説明

画像処理装置及びその操作方法

【課題】読込んだ画像データに対してユーザが一度に複数の処理を設定して実行することによる重要書類の流出を抑制することができる画像処理装置及びその操作方法を提供する。
【解決手段】画像処理装置は、画像データを入力するための入力部と、入力される画像データに対して、メインジョブと同時又はメインジョブに連続して実行するサブジョブを設定するための設定部と、ユーザ及び入力される画像データの重要度の少なくとも一方が、入力される画像データに対してサブジョブの実行を禁止されているか否かを判定する判定部と、サブジョブを設定することを禁止されていると判定された場合、該当するサブジョブの設定又は設定されたサブジョブの実行を禁止する制限部とを備える。これにより、画像処理装置に不用意に設定されたサブジョブが実行され、秘密にすべき重要な書類が外部に流出することを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重要書類の流出を防止可能な画像処理装置及びその操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器である画像処理装置の1種として、複合機(MFP(MultiFunction Peripheral))が知られている。MFPは、コピー、プリント、ファクシミリ(以下、ファクシミリをFAXとも記載する)、及びスキャナ等、複数の機能を備える。
【0003】
近年、MFPが普及しており、企業内はもとより、一般家庭内においても使用されている。MFPによって、ユーザは手軽にコピー、FAX、プリント等を行なうことが可能になっている。即ち、スキャナ等の読取装置で読取った原稿をコピーする、FAX又は電子メールの形式に変換して所望の相手先に送信する、コンピュータで作成した文書をネットワーク経由で送受信してプリントアウトすること等を容易に行なうことができる。
【0004】
また、モノクロ出力のMFPよりもカラー出力可能なMFPが主流となり、印刷物はモノクロからカラーへ移行し、送信されるデータもモノクロデータからカラーデータへ移行している。また、スキャナの読取精度及びプリンタの印刷精度も格段に進歩している。
【0005】
下記特許文献1には、複写・ファクシミリ複合装置において、処理のトータル時間を短縮するために、一度の操作で、読取った原稿に対して複数の動作(例えばコピー及びFAX送信)を同時に行なわせることが開示されている。
【0006】
また、下記特許文献2には、紙幣等の偽造を防止する機能を備えた画像入出力装置が開示されている。本画像入出力装置は、入力画像が紙幣等の特定原稿と判断された場合、偽造を防止しするために、画像の記憶及び印刷を禁止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−30694号公報
【特許文献2】特開平11−46299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1のようにコピー処理と送信処理とを同時に行なうことが可能な装置では、原稿が組織内部向けの重要書類(部外秘)であった場合、ユーザが意図せず、操作ミスによって複数動作の同時処理を実行してしまうと、書類の複写動作だけでなく、同時に外部にFAX送信されてしまう危険性がある。MFPのユーザが普段そのような原稿を扱うことが多く、MFPの操作に習熟していたとしても、危険性は無くならない。
【0009】
重要書類の外部への流出を防ぐために、上記特許文献2に開示された方法を適用することが考えられる。しかし、その場合には、内部向けの重要書類に対して、FAX送信が制限されるだけでなく、複写動作も制限されてしまうので、ユーザの使い勝手が悪い問題がある。
【0010】
したがって、本発明は、読込んだ画像データに対してユーザが一度に複数の処理を設定して実行することによる重要書類の流出を抑制することができる画像処理装置及びその操作方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的は、下記によって達成することができる。
【0012】
即ち、本発明に係る画像処理装置は、画像データを入力するための入力部と、入力される画像データに対して、主として行なう処理と同時又はこの処理に連続して実行する従属処理を設定するための設定部と、ユーザ及び入力される画像データの種類の少なくとも一方が、入力される画像データに対して所定の従属処理の設定及び実行の何れかの処理を禁止されているか否かを判定する判定部と、ユーザ及び入力される画像データの種類の少なくとも一方が、所定の従属処理の設定及び実行の何れかの処理を禁止されていると判定された場合、所定の従属処理に関して禁止された処理を禁止する制限部とを備える。
【0013】
好ましくは、画像処理装置は、ユーザ及び入力される画像データの種類の少なくとも一方と、従属処理の設定及び実行の何れかの処理の可否を示す情報とを対応させたテーブルを記憶した記憶部をさらに備え、判定部は、テーブルを参照して、ユーザ及び入力される画像データの種類の少なくとも一方が、所定の従属処理の設定及び実行の何れかの処理を禁止されているか否かを判定する。
【0014】
より好ましくは、ユーザ及び入力される画像データの種類の少なくとも一方は、ユーザである。
【0015】
さらに好ましくは、ユーザ及び入力される画像データの種類の少なくとも一方は、入力される画像データの種類であり、この種類は、画像データの重要度を表す情報により特定され、判定部は、入力された画像データに対する画像処理によって、この画像データに重要度を表す情報が含まれているか否かを判定し、この画像データに重要度を表す情報が含まれていると判定した場合、テーブルを参照して、画像データに対して所定の従属処理の設定及び実行の何れかの処理が禁止されているか否かを判定する。
【0016】
好ましくは、判定部は、禁止されている所定の従属処理を実行するための例外条件が満たされるか否かを判定し、制限部は、例外条件が満たされると判定された場合、禁止されている所定の従属処理を実行する。
