説明

画像処理装置及びこれを備えた画像形成装置

【課題】編集後における画像情報の視認性を向上させることができる画像処理装置を提供すること。
【解決手段】テキスト情報を保持した状態の画像情報を表示可能な表示部711と、表示部711の表示領域に表示された画像情報において選択された範囲を画像情報の選択範囲として設定する範囲設定部901と、範囲設定部901により設定された選択範囲における画像情報の編集内容を設定する内容設定部902と、選択範囲における画像情報に保持されるテキスト情報及び内容設定部902により設定された画像情報の編集内容に基づいて、選択範囲における画像情報を編集する編集部903と、編集部903により編集された画像情報を表示部711に表示させる表示制御部904と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿読取部と、原稿読取部で読み取った原稿の画像情報を表示可能な表示部と、表示部に表示された画像情報を編集する編集部とを備える画像処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の画像処理装置は、原稿を原稿読取部で読み取り、原稿読取部で読み取った原稿の画像情報を表示部に表示させて、表示部上において、選択された範囲の画像情報を拡大又は縮小するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−126401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の画像処理装置においては、原稿読取部で読み取った画像情報そのものを拡大又は縮小するため、画像情報を拡大又は縮小することにより画像情報が劣化する可能性がある。そのため、表示部に表示された画像情報を拡大又は縮小すると、文字等の画像情報の視認性が低下する可能性がある。従って、拡大又は縮小(編集)後における画像情報の視認性を向上させることができる画像処理装置が望まれている。
【0005】
本発明は、表示部に表示された画像情報を編集する編集部を備え、編集後における画像情報の視認性を向上させることができる画像処理装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記画像処理装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、テキスト情報を保持した状態の画像情報を表示可能な表示部と、前記表示部の表示領域に表示された前記画像情報において選択された範囲を前記画像情報の選択範囲として設定する範囲設定部と、前記範囲設定部により設定された前記選択範囲における前記画像情報の編集内容を設定する内容設定部と、前記選択範囲における前記画像情報に保持される前記テキスト情報及び前記内容設定部により設定された前記画像情報の編集内容に基づいて、前記選択範囲における前記画像情報を編集する編集部と、前記編集部により編集された前記画像情報を前記表示部に表示させる表示制御部と、を備える画像処理装置に関する。
【0007】
また、前記内容設定部により設定される編集内容は、前記画像情報の拡大、前記画像情報の縮小、前記画像情報の文字のフォントの変更、前記画像情報の色の変更及び前記画像情報の濃度の変更のうちのいずれか1つ以上であり、前記編集部は、前記内容設定部により設定された編集内容に基づいて、前記選択範囲における前記画像情報を編集することが好ましい。
【0008】
また、前記内容設定部により設定される編集内容は、前記画像情報の拡大であり、前記編集部は、前記選択範囲における前記画像情報を拡大すると共に、前記選択範囲の範囲外の前記画像情報に保持される前記テキスト情報に基づいて、前記選択範囲の範囲外の前記画像情報の全てを前記表示部の前記表示領域に表示させるように、前記選択範囲の範囲外における前記画像情報を編集することが好ましい。
【0009】
また、前記表示部の前記表示領域のサイズ及び前記選択範囲のサイズに基づいて、前記画像情報を拡大する際における前記選択範囲の前記画像情報の拡大サイズ又は拡大率の上限を設定する上限設定部を更に備え、前記内容設定部は、前記上限設定部により設定された拡大サイズ又は拡大率の上限よりも大きい前記選択範囲の前記画像情報の拡大サイズ又は拡大率を設定できないことが好ましい。
【0010】
また、本発明は、前記画像処理装置を備える画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、表示部に表示された画像情報を編集する編集部を備え、編集後における画像情報の視認性を向上させることができる画像処理装置を提供することができる。
また、本発明によれば、前記画像処理装置を備える画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】コピー機1の全体構成を説明するための図である。
