説明

画像処理装置及び画像処理プログラム

【課題】画像内の切れ目のある線を実線化する場合にあって、切れ目のある線以外のものを切れ目のある線として実線化してしまうことを抑制するようにした画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置の画像受付手段は画像を受け付け、連続度数画像作成手段は、前記画像受付手段によって受け付けられた画像内における黒画素又は白画素が連続する度数を画素値として有する連続度数画像を作成し、実線化手段は、前記連続度数画像作成手段によって作成された連続度数画像に基づいて、切れ目のある線を実線に変更する実線化を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
点線等の切れ目のある線によって構成されている表等を含む文書を対象とした画像処理が行われている。
これに関連する技術として、例えば、特許文献1には、文書画像中の表の破線や鎖線のような不連続な罫線を、簡単な処理で、高速に抽出することを目的とし、文書画像を二値原画像の形で読み取り、読み取られた二値原画像に対して水平及び垂直方向の各方向に走査して黒ビット列とそれに連結した白ビット列を検出し、検出された黒ビット列とそれに連結した白ビット列に対して白ビット列の長さの判定を行い、該白ビット列の長さが閾値以下の黒ビット列とそれに連結した閾値以下の白ビット列を検出し、検出された黒ビット列とそれに連結した閾値以下の白ビット列の連続に対し、基本ビット列を検出し、検出された基本ビット列が規則的に所定回数以上繰返される制限付繰返しビット列を検出して制限付繰返しパタンを抽出することが開示されている。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、印刷物・文書等から読み込まれた図形データから、文字・破線・点線、線種にかかわらず表構造及びセル内の文字を正確に認識できる表認識装置を提供することを目的とし、図形データの連結黒画素の外接矩形リストを作成する黒画素ラベリング部と、外接矩形の辺の長さから矩形内が文字であるか否かを判断する文字矩形推定部と、文字であると推定された矩形内の黒画素を除いた部分の縮小画像を作成する縮小画像作成部と、縮小画像の縦・横2方向の黒画素のランのうち一定長さ以上のものを抽出するラン抽出部と、抽出されたランを連結することにより罫線を抽出する罫線抽出部と、抽出された罫線で囲まれた矩形を検索し、表のセルとして抽出する表構造抽出部とを備えていることが開示されている。
【0004】
また、例えば、特許文献3には、点線の罫線を認識し、点線罫線を含む表を処理することを目的とし、2値画像入力部より2値イメージメモリに原稿の2値画像を入力し、矩形抽出部は罫線方向に関し連結する黒画素を包含する矩形を抽出し、点線要素抽出部は予め定められた大きさより小さい矩形を点線要素として抽出し、点線要素抽出部は、罫線方向に関し、予め定められた間隔より接近した点線要素を統合し、点線矩形として抽出することが開示されている。
【0005】
また、例えば、特許文献4には、点線のような非実線の罫線を含んだ表に対しても正確な処理を可能にするための罫線認識方法を提供することを目的とし、2値画像について、主走査方向及び副走査方向の各ラインの黒ランと白ランを抽出し、前記抽出した黒ランと白ランそれぞれのランの長さについてのヒストグラムを求め、このヒストグラムのピーク部分の値が一定値を越えるときは、そのピーク部分に対応した長さを持つ黒ラン及び白ランの連続範囲を非実線の罫線候補として抽出し、前記抽出した黒ランの長さの閾値処理を行い、一定長以上の長さの黒ランを実線の罫線候補として抽出し、前記抽出した非実線、実線の罫線候補について、それぞれライン間で連結したものを統合し、罫線と認識することを特徴とする罫線認識方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平05−040847号公報
【特許文献2】特開平05−012489号公報
【特許文献3】特開平07−230525号公報
【特許文献4】特許第3140079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、画像内の切れ目のある線を実線化する場合にあって、切れ目のある線以外のものを切れ目のある線として実線化してしまうことを抑制するようにした画像処理装置及び画像処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
請求項1の発明は、画像を受け付ける画像受付手段と、前記画像受付手段によって受け付けられた画像内における黒画素又は白画素が連続する度数を画素値として有する連続度数画像を作成する連続度数画像作成手段と、前記連続度数画像作成手段によって作成された連続度数画像に基づいて、切れ目のある線を実線に変更する実線化を行う実線化手段を具備することを特徴とする画像処理装置である。
【0009】
請求項2の発明は、前記実線化手段は、前記連続度数画像内の画素であって、予め定められた第1の閾値と比較して抽出された2つの第1の画素を両端とし、該第1の画素の間にある画素が、予め定められた第2の閾値と比較して抽出された第2の画素である場合に、該第2の画素を前記切れ目のある線の切れ目部分として実線化を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
【0010】
請求項3の発明は、前記実線化手段によって実線化された線に基づいて作成された画像に基づいて、前記受付手段によって受け付けられた画像内の実線又は切れ目のある線と接触している画素塊を分離する分離手段をさらに具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置である。
【0011】
請求項4の発明は、前記実線化手段によって実線化が行われた画像内の白画素が連続する度数を画素値として有する白連続度数画像を作成する白連続度数画像作成手段と、前記実線化手段によって実線化が行われた画像内の黒画素が連続する度数を画素値として有する黒連続度数画像を作成する黒連続度数画像作成手段と、前記白連続度数画像作成手段によって作成された白連続度数画像と前記黒連続度数画像作成手段によって作成された黒連続度数画像に基づいて、前記画像受付手段によって受け付けられた画像から線分を抽出する線分抽出手段をさらに具備することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理装置である。
【0012】
請求項5の発明は、コンピュータを、画像を受け付ける画像受付手段と、前記画像受付手段によって受け付けられた画像内における黒画素又は白画素が連続する度数を画素値として有する連続度数画像を作成する連続度数画像作成手段と、前記連続度数画像作成手段によって作成された連続度数画像に基づいて、切れ目のある線を実線に変更する実線化を行う実線化手段として機能させることを特徴とする画像処理プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の画像処理装置によれば、画像内の切れ目のある線を実線化する場合にあって、切れ目のある線以外のものを切れ目のある線として実線化してしまうことを抑制できる。
