説明

画像処理装置および画像読取装置

【課題】消色可能な印刷剤で印刷されている原稿内の情報の漏洩を抑制することができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】特定波長光の照射により無色化する消色トナーが原稿の画像に使用されているか否かを原稿の読取時に判断する。詳細には、原稿Mに照明光Laを照射して読み取った第1読取画像と、この第1読取画像を読み取った領域に特定波長光IRを照射し、この領域に照明光Laを照射して読み取った第2読取画像とを比較し、同じであれば消色トナーが使用されていないと判断し、異なっていれば消色トナーが使用されていると判断する。消色トナーが使用されている原稿に対しては、読取動作を停止する、出力動作を禁止したり制限したりする動作変更を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消色可能な印刷剤を使用して印刷された原稿を判別できる画像処理装置および画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷用のトナーにおいては近赤外線を照射すると消色(無色化)する消色トナーが知られており、この消色トナーを用いて印刷を行う各種の画像処理装置が提案されている。たとえば、消色トナーを用いて原稿の複写を行う複写機や(特許文献1参照)、通常トナーおよび消色トナーを用いて画像を形成する画像形成装置などがある(特許文献2参照)。この画像形成装置では、消色トナーで印刷した用紙を再利用するために、消色トナーで印刷した用紙には所定の識別画像(マーク)を印刷し、この識別画像の有無を検知して消色トナーで印刷された用紙を判別するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−69675号公報
【特許文献2】特開2008−9312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の消色トナーは、機密文書の印刷に使用して文書内容を消去可能とすることにより、機密情報の漏洩を防止するような使い方もある。しかし、特許文献1の複写機で、たとえば機密文書を消色トナーで複写したとしても、その消去可能な機密文書が通常トナーを使用する複写機で複写されると消去できない機密文書が複製されてしまい、情報を持ち出すことができてしまう。
【0005】
また、特許文献2のような識別画像の有無で消色トナーの用紙を判別する技術を、消色トナーで印刷された機密文書の通常トナーによる複写防止に利用する場合でも、すなわち、識別画像を検知した場合は通常トナーによる複写を禁止するような制御を行う場合でも、識別画像を隠したり消したりすることで通常トナーによる複写ができてしまい、やはり情報漏洩を抑えることができない。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、消色可能な印刷剤で印刷されている原稿内の情報の漏洩を抑制することができる画像処理装置および画像読取装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0008】
[1]原稿を読み取るための照明光を原稿に照射する読取用光源と、
特定波長光の照射により消色する消色印刷剤を消色させる該特定波長光を原稿に照射する消去用光源と、
前記読取用光源により照明光が照射された原稿からの反射光を受光して原稿を読み取る読取部と、
前記読取部により読み取られた原稿の読取画像を出力する出力部と、
原稿に前記読取用光源により照明光を照射して前記読取部により第1読取画像を読み取り、該第1読取画像を読み取った前記原稿の領域に前記消去用光源により特定波長光を照射し、該特定波長光の照射により前記消色印刷剤であれば消色されている該領域に前記読取用光源により照明光を照射して前記読取部により第2読取画像を読み取り、前記第1読取画像と前記第2読取画像とに基づいて、前記原稿の画像に前記消色印刷剤が使用されているか否かを判断し、該判断結果に応じて前記原稿の読取動作および前記原稿の読取画像の出力動作のうちの少なくとも一方の動作を変更する制御部と、
を備えた画像処理装置。
【0009】
上記発明では、特定波長光の照射により消色する消色印刷剤が原稿の画像に使用されているか否かを、原稿に特定波長光を照射し画像が消色(消去)したか否か、すなわち、画像が変化したか否かで判断する。ここでは、原稿に照明光を照射して読み取った第1読取画像と、この第1読取画像を読み取った領域に特定波長光を照射し、この特定波長光の照射により消色印刷剤であれば消色されているこの領域に照明光を照射して読み取った第2読取画像とに基づいて判断する。これらの画像を比較し、同じであれば消色印刷剤が使用されていないと判断でき、異なっていれば消色印刷剤が使用されていると判断できる。比較するのは、原稿の画像の一部領域でも全領域でも構わない。上記の「領域」は、この一部領域と全領域とを含んでいる。一部領域で判断する場合は原稿の読取動作中に判断結果が得られ、全領域で判断する場合は原稿の読み取りが完了してから判断結果が得られる。
【0010】
照明光と特定波長光の照射タイミングは、消色印刷剤が使用されている場合には特定波長光の照射で原稿の画像に変化が生じるその変化前(消去前)の読取画像となる第1読取画像と、変化後(消去後)の読取画像となる第2読取画像とが取得可能な任意のタイミングにすることができる。たとえば、全領域または一部領域を2回読み取る際に、照明光を2回に分けて照射しその間に特定波長光を照射してもよい。複数の一部領域を個々に連続的に読み取る場合は、すなわち、1つの一部領域に対する2回の照明光照射とその間の特定波長光照射とを複数の一部領域に対して連続的に繰り返す場合は、1つの一部領域に対する2回目の照明光照射から、次の一部領域に対する1回目の照明光照射までを継続させることで、照明光と特定波長光を交互に照射するようにしてもよい。これらの場合は、照明光と特定波長光の照射期間が一部重複してもしなくても構わない。さらに後者の場合(複数の一部領域を個々に連続的に読み取る場合の場合)は、照明光を連続照射している間に特定波長光を間欠的に照射するようにしてもよい。第1読取画像と第2読取画像とは、上記の照明光と特定波長光の照射タイミングに合わせた所定のタイミングに各々読み取って取得する。
【0011】
原稿の画像に消色印刷剤が使用されていると判断した場合は、たとえば、読取画像の出力を禁止したり制限したりするなど、出力動作を変更することができる(出力動作のみの変更)。この判断結果を一部領域の読み取りで得た場合は、原稿の読み取りを停止して出力を行わない、あるいは、判断後は不要となる第2読取画像の読み取りを停止し原稿(第1読取画像)の読み取りを完了させ出力を制限するなど、読取動作と出力動作を共に変更することができる。これにより、消色印刷剤で印刷されている原稿内の情報の漏洩を抑制することができる。
【0012】
また、一部領域の読み取りで消色印刷剤が使用されていないとの判断結果を得た場合は、判断後は不要となる特定波長光の照射や第2読取画像の読み取りを停止し原稿(第1読取画像)の読み取りを完了させ出力を変更せずに行うこともできる(読取動作のみの変更)。これにより、原稿全体を読み取って消色印刷剤が使用されているか否かを判断する場合と比較し、原稿の読み取り速度を向上させることができる。
【0013】
[2]前記読取部は、所定サイズの読取範囲で原稿を一部領域毎に読み取り、
前記読取用光源と前記消去用光源とは、前記読取範囲へ向けて光照射し、
当該画像処理装置は、前記読取範囲および該読取範囲へ向けて光照射する前記読取用光源および前記消去用光源と、原稿とを相対移動させる移動部とを備え、
前記制御部は、前記読取部の前記読取範囲に位置する原稿に前記読取用光源により照明光を照射して前記読取部により前記原稿の一部領域の第1読取画像を読み取り、該一部領域に前記消去用光源により特定波長光を照射し、該特定波長光の照射により前記消色印刷剤であれば消色されている該一部領域に前記読取用光源により照明光を照射して前記読取部により該一部領域の第2読取画像を読み取る
ことを特徴とする[1]に記載の画像処理装置。
【0014】
上記発明では、読取部により所定サイズの読取範囲で原稿を一部領域毎に読み取り、この一部領域毎の個々の読取画像を繋ぎ合わせて原稿の全領域の読取画像を取得する構成において、照明光と特定波長光を読取範囲へ向けて照射できるため、すなわち、読取範囲に位置する同一の一部領域へ向けて照明光と特定波長光を照射できるため、たとえば、読取部、光源、原稿を移動させずに1つの一部領域の第1読取画像と第2読取画像を読み取ることができる。これにより、第1読取画像と第2読取画像を短時間に取得できる。
【0015】
たとえば、1つまたは複数の一部領域から読み取った第1読取画像と第2読取画像とに基づいて判断を行う場合は、その読み取りを終えた時点での判断結果に応じて原稿の読取動作および原稿の読取画像の出力動作のうちの少なくとも一方の動作を変更することができる。原稿の全領域から読み取った第1読取画像と第2読取画像とに基づいて判断を行う場合は、読取部による読取範囲およびこの読取範囲へ向けて光照射する読取用光源および消去用光源と、原稿とを相対移動させて原稿の一部領域毎の第1読取画像と第2読取画像とを取得する。この一部領域毎の個々の第1読取画像を繋ぎ合わせて原稿の全領域の第1読取画像を取得し、一部領域毎の個々の第2読取画像を繋ぎ合わせて原稿の全領域の第2読取画像を取得することができる。
【0016】
相対移動を行う移動部の構成は、不動の読取範囲および光源に対して原稿を移動させる構成と、不動の原稿に対して読取範囲および光源を移動させる構成とを含む。読取範囲の移動は、読取部を移動させる構成、不動の読取部に原稿(読取範囲)からの反射光を導くミラー(反射板)などを移動させる構成などがある。
【0017】
[3]前記制御部は、前記原稿の読取動作中に該原稿の画像に前記消色印刷剤が使用されていると判断した場合は、読取動作を停止する
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の画像処理装置。
【0018】
上記発明では、消色印刷剤が使用されている原稿では読取動作中に読取動作が停止し、原稿の読み取りによる原稿内の情報の複製防止および漏洩抑制が図られる。
【0019】
[4]前記制御部は、前記原稿の読取動作中に該原稿の画像に前記消色印刷剤が使用されていると判断した場合は、前記第2読取画像の読み取りを停止し、前記第1読取画像の読み取りと前記消去用光源による特定波長光の照射とを継続して完了させる
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の画像処理装置。
【0020】
上記発明では、消色印刷剤が使用されている原稿では、読取動作の途中から第2読取画像の読み取りが停止され読取速度がアップする。これにより、原稿の読み取りに要する時間が短縮し生産性が高められる。読み取りが完了すると原稿の消色印刷剤による画像が消去される。読み取られた原稿の画像(第1読取画像)は画像処理装置に取得される。
【0021】
[5]前記制御部は、前記原稿の読取動作中に該原稿の画像に前記消色印刷剤が使用されていると判断した場合、または、前記消色印刷剤が使用されていないと判断した場合は、前記消去用光源による特定波長光の照射と前記第2読取画像の読み取りとを停止し、前記第1読取画像の読み取りを継続して完了させる
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の画像処理装置。
【0022】
上記発明では、原稿の読取動作の途中から第2読取画像の取得が停止され読取速度がアップする。これにより、原稿の読み取りに要する時間が短縮し生産性が高められる。読み取られた原稿の画像(第1読取画像)は画像処理装置に取得される。
【0023】
[6]前記制御部は、前記原稿の画像に前記消色印刷剤が使用されていると判断した場合は、出力動作を禁止する
ことを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0024】
上記発明では、消色印刷剤が使用されている原稿では、原稿の画像の出力が禁止され、原稿の読み取りによる原稿内の情報の複製防止および漏洩抑制が図られる。
【0025】
[7]前記出力動作は、印刷剤を使用して記録紙に画像を印刷する印刷動作を含み、
前記印刷剤は、前記消色印刷剤と、前記特定波長光の照射により消色しない非消色印刷剤とを含み、
前記制御部は、前記原稿の画像に前記消色印刷剤が使用されていると判断した場合は、該原稿の読取画像に対して行う出力動作を前記消色印刷剤を使用して記録紙に該読取画像を印刷する限定出力動作に制限する
ことを特徴とする[1]、[2]、[4]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0026】
上記発明では、消色印刷剤が使用されている原稿では、読み取られた原稿の画像の出力が消色印刷剤を使用した印刷に制限される。消色印刷剤で印刷した画像は消去可能であり、これにより、原稿内の情報の漏洩が抑制される。[4]との組み合わせでは、読み取られた原稿では消色印刷剤による画像が消去され、その画像は複写された記録紙に消色印刷剤で印刷される。すなわち、消色印刷剤による画像が複写元の紙(原稿)から複写先の紙(記録紙)へ移動する。これにより、原稿内の情報の複製防止および漏洩抑制が図られる。
【0027】
[8]前記制御部は、前記原稿の画像に前記消色印刷剤が使用されていないと判断した場合は、該原稿の読取画像に対して行う出力動作として前記印刷動作を行う場合は前記非消色印刷剤を使用して記録紙に該読取画像を印刷する
ことを特徴とする[7]に記載の画像処理装置。
【0028】
上記発明では、消色印刷剤が使用されていない原稿では、非消色印刷剤を使用して通常の複写が行われる。
【0029】
[9]前記制御部は、前記第1読取画像と前記第2読取画像とが異なり、かつ、前記第1読取画像と前記第2読取画像とに一致する同領域と一致しない異領域とが存在する場合は、前記原稿における前記同領域に対応する画像領域には前記消色印刷剤が使用されていないと判断し、前記異領域に対応する画像領域には前記消色印刷剤が使用されていると判断し、該原稿の読取画像に対して行う前記限定出力動作では、少なくとも前記異領域は前記消色印刷剤を使用して印刷する
ことを特徴とする[7]または[8]に記載の画像処理装置。
【0030】
上記発明では、消色印刷剤が使用されていない画像領域と使用されている画像領域とが混在している原稿では、少なくとも消色印刷剤による画像領域は消色印刷剤を使用して複写される。このような原稿に対しても、消色印刷剤による画像領域の情報が漏洩することを抑制できる。
【0031】
[10]前記制御部は、前記限定出力動作では、前記同領域は前記非消色印刷剤を使用して印刷する
ことを特徴とする[9]に記載の画像処理装置。
【0032】
上記発明では、消色印刷剤が使用されていない画像領域と使用されている画像領域とが混在している原稿では、前者の画像領域は非消色印刷剤を使用し後者の画像領域は消色印刷剤を使用して複写される。この場合は、原稿において消去できる画像領域は、複写した記録紙においても消去可能であり、この画像領域の情報が漏洩することを抑制できる。他の画像領域の情報は、複写した記録紙では容易に消去できない情報として印刷される。
【0033】
[11]前記制御部は、前記限定出力動作では、印刷部数を1部に制限する
ことを特徴とする[7]〜[10]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0034】
上記発明では、消色印刷剤が使用されている原稿の複写(消色印刷剤を使用した印刷)は1部のみに制限され、複数部複写されて情報漏洩が拡大するようなことを抑制できる。[4]との組み合わせでは、読み取られた原稿では消色印刷剤による画像が消去され、その画像は消色印刷剤により1部しか複写できないため、複製防止および情報漏洩の拡大抑制が図られる。
【0035】
[12]前記制御部は、前記限定出力動作を行う場合は、前記読取動作が完了してから印刷動作を開始する
ことを特徴とする[7]〜[11]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0036】
上記発明では、消色印刷剤が使用されている原稿の複写では、原稿の読み取りが完了してから印刷(消色印刷剤を使用した印刷)が開始され、消色印刷剤が使用されている原稿を保全しつつその複製が印刷出力されることを防止できる。たとえば、原稿の全領域の第1読取画像を読み取ってから原稿の一部領域に特定波長光を照射してその一部領域の第2読取画像を読み取り、その一部領域に対応する第1読取画像と第2読取画像とに基づいて判断を行う場合には、消色印刷剤が使用されていると判断した直後に消色印刷剤を使用して第1読取画像を印刷することも可能である。この判断直後の印刷が開始されたタイミングに原稿が取り出されると、原稿を保全しつつその複製が印刷出力される可能性があるが、このような原稿の保全と複製の作成とを防止することができる。
【0037】
[13]前記制御部は、前記限定出力動作では、前記記録紙の上縁部と下縁部のうちの少なくとも一方に前記消色印刷剤を使用してダミー画像を印刷する
ことを特徴とする[7]〜[12]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0038】
上記発明では、消色印刷剤が使用されている原稿の複写で、消色印刷剤により印刷された記録紙には、上縁部と下縁部のうちの少なくとも一方に消色印刷剤でダミー画像が印刷される。この記録紙(原稿)の複写では、ダミー画像が印刷されている記録紙の上端側または下端側から読み取り始め、上縁部または下縁部のダミー画像を読み取って取得した第1読取画像と、この第1読取画像に対して変化(消去)している第2読取画像とに基づいて消色印刷剤が使用されていると判断される。これにより、記録紙内のコンテンツを読み取らなくても、原稿の読取動作および原稿の読取画像の出力動作のうちの少なくとも一方の動作を変更することができる。
【0039】
[14]前記印刷動作で使用する前記消色印刷剤の残量を検知する検知部を備え、
前記制御部は、前記検知部により前記消色印刷剤の残量が所定量以下であることが検知された場合は、前記限定出力動作も行わない
ことを特徴とする[7]に記載の画像処理装置。
【0040】
上記発明では、消色印刷剤が使用されている原稿の複写で、印刷に使用される画像処理装置内の消色印刷剤の残量が所定量以下の場合には、消色印刷剤を使用して記録紙に印刷を行うと、記録紙への消色印刷剤の乗りが悪くなり、かすれが発生した見栄えの悪い印刷物が生成されるため、印刷を行わないようにする。このような見栄えの悪い印刷物を生成しないようにすることで、記録紙や消色印刷剤、電力などの印刷に要する資源の無駄な消費を抑えることができ、省エネルギー効果も得られる。
【0041】
[15]前記出力動作は、前記読取画像を外部装置に転送する転送動作を含み、
前記制御部は、前記消色印刷剤が使用されていると判断した原稿の読取画像を外部装置に転送する場合は、前記限定出力動作を実行可能な外部装置への転送のみを許可する
ことを特徴とする[7]〜[13]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0042】
上記発明では、原稿の読取画像を外部装置に転送する場合に、消色印刷剤が使用されている原稿の読取画像は、消色印刷剤を使用した印刷を実行可能な外部装置(印刷装置)への転送のみが許可される。原稿の読取画像をこの外部装置へ転送した場合も、消色印刷剤で印刷が行われ情報漏洩が抑制される。また、消色印刷剤を使用した印刷を実行不能な外部装置、たとえば、画像の記憶、処理、消色印刷剤を使用した印刷以外の出力を行う外部装置への転送は禁止となる。これにより、このような外部装置に原稿内の情報が転送されて漏洩することを抑制できる。
【0043】
