説明

画像処理装置および画像処理プログラム

【課題】静止画の場合でも主要被写体を際立たせるように画像処理すること。
【解決手段】画像処理装置50は、互いに視差を含む2画像をそれぞれ同数の複数領域に分割する分割部と、2画像間の類似度を分割部により分割される分割領域ごとに演算する類似度演算部と、所定の画像処理を行う画像処理部と、2画像の少なくとも一方に対して施される画像処理部による画像処理の編集度合いを、分割領域における類似度に基づいて変化させるように画像処理部を制御する制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
2次元画像の奥行き感を高めるために、背景領域と前景領域とで異なる画像処理を行う技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−239903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、画像間の差分に基づいて背景か否かを判断し、背景に対してぼかしを付加する。背景を画像間の差分に基づいて判断するため、画像間に差分が生じない静止画像の場合への適用が困難という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による画像処理装置は、互いに視差を含む2画像をそれぞれ同数の複数領域に分割する分割部と、2画像間の類似度を分割部により分割される分割領域ごとに演算する類似度演算部と、所定の画像処理を行う画像処理部と、2画像の少なくとも一方に対して施される画像処理部による画像処理の編集度合いを、分割領域における類似度に基づいて変化させるように画像処理部を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、静止画の場合でも主要被写体を際立たせるように適切に画像処理できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施の形態による画像処理装置を搭載する電子カメラを例示する図である。
【図2】制御部が実行する画像編集処理の流れを例示するフローチャートである。
【図3】画像Aおよび画像Bに対する分割エリアを例示する図である。
【図4】分割エリアに付与した序列を例示する図である。
【図5】序列による順位と付加するぼかし量の大きさとの第1関係を例示する図である。
【図6】序列による順位と付加するぼかし量の大きさとの第2関係を例示する図である。
【図7】序列による順位と付加するぼかし量の大きさとの第3関係を例示する図である。
【図8】コンピュータ装置を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。図1は、本発明の一実施の形態による画像処理装置を搭載する電子カメラ50を例示する図である。電子カメラ50は2系統の撮像部を有し、これら2つの撮像部によって基線長に相当する視差を確保し得る2画像を撮影する。基線長は、たとえば、人の左右の目の間隔(眼幅)に相当する65mmに構成されている。撮影された2画像は立体視効果が得られるので、3D画像と呼ばれる。
【0009】
図1において、撮影光学系1は、ズームレンズやフォーカシングレンズを含む複数のレンズ群で構成され、被写体像を撮像素子6の受光面に結像させる。なお、図1を簡単にするため、撮影光学系1を単レンズとして図示している。絞り2は、絞り駆動機構4によって開口径が制御される。シャッター3は、シャッター駆動部5によって開閉制御される。
【0010】
撮像素子6は、受光素子が受光面に二次元配列されたCMOSイメージセンサなどによって構成される。撮像素子6は、撮影光学系1によって結像された被写体像を光電変換し、デジタル画像データを出力する。画像データは制御部16に入力される。上述した撮影光学系1〜撮像素子6で構成される撮像部は、たとえば、右視点画像(画像Aと呼ぶ)を撮影する。
【0011】
撮影光学系7は、撮影光学系1と同様のレンズ群で構成され、被写体像を撮像素子12の受光面に結像させる。絞り8は、絞り駆動機構10によって開口径が制御される。シャッター9は、シャッター駆動部11によって開閉制御される。
【0012】
撮像素子12は、撮像素子6と同様のイメージセンサによって構成される。撮像素子12は、撮影光学系7によって結像された被写体像を光電変換し、デジタル画像データを出力する。画像データは制御部16に入力される。撮影光学系7〜撮像素子12で構成される撮像部は、たとえば、左視点画像(画像Bと呼ぶ)を撮影する。
【0013】
