画像処理装置および画像処理方法
【課題】画像の色をより適正に修正する。
【解決手段】修正所望位置P1や修正範囲,実物近似色を取得し(S250)、取得した実物近似色を用いて修正所望位置のインク量の修正量を設定し(S260)、修正所望位置のインク量の修正量と、修正所望位置や修正範囲の外縁を構成する修正外縁格子点との位置関係と、に基づいて各格子点のインクの修正量を設定し(S270)、設定したインクの修正量を用いて各格子点のインク量を修正する(S280)。これにより、修正所望位置に対する異方的な修正をユーザーが所望する場合でも、画像データの画像の色をより適正に修正することができる。この結果、成形品の各部位の色をよりユーザーの所望する色に近づけることができる。
【解決手段】修正所望位置P1や修正範囲,実物近似色を取得し(S250)、取得した実物近似色を用いて修正所望位置のインク量の修正量を設定し(S260)、修正所望位置のインク量の修正量と、修正所望位置や修正範囲の外縁を構成する修正外縁格子点との位置関係と、に基づいて各格子点のインクの修正量を設定し(S270)、設定したインクの修正量を用いて各格子点のインク量を修正する(S280)。これにより、修正所望位置に対する異方的な修正をユーザーが所望する場合でも、画像データの画像の色をより適正に修正することができる。この結果、成形品の各部位の色をよりユーザーの所望する色に近づけることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置および画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の画像処理装置としては、成形前後の絵柄の歪みを算出して写像関数として記録し、記録した写像関数に基づいて絵柄の歪みを相殺するように変形させた印刷絵柄を作成し、成形前後のフィルム濃度変化を濃度変化関数として記録し、印刷絵柄の濃度を濃度変化関数に基づいて補正するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−199625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の画像処理装置では、成形前後の歪みに応じて印刷絵柄の濃度を補正するものの、画像形成後に変形して成形した立体物の一部の色(明度や色度,彩度)がユーザーの所望する色とは異なる場合がある。この場合、ユーザーの希望に応じて絵柄の色を修正する必要があるが、画像形成後に変形して立体物を成形することから、立体物における各部の変形の度合いが一様でないことから、所望の色と立体物の色とのずれが異方的なもの(偏りが生じたもの)となることがあり、画像の色をどのように修正するかが課題となる。
【0005】
本発明の画像処理装置および画像処理方法は、画像の色をより適正に修正することを主目的とする。
【0006】
本発明の画像処理装置および画像処理方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像処理装置は、
変形が施される媒体に該変形前に形成すべき画像を処理する画像処理装置であって、
ユーザーの操作に基づく、前記画像の色の修正を必要とする修正所望位置と該修正所望位置を含む修正範囲とを取得する情報取得手段と、
前記取得した修正所望位置から前記取得した修正範囲の外縁に向けて修正量が小さくなる傾向に前記画像の色を修正する色修正手段と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の画像処理装置では、ユーザーの操作に基づく画像の色の修正を必要とする修正所望位置と修正所望位置を含む修正範囲とを取得し、取得した修正所望位置から修正範囲の外縁に向けて修正量が小さくなる傾向に画像の色を修正する。これにより、修正所望位置に対する異方的な修正(偏った修正)をユーザが所望する場合でも、画像の色をより適正に修正することができる。この結果、成形物の各部位の色をよりユーザーの所望する色に近づけることができる。
【0009】
こうした本発明の画像処理装置において、情報を表示する表示手段と、前記取得した修正所望位置の目標色とは異なる複数の色である複数の変更色を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、を備え、前記表示された複数の変更色からユーザーによって選択された選択色に基づいて前記取得した修正所望位置の修正量を設定する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、ユーザーは、複数の変更色から実際の成形物における修正所望位置の色に近似する色を選択すればよいから、修正量を直接設定する必要がなく、ユーザーによる操作を容易なものとすることができる。この態様の本発明の画像処理装置において、前記媒体の変形の程度と変形前の色と変形に伴う色変化が反映された変形後の色との対応関係である色対応関係を記憶する色対応関係記憶手段を備え、前記色修正手段は、前記取得した修正所望位置の変形の程度と前記選択色と前記記憶した色対応関係とに基づいて前記選択色に対応する前記媒体の変形前の修正所望位置の色である選択対応変形前色を求めると共に、該求めた選択対応変形前色と前記媒体の変形前の修正所望位置の目標色とのずれが打ち消されるように前記修正所望位置の修正量を設定する手段である、ものとすることもできる。
【0010】
また、本発明の画像処理装置において、前記色修正手段は、前記取得した修正所望位置から前記取得した修正範囲の外縁に向けて滑らかに修正量が小さくなるように前記画像の色を修正する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、色の修正の程度をより滑らかにすることができる。
【0011】
さらに、本発明の画像処理装置において、前記修正所望位置は、前記画像の単位部分の色情報が設定された位置である色情報位置であり、前記修正範囲の外縁は、複数の前記色情報位置によって構成されてなる、ものとすることもできる。この態様の本発明の画像処理装置において、前記色修正手段は、前記修正範囲の外縁を構成する前記複数の色情報位置については色情報を修正せず、前記修正範囲内の前記色情報位置については前記修正所望位置および前記修正範囲の外縁に対する位置関係に応じて色情報を修正する手段である、ものとすることもできる。
【0012】
本発明の画像処理方法は、
変形が施される媒体に該変形前に形成すべき画像を処理する画像処理方法であって、
(a)ユーザーの操作に基づく、前記画像の色の修正を必要とする修正所望位置と該修正所望位置を含む修正範囲とを取得するステップと、
(b)前記取得した修正所望位置から前記取得した修正範囲の外縁に向けて修正量が小さくなる傾向に前記画像の色を修正するステップと、
を含むことを要旨とする。
【0013】
この本発明の画像処理方法では、ユーザーの操作に基づく画像の色の修正を必要とする修正所望位置と修正所望位置を含む修正範囲とを取得し、取得した修正所望位置から修正範囲の外縁に向けて修正量が小さくなる傾向に画像の色を修正する。これにより、修正所望位置に対する異方的な修正(偏った修正)をユーザが所望する場合でも、画像の色をより適正に修正することができる。この結果、成形物の各部位の色をよりユーザーの所望する色に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】加飾成形システム10の構成の概略の一例を示す構成図。
【図2】色補償変換LUT64の一例を示す説明図。
【図3】形状補償処理の様子を示す説明図。
【図4】色補償処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図5】グリッド92の各格子点と各四角形とを示す説明図。
【図6】算出された各四角形の面積変化率Δsの一例を示す説明図。
【図7】色修正処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図8】色修正用設定画面80の一例を示す説明図。
【図9】色修正用設定画面80の一例を示す説明図。
【図10】各格子点のインク量の修正量を設定するときの様子を示す説明図。
【図11】色修正用設定画面80の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態である加飾成形システム10の構成の概略の一例を示す構成図である。本実施形態の加飾成形システム10は、図示するように、樹脂製のシート(例えばポリフィルム)などの媒体Sがロール状に巻かれてなるロール36から媒体Sを引き出してインクを吐出することにより画像を印刷するプリンター20と、画像が印刷された後の媒体Sを所望の三次元形状に立体成形する成形装置40と、プリンター20と通信可能に接続され媒体Sに形成すべき画像を入力して印刷データに処理して出力する画像処理装置の機能を有する汎用のパソコン(PC)50とを備えている。
【0016】
プリンター20は、装置全体を制御するコントローラー21と、インクを媒体Sに吐出する印刷機構25と、ロール36から媒体Sを引き出しながら搬送する搬送機構32とを備えている。コントローラー21は、CPU22を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、各種処理プログラムを記憶しデータを書き換え可能なフラッシュメモリー23と、一時的にデータを記憶したりデータを保存したりするRAM24などを備えている。このコントローラー21は、PC50からの印刷データを受信すると共に印刷処理を実行するよう印刷機構25や搬送機構32を制御する。印刷機構25は、キャリッジベルト31によりキャリッジ軸30に沿って左右(主走査方向)に往復動するキャリッジ26と、インクに圧力をかけノズル27からインク滴を吐出する印刷ヘッド28と、各色のインクを収容したカートリッジ29とを備えている。印刷ヘッド28は、キャリッジ26の下部に設けられており、圧電素子に電圧をかけることによりこの圧電素子を変形させてインクを加圧する方式により、印刷ヘッド28の下面に設けられたノズル27から各色のインクを吐出して媒体S上にドットを形成するものである。なお、インクへ圧力をかける機構は、ヒーターの熱による気泡の発生によるものとしてもよい。カートリッジ29は、本体側に装着され、シアン(c),マゼンタ(m),イエロー(y),ブラック(k),オレンジ(o),パープル(p)のcmykopの各色のインクを個別に収容しており、この収容したインクを図示しないチューブを介して印刷ヘッド28へ供給する。搬送機構32は、駆動モーター33により駆動されて媒体Sを搬送する搬送ローラー35などを備えている。
【0017】
成形装置40は、媒体Sの上方側に配置される上型部41と、媒体Sの下方側に配置される下型部42とを備えている。上型部41や下型部42には、図示しない金型がセットされており、上下の金型で媒体Sを挟み込むことにより媒体Sを三次元形状に成形する。なお、成形装置40による成形は、加熱成形であってもよいし、加圧成形であってもよい。また、この成形装置40にセットされる金型は、複数種の異なる金型を交換可能なものとした。なお、媒体Sは、成形前あるいは成形後に、プリンター20と成形装置40との間に配置された切断機37により所定長さに切断される。