[16]前記制御部は、前記消色印刷剤が使用されていると判断した原稿の読取画像を当該画像処理装置内に保存する場合は、該読取画像の読み取り元の原稿の画像に消色印刷剤が使用されていることを示す識別情報を該読取画像に関連付けて保存し、前記識別情報が関連付けられて保存されている読取画像を出力する場合は、前記限定出力動作のみを許可する
ことを特徴とする[7]〜[15]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0044】
上記発明では、当該画像処理装置内に保存した原稿の読取画像を出力する場合に、消色印刷剤が使用されている原稿の読取画像は、消色印刷剤を使用した印刷による出力のみが許可される。この消色印刷剤を使用した印刷による出力は、当該画像処理装置による出力と、消色印刷剤を使用した印刷を実行可能な外部装置への転送による出力とを含む。これにより、消色印刷剤が使用されている原稿の読取画像を装置内に保存して出力する場合も、消色印刷剤で印刷が行われ情報漏洩が抑制される。
【0045】
[17]前記制御部は、前記識別情報が関連付けられて保存されている読取画像を前記限定出力動作で出力した場合は、保存されている該読取画像と該識別情報とを消去する
ことを特徴とする[16]に記載の画像処理装置。
【0046】
上記発明では、消色印刷剤が使用されている原稿の読取画像を当該画像処理装置内に保存して出力した場合は、装置内に保存されていた読取画像と識別情報を消去し、その読取画像を再出力できなくする。これにより、複製防止および情報漏洩の拡大抑制が図られる。
【0047】
[18]前記制御部は、前記限定出力動作に替えて、前記異領域を所定画像に置換した前記読取画像を前記非消色印刷剤を使用して印刷する
ことを特徴とする[9]に記載の画像処理装置。
【0048】
上記発明では、消色印刷剤が使用されていない画像領域と使用されている画像領域とが混在している原稿では、前者の画像領域はそのまま非消色印刷剤を使用し、後者の画像領域は所定画像に置換され非消色印刷剤を使用して複写される。これにより、原稿の読取画像を非消色印刷剤のみを使用して印刷する場合でも、原稿内の消去可能な画像領域の情報が漏洩することを抑制できる。
【0049】
[19]前記印刷動作で使用する前記消色印刷剤の残量を検知する検知部を備え、
前記制御部は、前記検知部により前記消色印刷剤の残量が所定量以下であることが検知された場合に、前記限定出力動作に替えて、前記印刷を行う
ことを特徴とする[18]に記載の画像処理装置。
【0050】
上記発明では、消色印刷剤が使用されていない画像領域と使用されている画像領域とが混在している原稿の複写では、印刷に使用される画像処理装置内の消色印刷剤の残量が所定量以下の場合に、[18]に記載の印刷を行う。すなわち、消色印刷剤が使用されている画像領域は所定画像に置換し非消色印刷剤を使用して記録紙に印刷する。
【0051】
これにより、原稿内の消色印刷剤が使用されている画像領域を、そのまま消色印刷剤を使用して記録紙に印刷(複写)した場合に生じる、その印刷物内の消色印刷剤を使用して印刷された画像領域の見栄えの悪化を回避しつつ、原稿内の消色印刷剤が使用されていない画像領域の情報は、非消色印刷剤を使用して記録紙に印刷(複写)しユーザに提供することができる。
【0052】
[20]前記読取部により読み取られる原稿がセットされる原稿台と、
前記原稿台にセットされた原稿を取り出し可能に保持する第1保持状態と該原稿を取り出し不能に保持する第2保持状態とに切り替え可能な保持部とを備え、
前記制御部は、前記原稿の読取動作では前記保持部を前記第2保持状態に切り替え、前記読取動作を終えると前記保持部を前記第1保持状態に切り替える
ことを特徴とする[1]〜[19]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0053】
上記発明では、原稿を原稿台にセットして読み取る場合の読取動作では、保持部が第2保持状態に切り替わって原稿は取り出し不能に保持される。保持部を第2保持状態に切り替えるタイミングは、読取動作の開始時点でもよいし開始直後(開始後所定時間以内)でもよい。読取動作が終わると、保持部が第1保持状態に切り替わって原稿は原稿台から取り出し可能となる。上記の読取動作の終わりとは、読取動作が完了して終わる場合と、読取動作が停止(途中停止)して終わる場合とを含む。
【0054】
原稿の画像に消色印刷剤が使用されている場合には、読取時にその画像における特定波長光が照射された領域は消去されることになる。読み取り後の原稿の画像に大きな消去領域が発生した場合には、再読み取りを行っても元の画像は取得できない。このように、消色印刷剤を使用して画像が印刷されている原稿は、再読み取りできなくなる可能性があるため、1度の読み取りで良好(正常)な読取画像を取得する必要がある。たとえば、読取動作中に原稿台上の原稿が位置ずれを起こすと、読取画像にはブレが生じてしまう。また、読取動作中に原稿台上から原稿が取り出されると、読取画像は原稿の読み取り済み領域までの中途半端な画像になってしまう。
【0055】
これに対し、読取動作では原稿台にセットされた原稿を取り出し不能に保持することにより、読取動作中に原稿台上の原稿が位置ずれを起こしたり取り出されたりすることが防止され、1度の読み取りで良好(正常)な読取画像を取得できるようになる。
【0056】
[21]前記読取部により読み取られる原稿がセットされる原稿台と、
前記原稿台にセットされた原稿を取り出し可能に保持する第1保持状態と該原稿を取り出し不能に保持する第2保持状態とに切り替え可能な保持部とを備え、
前記制御部は、前記保持部を前記第1保持状態にして前記原稿の読取動作を開始し、該読取動作中に前記原稿の画像に前記消色印刷剤が使用されていると判断した場合は前記保持部を前記第2保持状態に切り替え、前記読取動作を完了すると前記保持部を前記第1保持状態に切り替える
ことを特徴とする[1]、[2]、[4]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0057】
上記発明では、原稿を原稿台にセットして読み取る場合の読取動作では、保持部を第1保持状態(原稿は取り出し可能)にして読取動作を開始する。この読取動作中に原稿の画像に消色印刷剤が使用されていると判断した場合は、保持部が第2保持状態に切り替わって原稿は取り出し不能に保持される。読取動作が終わると、保持部が第1保持状態に切り替わって原稿は原稿台から取り出し可能となる。
【0058】
このように、原稿を取り出し可能に保持して読取動作を開始する。読取動作中に原稿の画像に消色印刷剤が使用されており、原稿を取り出し不能に保持する必要がある場合(読取動作を停止しない場合など)にその保持状態に切り替え、その原稿の取り出し不能な保持状態を継続して読取動作を完了させる。これにより、原稿を取り出し不能に保持する必要性が低い場合のその保持状態への切り替えを行わなくて済む。また、消色印刷剤を使用して画像が印刷されている原稿に対しては、保持後は原稿台上で位置ずれを起こしたり原稿台上から取り出されたりすることが防止され、1度の読み取りで良好な読取画像を取得できるようになる。
【0059】
[22]不揮発性記憶部を備え、
前記制御部は、前記第1読取画像を前記不揮発性記憶部に保存する
ことを特徴とする[1]〜[21]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0060】
上記発明では、原稿の第1読取画像を不揮発性記憶部に保存する。たとえば、原稿の第1読取画像を揮発性記憶部に保存する構成では、その第1読取画像の出力が完了する前に画像処理装置に突発的な電源遮断などが発生すると、揮発性記憶部に保存した第1読取画像が消失し、画像処理装置を再起動してもその第1読取画像を出力できなくなる。また、消色印刷剤が使用されている原稿を読み取った場合は、その原稿からは既に画像が消去されているので、その画像は原稿上にも画像処理装置内にも存在せず、失われることになる。
【0061】
ここでは、消色印刷剤が使用されている原稿を読み取ってその原稿から画像が消去された状態で、その原稿の第1読取画像の出力完了前に画像処理装置に突発的な電源遮断などが発生しても、その原稿の第1読取画像は不揮発性記憶部に保存されているので消失せずに保全される。これにより、画像処理装置を再起動し、消失せずに不揮発性記憶部に保存(保全)されている第1読取画像を使用して、元の原稿と同じ原稿を復元(再作成)することができる。
【0062】
[23]前記制御部は、前記第2読取画像を前記不揮発性記憶部に保存する
ことを特徴とする[22]に記載の画像処理装置。
【0063】
上記発明では、原稿の第2読取画像も不揮発性記憶部に保存する。これにより、画像処理装置に突発的な電源遮断などが発生しても、第1読取画像と第2読取画像を消失から保護することができる。
【0064】
消色印刷剤が使用されている画像領域と、非消色印刷剤が使用されている画像領域とが混在している原稿を読み取った場合、第1読取画像は、両方の画像領域を読み取ったものになり、第2読取画像は、非消色印刷剤が使用されている画像領域を読み取ったものになる。この場合は、第1読取画像のみでは、消色印刷剤を使用した画像領域と、非消色印刷剤を使用した画像領域とを識別することはできない。第1読取画像と第2読取画像を比較することで、それらの画像領域の識別が可能になる。そこで上記のように、第1読取画像と第2読取画像をそれぞれ不揮発性記憶部に保存することにより、この不揮発性記憶部に保存した第1読取画像と第2読取画像を使用して、元の原稿(消色印刷剤と非消色印刷剤が使用されている原稿)と同じ原稿を復元(再作成)することができる。
【0065】
[24]揮発性記憶部を備え、
前記制御部は、前記不揮発性記憶部に保存する読取画像を、前記原稿の画像に前記消色印刷剤が使用されていると判断するまでは前記揮発性記憶部に保存しておき、前記原稿の画像に前記消色印刷剤が使用されていると判断した場合に、前記揮発性記憶部に保存しておいた読取画像を前記不揮発性記憶部に保存する
ことを特徴とする[22]または[23]に記載の画像処理装置。
【0066】
上記発明では、原稿の読取画像(第1読取画像のみ、または第1読取画像と第2読取画像)をまず揮発性記憶部に保存しておき、原稿の画像に消色印刷剤が使用されていると判断した場合に、揮発性記憶部に保存しておいた読取画像を不揮発性記憶部に保存する。この判断時点までは不揮発性記憶部よりもアクセス速度が早い揮発性記憶部に読取画像を保存することで、処理速度の低下が抑えられる。また、最終的に原稿の画像に消色印刷剤が使用されていないと判断した場合は、揮発性記憶部に保存されている読取画像にアクセスして出力を行うことになり、この場合も処理速度の低下が抑えられる。
【0067】
[25]揮発性記憶部を備え、
前記制御部は、前記原稿の画像に前記消色印刷剤が使用されていないと判断した場合に、前記不揮発性記憶部に保存されている読取画像を前記揮発性記憶部に保存する
ことを特徴とする[22]または[23]に記載の画像処理装置。
【0068】
上記発明では、原稿の読取画像(第1読取画像のみ、または第1読取画像と第2読取画像)を最初から不揮発性記憶部に保存するので、画像処理装置の突発的な電源遮断などによる読取画像の消失に対する安全性(原稿の復元性)が高められる。また、原稿の画像に消色印刷剤が使用されていないと判断した場合は、不揮発性記憶部に保存されている読取画像(第1読取画像と第2読取画像のうちの少なくとも一方)を揮発性記憶部に保存するので、不揮発性記憶部に保存されている読取画像にアクセスして出力を行う場合に比べて、処理速度の低下が抑えられる。
【0069】
[26]前記制御部は、前記不揮発性記憶部の空き容量を確認し、その空き容量が所定容量以下の場合は、読取動作を禁止する
ことを特徴とする[22]〜[25]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0070】
上記発明では、不揮発性記憶部の空き容量を確認し、その空き容量が所定容量以下の場合は、読取動作を禁止する。これにより、原稿の読取画像(第1読取画像のみ、または第1読取画像と第2読取画像)を不揮発性記憶部の空き容量不足で不揮発性記憶部に保存できないといった事態を回避することができる。
【0071】
[27]原稿を読み取るための照明光を原稿に照射する読取用光源と、
特定波長光の照射により消色する消色印刷剤を消色させる該特定波長光を原稿に照射する消去用光源と、
前記読取用光源により照明光が照射された原稿からの反射光を受光して原稿を読み取る読取部と、
前記読取部により読み取られた原稿の読取画像を出力する出力部と、
原稿に前記読取用光源により照明光を照射して前記読取部により第1読取画像を読み取り、該第1読取画像を読み取った前記原稿の領域に前記消去用光源により特定波長光を照射し、該特定波長光の照射により前記消色印刷剤であれば消色されている該領域に前記読取用光源により照明光を照射して前記読取部により第2読取画像を読み取り、前記第1読取画像と前記第2読取画像とに基づいて、前記原稿の画像に前記消色印刷剤が使用されているか否かを判断し、該判断結果を出力する制御部と、
を備えた画像読取装置。
【0072】
上記発明では、原稿を読み取って取得した読取画像を出力する画像読取装置において、原稿を読み取る際に原稿の画像に消色印刷剤が使用されているか否かを正確に判断(判別)し、その正確な判断結果を出力することができる。たとえば、画像読取装置から読取画像とその判断結果を受けた画像出力装置が判断結果に応じて出力動作を変更する、あるいは、表示によって出力された判断結果をユーザが確認して原稿の読取動作を変更したり、原稿の読取画像の出力動作を変更したりすることもできる。これにより、消色可能な印刷剤で印刷されている原稿内の情報の漏洩を抑制することも可能となる。
【発明の効果】
【0073】
本発明の画像処理装置および画像読取装置によれば、消色可能な印刷剤で印刷されている原稿内の情報の漏洩を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置としての複合機の概略構成を示すブロック図である。
【図2】複合機が備えるスキャナ部の概略構成を示す図である。
【図3】複合機の表示部に表示された読取モード設定画面を示す図である。
【図4】複合機による読取モードの設定動作を示す流れ図である。
【図5】複合機による原稿の読取時に原稿内の画像に消色トナーが使用されているか否かを判断する判断動作を示す流れ図である。
【図6】図5の判断動作における光源の点灯/消灯タイミングと原稿の読み取りタイミングを示すタイミングチャートである。
【図7】判断後に第2読取画像の読み取りのみを停止する動作に切り替えた場合のタイミングチャートである。
【図8】判断後に第2読取画像の読み取りと消去用光源の点滅制御を停止する動作に切り替えた場合のタイミングチャートである。
【図9】原稿画像における通常トナーと消色トナーの混在および各トナー領域の判断の概要を示す図である。
【図10】複合機による読取動作変更の制御を示す流れ図である。
【図11】図10における消色トナー用の動作変更制御(S212)のサブルーチンの第1パターンを示す流れ図である。
【図12】図10における消色トナー用の動作変更制御(S212)のサブルーチンの第2パターンを示す流れ図である。
【図13】記録紙の上縁部と下縁部にダミー画像を消色トナーで印刷した場合の一例を示す図である。
【図14】原稿画像の全領域を読み取って通常トナーと消色トナーの混在を判断する場合の制御を示す流れ図である。
【図15】図14における消色トナー用の動作変更制御(S511)のサブルーチンを示す流れ図である。
【図16】原稿のコピーで消色トナーの画像領域が所定画像に置き換えられた一例を示す図である。
【図17】複合機内の保存画像を出力する場合の制御を示す流れ図である。
【図18】図17における消色トナー用の動作変更制御(S707)のサブルーチンを示す流れ図である。
【図19】複合機が備えるスキャナ部の変形例1の概略構成を示す図である。
【図20】複合機が備えるスキャナ部の変形例2の概略構成を示す図である。
【図21】複合機が備えるスキャナ部の変形例3の概略構成を示す図である。
【図22】本発明の第2の実施形態に係る複合機の表示部に表示されたプラテンカバーロック設定画面を示す図である。
【図23】複合機によるプラテンカバーロック動作を示す流れ図である。
【図24】本発明の第3の実施形態に係る複合機による消去読取モードの生産性優先および処理速度重視の動作を示す流れ図である。
【図25】本発明の第3の実施形態に係る複合機による消去読取モードのトナー種混在判別および処理速度重視の動作を示す流れ図である。
【図26】本発明の第3の実施形態に係る複合機による消去読取モードの生産性優先および安全性重視の動作を示す流れ図である。
【図27】本発明の第3の実施形態に係る複合機による消去読取モードのトナー種混在判別および安全性重視の動作を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。
【0076】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置としての複合機(Multi Function Peripheral/Multi Function Printer;MFP)10の概略構成を示すブロック図である。
【0077】
複合機10は、原稿の画像を光学的に読み取ってその複製画像を記録紙に印刷して出力するコピー機能、読み取った原稿の画像データをファイルにして保存したり端末装置やサーバ、他の複合機10、USB(Universal Serial Bus)メモリなどの外部記憶装置へ転送したりするスキャン機能、端末装置から受信した印刷データに係る画像や当該複合機10に保存されている画像データ(ファイル)に係る画像を記録紙に印刷して出力するプリンタ機能、画像データを送受信するファクシミリ機能、電子メールを送受信する電子メール機能などを備えている。
【0078】
また複合機10は、原稿内の画像に特定波長光を照射すると消色(無色化)する消色トナーが使用されているか否かを原稿の読取時に判断する機能、その判断結果に応じて原稿の読取動作を変更したり、読み取った原稿の画像データの出力動作を変更したりする機能を備えている。出力動作は、コピー機能による印刷動作、スキャン機能による内部保存動作や外部装置(端末装置、サーバ、外部記憶装置、他の複合機10など)への転送動作、ファクシミリ機能による転送動作(ファクシミリ送信動作)、電子メール機能による転送動作(メール添付送信動作)などである。また、読み取った原稿の画像データを内部保存(BOX保存)し、別途出力する場合の印刷や転送などの出力動作も変更の対象となる。
【0079】
複合機10は、制御部としてのCPU(Central Processing Unit)11に、バス12を介してROM(Read Only Memory)13と、RAM(Random Access Memory)14と、不揮発メモリ15と、ハードディスク装置16と、表示部17と、操作部18と、ファクシミリ通信部19と、ネットワーク通信部20と、画像処理部21と、スキャナ部22と、プリンタ部23と、接続部24とを接続して構成される。
【0080】
CPU11は、ROM13に格納されているプログラムに基づいて複合機10の動作を制御する。RAM14は、CPU11がプログラムを実行する際に各種データを一時的に格納するワークメモリとして使用されるほか、画像データを一時的に保存するための画像メモリなどにも使用される。
【0081】
不揮発メモリ15は、電源がオフされても記憶が保持されるメモリであり、装置固有の情報や各種の設定情報などが記憶される。ハードディスク装置16は、各種の保存データを格納するほか、入力された画像データなども保存する。これらの不揮発メモリ15とハードディスク装置16は、不揮発性メモリ(不揮発性記憶部)に含まれる。
【0082】
