説明

画像処理装置及び画像処理方法

【課題】観察条件を考慮し、より好ましい光沢性となる方向で画像記録(印刷)できるようにする。
【解決手段】画像データを入力する入力部801と、当該画像データに基づく画像の上下方向の画像方向を取得する画像方向判定部(画像方向取得部)802と、記録媒体の紙目方向を取得する紙目方向判定部(紙目方向取得部)803と、光の入射方向を取得する入射方向判定部(入射方向取得部)804と、前記画像方向、前記紙目方向、及び、前記入射方向に基づいて、記録媒体における画像配置を決定する決定部805を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を記録(印刷)する際の処理を行う画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
色材を用いて記録媒体上に画像を記録する方法として、電子写真方式やインクジェット方式が知られている。電子写真方式での画像の記録は、レーザにより感光体に潜像を磁化感光させて色材を吸着し、色材を記録媒体の上に落として熱を加え定着させる方法が広く利用されている。また、インクジェットプリンタでの画像の記録は、インクの小滴をヘッドより記録媒体上に吐出して行われる。また、ヘッドからインクの小滴を吐出する方法としては、電圧の印加により機械的歪を発生する圧電素子(ピエゾ素子)を用いた方法と、インクを急速に加熱して気化させ、その時に発生する気泡の高圧を利用する方法が広く利用されている。
【0003】
以下では、インクジェットプリンタで写真を印刷する場合を例に説明する。
インクジェットプリンタでは、記録媒体に光沢紙が用いられることが多い。例えば、光沢紙の構造の一例としては、インクを浸透、定着するためのインク受容層、発色性を向上させるレジンコート層、プリンタとの適正化を図ったバックコート層からなる。記録媒体にもよるが、インク受容層の膜厚は、数十μmであるのが一般的である。インク受容層は、レジンコート層の上に塗布されるが、表面の形状は塗布方向と、その垂直方向で異なることが知られている(以後、インク受容層に対して塗布する方向を「紙目方向」と称する)。
【0004】
図1は、紙目方向を模式的に示す図である。更に、インク受容層の紙目方向とその垂直方向では、光沢性が大きく異なることが実験的にわかっている。ここで、光沢性には、正反射の光量を示す鏡面光沢度と、写り込んだ像のボケ具合を示す写像性とがあるが、ここでの光沢性は写像性を指すものとする。
【0005】
このような紙目方向による光沢性の違いは、インク受容層の表面が露出している部分で顕著であり、インクジェットプリンタで印刷した後の記録媒体上でも容易に確認することができる。ここで、インクジェットプリンタに用いられているインクについては、水に溶解しやすい染料インクと、画像の耐候性や耐水性を優れた顔料インクとがある。染料インクの場合では、色材が記録媒体内部に浸透し、定着する。そのため、染料インクの塗布では、インク受容層の表面は露出したままであり、紙目方向の影響をキャンセルすることはできない。一方、顔料インクの場合では、色材が記録媒体の内部まで浸透しにくく、記録媒体表面を覆う事が知られている。また、無色インクを用いて、非印字部においても記録媒体表面を覆うことが可能である。例えば、下記の特許文献1のような、無色インクのオーバーコートにより、インク受容層の露出を防ぐ技術がある。
【0006】
図2は、インク受容層の膜厚と、定着後の顔料インクの膜厚との関係を模式的に示す図である。
しかしながら、顔料インクの種類にもよるが、定着後の顔料インク膜厚は、図2に示すように、数十〜数百ナノメートルであり、前述したインク受容層の数十マイクロメートルに比べて十分小さいことが知られている。そのため、単に顔料インクにおいて記録媒体表面を覆うだけでは、紙目方向による影響をキャンセルすることはできない。また、顔料インクを多量に使用して、インク受容層の表面形状を均一にする場合、前述したように定着後のインク膜厚に対して、インク受容層の高さが数百倍である。この差をインクの打ち込みによって埋めるには、記録媒体の打ち込み量制限を大きく超えるインク量が必要となる。その場合、記録媒体上にインクがあふれる等の障害が発生するため、非現実的な方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−132350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した光沢性の特徴である写像性は、反射における正反射成分と正反射近傍の成分の比で表される。これを踏まえて、紙目方向と光の入射方向による光沢性の違いを考える。