【0018】
PC50は、装置全体の制御を司るコントローラー51と、各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶する大容量メモリであるHDD55と、プリンター20などの外部機器とのデータの入出力を行うネットワークインターフェイス(I/F)56と、ユーザーが各種指令を入力するキーボードやマウスなどの入力装置57と、各種情報を表示するディスプレイ58とを備えている。コントローラー51は、各種制御を実行するCPU52や各種制御プログラムを記憶するフラッシュメモリー53、データを一時的に記憶するRAM54などを備えている。このPC50は、ディスプレイ58に表示されたカーソルなどをユーザーが入力装置57を介して入力操作すると、その入力操作に応じた動作を実行する機能を有している。コントローラー51やHDD55、I/F56、入力装置57、ディスプレイ58などは、バス59によって電気的に接続され、各種制御信号やデータのやり取りができるよう構成されている。
【0019】
このPC50のHDD55には、図示しないアプリケーションプログラムや変形画像処理プログラム60,印刷ドライバー70などが格納されている。変形画像処理プログラム60は、媒体Sの成形に伴う変形により成形品(成形後の媒体S)の表面に形成されている画像(文字や模様などを含む)に生じる形状ずれや色ずれを補正するために用いられるプログラムである。この変形画像処理プログラム60は、三次元の画像(絵柄)モデルを編集する3D絵柄編集部61と、成形に伴う形状ずれを補償する形状補償部62と、成形に伴う色ずれを補償する色補償部63と、画像データ(成形前に媒体Sに印刷すべき版下データ)の色を修正する色修正部66と、を有している。
【0020】
3D絵柄編集部61は、成形前の媒体Sに形成した画像の編集と成形後の媒体Sに形成した画像の編集とを実行する機能を有している。形状補償部62は、媒体Sの成形時の外形の変形によって生じる成形品表面の意匠(文字や模様)の形状変化を、目的の形状に補正する形状補償を実行する機能を有している。色補償部63は、媒体Sの成形時の変形によって生じる画像の色合いの変化を反映させるために色補償変換ルックアップテーブル(LUT)64を用いて目的の色合いに補正する色補償を実行する機能を有している。色補償変換LUT64は、媒体Sの変形後の成形品で発色すべき目的色の色値(目標色)と、媒体Sの変形率(面積変化率(%))と、媒体S上に形成するインク量との関係を経験的に定めた対応関係テーブルである。図2に色補償変換LUT64の一例を示す。図2では、目的色の色値(目標色)は、明度,色相,彩度を表すL*a*b*表色系の値(以下、Lab値という)を用いるものとし、インク量は、汎用のインク色としてのシアン(c),マゼンタ(m),イエロー(y),ブラック(k)の値(以下、cmyk値という)を用いるものとした。なお、インク量としてのcmyk値は、通常の1回の印刷処理で用いるインク量の最大量を100%として、0〜300%の範囲で設定するものとした。図2に示すように、色補償変換LUT64において、色値(目標色)と媒体Sの面積変形率(%)とが指定されると、指定された面積変形率(%)で媒体Sが変形したのちに指定した色値(目標色)になる各色のインク量が導き出される。色補償変換LUT64では、同じ色値(目標色)において、変形後の面積変形率(%)が大きいほど着色剤の形成量が大きくなる傾向に設定されている。また、この色補償変換LUT64は、格納されている各値の間のデータを周知の四面体補間処理を行うことによって、より格子点データの多いLUTに展開して利用されるものとした。なお、図2では、色補償変換LUT64の一部のみを示した。色修正部66は、ユーザーの指示に従って画像データ(版下データ)の色を修正する色修正を実行する機能を有している。
【0021】
印刷ドライバー70は、アプリケーションプログラム側から受けた印刷ジョブをプリンター20で直接印刷処理可能な印刷データに変換してプリンター20に出力(送信)するプログラムである。この印刷ドライバー70は、変形画像処理プログラム60で作成された画像データ(版下データ)を印刷データに変換してプリンター20に出力する機能を有している。
【0022】
次に、こうして構成された本実施形態の加飾成形システム10の処理、特に、変形画像処理プログラム60による処理について、形状補償処理、色補償処理、色修正処理の順に説明する。図3は、変形画像処理プログラム60により実行される形状補償処理の様子の一例を示す説明図である。この形状補償処理では、コントローラー51のCPU52は、まず、縦横に等間隔の複数の格子点を有する四角形(正方形)を要素とするグリッド92を平面状の媒体に構成した画像を作成する(図3(a))。なお、図示の都合上、グリッド92の格子点は実際よりも少ない(間引いた)状態で図示し、格子点の間隔はプリンター20のドットの形成間隔(例えば、720dpiや1440dpiなど)よりも広いものとした。また、これらの各格子点の初期位置(変形前の位置)の位置情報は保持されるものとした。次に、目的の製品の形状に成形されるように媒体を変形させる処理を行ない、変形前後のグリッド92の各格子点の位置情報を入力して変形後の各格子点の三次元座標位置や各格子点の歪み方向や歪み量を算出する。そして、この算出結果に基づいて、成形後の立体物の三次元の画像モデルを作成し、作成した三次元の画像モデルをディスプレイ58へ表示処理する(図3(b))。次に、使用者の入力操作によって三次元の画像モデル上で絵柄の位置が指定されると、指定された位置に絵柄としての印刷対象の画像を配置し(図3(c))、二次元変換指示が入力されると、三次元での座標値を二次元の座標値に変換して変換後の画像を表示する(図3(d))。このようにして、成形後に目的とする絵柄となる形状の画像が成形前の媒体上に形成され、成形前に媒体Sに印刷すべき形状補償データを作成することができる。なお、図3(d)の形状補償データの画像が媒体Sに印刷されて成形された結果の実成形品を図3(e)に示す。
【0023】
次に、色補償変換LUT64を用いた色補償処理について説明する。図4は、コントローラー51のCPU52により実行される色補償処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、HDD55に記憶され、形状補償処理がなされた後に色補償の実行指示が入力されたときに実行される。なお、色補償の実行指示は、例えば、形状補償処理後に、変形画像処理プログラム60の図示しない編集画面がディスプレイ58に表示された状態で、編集画面上の色補償実行ボタンを入力装置57でクリックすることにより入力されるものなどとすればよい。
【0024】
この色補償処理ルーチンが実行されると、CPU52は、まず、変形加工前後のグリッド92の各格子点の位置情報を取得する(ステップS100)。この位置情報の取得は、上述した形状補償処理で説明した変形前後の格子点の三次元座標をそれぞれ取得することにより行なう。次に、取得した各格子点の位置情報からグリッド92の各要素としての各四角形の面積変化率Δsを算出する(ステップS110)。ここで、グリッド92の各格子点と各四角形とを図5に示す。なお、図5では、グリッド92の一部を拡大して示しており、図5中の対象画像(文字A)は、上述した形状補償処理後の画像(図3(d)参照)が配置されたものである。各四角形の面積変化率Δsの算出は、ステップS100で取得した各格子点の変形前後の位置情報から変形前後の四角形の面積をそれぞれ算出して、変形後の四角形の面積を変形前の面積で除することにより行なう。なお、変形前の各四角形の面積はすべて同一であるため一定値を用いてもよい。こうして算出される各四角形の面積変化率Δsの一例を図6に示す。なお、要素No.は、グリッド92の左上の四角形を起点として左から右へ、上から下へと順に付すものとした。続いて、グリッド92の各格子点のLab値を取得する(ステップS120)。このLab値の取得は、入力された画像のRGB値やCMYK値などの色の情報に基づいて各格子点に対応する位置の形状補償処理後の画像の色値を求め、求めた色値をLab値に変換することにより取得することができる。あるいは、図3(d)や図5のような形状補償処理後の画像を含む図示しない編集画面をディスプレイ58上に表示して入力装置57を用いた画像の色の指定を受け付け、受け付けた色に基づいて各格子点に対応する位置の色値を求め、求めた色値をLab値に変換することにより取得することができる。
【0025】
こうしてグリッド92の各格子点のLab値や各四角形の面積変化率Δsを取得すると、処理対象の格子点を設定して(ステップS130)、処理対象の格子点のLab値と処理対象の格子点に対応する四角形の面積変化率Δsとをそれぞれ読み込む(ステップS140)。なお、処理対象の格子点は、グリッド92の左上隅の格子点を起点として左から右へ、上から下へと順に設定する。また、処理対象の格子点に対応する四角形は、例えば、処理対象の格子点を左上の頂点にもつ四角形に定めることができ、グリッド92の右端や下端に位置する格子点のように処理対象の格子点を左上の頂点にもつ四角形が存在しない場合には、処理対象の格子点を右上の頂点にもつ四角形や処理対象の格子点を左下の頂点や右下の頂点にもつ四角形を定めるものとすればよい。
【0026】
次に、読み込んだLab値を変形後の色値として用いると共に面積変化率Δsを用いて色補償変換LUT64から得られる変形前のインク量としてのcmyk値を処理対象の格子点のcmyk値に設定する(ステップS150)。ここで、読み込んだLab値と面積変化率Δsとが色補償変換LUT64に登録されている場合には、色補償変換LUT64から対応する値を導出して処理対象の格子点のcmyk値に設定する。一方、読み込んだLab値や面積変化率Δsが色補償変換LUT64に登録されていない場合には、色補償変換LUT64から近似するcmyk値を抽出して補間処理により求めた値を処理対象の格子点のcmyk値に設定する。こうしてインク量としてのcmyk値を設定すると、グリッド92のすべての格子点のcmyk値を設定したか否かを判定し(ステップS160)、未設定の格子点があるときには、ステップS130に戻り各格子点を順次処理対象に設定して処理を繰り返す。一方、すべての格子点のインク量としてのcmyk値を設定したときには、各格子点のcmyk値を色補償データとしてHDD55に保存して(ステップS170)、本ルーチンを終了する。こうして作成された色補償データは対象画像の色として定めることができ、上述した形状補償処理により形状が補償された形状補償データは対象画像の形状として定めることができる。そして、これらを合わせたデータを画像データ(版下データ)として出力して、画像の表示や印刷に用いるものとした。このように、本実施形態では、各格子点の変形後の色値としてのLab値と各四角形の面積変化率Δsとを用いて色補償変換LUT64から各格子点のインク量としてのcmyk値を設定して色補償データを作成するのである。これにより、媒体Sのグリッド92の各要素(四角形)の面積変化に伴う色の変化の影響を精度よく反映させて各格子点のcmyk値を設定することができ、ひいては、媒体S全体の変形による色の変化の影響を精度よく反映させて色補償データを作成することができる。なお、この画像データ(版下データ)をもって印刷する際には、例えば、まず、グリッド92の各格子点のcmyk値をプリンター20のドットの形成間隔に応じて補間すると共に汎用のインク色cmykのインク量としてのcmyk値をプリンター20のインク色cmykopのインク量としてのcmykop値に変換して印刷データを作成してプリンター20に出力する処理などが、印刷ドライバー70などを用いて行なわれる。本実施形態では、画像形成のインク量としてのcmykop値は通常の印刷範囲(0〜100%)を超える量として設定される部位も存在するため、プリンター20による印刷処理は、通常の印刷範囲内の印刷を必要回数実行することによって行なわれる。そして、プリンター20によって画像データ(版下データ)の画像が媒体Sに印刷されると、その後に、媒体Sが成形装置40によって変形されることによって成形品が完成する。
