画像処理装置および画像処理プログラム
【課題】撮影画像から解像度感を損なわずにランダムノイズを低減あるいは除去することができる。
【解決手段】異なる時間に撮影されたフレーム単位の複数画像を入力し記憶する画像記憶部20と、画像記憶部20から読み出した近傍の異なる時間の複数画像21,22の一つを基準画像とし、当該基準画像21と基準画像以外の画像22との相関処理を行って画像相関データ31を算出する画像相関算出部30と、算出された画像相関データ31と予め指定された相関閾値とを比較し、画像相関データ31が相関閾値以下の場合にのみ基準画像21と基準画像以外の画像22とを合成する画像合成部40とを備える。
【解決手段】異なる時間に撮影されたフレーム単位の複数画像を入力し記憶する画像記憶部20と、画像記憶部20から読み出した近傍の異なる時間の複数画像21,22の一つを基準画像とし、当該基準画像21と基準画像以外の画像22との相関処理を行って画像相関データ31を算出する画像相関算出部30と、算出された画像相関データ31と予め指定された相関閾値とを比較し、画像相関データ31が相関閾値以下の場合にのみ基準画像21と基準画像以外の画像22とを合成する画像合成部40とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、撮影されたデジタル画像上に現れるランダムノイズの抑制を行う画像処理装置および画像処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、近年、イメージセンサの高画素化が進み、デジタルカメラはフィルムカメラに近づくほどの高精細な画像を取得できるようになった。しかし、イメージセンサを用いて撮影したデジタル画像の場合、画像上にランダムな粒状のざらつきとなって現れるノイズ(以下、ランダムノイズと呼ぶ)が発生し、画像の品質に大きな影響を及ぼしている。ランダムノイズには、輝度ノイズ(または照度ノイズ)とカラーノイズ(またはクロミナンスノイズ)があり、カラーノイズは、シャドー部分およびカラーが均一な部分に特に発生し、人の目には、輝度ノイズよりも不快に映る。ランダムノイズの原因としては、様々あるが、光とイメージセンサの物理的性質がもっとも大きな要因と言われている。センサノイズにも読み出しノイズ、受光素子ノイズ、光子ノイズ、暗電流など、色々な原因が考えられる。ノイズ除去の簡単な方法としては、画像上のそれぞれのピクセル値を隣接ピクセルとの平均値で置き換えるという方法があるが、ランダムノイズによるばらつきを減少させることはできるが、同時に画像のディテールを平滑化してしまうため、画像の先鋭度を著しく失ってしまうという問題がある。
【0003】
また、上記ランダムノイズを除去するための技術として、フィルムスキャナによって取得された撮影画像データにおけるランダムノイズを加重平均フィルタリング処理によって抑制する画像処理方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。この方法では、撮影画像データを構成する画素群から注目画素を順次設定し、注目画素を中心とした加重平均フィルタリング処理のための演算領域内に位置する各周辺画素と注目画素との間の画素値の差分値を算定し、算出した差分値に応じて加重平均フィルタリング処理に用いられる重み係数を決定し、決定した重み係数を用いて加重平均フィルタリング処理を実行して注目画素の補正画素値を求めるというものである。また、この方法では、上記差分値に応じて、0〜1を定義範囲とする重み係数を決定する際に、差分値が0の場合重み係数を1とし、差分値の絶対値が設定された閾値以上の場合重み係数を0とし、差分値が0より大きくて閾値より小さい場合差分値の絶対値の増加に伴い1から単調減少すると共にその後1に単調増加していく数値群から決められる数値を重み係数としている。この方法によれば、撮影画像データにおいて、平坦領域はもとより、輪郭及びその付近においても十分にランダムノイズを抑制できると共に、写真が持つ細かいディテールと質感が維持されるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−302023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の画像処理方法では、ランダムノイズを低減させるためにぼかし(平滑化)処理として加重平均フィルタリング処理を施している。その際、注目画素と各周辺画素との間の画素値の差分値を算定し、その差分値に応じて加重平均フィルタリング処理を施すことで、輪郭部分の質感が維持されるランダムノイズ抑制が可能とされている。また、上記特許文献1の方法は、対象となる1フレームの画像内で注目画素とその周辺画素とを用いてフィルタリング処理する、いわゆる空間フィルタリング処理を施している。そのため、差分値に応じて加重平均フィルタリング処理を施すことにより、輪郭部分の質感が維持されるとしているが、輪郭部分以外の領域については、ランダムノイズ低減と共にぼやけてしまう。すなわち、解像度感が低下してしまうという問題がある。
なお、この発明では、後述するように時間的に異なる複数の画像を用いた画像処理により解像度感を損なわずにランダムノイズを低減しているが、上記特許文献1には、対象となる画像以外に他の画像を用いた、いわゆる時間方向の画像処理について示唆する記載は見られない。
【0006】
この発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、撮影画像から解像度感を損なわずにランダムノイズを低減あるいは除去することができる画像処理装置および画像処理プログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る画像処理装置は、異なる時間に撮影されたフレーム単位の複数画像を入力し記憶する画像記憶部と、画像記憶部から読み出した近傍の異なる時間の複数画像の一つを基準画像とし、当該基準画像と基準画像以外の画像との相関処理を行って画像相関データを算出する画像相関算出部と、算出された画像相関データと予め指定された相関閾値とを比較し、画像相関データが相関閾値以下の場合にのみ基準画像と基準画像以外の画像とを合成する画像合成部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、時間的に異なる複数の画像を用い、相関関係が高い部分の画像を合成することで一枚の画像を得るようにしているので、従来のようなぼかし(平滑化)処理を用いないため、解像度を損なうことなくランダムノイズを抑制することができ、あるいはノイズ抑制により解像度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1による画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】同実施の形態1に係る画像合成部における合成処理方法を示す説明図である。
【図3】同実施の形態2による画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】同実施の形態2に係る画像合成部における合成処理方法を示す説明図である。
【図5】同実施の形態3による画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図6】同実施の形態3による画像処理装置の機能構成の他の例を示すブロック図である。
【図7】同実施の形態3に係る画像合成部における合成処理方法を示す説明図である。
【図8】同実施の形態3に係るアフィン変換の方法について示す説明図である。
【図9】同実施の形態3に係るアフィン変換後の画像と他の入力画像の比較について示す説明図である。
【図10】同実施の形態5に係る画像合成部の画像合成方法を示す説明図である。
【図11】同実施の形態6に係る画像合成部の画像合成方法を示す説明図である。
【図12】同実施の形態7に係る画像合成部の画像合成方法を示す説明図である。
【図13】同実施の形態7に係る画像合成部の画像合成方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図1において、実施の形態1の画像処理装置は、画像記憶部20、画像相関算出部30および画像合成部40を備えている。また、11は入力画像、21は画像記憶部20より読み出された画像、22は画像記憶部20より読み出された画像であるが、画像21とは撮影された時間が異なる画像、31は画像相関算出部30により演算された画像相関データ、41は画像合成部40より出力された合成画像である。
【0011】
画像記憶部20には、例えばある所定の画角で、かつ異なる時間(例えば毎秒2コマ、3コマというように)に撮影したフレーム単位の複数の画像11を順次入力し記憶する。画像相関算出部30では、画像記憶部20から、時間的に異なる、例えば2枚の画像21および画像22を読み出して、両画像間で相関処理を行って画像相関データ31を算出する。ここでは、例えば画像21を基準画像とする。また、画像21と画像22とのフレーム間差分絶対値和を画像相関データ31として算出する。画像合成部40では、画像相関算出部30で算出された画像相関データ31と予め指定された閾値(これを「相関閾値」とする)J1とを比較し、この比較結果に基づいて画像の合成処理を実施する。ここでは、画像相関データ31が相関閾値J1以下の場合、画像21と画像22とは相関関係が高いとみなし、その2つの画像の合成処理を行う。一方、画像相関データ31が相関閾値J1より大きい場合は、画像21と画像22とは相関関係は低いとみなして、画像合成部40はその2つの画像の合成処理は行わない。画像合成部40における画像の合成処理としては、画像の加算平均処理を行う。すなわち、画像21と画像22は相関関係が高い場合は、図2に示すように、画像21と画像22の同一画素位置の画素同士で加算平均処理を施す。これにより、画像21と画像22それぞれに混在しているランダムノイズが平均化されて抑制される。また、相関関係が高い画像21と画像22で、同一画素位置の画素を用いて加算平均処理を行っているため、空間的に近傍の画素の影響を受けることがなく、解像度を維持することが可能となる。
【0012】
なお、上記例では、図1において、画像記憶部20と画像相関算出部30の間を画像21と画像22のパラレル伝送の2本としたが、1本のデータバスにより画像21、画像22を時系列で順次伝送するようにしてもよい。また、画像記憶部20と画像相関算出部30との間のデータバスの本数によらず、取り扱う画像データを画像21と画像22の2つの画像だけでなく、3つ以上の時間的に異なる画像を扱うようにしてもよい。この場合、例えば、画像記憶部20と画像相関算出部30との間のデータバスを1本とし、時間的に異なる5つの画像21〜画像25を扱った場合、基準画像を例えば画像21として、その他の画像22〜画像25との相関としてそれぞれ画像相関データ31(基準画像21と画像22との相関を指標化したデータ、以下同様)、画像相関データ32、画像相関データ33、画像相関データ34を算出し、各画像相関データと相関閾値J1とをそれぞれ比較する。そして、何れの画像相関データも相関閾値J1以下の場合は、画像21〜画像25全ての画像の加算平均処理を行って合成画像を算出する。もし、画像相関データ33だけが相関閾値J1より大きい場合は、画像24を除いた残りの4枚の画像21,22,23,25の加算平均処理を行って合成画像を算出すればよい。
【0013】
上記例では、画像相関データを算出する場合、対象となる画像のフレーム間差分絶対値和を算出しているが、この場合、対象となる画像のそれぞれの平均値を合わせてからフレーム間差分絶対値和を算出してもよい。また、対象となる画像のそれぞれの最大値を合わせるようにそれぞれの画像にオフセットを加算してからフレーム間差分絶対値和を算出してもよいし、逆に対象となる画像のそれぞれの最小値を合わせるようにそれぞれの画像にオフセットを加算してからフレーム間差分絶対値和を算出してもよい。また、対象となる画像のそれぞれの中央値を合わせるようにそれぞれの画像にオフセットを加算してからフレーム間差分絶対値和を算出してもよい。さらに、対象となる画像を基準画像のダイナミックレンジに合わせるようにそれぞれの画像にオフセットを加算したり、重み付け係数を乗じてダイナミックレンジを合わせてからフレーム間差分絶対値和を算出してもよい。さらに、同一画素位置の画素を用いて画像21、画像22等の画像をそのまま加算平均しているが、上記等の処理を対象となる画像に対して施してから加算平均処理を行うようにしてもよい。すなわち、画像相関データを算出する際、対象となる画像を基準画像の特性になるべく合わせるようにしてから画像相関データを算出してもよく、これにより画像の単なる信号レベルの差異だけではなく、信号レベルをなるべく抑制することで画像の絵柄の同一性を評価することができる。
【0014】
また、上記例では、画像相関データとしてフレーム間差分絶対値和を算出するとしたが、これに代る算出値とし、フレーム間差分2乗和、フレーム間差分絶対値最大値、フレーム間差分絶対値最大値の度数、もしくは対象となる画像の相関を定量的に表した値、またはこれらを組合せた値を用いてもよい。
また、画像相関データの相関閾値J1の値は任意としてよい。例えば、ノイズが強く画像相関データが大きい場合、相関閾値J1を大きくすることで対象画像を除外せずに画像合成処理を行うことができる。合成する画像が多いほど画像に混入しているランダムノイズが抑制され、合成画像の画素値が真値に近づく傾向があるが、これはランダムノイズが真値を中心とした正規分布あるいは正規分布に準じる分布傾向があるとみなしているためである。
上記例では、画像21を基準画像としたが、その他の画像を基準画像としてもよい。例えば、時系列の最初の画像を基準画像にする、あるいは時系列の最後の画像を基準画像にする等、いろいろ考えられるが、この基準画像の決め方は制限されるものではない。このことは、以下の他の実施の形態においても同様である。
【0015】
以上のように、この実施の形態1によれば、異なる時間に撮影されたフレーム単位の複数の画像を画像記憶部に記憶し、画像記憶部から読み出した近傍の異なる時間の複数の画像の一つを基準画像とし、当該基準画像とその他の画像との相関処理を行って画像相関データを算出し、算出された画像相関データと予め指定された相関閾値とを比較し、この比較結果において画像相関データが相関閾値以下の場合にのみ、基準画像と基準画像以外の画像とを合成するようにしている。したがって、従来技術のようなぼかし(平滑化)処理を用いないため解像度を損なうことなくランダムノイズを抑制することができ、あるいはノイズ抑制により解像度を向上させることができる。
【0016】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、画像の相関および画像の合成処理をフレーム単位で行っているが、これは入力画像が時系列で入力された静止画であって、画像の画素位置が画面内で変わらない場合に有効である。一方、入力画像が常時静止画とは限らず、画面内の一部に移動物体が映っている場合がある。このような場合には、移動物体の映像は、時系列で入力されたそれぞれの画面内で異なる位置に現れることになる。この発明の実施の形態2では、このように一部に移動物体が映っているような複数の画像を合成することで、ランダムノイズを抑制する方法について説明する。
図3は、この発明の実施の形態2による画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図3において、実施の形態2の画像処理装置は、画像記憶部20、領域探索部50および画像合成部60を備えている。また、51は領域情報データ、52は画像相関データ、61は画像合成部60より出力された合成画像を表わす。なお、図1と同一符号は同じものを意味する。領域探索部50は、図1の画像相関算出部30相当の機能を含んでいるものとする。また、この実施の形態2の画像合成部60では、画像合成処理は対象画像の加算平均処理を行うものとする。
【0017】
領域探索部50では、まず、画像記憶部20から読み出した時系列の画像21と画像22から、基準画像とする画像21上の移動物体が映る対象領域と最も相関が高い領域を画像22より探索し、最も相関が高い領域を示す領域情報データ51を生成する。
