説明

画像処理装置及び画像読取装置

【課題】入力された画像データの変換形式を複数の形式のデータファイルに変換して出力することによって、複数の形式のデータファイルを選択し直して画像データを利用することができ、画像データの読取作業が1回で済み、画像データの読取コストを抑制することができるようにする。
【解決手段】画像データを入力する入力手段と、該入力手段によって入力された画像データの変換形式を複数指定する変換形式指定手段と、前記画像データを前記変換形式指定手段によって指定された形式のデータファイルに変換する変換手段と、複数の前記データファイルを一緒に出力する出力手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像処理装置においては、ネットワークに接続されたスキャナが読み込んだ原稿の画像データは、指定された形式のデータファイルに変換された後、パーソナルコンピュータ等の画像編集装置に、例えば、電子メール等に添付して送信される。
【0003】
ユーザは、画像編集装置を操作して前記データファイルを開いて画像データを編集した場合、編集結果に不満足であるときには、他の形式のデータファイルを指定し、再度、スキャナに画像データを読み込ませ、該画像データを前記他の形式のデータファイルに変換して画像編集装置に送信させるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−171369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の画像処理装置においては、ユーザが所望の編集結果を得ることができないときには、再度、スキャナに画像データを読み込ませる必要があるので、手間がかかってしまう。また、スキャナの使用が有料である場合には、画像データの読取コストが高くなってしまう。
【0005】
本発明は、前記従来の問題点を解決して、入力された画像データの変換形式を複数の形式のデータファイルに変換して出力することによって、複数の形式のデータファイルを選択し直して画像データを利用することができ、画像データの読取作業が1回で済み、画像データの読取コストを抑制することができる画像処理装置及び画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明の画像処理装置においては、画像データを入力する入力手段と、該入力手段によって入力された画像データの変換形式を複数指定する変換形式指定手段と、前記画像データを前記変換形式指定手段によって指定された形式のデータファイルに変換する変換手段と、複数の前記データファイルを一緒に出力する出力手段とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像処理装置においては、入力された画像データの変換形式を複数の形式のデータファイルに変換して出力する。これにより、複数の形式のデータファイルを選択し直して画像データを利用することができ、画像データの読取作業が1回で済み、画像データの読取コストを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるシステムの構成を示すブロック図である。
【0010】
図において、10は画像処理装置としての複合機であり、各装置間の情報交換に使用される情報の経路としてのネットワーク30を介して、上位装置としてのパーソナルコンピュータ20と相互に通信可能に接続されている。
【0011】
ここで、前記複合機10は、スキャナ装置、ファクシミリ装置、プリンタ及び複写機の機能を併せ持つ多機能複合装置、すなわち、MFP(複合型プリンタ:Multi Function Printer)である。そして、本実施の形態においては、前記複合機10が原稿の画像を読み取り、生成した画像データを前記ネットワーク30を介して電子メールの添付ファイルとしてパーソナルコンピュータ20に送信することができ、該パーソナルコンピュータ20が電子メールの添付ファイルとして画像データを受信し、ユーザがパーソナルコンピュータ20を操作して、前記画像データの編集を行うことができるようになっている。なお、ネットワーク30に接続されている上位装置は単数であっても複数であってもよいが、ここでは、パーソナルコンピュータ20ですべての上位装置を代表するものとして説明する。
【0012】
前記複合機10は、原稿の画像を読み取るスキャナ部11を有する。該スキャナ部11は、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)、撮像管等の撮像素子、レンズ、画像が印刷された紙等の媒体、写真等の原稿を照らすランプ等を備え、原稿の画像を走査しながら読み取る装置である。
【0013】