【0027】
次に、色修正処理について説明する。この色修正処理は、実際の成形品(成形後の媒体S)をユーザーが確認して、成形品の目標色と実際の色とのずれの修正を所望した場合に行なわれる。図7は、コントローラー51のCPU52により実行される色修正処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、HDD55に記憶され、色修正の実行指示が入力されたときに実行される。なお、色修正の実行指示は、例えば、変形画像処理プログラム60の図示しない編集画面がディスプレイ58に表示された状態で、編集画面上の色修正実行ボタンを入力装置57でクリックすることにより入力されるものなどとすればよい。
【0028】
色修正処理ルーチンが実行されると、CPU52は、まず、画像データ(版下データ)の画像の色の修正を必要とする修正所望位置P1やその修正所望位置P1を含む修正範囲をユーザーが選択(設定)するための色修正用設定画面80をディスプレイ58に表示する(ステップS200)。図8および図9は、色修正用設定画面80の一例を示す説明図である。図8は、修正所望位置P1や修正範囲が設定されていない場合の色修正用設定画面80の一例を示し、図9は、修正所望位置P1や修正範囲が設定されている場合の色修正用設定画面80の一例を示す。以下、図8および図9を用いて、修正所望位置P1や修正範囲などを設定する際のユーザーの動作とコントローラー51による処理について説明する。
【0029】
まず、色修正用設定画面80について説明する。色修正用設定画面80には、図8および図9に示すように、目標の成形品が上述のグリッド92と共に三次元表示される画像表示領域82や、修正所望位置P1が設定されたときに目標の成形品における修正所望位置P1の色(修正所望位置P1の目標色)に対して色値(明度や色相,彩度)を変更した色(以下、変更色という)が複数表示される変更色表示領域84(図9参照),コントローラー51による色修正処理の実行をユーザーが指示するための色修正処理実行ボタン88などが含まれる。この色修正用設定画面80は、ユーザーの操作に応じて表示内容が変更される。また、目標の成形品やグリッド92は、ユーザーによる入力装置57の操作によって一体となって回転可能なものとした。さらに、修正所望位置P1(図9の黒丸印参照)は、修正所望位置P1が設定されていない状態で入力装置57によってカーソル90が操作されてグリッド92の任意の格子点がクリックされた場合や修正所望位置P1が設定されている状態でカーソル90が操作されて他の格子点がクリックされた場合には、クリックされた格子点を修正所望位置P1として設定してその修正所望位置P1における複数の変更色を変更色表示領域84(図9参照)に表示し、修正所望位置P1として設定されている格子点がクリックされた場合にはその格子点に対する修正所望位置P1の設定を解除すると共に複数の変更色の表示(変更色表示領域84の表示)を解除するものとした。複数の変更色としては、例えば、目標の成形品における修正所望位置P1の色値としてのLab値が(42,67,51)となっている場合、Lab値が(45,70,52)や(50,72,53)などとなる複数の変更色をバリエーション表示するものとした。このように、複数の変更色を変更色表示領域84に表示することにより、ユーザーは、実際の成形品を確認して、複数の変更色から実際の成形品における修正所望位置P1の色に最も近いと判断した色(以下、実物近似色という)を選択することができる。また、修正範囲の外縁を構成する格子点である修正外縁用格子点P2は、入力装置57によってカーソル90が操作されて目標の成形品(三次元表示)上で閉じた図形が形成された場合に(図9の太実線参照)、その閉じた図形に合った複数の格子点のそれぞれを設定するものとした。
【0030】
次に、ユーザーの操作に応じたコントローラー51の処理について説明する。コントローラー51は、ユーザーが入力装置57によってカーソル90を操作して目標の成形品と実際の成形品とを比較して色がずれている(修正を希望する)と判断したグリッド92の格子点をクリックすると、その格子点を修正所望位置P1として設定すると共にその修正所望位置P1の複数の変更色を変更色表示領域84に表示し、その状態で複数の変更色から実際の成形品における修正所望位置P1の色に最も近いと判断した色をユーザーがクリックすると、それを実物近似色として設定する。また、コントローラー51は、ユーザーが入力装置57によってカーソル90を操作して閉じた図形を形成すると、その図形に合った複数の格子点のそれぞれを修正外縁用格子点P2として設定する。なお、修正所望位置P1の設定後に修正範囲を設定する場合には、修正所望位置P1を囲むように修正範囲を設定する必要があり、修正範囲の設定後に修正所望位置P1を設定する場合には、修正範囲内で修正所望位置P1を設定する必要があるため、これに適合しない入力装置57の操作に対しては色修正用設定画面80に反映しないものとした。
【0031】
このように色修正用設定画面80をディスプレイ58に表示しながら、修正所望位置P1が設定されたか否か(ステップS210)、修正所望位置P1の実物近似色が設定されたか否か(ステップS220)、修正範囲(複数の修正外縁用格子点P2)が設定されたか否か(ステップS230)、を判定し、修正所望位置P1と修正所望位置P1の実物近似色と修正範囲とのうち少なくとも一つが設定されていないと判定された場合には、ステップS200に戻る。一方、修正所望位置P1と修正所望位置P1の実物近似色と修正範囲とが設定されたと判定された場合には、色修正処理実行ボタン88が入力装置57でクリックされたか否かを判定し(ステップS240)、色修正処理実行ボタン88がクリックされていないと判定された場合には、ステップS200に戻る。
【0032】
ステップS240で色修正処理実行ボタン88がクリックされたと判定された場合には、設定された修正所望位置P1と修正所望位置P1の実物近似色と修正範囲とを取得し(ステップS250)、取得した実物近似色に基づいて画像データ(版下データ)の画像の修正所望位置P1のインク量としてのcmyk値の修正量を設定する(ステップS260)。ここで、修正所望位置P1のcmyk値の修正量の設定は、本実施形態では、修正所望位置P1における実物近似色と修正所望位置P1の面積変化率Δsとを図2の色補償変換LUT64に適用することによって実際の成形品における修正所望位置P1の実物近似色の変形前のインク量としてのcmyk値を求めて、このcmyk値と目標の成形品における修正所望位置P1のインク量としてのcmyk値(媒体Sの変形後に目標色になると想定されるcmyk値)とのずれが打ち消されるように、画像データにおける修正所望位置P1のcmyk値の修正量を設定するものとした。例えば、目標の成形品における修正所望位置P1のインク量としてのcmyk値(媒体Sの変形後に目標色となるcmyk値)が(0,130,97,0)となっていて、修正所望位置P1の面積変化率Δsが150%でユーザーの選択した実物近似色の色値としてのLab値が(45,70,52)の場合を考える。この場合、まず、図2の色補償変換LUT64において、色値としてのLab値が(45,70,50),(45,70,60)で且つ面積変化率Δsが150%に対応するインク量としてのcmyk値の(0,120,90,0),(0,130,95,0)を求める。そして、これらに対して補間処理を行なうことによってLab値の(45,70,52)に対応するインク量としてのcmyk値の(0,122,91,0)を求め、求めたcmyk値と目標の成形品における修正所望位置P1のcmyk値(媒体Sの変形後に目標色になると想定されるcmyk値)の(0,130,97,0)とを比較する。この比較によってマゼンダ(M)については8%,イエロー(Y)については6%不足しているということが分かるから、この色ずれを打ち消すように、画像データ(版下データ)における修正所望位置P1の修正量、即ち、マゼンダ(M)については+8%,イエロー(Y)については+6%を設定する。
【0033】
こうして画像データ(版下データ)における修正所望位置P1のインク量としてのcmyk値の修正量を設定すると、修正所望位置P1から修正範囲の外縁(複数の修正所望位置P1用頂点)に向けてcmyk値の修正量が小さくなるようにグリッド92の各格子点のcmyk値の修正量を設定し(ステップS270)、設定したcmyk値の修正量を用いて修正所望位置P1や修正外縁用格子点P2を含む各格子点のインク量としてのcmyk値を修正して(ステップS280)、本ルーチンを終了する。図10は、各格子点のインク量の修正量を設定するときの様子の一例を示す説明図である。この図は、修正所望位置P1の修正量が8%の場合を示している。このステップS260の処理では、まず、修正所望位置P1の修正量を8%とすると共に複数の修正外縁格子点の修正量を0%とする(図10(a)参照)。そして、その状態で、各格子点の修正所望位置P1や修正範囲の外縁に対する位置関係に基づいて、修正範囲内の各格子点については補間処理によって修正所望位置P1から修正範囲の外縁に向けて徐々に(滑らかに)修正量が小さくなるように各格子点の修正量を設定し、修正範囲外の各格子点については値0を設定する(図10(b)参照)。このように各格子点の修正量を設定することにより、目標の成形品の色(目標色)と実際の成形品の色とがずれている場合に、そのずれ方に応じてインク量としてのcmyk値の修正量を設定することができる。即ち、修正所望位置P1に対する異方的な修正(偏った修正)をユーザーが所望する場合でも、各格子点のインク量としてのcmyk値をより適正に設定することができる。この結果、実際の成形品の各部位の色をユーザーの所望する色(目標の成形品の色)により近づけることができる。即ち、画像データ(版下データ)を用いて画像を媒体Sに印刷した後にその媒体Sを変形して成形品を成形する一連の処理と、その実際の成形品と目標の成形品とを比較して画像データの画像の色を修正する色修正処理と、を交互に繰り返し行なって画像データを更新していくことによって成形品の各部位の色をユーザーの所望する色に徐々に近づけていくことができる。なお、色修正用設定画面80の画像表示領域82に表示される目標の成形品の色については、画像データにおける各格子点のインク量としてのcmyk値が修正された場合でも変更されない。
