説明

画像処理装置および方法並びにプログラム

【課題】疑似三次元医用画像の生成において、被写体の体表外の空気領域が強調されないようにする。
【解決手段】予め撮像された被写体の横断面を示す複数の医用画像を取得する画像取得部1と、複数の医用画像の各々において、被写体の体表内を表す被写体領域と、被写体の体表外を表す非被写体領域とに分類する領域分類部2と、分類された複数の被写体領域を表す画像情報に基づき、画像投影法を実行することにより疑似三次元医用画像を生成する疑似三次元医用画像生成部3とを備えた画像処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は疑似三次元医用画像を生成する処理に関し、特に複数の医用画像から画像投影法を実行することにより疑似三次元医用画像を生成する画像処理装置および方法並びにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野においては、複数の医用画像に対して、三次元的な画像の構築を可能とする画像投影法(Intensity Projection法、以下IP法という)を実行することにより、疑似三次元医用画像を生成することが行われている。
【0003】
画像投影法は、処理対象である全ての原医用画像に対して、対応するそれぞれのピクセルについて最大値(若しくは最小値,特定値)を取り出して投影することで得られた疑似三次元医用画像を得る処理である。すなわち、図3に示すような場合、奥行き方向に得られた第1番目から第N番目までの原医用画像に対して、同一ピクセルでの最大値(若しくは最小値,特定値)を取り出す処理を全ピクセルについて行うことにより、疑似三次元医用画像を得ることを可能としている。
【0004】
この画像投影法には、複数の医用画像毎から最大値を取り出して疑似三次元医用画像を生成するようにするMIP(Maximum Intensity Projection)法が存在するが、最終的に生成される疑似三次元医用画像の全体が明るくなる方向に偏る傾向にある。一方、他の画像投影法に、複数の医用画像毎から最小値を取り出して疑似三次元医用画像を生成するようにするminIP(Minimum Intensity Projection)法が存在するが、最終的に生成される投影画像の全体が暗くなる方向に偏る傾向にある。
【0005】
そこで、このような画像投影処理により投影画像の輝度が偏らないようにする手法が、特許文献1に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−303647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば、minIP法であれば、CT画像やMRI画像の様な被写体の体表を含む被写体の領域をそのまま投影した場合、被写体の体表の外の空気領域の濃度値が低いため、図4の擬似三次元医用画像I3に示すように、体表の外の空気領域のみが強調されてしまい、適切に表示されないという問題があった。
【0008】
一方、複数の医用画像を反転処理することによって、医用画像上の体表の外の空気領域の濃度値が高い場合、MIP法を用いることにより、体表の外の空気領域のみが強調されてしまい、適切に表示されないという問題も想定される。
【0009】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、複数の医用画像から被写体領域を見やすくする疑似三次元医用画像の生成することが可能な画像処理装置および方法並びにそのためのプログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像処理装置は、予め撮像された被写体の横断面を示す複数の医用画像を取得する画像取得部と、複数の医用画像の各々において、被写体の体表内を表す被写体領域と、被写体の体表外を表す非被写体領域とに分類する領域分類部と、分類された複数の被写体領域を表す画像情報に基づき、画像投影法を実行することにより疑似三次元医用画像を生成する疑似三次元医用画像生成部と、医用画像と、疑似三次元医用画像とを表示する表示部と、表示された医用画像上に指定点を入力する入力部と、入力部により指定点が入力された際、医用画像上の指定点に対応する疑似三次元医用画像上の対応点の位置を計算する計算部とを備え、前記表示部が、疑似三次元医用画像上に、対応点を示す標識を、前記位置に合成表示することを特徴とするものである。
【0011】