【0017】
本発明に係る画像処理装置の操作方法は、画像データを画像処理装置に入力するステップと、入力される画像データに対して、主として行なう処理と同時又はこの処理に連続して実行する従属処理を設定するステップと、ユーザ及び入力される画像データの種類の少なくとも一方が、入力される画像データに対して所定の従属処理の設定及び実行の何れかの処理を禁止されているか否かを判定するステップと、ユーザ及び入力される画像データの種類の少なくとも一方が、所定の従属処理の設定及び実行の何れかの処理を禁止されていると判定された場合、所定の従属処理に関して禁止された処理を禁止するステップとを含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、画像処理装置を使用するユーザに対して設定された制限及び原稿の重要度に応じて、ユーザによる、主として行なう処理(メインジョブ)と同時又はそれに連続して実行させる従属処理(サブジョブ)の設定を制限することができる。即ち、ユーザが、サブジョブの設定が禁止されているユーザであった場合、サブジョブの設定を行なうことを禁止することができる。したがって、許可されていないユーザによる不用意なサブジョブの設定を抑制することができる。
【0019】
また、許可されたユーザによってサブジョブが設定された場合にも、そのサブジョブの実行を制限することができる。即ち、重要な原稿であった場合、ユーザの権限に依らず、サブジョブの実行を禁止することができる。したがって、間違って設定されたサブジョブがそのまま実行され、秘密にすべき重要な原稿が外部に流出することを抑制することができる。
【0020】
また、サブジョブの実行を禁止する例外条件を設定することにより、サブジョブを禁止することによって必要以上に画像処理装置の操作性が低下することを抑制することができる。例外条件を適宜設定することにより、画像処理装置を利用する組織の特性(秘密原稿を扱う頻度等)に応じて、秘密原稿が流出する危険性と利便性とのバランスを調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の内部構成の概要を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像処理装置において、重要書類の流出を防止するためのプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図4】ユーザ認証の画面の一例を示す図である。
【図5】ユーザ名とサブジョブ設定の可否とを対応させて保存するテーブルの一例を示す図である。
【図6】サブジョブの設定が禁止されたジョブ設定画面の一例を示す図である。
【図7】サブジョブの設定が禁止されていないジョブ設定画面の一例を示す図である。
【図8】重要書類に押されるスタンプの一例を示す図である。
【図9】原稿種別とサブジョブ実行の可否とを対応させて保存するテーブルの一例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る画像処理装置において、例外を含む重要書類の流出を防止するためのプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の実施の形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0023】
本発明の実施の形態に係る画像処理装置は、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能、及びプリンタ機能等の複数の機能を備えたデジタル複合機である。以下において、「画像」とは表示される画像自体を意味するだけでなく、画像データをも意味する。また、「画像データ」とは、画像のデータに限らず、文書データ、画像及び文書が混在するデータ等も意味することとする。
【0024】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る画像処理装置100は、画像読取部110、画像形成部120、操作部130、給紙部140、手差し給紙トレイ146、及び排紙処理部150を備えている。操作部130は、タッチパネルディスプレイ132及び操作キー部134を備えている。タッチパネルディスプレイ132は、液晶パネル等で構成された表示パネルと、表示パネルの上に配置され、押圧された位置を検出するタッチパネルとを含む。操作キー部134には、図示しないいくつかの機能キーが配置される。操作キー部134には、テンキーが配置される場合もある。
【0025】
さらに、図2を参照して、画像処理装置100は、電話回線網200と、LAN等のネットワーク210とに接続されており、ネットワーク210を介してインターネット220にも接続されている。画像処理装置100は、上記した画像読取部110、画像形成部120、及び操作部130に加えて、制御部160、ハードディスクドライブ(以下、HDDと記載する)162、管理部164、画像処理部166、通信部168、及びFAXモデム170を備えている。
【0026】
画像読取部110は、原稿を読取って画像データを入力する。制御部160は、画像処理装置100が備える各部を制御する。操作部130は、ユーザによる画像処理装置100に対する指示等の入力を受け付ける。通信部168は、ネットワーク210を介して端末装置212、214と通信し、インターネット220を介してファクシミリ装置222、端末装置224と通信する。画像形成部120は、画像データを記録紙に印刷する。HDD162は画像データを記憶する。管理部164は、画像処理装置100の制御情報、設定情報等を記憶するメモリである。制御部160は、管理部164に記憶された情報をもとに、画像処理装置100全体の動作を制御する。画像処理部166は、読取った画像データに対して種々の画像処理を実行する。FAXモデム170は、電話回線網200を介してファクシミリ装置202と通信する。
【0027】