【0034】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の図8の色修正処理ルーチンのステップS250の処理を実行するコントローラー51が「情報取得手段」に相当し、ステップS260〜S280の処理を実行するコントローラー51が「色修正手段」に相当する。なお、本実施形態では、画像処理装置の動作を説明することにより本発明の画像処理方法の一例も明らかにしている。
【0035】
以上説明した本実施形態の加飾成形システム10によれば、画像データ(版下データ)の画像の色の修正を必要とする修正所望位置P1やその修正所望位置P1を含む修正範囲を取得し、取得した修正所望位置P1から修正範囲の外縁に向けて修正量が小さくなる傾向に画像データの画像の色を修正するから、修正所望位置P1に対する異方的な修正をユーザーが所望する場合でも、画像データの画像の色をより適正に修正することができる。この結果、成形品の各部位の色をよりユーザーの所望する色に近づけることができる。しかも、修正所望位置P1が設定されると、色修正用設定画面80の変更色表示領域84に複数の変更色を表示し、ユーザーによって複数の変更色から選択された色としての実物近似色を用いて画像データの画像の修正所望位置P1の色(インク量としてのcmyk値)を修正するから、ユーザーによる操作を容易なものとすることができる。
【0036】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0037】
上述した実施形態では、修正所望位置P1が設定されたときに色修正用設定画面80の変更色表示領域84に複数の変更色を表示し、複数の変更色からユーザーによって選択された実物近似色を用いて画像データにおける修正所望位置P1のインク量としてのcmyk値の修正量を設定すると共に設定した修正所望位置P1のcmyk値の修正量を用いてグリッド92の各格子点のcmyk値の修正量を設定するものとしたが、修正所望位置P1が設定されたときにユーザーが修正所望位置P1のcmyk値の修正量を入力できるように色修正用設定画面80の表示内容を変更し、ユーザーによって入力された修正所望位置P1のcmyk値の修正量を用いてグリッド92の各格子点のcmyk値の修正量を設定するものとしてもよい。
【0038】
上述した実施形態では、目標の成形品を色修正用設定画面80の画像表示領域82に表示するものとしたが、媒体Sに印刷すべき画像としての目標画像を画像表示領域82に表示するものとしてもよい。図11は、目標画像を画像表示領域82に表示する場合の一例を示す説明図である。なお、図11では、修正所望位置P1や修正外縁用格子点P2,閉じた図形についても図示した。この場合、変更色表示領域84には、上述した実施形態と同様に、目標の成形品における修正所望位置P1の色(修正所望位置P1の目標色)に対して色値(明度や色相,彩度)を変更した複数の変更色を表示するもの(図11参照)としてもよいし、修正所望位置P1の目標色に対応するcmyk値に対してcmyk値を変更したものを表示するもの(図示せず)としてもよい。前者の場合には上述した実施形態と同様に修正所望位置P1のcmyk値の修正量を設定することができ、後者の場合にはユーザーによって選択された色(cmyk値)と修正所望位置P1の目標色に対応するcmyk値とのずれを修正所望位置P1のcmyk値の修正量に設定することができる。この場合でも、ユーザーによって設定された修正所望位置P1や実物近似色,修正範囲(修正外縁用格子点P2)を用いて画像データの画像の色を修正することができる。
【0039】
上述した実施形態では、色情報が設定された位置としてグリッド92の各格子点に変形前の色情報(インク量としてのcmyk値)を設定するものとしたが、グリッド92の各格子点に代えて、グリッド92の各要素(四角形)内に設定された一つ以上の点に変形前の色情報を設定するものとしてもよいし、画素(ピクセル)毎に色情報を設定するものとしてもよい。前者の場合、グリッド92の各要素内に設定された点の位置としては、例えば、各要素の重心などを考えることができる。こうすれば、グリッド92の各格子点に色情報を設定する場合に比して、面積変化率Δsを反映してより適正に色情報を設定することができる。
【0040】
上述した実施形態では、ユーザーによって色修正用設定画面80の画像表示領域82の目標の成形品上で閉じた図形が形成されると、その閉じた図形に合ったグリッド92の複数の格子点のそれぞれを修正外縁用格子点P2に設定するものとしたが、ユーザーがグリッド92の各格子点を修正外縁用格子点P2として設定できるようにするものとしてもよい。
【0041】
上述した実施形態では、媒体Sの変形の程度としては、グリッド92により形成される四角形の変形の前後における面積の比である面積変化率Δsを用いたが、グリッド92により形成される格子点のうち近接する3つの格子点からなる三角形の変形の前後における面積の比である面積変化率を用いるものとしてもよいし、グリッド92により形成される四角形を更に分割した形状における変形の前後における面積の比である面積変化率を用いるものとしてもよいし、グリッド92により形成される各格子点間の変形の前後における長さの比である線的な変化率を用いるものとしてもよい。
【0042】
上述した実施形態では、媒体Sのグリッド92は各要素が正方形となるよう構成するものとしたが、これに限られず、各要素が三角形や矩形,菱形などの多角形となるものであればどのように構成するものとしてもよい。
【0043】
上述した実施形態では、色補償変換LUT64の変形の度合いとして面積変化率Δsを用いるものとしたが、これに限られず、変形の度合いを示すものであれば伸び率などの他の指標を用いるものとしてもよい。また、面積変化率Δsとしては、100%以上の範囲を用いたが、100%未満に縮小される範囲を含めるものとしてもよい。
【0044】
上述した実施形態では、色補償変換LUT64の媒体Sの変形後の成形品で発色すべき目的色の色値(目標色)としてL*a*b*表色系の値(Lab値)を用いるものとしたが、これに限られず、RGB表色系やCMYK表色系などの他の表色系の値を用いるものとしてもよい。
【0045】
上述した実施形態では、色補償変換LUT64は、媒体Sの変形後の成形品で発色すべき目的色の色値(目標色)と、媒体Sの変形率(面積変化率(%))と、媒体Sに形成するインク量との関係定めた対応関係テーブルであるものとしたが、媒体Sに形成するインク量に代えて、媒体Sに形成する色値を用いるものとしてもよい。この場合、媒体Sに形成する色値としては、CMYK表色系などの値(例えば画素値など)を用いることができる。
【0046】
上述した実施形態では、着色剤は、インクであるものとしたが、媒体S上に画像を形成する際に着色可能なものであれば特にこれに限定されない。例えば、インク以外の他の液体や機能材料の粒子が分散されている液状体(分散液)、ジェルのような流状体、トナーなどの粉体などとしてもよい。
【0047】
上述した実施形態では、プリンター20は、インクを吐出するインクジェット式の印刷機構25を備えたものとしたが、特にこれに限定されず、レーザープリンターとしてもよいし、熱転写プリンターとしてもよいし、ドットインパクトプリンターとしてもよい。また、PC50のような画像処理装置としたが、画像処理方法としてもよいし、これを実行可能なプログラムとしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 加飾成形システム、20 プリンター、21 コントローラー、22 CPU、23 フラッシュメモリー、24 RAM、25 印刷機構、26 キャリッジ、27 ノズル、28 印刷ヘッド、29 カートリッジ、30 キャリッジ軸、31 キャリッジベルト、32 搬送機構、33 駆動モーター、34 搬送ローラー、36 ロール、37 切断機、40 成形装置、41 上型部、42 下型部、50 PC、51 コントローラー、52 CPU、53 フラッシュメモリー、54 RAM、55 HDD、56 I/F、57 入力装置、58 ディスプレイ、59 バス、60 変形画像処理プログラム、61 3D絵柄編集部、62 形状補償部、63 色補償部、64 色補償変換ルックアップテーブル(LUT)、70 印刷ドライバー、80 色修正用設定画面、82 画像表示領域、84 変更色表示領域、88 色修正実行ボタン、90 カーソル、92 グリッド、S 媒体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置および画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の画像処理装置としては、成形前後の絵柄の歪みを算出して写像関数として記録し、記録した写像関数に基づいて絵柄の歪みを相殺するように変形させた印刷絵柄を作成し、成形前後のフィルム濃度変化を濃度変化関数として記録し、印刷絵柄の濃度を濃度変化関数に基づいて補正するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−199625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の画像処理装置では、成形前後の歪みに応じて印刷絵柄の濃度を補正するものの、画像形成後に変形して成形した立体物の一部の色(明度や色度,彩度)がユーザーの所望する色とは異なる場合がある。この場合、ユーザーの希望に応じて絵柄の色を修正する必要があるが、画像形成後に変形して立体物を成形することから、立体物における各部の変形の度合いが一様でないことから、所望の色と立体物の色とのずれが異方的なもの(偏りが生じたもの)となることがあり、画像の色をどのように修正するかが課題となる。
【0005】
本発明の画像処理装置および画像処理方法は、画像の色をより適正に修正することを主目的とする。
【0006】
本発明の画像処理装置および画像処理方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像処理装置は、
変形が施される媒体に該変形前に形成すべき画像を処理する画像処理装置であって、
ユーザーの操作に基づく、前記画像の色の修正を必要とする修正所望位置と該修正所望位置を含む修正範囲とを取得する情報取得手段と、
前記取得した修正所望位置から前記取得した修正範囲の外縁に向けて修正量が小さくなる傾向に前記画像の色を修正する色修正手段と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の画像処理装置では、ユーザーの操作に基づく画像の色の修正を必要とする修正所望位置と修正所望位置を含む修正範囲とを取得し、取得した修正所望位置から修正範囲の外縁に向けて修正量が小さくなる傾向に画像の色を修正する。これにより、修正所望位置に対する異方的な修正(偏った修正)をユーザが所望する場合でも、画像の色をより適正に修正することができる。この結果、成形物の各部位の色をよりユーザーの所望する色に近づけることができる。