本発明の他の画像処理装置は、予め撮像された被写体の横断面を示す複数の医用画像を取得する画像取得部と、複数の医用画像の各々において、被写体の体表内を表す被写体領域と、被写体の体表外を表す非被写体領域とに分類する領域分類部と、分類された複数の被写体領域を表す画像情報に基づき、画像投影法を実行することにより疑似三次元医用画像を生成する疑似三次元医用画像生成部と、医用画像と、疑似三次元医用画像とを表示する表示部と、表示された疑似三次元医用画像上に指定点を入力する入力部と、入力部により指定点が入力された際、疑似三次元医用画像上の指定点に対応する医用画像上の対応点の位置を計算する計算部とを備え、前記表示部が、医用画像上に、対応点を示す標識を、前記位置に合成表示することを特徴とするものである。
【0012】
「領域分類部」は、複数の医用画像の各々において、所定の画像濃度値を基準として二値化処理を施し、二値化処理が施された医用画像において二値化によって分別された2種の像のうちの一方を、医用画像内での他方の像との位置関係、および他の医用画像により抽出された他方の像との位置関係に基づいて、被写体の体表内の像からなる被写体領域と、被写体の体表外の像からなる非被写体領域とに分類するものであってもよい。
【0013】
また、「領域分類部」とは、複数の医用画像の各々において、所定の画像濃度値を基準として二値化処理を施し、二値化処理が施された医用画像により分別された各像のうち、医用画像の端部に位置する像と連結される像の集合領域以外を被写体領域と、集合領域を非被写体領域とに分類するものであることを特徴とするものであってもよい。
【0014】
「疑似三次元医用画像生成部」は、画像投影法のうち、minIP法またはMIP法いずれかの手法を実行するものであってもよい。
【0015】
本発明の画像処理装置は、更に、検出された複数の被写体領域において、被写体の左肺領域を含む区分と、被写体の右肺領域を含む区分とに区分けする肺領域区分部とを備え、疑似三次元医用画像生成部が、右肺領域を含む区分の画像情報と、左肺領域を含む区分の画像情報とに基づき、画像投影法を実行することにより、右肺を表す疑似三次元医用画像と、左肺を表す疑似三次元医用画像とを生成することを特徴とするであってもよい。
【0016】
本発明の作動方法は、画像取得部と、領域分類部と、疑似三次元医用画像生成部と、表示部と、入力部と、計算部とを備えた画像処理装置の作動方法であって、画像取得部により、予め撮像された被写体の横断面を示す複数の医用画像を取得する画像取得ステップと、領域分類部により、複数の医用画像の各々において、被写体の体表内を表す被写体領域と、被写体の体表外を表す非被写体領域とを分類する領域分類ステップと、疑似三次元医用画像生成部により、分類された複数の被写体領域を表す画像情報に基づき、画像投影法を実行することにより疑似三次元医用画像を生成する疑似三次元医用画像生成ステップと、表示部により、医用画像と、疑似三次元医用画像とを表示する表示ステップと、入力部により、表示された医用画像上に指定点を入力する入力ステップと、計算部により、前記入力ステップにより指定点が入力された際、前記医用画像上の指定点に対応する疑似三次元医用画像上の対応点の位置を計算する計算ステップと、前記表示ステップが、疑似三次元医用画像上に、対応点を示す標識を、前記位置に合成表示することを特徴とするものである。
【0017】
本発明の他の作動方法は、画像取得部と、領域分類部と、疑似三次元医用画像生成部と、表示部と、入力部と、計算部とを備えた画像処理装置の作動方法であって、画像取得部により、予め撮像された被写体の横断面を示す複数の医用画像を取得する画像取得ステップと、領域分類部により、複数の医用画像の各々において、被写体の体表内を表す被写体領域と、被写体の体表外を表す非被写体領域とを分類する領域分類ステップと、疑似三次元医用画像生成部により、分類された複数の被写体領域を表す画像情報に基づき、画像投影法を実行することにより疑似三次元医用画像を生成する疑似三次元医用画像生成ステップと、表示部により、医用画像と、疑似三次元医用画像とを表示する表示ステップと、入力部により、表示された疑似三次元医用画像上に指定点を入力する入力ステップと、計算部により、前記入力ステップにより指定点が入力された際、疑似三次元医用画像上の指定点に対応する医用画像上の対応点の位置を計算する計算ステップと、前記表示ステップが、医用画像上に、対応点を示す標識を、前記位置に合成表示することを特徴とするものである。
【0018】
