説明

画像処理装置

【課題】FA用のカメラと同時に使用されるレンズ部や照明部を、コンパクトな配線を介して遠隔制御可能な画像処理装置を提供する。
【解決手段】制御部614は画像情報IMGを差動信号S2A,S2Bに変換してコントローラ20に送信する。また、制御部614は、レンズ部62または照明部63を制御する制御信号(差動信号S1A,S1B)を受けて、レンズ部62または照明部63を制御する。レンズ部62や照明部63をコントローラ20から遠隔制御するために撮像装置60とコントローラ20との間に接続される信号ケーブルは信号ケーブル81のみでよくなる。よって、コントローラ20と撮像装置60との間の配線をコンパクトにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置に関し、特に、産業用のデジタルカメラとこのカメラから得られる画像データを処理する処理装置とを備える画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
FA(Factory Automation)用のデジタルカメラ(以下、単に「カメラ」とも称する)から処理装置(たとえばパーソナルコンピュータに搭載される画像入力ボード等)に画像データを伝送する規格として、RS−644やRS−422といった規格が従来用いられている。これらの規格は画像データの伝送方式を定めるものであるが、カメラと処理装置との接続に使用するケーブルやコネクタ、コネクタのピン配置等を定めるものではない。そのため、カメラメーカーや画像入力ボードのメーカーは、各社独自に定めた形式に従って製品を製造していた。よって、ユーザは互換性のない製品同士の接続に手間を要していた。
【0003】
このような不便を解消するために「カメラリンク」という規格が制定された(たとえば非特許文献1)。カメラリンク規格では、コネクタ形状、コネクタのピン配置、ケーブルの仕様、通信方式等が規定されている。すなわちカメラリンク規格に準じた製品は互換性を有している。
【非特許文献1】゛Specifications of the Camera Link Interface Standard for Digital Cameras and Frame Grabbers"、[online]、2000年10月、[平成17年12月2日]、インターネット<URL:http://www.pulnix.com/CameraLink/CameraLink5.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多くの場合、カメラにはレンズ(たとえば電動ズーム機能付きのレンズ)が接続される。また、FA用のカメラの場合には被写体(たとえば製造ライン上の製品)を照らす照明装置がカメラと同時に使用されることがある。これらレンズや照明装置は従来から遠隔制御可能である。以下、従来の画像処理装置が有する課題について、図を参照しながら説明する。
【0005】
図10は、従来の画像処理装置の構成例を示す図である。
図10を参照して、画像処理装置800は、コントローラ20と、撮像装置60とを備える。撮像装置60は、カメラ61と、レンズ部62と、照明部63とを備える。カメラ61、レンズ部62、および照明部63のそれぞれに対応して、コントローラ20からの制御信号を伝達する信号ケーブル81,811,812が設けられる。
【0006】
このように、従来の画像処理装置(特にFA用のカメラを備える画像処理装置)では、カメラ、レンズ部、および照明部の各々とコントローラとを接続する信号ケーブルが必要である。よって、従来の画像処理装置では、配線数が多いために信号線の引き回しや結線が煩雑になるという課題がある。
【0007】
上述のカメラリンク規格は、コントローラ20からカメラ61への制御、カメラ61からコントローラ20への画像データの伝送、に関して規定がなされている。しかし、カメラリンク規格にはコントローラ20からレンズ部62および照明部63への制御について明確な規定が存在しない。よって、カメラリンク規格に準じたケーブルを信号ケーブル81に用いたとしても、コントローラ20からレンズ部62および照明部63を制御するために信号ケーブル811,812が必要になる。
【0008】