また、前記複合機10は、該複合機10の設定、画像データの変換形式の指定等の操作を行うための変換形式指定手段としての操作パネル12、CPU、MPU等の演算手段を備え、複合機10の制御を行う制御部13、及び、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶手段を備え、画像データ等を保存するメモリ部14を有する。
【0014】
さらに、前記複合機10は、前記スキャナ部11が読み取った原稿の画像データを生成する画像データ生成部15、該画像データ生成部15が生成した画像データをPDF(Portable Document Format)形式、TIFF(Tag Image File Format)形式、BMP(Bit Map)形式等のデータファイルに変換する変換手段としての画像データ変換部16、該画像データ変換部16によって変換された複数のデータファイルを統合する統合手段としての変換データ統合部17、及び、該変換データ統合部17によって統合されたデータファイルを、電子メールの添付ファイルとして、ネットワーク30を介してパーソナルコンピュータ20に出力する出力手段としての通信部18を有する。なお、前記スキャナ部11及び画像データ生成部15は、画像データを入力する入力手段として機能する。
【0015】
また、前記パーソナルコンピュータ20は、CPU、MPU等の演算手段、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶手段、CRT、液晶ディスプレイ等の表示手段、キーボード等の入力手段、通信インターフェイス等を備えるコンピュータであるが、前記複合機10から電子メールを受信し、該電子メールの添付ファイルを開いて画像データを編集する作業が可能な装置であれば、いかなるものであってもよい。そして、前記パーソナルコンピュータ20は、機能の観点から、パーソナルコンピュータ20の動作を制御するOS(Operating System)部21、及び、前記複合機10との間でデータの送受信を行う通信部22を有する。
【0016】
さらに、前記ネットワーク30は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等のケーブルであってもよいし、イントラネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等のネットワークであってもよいし、インターネット等を含むIP(Internet Protocol)ネットワークであってもよい。
【0017】
次に、前記操作パネル12の構成について説明する。
【0018】
図2は本発明の第1の実施の形態における操作パネルの構成を示す図である。
【0019】
図に示されるように、操作パネル12は、情報を表示するための表示手段としてのLCD(Liquid Crystal Display)パネル41を有する。なお、該LCDパネル41は、入力手段としての機能も兼ね備えるタッチパネルであることが望ましい。図に示される例では、画像データを変換するデータファイルの形式を選択するための画面が表示されている。この場合、LCDパネル41には、入力位置を示すカーソル44、及び、各項目の指定状態を示す指定状態表示マーク45が表示される。さらに、LCDパネル41には、タッチボタン式の入力手段として、表示されたデータファイルの形式の選択状態を保存して適用することを入力するための「適用」と表示された適用ボタン43a、及び、表示されたデータファイルの形式の選択状態を保存せずに元に戻って終了することを入力するための「戻る」と表示された終了ボタン43bが含まれる。
【0020】
また、前記操作パネル12は、前記カーソル44を上下左右に移動させるためのカーソルキー42a〜42d、画像読取動作の起動やLCDパネル41の表示内容を決定するための決定キー42e、画像読取動作の停止やLCDパネル41の表示内容を取り消すためのキャンセルキー42f等の操作ボタンを有する。
【0021】
前記操作パネル12のLCDパネル41及び操作ボタン42a〜42fを操作することによって、ユーザは、スキャナ部11が読み取った原稿の画像データを所望の複数のファイル形式に変換し、電子メールの添付ファイルとして複合機10からパーソナルコンピュータ20に送信させることができる。
【0022】
次に、該パーソナルコンピュータ20が複合機10から受信した電子メールについて説明する。
【0023】
図3は本発明の第1の実施の形態におけるパーソナルコンピュータの表示手段に表示された電子メールの例を示す図である。
【0024】
図において、50は、パーソナルコンピュータ20の表示手段に表示された複合機10から受信した電子メールの表示画面であり、ユーザが操作パネル12を操作することによって指定した形式の画像データファイルを示すアイコン51と、各アイコン51に対応する画像データファイルに関する説明52が表示される。最上位に表示された説明52には、最上位に表示されたアイコン51に対応する画像データファイルを開くために使用すべきソフトウェアの名称が含まれており、例えば、「Adobe(R)Acrobat(R)Readerで開きます」と表示されている。