本発明の画像処理プログラムは、予め撮像された被写体の横断面を示す複数の医用画像を取得する機能と、複数の医用画像の各々において、被写体の体表内を表す被写体領域と、被写体の体表外を表す非被写体領域とを分類する機能と、分類された複数の被写体領域を表す画像情報に基づき、画像投影法を実行することにより疑似三次元医用画像を生成する機能と、医用画像と、疑似三次元医用画像とを表示する機能と、表示された医用画像上に指定点を入力する機能と、入力する機能により指定点が入力された際、医用画像上の指定点に対応する疑似三次元医用画像上の対応点の位置を計算する機能とをコンピュータに実現させるための画像処理プログラムであって、前記表示する機能が、疑似三次元医用画像上に、対応点を示す標識を、前記位置に合成表示することを特徴とするものである。
【0019】
本発明の他の画像処理プログラムは、予め撮像された被写体の横断面を示す複数の医用画像を取得する機能と、複数の医用画像の各々において、被写体の体表内を表す被写体領域と、被写体の体表外を表す非被写体領域とを分類する機能と、分類された複数の被写体領域を表す画像情報に基づき、画像投影法を実行することにより疑似三次元医用画像を生成する機能と、医用画像と、疑似三次元医用画像とを表示する機能と、表示された疑似三次元医用画像上に指定点を入力する機能と、入力する機能により指定点が入力された際、疑似三次元医用画像上の指定点に対応する医用画像上の対応点の位置を計算する機能とをコンピュータに実現させるための画像処理プログラムであって、前記表示する機能が、医用画像上に、対応点を示す標識を、前記位置に合成表示することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の画像処理装置および方法並びにプログラムによれば、被写体の体表内を表す被写体領域と、被写体の体表外を表す非被写体領域とを分類し、分類された複数の被写体領域を表す画像情報に基づき、画像投影法を実行することにより、非被写体領域の濃度値に依存することなく、体表を含む被写体内の低濃度領域を見やすくした疑似三次元医用画像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態における画像処理装置の構成を示した概略ブロック図
【図2】本発明の実施形態における擬似三次元医用画像の生成手順を表すフローチャートを示す図
【図3】画像投影法の処理の様子を示す説明図
【図4】本発明の実施形態における手法と、それ以外の手法とにより生成された擬似三次元医用画像の一例を表した図
【図5】本発明の実施形態における擬似三次元医用画像上の指定点と、対応する医用画像の対応点との一例を表した図
【図6】本発明の実施形態における疑似三次元医用画像と医用画像との連動表示手順を表すフローチャート
【図7】本発明の実施形態における左肺と、右肺との夫々の擬似三次元医用画像の一例を表した図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0023】
図1に示す画像処理装置10は、予め撮像された被写体の横断面を示す複数の医用画像を取得する画像取得部1と、複数の医用画像の各々において、被写体の体表内を表す被写体領域と、被写体の体表外を表す非被写体領域とに分類する領域分類部2と、分類された複数の被写体領域を表す画像情報に基づき、画像投影法を実行することにより疑似三次元医用画像を生成する疑似三次元医用画像生成部3と、疑似三次元医用画像および/または医用画像を表示する表示部6と、後述する入力部4と、指定点に対応する対応点を入力する入力部4と、後述する計算部5等とを備えている。
【0024】
画像取得部1は、複数の医用画像(例えば、CT画像やMRI画像等)を記録した記録媒体を読み取ることにより、もしくはCT装置(コンピュータ断層撮影装置;Computed Tomography)やMRI装置(核磁気共鳴撮像装置)から通信回線を経由することにより、複数の医用画像を取得するものである。なお、画像取得部1が、CT装置やMRI装置であってもよい。
【0025】
領域分類部2は、複数の医用画像の各々において、被写体の体表内を表す被写体領域と、被写体の体表外を表す非被写体領域とに分類するものである。
【0026】
領域分類部2は、所定の基準濃度以上の画像濃度を有する高濃度画素と、基準濃度よりも低い画像濃度を有する低濃度画素とに分類する濃度分類部(不図示)と、上記分類結果に伴い、各高濃度像の境界線が抽出し、各高濃度像に、その高濃度像を識別するためのラベル番号が付与する二次元ラベリング部(不図示)と、二次元の高濃度像をZ軸方向に見たときの相互の繋がりが分析され、Z軸方向に繋がった一連の高濃度像群が抽出する三次元ラベリング部(不図示)と、線形リストが辿られて、連結された複数のラベルデータそれぞれに含まれる高濃度像の面積の合計と、周囲長の合計とが算出され、それら面積の合計値および周囲長の合計値に基づいて、一連の高濃度像群の輪郭が繋がって形成される三次元像の体積が算出される体表推定部(不図示)と、体表の候補として決定された高濃度像群を構成する複数の高濃度像それぞれのラベルデータがスライス番号の小さいものから順に解析され、スライス番号が隣接する複数のラベルデータ間で、高濃度像の面積が急激に減るとともに、高濃度像の周囲長が急激に増加する第1変化点が探索され、穴埋め処理が終了すると、最終的な体表位置が決定されるもの穴検出部(不図示)と、体表決定部とを備えるものである。