対象領域の探索は、基準画像(画像21)を複数の画像ブロック(矩形ブロック)に分割し、ブロック単位で最も評価値(本例では差分絶対値和とする)の小さい画像ブロックを画像22より探索する。画像ブロック毎に順次探索を行っていき、画面内の各ブロックの動きベクトルの分布をグルーピングする。同一ベクトル値あるいは指定した範囲内のベクトル値をグルーピングし、ベクトル値範囲が条件に合うグルーピングを画像合成対象とする。この時、領域情報データ51はグルーピングの範囲を表し、[x1,y1]〜[x2,y2]という矩形範囲や[x11,y11]〜[x12,y12]、[x21,y21]〜[x22,y22]、[x31,y31]〜[x32,y32]という矩形範囲の合成範囲等で表す。
【0018】
領域探索部50は、次に、画像21と画像22で画像間の相関処理を行って画像相関データ52を算出する。上記グルーピングされた対象領域の相関データは、対象領域内の各ブロックの評価値(差分絶対値和)の総和とする。例えば、[x11,y11]〜[x12,y12]、[x21,y21]〜[x22,y22]、[x31,y31]〜[x32,y32]という矩形範囲の合成範囲が条件に合う対象領域である場合は、3つのブロック評価値の総和を画像相関データ52とする。
画像合成部60では、画像相関データ52が予め指定された相関閾値J2以下の場合、領域情報データ51に基づいて画像22から対象領域を抽出し、基準画像である画像21の対応する領域と加算平均処理を行う。
【0019】
この実施の形態2の上記例では、グルーピングされた対象領域の相関データとしては、領域探索の各ブロックの評価値(ブロック間差分絶対値和)の総和としたが、上記評価値の他に、対象領域の差分2乗和、対象領域内の差分絶対値最大値、対象領域内の差分絶対値最大値の度数あるいは対象領域画像の相関を定量的に表した値、その他2つの画像の相違を定量的に表した値、またはこれらの組合せた値を適用してもよい。
また、上記例では、グルーピングされた対象領域のみ画像合成処理を施したが、グルーピングされた対象領域以外にも画像合成処理を施してもよい。例えば、図4に示すように、合成対象の画像が画像21、画像22、画像23であり、画像21を基準画像とし、画像21、画像22、画像23の画面内に同じ移動物体の映像である対象領域A1,A2,A3がそれぞれあったとする。この場合、画像21内の対象領域A1と画像22内の対象領域A2と画像23内の対象領域A3とを合成(加算平均処理)すると共に、画像21内の対象領域A1以外の領域と、画像22内の「対象領域A2と画像21内の対象領域A1の領域」以外の領域と、画像23内の「対象領域A3と画像21内の対象領域A1の領域」以外の領域との画像合成を行ってもよい。さらにこの場合、画像21、画像22、画像23で除外しない同一位置の画素が3画素ある場合(3枚の画像なので、3画素が最大)、同一位置の3画素の合成(加算平均処理)を施し、画像21、画像22、画像23で、各画像内の対象領域A1,A2,A3および画像21内の対象領域A1に相当する領域を除外した同一画素が2画素の場合(図4では移動する対象領域は移動量が少なくて、画像21、画像22、画像23で何れも対象領域A1,A2,A3である画素位置がないので、少なくとも2画素は対象領域以外の背景画像になる)、同一位置の2画素の合成を施す。
【0020】
以上のように、この実施の形態2によれば、基準画像上の移動物体が映る対象領域と最も相関が高い領域を基準画像以外の画像より探索して領域情報データとして出力すると共に、基準画像と当該基準画像以外の画像間で相関処理を行って画像相関データを算出し、算出された画像相関データが予め指定された相関閾値よりも低い場合には、基準画像の対象領域に、領域情報データが示す基準画像以外の画像上の相関が最も高い領域を合成し、一方、算出された画像相関データが指定された相関閾値よりも高い場合には、基準画像から対象領域を除いた画像に、基準画像以外の画像から相関が最も高い領域を除いた画像を合成するようにしている。したがって、画面内に移動する対象がある場合でも、基準画像内の移動対象と基準画像以外の画像内の移動対象の画素位置合わせを行えるため、移動対象以外の領域については勿論のこと、移動対象のある領域についても、解像度を維持してランダムノイズを抑制することができ、あるいはノイズ抑制により解像度を向上させることができる。
【0021】
実施の形態3.
図5は、この発明の実施の形態3による画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図5において、この実施の形態3の画像処理装置は、画像記憶部20、画像相関算出部70、画像変換部80、領域探索部90および画像合成部100を備えている。また、71は画像相関データ、81は画像変換パラメータ情報、82は変換ブロック画像(アフィン変換ブロック画像)、91は領域情報データ、92は画像相関データ、93は変換画像データ、101は合成画像データ、211は変換後の画像(アフィン変換フレーム画像)アフィン変換フレーム画像を表わす。なお、図1および図3と同じ符号を付した部分は同じものを意味する。領域探索部90は、図3の領域探索部50と同様、図1の画像相関算出部30相当の機能を含んでいるものとする。
ここでは、画像21より時間的に古い画像22を基準画像とした例について説明するが、時間的に新しい画像を基準画像にしてもよいことは勿論である。
【0022】
入力される連続的な画像として、画面全体が前方から手前に移動して来る場合や、図7に示すように移動対象が紙面前方から手前に向かって迫って来るように時系列で映っている画像がある。この発明の実施の形態3では、このような複数の画像を合成することで、ランダムノイズを抑制する方法について説明する。
画像相関算出部70は、画像記憶部20から読み出した異なる時間の画像21と画像22について、画面内を複数領域に分割してそれぞれの領域毎に画像の相関処理を行い、画像相関データ71を算出して画像変換部80に与える。
ここで、画面全体が前方から手前に移動する場合や、図7に示すように移動対象Bのみ移動する場合があるが、いずれにしても移動領域については、基準画像(画像22)と比較対象画像(画像21)とで同一位置の領域の相関は低い傾向を持つ。これは移動により被写体の映像が変化するためである。また、図7が前進する車等の乗り物から前方を撮影した画像を表わしているとした場合、画像21や画像22において画面中央の無限遠方周辺と画面端付近とでは見た目の移動量は異なる。すなわち、移動対象Bは画面中央近くにあるほどゆっくり移動しており、また画面端に近づくほど速く移動する傾向を持つ。そのため、注目対象が移動している場合は、その画面内での位置が異なるために、図7に示すように、ある時刻で画像21の位置にある移動対象Bは、別の時刻には画像22の位置に移動しており、移動対象Bの形状が変わり大きく映ることになる。この時、乗り物内から見た移動対象Bは画像21と画像22とで見る位置(角度)が異なるために、画像21における移動対象Bと画像22における移動対象Bとは相似形にはならない。
【0023】
また、図7で、画像21と画像22において画面全体が動いている(例えば、乗り物に乗って撮影している場合、実際には移動しているのは乗り物自身であるが、乗り物内から撮影した外の映像は相対的に動いて見える)場合、画像21と画像22を画面全体の相関、あるいは画面を複数の領域に分割してそれぞれの領域に対する上記2つの画像21と画像22の相関はいずれも低くなる傾向にある。これは、乗り物から見える外の画像である画像21と画像22自身が移動しているため、のっぺりした単調な画像でない限り、同一位置の画素は一般的に同じ対象の画素でないか、あるいは同じ対象であっても絵柄の異なる位置の画素になっているためである。
【0024】
画像変換部80では、画像相関データから判定して基準画像とする画像22内の指定領域(画像22の画面そのものに相当する)と当該指定領域に対応する画像21の画像領域との相関が画面内の位置により異なる場合に、画像変換パラメータ81に基づいて、画像21の画像領域を画像(基準画像)22に合わせるように画像変換(アフィン変換)し、変換後の画像(アフィン変換フレーム画像)211と変換ブロック画像(アフィン変換ブロック画像)82を領域探索部90に出力する。
図7で説明したように、画像21、画像22は乗り物から前方を撮影した画像であり、画像21を画像(基準画像)22と同じように手前に近づいた画像にするために、図8に示すように画像21の一点破線内の画像(基準画像の指定領域に対応する画像領域)をアフィン変換する。アフィン変換後の画像(アフィン変換フレーム画像)211上の破線部は、画像22に写されている移動後の対象領域Bを仮想的に記載したもので、実際には変換後の画像211上には存在していないものである。
ここで用いる画像変換パラメータ81は、例えば、画面内の位置に応じた水平用および垂直用アフィン変換係数である。なお、設定係数は任意でよく、画面中心(無限遠方点)から画面内の距離(実空間上の距離でなく画面上の見かけの距離)に応じて係数を設定したり、画面内の距離をカテゴリ分けして同一カテゴリには同一係数を設定したり、画面内の領域をカテゴリ分けして同一カテゴリには同一係数を設定したり、図7の対角線のように点線で分割された4つの領域それぞれに係数を設定したりしてもよい。
【0025】
次に、図9は、変換後の画像211と基準画像である画像22を比較する図である。画像22の中央付近にある実線の矩形領域内は、画像22で見えてきた領域で、変換後の画像211では小さすぎて見えなかった領域である。図9(右図)は変換後の画像211と画像22を比較した結果を示すものであるが、相対的に相違が大きいのは、破線領域部分である。すなわち、移動に伴う移動対象Bの部分(破線領域で重なっている部分であっても、領域内の相対的な位置が異なるため、この重なり領域についても相対的に相違が大きくなる)と画像22で新たに見えてきた中央付近の矩形領域である。
【0026】
領域探索部90では、画像変換部80で画像変換された変換後の画像211から、画像合成対象となる領域を探索する。この場合、基準画像である画像22を複数の画像ブロック領域に分割し、ブロック単位で最も評価値(本例では差分絶対値和とする)の小さい画像ブロックを画像変換後の画像211より探索する。図9において、画像変換後の画像211内の対象Bが画像(基準画像)22において移動している場合、画像22内の対象Bと同一画素位置の画像211の画像ブロックとで評価値を算出すると、対象Bが移動しているため差分が大きくなり評価値が大きくなる。よって、画像22内の対象Bに対応する対象を画像211から求めるため、画像211内のブロックの画素位置を順次変えて画像22内の対象Bとでブロック単位に評価値(差分絶対値和)を算出する。画像22内の対象B自身が特定できない場合は、画像22をブロック領域に分割して、画像22の各ブロックに対し評価値が最小となるブロックを画像変換後の画像211より探索して求める。その際、画像22の各ブロックの画面内の座標(画素位置)と画像211の探索されたブロックの画面内の座標が一致した場合は、対象ブロックは移動していないブロック(以下、静止ブロックとする)とみなすことができる。
【0027】
一方、もし画像22内の対象Bを含むブロックに対応する画像211内のブロックが画像22の該当ブロックと画面内の座標が一致しない場合は、対象Bは移動していることがわかる。よって、ブロック毎に静止ブロックか、移動ブロックかの情報を領域情報データ91として設定する。また、ブロック探索で求めた各ブロックの最小評価値を画像相関データ92に設定する。さらに、ブロック単位の画像を変換画像データ93として設定する。後段に接続された部位(画像合成部100)では、変換画像データ93は領域情報データ91により移動ブロックか、静止ブロックかがわかる。領域情報データ91、画像相関データ92、変換画像データ93はブロック数分用意する(H/Wではレジスタやメモリイメージ、S/Wでは配列やポインタイメージになる)。
なお、分割するブロックの形状は任意でよい。また、上記例では、画像22をブロック領域に分割してそのブロック単位に画像変換後の画像211に対し評価値が最小となるブロックを探索したが、逆に画像211をブロック領域に分割してそのブロック単位に画像22に対し評価値が最小となるブロックを探索してもよく、どちらの画像をブロック分割して探索するかは制限されない。
【0028】
図9において、移動対象Bは台形であるので画面分割されたブロックとは形状が異なることもありうるが、移動対象Bと画面分割されたブロックの形状の関係に依存せずに相関度の評価(評価値算出)が行えるので、この発明を制限するものではない。ブロック形状が矩形で移動対象Bが台形の場合、例えば複数の矩形ブロックにより構成された移動対象Bを含むアフィン変換ブロック画像82で構成されたブロック領域と画像(基準画像)22で移動対象Bを含む上記ブロック領域に相当するブロック領域とで差分をとると、移動対象B以外のはみ出し領域については差分が大きくなる傾向がある。これは移動対象Bが移動しているためで、ブロック領域に切出した際に別の絵柄の画像も合わせて切出されるためである。
【0029】
画像合成部100では、領域探索部90で得られた、領域情報データ91に対応して移動ブロック領域または静止ブロック領域に対し、変換画像データ93と基準画像である画像22を、画像相関データ92の値に基づいて画像合成(加算平均処理)する。画像相関データ92が移動ブロック領域または静止ブロック領域それぞれに対し予め指定した相関閾値J3より小さい場合は、変換画像データ93と画像22内の対応ブロックとは相関度が高いとみなし(たとえば、領域探索部90で探索された対象Bや背景は相関度が高い)、変換画像データ93と画像22とを合成する。一方、画像相関データ92が移動ブロック領域または静止ブロック領域それぞれに対し予め指定した相関閾値J3より大きい領域については、画像合成を行なわない。これは、相関閾値J3より大きい領域は変換画像データ93と画像22内の対応ブロックとで相関が低く、画像合成処理により異なる画像が合成される可能性が高く、ノイズ低減や解像度低下抑制の本来の目的を果たしえないためである。
【0030】
なお、上記例では、画像21と基準画像である画像22の2フレームを用いてアフィン変換処理および画像合成処理を行ったが、3フレーム以上の画像を用いてもよい。
また、画像変換パラメータ情報81は、アフィン変換係数、アフィン変換係数セット、移動対象領域に対応するアフィン変換係数候補以外に、移動対象領域の位置情報、移動対象領域の相対移動量や対応するアフィン変換係数等を含んでもよい。
また、画像変換部80、領域探索部90では画像を複数のブロックに分割したブロックを扱ったが、ブロックの分割数は任意でよく、またブロックの形状は矩形に限らず、三角形等その他の形状であってもよい。
また、アフィン変換は画面全体ではなく、必要領域のみ限定して変換を行ってもよく、アフィン変換の種類、順序、領域については制限されない。
また、上記例では、相関閾値J3は移動ブロック領域または静止ブロック領域それぞれに対し予め指定した値であるが、図6の他の構成例に示すように、領域情報データ91を画像合成部100では用いず移動ブロック領域または静止ブロック領域に依存せず予め指定した値に基づいて画像合成を行なってもよい。
【0031】
また、上記例では、図7、図8、図9に示すように移動対象は一つであったが、移動対象が複数あっても同様に行えるものである。
さらにまた、上記例では、移動対象領域の相関データとして領域探索の各ブロックの評価値(ブロック間差分絶対値和)の総和を算出したが、上記評価値の他に、移動対象領域の差分2乗和、移動対象領域内の差分絶対値最大値、移動対象領域内の差分絶対値最大値の度数あるいは移動対象領域画像の相関を定量的に表した値、その他2つの画像の相違を定量的に表した値、またはこれらを組合せた値でもよい。
【0032】
以上のように、この実施の形態3によれば、時間的に近傍の複数画像において、基準画像と基準画像以外の画像との相関処理により第1の画像相関データを算出し、第1の画像相関データから判定して基準画像内の指定領域と当該指定領域に対応する基準画像以外の画像の画像領域との相関が画面内の位置により異なる場合、基準画像以外の画像の対象領域を基準画像内の指定領域に合うように画像変換し、この変換後の画像から基準画像にある移動対象領域と最も相関が高い画像領域を探索し、探索単位毎に、変換画像データ、移動対象領域であるか否かを表す領域情報データ、および変換後の画像と基準画像間の相関処理による第2の画像相関データを算出し、第2の画像相関データが予め指定した相関閾値より小さい場合にのみ、前記変換画像データを前記基準画像の対応する領域と合成するようにしている。したがって、画面全体が変化し、かつ画面内に移動する対象がある場合でも、移動対象について、および移動対象以外の背景領域について、解像度を維持してランダムノイズを抑制することができ、あるいはノイズ抑制により解像度を向上させることができる。
【0033】
実施の形態4.