【図2】コピー機1の機能構成を示すブロック図である。
【図3】コピー機1の操作部70の構成を示す図である。
【図4】選択範囲の画像情報を拡大する場合について説明する図である。
【図5】選択範囲の画像情報を拡大サイズの上限に拡大した場合について説明する図である。
【図6】本発明のコピー機1の画像処理装置100の動作を説明するフローチャートである。
【図7】コピー機1の他の実施形態であって、選択範囲の画像情報を縮小する場合について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の情報処理装置の一実施形態について説明する。なお、本実施形態では、情報処理装置が画像形成装置の一例であるコピー機に搭載された場合について説明する。このため、まず、コピー機について説明する。図1は、コピー機1の全体構成を説明するための図である。
【0014】
コピー機1は、原稿搬送部10と、原稿読取部20と、用紙搬送部30と、画像形成部40と、転写部50と、定着部60とを備える。
原稿搬送部10は、ADF(Automatic Document Feeder)であり、原稿載置部11と、第1送りローラー12と、ガイド13と、タイミングローラー対14と、原稿排出部15とを備える。第1送りローラー12は、原稿載置部11に載置された原稿Gを1枚ずつ順にタイミングローラー対14に供給する。タイミングローラー対14は、原稿読取部20が原稿Gの画像を読み取るタイミングと、原稿Gの画像が原稿読取部20によって読み取られる位置(ガイド13が配置されている位置)に原稿Gを供給するタイミングとを合わせるために、原稿Gの搬送又は原稿Gの搬送停止を行う。ガイド13は、搬送された原稿Gを後述する第1読取面21aに導く。原稿排出部15は、原稿読取部20によって画像が読み取られた(ガイド13を通過した)原稿Gをコピー機本体2の外部に排出する。
原稿排出部15におけるコピー機本体2の外側には、原稿集積部16が形成される。原稿集積部16には、原稿排出部15から排出された原稿Gが積層して集積される。
【0015】
原稿読取部20は、第1読取面21aと、第2読取面22aとを備える。第1読取面21aは、ガイド13に対向して配置された第1コンタクトガラス21の上面に沿って形成され、原稿Gの画像を読み取る面となる。第2読取面22aは、第1読取面21aに隣接して(図1に示す場合では、第1読取面21aの右側の大部分に亘って)配置される。第2読取面22aは、原稿搬送部10を用いずに原稿Gの画像を読み取る場合に用いられる。第2読取面22aは、原稿Gが載置される第2コンタクトガラス22の上面に沿って形成され、原稿Gの画像を読み取る面となる。
【0016】
また、原稿読取部20は、照明部23と、第1ミラー24と、第2ミラー25と、第3ミラー26と、結像レンズ27と、撮像部28とをコピー機本体2の内部に備える。照明部23と第1ミラー24とは、それぞれ副走査方向Xに移動する。第2ミラー25と第3ミラー26とは、図1において照明部23及び第1ミラー24の左側に配置される。さらに、第2ミラー25及び第3ミラー26は、第1ミラー24と、第2ミラー25と、第3ミラー26と、結像レンズ27とを介した第1読取面21a又は第2読取面22aから撮像部28までの距離(光路長)を一定に保ちつつ、それぞれ副走査方向Xに移動する。
【0017】
照明部23は、原稿Gに光を照射する光源である。第1ミラー24、第2ミラー25及び第3ミラー26は、光路長を一定に保ちつつ、原稿Gによって反射された光を結像レンズ27に導くためのミラーである。結像レンズ27は、第3ミラー26から入射した光を撮像部28に結像させる。撮像部28は、入射された光を電気信号に変換することにより、結像された光像に基づいて画像データを得るための撮像素子であり、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサーである。
【0018】
用紙搬送部30は、第2送りローラー31と、第3送りローラー32と、レジストローラー対33と、用紙排出部34とを備える。第2送りローラー31は、給紙カセット36に収容される用紙Tを転写部50に供給する。第3送りローラー32は、手差しトレイ37に載置される用紙Tを転写部50に供給する。レジストローラー対33は、転写部50にトナー画像が形成されるタイミングと、転写部50に用紙Tを供給するタイミングとを合わせるために、用紙Tの搬送又は用紙Tの搬送停止を行う。また、レジストローラー対33は、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正を行う。用紙排出部34は、トナー画像が定着された用紙Tをコピー機本体2の外部に排出する。
