説明

画像処理装置および方法

【課題】より多様な効果を画像に付与することができるようにする。
【解決手段】照明成分抽出部111と反射率成分抽出部112は、入力された画像の照明成分と反射率成分とを分離する。制御部115は、反射率成分を過度に増幅するためのディティールゲインを設定する。増幅部116は、制御部115により設定されたディティールゲインを用いて反射率成分を過度に増幅する。合成部117は、照明成分と、過度に強調された反射率成分とを合成することにより、HDR処理が行われるとともに絵画調の視覚的効果が付与された画像を生成する。本開示は、例えば、画像処理装置に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置および方法に関し、特に、より多様な効果を画像に付与することができるようにした画像処理装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ダイナミックレンジの広い画像の階調の範囲を圧縮し、適正化するHDR(High Dynamic Range)圧縮処理が考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、特許文献1においては、露出の異なる複数の画像からダイナミックレンジの広い画像を作り、つぎに平滑化フィルタを使って画像を低周波成分と高周波成分(ディティール成分)に分解し、低周波成分の階調の範囲を圧縮し、その圧縮量に対応する分だけディティール成分を強調して、最後に処理後の両成分を合成して、通常レンジの画像を得る方法が記載されている。
【0004】
また、ダイナミックレンジの広い画像の合成を経由せずに、複数の画像から通常レンジの画像を作る方法も記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−104010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近年においては、単に階調の範囲を圧縮するだけでなく、HDR圧縮処理された画像に他の効果を付与することが求められている。
【0007】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、画像の階調を処理するとともに、その画像に対して他の視覚的効果を付与する処理も行うことにより、より多様な効果を画像に付与することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一側面は、画像の反射率成分を増幅する増幅率を、前記画像に絵画調の視覚的効果を付与する程大きな値にするかを制御する制御部と、前記画像を照明成分と反射率成分とに分離する分離部と、前記分離部により分離された前記反射率成分を、前記制御部により制御される増幅率で増幅する増幅部と、前記分離部により分離された前記照明成分と、前記増幅部により増幅された前記反射率成分とを合成する合成部とを備える画像処理装置である。
【0009】
前記分離部により分離された前記照明成分の階調を圧縮する階調圧縮部をさらに備え、前記分離部は、階調レンジが広い画像を照明成分と反射率成分とに分離し、前記合成部は、前記階調圧縮部により階調が圧縮された前記照明成分と、前記増幅部により増幅された前記反射率成分とを合成することにより、階調レンジが適正化された画像を生成することができる。
【0010】
前記階調圧縮部による階調圧縮に対応して、前記分離部により分離された前記反射率成分の階調を伸張する階調伸張部をさらに備え、前記増幅部は、前記階調伸張部により階調が伸張された前記反射率成分を、前記制御部により制御される増幅率で増幅することができる。
【0011】
前記分離部により分離された前記反射率成分の階調を伸張するための、前記階調圧縮部による階調圧縮に対応する増幅率と、前記制御部により制御される増幅率とを合成し、合成ゲインを生成するゲイン合成部をさらに備え、前記増幅部は、前記分離部により分離された前記反射率成分を、前記ゲイン合成部により生成される合成ゲインで増幅することができる。
【0012】
露出条件が互いに異なる複数の画像を、前記分離部により分離された前記照明成分を用いて重み付けして合成し、白飛びや黒つぶれ等の画質劣化が生じないように合成し、適切な階調レンジの画像を生成する画像生成部をさらに備え、前記合成部は、前記分離部により分離された前記照明成分の代わりに、前記画像生成部により生成された前記画像を、前記増幅部により増幅された前記反射率成分と合成することができる。
【0013】
前記制御部は、前記画像に対して絵画調の視覚的効果を付与する場合、前記増幅率を大きな値にし、前記画像に対して絵画調の視覚的効果を付与しない場合、前記増幅率を小さな値にすることができる。
【0014】
前記制御部は、前記増幅率として画素の輝度値に応じた値を設定することができる。ここでの輝度値には、前記照明成分の画素値を使ってもよい。
【0015】
前記制御部は、前記増幅率として領域に応じた値を設定することができる。
【0016】
前記分離部は、エッジ保存平滑化フィルタを用いて、前記画像を照明成分と反射率成分とに分離することができる。
【0017】
前記分離部は、前記画像から照明成分を抽出する照明成分抽出部と、前記画像と、前記照明成分抽出部により抽出された前記照明成分とを用いて、前記反射率成分を抽出する反射率成分抽出部とを備えることができる。
【0018】
前記分離部は、前記画像から輝度成分を抽出する輝度成分抽出部をさらに備え、前記照明成分抽出部は、前記輝度成分抽出部により抽出された前記輝度成分から前記照明成分を抽出し、前記反射率成分抽出部は、前記輝度成分抽出部により抽出された前記輝度成分と、前記照明成分抽出部により抽出された前記照明成分とを用いて、前記反射率成分を抽出することができる。
【0019】
前記照明成分抽出部は、抽出した前記照明成分を丸め処理し、前記反射率成分抽出部は、前記画像と、前記照明成分抽出部により抽出された、丸め処理される前の前記照明成分とを用いて、前記反射率成分を抽出することができる。
【0020】
本開示の一側面は、また、画像処理装置の画像処理方法であって、前記画像処理装置の制御部が、画像の反射率成分を増幅する増幅率を、前記画像に絵画調の視覚的効果を付与する程大きな値にするかを制御し、前記画像処理装置の分離部が、前記画像を照明成分と反射率成分とに分離し、前記画像処理装置の増幅部が、前記分離部により分離された前記反射率成分を、前記制御部により制御される増幅率で増幅し、前記画像処理装置の合成部が、前記分離部により分離された前記照明成分と、前記増幅部により増幅された前記反射率成分とを合成する画像処理方法である。
【0021】
本開示の一側面においては、画像の反射率成分を増幅する増幅率を、画像に絵画調の視覚的効果を付与する程大きな値にするかが制御され、画像が照明成分と反射率成分とに分離され、分離された反射率成分が、制御された増幅率で増幅され、分離された照明成分と、増幅された反射率成分とが合成される。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、画像を処理することができる。特に、より多様な効果を画像に付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】画像の階調を処理する画像処理装置の主な構成例を示すブロック図である。
【図2】ディティールゲインの輝度変調特性の例を示す図である。
【図3】画像処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図4】画像処理の流れの、他の例を説明するフローチャートである。
【図5】画像処理装置の他の構成例を示すブロック図である。
【図6】画像処理の流れの、さらに他の例を説明するフローチャートである。
【図7】画像処理装置の、さらに他の構成例を示すブロック図である。
【図8】ディティール生成部の主な構成例を示すブロック図である。
【図9】画像処理の流れの、さらに他の例を説明するフローチャートである。
【図10】撮像装置の主な構成例を示すブロック図である。
【図11】パーソナルコンピュータの主な構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本技術を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(画像処理装置)