図2では、各部が制御部160に接続されているので、各部間のデータ伝送は制御部160を介して行なわれる。しかし、この構成に限定されず、データバスを備え、制御部160を含めて各部をデータバスに接続することもできる。その場合、データバスを介して、各部が制御部160による制御を受け、各部間でのデータ伝送が行なわれる。
【0028】
給紙部140は、第1給紙トレイ142及び第2給紙トレイ144を備えている。手差し給紙トレイ146は、記録紙を手差し給紙するためのトレイである。
【0029】
画像処理装置100は、ファクシミリ装置202、222との間でFAXによる画像データの送受信が可能であり、端末装置212、214、224との間で電子メール等を利用した画像データの送受信が可能である。
【0030】
以下、図2に示した画像処理装置100の各部について詳細に説明する。
【0031】
画像読取部110は、原稿を読取って画像データを生成する。例えば、画像を読取るためのCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)112と、原稿台、自動原稿送り装置(ADF)等にセットされた原稿を検知する原稿検知センサ114とを備えている。
【0032】
操作部130は、各種の入力キー(ハードウェアキー)を備えた操作キー部134と、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)等の表示パネルの上にタッチパネルが配置されたタッチパネルディスプレイ132とを備えている。ユーザは、タッチパネルディスプレイ132に表示される画面によって、画像処理装置100の状態及びジョブの処理状況等の確認を行なう。タッチパネルディスプレイ132に表示されたキーを、表示パネルに重ねられたタッチパネル上で選択する(タッチパネル上の該当部分を押す)ことによって、画像処理装置100の機能設定及び動作指示等ができる。タッチパネルディスプレイ132において、表示されたキーが押されたか否かを判定するには、公知技術を用いればよい。例えば、タッチパネルの2次元座標と、表示パネルの2次元座標との対応関係を予め定めておき、タッチパネル上で押された位置が、表示パネルに表示された文字、図形等の領域に含まれるか否かを判定すればよい。
【0033】
操作部130には、画像処理装置100を利用するユーザの認証情報を入力する認証情報入力手段を配置するようにしてもよい。ユーザの認証情報の入力方法としては、例えば、ユーザコードの直接入力、IDカードの情報読取入力、ユーザの生体情報(指紋等の)読取入力等様々である。これらのいずれかの方法により、画像処理装置100のユーザ認証を行なえるようにする。ユーザは、操作部130から、記録中のジョブを中断して別のジョブを割込ませるための割込指示を行なうこともできる。
【0034】
制御部160は、操作部130に設けられたタッチパネルディスプレイ132、入力キー等に対するユーザの操作を監視すると共に、タッチパネルディスプレイ132に画像処理装置100の状態に関する情報等のユーザに通知すべき情報等を表示する。
【0035】
画像形成部120は、画像データを処理して出力する。画像形成部120は、メモリ122と、LSU(Laser Scanning Unit:レーザ走査ユニット)等の印字部124とを備えている。画像形成部120は、画像読取部110によって読取られた画像データをメモリ122に一旦記憶し、その後、メモリ122上の画像データをHDD162に記憶する。また、画像形成部120は、HDD162に記憶した画像データをメモリ122に読出し、印字部124に伝送し、記録紙に印刷して出力する。
【0036】
HDD162は、入力された画像データを記憶する。HDD162は、磁気記憶媒体であり、大量の画像データを蓄積して順次処理することが可能である。これにより、画像処理装置100は、複数のユーザからの指示を効率良く処理することができる。
【0037】
画像処理部166は、操作部130からユーザの指示を受けた制御部160により制御されて、メモリ122から画像データを読出して、指示された画像処理を実行し、その結果をメモリ122に記憶する。処理結果の画像データは、制御部160を介して、タッチパネルディスプレイ132に表示される。その後、メモリ122上の画像データは、ユーザの指示を受けて、印字部124に伝送されて記録紙に印刷される、FAXモデム170を介して電話回線網200に出力される、又は、通信部168を介してネットワーク210に出力される。
【0038】
以下、画像処理装置100が搭載している機能(コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、及びファクシミリ機能)を実行する各モードについて簡単に説明する。
【0039】
(コピーモード)
画像処理装置100を複写機として利用する場合には、画像読取部110によって読取られた原稿の画像データが、画像形成部120から複写物として出力される。
【0040】
画像読取部110に装備されたCCD112により、読取位置にセットされた原稿の画像を電子的に読取ることができる。読取られた画像データは、メモリ122上に出力データ(印刷用データ)として完成された後、HDD162に記憶される。原稿が複数ある場合には、この読取り動作及び記憶動作が繰返される。その後、操作部130から指示された処理モードに基づいて、HDD162に記憶された画像データが適切なタイミングで順次読出されてメモリ122に送られる。そして、印字部124での画像形成のタイミングに合わせて画像データがメモリ122から印字部124へと伝送される。
【0041】
読取った画像データを複数枚印字する場合にも、同様に出力データとしてページ単位でHDD162に記憶され、HDD162からメモリ122に送られ、出力枚数の分だけ繰返し、印字部124での画像形成のタイミングに合わせて印字部124へ伝送される。
【0042】