用紙排出部34におけるコピー機本体2の外側には、排紙集積部35が形成される。排紙集積部35には、用紙排出部34から排出された用紙Tが積層して集積される。
【0019】
画像形成部40は、感光体ドラム41と、帯電部42と、レーザースキャナーユニット43と、現像器44と、クリーニング部45と、トナーカートリッジ46と、1次転写ローラー47と、中間転写ベルト48と、対向ローラー49とを備える。
感光体ドラム41(41a,41b,41c,41d)は、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローそれぞれのトナー画像を形成するために、感光体又は像担持体として機能する。各感光体ドラム41a,41b,41c,41dの周囲には、感光体ドラム41の回転方向に沿って上流側から下流側へ順に、帯電部42と、レーザースキャナーユニット43と、現像器44と、クリーニング部45とが配置される。帯電部42は、感光体ドラム41の表面を帯電させる。レーザースキャナーユニット43は、感光体ドラム41の表面から離れて配置され、原稿読取部20によって読み取られた原稿Gに関する画像データに基づいて感光体ドラム41の表面を走査露光する。これにより、感光体ドラム41の表面には、露光された部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。現像器44は、感光体ドラム41の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成する。クリーニング部45は、除電器(図示せず)によって感光体ドラム41の表面が除電された後のその表面に残るトナー等を除去する。
トナーカートリッジ46は、現像器44に供給される各色のトナーを収容する。トナーカートリッジ46と現像器44とは、トナー供給路(図示せず)により接続されている。
【0020】
1次転写ローラー47(47a,47b,47c,47d)は、中間転写ベルト48における各感光体ドラム41a,41b,41c,41dとは反対側にそれぞれ配置される。中間転写ベルト48は、画像形成部40及び転写部50を通過するベルトである。中間転写ベルト48の一部分は、各感光体ドラム41a,41b,41c,41dと各1次転写ローラー47a,47b,47c,47dとの間に挟み込まれ、各感光体ドラム41a,41b,41c,41dの表面に形成されたトナー画像が1次転写される。対向ローラー49は、環状形状の中間転写ベルト48の内側に配置され、中間転写ベルト48を図1に示す矢印A方向に進行させるための駆動ローラーである。
【0021】
転写部50は、2次転写ローラー51を備える。2次転写ローラー51は、中間転写ベルト48における対向ローラー49とは反対側に配置され、中間転写ベルト48の一部分を対向ローラー49との間に挟みこむ。さらに、2次転写ローラー51は、中間転写ベルト48に1次転写されたトナー画像を用紙Tに2次転写させる。
【0022】
定着部60は、加熱回転体61と、加圧回転体62とを備える。加熱回転体61と加圧回転体62とは、トナー画像が2次転写された用紙Tを挟み込んで、トナーを溶融及び加圧し、そのトナーを用紙Tに定着させる。
【0023】
次に、コピー機1の機能構成について説明する。図2は、コピー機1の機能構成を示すブロック図である。
コピー機1は、上述した構成要素(原稿搬送部10、原稿読取部20、用紙搬送部30、画像形成部40、転写部50及び定着部60)を備える。用紙搬送部30、画像形成部40、転写部50及び定着部60によりエンジン部3が構成される。なお、図1を用いて説明した構成要素については、その説明を省略する。
さらに、コピー機1は、上述した機能構成に加えて、操作部70と、記憶部80と、制御部90とを備える。
【0024】
操作部70は、タッチパネル71、テンキー72(図3参照)、及びスタートキー73(図3参照)等を備える。タッチパネル71は、種々の機能(一例として、印刷倍率の設定機能や、複数のページを1枚の用紙Tに割り付ける機能(2in1等)や、画像情報を編集する際における編集内容の設定機能)が割り当てられた複数のキー等を表示する。タッチパネル71に表示されたキーは、種々の機能のうちのいずれかをコピー機1に実行させるために操作される。テンキー72は、印刷部数等の数字を入力するために操作される。スタートキー73は、印刷を実行させるために操作される。操作部70は、いずれかのキーが操作されることにより、このキーが操作されたことを表す信号を制御部90に供給する。
【0025】
記憶部80は、ハードディスクや半導体メモリー等から構成される。記憶部80は、原稿読取部20によって読み取られた原稿Gに基づく画像データを記憶する。また、記憶部80は、コピー機1において利用される制御プログラム、及びこの制御プログラムによって利用されるデータ等を記憶する。
