説明

画像処理装置

【課題】複数の原稿を高速で読み取り、読み取った原稿を裁断する画像処理装置において、読取に失敗した原稿を、誤って裁断することがない画像処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】原稿を読み取る原稿読取手段と、読み取った原稿に処理を施す原稿処理手段と、読み取った原稿の内容を視認する視認手段と、読み取った原稿を裁断するかどうかを指示する裁断指示を出す裁断指示手段とを有する。また、上記裁断指示が出された原稿を記憶する記憶手段と、原稿を裁断する裁断手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ、複合機、スキャナ、複写機等の画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
読取装置で原稿を読み取ると、その原稿を読み取った内容は、電子データであるので、読取が修了した原稿の大半は、ユーザにとっては不要である。読取後に、ユーザは、その原稿をゴミ箱に捨てている。
【0003】
近年では、セキュリティの問題が大きく扱われ、ゴミ箱に捨てるよりもシュレッダで裁断することが、情報を守る上で好ましいので、シュレッダを用いる機会や必要性が高い。
【0004】
このように、原稿の読取が終了した後に、別の装置で原稿を裁断する手間を省くために、読取装置に裁断機能を付加し、原稿の読取と裁断とを一連で処理する装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−159729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ADF等の機構が付加されている読取装置で、複数枚の処理を行う場合、読取の終了を待って裁断するか否かを選択した後に、次の原稿を読み取る処理を、1枚ずつ繰り返したのでは、時間がかかるという問題がある。
【0006】
また、読取と裁断とを、連続して自動的に処理する場合、そのうちの数枚に、読取エラーが発生すると、その読取エラーに気付かずに、原稿が裁断されるという問題がある。
【0007】
また、読み取った原稿のデータを、その場で確認せずに、自動的に裁断処理し、後で読取の失敗に気づいた場合、既に原稿が裁断されているので、内容を復元することができないという問題がある。
【0008】
仮に、正常終了の信号を、装置が出力したとしても、原稿がずれていた等、自分が思ったような読取が実行されていないこともあり得、この場合、既に原稿が裁断されているので、正しく読み取ることができないという問題がある。
【0009】
本発明は、複数の原稿を高速で読み取り、読み取った原稿を裁断する画像処理装置において、読取に失敗した原稿を、誤って裁断することがない画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、原稿を読み取る原稿読取手段と、読み取った原稿に処理を施す原稿処理手段と、読み取った原稿の内容を視認する視認手段と、読み取った原稿を裁断するかどうかを指示する裁断指示を出す裁断指示手段とを有する。また、本発明は、上記裁断指示が出された原稿を記憶する記憶手段と、原稿を裁断する裁断手段とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、原稿の読取結果を、LCD等で視認できるので、複数の原稿を高速で読み取り、読み取った原稿を裁断する画像処理装置において、読取に失敗した原稿を、誤って裁断することがないという効果を奏する。したがって、読取に失敗しても、原稿を裁断する前に読取をやり直すことができ、また、不必要なデータを保存することがないという効果を奏する。
【0012】
また、本発明によれば、画像処理装置の中で、原稿の読取と、電子データの視認と、裁断・排紙の処理とを、別々に実行するので、複数枚の原稿を処理する場合でも、処理時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
発明を実施するための最良の形態は、次の実施例である。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の実施例1である画像処理装置100を示すブロック図である。
【0015】
画像処理装置100は、原稿給紙手段1と、原稿読取手段2と、読取処理手段3と、LCD4と、操作パネル5と、処理記憶手段6と、原稿記憶手段7と、裁断指示手段8と、原稿一時保持装置9と、排紙手段10と、裁断手段11とを有する。
【0016】
画像処理装置100は、原稿の読取モードとして、読み取った原稿を裁断する裁断モードと、裁断せずに排紙トレイに排紙する通常モードとの2つのモードを採用している。