【0009】
図3は、紙に対する光の入射方向の関係を模式的に示す図であり、図4は、紙面表面における光の反射の様子を模式的に示す図である。
図4(a)に示すように、紙目方向と光の入射方向が同一である場合、反射表面が滑らかであるため、正反射成分が大きく、それ以外の反射成分が小さくなる。そのため、光沢性が高くなっていると考えられる。また、図4(b)に示すように、紙目方向と光の入射方向が異なる場合、入射した光は、インク受容層の表面の凹凸によって様々な方向へ乱反射するため、正反射成分だけでなく、それ以外の反射成分も大きく発生する。そのため、光沢性が低くなると考えられる。
【0010】
このように、方向によって紙面の粗さが異なる場合に、入射した光が紙面の粗い方向で反射するか、紙面の滑らかな方向で反射するかによって光沢性が変化している。したがって、前述した方向による光沢性の違いは、紙目方向だけに依存しているのではなく、紙目方向と光の入射方向の関係(以後、「観察条件」と称する)により発生している。そのため、観察条件を考慮しない印刷では、意図した光沢性を再現できない場合があるという問題がある。
【0011】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、観察条件を考慮し、より好ましい光沢性となる方向で画像記録(印刷)できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の画像処理装置は、画像データを入力する入力部と、前記画像データに基づく画像の上下方向の画像方向を取得する画像方向取得部と、記録媒体の紙目方向を取得する紙目方向取得部と、光の入射方向を取得する入射方向取得部と、前記画像方向、前記紙目方向、及び、前記入射方向に基づいて、前記記録媒体における画像配置を決定する決定部とを有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、観察条件を考慮し、より好ましい光沢性となる方向で画像記録(印刷)することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】紙目方向を模式的に示す図である。
【図2】インク受容層の膜厚と、定着後の顔料インクの膜厚との関係を模式的に示す図である。
【図3】紙に対する光の入射方向の関係を模式的に示す図である。
【図4】紙面表面における光の反射の様子を模式的に示す図である。
【図5】第1の実施形態に係る画像記録制御システムの一例を示す外観構成図である。
【図6】第1の実施形態を示し、図5に示す画像記録制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図7】第1の実施形態を示し、図5に示すカラープリンタ及び画像記録制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図8】第1の実施形態を示し、図7に示す印刷方向補正部(レイアウト補正部)の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図9】第1の実施形態を示し、図8に示す紙目方向判定部による紙目方向判定動作の一例を示すフローチャートである。
【図10】第1の実施形態を示し、図8に示す紙目方向判定部の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図11】第1の実施形態を示し、図10に示す紙目方向データ保持部に記憶されているLUTの一例を示す模式図である。
【図12】第1の実施形態を示し、図8に示す入射方向判定部による入射方向判定動作の一例を示すフローチャートである。
【図13】第1の実施形態を示し、印刷設定情報の設定UIを示す模式図である。
【図14】第1の実施形態を示し、図8に示すレイアウト決定部によるレイアウト決定動作の一例を示すフローチャートである。
【図15】第1の実施形態を示し、図8に示すレイアウト決定部の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図16】第1の実施形態を示し、画像の上下方向、紙目方向、光の入射方向の組み合わせに対応した出力方向の関係を示すLUTの一例の模式図である。