表示部17は、液晶ディスプレイなどで構成され、操作画面、設定画面、確認画面、通知画面などの各種の画面を表示する。操作部18は、スタートボタン、ストップボタン、テンキーなどの各種のボタン類と、液晶ディスプレイの表面に設けられて押下された座標位置を検出するタッチパネルなどで構成され、ユーザが複合機10に対して行う各種の操作を受け付ける。
【0083】
ファクシミリ通信部19は、ファクシミリ機能を備えた外部装置と公衆回線を通じて画像データを送受信する。ネットワーク通信部20は、LAN(Local Area Network)などのネットワークを通じて端末装置やサーバ、他の複合機10などと通信を行う。
【0084】
画像処理部21は、画像データに対して、画像補正、回転、拡大/縮小、圧縮/伸張など各種の画像処理を施す。
【0085】
スキャナ部22は、原稿を光学的に読み取って画像データを取得する。スキャナ部22の構成については後述する。
【0086】
プリンタ部23は、画像データに基づく画像を電子写真プロセスによって記録紙上に形成して出力する。プリンタ部23は、たとえば、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、入力される画像データに応じて点灯制御されるLD(Laser Diode)と、LDから射出されたレーザ光を感光体ドラム上で走査させる走査ユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有する、いわゆるレーザープリンタとして構成されている。レーザ光に代えてLED(Light Emitting Diode)で感光体ドラムを照射するLEDプリンタのほか他の方式のプリンタであってもかまわない。
【0087】
またプリンタ部23は、特定波長光を照射すると消色(無色化)する消色トナーと、通常トナー(非消色トナー)とを選択的に使用して記録紙に画像を形成する機能を備えている。プリンタ部23は、たとえば上記の感光体ドラム、帯電装置、LD(またはLED)、走査ユニット、現像装置、転写分離装置、クリーニング装置などを通常トナー用と消色トナー用とで個別に備えており、記録紙単位(印刷面単位)で両トナーを使い分けて画像を形成したり、1枚の記録紙内(1つの印刷面内)で両トナーを領域毎に使い分けて画像を形成したりすることが可能となっている。またプリンタ部23は、通常トナーの残量を検知する通常トナー残量検知部25と、消色トナーの残量を検知する消色トナー残量検知部26とを備えている。
【0088】
消色トナーは、たとえば、近赤外線を照射すると無色化するトナーである。たとえば、着色剤としてシアニン系染料、消色助剤として有機ホウ素アンモニウム塩を用い、近赤外線を照射すると染料が無色のロイコ体になるものである。
【0089】
接続部24は、USBメモリなどの外部記憶装置が接続される。
【0090】
複合機10は、上記のプリンタ部23により通常トナーと消色トナーとを選択的に使用して印刷を行うことができる。原稿のコピーでは、ユーザが表示部17および操作部18を通じてコピーに関する各種の条件を設定する際に、印刷に使用するトナーの種別を選択できるようになっている。複合機10は、通常トナーが選択された場合には通常トナーを使用して原稿のコピーを印刷する。消色トナーが選択された場合には消色トナーを使用して原稿のコピーを印刷する。
【0091】
複合機10にドキュメントの印刷を依頼する端末装置は、複合機10のドライバプログラム(プリンタドライバ)を搭載している。このドライバプログラムは、ドキュメントの印刷に使用するトナー種別の選択を受け付ける機能、消色トナーを選択した場合にその使用範囲(使用領域)の指定を受け付ける機能などを備えている。使用範囲の指定では、ドキュメントにおける消色トナーの使用範囲を任意の範囲で指定することができる。使用範囲を指定しない場合には消色トナーの使用範囲は全範囲となる。
【0092】
複合機10は、端末装置から通常トナー選択の印刷データを受信した場合には、通常トナーを選択・使用してドキュメントを印刷する(通常トナー単独使用)。端末装置から消色トナー選択の印刷データを受信した場合には、消色トナーを選択・使用してドキュメントを印刷する(消色トナー単独使用)。端末装置から消色トナー選択かつ使用範囲指定の印刷データを受信した場合には、ドキュメントにおける指定範囲に消色トナーを選択・使用し指定範囲以外に通常トナーを選択・使用してドキュメントを印刷する(両トナー併用)。この場合は、複合機10から出力された1枚の印刷物内に消色トナーで印刷された領域と通常トナーで印刷された領域とが混在することになる。
【0093】
端末装置から複合機10に印刷を依頼するユーザは、たとえば、機密性の低い文書(一般文書)は通常トナーを選択して印刷し、機密性の高い文書(機密文書)は消色トナーを選択して印刷するなどが可能である。また、文書内の一部に機密性の高い情報が含まれている場合には、その情報を含む範囲のみを消色トナーの使用範囲に指定することもできる。
【0094】
複合機10におけるスキャナ部22は、原稿を読み取るための照明光を原稿に照射する読取用光源と、消色トナーを無色化する特定波長光(近赤外線)を原稿に照射する消去用光源と、読取用光源により照明光が照射された原稿からの反射光を受光して原稿を読み取る読取部などを備えて構成される。スキャナ部22は、原稿を読み取る機能の他に、原稿に特定波長光を照射し、原稿内の消色トナーで印刷されている画像を消去する機能を備えている。
【0095】
図2に、本発明の一実施形態に係るスキャナ部22aの概略構成を示す。本実施形態に係るスキャナ部22aは、フラッドベッド型(原稿固定型)スキャナとして構成されている。本図の(A)に示すように、スキャナ部22aは、原稿Mが載置されるプラテンガラス31(原稿台)と、プラテンガラス31上の原稿Mを読み取る読取装置32aと、読取装置32aを原稿Mの長さ方向(読み取り方向X)へ移動させる移動機構33とを備えている。
【0096】
読取装置32aは、プラテンガラス31上の原稿Mに照明光Laを照射する読取用光源34と、原稿Mからの反射光Lbを受光して原稿Mを幅方向に1ライン分読み取る読取部としてのラインイメージセンサ(光電変換素子)35と、特定波長光IRを原稿Mに照射するための消去用光源36と、消去用光源36からの特定波長光IRを反射集光してラインイメージセンサ35による原稿Mの読取範囲(読取位置)Sへ照射させる反射板37と、これらの部品を保持して移動機構33に取り付けられた保持部材38とを備えている。本図の(B)では、読取装置32aを上方から見た平面図を示している。
【0097】
ラインイメージセンサ35による所定サイズの読取範囲Sはライン状(一次元状)である。読取用光源34による照明光Laと消去用光源36による特定波長光IRは、ラインイメージセンサ35による原稿Mの読取範囲Sへ向けて照射される。ラインイメージセンサ35は、移動機構33によって原稿Mの長さ方向へ順次移動し、ライン状の読取範囲Sで原稿Mをライン毎(一部領域毎)に読み取る(走査読取)。またスキャナ部22aは、ラインイメージセンサ35の出力するアナログ画像信号をデジタルの画像データに変換する変換部なども備えている。
【0098】
本実施形態に係るスキャナ部22aは、読取装置32aを移動させなくても、照明光Laと特定波長光IRとをラインイメージセンサ35による読取範囲Sに照射できる、すなわち、プラテンガラス31上の原稿Mにおける同一ライン上(同一走査線上)に照射できる構成となっている。プラテンガラス31上の原稿Mに特定波長光IRを照射した場合、その原稿Mの画像が消色トナーで印刷されていれば特定波長光IRの照射領域は無色化し、通常トナーで印刷されていれば無色化しないことになる。
【0099】
一般に消色トナーは、特定波長光の照射強度(光量)に応じて消色時間(消色速度)が変化する。本実施形態では、消去用光源36から発散される特定波長光IRをラインイメージセンサ35による読取範囲Sに集光し、光量を高めて消色時間を短くするために、その集光機能を備えた反射板37を設けている。
【0100】
また、本実施形態に係るスキャナ部22aは、原稿の全領域の第1読取画像と第2読取画像を取得する場合、1回の走査読み取りまたは2回に分けた走査読み取りの何れでも取得可能である。読取装置32aの往復移動による2回の走査読み取りで第1読取画像と第2読取画像を取得する場合は、図2の例では、読取用光源34を点灯させて読取装置32aを図中の右側から左側へ移動させ1回目の走査読み取りを行い、第1読取画像を取得する。次に消去用光源36および読取用光源34を交互に点灯/消灯させて読取装置32aを図中の左側から右側へ移動させ2回目の走査読み取りを行い、第2読取画像を取得することができる。
【0101】
次に、複合機10の動作について説明する。
【0102】
(読取モード設定)
まず、複合機10のスキャナ部22aにおける原稿の読取モードを設定する設定動作について説明する。
【0103】
図3は、複合機10の表示部17に表示された読取モード設定画面60を示す図である。本画面は管理者設定画面の一部として表示される。なお、本画面はユーザ設定画面の一部として表示されるようにしてもよい。
【0104】
複合機10は、原稿の読取モードとして、通常読取モードと消去読取モードを備えている。通常読取モードは、スキャナ部22aの消去用光源36を点灯させず、読取用光源34を点灯させて照明光を照射し原稿を読み取る読取モードである。消去読取モードは、スキャナ部22aの読取用光源34と消去用光源36を所定のタイミングに交互に点灯させ、照明光と特定波長光を交互に照射して原稿を読み取る読取モードである。
【0105】
管理者(またはユーザ)は、読取モード設定画面60に表示されている通常読取モード選択ボタン61または消去読取モード選択ボタン62を押下していずれかの読取モードを選択し、同画面に表示されている確定ボタン63を押下して、選択した読取モードの設定(確定)を行うことができる。読取モード設定画面60を通じて読取モードの設定が行われると、不揮発メモリ15に読取モードの設定値が保存される。なお、デフォルトの設定値は通常読取モードとなっている。
【0106】
図4は、複合機10による読取モードの設定動作を示す流れ図である。複合機10では、管理者(またはユーザ)から読取モードを設定するための操作(読取モード設定画面60の表示操作)を受けると(ステップS001)、CPU11は不揮発メモリ15に保存されている読取モードの設定値を確認し(ステップS002)、現在の設定値に対応する読取モードの設定状態を明示した読取モード設定画面60を表示部17に表示する。
【0107】
設定値が通常読取モードである場合には(ステップS003;通常)、CPU11は通常読取モードの設定状態を示した読取モード設定画面60を表示部17に表示する(ステップS004)。たとえば、通常読取モード選択ボタン61をハイライト表示した読取モード設定画面60などを表示する。読取モード設定画面60を通じて読取モードの変更を受けなかった場合には(ステップS005;No)、CPU11は読取モード設定画面60を消去し表示部17に前画面を表示する(ステップS010〜End)。消去読取モードへの変更を受けた場合には(ステップS005;Yes)、CPU11は不揮発メモリ15に保存されている読取モードの設定値を通常読取モードから消去読取モードに書き換え(ステップS006)、読取モード設定画面60を消去し表示部17に前画面を表示する(ステップS010〜End)。
【0108】
また、設定値が消去読取モードである場合には(ステップS003;消去)、CPU11は消去読取モードの設定状態を示した読取モード設定画面60を表示部17に表示する(ステップS007)。たとえば、消去読取モード選択ボタン62をハイライト表示した読取モード設定画面60などを表示する(図3の状態)。読取モード設定画面60を通じて読取モードの変更を受けなかった場合には(ステップS008;No)、CPU11は読取モード設定画面60を消去し表示部17に前画面を表示する(ステップS010〜End)。通常読取モードへの変更を受けた場合には(ステップS008;Yes)、CPU11は不揮発メモリ15に保存されている読取モードの設定値を消去読取モードから通常読取モードに書き換え(ステップS009)、読取モード設定画面60を消去し表示部17に前画面を表示する(ステップS010〜End)。
【0109】
(トナー種判別)
次に、消去読取モードによる原稿の読取時に原稿内の画像に消色トナーが使用されているか否かを判断する判断動作について説明する。
【0110】
この判断は、図2に示したスキャナ部22aにて原稿Mに特定波長光IRを照射する前に読み取った第1読取画像と照射した後に読み取った第2読取画像とを取得し、これらの読取画像を比較することで行う。比較した結果、同じであれば消色トナーは使用されておらず通常トナーが使用されていると判断し、異なっていれば消色トナーが使用されていると判断する。比較は、原稿画像の一部領域で行う場合と、全領域で行う場合とがある。生産性(パフォーマンス)を優先させる場合は一部領域を比較し、通常トナーと消色トナーの混在を判別する場合は全領域を比較する。
【0111】
図5は、複合機10による上記の判断動作の流れを示す図である。図6は、判断動作における読取用光源34および消去用光源36の点灯/消灯タイミングと原稿の読み取りタイミング(画像データの取得タイミング)を示すタイミングチャートである。原稿画像の一部領域を比較する場合と全領域を比較する場合の基本的な動作は同じであり、図5および図6にはこの基本的な動作を示している。
【0112】
複合機10のCPU11は、スキャナ部22aによる原稿Mの読取動作を開始すると(Start)、読み取り開始前には消灯されている読取用光源34および消去用光源36のうち、読取用光源34のみを点灯させる(ステップS101〜ステップS102;No/図6参照)。ラインイメージセンサ35は、読取用光源34により照明光Laが照射された原稿Mの読取範囲Sからの反射光Lbを受光して蓄積し、読取範囲Sにおける画像(ライン画像)を読み取る。
【0113】
CPU11は、読取用光源34をラインイメージセンサ35の光蓄積による画像の読み取りに必要な所定時間点灯させる(ステップS102;Yes/図6の第1読み取りタイミング)。スキャナ部22aから画像データとして出力された読取画像を第1読取画像として取得し(ステップS103/図6の第1読み取りタイミングの画像(第1読取画像)を取得)、読取用光源34を消灯させ消去用光源36を点灯させる(ステップS104〜ステップS105;No)。消去用光源36を消色トナーの無色化に必要な所定時間点灯させると(ステップS105;Yes/図6の所定の消去時間)、消去用光源36を消灯させ読取用光源34を再度点灯させる(ステップS106〜ステップS107;No)。読取用光源34をラインイメージセンサ35の光蓄積による画像の読み取りに必要な所定時間点灯させ(ステップS107;Yes/図6の第2読み取りタイミング)、スキャナ部22aから画像データとして出力された読取画像を第2読取画像として取得する(ステップS108/図6の第2読み取りタイミングの画像(第2読取画像)を取得)。
【0114】
CPU11は、取得した第1読取画像と第2読取画像を比較し(ステップS109)、同じである場合は(ステップS109;同じ)、原稿Mの画像に通常トナーが使用されていると判断する(ステップS110〜End)。異なる場合は(ステップS109;異なる)、原稿Mの画像に消色トナーが使用されていると判断する(ステップS111〜End)。なお、原稿の縁部に存在する空白領域は無視し、原稿内の画像領域から読み取った第1および第2読取画像を比較対象とする。
【0115】
以上が基本的な動作である。原稿画像(縁部の空白領域を除いた画像領域)の1ライン目の読取画像で判断する場合は、ステップS101〜S108までを1回行って取得した1ライン目の第1読取画像と第2読取画像を比較し判断する。複数ライン(1ライン目〜nライン目)の読取画像で判断する場合は、これを複数回(n回)繰り返して取得した複数ライン分(nライン分)の第1読取画像と第2読取画像を比較し判断する。原稿画像の全領域の読取画像で判断する場合は、これを原稿の読み取り完了まで繰り返して取得した全領域分の第1読取画像と第2読取画像を比較し判断する。
【0116】
また、図6に示すように、読取用光源34は1つのラインに対する2回目の点灯後(第2読取画像を取得するための再点灯後)は、点灯状態にて次のラインに対する1回目の点灯動作に移行する。本実施形態では、このように読取用光源34の点灯状態をライン間で継続することで、読取用光源34および消去用光源36の点灯/消灯を交互に繰り返す点滅制御を行っている。
【0117】
原稿画像の一部領域(1ライン目または複数ライン分)で判断する場合、判断後は第2読取画像の読み取り(図6の第2読み取りタイミング)が冗長となる。判断後はこの第2読取画像の読み取りを省略し、第1読取画像のみを読み取って以降の原稿画像の読み取りを行う。
【0118】
消色トナーが使用されていると判断した場合は、原稿画像を消去するのであれば第2読取画像の読み取りのみを停止し、消去用光源36の点滅制御は継続する。通常トナーが使用されていると判断した場合は、原稿に特定波長光を照射する必要がないので、消去用光源36の点滅制御も停止する。また、消色トナーが使用されていると判断した場合で、原稿画像を消去する必要のない場合も消去用光源36の点滅制御を停止する。
【0119】
図7は、判断後に第2読取画像の読み取りのみを停止する動作に切り替えた場合のタイミングチャートである。図示のように、たとえばnライン目で切り替えると、nライン目以降の読取動作では第2読取画像を読み取るための読取用光源34の点灯(第2読み取りタイミング)が省略される。図6と比較すると、第2読み取りタイミングがなくなることで、そのタイミング分の時間が1ライン当たりの読み取りにおいて短縮される。
【0120】
図8は、判断後に第2読取画像の読み取りと消去用光源36の点滅制御を停止する動作に切り替えた場合のタイミングチャートである。図示のように、たとえばnライン目で切り替えると、nライン目以降の読取動作では図7に対して更に消去用光源36の点灯(所定の消去時間)が省略され、第1読み取りタイミングの連続的な繰り返しになる(読取用光源34の点灯継続)。したがって、1ライン当たりの読み取り時間が更に短縮される。
【0121】
図9は、原稿画像における通常トナーと消色トナーの混在および各トナー領域の判断(トナー種混在判別)の概要を示す図である。
【0122】
この判断は、原稿画像の全領域を読み取って取得した第1読取画像と第2読取画像の差分画像を抽出し、これらの画像を比較することで行う。本図では、(A)に示すように原稿画像をImとし、(B)に示すように第1読取画像をI1、第2読取画像をI2、差分画像をI3としている(I1−I2=I3)。
【0123】
特定波長光IRの照射前に読み取った第1読取画像I1は、原稿画像に使用されているトナーの種別とは関係なく、原稿画像Imと同じになる。(B)に示すように、第1読取画像I1と第2読取画像I2が全領域で一致し差分画像I3がない場合には(I1=I2(I3=0))、トナー種別の混在はなく、原稿画像の全領域に通常トナーが使用されていると判断する。(C)に示すように、第1読取画像I1と第2読取画像I2が一致せずに差分画像I3があり、かつ、差分画像I3が第1読取画像I1と同じである場合には(I1≠I2(I3≠0)かつI3=I1(I2=0))、トナー種別の混在はなく、原稿画像の全領域に消色トナーが使用されていると判断する。(D)に示すように、第1読取画像I1と第2読取画像I2が一致せずに差分画像I3があり、かつ、差分画像I3が第1読取画像I1と異なる場合には(I1≠I2(I3≠0)かつI3≠I1)、トナー種別の混在があり、原稿画像における第2読取画像I2に対応する領域に通常トナーが使用されており、差分画像I3に対応する領域に消色トナーが使用されていると判断する。
【0124】
(動作変更内容)