【0017】
原稿給紙手段1は、ADFなど、複数枚の原稿を連続して給紙することができる装置である。原稿読取手段2は、画像を読み取る。読取処理手段3は、読み取った画像を電子データ化する。原稿記憶手段7は、読取処理手段3が出力した電子データを保存する。
【0018】
読取処理手段3は、読み取った原稿に処理を施す原稿処理手段の例である。LCD4は、読み取った原稿の内容を表示する表示装置の例である。つまり、LCD4は、読み取った原稿の内容を視認する視認手段の例である。
【0019】
操作パネル5は、読み取った原稿を裁断する裁断モードと、裁断せずに排紙トレイに排紙する通常モードとの2つのモードから、1つのモードを選択する手段である。処理記憶手段6は、読み取った原稿について、操作パネル5を介してユーザが行った指示内容を記憶する。
【0020】
裁断指示手段8は、読み取った原稿を裁断するかどうかを指示する裁断指示を出す裁断指示手段の例である。上記裁断指示の内容は、裁断禁止と裁断許可とである。上記裁断指示が、裁断禁止である場合、上記裁断禁止された原稿を、排紙ローラで保持し、排紙トレイに搬送し、また、上記裁断指示が、裁断許可である場合、上記裁断許可された原稿を、裁断ローラで保持し、上記裁断手段に搬送する。
【0021】
原稿一時保持装置9は、裁断指示が出された原稿を記憶する記憶手段の例である。排紙手段10は、原稿を排紙する。裁断手段11は、原稿を裁断する。裁断手段11は、原稿を裁断する裁断手段の例である。
【0022】
次に、上記実施例の動作について説明する。
【0023】
図2は、上記実施例の動作を示すフローチャートである。
【0024】
S1で、読み取りたい原稿を、画像処理装置100の原稿給紙手段1にセットし、1頁分の原稿が給紙される。そして、モードの選択が必要な場合、ユーザが、操作パネル5を介して、モードを選択し、画像処理装置100の動作をスタートさせると、S2で、1頁分の読み取りが行われる。つまり、原稿読取手段2が画像を読み取り、この読み取った内容を、読取処理手段3が電子データ化し、この電子データは、一旦、原稿記憶手段7に保存される。
【0025】
そして、S3で、全頁分の読み取りが終了したかどうかを判断し、まだ、全頁を読み取っていなければ、S1に戻り、給紙する。全頁の読み取りが終了していれば、S5で、読み取った原稿の内容をLCD4に表示する。つまり、LCD4の画面上に、読み取った画像を、プレビューとして映し出す。
【0026】
このときに、ユーザは、LCD4に表示されている原稿画像に対応する原稿を、裁断するか排紙するかを判断し、この判断結果に応じた指示を、操作パネル5を介して行う。読み取った原稿について、操作パネル5を介してユーザが行った指示内容を、処理記憶手段6に記憶し、原稿記憶手段7に記憶されている画像データに対応する原稿について、原稿毎に、ユーザが行った指示の内容を判断する(S6)。つまり、ユーザが行った裁断指示が、裁断許可であれば、裁断指示手段8が、裁断許可の指示を出し、S7で、裁断が指示された原稿を、裁断ローラに載せて搬送し、裁断手段11が、その原稿を裁断する。
【0027】
裁断指示手段8に伝えられた指示において、裁断禁止が指示された原稿は、S8で、排紙手段10に送られる。この排紙手段10は、原稿を排紙ローラに載せ、排紙トレイまで搬送する。
【0028】
ユーザは、LCD4を見て、画像読取が失敗であると判断すると、その原稿について、裁断禁止の指示を、操作パネル5を介して指示すると、裁断せずに排紙され、原稿読取を再度行うことができる。
【0029】
なお、原稿読取手段2が読み取った読取データは、原稿一時保持装置9内に一度移される。原稿一時保持装置9は、読取データを保存するのではなく、読み取った原稿そのものを一時的に保持する。読み取りが失敗していたら、原稿一時保持装置9から原稿を持ってくる。または、不図示のメカ機構などによって読取位置に戻す。
【実施例2】
【0030】
実施例1は、ユーザがLCD4で読取結果を視認してから、裁断するか否かを判断する実施例である。実施例2は、全ての原稿を読み取り、その原稿を全て裁断しない指示を出すモードや、原稿を読み取らずに、その原稿を全て裁断するという指示を出すモードを実行することができる実施例である。
【0031】
原稿読取手段2が原稿を読み取る前に、操作パネル5を介して、次のモードのうちの1つのモードを設定する。読取データ毎に、LCD4で視認した後に、裁断指示を出す通常モードを設定するようにしてもよい。また、LCD4で視認せずに、原稿を全て排紙するモードを設定するようにしてもよく、このように設定した後に、原稿の読取を開始することによって、読取データ毎に視認せずに、原稿を処理することができる。また、読み取らずに裁断するモードを設定するようにしてもよい。
