説明

画像処理装置および画像形成装置

【課題】 小さいサイズのバッファメモリを使用し少ないメモリアクセスで、カラースキャンにより得られた画像データをブロックごとに処理する。
【解決手段】 ラスタ書込部12は、複数色のラインデータをそれぞれ、ラインセンサ1R,1G,1Bの間隔に対応するオフセット分だけアドレスをシフトさせて、バッファメモリ3に副走査方向に沿って順番に書き込む。そして、ブロック読出部13は、バッファメモリ3に書き込まれた各色についての複数のラインデータからブロックデータ31R,31G,31Bを読み出し、ブロック画像処理部14は、そのブロックデータ31R,31G,31Bに対して所定のデータ処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ラインメモリのサイズを小さくするために、画像を複数のブロックに分割しブロックごとに画像処理を施す技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。この技術によれば、ラインメモリのサイズは、主走査方向におけるブロックの長さ分で済むため、ラインメモリのサイズが小さくなる。
【0003】
また、ある画像処理装置において、RGBの各センサチップのスキャン方向における読み取り位置を合わせるために、副走査方向におけるスキャン速度に応じて、フィールドメモリを使用して、スキャンにより得られたラインデータをディレイさせる技術が提案されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−198121号公報
【特許文献2】特開平9−261491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像形成装置では、カラーで原稿をスキャンし、スキャンにより得られた画像データを使用して、ブロックごとに画像処理を行う場合がある。例えば、コピー処理の場合、原稿スキャンにより得られた画像データに対して、ブロックごとにデータ処理を行い、データ処理後の画像データを使用して、原稿のコピーを印刷する。
【0006】
画像形成装置ではラインスキャナが使用されるため、画像データは、ラインデータとして、ライン単位で生成される。このような場合、ラインスキャナにおいて、複数の色に対応する複数のラインセンサを使用するため、ラインセンサの読み取り位置のずれに応じて、フィールドメモリを使用してラインデータをバッファリングしつつ複数色のラインデータを同期させる。そして、この画像データに対して、ブロックごとにデータ処理を施す場合、各色について、副走査方向におけるブロックの長さ以上の数のラインデータをバッファメモリに格納し、バッファメモリからブロックごとに画像データ(つまり、ブロックデータ)を読み出し、そのブロックデータに対してデータ処理を行う。
【0007】
このように、ライン補正時およびブロック変換時にそれぞれ画像データがバッファリングされるため、必要なメモリサイズが大きくなるとともに、メモリアクセスが多くなり、一連の画像処理に遅延が生じてしまう。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、小さいサイズのバッファメモリを使用し少ないメモリアクセスで、カラースキャンにより得られた画像データをブロックごとに処理することができる画像処理装置および画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0010】
本発明に係る画像処理装置の1つは、ラインスキャナにおける複数色のラインセンサによる複数色のラインデータをそれぞれ、ラインセンサの間隔に対応するオフセット分だけアドレスをシフトさせて、バッファメモリに副走査方向に沿って順番に書き込むラスタ書込部と、バッファメモリに書き込まれた各色についての複数のラインデータからブロックデータを読み出すブロック読出部と、ブロック読出部により読み出されたブロックデータに対して所定のデータ処理を行うブロック画像処理部とを備える。
ものである。
【0011】
これにより、バッファメモリに対する1回の書き込みおよび1回の読み出しで、ライン間補正とブロック変換を行うため、バッファメモリが1つで済むとともに、バッファメモリへのメモリアクセスが少なくなる。このため、小さいサイズのバッファメモリを使用し少ないメモリアクセスで、カラースキャンにより得られた画像データをブロックごとに処理することができる。
【0012】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、画像処理装置は、ラインセンサの間隔に対応するオフセット分だけシフトさせたアドレスを計算するライン間補正アドレス計算部をさらに備える。そして、ラスタ書込部は、ライン間補正アドレス計算部により計算されたアドレスにラインデータを書き込む。
【0013】
これにより、スキャン速度など種々の設定が変更された場合でも、ライン間補正アドレス計算部により書込アドレスを正確に特定することができる。
【0014】