具体的には、記録紙が、第1給紙トレイ142、第2給紙トレイ144、及び手差し給紙トレイ146の何れかから、ピックアップローラ(例えば、第1給紙トレイ142のピックアップローラ172)によって引き出され、複数の搬送用のローラ(図2では、それらの断面を複数の円で示す)によって印字部124の内部を搬送される。図2において、第1給紙トレイ142、第2給紙トレイ144、及び手差し給紙トレイ146から引き出された記録紙の搬送路を破線で示す。LSUは、帯電された感光体ドラム(図示せず)を入力された画像データに応じて露光することにより、感光体ドラムの表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する。感光体ドラム上の静電潜像は転写ベルトを介して、搬送された記録紙に転写される。その後、記録紙は加熱及び加圧され(これにより記録紙に画像が定着する)、排紙トレイ152に排出される。
【0043】
(プリンタモード)
画像処理装置100をプリンタとして利用する場合には、通信部168を介して受信した画像データがメモリ122等を介して画像形成部120から出力される。
【0044】
通信部168は、有線又は無線でネットワーク210と接続されており、ネットワーク210に接続された外部機器である端末装置212、214から画像データを受信する。受信された画像データは、出力画像データとしてページ単位にメモリ122に送られた後、HDD162に記憶される。そして、画像データは、再びHDD162からメモリ122に送られ、上記したコピーモードと同様に印字部124へと転送され、画像形成が行なわれる。
【0045】
(スキャナモード)
画像処理装置100を、例えばネットワークスキャナとして利用する場合には、画像読取部110において読取られた原稿の画像データを、通信部168からネットワーク210を介して任意の端末装置212、214へ送信する。この場合にも、画像読取部110に装備されたCCD112により原稿を電子的に読取る。そして、読取られた原稿の画像データは、メモリ122上に出力データとして完成された後、HDD162に記憶される。そして、再びHDD162からメモリ122に送られ、操作部130を介して指定された送信先との通信を確立させた上で、通信部168から指示された送信先へと送信される。
【0046】
(ファクシミリモード)
画像処理装置100は、上記したように、FAXモデム170が電話回線網200に接続され、通信部168がネットワーク210、インターネット220に接続されている。したがって、画像処理装置100は、電話回線網200を介してファクシミリ装置202とFAX送受信することができ、ネットワーク210及びインターネット220を介してファクシミリ装置222とFAX送受信することができる。
【0047】
画像処理装置100をファクシミリ装置として利用する場合、ファクシミリ装置202、222からFAX受信したデータを、画像データとしてメモリ122上に形成し、上記と同様に、HDD162への記憶、印字部124による印刷を実行することができる。また、画像処理装置100は、HDD162から画像データを読出して、FAX通信用のデータ形式に変換して、ファクシミリ装置202、222に送信することができる。
【0048】
画像処理装置100において、ユーザは、タッチパネルディスプレイ132に表示されたプレビュー画像をタッチ操作して、画像処理装置100に所定の処理を実行させる。このとき、画像処理装置100は、ユーザに設定された制限及び処理対象である原稿の種類(重要度)に応じて、ユーザによるサブジョブの設定及びその実行を制限する。サブジョブは、特定のジョブをメインジョブ(主として実行される処理)とした場合に、追加して設定され、メインジョブと同時又はメインジョブに連続して実行される従属的な処理であるジョブを意味する。以下、この制限を実現するために制御部160が実行するプログラムの制御構造について具体的に説明する。
【0049】
図3を参照して、ステップ300において、制御部160は、認証機能が有効になっている否かを判定する。有効になっていると判定された場合、ステップ302に移行し、有効になっていないと判定された場合、ステップ320に移行する。
【0050】
ステップ302において、制御部160は、画像処理装置100を利用するユーザの認証を行なう。具体的には、図4に示すような認証画面400をタッチパネルディスプレイ132に表示する。認証画面400は、ログイン名入力欄402及びパスワード入力欄406を含む。ログイン名を入力するためにユーザは、リストから選択するためのキー404を押し、表示されるユーザ名リスト中の自分のユーザ名にタッチして選択する。選択されたユーザ名は、ログイン名入力欄402に表示される。パスワードの入力は、操作部130の操作キー部134のテンキーを用いて入力する。また、ユーザがパスワード入力欄406にタッチした場合に、テンキーを含む部分画面を表示し、これによって入力できるようにしてもよい。リセットキー422は、ログイン名入力欄402及びパスワード入力欄406のデータをクリアするためのキーである。
【0051】
ユーザによってログイン名及びパスワードが入力され、OKボタン420が押されると、制御部160は、入力された情報を用いて認証情報を参照し、画像処理装置100の使用を許可されたユーザであるか否かを判定する。認証情報は、例えばHDD162に、対応して記憶されている許可ユーザ名とパスワードとである。ユーザ認証をパスすれば、ステップ304に移行する。ユーザ認証をパスしなければ、認証処理を繰返す。
【0052】
ステップ304において、制御部160は、認証をパスしたユーザが、操作を制限すべきユーザであるか否かを判定する。即ち、制御部160は、予めHDD162に記憶されている、図5に示すような制限ユーザテーブルを参照し、ステップ302の認証をパスしたユーザ名(ログイン名)が含まれているか否かを判定する。制御部160は、ログイン名が、制限ユーザテーブルにユーザ名として含まれていると判定した場合、対応するサブジョブ設定の可否の情報(禁止又は許可)を読出し、ステップ306に移行する。含まれていないと判定した場合、ステップ320に移行する。
【0053】