本発明の目的は、FA用のカメラと同時に使用されるレンズ部や照明部を、コンパクトな配線を介して遠隔制御可能な画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は要約すれば、画像処理装置であって、撮像装置を備える。撮像装置は、レンズ部と、撮像部と、制御部とを含む。レンズ部は、ズーム機能、焦点距離変換機能、および絞り機能の少なくとも1つの機能を有する。撮像部は、レンズ部を介して、被写体を撮像する。制御部は、レンズ部を制御する差動の制御信号を受けて、レンズ部が有するズーム機能、焦点距離変換機能、および絞り機能の少なくとも1つの機能を制御するとともに、撮像部で得られた画像情報を、差動の画像信号に変換して出力する。画像処理装置は、本体部と、単数の信号ケーブルとをさらに備える。本体部は、制御部から差動の画像信号を受けて所定の処理を行なうとともに、レンズ部を制御する制御命令を、差動の制御信号に変換して出力する。信号ケーブルは、差動の画像信号および差動の制御信号を伝送する。信号ケーブルは、差動の画像信号を制御部から本体部に伝送する信号線対と、差動の制御信号を本体部から制御部に伝送する信号線対とを含む。
【0010】
好ましくは、レンズ部と撮像部とは、互いに別の筐体に収納される。制御部は、差動の制御信号を制御命令に変換する。制御部は、制御命令が撮像部に対する制御を示す場合には、制御命令に基づいて撮像部を制御し、制御命令がレンズ部に対する制御を示す場合には、制御命令に応じた指示信号を生成してレンズ部に送信する。レンズ部は、指示信号に応じてレンズ部の動作を制御する動作制御部を含む。
【0011】
本発明の他の局面に従うと、画像処理装置であって、撮像装置を備える。撮像装置は、照明部と、撮像部と、制御部とを含む。撮像部は、被写体を撮像する。制御部は、照明部を制御する差動の制御信号を受けて、照明部を制御するとともに、撮像部で得られた画像情報を、差動の画像信号に変換して出力する。画像処理装置は、本体部と、単数の信号ケーブルとをさらに備える。本体部は、制御部から差動の画像信号を受けて所定の処理を行なうとともに、照明部を制御する制御命令を、差動の制御信号に変換して出力する。信号ケーブルは差動の画像信号および差動の制御信号を伝送する。信号ケーブルは、差動の画像信号を制御部から本体部に伝送する信号線対と、差動の制御信号を本体部から制御部に伝送する信号線対とを含む。
【0012】
好ましくは、照明部と撮像部とは、互いに別の筐体に収納される。制御部は、差動の制御信号を制御命令に変換する。制御部は、制御命令が撮像部に対する制御を示す場合には、制御命令に基づいて撮像部を制御し、制御命令が照明部に対する制御を示す場合には、制御命令に応じた指示信号を生成して照明部に送信する。照明部は、指示信号に応じて照明部の動作を制御する動作制御部を含む。
【0013】
より好ましくは、信号ケーブルは、カメラリンク規格に準じたケーブルである。
さらに好ましくは、被写体は、製造現場において搬送される製品である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の画像処理装置によれば、本体部からレンズ部や照明部の遠隔制御をコンパクトな配線を用いて実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下において、本発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。
【0016】
図1は、本実施の形態の画像処理装置の適用例を示す図である。
図1を参照して、センサシステム1は、製造ライン100等の製造現場において搬送される製品101〜104の検査に用いられる。製品101〜104は完成品または半製品である。
【0017】
センサシステム1は、PC(パーソナルコンピュータ)10と、ネットワーク回線11と、操作部30A〜30Cと、表示部40A〜40Cと、PLC(プログラマブルコントローラ)50A,50Bと、画像処理装置80A〜80Cとを備える。画像処理装置80A〜80Cの各々は本実施の形態の画像処理装置に相当する。
【0018】
PC10はネットワーク回線11を介して、画像処理装置80A〜80Cとの間で情報の授受を行なう。ネットワーク回線11は、たとえばLAN(Local Area Network)用の回線である。作業者はPC10を用いることで、たとえば製造ライン100の稼動状況の監視や画像処理装置80A〜80Cの遠隔操作を行なうことができる。