また、本発明に係る画像処理装置の1つは、ラインスキャナにおける複数色のラインセンサによる複数色のラインデータをそれぞれ、バッファメモリに副走査方向に沿って順番に書き込むラスタ書込部と、ラインセンサの間隔に対応するオフセット分だけアドレスをシフトさせつつ、バッファメモリに書き込まれた各色についての複数のラインデータからブロックデータを読み出すブロック読出部と、ブロック読出部により読み出されたブロックデータに対して所定のデータ処理を行うブロック画像処理部とを備える。
【0015】
これにより、バッファメモリに対する1回の書き込みおよび1回の読み出しで、ライン間補正とブロック変換を行うため、バッファメモリが1つで済むとともに、バッファメモリへのメモリアクセスが少なくなる。このため、小さいサイズのバッファメモリを使用し少ないメモリアクセスで、カラースキャンにより得られた画像データをブロックごとに処理することができる。
【0016】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、画像処理装置は、ラインセンサの間隔に対応するオフセット分だけシフトさせたアドレスを計算するライン間補正アドレス計算部をさらに備える。そして、ブロック読出部は、ライン間補正アドレス計算部により計算されたアドレスからブロックデータを読み出す。
【0017】
これにより、スキャン速度など種々の設定が変更された場合でも、ライン間補正アドレス計算部により読出アドレスを正確に特定することができる。
【0018】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、ラスタ書込部は、バッファメモリにおける複数のバッファ領域のそれぞれに、バッファ領域に対応する色のラインデータを順番に書き込んでいく。
【0019】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、ブロック画像処理部は、ブロックデータをJPEG方式で圧縮する。
【0020】
本発明に係る画像形成装置は、複数色のラインセンサによる複数色のラインデータを出力するラインスキャナと、バッファメモリと、複数色のラインデータをそれぞれ、ラインセンサの間隔に対応するオフセット分だけアドレスをシフトさせて、バッファメモリに副走査方向に沿って順番に書き込むラスタ書込部と、バッファメモリに書き込まれた各色についての複数のラインデータからブロックデータを読み出すブロック読出部と、ブロック読出部により読み出されたブロックデータに対して所定のデータ処理を行うブロック画像処理部とを備える。
【0021】
これにより、バッファメモリに対する1回の書き込みおよび1回の読み出しで、ライン間補正とブロック変換を行うため、バッファメモリが1つで済むとともに、バッファメモリへのメモリアクセスが少なくなる。このため、小さいサイズのバッファメモリを使用し少ないメモリアクセスで、カラースキャンにより得られた画像データをブロックごとに処理することができる。
【0022】
また、本発明に係る画像形成装置は、複数色のラインセンサによる複数色のラインデータを出力するラインスキャナと、バッファメモリと、複数色のラインデータをそれぞれ、バッファメモリに副走査方向に沿って順番に書き込むラスタ書込部と、ラインセンサの間隔に対応するオフセット分だけアドレスをシフトさせつつ、バッファメモリに書き込まれた各色についての複数のラインデータからブロックデータを読み出すブロック読出部と、ブロック読出部により読み出されたブロックデータに対して所定のデータ処理を行うブロック画像処理部とを備える。
【0023】
これにより、バッファメモリに対する1回の書き込みおよび1回の読み出しで、ライン間補正とブロック変換を行うため、バッファメモリが1つで済むとともに、バッファメモリへのメモリアクセスが少なくなる。このため、小さいサイズのバッファメモリを使用し少ないメモリアクセスで、カラースキャンにより得られた画像データをブロックごとに処理することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、小さいサイズのバッファメモリを使用し少ないメモリアクセスで、カラースキャンにより得られた画像データをブロックごとに処理することができる画像処理装置および画像形成装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1におけるラインセンサの設置位置(読み取り位置)の違いに起因するラインデータのオフセットを説明する図である。
【図3】図3は、図1におけるブロック読出部によるブロックデータの読み出しについて説明する図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態2に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、図4におけるブロック読出部によるブロックデータの読み出しについて説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
実施の形態1.