制御部16は、不揮発性メモリ23が記憶するプログラムを実行することにより、電子カメラ50が行う動作を制御する。制御部16は、AF(オートフォーカス)動作制御や、自動露出(AE)演算も行う。AF動作は、たとえば、撮像素子6で取得されたライブビュー画像のコントラスト情報に基づいて、主要被写体に合焦させるためのフォーカシングレンズ(不図示)の位置を求める。ライブビュー画像は、レリーズ操作前に撮像素子6によって所定の時間間隔(たとえば60コマ/毎秒)で繰り返し取得されるモニタ用画像のことをいう。
【0014】
画像処理部17は、画像データに対して各種の画像処理(色補間処理、階調変換処理、輪郭強調処理、ホワイトバランス調整処理など)を施す。画像記憶部18はコネクタ(不図示)を有し、該コネクタにメモリカードなどの記憶媒体(不図示)が接続される。画像記憶部18は、接続された記憶媒体に対するデータの書き込みや、記憶媒体からのデータの読み込みを行う。記憶媒体は、半導体メモリを内蔵したメモリカードなどで構成される。
【0015】
表示部22は液晶パネルなどによって構成される。表示部22は、制御部16からの指示に応じて画像や操作アイコン、メニュー画面などを表示する。表示部22の表示面上にはタッチ操作部材22aが積層されている。タッチ操作部材22aは、ユーザーによって表示部22の表示画面がタッチ操作された場合に、タッチ位置を示す信号を発生して制御部16へ送出する。画像編集部21は、制御部16からの指示に応じて、画像処理によって画像にぼかしを加える。たとえば、画像編集部21は、画像データにローパスフィルタ(LPF)処理を施して画像の高域空間周波数成分を劣化させることにより、画像のエッジを不鮮明にしてコントラストを低下させる編集をする。画像編集部21は、このような画像ぼけの付加により、擬似的にピントを外した画像を生成する。
【0016】
類似度演算部20は、制御部16からの指示に応じて左視点画像と右視点画像との間の類似度を算出する。エリア分割部19は、制御部16からの指示に応じて左視点画像および右視点画像をそれぞれ所定数のエリアに分割する。照明装置24は、制御部16からの指示に応じて撮影補助光を発し、被写体を照明する。
【0017】
絞り駆動部4および10は、それぞれがドライバー回路13からの駆動信号を受けて絞り2および8を駆動する。シャッター駆動部5および11は、それぞれがドライバー回路13からの駆動信号を受けてシャッター3および9を駆動する。ドライバー回路13は、制御部16からの指示に応じて絞り駆動部4および10と、シャッター駆動部5および11へ駆動信号を送出する。
【0018】
操作部材15は、電源スイッチ(不図示)をはじめとする各操作部材を含む。操作部材15は、撮影操作、モード切替え操作や各種選択操作など、各操作に応じた操作信号を制御部16へ送出する。レリーズスイッチ14は、レリーズボタン(不図示)の押下操作に連動してオン信号を制御部16へ送出し、レリーズボタン(不図示)の押下解除に連動してオフ信号を制御部16へ送出する。
【0019】
レンズ駆動部25は、制御部16からの指示に応じて撮影光学系1を構成するズームレンズ(不図示)やフォーカシングレンズ(不図示)をそれぞれ光軸方向へ進退移動させる。レンズ駆動部26は、制御部16からの指示に応じて撮影光学系7を構成するズームレンズ(不図示)やフォーカシングレンズ(不図示)をそれぞれ光軸方向へ進退移動させる。なお、撮像素子6で取得されたライブビュー画像のコントラスト情報に基づいて決定した合焦位置を、撮影光学系1および撮影光学系7の双方に適用する。
【0020】
本実施形態では、上述した電子カメラ50で取得した2画像を用いて前景と背景とを識別する。前景領域と背景領域とを識別したら、主要被写体を際立たせるように画像を加工する画像編集処理を行う。以降の説明は、前景/背景の識別と画像編集処理を中心に行う。図2は、制御部16が実行する画像編集処理の流れを例示するフローチャートである。制御部16は、たとえば、メニュー操作によって画像編集処理が許可設定されている場合に、図2による処理を起動させる。
【0021】
図2のステップS1において、制御部16は撮影処理を行う。具体的には、レリーズスイッチ14からのオン信号に応じて、上述した2系統の撮像部によって画像Aおよび画像Bをそれぞれ取得させてステップS2へ進む。ここで、制御部16はドライバー回路13へ指示を送り、絞り4および絞り10を絞り込ませて被写界深度を深く制御する。このように、いわゆるパンフォーカス撮影を行うことにより、画像Aおよび画像Bは画面全体で概ねピントが合う画像が得られる。ステップS2において、制御部16は画像処理部18へ指示を送り、取得された画像Aおよび画像Bに対してそれぞれ所定の画像処理(色補間処理、階調変換処理、輪郭強調処理、ホワイトバランス調整処理など)を行わせてステップS3へ進む。
【0022】