【0025】
なお、PDF形式は、Windows(R)、UNIX(R)、Macintosh(R)等のプラットフォームに依存しないデータ形式であり、現在の電子ドキュメントの標準的なデータ形式であって、走査しながら読み取った画像を保存するのに適している。一方、明度の変更、ノイズの消去等の編集作業を行う必要があっても、直接編集することができるソフトウェアが存在しないため、画像編集には適していないデータ形式である。
【0026】
また、TIFF形式は、画像データをイメージデータとしてファイルに記録するためのデータ形式であり、1つのプラットフォームで生成されたデータを他のプラットフォームのソフトウェアで読み込むことができる。なお、画像データを圧縮して保存する圧縮型と、画像データを圧縮せずに保存する非圧縮型とが存在する。
【0027】
さらに、BMP形式は、カラー画像を圧縮せずに保存するデータ形式となっている。画像の劣化がなく、画像編集用のソフトウェアも多く存在するので、画像編集に適したデータ形式である。
【0028】
次に、前記構成の複合機10の動作について説明する。ここでは、スキャナ部11が読み取った原稿の画像データを、あらかじめ設定された複数のファイル形式に変換し、変換された画像データファイルを添付ファイルとして一緒に電子メールに添付して、ネットワーク30を介してパーソナルコンピュータ20に送信する、いわゆる、Scan To E−mailを行う場合の動作について説明する。まず、画像データを変換するファイル形式を設定する動作について説明する。
【0029】
図4は本発明の第1の実施の形態における画像データを変換するファイル形式を設定する動作を示すフローチャートである。
【0030】
まず、画像データを変換するファイル形式の設定が開始されると、ユーザは、複合機10の操作パネル12の操作ボタン42a〜42fを操作してLCDパネル41に図2に示されるような設定画面を表示させる。すなわち、LCDパネル41は、変換可能形式及び出力形式の設定状況を表示する。なお、各項目の指定状態は、指定状態表示マーク45によって示される。
【0031】
続いて、ユーザは、前記操作ボタン42a〜42fを操作し、カーソル44を移動させて、画像データを変換して出力するための所望のデータファイルの形式を複数選択する。そして、ユーザは、変換形式と出力形式とが複数選択されているか否かを判断する。
【0032】
ここで、変換形式と出力形式とが複数選択されていると判断すると、ユーザは適用ボタン43aを押す。すると、複合機10は、ユーザが適用ボタン43aを押したか否かを判断し、適用ボタン43aを押した場合には、指定された形式を保存して、すなわち、設定値を保存して処理を終了する。
【0033】
一方、変換形式と出力形式とが複数選択されていないと判断すると、ユーザは終了ボタン43bを押す。すると、複合機10は、ユーザが終了ボタン43bを押したか否かを判断し、終了ボタン43bを押した場合には、元の指定に戻して、すなわち、指定された形式を保存せず、元の設定に戻して処理を終了する。
【0034】
なお、複合機10は、ユーザが適用ボタン43aを押したか否かを判断し、適用ボタン43aを押していない場合には、ユーザが終了ボタン43bを押したか否かを判断する。そして、ユーザが終了ボタン43bを押していない場合には、ユーザが変換形式と出力形式とが複数選択されているか否かを判断するまで、待機する。
【0035】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 LCDパネル41は、変換可能形式及び出力形式の設定状況を表示する。
ステップS2 ユーザは、変換形式と出力形式とが複数選択されているか否かを判断する。複数選択されている場合はステップS3に進み、複数選択されていない場合はステップS4に進む。
ステップS3 ユーザが適用ボタン43aを押したか否かを判断する。適用ボタン43aを押した場合はステップS5に進み、適用ボタン43aを押していない場合はステップS4に進む。
ステップS4 ユーザが終了ボタン43bを押したか否かを判断する。終了ボタン43bを押した場合はステップS6に進み、終了ボタンを押していない場合はステップS2に戻る。
ステップS5 指定された形式を保存して、処理を終了する。
ステップS6 元の指定に戻して、処理を終了する。
【0036】
次に、スキャナ部11が読み取った原稿の画像データをパーソナルコンピュータ20に送信する動作について説明する。
【0037】
図5は本発明の第1の実施の形態における読み取った画像データを変換して送信する動作を示すフローチャートである。
【0038】