2.第2の実施の形態(画像処理装置)
3.第3の実施の形態(画像処理装置)
4.第4の実施の形態(撮像装置)
5.第5の実施の形態(パーソナルコンピュータ)
【0025】
<1.第1の実施の形態>
[画像処理装置]
図1は、画像処理装置の一実施の形態の構成を表している。
【0026】
図1に示される画像処理装置100は、入力される画像データの階調を圧縮するとともに、その画像に対して絵画調の視覚的効果を付与する画像処理を行う装置である。階調レンジの広いHDR(High Dynamic Range)画像データが入力され、上述した画像処理により、階調レンジが適正化された(狭くなった)、絵画調の視覚的効果が付与された絵画調HDR画像データが出力される。
【0027】
図1に示されるように、画像処理装置100は、照明成分抽出部111、反射率成分抽出部112、階調レンジ圧縮部113、階調レンジ伸張部114、制御部115、増幅部116、および合成部117を有する。
【0028】
これらの構成の内、照明成分抽出部111、反射率成分抽出部112、階調レンジ圧縮部113、階調レンジ伸張部114、および合成部117が、階調を圧縮するHDR処理を行うHDR処理部121を構成する。また、制御部115および増幅部116が、画像に絵画調の視覚的効果を付与する絵画調処理を行う絵画調処理部122を構成する。
【0029】
入力されたHDR画像データ(階調レンジが通常よりも広い画像)は、照明成分抽出部111および反射率成分抽出部112に供給される(矢印131)。
【0030】
照明成分抽出部111は、入力されたHDR画像データに対してローパスフィルタ処理を施すことにより、照明成分(低周波成分とも称する)を抽出する。なお、この照明成分の抽出のためには、エッジ成分が残存するように高域カット処理する非線形のローパスフィルタ(例えば、特許文献1に記載のフィルタやバイラテラルフィルタ)を用いることが望ましい。また、同様なローパスフィルタ処理としては、非線形ローパスフィルタの他に、統計的な手法(例えば、最頻値フィルタや中央値フィルタ)を用いることもできる。照明成分抽出部111は、抽出した照明成分を階調レンジ圧縮部113に供給する(矢印132)。
【0031】
階調レンジ圧縮部113は、入力された照明成分のみの画像データの各画素の輝度値を、例えば入出力レベルの対応を示すルックアップテーブル(LUT)に従って変換し、階調レンジを圧縮する。例えば、照明成分の低輝度側の領域に対してはゲインを1より大きくして増幅し、高輝度側の領域に対してはゲインを1未満としてレベルを低減する。階調レンジ圧縮部113は、階調レンジを圧縮した照明成分を合成部117に供給する(矢印135)。
【0032】
照明成分抽出部111は、抽出した照明成分を反射率成分抽出部112にも供給する(矢印133)。反射率成分抽出部112は、その照明成分を用いて、入力されたHDR画像データから反射率成分(高周波成分、ディティール成分とも称する)を抽出する。例えば、反射率成分抽出部112は、入力されたHDR画像のデータから、照明成分抽出部111から供給された照明成分のデータを減算することで、反射率成分を求める。また、反射率成分抽出部112は、例えば、入力されたHDR画像のデータから照明成分のデータを除算することで、反射率成分を求めるようにしてもよい。反射率成分抽出部112は、抽出した反射率成分を階調レンジ伸張部114に供給する(矢印134)。
【0033】
階調レンジ伸張部114は、抽出された反射率成分の輝度値を、例えば入出力レベルの対応を示すLUTなどに従って画素ごとに変換し、階調レンジを伸張させる。つまり、階調レンジ伸張部114は、反射率成分を増幅する。階調レンジ伸張部114は、階調を伸張させた反射率成分を増幅部116に供給する(矢印136)。
【0034】
制御部115は、増幅部116において使用される増幅率であるディティールゲインを設定する(矢印137)。例えば、制御部115は、記憶部を有し、予め設定されたディティールゲインを記憶し、それを増幅部116に供給する。また、例えば、制御部115は、入力部を有し、外部より入力されるディティールゲインを増幅部116に供給するようにしてもよい。さらに例えば、制御部115は、ユーザの指示を受け付ける受付部を有し、ユーザにより設定されるディティールゲインを増幅部116に供給するようにしてもよい。また、制御部115は、演算部を有し、外部やユーザ等より入力される情報に基づいてディティールゲインを算出し、それを増幅部116に供給するようにしてもよい。
【0035】
増幅部116は、階調レンジ伸張部114から供給される反射率成分(ディティール成分)を、制御部115により設定されたディティールゲイン(増幅率)で増幅する。ここで増幅部116が、過度に反射率成分を強調することにより、ディティールの見えが実物よりも強調されて質感が豊富になり、画像に絵画風の特殊効果を与えることができる。増幅部116は、増幅した反射率成分を合成部117に供給する(矢印138)。
【0036】
合成部117は、階調レンジ圧縮部113および増幅部116からそれぞれ出力された画像データを画素ごとに合成し、全体として階調レンジが圧縮された、絵画調のHDR画像データ(絵画調HDR画像データ)を出力する(矢印139)。例えば、反射率成分抽出部112において、入力画像データから照明成分のデータを減算することで反射率成分のデータが求められた場合、合成部117は、階調レンジ圧縮部113および増幅部116から出力された各画像データを加算することで合成処理を行う。また、反射率成分抽出部112において、入力画像データから照明成分のデータを除算することで反射率成分のデータが求められた場合、合成部117は、階調レンジ圧縮部113および増幅部116から出力された各画像データを乗算することで合成処理を行う。
【0037】
合成部117から出力される絵画調HDR画像データは、さらに、ビット数を圧縮する等してもよい。
【0038】
以上のように、絵画調処理部122の増幅部116が、ディティールの見えが実物よりも強調されて見える程、反射率成分のみを過度に増幅する(ディティールを過度に強調する)だけで、画像処理装置100は、容易に、画像データの階調レンジを圧縮するとともに、画像に対して、絵画風の視覚的効果を付与することができる。つまり、画像処理装置100は、より多様な効果を画像に付与することができる。
【0039】
なお、階調レンジを圧縮する処理と、絵画風の視覚効果を付与する処理とを分離して、それぞれでディティール成分を抽出するように実装をすると、一方の処理が他方の処理に影響を与えてしまい、意図通りの効果が得られなくなる。具体的には、照明成分が正しく求められなくなることで、画質が劣化する。また、照明成分を使う代わりに、線形のハイパスフィルタで抽出した成分を増幅する等して絵画風の視覚的効果を付与するようにするとエッジの周辺の低周波成分も強調されることにより視覚的に画質の劣化が大きくなってしまう。画像処理装置100は、ディティールの見えが実物よりも強調されることにより質感が豊富になることを利用し、階調レンジを圧縮する際に抽出された反射率成分のみを過度に増幅することにより、視覚的な画質の劣化を抑制しながら、容易に、画像に絵画風の特殊効果を与えることができる。
【0040】
増幅部116が用いる増幅率の値は任意であるが、例えば、2倍、4倍、8倍のように、一般的に、増幅率を大きくするほど、ディティールがより強く強調され、画像に与える絵画風の視覚的効果を強くすることができる。
【0041】
制御部115は、画像に対してより強い絵画風の視覚的効果を与える場合、この増幅率を大きな値(例えば、1より十分に大きな値)に設定する。また、画像に対して絵画風の視覚的効果を強く与えたくない場合、制御部115は、増幅率を小さな値(例えば1に近い値)に設定する。つまり、制御部115は、この増幅率の大きさを制御することにより、HDR圧縮処理を、被写体に忠実に行うのか、それとも絵画調の視覚的効果を付与するように行うのかを制御することができる。
【0042】
