説明

画像処理装置

【課題】1つのパルス発生装置からのパルス信号を複数の対象で使用することに夜誤動作の問題を解消しつつ複数の機器についてパルス発生装置の兼用化を図ることでコストダウンを達成すること。
【解決手段】パルス発光する発光部と受光部とを備え,通過する原稿に光路が遮られることによって生じるパルス信号の有無に基づいて上記原稿の有無を検知する原稿有無検知センサと,パルス発生装置からのパルス信号によって駆動されるパルスモータとを備えた画像処理装置において,前記パルス発生装置からのパルス信号が,少なくとも原稿の検出動作中は,前記原稿有無検知センサ側で使用され,それ以外の期間は,前記パルスモータ側で使用されるように切換えるパルス信号切換え手段を備えてなる画像処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,原稿読取装置を備えた画像処理装置に係り,特に,1つのパルス発生装置を多目的に用いることでコストの低減を図った画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原稿読取装置の一例として,特許文献1に記載された原稿搬送装置がある。この従来公知の原稿搬送装置は,外光にさらされる原稿載置手段上の原稿と対向する位置に発光部および受光部を配置してなる反射型光センサを備えた原稿搬送装置において,上記発光部の点灯・消灯を制御するための駆動パルスによって上記受光部の出力をサンプリングすることでその誤検知を防止する手段と,上記発光部の非駆動時に上記受光部の出力波形を上記サンプリング波形と比較する手段と,を有し,双方の波形が同等であるときは,原稿有りの誤検知がされることを予め自動認識する制御手段を備えたことを特徴とする反射型光センサを備えた原稿搬送装置である。
このような原稿搬送装置では,原稿トレイに載置された原稿と対向する位置に発光部と受光部を持つ反射型原稿有無検知センサを配置し、パルス発生装置からのパルス信号によって上記発光部の点灯/消灯を繰り返すと共に、受光部で反射光を検知し、発光部のパルス信号と受光部の反射光のパルス信号とを比較することにより、原稿の有無を判断するようにしている。
また,上記特許文献1では明らかでないが,原稿を搬送しつつ読み取る上記のような原稿読取装置では,原稿搬送用のモータとしてパルスモータを用いて原稿搬送のタイミングを容易に調整するようにしたものが知られている。
また,原稿読取装置には,原稿の原稿読取位置への送りタイミングを決定するレジストローラが必須であるが,このようなレジストローラを駆動するモータについても,タイミング制御しやすいパルスモータを用いることが多い。
上記のような原稿読取装置では,更に,原稿を搬送しつつ捌くための捌きローラが必須であるが,上記捌きローラによる捌き機能が正常に行われているか否かを検出するために,上記捌きローラにより送られつつある原稿の長さを検知して原稿の重送の有無を検知する原稿重送検知センサ(捌き検知センサ)が設けられていることが多い。
そして上記原稿重送検知センサについても,前記原稿有無検知センサと同様,パルス発生装置からのパルス信号によって上記発光部の点灯/消灯を繰り返すと共に、受光部で反射光を検知し、発光部のパルス信号と受光部の反射光のパルス信号とを比較することにより、原稿の長さを検知し,この検知結果と,前記原稿重送検知センサによって検知された原稿の大きさとを比較することで,原稿の重送の有無を判断するようにしている。
【特許文献1】特開2000−292990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように従来の原稿読取装置では,いろいろな部分にパルス発生装置からのパルス信号を用いて,装置の駆動や物の検知を行っている。従って,1つのパルス発生装置からのパルス信号を用いて複数の装置の駆動や物の検知を行うようにすれば,パルス発生装置の個数を減らすことができ経済的である。しかしながら,1つのパルス発生装置からのパルス信号を同時に複数の対象に用いると誤動作の可能性が高くなり,或いは,不要な動作を生じるといった問題の原因となることが知られており,従来は,1つ1つの装置についてそれぞれパルス発生装置を設けて装置の制御や検知に用いていた。そのため,前記したようにパルス発生装置の数が多くなり不経済であった。
本発明は上記のような事情に鑑み創案されたものであり,原稿読取装置内でパルス信号の使用される機器であっても同時には使用されることのない複数の機器であれば,1つのパルス発生装置からのパルス信号を同時には使用しないので上記のような誤動作といった問題が生じないことに着目し,同時には使用されることのない複数の機器についてパルス発生装置の兼用化を図ることでコストダウンを達成しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために,本発明に係る画像処理装置は,
