説明

画像処理装置および画像処理方法

【課題】画質の劣化を防止し、後のJOBの生産性にも影響を与えないようにする。
【解決手段】制御手段が、画像入力時に第1のフォーマットの画像データと変換手段により特定のアプリ手段用の第2のフォーマットに変換させた画像データとを記憶手段に記憶させ、自装置と同機種の他装置の、特定のアプリ手段と同一の第1のアプリ手段に対しては、通信手段により、保存済みの特定のアプリ手段用の第2のフォーマットの画像データを転送するように制御し、特定のアプリ手段と異なる第2のアプリ手段に対しては、通信手段により、保存済みの第1のフォーマットの画像データを変換手段により第2のアプリ手段用のフォーマットに変換させた画像データを転送するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置および画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子写真方式の画像形成装置の各アプリケーションが用いる画像データのフォーマットは、アプリケーション毎の特徴を生かして、生産性や画質を考慮した最適なフォーマットが採用されている。さらに、画像形成装置の印刷ユニットには個体差があるため、同一機種の印刷結果が均等な画質となるように画像データの値を調整することを行っている。
【0003】
昨今の複合機では、各アプリケーションの文書(画像)を様々な形で利用するものが増えてきており、アプリケーション毎の専用フォーマットから変換をして利用する技術が知られている。例えば、特許文献1には、入力画像から出力画像に変換する処理フローを改善する目的で、入力画像を統一フォーマットにして、目的用途に応じて、後に変換がなされる技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像データをいずれかのフォーマットから機種に応じた各アプリケーションの専用フォーマットの画像データに変換する場合、色の再現性やデータの情報量の違いがあり、元の画像に対して劣化するという問題や、変換のための処理時間が、後のジョブの処理に影響する(生産性に影響を与える)という問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、画像データをさらに変換することによる画質の劣化を防止し、各アプリケーションに最適な画像データを供給できるようにし、後のJOBの生産性にも影響を与えないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の画像処理装置は、所定の画像処理を実行する1または複数のアプリ手段と、機種およびアプリ手段に依存しない第1のフォーマットの画像データと機種およびアプリ手段に依存する第2のフォーマットの画像データとを記憶するための記憶手段と、前記第1のフォーマットの画像データを前記第2のフォーマットの画像データに変換する変換手段と、他の画像処理装置と画像データをやりとりするための通信手段と、画像入力時に前記第1のフォーマットの画像データと前記変換手段により特定のアプリ手段用の第2のフォーマットに変換させた画像データとを前記記憶手段に記憶させ、自装置と同機種の他装置の、前記特定のアプリ手段と同一の第1のアプリ手段に対しては、前記通信手段により、保存済みの前記特定のアプリ手段用の第2のフォーマットの画像データを転送するように制御し、前記特定のアプリ手段と異なる第2のアプリ手段に対しては、前記通信手段により、保存済みの前記第1のフォーマットの画像データを前記変換手段により前記第2のアプリ手段用のフォーマットに変換させた画像データを転送するように制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、所定の画像処理を実行する1または複数のアプリ手段と、機種およびアプリ手段に依存しない第1のフォーマットの画像データと機種およびアプリ手段に依存する第2のフォーマットの画像データとを記憶するための記憶手段と、前記第1のフォーマットの画像データを前記第2のフォーマットの画像データに変換する変換手段と、他の画像処理装置と画像データをやりとりするための通信手段と、制御手段とを備える画像処理装置における画像処理方法であって、前記制御手段が、画像入力時に前記第1のフォーマットの画像データと前記変換手段により特定のアプリ手段用の第2のフォーマットに変換させた画像データとを前記記憶手段に記憶させ、自装置と同機種の他装置の、前記特定のアプリ手段と同一の第1のアプリ手段に対しては、前記通信手段により、保存済みの前記特定のアプリ手段用の第2のフォーマットの画像データを転送するように制御し、前記特定のアプリ手段と異なる第2のアプリ手段に対しては、前記通信手段により、保存済みの前記第1のフォーマットの画像データを前記変換手段により前記第2のアプリ手段用のフォーマットに変換させた画像データを転送するように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像入力時に統一フォーマットの画像データと専用フォーマットの画像データとを保存し、条件に応じてこれらを適宜利用することによって、画質の劣化を防止でき、後のJOBの生産性にも影響を与えないようにすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明にかかる画像処理装置の一実施形態である融合機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、同実施形態の融合機におけるコピー時の処理フローを説明するフローチャートである。