【0009】
こうした本発明の画像処理装置において、情報を表示する表示手段と、前記取得した修正所望位置の目標色とは異なる複数の色である複数の変更色を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、を備え、前記表示された複数の変更色からユーザーによって選択された選択色に基づいて前記取得した修正所望位置の修正量を設定する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、ユーザーは、複数の変更色から実際の成形物における修正所望位置の色に近似する色を選択すればよいから、修正量を直接設定する必要がなく、ユーザーによる操作を容易なものとすることができる。この態様の本発明の画像処理装置において、前記媒体の変形の程度と変形前の色と変形に伴う色変化が反映された変形後の色との対応関係である色対応関係を記憶する色対応関係記憶手段を備え、前記色修正手段は、前記取得した修正所望位置の変形の程度と前記選択色と前記記憶した色対応関係とに基づいて前記選択色に対応する前記媒体の変形前の修正所望位置の色である選択対応変形前色を求めると共に、該求めた選択対応変形前色と前記媒体の変形前の修正所望位置の目標色とのずれが打ち消されるように前記修正所望位置の修正量を設定する手段である、ものとすることもできる。
【0010】
また、本発明の画像処理装置において、前記色修正手段は、前記取得した修正所望位置から前記取得した修正範囲の外縁に向けて滑らかに修正量が小さくなるように前記画像の色を修正する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、色の修正の程度をより滑らかにすることができる。
【0011】
さらに、本発明の画像処理装置において、前記修正所望位置は、前記画像の単位部分の色情報が設定された位置である色情報位置であり、前記修正範囲の外縁は、複数の前記色情報位置によって構成されてなる、ものとすることもできる。この態様の本発明の画像処理装置において、前記色修正手段は、前記修正範囲の外縁を構成する前記複数の色情報位置については色情報を修正せず、前記修正範囲内の前記色情報位置については前記修正所望位置および前記修正範囲の外縁に対する位置関係に応じて色情報を修正する手段である、ものとすることもできる。
【0012】
本発明の画像処理方法は、
変形が施される媒体に該変形前に形成すべき画像を処理する画像処理方法であって、
(a)ユーザーの操作に基づく、前記画像の色の修正を必要とする修正所望位置と該修正所望位置を含む修正範囲とを取得するステップと、
(b)前記取得した修正所望位置から前記取得した修正範囲の外縁に向けて修正量が小さくなる傾向に前記画像の色を修正するステップと、
を含むことを要旨とする。
【0013】
この本発明の画像処理方法では、ユーザーの操作に基づく画像の色の修正を必要とする修正所望位置と修正所望位置を含む修正範囲とを取得し、取得した修正所望位置から修正範囲の外縁に向けて修正量が小さくなる傾向に画像の色を修正する。これにより、修正所望位置に対する異方的な修正(偏った修正)をユーザが所望する場合でも、画像の色をより適正に修正することができる。この結果、成形物の各部位の色をよりユーザーの所望する色に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】加飾成形システム10の構成の概略の一例を示す構成図。
【図2】色補償変換LUT64の一例を示す説明図。
【図3】形状補償処理の様子を示す説明図。
【図4】色補償処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図5】グリッド92の各格子点と各四角形とを示す説明図。
【図6】算出された各四角形の面積変化率Δsの一例を示す説明図。
【図7】色修正処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図8】色修正用設定画面80の一例を示す説明図。
【図9】色修正用設定画面80の一例を示す説明図。
【図10】各格子点のインク量の修正量を設定するときの様子を示す説明図。
【図11】色修正用設定画面80の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態である加飾成形システム10の構成の概略の一例を示す構成図である。本実施形態の加飾成形システム10は、図示するように、樹脂製のシート(例えばポリフィルム)などの媒体Sがロール状に巻かれてなるロール36から媒体Sを引き出してインクを吐出することにより画像を印刷するプリンター20と、画像が印刷された後の媒体Sを所望の三次元形状に立体成形する成形装置40と、プリンター20と通信可能に接続され媒体Sに形成すべき画像を入力して印刷データに処理して出力する画像処理装置の機能を有する汎用のパソコン(PC)50とを備えている。
【0016】
プリンター20は、装置全体を制御するコントローラー21と、インクを媒体Sに吐出する印刷機構25と、ロール36から媒体Sを引き出しながら搬送する搬送機構32とを備えている。コントローラー21は、CPU22を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、各種処理プログラムを記憶しデータを書き換え可能なフラッシュメモリー23と、一時的にデータを記憶したりデータを保存したりするRAM24などを備えている。このコントローラー21は、PC50からの印刷データを受信すると共に印刷処理を実行するよう印刷機構25や搬送機構32を制御する。印刷機構25は、キャリッジベルト31によりキャリッジ軸30に沿って左右(主走査方向)に往復動するキャリッジ26と、インクに圧力をかけノズル27からインク滴を吐出する印刷ヘッド28と、各色のインクを収容したカートリッジ29とを備えている。印刷ヘッド28は、キャリッジ26の下部に設けられており、圧電素子に電圧をかけることによりこの圧電素子を変形させてインクを加圧する方式により、印刷ヘッド28の下面に設けられたノズル27から各色のインクを吐出して媒体S上にドットを形成するものである。なお、インクへ圧力をかける機構は、ヒーターの熱による気泡の発生によるものとしてもよい。カートリッジ29は、本体側に装着され、シアン(c),マゼンタ(m),イエロー(y),ブラック(k),オレンジ(o),パープル(p)のcmykopの各色のインクを個別に収容しており、この収容したインクを図示しないチューブを介して印刷ヘッド28へ供給する。搬送機構32は、駆動モーター33により駆動されて媒体Sを搬送する搬送ローラー35などを備えている。
【0017】
成形装置40は、媒体Sの上方側に配置される上型部41と、媒体Sの下方側に配置される下型部42とを備えている。上型部41や下型部42には、図示しない金型がセットされており、上下の金型で媒体Sを挟み込むことにより媒体Sを三次元形状に成形する。なお、成形装置40による成形は、加熱成形であってもよいし、加圧成形であってもよい。また、この成形装置40にセットされる金型は、複数種の異なる金型を交換可能なものとした。なお、媒体Sは、成形前あるいは成形後に、プリンター20と成形装置40との間に配置された切断機37により所定長さに切断される。
【0018】
PC50は、装置全体の制御を司るコントローラー51と、各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶する大容量メモリであるHDD55と、プリンター20などの外部機器とのデータの入出力を行うネットワークインターフェイス(I/F)56と、ユーザーが各種指令を入力するキーボードやマウスなどの入力装置57と、各種情報を表示するディスプレイ58とを備えている。コントローラー51は、各種制御を実行するCPU52や各種制御プログラムを記憶するフラッシュメモリー53、データを一時的に記憶するRAM54などを備えている。このPC50は、ディスプレイ58に表示されたカーソルなどをユーザーが入力装置57を介して入力操作すると、その入力操作に応じた動作を実行する機能を有している。コントローラー51やHDD55、I/F56、入力装置57、ディスプレイ58などは、バス59によって電気的に接続され、各種制御信号やデータのやり取りができるよう構成されている。
【0019】
このPC50のHDD55には、図示しないアプリケーションプログラムや変形画像処理プログラム60,印刷ドライバー70などが格納されている。変形画像処理プログラム60は、媒体Sの成形に伴う変形により成形品(成形後の媒体S)の表面に形成されている画像(文字や模様などを含む)に生じる形状ずれや色ずれを補正するために用いられるプログラムである。この変形画像処理プログラム60は、三次元の画像(絵柄)モデルを編集する3D絵柄編集部61と、成形に伴う形状ずれを補償する形状補償部62と、成形に伴う色ずれを補償する色補償部63と、画像データ(成形前に媒体Sに印刷すべき版下データ)の色を修正する色修正部66と、を有している。
【0020】
3D絵柄編集部61は、成形前の媒体Sに形成した画像の編集と成形後の媒体Sに形成した画像の編集とを実行する機能を有している。形状補償部62は、媒体Sの成形時の外形の変形によって生じる成形品表面の意匠(文字や模様)の形状変化を、目的の形状に補正する形状補償を実行する機能を有している。色補償部63は、媒体Sの成形時の変形によって生じる画像の色合いの変化を反映させるために色補償変換ルックアップテーブル(LUT)64を用いて目的の色合いに補正する色補償を実行する機能を有している。色補償変換LUT64は、媒体Sの変形後の成形品で発色すべき目的色の色値(目標色)と、媒体Sの変形率(面積変化率(%))と、媒体S上に形成するインク量との関係を経験的に定めた対応関係テーブルである。図2に色補償変換LUT64の一例を示す。図2では、目的色の色値(目標色)は、明度,色相,彩度を表すL*a*b*表色系の値(以下、Lab値という)を用いるものとし、インク量は、汎用のインク色としてのシアン(c),マゼンタ(m),イエロー(y),ブラック(k)の値(以下、cmyk値という)を用いるものとした。なお、インク量としてのcmyk値は、通常の1回の印刷処理で用いるインク量の最大量を100%として、0〜300%の範囲で設定するものとした。図2に示すように、色補償変換LUT64において、色値(目標色)と媒体Sの面積変形率(%)とが指定されると、指定された面積変形率(%)で媒体Sが変形したのちに指定した色値(目標色)になる各色のインク量が導き出される。色補償変換LUT64では、同じ色値(目標色)において、変形後の面積変形率(%)が大きいほど着色剤の形成量が大きくなる傾向に設定されている。また、この色補償変換LUT64は、格納されている各値の間のデータを周知の四面体補間処理を行うことによって、より格子点データの多いLUTに展開して利用されるものとした。なお、図2では、色補償変換LUT64の一部のみを示した。色修正部66は、ユーザーの指示に従って画像データ(版下データ)の色を修正する色修正を実行する機能を有している。