ユーザに関する制限ユーザテーブルには、ユーザ名とサブジョブ設定の可否に関する情報とが、対応して保存されている。制限ユーザテーブルのデータ形式は任意である。テキスト及び数値の何れのデータであってもよい。例えば、テキストのユーザ名の代わりに、ユーザ毎に付与されたコード番号を保存してもよい。サブジョブ設定の可否には、テキスト「禁止」又は「許可」の代わりに、数値“0”又は“1”を保存してもよい。
【0054】
ステップ306において、制御部160は、ステップ304で読出したサブジョブ設定の可否の情報が「禁止」であるか否かを判定する。「禁止」であると判定された場合、ステップ310に移行する。「禁止」でないと判定された場合、ステップ320に移行する。
【0055】
ステップ310において、制御部160は、サブジョブの設定が禁止されていることを表す警告メッセージをタッチパネルディスプレイ132に表示する。
【0056】
ステップ312において、制御部160は、サブジョブの設定が禁止されたジョブ設定画面をタッチパネルディスプレイ132に表示し、ユーザによる操作を受け付ける。例えば、図6に示す画面500が、タッチパネルディスプレイ132に表示される。ステップ310で表示された警告メッセージは、画面500によって消去される。
【0057】
画面500の左上隅には、コピーモードであることが表示されている。画面500は、機能設定領域510、テンキー領域520、アクションパネル領域530、タスクトリガー領域540を含んでいる。機能設定領域510には、画像処理装置100の各機能に関する設定を行なうための複数のキー(以下、機能設定キーともいう)が表示されている。メインジョブに関する設定は、機能設定領域510のキーを介して行なわれる。図6の機能設定領域510には一部の機能設定キーのみが表示されており、表示されていない機能設定キーは、「他の機能」キーを押せば表示される。テンキー領域520は、テンキー(数字キー0〜9、クリアキーC)及びコピー部数の表示領域を含んでいる。コピー部数は、テンキーによって入力される。図6では、コピー部数が1枚に設定されている。
【0058】
アクションパネル領域530には、操作についての補助・助言・提案についての情報が表示される。例えば、ユーザが特定の機能を選択すると、アクションパネル領域530にはその機能に関連する機能が表示される。その機能と共通する目的のために他の機能が表示されてもよい。
【0059】
サブジョブに関する設定は、アクションパネル領域530のキーを介して行なわれる。以下においては、コピーをメインジョブとして、「印刷と同時に送信」する機能及び「自動一時保存」機能がサブジョブに位置付けられ、キー532及び534がそれぞれのサブジョブに関する設定を行なうためのキーであるとする。
【0060】
ここでは、ログインしたユーザに対してサブジョブの設定が禁止されているので、対応するキー532及び534は操作できないようになっている。操作できないことをユーザが理解できるように、キー532及び534はグレイアウト(周囲よりも輝度を下げた表示)される。図6において、グレイアウトを斜線で示す。
【0061】
「印刷と同時に送信」する機能は、スキャンした原稿をコピーするのと同時にFAX送信する機能である。「自動一時保存」は、コピーするデータをHDD162の一時保存フォルダーに自動的に保存する機能である。これにより、ファイルを指定するだけで、スピーディに再印刷できる。
【0062】
タスクトリガー領域540は、画像処理装置100にある処理を開始させるためのトリガーとなるキーが表示される領域である。具体的には、白黒コピーを開始させるための白黒スタートキー546、カラーコピーを開始させるためのカラースタートキー548、コピー、FAX送信等において原稿を一旦読込んでプレビューする処理を開始させるためのプレビューキー542、及び、設定を全て解除するリセットキー544が表示されている。
【0063】
ステップ314において、制御部160は、タスクトリガー領域540の白黒スタートキー又はカラースタートキーが押されたか否かを判定する。押されたと判定された場合、ステップ314に移行し、押されていないと判定された場合、ステップ312の処理を繰返す。
【0064】
ステップ316において、制御部160はメインジョブを実行する。ここではコピーモードであるので、機能設定領域510で設定された条件で、上記で説明したコピーモードの処理を実行し、画像読取部110にセットされた原稿の白黒又はカラー複写物を生成する。
【0065】
ステップ318において、制御部160は、終了の指示を受けたか否かを判定する。例えば、ログアウトするためのキーが押下された場合、終了の指示を受けたと判定して終了する。そうでなければ、ステップ312に戻り、それ以降のステップの処理を繰返す。
【0066】
以上、ログインしたユーザが、サブジョブの設定が禁止されているユーザであった場合、ステップ310〜318の処理によって、ユーザはメインジョブの設定のみが許されて、メインジョブのみを実行することができる。
【0067】
一方、ログインしたユーザが、サブジョブの設定が禁止されているユーザでなかった場合、ステップ320において、制御部160は、サブジョブの設定が許可されたジョブ設定画面をタッチパネルディスプレイ132に表示し、ユーザによる操作を受け付ける。例えば、図7に示す画面600が、タッチパネルディスプレイ132に表示される。図6の画面500では「印刷と同時に送信」する機能の設定を行なうキー532及び「自動一時保存」機能の設定を行なうキー534が、グレイアウトされ、ユーザが操作できなかった。しかし、画面600では、それらに対応するキー602及び604は、他のキーと同様に表示され操作可能である。画面600が画面500と異なるのはこの点だけである。したがって、説明を繰返さない。ユーザはメインジョブの設定だけでなく、必要に応じてサブジョブの設定も行なうことができる。ここでは、サブジョブとして「印刷と同時に送信」する機能又は「自動一時保存」機能が設定される。
【0068】