【0026】
制御部90は、原稿搬送部10、原稿読取部20、エンジン部3、操作部70等を制御する。
【0027】
ここで、上記操作部70、上記記憶部80及び上記制御部90を主な構成として、画像処理装置100が構成されている。画像処理装置100について説明する。図3は、コピー機1の操作部70の構成を示す図である。図4は、選択範囲の画像情報を拡大する場合について説明する図である。図5は、選択範囲の画像情報を拡大サイズの上限に拡大した場合について説明する図である。
操作部70、記憶部80及び制御部90について詳述する。操作部70は、タッチパネル71を備える。タッチパネル71は、表示部711と、検知部712とを有する。
【0028】
表示部711は、テキスト情報を保持した状態の画像情報を表示可能である。テキスト情報を保持した状態の画像情報とは、文字コードによって表されるデータが含まれる画像情報である。
本実施形態においては、テキスト情報を保持した状態の画像情報を「テキスト形式の画像情報」ともいう。一方、テキスト情報を含まない画像情報を「画像形式の画像情報」ともいう。画像形式の画像情報としては、例えば、BMP(bitmap)形式の画像情報、TIFF(Tagged Image File Format)形式の画像情報、GIF(Graphics Interchange Format)形式の画像情報等がある。
【0029】
表示部711には、図3に示すように、アイコン110を複数表示することが可能である。アイコン110は、表示部711に表示されるボタンのことである。
【0030】
検知部712は、表示部711に対する接触物の接触を検知する。接触物は、ユーザの指やスタイラスと呼ばれる入力用ペン111(図3参照)等である。検知部712は、接触物による表示部711への接触を検知した場合に、接触物が接触した位置を示す位置情報を制御部90に出力する。検知部712の検出方式は、例えば、抵抗膜式や静電容量式等である。
【0031】
制御部90は、図2に示すように、範囲設定部901と、内容設定部902と、編集部903と、表示制御部904と、上限設定部905と、テキスト変換部906とを備える。
【0032】
範囲設定部901は、表示部711の表示領域に表示された画像情報において選択された範囲を画像情報の選択範囲として設定する。具体的には、範囲設定部901は、表示部711に対する接触物の接触の軌跡により、表示部711の表示領域に表示された画像情報の所定範囲が選択された場合に、図4に示すように、その選択された範囲を画像情報の選択範囲Bとして設定する。なお、本実施形態においては、図3における「エリア指定」のアイコン110Aが選択された場合に、範囲設定部901による画像情報の選択範囲の設定が可能な状態となる。
【0033】
内容設定部902は、範囲設定部901により設定された選択範囲における画像情報の編集内容を設定する。内容設定部902により設定される編集内容としては、画像情報の拡大、画像情報の縮小、画像情報の文字のフォントの変更、画像情報の色の変更及び画像情報の濃度の変更等がある。なお、編集内容には、各種編集における詳細な編集内容(例えば、画像情報の拡大が選択された場合における文字の大きさの設定や、画像情報の文字のフォントの変更が選択された場合における文字のフォントの種類の設定等)が含まれる。
【0034】
本実施形態においては、図3に示すように、編集内容を設定可能なアイコン110として、表示部711には、画像情報の選択範囲を設定可能な状態に設定する機能を有する「エリア指定」のアイコン110A、画像情報の「拡大/縮小」を設定する機能を有するアイコン110B、「文字のフォントの変更」を設定する機能を有するアイコン110C、「画像情報の色の変更」を設定する機能を有するアイコン110D、「画像情報の濃度の変更」を設定する機能を有するアイコン110Eが設けられている。また、これらのアイコン110のうちのいずれかが選択された場合に、アイコン110の右のスペースには、各機能を詳細に設定可能なアイコン110Fが出現する。例えば、図3に示すように、「拡大/縮小」を設定するアイコン110Bを選択した場合には、「拡大/縮小」を設定するアイコン110Bの右隣のスペースには、文字サイズを設定可能なアイコン110Fが出現する。
【0035】
内容設定部902は、表示部711に対する入力用ペン111の接触により、表示部711に表示される所定のアイコン110が選択された場合に、選択されたアイコン110が有する機能にしたがって編集内容を設定する。
【0036】