【0021】
印刷ドライバー70は、アプリケーションプログラム側から受けた印刷ジョブをプリンター20で直接印刷処理可能な印刷データに変換してプリンター20に出力(送信)するプログラムである。この印刷ドライバー70は、変形画像処理プログラム60で作成された画像データ(版下データ)を印刷データに変換してプリンター20に出力する機能を有している。
【0022】
次に、こうして構成された本実施形態の加飾成形システム10の処理、特に、変形画像処理プログラム60による処理について、形状補償処理、色補償処理、色修正処理の順に説明する。図3は、変形画像処理プログラム60により実行される形状補償処理の様子の一例を示す説明図である。この形状補償処理では、コントローラー51のCPU52は、まず、縦横に等間隔の複数の格子点を有する四角形(正方形)を要素とするグリッド92を平面状の媒体に構成した画像を作成する(図3(a))。なお、図示の都合上、グリッド92の格子点は実際よりも少ない(間引いた)状態で図示し、格子点の間隔はプリンター20のドットの形成間隔(例えば、720dpiや1440dpiなど)よりも広いものとした。また、これらの各格子点の初期位置(変形前の位置)の位置情報は保持されるものとした。次に、目的の製品の形状に成形されるように媒体を変形させる処理を行ない、変形前後のグリッド92の各格子点の位置情報を入力して変形後の各格子点の三次元座標位置や各格子点の歪み方向や歪み量を算出する。そして、この算出結果に基づいて、成形後の立体物の三次元の画像モデルを作成し、作成した三次元の画像モデルをディスプレイ58へ表示処理する(図3(b))。次に、使用者の入力操作によって三次元の画像モデル上で絵柄の位置が指定されると、指定された位置に絵柄としての印刷対象の画像を配置し(図3(c))、二次元変換指示が入力されると、三次元での座標値を二次元の座標値に変換して変換後の画像を表示する(図3(d))。このようにして、成形後に目的とする絵柄となる形状の画像が成形前の媒体上に形成され、成形前に媒体Sに印刷すべき形状補償データを作成することができる。なお、図3(d)の形状補償データの画像が媒体Sに印刷されて成形された結果の実成形品を図3(e)に示す。
【0023】
次に、色補償変換LUT64を用いた色補償処理について説明する。図4は、コントローラー51のCPU52により実行される色補償処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、HDD55に記憶され、形状補償処理がなされた後に色補償の実行指示が入力されたときに実行される。なお、色補償の実行指示は、例えば、形状補償処理後に、変形画像処理プログラム60の図示しない編集画面がディスプレイ58に表示された状態で、編集画面上の色補償実行ボタンを入力装置57でクリックすることにより入力されるものなどとすればよい。
【0024】
この色補償処理ルーチンが実行されると、CPU52は、まず、変形加工前後のグリッド92の各格子点の位置情報を取得する(ステップS100)。この位置情報の取得は、上述した形状補償処理で説明した変形前後の格子点の三次元座標をそれぞれ取得することにより行なう。次に、取得した各格子点の位置情報からグリッド92の各要素としての各四角形の面積変化率Δsを算出する(ステップS110)。ここで、グリッド92の各格子点と各四角形とを図5に示す。なお、図5では、グリッド92の一部を拡大して示しており、図5中の対象画像(文字A)は、上述した形状補償処理後の画像(図3(d)参照)が配置されたものである。各四角形の面積変化率Δsの算出は、ステップS100で取得した各格子点の変形前後の位置情報から変形前後の四角形の面積をそれぞれ算出して、変形後の四角形の面積を変形前の面積で除することにより行なう。なお、変形前の各四角形の面積はすべて同一であるため一定値を用いてもよい。こうして算出される各四角形の面積変化率Δsの一例を図6に示す。なお、要素No.は、グリッド92の左上の四角形を起点として左から右へ、上から下へと順に付すものとした。続いて、グリッド92の各格子点のLab値を取得する(ステップS120)。このLab値の取得は、入力された画像のRGB値やCMYK値などの色の情報に基づいて各格子点に対応する位置の形状補償処理後の画像の色値を求め、求めた色値をLab値に変換することにより取得することができる。あるいは、図3(d)や図5のような形状補償処理後の画像を含む図示しない編集画面をディスプレイ58上に表示して入力装置57を用いた画像の色の指定を受け付け、受け付けた色に基づいて各格子点に対応する位置の色値を求め、求めた色値をLab値に変換することにより取得することができる。
【0025】
こうしてグリッド92の各格子点のLab値や各四角形の面積変化率Δsを取得すると、処理対象の格子点を設定して(ステップS130)、処理対象の格子点のLab値と処理対象の格子点に対応する四角形の面積変化率Δsとをそれぞれ読み込む(ステップS140)。なお、処理対象の格子点は、グリッド92の左上隅の格子点を起点として左から右へ、上から下へと順に設定する。また、処理対象の格子点に対応する四角形は、例えば、処理対象の格子点を左上の頂点にもつ四角形に定めることができ、グリッド92の右端や下端に位置する格子点のように処理対象の格子点を左上の頂点にもつ四角形が存在しない場合には、処理対象の格子点を右上の頂点にもつ四角形や処理対象の格子点を左下の頂点や右下の頂点にもつ四角形を定めるものとすればよい。
【0026】
次に、読み込んだLab値を変形後の色値として用いると共に面積変化率Δsを用いて色補償変換LUT64から得られる変形前のインク量としてのcmyk値を処理対象の格子点のcmyk値に設定する(ステップS150)。ここで、読み込んだLab値と面積変化率Δsとが色補償変換LUT64に登録されている場合には、色補償変換LUT64から対応する値を導出して処理対象の格子点のcmyk値に設定する。一方、読み込んだLab値や面積変化率Δsが色補償変換LUT64に登録されていない場合には、色補償変換LUT64から近似するcmyk値を抽出して補間処理により求めた値を処理対象の格子点のcmyk値に設定する。こうしてインク量としてのcmyk値を設定すると、グリッド92のすべての格子点のcmyk値を設定したか否かを判定し(ステップS160)、未設定の格子点があるときには、ステップS130に戻り各格子点を順次処理対象に設定して処理を繰り返す。一方、すべての格子点のインク量としてのcmyk値を設定したときには、各格子点のcmyk値を色補償データとしてHDD55に保存して(ステップS170)、本ルーチンを終了する。こうして作成された色補償データは対象画像の色として定めることができ、上述した形状補償処理により形状が補償された形状補償データは対象画像の形状として定めることができる。そして、これらを合わせたデータを画像データ(版下データ)として出力して、画像の表示や印刷に用いるものとした。このように、本実施形態では、各格子点の変形後の色値としてのLab値と各四角形の面積変化率Δsとを用いて色補償変換LUT64から各格子点のインク量としてのcmyk値を設定して色補償データを作成するのである。これにより、媒体Sのグリッド92の各要素(四角形)の面積変化に伴う色の変化の影響を精度よく反映させて各格子点のcmyk値を設定することができ、ひいては、媒体S全体の変形による色の変化の影響を精度よく反映させて色補償データを作成することができる。なお、この画像データ(版下データ)をもって印刷する際には、例えば、まず、グリッド92の各格子点のcmyk値をプリンター20のドットの形成間隔に応じて補間すると共に汎用のインク色cmykのインク量としてのcmyk値をプリンター20のインク色cmykopのインク量としてのcmykop値に変換して印刷データを作成してプリンター20に出力する処理などが、印刷ドライバー70などを用いて行なわれる。本実施形態では、画像形成のインク量としてのcmykop値は通常の印刷範囲(0〜100%)を超える量として設定される部位も存在するため、プリンター20による印刷処理は、通常の印刷範囲内の印刷を必要回数実行することによって行なわれる。そして、プリンター20によって画像データ(版下データ)の画像が媒体Sに印刷されると、その後に、媒体Sが成形装置40によって変形されることによって成形品が完成する。
【0027】
次に、色修正処理について説明する。この色修正処理は、実際の成形品(成形後の媒体S)をユーザーが確認して、成形品の目標色と実際の色とのずれの修正を所望した場合に行なわれる。図7は、コントローラー51のCPU52により実行される色修正処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、HDD55に記憶され、色修正の実行指示が入力されたときに実行される。なお、色修正の実行指示は、例えば、変形画像処理プログラム60の図示しない編集画面がディスプレイ58に表示された状態で、編集画面上の色修正実行ボタンを入力装置57でクリックすることにより入力されるものなどとすればよい。
【0028】
色修正処理ルーチンが実行されると、CPU52は、まず、画像データ(版下データ)の画像の色の修正を必要とする修正所望位置P1やその修正所望位置P1を含む修正範囲をユーザーが選択(設定)するための色修正用設定画面80をディスプレイ58に表示する(ステップS200)。図8および図9は、色修正用設定画面80の一例を示す説明図である。図8は、修正所望位置P1や修正範囲が設定されていない場合の色修正用設定画面80の一例を示し、図9は、修正所望位置P1や修正範囲が設定されている場合の色修正用設定画面80の一例を示す。以下、図8および図9を用いて、修正所望位置P1や修正範囲などを設定する際のユーザーの動作とコントローラー51による処理について説明する。
【0029】
まず、色修正用設定画面80について説明する。色修正用設定画面80には、図8および図9に示すように、目標の成形品が上述のグリッド92と共に三次元表示される画像表示領域82や、修正所望位置P1が設定されたときに目標の成形品における修正所望位置P1の色(修正所望位置P1の目標色)に対して色値(明度や色相,彩度)を変更した色(以下、変更色という)が複数表示される変更色表示領域84(図9参照),コントローラー51による色修正処理の実行をユーザーが指示するための色修正処理実行ボタン88などが含まれる。この色修正用設定画面80は、ユーザーの操作に応じて表示内容が変更される。また、目標の成形品やグリッド92は、ユーザーによる入力装置57の操作によって一体となって回転可能なものとした。さらに、修正所望位置P1(図9の黒丸印参照)は、修正所望位置P1が設定されていない状態で入力装置57によってカーソル90が操作されてグリッド92の任意の格子点がクリックされた場合や修正所望位置P1が設定されている状態でカーソル90が操作されて他の格子点がクリックされた場合には、クリックされた格子点を修正所望位置P1として設定してその修正所望位置P1における複数の変更色を変更色表示領域84(図9参照)に表示し、修正所望位置P1として設定されている格子点がクリックされた場合にはその格子点に対する修正所望位置P1の設定を解除すると共に複数の変更色の表示(変更色表示領域84の表示)を解除するものとした。複数の変更色としては、例えば、目標の成形品における修正所望位置P1の色値としてのLab値が(42,67,51)となっている場合、Lab値が(45,70,52)や(50,72,53)などとなる複数の変更色をバリエーション表示するものとした。このように、複数の変更色を変更色表示領域84に表示することにより、ユーザーは、実際の成形品を確認して、複数の変更色から実際の成形品における修正所望位置P1の色に最も近いと判断した色(以下、実物近似色という)を選択することができる。また、修正範囲の外縁を構成する格子点である修正外縁用格子点P2は、入力装置57によってカーソル90が操作されて目標の成形品(三次元表示)上で閉じた図形が形成された場合に(図9の太実線参照)、その閉じた図形に合った複数の格子点のそれぞれを設定するものとした。
