説明

画像処理装置

【課題】画像形成装置のチャタリング防止手段の消費電力が必要以上に高くならないようにする。
【解決手段】画像処理装置において、入力手段の操作に応じて生成される操作入力信号の波形を、入力されるクロック信号に基づき整形するチャタリング防止手段1012と、前記操作入力信号のチャタリング時間を操作入力毎に計測する処理手段1013と、チャタリング防止手段1012に入力するクロックを生成及び変更するクロック変更手段1015とを有し、前記計測したチャタリング時間が設定した遅延時間内でかつ所定の時間以下であるとき、前記クロック変更手段1015のクロック周波数をより低い周波数に変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャタリング防止可能な画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像処理装置や画像形成装置において、ユーザのキー入力で動作させる場合に、ユーザのキー入力信号のチャタリングを、チャタリング除去回路を用いて除去することが知られている。
従来のチャタリング除去回路は、典型的には縦続接続された複数個のフリップフロップを有しており、ユーザがスイッチでキー入力の操作を行うと、チャタリング信号(チャタリングが生じた信号)がチャタリング除去回路に入力され、上記除去回路のフリップフロップにクロックを入力させることで、チャタリング信号を遅延させてその波形を整形し、チャタリングの除去を行っている。
ただ、この従来のチャタリング除去回路では、上記クロックは実際にはチャタリングを除去するのに必要な周波数以上の高い周波数であることがあり、その場合には無駄な電力を消費することになる。
【0003】
例えば、複数段のシフトレジスタと、シフトレジスタの遅延時間を任意に設定する可変周波数のクロック供給回路とを備えたチャタリング除去回路が知られている(特許文献1参照)。このチャタリング除去回路は、キーの素材や機構およびその押方によるチャタリング時間の変化に対応して、周波数の設定値をプログラムで修正して、適切な時定数の設定を容易に行なうようにしている。
【0004】
このチャタリング除去回路の発明は、以下で説明する本発明とはチャタリング時間の変化に対応して、適切な時定数の設定を容易に行なう点では類似しているが、上述のとおり、高い周波数を用いたときには無駄な電力を消費してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の発明の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、チャタリング防止回路を用いて、ユーザのキー入力信号の波形を整形する画像処理装置において、チャタリング防止回路の消費電力が必要以上に高くならないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、入力手段の操作に応じて生成される操作入力信号の波形を、入力されるクロック信号に基づき整形するチャタリング防止手段と、前記操作入力信号のチャタリング時間を操作入力毎に計測する処理手段と、チャタリング防止手段に入力するクロックを生成及び変更するクロック変更手段と、を有し、前記計測したチャタリング時間が設定した遅延時間内でかつ所定の時間以下であるとき、前記クロック変更手段のクロック周波数をより低い周波数に変更することを特徴とする画像処理装置である。
請求項2の発明は、請求項1に記載された画像処理装置において、前記処理手段のチャタリング時間の計測は前記クロック信号を用いて行い、前記低い周波数におけるチャタリング時間の計測が不可であるとき、チャタリング時間の計測が可能な高い周波数に変更することを特徴とする画像処理装置である。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載された画像処理装置において、前記クロック変更手段を分周回路で構成したことを特徴とする画像処理装置である。
請求項4の発明は、請求項1又は2に記載された画像処理装置において、前記クロック変更手段をVCOで構成したことを特徴とする画像処理装置である。
請求項5の発明は、請求項1又は2に記載された画像処理装置において、前記クロック変更手段を、前記クロックのデューティ比を変更する手段で構成したことを特徴とする画像処理装置である。
請求項6の発明は、請求項1又は2に記載された画像処理装置において、前記処理手段が前記チャタリング防止手段における遅延時間を設定する手段を備え、前記遅延時間を設定する手段は、スイッチの接点部のメッキの種類に基づき、前記遅延時間の長さを設定することを特徴とする画像処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像処理装置のチャタリング防止回路の消費電力が必要以上に高くならないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態の画像処理装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】キー入力信号と、チャタリング防止回路のクロックCLKと、チャタリング除去信号のタイムチャートであり、図2Aはチャタリング防止回路のフリップフロップのクロックCLKの周波数が高いとき、また、図2Bは同クロックCLKの周波数が低いときにおけるタイムチャートである。