ステップS3において、制御部16は画像記憶部18へ指示を送り、画像所理後の画像Aおよび画像Bを記憶媒体(不図示)に記録させてステップS4へ進む。画像記憶部18は、たとえば、代表画像ファイルと本体画像ファイルとをそれぞれ記録する。代表画像ファイルと本体画像ファイルは同一のファイル名称を有し、拡張子が異なる構成とする。代表画像ファイルには、たとえば画像Aの画像データを含め、拡張子を「JPG」とする。本体画像ファイルには、画像Aおよび画像Bの画像データをそれぞれ含め、拡張子を「MPO」とする。
【0023】
ステップS4において、制御部16は画像記憶部18へ指示を送り、記憶媒体から撮影画像を読込ませてステップS5へ進む。ここでは、本体画像ファイル、すなわち、画像Aおよび画像Bの双方のデータと、代表画像ファイル内の画像データとをそれぞれ読込ませる。ステップS5において、制御部16はエリア分割部19へ指示を送り、画像Aおよび画像Bをそれぞれ同数の複数エリアに分割させてステップS6へ進む。図3は、画像Aおよび画像Bに対する分割エリアを例示する図である。図3の場合、横方向に6エリア、縦方向に5エリアの計30エリアに分割する。
【0024】
ステップS6において、制御部16は類似度演算部20へ指示を送り、画像Aと画像Bとの間の類似度を上記分割エリアごとに算出させる。たとえば、画像Aおよび画像Bの対応する2つの分割エリアを注目エリアとし、これら2つの注目エリアに含まれる画像データを対象に相互情報量を演算するなどして、2つの注目エリア間における類似度を求める。上述したように、画像Aおよび画像Bは視差を含む。このため、一般に、画像Aおよび画像Bの類似度は以下のようになる。すなわち、画像Aの撮影範囲における物体像の位置と、画像Bの撮影範囲における物体像の位置とは、電子カメラ50に近い物体ほど相対的に離れるので、画像A,B間の類似度は低くなる。反対に、画像Aの撮影範囲における物体像の位置と、画像Bの撮影範囲における物体像の位置とは、電子カメラ50から遠い物体ほど相対的に近づくので、画像A,B間の類似度は高くなる。制御部16は、類似度が高いエリアを1として、類似度が低いエリアに向かって順位が下がるように序列をつける。図4は、分割エリアに付与した序列を例示する図である。図4において、類似度が高い(すなわち、順位が高い)エリアは遠景エリアに相当し、類似度が低い(すなわち、順位が低い)エリアは前景エリアに相当する。
【0025】
図2のステップS7において、制御部16は画像編集部21へ指示を送り、代表画像ファイル内の画像にぼかしを加えさせてステップS8へ進む。画像編集部21は、図4に例示した序列にしたがってエリアごとにローパスフィルタ(LPF)による遮断周波数を変化させることにより、付加するぼかし量を異ならせる。図5は、序列による順位と付加するぼかし量の大きさとの第1関係を例示する図である。図5において横軸は順位を表し、縦軸はぼかし量を表す。なお、本例においてNの値は30である。画像編集部21は、遠景エリアに付加するぼかし量を大きくし、前景に近づくほど付加するぼかし量を小さくする。なお、図5に例示した曲線波形の曲率は適宜変更して構わないし、曲線を右下がりの直線にしても構わない。
【0026】
図2のステップS8において、制御部16は表示部22へ指示を送り、ぼかしを付加した代表画像を再生表示させてステップS9へ進む。ステップS9において、制御部16は、画像編集の変更を行うか否かを判定する。ユーザーは、表示部22に再生表示されている画像に対して画像編集の変更を望む場合(本例では付加するぼかしを変えたい場合)に、ぼかし付加画像を再生表示している表示部22の画面上で、たとえば、ぼかしを付加したくない位置をタッチ操作する。制御部16は、タッチ操作部材22aから操作信号が入力された場合にステップS9を肯定判定してステップS7へ戻る。ステップS7へ戻った制御部16は画像編集部21へ指示を送り、代表画像ファイル内の画像にぼかしを加えさせる。このとき、タッチ位置に対応する分割エリアに対して付加するぼかし量を小さくする(たとえば0にする)ように制御を行う。
【0027】
画像編集部21は、図5に例示する第1関係に代えて、図6に例示する第2関係にしたがってぼかし量を付加させる。図6は、序列による順位と付加するぼかし量の大きさとの第2関係を例示する図である。図6によれば、タッチ位置に対応する分割エリアの序列が「X」であった場合、画像編集部21は、「X」番目の分割エリアに対して付加するぼかし量を0にし、序列が「X」から離れるほど付加するぼかし量を大きくする。
【0028】
一方、タッチ操作部材22aから操作信号が入力されない場合の制御部16は、ステップS9を否定判定する。制御部16は画像記憶部18へ指示を送り、画像編集後の代表画像のデータを格納する代表画像ファイルを記憶媒体に更新記録させて図2による処理を終了する。