【0019】
図1において、画像処理装置80Aは製品101を撮影する。同様に、画像処理装置80Bは製品102,103を撮影し、画像処理装置80Cは製品104を撮影する。各画像処理装置は予め記憶した画像パターン(画像情報)と撮影した画像の情報とを比較して比較結果を出力する。
【0020】
PLC50Aは画像処理装置80Aからの比較結果を受ける。PLC50Bは画像処理装置80B,80Cからの比較結果を受ける。製品に色むらや傷などがあれば、各画像処理装置からの比較結果は、記憶する画像情報と撮影により得られた画像情報とが一致しないことを示す。PLC50A,50Bはこの比較結果に基づいて、製品101〜104を次の製造工程に進めるか、製品101〜104を製造ライン100から排出するかを決定する。
【0021】
画像処理装置80A〜80Cの各々は、コントローラと撮像装置とを含む。コントローラは、本発明の画像処理装置における「本体部」に相当する。図1では画像処理装置80Aはコントローラ20Aと撮像装置60Aとを含む。画像処理装置80Bはコントローラ20Bと撮像装置60B1,60B2とを含む。画像処理装置80Cはコントローラ20Cと撮像装置60Cとを含む。画像処理装置80Bのように、本実施の形態の画像処理装置では1台のコントローラ(コントローラ20B)に対して複数台の撮像装置(撮像装置60B1,60B2)が設けられてもよい。なおコントローラ20A〜20Cの各々はネットワーク回線11に接続される。
【0022】
画像処理装置80A〜80Cの各々は、さらに、コントローラと撮像装置との間で信号を伝送する信号ケーブルを含む。画像処理装置80Aは、信号ケーブル81Aをさらに含む。同様に、画像処理装置80Bは、信号ケーブル81B1,81B2をさらに含む。画像処理装置80Cは信号ケーブル81Cをさらに含む。信号ケーブルの構成は後述する。
【0023】
操作部30A〜30Cはコントローラ20A〜20Cにそれぞれ接続される。同様に、表示部40A〜40Cはコントローラ20A〜20Cにそれぞれ接続される。操作部30A〜30Cは、たとえばマウスやキーボードなどである。表示部40A〜40Cは、たとえば液晶ディスプレイである。ユーザは表示部や操作部を用いて撮像装置の設定を行なう。撮像装置の設定に関する情報は、コントローラから信号ケーブルを介して撮像装置に送られる。撮像装置はこの情報に応じ、たとえばレンズのズーム倍率の変更やシャッタ速度の変更などを行なう。
【0024】
次に、画像処理装置80A〜80Cの構成を説明する。なお、コントローラ20A〜20Cは互いに同様の構成を有する。撮像装置60A,60B1,60B2,60Cは互いに同様の構成を有する。信号ケーブル81A,81B1,81B2,81Cは互いに同様の構成を有する。よって、以後の説明ではコントローラ20A〜20Cを「コントローラ20」と総称し、撮像装置60A,60B1,60B2,60Cを「撮像装置60」と総称し、信号ケーブル81A,81B1,81B2,81Cを「信号ケーブル81」と総称する。
【0025】
図2は、撮像装置60の構成を概略的に示す図である。
図2を参照して、撮像装置60は、カメラ61と、補助部61Aと、信号ケーブル82とを含む。補助部61Aは、レンズ部62と照明部63とを有する。カメラ61はレンズ部62を介して図1に示す製品(被写体)を撮像する装置である。
【0026】
レンズ部62は、ズーム機能、焦点距離変換機能、および絞り機能の少なくとも1つの機能を有する。照明部63は被写体に光を照射する。
【0027】
コントローラ20はレンズ部62および照明部63を制御するため、信号ケーブル81を介してカメラ61に制御信号を送る。カメラ61は、受け取った制御信号がレンズ部62または照明部63への制御のための信号である場合には、信号ケーブル82を介して指示信号をレンズ部62または照明部63に送信する。レンズ部62または照明部63は受けた指示信号に応じて動作する。図10に示す従来の構成例では、コントローラ20からレンズ部62と照明部63とに対して制御を行なうため、レンズ部62と照明部63とに対して信号ケーブル811,812がそれぞれ必要である。画像処理装置80では信号ケーブル81のみコントローラ20に接続される。よって、本実施の形態によれば、FA用のカメラと同時に使用されるレンズ部や照明部を、コンパクトな配線を介して遠隔制御することができる。