上記実施の形態1から実施の形態3では、画像合成処理として加算平均処理を行っているが、これに代って、加算処理、加重加算処理、加重平均処理またはフィルタ処理を行ってもよい。
加算処理は、低照度の画像を合成する時に行うとよい。低照度のため画素レベルが低い範囲で画素値が分布しているが、加算処理を行うことでランダムノイズが抑制されると共に輝度レベルの範囲を広げることができる。
上記実施の形態2、実施の形態3で説明したように、対象領域が移動することにより部分的に合成する画素数が異なる場合は、加重加算処理を行うことで対応することができる。すなわち、3枚の画像に対し、同一位置の画素の加算を3画素で行う場合はそのまま加算し、1画素除外して2画素で加算する場合は、加算結果を3/2倍する。これにより、周辺との画素レベルのレンジが合うことになる。また、加算するそれぞれの画素に対し重み付けを図って加算してもよい。さらに、単純加算平均でなく、平均処理するそれぞれの画素に対し重み付けを図って平均処理する加重平均処理を行ってもよい。
また、実施の形態3では、画像変換部80での画像変換はアフィン変換を行っているが、拡大、縮小、回転、上下左右斜めの移動、反転の何れか、またはこれらの組合せでもよい。
【0034】
以上のように、この実施の形態4によれば、画像合成処理として加算平均処理、加算処理、加重加算処理、加重平均処理またはフィルタ処理を行うようにし、また画像変換として拡大、縮小、回転、上下左右斜めの移動、反転の何れか、またはこれらの組合せのアフィン変換を行うようにしたので、画面全体が変化し、かつ画面内に移動する対象がある場合でも、移動対象についておよび移動対象以外の背景領域について、解像度を維持してランダムノイズを抑制することができ、あるいはノイズ抑制により解像度を向上させることができる。
【0035】
実施の形態5.
図10は、この発明の実施の形態5に係る画像合成部の画像合成方法を示す説明図である。
図10(a)において、画像21、画像22、…、画像2Nは、それぞれが時間的に異なる入力画像で、画像合成の対象となるN枚の画像を表わす。ここでは、画像21を基準画像とする。また、図10(b)において、合成画像[N]は、上記実施の形態1から実施の形態4で述べた何れかの処理により図10(a)の合成の対象となるN枚の画像を用いて合成された画像を表わす。
【0036】
画像合成部(図1の画像合成部40、図3の画像合成部60または図5の画像合成部100)では、基準画像(画像21)と算出した合成画像[N]との差分絶対値和を評価値として算出し、この算出した評価値を予め指定した閾値(これを「画素ずれ閾値」とする)J4と比較し、画素ずれ閾値J4以下であった場合にのみ合成画像[N]を出力する。これは、合成画像Nにランダムノイズ以上の画素レベルのずれがないかを調べるためのものである。合成画像[N]のランダムノイズが低減または除去された場合は、基準画像(画像21)と合成画像Nによる評価値はランダムノイズの評価値とみなすことができ低い値を示すが、対象領域等で画素ずれが起こり、ランダムノイズ以上のずれが生じている場合は、上記評価値は大きくなる。したがって、上記評価値を画素ずれ閾値J4と比較することにより、合成画像Nが適切か否かを判定することができる。なお、画素ずれ閾値J4は、ランダムノイズおよびランダムノイズ以外の画素ずれとして許容できる範囲の値であれば任意の値でよい。
【0037】
以上のように、実施の形態5によれば、画像合成部において、N枚の画像を用いて生成した合成画像と基準画像の評価値を算出し、当該評価値が予め指定した画素ずれ閾値J4以下である場合にのみ合成画像を出力するようにしたので、解像度を維持してランダムノイズを抑制することができ、あるいはノイズ抑制により解像度を向上させることができる。
【0038】
実施の形態6.
図11は、この発明の実施の形態6に係る画像合成部の画像合成方法を示す説明図である。
図11(a)において、画像21、画像22、…、画像2N+1は、それぞれが時間的に異なる入力画像で、画像合成の対象となるN+1枚の画像を表わす。ここでは、画像21を基準画像とする。また、図11(b)において、合成画像(第2の画像)[N+1]は、上記実施の形態1から実施の形態4で述べた何れかの処理により図11(a)の合成の対象となるN+1枚の画像を用いて合成された画像を表わす。なお、この実施の形態6では、上記実施の形態5と同じようにN枚の画像を用いて生成された合成画像(第1の画像)[N]も用いる。
【0039】
画像合成部(図1の画像合成部40、図3の画像合成部60または図5の画像合成部100)では、まず、基準画像(画像21)と第1の合成画像[N]の差分絶対値和を評価値[N]として算出すると共に、基準画像(画像21)と第2の合成画像[N+1]の差分絶対値和を評価値[N+1]evとして算出する。次に、算出した評価値[N]evと評価値[N+1]evの差分絶対値を算出する。そして、この算出された評価値の差分絶対値を予め指定した閾値(これを「収束閾値」とする)J5と比較し、収束閾値J5以下である場合に合成画像[N]または[N+1]を出力する。これは、評価値[N]evと評価値[N+1]evの値が近く、合成画像の評価値が収束しつつある(飽和しつつある)ことを調べるためのものである。装置として実現するためには、性能を維持しつつ、処理時間の短縮、構成するH/Wの小型化を図るために理論限界に収束するのが必ずしも効率的でない場合は、上記のように打切基準を設けて処理を中断させる方が効率がよい。
【0040】
上記例では、差分処理は差分絶対値により算出しているが、符号付の差分処理でもよく、特に制限されるものではない。この場合、差分結果が正値で収束閾値J5より小さい場合には第1の合成画像[N]または第2の合成画像[N+1]を出力し、一方、差分結果が負値の場合には評価値[N+1]evが評価値[N]evより大きくなってしまったことを意味するので、最小評価値[N]evに対応する第1の合成画像[N]の方を出力する。
【0041】
以上のように、実施の形態6によれば、画像合成部において、N枚の画像を用いて第1の合成画像[N]を生成すると共に、N+1枚の画像を用いて第2の合成画像[N+1]を生成し、第1の合成画像[N]と第2の合成画像[N+1]について、それぞれ基準画像との間で合成画像の評価値を算出し、第1の合成画像の評価値と第2の合成画像の評価値との差を求め、当該評価値の差が予め指定した収束閾値J5以下である場合に第1の合成画像[N]または第2合成画像[N+1]を出力とするようにしたので、解像度を維持してランダムノイズを抑制することができ、あるいはノイズ抑制により解像度を向上させることができる。
【0042】
実施の形態7.
図12および図13は、この発明の実施の形態6に係る画像合成部の画像合成方法を示す説明図である。
図12(a)において、画像21、画像22、・・・、画像2N+iは、それぞれが時間的に異なる入力画像で、画像合成の対象となるN+i枚の画像を表わす。また、図12(b)において、合成画像[N+i]は、上記実施の形態1から実施の形態4で述べた何れかの処理により図12(a)のN+i枚の画像を用いて合成された画像を表わす。一方、図13(a)において、画像21、画像22、・・・、画像2N+i+1は、それぞれが時間的に異なる入力画像で、画像合成の対象となるN+i+1枚の画像を表わす。また、図13(b)において、合成画像[N+i+1]は、上記実施の形態1から実施の形態4で述べた何れかの処理により図13(a)のN+i+1枚の画像を用いて合成された画像を表わす。
なお、この実施の形態7では、上記実施の形態6で合成画像[N]と合成画像[N+1]のそれぞれの評価値の差が予め指定した収束閾値J5以上となった場合においても、出力できるように合成画像を再生成する方法について述べる。
【0043】
画像合成部(図1の画像合成部40、図3の画像合成部60または図5の画像合成部100)では、図10に示される基準画像(画像21)と第1の合成画像[N]の差分絶対値和を評価値[N]evとして算出すると共に、図11に示される基準画像(画像21)と第2の合成画像[N+1]の差分絶対値和を評価値[N+1]evを算出する。次に、算出した評価値[N]evと評価値[N+1]evの差分絶対値を算出する。そして、これら評価値の差分絶対値を指定した収束閾値J5と比較し、当該収束閾値J5以上である場合には、画像を1枚増やして、図12に示される合成画像[N+i]を生成し、基準画像(画像21)と合成画像[N+i]の差分絶対値和を評価値[N+i]evとして算出する。この時i=2である。次に、前回算出した評価値[N+1]evと今回算出した評価値[N+i]evの差分絶対値を算出し、この評価値の差分絶対値が指定した収束閾値J5以下となった場合、合成画像[N+1]または[N+i]を出力する。
【0044】
一方、上記評価値[N+1]evと評価値[N+i]evの差分絶対値が指定した収束閾値J5以上であった場合には、さらに合成する画像を1枚増やし、図13に示される合成画像[N+i+1]を生成し、基準画像(画像21)と合成画像[N+i+1]の差分絶対値和を評価値[N+i+1]evとして算出した後、評価値[N+i]evと評価値[N+i+1]evの差分絶対値を算出する。そして、この算出された評価値の差分絶対値が指定した収束閾値J5以上の場合は、順次「i」を1ずつ増やして合成枚数が1枚異なる2つの評価値を算出し、この2つの評価値の差分絶対値と収束閾値J5とを比較して合成画像を出力するかの判定を行う。すなわち、NとN+1、あるいはN+1とN+2の2つの組合せのみで合成画像の出力判定をするのではなく、合成画像数N枚は任意の枚数でよく、合成枚数が1枚異なる2つの評価値を算出し、その2つの評価値の差分絶対値と収束閾値J5とを比較して合成画像を出力するかの判定を行えればよい。
【0045】
上記例では、差分処理は差分絶対値により算出したが、符号付の差分処理でもよく、特に制限されるものではない。この場合、差分結果が正値で閾値より小さい場合は合成画像[N+i]または合成画像[N+i+1]を画像合成部より出力し、差分結果が負値の場合は評価値[N+i+1]evが評価値[N+i]evより大きくなってしまったことを意味するので最小評価値[N+i]evに対応する合成画像[N+i]を画像合成部より出力する。
また、上記例は、装置として実現するための例であり、性能を維持しつつ、処理時間の短縮、構成するH/Wの小型化を図るために理論限界に収束するのが必ずしも効率的でない場合は、上記のように打切基準を設けて処理を中断させる方が効率がよい。
【0046】
以上のように、この実施の形態7によれば、上記実施の形態6の画像合成部において、N枚の画像を用いた第1の合成画像の評価値とN+1枚の画像を用いた第2の合成画像の評価値との差が指定した収束閾値J5より大きい場合、画像を1枚増やしてN+2枚の画像を用いて第3の合成画像を生成すると共に、基準画像との間で第3の合成画像の評価値を算出し、第2の合成画像と第3の合成画像の評価値との差を求め、この評価値の差が収束閾値J5以下なら第2の合成画像または第3の合成画像を出力し、一方、第2および第3の合成画像の評価値との差が収束閾値J5より大きい場合には、画像を1枚増やして次の合成画像を生成して同様な合成画像を出力するかの判定を行うというように、合成画像の評価値の差が収束閾値J5より大きい場合には順次同じ処理を繰り返すようにしたので、解像度を維持してランダムノイズを抑制することができ、あるいはノイズ抑制により解像度を向上させることができる。
【0047】
実施の形態8.