ステップ322において、制御部160は、タスクトリガー領域540の白黒スタートキー546又はカラースタートキー548が押されたか否かを判定する。押されたと判定された場合、ステップ314に移行し、押されていないと判定された場合、ステップ320の処理を繰返す。
【0069】
ステップ324において、制御部160は、画像読取部110にセットされた原稿を、機能設定領域510で設定された条件でスキャンして、画像データをメモリ122に記憶する。
【0070】
ステップ326において、制御部160は、ステップ324でスキャンした原稿が、サブジョブの実行を禁止する対象の原稿であるか否かを判定する。サブジョブの実行を禁止する対象の原稿とは、例えば図8に示すようなスタンプが押されている原稿である。対象とする原稿に関する情報は、例えば図9に示す制限原稿テーブルとして、予めHDD162に記憶されている。したがって、制御部160は、画像処理部166に、メモリ122上の画像データに対して画像認識処理を実行させ、図9に示した各スタンプが含まれているか否かを判定する。例えば、原稿種別の「丸秘」は図8の上段左端の画像に、「極秘」は図8の上段中央及び下段左端の何れかの画像に、「社外秘」は図8の上段右端及び下段右端の何れかの画像に、それぞれ対応している。対象とする画像(メモリ122上の画像データ)中から指定された画像(図8に示した何れかの画像データ)を検出するための画像認識には、ブロックマッチング等の公知の画像処理を使用すればよいので、ここでは説明を繰返さない。サブジョブの実行を禁止する対象の原稿であると判定された場合、例えば、図8の何れかのスタンプが検出された場合、ステップ328に移行し、そうでなければ、ステップ340に移行する。
【0071】
ステップ328において、制御部160は、ステップ320で設定されたサブジョブが、ステップ326で検出した原稿種別に対応するサブジョブ実行の可否において、禁止されているサブジョブに該当するか否かを判定する。例えば、ステップ320においてキー602が押されて、印刷と同時に送信するサブジョブに関する設定がなされ、且つ、ステップ320で社外秘のスタンプが検出された場合、制御部160は、図9の制限原稿テーブルから、設定されたサブジョブが禁止されていると判定する。例えば、ステップ320においてキー604が押されて、自動一時保存のサブジョブに関する設定がなされ、且つ、ステップ320で社外秘のスタンプが検出された場合、制御部160は、設定されたサブジョブが禁止されていないと判定する。また、例えば、ステップ320においてキー602又は604が押されてサブジョブに関する設定がなされ、且つ、ステップ320で丸秘又は極秘のスタンプが検出された場合、対応するサブジョブ実行の可否の欄は「全て禁止」であるので、制御部160は、設定されたサブジョブが禁止されていると判定する。設定されたサブジョブが禁止されていると判定された場合、ステップ330に移行し、そうでなければ、ステップ340に移行する。
【0072】
ステップ330において、制御部160は、サブジョブの実行が禁止されていることを表す警告メッセージをタッチパネルディスプレイ132に表示する。
【0073】
ステップ332において、制御部160は、メインジョブを実行する。即ち、ステップ324でスキャンされてメモリ122に記憶されている画像データを用いて、ステップ322で押された白黒スタートキー546又はカラースタートキー548に応じて、白黒又はカラー複写物を生成する。
【0074】
ステップ334において、制御部160は、終了の指示を受けたか否かを判定する。終了の指示を受けたと判定された場合、終了する。そうでなければ、ステップ320に戻り、それ以降のステップの処理を繰返す。
【0075】
ステップ340において、制御部160は、ステップ332と同様にメインジョブを実行する。
【0076】
ステップ342において、制御部160は、ステップ320で設定されたサブジョブを実行し、ステップ334に移行する。ステップ320でサブジョブが設定されなかった場合、何もせずステップ334に移行する。
【0077】
以上、ステップ320以降の処理によって、認証機能が有効でない場合、又は、ログインしたユーザがサブジョブの設定が禁止されていないユーザである場合、ユーザはメインジョブ及びサブジョブの設定を行なうことができる。サブジョブの設定がなされた場合には、原稿の重要度(原稿種別)に応じて、ジョブが実行される。即ち、重要な原稿であればメインジョブのみが実行され、そうでなければ、メインジョブ及びサブジョブが実行される。なお、サブジョブの実行を禁止すべき原稿である場合、サブジョブ(例えば、印刷と同時に送信)は実行されないが、ステップ332でメインジョブ(例えばコピー)が実行された後、ステップ320に戻り、例えばFAX送信をメインジョブに設定すれば、サブジョブの実行を禁止すべき原稿をFAX送信することができる。
【0078】
このように、ログインしたユーザが、サブジョブの設定が禁止されているユーザであった場合、サブジョブの設定を行なうことを禁止し、重要な原稿であった場合、サブジョブの実行を禁止することができる。また、サブジョブの実行が禁止された場合であっても、メインジョブとして設定すれば実行することができるので、必要であれば、重要な原稿を送信することを明確に意識した上で、原稿を送信することができる。したがって、不用意にサブジョブが実行され、秘密にすべき重要な原稿が外部に流出されることを防止することができる。
【0079】
上記では、サブジョブの設定が禁止されているユーザに対しては、サブジョブを設定できない画面(図6の画面500)が表示される場合を説明したが、これに限定されない。例えば、サブジョブの設定が禁止されているユーザにも、サブジョブを設定可能な画面を表示するが、設定されたサブジョブの実行を禁止するようにしてもよい。
【0080】
上記では、重要な原稿に対しては、設定されたサブジョブの実行を禁止する場合を説明したが、これに限定されない。例えば、重要な原稿である場合には、サブジョブの設定を禁止、即ち、サブジョブを設定できない画面(例えば図6の画面500)を表示してもよい。
【0081】