【0028】
カメラ61はコントローラ20から自身の制御に関する制御信号も受ける。この場合には、カメラ61は受けた制御信号に基づいてたとえばシャッタ速度等を変更する。
【0029】
なお、図2に示す信号ケーブル82を用いずに、カメラ61と補助部61Aとは雄コネクタと雌コネクタとにより直接接続されてもよい。
【0030】
図3は、図2のコントローラ20の構成を示す図である。
図3を参照して、コントローラ20はカメラI/F(インターフェース)21と、RAM(揮発性メモリ)22と、外部I/F23と、CPU(中央処理装置)24と、フラッシュメモリ25と、グラフィックコントローラ26と、操作I/F27と、内部バス29とを含む。
【0031】
タイミングセンサ70は、図1には示されていないが、たとえば図1の製造ライン100に設置される光センサである。ある製品がタイミングセンサ70の設置箇所を通過した場合、タイミングセンサ70はCPU24に対してタイミング信号を送信する。
【0032】
CPU24はタイミング信号の受信に応じ、撮像装置60に対して撮像指示を出力する。また、CPU24は撮像装置60から受ける画像情報に応じて所定の処理を行なう。さらに、CPU24はコントローラ20の全体の動作を制御する。
【0033】
カメラI/F21は、コントローラ20において撮像装置60との交信を行なう回路である。RAM22はカメラI/F21が受けた画像情報を一時的に記憶するとともにCPU24が行なう各種処理に必要なデータを一時的に記憶する。フラッシュメモリ25はCPU25が実行するプログラムや保存しておくべきパラメータ等を不揮発的に記憶する。グラフィックコントローラ26は表示部40が撮像装置60からの画像情報やCPU24が処理した後の画像情報を表示するために、これらの画像情報を表示部40に対して出力する。外部I/F23はPC10やPLC50から入力される情報をCPU24に与える。操作I/F27は操作部30に接続されて、操作部30がユーザの操作に応じて出力する情報を受ける。この情報は操作I/F27からCPU24に送られる。コントローラ20の内部において、これらの情報は内部バス29を伝送する。
【0034】
図4は、図2のカメラ61および補助部61Aの構成を詳細に示す図である。
図4を参照して、カメラ61は被写体(図1の製品101〜104)を撮像する撮像部610を含む。撮像部610は、撮像素子611と、ドライバ612と、ADC(A/Dコンバータ)613とを含む。
【0035】
撮像素子611は、たとえばCCD(charge coupled device)やCMOS(complementary mental-oxide semiconductor device)センサ等の複数の画素を含む素子である。被写体の撮像に応じて、複数の画素の各々から画素信号が出力される。ドライバ612は撮像素子611からの画素信号を増幅したり、撮像素子611の駆動(たとえばシャッタ処理)を行なったりする。ADC613はドライバ612から受けるアナログの画素信号をデジタル信号に変換する。
【0036】
カメラ61は、さらに、制御部614を含む。
制御部614はコントローラ20から受ける差動の制御信号(差動信号S1A,S1B)を命令データCMD(制御命令)に変換する。そして、制御部614は、命令データCMDの内容に応じて、撮像部610を制御するか、補助部61A(レンズ部62および照明部63の少なくとも一方)を制御するかのいずれかを行なう。制御部614はレンズ部62または照明部63を制御する場合には、命令データCMDに応じて指示信号CMD1を生成して、指示信号CMD1を出力する。また、制御部614は、撮像部610で得られる画像情報IMGを差動の画像信号(差動信号S2A,S2B)に変換して外部出力する。
【0037】
制御部614は、たとえば、画像情報を差動信号S2A,S2Bに変換するデコーダ部、差動信号S1A,S1Bを命令データCMDに変換するエンコーダ部、および、命令データCMDに応じて処理を切換えるCPU等を含んで構成される。
【0038】