複合機10がスキャンを開始すると、スキャナ部11が原稿の画像データを読み取る。そして、画像データ変換部16は、指定された変換形式の分画像変換を行う。すなわち、スキャナ部11が読み取った原稿の画像データを、ユーザが指定した複数のファイル形式に変換する。
【0039】
続いて、通信部18が、複数のファイル形式に変換された画像データ、すなわち、複数の画像データファイルを一緒に送信すると、複合機10は処理を終了する。この場合、前記画像データは、電子メールの添付ファイルとしてパーソナルコンピュータ20に送信される。
【0040】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS11 スキャナ部11が原稿の画像データを読み取る。
ステップS12 画像データ変換部16は、指定された変換形式の分画像変換を行う。
ステップS13 通信部18が、複数のファイル形式に変換された画像データファイルを一緒に送信し、処理を終了する。
【0041】
次に、ユーザがパーソナルコンピュータ20を操作して、複合機10から受信した電子メールを開く動作について説明する。
【0042】
図6は本発明の第1の実施の形態における複合機から受信した電子メールを開く動作を示すフローチャートである。
【0043】
まず、ユーザは、パーソナルコンピュータ20を操作して、複合機10から受信した電子メールを開く動作を開始する。すると、図3に示されるような表示画面50がパーソナルコンピュータ20の表示手段に表示されるので、ユーザは、最上位に表示されたアイコン51を選択してPDF形式のファイルを開く。なお、いずれの形式のファイルを選択するかは任意であるが、ここでは、スキャナ部11が読み取った原稿の画像データをそのまま保存することを目的として、まず、PDF形式のファイルを開くものとする。
【0044】
続いて、ユーザは、開いたファイルの画像に満足しているか否かを判断する。そして、画像に満足している場合には、そのまま画像データを保存して処理を終了する。
【0045】
また、例えば、画像に裏移り等のノイズがあり不満足な画質の場合には、PDF形式のファイルは画像編集に適したフォーマットとはいえないので、画像に不満足であるものとして、ユーザは、TIFF形式、BMP形式等の画像編集に適したフォーマットのファイルを画像編集ソフトを利用して開く。そして、満足することができる結果に編集した後、画像データを保存して処理を終了する。
【0046】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS21 PDF形式のファイルを開く。
ステップS22 開いたファイルの画像に満足しているか否かを判断する。満足している場合はそのまま画像データを保存して処理を終了し、不満足の場合はステップS23に進む。
ステップS23 TIFF形式、BMP形式等の画像編集に適したフォーマットのファイルを画像編集ソフトを利用して開き、編集した後、画像データを保存し、処理を終了する。
【0047】
このように、本実施の形態においては、スキャナ部11が読み取った原稿の画像データを複数のファイル形式に変換し、一緒に電子メールで送信することができる。これにより、パーソナルコンピュータ20が受信した画像データファイルの状態によって画像処理のような編集作業を行う場合であっても、再度、原稿の画像データを読み取って、ファイル形式を選択し直して送信する必要がなく、任意のファイル形式の画像データファイルを開くことができる。
【0048】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0049】
図7は本発明の第2の実施の形態における操作パネルの構成を示す図である。
【0050】
本実施の形態における複合機10及びパーソナルコンピュータ20の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略し、操作パネル12の構成について説明する。
【0051】
図に示されるように、本実施の形態における操作パネル12の構成は、基本的には、前記第1の実施の形態と同様であるが、指定状態表示マーク45の表示態様が前記第1の実施の形態と相違する。すなわち、前記第1の実施の形態では、図2に示されるように、指定状態表示マーク45は、4つの項目についてのみ表示されているのに対し、本実施の形態における指定状態表示マーク45は、最下位に位置する項目「統合して送信する」についても表示されている。したがって、本実施の形態における複合機10は、複数のファイル形式に変換された画像データファイルを統合して1つの画像データファイルにし、パーソナルコンピュータ20に送信する。
【0052】
次に、本実施の形態におけるパーソナルコンピュータ20が複合機10から受信した電子メールについて説明する。
【0053】
図8は本発明の第2の実施の形態におけるパーソナルコンピュータの表示手段に表示された電子メールの例を示す図、図9は本発明の第2の実施の形態におけるパーソナルコンピュータの表示手段に表示されたファイルを開くダイアログの例を示す図である。