【図3】図2Aを参照して、処理手段が行うチャタリング時間の測定、及びチャタリング防止手段のフリップフロップに入力するクロック周波数の切替処理の処理手順を説明するフロー図である。
【図4】チャタリング防止手段のタイムチャートを示す図である。
【図5】チャタリング防止手段のフリップフロップに入力するクロックCLKの周波数の切替の処理手順を説明するフロー図である。
【図6】チャタリング防止手段のクロックCLKの周波数の分周回路による変更方法について説明する図である。
【図7】チャタリング防止回路のクロックCLKの周波数のVCOによる変更方法について説明する図である。
【図8】チャタリング防止手段のクロックCLKの周波数のVCOによる変更方法について説明する図である。
【図9】チャタリング防止手段のクロックCLKの周波数のデューティ比による変更方法について説明する図である。
【図10】スイッチの接点部のメッキ処理の種類の違いにより、チャタリング除去する場合の一般的な遅延時間を、より細やかに、チャタリング防止手段のフリップフロップに入力するためのクロックCLKの周波数を設定できるようにするための手順を示すフロー図である。
【図11】スイッチメッキの種類と遅延時間の設定値を示す設定テーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について、以下、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態の画像処理装置の内部構成を示すブロック図である。
この画像処理装置は、チャタリング防止手段1012を備えた基板であるコントローラボード1001を有し、ユーザが画像処理装置に情報や指示を入力するための操作部キー入力手段1011が接続されている。
操作部キー入力手段1011は、スイッチであり、ユーザがアプリケーションプログラムを起動するため、この操作部キー入力手段1011の操作を行うと、それによって発生したチャタリング信号(チャタリングが生じた信号)がチャタリング防止手段1012に入力される。
【0010】
チャタリング防止手段1012は、ここでは縦続接続された3個のフリップフロップF(F1〜F3)を有したチャタリング防止回路で、操作部キー入力手段1011からの操作入力信号をいち早く捉えてチャタリング除去信号1102を生成し、処理手段1013へ送出する機能を有している。
【0011】
チャタリング防止手段1012は、図示の例では、3個のフリップフロップF(F1〜F3)を備えているが、フリップフロップFの個数はこれに限らず他の値でもよい。チャタリング防止手段1012で生成されたチャタリング除去信号1102は処理手段1013に入力される。また、チャタリング防止手段1012は、その内部にクロック変更手段1015を備えている。このクロック変更手段1015は、例えば、処理手段1013から出力されたクロック1016を分周して、チャタリング防止手段1012のフリップフロップに入力するためのクロックを生成するものであり、その分周比を変化させることにより、クロック周波数を変化させることができる。
【0012】
図2は、チャタリング計測時間T12、T22が後記の遅延時間T01の時間内である場合において、図2Aはチャタリング防止回路のフリップフロップFのクロックCLK1017の周波数が高いとき、また、図2Bはチャタリング防止回路のフリップフロップFのクロックCLK1017の周波数が低いときにおける、それぞれキー入力信号と、チャタリング防止回路のクロックCLKと、チャタリング除去信号のタイムチャートである。
T01は、ソフトウェアによってチャタリング除去を行う場合の一般的な遅延時間を示し、ここでは50msとしている。チャタリング時間T11、T21は、実際にチャタリングが発生している時間であり、キーの素材や機構およびその押し方により変化する。
【0013】
チャタリング計測時間T12、T22は、チャタリング除去信号1102の最初の立ち上がりエッジから、チャタリング除去信号1102が“H”で安定するまでの時間であり、その測定は、ユーザがスイッチを押してチャタリング信号が発生する毎に処理手段1013(図1)が行う。
キー入力安定時間T112は、遅延時間T01(50ms)から実際のチャタリング時間T11を引いた残りの時間である(なお、クロックCLK1017の周波数が低いときは、この時間を考慮する必要がないので図2Bには表示していない)。
時刻T13は、チャタリング除去信号1102が“H”で安定した時刻である。
【0014】
図3は、図2Aを参照して、処理手段1013が行うチャタリング計測時間T12(T22)の測定、及びチャタリング防止手段1012のフリップフロップF1〜F3に入力するクロック周波数の切替処理の処理手順を説明するフロー図である。
まず、ユーザがキー入力を行うと、チャタリング防止手段1012にキー入力信号1101を入力し(S101)、チャタリング防止手段1012がチャタリング除去信号1102を出力する(S102)。処理手段1013はチャタリング除去信号1102を受けると、チャタリング除去信号1102の立ち上がりエッジを検出し、チャタリング計測時間T12の計測を行うために、チャタリング防止手段1012のクロックCLK1017の立ち上がりエッジの回数の計測を開始する(S103)。