【0030】
次に、ユーザーの操作に応じたコントローラー51の処理について説明する。コントローラー51は、ユーザーが入力装置57によってカーソル90を操作して目標の成形品と実際の成形品とを比較して色がずれている(修正を希望する)と判断したグリッド92の格子点をクリックすると、その格子点を修正所望位置P1として設定すると共にその修正所望位置P1の複数の変更色を変更色表示領域84に表示し、その状態で複数の変更色から実際の成形品における修正所望位置P1の色に最も近いと判断した色をユーザーがクリックすると、それを実物近似色として設定する。また、コントローラー51は、ユーザーが入力装置57によってカーソル90を操作して閉じた図形を形成すると、その図形に合った複数の格子点のそれぞれを修正外縁用格子点P2として設定する。なお、修正所望位置P1の設定後に修正範囲を設定する場合には、修正所望位置P1を囲むように修正範囲を設定する必要があり、修正範囲の設定後に修正所望位置P1を設定する場合には、修正範囲内で修正所望位置P1を設定する必要があるため、これに適合しない入力装置57の操作に対しては色修正用設定画面80に反映しないものとした。
【0031】
このように色修正用設定画面80をディスプレイ58に表示しながら、修正所望位置P1が設定されたか否か(ステップS210)、修正所望位置P1の実物近似色が設定されたか否か(ステップS220)、修正範囲(複数の修正外縁用格子点P2)が設定されたか否か(ステップS230)、を判定し、修正所望位置P1と修正所望位置P1の実物近似色と修正範囲とのうち少なくとも一つが設定されていないと判定された場合には、ステップS200に戻る。一方、修正所望位置P1と修正所望位置P1の実物近似色と修正範囲とが設定されたと判定された場合には、色修正処理実行ボタン88が入力装置57でクリックされたか否かを判定し(ステップS240)、色修正処理実行ボタン88がクリックされていないと判定された場合には、ステップS200に戻る。
【0032】
ステップS240で色修正処理実行ボタン88がクリックされたと判定された場合には、設定された修正所望位置P1と修正所望位置P1の実物近似色と修正範囲とを取得し(ステップS250)、取得した実物近似色に基づいて画像データ(版下データ)の画像の修正所望位置P1のインク量としてのcmyk値の修正量を設定する(ステップS260)。ここで、修正所望位置P1のcmyk値の修正量の設定は、本実施形態では、修正所望位置P1における実物近似色と修正所望位置P1の面積変化率Δsとを図2の色補償変換LUT64に適用することによって実際の成形品における修正所望位置P1の実物近似色の変形前のインク量としてのcmyk値を求めて、このcmyk値と目標の成形品における修正所望位置P1のインク量としてのcmyk値(媒体Sの変形後に目標色になると想定されるcmyk値)とのずれが打ち消されるように、画像データにおける修正所望位置P1のcmyk値の修正量を設定するものとした。例えば、目標の成形品における修正所望位置P1のインク量としてのcmyk値(媒体Sの変形後に目標色となるcmyk値)が(0,130,97,0)となっていて、修正所望位置P1の面積変化率Δsが150%でユーザーの選択した実物近似色の色値としてのLab値が(45,70,52)の場合を考える。この場合、まず、図2の色補償変換LUT64において、色値としてのLab値が(45,70,50),(45,70,60)で且つ面積変化率Δsが150%に対応するインク量としてのcmyk値の(0,120,90,0),(0,130,95,0)を求める。そして、これらに対して補間処理を行なうことによってLab値の(45,70,52)に対応するインク量としてのcmyk値の(0,122,91,0)を求め、求めたcmyk値と目標の成形品における修正所望位置P1のcmyk値(媒体Sの変形後に目標色になると想定されるcmyk値)の(0,130,97,0)とを比較する。この比較によってマゼンダ(M)については8%,イエロー(Y)については6%不足しているということが分かるから、この色ずれを打ち消すように、画像データ(版下データ)における修正所望位置P1の修正量、即ち、マゼンダ(M)については+8%,イエロー(Y)については+6%を設定する。
【0033】
こうして画像データ(版下データ)における修正所望位置P1のインク量としてのcmyk値の修正量を設定すると、修正所望位置P1から修正範囲の外縁(複数の修正所望位置P1用頂点)に向けてcmyk値の修正量が小さくなるようにグリッド92の各格子点のcmyk値の修正量を設定し(ステップS270)、設定したcmyk値の修正量を用いて修正所望位置P1や修正外縁用格子点P2を含む各格子点のインク量としてのcmyk値を修正して(ステップS280)、本ルーチンを終了する。図10は、各格子点のインク量の修正量を設定するときの様子の一例を示す説明図である。この図は、修正所望位置P1の修正量が8%の場合を示している。このステップS260の処理では、まず、修正所望位置P1の修正量を8%とすると共に複数の修正外縁格子点の修正量を0%とする(図10(a)参照)。そして、その状態で、各格子点の修正所望位置P1や修正範囲の外縁に対する位置関係に基づいて、修正範囲内の各格子点については補間処理によって修正所望位置P1から修正範囲の外縁に向けて徐々に(滑らかに)修正量が小さくなるように各格子点の修正量を設定し、修正範囲外の各格子点については値0を設定する(図10(b)参照)。このように各格子点の修正量を設定することにより、目標の成形品の色(目標色)と実際の成形品の色とがずれている場合に、そのずれ方に応じてインク量としてのcmyk値の修正量を設定することができる。即ち、修正所望位置P1に対する異方的な修正(偏った修正)をユーザーが所望する場合でも、各格子点のインク量としてのcmyk値をより適正に設定することができる。この結果、実際の成形品の各部位の色をユーザーの所望する色(目標の成形品の色)により近づけることができる。即ち、画像データ(版下データ)を用いて画像を媒体Sに印刷した後にその媒体Sを変形して成形品を成形する一連の処理と、その実際の成形品と目標の成形品とを比較して画像データの画像の色を修正する色修正処理と、を交互に繰り返し行なって画像データを更新していくことによって成形品の各部位の色をユーザーの所望する色に徐々に近づけていくことができる。なお、色修正用設定画面80の画像表示領域82に表示される目標の成形品の色については、画像データにおける各格子点のインク量としてのcmyk値が修正された場合でも変更されない。
【0034】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の図8の色修正処理ルーチンのステップS250の処理を実行するコントローラー51が「情報取得手段」に相当し、ステップS260〜S280の処理を実行するコントローラー51が「色修正手段」に相当する。なお、本実施形態では、画像処理装置の動作を説明することにより本発明の画像処理方法の一例も明らかにしている。
【0035】
以上説明した本実施形態の加飾成形システム10によれば、画像データ(版下データ)の画像の色の修正を必要とする修正所望位置P1やその修正所望位置P1を含む修正範囲を取得し、取得した修正所望位置P1から修正範囲の外縁に向けて修正量が小さくなる傾向に画像データの画像の色を修正するから、修正所望位置P1に対する異方的な修正をユーザーが所望する場合でも、画像データの画像の色をより適正に修正することができる。この結果、成形品の各部位の色をよりユーザーの所望する色に近づけることができる。しかも、修正所望位置P1が設定されると、色修正用設定画面80の変更色表示領域84に複数の変更色を表示し、ユーザーによって複数の変更色から選択された色としての実物近似色を用いて画像データの画像の修正所望位置P1の色(インク量としてのcmyk値)を修正するから、ユーザーによる操作を容易なものとすることができる。
【0036】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0037】
上述した実施形態では、修正所望位置P1が設定されたときに色修正用設定画面80の変更色表示領域84に複数の変更色を表示し、複数の変更色からユーザーによって選択された実物近似色を用いて画像データにおける修正所望位置P1のインク量としてのcmyk値の修正量を設定すると共に設定した修正所望位置P1のcmyk値の修正量を用いてグリッド92の各格子点のcmyk値の修正量を設定するものとしたが、修正所望位置P1が設定されたときにユーザーが修正所望位置P1のcmyk値の修正量を入力できるように色修正用設定画面80の表示内容を変更し、ユーザーによって入力された修正所望位置P1のcmyk値の修正量を用いてグリッド92の各格子点のcmyk値の修正量を設定するものとしてもよい。
【0038】
上述した実施形態では、目標の成形品を色修正用設定画面80の画像表示領域82に表示するものとしたが、媒体Sに印刷すべき画像としての目標画像を画像表示領域82に表示するものとしてもよい。図11は、目標画像を画像表示領域82に表示する場合の一例を示す説明図である。なお、図11では、修正所望位置P1や修正外縁用格子点P2,閉じた図形についても図示した。この場合、変更色表示領域84には、上述した実施形態と同様に、目標の成形品における修正所望位置P1の色(修正所望位置P1の目標色)に対して色値(明度や色相,彩度)を変更した複数の変更色を表示するもの(図11参照)としてもよいし、修正所望位置P1の目標色に対応するcmyk値に対してcmyk値を変更したものを表示するもの(図示せず)としてもよい。前者の場合には上述した実施形態と同様に修正所望位置P1のcmyk値の修正量を設定することができ、後者の場合にはユーザーによって選択された色(cmyk値)と修正所望位置P1の目標色に対応するcmyk値とのずれを修正所望位置P1のcmyk値の修正量に設定することができる。この場合でも、ユーザーによって設定された修正所望位置P1や実物近似色,修正範囲(修正外縁用格子点P2)を用いて画像データの画像の色を修正することができる。