【0028】
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。この実施の形態1では、画像形成装置は、複合機である。図1に示すように、この画像形成装置は、ラインスキャナ1、画像処理装置2、バッファメモリ3、印刷装置4、通信装置5および記憶装置6を有する。
【0029】
ラインスキャナ1は、複数色(R(赤)、G(緑)およびB(青))のラインセンサ1R,1G,1Bを有する。ラインセンサ1R,1G,1Bは、CCD(Charge Coupled Device)などの光センサ素子を有する。ラインセンサ1R,1G,1Bは、それぞれ、主走査方向に沿って1ラインずつ原稿を読み取り、ラインスキャナ1は、ラインセンサ1R,1G,1Bにより読み取られた各色の1ラインのラインデータを出力する。ここでは、ラインデータは、高さが1画素であり幅が所定の画素数であるラスタデータである。図示せぬ駆動系がラインセンサ1R,1G,1Bまたは原稿を副走査方向に沿って移動させることにより、ラインセンサ1R,1G,1Bは原稿面の画像を読み取り、ラインスキャナ1は、ラインセンサ1R,1G,1Bにより読み取られた各色の1ラインのラインデータを副走査方向に沿って順番に出力する。
【0030】
これらのラインセンサ1R,1G,1Bは、副走査方向において所定の間隔で配置されている。したがって、原稿のある位置は、ラインセンサ1R,1G,1Bによりそれぞれ異なるタイミングで読み取られる。したがって、RGBの画像データを同期させるために、後述するようにライン間補正が行われる。
【0031】
また、画像処理装置2は、1つのバッファメモリ3を使用して、ライン間補正およびブロック変換を行うとともに、ブロックごとに画像データに対するデータ処理を行う。画像処理装置2は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)および/またはコンピュータ(つまり、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ)を有し、各演算処理部を実現する。この実施の形態1では、画像処理装置2は、ライン間補正アドレス計算部11、ラスタ書込部12、ブロック読出部13、およびブロック画像処理部14を有する。
【0032】
ライン間補正アドレス計算部11は、ラインセンサ1R,1G,1Bの間隔に対応するオフセット分だけシフトさせたアドレスを計算する演算処理部である。このアドレスのオフセット量は、副走査方向におけるスキャン速度およびラインセンサ1R,1G,1Bの間隔から得られるライン数(オフセットライン数)などに基づいて計算される。
【0033】
例えば、スキャンの進行方向においてラインセンサ1R、ラインセンサ1G、ラインセンサ1Bの順番で配置されている場合、ラインセンサ1Rとラインセンサ1Bとの間のオフセット(つまり、RのラインデータとBのラインデータとの間のオフセット)、およびラインセンサ1Gとラインセンサ1Bとの間のオフセット(つまり、GのラインデータとBのラインデータとの間のオフセット)が計算される。図2は、図1におけるラインセンサ1R,1G,1Bの設置位置(読み取り位置)の違いに起因するラインデータのオフセットを説明する図である。
【0034】
ラスタ書込部12は、ラインスキャナ1における複数色のラインセンサ1R,1G,1Bによる複数色のラインデータをそれぞれ、ラインセンサ1R,1G,1Bの間隔に対応するオフセット分だけアドレスをシフトさせて、バッファメモリ3に副走査方向に沿って順番に書き込む演算処理部である。この実施の形態1では、ラスタ書込部12は、ライン間補正アドレス計算部11により計算されたアドレスにラインデータを書き込む。この実施の形態1では、ラスタ書込部12は、バッファメモリ3における複数のバッファ領域のそれぞれに、バッファ領域に対応する色のラインデータを順番に書き込んでいく。
【0035】
ブロック読出部13は、バッファメモリ3に書き込まれた各色についての複数のラインデータからブロックデータ(つまり、原稿画像における同一位置についてのRGB各色のブロックデータ)を読み出す演算処理部である。
【0036】
ブロック画像処理部14は、ブロック読出部13により読み出されたブロックデータに対して所定のデータ処理を行う演算処理部である。この実施の形態1では、ブロック画像処理部14は、例えば、ブロックデータをJPEG方式で圧縮する。
【0037】
