説明

画像処理装置及び画像処理プログラム

【課題】画像種別に従わないデータ形式で画像データが記憶されていることにより、メディアの空き容量が減少することを抑制すること。
【解決手段】複合機1は、USBメモリ30に記憶されている画像データXに基づく画像の画像種別が、カラー画像、及び、単色画像の少なくともいずれかであるかどうかを判別する画像判別処理と、USBメモリ30内に、画像種別に従ったデータ形式で記憶されていない第1画像データが有るか否かを判断するデータ有無判断処理と、第1画像データが有ると判断した場合、第1画像データを、当該第1画像データに対し、データ形式が異なり、且つ、データ量が少ない第2画像データに変換し、第1画像データに代えて前記メディアに記憶させるデータ変換処理と、を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される発明は、メディア内に記憶されている画像データを変換処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スキャナで読み取った原稿に対応する画像データに基づいて、原稿種別がカラー原稿、グレイ原稿、二値原稿などのいずれであるかを判断し、その判断した原稿種別に従って、当該画像データを変換して記憶部に記憶する、画像処理装置がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−188763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術では、記憶部には、カラー画像であれば赤(R)、緑(G)、青(B)といった3色のデータであるカラー形式、グレイ画像であれば1色のデータであって0〜255といった階調レベルのデータであるグレイスケール形式、二値画像であれば1色のデータであって0または1といった2つの値のデータである二値形式で画像データが記憶される。即ち、記憶部には、カラー画像、グレイ画像、二値画像などの画像種別に従ったデータ形式で画像データが記憶される。
【0005】
しかし、一般に、メディアには、画像種別に従わないデータ形式で画像データが記憶されていることが多々ある。例えばモノクロ原稿であるが、赤(R)、緑(G)、青(B)といった3色の光源を用いて読み取られ、その結果、モノクロ画像が、カラー形式の画像データとしてメディアに記憶されることがある。このように画像種別に従わないデータ形式で画像データが記憶されている場合、画像種別に従ったデータ形式で画像データがメディアに記憶する場合に比べて、メディアの空き容量が必要以上に減少するという問題がある。
【0006】
本明細書では、画像種別に従わないデータ形式で画像データが記憶されていることにより、メディアの空き容量が減少することを抑制することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書によって開示される画像処理装置は、インターフェース部と、前記インターフェース部を介して、メディアと通信可能に接続される制御部と、を備え、前記制御部は、前記メディアに記憶されている画像データに基づく画像の画像種別が、カラー画像、及び、3階調以上の単色画像の少なくともいずれかであるかどうかを判別する画像判別処理と、前記メディア内に、前記画像判別処理によって判別された画像種別に従ったデータ形式で記憶されていない第1画像データが有るか否かを判断するデータ有無判断処理と、前記データ有無判断処理で、前記第1画像データが有ると判断した場合、前記第1画像データを、当該第1画像データに対し、前記データ形式が異なり、且つ、データ量が少ない第2画像データに変換し、前記第1画像データに代えて前記メディアに記憶させるデータ変換処理と、を実行する。
【0008】
上記画像処理装置では、前記制御部は、前記データ変換処理では、前記第1画像データが複数有る場合、当該複数の第1画像データのうち、変換前から変換後のデータ減少量が多い第1画像データを、前記データ減少量が少ない第1画像データよりも優先して前記第2画像データに変換してもよい。
【0009】
上記画像処理装置では、前記制御部は、前記データ変換処理では、前記第1画像データが複数有る場合、複数の第1画像データからランダムに選択して、選択した第1画像データを、選択されていない第1画像データよりも優先して前記第2画像データに変換してもよい。
【0010】
上記画像処理装置では、前記制御部は、内蔵メモリを有し、前記画像データの複製データを前記内蔵メモリに記憶し、当該複製データについて、前記画像判別処理、及び、前記データ変換処理の少なくとも1つを実行してもよい。
【0011】
上記画像処理装置では、画像データを取得するデータ取得部を備え、前記制御部は、前記データ取得部で取得された画像データのデータ量が、前記メディアの空き容量よりも多いか否かを判断する空き容量判断処理を実行し、前記空き容量判断処理で前記データ量が前記空き容量よりも多いと判断した場合に、前記画像判別処理を実行してもよい。
【0012】