パルス発光する発光部と受光部とを備え,通過する原稿に光路が遮られることによって生じるパルス信号の有無に基づいて上記原稿の有無を検知する原稿有無検知センサと,
パルス発生装置からのパルス信号によって駆動されるパルスモータとを備えた画像処理装置において,
前記パルス発生装置からのパルス信号が,少なくとも原稿の検出動作中は,前記原稿有無検知センサ側で使用され,それ以外の期間は,前記パルスモータ側で使用されるように切換えるパルス信号切換え手段を備えてなることを特徴とする画像処理装置として構成されている。
具体的には,前記パルスモータが,原稿搬送用のモータであり,前記パルス信号切換え手段が,パルス発生装置からのパルス信号を,原稿の搬送開始以前には,前記原稿有無検知センサ側で使用し,原稿の搬送開始以後は,原稿搬送用モータ側で使用するように切換えるものが考えられる。
本発明を,原稿の原稿読取位置への送りタイミングを決定するレジストローラと,上記レジストローラよりも原稿搬送方向上流側に設けられた原稿フィードスイッチとを更に備えてなる画像処理装置の場合には,前記パルスモータが,レジストローラ駆動用のモータであり,前記パルス信号切換え手段が,パルス発生装置からのパルス信号を,前記原稿フィードスイッチによって原稿の搬送が検知される以前には,前記原稿有無検知センサ側で使用し,原稿の搬送開始以後は,前記レジストローラ駆動用モータ側で使用するように切換えるようにしたものが
考えられる。
さらに本発明は,パルス発光する発光部と受光部とを備え,通過する原稿に光路が遮られることによって生じるパルス信号の有無に基づいて上記原稿の有無を検知する第1及び第2の原稿検知センサを備えた画像処理装置については,第1の原稿検知センサが,原稿トレイ上の原稿の有無を検知する原稿有無検知センサであり,第2の原稿検知センサが,第2の原稿検知センサが,原稿を搬送しつつ捌くための捌きローラにより送られつつある原稿の長さを検知して原稿の重送の有無を検知する原稿重送検知センサである場合に,1つのパルス発生装置からのパルス信号を,少なくとも原稿の検出動作中は,前記原稿有無検知センサ側で使用し,原稿が搬送されつつある時には,前記原稿重送検知センサ側で使用するように前記パルス発生装置からのパルス信号の使途を切換えるパルス信号切換え手段を備えてなるものとして構成することが可能である。
この場合の具体例として,前記原稿重送検知センサが,前記捌きローラより原稿搬送方向下流側に設けられた原稿フィードスイッチよりも更に下流側に設けられている場合に,パルス信号切換え手段が,1つのパルス発生装置からのパルス信号を,前記原稿フィードスイッチが原稿を検知する以前は,前記原稿有無検知センサ側で使用し,前記原稿フィードスイッチが原稿を検知した以後は,前記原稿重送検知センサ側で使用するように前記パルス発生装置からのパルス信号の使途を切換えるものが考えられる。
さらに別の例として,前記原稿重送検知センサが,前記捌きローラより原稿搬送方向下流側に設けられた原稿フィードスイッチよりも上流側に設けられている場合に,パルス信号切換え手段が,1つのパルス発生装置からのパルス信号を,前記前記捌きローラを駆動開始以前は,前記原稿有無検知センサ側で使用し,前記前記捌きローラを駆動開始以後は,前記原稿重送検知センサ側で使用するように前記パルス発生装置からのパルス信号の使途を切換えるものも考えられる。
本発明は,スキャナ,複写機或いはファクシミリ装置に適用可能である。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば,原稿読取装置内でパルス信号の使用される機器であっても同時には使用されることのない複数の機器であれば,1つのパルス発生装置からのパルス信号を同時には使用しないので,パルス発生装置からのパルス信号を同時に複数の対象に使用することによる誤動作といった問題が生じないし,また同時には使用されることのない複数の機器についてパルス発生装置の兼用化を図ることでコストダウンを達成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下添付図面を参照しながら,本発明を画像形成装置の原稿読取装置に適用した実施形態について説明する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は,本発明の一実施形態に係る画像形成装置の制御系統全体を示すブロック図,図2は,スキャナ部の構造を示す即断面図,図3〜5は,それぞれパルス発生装置からのパルスを2つの機器で兼用している状態を示すブロック図である。