なお、これらの他に、画像処理装置2は、ブロック画像処理部14により処理された後のデータを印刷装置4用の制御データに変換する演算処理部、ブロック画像処理部14により処理された後のデータを通信装置5により送信したり記憶装置6に格納したりするための所定のファイル形式のファイルに変換する演算処理部などを有する。
【0038】
また、バッファメモリ3は、ラインスキャナ1から出力されるラインデータを一時的に格納するメモリである。バッファメモリ3としては、例えばSRAM(Static Random Access Memory)が使用される。バッファメモリ3は、1つのメモリ素子のすべてのメモリ領域で構成されてもよいし、1つのメモリ素子の一部のメモリ領域で構成されてもよい。
【0039】
また、印刷装置4は、画像処理装置2からの制御データに従って動作し、その制御データに従って印刷用紙に画像を印刷する装置である。また、通信装置5は、画像処理装置2により処理された画像データやその画像データを含むファイルを送信する装置である。通信装置5としては、例えば、モデム、ネットワークインタフェースなどが使用される。また、記憶装置6は、画像処理装置2により処理された画像データをファイルとして格納する装置である。記憶装置6としては、例えば、ハードディスクドライブ、不揮発性メモリ(例えばフラッシュメモリ)などが使用される。
【0040】
次に、上記装置の動作について説明する。
【0041】
ラインスキャナ1は、ラインセンサ1R,1G,1Bにより各時点において得られたRGBのラインデータを出力する。つまり、RGBそれぞれについてのi番目のラインデータは、同一の時点において得られたセンサ検出値に基づく画素値を有する。このため、ある時点で出力されるRGBのラインデータは、原稿画像における異なる位置のラインについてのセンサ検出値に基づく画素値を有する。
【0042】
画像処理装置2では、ライン間補正アドレス計算部11が、RGBそれぞれのラインデータを書き込むバッファメモリ3のアドレスを計算する。スキャン方向においてRGBの順番でラインセンサ1R,1G,1Bが配列されている場合、RGB各色についてi番目のラインデータを書き込む領域の先頭アドレスXr,Xg,Xbは、次のように計算される。RGB各色についてのバッファ領域の先頭アドレスをXr0,Xg0,Xb0とし、1つのラインデータのサイズをLとし、ラインセンサ1Rとラインセンサ1Bとの間のオフセットライン数をN1とし、ラインセンサ1Gとラインセンサ1Bとの間のオフセットライン数をN2とすると、アドレスXr,Xg,Xbは、次式で計算される。
【0043】
Xr=Xr0+(i−1)×L
Xg=Xg0+(i−1+N2−N1)×L
Xb=Xb0+(i−1−N1)×L
【0044】
そして、ラスタ書込部12は、RGBそれぞれについてライン間補正アドレス計算部11により計算されたアドレスからラインデータを書き込む。なお、Bについては、ラスタ書込部12は、原稿画像を含まない1番目からN1番目までのラインデータの書き込みを行わない。また、Gについては、ラスタ書込部12は、原稿画像を含まない1番目から(N1−N2)番目までのラインデータの書き込みを行わない。なお、(N1−N2)は、ラインセンサ1Rとラインセンサ1Gとの間のオフセットライン数である。
【0045】
このようにすることで、バッファメモリ3への書き込み時にライン間補正が行われる。
【0046】
その後、ブロック読出部13は、バッファメモリ3から、ラインデータからなる画像データを、所定形状のブロックデータとして順番に読み出す。図3は、図1におけるブロック読出部13によるブロックデータの読み出しについて説明する図である。ブロックデータの画素群は、複数のラインにまたがる四角形の形状を有する。図3では、一例として、ブロックデータの画素群の形状は、縦横8画素の正方形となっている。
【0047】
ブロック読出部13は、RGBのバッファ領域21R,21G,21Bの先頭アドレス、ブロックデータの形状などから、j番目(j=1,2,3,・・・)に読み出すブロックデータ31R,31G,31Bに属する画素のアドレスを特定し、ブロックデータ31R,31G,31Bを読み出す。この実施の形態1では、バッファ領域21R,21G,21Bの先頭からの、ブロックデータ31R,31G,31Bの相対アドレスは同一値となる。ブロック画像処理部14は、そのブロックデータ31R,31G,31Bに対して所定の処理(例えばJPEG圧縮)を行う。
【0048】
なお、ブロック画像処理部14における処理の種類に応じて、j番目のブロックデータ31R,31G,31Bに属する画素と、それ以前および/またはそれ以降のブロックデータ31R,31G,31Bに属する画素とが重複するようにブロックデータ31R,31G,31Bを読み出してもよいし、重複しないようにブロックデータ31R,31G,31Bを読み出してもよい。