上記では、ステップ320において、サブジョブとして「印刷と同時に送信」する機能又は「自動一時保存」機能が設定される場合を説明したが、複数のサブジョブが設定されてもよい。その場合、例えば図9の制限原稿テーブルにしたがう場合、原稿に社外秘のスタンプが押されていた場合、「自動一時保存」機能は実行されるが、「印刷と同時に送信」する機能は実行されない。即ち、ユーザが複数のサブジョブを設定した場合、原稿種別に応じて、許可されたサブジョブだけを実行することが好ましい。
【0082】
上記では、サブジョブの実行が禁止されているユーザ又は原稿種別の場合、サブジョブを実行しない場合を説明したが、これに限定されない。図10に示したように、例外的にサブジョブの実行を許可してもよい。図10のフローチャートが、図9と異なる点は、ステップ704、706及び710が追加され、ステップ310、312、330及び342がそれぞれステップ700、702、708及び712に変更されている点である。以下に具体的に説明する。図9と同じ符号を付したステップについては説明を繰返さない。
【0083】
ステップ700において、制御部160は、サブジョブの実行が原則として禁止されていることを表す警告メッセージをタッチパネルディスプレイ132に表示する。
【0084】
ステップ702において、制御部160は、サブジョブの設定が許可されたジョブ設定画面をタッチパネルに表示し、ユーザによる操作を受け付ける。例えば、図7に示す画面600をタッチパネルディスプレイ132に表示する。ユーザはメインジョブの設定だけでなく、必要に応じてサブジョブの設定も行なうことができる。
【0085】
ステップ704において、制御部160は、ステップ702でサブジョブが設定されていた場合、サブジョブの設定内容が例外条件を満たすか否かを判定する。例外としては、例えば、ユーザがサブジョブとして送信機能(例えば、印刷と同時に送信)を指定し、その宛先にユーザの上司を設定した場合である。具体的には、予めHDD162に、組織情報、即ちユーザ間の上下関係及び少なくとも上位者の送信先情報(例えば、FAX番号、電子メールアドレス等)を記憶しておけば、制御部160は、組織情報を参照して、ログインしているユーザが設定した送信先情報が、そのユーザの上司に該当するか否かを判定することができる。例外条件を満たすと判定された場合、ステップ706に移行し、そうでなければステップ318に移行する。ステップ702でサブジョブが設定されていなかった場合、何もせずステップ318に移行する。
【0086】
ステップ706において、制御部160は、ステップ702で設定されたサブジョブを実行し、ステップ318に移行する。このとき、実行されるサブジョブは例外に該当するサブジョブのみである。例えば、サブジョブとして「印刷と同時に送信」及び「自動一時保存」が指定されており、「印刷と同時に送信」の送信先に上司の送信先が設定されていた場合、「印刷と同時に送信」は実行されるが、「自動一時保存」は実行されない。複数の送信先が設定されていた場合には、例外に該当する送信先にのみ送信するのが好ましい。なお、サブジョブを実行する前に、「サブジョブが実行されます。」等のメッセージをタッチパネルディスプレイ132に表示することが好ましい。
【0087】
以上によって、ログインしたユーザが、サブジョブの設定が禁止されているユーザであった場合、原則としてメインジョブのみが実行されるが、例外に該当する場合には、例外条件を満たすサブジョブも実行される。
【0088】
一方、ログインしたユーザが、サブジョブの設定が禁止されているユーザでなかった場合、ステップ708において、制御部160は、サブジョブの実行が原則として禁止されていることを表す警告メッセージをタッチパネルディスプレイ132に表示する。
【0089】
ステップ710において、制御部160は、ステップ320でサブジョブが設定されていた場合、サブジョブを実行する例外に該当するか否かを判定する。例外に該当すると判定された場合、ステップ340に移行し、制御部160はメインジョブを実行する。そうでなければステップ332に移行する。ステップ320でサブジョブが設定されていなかった場合、何もせずステップ332に移行する。
【0090】
ステップ712において、制御部160は、ステップ320で設定されたサブジョブを実行し、ステップ334に移行する。このとき、実行されるサブジョブは、ステップ706と同様に、例外に該当するサブジョブのみである。サブジョブを実行する前に、「サブジョブが実行されます。」等のメッセージをタッチパネルディスプレイ132に表示することが好ましい。ステップ320でサブジョブが設定されていなかった場合、何もせずステップ334に移行する。
【0091】
以上、ステップ320以降の処理によって、認証機能が有効でない場合、又は、ログインしたユーザがサブジョブの設定が禁止されていないユーザである場合、ユーザはメインジョブ及びサブジョブの設定を行なうことができる。サブジョブの設定がなされた場合には、原稿の重要度(原稿種別)に応じて、重要な原稿でなければメインジョブ及びサブジョブが実行され、重要な原稿であればメインジョブのみが実行される。しかし、重要な原稿であっても、例外に該当する場合には、例外条件を満たすサブジョブは実行される。
【0092】
上記では、メインジョブがコピーであり、サブジョブが「印刷と同時に送信」する機能及び「自動一時保存」機能である場合を説明したが、これに限定されない。メインジョブには、コピーに加えて、FAX送信(インターネットFAX等を含む)、プリント、スキャン、SCAN−TO−E−mail(スキャンした画像を電子メールに添付して送信する機能)、SCAN−TO−FTP(スキャンした画像データをFTPサーバに保存する機能)、SCAN−TO−HTTP(スキャンした画像をHTTPサーバに保存する機能)、SCAN−TO−HDD(スキャンした画像をHDDに保存する機能)等が含まれる。
【0093】