【0039】
上述した実施形態では、色情報が設定された位置としてグリッド92の各格子点に変形前の色情報(インク量としてのcmyk値)を設定するものとしたが、グリッド92の各格子点に代えて、グリッド92の各要素(四角形)内に設定された一つ以上の点に変形前の色情報を設定するものとしてもよいし、画素(ピクセル)毎に色情報を設定するものとしてもよい。前者の場合、グリッド92の各要素内に設定された点の位置としては、例えば、各要素の重心などを考えることができる。こうすれば、グリッド92の各格子点に色情報を設定する場合に比して、面積変化率Δsを反映してより適正に色情報を設定することができる。
【0040】
上述した実施形態では、ユーザーによって色修正用設定画面80の画像表示領域82の目標の成形品上で閉じた図形が形成されると、その閉じた図形に合ったグリッド92の複数の格子点のそれぞれを修正外縁用格子点P2に設定するものとしたが、ユーザーがグリッド92の各格子点を修正外縁用格子点P2として設定できるようにするものとしてもよい。
【0041】
上述した実施形態では、媒体Sの変形の程度としては、グリッド92により形成される四角形の変形の前後における面積の比である面積変化率Δsを用いたが、グリッド92により形成される格子点のうち近接する3つの格子点からなる三角形の変形の前後における面積の比である面積変化率を用いるものとしてもよいし、グリッド92により形成される四角形を更に分割した形状における変形の前後における面積の比である面積変化率を用いるものとしてもよいし、グリッド92により形成される各格子点間の変形の前後における長さの比である線的な変化率を用いるものとしてもよい。
【0042】
上述した実施形態では、媒体Sのグリッド92は各要素が正方形となるよう構成するものとしたが、これに限られず、各要素が三角形や矩形,菱形などの多角形となるものであればどのように構成するものとしてもよい。
【0043】
上述した実施形態では、色補償変換LUT64の変形の度合いとして面積変化率Δsを用いるものとしたが、これに限られず、変形の度合いを示すものであれば伸び率などの他の指標を用いるものとしてもよい。また、面積変化率Δsとしては、100%以上の範囲を用いたが、100%未満に縮小される範囲を含めるものとしてもよい。
【0044】
上述した実施形態では、色補償変換LUT64の媒体Sの変形後の成形品で発色すべき目的色の色値(目標色)としてL*a*b*表色系の値(Lab値)を用いるものとしたが、これに限られず、RGB表色系やCMYK表色系などの他の表色系の値を用いるものとしてもよい。
【0045】
上述した実施形態では、色補償変換LUT64は、媒体Sの変形後の成形品で発色すべき目的色の色値(目標色)と、媒体Sの変形率(面積変化率(%))と、媒体Sに形成するインク量との関係定めた対応関係テーブルであるものとしたが、媒体Sに形成するインク量に代えて、媒体Sに形成する色値を用いるものとしてもよい。この場合、媒体Sに形成する色値としては、CMYK表色系などの値(例えば画素値など)を用いることができる。
【0046】
上述した実施形態では、着色剤は、インクであるものとしたが、媒体S上に画像を形成する際に着色可能なものであれば特にこれに限定されない。例えば、インク以外の他の液体や機能材料の粒子が分散されている液状体(分散液)、ジェルのような流状体、トナーなどの粉体などとしてもよい。
【0047】
上述した実施形態では、プリンター20は、インクを吐出するインクジェット式の印刷機構25を備えたものとしたが、特にこれに限定されず、レーザープリンターとしてもよいし、熱転写プリンターとしてもよいし、ドットインパクトプリンターとしてもよい。また、PC50のような画像処理装置としたが、画像処理方法としてもよいし、これを実行可能なプログラムとしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 加飾成形システム、20 プリンター、21 コントローラー、22 CPU、23 フラッシュメモリー、24 RAM、25 印刷機構、26 キャリッジ、27 ノズル、28 印刷ヘッド、29 カートリッジ、30 キャリッジ軸、31 キャリッジベルト、32 搬送機構、33 駆動モーター、34 搬送ローラー、36 ロール、37 切断機、40 成形装置、41 上型部、42 下型部、50 PC、51 コントローラー、52 CPU、53 フラッシュメモリー、54 RAM、55 HDD、56 I/F、57 入力装置、58 ディスプレイ、59 バス、60 変形画像処理プログラム、61 3D絵柄編集部、62 形状補償部、63 色補償部、64 色補償変換ルックアップテーブル(LUT)、70 印刷ドライバー、80 色修正用設定画面、82 画像表示領域、84 変更色表示領域、88 色修正実行ボタン、90 カーソル、92 グリッド、S 媒体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形が施される媒体に該変形前に形成すべき画像を処理する画像処理装置であって、
ユーザーの操作に基づく、前記画像の色の修正を必要とする修正所望位置と該修正所望位置を含む修正範囲とを取得する情報取得手段と、
前記取得した修正所望位置から前記取得した修正範囲の外縁に向けて修正量が小さくなる傾向に前記画像の色を修正する色修正手段と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像処理装置であって、
情報を表示する表示手段と、
前記取得した修正所望位置の目標色とは異なる複数の色である複数の変更色を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備え、
前記表示された複数の変更色からユーザーによって選択された選択色に基づいて前記取得した修正所望位置の修正量を設定する手段である、
画像処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像処理装置であって、
前記媒体の変形の程度と変形前の色と変形に伴う色変化が反映された変形後の色との対応関係である色対応関係を記憶する色対応関係記憶手段を備え、
前記色修正手段は、前記取得した修正所望位置の変形の程度と前記選択色と前記記憶した色対応関係とに基づいて前記選択色に対応する前記媒体の変形前の修正所望位置の色である選択対応変形前色を求めると共に、該求めた選択対応変形前色と前記媒体の変形前の修正所望位置の目標色とのずれが打ち消されるように前記修正所望位置の修正量を設定する手段である、
画像処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つの請求項に記載の画像処理装置であって、
前記修正所望位置は、前記画像の単位部分の色情報が設定された位置である色情報位置であり、
前記修正範囲の外縁は、複数の前記色情報位置によって構成されてなる、
画像処理装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像処理装置であって、
前記色修正手段は、前記修正範囲の外縁を構成する前記複数の色情報位置については色情報を修正せず、前記修正範囲内の前記色情報位置については前記修正所望位置および前記修正範囲の外縁に対する位置関係に応じて色情報を修正する手段である、
画像処理装置。
【請求項6】
変形が施される媒体に該変形前に形成すべき画像を処理する画像処理方法であって、
(a)ユーザーの操作に基づく、前記画像の色の修正を必要とする修正所望位置と該修正所望位置を含む修正範囲とを取得するステップと、
(b)前記取得した修正所望位置から前記取得した修正範囲の外縁に向けて修正量が小さくなる傾向に前記画像の色を修正するステップと、
を含む画像処理方法。
【請求項1】
変形が施される媒体に該変形前に形成すべき画像を処理する画像処理装置であって、
ユーザーの操作に基づく、前記画像の色の修正を必要とする修正所望位置と該修正所望位置を含む修正範囲とを取得する情報取得手段と、
前記取得した修正所望位置から前記取得した修正範囲の外縁に向けて修正量が小さくなる傾向に前記画像の色を修正する色修正手段と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像処理装置であって、
情報を表示する表示手段と、
前記取得した修正所望位置の目標色とは異なる複数の色である複数の変更色を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備え、
前記表示された複数の変更色からユーザーによって選択された選択色に基づいて前記取得した修正所望位置の修正量を設定する手段である、
画像処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像処理装置であって、
前記媒体の変形の程度と変形前の色と変形に伴う色変化が反映された変形後の色との対応関係である色対応関係を記憶する色対応関係記憶手段を備え、
前記色修正手段は、前記取得した修正所望位置の変形の程度と前記選択色と前記記憶した色対応関係とに基づいて前記選択色に対応する前記媒体の変形前の修正所望位置の色である選択対応変形前色を求めると共に、該求めた選択対応変形前色と前記媒体の変形前の修正所望位置の目標色とのずれが打ち消されるように前記修正所望位置の修正量を設定する手段である、
画像処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つの請求項に記載の画像処理装置であって、
前記修正所望位置は、前記画像の単位部分の色情報が設定された位置である色情報位置であり、
前記修正範囲の外縁は、複数の前記色情報位置によって構成されてなる、
画像処理装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像処理装置であって、
前記色修正手段は、前記修正範囲の外縁を構成する前記複数の色情報位置については色情報を修正せず、前記修正範囲内の前記色情報位置については前記修正所望位置および前記修正範囲の外縁に対する位置関係に応じて色情報を修正する手段である、
画像処理装置。
【請求項6】
変形が施される媒体に該変形前に形成すべき画像を処理する画像処理方法であって、
(a)ユーザーの操作に基づく、前記画像の色の修正を必要とする修正所望位置と該修正所望位置を含む修正範囲とを取得するステップと、
(b)前記取得した修正所望位置から前記取得した修正範囲の外縁に向けて修正量が小さくなる傾向に前記画像の色を修正するステップと、
を含む画像処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−191590(P2012−191590A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55782(P2011−55782)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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