【0014】
請求項2の画像処理装置によれば、本構成を有していない場合に比較して、切れ目のある線を実線化する処理の負荷を軽減させることができる。
【0015】
請求項3の画像処理装置によれば、線と接触している画素塊を分離することができる。
【0016】
請求項4の画像処理装置によれば、画像内から線分を抽出する場合にあって、線分でないものを線分として抽出してしまうことを抑制できる。
【0017】
請求項5の画像処理プログラムによれば、画像内の切れ目のある線を実線化する場合にあって、切れ目のある線以外のものを切れ目のある線として実線化してしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図2】第1の実施の形態の構成例についての詳細なモジュール構成図である。
【図3】受付画像の例を示す説明図である。
【図4】白ランマップ画像の例を示す説明図である。
【図5】白ランマップ画像の性質の例を示す説明図である。
【図6】白ランマップ画像の性質の例を示す説明図である。
【図7】白ランマップフィルタリングモジュールVによる処理例を示す説明図である。
【図8】論理和処理モジュールV等による処理例を示す説明図である。
【図9】黒ランマップ画像作成モジュールH等による処理例を示す説明図である。
【図10】論理和処理モジュールによる処理例を示す説明図である。
【図11】反転処理モジュール等による処理例を示す説明図である。
【図12】第1の実施の形態による処理例を示す説明図である。
【図13】第2の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図14】第2の実施の形態の構成例についての詳細なモジュール構成図である。
【図15】黒ランレングスと白ランレングスとの関係例を示す説明図である。
【図16】黒白ランマップフィルタリングモジュールVによる処理例を示す説明図である。
【図17】第2の実施の形態による処理例を示す説明図である。
【図18】第3の実施の形態の反転・論理積処理モジュールの構成例についての詳細なモジュール構成図である。
【図19】第1〜3の実施の形態を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づき本発明を実現するにあたっての好適な各種の実施の形態の例を説明する。
図1は、第1の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図を示している。
なお、モジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア(コンピュータ・プログラム)、ハードウェア等の部品を指す。したがって、本実施の形態におけるモジュールはコンピュータ・プログラムにおけるモジュールのことだけでなく、ハードウェア構成におけるモジュールも指す。それゆえ、本実施の形態は、コンピュータ・プログラム、システム及び方法の説明をも兼ねている。ただし、説明の都合上、「記憶する」、「記憶させる」、これらと同等の文言を用いるが、これらの文言は、実施の形態がコンピュータ・プログラムの場合は、記憶装置に記憶させる、又は記憶装置に記憶させるように制御するの意である。また、モジュールは機能に一対一に対応していてもよいが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよく、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散又は並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。なお、1つのモジュールに他のモジュールが含まれていてもよい。また、以下、「接続」とは物理的な接続の他、論理的な接続(データの授受、指示、データ間の参照関係等)の場合にも用いる。
また、システム又は装置とは、複数のコンピュータ、ハードウェア、装置等がネットワーク(一対一対応の通信接続を含む)等の通信手段で接続されて構成されるほか、1つのコンピュータ、ハードウェア、装置等によって実現される場合も含まれる。「装置」と「システム」とは、互いに同義の用語として用いる。もちろんのことながら、「システム」には、人為的な取り決めである社会的な「仕組み」(社会システム)にすぎないものは含まない。「予め定められた」とは、対象としている処理の前に定まっていることをいい、本実施の形態による処理が始まる前はもちろんのこと、本実施の形態による処理が始まった後であっても、対象としている処理の前であれば、そのときの状況・状態に応じて、又はそれまでの状況・状態に応じて定まることの意を含めて用いる。
【0020】
第1の実施の形態である画像処理装置は、図1に例示するように、画像受付モジュール110、表罫線補正モジュール120、接触文字分離モジュール130、論理和合成モジュール140、画像出力モジュール150を有している。
【0021】
画像受付モジュール110は、表罫線補正モジュール120、接触文字分離モジュール130と接続されている。画像を受け付け、その画像を表罫線補正モジュール120、接触文字分離モジュール130へ渡す。画像を受け付けるとは、例えば、スキャナ、カメラ等で画像を読み込むこと、ファックス等で通信回線を介して外部機器から画像を受信すること、ハードディスク(コンピュータに内蔵されているものの他に、通信回線を介して接続されているもの等を含む)等に記憶されている画像を読み出すこと等が含まれる。ここで、受け付ける画像は、2値画像であるが、多値画像(カラー画像を含む)であってもよい。多値画像の場合は、2値化処理を行う。受け付ける画像は、1枚であってもよいし、複数枚であってもよい。また、画像の内容として、表等を構成している罫線が含まれている文書であれば、ビジネスに用いられる文書、帳票、広告宣伝用のパンフレット等であってもよい。また、その罫線には、切れ目のある線が含まれていてもよいし、罫線に画素塊が接触していてもよい。
【0022】
ここで、切れ目のある線とは、実線以外の線であり、例えば、点線、破線、一点鎖線、二点鎖線等のほか、これらが混在した線がある。以下、総称して点線ともいう。
また、画素塊とは、罫線以外であって4連結又は8連結で連続する画素領域を少なくとも含み、これらの画素領域の集合をも含む。これらの画素領域の集合とは、4連結等で連続した画素領域が複数あり、その複数の画素領域は近傍にあるものをいう。ここで、近傍にあるものとは、例えば、互いの画素領域が距離的に近いもの、文章としての1行から1文字ずつ切り出すように縦又は横方向に射影し、空白地点で切り出した画像領域、又は予め定められた間隔で切り出した画像領域等がある。
なお、1つの画素塊として、1文字の画像となる場合が多い。ただし、実際に人間が文字として認識できる画素領域である必要はない。文字の一部分、文字を形成しない画素領域等もあり、何らかの画素の塊であればよい。