上記画像処理装置では、原稿の画像を読み取って、カラー形式、及び、3階調以上の単色データ形式の少なくともいずれかの読取データを出力する読取デバイスを備え、前記データ取得部は、前記読取デバイスで読み取られた読取データを取得する構成でもよい。
【0013】
上記画像処理装置では、前記制御部は、前記データ変換処理で、前記メディアに記憶されている全ての前記第1画像データを前記第2画像データに変換しても、前記空き容量判断処理で、前記データ量が前記空き容量よりも多いと判断した場合には、エラーをユーザに報知する報知処理を実行してもよい。
【0014】
上記画像処理装置では、前記制御部は、前記データ有無判断処理で前記第1画像データが有ると判断した場合、前記データ変換処理の実行を許可するか否かをユーザに問い合わせる問合せ処理を実行し、前記問合せ処理で前記ユーザが許可した場合に、前記データ変換処理を実行してもよい。
【0015】
なお、この発明は、画像処理方法、当該方法または画像処理装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、メディア内に、画像判別処理で判別された画像種別に従わないデータ形式の第1画像データが有ると判断された場合、第1画像データが、当該第1画像データに対し、前記データ形式が異なり、且つ、データ量が少ない第2画像データに変換され、前記第1画像データに代えてメディアに記憶される。これにより、画像種別に従わないデータ形式の画像データが記憶されていることにより、メディアの空き容量が減少することを抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一実施形態に係る複合機の電気的構成を概略的に示すブロック図
【図2】画像読取処理を示すフローチャート
【図3】メモリ整理処理を示すフローチャート
【図4】USBメモリの記憶内容を説明するための模式図
【発明を実施するための形態】
【0018】
一実施形態について、図1〜図4を参照しつつ説明する。
本実施形態の複合機1は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能などを有する多機能周辺装置であり、画像処理装置の一例である。
【0019】
(複合機の構成)
図1には、複合機1のうち、特にスキャナ機能に関する構成部分が示されている。複合機1は、読取デバイス2、制御基板3、表示ユニット4、及び、操作ユニット5を備える。読取デバイス2は、CIS(Contact Image Sensor)を有する構成であり、複数の読取素子が並んで配置されているとともに、その近傍に、RGBの光をそれぞれ出射する複数の光源が並んで配置されている。なお、読取デバイス2は、CISに限らず、例えばCCD(Charge Coupled Drive Image Sensor)を有する構成でもよい。
【0020】
読取デバイス2は、原稿にRGBの光を照射して画像を読み取るカラー読取方式を実行し、その原稿の原稿種別に関係なく、当該原稿の読取データを、カラー形式で出力することができる。ここで、原稿種別は、原稿面の種別をいい、これには、例えば、カラー原稿、単色多階調原稿、単色2階調原稿が含まれる。カラー原稿は、有彩色部分の占める割合が所定割合以上である原稿である。単色多階調原稿は、グレイスケール原稿など、有彩色部分の占める割合が所定割合未満であり、且つ、無彩色部分の占める割合が所定割合以上である3階調以上の原稿である。単色2階調原稿は、白黒原稿など、有彩色部分の占める割合が所定割合未満であり、且つ、無彩色部分の占める割合が所定割合以上である2階調の原稿である。
【0021】
一方、画像種別とは、読取デバイス2から出力された読取データに基づく読取画像の種別をいい、これには、例えば、カラー画像、単色多階調画像、単色2階調画像が含まれる。カラー画像は、有彩色部分の占める割合が所定割合以上である画像である。単色多階調画像は、グレイスケール画像など、有彩色部分の占める割合が所定割合未満であり、且つ、無彩色部分の占める割合が所定割合以上である3階調以上の画像である。単色2階調画像は、白黒画像など、有彩色部分の占める割合が所定割合未満であり、且つ、無彩色部分の占める割合が所定割合以上である2階調の画像である。
【0022】
また、カラー形式は、上記読取データGや画像データXの色要素に関するデータ形式の一例であり、このデータ形式には、カラー形式以外に、例えば単色多値形式、単色2値形式が含まれる。カラー形式は、3階調以上の色要素データを複数色有するデータ形式であり、本実施形態では、0〜255の階調のRGBデータを有するデータ形式とする。単色多値形式は、3階調以上の色要素データを1色のみ有するデータ形式であり、本実施形態では、0〜255の階調のGデータのみを有するデータ形式とする。単色2値形式は、0,1の2階調の色要素データを1色のみ有するデータ形式であり、本実施形態では、0,1の2階調のGデータのみを有するデータ形式とする。
【0023】