【図17】第2の実施形態を示し、図5に示す画像記録制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図18】第2の実施形態を示し、図17に示す光沢センサーの好ましい一例を示す模式図である。
【図19】第2の実施形態を示し、図7に示す印刷方向補正部(レイアウト補正部)の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図20】第2の実施形態を示し、図19に示す紙目方向判定部による紙目方向判定動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図5は、第1の実施形態に係る画像記録制御システム(画像処理システム)の一例を示す外観構成図である。
図5において、画像記録制御システム(画像処理システム)500は、画像記録装置であるカラープリンタ501と、ディスプレイ502と、コネクタケーブル503と、画像処理装置である画像記録制御装置504と、キーボード505a及びマウス505bを有して構成されている。ここで、画像記録制御装置(画像処理装置)504は、プリンタコントローラとクライアントコンピュータを兼ね備えたコンピュータシステムで構成されている。また、コネクタケーブル503は、ネットワークケーブル、SCSIケーブル、USBケーブルなどに代表されるケーブルである。
【0017】
図6は、第1の実施形態を示し、図5に示す画像記録制御装置504のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図6において、画像記録制御装置504は、インターフェース(I/F)601、CPU602、ROM603、RAM604、ディスプレイ制御部605を有して構成されている。さらに、画像記録制御装置504は、I/F606、DVD/CD607、FD608、HD609、I/F610を有して構成されている。
【0018】
I/F601は、ユーザーが各種のマニュアル指示等を入力するためのキーボード及びマウス505と画像記録制御装置504とをつなぐインターフェースである。
CPU602は、画像記録制御装置504の内部の各ブロックの動作を制御、或いは内部に記憶されたプログラムを実行する中央処理装置である。
ROM603は、予め必要な、画像処理等に用いるプログラムやデータを記憶しておくメモリである。
RAM604は、CPU602において処理を行うために一時的にプログラムや処理対象の画像データを格納しておくメモリである。
ディスプレイ制御部605は、処理対象の画像の表示や、操作者へのメッセージを表示するディスプレイ502の制御を行うものである。
【0019】
I/F606は、画像記録制御装置504とカラープリンタ501とをつなぐインターフェースである。
DVD/CD607は、外部記憶媒体の1つであるCD又はDVD(CD−R/CD−RW/DVD/DVD−R/DVD−RW)に記憶されたデータを読み込み、或いは書き出すことのできるドライブである。
FD608は、DVD/CD607と同様に、FDからの読み込み、FDへの書き出しができるドライブである。なお、CD,FD,DVD等に画像編集用のプログラム、或いはプリンタ情報等が記憶されている場合には、これらのプログラム等をHD609上にインストールし、必要に応じてRAM604に転送されるようになっている。
HD609は、RAM604等に転送されるプログラムや画像データを予め格納したり、処理後の画像データを保存したりすることのできるハードディスクである。
I/F610は、画像記録制御装置504の各所に保持する様々なデータを外部機器へ伝送し、また、外部機器からの様々なデータを受信するモデムやネットワークカード等の伝送機器611と画像記録制御装置504とをつなぐインターフェースである。
【0020】
図7は、第1の実施形態を示し、図5に示すカラープリンタ501及び画像記録制御装置504の機能構成の一例を示すブロック図である。本実施形態のカラープリンタ501は、顔料インクによって印刷を行うものであり、そのためにインクを吐出する記録ヘッド711が用いられる。図5及び図7に示すように、本実施形態の画像記録制御システム500は、この顔料インクを用いる画像記録装置としてのカラープリンタ501と、画像記録制御装置504としてのパーソナルコンピュータ(PC)を有して構成されるものである。
【0021】