また、線形の平滑化フィルタ処理を用いて照明成分と反射率成分とを分離するようにすると、輪郭にHALO(輪郭部分に発生する後光状のアーチファクト)と呼ばれる現象が現れて、好ましくない画質になる(視覚的に画質が劣化する)可能性がある。そこで、照明成分抽出部111が用いる照明分離フィルタにはエッジ保存平滑化フィルタを用いるのが望ましい。エッジ保存平滑化フィルタとしては、例えばバイラテラルフィルタや、国際公開WO2009/072537に記載の方法等がある。
【0043】
さらに、増幅率は、図2に示されるように輝度に応じた値とするようにしてもよい。図2に示される曲線141は、ディティールゲインの輝度変調特性の例を示す。このように照明成分の輝度によって増幅率を変えることにより、増幅部116は、ディティールとして強調したい信号のみを増幅することができる。つまり、ディティール成分に信号の飽和による偽の階調が含まれることがある高輝度の部分や、ディティール成分よりもノイズ成分の方が多く含まれる低輝度の部分の増幅を抑制することができる。これにより、画像処理装置100は、画像の視覚的な劣化を抑制することができる。
【0044】
なお、増幅部116は、画像の全ての領域について反射率成分を増幅するようにしてもよいし、画像内の一部の領域についてのみ、反射率成分を増幅するようにしてもよい。例えばピクチャインピクチャのように、複数の画像が含まれる場合、そのうち一部の画像(すなわち、一部の領域)についてのみ絵画調の視覚的効果を付与するようにすることもできる。その場合、制御部115が、ユーザ指示、外部からの指示、若しくは画像の解析結果等任意の情報に基づいて増幅する領域を設定し、増幅部116が、その設定された領域についてのみ、反射率成分を増幅するようにする。なお、この領域は予め定められていても良い。
【0045】
つまりこの場合、合成部117には、画像内の一部の領域のみに絵画調の視覚的効果が付与された反射率成分が供給される。合成部117が、この反射率成分と照明成分とを合成することにより、一部の領域のみに絵画調の視覚的効果が付与された画像が得られる。
【0046】
もちろん、絵画調の視覚的効果を付与するか否かの制御だけでなく、領域毎に増幅率が異なる(独立して設定される)ようにしてもよい。例えば、制御部115が、各領域に対応するディティールゲインを設定し、そのディティールゲイン群を増幅部116に供給する。増幅部116は、供給されたディティールゲイン群の中の、処理対象の位置に対応するディティールゲインを用いて反射率成分を増幅する。
【0047】
[画像処理の流れ]
図3のフローチャートを参照して、画像処理の流れの例を説明する。ステップS101において、制御部115は、HDR圧縮処理を行う画像に対して絵画調効果を与えるか否かを判定する。絵画調効果を与えると判定した場合、制御部115は、処理をステップS102に進め、反射率成分を過度に増幅するように、絵画調効果用のディティールゲインに大きな値(1より十分に大きな値)を設定する。
【0048】
また、ステップS101において、画像に絵画調効果を与えないと判定した場合、制御部115は、処理をステップS103に進め、絵画調効果用のディティールゲインに小さな値(1に近い値)を設定する。
【0049】
ステップS102またはステップS103においてディティールゲインを設定すると、制御部115は、処理をステップS104に進める。
【0050】
ステップS104において、照明成分抽出部111および反射率成分抽出部112は、入力された階調レンジの広いHDR画像データを照明成分と反射率成分に分離する。
【0051】
ステップS105において、階調レンジ圧縮部113は、照明成分の階調レンジを圧縮する。ステップS106において、階調レンジ伸張部114は、反射率成分の階調レンジを伸張する。
【0052】
ステップS107において、増幅部116は、ステップS102若しくはステップS103において設定された、絵画調効果用のディティールゲインを用いて、ステップS106において階調レンジを伸張された反射率成分を増幅する。
【0053】
ステップS108において、合成部117は、ステップS105において階調レンジを圧縮された照明成分と、ステップS107において増幅された反射率成分とを合成し、出力画像(階調レンジが圧縮された(絵画調)HDR画像データ)を生成する。この出力画像は、画像処理装置100の外部に出力するようにしてもよいし、画像処理装置100が有する記憶部(図示せず)に記憶するようにしてもよい。
【0054】
以上のように画像処理を行うことにより、画像処理装置100は、容易に、画像データの階調レンジを圧縮するとともに、画像に対して、絵画風の視覚的効果を付与することができる。つまり、画像処理装置100は、より多様な効果を画像に付与することができる。
【0055】
[画像処理の他の流れ]
以上においては、制御部115が、絵画調効果を付与するか否かによって絵画調効果用のディティールゲインの値を切り換えるように説明したが、制御部115は、ディティールゲインの値を任意に設定することができるようにしてもよい。例えば、ユーザ指示に従ってディティールゲインの値を設定することができるようにしてもよい。
【0056】
その場合の、画像処理の流れの例を図4のフローチャートを参照して説明する。この場合、ステップS121において、制御部115は、ユーザ指示を受け付ける。ステップS122において、制御部115は、ステップS121において受け付けたユーザ指示に従って、絵画調効果用のディティールゲインを設定する。
【0057】
ステップS122の処理が終了すると、ステップS123乃至ステップS127の各処理が順次行われるが、これらの処理は、図3のステップS104乃至ステップS108の各処理と同様に行われるので、その説明を省略する。
【0058】
このように、画像処理装置100は、ディティールを強調する度合いを任意に設定することができる。これにより、画像処理装置100は、画像に対して、任意の度合いで絵画調効果を付与することができる。
【0059】
なお、ディティールゲインの値を決定する根拠は任意であり、上述したユーザ指示以外であっても良い。例えば、外部より供給される設定情報に従ってディティールゲインの値が設定されるようにしてもよいし、画像の内容に応じてディティールゲインの大きさが決定されるようにしてもよい。
【0060】
<2.第2の実施の形態>
[画像処理装置]
第1の実施の形態において説明した、反射率成分に対する階調レンジの伸張(増幅)と、絵画調効果用の増幅とを1回の増幅で実現するようにしてもよい。
【0061】
図5は、その場合の画像処理装置の主な構成例を示すブロック図である。図5に示される画像処理装置200は、図1の画像処理装置100と基本的に同様の装置であり、入力された画像に対して、階調レンジを圧縮するHDR処理を行うとともに、絵画調の視覚的効果を付与する絵画調処理を行う。
【0062】
図5に示されるように画像処理装置200は、画像処理装置100の構成から階調レンジ伸張部114が省略され、階調レンジ伸張用ゲイン設定部211およびゲイン合成部212が追加される。
【0063】
この画像処理装置200の場合、照明成分抽出部111、反射率成分抽出部112、階調レンジ圧縮部113、および合成部117がHDR処理を行うHDR処理部221を構成する。また、制御部115、増幅部116、階調レンジ伸張用ゲイン設定部211、およびゲイン合成部212が、絵画調処理を行う絵画調処理部222を構成する。
【0064】
画像処理装置200の場合、反射率成分抽出部112において抽出された反射率成分は、増幅部116に供給される(矢印231)。
【0065】
また、制御部115は、設定したディティールゲインをゲイン合成部212に供給する(矢印137)。
【0066】
階調レンジ伸張用ゲイン設定部211は、階調レンジ伸張用のゲイン、すなわち、画像処理装置100の階調レンジ伸張部114において用いられるゲインを設定し、その値をゲイン合成部212に供給する(矢印232)。
【0067】
ゲイン合成部212は、階調レンジ伸張用ゲイン設定部211から供給される階調レンジ伸張用ゲインと、制御部115から供給されるディティールゲインとを合成し、合成ゲインを生成する。ゲイン合成部212は、生成した合成ゲインを増幅部116に供給する(矢印233)。
【0068】