【0007】
本発明の実施形態に係る画像形成装置Xは,スキャナ機能,プリント機能,コピー機能及びファクシミリ機能を備えたいわゆる複合機であって,原稿読取装置としてスキャナ部6を備えている。
本発明の対象である画像処理装置は,上記のような複合機としての複写機やファクシミリ以外にも,原稿読取りを目的とするスキャナそのものであってもよい。
まず,図1に示すブロック図を参照しつつ,本発明の実施形態に係る画像形成装置Xの主要部の構成について説明する。
図1に示すように,画像形成装置Xは,メイン制御部1,操作・表示部2,データ記憶部3,画像処理演算部4,NIC5,スキャナ部6,プリント部7及びファクシミリ部8等を備え,それらがバス11を通じて情報の受け渡しが可能な状態で接続されている。
【0008】
前記操作・表示部2は,情報を入力するための操作部2aと情報(画像を含む)を表示する表示部2bとを備えるものである。その操作部2aは,例えば,液晶表示装置の表面に設けられたタッチパネルやシートキー等である。また,前記表示部2bは,例えば,液晶表示装置である。この操作・表示部2により,利用者に対するマンマシンインターフェースが構成されている。
前記データ記憶部3は,原稿から読み取って得られた画像データの処理や,画像データのプリント処理等の際に,必要に応じてその処理データを記憶する読み書き自在な大容量の不揮発メモリである。
【0009】
前記画像処理演算部4は,専用の信号処理回路或いはDSP(Digital Signal Processor)等により構成され,画像データについて各種画像処理を行い,所定の印刷ジョブ記述言語で記述された印刷ジョブを画像形成に用いるビットマップ画像データに変換する処理や,外部装置へ送信する画像データ(例えば,JPEG形式等の所定の符号化がなされた画像データ等)の生成処理等を行うものである。
【0010】
前記NIC5は,例えば標準規格IEEE802.3に準拠したLAN及びインターネット等からなるネットワークを通じて,情報処理端末や電子メールサーバ等の外部装置との間でデータ(スキャナ部6による読み取り画像のデータを含む)の送受信を行う通信インターフェースである。
前記スキャナ部6は,不図示のガラス製の原稿台上に載置された原稿や,不図示のADFにより搬送される原稿から,その原稿に形成された画像をそのカラー(R,G,B)を区別して読み取るカラースキャナである。
本発明の対象技術である上記スキャナ部6については,追って詳述する。
【0011】
前記プリント部7は,前記メイン制御部1によって制御されるいわゆるプリントエンジンであり,不図示の給紙カセットに収容された記録紙を1枚ずつ順次送り出し,所定の画像形成位置を経て排紙トレイまで搬送するとともに,その画像形成位置において,前記スキャナ部6により原稿から読み取られた原稿の画像データや,画像処理演算部4により生成された印刷用の画像データ等に基づいて,記録紙(記録材の一例)に画像を形成(出力)する機器及びその機器を制御するMPU等の部品の集合である。また,プリント部7は,記録紙のおもて面とうら面との両方に画像形成を行う両面印刷処理を実行する機能を備えている。
前記ファクシミリ部8は,NCU(Network Control Unit)やモデム等の通信手段を備え,ダイヤルアップや通信相手(相手局)との間で通信方法を決定するネゴシエーション処理等を行い,電話回線を通じて他のファクシミリ装置とファクシミリデータ(スキャナ部6による読み取り画像データ)の送受信を行うものである。
【0012】
前記メイン制御部1は,前記スキャナ部6,前記プリント部7,前記ファクシミリ部8,前記操作・表示部2,前記データ記憶部3及び前記画像処理演算部4の各々を制御するものである。
例えば,メイン制御部1は,プリント部7に,NIC5を通じて受信される印刷ジョブに基づく印刷処理(画像形成処理)を実行させる。また,メイン制御部1は,ファクシミリ部8に,指定された送信先の電話番号を発呼して送信対象となる画像データを送信するファクシミリ送信処理を実行させる。さらに,メイン制御部1は,スキャナ部6に,原稿からその原稿に形成された画像を読み取るスキャン処理を実行させる。
また,メイン制御部1は,前記スキャナ部6により原稿から読み取った1ページ分又は複数ページ分の画像(以下,ページ画像という)に関する印刷用データ(画像データや印刷ジョブデータなど)に基づいて,そのページ画像を記録紙に出力(画像形成)したときのイメージ画像(プレビュー画像)を,前記表示部2bに表示させる印刷プレビュー処理も実行する。