【0029】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)電子カメラ50は、互いに視差を含む2画像A,Bをそれぞれ同数の複数の分割エリアに分割するエリア分割部19と、2画像A,B間の類似度を分割エリアごとに演算する類似度演算部20と、所定の画像処理を行う画像編集部21と、画像編集部21が2画像A,Bの少なくとも一方に対して行う画像処理の強弱を、分割エリアにおける類似度の高低に基づいて該分割エリアごとに変化させるように画像編集部21を制御する制御部16とを備えるので、静止画像の場合でも主要被写体を際立たせるように適切に画像処理できる。
【0030】
(2)上記(1)の電子カメラ50において、類似度演算部20は、2画像A,B間で対応する分割エリア内の物体像の相対位置の差に基づいて類似度を演算するので、移動せずに静止する物体を対象に類似度を演算できる。このため、静止画像への適用が可能である。
【0031】
(3)上記(1)または(2)の電子カメラ50において、制御部16は、類似度の高低に応じて分割エリアに序列を付与し、該序列に基づいて画像処理の強弱を変化させるので、エリアごとに適切に画像処理できる。
【0032】
(4)上記(3)の電子カメラ50において、分割エリアのうち1つを選択する制御部16をさらに備える。そして、制御部16は、選択した分割エリアを基準として、該分割エリア以外の他の分割エリアに対する画像処理の強弱を変化させるので、選択エリアの被写体を際立たせるように適切に画像処理できる。
【0033】
(5)上記(4)の電子カメラ50において、操作信号を発するタッチ操作部材22aをさらに備え、制御部16は、分割エリアのうちタッチ操作部材22aからの操作信号が示す1つを選択するので、被写体を際立たせる分割エリアをユーザー操作に基づいて選ぶことができる。
【0034】
(6)上記(4)の電子カメラ50において、制御部16は、2画像A,Bに基づいて分割エリアのうち1つを自動選択するので、被写体を際立たせる分割エリアを自動的に選ぶこともできる。
【0035】
(7)上記(1)〜(6)の電子カメラ50において、画像編集部21は、画像に対するぼかし付加処理を行うので、主要被写体を際立たせることができる。
【0036】
(8)上記(1)〜(6)の電子カメラ50において、画像編集部21は、画像に対する明るさ補正処理を行うので、主要被写体を際立たせることができる。
【0037】
(9)上記(1)〜(8)の電子カメラ50において、2画像A,Bを含む本体画像ファイルと、2画像A,Bのうちの1画像を含む代表画像ファイルと、をそれぞれ記憶媒体へ記録する画像記憶部18をさらに備え、画像編集部21は、代表画像ファイル内の画像に対して画像処理を行うので、本体画像ファイル内の画像にも画像処理を行う場合に比べて処理負担を軽減できる。
【0038】
(変形例1)
制御部16は、図5に例示する第1関係、および図6に例示する第2関係に代えて、図7に例示する第3関係にしたがってぼかし量を付加させてもよい。図7は、序列による順位と付加するぼかし量の大きさとの第3関係を例示する図である。図7によれば、タッチ位置に対応する分割エリアの序列が「X」であった場合、画像編集部21は、「X」番目の分割エリアに対して付加するぼかし量を他の分割エリアに比べて最大にし、序列が「X」から離れるほど付加するぼかし量を小さくする。
【0039】
(変形例2)
上述した実施形態では、ステップS7において最初に画像編集処理を行う場合に、第1関係(図5)を用いて最も前景である分割エリアに対するぼかし量を0にするようにした。この代わりに、ピント合わせに用いたフォーカスエリア(AF処理において合焦位置の決定に採用した領域)に対応する分割エリアに対して付加するぼかし量を小さくする(たとえば0にする)ように制御してもよい。
【0040】
変形例2の画像編集部21は、図5に例示した第1関係に代えて、図6に例示した第2関係にしたがってぼかし量を付加させる。図6によれば、フォーカスエリアに対応する分割エリアの序列が「X」であった場合、画像編集部21は、「X」番目の分割エリアに対して付加するぼかし量を0にし、序列が「X」から離れるほど付加するぼかし量を大きくする。このように、被写体を際立たせる分割エリアを適切に選ぶことができる。
【0041】
(変形例3)
上述したステップS7では、代表画像ファイル内の画像にのみぼかしを加える例を説明した。この代わりに、本体画像ファイル内の画像Aおよび画像Bの双方にぼかしを加えるように構成してもよい。また、代表画像ファイル内の画像と、本体画像ファイル内の画像Aおよび画像Bとにそれぞれぼかしを加えるように構成してもよい。
【0042】
(変形例4)