増幅部116は、反射率成分抽出部112から供給される反射率成分を、ゲイン合成部212から供給される合成ゲインを用いて増幅する。増幅部116は、増幅した反射率成分を合成部117に供給し、照明成分と合成させる。
【0069】
以上のようにして、増幅部116は、画像処理装置100において行われる階調レンジ伸張用と、ディティール成分強調用との2つの増幅を、1回の増幅で実現することができる。つまり、画像処理装置200は、画像処理装置100の場合と同様に、容易に、画像データの階調レンジを圧縮するとともに、画像に対して、絵画風の視覚的効果を付与することができる。つまり、画像処理装置200は、より多様な効果を画像に付与することができる。
【0070】
なお、この場合も第1の実施の形態の場合と同様に、制御部115は、ディティールゲインを任意の情報に基づいて、任意の値に設定することができる。また、制御部115は、第1の実施の形態の場合と同様に、輝度に応じてディティールゲインの値を変えるようにすることもできる。
【0071】
また、この場合も第1の実施の形態の場合と同様に、画像の一部の領域のみ、反射率成分が増幅されるようにしてもよいし、画像内の位置に応じたディティールゲインが設定されるようにしてもよい。
【0072】
[画像処理の流れ]
この場合の、画像処理の流れの例を、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0073】
ステップS201において、階調レンジ伸張用ゲイン設定部211は、任意の情報に基づいて、階調レンジ伸張用ゲインを設定する。ステップS202において、制御部115は、HDR圧縮処理を行う画像に対して絵画調効果を与えるか否かを判定する。絵画調効果を与えると判定した場合、制御部115は、処理をステップS203に進め、反射率成分を過度に増幅するように、絵画調効果用のディティールゲインに大きな値(1より十分に大きな値)を設定する。
【0074】
また、ステップS202において、画像に絵画調効果を与えないと判定した場合、制御部115は、処理をステップS204に進め、絵画調効果用のディティールゲインに小さな値(1に近い値)を設定する。
【0075】
ステップS203またはステップS204においてディティールゲインを設定すると、制御部115は、処理をステップS205に進める。
【0076】
ステップS205において、ゲイン合成部212は、ステップS201において設定された階調レンジ伸張用ゲインと、ステップS202若しくはステップS203において設定されたディティールゲインとを合成する。
【0077】
ステップS206において、照明成分抽出部111および反射率成分抽出部112は、入力された階調レンジの広いHDR画像データを照明成分と反射率成分に分離する。
【0078】
ステップS207において、階調レンジ圧縮部113は、照明成分の階調レンジを圧縮する。
【0079】
ステップS208において、増幅部116は、ステップS205において生成された合成ゲインを用いて、ステップS206において抽出された反射率成分を増幅する。
【0080】
ステップS209において、合成部117は、ステップS207において階調レンジを圧縮された照明成分と、ステップS208において増幅された反射率成分とを合成し、出力画像(階調レンジが圧縮された(絵画調)HDR画像データ)を生成する。この出力画像は、画像処理装置200の外部に出力するようにしてもよいし、画像処理装置200が有する記憶部(図示せず)に記憶するようにしてもよい。
【0081】
以上のように画像処理を行うことにより、画像処理装置200は、容易に、画像データの階調レンジを圧縮するとともに、画像に対して、絵画風の視覚的効果を付与することができる。つまり、画像処理装置200は、より多様な効果を画像に付与することができる。
【0082】
<3.第3の実施の形態>
[画像処理装置]
HDR処理としては、第1の実施の形態や第2の実施の形態において説明した方法の他に、露出条件が互いに異なる複数の画像を、白飛びや黒つぶれ等の画質劣化が生じないように合成し、適切な階調レンジの画像を生成する方法がある。
【0083】
例えば、画角内の輝度レンジが広いシーンでは、自動露出処理(AE処理)の精度が悪化し、画角内の主な被写体が露出オーバーになって白飛びしたり、露出アンダーになってノイズに埋もれたり黒つぶれしたりする可能性が高くなる。そこで、このようなシーンにおいても適切な露光条件で撮像された画像を得るための撮像手法として、露光条件を変化させて複数回連続して露光し、それぞれの複数の画像信号を得る「ブラケット撮像」という手法が知られている。
【0084】
この、ブラケット撮像を応用して、撮像素子の出力よりも広いダイナミックレンジを持つ画像(広ダイナミックレンジ画像)を得ることを可能とした撮像手法が考えられている。広ダイナミックレンジ画像の撮像では、ブラケット撮像により露出量を大きくした撮像画像と、露出量を抑えた撮像画像とを取得し、それらを合成することで広ダイナミックレンジの画像を生成する。すなわち、露出量を抑えて高輝度側の階調が得られた画像成分と、露出量を高めて低輝度側の階調が得られた画像成分とを合成することで、1回の露光では得ることができない広い輝度レンジの階調情報を、合成後の画像に取り入れることが可能となる。
【0085】
例えばこのような撮像により得られた、互いに露出条件の異なる複数の画像から、白飛びや黒つぶれ等の画質劣化が生じないように合成された、適切な階調レンジの画像を生成する場合、上述した第1の実施の形態や第2の実施の形態において説明したような、階調レンジの広いHDR画像データ(広ダイナミックレンジ画像)を生成し、その画像の階調レンジを、上述したようなHDR入力の階調圧縮処理により圧縮する方法がある。
【0086】
しかしながら、この方法の場合、階調レンジの広いHDR画像データを生成する必要があるので処理に必要なメモリ量が増大する可能性がある。
【0087】
そこで、このような階調レンジの広いHDR画像データを生成せずに、露出条件が互いに異なる複数の画像を、白飛びや黒つぶれ等の画質劣化が生じないように合成し、適切な階調レンジの画像を生成する方法がある。
【0088】
本実施の形態においては、このようなHDR処理方法において、絵画調処理を行う例について説明する。
【0089】
図7は、その場合の画像処理装置の主な構成例を示すブロック図である。図7に示される画像処理装置300は、図1の画像処理装置100や図5の画像処理装置200と基本的に同様の装置であり、階調レンジを圧縮するHDR処理を行うとともに、絵画調の視覚的効果を付与する絵画調処理を行う。ただし、画像処理装置300の場合、階調レンジが広いHDR画像データではなく、互いに露出条件の異なる3つの画像(露出アンダー画像、適正露出画像、および露出オーバー画像)が入力される。
【0090】
画像処理装置300は、輝度成分抽出部311、照明分離フィルタ312、HDR圧縮処理部313、制御部314、ディティール生成部315、およびディティール強調部316を有する。
【0091】
これらの構成の内、輝度成分抽出部311、照明分離フィルタ312、およびHDR圧縮処理部313が、互いに露出条件の異なる3つの画像を、白飛びや黒つぶれ等の画質劣化が生じないように合成し、適切な階調レンジの画像を生成するHDR処理を行うHDR処理部321を構成する。また、制御部314、ディティール生成部315、およびディティール強調部316が、画像に対して絵画調の視覚的効果を付与する絵画調処理部322を構成する。
【0092】
上述したように、画像処理装置300には、適正値よりも意図的に露出を抑えて生成した露出アンダー画像、露出を適正値で生成した適正露出画像、適正値よりも意図的に露出を大きくして生成した露出オーバー画像が入力される。各画像は、HDR圧縮処理部313に供給される(矢印331乃至矢印333)。
【0093】
また、適正露出画像は、輝度成分抽出部311にも供給される(矢印332)。輝度成分抽出部311は、入力された適正露出画像から輝度成分を抽出し、それを照明分離フィルタ312およびディティール生成部315に供給する(矢印334)。
【0094】
照明分離フィルタ312は、照明成分抽出部111と同様に、エッジ保存平滑化フィルタ等によって、入力された輝度成分から照明成分を抽出する。照明分離フィルタ312は、抽出した照明成分をHDR圧縮処理部313およびディティール生成部315に供給する(矢印335)。