制御基板3には、制御ユニット11、デバイス制御部12、アナログフロントエンド(以下、AFE)13、USB(Universal Serial Bus)インターフェース14などが搭載されている。制御ユニット11は、中央処理装置(以下、CPU)21、内蔵メモリ22及び、画像処理部23を有し、バス15を介して、デバイス制御部12、AFE13、USBインターフェース14、表示ユニット4、操作ユニット5などが接続されている。画像処理部23は、例えば画像処理専用のハード回路であって、後述するデータ変換処理などを行う。なお、制御ユニット11は、制御部の一例である。内蔵メモリ22には、画像処理プログラムなど、複合機1の動作を制御するための各種のプログラムが記憶されており、CPU21は、内蔵メモリ22から読み出したプログラムに従って、複合機1の各部を制御する。内蔵メモリ22は、RAMやROMを有する。
【0024】
デバイス制御部12は、CPU21からの命令に基づいて、光源の点灯/消灯、及び、CISによる読み取りを制御する信号を読取デバイス2に送信する。読取デバイス2は、デバイス制御部12から信号を受け取ると、RGBの光源を点灯させ、CISに原稿から反射される反射光を受光させる画像読取動作を実行する。また、読取デバイス2は、CISが受光した受光量に応じたRGBのアナログ信号の読取データをAFE13に出力する。
【0025】
AFE13は、CPU21からの命令に基づいて、読取デバイス2から出力される読取データを取得して、上記カラー形式のデジタル信号である読取データに変換する。AFE13から出力された読取データは、バス15を介して内蔵メモリ22に一時的に記憶される。AFE13は、データ取得部の一例である。USBインターフェース14には、USBメモリ30が着脱可能に装着され、制御ユニット11は、当該USBインターフェース14に接続されたUSBメモリ30内に記憶された画像データにアクセス可能である。USBインターフェース14は、インターフェース部の一例であり、USBメモリ30はメディアの一例である。
【0026】
表示ユニット4は、ディスプレイやランプ等を備え、各種の設定画面や装置の動作状態等を表示することが可能である。操作ユニット5は、複数のボタンを備え、ユーザにより各種の指示や設定の入力操作が可能である。
【0027】
(画像読取処理)
制御ユニット11が実行する画像読取処理について、図4に示すUSBメモリ30内の画像データXを例に挙げて説明する。同図の左側には、読取データGを記憶する前のUSBメモリ30の記憶内容が示されている。USBメモリ30の記憶容量は、600KBであり、USBメモリ30内の各画像データXの画像種別、データ形式、及び、データ量は次の通りであり、USBメモリ30の空き容量は、45KBであるものとする。
画像データX1:画像種別=単色多階調画像、データ形式=カラー形式、データ量=300KB
画像データX2:画像種別=カラー画像、データ形式=カラー形式、データ量=150KB
画像データX3:画像種別=単色2階調画像、データ形式=単色多値形式、データ量=100KB
画像データX4:画像種別=単色2階調画像、データ形式=単色2値形式、データ量=5KB
また、同図の右側には、読取データGを記憶した後のUSBメモリ30内の画像データXが示されている。
【0028】
例えば、ユーザが、SCAN TO MEMORYの実行指令の入力操作を操作ユニット5にて行うと、制御ユニット11は、画像判別処理、データ有無判断処理、データ変換処理等を実行する。なお、SCAN TO MEMORYは、読取デバイス2で読み取った原稿の読取データを、USBメモリ30に自動で記憶させる機能をいう。
【0029】
具体的には、CPU21は、内蔵メモリ22から上記画像処理プログラムを読み出して、図2に示す画像読取処理を実行する。まず、CPU21は、デバイス制御部12に指示して、読取デバイス2に上記画像読取動作を実行させる(S1)。これにより、原稿種別に関係なく、カラー形式の読取データGがAFE13から出力され、CPU21は、この読取データGを内蔵メモリ22に記憶する(S2)。次に、CPU21は、その読取データGのデータ量を算出し、当該データ量が、USBメモリ30の空き容量よりも多いかどうかを判断する空き容量判断処理を実行する(S3)。
【0030】
例えば読取データGの画像種別がカラー画像、データ形式がカラー形式、データ量が260KBである場合、図4の例では、空き容量は45KBなので、このままでは、読取データGをUSBメモリ30に記憶することができない。このとき、CPU21は、読取データGのデータ量が、USBメモリ30の空き容量よりも多いと判断し(S3:YES)、図3に示すメモリ整理処理を実行する(S4)。
【0031】
メモリ整理処理では、CPU21は、USBメモリ30に、カラー形式または単色多値形式の画像データXが有るかどうかを判断する(S21)。なお、CPU21は、例えば各画像データXのヘッダ情報からデータ形式を認識することができる。CPU21は、カラー形式または単色多値形式の画像データXが有ると判断すれば(S21:YES)、その画像データXを抽出し、内部メモリ22にコピーする(S22)。本実施形態では、カラー形式または単色多値形式の画像データXが複数有る場合には、その複数の画像データX全てを抽出し、内部メモリ22にコピーする。図4の例では、画像データX1、X2、X3が抽出され、内部メモリ22にコピーされることになる。