【0032】
原稿を読み取った後に、全て排紙するモードが選択されると、読取処理手段3が電子データ化した電子データは、内容の確認のためにのみに使われ、その後に裁断するかどうかの選択を操作パネル5で行わずに、原稿記憶手段7が原稿の電子データを保存する。そして、原稿は、自動的に排紙ローラに載せられ、排紙手段10が排紙トレイまで搬送する。この動作を、原稿給紙手段1上にセットされている原稿がなくなるまで繰り返す。
【0033】
原稿を読み取らずに裁断するモードが選択されると、原稿は、原稿読取手段2で処理されることなく、原稿給紙手段1から裁断ローラに載せられ、裁断手段11が裁断する。原稿給紙手段1上にセットされている原稿がなくなるまで、上記一連の動作を繰り返す。以上のように、原稿毎に内容を確認せず、一括で処理することもできる。
【0034】
つまり、上記実施例において、複数枚の原稿を連続で読み取ると同時に、電子データ化した内容をLCD4に表示する。電子データ化した内容を、順番にLCD4で視認した上で、ユーザはその原稿を裁断するか排紙するかを選択し、複数枚の原稿について、裁断する原稿と裁断しない原稿とに分けて同時に処理する。また、読み取ったデータを視認した結果、保存する必要が無い原稿については、保存することなく裁断することもでき、つまり、シュレッダの機能のみを使用することも可能である。
【0035】
上記実施例によれば、原稿の読取結果を、LCDで視認できるので、電子データ化に失敗した原稿を、誤って裁断することがない。したがって、読取に失敗しても、原稿を裁断する前に読取をやり直すことができ、また、不必要なデータを保存することがない。
【0036】
画像処理装置100の中で、原稿の読取と、電子データの視認と、裁断・排紙の処理とを、別々に実行することができるので、複数枚の原稿を処理する場合でも、処理時間を短縮することができる。
【0037】
上記実施例を方法の発明として把握することができる。つまり、上記実施例は、原稿を読み取る原稿読取工程と、読み取った原稿に処理を施す原稿処理工程と、読み取った原稿の内容を表示装置に表示する表示工程とを有する。また、上記実施例は、読み取った原稿を裁断するかどうかを指示する裁断指示を受信する裁断指示受信工程と、上記裁断指示が出された原稿を記憶手段に記憶する記憶工程と、原稿を裁断する裁断工程とを有する画像処理装置の制御方法である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例1である画像処理装置100を示すブロック図である。
【図2】画像処理装置100の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0039】
100…画像処理装置、
1…原稿給紙手段、
2…原稿読取手段、
3…読取処理手段、
4…LCD、
5…操作パネル、
6…処理記憶手段、
7…原稿記憶手段、
8…裁断指示手段、
9…原稿一時保持装置、
10…排紙手段、
11…裁断手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取る原稿読取手段と;
読み取った原稿に処理を施す原稿処理手段と;
読み取った原稿の内容を視認する視認手段と;
読み取った原稿を裁断するかどうかを指示する裁断指示を出す裁断指示手段と;
上記裁断指示が出された原稿を記憶する記憶手段と;
原稿を裁断する裁断手段と;
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記裁断指示が、裁断禁止である場合、上記裁断禁止された原稿を、排紙ローラで保持し、排紙トレイに搬送し、また、上記裁断指示が、裁断許可である場合、上記裁断許可された原稿を、裁断ローラで保持し、上記裁断手段に搬送することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
原稿を読み取る原稿読取工程と;
読み取った原稿に処理を施す原稿処理工程と;
読み取った原稿の内容を表示装置に表示する表示工程と;
読み取った原稿を裁断するかどうかを指示する裁断指示を受信する裁断指示受信工程と;
上記裁断指示が出された原稿を記憶手段に記憶する記憶工程と;
原稿を裁断する裁断工程と;
を有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−187268(P2008−187268A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−16811(P2007−16811)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】