また、内容設定部902は、後述する上限設定部905により設定された拡大サイズ又は拡大率の上限よりも大きい選択範囲の画像情報の拡大サイズ又は拡大率を設定できない。これは、上限設定部905により設定された拡大サイズ又は拡大率の上限が、選択範囲の画像情報を最も大きく拡大した後において、選択範囲の範囲外の画像情報が欠落せずに表示部711に表示させることができる上限の文字サイズであるためである。
【0037】
編集部903は、選択範囲における画像情報に保持されるテキスト情報及び内容設定部902により設定された画像情報の編集内容に基づいて、選択範囲における画像情報を編集する。編集部903は、選択範囲における画像情報について、例えば、画像情報の拡大や縮小、文字のフォントの変更、画像情報の色の変更、画像情報の濃度の変更等を実行することができる。
【0038】
また、編集部903は、選択範囲における画像情報を拡大する場合には、選択範囲の範囲外の画像情報に保持されるテキスト情報に基づいて、選択範囲の範囲外の画像情報の全てを表示部711の表示領域に表示させるように、選択範囲の範囲外における画像情報を編集する。具体的には、編集部903は、表示部711の表示領域のサイズや選択範囲のサイズや選択範囲の位置に基づいて、選択範囲の範囲外における画像情報を縮小したり位置を調整したりする。これにより、編集部903は、選択範囲の範囲外の画像情報の欠落を防止する。
【0039】
表示制御部904は、編集部903により編集された画像情報を表示部711に表示させる。具体的には、表示制御部904は、画像情報の拡大や縮小、文字のフォントの変更、画像情報の色の変更、画像情報の濃度の変更等がされた後の画像情報を、表示部711に表示させる。
【0040】
上限設定部905は、表示部711の表示領域のサイズ及び選択範囲のサイズに基づいて、画像情報を拡大する際における選択範囲の画像情報の拡大サイズ又は拡大率の上限を設定する。拡大サイズとは、拡大した後の画像情報のサイズ(文字のサイズ)のことである。拡大率とは、拡大する前の画像情報のサイズに対する拡大した後の画像情報のサイズのことである。拡大サイズ及び拡大率は、拡大する前の画像情報のサイズに基づいて適宜設定される。
【0041】
具体的には、上限設定部905は、選択範囲における画像情報を拡大する際において、画像情報の欠落を防止するため、画像情報を拡大する際における選択範囲の画像情報の拡大サイズ又は拡大率の上限を設定する。上限設定部905により設定される上限としては、例えば、編集後において、選択範囲の画像情報を最も大きく拡大した場合に、選択範囲の範囲外の画像情報が欠落せずに表示部711に表示される程度の拡大サイズ又は拡大率が設定される。本実施形態においては、拡大する際に設定可能な文字サイズの上限として、例えば、文字サイズ「10pt(ポイント)」が設定される。本実施形態においては、文字サイズ「10pt」は、図5に示すように、選択範囲の画像情報を最も大きく拡大した後において、選択範囲の範囲外の画像情報が欠落せずに表示部711に表示させることができる上限の文字サイズである。
【0042】
テキスト変換部906は、原稿読取部20によって読み取られた原稿Gの画像情報をテキスト形式の画像情報に変換する。テキスト変換部906は、原稿読取部20によって読み取られた原稿Gの画像情報を認識するために、例えば、光学文字認識(OCR:Optical Character Recognition)機能を利用する。
【0043】
記憶部80は、編集部903により編集を実行する際の制御プログラム等を記憶する。記憶部80は、選択範囲の画像情報を拡大する際における、選択範囲の範囲外の画像情報の縮小するための情報や、選択範囲の範囲外の画像情報を見やすく位置させるための配置に関する情報等を記憶する。
【0044】
次に、本実施形態における画像処理装置100の動作について、フローチャートを用いて説明する。図6は、本発明のコピー機1の画像処理装置100の動作を説明するフローチャートである。本実施形態においては、表示部711に表示された画像情報を拡大する場合におけるフローについて説明する。
【0045】
図6に示すように、ステップST1において、表示制御部904は、印刷する予定の画像情報を表示部711に表示させる。表示部711に表示される画像情報は、テキスト形式の画像情報である。このテキスト形式の画像情報は、例えば、原稿読取部20により読み取られた原稿Gの画像をテキスト変換部906(例えばOCR等)によってテキスト形式の画像情報に変換されたものである。
本実施形態においては、画像情報を拡大する前において、図3及び図4(編集前)に示すように、表示部711に表示されたテキスト形式の画像情報における各々の文字それぞれの文字サイズは「6pt(ポイント)」である。
【0046】
ステップST2において、範囲設定部901は、使用者により画像情報において選択された範囲を画像情報の選択範囲として設定する。具体的には、範囲設定部901は、「エリア指定」のアイコン110Aが選択された後に、使用者により画像情報を拡大する範囲が選択されることにより、表示部711に表示される画像情報における選択範囲B(図4参照)を設定する。