【0032】
CPU21は、抽出した画像データXを内部メモリ22にコピーすると、そのコピーした画像データXの複製データから、当該画像データXに基づく画像の画像種別が、カラー画像、単色多階調画像、単色2階調画像のいずれであるかを判別する画像判別処理を実行する(S23)。具体的には、CPU21は、上記画像を、複数のブロックに分割し、各ブロックについて、当該ブロック中の全画素のうち、有彩色の画素が占める割合が第1基準画素割合(例えば2%)以上である場合に、カラーブロックと判定する。CPU21は、カラーブロックと判別されなかったブロックについて、当該ブロック中の全画素のうち、無彩色の画素が占める割合が第2基準画素割合(例えば2%)以上である場合に、単色多階調ブロックと判定する。
【0033】
次に、CPU21は、上記複数のブロックのうち、カラーブロックの占める割合が第1ブロック基準割合(例えば5%)以上である場合に、上記画像の画像種別は、カラー画像であると判別する。また、CPU21は、カラー画像であると判別されなかった画像について、上記複数のブロックのうち、単色多階調ブロックの占める割合が第2ブロック基準割合(例えば5%)以上である場合に、上記画像の画像種別は、単色多階調画像であると判別する。CPU21は、上記画像の画像種別が、カラー画像でも単色多階調画像でもない場合、単色2階調画像であると判別する。
【0034】
CPU21は、画像判別処理の実行後、USBメモリ30内に、画像判別処理で判別した画像種別に従わないデータ形式の第1画像データが記憶されているかどうかを判断するデータ有無判断処理を実行する(S24)。具体的には、CPU21は、内部メモリ22内に、データ形式が、上記画像判別処理で判別した画像種別に従っていない複製データが有るかどうかを判断し、当該複製データが無いと判断した場合には(S21:NO)、S29に進む。一方、図4の例では、画像データX1は、画像種別が単色多階調画像であるのに対し、データ形式がカラー形式であり、画像データX3は、画像種別が単色2階調原稿であるのに対し、データ形式が単色多値形式であるため、これらの画像データX1、X3の複製データが、第1画像データであると判断される。
【0035】
従って、CPU21は、第1画像データが記憶されていると判断し(S24:YES)、CPU21は、データ形式の変換前から変換後のデータ減少量が最大の画像データXの複製データを1つ選択する(S25)。図4の例では、画像データX1の複製データが、カラー形式から単色多値形式の画像データY1に変換され、Gデータ以外のRBデータが破棄されると、画像データX1の複製データのデータ量が300KBから100KBに減少することになる。また、画像データX3の複製データが、単色多値形式から単色2値形式の画像データY3に変換され、0〜255の階調のGデータが、0,1の2階調のGデータにされるため、画像データX3の複製データのデータ量が100KBから80KBに減少することになる。
【0036】
故に、CPU21は、S25の処理において、データ形式の変換前から変換後のデータ減少量を推定し、その中からのデータ減少量が最大の画像データXの複製データを1つ選択する。なお、CPU21は、必ずしもデータ形式の変換前から変換後のデータ減少量を推定する必要はなく、カラー形式から単色多値形式や単色多値形式から単色2値形式といった変換の対応からデータ減少量が最大となる画像データXの複数データを1つ選択するようにしてもよい。
【0037】
次に、第1画像データを、画像判別処理で判別した画像種別に従った第2画像データに変換し、上記第1画像データに代えてUSBメモリ30に記憶させる、データ変換処理を実行する。具体的には、CPU21は、第1画像データの複製データを、当該第1画像データの画像種別に従ったデータ形式の第2画像データに変換する(S26)。図4の例では、画像データX1の複製データが、カラー形式から単色多値形式の画像データY1に変換され、Gデータ以外のRBデータが破棄されるため、画像データX1の複製データのデータ量が300KBから100KBに減少する。
【0038】
次に、その選択した画像データXのデータ形式を変換した後のUSBメモリ30の空き容量を算出する。この変換後の空き容量は、例えば、変換前のUSBメモリ30の空き容量に、選択した画像データXのデータ減少量を加算して求めることができる。そして、CPU21は、読取データGのデータ量が、変換後の空き容量よりも多いと判断した場合(S27:YES)、S24に戻り、内蔵メモリ22内に、未だデータ形式を変換していない第1画像データXが有る場合には(S24:YES)、当該第1画像データについてS25以下の処理を実行する。
【0039】