また、罫線は、黒色であるのが一般的であるが、白色である罫線にも対応できる。ただし、以下の説明では黒色の罫線の場合について主に説明する。
【0023】
表罫線補正モジュール120は、画像受付モジュール110、接触文字分離モジュール130、論理和合成モジュール140と接続されており、画像受付モジュール110によって受け付けられた画像内における黒画素又は白画素が連続する度数を画素値として有する連続度数画像を作成する。次に、その作成した連続度数画像に基づいて、切れ目のある線を実線に変更する実線化を行う。そして、切れ目のある線を実線化した画像を接触文字分離モジュール130、論理和合成モジュール140へ渡す。また、接触文字分離モジュール130等へ渡す画像として、実線化した罫線だけの画像としてもよい。つまり、画像受付モジュール110が受け付けた画像から罫線部分だけを抽出した画像(画素塊を除去した画像)としてもよい。
例えば、表罫線補正モジュール120は、連続度数画像内の画素であって、予め定められた第1の閾値と比較して抽出された2つの第1の画素を両端とし、その第1の画素の間にある画素が、予め定められた第2の閾値と比較して抽出された第2の画素である場合に、その第2の画素を切れ目のある線の切れ目部分として実線化を行うようにしてもよい。なお、表罫線補正モジュール120内の構成、処理内容等についての詳細は、図2等を用いて後述する。
【0024】
連続度数画像とは、注目画素において、その注目画素と同じ色の画素が水平方向又は垂直方向に連続している度数(いわゆるランレングス長)を画素値として有する画像のことである。換言すると、ランレングスを構成している画素に、そのランレングス長の値を画素値として与えるものである。したがって、そのランレングス内の画素は同じ画素値となる。以下、連続度数画像をランマップ画像ともいう。黒画素のランレングスを基にしたものを黒ランマップ画像といい、白画素のランレングスを基にしたものを白ランマップ画像ともいう。
このランマップ画像は、画像受付モジュール110によって受け付けられた画像と同じ大きさ(幅×縦長)である。ただし、画像受付モジュール110によって受け付けられた画像は2値画像であるが、ランマップ画像は1画素が度数を表せるような多値画像である。例えば、8bit/画素としてもよい。この場合、度数が256以上となる場合は、画素値を255と固定してもよい。
また、実線化とは、切れ目のある線を実線に変更することをいい、具体的には、切れ目のある線をつないで(短線間の空白を埋めて)実線にすることをいう。
【0025】
接触文字分離モジュール130は、画像受付モジュール110、表罫線補正モジュール120、論理和合成モジュール140と接続されている。表罫線補正モジュール120によって実線化された線に基づいて作成された画像に基づいて、画像受付モジュール110によって受け付けられた画像内の実線又は切れ目のある線と接触している画素塊を分離する。具体的には、例えば、罫線だけとなった画像を反転処理(白画素を黒画素へ、黒画素を白画素へ変更する処理)を行い、その反転した画像に対して収縮処理を行う。この反転処理と収縮処理を行った画像に対して画像受付モジュール110によって受け付けられた画像との論理積処理を行って、接触している画素塊を、実線又は切れ目のある線である罫線から分離する。そして、罫線以外の画像だけの画像(文字だけの画像)を論理和合成モジュール140へ渡す。なお、接触文字分離モジュール130内の構成、処理内容等についての詳細は、図2等を用いて後述する。
【0026】
論理和合成モジュール140は、表罫線補正モジュール120、接触文字分離モジュール130、画像出力モジュール150と接続されている。表罫線補正モジュール120から切れ目のある線を実線化したものであって罫線部分だけの画像を受け取り、接触文字分離モジュール130から罫線に接触した画素塊を分離したものであって罫線以外の画像だけの画像を受け取って、これらを論理和による合成を行って、切れ目のある線を実線化し、罫線に接触した画素塊を分離した画像を作成する。そして、その画像を画像出力モジュール150へ渡す。なお、論理和合成モジュール140内の構成、処理内容等についての詳細は、図2等を用いて後述する。
【0027】
画像出力モジュール150は、論理和合成モジュール140と接続されている。論理和合成モジュール140によって論理和合成された画像を受け取り、その画像を出力する。画像を出力するとは、例えば、プリンタ等の印刷装置で印刷すること、ディスプレイ等の表示装置に表示すること、ファックス等の画像送信装置で画像を送信すること、画像データベース等の画像記憶装置へ画像を書き込むこと、メモリーカード等の記憶媒体に記憶すること、他の情報処理装置へ渡すこと等が含まれる。例えば、文字認識処理装置へ出力して、文字認識処理装置がその画像を認識しXML(eXtensible Markup Language)等の文書へ変換してもよい。
【0028】
図2は、第1の実施の形態の構成例についての詳細なモジュール構成図である。
画像受付モジュール110は、白ランマップ画像作成モジュール222H、論理和処理モジュール224H、白ランマップ画像作成モジュール222V、論理和処理モジュール224V、論理積処理モジュール233と接続されている。受け付ける画像としては、図3(a)に例示する受付画像300がある。受付画像300内の領域310のように、文字と罫線が接触している接触発生領域311、312がある(図3(b)参照)。また、受付画像300内の領域320のように、罫線として実線321以外にも、点線322、破線323、一点鎖線324等がある(図3(c)参照)。
【0029】
表罫線補正モジュール120は、水平方向処理モジュール221H、垂直方向処理モジュール221V、論理和処理モジュール227を有している。水平方向処理モジュール221Hは、白ランマップ画像作成モジュール222H、白ランマップフィルタリングモジュール223H、論理和処理モジュール224H、黒ランマップ画像作成モジュール225H、しきい値処理モジュール226Hを有している。垂直方向処理モジュール221Vは、白ランマップ画像作成モジュール222V、白ランマップフィルタリングモジュール223V、論理和処理モジュール224V、黒ランマップ画像作成モジュール225V、しきい値処理モジュール226Vを有している。水平方向処理モジュール221Hは、画像受付モジュール110が受け付けた画像に対して水平方向の処理(横罫線を抽出する処理)を行い、垂直方向処理モジュール221Vは、画像受付モジュール110が受け付けた画像に対して垂直方向の処理(縦罫線を抽出する処理)を行うものであり、両者は水平方向、垂直方向の罫線を扱う点では異なるが、90度回転させれば同じ処理を行っているものであり、同等の対応するモジュールを有している。以下の説明では、いずれか一方又は両者を統合して説明する。
【0030】
白ランマップ画像作成モジュール222は、画像受付モジュール110、白ランマップフィルタリングモジュール223と接続されている。画像受付モジュール110から受け取った画像を用いて白ランマップ画像を作成する。そして、作成した白ランマップ画像を白ランマップフィルタリングモジュール223へ渡す。