また、各ジョブは、メインジョブにもサブジョブにもなり得る。例えば、スキャンがメインジョブである場合、上記したメインジョブはサブジョブになり得る。また、コピーがメインジョブである場合、FAX送信、SCAN−TO−E−mail、SCAN−TO−FTP、SCAN−TO−HTTP、SCAN−TO−HDD等がサブジョブになり得る。
【0094】
また、図8のスタンプは一例に過ぎず、原稿の重要度を特定できるスタンプであればよい。即ち、丸秘を表すスタンプとして、図8のスタンプ以外のスタンプを使用することができる。また、丸秘、極秘、社外秘以外のスタンプを使用してもよい。その場合、使用するスタンプに対応して、原稿種別の情報及びサブジョブ実行の可否の情報を、テーブルに保存しておけばよい。
【0095】
原稿中に所定のスタンプが含まれているか否かを判定する代わりに、又は、その判定に加えて、文字認識によって、原稿種別を表す文字(「秘」、「極秘」、「社外秘」等)が含まれているか否かを判定してもよい。
【0096】
また、原稿種別の特定は、文字による特定に限定されず、フォーマット(文書様式)等の原稿パターンによっても可能である。例えば、丸秘、極秘、社外秘等の原稿を、それぞれ異なる特別な様式で作成することとすれば、そのパターン(罫線及び枠線の配置パターン、線の種類(実線、点線等)等)を画像処理によって抽出し、その結果に応じて丸秘、極秘、社外秘等の原稿種別を特定することができる。パターンは、原稿全体のパターンに限らず、部分的なパターンであってもよい。さらには、原稿をスキャンして得られた画像データに対する画像処理によって得られる情報のうち、原稿種別によって異なる情報であれば、原稿種別の特定に利用できる。
【0097】
図5の制限ユーザテーブルでは、サブジョブ設定の可否は、禁止及び許可の何れかであるが、図8の社外秘の行のように、より細かく禁止するサブジョブを設定してもよい。
【0098】
以上、実施の形態を説明することにより本発明を説明したが、上記した実施の形態は例示であって、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0099】
100 画像処理装置
110 画像読取部
112 CCD
114 原稿検知センサ
120 画像形成部
122 メモリ
124 印字部
130 操作部
132 タッチパネルディスプレイ
134 操作キー部
140 給紙部
142 第1給紙トレイ
144 第2給紙トレイ
146 手差し給紙トレイ
150 排紙処理部
152 排紙トレイ
160 制御部
162 ハードディスクドライブ(HDD)
164 管理部
166 画像処理部
168 通信部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを入力するための入力手段と、
入力される前記画像データに対して、主として行なう処理と同時又は該処理に連続して実行する従属処理を設定するための設定手段と、
ユーザ及び入力される前記画像データの種類の少なくとも一方が、入力される前記画像データに対して所定の従属処理の設定及び実行の何れかの処理を禁止されているか否かを判定する判定手段と、
少なくとも前記一方が、前記所定の従属処理の設定及び実行の何れかの処理を禁止されていると判定された場合、前記所定の従属処理に関して禁止された前記処理を禁止する制限手段とを備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
少なくとも前記一方と、前記従属処理の設定及び実行の何れかの処理の可否を示す情報とを対応させたテーブルを記憶した記憶手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記テーブルを参照して、少なくとも前記一方が、所定の従属処理の設定及び実行の何れかの処理を禁止されているか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
少なくとも前記一方は、ユーザであることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
少なくとも前記一方は、入力される前記画像データの種類であり、
前記種類は、画像データの重要度を表す情報により特定され、
前記判定手段は、入力された画像データに対する画像処理によって、該画像データに前記重要度を表す前記情報が含まれているか否かを判定し、該画像データに前記重要度を表す前記情報が含まれていると判定した場合、前記テーブルを参照して、前記画像データに対して所定の従属処理の設定及び実行の何れかの処理が禁止されているか否かを判定することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記判定手段は、禁止されている前記所定の従属処理を実行するための例外条件が満たされるか否かを判定する手段を備え、
前記制限手段は、前記例外条件が満たされると判定された場合、禁止されている前記所定の従属処理を実行することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像データを画像処理装置に入力するステップと、
入力される前記画像データに対して、主として行なう処理と同時又は該処理に連続して実行する従属処理を設定するステップと、
ユーザ及び入力される前記画像データの種類の少なくとも一方が、入力される前記画像データに対して所定の従属処理の設定及び実行の何れかの処理を禁止されているか否かを判定するステップと、
少なくとも前記一方が、前記所定の従属処理の設定及び実行の何れかの処理を禁止されていると判定された場合、前記所定の従属処理に関して禁止された前記処理を禁止するステップとを含むことを特徴とする画像処理装置の操作方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−191368(P2012−191368A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52299(P2011−52299)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】