【図3】図3は、同実施形態の融合機における原稿スキャン時の処理フローを説明するフローチャートである。
【図4】図4は、同実施形態の融合機におけるFAX送信時の処理フローを説明するフローチャートである。
【図5】図5は、同実施形態の融合機における入力元フォーマットと変換後フォーマットの一例を示す図である。
【図6】図6は、同実施形態の融合機において特徴的な動作概要を説明するフローチャートである。
【図7】図7は、コピー用のアプリケーションの専用フォーマットの画像データをそのまま同一機種の他装置に転送する様子を示す図である。
【図8】図8は、統一フォーマットの画像データ(RGB)を該当アプリケーションの専用フォーマットに変換して同一機種の他装置に転送する様子を示す図である。
【図9】図9は、統一フォーマットの画像データ(RGB)をそのまま異なる機種の他装置に転送する様子を示す図である。
【図10】図10は、原稿から読み取った画像データを保存する際の処理フローを説明する図である。
【図11】図11は、保存した統一フォーマットの画像データまたは専用フォーマットの画像データを他装置に転送する際の処理フローについて説明する図である。
【図12】図12は、スキャン時(画像入力時)にHDDに保存した統一フォーマットの画像データを専用フォーマットに変換してその画像データを他装置に送信する際の処理フローについて説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像処理装置の一実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
はじめに、本発明にかかる画像処理装置の一実施形態である融合機の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本発明にかかる画像処理装置の一実施形態である融合機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0012】
(ハードウェア構成)
融合機1は、コントローラ10、オペレーションパネル20、フォーマット変換部30、FCU40、およびエンジン部50を備えている。
【0013】
コントローラ10は、CPU11、メモリ12、ASIC(特定用途向けIC)13、HDD14、ROM15、およびネットワークインターフェースカード(NIC)16を備え、各デバイスはASIC13を介して接続されている。
【0014】
CPU11は、ASIC13を介してROM15やHDD14に記憶された各種アプリケーション等のソフトウェアを読み出してメモリ12にロードしこれを実行することにより、融合機1全体を制御すると共に、各種機能や後述の各種処理フローを実現させる。また、CPU11は、ASIC13およびNIC16を介して、LAN等のネットワークを介して外部接続される機器と通信を行う。なお、NIC16は、融合機1をネットワークに接続するためのインターフェース機器である。
【0015】
なお、ROM15には、融合機1が起動時に実行する初期プログラム等が記憶されており、HDD14には、各種アプリケーション等のソフトウェアのほか、画像データや、文書データや、フォントデータなどが記憶される。メモリ12は、融合機1の描画用メモリとして、また各種データを一時的に記憶するバッファなどとしても用いられる。また、各種アプリケーションとして、コピー機能、スキャナ機能、FAX機能等の各種機能のそれぞれについて、融合機1においてその機能を実現するためのプログラムが含まれる。
【0016】
オペレーションパネル20は、コントローラ10のASIC13に接続されており、フォーマット変換部30、FCU40およびエンジン部50は、コントローラ10のASIC13にPCIバス60を介して接続されている。
【0017】
エンジン部50は、ASIC51、スキャナ部52および作像制御部53を備える。ASIC51は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのICである。スキャナ部52は、原稿を読み取りその画像データを生成する。作像制御部53は、例えば電子写真方式による作像プロセスを制御し、ASIC51から与えられる画像データを受け取り、この画像データに基づく多色現像剤像を記録紙に転写する。