上記実施の形態1から実施の形態7では、相関データや評価値として差分絶対値和を用いていたが、これらの相関データや評価値は、差分絶対値和の他、差分2乗和、あるいは2つの画像の相違を定量的に表した値であれば任意の算出値でよく、特に限定されるものではない。これは、2つの画像の相違の程度が定量的に表現され、その値の大きさで類似度、相関度が判断できればよいからである。
以上のように、実施の形態8によれば、合成画像の評価値を、差分絶対値和、差分2乗和、あるいは2つの画像の相違を定量的に表した値としたので、2つの画像の相違の程度が定量的に表現でき、その値の大きさで類似度、相関度が判断でき、上記実施の形態1から実施の形態7に適用することで、解像度を維持してランダムノイズを抑制することができ、あるいはノイズ抑制により解像度を向上させることができる。
【0048】
実施の形態9.
上記実施の形態1から実施の形態8において、N枚の画像を用いて合成する場合は、そのまま同一位置のN個の画素の合成処理を行うか、移動している対象領域については、基準画像以外の対象領域の画素を除き、同一位置相当の画素については画像合成を行っている。低照度等撮影条件が悪い状態で撮影された画像はノイズを多く含んでいる。このノイズを低減または除去するために、上記実施の形態1から実施の形態8の方法により画像合成を行っている。
【0049】
この実施の形態9では、画像合成部において、さらに合成する画素の選択を行うようにする。すなわち、3枚以上の画像で同一位置の画素の合成処理を行う際に、各画像の同一位置の画素の最大値、最小値の画素値の何れかを除外して合成処理を行う。この合成処理の場合、画素の真値から極端に離れている画素を除外するため、ノイズの影響を抑制することができる。例えば、低照度で画素レベル値が低い領域に集中している場合、特に最大値の画素を除外することで合成画像の画素値が真値から高い方にシフトするのを抑制することができる。
この例では、各画像の同一位置の画素の最大値、最小値の画素値の何れかを除外して合成処理を行うようにしているが、同一位置の画素の最大値、最小値の両方とも除外して合成処理を行ってもよい。
【0050】
以上のように、この実施の形態9によれば、画像合成部において、3枚以上の画像で同一位置の画素の合成処理を行う際、各画像の同一位置の画素の最大値、最小値の画素値の何れか一方か、または同一位置の画素の最大値、最小値の両方を除外して合成処理を行うようにしたので、合成画像の画素値の真値からのずれ量を抑制し、解像度を維持してランダムノイズを抑制することができ、あるいはノイズ抑制により解像度を向上させることができる。
【0051】
実施の形態10.
上記実施の形態9では、3枚以上の画像で、各画像の同一位置の画素の最大値、最小値の画素値の何れか一方、または同一位置の画素の最大値、最小値の両方を除外して合成処理を行うようにしているが、この実施の形態10では、次のような方法で合成する画素の選択を行う。
画像合成部において、合成対象となるN枚の画像に対し同一位置の画素による第1の加重平均と標準偏差を算出し、同N枚の画像の同一位置の画素のうちから、第1の加重平均が標準偏差に係数を乗じた値より離れた値を持つ画素を除外した残りの画素により合成処理を行うようにする。この方法による処理も、上記実施の形態9と同様、画素の真値から極端に離れている画素を除外するため、ノイズの影響を抑制することができる。
【0052】
N枚の合成対象画像において、ある同一位置の画素をP、第1の加重平均をAVEw、標準偏差をSDとし、標準偏差に乗じる係数をw1、w2としたとき、例えばN枚の画像の同一位置の画素のうちから以下の条件に合う画素を除外する。
1)同一位置の画素P<AVEw−(SD×w1) (画素P<AVEw)
2)画素P>AVEw+(SD×w2) (画素P>AVEw)
ここで、例えば上記「AVEw−(SD×w1)」および「AVEw+(SD×w2)」が何れも画素値レンジ内であれば、w1=w2とすることで、AVEwから上下対象に分布されている画素を扱って合成処理を行うことができるが、低照度で画素レベル値が低い領域に集中している場合、特に「AVEw−(SD×w1)」が画素値レンジの下限を下回る場合、標準偏差に乗ずる係数を平均値より下の場合と上の場合で別の係数にし、平均値より上の場合の係数の方を小さくする(w1>w2)ことで合成画像の画素値が真値から高い方にシフトするのを抑制する。この時w2=(AVEw−画素値レベル下限値)とすると、AVEw上下のレンジがちょうど対象になる。
なお、この例では、係数w1,w2の値をAVEw上下のレンジがちょうど対象になるように設定したが、AVEw上下のレンジがちょうど対象にならない場合でも、ノイズの影響を抑制するために画素の真値から極端に離れている画素を除外できればよく、また、合成画像の画素値が真値からずれるのを抑制できればよい。
【0053】
以上のように、この実施の形態10によれば、画像合成部において、対象となるN枚の画像に対し同一位置の画素による第1の加重平均と標準偏差を算出し、N枚の画像の同一位置の画素のうちから第1の加重平均が標準偏差に係数を乗じた値より離れた値を持つ画素を除外して、残りの画素により合成処理を行うようにしたので、合成画像の画素値の真値からのずれ量を抑制し、解像度を維持してランダムノイズを抑制することができ、あるいはノイズ抑制により解像度を向上させることができる。
【0054】
以上、各実施の形態では画像処理装置を対象として説明してきたが、これら画像処理装置で行っている各部の処理機能は、コンピュータ上で実行するプログラム(画像処理プログラム)の処理に置き換えることで構成できるものである。したがって、この発明は、画像処理プログラムとして、上記各実施の形態の画像処理装置と同様の処理を実行することで、解像度を維持してランダムノイズを抑制すること、あるいはノイズ抑制により解像度を向上させることを可能にする。
【符号の説明】
【0055】
20 画像記憶部、30 画像相関算出部、40 画像合成部、50,90 領域探索部、60 画像合成部、70 画像相関算出部、80 画像変換部、100 画像合成部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、撮影されたデジタル画像上に現れるランダムノイズの抑制を行う画像処理装置および画像処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、近年、イメージセンサの高画素化が進み、デジタルカメラはフィルムカメラに近づくほどの高精細な画像を取得できるようになった。しかし、イメージセンサを用いて撮影したデジタル画像の場合、画像上にランダムな粒状のざらつきとなって現れるノイズ(以下、ランダムノイズと呼ぶ)が発生し、画像の品質に大きな影響を及ぼしている。ランダムノイズには、輝度ノイズ(または照度ノイズ)とカラーノイズ(またはクロミナンスノイズ)があり、カラーノイズは、シャドー部分およびカラーが均一な部分に特に発生し、人の目には、輝度ノイズよりも不快に映る。ランダムノイズの原因としては、様々あるが、光とイメージセンサの物理的性質がもっとも大きな要因と言われている。センサノイズにも読み出しノイズ、受光素子ノイズ、光子ノイズ、暗電流など、色々な原因が考えられる。ノイズ除去の簡単な方法としては、画像上のそれぞれのピクセル値を隣接ピクセルとの平均値で置き換えるという方法があるが、ランダムノイズによるばらつきを減少させることはできるが、同時に画像のディテールを平滑化してしまうため、画像の先鋭度を著しく失ってしまうという問題がある。
【0003】
また、上記ランダムノイズを除去するための技術として、フィルムスキャナによって取得された撮影画像データにおけるランダムノイズを加重平均フィルタリング処理によって抑制する画像処理方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。この方法では、撮影画像データを構成する画素群から注目画素を順次設定し、注目画素を中心とした加重平均フィルタリング処理のための演算領域内に位置する各周辺画素と注目画素との間の画素値の差分値を算定し、算出した差分値に応じて加重平均フィルタリング処理に用いられる重み係数を決定し、決定した重み係数を用いて加重平均フィルタリング処理を実行して注目画素の補正画素値を求めるというものである。また、この方法では、上記差分値に応じて、0〜1を定義範囲とする重み係数を決定する際に、差分値が0の場合重み係数を1とし、差分値の絶対値が設定された閾値以上の場合重み係数を0とし、差分値が0より大きくて閾値より小さい場合差分値の絶対値の増加に伴い1から単調減少すると共にその後1に単調増加していく数値群から決められる数値を重み係数としている。この方法によれば、撮影画像データにおいて、平坦領域はもとより、輪郭及びその付近においても十分にランダムノイズを抑制できると共に、写真が持つ細かいディテールと質感が維持されるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−302023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の画像処理方法では、ランダムノイズを低減させるためにぼかし(平滑化)処理として加重平均フィルタリング処理を施している。その際、注目画素と各周辺画素との間の画素値の差分値を算定し、その差分値に応じて加重平均フィルタリング処理を施すことで、輪郭部分の質感が維持されるランダムノイズ抑制が可能とされている。また、上記特許文献1の方法は、対象となる1フレームの画像内で注目画素とその周辺画素とを用いてフィルタリング処理する、いわゆる空間フィルタリング処理を施している。そのため、差分値に応じて加重平均フィルタリング処理を施すことにより、輪郭部分の質感が維持されるとしているが、輪郭部分以外の領域については、ランダムノイズ低減と共にぼやけてしまう。すなわち、解像度感が低下してしまうという問題がある。
なお、この発明では、後述するように時間的に異なる複数の画像を用いた画像処理により解像度感を損なわずにランダムノイズを低減しているが、上記特許文献1には、対象となる画像以外に他の画像を用いた、いわゆる時間方向の画像処理について示唆する記載は見られない。
【0006】
この発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、撮影画像から解像度感を損なわずにランダムノイズを低減あるいは除去することができる画像処理装置および画像処理プログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る画像処理装置は、異なる時間に撮影されたフレーム単位の複数画像を入力し記憶する画像記憶部と、画像記憶部から読み出した近傍の異なる時間の複数画像の一つを基準画像とし、当該基準画像と基準画像以外の画像との相関処理を行って画像相関データを算出する画像相関算出部と、算出された画像相関データと予め指定された相関閾値とを比較し、画像相関データが相関閾値以下の場合にのみ基準画像と基準画像以外の画像とを合成する画像合成部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、時間的に異なる複数の画像を用い、相関関係が高い部分の画像を合成することで一枚の画像を得るようにしているので、従来のようなぼかし(平滑化)処理を用いないため、解像度を損なうことなくランダムノイズを抑制することができ、あるいはノイズ抑制により解像度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1による画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】同実施の形態1に係る画像合成部における合成処理方法を示す説明図である。
【図3】同実施の形態2による画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】同実施の形態2に係る画像合成部における合成処理方法を示す説明図である。
【図5】同実施の形態3による画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図6】同実施の形態3による画像処理装置の機能構成の他の例を示すブロック図である。
【図7】同実施の形態3に係る画像合成部における合成処理方法を示す説明図である。
【図8】同実施の形態3に係るアフィン変換の方法について示す説明図である。
【図9】同実施の形態3に係るアフィン変換後の画像と他の入力画像の比較について示す説明図である。
【図10】同実施の形態5に係る画像合成部の画像合成方法を示す説明図である。
【図11】同実施の形態6に係る画像合成部の画像合成方法を示す説明図である。