画像記録制御装置504のオペレーティングシステムで動作するプログラムとして、アプリケーション701やプリンタドライバがある。アプリケーション701は、カラープリンタ501で印刷する画像データを作成する処理を実行する。この画像データもしくはその編集等がなされる前のデータは、種々の媒体を介して画像記録制御装置504であるPCに取り込むことができる。本実施形態の画像記録制御装置504であるPCは、先ずディジタルカメラで撮像した例えばJPEG形式の画像データをフラッシュメモリなど外部入力611からI/F610を介して取り込むことができる。また、例えば、HD609に格納されている画像データやCD−ROM(607)に格納される画像データをも取り込むことができる。さらには、インターネットからNIC611を介してウエブ上のデータを取り込むことができる。これらの取り込まれたデータは、ディスプレイ502に表示されてアプリケーション701を介した編集、加工等がなされ、例えばsRGB規格の画像データR、G、Bが作成される。そして、印刷の指示に応じてこの画像データがプリンタドライバに渡される。
【0022】
本実施形態の画像記録制御装置504におけるプリンタドライバは、その処理として、印刷方向補正部(レイアウト補正部)702、前段処理部703、後段処理部704、γ補正部705、ハーフトーニング部706、及び印刷データ作成部707を有している。
【0023】
印刷方向補正部(レイアウト補正部)702では、画像の印刷レイアウトを変更する。より具体的には、プリンタドライバに設定された記録媒体の種類と光沢設定から観察条件を決定し、画像データの明度情報、画像の上下方向から、記録媒体上の画像配置を決定する。
【0024】
前段処理部703は、色域(Gamut)のマッピングを行う。本実施形態の前段処理部703は、sRGB規格の画像データR、G、Bによって再現される色域を、本画像記録制御システムのカラープリンタ501によって再現される色域内に写像する関係を内容とする3次元LUTを用いる。これに、補間演算を併用して8ビットの画像データR、G、Bをカラープリンタ501の色域内のデータR、G、Bに変換するデータ変換を行う。
【0025】
後段処理部704は、上記色域のマッピングがなされたデータR、G、Bに基づき、このデータが表す色を再現するインクの組み合わせに対応した、例えばY、M、C、K、Lc、Lmなどの色分解データを求める処理を行う。本実施形態では、この処理は、前段処理部703と同様、3次元LUTに補間演算を併用して行う。
【0026】
γ補正部705は、後段処理部704によって求められた色分解データの各色のデータごとにその階調値変換を行う。具体的には、カラープリンタ501の各色インクの階調特性に応じた1次元LUTを用いることにより、上記色分解データがカラープリンタ501の階調特性に線形的に対応づけられるような変換を行う。
【0027】
ハーフトーニング部706は、例えば8ビットの色分解データY、M、C、K、Lc、Lmそれぞれについて、例えば4ビットのデータに変換する量子化を行う。本実施形態で行う量子化は、誤差拡散法を用いて8ビットデータを4ビットデータに変換する方法を用いる事として説明を続ける。この4ビットデータは、画像記録装置であるカラープリンタ501におけるドット配置パターン化処理部708における配置パターンを示すためのインデックスとなるデータである。
【0028】
印刷データ作成部707は、上記4ビットのインデックスデータを内容とする印刷イメージデータに印刷制御情報を加えた印刷データを作成する。なお、上述したアプリケーション701及びプリンタドライバの処理は、それらのプログラムに従ってCPU602により行われる。その際、プログラムは、ROM603もしくはハードディスク609から読み出されて用いられ、また、その処理実行に際してRAM604がワークエリアとして用いられる。
【0029】
画像記録装置(カラープリンタ)501は、データ処理に関してドット配置パターン化処理部708部及びマスクデータ変換処理部709を有し、さらに、ヘッド駆動回路部710及び記録ヘッド711を有する。
【0030】
ドット配置パターン化処理部708は、実際の印刷画像に対応する画素ごとに、印刷イメージデータである4ビットのインデックスデータ(階調値情報)に対応したドット配置パターンに従ってドット配置を行う。このように、4ビットデータで表現される各画素に対し、当該画素の階調値に対応したドット配置パターンを割当てることで、画素内の複数のエリア各々にドットのオン・オフが定義され、そして1画素内のエリアごとに「1」または「0」の吐出データが配置される。