仮に、図4の例では、画像データX1の画像データ(複製データ)を、画像種別に従ったデータ形式の第2画像データに変換したとしても、読取データのデータ量が、その選択した画像データXのデータ形式を変換した後のUSBメモリ30の空き容量を超える場合(S27:YES)、CPU21は、S25以下の処理を実行する。すなわち、図4の例では、画像データX3の複製データが単色多値形式から単色2値形式の画像データY3に変換され、0〜255の階調のGデータが、0,1の2階調のGデータにされるため、画像データX3の複製データのデータ量が100KBから80KBに減少することとなる。
【0040】
逆に、未だデータ形式を変換していない第1画像データXが無い場合には(S24:NO)、内蔵メモリ22に記憶された全ての第1画像にデータについてデータ形式を変換しても、USBメモリ30の変換後の空き容量が、読取データGのデータ量未満であり、読取データGをUSBメモリ30に記憶することができない。このため、CPU21は、内蔵メモリ22においてエラーフラグをオンに設定し(S29)、本メモリ整理処理を終了し、図2のS5に進む。
【0041】
一方、CPU21は、読取データGのデータ量が、変換後の空き容量以下であると判断した場合(S27:NO)、読取データGをUSBメモリ30に記憶することができる。このため、CPU21は、内蔵メモリ22においてエラーフラグをオフに設定し(S28)、本メモリ整理処理を終了し、図2のS5に進む。
【0042】
図4の例では、データ減少量は、画像データX1の複製データが200KBであり、画像データX3の複製データが20KBである。このため、最初に、画像データX1が選択されることになり(S26)、変換後の空き容量は、245KB(=45KB+200KB)になる。しかし、これでは、260KBの読取データGをUSBメモリ30に記憶することはできない(S27:YES)。次に、画像データX3が選択されることになり(S26)、変換後の空き容量は、265KB(=45KB+200KB+20KB)になる。これにより、260KBの読取データGをUSBメモリ30に記憶することが可能になり(S27:NO)、エラーフラグがオフに設定される(S28)。
【0043】
図2のS5では、CPU21は、内蔵メモリ22を参照して、エラーフラグがオンしているかどうかを判断し(S5)、エラーフラグがオンしていると判断すれば(S5:YES)、読取データGをUSBメモリ30に記憶できないことを示すエラー表示を、表示ユニット4の表示画面に表示させ(S6)、本画像読取処理を終了する。これにより、USBメモリ30に記憶されている全ての第1画像データを第2画像データに変換しても、読取データGをUSBメモリ30に記憶することができないことをユーザに伝えることができる。このエラー表示は、報知処理の一例である。なお、報知処理としては、図示しない表示ランプを点灯させたり、発音装置に発音動作をさせたり、エラー情報を、ネットワークを介して外部機器に通知したりする構成でもよい。
【0044】
一方、CPU21は、エラーフラグがオフしていると判断すれば(S5:NO)、データ形式を変換した複製データを、USBメモリ30内の元画像データと書き換えてよいかどうかを、ユーザに問い合わせるための画面を表示ユニット4に表示させる問合せ処理を実行する(S7)。これにより、ユーザが知らないうち、USBメモリ30内の画像データXについてデータ変換処理がされることを抑制することができる。ユーザにより、そのデータ書き換えを許可する入力操作が操作ユニット5にて行われると(S8:YES)、CPU21は、データ書き換え、及び、読取データGの書き込みを実行し(S9)、本画像読取処理を終了する。
【0045】
図4の例では、USBメモリ30内には、読取データGが記憶されると共に、画像データX1が画像データY1に書き換えられ、画像データX3が画像データY3に書き換えられ、USBメモリ30の空き容量は、5KBになる。ユーザにより、そのデータ書き換えを拒否する入力操作が操作ユニット5にて行われると(S8:NO)、CPU21は、エラーフラグがオンに設定されている場合と同様、S6に進む。
【0046】
なお、CPU21は、読取データのデータ量が、USBメモリ30の空き容量以下であると判断した場合(S3:NO)、USBメモリ30に既に記憶された他の画像データについて何らの処理を行うことなく、読取データを記憶し(S10)、本画像読取処理を終了する。
【0047】
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、USBメモリ30内に、画像判別処理で判別された画像種別に従わないデータ形式の第1画像データが有ると判断された場合(S24:YES)、第1画像データが、画像判別処理で判別された画像種別に従ったデータ形式の第2画像データに変換される。これにより、画像種別に従わないデータ形式の画像データが記憶されていることにより、USBメモリ30の空き容量が減少する、換言すればUSBメモリ30の使用可能容量が制約されることを抑制することが可能である。しかも、読取デバイス2からの読取データGがUSBメモリ30に記憶できないという事態の発生を抑制することができる。
【0048】