例えば、具体的には、画像の白画素を注目画素として特定し、各白画素のランレングス長(白ランマップ画像作成モジュール222Hの処理の場合は水平方向につながっている白画素数、白ランマップ画像作成モジュール222Vの処理の場合は垂直方向につながっている白画素数)をカウントし、そのランレングスに属する白画素にランレングス長を画素値とする値を与える。より具体的には、ある白画素の塊のランレングス長が10であった場合、その塊に属する白画素10画素の画素値を10とする。
図4は、白ランマップ画像の例を示す説明図である。図4(a)に例示する白ランマップ画像410は、白ランマップ画像作成モジュール222Hによって作成されたものであり、図4(b)に例示する白ランマップ画像420は、白ランマップ画像作成モジュール222Vによって作成されたものである。この図では、黒いほど白ランレングス長値が大きい画素を示している。つまり、長い白ランレングスがある部分ほど黒く表示されている。なお、ランレングス長が255を超えるものは255としている。
【0031】
白ランマップフィルタリングモジュール223は、白ランマップ画像作成モジュール222、論理和処理モジュール224と接続されている。白ランマップ画像作成モジュール222から受け取った白ランマップ画像に対して、フィルタリング処理を行う。そして、フィルタリング処理の結果を論理和処理モジュール224へ渡す。
ここで、白ランマップ画像の性質について図5、図6の例を用いて説明する。
図5(b)の白ランマップ画像の例は、白ランマップ画像作成モジュール222Vが図5(a)に例示する文字の画像を対象としたものであり、図6(b)の白ランマップ画像の例は、白ランマップ画像作成モジュール222Vが図6(a)に例示する点線の画像を対象としたものである。このように、文字画素隣接領域には比較的短い白ラン画素が多いが、点線隣接領域には比較的長い白ランレングスの画素が多い。白ランマップフィルタリングモジュール223は、この性質を利用するものである。
【0032】
図7は、白ランマップフィルタリングモジュール223Vによる処理例を示す説明図である。図7(a)に例示する画像は、2画素幅で2画素おきに黒白と変化する点線の画像である。この画像には、以下のような性質がある。
(1)点線の横には長い白ランレングスが存在する。図7(a)の例では、両端の画素(右上がり線で示された矩形であり、例えば、画素701)は長い白ランレングスである。
(2)点線を構成する白画素は短い。図7(a)の例では、点線を構成する黒画素(画素703)の間に挟まれた白画素(右下がり線で示された矩形であり、例えば、画素702)は短い白ランレングスである。
【0033】
白ランマップフィルタリングモジュール223Vは、横方向9×1画素フィルタ(図7(b)に例示するフィルタ710)を用いて、点線を構成する白画素を検知する。つまり、白ランマップ画像に対して、このフィルタ710内の画素で、長い白ランレングス長を持つ画素Aに挟まれた短い白ランレングス長を持つ画素Bを黒画素(ON)として出力する。それ以外の場合は白画素(OFF)として出力する。長い白ランレングス長を持つ画素Aとは、その画素の画素値が予め定められた閾値(Th_w)よりも大である画素をいい、短い白ランレングス長を持つ画素Bとは、その画素の画素値が予め定められた閾値(Th_s)よりも小である画素をいう。
このフィルタ処理により、点線を構成する白画素のみをON、それ以外の画素をOFF(文字と実線)とする2値画像が作成される。
また、白ランマップフィルタリングモジュール223Hも、縦方向1×9画素フィルタを用いて同等のフィルタ処理を行う。
なお、フィルタのサイズは、検出する点線幅に応じたものとなるように可変としてもよい。前述の9×1画素フィルタは7画素までの点線を検出することができる。
【0034】
論理和処理モジュール224は、画像受付モジュール110、白ランマップフィルタリングモジュール223、黒ランマップ画像作成モジュール225と接続されている。画像受付モジュール110から受け取った画像と白ランマップフィルタリングモジュール223から受け取った白ランマップ画像との論理和処理を行って、点線を実線化した画像を作成する。そして、その作成した画像を黒ランマップ画像作成モジュール225へ渡す。
図8は、論理和処理モジュール224V等による処理例を示す説明図である。受付画像300は、画像受付モジュール110が受け取った画像であり、領域811、812、813内にそれぞれ点線、破線、一点鎖線がある。白ランマップ画像420は、白ランマップ画像作成モジュール222Vが作成した白ランマップ画像である。この白ランマップ画像420に対して、白ランマップフィルタリングモジュール223Vは、点線を構成する白画素をON、それ以外の画素をOFFとした2値画像を作成する。実線化画像(垂直方向)800は、論理和処理モジュール224Vが作成した画像であり、領域811、812、813に対応する領域821、822、823内の点線等は実線になっている。
【0035】
黒ランマップ画像作成モジュール225は、論理和処理モジュール224、しきい値処理モジュール226と接続されている。論理和処理モジュール224から受け取った画像(点線を実線化した画像)を用いて黒ランマップ画像を作成する。そして、作成した黒ランマップ画像をしきい値処理モジュール226へ渡す。黒ランマップ画像の作成は、白ランマップ画像作成モジュール222の白ランマップ画像の作成と同等であり、画像の黒画素を注目画素として特定し、各黒画素のランレングス長(黒ランマップ画像作成モジュール225Hの処理の場合は水平方向につながっている黒画素数、黒ランマップ画像作成モジュール225Vの処理の場合は垂直方向につながっている黒画素数)をカウントし、そのランレングスに属する黒画素にランレングス長を画素値とする値を与える。
【0036】
しきい値処理モジュール226は、黒ランマップ画像作成モジュール225、論理和処理モジュール227と接続されている。黒ランマップ画像作成モジュール225から受け取った黒ランマップ画像内のそれぞれの画素に対してしきい値処理を行う。そして、しきい値処理を行った画像を論理和処理モジュール227へ渡す。ここで、しきい値処理とは、予め定められたしきい値と各画素の画素値とを比較して、そのしきい値以上の画素を罫線を構成する画素であるとして抽出するものである。したがって、そのしきい値以上の罫線が残り、それ未満の罫線は除去されることとなる。
図9は、黒ランマップ画像作成モジュール225、しきい値処理モジュール226による処理例を示す説明図である。
図9(a)に例示する実線化画像(水平方向)900は、論理和処理モジュール224Hの出力画像であり、この実線化画像(水平方向)900に対して黒ランマップ画像作成モジュール225H、しきい値処理モジュール226Hによって処理した結果が横罫線画像910である。このように、水平方向の点線を実線化した画像からしきい値以上の横罫線だけを抽出する。
図9(b)に例示する実線化画像(垂直方向)800に対しても黒ランマップ画像作成モジュール225V、しきい値処理モジュール226Vによる同等の処理を行い、処理結果が縦罫線画像920である。