【0027】
具体的には、領域分類部2は、例えば、特願2007−256290号公報の手法を用いてもよく、複数の医用画像の各々において、所定の画像濃度値を基準として二値化処理を施し、二値化処理が施された医用画像において二値化によって分別された2種の像のうちの一方を、医用画像内での他方の像との位置関係、および他の医用画像により抽出された他方の像との位置関係に基づいて、被写体の体表内の像からなる被写体領域と、被写体の体表外の像からなる非被写体領域とに分類することを可能とする。
【0028】
複数の断面画像それぞれが所定の画像濃度を基準として二値化されるとともに、二値化された断面画像に写っている各像が、断面画像内や他の断面画像中の他の像との位置関係に基づいて、被検体内の像からなる第1の像群と被検体外の像からなる第2の像群とに分類される。このように、平面のみならず立体も考慮されて断面画像中の各像が分類されるため、画像濃度が低い肺の像なども、他の像との位置関係に基づいて精度良く被検体内の像に分類することができる。
【0029】
また、領域分類部2は、分類部が、複数の断面画像に亘って連続している一連の像については同一の像群に分類するものであることが好ましい。
【0030】
また、領域分類部2は、ある断面では分離していても、立体的に繋がっていれば同一の像群に分類されるため、ある断面画像上に写っている被検体の一部が消去されてしまう不具合を軽減することができる。
【0031】
また、領域分類部2は、上記分類部が、1つの断面画像内である像が他の像を囲んでいる場合には、それらの像を同一の群像に分類するものであることが好適である。
【0032】
領域分類部2は、被写体内にありながら画像濃度が低い肺野領域なども精度良く被写体内の像として分類することができる。
【0033】
領域分類部2は、分類部が、第2の像群に分類された像のうち、その像が写っている断面画像中で、第1の像群に分類された像の間に割り込んだ像であって、かつ所定方向について、第1の像群に分類された像によって挟まれた像については第1の像群に分類し直すものであることが好ましい。
【0034】
また、領域分類部2は、複数の医用画像の各々において、所定の画像濃度値を基準として二値化処理を施し、二値化処理が施された医用画像により分別された各像のうち、上述した二次ラベリングにより、医用画像の端部に位置する像と連結される像の集合領域以外を被写体領域と、集合領域を非被写体領域とに分類する手法を用いても良い。
【0035】
疑似三次元医用画像生成部3は、領域分類部2により分類された複数の被写体領域を表す画像情報に基づき、画像投影法を実行することにより疑似三次元医用画像を生成するものである。画像投影法としては、例えば、minIP法またはMIP法を用いる。
【0036】
表示部6は、医用画像や疑似三次元医用画像を表示するモニタ、CRT画面、液晶画面等である。特に、表示部6の最初の初期画面は、投影方向前後の重なりが少なく、被写体との対面方向を意識して、向かって右(左)側が患者の左(右)側になるのが望ましいことから、コロナル画像を表示する。
【0037】
また、画像処理装置10は、医用画像と、疑似三次元医用画像とを表示する表示部6と、表示された医用画像上に指定点を入力する入力部4と、入力部4により指定点が入力された際、医用画像上の指定点に対応する疑似三次元医用画像上の対応点の位置を計算する計算部5とを備え、表示部6が、疑似三次元医用画像上に、対応点を示す標識を、上記位置に合成表示する。
【0038】
画像処理装置10は、更に、医用画像と、疑似三次元医用画像とを表示する表示部と、表示された疑似三次元医用画像上に指定点を入力する入力部と、入力部により指定点が入力された際、疑似三次元医用画像上の指定点に対応する医用画像上の対応点の位置を計算する計算部とを備え、表示部が、医用画像上に、対応点を示す標識を、上記位置に合成表示するものであってもよい。
【0039】
画像処理装置の構成は、補助記憶装置に読み込まれた画像処理プログラムをコンピュータ(たとえばパーソナルコンピュータ等)上で実行することにより実現される。