【0095】
HDR圧縮処理部313は、照明分離フィルタ312から供給される照明成分を、所定の変換テーブルを用いて合成係数に変換し、その合成係数を用いて、入力された露出アンダー画像、適正露出画像、および露出オーバー画像を合成する。より具体的には、HDR圧縮処理部313は、各画像を合成係数で重み付けして互いに加算する。HDR圧縮処理部313は、このようにして、露出アンダー画像、適正露出画像、および露出オーバー画像から、白飛びや黒つぶれ等の画質劣化が生じないように合成された、適切な階調レンジの画像(HDR圧縮画像)を生成する。この画像は、第1の実施の形態や第2の実施の形態における、階調レンジの広いHDR画像に対して階調処理のみが施されて階調が適正化されたHDR画像に対応する。HDR圧縮処理部313は、生成したHDR圧縮画像をディティール強調部316に供給する(矢印336)。
【0096】
制御部314は、絵画調の視覚的効果を与えるためのHDR圧縮画像の反射率成分の強調量であるディティール強調量を設定する。つまり、このディティール強調量は、HDR圧縮画像のディティール成分を過度に強調するゲインである。制御部314は、そのディティール強調量をディティール生成部315に供給する(矢印337)。
【0097】
ディティール生成部315は、輝度成分抽出部311から供給される適正露出画像の輝度成分と、照明分離フィルタ312から供給される適正露出画像の輝度成分の照明成分とを用いて、適正露出画像の輝度成分の反射率成分を抽出する。つまり、ディティール生成部315は、反射率成分抽出部112と同様に動作し、輝度成分から照明成分を減算若しくは除算することにより反射率成分を抽出する。
【0098】
さらに、ディティール生成部315は、抽出した反射率成分を、制御部314から供給されるディティール強調量で強調し、強調されたディティール成分を生成する。ディティール生成部315は、その強調されたディティール成分をディティール強調部316に供給する(矢印338)。
【0099】
ディティール強調部316は、ディティール生成部315から供給されたディティール成分を乗算することにより、HDR圧縮処理部313から供給されたHDR圧縮画像のディティールを過度に強調し、絵画調の視覚的効果を付与する。ディティール強調部316は、ディティールが強調されたHDR圧縮画像(絵画調HDR圧縮画像)を出力する(矢印339)。
【0100】
ディティール強調部316から出力される絵画調HDR画像データは、さらに、ビット数を圧縮する等してもよい。
【0101】
以上のように、絵画調処理部322のディティール強調部316が、ディティールの見えが実物よりも強調されて見える程、HDR圧縮画像の反射率成分のみを過度に増幅する(ディティールを過度に強調する)だけで、画像処理装置300は、容易に、露出条件が互いに異なる複数の画像を、白飛びや黒つぶれ等の画質劣化が生じないように合成し、適切な階調レンジの画像を生成するとともに、画像に対して、絵画風の視覚的効果を付与することができる。つまり、画像処理装置300は、より多様な効果を画像に付与することができる。
【0102】
第1の実施の形態や第2の実施の形態の増幅率の場合と同様に、ディティール強調量の値は任意であるが、例えば、2倍、4倍、8倍のように、一般的に、ディティール強調量を大きくするほど、ディティールがより強く強調され、画像に与える絵画風の視覚的効果を強くすることができる。
【0103】
例えば、制御部314は、画像に対してより強い絵画風の視覚的効果を与える場合、このディティール強調量を大きな値(例えば、1より十分に大きな値)に設定する。また、画像に対して絵画風の視覚的効果を強く与えたくない場合、制御部314は、ディティール強調量を小さな値(例えば1に近い値)に設定する。つまり、制御部314は、このディティール強調量の大きさを制御することにより、HDR圧縮処理を、被写体に忠実に行うのか、それとも絵画調の視覚的効果を付与するように行うのかを制御することができる。
【0104】
なお、第1の実施の形態や第2の実施の形態の増幅率の場合と同様に、ディティール強調量も、図2に示されるように輝度に応じた値とするようにしてもよい。図2に示される曲線141は、ディティールゲインの輝度変調特性の例を示す。このように照明成分の輝度によって強調量を変えることにより、ディティール強調部316は、ディティールとして認識される必要な帯域のみを増幅することができる。つまり、ディティールで無い低域な成分や、本来不要なノイズ成分を多く含む高域な成分の増幅を抑制することができる。これにより、画像処理装置300は、画像の視覚的な劣化を抑制することができる。
【0105】
さらに、この場合も第1の実施の形態や第2の実施の形態の場合と同様に、画像の一部の領域のみ、ディティール成分が増幅されるようにしてもよいし、画像内の位置に応じたディティール強調量が設定されるようにしてもよい。
【0106】
また、以上においては、輝度成分抽出部311が適正露出画像から輝度成分を抽出するように説明したが、これに限らず、輝度成分抽出部311が、露出アンダー画像や露出オーバー画像から輝度成分を抽出するようにしてもよい。
【0107】
[ディティール生成部]
図8は、ディティール生成部315の主な構成例を示すブロック図である。図8に示されるように、ディティール生成部315は、除算部351、減算部352、乗算部353、および加算部354を有する。
【0108】
除算部351は、輝度成分抽出部311から供給される輝度成分(矢印334)を、照明分離フィルタ312から供給される照明成分(矢印335)で除算することにより、ディティール成分を抽出する。除算部351は、抽出したディティール成分を乗算部353に供給する(矢印361)。
【0109】
減算部352は、標準となるディティールゲインが自動でかかる分を補正するために、制御部314から供給されるディティール強調量から値「1」を減算する。減算部352は、値「1」を減算したディティール強調量を乗算部353に供給する(矢印362)。
【0110】
乗算部353は、除算部351から供給されるディティール成分と、減算部352から供給されるディティール強調量とを乗算し、その乗算結果を加算部354に供給する(矢印363)。
【0111】
加算部354は、乗算部353から供給される、ディティール成分と値「1」が減算されたディティール強調量との乗算結果に、制御部314から供給されるディティール強調量(矢印337)を加算する。加算部354は、その加算結果、すなわち、過度に強調されたディティール成分をディティール強調部316に供給する(矢印338)。
【0112】
なお、メモリ削減などの理由で、平滑化フィルタ処理の出力時に信号精度の丸め処理がある場合、丸め処理の前の信号(輝度成分および照明成分)から、ディティール成分が抽出されるようにするのが望ましい。これは、ディティール成分の計算では演算精度が重要なためである。
【0113】
[画像処理の流れ]
図9のフローチャートを参照して、この場合の画像処理の流れの例を説明する。
【0114】
ステップS301において、制御部314は、HDR圧縮処理を行う画像に対して絵画調効果を与えるか否かを判定する。絵画調効果を与えると判定した場合、制御部314は、処理をステップS302に進め、ディティール成分を過度に増幅するように、ディティール強調量に大きな値(1より十分に大きな値)を設定する。
【0115】
また、ステップS301において、画像に絵画調効果を与えないと判定した場合、制御部314は、処理をステップS303に進め、ディティール強調量に小さな値(1に近い値)を設定する。
【0116】
ステップS302またはステップS303においてディティール強調量を設定すると、制御部314は、処理をステップS304に進める。
【0117】
ステップS304において、輝度成分抽出部311は、例えば適正露出画像から輝度成分を抽出する。ステップS305において、照明分離フィルタ312は、ステップS304において抽出された輝度成分から照明成分を抽出する。
【0118】
ステップS306において、ディティール生成部315の除算部351は、ステップS304において抽出された輝度成分を、ステップS305において抽出された照明成分で除算し、ディティール成分を抽出する。