【0037】
論理和処理モジュール227は、しきい値処理モジュール226H、しきい値処理モジュール226V、反転処理モジュール231、論理和処理モジュール241と接続されている。しきい値処理モジュール226Hから横罫線だけからなる画像を受け取り、しきい値処理モジュール226Vから縦罫線だけからなる画像を受け取り、両者の画像を論理和合成する。そして、その論理和合成した画像を反転処理モジュール231、論理和処理モジュール241へ渡す。
図10は、論理和処理モジュール227による処理例を示す説明図である。論理和処理モジュール227は、しきい値処理モジュール226Hから横罫線画像910、しきい値処理モジュール226Vから縦罫線画像920を受け取り、論理和合成して罫線画像1000を作成する。
【0038】
接触文字分離モジュール130は、反転処理モジュール231、収縮処理モジュール232、論理積処理モジュール233を有している。
反転処理モジュール231は、論理和処理モジュール227、収縮処理モジュール232と接続されている。論理和処理モジュール227から罫線のみとなった画像を受け取り、反転処理(論理否定処理)を行う。そして、その反転処理した画像を収縮処理モジュール232へ渡す。
収縮処理モジュール232は、反転処理モジュール231、論理積処理モジュール233と接続されている。反転処理モジュール231から反転処理した画像を受け取り、収縮処理を行う。そして、その収縮処理した画像を論理積処理モジュール233へ渡す。ここで、収縮処理とは、黒領域の境界にある画素の値を背景成分の白画素の値に変換して、黒領域を1画素以上縮める処理のことである。例えば、1画素移動させた画像と元の画像との論理積処理を行うようにしてもよい。その他、従来から知られている画像処理としての収縮処理を行えばよい。これによって、罫線に接触している文字を切り離すための画像が作成されることとなる。
論理積処理モジュール233は、画像受付モジュール110、収縮処理モジュール232、論理和処理モジュール241と接続されている。画像受付モジュール110から画像を受け取り、収縮処理モジュール232から収縮処理した画像を受け取り、論理積処理を行う。そして、その論理積処理した画像を論理和処理モジュール241へ渡す。これによって、罫線以外の文字だけの画像が作成される。また、罫線に接触していた文字は、その接触部分を削除した文字となっている。
【0039】
論理和合成モジュール140は、論理和処理モジュール241を有している。
論理和処理モジュール241は、論理和処理モジュール227、論理積処理モジュール233、画像出力モジュール150と接続されている。論理和処理モジュール227から論理和処理した画像(罫線だけの画像)を受け取り、論理積処理モジュール233から論理積処理した画像(文字だけの画像)を受け取り、論理和処理を行う。そして、その論理和処理した画像を画像出力モジュール150へ渡す。
図11は、反転処理モジュール231、収縮処理モジュール232、論理積処理モジュール233、論理和処理モジュール241による処理例を示す説明図である。反転処理モジュール231が罫線画像1000に対して反転処理を行って反転画像1010を作成し、収縮処理モジュール232が反転画像1010に対して収縮処理を行って接触文字分離用マスク1020を作成し、論理積処理モジュール233が受付画像300と接触文字分離用マスク1020に対して論理積処理を行って文字画像1030を作成し、論理和処理モジュール241が罫線画像1000と文字画像1030に対して論理和処理を行って出力画像1040を作成することを示している。
【0040】
画像出力モジュール150は、論理和処理モジュール241と接続されている。論理和処理モジュール241から点線を実線化し、罫線に接触している文字を分離している画像を受け取り、出力する。
図12は、第1の実施の形態による処理例を示す説明図である。図12(a1)に例示する受付画像300は、画像受付モジュール110が受け付ける画像の例であり、領域310内には図12(b1)に例示するように罫線と接触発生領域311、312で接触している文字があり、また領域1210には図12(c1)に例示するように点線、破線、一点鎖線が含まれている。図12(a2)に例示する出力画像1040は、画像出力モジュール150によって出力された画像の例であり、接触文字があった領域1230内は図12(b2)に例示するように接触部分が分離しており(分離領域1231、1232)、点線、破線、一点鎖線が含まれていた領域1220内は図12(c2)に例示するように実線となっている。
【0041】
図13は、第2の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。第2の実施の形態である画像処理装置は、図13に例示するように、画像受付モジュール1310、点線実線化モジュール1320、線分抽出モジュール1330、論理積合成モジュール1340、画像出力モジュール1350を有している。
第2の実施の形態は、受け付けた画像から文字を削除して罫線のみの画像とするものである。第1の実施の形態とは異なり、出力する画像は、点線を実線化していない。例えば、画像のフォーム(文字が記載される前の原型文書)を認識する場合等に用いられるものである。
【0042】
画像受付モジュール1310は、点線実線化モジュール1320、論理積合成モジュール1340と接続されている。図1に例示した画像受付モジュール110と同等のものであり、受け付けた画像を点線実線化モジュール1320、論理積合成モジュール1340へ渡す。
点線実線化モジュール1320は、画像受付モジュール1310、線分抽出モジュール1330と接続されている。画像受付モジュール1310が受け付けた画像内の点線を実線化するものである。図1に例示した表罫線補正モジュール120の途中までの処理と同等のものを行うものである。なお、点線実線化モジュール1320内の構成、処理内容等についての詳細は、図14等を用いて後述する。
【0043】
線分抽出モジュール1330は、点線実線化モジュール1320、論理積合成モジュール1340と接続されている。点線実線化モジュール1320によって実線化した画像から罫線である線分を抽出する。そして、罫線だけにした画像を論理積合成モジュール1340へ渡す。
具体的には、例えば、点線実線化モジュール1320によって実線化が行われた画像から白ランマップ画像と黒ランマップ画像を作成する。そして、その作成された白ランマップ画像と黒ランマップ画像に基づいて、画像受付モジュール1310によって受け付けられた画像から線分を抽出する。なお、線分抽出モジュール1330内の構成、処理内容等についての詳細は、図14等を用いて後述する。
【0044】
論理積合成モジュール1340は、画像受付モジュール1310、線分抽出モジュール1330、画像出力モジュール1350と接続されている。線分抽出モジュール1330によって作成された罫線だけの画像と画像受付モジュール1310によって受け付けられた画像との論理積合成を行い、文書から文字を削除して罫線だけの画像を作成する。なお、論理積合成モジュール1340内の構成、処理内容等についての詳細は、図14等を用いて後述する。