【図12】同実施の形態7に係る画像合成部の画像合成方法を示す説明図である。
【図13】同実施の形態7に係る画像合成部の画像合成方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図1において、実施の形態1の画像処理装置は、画像記憶部20、画像相関算出部30および画像合成部40を備えている。また、11は入力画像、21は画像記憶部20より読み出された画像、22は画像記憶部20より読み出された画像であるが、画像21とは撮影された時間が異なる画像、31は画像相関算出部30により演算された画像相関データ、41は画像合成部40より出力された合成画像である。
【0011】
画像記憶部20には、例えばある所定の画角で、かつ異なる時間(例えば毎秒2コマ、3コマというように)に撮影したフレーム単位の複数の画像11を順次入力し記憶する。画像相関算出部30では、画像記憶部20から、時間的に異なる、例えば2枚の画像21および画像22を読み出して、両画像間で相関処理を行って画像相関データ31を算出する。ここでは、例えば画像21を基準画像とする。また、画像21と画像22とのフレーム間差分絶対値和を画像相関データ31として算出する。画像合成部40では、画像相関算出部30で算出された画像相関データ31と予め指定された閾値(これを「相関閾値」とする)J1とを比較し、この比較結果に基づいて画像の合成処理を実施する。ここでは、画像相関データ31が相関閾値J1以下の場合、画像21と画像22とは相関関係が高いとみなし、その2つの画像の合成処理を行う。一方、画像相関データ31が相関閾値J1より大きい場合は、画像21と画像22とは相関関係は低いとみなして、画像合成部40はその2つの画像の合成処理は行わない。画像合成部40における画像の合成処理としては、画像の加算平均処理を行う。すなわち、画像21と画像22は相関関係が高い場合は、図2に示すように、画像21と画像22の同一画素位置の画素同士で加算平均処理を施す。これにより、画像21と画像22それぞれに混在しているランダムノイズが平均化されて抑制される。また、相関関係が高い画像21と画像22で、同一画素位置の画素を用いて加算平均処理を行っているため、空間的に近傍の画素の影響を受けることがなく、解像度を維持することが可能となる。
【0012】
なお、上記例では、図1において、画像記憶部20と画像相関算出部30の間を画像21と画像22のパラレル伝送の2本としたが、1本のデータバスにより画像21、画像22を時系列で順次伝送するようにしてもよい。また、画像記憶部20と画像相関算出部30との間のデータバスの本数によらず、取り扱う画像データを画像21と画像22の2つの画像だけでなく、3つ以上の時間的に異なる画像を扱うようにしてもよい。この場合、例えば、画像記憶部20と画像相関算出部30との間のデータバスを1本とし、時間的に異なる5つの画像21〜画像25を扱った場合、基準画像を例えば画像21として、その他の画像22〜画像25との相関としてそれぞれ画像相関データ31(基準画像21と画像22との相関を指標化したデータ、以下同様)、画像相関データ32、画像相関データ33、画像相関データ34を算出し、各画像相関データと相関閾値J1とをそれぞれ比較する。そして、何れの画像相関データも相関閾値J1以下の場合は、画像21〜画像25全ての画像の加算平均処理を行って合成画像を算出する。もし、画像相関データ33だけが相関閾値J1より大きい場合は、画像24を除いた残りの4枚の画像21,22,23,25の加算平均処理を行って合成画像を算出すればよい。
【0013】
上記例では、画像相関データを算出する場合、対象となる画像のフレーム間差分絶対値和を算出しているが、この場合、対象となる画像のそれぞれの平均値を合わせてからフレーム間差分絶対値和を算出してもよい。また、対象となる画像のそれぞれの最大値を合わせるようにそれぞれの画像にオフセットを加算してからフレーム間差分絶対値和を算出してもよいし、逆に対象となる画像のそれぞれの最小値を合わせるようにそれぞれの画像にオフセットを加算してからフレーム間差分絶対値和を算出してもよい。また、対象となる画像のそれぞれの中央値を合わせるようにそれぞれの画像にオフセットを加算してからフレーム間差分絶対値和を算出してもよい。さらに、対象となる画像を基準画像のダイナミックレンジに合わせるようにそれぞれの画像にオフセットを加算したり、重み付け係数を乗じてダイナミックレンジを合わせてからフレーム間差分絶対値和を算出してもよい。さらに、同一画素位置の画素を用いて画像21、画像22等の画像をそのまま加算平均しているが、上記等の処理を対象となる画像に対して施してから加算平均処理を行うようにしてもよい。すなわち、画像相関データを算出する際、対象となる画像を基準画像の特性になるべく合わせるようにしてから画像相関データを算出してもよく、これにより画像の単なる信号レベルの差異だけではなく、信号レベルをなるべく抑制することで画像の絵柄の同一性を評価することができる。
【0014】
また、上記例では、画像相関データとしてフレーム間差分絶対値和を算出するとしたが、これに代る算出値とし、フレーム間差分2乗和、フレーム間差分絶対値最大値、フレーム間差分絶対値最大値の度数、もしくは対象となる画像の相関を定量的に表した値、またはこれらを組合せた値を用いてもよい。
また、画像相関データの相関閾値J1の値は任意としてよい。例えば、ノイズが強く画像相関データが大きい場合、相関閾値J1を大きくすることで対象画像を除外せずに画像合成処理を行うことができる。合成する画像が多いほど画像に混入しているランダムノイズが抑制され、合成画像の画素値が真値に近づく傾向があるが、これはランダムノイズが真値を中心とした正規分布あるいは正規分布に準じる分布傾向があるとみなしているためである。
上記例では、画像21を基準画像としたが、その他の画像を基準画像としてもよい。例えば、時系列の最初の画像を基準画像にする、あるいは時系列の最後の画像を基準画像にする等、いろいろ考えられるが、この基準画像の決め方は制限されるものではない。このことは、以下の他の実施の形態においても同様である。
【0015】
以上のように、この実施の形態1によれば、異なる時間に撮影されたフレーム単位の複数の画像を画像記憶部に記憶し、画像記憶部から読み出した近傍の異なる時間の複数の画像の一つを基準画像とし、当該基準画像とその他の画像との相関処理を行って画像相関データを算出し、算出された画像相関データと予め指定された相関閾値とを比較し、この比較結果において画像相関データが相関閾値以下の場合にのみ、基準画像と基準画像以外の画像とを合成するようにしている。したがって、従来技術のようなぼかし(平滑化)処理を用いないため解像度を損なうことなくランダムノイズを抑制することができ、あるいはノイズ抑制により解像度を向上させることができる。
【0016】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、画像の相関および画像の合成処理をフレーム単位で行っているが、これは入力画像が時系列で入力された静止画であって、画像の画素位置が画面内で変わらない場合に有効である。一方、入力画像が常時静止画とは限らず、画面内の一部に移動物体が映っている場合がある。このような場合には、移動物体の映像は、時系列で入力されたそれぞれの画面内で異なる位置に現れることになる。この発明の実施の形態2では、このように一部に移動物体が映っているような複数の画像を合成することで、ランダムノイズを抑制する方法について説明する。
図3は、この発明の実施の形態2による画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図3において、実施の形態2の画像処理装置は、画像記憶部20、領域探索部50および画像合成部60を備えている。また、51は領域情報データ、52は画像相関データ、61は画像合成部60より出力された合成画像を表わす。なお、図1と同一符号は同じものを意味する。領域探索部50は、図1の画像相関算出部30相当の機能を含んでいるものとする。また、この実施の形態2の画像合成部60では、画像合成処理は対象画像の加算平均処理を行うものとする。
【0017】
領域探索部50では、まず、画像記憶部20から読み出した時系列の画像21と画像22から、基準画像とする画像21上の移動物体が映る対象領域と最も相関が高い領域を画像22より探索し、最も相関が高い領域を示す領域情報データ51を生成する。
対象領域の探索は、基準画像(画像21)を複数の画像ブロック(矩形ブロック)に分割し、ブロック単位で最も評価値(本例では差分絶対値和とする)の小さい画像ブロックを画像22より探索する。画像ブロック毎に順次探索を行っていき、画面内の各ブロックの動きベクトルの分布をグルーピングする。同一ベクトル値あるいは指定した範囲内のベクトル値をグルーピングし、ベクトル値範囲が条件に合うグルーピングを画像合成対象とする。この時、領域情報データ51はグルーピングの範囲を表し、[x1,y1]〜[x2,y2]という矩形範囲や[x11,y11]〜[x12,y12]、[x21,y21]〜[x22,y22]、[x31,y31]〜[x32,y32]という矩形範囲の合成範囲等で表す。
【0018】
領域探索部50は、次に、画像21と画像22で画像間の相関処理を行って画像相関データ52を算出する。上記グルーピングされた対象領域の相関データは、対象領域内の各ブロックの評価値(差分絶対値和)の総和とする。例えば、[x11,y11]〜[x12,y12]、[x21,y21]〜[x22,y22]、[x31,y31]〜[x32,y32]という矩形範囲の合成範囲が条件に合う対象領域である場合は、3つのブロック評価値の総和を画像相関データ52とする。
画像合成部60では、画像相関データ52が予め指定された相関閾値J2以下の場合、領域情報データ51に基づいて画像22から対象領域を抽出し、基準画像である画像21の対応する領域と加算平均処理を行う。
【0019】
この実施の形態2の上記例では、グルーピングされた対象領域の相関データとしては、領域探索の各ブロックの評価値(ブロック間差分絶対値和)の総和としたが、上記評価値の他に、対象領域の差分2乗和、対象領域内の差分絶対値最大値、対象領域内の差分絶対値最大値の度数あるいは対象領域画像の相関を定量的に表した値、その他2つの画像の相違を定量的に表した値、またはこれらの組合せた値を適用してもよい。
また、上記例では、グルーピングされた対象領域のみ画像合成処理を施したが、グルーピングされた対象領域以外にも画像合成処理を施してもよい。例えば、図4に示すように、合成対象の画像が画像21、画像22、画像23であり、画像21を基準画像とし、画像21、画像22、画像23の画面内に同じ移動物体の映像である対象領域A1,A2,A3がそれぞれあったとする。この場合、画像21内の対象領域A1と画像22内の対象領域A2と画像23内の対象領域A3とを合成(加算平均処理)すると共に、画像21内の対象領域A1以外の領域と、画像22内の「対象領域A2と画像21内の対象領域A1の領域」以外の領域と、画像23内の「対象領域A3と画像21内の対象領域A1の領域」以外の領域との画像合成を行ってもよい。さらにこの場合、画像21、画像22、画像23で除外しない同一位置の画素が3画素ある場合(3枚の画像なので、3画素が最大)、同一位置の3画素の合成(加算平均処理)を施し、画像21、画像22、画像23で、各画像内の対象領域A1,A2,A3および画像21内の対象領域A1に相当する領域を除外した同一画素が2画素の場合(図4では移動する対象領域は移動量が少なくて、画像21、画像22、画像23で何れも対象領域A1,A2,A3である画素位置がないので、少なくとも2画素は対象領域以外の背景画像になる)、同一位置の2画素の合成を施す。
【0020】
以上のように、この実施の形態2によれば、基準画像上の移動物体が映る対象領域と最も相関が高い領域を基準画像以外の画像より探索して領域情報データとして出力すると共に、基準画像と当該基準画像以外の画像間で相関処理を行って画像相関データを算出し、算出された画像相関データが予め指定された相関閾値よりも低い場合には、基準画像の対象領域に、領域情報データが示す基準画像以外の画像上の相関が最も高い領域を合成し、一方、算出された画像相関データが指定された相関閾値よりも高い場合には、基準画像から対象領域を除いた画像に、基準画像以外の画像から相関が最も高い領域を除いた画像を合成するようにしている。したがって、画面内に移動する対象がある場合でも、基準画像内の移動対象と基準画像以外の画像内の移動対象の画素位置合わせを行えるため、移動対象以外の領域については勿論のこと、移動対象のある領域についても、解像度を維持してランダムノイズを抑制することができ、あるいはノイズ抑制により解像度を向上させることができる。
【0021】
実施の形態3.