【0013】
続いて,前記スキャナ部6の構造及び作用について図2を参照して詳しく説明する。
全体を符号6で示す原稿読取装置であるスキャナ部6は,原稿Dを載置する原稿トレイ10と,この原稿トレイ10の下方に設けられた原稿排出トレイ12と,原稿トレイ10上の原稿をUターン状の搬送経路を通って上記原稿排出トレイ12に搬送する複数のローラを備えた搬送部14とを備えて概略構成されている。
このスキャナ部6は,大小2種類の原稿に対応することを前提としたものであり,原稿トレイ10上には,大きいサイズの原稿Dの後端部を検出する発光部と受光部からなる光学的な反射型の原稿有無検知センサ16が設けられている。このように原稿有無検知センサ16は大サイズの原稿Dがある時に受光あり(ON)の状態を検知するためのものであるので,小サイズの原稿が原稿トレイ上に載置された場合には,受光なし(OFF)の状態を検出する。即ち,上記原稿有無検知センサ16からの信号を受ける前記メイン制御部1は,上記原稿有無検知センサ16からの受光有り(ON)の信号を受信した場合には,大サイズの原稿が原稿トレイ10上に供給され,上記原稿有無検知センサ16からの受光なし(OFF)の信号を受信した場合には,小サイズの原稿が供給されているものと判断する。
尚,上記原稿有無検知センサ16は,室内に露出しており,受光部が室内の蛍光灯などの外乱によって誤動作することを防止するために,発光部から所定周波数のパルス光を発するようにし,発光部からのパルス光と受光部で受光したパルス光とのパターンの一致を検出したときにのみ原稿有り(ON)と判断するように構成されている。
【0014】
前記原稿Dを原稿トレイ10から原稿排出トレイ12に搬送する前記搬送部14は,次のように構成されている。
即ち,前記原稿トレイ10の出口部には,これと接する最上層の原稿を送り出す送り出しローラ18が設けられ,前記図1に示した操作・表示部2に設けられたスタートキーが押されることにより回転し,原稿の送りを開始する。
この送り出しローラ18は,本発明における原稿搬送用のモータにより駆動されるものであり,このような原稿搬送用のモータは,回転速度を容易に制御できるようにするため,パルス発生装置からのパルス信号によって回転するパルスモータにより構成されている。
【0015】
上記送り出しローラ18の原稿送り方向下流側には,一対の捌きローラ20が設けられている。捌きローラ20は,下方のローラが固定(或いは,原稿を逆行させる方向にゆっくり回転するもの)であると共に上方のローラが回転し,しかも若干の隙間を介して上下に対向しており,その間を原稿が通過する時,2枚以上の原稿が挟まれると,下部の固定ローラに接する原稿には固定ローラとの接触によるブレーキが作用し,且つ上部の回転ローラに接する原稿には搬送力が作用するので,最上層の原稿のみが送り出されて重なった原稿が捌かれるものである。従って,捌きローラ20の上部側の回転ローラは,前記送り出しローラ18の回転と同時に回転を開始し,所定時間回転を維持した後に回転を停止するように制御される。
【0016】
上記捌きローラ20の原稿送り方向下流側には,更に一対のレジストローラ22が設けられている。レジストローラ22は,前記プリント部7による画像形成動作に連動して原稿を後記する原稿読取位置36に搬送するタイミングを調整するためのもので,上記画像形成動作に連動するタイミングで回転を開始するべく,原稿Dが前記捌きローラ20によって送り出されてレジストローラ22に差し込まれた時点では停止しており,上記画像形成動作に連動するタイミングで回転を開始して,原稿を原稿読取位置36へ搬送する。
このレジストローラ18は,本発明におけるレジストローラ駆動用のモータにより駆動されるものであり,このようなレジストローラ駆動用のモータは,回転速度を正確に制御できるようにするため,パルス発生装置からのパルス信号によって回転するパルスモータにより構成されている。
【0017】
前記送り出しローラ18と前記捌きローラ20との間には,送り出しローラ18によって送り出される原稿を検知して紙詰りの有無を検知するフィードスイッチ24が設けられ,このフィードスイッチ24とレジストローラ22の間には,更に前記捌きローラ20による捌き機能が正しく行われているか否かを検知するための光学的な捌き検知センサ(原稿重送検知センサの一例)28が設けられている。
