記変換テーブルデータを用いて前記第1の色成分に対する補間演算を実施し、前記第1の色成分以外の残りの第2の色成分については、補間演算にかえて線形マトリック演算を実施する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
出力画像データは少なくともCMYKの色成分からなり、第1の色成分はCMYであり、第2の色成分は、CMY以外のKあるいはその他の成分であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
複数の画像出力手段を有し、前記変換された出力画像データに基づき、前記複数の画像出力手段により記録媒体に対して並行して画像形成を実施することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記変換された出力画像データに基づき、画像形成を実施するインクジェット記録手段を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
入力色空間を複数に分割した各小立体の格子点毎に出力色空間の対応する値を保持した変換テーブルデータを用いて、入力画像データを出力画像データに変換する画像処理方法であって、
前記変換テーブルデータを圧縮化した圧縮変換テーブルデータを記憶手段に記憶しておき、
前記記憶された圧縮変換テーブルデータを元の変換テーブルデータに復元し、
前記復元された変換テーブルデータを用いて補間演算により、入力画像データを出力画像データに変換する、
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
前記復元された変換テーブルデータを一時保持手段に保持することを特徴とする請求項10に記載の画像処理方法。
【請求項12】
復元処理では、入力画像データに基づき、前記圧縮変換テーブルデータにおける前記補間演算に必要なデータのみを復元することを特徴とする請求項10に記載の画像処理方法。
【請求項13】
前記記憶手段には、出力画像データを構成する複数の色成分における第1の色成分に対応する、第1の分割数を使用した第1の変換テーブルデータを圧縮化した第1の変換テーブルデータと、前記第1の色成分以外の残りの第2の色成分に対応する、前記第1の分割数より少ない第2の分割数を使用した第2の変換テーブルデータを圧縮化した第2の圧縮変換テーブルデータが記憶され、
変換処理では、復元された第1の変換テーブルデータを用いて前記第1の色成分に対する補間演算を実施し、復元された第2の変換テーブルデータを用いて前記第2の色成分に対する補間演算を実施する、
ことを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項14】
第2の変換テーブルデータは、当該出力画像データのとる値域を越えた値を含むことを特徴とする請求項13に記載の画像処理方法。
【請求項15】
前記記憶手段には、出力画像データを構成する複数の色成分における第1の色成分に対応する、変換テーブルデータを圧縮化した圧縮変換テーブルデータが記憶され、
変換処理では、復元された前記変換テーブルデータを用いて前記第1の色成分に対する補間演算を実施し、前記第1の色成分以外の残りの第2の色成分については、補間演算にかえて線形マトリック演算を実施する、
ことを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項16】
出力画像データは少なくともCMYKの色成分からなり、第1の色成分はCMYであり、第2の色成分は、CMY以外のKあるいはその他の成分であることを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項17】
前記変換された出力画像データに基づき、複数の画像出力を行って記録媒体に対して並行して画像形成を実施することを特徴とする請求項10〜16のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項18】
前記変換された出力画像データに基づき、インクジェット記録処理を行って画像形成を実施することを特徴とする請求項10〜16のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項19】
請求項10〜18のいずれか1項に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項20】
請求項10〜18のいずれか1項に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−94162(P2006−94162A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−277378(P2004−277378)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】