【0119】
ステップS307において、HDR圧縮処理部313は、例えば変換テーブルを用いて、ステップS305において抽出された照明成分から合成係数を生成する。ステップS308において、HDR圧縮処理部313は、ステップS307において生成された合成係数を用いて、露出アンダー画像、適正露出画像、および露出オーバー画像の各画像を重み付けして、白飛びや黒つぶれ等の画質劣化が生じないように合成し、適切な階調レンジのHDR圧縮画像を生成する。
【0120】
ステップS309において、ディティール生成部315の減算部352は、ステップS302若しくはステップS303において設定されたディティール強調量から値「1」を減算する。
【0121】
ステップS310において、ディティール生成部315の乗算部353は、ステップS306において算出されたディティール成分に、ステップS309において算出された減算結果を乗算する。
【0122】
ステップS311において、ディティール生成部315の加算部354は、ステップS310において算出された乗算結果に、ステップS302若しくはステップS303において設定されたディティール強調量を加算する。
【0123】
ステップS312において、ディティール強調部316は、ステップS311において算出された加算結果を乗算することにより、ステップS308において生成されたHDR圧縮画像のディティールを強調する。このようにディティールが強調されたHDR画像は、画像処理装置300の外部に出力するようにしてもよいし、画像処理装置300が有する記憶部(図示せず)に記憶するようにしてもよい。
【0124】
以上のように画像処理を行うことにより、画像処理装置300は、容易に、露出条件が互いに異なる複数の画像を、白飛びや黒つぶれ等の画質劣化が生じないように合成し、適切な階調レンジの画像を生成するとともに、画像に対して、絵画風の視覚的効果を付与することができる。つまり、画像処理装置300は、より多様な効果を画像に付与することができる。
【0125】
<4.第4の実施の形態>
[撮像装置]
以上に説明した画像処理装置は、画像処理部として他の装置の一部として構成されるようにしてもよい。例えば、被写体を撮像し、その撮像画像の画像データを生成する撮像装置として構成されるようにしてもよい。
【0126】
図10は、撮像装置の主な構成例を示すブロック図である。図10に示される撮像装置400は、被写体を撮像し、その被写体の画像をデータ化して出力する装置である。この撮像装置400は、図1に示される画像処理装置100、図5に示される画像処理装置200、若しくは、図7に示される画像処理装置300を、画像処理部として有する。
【0127】
光学ブロック411は、被写体からの光を撮像素子412に集光するためのレンズ、レンズを移動させてフォーカス合わせやズーミングを行うための駆動機構(いずれも図示せず)、絞り411a、シャッタ411bなどを有している。光学ブロック411内のこれらの駆動機構は、マイクロコンピュータ420からの制御信号に応じて駆動される。撮像素子412は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)型、CMOS(Complementary Metal OxideSemiconductor)型などの撮像素子であり、被写体からの入射光を電気信号に変換する。
【0128】
A/D変換部(A/D)413は、撮像素子412から出力された画像信号をデジタルデータに変換する。ISO(International Organization for Standardization)ゲイン調整部414は、マイクロコンピュータ420からのゲイン制御値に応じて、A/D変換部413からの画像データのRGB(Red,Green,Blue)各成分に対して一様のゲインをかける。なお、ISOゲインの調整は、A/D変換部413に入力される前のアナログ画像信号の段階で行われるようにしてもよい。
【0129】
バッファメモリ415は、互いに異なる露出で撮像を複数回行うブラケット撮像により得られた複数枚の画像のデータを一時的に記憶する。合成処理部416は、ブラケット撮像時に適用した露出補正値をマイクロコンピュータ420から受け、この露出補正値に基づいて、バッファメモリ415内の複数枚の画像を1枚の画像に合成する。
【0130】
現像処理部417は、主に、合成処理部416から出力されるRAW(生)画像データを、可視画像のデータに変換する、いわゆるRAW現像処理を実行するブロックである。この現像処理部417は、RAW画像データに対して、データ補間(デモザイク)処理、各種色調整・変換処理(ホワイトバランス調整処理、高輝度ニー圧縮処理、ガンマ補正処理、アパーチャ補正処理、クリッピング処理など)、所定の符号化方式(ここでは、JPEG(Joint Photographic Experts Group)方式を適用する)に従った画像圧縮符号化処理などを実行する。
【0131】
なお、A/D変換部413から出力されるRAW画像データのビット数は、例えば12ビットであり、現像処理部417は、この12ビットデータを処理できる仕様となっている。また、現像処理部417は、現像処理の過程において、例えば高輝度ニー圧縮処理(あるいは下位ビットの切り捨てなどでもよい)によって、12ビットデータを8ビットデータにビット圧縮し、この8ビットデータに対して圧縮符号化処理を施す。また、この8ビットデータを表示部419に対して出力する。
【0132】
記録部418は、撮像により得られた画像データをデータファイルとして保存するための装置であり、例えば、可搬型のフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)などとして実現される。なお、記録部418は、現像処理部417によって符号化されたJPEGデータ431の他に、合成処理部416から出力されるRAW画像データ432をデータファイルとして記録することができる。また、記録部418に記録されたRAW画像データを読み出して、現像処理部417で処理し、記録部418にJPEGデータファイルとして新たに記録することができるようにしてもよい。
【0133】
表示部419は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などからなるモニタを備えている。表示部419は、現像処理部417において処理された非圧縮状態の画像データを基に、モニタ表示用の画像信号を生成してモニタに供給する。撮像画像の記録前のプレビュー状態では、撮像素子412からは連続的に撮像画像信号が出力され、デジタル変換された後、そのデジタル画像データがISOゲイン調整部414および合成処理部416を介して現像処理部417に供給されて、現像処理(ただし、符号化処理を除く)が施される。表示部419は、このとき現像処理部417から順次出力される画像(プレビュー画像)をモニタに表示し、ユーザはこのプレビュー画像を視認して画角を確認することができる。
【0134】
マイクロコンピュータ420は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)などを備え、ROMに記憶されたプログラムを実行することで、この撮像装置400全体を統括的に制御する。例えば、本実施の形態では、検波部422からの検波結果を基に露出補正値を計算し、その値に応じた制御信号を出力して絞り411aやシャッタ411bを制御することで、AE(自動露出)制御を実現する。また、後述する広ダイナミックレンジ撮像を行う際には、算出した露出補正値を合成処理部416に通知する。
【0135】
LPF(Low-Pass Filter)421は、ISOゲイン調整部414から出力された画像データに対して、必要に応じてローパスフィルタ処理を施す。検波部422は、ISOゲイン調整部414からLPF421を通じて供給された画像データを基に各種の検波を行うブロックであり、本実施の形態では、例えば、画像を所定の測光領域に分割し、測光領域ごとに輝度値を検出する。
【0136】
以上のような撮像装置400において、現像処理部417の一部または全部として、図1の画像処理装置100、若しくは図5の画像処理装置200と同様の構成を有し、同様の処理を行う画像処理部が設けられるようにしてもよい。