【0045】
画像出力モジュール1350は、論理積合成モジュール1340と接続されている。図1に例示した画像出力モジュール150と同等のものであり、論理積合成モジュール1340から受け取った画像を出力する。例えば、フォーム認識処理装置へ出力して、フォーム認識処理装置がその画像を認識してフォームの種別に沿った処理を行うようにしてもよい。また、表解析処理装置へ出力して、表解析処理装置が罫線から構成されている表の解析処理を行うようにしてもよい。
【0046】
図14は、第2の実施の形態の構成例についての詳細なモジュール構成図である。
画像受付モジュール1310は、白ランマップ画像作成モジュール1421H、論理和処理モジュール1423H、白ランマップ画像作成モジュール1421V、論理和処理モジュール1423V、論理積処理モジュール1441と接続されている。図2に例示した画像受付モジュール110と同等のものである。
【0047】
点線実線化モジュール1320は、水平方向処理モジュール1400Hと垂直方向処理モジュール1400Vに分かれており、点線実線化モジュール1320内の水平方向処理モジュール1400Hは、白ランマップ画像作成モジュール1421H、白ランマップフィルタリングモジュール1422H、論理和処理モジュール1423Hを有しており、点線実線化モジュール1320内の垂直方向処理モジュール1400Vは、白ランマップ画像作成モジュール1421V、白ランマップフィルタリングモジュール1422V、論理和処理モジュール1423Vを有している。
線分抽出モジュール1330は、論理和処理モジュール1434を有しており、その他のモジュールは水平方向処理モジュール1400Hと垂直方向処理モジュール1400Vに分かれており、線分抽出モジュール1330内の水平方向処理モジュール1400Hは、白ランマップ画像作成モジュール1431H、黒ランマップ画像作成モジュール1432H、黒白ランマップフィルタリングモジュール1433Hを有しており、線分抽出モジュール1330内の垂直方向処理モジュール1400Vは、白ランマップ画像作成モジュール1431V、黒ランマップ画像作成モジュール1432V、黒白ランマップフィルタリングモジュール1433Vを有している。
水平方向処理モジュール1400Hと垂直方向処理モジュール1400Vの両者は水平方向、垂直方向の罫線を扱う点では異なるが、90度回転させれば同じ処理を行っているものであり、同等の対応するモジュールを有している。以下の説明では、いずれか一方又は両者を統合して説明する。
【0048】
点線実線化モジュール1320内の白ランマップ画像作成モジュール1421、白ランマップフィルタリングモジュール1422、論理和処理モジュール1423は、それぞれ図2に例示した白ランマップ画像作成モジュール222、白ランマップフィルタリングモジュール223、論理和処理モジュール224と同等のものである。
【0049】
白ランマップ画像作成モジュール1431は、論理和処理モジュール1423、黒白ランマップフィルタリングモジュール1433と接続されている。論理和処理モジュール1423から受け取った画像(点線が実線化された画像)を用いて白ランマップ画像を作成する。そして、作成した白ランマップ画像を黒白ランマップフィルタリングモジュール1433へ渡す。
黒ランマップ画像作成モジュール1432は、論理和処理モジュール1423、黒白ランマップフィルタリングモジュール1433と接続されている。論理和処理モジュール1423から受け取った画像(点線が実線化された画像)を用いて黒ランマップ画像を作成する。そして、作成した黒ランマップ画像を黒白ランマップフィルタリングモジュール1433へ渡す。
【0050】
黒白ランマップフィルタリングモジュール1433は、白ランマップ画像作成モジュール1431、黒ランマップ画像作成モジュール1432、論理和処理モジュール1434と接続されている。白ランマップ画像作成モジュール1431から受け取った白ランマップ画像、黒ランマップ画像作成モジュール1432から受け取った黒ランマップ画像を用いて、罫線を抽出する。
実線だけの画像(点線が実線化された画像を含む)において、「文字の黒ランレングスに隣接する白ランレングスの長さは、実線の黒ランレングスに隣接する白ランレングスに比較して短い」という性質がある。図15は、黒ランレングスと白ランレングスとの関係例を示す説明図である。図15(b)に例示するように文字画像1550の隣接領域1560、1570の白ランレングス長は、図15(a)に例示する直線画像1510の隣接領域1520、1530の白ランレングス長よりも短い。
【0051】
図16は、黒白ランマップフィルタリングモジュール1433Vによる処理例を示す説明図である。白ランマップ画像作成モジュール1431Vから受け取った白ランマップ画像と黒ランマップ画像作成モジュール1432Vから受け取った黒ランマップ画像を用いて、フィルタリング処理を行う。
ここでのフィルタリング処理とは、以下の4つの条件を満たす場合に、その注目画素を黒画素(ON)として出力し、それ以外の場合は白画素(OFF)として出力するものである。
(1V)横方向9×1画素フィルタ(図16(a)(b)に例示するフィルタ1610、1620)内の中央に位置する注目画素が黒画素であること
(2V)注目画素における黒ランレングス長が予め定められたしきい値(TH_AV)以上であること
(3V)注目画素の右半分4画素のいずれかの白ランレングス長が予め定められたしきい値(TH_BV)以上であること
(4V)注目画素の左半分4画素のいずれかの白ランレングス長が予め定められたしきい値(TH_CV)以上であること
【0052】
黒白ランマップフィルタリングモジュール1433Hによる処理の場合の条件も、前述の4条件と同等のものであり、以下の4つの条件を満たす場合に、その注目画素を黒画素(ON)として出力し、それ以外の場合は白画素(OFF)として出力するものである。
(1H)縦方向1×9画素フィルタ内の中央に位置する注目画素が黒画素であること
(2H)注目画素における黒ランレングス長が予め定められたしきい値(TH_AH)以上であること
(3H)注目画素の上半分4画素のいずれかの白ランレングス長が予め定められたしきい値(TH_BH)以上であること
(4H)注目画素の下半分4画素のいずれかの白ランレングス長が予め定められたしきい値(TH_CH)以上であること
なお、これらの条件を満たすか否かについては、白ランマップ画像と黒ランマップ画像の両方を参照する。また、TH_AV、TH_BV、TH_CV、TH_AH、TH_BH、TH_CHは、それぞれ異なる値であってもよいし、同じ値が含まれていてもよい。
なお、フィルタのサイズは、検出する線幅に応じたものとなるように可変としてもよい。
【0053】
黒白ランマップフィルタリングモジュール1433Vによって、図16(a)に例示する罫線の黒画素は黒画素(ON)として出力され、図16(b)に例示する文字内の黒画素は白画素(OFF)として出力されることとなる。
【0054】