【0049】
その後、ブロック画像処理部14により処理された後のデータから、印刷装置4用の制御データが生成され印刷が実行されたり、ブロック画像処理部14により処理された後のデータから所定のファイル形式のファイルが生成され、通信装置5により送信されたり記憶装置6に格納されたりする。
【0050】
以上のように、上記実施の形態1によれば、ラスタ書込部12は、複数色のラインデータをそれぞれ、ラインセンサ1R,1G,1Bの間隔に対応するオフセット分だけアドレスをシフトさせて、バッファメモリ3に副走査方向に沿って順番に書き込む。そして、ブロック読出部13は、バッファメモリ3に書き込まれた各色についての複数のラインデータからブロックデータ31R,31G,31Bを読み出し、ブロック画像処理部14は、そのブロックデータ31R,31G,31Bに対して所定のデータ処理を行う。
【0051】
これにより、バッファメモリ3への書き込み時にライン間補正が行われ、バッファメモリ3からの読み出し時にブロック変換が行われる。したがって、バッファメモリ3に対する1回の書き込みおよび1回の読み出しで、ライン間補正とブロック変換を行うため、バッファメモリ3が1つで済むとともに、バッファメモリ3へのメモリアクセスが少なくなる。このため、小さいサイズのバッファメモリを使用し少ないメモリアクセスで、カラースキャンにより得られた画像データをブロックごとに処理することができる。また、バッファメモリ3の数を1つとすることができるため、装置のコストを低減することができる。
【0052】
実施の形態2.
【0053】
図4は、本発明の実施の形態2に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。この実施の形態4では、画像形成装置は、複合機である。図4に示すように、この画像形成装置は、ラインスキャナ1、画像処理装置31、バッファメモリ3、印刷装置4、通信装置5および記憶装置6を有する。なお、ラインスキャナ1、バッファメモリ3、印刷装置4、通信装置5および記憶装置6は、実施の形態1のものと同様である。
【0054】
画像処理装置31は、1つのバッファメモリ3を使用して、ライン間補正およびブロック変換を行うとともに、ブロックごとに画像データに対するデータ処理を行う。画像処理装置31は、ASICおよび/またはコンピュータを有し、各演算処理部を実現する。この実施の形態2では、画像処理装置31は、ライン間補正アドレス計算部41、ラスタ書込部42、ブロック読出部43、およびブロック画像処理部44を有する。
【0055】
ライン間補正アドレス計算部41は、ラインセンサ1R,1G,1Bの間隔に対応するオフセット分だけシフトさせたアドレスを計算する演算処理部である。このオフセットは、副走査方向におけるスキャン速度およびラインセンサ1R,1G,1Bの間隔から得られるライン数などに基づいて計算される。
【0056】
ラスタ書込部42は、ラインスキャナ1における複数色のラインセンサ1R,1G,1Bによる複数色のラインデータをそれぞれ、バッファメモリ3に副走査方向に沿って順番に書き込む演算処理部である。この実施の形態2では、ラスタ書込部42は、バッファメモリ3における複数のバッファ領域のそれぞれに、バッファ領域に対応する色のラインデータを順番に書き込んでいく。
【0057】
ブロック読出部43は、ラインセンサ1R,1G,1Bの間隔に対応するオフセット分だけアドレスをシフトさせつつ、バッファメモリ3に書き込まれた各色についての複数のラインデータからブロックデータ(つまり、原稿画像における同一位置についてのRGB各色のブロックデータ)を読み出す演算処理部である。この実施の形態2では、ブロック読出部43は、ライン間補正アドレス計算部41により計算されたアドレスからブロックデータを読み出す。
【0058】
ブロック画像処理部44は、ブロック読出部43により読み出されたブロックデータに対して所定のデータ処理を行う演算処理部である。この実施の形態2では、ブロック画像処理部44は、例えば、ブロックデータをJPEG方式で圧縮する。
【0059】
次に、上記装置の動作について説明する。
【0060】
画像処理装置31では、ラスタ書込部42は、ラインデータ書込時にはライン補正を行わずに、RGBそれぞれについてラインデータをバッファメモリ3のバッファ領域21R,21G,21Bに順番に書き込む。
【0061】
スキャン方向においてRGBの順番でラインセンサ1R,1G,1Bが配列されている場合、RGB各色についてi番目のラインデータを書き込む領域の先頭アドレスXr,Xg,Xbは、次のように計算される。