【0031】
このようにして得られる1ビットの吐出データは、マスクデータ変換処理部709によってマスク処理がなされる。すなわち、マスクデータ変換処理部709は、記録ヘッド711による所定幅の走査領域の記録を複数回の走査で完成するための各走査の吐出データを、それぞれの走査に対応したマスクを用いた処理によって生成する。
【0032】
走査ごとの吐出データY、M、C、K、Lc、Lmは、適切なタイミングでヘッド駆動回路部710に送られ、これにより、記録ヘッド711が駆動されて吐出データに従ってそれぞれのインクが吐出される。なお、画像記録装置(カラープリンタ)501における上述のドット配置パターン化処理部708やマスクデータ変換処理部709による処理は、それらに専用のハードウェア回路を用いて画像記録装置501の制御部を構成するCPUの制御の下に実行される。
【0033】
なお、これらの処理がプログラムに従ってCPUにより行われてもよい。また、上記処理が、画像記録制御装置(PC)504における例えばプリンタドライバによって実行されるものでもよく、本発明を適用する上でこれら処理の形態が問われないことは、以下の説明からも明らかである。
【0034】
図8は、第1の実施形態を示し、図7に示す印刷方向補正部(レイアウト補正部)702の概略構成の一例を示すブロック図である。
画像データの入力端子801は、画像データを入力する画像データ入力部である。
画像方向判定部(画像方向取得部)802は、画素データの入力端子801から入力された画像データに基づく画像の上下方向の画像方向を判定し取得する。
紙目方向判定部(紙目方向取得部)803は、記録媒体の種類及び紙目方向を判定し取得する。
入射方向判定部(入射方向取得部)804は、光の入射方向を判定し取得する。
レイアウト決定部805は、前記画像方向、前記紙目方向、及び、前記入射方向に基づいて、記録媒体における画像配置である出力レイアウトを決定する。
画像データの出力端子806は、画像データの出力する画像データ出力部である。
【0035】
以下に、印刷方向補正部(レイアウト補正部)702の動作について説明する。
まず、アプリケーション701からの画像データが、入力端子801から入力される。次に、画像方向判定部802では、画像データの特徴量から当該画像データに基づく画像の上下方向を判定し、レイアウト決定部805へ送信する。なお、ここでの画像情報判定方法は、公知の方法である顔検出の結果から画像の上下方向と判定する方法や、青領域が多い部分を空と判定して画像の上下方法を取得する方法、カメラの重力センサーの値から上下方向を取得する方法を用いることができる。
【0036】
次に、紙目方向判定部803では、記録媒体の種類と紙目方向を判定し、レイアウト決定部805へ送信する。次に、入射方向判定部804では、光の入射方向を判定し、レイアウト決定部805へ送信する。
【0037】
レイアウト決定部805では、画像方向判定部802にて判定した画像方向と、紙目方向判定部803にて判定した紙目方向と、入射方向判定部804にて判定した光の入射方向とを取得し、これらの情報に基づいて、画像回転や画像縮小といった画像変換を行う。次に、レイアウト決定部805では、変換結果に基づいて、記録媒体上での画像配置(出力レイアウト)を決定し、出力端子806へ送信する。
【0038】
図9は、第1の実施形態を示し、図8に示す紙目方向判定部803による紙目方向判定動作の一例を示すフローチャートである。なお、紙目方向判定部803は、図10に示すように、記録媒体判定部(記録媒体取得部)1001と、紙目方向データ保持部(紙目方向データベース)1002と、紙目方向検出部1003から構成される。
【0039】
まず、図9のステップS901において、記録媒体判定部1001は、印刷設定情報として、記録媒体の種類設定を取得し、記録媒体の種類を判定する。
【0040】
続いて、ステップS902において、紙目方向検出部1003は、記録媒体判定部1001で判定された記録媒体の種類を取得し、紙目方向データ保持部1002を参照し、記録媒体の紙目方向を検出する。
【0041】
続いて、ステップS903において、紙目方向検出部1003は、検出した紙目方向を記録し、レイアウト決定部805へ送信する。その後、図9のフローチャートの処理が終了する。
【0042】
なお、図11は、第1の実施形態を示し、図10に示す紙目方向データ保持部1002に記憶されているLUTの一例を示す模式図である。図11(a)に示すLUTには、各記録媒体の紙目方向が記載されている。また、LUTに記載される方向は、長辺に対して平行な場合には長辺方向、短辺に対して平行な場合には短辺方向と定義する(図11(b)参照)。