【0047】
ステップST3において、上限設定部905は、表示部711の表示領域のサイズ及び範囲設定部901により選択された選択範囲の画像情報のサイズに基づいて、画像情報を拡大する際における選択範囲の画像情報の拡大サイズ(拡大する文字サイズ)の上限を設定する。本実施形態においては、拡大する際に設定可能な文字サイズの上限として、例えば、文字サイズ「10pt」が設定される。これは、文字サイズ「10pt」が、図5に示すように、選択範囲の画像情報を最も大きく拡大した後において、選択範囲の範囲外の画像情報が欠落せずに表示部711に表示させることができる上限の文字サイズであるためである。
【0048】
ステップST4において、内容設定部902は、使用者により「拡大/縮小」のアイコン110Bが選択され且つアイコン110Fにおいて文字サイズ「8pt」が選択されることで、選択範囲における編集内容を、「画像情報の拡大」且つ文字サイズ「8pt」に設定する。内容設定部902は、使用者が選択した文字サイズ「8pt」が上限設定部905により設定された拡大サイズの上限である文字サイズ「10pt」以下であるため、編集内容として、「画像情報の拡大」且つ文字サイズ「8pt」が設定される。
【0049】
なお、本実施形態においては、仮に使用者が上限設定部905により設定された拡大サイズの上限である「10pt」よりも大きい値になるようにアイコン110Fを操作しても、使用者は、文字サイズを「10pt」よりも大きい数字の文字サイズにすることができない。つまり、使用者が選択した文字サイズが上限設定部905により設定された拡大サイズの上限である「10pt」よりも大きい場合には、内容設定部902は、編集内容を設定できない。これは、本実施形態においては、上限設定部905により設定される上限としての文字サイズ「10pt」よりも文字サイズを大きくすると、選択範囲の範囲外の画像情報が欠落する可能性があるためである。
【0050】
ステップST5において、編集部903は、内容設定部902により設定された編集内容に基づいて、範囲設定部901により設定された選択範囲の画像情報を編集する。本実施形態においては、図4に示すように、範囲設定部901により選択範囲Bが設定されている。内容設定部902により「画像情報の拡大」が設定され且つ画像情報の拡大サイズが文字サイズ「8pt」に設定されている。
【0051】
ここでは、編集部903は、画像情報が保持するテキスト情報に基づいて、画像情報が選択された選択範囲Bの画像情報を文字サイズ「8pt」に拡大する。
更に、編集部903は、選択範囲Bの範囲外の文字サイズを縮小し且つ選択範囲Bの範囲外の文字の位置を調整する。詳細には、編集部903は、選択範囲Bの上下左右の範囲外の画像データが、選択範囲Bの画像情報が拡大された後に、拡大された画像情報と重ならずに且つ欠落せずに、表示部711の表示領域の領域内に表示されるように、画像情報を編集する。
【0052】
選択範囲の範囲外の画像情報を縮小したり位置を調整することで、編集部903は、表示部711の表示領域に表示される画像情報に欠落がないように調整する。本実施形態においては、編集部903は、図4に示すように、選択範囲の画像情報を拡大した後において、選択範囲の範囲外の画像情報を、選択範囲Bに対して上下左右に位置する4つの画像情報のブロックに分割している。そして、編集部903は、分割された各ブロックを、選択範囲の画像情報に重ならずに表示部711の表示領域に表示できる範囲内において、各ブロック毎に縮小して且つ各ブロックが配置される領域の左側の上方側に位置させるように調整している。
【0053】
ステップST6において、表示制御部904は、編集部903により編集された画像情報を表示部711に表示させる。これにより、選択範囲の画像情報を拡大することができると共に、選択範囲の範囲外の部分についても画像情報を欠落なく表示させることができる。このようにして、表示部711には、拡大する前における表示部711の表示領域に表示される全ての表示内容を表示させた状態で、選択範囲の画像情報を拡大して表示させることができる。その結果、画像形式の画像情報を拡大させた場合に比べて、表示部711に表示される画像情報において、編集後における画像情報の視認性を向上させることができる。
【0054】
ステップST7において、使用者によりスタートキー73が操作されることで、印刷が実行される。ここでは、拡大された画像情報を含む表示部711に表示された全ての画像情報は、表示部711に表示されたままの状態で印刷される。その後、処理は終了する。
【0055】
以上説明したように、本実施形態の画像処理装置100によれば、例えば、以下の効果が奏される。