【0062】
Xr=Xr0+(i−1)×L
Xg=Xg0+(i−1)×L
Xb=Xb0+(i−1)×L
【0063】
そして、ブロックデータの読み出しのために、ライン間補正アドレス計算部41が、RGBそれぞれのブロックデータを読み出すバッファメモリ3のアドレスを計算する。このとき、ライン間補正アドレス計算部41は、ラインセンサ1R,1G,1Bの間隔に対応するオフセット分だけシフトさせたアドレスを計算する。
【0064】
ブロック読出部43は、ライン間補正アドレス計算部41により計算されたバッファメモリ3におけるアドレスからブロックデータを読み出す。
【0065】
図5は、図4におけるブロック読出部43によるブロックデータの読み出しについて説明する図である。スキャン方向においてRGBの順番でラインセンサ1R,1G,1Bが配列されている場合、図5に示すように、Rのブロックデータ31Rについては、オフセット分がゼロであり、Gのブロックデータ31Gについては、オフセットが(N1−N2)×Lと計算され、そのオフセット分だけ後ろのアドレスからブロックデータ31Gが読み出され、Bのブロックデータ31Bについては、オフセットがN1×Lと計算され、そのオフセット分だけ後ろのアドレスからブロックデータ31Bが読み出される。つまり、実施の形態1ではブロックデータ31R,31G,31Bの相対アドレスが同一値であるが、実施の形態2ではブロックデータ31R,31G,31Bの相対アドレスは、上述のオフセット量だけずれる。
【0066】
そして、ブロック画像処理部44は、そのブロックデータ31R,31G,31Bに対して所定の処理(例えばJPEG圧縮)を行う。
【0067】
なお、ブロック画像処理部44における処理の種類に応じて、j番目のブロックデータ31R,31G,31Bに属する画素と、それ以前および/またはそれ以降のブロックデータ31R,31G,31Bに属する画素とが重複するようにブロックデータ31R,31G,31Bを読み出してもよいし、重複しないようにブロックデータ31R,31G,31Bを読み出してもよい。
【0068】
その後、ブロック画像処理部44により処理された後のデータから、印刷装置4用の制御データが生成され印刷が実行されたり、ブロック画像処理部44により処理された後のデータから所定のファイル形式のファイルが生成され、通信装置5により送信されたり記憶装置6に格納されたりする。
【0069】
以上のように、上記実施の形態2によれば、ラスタ書込部42は、複数色のラインデータをそれぞれ、バッファメモリ3に副走査方向に沿って順番に書き込む。そして、ブロック読出部43は、ラインセンサ1R,1G,1Bの間隔に対応するオフセット分だけアドレスをシフトさせつつ、バッファメモリ3に書き込まれた各色についての複数のラインデータからブロックデータ31R,31G,31Bを読み出し、ブロック画像処理部44は、そのブロックデータ31R,31G,31Bに対して所定のデータ処理を行う。
【0070】
これにより、バッファメモリ3からの読み出し時にライン間補正およびブロック変換が行われる。したがって、バッファメモリ3に対する1回の書き込みおよび1回の読み出しで、ライン間補正とブロック変換を行うため、バッファメモリ3が1つで済むとともに、バッファメモリ3へのメモリアクセスが少なくなる。このため、小さいサイズのバッファメモリを使用し少ないメモリアクセスで、カラースキャンにより得られた画像データをブロックごとに処理することができる。また、バッファメモリ3の数を1つとすることができるため、装置のコストを低減することができる。
【0071】
なお、上述の各実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0072】
例えば、上記各実施の形態では、ラインセンサ1R,1G,1Bの順番が、R、G、Bの順であるが、他の順番でもよい。また、ラインセンサ1R,1G,1Bは、等間隔に配置されていてもよいし、異なる間隔で配置されていてもよい。
【0073】
また、上記各実施の形態において、ブロック画像処理部14,44は、ブロックデータに対して、フィルタ処理、補間処理、エッジ検出処理などを行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、例えば、プリンタ、コピー機、スキャナ機、複合機などの画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 ラインスキャナ
1R,1G,1B ラインセンサ