【0040】
このとき、この画像処理プログラムは、CD−ROM等の情報記憶媒体に記憶され、もしくはインターネット等のネットワークを介して配布され、コンピュータにインストールされることになる。
【0041】
図2は疑似三次元医用画像の生成手順を表すフローチャートを示す図である。
【0042】
まず、画像取得部1が、被写体を胸から足の付け根まで複数の切断位置で切断したときの各輪切の画像からなる医用画像(アキシャル画像)に置ける典型的な複数のCT画像を取得する。領域分類部2が、画像取得部1により取得された複数のCT画像から、上述した手法により、被写体の体表内を表す被写体領域と、被写体の体表外を表す非被写体領域とに分類する(#1)。例えば、図4のCT画像I1の囲み線H内が、被写体領域に相当する。また、図4のCT画像I1の囲み線H外が、非被写体領域に相当する
疑似三次元医用画像生成部3が、領域分類部2により分類された複数の被写体領域を表す画像情報に基づき、上述したminIP法を実行することにより疑似三次元医用画像(以下、minIP画像という)を生成する(#2)。
【0043】
表示部6は、図4の画像I2に示すように、疑似三次元医用画像部3により作成されたminIP画像を表示する(#3)。
【0044】
このような手順により、被写体の体表内を表す被写体領域と、被写体の体表外を表す非被写体領域とを分類し、分類された複数の被写体領域を表す画像情報に基づき、画像投影法を実行することにより、非被写体領域の濃度値に依存することなく(強調されることなく)、被写体内の空気領域を適切に表現した疑似三次元医用画像を生成することができる。
【0045】
次に、表示部6の表示態様の一実施形態として、疑似三次元医用画像と医用画像との連動表示について、説明する。
【0046】
図6は疑似三次元医用画像と医用画像との連動表示手順を表すフローチャートを示す図である。
【0047】
まず、画像取得部1が、被写体を胸から足の付け根まで複数の切断位置で切断したときの各輪切の画像からなる医用画像(アキシャル画像)に置ける典型的な複数のCT画像を取得する。領域分類部2が、画像取得部1により取得された複数のCT画像から、上述した手法により、被写体の体表内を表す被写体領域と、被写体の体表外を表す非被写体領域とに分類する(#10)。
【0048】
疑似三次元医用画像生成部3が、領域分類部2により分類された複数の被写体領域を表す画像情報に基づき、上述したminIP法を実行することにより疑似三次元医用画像(以下、minIP画像という)を生成する(#11)。
【0049】
表示部6は、疑似三次元医用画像部3により作成されたminIP画像(疑似三次元医用画像)を表示する(#12)。表示部6は、図5に示すようminIP画像と、CT画像とを同時に表示する。
【0050】
入力部4が、表示部6上に表示されるminIP画像I2上の指定点P1の入力を受け付ける(#13)。
【0051】
計算部6が、minIP画像I2上の指定点P1の高さ位置(被写体の足の付け根から頭の高さ位置を示すZ座標)に相当するCT画像I2’を、Zバッファ法を用いて抽出する。また、指定点P1のZ座標とCT画像のZ座標との比較で、最小値に位置するCT画像をCT画像I2’として抽出してもよい。
【0052】
その後、計算部6が、minIP画像I2上の指定点P1のCT画像I2’上における横位置(X座標)と縦位置(Y座標)を算出し、当該X座標と当該Y座標に位置する対応点P2を求めるよう計算する(#14)。
【0053】
その後、表示部6が、図5に示すように、CT画像I2’上に、対応点P2を示す標識(例えば、マーク、点等)を、位置に合成表示する(#15)。
【0054】
また、画像処理装置10は、CT画像の指定点から、対応する疑似三次元医用画像上の対応点を求めるものであってもよい。具体的には、表示部6上に、minIP画像と、CT画像とが同時に表示されており、CT画像I2’上に指定点P2が入力されると、計算部6が、CT画像I2’が複数のCT画像の内、どの高さ位置(被写体の足の付け根から頭の高さ位置を示すZ座標)に相当するかを算出する。その後、計算部6が、CT画像I2’上の指定点P2の横位置(X座標)と縦位置(Y座標)を算出し、当該X座標と当該Y座標に位置するminIP画像上の対応点P1を求める。その後、表示部6が、minIP画像I2上に、対応点P2を示す標識(例えば、マーク、点等)を、位置に合成表示する。
【0055】
なお、これらのminIP画像と、CT画像との連動表示は、特開2002−6044号公報に記載の手法をPET画像からCT画像に適用することにより用いても良い。