【0054】
図8に示されるように、パーソナルコンピュータ20の表示手段に表示された複合機10から受信した電子メールの表示画面50には、展開可能な1つの画像データファイルを示すアイコン51と、該アイコン51に対応する画像データファイルに関する説明52が表示される。この場合、アイコン51に対応する画像データファイルは、複数のファイル形式に変換された画像データファイルを統合した画像データファイルであり、説明52には、この統合した画像データファイルが自己解凍形式で開く旨を示している。
【0055】
そして、前記統合した画像データファイルを開くと、図9に示されるような対話画面60がパーソナルコンピュータ20の表示手段に表示される。対話画面60には、開くことができる画像データファイルのファイル形式名61と、各ファイル形式名61に対応する画像データファイルに関する説明62が表示される。最上位に表示された説明62には、最上位に表示されたファイル形式名61の画像データファイルを開くために使用すべきソフトウェアの名称が含まれており、例えば、「Adobe(R)Acrobat(R)Readerで開きます」と表示されている。
【0056】
また、対話画面60には、選択された画像データファイルを示すカーソル63と、該カーソル63が示す画像データファイルを開くための「開く」と表示されたファイル開ボタン64が含まれる。
【0057】
次に、各種のファイル形式の画像データファイルのデータ構造について説明する。
【0058】
図10は本発明の第2の実施の形態におけるPDF形式の画像データファイルのデータ構造を示す図、図11は本発明の第2の実施の形態におけるBMP形式の画像データファイルのデータ構造を示す図、図12は本発明の第2の実施の形態における統合した画像データファイルのデータ構造を示す図である。
【0059】
図10において、70はPDF形式画像データファイルであり、PDF形式のヘッダ情報を示すPDFファイルヘッダ情報71と、PDF形式の描画データであるPDFファイル描画データ72とを備える。前記PDFファイルヘッダ情報71には、PDFファイル描画データ72を展開するために必要な情報が含まれている。そして、前記PDFファイル描画データ72には、実際の画像イメージが保存されている。
【0060】
また、図11において、80はBMP形式画像データファイルであり、BMP形式のヘッダ情報を示すBMPファイルヘッダ情報81と、BMP形式の描画データであるBMPファイル描画データ82とを備える。前記BMPファイルヘッダ情報81には、BMPファイル描画データ82を展開するために必要な情報が含まれている。そして、前記BMPファイル描画データ82には、実際の画像イメージが保存されている。
【0061】
さらに、図12において、90は統合画像データファイルであり、PDF形式画像データファイル70とBMP形式画像データファイル80とを統合した画像データファイルである。そして、統合画像データファイル90は、PDFファイルヘッダ情報71及びBMPファイルヘッダ情報81に基づいて、元の画像データファイルを展開する展開プログラム91と、PDFファイルヘッダ情報71と、PDFファイル描画データ72と、BMPファイルヘッダ情報81と、BMPファイル描画データ82とを備える。なお、統合画像データファイル90は、その他の形式の画像データファイルのファイルヘッダ情報及びファイル描画データを備えていてもよい。
【0062】
また、展開プログラム91は、PDFファイルヘッダ情報71及びBMPファイルヘッダ情報81に基づいて、図9に示されるような対話画面60を開いて、開くことができる、すなわち、展開可能な画像データファイルのファイル形式名61を表示し、カーソル63が示す画像データファイルを展開するプログラムである。
【0063】
次に、本実施の形態における複合機10の動作について説明する。本実施の形態においては、スキャナ部11が読み取った原稿の画像データを、あらかじめ設定された複数のファイル形式に変換し、それらの画像データファイルを統合し、1つの添付ファイルとして電子メールに添付して、ネットワーク30を介してパーソナルコンピュータ20に送信する、いわゆる、Scan To E−mailを行う場合の動作について説明する。まず、スキャナ部11が読み取った原稿の画像データをパーソナルコンピュータ20に送信する動作について説明する。
【0064】
図13は本発明の第2の実施の形態における読み取った画像データを変換して送信する動作を示すフローチャートである。
【0065】
複合機10がスキャンを開始すると、スキャナ部11が原稿の画像データを読み取る。そして、画像データ変換部16は、指定された変換形式の分画像変換を行う。すなわち、スキャナ部11が読み取った原稿の画像データを、ユーザが指定した複数のファイル形式に変換する。
【0066】