【0015】
その後、処理手段1013が、時刻T13で、チャタリング除去信号1102が“H”で安定していることを検知した時(S104)、処理手段1013がチャタリング防止手段1012のクロックCLK1017の立ち上がりエッジの回数の計測を終了する(S105)。処理手段1013は、上記計測したエッジの回数からチャタリング計測時間T12を算出する(S106)。
【0016】
ここで、チャタリング計測時間T12が遅延時間T01以上であると(S107、YES)、処理手段1013はキー入力されたと判断し、バス1061を通して画像形成装置内部に出力し、画像形成装置は押されたキーに対するアプリケーションを実行、つまりその機能を実行する(S108)。
【0017】
ステップS107で、チャタリング計測時間T12が遅延時間T01未満の場合は(S107、NO)、図2Aに示すように、キー入力安定時間T112の間(つまり、一般的な遅延時間T01が経過する前)でチャタリング防止手段1012のクロックCLK1017の立ち上がりエッジが3回連続している間に、チャタリング除去信号1102の“H”を検知し、チャタリング除去信号1102が“H”で安定したことを検知すると、同様に処理手段1013はキー入力されたと判断し、バス1061を通して画像形成装置内部に出力し、画像形成装置は押されたキーに対するアプリケーションを実行、つまりその機能を実行する。
【0018】
しかし、この場合は、クロックCLK1017の周波数が高いままクロック出力を続けると、背景技術の項で説明したように、エネルギーが浪費されることから、本実施形態ではクロックCLK1017の周波数を低くする処理を行う。
即ち、キーの素材や機構により、実際のチャタリング時間T11が遅延時間T01(50ms)よりも大幅に短い所定値以下(T11がT01の半分以下である)の場合は、キー入力安定時間T112(即ち、実際のチャタリング時間T11が経過してから遅延時間T01経過までの時間)はその分長くなる。
この場合、チャタリング防止手段1012のクロックCLK1017の周波数が高いと、クロックCLK1017の立ち上がりエッジが3回連続している時間が短いため、処理手段1013がキー入力されたと判断した後でも、上記遅延時間T01が経過するまではクロックCLK1017は動作し続けることになる。
【0019】
そこで、キーの素材や機構により、実際のチャタリング時間T11が遅延時間T01よりも極端に短い所定時間以下の場合(例えば、T11がT01の半分以下の場合)、処理手段1013は、クロック変更手段1015にチャタリング防止手段1012のクロックCLK1017を低い周波数に切り替えるように指示し(S109)、クロック変更手段1015がクロック周波数を1/2にすることにより(S110)、チャタリング防止手段1012の不必要な消費電力を低く押さえている。
【0020】
なお、クロック変更手段1015がクロックCLK1017を低い周波数(1/2)に切り替えた場合に、スイッチを1秒間程度長押しするのではなく、50ms程度で瞬間的に押した場合には、クロックの立ち上がりエッジが3回連続している間に、チャタリング除去信号1102が“H”で安定しないときがある。このときは、処理手段1013はチャタリング計測時間T12の計測が不可能となり、チャタリング除去ができないと判断する。
【0021】
次に、その点について説明する。
図4は、上記の場合における画像処理装置のチャタリング防止手段1012のタイムチャートを示す図である。
図示のように、3回目のクロックの立ち上がりのエッジのタイミングでは、チャタリング除去信号1102が“H”ではなく、安定しないことを示している。
【0022】
図5は、この場合における、チャタリング防止手段1012のフリップフロップに入力するクロックCLK1017の周波数の切替の処理手順を説明するフロー図である。
スイッチを1秒間程度長押しするのではなく、50ms程度の瞬間的に押した場合、既に述べたように、3回目のクロックの立ち上がりのエッジのタイミングではチャタリング除去信号1102が安定せず、処理手段1013はエッジ回数の計数を停止せず、したがって、処理手段1013はチャタリング計測時間T12の計測が不可能となり、チャタリング除去ができなくなることがある。
そこで、チャタリング時間(この場合はチャタリング計測時間T22)の計測が不可能な場合は、チャタリング防止手段1012のクロックCLK1017の周波数を高い周波数に切り替える(即ち、例えば、一度低い周波数に切り替えた状態のものを元の高い周波数に戻す)ことにより、処理手段1013がチャタリング計測時間T12の計測を行えるようにする。
【0023】
即ち、ユーザがキー入力を行うと(S201)、チャタリング防止手段1012にそのキー入力信号1101が入力され(S202)、チャタリング防止手段1012はチャタリング除去信号1102を出力する(S203)。チャタリング除去信号1102を受けた処理手段1013は、チャタリング計測時間T12の計測を行うため、チャタリング防止回路(フリップフロップF)のクロックCLK1017の立ち上がりエッジの回数の計測を開始する(S204)。ここで、処理手段1013は、チャタリング除去信号1102が“H”で安定したか否かを検知し(S205)、安定を検知したときは(S205、YES)、時刻T13において、チャタリング除去信号1102が“H”で安定していることを再度検知すると(S206)、処理手段1013は、チャタリング防止回路(フリップフロップF)のクロックCLK1017の立ち上がりエッジの回数の計測を終了する(S207)。