【0056】
ユーザが、表示部6上のminIP画像上に指定点を指定すると、指定点を示す標識が表示され、表示部6上に対応して表示されるCT画像上にも対応点の標識が自動表示される。
【0057】
また、ユーザが、表示部6に表示されるCT画像上に指定点を指定すると、指定点を示す標識が表示され、表示部6上に対応して表示されるminIP画像上にも対応点の標識が自動表示するものであってもよい。
【0058】
また、表示された標識は、ユーザの読影の妨げにもなる可能性が考えられるため、入力部4(マウスのボタンやキーボードのキー操作等)の入力に応答して、表示をしたり、表示をしないように選択切替ができるものであってもよい。
【0059】
また、表示部6上のminIP画像上にて、指定点を入力する際、入力部4(マウスボタン等)を一定時間継続して押したままにすると、表示部6上のminIP画像に対応して表示されたCT画像上にも、対応点の標識が自動表示されるようにしてもよい。
【0060】
逆に、表示部6上のCT画像上にて、指定点を入力する際、入力部4(マウスボタン等)を一定時間継続して押したままにすると、表示部6上のCT画像に対応して表示されたminIP画像上にも、対応点の標識が自動表示されるようにしてもよい。
【0061】
これにより、CT画像上にて確認した空気領域等が、minIP画像上の全体像として、どこに対応点が位置するかをminIP画像上で確認することが可能となる。この場合、CT画像上で体表領域外が指定点として指定された場合、表示部6上にエラーメッセージなどの警告を表示することも可能とする。ただし、警告の表示が煩雑等の場合は、入力部4の入力に応答して、表示しないように、選択切替を可能とする。
【0062】
表示された標識は入力部4(マウスボタン等)を離すと非表示となり、CT画像は表示されたままとしてもよい。
【0063】
また、標識を表示したい場合には、入力部4を操作することにより標識の表示をしたり、表示をしないように選択切替ができるものであってもよい。
【0064】
また、疑似三次元画像部3が、入力部4によって回転指示を受け付けたことにより、minIP画像を回転したデータを生成する。その後、表示部6にて、回転した表示部6に表示されたminIP画像を表示することを可能とする。なお、指定点や対応点を入力した場合は、回転してもそれらの標識は追従することができる。この回転についての追従方法は、特願2008−145402号公報に記載の手法を用いても良い。
【0065】
次に、表示部6の表示態様の一実施形態として、右肺と、左肺との夫々の擬似三次元医用画像の区分表示について、説明する。
【0066】
画像処理装置10が、更に、検出された複数の被写体領域において、被写体の左肺領域を含む区分と、被写体の右肺領域を含む区分とに区分けする肺領域区分部(不図示)とを備え、疑似三次元医用画像生成部3が、右肺領域を含む区分の画像情報と、左肺領域を含む区分の画像情報とに基づき、画像投影法を実行することにより、右肺を表す疑似三次元医用画像と、左肺を表す疑似三次元医用画像とを生成する。
【0067】
肺領域区分部は、検出された複数の被写体領域において、被写体の左肺領域を含む区分と、被写体の右肺領域を含む区分とに区分けするものである。例えば、被写体の左肺領域を含む区分と、被写体の右肺領域を含む区分するために、図7に示すように、上記検出された被写体領域の横幅を算出し、中心線Lを設定することにより区分けするものである。
【0068】
表示部6は、図7に示すように、左右肺野を分けてサジタル方向からminIP画像I3’とI3’’を表示するのが望ましい。両肺は、体表中心軸より右側、左側のみそれぞれ表示させる。表示部6は、左右どちらの肺野が表示されているか、画像上にどちらかの肺野を示す標識を表示する。
【0069】
表示部6は、入力部4の表示設定入力を受け付けることにより、図7に示すように、minIP画像I3’とI3’’を表示部4に同時表示、もしくはminIP画像I3’とI3’’のいずれかを切替して表示することを可能とする。
【0070】
また、疑似三次元画像部3が、入力部4によって回転指示を受け付けたことにより、minIP画像I3’とI3’’を回転したデータを生成する。その後、表示部6にて、minIP画像I3’とI3’’の回転表示を可能とする。例えば、入力部4がminIP画像I3’とI3’’のいずれか一方の画像を回転するように指示した場合、他方の画像も連動して同一方向または逆方向に回転してもよい。
【0071】