続いて、判断後の読取動作と出力動作の変更内容について説明する。本実施形態では、主に以下の3つの観点で動作変更の制御を行うようにしている。各制御における動作の変更内容の概要は以下の通りである。なお、(2)と(3)は、消色トナーが使用されている原稿は機密性の高い文書(機密文書)であるとの認識に基づく制御である。
【0125】
(1)読取動作を対象としたパフォーマンス向上のための制御
a.読取動作中に原稿の画像に消色トナーが使用されていると判断した場合は第2読取画像の読み取り停止(図7参照)・・・本制御を以下では「制御1a」と呼ぶ。
b.読取動作中に原稿の画像に通常トナーが使用されていると判断した場合は第2読取画像の読み取りおよび消去用光源の点灯停止(図8参照)・・・本制御を以下では「制御1b」と呼ぶ。
(2)出力動作を対象としたコンテンツ移動のための制御
a.原稿の画像に消色トナーが使用されていると判断した場合は、複合機10内に一時的または継続的に保存する読取画像に、読み取り元の原稿画像に消色トナーが使用されていることを示す識別情報を関連付けて記憶・・・本制御を以下では「制御2a」と呼ぶ。
(*識別情報は、関連付けられている画像(画像データ)を消色トナーで印刷することを示す情報でもある)
b.複合機10内に一時的または継続的に保存された画像(読取画像)を出力する際に、識別情報が関連付けられている場合は消色トナーを使用してその画像を印刷する出力動作(限定出力動作)に制限・・・本制御を以下では「制御2b」と呼ぶ。
b1.出力種別が印刷(コピー、BOX toプリントなど)の場合は、ユーザ設定にかかわらず強制的に消色トナーを選択して出力
b2.出力種別が他の装置への転送(スキャンtoプリントなど)の場合は、転送先装置の能力を確認し、消色トナーによる印刷が実行可能であれば転送許可、実行不可であれば転送禁止
b3.出力種別が外部記憶装置(USBメモリなど)への転送の場合は、転送禁止
c.印刷完了後または転送完了後に、保存されている画像(読取画像)と識別情報を消去・・・本制御を以下では「制御2c」と呼ぶ。
(3)セキュリティ向上、省エネルギー効果のための制御
a.原稿の画像に消色トナーが使用されていると判断した場合は出力動作(出力処理)禁止(⇒機密文書複製禁止)・・・本制御を以下では「制御3a」と呼ぶ。
出力動作:コピー出力、スキャンtoXXX、ファクシミリ送信など
b.読取動作中に原稿の画像に消色トナーが使用されていると判断した場合は読取動作停止かつ出力動作禁止(⇒冗長な読取動作停止&機密文書複製禁止)・・・本制御を以下では「制御3b」と呼ぶ。
c.消色トナーの残量が所定量以下の場合は上記の制御3aまたは制御3bの禁止制御実行(⇒印刷に要する各種資源の消費抑制&省エネ効果)・・・本制御を以下では「制御3c」と呼ぶ。
【0126】
以下では、上記の各制御を具体的に説明する。
【0127】
図10は、複合機10の制御1aによる読取動作変更の制御を示す流れ図である。
【0128】
複合機10では、スキャナ部22に原稿がセットされ、操作部18で出力種別が選択されて開始指示(スタートボタン押下)を受けると(ステップS201)、CPU11はスキャナ部22を動作させて原稿の読み取りを開始する(ステップS202(読取動作開始))。選択可能な出力種別は、印刷(コピー)、内部保存(スキャンtoBOX(HDD))、外部転送などである。
【0129】
印刷(コピー)ではトナーの種別を選択することもできる。この印刷においては通常トナーが選択された場合で説明する。外部転送では転送先の種別として、ファクシミリ送信、スキャンtoEmail、スキャンtoSMB(Server Message Block)、スキャンtoFTP(File Transfer Protocol)、スキャンtoUSB、スキャンtoプリント(他の複合機10によるプリント)などが指定される。
【0130】
図5および図6で説明したように、CPU11はスキャナ部22により原稿の走査読み取りを行い、第1読取画像と第2読取画像を取得して、第1読取画像はRAM14の第1所定領域に一時保存し、第2読取画像はRAM14の第2所定領域に一時保存する(ステップS203〜S204;No)。原稿画像の所定の一部領域(画像の1ライン目または1ライン目から所定の複数ライン分)の第1読取画像と第2読取画像を取得し(ステップS204;Yes)、それらを比較して原稿の画像に通常トナーが使用されていると判断した場合は(ステップS205;Yes)、スキャナ部22による原稿の読取動作を第1読取画像のみを読み取って取得し消去用光源36を点灯させない動作に変更し(ステップS206〜S207;No(図8参照))、原稿の読み取りを完了させる(ステップS207;Yes)。原稿の読み取りが完了すると、CPU11は出力種別に応じた出力動作を行う。
【0131】
出力種別が印刷の場合は(ステップS208;印刷)、原稿の読取画像(第1読取画像)をプリンタ部23により通常トナーで記録紙に印刷して出力し(ステップS209)、本原稿に対する読み取りおよび出力を終了する(End)。出力種別が内部保存の場合は(ステップS208;内部保存)、原稿の読取画像(第1読取画像)をハードディスク装置16に保存し(ステップS210)、本原稿に対する読み取りおよび出力を終了する(End)。出力種別が外部転送の場合は(ステップS208;外部転送)、原稿の読取画像(第1読取画像)を外部装置に転送し(ステップS211)、本原稿に対する読み取りおよび出力を終了する(End)。
【0132】
原稿の走査読み取りを行って取得した第1読取画像と第2読取画像の比較から原稿の画像に消色トナーが使用されていると判断した場合は(ステップS205;No)、消色トナー用の動作変更制御をサブルーチンで行う(ステップS212)。
【0133】
図11は、図10における消色トナー用の動作変更制御(S212)のサブルーチンの第1パターンを示す流れ図である。本サブルーチンは、前述の制御3bに対応している。
【0134】
本サブルーチンでは、CPU11はスキャナ部22による読取動作を停止し(ステップS301)、出力動作を禁止し(ステップS302)。メインルーチンに戻る(Return〜End)。この場合は、原稿の画像を所定の一部領域まで読み取ったところで読み取りが終了する。
【0135】
図12は、図10における消色トナー用の動作変更制御(S212)のサブルーチンの第2パターンを示す流れ図である。本サブルーチンは、前述の制御1a、制御2a〜制御2c、制御3cに対応している。
【0136】
本サブルーチンでは、CPU11はRAM14の第1所定領域に一時保存している第1読取画像に識別情報を関連付けて記憶する(ステップS401)。出力種別が印刷の場合は(ステップS402;印刷)、CPU11は消色トナー残量検知部26による消色トナーの残量検知を確認する(ステップS403)。消色トナーの残量が所定量を超えている場合は(ステップS403;Yes)、スキャナ部22による原稿の読取動作を第1読取画像のみを読み取って取得し消去用光源36を点灯させて原稿の画像を消去する動作に変更し(ステップS404〜S405;No(図7参照))、原稿の読み取りを完了させる(ステップS405;Yes)。
【0137】
原稿の読み取りが完了すると、CPU11は原稿の読取画像(第1読取画像)をプリンタ部23により消色トナーで記録紙に印刷して出力する(ステップS406)。印刷を終えると、RAM14に一時保存していた第1読取画像および識別情報を消去し(ステップS407)、メインルーチンに戻る(Return〜End)。
【0138】
消色トナーの残量が所定量以下の場合は(ステップS403;No)、CPU11はスキャナ部22による原稿の読取動作を停止し(ステップS408)、プリンタ部23による印刷動作を禁止する(ステップS409)。RAM14に一時保存していた第1読取画像および識別情報を消去し(ステップS407)、メインルーチンに戻る(Return〜End)。
【0139】
出力種別が内部保存の場合は(ステップS402;内部保存)、CPU11はスキャナ部22による原稿の読取動作を第1読取画像のみを読み取って取得し消去用光源36を点灯させて原稿の画像を消去する動作に変更し(ステップS410〜S411;No(図7参照))、原稿の読み取りを完了させる(ステップS411;Yes)。原稿の読み取りが完了すると、CPU11は第1読取画像および識別情報を関連付けてハードディスク装置16に保存する(ステップS412)。保存を終えると、RAM14に一時保存していた第1読取画像および識別情報を消去し(ステップS407)、メインルーチンに戻る(Return〜End)。
【0140】
出力種別が外部転送で(ステップS402;外部転送)、転送先が他の複合機10以外の場合は、すなわち、ファクシミリ送信、スキャンtoEmail、スキャンtoSMB(PC)、スキャンtoFTP(サーバ)、スキャンtoUSBなどの場合は(ステップS413;FAXなど)、CPU11はスキャナ部22による原稿の読取動作を停止し(ステップS414)、ファクシミリ通信部19、ネットワーク通信部20、接続部24による転送動作を禁止する(ステップS415)。RAM14に一時保存していた第1読取画像および識別情報を消去し(ステップS407)、メインルーチンに戻る(Return〜End)。
【0141】
出力種別が外部転送で(ステップS402;外部転送)、転送先が他の複合機10の場合は(ステップS413;MFP)、ネットワーク通信部20を通じて転送先の複合機10に消色トナーによる印刷が可能であるか否かを問い合わせる(ステップS416)。印刷不可の応答を受けた場合は(ステップS416;No)、CPU11はスキャナ部22による原稿の読取動作を停止し(ステップS414)、ネットワーク通信部20による転送動作を禁止する(ステップS415)。RAM14に一時保存していた第1読取画像および識別情報を消去し(ステップS407)、メインルーチンに戻る(Return〜End)。
【0142】
印刷可能の応答を受けた場合は(ステップS416;Yes)、CPU11はスキャナ部22による原稿の読取動作を第1読取画像のみを読み取って取得し消去用光源36を点灯させて原稿の画像を消去する動作に変更し(ステップS417〜S418;No(図7参照))、原稿の読み取りを完了させる(ステップS418;Yes)。原稿の読み取りが完了すると、CPU11は原稿の読取画像(第1読取画像)とこの読取画像に関連付けられている識別情報とを、ネットワーク通信部20を通じて転送先の複合機10に転送する(ステップS419)。転送を終えると、RAM14に一時保存していた第1読取画像および識別情報を消去し(ステップS407)、メインルーチンに戻る(Return〜End)。
【0143】
転送先の複合機10は、画像(読取画像)と識別情報を受信すると、識別情報があることで消色トナーを選択し、受信した画像を消色トナーで記録紙に印刷して出力する。
【0144】
複合機10(転送先を含む)による消色トナーを使用した読取画像の印刷では、記録紙の上縁部(上端部)と下縁部(下端部)のうちの少なくとも一方に消色トナーでダミー画像を印刷するようにしてもよい。このダミー画像は、記録紙の上縁部に印刷することが好ましく、記録紙の上縁部と下縁部に印刷することがより好ましい。
【0145】
図13は、記録紙Pの上下縁部にダミー画像50を消色トナーで印刷した場合の一例を示す図である。本例では、記録紙Pの右上角近傍と左下角近傍に1個ずつ四角形(正方形)のダミー画像50が印刷されている。
【0146】
ダミー画像は、強制的に印刷される、または、印刷するか否かを初期設定(管理者設定)や逐次選択(ユーザ選択)としてもよい。さらに、ダミー画像の形状(種類)、位置、個数などを予め定められた複数種類の中から初期設定または逐次選択できるようにしてもよい。この記録紙(原稿)を複合機10でコピーする場合は、記録紙内のコンテンツを読み取らず、ダミー画像を読み取って取得した第1読取画像と第2読取画像を比較して、消色トナーが使用されていると判断されるようになる。この場合も図11または図12による動作変更の制御が行われるようになる。
【0147】
図14は、原稿画像の全領域を読み取って通常トナーと消色トナーの混在を判断する場合の制御を示す流れ図である。
【0148】
図9で概要を説明したように、原稿画像における通常トナーと消色トナーの混在および各トナー領域の判断は、原稿画像の全領域を読み取って取得した第1読取画像と第2読取画像の差分画像を抽出し、これらの画像を比較することで行う。この比較では、図9(B)に示した第1読取画像と第2読取画像が一致する場合(通常トナーのみ場合)と、図9(C)に示した第1読取画像と差分画像が一致する場合(消色トナーのみ場合)と、いずれの画像も一致しない場合(混在ありの場合)とがある。
【0149】
この比較による判断後に、原稿の読取画像を出力(内部保存/印刷/外部保存)する場合、第1読取画像と、第2読取画像または差分画像が一致する場合には、一致しているうちのいずれの画像を出力してもかまわないが、本実施形態では第1読取画像を優先的に(第1読取画像を原稿の読取画像として)出力するようにしている。なお、第1読取画像に代えて、第1読取画像に一致している第2読取画像または差分画像を出力するようにしてもよい。また、通常トナーと消色トナーが混在している場合は、通常トナーに対応する第2読取画像と消色トナーに対応する差分画像を原稿の読取画像として出力するようにしている。
【0150】
複合機10では、スキャナ部22に原稿がセットされ、操作部18で出力種別が選択されて開始指示(スタートボタン押下)を受けると(ステップS501)、CPU11はスキャナ部22を動作させて原稿の読み取りを開始する(ステップS502(読取動作開始))。
【0151】
CPU11はスキャナ部22により原稿の走査読み取りを行い、第1読取画像と第2読取画像を取得して、第1読取画像はRAM14の第1所定領域に一時保存し、第2読取画像はRAM14の第2所定領域に一時保存する(ステップS503〜S504;No)。原稿画像の全領域の第1読取画像と第2読取画像を取得すると(ステップS504;Yes(読取動作完了))、第1読取画像と第2読取画像の差分画像を抽出し、RAM14の第3所定領域に一時保存する(ステップS505)。CPU11は、第1読取画像と第2読取画像を比較して全領域が一致しており、原稿の画像に通常トナーのみが使用されていると判断した場合は(ステップS506;Yes(図9(B)の場合))、出力種別に応じた出力動作を行う。
【0152】
出力種別が印刷の場合は(ステップS507;印刷)、第1読取画像を原稿の読取画像としてプリンタ部23により通常トナーで記録紙に印刷して出力し(ステップS508)、本原稿に対する読み取りおよび出力を終了する(End)。出力種別が内部保存の場合は(ステップS507;内部保存)、第1読取画像を原稿の読取画像としてハードディスク装置16に保存し(ステップS509)、本原稿に対する読み取りおよび出力を終了する(End)。出力種別が外部転送の場合は(ステップS507;外部転送)、第1読取画像を原稿の読取画像として外部装置に転送し(ステップS510)、本原稿に対する読み取りおよび出力を終了する(End)。
【0153】
CPU11は、第1読取画像と第2読取画像を比較して一致していないことにより、原稿の画像に消色トナーが使用されていると判断した場合は(ステップS506;No(図9(C)、(D)参照))、消色トナー用の動作変更制御をサブルーチンで行う(ステップS511)。
【0154】
図15は、図14における消色トナー用の動作変更制御(S511)のサブルーチンを示す流れ図である。本サブルーチンは、前述の制御2a〜制御2cおよび制御3a、制御3cに対応している。
【0155】
本サブルーチンでは、CPU11はRAM14に一時保存している第1読取画像、第2読取画像、および差分画像に識別情報を関連付けて記憶する(ステップS601)。
【0156】
出力種別が内部保存で(ステップS602;内部保存)、原稿の画像に消色トナーのみが使用されている場合は(ステップS614;No(図9(C)の場合))、CPU11は第1読取画像を原稿の読取画像として、第1読取画像に識別情報を関連付けてハードディスク装置16に保存する(ステップS615)。保存を終えると、RAM14に一時保存していた第1読取画像、第2読取画像、差分画像、および識別情報を消去し(ステップS606)、メインルーチンに戻る(Return〜End)。
【0157】
出力種別が内部保存で(ステップS602;内部保存)、原稿の画像に通常トナーと消色トナーが使用されている場合は(ステップS614;Yes(図9(D)の混在の場合))、CPU11は第2読取画像と差分画像を原稿の読取画像として、差分画像に識別情報を関連付けて第2読取画像と共にハードディスク装置16に保存する(ステップS616)。保存を終えると、RAM14に一時保存していた第1読取画像、第2読取画像、差分画像、および識別情報を消去し(ステップS606)、メインルーチンに戻る(Return〜End)。
【0158】
出力種別が印刷の場合は(ステップS602;印刷)、CPU11は消色トナー残量検知部26による消色トナーの残量検知を確認する(ステップS603)。消色トナーの残量が所定量を超えている場合は(ステップS603;Yes)、消色トナーを使用した印刷を行う。
【0159】
原稿の画像に消色トナーのみが使用されている場合は(ステップS604;No(図9(C)の場合))、CPU11は第1読取画像を原稿の読取画像として、プリンタ部23により消色トナーで記録紙に印刷して出力する(ステップS605)。印刷を終えると、RAM14に一時保存していた第1読取画像、第2読取画像、差分画像、および識別情報を消去し(ステップS606)、メインルーチンに戻る(Return〜End)。
【0160】
原稿の画像に通常トナーと消色トナーが使用されている場合は(ステップS604;Yes(図9(D)の混在の場合))、CPU11は第2読取画像と差分画像を原稿の読取画像として、プリンタ部23により第2読取画像を通常トナーで、差分画像を消色トナーで記録紙(1枚の記録紙内)に印刷して出力する(ステップS607)。印刷を終えると、RAM14に一時保存していた第1読取画像、第2読取画像、差分画像、および識別情報を消去し(ステップS606)、メインルーチンに戻る(Return〜End)。
【0161】
消色トナーの残量が所定量以下で(ステップS603;No)、原稿の画像に消色トナーのみが使用されている場合は(ステップS608;No)、CPU11はプリンタ部23による印刷動作を禁止し(ステップS609)、表示部17に保存確認画面を表示してユーザに原稿の読取画像を複合機10内に保存するか否かを確認する(ステップS610)。保存しない指示を受けた場合は(ステップS610;No)、CPU11はRAM14に一時保存していた第1読取画像、第2読取画像、差分画像、および識別情報を消去し(ステップS606)、メインルーチンに戻る(Return〜End)。保存する指示を受けた場合は(ステップS610;Yes)、ステップS615へ移行する。
【0162】
消色トナーの残量が所定量以下で(ステップS603;No)、原稿の画像に通常トナーと消色トナーが使用されている場合は(ステップS608;Yes)、CPU11は表示部17に印刷確認画面を表示してユーザに原稿の読取画像を印刷するか否かを確認する(ステップS611)。印刷しない指示を受けた場合は(ステップS611;No)、ステップS610へ移行する。印刷する指示を受けた場合は(ステップS611;Yes)、CPU11は差分画像を所定画像に置き換え、この所定画像と第2読取画像とをプリンタ部23により通常トナーで記録紙に印刷して出力する(ステップS612)。
【0163】
図16は、原稿のコピーで消色トナーの画像領域が所定画像に置き換えられた一例(所定画像の一例)を示す図である。所定画像は、たとえば、空白、網掛け、注意喚起マーク、注意喚起文字情報などである。
【0164】
また印刷指示を受けた場合は、CPU11は表示部17に保存確認画面を表示してユーザに原稿の読取画像を複合機10内に保存するか否かを確認する(ステップS613)。保存しない指示を受けた場合は(ステップS613;No)、CPU11はRAM14に一時保存していた第1読取画像、第2読取画像、差分画像、および識別情報を消去し(ステップS606)、メインルーチンに戻る(Return〜End)。保存する指示を受けた場合は(ステップS613;Yes)、ステップS616へ移行する。