【0018】
オペレーションパネル20は、ユーザからの操作入力を受け付けると共に、ユーザに向けた表示を行う。フォーマット変換部30は、画像データを、統一フォーマットから各アプリケーション毎にその専用のフォーマットに変換するユニットである。また、FCU40は、ファクシミリ通信を制御するユニットである。なお、フォーマット変換部30は、専用のハードウェアデバイスとして構成してもよいし、コントローラ10のCPU11がフォーマット変換の処理を実施することによってその機能を実現するようにしてもよい。
【0019】
次に、融合機1における、コピー時、スキャン時、およびFAX時の基本的な処理フローを概説する。
【0020】
(コピー時)
図2に、融合機1におけるコピー時の処理フローを示す。利用者がオペレーションパネル20を操作してコピーを開始させると、以下の処理フローがCPU11による制御により実施される。
【0021】
(1)コピー対象の原稿は、スキャナ部52で読み取られてデジタルデータ(画像データ)に変換され、ASIC51,ASIC13を経由してメモリ12に蓄積される(T11)。
【0022】
(2)その後、メモリ12から、ASIC13およびASIC51を経由して、作像制御部53に画像データが転送され、作像制御部53にて用紙に印刷される(T12)。
【0023】
(スキャン時)
図3に、原稿スキャン時の処理フローを示す。利用者がオペレーションパネル20で、読み取った原稿の画像データを転送する相手先ホストを設定して原稿のスキャンを開始させると、以下のフローがCPU11の制御により実施される。
【0024】
(1)原稿は、スキャナ部52で読み取られてデジタルデータ(画像データ)に変換され、ASIC51,ASIC13を経由してメモリ12に蓄積される(T21)。
【0025】
(2)その後、メモリ12からCPU11およびASIC13を経由してNIC16に画像データが送られた後、NIC16から相手先ホストに転送される(T22)。
【0026】
(FAX送信時)
図4にFAX送信時の処理フローを示す。利用者がオペレーションパネル20で、読み取った原稿の画像データを転送する相手先FAXを設定してFAXを開始させると、以下の処理フローがCPU11の制御により実施される。
【0027】
(1)原稿は、スキャナ部52で読み取られてデジタルデータ(画像データ)に変換され、ASIC51,ASIC13を経由してメモリ12に蓄積される(T31)。
【0028】
(2)その後、メモリ12からASIC13を経由してFCU40に画像データが送られた後、FCU40から、設定済みの相手先FAXに転送される(T32)。
【0029】
従来機は図2、図3、図4に示した処理フローにおいて、スキャナ部52で読み取った原稿の画像データを、メモリ12に転送する際、ASIC52にて各アプリケーションに応じた画像フォーマット(専用フォーマット)に変換していた。
【0030】
図5に、ASIC51で変換する入力元フォーマットと変換後フォーマットの一例を示す。かつてはスキャナ部52から読み込まれるデータ量が大きいため、それぞれのアプリケーションに応じた画質にあわせてデータ量を落とすことで、ハードウェアの性能/生産性を満たすようになっていたが、近年の高速化のおかげで入力データをRGB形式のまま入れることも可能になってきた。しかしながら、データ量の増加は、データ処理時間の増加にもつながるので、画質の維持と処理時間の兼ね合いのバランスをとる必要がある。
【0031】
ところで、作像制御部53はCMYKで印刷を実施するため、RGBの画像データをCMYKの画像データに変換して作像制御部53へ渡すことになる。しかし、RGBで蓄積した画像データを出力用途のたびに(例えば、コピー用の)専用フォーマットに変換していては生産性が落ちるため、本実施形態では、原稿読み取りなどの画像入力時に同時にフォーマット変換を行うことで、印刷時に従来機と同等の生産性が達成できるようにしている。その動作の概要は、以下のとおりである(図6参照)。
【0032】
まず、画像入力時(スキャナ部52での読み取り時あるいはPC等のホストから受信時)に、画像データを統一フォーマットで(例えば、RGB形式のまま)HDD14に保存する(ステップS101)。
【0033】
上記画像入力時に、さらにその画像データを該当のアプリケーションの専用フォーマットに変換して、変換後の画像データをHDD14に保存する(ステップS102)。
【0034】
そして、保存済みの画像データをネットワークで接続された他装置へ送信する場合あるいは自装置の他のアプリケーション(上記該当のアプリケーション以外)で使用する場合には、以下のように処理する。もちろん、上記該当のアプリケーションで、保存済みの画像データを使用する場合は、保存済みの専用フォーマットの画像データを使用する。
【0035】