2 画像処理装置
3 バッファメモリ
11,41 ライン間補正アドレス計算部
12,42 ラスタ書込部
13,43 ブロック読出部
14,44 ブロック画像処理部
21R,21G,21B バッファ領域
31R,31G,31B ブロックデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラインスキャナにおける複数色のラインセンサによる複数色のラインデータをそれぞれ、前記ラインセンサの間隔に対応するオフセット分だけアドレスをシフトさせて、バッファメモリに副走査方向に沿って順番に書き込むラスタ書込部と、
前記バッファメモリに書き込まれた各色についての複数のラインデータからブロックデータを読み出すブロック読出部と、
前記ブロック読出部により読み出された前記ブロックデータに対して所定のデータ処理を行うブロック画像処理部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記ラインセンサの間隔に対応するオフセット分だけシフトさせたアドレスを計算するライン間補正アドレス計算部をさらに備え、
前記ラスタ書込部は、前記ライン間補正アドレス計算部により計算されたアドレスに前記ラインデータを書き込むこと、
を特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
ラインスキャナにおける複数色のラインセンサによる複数色のラインデータをそれぞれ、バッファメモリに副走査方向に沿って順番に書き込むラスタ書込部と、
前記ラインセンサの間隔に対応するオフセット分だけアドレスをシフトさせつつ、前記バッファメモリに書き込まれた各色についての複数のラインデータからブロックデータを読み出すブロック読出部と、
前記ブロック読出部により読み出された前記ブロックデータに対して所定のデータ処理を行うブロック画像処理部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
前記ラインセンサの間隔に対応するオフセット分だけシフトさせたアドレスを計算するライン間補正アドレス計算部をさらに備え、
前記ブロック読出部は、前記ライン間補正アドレス計算部により計算されたアドレスから前記ブロックデータを読み出すこと、
を特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記ラスタ書込部は、前記バッファメモリにおける複数のバッファ領域のそれぞれに、前記バッファ領域に対応する色の前記ラインデータを順番に書き込んでいくことを特徴とする請求項1または請求項3記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記ブロック画像処理部は、前記ブロックデータをJPEG方式で圧縮することを特徴とする請求項1または請求項3記載の画像処理装置。
【請求項7】
複数色のラインセンサによる複数色のラインデータを出力するラインスキャナと、
バッファメモリと、
前記複数色のラインデータをそれぞれ、前記ラインセンサの間隔に対応するオフセット分だけアドレスをシフトさせて、前記バッファメモリに副走査方向に沿って順番に書き込むラスタ書込部と、
前記バッファメモリに書き込まれた各色についての複数のラインデータからブロックデータを読み出すブロック読出部と、
前記ブロック読出部により読み出された前記ブロックデータに対して所定のデータ処理を行うブロック画像処理部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
複数色のラインセンサによる複数色のラインデータを出力するラインスキャナと、
バッファメモリと、
前記複数色のラインデータをそれぞれ、前記バッファメモリに副走査方向に沿って順番に書き込むラスタ書込部と、
前記ラインセンサの間隔に対応するオフセット分だけアドレスをシフトさせつつ、前記バッファメモリに書き込まれた各色についての複数のラインデータからブロックデータを読み出すブロック読出部と、
前記ブロック読出部により読み出された前記ブロックデータに対して所定のデータ処理を行うブロック画像処理部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−49893(P2011−49893A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197372(P2009−197372)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】