【0024】
続いて、処理手段1013は、計数したエッジの回数からチャタリング計測時間T12を算出する(S208)。ここで、算出したチャタリング計測時間T12が遅延時間T01(ソフトウェアによってチャタリング除去する場合の一般的な遅延時間)以上であるか否かを判断し(S209)、遅延時間T01以上であれば(S209、YES)、ユーザのキー入力があったものと判断して、アプリケーションを起動する(S210)。
ステップS209で算出したチャタリング計測時間T12が遅延時間T01未満で、かつ上記所定時間以下であれば、電力の浪費を抑制するため、処理手段1013がクロック変更手段1015にクロック周波数を1/2にするように指示し(S211)、クロック変更手段1015はクロック周波数を1/2にした後(S212)、アプリケーションを起動する(S210)。
【0025】
ステップS205において、処理手段1013が、チャタリング除去信号1102が“H”で安定したことを検知しないときは(S205、NO)、チャタリング計測時間T22の計測が不可能であるため、処理手段1013がクロック変更手段1015にクロック周波数を2倍にするように指示して(S213)、クロック変更手段1015はクロック周波数を2倍にした後(S214)、再度ステップS202からの処理をやり直す。
【0026】
以上説明したように、本実施形態によれば、チャタリング防止手段のフリップフロップに入力するクロック周波数を低い周波数に切り替えることで、前記処理手段1013が適切にチャタリングの除去ができなくなり、ユーザがキー入力を行ってもキーで指定した画像処理装置の機能を実行しなくなる場合がある。このような場合、チャタリング防止手段1012のフリップフロップFに入力するクロック周波数を元の高い周波数に戻すことでチャタリングの除去をできるようにしている。
また、算出したチャタリング計測時間T12が遅延時間T01未満のときは、処理手段1013がクロック変更手段1015にクロック周波数を小さくする(例えば1/2)にするように指示し、クロック変更手段1015はクロック周波数を小さく(1/2)したことで、無駄な電力消費を削減することができる。
なお、クロック周波数をどの程度小さくするか、或いは大きくするかは、チャタリング時間の計測の可/不可及び消費電力との関係を考慮して任意に決定すればよい。
【0027】
図6は、チャタリング防止手段1012のクロックCLK1017の周波数の分周回路による変更方法について説明する図である。
クロック変更手段1015は、処理手段1013から出力されたクロック1016を分周して、チャタリング防止手段1012のフリップフロップに入力するためのクロックCLK1017を生成するものであり、その分周比を変化させることにより、クロック周波数を変化させることができる。
【0028】
図6Bは、図6Aに示すチャタリング防止手段1012のフリップフロップに入力するためのクロックCLK1017を、低い周波数(周波数を1/2)に切り替えた時のタイムチャートであり、図6CはクロックCLK1017を、更に低い周波数(周波数を1/4)に切り替えた時のタイムチャートである。
このように分周回路を用いることにより、クロック変更手段1015をデジタル回路で容易に構成することができる。
【0029】
図7は、画像形成装置のチャタリング防止回路のクロックCLK1017の周波数のVCO(電圧制御発振器:Voltage Controlled Oscillator)による変更方法について説明する図である。
クロック変更手段1015には、処理手段1013から出力されたクロック1016と、処理手段1013から出力された周波数の倍率情報1018を入力し、チャタリング防止手段1012のフリップフロップに入力するためのクロックCLK1017を生成する。
クロック変更手段1015内部は、VCO(電圧制御発振器:Voltage Controlled Oscillator)で構成され、任意の周波数のクロックCLK1017を生成することができる。
【0030】
図8は、チャタリング防止手段1012のクロックCLK1017の周波数のVCOによる変更方法について説明する図である。
即ち、図8Bは、図8Aに示すチャタリング防止手段1012のフリップフロップFに入力するためのクロックCLK1017を、低い周波数(周波数を1/2)に切り替えた時のタイムチャートであり、図8CはクロックCLK1017を、更に低い周波数(周波数を1/3)に切り替えた時のタイムチャートである。
このようにクロック変更手段1015をVOCで構成することで、クロック変更手段1015から出力するクロックの周波数を任意に設定することができる。
【0031】
図9は、チャタリング防止手段1012のクロックCLK1017の周波数のデューティ比による変更方法について説明する図である。
クロック変更手段1015の構成図は図7と同じであるが、信号線の意味が若干異なるので、図7を利用して構成を説明する。
この場合は、処理手段1013から出力されたクロック1016と、処理手段1013から出力された周波数とデューティ比の倍率情報をクロック変更手段1015に入力し、クロック変更手段1015は、チャタリング防止手段1012のフリップフロップFに入力するためのクロックCLK1017を生成する。