本実施形態の画像処理装置100は、テキスト形式の画像情報(テキスト情報を保持した状態の画像情報)を表示可能な表示部711と、表示部711の表示領域に表示された画像情報において選択された範囲を画像情報の選択範囲として設定する範囲設定部901と、範囲設定部901により設定された選択範囲における画像情報の編集内容を設定する内容設定部902と、選択範囲における画像情報に保持されるテキスト情報及び内容設定部902により設定された画像情報の編集内容に基づいて、選択範囲における画像情報を編集する編集部903と、編集部903により編集された画像情報を表示部711に表示させる表示制御部904と、を備える。そのため、選択範囲における画像情報を、画像情報が保持するテキスト情報に基づいて編集することができる。これにより、表示部711に表示される画像情報について、選択された範囲の画像情報において、拡大した後(編集後)における画像情報の視認性を向上させることができる。
【0056】
また、本実施形態の画像処理装置100においては、内容設定部902により設定される編集内容は、画像情報の拡大である。また、編集部903は、選択範囲における画像情報を拡大すると共に、選択範囲の範囲外の画像情報に保持されるテキスト情報に基づいて、選択範囲の範囲外の画像情報の全てを表示部711の表示領域に表示させるように、選択範囲の範囲外における画像情報を編集する。そのため、選択範囲の範囲外の画像情報の全てを表示させるように編集して、選択範囲の範囲外の画像情報の欠落を防止することができる。従って、表示部711に表示される画像情報について、拡大する際には、選択範囲の画像情報について拡大でき且つ拡大した範囲外についても画像情報を欠落させずに、表示部711に表示させることができる。その結果、表示部711に表示される画像情報において、編集後における画像情報の視認性を向上させることができる。
【0057】
また、本実施形態の画像処理装置100においては、表示部711に表示される表示領域のサイズ及び選択範囲のサイズに基づいて、画像情報を拡大する際における選択範囲の画像情報の拡大サイズ又は拡大率の上限を設定する上限設定部905を更に備え、内容設定部902は、上限設定部905により設定された拡大サイズ又は拡大率の上限よりも大きい選択範囲の画像情報の拡大サイズ又は拡大率を設定できない。そのため、内容設定部902は、選択範囲の範囲外の画像情報が表示部711の表示領域に表示しきれない拡大サイズ又は拡大率において、画像情報を拡大することができない。これにより、画像情報を欠落せずに表示できる範囲で、表示部711に表示される画像情報において、編集後における画像情報の視認性を向上させることができる。
【0058】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、種々の形態で実施することができる。
前述の実施形態においては、表示部711に表示される画像情報において、選択範囲の画像情報を拡大する場合について説明したが、これに制限されない。例えば、図7に示すように、表示部711に表示される画像情報において、選択範囲の画像情報を縮小することもできる。図7は、コピー機1の他の実施形態であって、選択範囲の画像情報を縮小する場合について説明する図である。
また、表示部711に表示される画像情報の選択範囲の画像情報において、文字のフォントを変更したり、画像情報の色を変更したり、画像情報の濃度を変更することもできる。
これらの編集内容の場合には、編集部903は、テキスト情報が保持された画像情報に基づいて、選択範囲の画像情報を縮小したり、文字のフォントを変更したり、画像情報の色を変更したり、画像情報の濃度を変更したりすることができる。従って、前述の実施形態における選択範囲の画像情報を拡大する場合と同様に、表示部711に表示される画像情報において、編集後における画像情報の視認性を向上させることができる。
【0059】
また、前述の実施形態においては、編集内容を1つ設定する場合(選択範囲の画像情報を拡大する場合)について説明したが、これに制限されず、複数の編集内容を設定して、複数の編集内容を同時に実行するようにしてもよい。例えば、同一の選択範囲において、文字のフォントの変更と画像情報の色の変更とを同時に行うように編集内容を設定してもよい。
【0060】
また、前述の実施形態においては、原稿読取部20により読み取った画像データをテキスト形式の画像情報に変換して、そのテキスト形式の画像情報を編集しているが、これに制限されない。例えば、PC(パーソナルコンピューター)等の外部機器から入力されたテキスト形式の画像情報を表示部711に表示させて、そのテキスト形式の画像情報を編集するように構成してもよい。
【0061】