更には、入力部4がminIP画像I3’とI3’’のいずれか一方の画像を回転するような指示を受け付けた場合、他方の画像は、上下方向はその一方の画像の回転方向と同一方向に、左右方向は一方の画像の回転方向と逆に回転してもよい。
【0072】
また、入力部4が、図7に示す医用画像I3上にて指定点の入力を受け付けた場合において、minIP画像I3’とI3’’の同時表示の際には、医用画像I3上にて左肺を指定した場合は、左肺minIP画像I3’’にカーソル表示され、右肺minIP画像I3’に対応点の標識は表示されない。逆に、医用画像I3上にて右肺を指定した場合は、右肺minIP画像I3’に対応点の標識が表示され、左肺minIP画像I3’’に対応点の標識は表示されない。
【0073】
また、入力部4が、図7に示す医用画像I3上にて指定点の入力を受け付けた場合において、minIP画像I3’とI3’’のいずれかを表示する切替表示の際には、医用画像I3上にて左肺を指定した場合は、左肺minIP画像I3’’に対応点の標識が表示される。逆に、医用画像I3上にて右肺を指定した場合は、右肺minIP画像I3’に対応点の標識が表示される。
【0074】
なお、上述した本実施形態は、CT画像を用いて説明したが、医用画像として、MRI画像を用いることも可能である。
【0075】
このような本実施形態により、被写体の体表内を表す被写体領域と、被写体の体表外を表す非被写体領域とを分類し、分類された複数の被写体領域を表す画像情報に基づき、画像投影法を実行することにより、非被写体領域の濃度値に依存することなく、体表を含む被写体内の低濃度領域を見やすくした疑似三次元医用画像を生成することができる。
【0076】
それにより、表示部6は、擬似三次元医用画像の被写体領域を見えやすい状態で表示することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 画像取得装置
2 領域分類部
3 擬似三次元画像部
4 入力部
5 計算部
6 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め撮像された被写体の横断面を示す複数の医用画像を取得する画像取得部と、
前記複数の医用画像の各々において、前記被写体の体表内を表す被写体領域と、前記被写体の体表外を表す非被写体領域とに分類する領域分類部と、
前記分類された複数の被写体領域を表す画像情報に基づき、画像投影法を実行することにより疑似三次元医用画像を生成する疑似三次元医用画像生成部と、
前記医用画像と、前記疑似三次元医用画像とを表示する表示部と、
前記表示された医用画像上に指定点を入力する入力部と、
前記入力部により指定点が入力された際、前記医用画像上の指定点に対応する前記疑似三次元医用画像上の対応点の位置を計算する計算部とを備え、
前記表示部が、前記疑似三次元医用画像上に、前記対応点を示す標識を、前記位置に合成表示することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
予め撮像された被写体の横断面を示す複数の医用画像を取得する画像取得部と、
前記複数の医用画像の各々において、前記被写体の体表内を表す被写体領域と、前記被写体の体表外を表す非被写体領域とに分類する領域分類部と、
前記分類された複数の被写体領域を表す画像情報に基づき、画像投影法を実行することにより疑似三次元医用画像を生成する疑似三次元医用画像生成部と、
前記医用画像と、前記疑似三次元医用画像とを表示する表示部と、
前記表示された疑似三次元医用画像上に指定点を入力する入力部と、
前記入力部により指定点が入力された際、前記疑似三次元医用画像上の指定点に対応する前記医用画像上の対応点の位置を計算する計算部とを備え、
前記表示部が、前記医用画像上に、前記対応点を示す標識を、前記位置に合成表示することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記疑似三次元医用画像生成部が、minIP法を用いて前記画像投影法を実行するものであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記疑似三次元医用画像生成部が、MIP法を用いて前記画像投影法を実行するものであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像処理装置。
【請求項5】
画像取得部と、領域分類部と、疑似三次元医用画像生成部と、表示部と、入力部と、計算部とを備えた画像処理装置の作動方法であって、
前記画像取得部により、予め撮像された被写体の横断面を示す複数の医用画像を取得する画像取得ステップと、