【0165】
出力種別が外部転送で(ステップS602;外部転送)、転送先が他の複合機10以外の場合は(ステップS617;FAXなど)、CPU11は転送動作を禁止し(ステップS618)、表示部17に保存確認画面を表示してユーザに原稿の読取画像を複合機10内に保存するか否かを確認する(ステップS619)。保存しない指示を受けた場合は(ステップS619;No)、CPU11はRAM14に一時保存していた第1読取画像、第2読取画像、差分画像、および識別情報を消去し(ステップS606)、メインルーチンに戻る(Return〜End)。保存する指示を受けた場合で(ステップS619;Yes)、原稿の画像に消色トナーのみが使用されている場合は(ステップS620;No)、ステップS615へ移行する。保存する指示を受けた場合で(ステップS619;Yes)、原稿の画像に通常トナーと消色トナーが使用されている場合は(ステップS620;Yes)、ステップS616へ移行する。
【0166】
出力種別が外部転送で(ステップS602;外部転送)、転送先が他の複合機10の場合は(ステップS617;MFP)、転送先の複合機10に消色トナーによる印刷が可能であるか否かを問い合わせる(ステップS621)。
【0167】
印刷不可の応答を受けた場合は(ステップS621;No)、ステップS618へ移行する。印刷可能の応答を受けた場合で(ステップS621;Yes)、原稿の画像に消色トナーのみが使用されている場合は(ステップS622;No)、第1読取画像を原稿の読取画像として、第1読取画像に識別情報を関連付けて転送先の複合機10に転送する(ステップS623)。転送を終えると、RAM14に一時保存していた第1読取画像、第2読取画像、差分画像、および識別情報を消去し(ステップS606)、メインルーチンに戻る(Return〜End)。
【0168】
印刷可能の応答を受けた場合で(ステップS621;Yes)、原稿の画像に通常トナーと消色トナーが使用されている場合は(ステップS622;Yes)、第2読取画像と差分画像を原稿の読取画像として、差分画像に識別情報を関連付けて第2読取画像と共に転送先の複合機10に転送する(ステップS624)。転送を終えると、RAM14に一時保存していた第1読取画像、第2読取画像、差分画像、および識別情報を消去し(ステップS606)、メインルーチンに戻る(Return〜End)。
【0169】
転送先の複合機10は、1つの画像(第1読取画像)と識別情報を受信した場合は、識別情報があることで消色トナーを選択し、受信した画像を消色トナーで記録紙に印刷して出力する。2つの画像(第2読取画像および差分画像)と識別情報を受信した場合は、識別情報がない画像(第2読取画像)を通常トナーで、識別情報がある画像(差分画像)を消色トナーで記録紙(1枚の記録紙内)に印刷して出力する。
【0170】
図17および図18は、複合機10内の保存画像を出力する場合の制御を示す流れ図である。ここでは、図10のステップS210、図12のステップS412、図14のステップS508、図15のステップS615およびステップS616で保存された各画像を出力する場合の制御をこれらの図にまとめて示しており、まとめて説明する。
【0171】
複合機10では、表示部17および操作部18を通じて、出力する保存画像が選択され、出力種別が選択されて開始指示(スタートボタン押下)を受けると(ステップS701)、CPU11は選択された保存画像に識別情報が関連付けられているか否かを確認する(ステップS702)。識別情報が関連付けられていない場合は(ステップS703;No(原稿の読取時は通常トナー使用と判断))、CPU11は出力種別に応じた出力動作を行う。
【0172】
出力種別が印刷の場合は(ステップS704;印刷)、選択された保存画像をプリンタ部23により通常トナーで記録紙に印刷して出力し(ステップS705)、本保存画像に対する出力を終了する(End)。出力種別が外部転送の場合は(ステップS704;外部転送)、選択された保存画像を外部装置に転送し(ステップS706)、本保存画像に対する出力を終了する(End)。
【0173】
選択された保存画像に識別情報が関連付けられている場合は(ステップS703;Yes(原稿の読取時は消色トナー使用と判断))、消色トナー用の動作変更制御をサブルーチンで行う(ステップS707)。
【0174】
図18は図17のステップS707に対応するサブルーチンを示している。
【0175】
出力種別が印刷の場合は(ステップS801;印刷)、CPU11は消色トナー残量検知部26による消色トナーの残量検知を確認する(ステップS802)。消色トナーの残量が所定量を超えている場合は(ステップS802;Yes)、消色トナーを使用した印刷を行う。
【0176】
保存されている画像が1つの場合は(ステップS803;Yes(原稿の読取時は消色トナーのみ使用と判断))、CPU11は選択された保存画像(原稿の読取画像として保存されている第1読取画像)をプリンタ部23により消色トナーで記録紙に印刷して出力する(ステップS804)。印刷を終えると、ハードディスク装置16に保存されているその画像と識別情報を消去し(ステップS805)、メインルーチンに戻る(Return〜End)。
【0177】
保存されている画像が2つの場合は(ステップS803;No(原稿の読取時は通常トナーおよび消色トナー使用と判断))、CPU11は選択された保存画像(原稿の読取画像として保存されている第2読取画像および差分画像)をプリンタ部23により識別情報がない画像(第2読取画像)を通常トナーで、識別情報がある画像(差分画像)を消色トナーで記録紙(1枚の記録紙内)に印刷して出力する(ステップS806)。印刷を終えると、ハードディスク装置16に保存されているその2つの画像と識別情報を消去し(ステップS805)、メインルーチンに戻る(Return〜End)。
【0178】
消色トナーの残量が所定量以下で(ステップS802;No)、保存されている画像が1つの場合は(ステップS807;Yes(原稿の読取時は消色トナーのみ使用と判断))、CPU11はプリンタ部23による印刷動作を禁止し(ステップS808)、メインルーチンに戻る(Return〜End)。
【0179】
消色トナーの残量が所定量以下で(ステップS802;No)、保存されている画像が2つの場合は(ステップS807;No(原稿の読取時は通常トナーおよび消色トナー使用と判断))、CPU11は表示部17に印刷確認画面を表示してユーザに選択した保存画像を印刷するか否かを確認する(ステップS809)。印刷しない指示を受けた場合は(ステップS809;No)、メインルーチンに戻る(Return〜End)。印刷する指示を受けた場合は(ステップS809;Yes)、CPU11は差分画像を所定画像に置き換え、この所定画像と第2読取画像とをプリンタ部23により通常トナーで記録紙に印刷して出力し(ステップS810)、メインルーチンに戻る(Return〜End)。
【0180】
出力種別が外部転送で(ステップS801;外部転送)、転送先が他の複合機10以外の場合は(ステップS811;FAXなど)、CPU11は転送動作を禁止し(ステップS812)、メインルーチンに戻る(Return〜End)。
【0181】
出力種別が外部転送で(ステップS801;外部転送)、転送先が他の複合機10の場合は(ステップS811;MFP)、転送先の複合機10に消色トナーによる印刷が可能であるか否かを問い合わせる(ステップS813)。印刷不可の応答を受けた場合は(ステップS813;No)、CPU11は転送動作を禁止し(ステップS812)、メインルーチンに戻る(Return〜End)。
【0182】
印刷可能の応答を受けた場合で(ステップS813;Yes)、保存されている画像が1つの場合は(ステップS814;Yes(原稿の読取時は消色トナーのみ使用と判断))、CPU11は選択された保存画像(原稿の読取画像として保存されている第1読取画像)に識別情報を関連付けて転送先の複合機10に転送する(ステップS815)。転送を終えると、ハードディスク装置16に保存されているその画像と識別情報を消去し(ステップS816)、メインルーチンに戻る(Return〜End)。
【0183】
印刷可能の応答を受けた場合で(ステップS813;Yes)、保存されている画像が2つの場合は(ステップS814;No(原稿の読取時は通常トナーおよび消色トナー使用と判断))、CPU11は選択された保存画像(原稿の読取画像として保存されている第2読取画像および差分画像)のうち、元々識別情報が関連付けられている画像(差分画像)に識別情報を関連付けてもう1つの画像(第2読取画像)と共に転送先の複合機10に転送する(ステップS817)。転送を終えると、ハードディスク装置16に保存されているその2つの画像と識別情報を消去し(ステップS816)、メインルーチンに戻る(Return〜End)。この場合も転送先の複合機10は、図15で説明した印刷動作を行う。
【0184】
(スキャナ部の変形例)
図19〜図21に、複合機10におけるスキャナ部22の変形例を3つ例示する。
【0185】
図19に示す変形例1に係るスキャナ部22bは、読取装置32bの構成が図2に示したスキャナ部22aと異なっている。スキャナ部22bにおける読取装置32bでは、ラインイメージセンサ35が保持部材38内ではなく保持部材38の側方に配置されている。ラインイメージセンサ35は、たとえばスキャナ部22b内のフレームなどに取り付けられて保持部材38の側方に配置されている。保持部材38内には、ラインイメージセンサ35に替えて、原稿Mからの反射光Lbをラインイメージセンサ35に導くミラー39が設けられている。
【0186】
変形例1に係るスキャナ部22bも図2に示したスキャナ部22aと同じく、読取装置32bを移動させなくても、照明光Laと特定波長光IRとをラインイメージセンサ35による読取範囲S、すなわち、プラテンガラス31上の原稿Mにおける同一ライン上(同一走査線上)に照射できる構成となっている。さらにスキャナ部22aと同じく、原稿の全領域の第1読取画像と第2読取画像を取得する場合は、1回の走査読み取りまたは2回に分けた走査読み取りの何れでも取得できる構成となっている。このスキャナ部22bを備えた複合機10においても、スキャナ部22aを備えた複合機10と同じ動作変更の制御を行うことができる(図10〜図18参照)。
【0187】
図20に示す変形例2に係るスキャナ部22cは、読取装置32cにおける消去用光源36と反射板37の配置が図2に示したスキャナ部22aと異なっている。スキャナ部22cにおける読取装置32cでは、消去用光源36による特定波長光IRをラインイメージセンサ35による読取範囲Sとは異なる位置へ向けて照射する構成となっている。本変形例に係る構成では、消去用光源36による照射光を読取範囲Sに合わせ込む必要がなく、消去用光源36や反射板37に高い取り付け精度が求められないので組み立てが容易になる。
【0188】
スキャナ部22cを備えた複合機10では、たとえば、読取装置32cの往復移動による2回の走査読み取りで第1読取画像と第2読取画像を取得する。図20の例では、読取用光源34を点灯させて読取装置32cを図中の右側から左側へ移動させ1回目の走査読み取りを行い、第1読取画像を取得する。次に消去用光源36および読取用光源34を点灯させて読取装置32cを図中の左側から右側へ移動させ2回目の走査読み取りを行い、第2読取画像を取得する。
【0189】
原稿画像の一部領域で判断を行う場合には、2回目の走査読み取りを開始しその一部領域から第2読取画像を取得した時点で判断を行い、判断結果に応じて図10〜図12で説明した動作変更の制御を行うことができる。原稿画像の全領域で判断する場合は、2回目の走査読み取りにてその全領域から第2読取画像を取得し読取動作を完了させ、判断結果に応じて図14および図15で説明した動作変更の制御を行うことができる。また何れの場合も、図16および図17で説明した複合機10内の保存画像に係る出力制御を行うことができる。
【0190】
図21に示す変形例3に係るスキャナ部22dは、シートスルー型(原稿搬送型/ADF(Auto Document Feeder)型)スキャナとして構成されており、原稿Mを自動搬送して読み取りを行う。スキャナ部22dは、原稿Mの給紙部となる原稿給紙トレイ41と、原稿が搬送される搬送経路42と、原稿を搬送経路42を通じて搬送する搬送機構43と、原稿の排紙部となる原稿排紙トレイ44と、搬送経路42の途中に上流側から順に配設された第1読取部45、消去用光源46、第2読取部47とを備えている。第1読取部45と第2読取部47は、たとえばコンタクトイメージセンサなどで構成されており、コンタクトガラスと、光源(読取用光源)と、ラインイメージセンサなどを備えている。
【0191】
搬送機構43は、原稿Mを搬送するための複数のローラと、各ローラを回転駆動する複数のモータ(図示省略)などで構成されている。ローラの詳細は、原稿給紙トレイ41に載置された原稿Mの表面先端部に接触回転して最上の原稿Mから1枚ずつ分離して送り出す送り出しローラ43aと、搬送経路42における第1読取部45の上流側に配設され、送り出しローラ43aによって送り出された原稿Mを回転挟持して搬送経路42の下流側へ搬送する複数対の搬送ローラ43bと、搬送経路42の下流側に配設され、搬送ローラ43bによって搬送経路42の下流側まで搬送された原稿Mを回転挟持して排紙トレイ44へ排出する一対の排出ローラ43cと、第1読取部45に対応して配設され、原稿Mの裏面に接触回転しつつ原稿Mの表面を第1読取部45のコンタクトガラスに密着させる第1読取ローラ43dと、第2読取部47に対応して配設され、原稿Mの裏面に接触回転しつつ原稿Mの表面を第2読取部47のコンタクトガラスに密着させる第2読取ローラ43eなどである。
【0192】
第1読取部45は、搬送経路42における所定位置に配置され、スキャナ部22dの底板下面に取り付けられている。第1読取部45が取り付けられている底板の上記所定位置には、搬送経路42(原稿Mの搬送方向)と直交する方向(図21では紙面の表裏方向)に沿った細長い開口形状のスリット48が形成されている。第1読取部45は、搬送経路42を搬送される原稿Mに対し、スリット48を通じて内蔵の光源から読取範囲S1(第1読取範囲)へ向けて照明光を照射し、原稿Mにおける読取範囲S1からの反射光を内蔵のラインイメージセンサにより受光して原稿Mをライン毎に読み取る。
【0193】
消去用光源46は、第1読取部45を通過して搬送経路42を搬送される原稿Mに対し、特定波長光(近赤外線)を照射する。
【0194】
第2読取部47は、第1読取部45および消去用光源46を通過して搬送経路42を搬送される原稿Mに対し、内蔵の光源から読取範囲S2(第2読取範囲)へ向けて照明光を照射し、原稿Mにおける読取範囲S2からの反射光を内蔵のラインイメージセンサにより受光して原稿Mをライン毎に読み取る。
【0195】
スキャナ部22dを備えた複合機10では、原稿給紙トレイ41に載置された原稿Mを搬送機構43により搬送経路42に沿って自動搬送し排紙トレイ44へ排出するまでの間に、原稿Mを第1読取部45により読み取って第1読取画像を取得し、第1読取部45を通過した原稿Mに消去用光源46により特定波長光を照射し、消去用光源46を通過した原稿Mを第2読取部47により読み取って第2読取画像を取得する。
【0196】
原稿画像の一部領域で判断を行う場合には、原稿Mの先端側が第2読取部47に到達しその一部領域から第2読取画像を取得した時点で判断を行い、判断結果に応じて図10〜図12で説明した動作変更の制御を行うことができる。原稿画像の全領域で判断する場合は、原稿Mを、第2読取部47を通過させてその全領域から第2読取画像を取得し、排紙トレイ44に排出して読取動作を完了させ、判断結果に応じて図14および図15で説明した動作変更の制御を行うことができる。また何れの場合も、図16および図17で説明した複合機10内の保存画像に係る出力制御を行うことができる。
【0197】
スキャナ部22の構成は、例示した4タイプのスキャナ部22a〜22dに限らない。たとえば、図21に示したシートスルー型のスキャナ部22dに図2に示した読取装置32aを組み込む、または図19に示した読取装置32bおよびこれに付随するラインイメージセンサ35を組み込むようにしてもよい。この場合は、第1読取部45に替えて読取装置32a、または読取装置32bおよびラインイメージセンサ35を組み込み、消去用光源46および第2読取部47を削除するなどの構成が可能である。
【0198】
本構成によるシートスルー型のスキャナ部では、読取装置32a/32bから照明光Laと特定波長光IRとをラインイメージセンサ35による読取範囲S、すなわち、搬送経路42を搬送される原稿Mにおける同一ライン上(同一走査線上)に照射することができる。また、本構成のシートスルー型のスキャナ部を図2や図19に示したフラッドベット型のスキャナ部22a/22bと組み合わせてもよい。
【0199】
このように、本実施形態に係る複合機10では、原稿の画像に消色トナーが使用されていると判断した場合は、読取画像の出力を禁止したり制限したりするなど、出力動作を変更する。この判断結果を一部領域の読み取りで得た場合は、原稿の読み取りを停止して出力を禁止する、あるいは、判断後は不要となる第2読取画像の読み取りを停止し原稿(第1読取画像)の読み取りを完了させ出力を制限するなど、読取動作と出力動作を共に変更する。また、一部領域の読み取りで消色トナーが使用されていないとの判断結果を得た場合は、判断後は不要となる特定波長光の照射と第2読取画像の読み取りを停止し原稿(第1読取画像)の読み取りを完了させ出力を変更せずに行う(読取動作のみの変更)。
【0200】
これにより、消色トナーで印刷されている原稿内の情報(コンテンツ)の漏洩を抑制することができる。通常トナーと消色トナーを併用して印刷されている原稿に対しては、原稿画像における消色トナーの領域は消色トナーを使用して印刷(複写)する、または、所定画像に置き換え通常トナーを使用して印刷することで、同様に原稿内の情報の漏洩を抑制することができる。
【0201】
特に本実施形態では、読取動作中に原稿の画像に消色トナーが使用されていると判断した場合は第2読取画像の読み取りを停止し(制御1a参照)、読取動作中に原稿の画像に通常トナーが使用されていると判断した場合は特定波長光の照射と第2読取画像の読み取りを停止することで(制御1b参照)、原稿の読み取り速度を高めることができる。これにより、原稿読み取りのパフォーマンス(生産性)を向上することができる。
【0202】
また、原稿の画像に消色トナーが使用されていると判断した場合は、複合機10内に一時的または継続的に保存する読取画像にそのことを示す識別情報を関連付けて記憶する(制御2a参照)。複合機10内に一時的または継続的に保存された画像(読取画像)を出力する際に、識別情報が関連付けられている場合は消色トナーを使用してその画像を印刷する印刷動作に制限する(制御2b参照)。詳細には、出力種別が印刷の場合は、ユーザ設定にかかわらず強制的に消色トナーを選択して出力する。出力種別が他の装置への転送の場合は、転送先装置の能力を確認し、消色トナーによる印刷が実行可能であれば転送を許可し、実行不可であれば転送を禁止する。出力種別が外部記憶装置(USBメモリなど)への転送の場合は転送を禁止する。また、印刷完了後または転送完了後に、保存されている画像(読取画像)と識別情報を消去する(制御2c参照)。
【0203】
これにより、消色トナーが使用されている原稿のコンテンツ情報は、転送先(移動先)が紙媒体であるか記憶媒体であるかにかかわらず唯一となり、二つ以上の複製物(原稿のコンテンツ情報保全とそのコンテンツ情報の複製物)を作り出すことができない。すなわち、紙媒体の場合はコンテンツ情報が転送元の原稿から転送先の紙媒体へ移動するだけであり、記憶媒体の場合はコンテンツ情報が転送できず原稿に残る。したがって、情報の漏洩を防止できる。