また、第1画像データが複数有る場合、複数の第1画像データのうち、変換前から変換後のデータ減少量が多い色種相違データが、同データ減少量が少ない第1画像データよりも優先して第2画像データに変換される。これにより、データ減少量が少ない第1画像データが、データ減少量が多い第1画像データよりも先に第2画像データに変換される構成に比べて、USBメモリ30の空き容量を早期に広く確保することができる。
【0049】
また、内蔵メモリ22に記憶された、画像データXの複製データについて、画像判別処理、及び、データ変換処理の少なくとも1つが実行される。従って、USBメモリ30内の画像データXについて、直接、画像判別処理やデータ変換処理を実行する構成に比べて、画像判別処理やデータ変換処理の実行中に、USBメモリ30内の画像データXが壊れたりするという事態の発生を抑制することができる。
【0050】
また、読取デバイス2で取得された読取データGのデータ量が、USBメモリ30の空き容量よりも多い場合に、画像判別処理が実行される。これにより、読取データGがUSBメモリ30に記憶できないという事態の発生を抑制することができる。
【0051】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
上記実施形態では、画像処理装置の一例として、複合機1を挙げた。しかし、画像処理装置は、これに限らず、画像読取装置単体、画像読取装置単体から読取画像データを取得する印刷装置や、パーソナルコンピュータ、スマートフォンなどの情報処理装置でもよい。要するに、画像処理装置は、画像データが記憶されるメディアにアクセス可能な装置であればよい。
【0052】
上記実施形態では、読取デバイス2は、カラー読取方式で画像を読み取る構成であった。しかし、読取デバイス2は、単色光の光を原稿に照射し、モノクロ多値方式の読取データを出力する構成でもよい。
【0053】
上記実施形態では、データ取得部の一例として、読取デバイス2からの読取データを取得するAFE13を例に挙げた。しかし、データ取得部は、これに限らず、例えばパーソナルコンピュータやスマートフォンなどの外部機器から、ネートワークを介して、印刷用等の画像データを取得するインターフェースでもよい。
【0054】
上記実施形態では、メディアの一例として、USBメモリ30を例に挙げた。しかし、メディアは、これに限らず、例えばフラッシュメモリ(登録商標)、コンパクトディスク、ハードディスク装置や、デジタルカメラなどのメモリ内蔵装置などでもよい。また、メディアは、外部メモリに限らず、複合機1内に設けられた不揮発性メモリでもよい。この場合、制御ユニット11は、予め定められた時間間隔、空き容量が所定量以下になったことなどのメモリチェック条件を満たしたときや、印刷機能など各機能の実行により不揮発性メモリを広く確保する必要が生じたときなどに、画像判別処理、データ有無判断処理、データ変換処理等を実行する構成が好ましい。
【0055】
上記実施形態では、インターフェース部の一例として、USBインターフェース14を例に挙げた。しかし、インターフェース部は、これに限らず、各種のメディアに有線方式または無線方式でアクセス可能とするものであればよい。
【0056】
上記実施形態では、制御ユニット11は、SCAN TO MEMORYの実行指令の入力操作が行われた場合に、メモリ整理処理を実行した。しかし、これに限らず、制御ユニット11は、SCAN TO MEMORYの実行指令の有無に関係なく、予め定められた時間間隔、空き容量が所定量以下になったことなどのメモリチェック条件を満たしたときや、印刷機能など各機能の実行により不揮発性メモリを広く確保する必要が生じたときなどに、メモリ整理処理を実行する構成でもよい。
【0057】
上記実施形態では、制御ユニット11は、メモリ整理処理において、USBメモリ30内にカラー形式または単色多値形式の画像データXが複数有る場合、その複数の画像データX全てを内部メモリ22にまとめてコピーした。しかし、これに限らず、制御ユニット11が、カラー形式または単色多値形式の画像データXを1つずつ選択して内部メモリ22にコピーし、その1つの画像データについて画像判別処理、データ変換処理等をした後に、次の画像データXを内部メモリ22にコピーする構成でもよい。なお、この構成では、データ変換処理後のデータ減少量が多い可能性が高いカラー形式の画像データXを、単色多値形式の画像データXよりも優先して選択したり、データ変換処理前のデータ量が多い画像データXを、データ量が少ない画像データXよりも優先して選択したりすれば、USBメモリ30の空き容量を効率よく確保することができる。
【0058】
上記実施形態では、制御ユニット11は、画像判別処理、データ有無判断処理の一例として、画像データXに基づく画像の画像種別が、カラー画像、単色多値画像、単色2値画像のいずれであるかを判別し、その判別対象とした全ての画像データXについて画像種別に従ったデータ形式で記憶されているかどうかを判断する処理を実行した。しかし、これに限らず、制御ユニット11は、上記画像種別が、カラー画像であるかどうかのみを判別し、画像種別がカラー画像であった画像データが、画像種別に従ったカラー形式で記憶されているかどうかを判断する処理を実行してもよい。また、制御ユニット11は、上記画像種別が、単色多値画像であるかどうかのみを判別し、画像種別が単色多値画像であった画像データが、画像種別に従った単色多値形式で記憶されているかどうかを判断する処理を実行してもよい。