上記専用フォーマットの画像データが劣化などの不具合なしで使用できる条件(詳細は後述)の下では(ステップS103でYes)、HDD14に保存した専用フォーマットの画像データをそのまま使用する(ステップS104)(例えば、図7参照)。なお、図7は、コピー用のアプリケーションの専用フォーマットの画像データをそのまま同一機種の他装置に転送する様子を示している。
【0036】
一方、専用フォーマットの画像が劣化などの不具合なしで使用することができない条件(詳細は後述)の下では(ステップS103でNo)、統一フォーマットの画像データを利用する(ステップS105)。この統一フォーマットの画像データは、後述のように、自装置にて該当のアプリケーションの専用フォーマットに変換された上で自装置の該当アプリケーションで使用されるか同一機種の他装置に送信され(図8参照)、異なる機種の他装置には統一フォーマットの画像データがそのまま送信される(図9参照)(この場合、他装置において必要な変換がなされる)。なお、図8は、統一フォーマットの画像データ(RGB)を該当アプリケーションの専用フォーマットに変換して同一機種の他装置に転送する様子を示す図であり、図9は、統一フォーマットの画像データ(RGB)をそのまま異なる機種の他装置に転送する様子を示す図である。
【0037】
なお、実際の装置運用時には、HDD14の劣化等により専用フォーマットの画像データの一部または全部が読めなくなる場合や(読み取りエラー)、何らかのエラーのため保存済みの専用フォーマットの画像データが使用できなくなる場合が生じうる。そのため、このような場合も、専用フォーマットの画像データを不具合なしで使用することはできないので、統一フォーマットの画像データを利用することとし、自装置の他のアプリケーションで使用する場合は、HDD14に保存した統一フォーマットの画像をその専用フォーマットに変換してから自装置の他のアプリケーションで使用する。他装置へ送信する場合は、HDD14に保存した統一フォーマットの画像データをそのまま他装置へ送信するようにする(そして、他装置のおいて必要な変換がなされる)。
【0038】
一方、HDD14の劣化等により統一フォーマットの画像データの一部または全部が読めなくなる場合や(読み取りエラー)、何らかのエラーのため保存済みの統一フォーマットの画像データが使用できなくなった場合は、当該統一フォーマットの画像データの利用を不許可とする。従って、この場合、統一フォーマットの画像データから、いずれかのアプリケーション用の専用フォーマットへの変換や、統一フォーマットの画像データの他装置への転送等は禁止する。
【0039】
なお、融合機1における上記動作や後述する処理は、蓄積印刷など画像データを保存し保存した画像データを利用するためのユーザによるオペレーションパネル20等を用いた所定操作に応じて、融合機1の制御手段としてのコントローラ10のCPU11が対応するプログラムを実行することにより開始され達成されるものである。
【0040】
本実施形態は、画像入力時の画質をその後損なわないようにすることを主目的としている。そのために、上記のように、画像入力時(原稿読み取り時あるいはPC等のホストからの受信時)に例えばRGBの画像データ(統一フォーマット)の保存とアプリケーション毎の画像フォーマット(専用フォーマット)への変換および保存とを行うが、この画像フォーマットの変換をする手段として、前述のフォーマット変換部30を融合機1に設けている。
【0041】
続いて、本実施形態において特徴的な処理フローについて説明する。なお、以下では、RGB形式の画像データを統一フォーマットとして説明するが、これに限るものではない。また、画像入力は、スキャナ部52で原稿を読み取る場合と、PC等のホストから画像データを受ける場合があるが、以降では、スキャナ部52で原稿を読み取る場合を例に説明する。なお、PC等のホストから画像データを受ける場合、ホストから融合機1に入力される(RGB形式の)画像データは、NIC16、ASIC13およびCPU11を介してメモリ12に保存される。
【0042】
(画像データの保存処理)
以下に、原稿から読み取った画像データを保存する際の処理フローについて、図10を用いて説明する。
【0043】
(1)スキャナ部52で読み取った原稿の画像データをRGB形式(統一フォーマット)で、ASIC51,ASIC13を経由してメモリ12へ入力し保存する(T41)。
【0044】
(2−1)メモリ12に入力された統一フォーマットの画像データをHDD14へ蓄積する(T42−1)。
【0045】
(2−2)メモリ12に入力された統一フォーマットの画像データをASIC13を経由してフォーマット変換部30へ渡し、機種固有かつアプリケーション毎の専用フォーマットの画像データに変換する(T42−2)。
【0046】
(3)フォーマット変換部30で変換された専用フォーマットの画像データを、ASIC13を経由してメモリ12へ入力する(T43)。
【0047】
(4)専用フォーマットに変換された画像データをメモリ12からHDD14へ蓄積する(T44)。
【0048】