【0204】
また、原稿の画像に消色トナーが使用されていると判断した場合は出力動作を禁止する(制御3a参照)。これにより、消色トナーで印刷されている機密文書の複製が禁止され、セキュリティを向上できる。読取動作中に原稿の画像に消色トナーが使用されていると判断した場合は読取動作を停止しかつ出力動作を禁止する(制御3b参照)。これにより、冗長な読取動作が停止されると共に、消色トナーで印刷されている機密文書の複製が禁止され、セキュリティを向上できる。
【0205】
消色トナーの残量が所定量以下の場合は上記の禁止制御を行う(制御3c参照)。消色トナーの残量が所定量以下の場合に消色トナーを使用して記録紙に印刷を行うと、記録紙への消色トナーの乗りが悪くなり、かすれが発生した見栄えの悪い印刷物が生成されるため、上記の禁止制御によって印刷を行わないようにする。このような見栄えの悪い印刷物を生成しないようにすることで、記録紙や消色トナー、定着で必要な熱エネルギー(電力)などの印刷に要する資源の無駄な消費を抑えることができ、省エネルギー効果も得られる。また読取動作を途中で停止する場合は(図12のステップS408)、読取動作に係る消費電力が抑えられて省エネルギー効果が高められる。
【0206】
通常トナーが使用されている画像領域と消色トナーが使用されている画像領域とが混在している原稿の複写では、消色トナーの残量が所定量以下の場合に、消色トナーが使用されている画像領域は所定画像に置き換え通常トナーを使用して記録紙に印刷する(図15のステップS612)。これにより、原稿内の消色トナーが使用されている画像領域を、そのまま消色トナーを使用して記録紙に印刷(複写)した場合に生じる、その印刷物内の消色トナーを使用して印刷された画像領域の見栄えの悪化を回避しつつ、原稿内の通常トナーが使用されている画像領域の情報は、通常トナーを使用して記録紙に印刷(複写)しユーザに提供することができる。
【0207】
消色トナーが使用されている原稿の複写では、原稿の読み取りが完了してから印刷(消色トナーを使用した印刷)が開始される。これにより、消色トナーが使用されている原稿を保全しつつその複製が印刷出力されることを防止できる。
【0208】
消色トナーが使用されている原稿の複写において、複写した記録紙の上縁部と下縁部に消色トナーでダミー画像を印刷する場合は(図13参照)、この記録紙(原稿)に対する複写では記録紙内のコンテンツを読み取る前に、ダミー画像を読み取って取得した第1読取画像と、この第1読取画像に対して変化(消去)している第2読取画像とに基づいて消色トナーが使用されていると判断される。これにより、コンテンツの一部が消去されずにこの記録紙の読取動作や出力動作を変更することができ、記録紙内の情報の漏洩を抑制することができる。仮にダミー画像が隠されたり消されたりした場合でも、コンテンツを読み取って判断できるため、正確な判断結果が得られ、記録紙内の情報の漏洩を確実に抑制することができる。
【0209】
[第2の実施形態]
複合機10のスキャナ部22(22a)で消去読取モードにより原稿を読み取る場合には、原稿の画像に消色トナーが使用されていると、読取時にその画像における特定波長光が照射された領域は消去されることになる。読み取り後の原稿の画像に大きな消去領域が発生した場合には、再読み取りを行っても元の画像は取得できない。このように、消色トナーを使用して画像が印刷されている原稿は、再読み取りできなくなる可能性があるため、1度の読み取りで良好(正常)な読取画像を取得する必要がある。
【0210】
たとえば、図2に示したスキャナ部22aの場合では、消去読取モードによる読取動作中にプラテンガラス31上の原稿が位置ずれを起こすと、読取画像にはブレが生じてしまう。また、読取動作中にプラテンガラス31上から原稿が取り出されると、読取画像は原稿の読み取り済み領域までの中途半端な画像になってしまう。
【0211】
第2の実施形態では、この読取動作中におけるプラテンガラス31上の原稿の位置ずれや取り出しを防止する技術について説明する。
【0212】
第2の実施形態に係る複合機10のスキャナ部22aは(図2参照)、プラテンガラス31にセット(載置)された原稿Mを取り出し可能に保持する第1保持状態と、この原稿Mを取り出し不能に保持する第2保持状態とに切り替え可能な保持部を備えている。保持部は、たとえばプラテンカバーと、このプラテンカバーのロックおよび解除を行うロック部を備えている。
【0213】
プラテンカバーは、たとえば一端部がスキャナ部22aの本体を構成する筺体など上部に回動可能に支持されており、この支持部を支点に、プラテンガラス31の上面を覆う閉塞位置と、ラテンガラス31の上面を開放する開放位置とに回動変移可能とされている。プラテンカバーが開放されていると、プラテンガラス31上への原稿Mのセットやプラテンガラス31上からの原稿Mの取り出しが可能となる。プラテンガラス31上に原稿Mをセットしてプラテンカバーを閉塞すると、プラテンガラス31上の原稿Mはプラテンカバーに覆われて押さえられる(保持される)ことになる。
【0214】
ロック部は、閉塞位置にあるプラテンカバーをその位置にロックおよび解除する構成とされている。ロック部の構成は、電動式の機械的なロック機構でもよく(電動ロック)、電磁的なロック機構でもよい(電磁ロック)。このロック部は、閉塞位置にあるプラテンカバーのロックおよび解除をCPU11に制御されて行う。プラテンカバーは、プラテンガラス31の上面を覆う閉塞位置でロック部によりロックされると開放できなくなり、ロック解除されると開放できるようになる。
【0215】
上記のプラテンカバーとロック部を備えた保持部では、閉塞位置にあるプラテンカバーがロック部によってロックされていない状態(ロック解除状態)が、プラテンガラス31にセットされた原稿Mを取り出し可能に保持する第1保持状態となる。プラテンカバーがロック部によってロックされている状態(ロック状態)が、プラテンガラス31にセットされた原稿Mを取り出し不能に保持する第2保持状態となる。
【0216】
なお、図19に示したスキャナ部22bや図20に示したスキャナ部22cもスキャナ部22aと同じフラッドベット型である。これのスキャナ部22b/22cにも、上記のプラテンカバーとロック部を備えた保持部を設けることができる。また、自動原稿搬送装置(ADF)がプラテンカバーの機能を兼ねるスキャナ部においても、その自動原稿搬送装置と、自動原稿搬送装置のロックおよび解除を行うロック部を備えた保持部を設けることが可能である。
【0217】
次に、本実施形態に係る複合機10によるプラテンカバーロック動作について説明する。
【0218】
図22は、複合機10の表示部17に表示されたプラテンカバーロック設定画面70を示す図である。本画面は管理者設定画面の一部として表示される。なお、本画面はユーザ設定画面の一部として表示されるようにしてもよい。
【0219】
複合機10は、プラテンカバーのロック制御モードとして、ロック制御OFFモードと、ロック制御ON(TYPE1)モードと、ロック制御ON(TYPE2)モードとを備えている。
【0220】
ロック制御OFFモードは、閉塞位置にあるプラテンカバーにロックをかけない制御を行うロック制御モードである。
【0221】
ロック制御ON(TYPE1)モードは、閉塞位置にあるプラテンカバーに対し、読取動作の開始のタイミングでロックをかけ、読取動作の終了のタイミングでロックを解除する制御を行うロック制御モードである。このモードでは、読取動作が完了して終了した場合と、読取動作が停止(途中停止)して終了した場合にロックが解除される。
【0222】
原稿の画像を最後まで読み取ってからその画像に使用されているトナー種別と混在の有無を判断する動作には(図14参照)、このロック制御ON(TYPE1)モードを組み合わせることが好ましい。
【0223】
ロック制御ON(TYPE2)モードは、閉塞位置にあるプラテンカバーに対し、ロックをかけずに読取動作を開始する。読取動作中に原稿の画像に消色トナーが使用されていると判断し、読取動作を停止せずに完了させる場合は、そのタイミングでロックをかけ、読取動作の完了のタイミングでロックを解除する制御を行うロック制御モードである。
【0224】
原稿の画像を一部読み取ってその画像に使用されているトナー種別を判断する動作には(図10参照)、このロック制御ON(TYPE2)モードを組み合わせるようにしてもよい。
【0225】
管理者(またはユーザ)は、プラテンカバーロック設定画面70に表示されているロック制御OFF選択ボタン71またはロック制御ON1選択ボタン72またはロック制御ON2選択ボタン73を押下していずれかのロック制御モードを選択し、同画面に表示されている確定ボタン74を押下して、選択したロック制御モードの設定(確定)を行うことができる。プラテンカバーロック設定画面70を通じてロック制御の設定が行われると、不揮発メモリ15にロック制御の設定値が保存される。なお、デフォルトの設定値はロック制御OFFモードとなっている。
【0226】
図23は、複合機10によるプラテンカバーロック動作を示す流れ図である。詳細には、本図は、第1の実施形態で説明した図10〜図12、および図14の主要なステップを抜き出し、そのステップにプラテンカバーロック動作に係るステップを加えたものとして示している。以下では、まず各ステップと本動作の流れを説明してから、第1の実施形態における上記の主要なステップと対応する流れを説明する。
【0227】
複合機10では、スキャナ部22(22a)のプラテンガラス31上に原稿がセットされ、プラテンカバーが閉じられてから読み取りの開始指示(スタートボタン押下)を受けると(ステップS901)、CPU11は不揮発メモリ15に保存されているロック制御モードの設定値を確認する。設定値がロック制御ON(TYPE1)モードである場合には(ステップS902;Yes)、CPU11はスキャナ部22のロック部を制御してプラテンカバーにロックをかけ(ステップS903)、スキャナ部22を動作させて原稿の読み取りを開始する(ステップS904)。読取動作中は、プラテンカバーのロック状態を継続する。
【0228】
設定値がロック制御ON(TYPE1)モードでない場合には(ステップS902;No)、CPU11はプラテンカバーにロックをかけずにスキャナ部22を動作させて原稿の読み取りを開始する(ステップS904)。
【0229】
CPU11は、読取動作中に原稿の画像に通常トナーが使用されていると判断した場合は(ステップS905;No)、スキャナ部22を制御して原稿を最後まで読み取り、読取動作を完了する(ステップS909)。読取動作中に原稿の画像に消色トナーが使用されていると判断し(ステップS905;Yes)、読取動作を停止する場合は(ステップS906;Yes)、CPU11はスキャナ部22を制御して読取動作を停止し、ステップS910へ移行する。
【0230】
読取動作中に、原稿の画像に消色トナーが使用されていると判断し(ステップS905;Yes)、読取動作を停止せず(ステップS906;No)、不揮発メモリ15に保存されているロック制御モードの設定値がロック制御ON(TYPE2)モードでない場合には(ステップS907;No)、CPU11はスキャナ部22を制御して原稿を最後まで読み取り、読取動作を完了する(ステップS909)。不揮発メモリ15に保存されているロック制御モードの設定値がロック制御ON(TYPE2)モードである場合には(ステップS907;Yes)、CPU11はスキャナ部22のロック部を制御してプラテンカバーにロックをかけ(ステップS908)、以降の読取動作中はプラテンカバーのロック状態を継続する。そしてCPU11は、スキャナ部22を制御して原稿を最後まで読み取り、読取動作を完了する(ステップS909)。
【0231】
CPU11は、読取動作を完了すると(ステップS909の場合)、または、読取動作を停止すると(ステップS906;Noの場合)、プラテンカバーにロックがかけられている場合は(ステップS910;Yes)、スキャナ部22のロック部を制御してプラテンカバーのロックを解除する(ステップS911〜End)。プラテンカバーにロックがかけられていない場合は(ステップS910;No)、そのロック解除状態を維持する(End)。
【0232】
以上が各ステップと本動作の流れである。この図23に示したステップS901は、図10のステップS201と図14のステップS501に対応している。ステップS904は、図10のステップS202と図14のステップS502に対応している。したがって、ステップS901とステップS904は、図10ではステップS201とステップS202の間に行い、図14ではステップS501とステップS502の間に行うことになる。
【0233】
ステップS905(No)から直接ステップS909へ移行する流れは、図10のステップS203からステップS207への流れに対応している。また、図14のステップS503からステップS504(Yes)への流れにも実質的に対応している。この流れは、原稿の画像を最後まで読み取ってからその画像に使用されているトナー種別と混在の有無を判断する場合の流れであり、読取動作を途中で停止せず、読取動作中にプラテンカバーのロック制御を行わない場合の流れである。
【0234】
ステップS905(Yes)からステップS906へ移行し読取動作停止(Yes)となる流れは、図10のステップS203からステップS205を経由してステップS212へ移行し、図11に示した消色トナー用の動作変更制御(第1パターン)を行う流れに対応している。また、同じくステップS212へ移行し、図12に示した消色トナー用の動作変更制御(第2パターン)におけるステップS401からステップS408への流れと、ステップS401からステップS414への流れに対応している。
【0235】
ステップS906(No)からステップS909へ移行する流れは、図12に示した消色トナー用の動作変更制御(第2パターン)におけるステップS401からステップS405(Yes)への流れと、ステップS401からステップS411(Yes)への流れと、ステップS401からステップS418(Yes)への流れに対応している。この流れにおいて、ステップS907と、本ステップがYesの場合のステップS908とは、たとえばステップS401の前に行うようにする。
【0236】
また、ステップS910と、本ステップがYesの場合のステップS911とは、たとえば、図10ではステップS207の後に行う。図11ではステップS301の後に行う。図12ではステップS405の後と、ステップS408の後と、ステップS411の後と、ステップS414の後と、ステップS418の後に行う。図14ではステップS504の後に行う。
【0237】
なお、図14に例示した動作では、原稿の画像を最後まで読み取ってからその画像に使用されているトナー種別と混在の有無を判断するため、読取動作中にプラテンカバーのロック制御を行わないことになる。ただし、この混在は、たとえば原稿の画像を一部領域読み取ってその一部領域の画像に使用されているトナー種別と混在の有無を判断する工程を一部領域毎に順次繰り返し、最終的に全領域を読み取るような動作によっても判断することができる。この動作であれば、読取動作中に原稿の画像に消色トナーが使用されていると判断した時点でプラテンカバーのロック制御(ステップS907と、本ステップがYesの場合のステップS908)を行うことも可能である。
【0238】
このように、本実施形態に係る複合機10は、プラテンカバーのロックおよび解除を行うロック制御機能を備えている。プラテンカバーのロック制御ON(TYPE1)モードでは、読取動作の開始時に、スキャナ部22(22a)のプラテンガラス31上にセットされた原稿を押さえているプラテンカバーにロックをかけ、原稿を取り出し不能に保持することにより、読取動作中にプラテンガラス31上の原稿が位置ずれを起こしたり取り出されたりすることが防止され、1度の読み取りで良好(正常)な読取画像を取得できるようになる。ロック制御ON(TYPE2)モードでは、スキャナ部22(22a)のプラテンガラス31上にセットされた原稿を押さえているプラテンカバーにロックをかけずに読取動作を開始する。読取動作中に原稿の画像に消色トナーが使用されていると判断した場合は、プラテンカバーにロックをかけ、原稿を取り出し不能に保持する。これにより、原稿を取り出し不能に保持する必要性が低い場合のその保持状態への切り替えを行わなくて済む。
【0239】
[第3の実施形態]
前述したように、消色トナーを使用して画像が印刷された原稿を複合機10の消去読取モードで読み取ると、読取時に特定波長光が原稿に照射されて原稿上の画像が消去される。また、第1の実施形態における図10のステップS203および図14のステップS503で説明したように、読取時に取得した原稿の読取画像(第1読取画像および第2読取画像)はRAM14(揮発性メモリ)に一時保存される。
【0240】
この場合、たとえばRAM14に一時保存した読取画像の出力を完了する前(出力開始前や出力途中など)に、停電やコンセント抜けなどによって複合機10に予期しない電源オフ(突発的な電源遮断)が発生すると、RAM14内の読取画像が消失してしまい、複合機10を再起動してもその読取画像を出力できなくなる。そして、元の原稿からは既に画像が消去されているので、その画像は原稿上にも複合機10内にも存在せず、失われることになる。また、通常トナーが使用されている画像領域と消色トナーが使用されている画像領域とが混在している原稿を読み取った場合も、元の原稿の画像からは消色トナーの画像領域が消去されており、RAM14に一時保存したその原稿の読取画像の出力を完了する前に電源オフが発生してその読取画像がRAM14(複合機10内)から消失すると、元の原稿の画像と同じ画像は失われることになる。
【0241】
第3の実施形態では、消去読取モードによる読み取りで画像が消去された原稿に対し、読取画像の出力完了前に複合機10に予期しない電源オフが発生しても、元の原稿と同じ原稿を復元(再作成)できるようにする技術について説明する。概要は、原稿の読取画像をハードディスク装置16に一時保存することで、電源オフによる消失を回避するものである。なお、読取画像を一時保存するためにハードディスク装置16内に確保する記憶領域(所定領域)としては、たとえば、ハードディスク装置16に割り当てられた仮想メモリ領域などを使用してもよい。
【0242】
第1の実施形態における図5(基本動作)と、図10および図14で説明したように、消去読取モードによる原稿の読取時に原稿内の画像に消色トナーが使用されているか否かの判断は、複合機10のスキャナ部22(22a)にて原稿に特定波長光を照射する前に読み取った第1読取画像と照射した後に読み取った第2読取画像とを取得し、これらの読取画像を比較することで行う。比較した結果、両画像が同じであれば消色トナーは使用されておらず通常トナーが使用されていると判断し、両画像が異なっていれば消色トナーが使用されていると判断する。この比較は、生産性を優先させる場合は、図10(および図12)で説明したように原稿画像の一部領域で行い、通常トナーと消色トナーの混在を判別する場合は、図14(および図15)で説明したように原稿画像の全領域で行う。
【0243】
第3の実施形態に係る消去読取モードの動作も、生産性を優先させる動作と、トナー種混在を判別する動作とに分けて説明する。また、一般に不揮発性メモリ(ハードディスク装置16、不揮発メモリ15)は揮発性メモリ(RAM14)に比べてアクセス速度が遅いため、原稿の読取画像を常にハードディスク装置16に一時保存するようにすると、RAM14に一時保存する場合に比べて、読取画像の保存および出力時の読み出しに掛かる時間が増えて処理速度(生産性)が低下するおそれがある。本実施形態ではこの点を考慮し、生産性を優先させる動作と、トナー種混在を判別する動作の各々について、処理速度を重視した例と、電源オフによる読取画像の消去に対する安全性(原稿の復元性)を重視した例とを説明する。
(1)生産性優先・処理速度重視
(2)トナー種混在判別・処理速度重視