【0059】
上記実施形態では、制御ユニット11は、画像判別処理の一例として、画像を複数のブロックに分割し、カラーブロックや単色多値ブロックが占める割合に基づき、画像種別を判別する処理を実行した。しかし、これに限らず、制御ユニット11は、ブロック分割せずに、画像全体について、カラー画素や単色多値画素が占める割合が基準割合以上であるかどうかに基づき、画像種別を判別する処理を実行してもよい。また、制御ユニット11は、RGBデータに基づき画像判別処理を実行する構成に限らず、例えば、RGBデータを、YCrCb系など、他の色空間データに変換し、当該変換後のデータに基づき画像判別処理を実行する構成でもよい。これ以外に、制御ユニット11は、様々な公知技術を利用して画像判別処理を実行することができる。
【0060】
上記実施形態では、データ変換処理において、制御ユニット11は、第1画像データを、画像種別に従ったデータ形式の第2画像データに変換した。しかし、制御ユニット11は、画像種別に従わないが、変換前よりもデータ量が少ない他のデータ形式に変換する構成でもよい。例えばUSBメモリ30に、カラー形式で記憶されている単色2値画像の画像データを、単色多値形式に変換してもよい。この構成であっても、データ形式の変換により、USBメモリ30の空き容量を増大させることができる。要するに、データ変換処理は、第1画像データを、当該第1画像データに対し、データ形式が異なり、且つ、データ量が少ない第2画像データに変換する処理であればよい。
【0061】
上記実施形態では、制御ユニット11は、データ変換処理では、複数の第1画像データのうち、データ減少量が多い第1画像データを、データ減少量が少ない第1画像データよりも優先して第2画像データに変換した。しかし、これに限らず、制御ユニット11は、複数の第1画像データから1つずつランダムに選択し、選択した第1画像データを、選択しなかった第1画像データよりも優先して第2画像データに変換する構成でもよい。これにより、変換前後のデータ減少量の比較などを要することなく、複数の第1画像データのデータ変換を、比較的簡単に行うことができる。なお、これに以外に、複数の第1画像データが、ファイル名順、USBメモリ30への記憶日付け順等で選択される構成でもよい。
【0062】
上記実施形態では、制御ユニット11は、USBメモリ30内に記憶されていた画像データXの複製データを内蔵メモリ22に記憶し、その複製データに基づき、画像判別処理、データ有無判断処理、データ変換処理を実行した。しかし、これに限らず、制御ユニット11は、USBメモリ30内で直接、画像データXに基づき画像判別処理等を実行してもよい。
【0063】
上記実施形態では、制御ユニット11は、エラーフラグがオフに設定していると判断した場合に(S5:NO)、USBメモリ30内の第1画像データを、第2画像データに変換する、換言すれば書き換えるかどうかの問合せ処理を実行した。しかし、これに限らず、制御ユニット11は、読取データGのデータ量が、USBメモリ30の空き容量よりも多いと判断した場合に(S3:YES)、USBメモリ30内の第1画像データを、第2画像データに変換するかどうかの問合せ処理を実行した。
【0064】
上記実施形態の図3において、データ形式の変換(S25)を、画像判別処理(S23)とデータ有無判断処理(S24)との間で実行してもよい。但し、上記実施形態では、データ形式の変更が必要な第1画像データのみについてデータ形式の変換を行うことができる分だけ効率的である。また、制御ユニット11が、データ有無判断処理(S24)の後、全ての第1画像データについてデータ形式を変換し(S26)、その第1画像データの中から、データ減少量が最大の画像データを選択する(S25)構成でもよい。
【0065】
上記実施形態では、制御部の一例として、1つのCPU21等を有する制御ユニット11を例に挙げた。しかし、制御部は、これに限らず、1または複数のCPUを備える構成や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハード回路を備える構成や、ハード回路及びCPUの両方を備える構成でもよい。例えば画像処理部23の処理をCPU21に実行させる構成でもよい。要するに、画像判別処理、データ有無判断処理、データ変換処理等の少なくとも2つを、別々のCPUやハード回路で実行する構成でもよい。
【0066】
上記実施形態では、画像処理プログラムの一例として、RAMやROMに記憶されたものを例に挙げた。しかし、画像処理プログラムは、これに限らず、ハードディスク装置、フラッシュメモリ(登録商標)などの不揮発性メモリや、CD−Rなどの記憶媒体などに記憶されたものでもよい。
【符号の説明】
【0067】