論理和処理モジュール1434は、黒白ランマップフィルタリングモジュール1433H、黒白ランマップフィルタリングモジュール1433V、論理積処理モジュール1441と接続されている。黒白ランマップフィルタリングモジュール1433Hからの横罫線だけが抽出された画像と黒白ランマップフィルタリングモジュール1433Vからの縦罫線だけが抽出された画像との論理和合成を行うことによって、点線が実線化された罫線だけの画像を作成する。そして、その作成された画像を論理積処理モジュール1441へ渡す。
論理積処理モジュール1441は、画像受付モジュール1310、論理和処理モジュール1434、画像出力モジュール1350と接続されている。論理和処理モジュール1434からの点線が実線化された罫線だけの画像と画像受付モジュール1310からの画像との論理積処理を行うことによって、点線を含む罫線だけの画像を作成する。そして、その作成された画像を画像出力モジュール1350へ渡す。
【0055】
画像出力モジュール1350は、論理積処理モジュール1441と接続されている。論理積処理モジュール1441から罫線だけの画像を受け取り、出力する。
図17は、第2の実施の形態による処理例を示す説明図である。受付画像1710は、画像受付モジュール1310が受け付ける画像の例であり、文字、写真画像、点線、実線等の罫線が含まれている。出力画像1720は、第2の実施の形態による処理結果であり、画像出力モジュール1350が出力する画像である。このように点線、実線等の罫線だけの画像になっている。
【0056】
図18は、第3の実施の形態の反転・論理積処理モジュール1840の構成例についての詳細なモジュール構成図である。これは、第2の実施の形態の論理積合成モジュール1340を反転・論理積処理モジュール1840に置き換えたものである。なお、第2の実施の形態と同種の部位には同一符号を付し重複した説明を省略する。
反転・論理積処理モジュール1840は、反転処理モジュール1841、論理積処理モジュール1842を有している。
反転処理モジュール1841は、論理和処理モジュール1434、論理積処理モジュール1842と接続されている。論理和処理モジュール1434から受け取った点線が実線化された罫線だけの画像の反転処理を行う。反転処理は、第1の実施の形態の反転処理モジュール231と同等の処理である。そして、反転処理した画像を論理積処理モジュール1842へ渡す。
論理積処理モジュール1842は、画像受付モジュール1310、反転処理モジュール1841、画像出力モジュール1350と接続されている。画像受付モジュール1310から受け取った画像と反転処理モジュール1841から受け取った反転画像との論理積処理を行うことによって、罫線を削除した文字だけの画像を作成する。そして、その文字だけの画像を画像出力モジュール1350へ渡す。
画像出力モジュール1350は、論理積処理モジュール1842と接続されている。論理積処理モジュール1842から受け取った画像を出力する。例えば、文字認識装置へ出力して、文字認識装置が文字認識を行うようにしてもよい。
【0057】
図19を参照して、前述の実施の形態の画像処理装置のハードウェア構成例について説明する。図19に示す構成は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)などによって構成されるものであり、スキャナ等のデータ読み取り部1917と、プリンタなどのデータ出力部1918を備えたハードウェア構成例を示している。
【0058】
CPU(Central Processing Unit)1901は、前述の実施の形態において説明した各種のモジュール、すなわち、白ランマップ画像作成モジュール222H、白ランマップフィルタリングモジュール223H、論理和処理モジュール224H、黒ランマップ画像作成モジュール225H、しきい値処理モジュール226H、収縮処理モジュール232、黒白ランマップフィルタリングモジュール1433H等の各モジュールの実行シーケンスを記述したコンピュータ・プログラムにしたがった処理を実行する制御部である。
【0059】
ROM(Read Only Memory)1902は、CPU1901が使用するプログラムや演算パラメータ等を格納する。RAM(Random Access Memory)1903は、CPU1901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を格納する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス1904により相互に接続されている。
【0060】
ホストバス1904は、ブリッジ1905を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス1906に接続されている。
【0061】
キーボード1908、マウス等のポインティングデバイス1909は、操作者により操作される入力デバイスである。ディスプレイ1910は、液晶表示装置又はCRT(Cathode Ray Tube)などがあり、各種情報をテキストやイメージ情報として表示する。
【0062】
HDD(Hard Disk Drive)1911は、ハードディスクを内蔵し、ハードディスクを駆動し、CPU1901によって実行するプログラムや情報を記録又は再生させる。ハードディスクには、画像受付モジュール110が受け付けた画像、ランマップ画像などが格納される。さらに、その他の各種のデータ処理プログラム等、各種コンピュータ・プログラムが格納される。
【0063】
ドライブ1912は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体1913に記録されているデータ又はプログラムを読み出して、そのデータ又はプログラムを、インタフェース1907、外部バス1906、ブリッジ1905、及びホストバス1904を介して接続されているRAM1903に供給する。リムーバブル記録媒体1913も、ハードディスクと同様のデータ記録領域として利用可能である。
【0064】
接続ポート1914は、外部接続機器1915を接続するポートであり、USB、IEEE1394等の接続部を持つ。接続ポート1914は、インタフェース1907、及び外部バス1906、ブリッジ1905、ホストバス1904等を介してCPU1901等に接続されている。通信部1916は、ネットワークに接続され、外部とのデータ通信処理を実行する。データ読み取り部1917は、例えばスキャナであり、ドキュメントの読み取り処理を実行する。データ出力部1918は、例えばプリンタであり、ドキュメントデータの出力処理を実行する。
【0065】
なお、図19に示す画像処理装置のハードウェア構成は、1つの構成例を示すものであり、本実施の形態は、図19に示す構成に限らず、本実施の形態において説明したモジュールを実行可能な構成であればよい。例えば、一部のモジュールを専用のハードウェア(例えば特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)等)で構成してもよく、一部のモジュールは外部のシステム内にあり通信回線で接続しているような形態でもよく、さらに図19に示すシステムが複数互いに通信回線によって接続されていて互いに協調動作するようにしてもよい。また、複写機、ファックス、スキャナ、プリンタ、複合機(スキャナ、プリンタ、複写機、ファックス等のいずれか2つ以上の機能を有している画像処理装置)などに組み込まれていてもよい。