以上のようにして、スキャナ部52で読み取られた原稿の画像データに対し、統一フォーマットの画像データおよび専用フォーマットの画像データがHDD14に蓄積されることになる。
【0049】
(保存済みの画像データをそのまま他装置に転送する際の処理)
次に、保存した統一フォーマットの画像データまたは専用フォーマットの画像データをそのまま他装置に転送する際の処理フローについて、図11を用いて説明する。ここでは、画像データを転送する相手先ホストが設定済みであるものとする。また、転送先に必要なフォーマット(統一フォーマットまたは専用フォーマット)の画像データが転送用に選択される。
【0050】
(1)HDD14に保存済みの画像データをメモリ12に格納する(T51)。
【0051】
(2)メモリ12に格納した画像データは、CPU11を経由してNIC16に送り、他装置に転送する(T52)。
【0052】
(保存済みの画像データをフォーマット変換して他装置に転送する際の処理)
次に、スキャン時(画像入力時)にHDD14に保存した統一フォーマットの画像データを専用フォーマットに変換してその画像データを他装置に送信する際の処理フローについて図12を用いて説明する。
【0053】
利用者がオペレーションパネル20で、読み取った原稿の画像データを転送する相手先ホストを設定して原稿のスキャンを開始させると、以下のフローがCPU11の制御により実施される。なお、読み取った原稿の画像データをHDD14に保存するまでの処理フローは、前述のスキャン時の処理フローの場合と同様であるので、ここでは画像データをHDD14に保存した後の処理フローを説明する。
【0054】
(1)原稿をスキャンしHDD14に保存した画像データをメモリ12に格納する(T61)。
【0055】
(2)メモリ12に格納した画像データは、ASIC13を介してフォーマット変換部30へ渡し、フォーマット変換部30によりスキャナのアプリケーション用の専用フォーマットに変換する(T62)。
【0056】
(3)フォーマット変換部30で変換した画像データは、ASIC13を介してメモリ12へ格納する(T63)。
【0057】
(4)メモリ12に格納した画像データは、CPU11を経由してNIC16に送り、相手先ホストに転送する(T64)。
【0058】
以上のように、本実施形態では、保存済みの統一フォーマットまたは専用フォーマットの画像データをそのまま転送する場合と、統一フォーマットの画像を該当アプリケーションの専用フォーマットに変換してから転送または使用する場合とがある。以下では、こうした処理の切り替えの基準について説明する。
【0059】
ここでは、アプリケーションとしてアプリAおよびアプリBを備えた3台の融合機1(MFP1、MFP2、MFP3)がネットワークで接続されているものとする。ただし、MFP2はMFP1と同一機種、MFP3はMFP1と異なる機種であるものとする。また、MFP1から画像データの転送が行われるものとし、MFP1には、統一フォーマットの画像データとアプリA用の専用フォーマットの画像データが保存されているものとする。なお、ここでは、アプリケーションとしてアプリAおよびアプリBを備えた3台の融合機1を例示しているが、異なる機種の融合機1(MFP3)のアプリケーションは他の機種の融合機1(MFP1,MFP2)のアプリケーションとは異なる場合がある。
【0060】
まず、ネットワークで接続された他装置へ画像データを送信する場合、以下の(a)〜(d)に説明するようにする。
【0061】
(a)MFP1と同一機種のMFP2へ画像データを送信し、同一アプリAで使用する場合、機種およびアプリケーションが同一であるため、MFP1に保存されているMFP1機種固有かつアプリA用の専用フォーマットの画像データが劣化なしで使用できる。従って、MFP1機種固有かつアプリA用の専用フォーマットの画像データをそのままMFP2へ送信するようにする。
【0062】
(b)MFP1と同一機種のMFP2へ送信し、アプリAと異なるアプリBで使用する場合、機種は同一であるが、保存されている専用フォーマットの画像データがアプリA用であって、MFP2のアプリB用でないため、MFP1機種固有かつアプリA用の専用フォーマットの画像データをそのまま使用できずこの画像データは劣化なしで使用することができない。従って、統一フォーマットの画像データをMFP1機種固有かつアプリB用の専用フォーマットに変換して送信するようにする。
【0063】
(c)MFP1と異なる機種のMFP3へ送信し、同一アプリAで使用する場合、MFP3で使用されるアプリケーションが、MFP1に保存されている専用フォーマットの画像データを使用するアプリケーション(アプリA)と同一であるが、機種が異なるため、MFP1機種固有かつアプリA用の専用フォーマットの画像データをそのまま使用できずこの画像データは劣化なしで使用することができない。また、保存されている専用フォーマットの画像データはアプリA用ではあるが、MFP1では統一フォーマットの画像をMFP3機種固有の専用フォーマットには変換できない。したがって、統一フォーマットの画像をそのままMFP3へ送信するようにする。MFP3では、転送されてきた統一フォーマットの画像データをMFP3機種固有かつアプリA用の専用フォーマットに変換して使用する。