続いて、変換データ統合部17は、画像データ変換部16によって変換された複数の画像データファイルを統合し、展開プログラム91を付与する。
【0067】
続いて、通信部18が、変換データ統合部17によって統合された統合画像データファイル90、すなわち、統合ファイルを送信すると、複合機10は処理を終了する。この場合、統合画像データファイル90は、電子メールの添付ファイルとしてパーソナルコンピュータ20に送信される。
【0068】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS31 スキャナ部11が原稿の画像データを読み取る。
ステップS32 画像データ変換部16は、指定された変換形式の分画像変換を行う。
ステップS33 変換データ統合部17は、複数の画像データファイルを統合する。
ステップS34 変換データ統合部17は、展開プログラム91を付与する。
ステップS35 通信部18が、統合ファイルを送信し、処理を終了する。
【0069】
次に、ユーザがパーソナルコンピュータ20を操作して、複合機10から受信した電子メールを開く動作について説明する。
【0070】
図14は本発明の第2の実施の形態における複合機から受信した電子メールを開く動作を示すフローチャートである。
【0071】
まず、ユーザは、パーソナルコンピュータ20を操作して、複合機10から受信した電子メールを開く動作を開始する。すると、図8に示されるような表示画面50がパーソナルコンピュータ20の表示手段に表示されるので、ユーザは、アイコン51を選択して変換データ統合部17によって統合された統合画像データファイル90、すなわち、統合ファイルを開く。
【0072】
すると、展開プログラム91によって図9に示されるような対話画面60がパーソナルコンピュータ20の表示手段に表示される。この場合、ファイル形式名61として展開可能なファイル形式が提示されるので、ユーザは、任意のファイルを開く。例えば、ユーザは、カーソル63によって最上位に表示されたPDF形式のファイルを選択して開く。なお、いずれの形式のファイルを選択するかは任意であるが、ここでは、スキャナ部11が読み取った原稿の画像データをそのまま保存することを目的として、まず、前記画像データの画質を判断するためにPDF形式のファイルを開くものとする。
【0073】
続いて、ユーザは、開いたファイルの画像に満足しているか否かを判断する。そして、画像に満足している場合には、そのまま画像データを保存して処理を終了する。
【0074】
また、例えば、画像に裏移り等のノイズがあり不満足な画質の場合には、ユーザは、再度、統合ファイルを開き、対話画面60でBMP形式等の画像編集に適したフォーマットのファイルを画像編集ソフトを利用して開く。そして、満足することができる結果に編集した後、画像データを保存して処理を終了する。
【0075】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS41 統合ファイルを開く。
ステップS42 展開可能なファイル形式が提示され、任意のファイルを開く。
ステップS43 開いたファイルの画像に満足しているか否かを判断する。満足している場合は、そのまま画像データを保存して処理を終了し、不満足の場合はステップS41に戻る。
【0076】
このように、本実施の形態においては、スキャナ部11が読み取った原稿の画像データを複数のファイル形式に変換し、それらの画像データファイルを統合し、1つの添付ファイルとして、電子メールで送信することができる。これにより、パーソナルコンピュータ20が受信した画像データファイルを、前記第1の実施の形態よりも容易に管理することができる。
【0077】
なお、前記第1及び第2の実施の形態においては、Scan to E−mailについて説明したが、読み取った画像データをデータファイル化する処理を含んでいれば、いずれの形式にも適用することができる。
【0078】
また、前記第1及び第2の実施の形態においては、あらかじめ変換するファイル形式を指定する場合について説明したが、変換するファイル形式を送信時点で指定することもできる。
【0079】
さらに、前記第1及び第2の実施の形態においては、ファイル形式として、PDF形式、TIFF形式及びBMP形式を例として挙げたが、いずれのファイル形式にも適用することができる。また、PDF形式のファイルを最初に開く例について説明したが、目的によってその順番は前後する。
【0080】
さらに、前記第2の実施の形態では、統合したデータファイルに自己解凍形式の展開プログラムを付与した例について説明したが、一般的な解凍ソフトウェアを使用して、ファイルを開くようにしてもよい。