【0066】
前述の実施の形態においては、水平方向と垂直方向に対しての処理を別個に示したが、一方の処理を行った後に90度回転させた画像を処理してもよい。また、水平方向と垂直方向に対しての処理を並列して行ってもよいし、順番に行うようにしてもよい。
なお、前述の各種の実施の形態を組み合わせてもよく(例えば、ある実施の形態内のモジュールを他の実施の形態内に適用する、入れ替えする等も含む)、各モジュールの処理内容として背景技術で説明した技術を採用してもよい。
また、前述の実施の形態の説明において、予め定められた値との比較において、「以上」、「以下」、「より大きい」、「より小さい(未満)」としたものは、その組み合わせに矛盾が生じない限り、それぞれ「より大きい」、「より小さい(未満)」、「以上」、「以下」としてもよい。
【0067】
なお、説明したプログラムについては、記録媒体に格納して提供してもよく、また、そのプログラムを通信手段によって提供してもよい。その場合、例えば、前記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明として捉えてもよい。
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通などのために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)等、ブルーレイ・ディスク(Blu−ray Disc(登録商標))、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去及び書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)等が含まれる。
そして、前記のプログラム又はその一部は、前記記録媒体に記録して保存や流通等させてもよい。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにこれらの組み合わせ等の伝送媒体を用いて伝送させてもよく、また、搬送波に乗せて搬送させてもよい。
さらに、前記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。また、複数の記録媒体に分割して
記録されていてもよい。また、圧縮や暗号化など、復元可能であればどのような態様で記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0068】
110…画像受付モジュール
120…表罫線補正モジュール
130…接触文字分離モジュール
140…論理和合成モジュール
150…画像出力モジュール
221H…水平方向処理モジュール
221V…垂直方向処理モジュール
222…白ランマップ画像作成モジュール
223…白ランマップフィルタリングモジュール
224…論理和処理モジュール
225…黒ランマップ画像作成モジュール
226…しきい値処理モジュール
227…論理和処理モジュール
231…反転処理モジュール
232…収縮処理モジュール
233…論理積処理モジュール
241…論理和処理モジュール
1310…画像受付モジュール
1320…点線実線化モジュール
1330…線分抽出モジュール
1340…論理積合成モジュール
1350…画像出力モジュール
1400H…水平方向処理モジュール
1400V…垂直方向処理モジュール
1421…白ランマップ画像作成モジュール
1422…白ランマップフィルタリングモジュール
1423…論理和処理モジュール
1431…白ランマップ画像作成モジュール
1432…黒ランマップ画像作成モジュール
1433…黒白ランマップフィルタリングモジュール
1434…論理和処理モジュール
1441…論理積処理モジュール
1840…反転・論理積処理モジュール
1841…反転処理モジュール
1842…論理積処理モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を受け付ける画像受付手段と、
前記画像受付手段によって受け付けられた画像内における黒画素又は白画素が連続する度数を画素値として有する連続度数画像を作成する連続度数画像作成手段と、
前記連続度数画像作成手段によって作成された連続度数画像に基づいて、切れ目のある線を実線に変更する実線化を行う実線化手段
を具備することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記実線化手段は、前記連続度数画像内の画素であって、予め定められた第1の閾値と比較して抽出された2つの第1の画素を両端とし、該第1の画素の間にある画素が、予め定められた第2の閾値と比較して抽出された第2の画素である場合に、該第2の画素を前記切れ目のある線の切れ目部分として実線化を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記実線化手段によって実線化された線に基づいて作成された画像に基づいて、前記受付手段によって受け付けられた画像内の実線又は切れ目のある線と接触している画素塊を分離する分離手段
をさらに具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記実線化手段によって実線化が行われた画像内の白画素が連続する度数を画素値として有する白連続度数画像を作成する白連続度数画像作成手段と、
前記実線化手段によって実線化が行われた画像内の黒画素が連続する度数を画素値として有する黒連続度数画像を作成する黒連続度数画像作成手段と、
前記白連続度数画像作成手段によって作成された白連続度数画像と前記黒連続度数画像作成手段によって作成された黒連続度数画像に基づいて、前記画像受付手段によって受け付けられた画像から線分を抽出する線分抽出手段
をさらに具備することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
コンピュータを、
画像を受け付ける画像受付手段と、
前記画像受付手段によって受け付けられた画像内における黒画素又は白画素が連続する度数を画素値として有する連続度数画像を作成する連続度数画像作成手段と、
前記連続度数画像作成手段によって作成された連続度数画像に基づいて、切れ目のある線を実線に変更する実線化を行う実線化手段
として機能させることを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−65204(P2011−65204A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212684(P2009−212684)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】