画像編集処理として輝度変換処理を行うように構成してもよい。変形例4の画像編集部21は、制御部16からの指示に応じて、画像処理によって輝度変換を行う。たとえば、画像データ値を大きくする場合は当該画素の輝度が上がり、画像データ値を小さくする場合には当該画素の輝度が下がる。制御部16は、たとえば、画像Aおよび画像Bがスローシンクロ撮影された画像である場合に、背景に対応する分割エリアにおいて輝度を高めるように輝度変換処理を行う。これにより、背景の夜景領域の露光が不十分である場合には、画像編集処理によって夜景領域に対する輝度補正を行うことができる。
【0043】
(変形例5)
画像編集部21が輝度変換処理を行う場合に、タッチ位置に対応する分割エリアの輝度を高めるように構成してもよい。変形例5の画像編集部21は、図7に例示した第3関係と同様の曲線で表されるように、タッチ位置に対応する分割エリアにおける輝度を高める輝度変換処理を行う。変形例5では、図7の縦軸を輝度変換量と読み替える。画像編集部21は、タッチ位置に対応する分割エリアの序列が「X」であった場合、「X」番目の分割エリアに対して行う輝度変換量を他の分割エリアに比べて最大にし、序列が「X」から離れるほど輝度変換量を小さくする。これにより、画像の中でタッチ位置に対応する分割エリアを他の分割エリアに比べて明るく輝度変換することができる。なお、画像の中でタッチ位置に対応する分割エリアの輝度値をそのままに、他の分割エリアに対して輝度値を減じるように輝度変換を行うようにしてもよい。この場合にも、画像の中でタッチ位置に対応する分割エリアを他の分割エリアに比べて明るくすることができる。
【0044】
(変形例6)
画像A(または画像B)から検出した顔を含む領域に対応する分割エリアに対して付加するぼかし量を小さくするように制御してもよい。変形例6の場合も、図6に例示した第2関係にしたがってぼかし量を付加させる。すなわち、公知の「顔認識」処理によって検出した顔領域に対応する分割エリアの序列が「X」であった場合、画像編集部21は、「X」番目の分割エリアに対して付加するぼかし量を0にし、序列が「X」から離れるほど付加するぼかし量を大きくする。
【0045】
(変形例7)
上述した説明では、画像Aおよび画像Bが静止画像の場合を例に説明したが、画像A、および画像Bがそれぞれ動画像である場合にも本発明を適用してよい。動画像の場合には、たとえば、ピント合わせに用いたフォーカスエリア(AF処理において合焦位置の決定に採用した領域)に対応する分割エリアに対して付加するぼかし量を小さくするように制御する。そして、図6に例示した第2関係にしたがってぼかし量を付加させる。すなわち、フォーカスエリアに対応する分割エリアの序列が「X」であった場合、画像編集部21は、「X」番目の分割エリアに対して付加するぼかし量を0にし、序列が「X」から離れるほど付加するぼかし量を大きくする。
【0046】
(変形例8)
上述した実施形態では、電子カメラ50に画像処理装置を搭載する例を説明したが、画像処理装置をパーソナルコンピュータによって構成するようにしてもよい。図2に例示したフローチャートのうちステップS4以降の処理を行うプログラムを図8に示すコンピュータ装置100に実行させることにより、画像処理装置を構成してもよい。プログラムをパーソナルコンピュータ100に取込んで使用する場合には、パーソナルコンピュータ100のデータストレージ装置にプログラムをローディングした上で、当該プログラムを実行させることによって画像処理装置として使用する。
【0047】
パーソナルコンピュータ100に対するプログラムのローディングは、プログラムを格納したCD−ROMなどの記憶媒体104をパーソナルコンピュータ100にセットして行ってもよいし、ネットワークなどの通信回線101を経由する方法でパーソナルコンピュータ100へローディングしてもよい。通信回線101を経由する場合は、通信回線101に接続されたサーバー(コンピュータ)102のハードディスク装置103などにプログラムを格納しておく。プログラムは、記憶媒体104や通信回線101を介する提供など、種々の形態のコンピュータプログラム製品として供給することができる。
【0048】
以上説明した変形例8によれば、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。なお、パーソナルコンピュータによって構成する他にも、デジタルフォトフレームやプロジェクタ等にも上述した画像編集処理をさせるように構成して構わない。
【0049】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0050】
1,7…撮影光学系
2,8…絞り
6,12…撮像素子
14…レリーズスイッチ
15…操作部材
16…制御部
17…画像処理部
18…画像記憶部
19…エリア分割部
20…類似度演算部
21…画像編集部
22…表示部