前記捌き検知センサ28についても,前記原稿有無検知センサ16と同様,室内に露出しており,受光部が室内の蛍光灯などの外乱によって誤動作することを防止するために,発光部から所定周波数のパルス光を発するようにし,発光部からのパルス光と受光部で受光したパルス光とのパターンの一致を検出したときにのみ原稿有り(原稿通過状態)と判断し,原稿通過時間をパルス数をカウントすることで演算して,捌きが正常に行われているか否かを判断するように構成されている。
【0018】
このスキャナ部6では,原稿の搬送路が占める面積を小さく抑制するために,原稿DをUターンさせて搬送するためのUターンローラ26が前記レジストローラ22の原稿搬送方向下流部に設けられている。
上記Uターンローラ26の周囲にはUターンローラ26と同じ周速で回転する複数の搬送用ローラ30,30,…が設けられ,前記レジストローラ22から送り出された原稿DをUターンローラ26の周囲に約180度分巻き付けてUターンさせて,原稿Dの向きを原稿排出トレイ12の方向に指向させる。
【0019】
前記Uターンローラ26の直下には,若干の隙間をあけて上記Uターンローラ26の長手方向に長いコンタクトガラス32と更にその下方のCCD等よりなる原稿読取センサ34が設けられている。従って,上記原稿読取センサ34の光軸が前記Uターンローラ26の周面と交差する位置が前記原稿読取位置36である。
【0020】
なお,レジストローラ22の原稿搬送方向下流側の所定位置には,原稿Dの先端についての厳密な搬送タイミングを検出するためのレジストスイッチ38が設けられていると共に,上記読取位置36の上流側には読取り前タイミングを検出する読取前タイミングスイッチ46が,さらに原稿Dの排出トレイ12への排出を行う排出ローラ40と前記Uターンローラ26との間には,原稿の裏面情報を読み取るCIS42及びCIS前タイミングを検知するスイッチ44が設けられているが,これらは本発明とは直接関係ないので説明を省略する。
【0021】
以上のように,この実施形態に係るスキャナ部6では,多数の部分にパルス発生装置からのパルス信号を用いて,装置の駆動や物の検知を行っている。従って,1つのパルス発生装置からのパルス信号を用いて複数の装置の駆動や物の検知を行うようにすれば,パルス発生装置の個数を減らすことができ経済的である。しかしながら,1つのパルス発生装置からのパルス信号を同時に複数の対象に用いると誤動作の可能性が高くなり,或いは,不要な動作を生じるといった問題の原因となることが知られており,従来は,1つ1つの装置についてそれぞれパルス発生装置を設けて装置の制御や検知に用いていたので,前記したようにパルス発生装置の数が多くなり不経済であった。
この実施形態では上記のような事情に鑑み,原稿読取装置内でパルス信号の使用される機器であっても同時には使用されることのない複数の機器であれば,1つのパルス発生装置からのパルス信号を同時には使用しないので上記のような誤動作といった問題が生じないことに着目し,同時には使用されることのない複数の機器についてパルス発生装置の兼用化を図ることでコストダウンを達成しようとするものである。
【0022】
図3は,このような本発明の基本概念を示すブロック図である。
図3示すように,前記メイン制御部1に設けられた(或いはメイン制御部1の外部に設けられた)パルス発生装置52からの出力経路に切換えスイッチ50(パルス信号切換え手段の一例)が設けられており,この切換えスイッチ50を切換えることによって,切換えスイッチ50を介してメイン制御部1に接続された原稿有無検知センサ16の発光部端子54にパルス発生装置からのパルス信号が伝達される状態と,パルス信号によって駆動される他のデバイスYにパルス信号が伝達される状態とを切換えることができる。
この時,上記他のデバイスYが,原稿有無検知センサ16による原稿検知時点でない時に駆動されるものであれば,前記1つのパルス発生装置52からのパルス信号を,上記原稿有無検知センサ16に使ったり,デバイスYに使ったりする状態を繰り返しても,前記のような誤動作といった問題が生じないので,パルス発生装置52の兼用化によるコストダウンを可能とすることができる。
次に,図4を用いて,パルス発生装置52からのパルス信号を,上記原稿有無検知センサ16と,前記原稿搬送用のモータとで兼用する場合の実施形態について説明する。即ち,この場合,図3における他のデバイスが,原稿搬送用のモータの場合である。
【0023】
この場合,原稿有無検知センサ16は,原稿Dがまだ原稿トレイ10上に載置されている状態で原稿検知を行うものであり,一方,送り出しローラ18を駆動するための原稿搬送用のモータは,原稿Dが原稿トレイ10から送り出される時に駆動されるものであるから,両者は同時には使用されることがないので,パルス信号の兼用化が可能である。