【0064】
(d)MFP1と異なる機種のMFP3へ送信し、アプリAと異なるアプリBで使用する場合、機種が異なるとともに、MFP1に保存されている専用フォーマットの画像データがアプリA用であってMFP3のアプリB用ではないため、MFP1機種固有かつアプリA用の専用フォーマットの画像データをそのまま使用できずこの画像データは劣化なしで使用することができない。また、MFP1では、統一フォーマットの画像をMFP3機種固有かつアプリB用の専用フォーマットには変換することができない。従って、統一フォーマットの画像データをそのままMFP3へ送信するようにする。MFP3では、転送されてきた統一フォーマットの画像データをMFP3機種固有かつアプリB用の専用フォーマットに変換して使用する。
【0065】
次に、保存済みの画像データを自装置のアプリケーションで使用する場合、以下の(e)〜(f)に説明するようにする。
【0066】
(e)MFP1に専用フォーマットの画像データが保存されているアプリAとは異なるアプリBで画像データを使用する場合(自装置の異なるアプリで画像データを使用する場合、アプリAとアプリBとが異なるため、保存済みのアプリA用の専用フォーマットの画像データをそのまま使用できずこの画像データは劣化なしでアプリBで使用することができない。従って、保存している統一フォーマットの画像データをアプリB用の専用フォーマットに変換して使用するようにする。
【0067】
(f)MFP1に保存されているアプリA用の専用フォーマットの画像データをアプリAで使用する場合(自装置の同一アプリで使用する場合)、画像データを使用するアプリが同一であるため、保存済みのアプリA用の専用フォーマットの画像データを劣化なしで使用することができる。従って、保存済みのアプリA用の専用フォーマットの画像をそのまま使用する。
【0068】
以上、本実施形態の融合機1の諸動作(処理フロー)について説明した。上述したように、本実施形態の融合機1では、画像入力時に、RGB形式等の機種やアプリケーションに依存しない統一フォーマットの画像データと、機種やアプリケーションに依存する専用フォーマットの画像データとを蓄積しておき、専用フォーマットの画像データをそのまま使用できる場合はこの画像データを使用し、使用できない場合は統一フォーマットの画像データを利用するようにしている(詳細は上述)。これにより、画像データをさらに変換することによる画質の劣化を防止し、後のジョブの生産性にも影響を与えないようにすることが可能となっている。また、各アプリケーション間だけでなく、同一機種間との互換性/生産性を維持し、かつ、装置間の画像データの相互利用性を高めることができる。
【0069】
以上、発明を実施するための実施の形態について説明を行ったが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨を損なわない範囲で変更することが可能である。上記実施形態で説明した処理フローは、ネットワーク接続可能な画像処理装置であれば、いずれの画像処理装置にも適用可能である。なお、上記実施形態で説明した融合機1としては、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有するネットワーク接続可能な複合機等が含まれる。
【0070】
また、上記実施形態のコントローラ1のCPU11で実行される(アプリケーションを含む)制御用のプログラムは、ROM15に予め組み込まれるものとして説明したが、このプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルとしてCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。また、この制御プログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 融合機
11 CPU
12 メモリ
13 ASIC
14 HDD
15 ROM
16 NIC
20 オペレーションパネル
30 フォーマット変換部
40 FCU
50 エンジン部
51 ASIC
52 スキャナ部
53 作像制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】特開2008−73895号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の画像処理を実行する1または複数のアプリ手段と、
機種およびアプリ手段に依存しない第1のフォーマットの画像データと機種およびアプリ手段に依存する第2のフォーマットの画像データとを記憶するための記憶手段と、
前記第1のフォーマットの画像データを前記第2のフォーマットの画像データに変換する変換手段と、