22a…タッチ操作部材
50…電子カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視差を有する2画像をそれぞれ同数の複数領域に分割する分割部と、
前記2画像間の類似度を前記分割部により分割される分割領域ごとに演算する類似度演算部と、
所定の画像処理を行う画像処理部と、
前記2画像の少なくとも一方に対して施される前記画像処理部による画像処理の編集度合いを、前記分割領域における類似度に基づいて変化させるように前記画像処理部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記制御部は、前記編集度合いを、前記分割領域における類似度に基づいて該分割領域ごとに変化させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像処理装置において、
前記類似度演算部は、前記2画像間で対応する前記分割領域内の物体像の相対位置の差に基づいて前記類似度を演算することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置において、
前記制御部は、前記類似度の高低に応じて前記分割領域に序列を付与し、該序列に基づいて前記編集度合いの強弱を変化させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像処理装置において、
前記分割領域のうち1つを選択する選択部をさらに備え、
前記制御部は、前記選択部によって選択された選択領域を基準として、該選択領域以外の他の分割領域に対する前記編集度合いの強弱を変化させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理装置において、
操作信号を発する操作部材をさらに備え、
前記選択部は、前記分割領域のうち、前記操作部材からの操作信号が示す1つを選択することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項5に記載の画像処理装置において、
前記選択部は、前記2画像に基づいて前記分割領域のうち1つを自動選択することを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像処理装置において、
前記選択部は、前記2画像撮影時の合焦エリアに対応する分割領域を自動選択することを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項7に記載の画像処理装置において、
前記選択部は、前記2画像における顔認識エリアに対応する分割領域を自動選択することを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記画像処理部は、画像に対するぼかし付加処理を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記画像処理部は、画像に対する明るさ補正処理を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記2画像を含む第1画像ファイルと、前記2画像のうちの1画像を含む第2画像ファイルと、をそれぞれ記憶媒体へ記録する記録部をさらに備え、
前記画像処理部は、前記第2画像ファイル内の画像に対して画像処理を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記2画像を含む第1画像ファイルと、前記2画像のうちの1画像を含む第2画像ファイルと、をそれぞれ記憶媒体へ記録する記録部をさらに備え、
前記画像処理部は、前記1画像ファイル内の画像および前記第2画像ファイル内の画像に対してそれぞれ画像処理を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項14】
視差有する2画像をそれぞれ読み込む第1処理と、
前記2画像をそれぞれ同数の複数領域に分割する第2処理と、
前記2画像間の類似度を前記第2処理により分割される分割領域ごとに演算する第3処理と、
所定の画像処理の編集度合いを、前記分割領域における類似度に基づいて決定する第4処理と、
前記2画像の少なくとも一方に対し、前記第4処理で決定した編集度合いで画像処理を行う第5処理と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−26773(P2013−26773A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158879(P2011−158879)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】