この場合,前記パルス信号の切換えスイッチ50が,パルス発生装置からのパルス信号を,原稿Dの搬送開始以前には,前記原稿有無検知センサ16側で使用し,原稿Dの搬送開始以後は,パルスモータからなる原稿搬送用モータ側で使用するように切換えるものである。この切換え指示は,メイン制御部1によって行われる。具体的なタイミングとしては,メイン制御部1によって送り出しローラ18の回転が開始されるまではパルス信号を原稿有無検知センサ16側に送るように,また送り出しローラ18の回転が開始された後は,送り出しローラ18を駆動するパルスモータ側に送るように切換えるものが考えられる。
【0024】
同様の原稿有無検知センサ16と他のパルスモータとのパルス信号の兼用化の例として,原稿有無検知センサ16と前記レジストローラ22を駆動するパルスモータとでパルス信号を兼用化することが考えられる。
この場合,レジストローラ22が駆動される直前までパルス信号を原稿有無検知センサ16側で使用するようにした例が具体的に考えられる。
即ち,前記パルス発生装置52(図5)から送られるパルス信号を,原稿フィードスイッチ24(図2)によって原稿の搬送が検知される以前には,前記原稿有無検知センサ16側で使用し,原稿の搬送開始以後,即ち,原稿フィードスイッチ24によって原稿の搬送が検知された後は,前記レジストローラ駆動用モータ側で使用するように切換えるものが考えられる。
【0025】
上の実施形態では,図3に示した他のデバイスYがパルスモータの場合であったが,本発明はこのような場合に限定されることはない。例えば,他のデバイスYが原稿有無検知センサ16の使用時期とは別の時期に用いられる他のセンサであってもよい。図5はそのような一例を示すものであり,他のデバイスYとして重送検知センサの一例である前記捌き検知センサ28を用いる場合である。
この場合,一般的には,前記パルス発生装置52からのパルス信号を,少なくとも原稿トレイ10上における原稿の検出動作中は,前記原稿有無検知センサ16(第1の原稿検知センサの一例)側で使用し,原稿が搬送されつつある時には,前記捌き検知センサ28(第2の原稿検知センサの一例)側で使用するように,メイン制御部1の指令によって,切換えスイッチ50が,前記パルス発生装置52からのパルス信号の経路を切換える。
切換えの時期として,前記捌き検知センサ28が,前記捌きローラ20より原稿搬送方向下流側に設けられた原稿フィードスイッチ24よりも更に下流側に設けられている場合には,切換えスイッチ50が,原稿フィードスイッチ24が原稿を検知する以前は,前記原稿有無検知センサ16側で使用し,前記原稿フィードスイッチ24が原稿を検知した後は,前記捌き検知センサ28側で使用するように前記パルス発生装置52からのパルス信号の経路を切換えるものが考えられる。
【0026】
また,別の例としては,前記捌き検知センサ28が,前記捌きローラ20より原稿搬送方向下流側に設けられた原稿フィードスイッチ24よりも上流側に設けられている場合に,切換えスイッチ50が,パルス発生装置52からのパルス信号を,前記前記捌きローラ20のメイン制御部1により決定される駆動開始時点以前には,前記原稿有無検知センサ16側で使用し,前記前記捌きローラ20の駆動開始時点以後は,前記捌き検知センサ28側で使用するように前記パルス発生装置52からのパルス信号の使途を切換えるものが考えられる。
【0027】
これらいずれの場合にも,パルス発生装置52からのパルス信号が,異なる複数の機器で兼用されるので,パルス発生装置の数を従来より減らすことができ,画像形成装置全体のコストダウンに成功しうるものである。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は,原稿読取装置を備えた画像形成装置や原稿読取装置そのもの(スキャナ)に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の制御系統全体を示すブロック図。
【図2】スキャナ部の構造を示す即断面図。
【図3】パルス発生装置からのパルスを2つの機器で兼用している状態を示すブロック図。
【図4】パルス発生装置からのパルスを2つの機器で兼用している状態を示すブロック図。
【図5】パルス発生装置からのパルスを2つの機器で兼用している状態を示すブロック図。
【符号の説明】
【0030】
X :画像形成装置
1 :メイン制御部
6 :原稿読取装置
10 :原稿トレイ
12 :原稿排出トレイ
16 :原稿有無検知センサ
18 :送り出しローラ
20 :捌きローラ
22 :レジストローラ
24 :フィードスイッチ
26 :Uターンローラ
28 :捌き検知センサ(原稿重送検知センサ)
34 :原稿読取センサ
36 :原稿読取位置