【0032】
図9Aは、チャタリング防止手段1012のフリップフロップに入力するためのクロックCLK1017を、低い周波数(周波数を1/2および1/4)にし、デューティ比を1/4および1/8に切り替えた時のタイムチャートである。
即ち、図9Bは、図9Aに示すチャタリング防止手段1012のフリップフロップFに入力するためのクロックCLK1017を、低い周波数(周波数を1/2)にし、デューティ比を1/4に切り替えた時のタイムチャートであり、図9CはクロックCLK1017を、更に低い周波数(周波数を1/4)にし、かつデューティ比を1/8に切り替えた時のタイムチャートである。
このように、クロックの周波数成分の中でもっとも主要となる周波数成分の周波数を同じに維持したまま、デューティ比をより小さなものに切り替えることにより、チャタリング防止手段1012の消費電力を低くすることができる。
【0033】
実際のチャタリング時間T11は、キーの素材や機構およびその押し方により変化する。
図10は、スイッチの接点部のメッキ処理の種類の違いにより、チャタリング除去する場合の一般的な遅延時間T01を、より細やかに、チャタリング防止手段1012のフリップフロップに入力するためのクロックCLK1017の周波数を設定できるようにするための手順を示すフロー図である。
予め図11に示すスイッチメッキの種類と遅延時間T01の設定値を示す設定テーブルを用意しておき、ユーザからの設定により、画像形成装置の電源ON時に遅延時間T01を設定する。
【0034】
即ち、電源をONした後(S301)、操作画面から、スイッチのメッキの種類を選択し(S302)、処理手段1013(の設定手段)が図11に示す設定テーブルから遅延時間T01に設定する値を読み出して設定する(S303)。その後はユーザによるキー入力待ちとなる(S304)。
以上の構成とすることで、処理手段1013の設定手段が、スイッチの接点部のメッキ処理の違い(図示例では、金メッキ、銀メッキ、スズメッキ)により、チャタリング除去する場合の一般的な遅延時間T01の長さ(それぞれ45ms、50ms、55ms)を設定し、より細やかに、チャタリング防止手段1012のフリップフロップに入力するためのクロックCLK1017の周波数を設定できるようにすることができる。
【符号の説明】
【0035】
1001・・・コントローラボード、1011・・・操作部キー入力手段、1012・・・チャタリング防止手段、1015・・・クロック変更手段、1016・・・クロック、1017・・・クロックCLK、1101・・・キー入力信号、1013・・・処理手段。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0036】
【特許文献1】特開平5−53703号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力手段の操作に応じて生成される操作入力信号の波形を、入力されるクロック信号に基づき整形するチャタリング防止手段と、
前記操作入力信号のチャタリング時間を操作入力毎に計測する処理手段と、
チャタリング防止手段に入力するクロックを生成及び変更するクロック変更手段と、を有し、
前記計測したチャタリング時間が設定した遅延時間内でかつ所定の時間以下であるとき、前記クロック変更手段のクロック周波数をより低い周波数に変更することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像処理装置において、
前記処理手段のチャタリング時間の計測は前記クロック信号を用いて行い、前記低い周波数におけるチャタリング時間の計測が不可であるとき、チャタリング時間の計測が可能な高い周波数に変更することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された画像処理装置において、
前記クロック変更手段を分周回路で構成したことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された画像処理装置において、
前記クロック変更手段をVCOで構成したことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載された画像処理装置において、
前記クロック変更手段を、前記クロックのデューティ比を変更する手段で構成したことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載された画像処理装置において、
前記処理手段が前記チャタリング防止手段における遅延時間を設定する手段を備え、
前記遅延時間を設定する手段は、スイッチの接点部のメッキの種類に基づき、前記遅延時間の長さを設定することを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−193108(P2011−193108A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55971(P2010−55971)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】