このように、制御部614は画像情報IMGを差動信号S2A,S2Bに変換してコントローラ20に送信する。また、制御部614は、レンズ部62を制御する制御信号(差動信号S1A,S1B)を受けて、レンズ部62が有するズーム機能、焦点距離変換機能、および絞り機能の少なくとも1つの機能を制御する。なお、制御信号が照明部63Aを制御するための信号である場合には、制御部614は差動信号S1A,S1Bを受けて、照明部63を制御する。本実施の形態によれば、レンズ部62や照明部63をコントローラ20から遠隔制御するために撮像装置60とコントローラ20との間に接続される信号ケーブルは信号ケーブル81のみでよくなる。よって、コントローラ20と撮像装置60との間の配線をコンパクトにすることができる。
【0039】
補助部61Aは、図2に示すレンズ部62、照明部63の他に動作制御部90を含んで構成される。動作制御部90は、レンズ部62、照明部63に共通して用いられる。よって、図4では動作制御部90は、レンズ部62と照明部63との双方に含まれるよう示される。
【0040】
レンズ部62は絞り622とモータ623とレンズ624とを含む。絞り622はモータ623によって開口径を変化させる。レンズ624はモータ623によってズーム倍率を変化させたりフォーカスを変化させたりする。これにより、上述のズーム機能、焦点距離変換機能、および絞り機能が実現可能になる。
【0041】
照明部63は照明駆動部631と照明器632とを含む。照明器632はたとえばLED(Light Emitting Diode)等の発光素子や蛍光灯などである。照明駆動部631はたとえばLEDに駆動電流を印加する回路や蛍光灯の点灯回路などである。
【0042】
動作制御部90は指示信号CMD1に応じてモータ623または照明駆動部631の動作を制御する。これにより、絞り622、レンズ624、照明器632の各々の動作が制御される。
【0043】
続いてコントローラ20側の処理について説明する。CPU24は、内部バス29を介してカメラI/F21に命令データCMDを送る。また、CPU24はカメラI/F21から内部バス29を介して画像情報IMGを受ける。カメラI/F21は、命令データCMDを差動信号S1A,S1Bに変換して送信する。また、カメラI/F21は、差動信号S2A,S2Bを画像情報IMGに変換する。
【0044】
図4では、説明の便宜上、コントローラ20についてカメラI/F21、CPU24および内部バス29のみ示しているが、図4で示していない部分は図3の構成と同様である。
【0045】
信号ケーブル81は、信号線対83,84を含む。信号線対83は差動信号S2A,S2Bを制御部614からコントローラ20に伝送する。信号線対84は差動信号S1A,S1Bをコントローラ20から制御部614に伝送する。信号ケーブル81はカメラリンク規格に準じたケーブルである。
【0046】
カメラリンク規格に準じた信号ケーブルは、13の信号線対を含む。13の信号線対のうち、画像データの伝送に4つの信号線対が割り当てられ、クロック信号の伝送に1つの信号線対が割り当てられる。本実施の形態では、残り8つの信号線対の中から1対の信号線を用いて差動信号S1A,S1Bが伝送される。
【0047】
なお、レンズ部62と撮像部610とは、互いに別の筐体に収納される。同様に、照明部63と撮像部610とは、互いに別の筐体に収納される。言い換えれば、補助部61Aは、カメラ61に着脱可能である。
【0048】
図5は、カメラリンク規格に準じて画像データの転送を行なうためのハードウェア構成を説明する図である。
【0049】
図5を参照して、制御部614はマルチプレクサM1とクロック回路CL1とドライバD1〜D5とを含む。カメラI/F21はレシーバR1〜R5とデマルチプレクサDMとクロック回路CL2とを含む。信号ケーブル81は、信号線対83A〜83Eを含む。すなわち、ドライバD1〜D5に対応して信号線対83A〜83Eがそれぞれ設けられるとともに、レシーバR1〜R5がそれぞれ設けられる。
【0050】
カメラリンク規格では、カメラからLVDS(低電圧差動信号)チャネルにより画像データの送信を行なうよう定められる。LVDS方式では1つのデータ(1ビット)を1つの信号線対で差動伝送するため、ノイズの影響を受けにくくなるという利点が得られる。
【0051】