(3)生産性優先・安全性重視
(4)トナー種混在判別・安全性重視
【0244】
処理速度重視では、原稿の読取画像をまずRAM14に一時保存しておき、原稿の画像に消色トナーが使用されていると判断した場合に、RAM14に一時保存しておいた読取画像をハードディスク装置16に移動させて保存する。原稿の画像に消色トナーが使用されていないと判断した場合は、原稿の読取画像をそのままRAM14に一時保存しておく。
【0245】
安全性重視では、原稿の読取画像をまずハードディスク装置16に一時保存しておき、原稿の画像に消色トナーが使用されていないと判断した場合に、ハードディスク装置16に一時保存しておいた読取画像をRAM14に移動させて保存する。原稿の画像に消色トナーが使用されていると判断した場合は、原稿の読取画像をそのままハードディスク装置16に一時保存しておく。
【0246】
ここでは、上記の各動作を、第1の実施形態で使用した図5を一部変更し、読取動作と出力動作(出力処理)の概略なども追加して、図24〜図27に示している。これらの図に示した上記の各動作については、図5と共通するステップは説明を簡略し、変更および追加したステップを詳細に説明する。
【0247】
また、ハードディスク装置16の空き容量(残容量)が少ないと、原稿の読取画像をハードディスク装置16に保存できなくなる可能性がある。そこで、上記の各動作ではいずれも、原稿の読取動作を開始する前にハードディスク装置16の空き容量を確認し、その空き容量が所定容量以下の場合は読取動作を禁止する(読取動作を開始しない)ようにしている。
【0248】
(1)生産性優先・処理速度重視
図24は、複合機10による消去読取モードの生産性優先および処理速度重視の動作を示す流れ図である。
【0249】
複合機10では、消去読取モードの設定状態にて、スキャナ部22に原稿がセットされ、操作部18で出力種別(印刷/内部保存/外部転送)が選択されて開始指示(スタートボタン押下)を受けると(ステップS096)、CPU11はハードディスク装置16の空き容量を確認する(ステップS097)。ハードディスク装置16の空き容量が所定容量以下の場合は(ステップS098;Yes)、読取動作を禁止し(ステップS099)、本原稿に対する読み取りを行わずに処理を終了する(End)。
【0250】
ハードディスク装置16の空き容量が所定容量を超えている場合は(ステップS098;No)、CPU11はスキャナ部22を動作させて原稿の読み取りを開始する(ステップS100(読取動作開始))。
【0251】
第1の実施形態における図5および図10で説明したように、CPU11はスキャナ部22により原稿の走査読み取りを行い、特定波長光を照射する前に読み取って取得した第1読取画像をRAM14の第1所定領域に一時保存し(ステップS101〜ステップS103A)、特定波長光を照射した後に読み取って取得した第2読取画像をRAM14の第2所定領域に一時保存する(ステップS104〜ステップS108A)。なお、ここでも図5および図10で説明したように、原稿画像の所定の一部領域(原稿画像の1ライン目または1ライン目から所定の複数ライン分)の第1読取画像と第2読取画像を取得し、RAM14に一時保存する。
【0252】
第1読取画像と第2読取画像を比較した結果、両画像が同じであり(ステップS109;Yes)、原稿の画像に通常トナーが使用されていると判断した場合には(ステップS110)、CPU11はスキャナ部22による原稿の読取動作を第1読取画像のみを読み取って取得し消去用光源36を点灯させない動作に変更し、原稿の走査読み取りを継続する。そして、走査毎に順次取得した第1読取画像(ライン単位の第1読取画像)をRAM14の第1所定領域に順次保存し、原稿画像の全領域の読み取りを完了させ、RAM14の第1所定領域に保存した第1読取画像(原稿の読取画像)に対する通常トナー用の出力処理を実行し(ステップS121(詳細は図10のステップS206〜S210参照))、本原稿に対する読み取りおよび出力を終了する(End)。
【0253】
第1読取画像と第2読取画像を比較した結果、両画像が異なり(ステップS109;No)、原稿の画像に消色トナーが使用されていると判断した場合には(ステップS111)、CPU11はRAM14の第1所定領域に一時保存している第1読取画像(原稿画像の1ライン目または1ライン目から所定の複数ライン分の第1読取画像)をハードディスク装置16に移動し一時保存する(ステップS122)。RAM14においては、一時保存していた第1読取画像がハードディスク装置16に移動されることで消去される。また、ハードディスク装置16に一時保存した第1読取画像には、識別情報を関連付けて記憶する(詳細は図12のステップS401参照)。
【0254】
なお、RAM14から第1読取画像を読み出してハードディスク装置16に保存(複製保存)することにより、第1読取画像をRAM14に残しておくようにしてもよい。
【0255】
続いてCPU11は、スキャナ部22による原稿の読取動作を第1読取画像のみを読み取って取得し消去用光源36を点灯させて原稿の画像を消去する動作に変更し、原稿の走査読み取りを継続する。走査毎に順次取得した第1読取画像(ライン単位の第1読取画像)をハードディスク装置16に順次保存し、原稿画像の全領域の読み取りを完了させ、ハードディスク装置16に一時保存した第1読取画像(原稿の読取画像)に対する消色トナー用の出力処理を実行する。または、スキャナ部22による原稿の読取動作を停止し出力動作を禁止する(ステップS123)。
【0256】
ステップS123の詳細は、図12のステップS402〜S406およびステップS408〜S419で説明したように、出力処理を実行する場合は、選択された出力種別に応じて、第1読取画像を印刷する(ステップS406参照)、または、第1読取画像をハードディスク装置16内の所定の画像保存領域(BOXなど)に保存する(ステップS412参照)、または、第1読取画像を他の複合機10に転送する(ステップS419参照)。出力動作を禁止する場合は、第1読取画像の印刷を禁止する(ステップS409参照)、または、第1読取画像の転送を禁止する(ステップS415参照)。
【0257】
CPU11は、出力処理を完了すると、または、出力動作を禁止にすると、ハードディスク装置16に一時保存していた第1読取画像および識別情報を消去し(ステップS124(図12のステップS407に相当))、本原稿に対する読み取りおよび出力を終了する(End)。
【0258】
(2)トナー種混在判別・処理速度重視
図25は、複合機10による消去読取モードのトナー種混在判別および処理速度重視の動作を示す流れ図である。
【0259】
第1の実施形態における図9で説明したように、原稿画像における通常トナーと消色トナーの混在および各トナー領域の判断は、原稿画像の全領域を読み取って取得した第1読取画像と第2読取画像の差分画像を抽出し、これらの画像を比較することで行う。ここでは、図14で説明したように原稿画像の全領域を読み取ってから判断するのではなく、原稿画像を一部領域読み取ってその一部領域の画像に使用されているトナー種別を判断する工程を一部領域毎に順次繰り返し、最終的に全領域を読み取る動作によって判断する。
【0260】
図25におけるステップS096〜S100は、図24における同ステップと同じ内容であり、説明を省略する。
【0261】
CPU11は、スキャナ部22により原稿の走査読み取りを行い、特定波長光を照射する前に読み取って取得した第1読取画像をRAM14の第1所定領域に一時保存し(ステップS101〜ステップS103A)、特定波長光を照射した後に読み取って取得した第2読取画像をRAM14の第2所定領域に一時保存する(ステップS104〜ステップS108A)。ここでは、上述したように、原稿画像の一部領域(所定の一部領域)の第1読取画像と第2読取画像を取得し、RAM14に一時保存する。
【0262】
この一部領域の第1読取画像と第2読取画像を比較した結果、両画像が同じである場合には、CPU11は原稿の走査読み取りを継続し、次の一部領域の第1読取画像と第2読取画像を取得してRAM14に一時保存し、比較を行う。両画像が同じであれば、この一部領域毎の第1読取画像と第2読取画像の読み取り取得、RAM14への一時保存、比較を繰り返す。
【0263】
全ての一部領域(原稿画像の全領域)に対する第1読取画像と第2読取画像の比較を行い、同じであった場合には(ステップS109;Yes)、CPU11は原稿画像の全領域に通常トナーが使用されている判断し(ステップS110)、RAM14の第1所定領域に一時保存した第1読取画像(原稿の読取画像)に対する通常トナー用の出力処理を実行し(ステップS131(詳細は図14のステップS507〜S510参照))、本原稿に対する読み取りおよび出力を終了する(End)。なお、この場合も図14で説明したように、第1読取画像に代えて、第1読取画像と同一である第2読取画像を出力するようにしてもよい。
【0264】
一方、一部領域の第1読取画像と第2読取画像を比較した結果、両画像が異なる場合には(ステップS109;No)、CPU11は原稿の画像に消色トナーが使用されていると判断し(ステップS111)、RAM14の第1所定領域に一時保存している第1読取画像(これまでに取得した一部領域分の第1読取画像)をハードディスク装置16の第1所定領域に移動し一時保存すると共に、RAM14の第2所定領域に一時保存している第2読取画像(これまでに取得した一部領域分の第2読取画像)をハードディスク装置16の第2所定領域に移動し一時保存する(ステップS132)。RAM14においては、一時保存していた第1読取画像と第2読取画像がハードディスク装置16に移動されることで消去される。
【0265】
なお、RAM14から第1読取画像と第2読取画像を読み出してハードディスク装置16に保存(複製保存)することにより、第1読取画像と第2読取画像をRAM14に残しておくようにしてもよい。
【0266】
CPU11は、原稿の走査読み取りを継続し、以降は走査毎に順次取得した第1読取画像(ライン単位の第1読取画像)をハードディスク装置16の第1所定領域に順次保存すると共に、走査毎に順次取得した第2読取画像(ライン単位の第2読取画像)をハードディスク装置16の第2所定領域に順次保存し、原稿画像の全領域の読み取りを完了させる。なお、原稿の画像に消色トナーが使用されていることを既に判断しているので、以降の走査読み取りで取得した第1読取画像と第2読取画像の比較は行わない。
【0267】
続いてCPU11は、ハードディスク装置16に一時保存した第1読取画像と第2読取画像の差分画像を抽出し、ハードディスク装置16の第3所定領域に保存する(図14のステップS505に相当)。さらに、これらの第1読取画像、第2読取画像、および差分画像に識別情報を関連付けて記憶する(図15のステップS601に相当)。そして、ハードディスク装置16に一時保存した第1読取画像、第2読取画像、および差分画像に対する消色トナー用の出力処理を実行する。または、出力動作を禁止する(ステップS133)。詳細には、図15のステップS602〜S605およびステップS607〜S624で説明した出力処理の実行、または、出力動作の禁止を行う。
【0268】
CPU11は、出力処理を完了すると、または、出力動作を禁止にすると、ハードディスク装置16に一時保存していた第1読取画像、第2読取画像、差分画像、および識別情報を消去し(ステップS134(図15のステップS606に相当))、本原稿に対する読み取りおよび出力を終了する(End)。
【0269】
(3)生産性優先・安全性重視
図26は、複合機10による消去読取モードの生産性優先および安全性重視の動作を示す流れ図である。
【0270】
図26におけるステップS096〜S100は、図24における同ステップと同じ内容であり、説明を省略する。
【0271】
CPU11は、スキャナ部22により原稿の走査読み取りを行い、特定波長光を照射する前に読み取って取得した第1読取画像をハードディスク装置16の第1所定領域に一時保存し(ステップS101〜ステップS103B)、特定波長光を照射した後に読み取って取得した第2読取画像をハードディスク装置16の第2所定領域に一時保存する(ステップS104〜ステップS108B)。
【0272】
処理速度重視の図24では、取得した第1読取画像と第2読取画像を、まずRAM14に保存するようにしていたが、安全性重視の場合は、取得した第1読取画像と第2読取画像を、まずハードディスク装置16に保存する。またこの場合も、原稿画像の所定の一部領域(原稿画像の1ライン目または1ライン目から所定の複数ライン分)の第1読取画像と第2読取画像を取得し、ハードディスク装置16に一時保存する。
【0273】
第1読取画像と第2読取画像を比較した結果、両画像が同じであり(ステップS109;Yes)、原稿の画像に通常トナーが使用されていると判断した場合には(ステップS110)、CPU11はハードディスク装置16の第1所定領域に一時保存している第1読取画像(原稿画像の1ライン目または1ライン目から所定の複数ライン分の第1読取画像)をRAM14に移動し一時保存する(ステップS120)。ハードディスク装置16においては、一時保存していた第1読取画像がRAM14に移動されることで消去される。
【0274】
なお、ハードディスク装置16から第1読取画像を読み出してRAM14に保存(複製保存)することにより、第1読取画像をハードディスク装置16に残しておくようにしてもよい。ただし、ハードディスク装置16の記憶容量を増やす上では、ハードディスク装置16から第1読取画像をRAM14へ移動することが好ましい。
【0275】
続いてCPU11は、スキャナ部22による原稿の読取動作を第1読取画像のみを読み取って取得し消去用光源36を点灯させない動作に変更し、原稿の走査読み取りを継続する。そして、走査毎に順次取得した第1読取画像(ライン単位の第1読取画像)をRAM14に順次保存し、原稿画像の全領域の読み取りを完了させ、RAM14に一時保存した第1読取画像(原稿の読取画像)に対する通常トナー用の出力処理を実行し(ステップS121(詳細は図10のステップS206〜S210参照))、本原稿に対する読み取りおよび出力を終了する(End)。
【0276】
第1読取画像と第2読取画像を比較した結果、両画像が異なり(ステップS109;No)、原稿の画像に消色トナーが使用されていると判断した場合には(ステップS111)、CPU11は、ハードディスク装置16に一時保存した第1読取画像に、識別情報を関連付けて記憶する(図12のステップS401に相当)。
【0277】
続いてCPU11は、スキャナ部22による原稿の読取動作を第1読取画像のみを読み取って取得し消去用光源36を点灯させて原稿の画像を消去する動作に変更し、原稿の走査読み取りを継続する。走査毎に順次取得した第1読取画像(ライン単位の第1読取画像)をハードディスク装置16の第1所定領域に順次保存し、原稿画像の全領域の読み取りを完了させ、不揮発メモリ15の第1所定領域に一時保存した第1読取画像(原稿の読取画像)に対する消色トナー用の出力処理を実行する。または、スキャナ部22による原稿の読取動作を停止し出力動作を禁止する(ステップS123)。ステップS123の詳細は、図24における同ステップと同じ内容である(詳細は図12のステップS402〜S406およびステップS408〜S419参照)。
【0278】
CPU11は、出力処理を完了すると、または、出力動作を禁止にすると、ハードディスク装置16に一時保存していた第1読取画像および識別情報を消去し(ステップS124(図12のステップS407に相当))、本原稿に対する読み取りおよび出力を終了する(End)。
【0279】
(4)トナー種混在判別・安全性重視
図27は、複合機10による消去読取モードのトナー種混在判別および安全性重視の動作を示す流れ図である。
【0280】
図27におけるステップS096〜S100は、図24における同ステップと同じ内容であり、説明を省略する。
【0281】
CPU11は、スキャナ部22により原稿の走査読み取りを行い、特定波長光を照射する前に読み取って取得した第1読取画像をハードディスク装置16の第1所定領域に一時保存し(ステップS101〜ステップS103B)、特定波長光を照射した後に読み取って取得した第2読取画像をハードディスク装置16の第2所定領域に一時保存する(ステップS104〜ステップS108B)。
【0282】
処理速度重視の図25では、取得した第1読取画像と第2読取画像を、まずRAM14に保存するようにしていたが、安全性重視の場合は、取得した第1読取画像と第2読取画像を、まずハードディスク装置16にに保存する。またこの場合も、原稿画像の一部領域(所定の一部領域)の第1読取画像と第2読取画像を取得し、ハードディスク装置16に一時保存する。
【0283】
この一部領域の第1読取画像と第2読取画像を比較した結果、両画像が同じである場合には、CPU11は原稿の走査読み取りを継続し、次の一部領域の第1読取画像と第2読取画像を取得してハードディスク装置16に一時保存し、比較を行う。両画像が同じであれば、この一部領域毎の第1読取画像と第2読取画像の読み取り取得、ハードディスク装置16への一時保存、比較を繰り返す。
【0284】
全ての一部領域(原稿画像の全領域)に対する第1読取画像と第2読取画像の比較を行い、同じであった場合には(ステップS109;Yes)、CPU11は原稿画像の全領域に通常トナーが使用されている判断し(ステップS110)、ハードディスク装置16の第1所定領域に一時保存している第1読取画像(原稿画像の全領域の第1読取画像)をRAM14に移動し一時保存する(ステップS130)。ハードディスク装置16においては、一時保存していた第1読取画像がRAM14に移動されることで消去される。
【0285】
なお、不揮発メモリ15から第1読取画像を読み出してRAM14に保存(複製保存)することにより、第1読取画像をハードディスク装置16に残しておくようにしてもよい。ただし、ハードディスク装置16の記憶容量を増やす上では、ハードディスク装置16から第1読取画像をRAM14へ移動することが好ましい。また、第1読取画像に代えて、第1読取画像と同一である第2読取画像をハードディスク装置16からRAM14に移動し保存(または複製保存)するようにしてもよく、第1読取画像と第2読取画像を共にハードディスク装置16からRAM14に移動し保存(または複製保存)するようにしてもよい。また、第1読取画像と第2読取画像のうちの一方をハードディスク装置16からRAM14に移動する場合、ハードディスク装置16の記憶容量を増やす上では、RAM14に移動せずにハードディスク装置16に残っている他方の読取画像をハードディスク装置16から消去することが好ましい。
【0286】
CPU11は、RAM14に一時保存した第1読取画像(または第2読取画像)に対する通常トナー用の出力処理を実行し(ステップS131(詳細は図14のステップS507〜S510参照))、本原稿に対する読み取りおよび出力を終了する(End)。
【0287】
一方、一部領域の第1読取画像と第2読取画像を比較した結果、両画像が異なる場合には(ステップS109;No)、CPU11は原稿の画像に消色トナーが使用されていると判断する(ステップS111)。さらに、原稿の走査読み取りを継続し、以降は走査毎に順次取得した第1読取画像(ライン単位の第1読取画像)をハードディスク装置16の第1所定領域に順次保存すると共に、走査毎に順次取得した第2読取画像(ライン単位の第2読取画像)をハードディスク装置16の第2所定領域に順次保存し、原稿画像の全領域の読み取りを完了させる。なお、原稿の画像に消色トナーが使用されていることを既に判断しているので、以降の走査読み取りで取得した第1読取画像と第2読取画像の比較は行わない。
【0288】
そして、図25と同様にステップS133とステップS134を行い、本原稿に対する読み取りおよび出力を終了する(End)。
【0289】