1:複合機 2:読取デバイス 3:AFC 11:制御ユニット 14:USBインターフェース 22:内蔵メモリ 30:USBメモリ G:読取データ X:画像データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターフェース部と、
前記インターフェース部を介して、メディアと通信可能に接続される制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記メディアに記憶されている画像データに基づく画像の画像種別が、カラー画像、及び、単色画像の少なくともいずれかであるかどうかを判別する画像判別処理と、
前記メディア内に、前記画像判別処理によって判別された画像種別に従ったデータ形式で記憶されていない第1画像データが有るか否かを判断するデータ有無判断処理と、
前記データ有無判断処理で、前記第1画像データが有ると判断した場合、前記第1画像データを、当該第1画像データに対し、前記データ形式が異なり、且つ、データ量が少ない第2画像データに変換し、前記第1画像データに代えて前記メディアに記憶させるデータ変換処理と、を実行する、画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記制御部は、
前記データ変換処理では、前記第1画像データが複数有る場合、当該複数の第1画像データのうち、変換前から変換後のデータ減少量が多い第1画像データを、前記データ減少量が少ない第1画像データよりも優先して前記第2画像データに変換する、画像処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記制御部は、
前記データ変換処理では、前記第1画像データが複数有る場合、複数の第1画像データからランダムに選択して、選択した第1画像データを、選択されていない第1画像データよりも優先して前記第2画像データに変換する、画像処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記制御部は、内蔵メモリを有し、
前記画像データの複製データを前記内蔵メモリに記憶し、当該複製データについて、前記画像判別処理、及び、前記データ変換処理の少なくとも1つを実行する、画像処理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
画像データを取得するデータ取得部を備え、
前記制御部は、
前記データ取得部で取得された画像データのデータ量が、前記メディアの空き容量よりも多いか否かを判断する空き容量判断処理を実行し、
前記空き容量判断処理で前記データ量が前記空き容量よりも多いと判断した場合に、前記画像判別処理を実行する、画像処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理装置であって、
原稿の画像を読み取って、カラー形式、及び、単色データ形式の少なくともいずれかの読取データを出力する読取デバイスを備え、
前記データ取得部は、前記読取デバイスで読み取られた読取データを取得する構成である、画像処理装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の画像処理装置であって、
前記制御部は、前記データ変換処理で、前記メディアに記憶されている全ての前記第1画像データを前記第2画像データに変換しても、前記空き容量判断処理で、前記データ量が前記空き容量よりも多いと判断した場合には、エラーをユーザに報知する報知処理を実行する、画像処理装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記制御部は、
前記データ有無判断処理で前記第1画像データが有ると判断した場合、前記データ変換処理の実行を許可するか否かをユーザに問い合わせる問合せ処理を実行し、
前記問合せ処理で前記ユーザが許可した場合に、前記データ変換処理を実行する、画像処理装置。
【請求項9】
メディアと通信可能に接続される画像処理装置のコンピュータに、
前記メディアに記憶されている画像データに基づく画像の画像種別が、カラー画像、及び、単色画像の少なくともいずれかであるかどうかを判別する画像判別処理と、
前記メディア内に、前記画像判別処理によって判別された画像種別に従ったデータ形式で記憶されていない第1画像データが有るか否かを判断するデータ有無判断処理と、
前記データ有無判断処理で、前記第1画像データが有ると判断した場合、前記第1画像データを、当該第1画像データに対し、前記データ形式が異なり、且つ、データ量が少ない第2画像データに変換し、前記第1画像データに代えて前記メディアに記憶させるデータ変換処理と、を実行させる、画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−51590(P2013−51590A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189191(P2011−189191)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】