他の画像処理装置と画像データをやりとりするための通信手段と、
画像入力時に前記第1のフォーマットの画像データと前記変換手段により特定のアプリ手段用の第2のフォーマットに変換させた画像データとを前記記憶手段に記憶させ、自装置と同機種の他装置の、前記特定のアプリ手段と同一の第1のアプリ手段に対しては、前記通信手段により、保存済みの前記特定のアプリ手段用の第2のフォーマットの画像データを転送するように制御し、前記特定のアプリ手段と異なる第2のアプリ手段に対しては、前記通信手段により、保存済みの前記第1のフォーマットの画像データを前記変換手段により前記第2のアプリ手段用のフォーマットに変換させた画像データを転送するように制御する制御手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、自装置と異なる機種の他装置に対して、前記通信手段により、保存済みの前記第1のフォーマットの画像データを転送するように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記特定のアプリ手段と異なる自装置の第3のアプリ手段に対し、保存済みの前記第1のフォーマットの画像データを前記変換手段により前記第3のアプリ手段用の第2のフォーマットに変換させた画像データを供給するように制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、保存済みの特定のアプリ手段用の第2のフォーマットの画像データが、エラーにより使用不可となった場合は、前記第1のフォーマットの画像データを利用するように制御することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、保存済みの前記第1のフォーマットの画像データが、エラーにより使用不可となった場合は該第1のフォーマットの画像データの利用を禁止することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
所定の画像処理を実行する1または複数のアプリ手段と、機種およびアプリ手段に依存しない第1のフォーマットの画像データと機種およびアプリ手段に依存する第2のフォーマットの画像データとを記憶するための記憶手段と、前記第1のフォーマットの画像データを前記第2のフォーマットの画像データに変換する変換手段と、他の画像処理装置と画像データをやりとりするための通信手段と、制御手段とを備える画像処理装置における画像処理方法であって、
前記制御手段が、画像入力時に前記第1のフォーマットの画像データと前記変換手段により特定のアプリ手段用の第2のフォーマットに変換させた画像データとを前記記憶手段に記憶させ、自装置と同機種の他装置の、前記特定のアプリ手段と同一の第1のアプリ手段に対しては、前記通信手段により、保存済みの前記特定のアプリ手段用の第2のフォーマットの画像データを転送するように制御し、前記特定のアプリ手段と異なる第2のアプリ手段に対しては、前記通信手段により、保存済みの前記第1のフォーマットの画像データを前記変換手段により前記第2のアプリ手段用のフォーマットに変換させた画像データを転送するように制御する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
前記制御手段が、自装置と異なる機種の他装置に対して、前記通信手段により、保存済みの前記第1のフォーマットの画像データを転送するように制御することを特徴とする請求項6に記載の画像処理方法。
【請求項8】
前記制御手段が、前記特定のアプリ手段と異なる自装置の第3のアプリ手段に対し、保存済みの前記第1のフォーマットの画像データを前記変換手段により前記第3のアプリ手段用の第2のフォーマットに変換させた画像データを供給するように制御することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の画像処理方法。
【請求項9】
前記制御手段が、保存済みの特定のアプリ手段用の第2のフォーマットの画像データが、エラーにより使用不可となった場合は、前記第1のフォーマットの画像データを利用するように制御することを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記制御手段が、保存済みの前記第1のフォーマットの画像データが、エラーにより使用不可となった場合は該第1のフォーマットの画像データの利用を禁止することを特徴とする請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−16991(P2013−16991A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147590(P2011−147590)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】