カメラリンク規格では28ビットのパラレルデータを4本のLVDSチャネルを用いて送信する。マルチプレクサM1はクロック回路CL1からのクロック信号に応じて、図4のADC613から送られる画像情報(28ビットデータ)をドライバD1〜D4に分割して出力する。ドライバD1〜D4の各々は、受けたデータ信号を差動信号に変換して出力する。信号線対83A〜83Dの各々では7ビットのデータ信号がシリアル伝送される。
【0052】
このようにカメラリンク規格ではRGB24ビットのカラー画像や12ビットのモノクロ画像のデータ伝送を4対の信号線で実現できる。よってRS−644などの従来規格と比較すると、カメラリンク規格では信号ケーブルに含まれる信号線の数を削減できる。
【0053】
レシーバR1〜R4はドライバD1〜D4からそれぞれ送られる7ビットの信号を受けてシングルエンドの信号に変換する。デマルチプレクサDMはレシーバR1〜R4から出力されるデータをクロック回路CL2からのクロック信号に従って28ビットのパラレルデータとして出力する。なお、クロック回路CL1,CL2でクロック信号を同期させるため、クロック回路CL1からクロック回路CL2にクロック信号が送られる。
【0054】
図6は、図4の命令データCMDの構成を示す図である。
図6を参照して、命令データCMDは機種コードCD1と、動作指示コードCD2と、命令コードCD3と、設定値DT1とを含む。
【0055】
機種コードCD1は、たとえば0,1,2などの値である。機種コードCD1の値が「0」の場合には、図6の命令データCMDはカメラ61を制御するためのデータとして用いられる。機種コードCD1が「1」,「2」の場合には、この命令データCMDはそれぞれレンズ部62と照明部63とを制御するためのデータとして用いられる。この場合、制御部614は命令データCMDに応じた指示信号CMD1を生成して出力する。
【0056】
動作指示コードCD2の値はたとえば0,1のいずれかの値である。たとえば動作指示コードCD2の値が「0」の場合には、制御部614は命令データの受信に応じて処理を直ちに開始するが、動作指示コードCD2の値が「1」のときには、たとえば制御部614は次の命令データを受けるまで待機状態になる。
【0057】
命令コードCD3は、制御部614や動作制御部90が行なう制御を示す。撮像部610に対する制御の場合には、たとえばシャッタ速度の変更が行なわれる。また、レンズ部62に対する制御の場合には、たとえばフォーカス調整やズーム倍率の変更や絞りの開口径の変更などが行なわれる。照明部63に対する制御の場合には、たとえば照明器632の点灯や消灯や光量の変更などが行なわれる。
【0058】
設定値DT1は、上述の命令コードCD3により設定される各種動作の具体的な数値(パラメータ)を示す。
【0059】
図7は、レンズ部62および照明部63の制御に関する処理を説明するフローチャートである。
【0060】
図7を参照して、まずステップS1において、コントローラ20のCPU24は命令データCMDを生成する。続いてステップS2においてカメラI/F21はCPU24から受ける命令データCMDを差動信号S1A,S1Bに変換する。続いてステップS3において、カメラI/F21は差動信号S1A,S1Bを制御部614に対して送信する。差動信号S1A,S1Bの送信によりコントローラ20の処理は終了する。
【0061】
次に、カメラ61の処理を説明する、処理が開始されるとステップS11において制御部614は差動信号(差動信号S1A,S1B)を受信する。ステップS12において、制御部614は差動信号を命令データに変換する。制御部614は変換後の命令データが撮像部610に対する制御を示すか、レンズ部62(または照明部63)に対する制御を示すかのいずれかを図6の機種コードCD1に基づいて判定する。この場合、変換後の命令データはレンズ部62または照明部63に対する制御を示すので、制御部614は指示信号CMD1を図4の動作制御部90に送信する。指示信号CMD1の送信によりカメラ61(制御部614)の処理は終了する。
【0062】
続いてレンズ部62および照明部63(すなわち補助部61A)の処理について説明する。処理が開始されると、ステップS21において、動作制御部90は指示信号CMD1を受信する。次にステップS22において、動作制御部90は指示信号CMD1に基づいてレンズ部62または照明部63を制御する。レンズ部62または照明部63は各種の動作を行なう。このようにしてコントローラ20からレンズ部62または照明部63に対して遠隔制御が行なわれる。