38 :レジストスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス発光する発光部と受光部とを備え,通過する原稿に光路が遮られることによって生じるパルス信号の有無に基づいて上記原稿の有無を検知する原稿有無検知センサと,
パルス発生装置からのパルス信号によって駆動されるパルスモータとを備えた画像処理装置において,
前記パルス発生装置からのパルス信号が,少なくとも原稿の検出動作中は,前記原稿有無検知センサ側で使用され,それ以外の期間は,前記パルスモータ側で使用されるように切換えるパルス信号切換え手段を備えてなることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記パルスモータが,原稿搬送用のモータであり,前記パルス信号切換え手段が,パルス発生装置からのパルス信号を,原稿の搬送開始以前には,前記原稿有無検知センサ側で使用し,原稿の搬送開始以後は,原稿搬送用モータ側で使用するように切換えるものである請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
原稿の原稿読取位置への送りタイミングを決定するレジストローラと,上記レジストローラよりも原稿搬送方向上流側に設けられた原稿フィードスイッチとを更に備え,
前記パルスモータが,レジストローラ駆動用のモータであり,前記パルス信号切換え手段が,パルス発生装置からのパルス信号を,前記原稿フィードスイッチによって原稿の搬送が検知される以前には,前記原稿有無検知センサ側で使用し,原稿の搬送開始以後は,前記レジストローラ駆動用モータ側で使用するように切換えるものである請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
パルス発光する発光部と受光部とを備え,通過する原稿に光路が遮られることによって生じるパルス信号の有無に基づいて上記原稿の有無を検知する第1及び第2の原稿検知センサを備え,
第1の原稿検知センサが,原稿トレイ上の原稿の有無を検知する原稿有無検知センサであり,第2の原稿検知センサが,第2の原稿検知センサが,原稿を搬送しつつ捌くための捌きローラにより送られつつある原稿の長さを検知して原稿の重送の有無を検知する原稿重送検知センサである画像処理装置において,
1つのパルス発生装置からのパルス信号を,少なくとも原稿の検出動作中は,前記原稿有無検知センサ側で使用し,原稿が搬送されつつある時には,前記原稿重送検知センサ側で使用するように前記パルス発生装置からのパルス信号の使途を切換えるパルス信号切換え手段を備えてなることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
前記原稿重送検知センサが,前記捌きローラより原稿搬送方向下流側に設けられた原稿フィードスイッチよりも更に下流側に設けられている場合に,
パルス信号切換え手段が,1つのパルス発生装置からのパルス信号を,前記原稿フィードスイッチが原稿を検知する以前は,前記原稿有無検知センサ側で使用し,前記原稿フィードスイッチが原稿を検知した以後は,前記原稿重送検知センサ側で使用するように前記パルス発生装置からのパルス信号の使途を切換えるものである請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記原稿重送検知センサが,前記捌きローラより原稿搬送方向下流側に設けられた原稿フィードスイッチよりも上流側に設けられている場合に,
パルス信号切換え手段が,1つのパルス発生装置からのパルス信号を,前記前記捌きローラを駆動開始以前は,前記原稿有無検知センサ側で使用し,前記前記捌きローラを駆動開始以後は,前記原稿重送検知センサ側で使用するように前記パルス発生装置からのパルス信号の使途を切換えるものである請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像処理装置がスキャナである請求項1〜6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画像処理装置が複写機或いはファクシミリ装置である請求項1〜6に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−10860(P2010−10860A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165316(P2008−165316)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】