前記領域分類部により、前記複数の医用画像の各々において、前記被写体の体表内を表す被写体領域と、前記被写体の体表外を表す非被写体領域とを分類する領域分類ステップと、
前記疑似三次元医用画像生成部により、前記分類された複数の被写体領域を表す画像情報に基づき、画像投影法を実行することにより疑似三次元医用画像を生成する疑似三次元医用画像生成ステップと、
前記表示部により、前記医用画像と、前記疑似三次元医用画像とを表示する表示ステップと、
前記入力部により、前記表示された医用画像上に指定点を入力する入力ステップと、
前記計算部により、前記入力ステップにより指定点が入力された際、前記医用画像上の指定点に対応する前記疑似三次元医用画像上の対応点の位置を計算する計算ステップと、
前記表示ステップが、前記疑似三次元医用画像上に、前記対応点を示す標識を、前記位置に合成表示することを特徴とする画像処理装置の作動方法。
【請求項6】
画像取得部と、領域分類部と、疑似三次元医用画像生成部と、表示部と、入力部と、計算部とを備えた画像処理装置の作動方法であって、
前記画像取得部により、予め撮像された被写体の横断面を示す複数の医用画像を取得する画像取得ステップと、
前記領域分類部により、前記複数の医用画像の各々において、前記被写体の体表内を表す被写体領域と、前記被写体の体表外を表す非被写体領域とを分類する領域分類ステップと、
前記疑似三次元医用画像生成部により、前記分類された複数の被写体領域を表す画像情報に基づき、画像投影法を実行することにより疑似三次元医用画像を生成する疑似三次元医用画像生成ステップと、
前記表示部により、前記医用画像と、前記疑似三次元医用画像とを表示する表示ステップと、
前記入力部により、前記表示された疑似三次元医用画像上に指定点を入力する入力ステップと、
前記計算部により、前記入力ステップにより指定点が入力された際、前記疑似三次元医用画像上の指定点に対応する前記医用画像上の対応点の位置を計算する計算ステップと、
前記表示ステップが、前記医用画像上に、前記対応点を示す標識を、前記位置に合成表示することを特徴とする画像処理装置の作動方法。
【請求項7】
予め撮像された被写体の横断面を示す複数の医用画像を取得する機能と、
前記複数の医用画像の各々において、前記被写体の体表内を表す被写体領域と、前記被写体の体表外を表す非被写体領域とを分類する機能と、
前記分類された複数の被写体領域を表す画像情報に基づき、画像投影法を実行することにより疑似三次元医用画像を生成する機能と、
前記医用画像と、前記疑似三次元医用画像とを表示する機能と、
前記表示された医用画像上に指定点を入力する機能と、
前記入力する機能により指定点が入力された際、前記医用画像上の指定点に対応する前記疑似三次元医用画像上の対応点の位置を計算する機能とをコンピュータに実現させるための画像処理プログラムであって、
前記表示する機能が、前記疑似三次元医用画像上に、前記対応点を示す標識を、前記位置に合成表示するものであることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項8】
予め撮像された被写体の横断面を示す複数の医用画像を取得する機能と、
前記複数の医用画像の各々において、前記被写体の体表内を表す被写体領域と、前記被写体の体表外を表す非被写体領域とを分類する機能と、
前記分類された複数の被写体領域を表す画像情報に基づき、画像投影法を実行することにより疑似三次元医用画像を生成する機能と、
前記医用画像と、前記疑似三次元医用画像とを表示する機能と、
前記表示された疑似三次元医用画像上に指定点を入力する機能と、
前記入力する機能により指定点が入力された際、前記疑似三次元医用画像上の指定点に対応する前記医用画像上の対応点の位置を計算する機能とをコンピュータに実現させるための画像処理プログラムであって、
前記表示する機能が、前記医用画像上に、前記対応点を示す標識を、前記位置に合成表示するものであることを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−99654(P2013−99654A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−41695(P2013−41695)
【出願日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【分割の表示】特願2008−287525(P2008−287525)の分割
【原出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】