【0063】
図8は、本実施の形態の画像処理装置による画像処理を説明するフローチャートである。
【0064】
図8を参照して、まず、電源投入に応じて図2のコントローラ20および撮像装置60の電源がともにオンする。
【0065】
コントローラ20では電源オンに応じて処理が開始される。ステップS31において、図3のタイミングセンサ70からCPU24にタイミング信号が入力される。次に、ステップS32においてCPU24は撮像装置60に対して撮像指示を送信する。
【0066】
撮像装置60側でも電源オンに応じて処理が開始される。ステップS41において、制御部614はCPU24から撮像指示を受ける。次にステップS42において、制御部614が撮像部610を制御することにより、撮像部610は製造ライン上の製品(被写体)を撮像する。ステップS43において制御部614は撮像部610から受ける画像データ(画像情報IMG)をコントローラ20に送信する。ステップS43での処理が終了すると、撮像装置60における処理が終了する。
【0067】
再びコントローラ20の処理について説明する。ステップS33において、CPU24はカメラI/F21を介して画像データを受信する。次に、ステップS34においてCPU24は、画像処理(所定の処理)を行なう。ステップS34の処理が終了すると、コントローラ20における一連の処理が終了する。
【0068】
図9は、図8のステップS34における画像処理を模式的に説明する図である。
図9を参照して、画像情報MDTは図3のRAM22に予め記憶される画像情報である。画像情報には画像パターンPT1が含まれる。CPU24は撮像装置60から取得した画像情報IMGをこの画像情報MDTと比較する。画像情報IMGは画像パターンPT2を含む。図9において、画像パターンPT2は、製品の傷や汚れ等に起因する画像パターンPT3を含む。画像パターンPT3が存在しなければCPU24は、画像パターンPT2は画像パターンPT1と一致すると判定する。しかし図9の例の場合、CPU24は画像パターンPT2と画像パターンPT1とは一致しないと判定する。なお、ステップS34の画像処理は図9の例に限定されるものではなく、たとえば撮影画像のコントラストや輪郭を補正するものであってもよい。
【0069】
以上のように本実施の形態によれば、コントローラから撮像装置に含まれるレンズや照明に対する遠隔制御をコンパクトな配線を用いて実現することができる。
【0070】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本実施の形態の画像処理装置の適用例を示す図である。
【図2】撮像装置60の構成を概略的に示す図である。
【図3】図2のコントローラ20の構成を示す図である。
【図4】図2のカメラ61および補助部61Aの構成を詳細に示す図である。
【図5】カメラリンク規格に準じて画像データの転送を行なうためのハードウェア構成を説明する図である。
【図6】図4の命令データCMDの構成を示す図である。
【図7】レンズ部62および照明部63の制御に関する処理を説明するフローチャートである。
【図8】本実施の形態の画像処理装置による画像処理を説明するフローチャートである。
【図9】図8のステップS34における画像処理を模式的に説明する図である。
【図10】従来の画像処理装置の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
1 センサシステム、11 ネットワーク回線、20,20A〜20C コントローラ、21 カメラI/F、22 RAM、23 外部I/F、24 CPU、25 フラッシュメモリ、26 グラフィックコントローラ、27 操作I/F、29 内部バス、30,30A〜30C 操作部、40,40A〜40C 表示部、60,60A,60B1,60B2,60C 撮像装置、61 カメラ、61A 補助部、62 レンズ部、63 照明部、70 タイミングセンサ、80,80A〜80C 画像処理装置、81,81A,81B1,81B2,81C,811,812,82 信号ケーブル、83,83A〜83E,84 信号線対、90 制御基板、100 製造ライン、101〜104 製品、610 撮像部、611 撮像素子、612 ドライバ、613 ADC、614 制御部、623 モータ、624 レンズ、631 照明駆動部、632 照明器、CD1 機種コード、CD2 動作指示コード、CD3 命令コード、CL1,CL2 クロック回路、D1〜D5 ドライバ、DM デマルチプレクサ、IMG,MDT 画像情報、M1 マルチプレクサ、PT1〜PT3 画像パターン、R1〜R5 レシーバ、S1〜S43 ステップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置であって、