図5は、この発明の実施の形態3による画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図5において、この実施の形態3の画像処理装置は、画像記憶部20、画像相関算出部70、画像変換部80、領域探索部90および画像合成部100を備えている。また、71は画像相関データ、81は画像変換パラメータ情報、82は変換ブロック画像(アフィン変換ブロック画像)、91は領域情報データ、92は画像相関データ、93は変換画像データ、101は合成画像データ、211は変換後の画像(アフィン変換フレーム画像)アフィン変換フレーム画像を表わす。なお、図1および図3と同じ符号を付した部分は同じものを意味する。領域探索部90は、図3の領域探索部50と同様、図1の画像相関算出部30相当の機能を含んでいるものとする。
ここでは、画像21より時間的に古い画像22を基準画像とした例について説明するが、時間的に新しい画像を基準画像にしてもよいことは勿論である。
【0022】
入力される連続的な画像として、画面全体が前方から手前に移動して来る場合や、図7に示すように移動対象が紙面前方から手前に向かって迫って来るように時系列で映っている画像がある。この発明の実施の形態3では、このような複数の画像を合成することで、ランダムノイズを抑制する方法について説明する。
画像相関算出部70は、画像記憶部20から読み出した異なる時間の画像21と画像22について、画面内を複数領域に分割してそれぞれの領域毎に画像の相関処理を行い、画像相関データ71を算出して画像変換部80に与える。
ここで、画面全体が前方から手前に移動する場合や、図7に示すように移動対象Bのみ移動する場合があるが、いずれにしても移動領域については、基準画像(画像22)と比較対象画像(画像21)とで同一位置の領域の相関は低い傾向を持つ。これは移動により被写体の映像が変化するためである。また、図7が前進する車等の乗り物から前方を撮影した画像を表わしているとした場合、画像21や画像22において画面中央の無限遠方周辺と画面端付近とでは見た目の移動量は異なる。すなわち、移動対象Bは画面中央近くにあるほどゆっくり移動しており、また画面端に近づくほど速く移動する傾向を持つ。そのため、注目対象が移動している場合は、その画面内での位置が異なるために、図7に示すように、ある時刻で画像21の位置にある移動対象Bは、別の時刻には画像22の位置に移動しており、移動対象Bの形状が変わり大きく映ることになる。この時、乗り物内から見た移動対象Bは画像21と画像22とで見る位置(角度)が異なるために、画像21における移動対象Bと画像22における移動対象Bとは相似形にはならない。
【0023】
また、図7で、画像21と画像22において画面全体が動いている(例えば、乗り物に乗って撮影している場合、実際には移動しているのは乗り物自身であるが、乗り物内から撮影した外の映像は相対的に動いて見える)場合、画像21と画像22を画面全体の相関、あるいは画面を複数の領域に分割してそれぞれの領域に対する上記2つの画像21と画像22の相関はいずれも低くなる傾向にある。これは、乗り物から見える外の画像である画像21と画像22自身が移動しているため、のっぺりした単調な画像でない限り、同一位置の画素は一般的に同じ対象の画素でないか、あるいは同じ対象であっても絵柄の異なる位置の画素になっているためである。
【0024】
画像変換部80では、画像相関データから判定して基準画像とする画像22内の指定領域(画像22の画面そのものに相当する)と当該指定領域に対応する画像21の画像領域との相関が画面内の位置により異なる場合に、画像変換パラメータ81に基づいて、画像21の画像領域を画像(基準画像)22に合わせるように画像変換(アフィン変換)し、変換後の画像(アフィン変換フレーム画像)211と変換ブロック画像(アフィン変換ブロック画像)82を領域探索部90に出力する。
図7で説明したように、画像21、画像22は乗り物から前方を撮影した画像であり、画像21を画像(基準画像)22と同じように手前に近づいた画像にするために、図8に示すように画像21の一点破線内の画像(基準画像の指定領域に対応する画像領域)をアフィン変換する。アフィン変換後の画像(アフィン変換フレーム画像)211上の破線部は、画像22に写されている移動後の対象領域Bを仮想的に記載したもので、実際には変換後の画像211上には存在していないものである。
ここで用いる画像変換パラメータ81は、例えば、画面内の位置に応じた水平用および垂直用アフィン変換係数である。なお、設定係数は任意でよく、画面中心(無限遠方点)から画面内の距離(実空間上の距離でなく画面上の見かけの距離)に応じて係数を設定したり、画面内の距離をカテゴリ分けして同一カテゴリには同一係数を設定したり、画面内の領域をカテゴリ分けして同一カテゴリには同一係数を設定したり、図7の対角線のように点線で分割された4つの領域それぞれに係数を設定したりしてもよい。
【0025】
次に、図9は、変換後の画像211と基準画像である画像22を比較する図である。画像22の中央付近にある実線の矩形領域内は、画像22で見えてきた領域で、変換後の画像211では小さすぎて見えなかった領域である。図9(右図)は変換後の画像211と画像22を比較した結果を示すものであるが、相対的に相違が大きいのは、破線領域部分である。すなわち、移動に伴う移動対象Bの部分(破線領域で重なっている部分であっても、領域内の相対的な位置が異なるため、この重なり領域についても相対的に相違が大きくなる)と画像22で新たに見えてきた中央付近の矩形領域である。
【0026】
領域探索部90では、画像変換部80で画像変換された変換後の画像211から、画像合成対象となる領域を探索する。この場合、基準画像である画像22を複数の画像ブロック領域に分割し、ブロック単位で最も評価値(本例では差分絶対値和とする)の小さい画像ブロックを画像変換後の画像211より探索する。図9において、画像変換後の画像211内の対象Bが画像(基準画像)22において移動している場合、画像22内の対象Bと同一画素位置の画像211の画像ブロックとで評価値を算出すると、対象Bが移動しているため差分が大きくなり評価値が大きくなる。よって、画像22内の対象Bに対応する対象を画像211から求めるため、画像211内のブロックの画素位置を順次変えて画像22内の対象Bとでブロック単位に評価値(差分絶対値和)を算出する。画像22内の対象B自身が特定できない場合は、画像22をブロック領域に分割して、画像22の各ブロックに対し評価値が最小となるブロックを画像変換後の画像211より探索して求める。その際、画像22の各ブロックの画面内の座標(画素位置)と画像211の探索されたブロックの画面内の座標が一致した場合は、対象ブロックは移動していないブロック(以下、静止ブロックとする)とみなすことができる。
【0027】
一方、もし画像22内の対象Bを含むブロックに対応する画像211内のブロックが画像22の該当ブロックと画面内の座標が一致しない場合は、対象Bは移動していることがわかる。よって、ブロック毎に静止ブロックか、移動ブロックかの情報を領域情報データ91として設定する。また、ブロック探索で求めた各ブロックの最小評価値を画像相関データ92に設定する。さらに、ブロック単位の画像を変換画像データ93として設定する。後段に接続された部位(画像合成部100)では、変換画像データ93は領域情報データ91により移動ブロックか、静止ブロックかがわかる。領域情報データ91、画像相関データ92、変換画像データ93はブロック数分用意する(H/Wではレジスタやメモリイメージ、S/Wでは配列やポインタイメージになる)。
なお、分割するブロックの形状は任意でよい。また、上記例では、画像22をブロック領域に分割してそのブロック単位に画像変換後の画像211に対し評価値が最小となるブロックを探索したが、逆に画像211をブロック領域に分割してそのブロック単位に画像22に対し評価値が最小となるブロックを探索してもよく、どちらの画像をブロック分割して探索するかは制限されない。
【0028】
図9において、移動対象Bは台形であるので画面分割されたブロックとは形状が異なることもありうるが、移動対象Bと画面分割されたブロックの形状の関係に依存せずに相関度の評価(評価値算出)が行えるので、この発明を制限するものではない。ブロック形状が矩形で移動対象Bが台形の場合、例えば複数の矩形ブロックにより構成された移動対象Bを含むアフィン変換ブロック画像82で構成されたブロック領域と画像(基準画像)22で移動対象Bを含む上記ブロック領域に相当するブロック領域とで差分をとると、移動対象B以外のはみ出し領域については差分が大きくなる傾向がある。これは移動対象Bが移動しているためで、ブロック領域に切出した際に別の絵柄の画像も合わせて切出されるためである。
【0029】
画像合成部100では、領域探索部90で得られた、領域情報データ91に対応して移動ブロック領域または静止ブロック領域に対し、変換画像データ93と基準画像である画像22を、画像相関データ92の値に基づいて画像合成(加算平均処理)する。画像相関データ92が移動ブロック領域または静止ブロック領域それぞれに対し予め指定した相関閾値J3より小さい場合は、変換画像データ93と画像22内の対応ブロックとは相関度が高いとみなし(たとえば、領域探索部90で探索された対象Bや背景は相関度が高い)、変換画像データ93と画像22とを合成する。一方、画像相関データ92が移動ブロック領域または静止ブロック領域それぞれに対し予め指定した相関閾値J3より大きい領域については、画像合成を行なわない。これは、相関閾値J3より大きい領域は変換画像データ93と画像22内の対応ブロックとで相関が低く、画像合成処理により異なる画像が合成される可能性が高く、ノイズ低減や解像度低下抑制の本来の目的を果たしえないためである。
【0030】
なお、上記例では、画像21と基準画像である画像22の2フレームを用いてアフィン変換処理および画像合成処理を行ったが、3フレーム以上の画像を用いてもよい。
また、画像変換パラメータ情報81は、アフィン変換係数、アフィン変換係数セット、移動対象領域に対応するアフィン変換係数候補以外に、移動対象領域の位置情報、移動対象領域の相対移動量や対応するアフィン変換係数等を含んでもよい。
また、画像変換部80、領域探索部90では画像を複数のブロックに分割したブロックを扱ったが、ブロックの分割数は任意でよく、またブロックの形状は矩形に限らず、三角形等その他の形状であってもよい。
また、アフィン変換は画面全体ではなく、必要領域のみ限定して変換を行ってもよく、アフィン変換の種類、順序、領域については制限されない。
また、上記例では、相関閾値J3は移動ブロック領域または静止ブロック領域それぞれに対し予め指定した値であるが、図6の他の構成例に示すように、領域情報データ91を画像合成部100では用いず移動ブロック領域または静止ブロック領域に依存せず予め指定した値に基づいて画像合成を行なってもよい。
【0031】
また、上記例では、図7、図8、図9に示すように移動対象は一つであったが、移動対象が複数あっても同様に行えるものである。
さらにまた、上記例では、移動対象領域の相関データとして領域探索の各ブロックの評価値(ブロック間差分絶対値和)の総和を算出したが、上記評価値の他に、移動対象領域の差分2乗和、移動対象領域内の差分絶対値最大値、移動対象領域内の差分絶対値最大値の度数あるいは移動対象領域画像の相関を定量的に表した値、その他2つの画像の相違を定量的に表した値、またはこれらを組合せた値でもよい。
【0032】
以上のように、この実施の形態3によれば、時間的に近傍の複数画像において、基準画像と基準画像以外の画像との相関処理により第1の画像相関データを算出し、第1の画像相関データから判定して基準画像内の指定領域と当該指定領域に対応する基準画像以外の画像の画像領域との相関が画面内の位置により異なる場合、基準画像以外の画像の対象領域を基準画像内の指定領域に合うように画像変換し、この変換後の画像から基準画像にある移動対象領域と最も相関が高い画像領域を探索し、探索単位毎に、変換画像データ、移動対象領域であるか否かを表す領域情報データ、および変換後の画像と基準画像間の相関処理による第2の画像相関データを算出し、第2の画像相関データが予め指定した相関閾値より小さい場合にのみ、前記変換画像データを前記基準画像の対応する領域と合成するようにしている。したがって、画面全体が変化し、かつ画面内に移動する対象がある場合でも、移動対象について、および移動対象以外の背景領域について、解像度を維持してランダムノイズを抑制することができ、あるいはノイズ抑制により解像度を向上させることができる。
【0033】
実施の形態4.
上記実施の形態1から実施の形態3では、画像合成処理として加算平均処理を行っているが、これに代って、加算処理、加重加算処理、加重平均処理またはフィルタ処理を行ってもよい。
加算処理は、低照度の画像を合成する時に行うとよい。低照度のため画素レベルが低い範囲で画素値が分布しているが、加算処理を行うことでランダムノイズが抑制されると共に輝度レベルの範囲を広げることができる。
上記実施の形態2、実施の形態3で説明したように、対象領域が移動することにより部分的に合成する画素数が異なる場合は、加重加算処理を行うことで対応することができる。すなわち、3枚の画像に対し、同一位置の画素の加算を3画素で行う場合はそのまま加算し、1画素除外して2画素で加算する場合は、加算結果を3/2倍する。これにより、周辺との画素レベルのレンジが合うことになる。また、加算するそれぞれの画素に対し重み付けを図って加算してもよい。さらに、単純加算平均でなく、平均処理するそれぞれの画素に対し重み付けを図って平均処理する加重平均処理を行ってもよい。
また、実施の形態3では、画像変換部80での画像変換はアフィン変換を行っているが、拡大、縮小、回転、上下左右斜めの移動、反転の何れか、またはこれらの組合せでもよい。
【0034】
以上のように、この実施の形態4によれば、画像合成処理として加算平均処理、加算処理、加重加算処理、加重平均処理またはフィルタ処理を行うようにし、また画像変換として拡大、縮小、回転、上下左右斜めの移動、反転の何れか、またはこれらの組合せのアフィン変換を行うようにしたので、画面全体が変化し、かつ画面内に移動する対象がある場合でも、移動対象についておよび移動対象以外の背景領域について、解像度を維持してランダムノイズを抑制することができ、あるいはノイズ抑制により解像度を向上させることができる。
【0035】
実施の形態5.
図10は、この発明の実施の形態5に係る画像合成部の画像合成方法を示す説明図である。
図10(a)において、画像21、画像22、…、画像2Nは、それぞれが時間的に異なる入力画像で、画像合成の対象となるN枚の画像を表わす。ここでは、画像21を基準画像とする。また、図10(b)において、合成画像[N]は、上記実施の形態1から実施の形態4で述べた何れかの処理により図10(a)の合成の対象となるN枚の画像を用いて合成された画像を表わす。
【0036】
画像合成部(図1の画像合成部40、図3の画像合成部60または図5の画像合成部100)では、基準画像(画像21)と算出した合成画像[N]との差分絶対値和を評価値として算出し、この算出した評価値を予め指定した閾値(これを「画素ずれ閾値」とする)J4と比較し、画素ずれ閾値J4以下であった場合にのみ合成画像[N]を出力する。これは、合成画像Nにランダムノイズ以上の画素レベルのずれがないかを調べるためのものである。合成画像[N]のランダムノイズが低減または除去された場合は、基準画像(画像21)と合成画像Nによる評価値はランダムノイズの評価値とみなすことができ低い値を示すが、対象領域等で画素ずれが起こり、ランダムノイズ以上のずれが生じている場合は、上記評価値は大きくなる。したがって、上記評価値を画素ずれ閾値J4と比較することにより、合成画像Nが適切か否かを判定することができる。なお、画素ずれ閾値J4は、ランダムノイズおよびランダムノイズ以外の画素ずれとして許容できる範囲の値であれば任意の値でよい。
【0037】
以上のように、実施の形態5によれば、画像合成部において、N枚の画像を用いて生成した合成画像と基準画像の評価値を算出し、当該評価値が予め指定した画素ずれ閾値J4以下である場合にのみ合成画像を出力するようにしたので、解像度を維持してランダムノイズを抑制することができ、あるいはノイズ抑制により解像度を向上させることができる。
【0038】
実施の形態6.