【0043】
図12は、第1の実施形態を示し、図8に示す入射方向判定部804による入射方向判定動作の一例を示すフローチャートである。
【0044】
まず、ステップS1201において、入射方向判定部804は、印刷設定情報として、光沢設定を取得する。
【0045】
続いて、ステップS1202において、入射方向判定部804は、ステップS1201で取得した光沢設定が高であるか否かを判断する。
【0046】
ステップS1202の判断の結果、ステップS1201で取得した光沢設定が高である場合には、ステップS1203に進む。
ステップS1203に進むと、光の入射方向を長辺方向(紙目平行)と記録する。
【0047】
一方、ステップS1202の判断の結果、ステップS1201で取得した光沢設定が高でない場合には、ステップS1204に進む。
ステップS1204に進むと、光の入射方向を短辺方向(紙目垂直)と記録する。
【0048】
ステップS1203の処理が終了した場合、或いは、ステップS1204の処理が終了した場合には、図12のフローチャートの処理が終了する。
【0049】
なお、印刷設定情報における記録媒体の種類と光沢性の高低の設定情報は、プリンタドライバの表示UIから設定してもよい。
図13は、第1の実施形態を示し、印刷設定情報の設定UIを示す模式図である。
【0050】
本実施形態における印刷設定情報の設定UIは、用紙設定コンボボックス1301、光沢設定(高)ラジオボタン1302、光沢設定(低)ラジオボタン1303、設定ボタン1304、キャンセルボタン1305から構成される。本実施形態の印刷設定は、記録媒体の種類、光沢設定の少なくとも2つを含むものである。
【0051】
以下に、印刷設定情報の設定UIの設定動作について説明する。
まず、プリンタドライバが起動すると、図13の印刷設定情報の設定UIがディスプレイ502に表示され、ユーザーの入力待ち状態となる。
【0052】
次に、ユーザーにより用紙設定コンボボックス1301がクリックされると、記録媒体の一覧が表示される。次に、ユーザーが所望の記録媒体を選択すると、選択された記録媒体の表示が反転表示される。また、用紙設定コンボボックス1301の最上部に、前述の(選択された)記録媒体が表示され、ユーザーの入力待ち状態となる。次いで、ユーザーにより光沢設定(高)ラジオボタン1302が押されると、光沢設定(高)ラジオボタン1302にチェック印を表示し、レイアウト決定部805により光沢設定(高)が選択される。また、ユーザーの入力待ち状態となる。一方、ユーザーにより光沢設定(低)ラジオボタン1303が押されると、光沢設定(低)ラジオボタン1303にチェック印を表示し、レイアウト決定部805により光沢設定(低)が選択される。そして、また、ユーザーの入力待ち状態となる。
【0053】
続いて、設定ボタン1304が押されると、用紙設定で設定された記録媒体の種類と、チェック印が表示された光沢設定情報が記録される。なお、キャンセルボタン1305が押されると、印刷設定情報を記録せずに動作を終了する。
【0054】
図14は、第1の実施形態を示し、図8に示すレイアウト決定部805によるレイアウト決定動作の一例を示すフローチャートである。なお、レイアウト決定部805は、図15に示すように、方向判定部1501、画像編集部1502から構成される。
【0055】
まず、図14のステップS1401において、方向判定部1501は、画像上下方向情報による画像の上下方向、紙目方向情報による紙目方向、入射方向情報による光の入射方向を取得する。
【0056】
続いて、ステップS1402において、方向判定部1501は、ステップS1401で取得した情報から、出力方向変更の有無を判定する。
【0057】
続いて、ステップS1403において、方向判定部1501(或いは画像編集部1502)は、ステップS1402の判定結果が変更になっているか否かを判断する。この判断の結果、ステップS1402の判定結果が変更になっている場合には、ステップS1404に進む。
ステップS1404に進むと、画像編集部1502は、画像回転や拡大・縮小といった画像編集を行う。
【0058】
ステップS1404の処理が終了した場合、或いは、ステップS1403でステップS1402の判定結果が変更になっていない場合には、図14のフローチャートの処理を終了する。
【0059】