撮像装置を備え、
前記撮像装置は、
ズーム機能、焦点距離変換機能、および絞り機能の少なくとも1つの機能を有するレンズ部と、
前記レンズ部を介して、被写体を撮像する撮像部と、
前記レンズ部を制御する差動の制御信号を受けて、前記レンズ部が有する前記ズーム機能、前記焦点距離変換機能、および前記絞り機能の少なくとも1つの機能を制御するとともに、前記撮像部で得られた画像情報を、差動の画像信号に変換して出力する制御部とを含み、
前記画像処理装置は、
前記制御部から前記差動の画像信号を受けて所定の処理を行なうとともに、前記レンズ部を制御する制御命令を、前記差動の制御信号に変換して出力する本体部と、
前記差動の画像信号および前記差動の制御信号を伝送する、単数の信号ケーブルとをさらに備え、
前記信号ケーブルは、
前記差動の画像信号を前記制御部から前記本体部に伝送する信号線対と、
前記差動の制御信号を前記本体部から前記制御部に伝送する信号線対とを含む、画像処理装置。
【請求項2】
前記レンズ部と前記撮像部とは、互いに別の筐体に収納され、
前記制御部は、前記差動の制御信号を前記制御命令に変換し、前記制御命令が前記撮像部に対する制御を示す場合には、前記制御命令に基づいて撮像部を制御し、前記制御命令が前記レンズ部に対する制御を示す場合には、前記制御命令に応じた指示信号を生成して前記レンズ部に送信し、
前記レンズ部は、
前記指示信号に応じて前記レンズ部の動作を制御する動作制御部を含む、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
画像処理装置であって、
撮像装置を備え、
前記撮像装置は、
照明部と、
被写体を撮像する撮像部と、
前記照明部を制御する差動の制御信号を受けて、前記照明部を制御するとともに、前記撮像部で得られた画像情報を、差動の画像信号に変換して出力する制御部とを含み、
前記画像処理装置は、
前記制御部から前記差動の画像信号を受けて所定の処理を行なうとともに、前記照明部を制御する制御命令を、前記差動の制御信号に変換して出力する本体部と、
前記差動の画像信号および前記差動の制御信号を伝送する、単数の信号ケーブルとをさらに備え、
前記信号ケーブルは、
前記差動の画像信号を前記制御部から前記本体部に伝送する信号線対と、
前記差動の制御信号を前記本体部から前記制御部に伝送する信号線対とを含む、画像処理装置。
【請求項4】
前記照明部と前記撮像部とは、互いに別の筐体に収納され、
前記制御部は、前記差動の制御信号を前記制御命令に変換し、前記制御命令が前記撮像部に対する制御を示す場合には、前記制御命令に基づいて撮像部を制御し、前記制御命令が前記照明部に対する制御を示す場合には、前記制御命令に応じた指示信号を生成して前記照明部に送信し、
前記照明部は、
前記指示信号に応じて前記照明部の動作を制御する動作制御部を含む、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記信号ケーブルは、カメラリンク規格に準じたケーブルである、請求項1から4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記被写体は、製造現場において搬送される製品である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−166374(P2007−166374A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−361610(P2005−361610)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】