【0137】
このようにすることにより、現像処理部417は、容易に、画像データの階調レンジを圧縮するとともに、画像に対して、絵画風の視覚的効果を付与することができる。
【0138】
つまり、撮像装置400は、容易に、ブラケット撮像により得られた複数の画像が合成され、さらに、絵画風の視覚的効果が付与された画像を得ることが出来、その画像を、表示部419に表示したり、JPEGデータ431として記録部418に記録したりすることができる。つまり、撮像装置400は、より多様な効果を画像に付与することができる。
【0139】
なお、記録部418が記録する画像データの符号化方式は任意である。記録部418が、JPEG以外の符号化方式で符号化された画像データを記憶するようにしてもよい。
【0140】
また、合成処理部416と現像処理部417の一部または全部として、図7の画像処理装置300と同様の構成を有し、同様の処理を行う画像処理部が設けられるようにしてもよい。
【0141】
このようにすることにより、合成処理部416および現像処理部417は、容易に、露出条件が互いに異なる複数の画像を、白飛びや黒つぶれ等の画質劣化が生じないように合成し、適切な階調レンジの画像を生成するとともに、画像に対して、絵画風の視覚的効果を付与することができる。
【0142】
<5.第5の実施の形態>
[パーソナルコンピュータ]
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。この場合、例えば、図11に示されるようなパーソナルコンピュータとして構成されるようにしてもよい。
【0143】
図11において、パーソナルコンピュータ500のCPU(Central Processing Unit)501は、ROM(Read Only Memory)502に記憶されているプログラム、または記憶部513からRAM(Random Access Memory)503にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM503にはまた、CPU501が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0144】
CPU501、ROM502、およびRAM503は、バス504を介して相互に接続されている。このバス504にはまた、入出力インタフェース510も接続されている。
【0145】
入出力インタフェース510には、キーボード、マウスなどよりなる入力部511、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)などよりなるディスプレイ、並びにスピーカなどよりなる出力部512、ハードディスクなどより構成される記憶部513、モデムなどより構成される通信部514が接続されている。通信部514は、インターネットを含むネットワークを介しての通信処理を行う。
【0146】
入出力インタフェース510にはまた、必要に応じてドライブ515が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア521が適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部513にインストールされる。
【0147】
上述した一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0148】
この記録媒体は、例えば、図11に示されるように、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを配信するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc - Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc)を含む)、若しくは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア521により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに配信される、プログラムが記録されているROM502や、記憶部513に含まれるハードディスクなどで構成される。
【0149】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0150】
また、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0151】
また、本明細書において、システムとは、複数のデバイス(装置)により構成される装置全体を表すものである。
【0152】
また、以上において、1つの装置(または処理部)として説明した構成を分割し、複数の装置(または処理部)として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成をまとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部を他の装置(または他の処理部)の構成に含めるようにしてもよい。つまり、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0153】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1) 画像の反射率成分を増幅する増幅率を、前記画像に絵画調の視覚的効果を付与する程大きな値にするかを制御する制御部と、
前記画像を照明成分と反射率成分とに分離する分離部と、
前記分離部により分離された前記反射率成分を、前記制御部により制御される増幅率で増幅する増幅部と、
前記分離部により分離された前記照明成分と、前記増幅部により増幅された前記反射率成分とを合成する合成部と
を備える画像処理装置。
(2) 前記分離部により分離された前記照明成分の階調を圧縮する階調圧縮部をさらに備え、
前記分離部は、階調レンジが広い画像を照明成分と反射率成分とに分離し、
前記合成部は、前記階調圧縮部により階調が圧縮された前記照明成分と、前記増幅部により増幅された前記反射率成分とを合成することにより、階調レンジが適正化された画像を生成する
前記(1)に記載の画像処理装置。
(3) 前記階調圧縮部による階調圧縮に対応して、前記分離部により分離された前記反射率成分の階調を伸張する階調伸張部をさらに備え、
前記増幅部は、前記階調伸張部により階調が伸張された前記反射率成分を、前記制御部により制御される増幅率で増幅する
前記(2)に記載の画像処理装置。
(4) 前記分離部により分離された前記反射率成分の階調を伸張するための、前記階調圧縮部による階調圧縮に対応する増幅率と、前記制御部により制御される増幅率とを合成し、合成ゲインを生成するゲイン合成部をさらに備え、
前記増幅部は、前記分離部により分離された前記反射率成分を、前記ゲイン合成部により生成される合成ゲインで増幅する
前記(2)に記載の画像処理装置。
(5) 露出条件が互いに異なる複数の画像を、前記分離部により分離された前記照明成分を用いて重み付けして合成し、白飛びや黒つぶれ等の画質劣化が生じないように合成し、適切な階調レンジの画像を生成する画像生成部をさらに備え、
前記合成部は、前記分離部により分離された前記照明成分の代わりに、前記画像生成部により生成された前記画像を、前記増幅部により増幅された前記反射率成分と合成する
前記(1)に記載の画像処理装置。
(6) 前記制御部は、前記画像に対して絵画調の視覚的効果を付与する場合、前記増幅率を大きな値にし、前記画像に対して絵画調の視覚的効果を付与しない場合、前記増幅率を小さな値にする
前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の画像処理装置。
(7) 前記制御部は、前記増幅率として画素の輝度値に応じた値を設定する
前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の画像処理装置。
(8) 前記制御部は、前記増幅率として領域に応じた値を設定する
前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の画像処理装置。