図11は、この発明の実施の形態6に係る画像合成部の画像合成方法を示す説明図である。
図11(a)において、画像21、画像22、…、画像2N+1は、それぞれが時間的に異なる入力画像で、画像合成の対象となるN+1枚の画像を表わす。ここでは、画像21を基準画像とする。また、図11(b)において、合成画像(第2の画像)[N+1]は、上記実施の形態1から実施の形態4で述べた何れかの処理により図11(a)の合成の対象となるN+1枚の画像を用いて合成された画像を表わす。なお、この実施の形態6では、上記実施の形態5と同じようにN枚の画像を用いて生成された合成画像(第1の画像)[N]も用いる。
【0039】
画像合成部(図1の画像合成部40、図3の画像合成部60または図5の画像合成部100)では、まず、基準画像(画像21)と第1の合成画像[N]の差分絶対値和を評価値[N]として算出すると共に、基準画像(画像21)と第2の合成画像[N+1]の差分絶対値和を評価値[N+1]evとして算出する。次に、算出した評価値[N]evと評価値[N+1]evの差分絶対値を算出する。そして、この算出された評価値の差分絶対値を予め指定した閾値(これを「収束閾値」とする)J5と比較し、収束閾値J5以下である場合に合成画像[N]または[N+1]を出力する。これは、評価値[N]evと評価値[N+1]evの値が近く、合成画像の評価値が収束しつつある(飽和しつつある)ことを調べるためのものである。装置として実現するためには、性能を維持しつつ、処理時間の短縮、構成するH/Wの小型化を図るために理論限界に収束するのが必ずしも効率的でない場合は、上記のように打切基準を設けて処理を中断させる方が効率がよい。
【0040】
上記例では、差分処理は差分絶対値により算出しているが、符号付の差分処理でもよく、特に制限されるものではない。この場合、差分結果が正値で収束閾値J5より小さい場合には第1の合成画像[N]または第2の合成画像[N+1]を出力し、一方、差分結果が負値の場合には評価値[N+1]evが評価値[N]evより大きくなってしまったことを意味するので、最小評価値[N]evに対応する第1の合成画像[N]の方を出力する。
【0041】
以上のように、実施の形態6によれば、画像合成部において、N枚の画像を用いて第1の合成画像[N]を生成すると共に、N+1枚の画像を用いて第2の合成画像[N+1]を生成し、第1の合成画像[N]と第2の合成画像[N+1]について、それぞれ基準画像との間で合成画像の評価値を算出し、第1の合成画像の評価値と第2の合成画像の評価値との差を求め、当該評価値の差が予め指定した収束閾値J5以下である場合に第1の合成画像[N]または第2合成画像[N+1]を出力とするようにしたので、解像度を維持してランダムノイズを抑制することができ、あるいはノイズ抑制により解像度を向上させることができる。
【0042】
実施の形態7.
図12および図13は、この発明の実施の形態6に係る画像合成部の画像合成方法を示す説明図である。
図12(a)において、画像21、画像22、・・・、画像2N+iは、それぞれが時間的に異なる入力画像で、画像合成の対象となるN+i枚の画像を表わす。また、図12(b)において、合成画像[N+i]は、上記実施の形態1から実施の形態4で述べた何れかの処理により図12(a)のN+i枚の画像を用いて合成された画像を表わす。一方、図13(a)において、画像21、画像22、・・・、画像2N+i+1は、それぞれが時間的に異なる入力画像で、画像合成の対象となるN+i+1枚の画像を表わす。また、図13(b)において、合成画像[N+i+1]は、上記実施の形態1から実施の形態4で述べた何れかの処理により図13(a)のN+i+1枚の画像を用いて合成された画像を表わす。
なお、この実施の形態7では、上記実施の形態6で合成画像[N]と合成画像[N+1]のそれぞれの評価値の差が予め指定した収束閾値J5以上となった場合においても、出力できるように合成画像を再生成する方法について述べる。
【0043】
画像合成部(図1の画像合成部40、図3の画像合成部60または図5の画像合成部100)では、図10に示される基準画像(画像21)と第1の合成画像[N]の差分絶対値和を評価値[N]evとして算出すると共に、図11に示される基準画像(画像21)と第2の合成画像[N+1]の差分絶対値和を評価値[N+1]evを算出する。次に、算出した評価値[N]evと評価値[N+1]evの差分絶対値を算出する。そして、これら評価値の差分絶対値を指定した収束閾値J5と比較し、当該収束閾値J5以上である場合には、画像を1枚増やして、図12に示される合成画像[N+i]を生成し、基準画像(画像21)と合成画像[N+i]の差分絶対値和を評価値[N+i]evとして算出する。この時i=2である。次に、前回算出した評価値[N+1]evと今回算出した評価値[N+i]evの差分絶対値を算出し、この評価値の差分絶対値が指定した収束閾値J5以下となった場合、合成画像[N+1]または[N+i]を出力する。
【0044】
一方、上記評価値[N+1]evと評価値[N+i]evの差分絶対値が指定した収束閾値J5以上であった場合には、さらに合成する画像を1枚増やし、図13に示される合成画像[N+i+1]を生成し、基準画像(画像21)と合成画像[N+i+1]の差分絶対値和を評価値[N+i+1]evとして算出した後、評価値[N+i]evと評価値[N+i+1]evの差分絶対値を算出する。そして、この算出された評価値の差分絶対値が指定した収束閾値J5以上の場合は、順次「i」を1ずつ増やして合成枚数が1枚異なる2つの評価値を算出し、この2つの評価値の差分絶対値と収束閾値J5とを比較して合成画像を出力するかの判定を行う。すなわち、NとN+1、あるいはN+1とN+2の2つの組合せのみで合成画像の出力判定をするのではなく、合成画像数N枚は任意の枚数でよく、合成枚数が1枚異なる2つの評価値を算出し、その2つの評価値の差分絶対値と収束閾値J5とを比較して合成画像を出力するかの判定を行えればよい。
【0045】
上記例では、差分処理は差分絶対値により算出したが、符号付の差分処理でもよく、特に制限されるものではない。この場合、差分結果が正値で閾値より小さい場合は合成画像[N+i]または合成画像[N+i+1]を画像合成部より出力し、差分結果が負値の場合は評価値[N+i+1]evが評価値[N+i]evより大きくなってしまったことを意味するので最小評価値[N+i]evに対応する合成画像[N+i]を画像合成部より出力する。
また、上記例は、装置として実現するための例であり、性能を維持しつつ、処理時間の短縮、構成するH/Wの小型化を図るために理論限界に収束するのが必ずしも効率的でない場合は、上記のように打切基準を設けて処理を中断させる方が効率がよい。
【0046】
以上のように、この実施の形態7によれば、上記実施の形態6の画像合成部において、N枚の画像を用いた第1の合成画像の評価値とN+1枚の画像を用いた第2の合成画像の評価値との差が指定した収束閾値J5より大きい場合、画像を1枚増やしてN+2枚の画像を用いて第3の合成画像を生成すると共に、基準画像との間で第3の合成画像の評価値を算出し、第2の合成画像と第3の合成画像の評価値との差を求め、この評価値の差が収束閾値J5以下なら第2の合成画像または第3の合成画像を出力し、一方、第2および第3の合成画像の評価値との差が収束閾値J5より大きい場合には、画像を1枚増やして次の合成画像を生成して同様な合成画像を出力するかの判定を行うというように、合成画像の評価値の差が収束閾値J5より大きい場合には順次同じ処理を繰り返すようにしたので、解像度を維持してランダムノイズを抑制することができ、あるいはノイズ抑制により解像度を向上させることができる。
【0047】
実施の形態8.
上記実施の形態1から実施の形態7では、相関データや評価値として差分絶対値和を用いていたが、これらの相関データや評価値は、差分絶対値和の他、差分2乗和、あるいは2つの画像の相違を定量的に表した値であれば任意の算出値でよく、特に限定されるものではない。これは、2つの画像の相違の程度が定量的に表現され、その値の大きさで類似度、相関度が判断できればよいからである。
以上のように、実施の形態8によれば、合成画像の評価値を、差分絶対値和、差分2乗和、あるいは2つの画像の相違を定量的に表した値としたので、2つの画像の相違の程度が定量的に表現でき、その値の大きさで類似度、相関度が判断でき、上記実施の形態1から実施の形態7に適用することで、解像度を維持してランダムノイズを抑制することができ、あるいはノイズ抑制により解像度を向上させることができる。
【0048】
実施の形態9.
上記実施の形態1から実施の形態8において、N枚の画像を用いて合成する場合は、そのまま同一位置のN個の画素の合成処理を行うか、移動している対象領域については、基準画像以外の対象領域の画素を除き、同一位置相当の画素については画像合成を行っている。低照度等撮影条件が悪い状態で撮影された画像はノイズを多く含んでいる。このノイズを低減または除去するために、上記実施の形態1から実施の形態8の方法により画像合成を行っている。
【0049】
この実施の形態9では、画像合成部において、さらに合成する画素の選択を行うようにする。すなわち、3枚以上の画像で同一位置の画素の合成処理を行う際に、各画像の同一位置の画素の最大値、最小値の画素値の何れかを除外して合成処理を行う。この合成処理の場合、画素の真値から極端に離れている画素を除外するため、ノイズの影響を抑制することができる。例えば、低照度で画素レベル値が低い領域に集中している場合、特に最大値の画素を除外することで合成画像の画素値が真値から高い方にシフトするのを抑制することができる。
この例では、各画像の同一位置の画素の最大値、最小値の画素値の何れかを除外して合成処理を行うようにしているが、同一位置の画素の最大値、最小値の両方とも除外して合成処理を行ってもよい。
【0050】
以上のように、この実施の形態9によれば、画像合成部において、3枚以上の画像で同一位置の画素の合成処理を行う際、各画像の同一位置の画素の最大値、最小値の画素値の何れか一方か、または同一位置の画素の最大値、最小値の両方を除外して合成処理を行うようにしたので、合成画像の画素値の真値からのずれ量を抑制し、解像度を維持してランダムノイズを抑制することができ、あるいはノイズ抑制により解像度を向上させることができる。
【0051】
実施の形態10.
上記実施の形態9では、3枚以上の画像で、各画像の同一位置の画素の最大値、最小値の画素値の何れか一方、または同一位置の画素の最大値、最小値の両方を除外して合成処理を行うようにしているが、この実施の形態10では、次のような方法で合成する画素の選択を行う。
画像合成部において、合成対象となるN枚の画像に対し同一位置の画素による第1の加重平均と標準偏差を算出し、同N枚の画像の同一位置の画素のうちから、第1の加重平均が標準偏差に係数を乗じた値より離れた値を持つ画素を除外した残りの画素により合成処理を行うようにする。この方法による処理も、上記実施の形態9と同様、画素の真値から極端に離れている画素を除外するため、ノイズの影響を抑制することができる。
【0052】
N枚の合成対象画像において、ある同一位置の画素をP、第1の加重平均をAVEw、標準偏差をSDとし、標準偏差に乗じる係数をw1、w2としたとき、例えばN枚の画像の同一位置の画素のうちから以下の条件に合う画素を除外する。
1)同一位置の画素P<AVEw−(SD×w1) (画素P<AVEw)
2)画素P>AVEw+(SD×w2) (画素P>AVEw)
ここで、例えば上記「AVEw−(SD×w1)」および「AVEw+(SD×w2)」が何れも画素値レンジ内であれば、w1=w2とすることで、AVEwから上下対象に分布されている画素を扱って合成処理を行うことができるが、低照度で画素レベル値が低い領域に集中している場合、特に「AVEw−(SD×w1)」が画素値レンジの下限を下回る場合、標準偏差に乗ずる係数を平均値より下の場合と上の場合で別の係数にし、平均値より上の場合の係数の方を小さくする(w1>w2)ことで合成画像の画素値が真値から高い方にシフトするのを抑制する。この時w2=(AVEw−画素値レベル下限値)とすると、AVEw上下のレンジがちょうど対象になる。
なお、この例では、係数w1,w2の値をAVEw上下のレンジがちょうど対象になるように設定したが、AVEw上下のレンジがちょうど対象にならない場合でも、ノイズの影響を抑制するために画素の真値から極端に離れている画素を除外できればよく、また、合成画像の画素値が真値からずれるのを抑制できればよい。
【0053】
以上のように、この実施の形態10によれば、画像合成部において、対象となるN枚の画像に対し同一位置の画素による第1の加重平均と標準偏差を算出し、N枚の画像の同一位置の画素のうちから第1の加重平均が標準偏差に係数を乗じた値より離れた値を持つ画素を除外して、残りの画素により合成処理を行うようにしたので、合成画像の画素値の真値からのずれ量を抑制し、解像度を維持してランダムノイズを抑制することができ、あるいはノイズ抑制により解像度を向上させることができる。
【0054】
以上、各実施の形態では画像処理装置を対象として説明してきたが、これら画像処理装置で行っている各部の処理機能は、コンピュータ上で実行するプログラム(画像処理プログラム)の処理に置き換えることで構成できるものである。したがって、この発明は、画像処理プログラムとして、上記各実施の形態の画像処理装置と同様の処理を実行することで、解像度を維持してランダムノイズを抑制すること、あるいはノイズ抑制により解像度を向上させることを可能にする。
【符号の説明】
【0055】
20 画像記憶部、30 画像相関算出部、40 画像合成部、50,90 領域探索部、60 画像合成部、70 画像相関算出部、80 画像変換部、100 画像合成部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる時間に撮影されたフレーム単位の複数画像を入力し記憶する画像記憶部と、
前記画像記憶部から読み出した近傍の異なる時間の複数画像の一つを基準画像とし、当該基準画像と基準画像以外の画像との相関処理を行って画像相関データを算出する画像相関算出部と、
前記算出された画像相関データと予め指定された相関閾値とを比較し、前記画像相関データが前記相関閾値以下の場合にのみ前記基準画像と前記基準画像以外の画像とを合成する画像合成部とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
異なる時間に撮影されたフレーム単位の複数画像を入力し記憶する画像記憶部と、
前記画像記憶部から読み出した近傍の異なる時間の複数画像の一つを基準画像とし、当該基準画像上の移動物体が映る対象領域と最も相関が高い領域を前記基準画像以外の画像より探索して領域情報データとして出力すると共に、前記基準画像と前記基準画像以外の画像間の相関処理による画像相関データを算出する領域探索部と、
前記算出された画像相関データが予め指定された相関閾値よりも低い場合には、前記基準画像の前記対象領域に、前記領域情報データが示す前記基準画像以外の画像上の相関が最も高い領域を合成し、一方、前記算出された画像相関データが前記相関閾値よりも高い場合には、前記基準画像から対象領域を除いた画像に、前記基準画像以外の画像から相関が最も高い領域を除いた画像を合成して出力する画像合成部とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
異なる時間に撮影されたフレーム単位の複数画像を入力し記憶する画像記憶部と、
前記画像記憶部から読み出した近傍の異なる時間の複数画像の一つを基準画像とし、当該基準画像と基準画像以外の画像との相関処理を行って第1の画像相関データを算出する画像相関算出部と、
前記第1の画像相関データから判定して前記基準画像内の指定領域と当該指定領域に対応する前記基準画像以外の画像の画像領域との相関が画面内の位置により異なる場合に、所定の画像変換パラメータに基づいて前記基準画像以外の画像の対応する画像領域を前記基準画像内の指定領域に合うように画像変換する画像変換部と、