このように、本実施形態の消去読取モードによる原稿の読み取りでは、原稿の読取画像をハードディスク装置16に一時保存することで、複合機10に予期しない電源オフが発生しても、そのハードディスク装置16に保存されている読取画像は消失せずに保全される。これにより、消去読取モードによる読み取りで画像が消去された原稿に対し、その読取画像の出力完了前に複合機10に予期しない電源オフが発生しても、複合機10を再起動し、消失せずにハードディスク装置16に保存(保全)されている読取画像を使用して、元の原稿と同じ原稿を復元(再作成)することができる。
【0290】
また、図24と図25に示したように、原稿の読取画像(第1読取画像および第2読取画像)をまずRAM14に保存しておき、原稿の画像に消色トナーが使用されていると判断(判明)した時点で、RAM14に保存されておいた読取画像(図24では第1読取画像のみ/図25では第1読取画像および第2読取画像)をハードディスク装置16に移動させて保存する場合は、その判断時点まではハードディスク装置16よりもアクセス速度が早いRAM14に読取画像を保存するので、処理速度の低下が抑えられる。また、最終的に原稿の画像に消色トナーが使用されていないと判断した場合は、RAM14に保存されている読取画像にアクセスして出力を行うことになり、この場合も処理速度の低下が抑えられる。
【0291】
また、図26と図27に示したように、原稿の読取画像(第1読取画像および第2読取画像)を最初からハードディスク装置16に保存する場合は、複合機10の予期しない電源オフよる読取画像の消失に対する安全性(原稿の復元性)が高められる。また、原稿の画像に消色トナーが使用されていないと判断(判明)した時点で、ハードディスク装置16に保存されている読取画像(第1読取画像と第2読取画像のうちの少なくとも一方)をRAM14に移動して保存するので、ハードディスク装置16に保存されている読取画像にアクセスして出力を行う場合に比べて、処理速度の低下が抑えられる。
【0292】
また、図25と図27に示したように、トナー種混在を判別する動作で複合機10に予期しない電源オフが発生しても、第1読取画像と第2読取画像を共にハードディスク装置16に保存しているので、両読取画像を消失から保護することができる。複合機10の再起動後は、それらの第1読取画像と第2読取画像を使用して、通常トナーと消色トナーの画像領域が混在している元の原稿と同じ原稿を復元(再作成)することができる。
【0293】
また、原稿の読取動作を開始する前にハードディスク装置16の空き容量を確認し、その空き容量が所定容量以下の場合は読取動作を禁止することで、原稿の読取画像をハードディスク装置16の空き容量不足でハードディスク装置16に保存できないといった事態を回避することができる。
【0294】
また、本実施形態の消去読取モードによる原稿のコピーでは、消色トナーが使用されている原稿に対しては、その原稿を複写した印刷物が複合機10の排紙トレイ(排出部)に出力(排出)されたことをセンサなどの検知部で検知してから、ハードディスク装置16に一時保存している読取画像を消去するようにしてもよい。この場合は、印刷物が排紙トレイへの排出経路でジャムになり破損や破断しても、消去されずにハードディスク装置16に残っている読取画像を使用して再出力することができる。また、ジャムの発生で再出力を行った場合も、その印刷物が排紙トレイに正常に出力されたことを検知すると、ハードディスク装置16に一時保存されている読取画像は消去されるので、その印刷物は一部のみの出力に制限されることになる。
【0295】
以上、本発明の実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0296】
読取用光源による照明光と消去用光源による特定波長光の照射タイミングは、図6で説明したような交互に照射するものに限らない。たとえば、図2や図19に示したように、ラインイメージセンサ(読取部)によるライン状の読取範囲へ向けて照明光と特定波長光とを照射できる構成であれば、同一ラインに対する照明光と特定波長光の照射期間が一部重複したり、照明光を連続照射している間に特定波長光を間欠的に照射したりするなどしてもよい。
【0297】
消色トナーが使用されている原稿の複写では、ユーザ設定にかかわらず強制的に印刷部数を1部に制限して出力するようにしてもよい。
【0298】
消色トナーが使用されている原稿の複写では、複写した記録紙に消色トナーでダミー画像を印刷する例を説明したが、端末装置から依頼する消色トナー指定(選択)のドキュメントの印刷においてこのダミー画像を印刷するか否かが選択できるようにしてもよい。
【0299】
消色可能な印刷剤は、電子写真方式の画像処理装置(複合機)を例に消色トナーとした場合で説明したが、インクジェット方式のプリンタで使用される、特定波長光の照射で消色(無色化)する消色インクなどでもよい。
【0300】
また、実施形態で説明した複合機10におけるスキャナ部22と、読取部(ラインイメージセンサ35など)により読み取った原稿の第1読取画像と第2読取画像とに基づいて原稿の画像に消色トナーが使用されているか否かを判断し、その判断結果を出力する制御部とを備えた画像読取装置を構成するようにしてもよい。
【0301】
本構成の画像読取装置では、原稿を読み取る際に原稿の画像に消色トナーが使用されているか否かを正確に判断(判別)し、その正確な判断結果を出力することができる。たとえば、画像読取装置から読取画像とその判断結果を受けたプリンタ機やファクシミリ機、プリントサーバなどの画像出力装置が判断結果に応じて出力動作を変更する、あるいは、判断結果の表示をユーザが確認して原稿の読取動作を変更したり、原稿の読取画像の出力動作を変更したりすることもできる。たとえば、原稿の画像に消色トナーが使用されていると判断した場合は読み取りを手動停止したり、原稿の読取画像の出力動作を手動変更したりすることもできる。たとえば手動で、プリンタ機、ファクシミリ機、外部記憶装置、端末装置やサーバなどへの読取画像の出力を停止したり制限したりするなどの変更を行うことができる。これにより、消色トナーで印刷されている原稿内の情報の漏洩を抑制することも可能となる。
【0302】
原稿を読み取って取得した第1読取画像と第2読取画像、これらの差分画像、および識別情報の一時保存には、RAM14やハードディスク装置16を使用する他に不揮発メモリ15を使用してもよい。
【0303】
また、第1の実施形態では上記の読取画像や差分画像の一時保存用として、RAM14(揮発性メモリ)を使用しているが、RAM14と不揮発性メモリ(不揮発メモリ15/ハードディスク装置16の仮想メモリ領域など)を併用するようにしてもよい。このRAM14と不揮発性メモリの併用では、RAM14の容量の使用状況に応じて、一時保存先をRAM14から不揮発性メモリに切り替えたり、不揮発性メモリからRAM14に切り替えたりするようにしてもよい。
【0304】
また、本発明に係る画像処理装置は、実施形態で説明した複合機に限らず、複写機、ファクシミリ機、スキャナ機なども対象にすることができる。
【符号の説明】
【0305】
10…複合機
11…CPU
12…バス
13…ROM
14…RAM
15…不揮発メモリ
16…ハードディスク装置
17…表示部
18…操作部
19…ファクシミリ通信部
20…ネットワーク通信部
21…画像処理部
22(22a、22b、22c、22d)…スキャナ部
23…プリンタ部
24…接続部
25…通常トナー残量検知部
26…消色トナー残量検知部
31…プラテンガラス
32a、32b、32c…読取装置
33…移動機構
34…読取用光源
35…ラインイメージセンサ
36…消去用光源
37…反射板
38…保持部材
39…ミラー
41…原稿給紙トレイ
42…搬送経路
43…搬送機構
43a…送り出しローラ
43b…搬送ローラ
43c…排出ローラ
43d…第1読取ローラ
43e…第2読取ローラ
44…排紙トレイ
45…第1読取部
46…消去用光源
47…第2読取部
48…スリット
50…ダミー画像
60…読取モード設定画面
61…通常読取モード選択ボタン
62…消去読取モード選択ボタン
63…確定ボタン
70…プラテンカバーロック設定画面
71…ロック制御OFF選択ボタン71
72…ロック制御ON1選択ボタン72
73…ロック制御ON2選択ボタン73
74…確定ボタン
Im…原稿画像
I1…第1読取画像
I2…第2読取画像
I3…差分画像
IR…特定波長光
La…照明光
Lb…反射光
M…原稿
P…記録紙
S…読取範囲
S1…読取範囲(第1読取範囲)
S2…読取範囲(第2読取範囲)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取るための照明光を原稿に照射する読取用光源と、
特定波長光の照射により消色する消色印刷剤を消色させる該特定波長光を原稿に照射する消去用光源と、
前記読取用光源により照明光が照射された原稿からの反射光を受光して原稿を読み取る読取部と、
前記読取部により読み取られた原稿の読取画像を出力する出力部と、
原稿に前記読取用光源により照明光を照射して前記読取部により第1読取画像を読み取り、該第1読取画像を読み取った前記原稿の領域に前記消去用光源により特定波長光を照射し、該特定波長光の照射により前記消色印刷剤であれば消色されている該領域に前記読取用光源により照明光を照射して前記読取部により第2読取画像を読み取り、前記第1読取画像と前記第2読取画像とに基づいて、前記原稿の画像に前記消色印刷剤が使用されているか否かを判断し、該判断結果に応じて前記原稿の読取動作および前記原稿の読取画像の出力動作のうちの少なくとも一方の動作を変更する制御部と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記読取部は、所定サイズの読取範囲で原稿を一部領域毎に読み取り、
前記読取用光源と前記消去用光源とは、前記読取範囲へ向けて光照射し、
当該画像処理装置は、前記読取範囲および該読取範囲へ向けて光照射する前記読取用光源および前記消去用光源と、原稿とを相対移動させる移動部とを備え、
前記制御部は、前記読取部の前記読取範囲に位置する原稿に前記読取用光源により照明光を照射して前記読取部により前記原稿の一部領域の第1読取画像を読み取り、該一部領域に前記消去用光源により特定波長光を照射し、該特定波長光の照射により前記消色印刷剤であれば消色されている該一部領域に前記読取用光源により照明光を照射して前記読取部により該一部領域の第2読取画像を読み取る
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記原稿の読取動作中に該原稿の画像に前記消色印刷剤が使用されていると判断した場合は、読取動作を停止する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記原稿の読取動作中に該原稿の画像に前記消色印刷剤が使用されていると判断した場合は、前記第2読取画像の読み取りを停止し、前記第1読取画像の読み取りと前記消去用光源による特定波長光の照射とを継続して完了させる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記原稿の読取動作中に該原稿の画像に前記消色印刷剤が使用されていると判断した場合、または、前記消色印刷剤が使用されていないと判断した場合は、前記消去用光源による特定波長光の照射と前記第2読取画像の読み取りとを停止し、前記第1読取画像の読み取りを継続して完了させる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記原稿の画像に前記消色印刷剤が使用されていると判断した場合は、出力動作を禁止する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記出力動作は、印刷剤を使用して記録紙に画像を印刷する印刷動作を含み、
前記印刷剤は、前記消色印刷剤と、前記特定波長光の照射により消色しない非消色印刷剤とを含み、
前記制御部は、前記原稿の画像に前記消色印刷剤が使用されていると判断した場合は、該原稿の読取画像に対して行う出力動作を前記消色印刷剤を使用して記録紙に該読取画像を印刷する限定出力動作に制限する
ことを特徴とする請求項1、2、4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記原稿の画像に前記消色印刷剤が使用されていないと判断した場合は、該原稿の読取画像に対して行う出力動作として前記印刷動作を行う場合は前記非消色印刷剤を使用して記録紙に該読取画像を印刷する
ことを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1読取画像と前記第2読取画像とが異なり、かつ、前記第1読取画像と前記第2読取画像とに一致する同領域と一致しない異領域とが存在する場合は、前記原稿における前記同領域に対応する画像領域には前記消色印刷剤が使用されていないと判断し、前記異領域に対応する画像領域には前記消色印刷剤が使用されていると判断し、該原稿の読取画像に対して行う前記限定出力動作では、少なくとも前記異領域は前記消色印刷剤を使用して印刷する
ことを特徴とする請求項7または8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記限定出力動作では、前記同領域は前記非消色印刷剤を使用して印刷する
ことを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記限定出力動作では、印刷部数を1部に制限する
ことを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記限定出力動作を行う場合は、前記読取動作が完了してから印刷動作を開始する
ことを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記限定出力動作では、前記記録紙の上縁部と下縁部のうちの少なくとも一方に前記消色印刷剤を使用してダミー画像を印刷する
ことを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記印刷動作で使用する前記消色印刷剤の残量を検知する検知部を備え、
前記制御部は、前記検知部により前記消色印刷剤の残量が所定量以下であることが検知された場合は、前記限定出力動作も行わない
ことを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記出力動作は、前記読取画像を外部装置に転送する転送動作を含み、
前記制御部は、前記消色印刷剤が使用されていると判断した原稿の読取画像を外部装置に転送する場合は、前記限定出力動作を実行可能な外部装置への転送のみを許可する
ことを特徴とする請求項7〜13のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記消色印刷剤が使用されていると判断した原稿の読取画像を当該画像処理装置内に保存する場合は、該読取画像の読み取り元の原稿の画像に消色印刷剤が使用されていることを示す識別情報を該読取画像に関連付けて保存し、前記識別情報が関連付けられて保存されている読取画像を出力する場合は、前記限定出力動作のみを許可する
ことを特徴とする請求項7〜15のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記識別情報が関連付けられて保存されている読取画像を前記限定出力動作で出力した場合は、保存されている該読取画像と該識別情報とを消去する
ことを特徴とする請求項16に記載の画像処理装置。
【請求項18】
前記制御部は、前記限定出力動作に替えて、前記異領域を所定画像に置換した前記読取画像を前記非消色印刷剤を使用して印刷する
ことを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項19】
前記印刷動作で使用する前記消色印刷剤の残量を検知する検知部を備え、
前記制御部は、前記検知部により前記消色印刷剤の残量が所定量以下であることが検知された場合に、前記限定出力動作に替えて、前記印刷を行う
ことを特徴とする請求項18に記載の画像処理装置。
【請求項20】
前記読取部により読み取られる原稿がセットされる原稿台と、
前記原稿台にセットされた原稿を取り出し可能に保持する第1保持状態と該原稿を取り出し不能に保持する第2保持状態とに切り替え可能な保持部とを備え、
前記制御部は、前記原稿の読取動作では前記保持部を前記第2保持状態に切り替え、前記読取動作を終えると前記保持部を前記第1保持状態に切り替える
ことを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項21】
前記読取部により読み取られる原稿がセットされる原稿台と、
前記原稿台にセットされた原稿を取り出し可能に保持する第1保持状態と該原稿を取り出し不能に保持する第2保持状態とに切り替え可能な保持部とを備え、
前記制御部は、前記保持部を前記第1保持状態にして前記原稿の読取動作を開始し、該読取動作中に前記原稿の画像に前記消色印刷剤が使用されていると判断した場合は前記保持部を前記第2保持状態に切り替え、前記読取動作を完了すると前記保持部を前記第1保持状態に切り替える
ことを特徴とする請求項1、2、4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項22】
不揮発性記憶部を備え、
前記制御部は、前記第1読取画像を前記不揮発性記憶部に保存する
ことを特徴とする請求項1〜21のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項23】
前記制御部は、前記第2読取画像を前記不揮発性記憶部に保存する
ことを特徴とする請求項22に記載の画像処理装置。
【請求項24】
揮発性記憶部を備え、
前記制御部は、前記不揮発性記憶部に保存する読取画像を、前記原稿の画像に前記消色印刷剤が使用されていると判断するまでは前記揮発性記憶部に保存しておき、前記原稿の画像に前記消色印刷剤が使用されていると判断した場合に、前記揮発性記憶部に保存しておいた読取画像を前記不揮発性記憶部に保存する
ことを特徴とする請求項22または23に記載の画像処理装置。
【請求項25】
揮発性記憶部を備え、
前記制御部は、前記原稿の画像に前記消色印刷剤が使用されていないと判断した場合に、前記不揮発性記憶部に保存されている読取画像を前記揮発性記憶部に保存する
ことを特徴とする請求項22または23に記載の画像処理装置。
【請求項26】
前記制御部は、前記不揮発性記憶部の空き容量を確認し、その空き容量が所定容量以下の場合は、読取動作を禁止する
ことを特徴とする請求項22〜25のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項27】
原稿を読み取るための照明光を原稿に照射する読取用光源と、
特定波長光の照射により消色する消色印刷剤を消色させる該特定波長光を原稿に照射する消去用光源と、
前記読取用光源により照明光が照射された原稿からの反射光を受光して原稿を読み取る読取部と、
前記読取部により読み取られた原稿の読取画像を出力する出力部と、
原稿に前記読取用光源により照明光を照射して前記読取部により第1読取画像を読み取り、該第1読取画像を読み取った前記原稿の領域に前記消去用光源により特定波長光を照射し、該特定波長光の照射により前記消色印刷剤であれば消色されている該領域に前記読取用光源により照明光を照射して前記読取部により第2読取画像を読み取り、前記第1読取画像と前記第2読取画像とに基づいて、前記原稿の画像に前記消色印刷剤が使用されているか否かを判断し、該判断結果を出力する制御部と、
を備えた画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−193429(P2011−193429A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−162319(P2010−162319)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】