(9) 前記分離部は、エッジ保存平滑化フィルタを用いて、前記画像を照明成分と反射率成分とに分離する
前記(1)乃至(8)のいずれかに記載の画像処理装置。
(10) 前記分離部は、
前記画像から照明成分を抽出する照明成分抽出部と、
前記画像と、前記照明成分抽出部により抽出された前記照明成分とを用いて、前記反射率成分を抽出する反射率成分抽出部と
を備える前記(1)乃至(9)のいずれかに記載の画像処理装置。
(11) 前記分離部は、
前記画像から輝度成分を抽出する輝度成分抽出部をさらに備え、
前記照明成分抽出部は、前記輝度成分抽出部により抽出された前記輝度成分から前記照明成分を抽出し、
前記反射率成分抽出部は、前記輝度成分抽出部により抽出された前記輝度成分と、前記照明成分抽出部により抽出された前記照明成分とを用いて、前記反射率成分を抽出する
前記(10)に記載の画像処理装置。
(12) 前記照明成分抽出部は、抽出した前記照明成分を丸め処理し、
前記反射率成分抽出部は、前記画像と、前記照明成分抽出部により抽出された、丸め処理される前の前記照明成分とを用いて、前記反射率成分を抽出する
前記(10)または(11)に記載の画像処理装置。
(13) 画像処理装置の画像処理方法であって、
前記画像処理装置の制御部が、画像の反射率成分を増幅する増幅率を、前記画像に絵画調の視覚的効果を付与する程大きな値にするかを制御し、
前記画像処理装置の分離部が、前記画像を照明成分と反射率成分とに分離し、
前記画像処理装置の増幅部が、前記分離部により分離された前記反射率成分を、前記制御部により制御される増幅率で増幅し、
前記画像処理装置の合成部が、前記分離部により分離された前記照明成分と、前記増幅部により増幅された前記反射率成分とを合成する
画像処理方法。
【符号の説明】
【0154】
100 画像処理装置, 111 照明成分抽出部, 112 反射率成分抽出部, 113 階調レンジ圧縮部, 114 階調レンジ伸張部, 115 制御部, 116 増幅部, 117 合成部, 121 HDR処理部, 122 絵画調処理部, 200 画像処理装置, 211 階調レンジ伸張用ゲイン設定部, 212 ゲイン合成部, 221 HDR処理部, 222 絵画調処理部, 300 画像処理装置, 311 輝度成分抽出部, 312 照明分離フィルタ, 313 HDR圧縮処理部, 314 制御部, 315 ディティール生成部, 316 ディティール強調部, 321 HDR処理部, 322 絵画調処理部, 351 除算部, 352 減算部, 353 乗算部, 354 加算部, 400 撮像装置, 416 合成処理部, 417 現像処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の反射率成分を増幅する増幅率を、前記画像に絵画調の視覚的効果を付与する程大きな値にするかを制御する制御部と、
前記画像を照明成分と反射率成分とに分離する分離部と、
前記分離部により分離された前記反射率成分を、前記制御部により制御される増幅率で増幅する増幅部と、
前記分離部により分離された前記照明成分と、前記増幅部により増幅された前記反射率成分とを合成する合成部と
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記分離部により分離された前記照明成分の階調を圧縮する階調圧縮部をさらに備え、
前記分離部は、階調レンジが広い画像を照明成分と反射率成分とに分離し、
前記合成部は、前記階調圧縮部により階調が圧縮された前記照明成分と、前記増幅部により増幅された前記反射率成分とを合成することにより、階調レンジが適正化された画像を生成する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記階調圧縮部による階調圧縮に対応して、前記分離部により分離された前記反射率成分の階調を伸張する階調伸張部をさらに備え、
前記増幅部は、前記階調伸張部により階調が伸張された前記反射率成分を、前記制御部により制御される増幅率で増幅する
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記分離部により分離された前記反射率成分の階調を伸張するための、前記階調圧縮部による階調圧縮に対応する増幅率と、前記制御部により制御される増幅率とを合成し、合成ゲインを生成するゲイン合成部をさらに備え、
前記増幅部は、前記分離部により分離された前記反射率成分を、前記ゲイン合成部により生成される合成ゲインで増幅する
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
露出条件が互いに異なる複数の画像を、前記分離部により分離された前記照明成分を用いて重み付けして合成し、白飛びや黒つぶれ等の画質劣化が生じないように合成し、適切な階調レンジの画像を生成する画像生成部をさらに備え、
前記合成部は、前記分離部により分離された前記照明成分の代わりに、前記画像生成部により生成された前記画像を、前記増幅部により増幅された前記反射率成分と合成する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記画像に対して絵画調の視覚的効果を付与する場合、前記増幅率を大きな値にし、前記画像に対して絵画調の視覚的効果を付与しない場合、前記増幅率を小さな値にする
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記増幅率として画素の輝度値に応じた値を設定する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記増幅率として領域に応じた値を設定する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記分離部は、エッジ保存平滑化フィルタを用いて、前記画像を照明成分と反射率成分とに分離する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記分離部は、
前記画像から照明成分を抽出する照明成分抽出部と、
前記画像と、前記照明成分抽出部により抽出された前記照明成分とを用いて、前記反射率成分を抽出する反射率成分抽出部と
を備える請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記分離部は、
前記画像から輝度成分を抽出する輝度成分抽出部をさらに備え、
前記照明成分抽出部は、前記輝度成分抽出部により抽出された前記輝度成分から前記照明成分を抽出し、
前記反射率成分抽出部は、前記輝度成分抽出部により抽出された前記輝度成分と、前記照明成分抽出部により抽出された前記照明成分とを用いて、前記反射率成分を抽出する
請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記照明成分抽出部は、抽出した前記照明成分を丸め処理し、
前記反射率成分抽出部は、前記画像と、前記照明成分抽出部により抽出された、丸め処理される前の前記照明成分とを用いて、前記反射率成分を抽出する
請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項13】
画像処理装置の画像処理方法であって、
前記画像処理装置の制御部が、画像の反射率成分を増幅する増幅率を、前記画像に絵画調の視覚的効果を付与する程大きな値にするかを制御し、
前記画像処理装置の分離部が、前記画像を照明成分と反射率成分とに分離し、
前記画像処理装置の増幅部が、前記分離部により分離された前記反射率成分を、前記制御部により制御される増幅率で増幅し、
前記画像処理装置の合成部が、前記分離部により分離された前記照明成分と、前記増幅部により増幅された前記反射率成分とを合成する
画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−247873(P2012−247873A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117467(P2011−117467)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】