前記画像変換された変換後の画像から前記基準画像にある移動対象領域と最も相関が高い画像領域を探索し、探索単位毎に、変換画像データ、移動対象領域であるか否かを表す領域情報データ、および前記変換後の画像と前記基準画像間の相関処理による第2の画像相関データを算出する領域探索部と、
前記第2の画像相関データが予め指定した相関閾値より小さい場合にのみ、前記変換画像データを前記基準画像の対応する領域と合成する画像合成部を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
画像合成部は、加算処理、加重加算処理、加算平均処理、加重平均処理またはフィルタ処理により画像合成を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項5】
画像変換部は、拡大、縮小、回転、上下左右斜めの移動の何れか、またはこれらの組合せた画像変換を行うことを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像合成部は、N枚の画像を用いて生成した合成画像と基準画像の評価値を算出し、当該評価値が指定した画素ずれ閾値以下の場合にのみ合成画像を出力するようにしたことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項7】
画像合成部は、N枚の画像を用いて第1の合成画像を生成すると共に、N+1枚の画像を用いて第2の合成画像を生成し、第1の合成画像と第2の合成画像について、それぞれ基準画像との間で合成画像の評価値を算出し、第1の合成画像の評価値と第2の合成画像の評価値との差を求め、当該評価値の差が指定した収束閾値以下である場合に第1の合成画像または第2合成画像を出力とするようにしたことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像合成部は、第1の合成画像の評価値と第2の合成画像の評価値との差が指定した収束閾値より大きい場合、画像を1枚増やしてN+2枚の画像を用いて第3の合成画像を生成すると共に、基準画像との間で第3の合成画像の評価値を算出し、第2の合成画像と第3の合成画像の評価値との差を求め、この評価値の差が収束閾値以下なら第2の合成画像または第3の合成画像を出力し、一方、第2および第3の合成画像の評価値の差が収束閾値より大きい場合には、画像を1枚増やして次の合成画像を生成して同様な合成画像を出力するかの判定を行うというように、合成画像の評価値の差が収束閾値より大きい場合には順次同じ処理を繰り返すことを特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
【請求項9】
画像相関データおよび評価値は、差分絶対値和、差分2乗和、あるいは2つの画像の相違を定量的に表した値としたことを特徴とする請求項1から請求項8のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項10】
画像合成部は、3枚以上の画像で同一位置の画素の合成処理を行う際、各画像の同一位置の画素の最大値、最小値の画素値の何れか一方か、または同一位置の画素の最大値、最小値の両方を除外して合成処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項9のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項11】
画像合成部は、合成対象となるN枚の画像に対し同一位置の画素による第1の加重平均と標準偏差を算出し、N枚の画像の同一位置の画素のうちから第1の加重平均が標準偏差に係数を乗じた値より離れた値を持つ画素を除外して、残りの画素により合成処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項9のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項12】
異なる時間に撮影されたフレーム単位の複数画像を画像記憶部に記憶し、
前記画像記憶部から近傍の異なる時間の複数の画像を読み出し、当該複数の画像の一つを基準画像として、当該基準画像と基準画像以外の画像との相関処理を行って画像相関データを算出し、
前記算出された画像相関データと予め指定された相関閾値とを比較し、前記画像相関データが前記相関閾値以下の場合にのみ前記基準画像と前記基準画像以外の画像とを合成する処理をコンピュータ上で実行することを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項13】
異なる時間に撮影されたフレーム単位の複数画像を画像記憶部に記憶し、
前記画像記憶部から近傍の異なる時間の複数画像読み出し、当該複数の画像の一つを基準画像として、当該基準画像上の移動物体が映る対象領域と最も相関が高い領域を前記基準画像以外の画像より探索して領域情報データとして出力すると共に、前記基準画像と前記基準画像以外の画像間の相関処理による画像相関データを算出し、
前記算出された画像相関データが予め指定された相関閾値よりも低い場合には、前記基準画像の前記対象領域に、前記領域情報データが示す前記基準画像以外の画像上の相関が最も高い領域を合成し、一方、前記算出された画像相関データが前記相関閾値よりも高い場合には、前記基準画像から対象領域を除いた画像に、前記基準画像以外の画像から相関が最も高い領域を除いた画像を合成する処理をコンピュータ上で実行することを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項14】
異なる時間に撮影されたフレーム単位の複数画像を入力し記憶し、
前記画像記憶部から近傍の異なる時間の複数画像を読み出し、当該複数の画像の一つを基準画像として、当該基準画像と基準画像以外の画像との相関処理を行って第1の画像相関データを算出し、
前記第1の画像相関データから判定して前記基準画像内の指定領域と当該指定領域に対応する前記基準画像以外の画像の画像領域との相関が画面内の位置により異なる場合に、所定の画像変換パラメータに基づいて前記基準画像以外の画像の対応する画像領域を前記基準画像内の指定領域に合うように画像変換し、
前記画像変換された変換後の画像から前記基準画像にある移動対象領域と最も相関が高い画像領域を探索し、探索単位毎に、変換画像データ、移動対象領域であるか否かを表す領域情報データ、および前記変換後の画像と前記基準画像間の相関処理による第2の画像相関データを算出し、
前記第2の画像相関データが予め指定した相関閾値より小さい場合にのみ、前記変換画像データを前記基準画像の対応する領域と合成する処理をコンピュータ上で実行することを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項1】
異なる時間に撮影されたフレーム単位の複数画像を入力し記憶する画像記憶部と、
前記画像記憶部から読み出した近傍の異なる時間の複数画像の一つを基準画像とし、当該基準画像と基準画像以外の画像との相関処理を行って画像相関データを算出する画像相関算出部と、
前記算出された画像相関データと予め指定された相関閾値とを比較し、前記画像相関データが前記相関閾値以下の場合にのみ前記基準画像と前記基準画像以外の画像とを合成する画像合成部とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
異なる時間に撮影されたフレーム単位の複数画像を入力し記憶する画像記憶部と、
前記画像記憶部から読み出した近傍の異なる時間の複数画像の一つを基準画像とし、当該基準画像上の移動物体が映る対象領域と最も相関が高い領域を前記基準画像以外の画像より探索して領域情報データとして出力すると共に、前記基準画像と前記基準画像以外の画像間の相関処理による画像相関データを算出する領域探索部と、
前記算出された画像相関データが予め指定された相関閾値よりも低い場合には、前記基準画像の前記対象領域に、前記領域情報データが示す前記基準画像以外の画像上の相関が最も高い領域を合成し、一方、前記算出された画像相関データが前記相関閾値よりも高い場合には、前記基準画像から対象領域を除いた画像に、前記基準画像以外の画像から相関が最も高い領域を除いた画像を合成して出力する画像合成部とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
異なる時間に撮影されたフレーム単位の複数画像を入力し記憶する画像記憶部と、
前記画像記憶部から読み出した近傍の異なる時間の複数画像の一つを基準画像とし、当該基準画像と基準画像以外の画像との相関処理を行って第1の画像相関データを算出する画像相関算出部と、
前記第1の画像相関データから判定して前記基準画像内の指定領域と当該指定領域に対応する前記基準画像以外の画像の画像領域との相関が画面内の位置により異なる場合に、所定の画像変換パラメータに基づいて前記基準画像以外の画像の対応する画像領域を前記基準画像内の指定領域に合うように画像変換する画像変換部と、
前記画像変換された変換後の画像から前記基準画像にある移動対象領域と最も相関が高い画像領域を探索し、探索単位毎に、変換画像データ、移動対象領域であるか否かを表す領域情報データ、および前記変換後の画像と前記基準画像間の相関処理による第2の画像相関データを算出する領域探索部と、
前記第2の画像相関データが予め指定した相関閾値より小さい場合にのみ、前記変換画像データを前記基準画像の対応する領域と合成する画像合成部を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
画像合成部は、加算処理、加重加算処理、加算平均処理、加重平均処理またはフィルタ処理により画像合成を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項5】
画像変換部は、拡大、縮小、回転、上下左右斜めの移動の何れか、またはこれらの組合せた画像変換を行うことを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像合成部は、N枚の画像を用いて生成した合成画像と基準画像の評価値を算出し、当該評価値が指定した画素ずれ閾値以下の場合にのみ合成画像を出力するようにしたことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項7】
画像合成部は、N枚の画像を用いて第1の合成画像を生成すると共に、N+1枚の画像を用いて第2の合成画像を生成し、第1の合成画像と第2の合成画像について、それぞれ基準画像との間で合成画像の評価値を算出し、第1の合成画像の評価値と第2の合成画像の評価値との差を求め、当該評価値の差が指定した収束閾値以下である場合に第1の合成画像または第2合成画像を出力とするようにしたことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像合成部は、第1の合成画像の評価値と第2の合成画像の評価値との差が指定した収束閾値より大きい場合、画像を1枚増やしてN+2枚の画像を用いて第3の合成画像を生成すると共に、基準画像との間で第3の合成画像の評価値を算出し、第2の合成画像と第3の合成画像の評価値との差を求め、この評価値の差が収束閾値以下なら第2の合成画像または第3の合成画像を出力し、一方、第2および第3の合成画像の評価値の差が収束閾値より大きい場合には、画像を1枚増やして次の合成画像を生成して同様な合成画像を出力するかの判定を行うというように、合成画像の評価値の差が収束閾値より大きい場合には順次同じ処理を繰り返すことを特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
【請求項9】
画像相関データおよび評価値は、差分絶対値和、差分2乗和、あるいは2つの画像の相違を定量的に表した値としたことを特徴とする請求項1から請求項8のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項10】
画像合成部は、3枚以上の画像で同一位置の画素の合成処理を行う際、各画像の同一位置の画素の最大値、最小値の画素値の何れか一方か、または同一位置の画素の最大値、最小値の両方を除外して合成処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項9のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項11】
画像合成部は、合成対象となるN枚の画像に対し同一位置の画素による第1の加重平均と標準偏差を算出し、N枚の画像の同一位置の画素のうちから第1の加重平均が標準偏差に係数を乗じた値より離れた値を持つ画素を除外して、残りの画素により合成処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項9のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項12】
異なる時間に撮影されたフレーム単位の複数画像を画像記憶部に記憶し、
前記画像記憶部から近傍の異なる時間の複数の画像を読み出し、当該複数の画像の一つを基準画像として、当該基準画像と基準画像以外の画像との相関処理を行って画像相関データを算出し、
前記算出された画像相関データと予め指定された相関閾値とを比較し、前記画像相関データが前記相関閾値以下の場合にのみ前記基準画像と前記基準画像以外の画像とを合成する処理をコンピュータ上で実行することを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項13】
異なる時間に撮影されたフレーム単位の複数画像を画像記憶部に記憶し、
前記画像記憶部から近傍の異なる時間の複数画像読み出し、当該複数の画像の一つを基準画像として、当該基準画像上の移動物体が映る対象領域と最も相関が高い領域を前記基準画像以外の画像より探索して領域情報データとして出力すると共に、前記基準画像と前記基準画像以外の画像間の相関処理による画像相関データを算出し、
前記算出された画像相関データが予め指定された相関閾値よりも低い場合には、前記基準画像の前記対象領域に、前記領域情報データが示す前記基準画像以外の画像上の相関が最も高い領域を合成し、一方、前記算出された画像相関データが前記相関閾値よりも高い場合には、前記基準画像から対象領域を除いた画像に、前記基準画像以外の画像から相関が最も高い領域を除いた画像を合成する処理をコンピュータ上で実行することを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項14】
異なる時間に撮影されたフレーム単位の複数画像を入力し記憶し、
前記画像記憶部から近傍の異なる時間の複数画像を読み出し、当該複数の画像の一つを基準画像として、当該基準画像と基準画像以外の画像との相関処理を行って第1の画像相関データを算出し、
前記第1の画像相関データから判定して前記基準画像内の指定領域と当該指定領域に対応する前記基準画像以外の画像の画像領域との相関が画面内の位置により異なる場合に、所定の画像変換パラメータに基づいて前記基準画像以外の画像の対応する画像領域を前記基準画像内の指定領域に合うように画像変換し、
前記画像変換された変換後の画像から前記基準画像にある移動対象領域と最も相関が高い画像領域を探索し、探索単位毎に、変換画像データ、移動対象領域であるか否かを表す領域情報データ、および前記変換後の画像と前記基準画像間の相関処理による第2の画像相関データを算出し、
前記第2の画像相関データが予め指定した相関閾値より小さい場合にのみ、前記変換画像データを前記基準画像の対応する領域と合成する処理をコンピュータ上で実行することを特徴とする画像処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−181951(P2010−181951A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22677(P2009−22677)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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