図16は、第1の実施形態を示し、画像の上下方向、紙目方向、光の入射方向の組み合わせに対応した出力方向の関係を示すLUTの一例の模式図である。
【0060】
なお、上記印刷方向補正部(レイアウト補正部)702における説明においては、画像記録装置本体ではなく画像記録制御装置504にて処理されることを前提に説明してきたが、本実施形態はこれに限定されるものではない。印刷方向補正部(レイアウト補正部)702による処理自体がアプリケーション701の内部、プリンタドライバの内部、画像記録装置501の内部で処理される構成であってもよい。
また、本実施形態における光沢特性は、鏡面光沢度(正反射の光量)、写像性のうちの少なくとも1つを含む。
【0061】
また、上記実施形態では、記録媒体と画像のサイズを比較して画像サイズの方が大きい場合には画像の縮小を行う例について説明したが、本発明はこれに限らない。つまり、より大きなサイズの記録媒体に交換するなどして、縮小を行わない方法が可能である。
【0062】
本実施形態では、印刷後の光沢性が高い方向、低い方向を選択可能なため、光沢性が低くなるようにレイアウトを変更することも可能である。
上記に説明したように、本実施形態によれば、記録媒体の紙目方向と画像の上下方向、光の入射方向から、常に光沢性が高・低について所望の状態に再現する方向にレイアウトを制御することにより、光沢再現の高・低を選択することが可能である。即ち、観察条件を考慮し、より好ましい光沢性となる方向で画像記録(印刷)することができる。
【0063】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、記録媒体の紙目方向が既知である場合の出力レイアウト決定方法について説明した。
本実施例においては、未知の記録媒体に対する構成について説明する。なお、第1の実施形態と重複する部分については省略し、差異のみ記載する。
【0064】
図17は、第2の実施形態を示し、図5に示す画像記録制御装置504のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図17において、I/F1701は、記録媒体の光沢データを測定する光沢センサー1702と画像記録制御装置504とをつなぐインターフェースである。
【0065】
図18は、第2の実施形態を示し、図17に示す光沢センサー1702の好ましい一例を示す模式図である。また、ここでの記録媒体方向は長辺が縦になることを前提とする。
図18において、光沢センサー1801は、センサー短辺方向(水平方向)の光沢測定を行う。光沢センサー1802は、センサー長辺方向(垂直方向)の光沢測定を行う。
【0066】
図19は、第2の実施形態を示し、図7に示す印刷方向補正部(レイアウト補正部)702の概略構成の一例を示すブロック図である。
光沢センサーの入力端子1901は、光沢センサーデータを入力する光沢センサーデータ入力部であり、紙目方向判定部(紙目方向取得部)1902は、紙目方向を判定し取得する。
【0067】
以下に、紙目方向判定部1902の動作について説明する。
まず、紙目方向判定部1902は、光沢センサーの入力端子1901から入力される光沢情報から紙目方向を検出する。最後に、紙目方向をレイアウト決定部805へ送信する。
【0068】
図20は、第2の実施形態を示し、図19に示す紙目方向判定部1902による紙目方向判定動作の一例を示すフローチャートである。
【0069】
まず、ステップS2001において、紙目方向判定部1902は、光沢センサーの入力端子1901を介して、光沢センサー1702(より具体的には、1801及び1802)からの光沢測定データを取得する。
【0070】
続いて、ステップS2002では、紙目方向判定部1902は、光沢センサー1801の測定値M1と、光沢センサー1802の測定値M2とを比較し、光沢センサー1801の測定値M1の方が光沢センサー1802の測定値M2よりも大きいか否かを判断する。この判断の結果、光沢センサー1801の測定値M1の方が光沢センサー1802の測定値M2よりも大きい場合には、ステップS2003に進む。
ステップS2003に進むと、紙目方向判定部1902は、紙目方向を短辺方向と判定する。
【0071】
一方、ステップS2002の判断の結果、光沢センサー1801の測定値M1の方が光沢センサー1802の測定値M2よりも大きくない場合には、ステップS2004に進む。
ステップS2004に進むと、紙目方向判定部1902は、紙目方向を長辺方向と判定する。