【0081】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における操作パネルの構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるパーソナルコンピュータの表示手段に表示された電子メールの例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における画像データを変換するファイル形式を設定する動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態における読み取った画像データを変換して送信する動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施の形態における複合機から受信した電子メールを開く動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態における操作パネルの構成を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態におけるパーソナルコンピュータの表示手段に表示された電子メールの例を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態におけるパーソナルコンピュータの表示手段に表示されたファイルを開くダイアログの例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態におけるPDF形式の画像データファイルのデータ構造を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態におけるBMP形式の画像データファイルのデータ構造を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態における統合した画像データファイルのデータ構造を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態における読み取った画像データを変換して送信する動作を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第2の実施の形態における複合機から受信した電子メールを開く動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0083】
10 複合機
11 スキャナ部
12 操作パネル
15 画像データ生成部
16 画像データ変換部
17 変換データ統合部
18 通信部
91 展開プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)画像データを入力する入力手段と、
(b)該入力手段によって入力された画像データの変換形式を複数指定する変換形式指定手段と、
(c)前記画像データを前記変換形式指定手段によって指定された形式のデータファイルに変換する変換手段と、
(d)複数の前記データファイルを一緒に出力する出力手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記複数のデータファイルを統合する統合手段を有し、
前記出力手段は、前記統合手段によって統合されたデータファイルを出力する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記変換形式指定手段は、前記変換形式をあらかじめ又は画像データの入力の際に指定する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記統合手段は、前記統合されたデータファイルに該統合されたデータファイルを展開するための展開プログラムを付与する請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記展開プログラムは、少なくとも展開可能な形式を選択可能に提示し、選択された形式に基づいて前記統合されたデータファイルを展開する請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
(a)原稿の画像を読み取るスキャナ部と、
(b)該スキャナ部によって読み取られた原稿の画像データを生成する画像データ生成部と、
(c)該画像データ生成部によって生成された画像データの変換形式を複数指定する変換形式指定手段と、
(d)前記画像データを前記変換形式指定手段によって指定された形式のデータファイルに変換する変換手段と、
(e)複数の前記データファイルを一緒に出力する出力手段とを有することを特徴とする画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−50561(P2010−50561A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210976(P2008−210976)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】