また、前述の実施形態においては、1つの選択範囲を設定して編集する場合について説明したが、これに制限されず、複数の選択範囲を設定して編集してもよい。複数の選択範囲を設定して編集する場合には、内容設定部902は、複数の選択範囲それぞれに異なる編集内容を設定することもできる。
【0062】
本実施形態においては、画像処理装置100がコピー機1に搭載される場合について説明した。しかしながら、本発明の画像処理装置100は、現金自動預け払い機、自動販売機、自動券売機、携帯電話機、携帯情報端末、デジタルゲーム機、携帯オーディオプレーヤー、カーナビゲーション装置等の電子機器に搭載されてもよい。
【0063】
また、本実施形態のコピー機1は、カラーコピー機であるが、この形態に限定されることはなく、モノクロコピー機であってもよい。
また、本実施形態のコピー機1は、中間転写ベルト48を介して用紙Tにトナー画像を転写している(間接転写方式)が、この形態に限定されることはなく、感光体ドラムに形成されたトナー画像を直接に用紙Tに転写してもよい(直接転写方式)。
また、本実施形態のコピー機1は、用紙Tの片面を印刷する構成であるが、これに限定されることはなく、用紙の両面を印刷する構成であってもよい。
【0064】
また、本発明の画像形成装置は、上述したコピー機1に限定されることはない。すなわち、本発明の画像形成装置は、コピー機能、ファクシミリ機能、プリンター機能及びスキャナー機能を備える複合機であってもよく、ファクシミリやプリンターであってもよい。
また、本発明の画像形成装置によってトナー画像が定着される被画像形成媒体は用紙Tに限定されることはなく、例えば、OHP(オーバヘッドプロジェクター)シート等のフィルムシートであってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…コピー機(画像形成装置)、100…画像処理装置、711…表示部、901…範囲設定部、902…内容設定部、903…編集部、904…表示制御部、905…上限設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テキスト情報を保持した状態の画像情報を表示可能な表示部と、
前記表示部の表示領域に表示された前記画像情報において選択された範囲を前記画像情報の選択範囲として設定する範囲設定部と、
前記範囲設定部により設定された前記選択範囲における前記画像情報の編集内容を設定する内容設定部と、
前記選択範囲における前記画像情報に保持される前記テキスト情報及び前記内容設定部により設定された前記画像情報の編集内容に基づいて、前記選択範囲における前記画像情報を編集する編集部と、
前記編集部により編集された前記画像情報を前記表示部に表示させる表示制御部と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記内容設定部により設定される編集内容は、前記画像情報の拡大、前記画像情報の縮小、前記画像情報の文字のフォントの変更、前記画像情報の色の変更及び前記画像情報の濃度の変更のうちのいずれか1つ以上であり、
前記編集部は、前記内容設定部により設定された編集内容に基づいて、前記選択範囲における前記画像情報を編集する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記内容設定部により設定される編集内容は、前記画像情報の拡大であり、
前記編集部は、前記選択範囲における前記画像情報を拡大すると共に、前記選択範囲の範囲外の前記画像情報に保持される前記テキスト情報に基づいて、前記選択範囲の範囲外の前記画像情報の全てを前記表示部の前記表示領域に表示させるように、前記選択範囲の範囲外における前記画像情報を編集する
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記表示部の前記表示領域のサイズ及び前記選択範囲のサイズに基づいて、前記画像情報を拡大する際における前記選択範囲の前記画像情報の拡大サイズ又は拡大率の上限を設定する上限設定部を更に備え、
前記内容設定部は、前記上限設定部により設定された拡大サイズ又は拡大率の上限よりも大きい前記選択範囲の前記画像情報の拡大サイズ又は拡大率を設定できない
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の画像処理装置を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−30916(P2013−30916A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164529(P2011−164529)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】