【0072】
即ち、紙目方向判定部1902は、光沢センサーの測定値における記録媒体の垂直方向、及び、水平方向の2方向の測定値に基づいて、記録媒体の紙目方向を判定する。
【0073】
ステップS2003の処理が終了した場合、或いは、ステップS2004の処理が終了した場合には、図20のフローチャートの処理が終了する。
本実施形態では、図17において、光沢センサー1702を画像記録制御装置504に接続するものとしたが、光沢センサー1702は、画像記録装置501の内部に具備することも可能である。
【0074】
本実施形態によれば、未知の記録媒体の紙目方向と画像の上下方向、光の入射方向から、常に光沢性が高・低について所望の状態に再現する方向にレイアウトを制御することにより、光沢再現の高・低を選択することが可能である。即ち、観察条件を考慮し、より好ましい光沢性となる方向で画像記録(印刷)することができる。
【0075】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。
即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
このプログラム及び当該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを入力する入力部と、
前記画像データに基づく画像の上下方向の画像方向を取得する画像方向取得部と、
記録媒体の紙目方向を取得する紙目方向取得部と、
光の入射方向を取得する入射方向取得部と、
前記画像方向、前記紙目方向、及び、前記入射方向に基づいて、前記記録媒体における画像配置を決定する決定部と
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記紙目方向取得部は、
前記記録媒体の種類を取得する記録媒体取得部と、
前記記録媒体の紙目方向を保持する保持部と、
前記記録媒体取得部にて取得された記録媒体の種類から、前記保持部を参照し、前記記録媒体の紙目方向を検出する検出部と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記決定部は、
前記画像の上下方向、前記紙目方向、及び、前記入射方向の組み合わせから、出力方向の変更の有無を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果にしたがって、前記画像データを編集する画像編集部と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像配置に係る印刷設定は、記録媒体の種類設定および光沢設定の少なくとも2つを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記記録媒体上における前記画像の光沢が異なる印刷方向のうちの少なくとも1つを選択することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記紙目方向取得部は、光沢センサーからのデータを入力する光沢センサーデータ入力部と、
前記光沢センサーからのデータに基づいて、記録媒体の紙目方向を判定する紙目方向判定部と
を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記紙目方向判定部は、前記光沢センサーの測定値における前記記録媒体の垂直方向、及び、水平方向の2方向の測定値に基づいて、前記記録媒体の紙目方向を判定することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像データを入力する入力ステップと、
前記画像データに基づく画像の上下方向の画像方向を取得する画像方向取得ステップと、
記録媒体の紙目方向を取得する紙目方向取得ステップと、
光の入射方向を取得する入射方向取得ステップと、
前記画像方向、前記紙目方向、及び、前記入射方向に基づいて、前記記録媒体における画像配置を決定する決定ステップと
を有することを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−175131(P2012−175131A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31876(P2011−31876)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】