説明

画像処理装置

【課題】複数の制御ブロックが独立に共通の画像処理ブロックを制御可能になされた画像処理装置において、画像処理時間を短縮することが可能な画像処理装置を提供すること。
【解決手段】CPU101と画像処理部104との通信専用のレジスタである設定レジスタ1042a、結果格納レジスタ1043aと、シーケンサ102と画像処理部104との通信専用のレジスタである設定レジスタ1042b、結果格納レジスタ1043bを画像処理装置100に持たせる。そして、CPU101が歪補正範囲算出部1041を制御していない期間中にシーケンサ102が歪補正範囲算出部1041を使用するとともに、シーケンサ102が歪補正範囲算出部1041を制御していない期間中にCPU101は歪補正範囲算出部1041を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置における処理時間の高速化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1フレームの画像データを複数のブロックに分割しブロックに分割した画像データを小容量のメモリを介して直列的に接続された複数の画像処理ブロックに順次入力して処理する画像処理装置が、例えば特許文献1において提案されている。この特許文献1のような構成とすることで、SDRAM等のフレームメモリからの画像データの読み出しと書き込みとをそれぞれ1回としつつ、複数の画像処理を行うことが可能である。
【0003】
特許文献1の構成では、ブロックに対する処理が完了する毎に、制御ブロックであるCPUに対して処理完了の割り込み信号が発行される。このような構成の場合、CPUは、割り込み信号が発行される毎に次のブロックに対する処理を行わなければならないため、CPUの負荷が大きくなりやすい。このため、特許文献2においては、CPUの負荷を軽減するための手段としてCPUとは別の制御ブロックであるシーケンサを用いるようにしている。この特許文献2では、1フレームの途中のブロックに対する処理をシーケンサによって制御することで、CPUの負荷を軽減することが可能である。
また、特許文献3では画像処理として歪補正処理を行う場合に、出力画像範囲から歪補正を行う入力画像範囲を算出する構成(歪補正範囲算出部)が開示されているが、シーケンサが歪補正処理ブロックを制御する場合には、1フレームの画像を複数に分割した各ブロックに歪補正範囲算出部を制御することが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−312327号公報
【特許文献2】特開2005−78608号公報
【特許文献3】特開2005−44098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図7はブロック分割された画像の従来の歪補正処理のフローチャートを示したものである。まず、最初のブロックについて歪補正範囲算出部で範囲を求め、その結果を歪補正部にレジスタ設定する。設定されたレジスタ値で歪補正処理を実行するのと平行して、次のブロックの歪補正範囲を歪補正範囲算出部で求める。これを画像全体の処理が完了するまで繰り返す。シーケンサでこの処理を実施する場合、最初のブロックについて歪補正範囲を算出する部分はCPUが制御し、次のブロックの歪補正範囲を繰り返し求める部分はシーケンサで制御する。複数フレームを連続で処理する場合、シーケンサが現在のフレーム処理を制御するために歪補正範囲算出部を使用するのと同時に、CPUが次のフレームの最初のブロックの歪補正範囲を求めるために歪補正範囲算出部を使用することがあり、この場合シーケンサとCPUで歪補正範囲算出部を排他的に使用する事になる。このとき、CPUが歪補正範囲算出部を動作させて完了割込み待ちの状態にあるときに、より優先度の高い別のタスクがCPUに割り込んだり、歪補正範囲算出部の完了割込み処理に時間がかかったりすると、その間歪補正範囲算出部はCPUに占有されることになる。するとシーケンサが歪補正範囲算出部を使用するのに待ち時間が発生することになり、結果として現在のフレーム処理が遅れて画像処理時間が延びてしまうことになる。
このようにシーケンサとCPUで共通の画像処理ブロックを排他利用する場合には、CPUの割込み待ち時間によって画像処理時間が延びてしまう。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、複数の制御ブロックが独立に共通の画像処理ブロックを制御可能になされた画像処理装置において、画像処理時間を短縮することが可能な画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様の画像処理装置は、入力された設定データに基づいて所定の処理を行う画像処理ブロックと、前記画像処理ブロックにおける前記所定の処理を独立して制御する複数の制御ブロックと、前記複数の制御ブロックの各々が前記画像処理ブロックとデータ通信するための複数のレジスタセットとを具備し、何れかの前記制御ブロックが前記画像処理ブロックにおける前記所定の処理を制御している際に、残りの前記制御ブロックが各々対応するレジスタセットを用いて前記画像処理ブロックとデータ通信することを特徴とする。
【0008】
また、上記の目的を達成するために、本発明の第2の態様の画像処理装置は、複数の制御ブロックと、該複数の制御ブロックが共通にアクセス可能な画像処理ブロックとを有する画像処理装置において、何れかの前記制御ブロックは、バスラインを介することなく前記画像処理ブロックにアクセスするとともに、該アクセスを行う際には前記画像処理ブロックに対して開始トリガ信号を発行し、前記画像処理ブロックは、前記開始トリガ信号に応答して所定の処理を実行するとともに、該所定の処理の終了時に前記開始トリガを発行した前記制御ブロックに対して割り込み信号を発行し、前記開始トリガ信号と前記割り込み信号とに基づいて、前記画像処理ブロックへの排他的制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の制御ブロックが独立に共通の画像処理ブロックを制御可能になされた画像処理装置において、画像処理時間を短縮することが可能な画像処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像処理装置の構成を示す図である。
【図2】ブロック毎の歪補正処理について説明するための図である。
【図3】本発明の一実施形態における画像処理装置の動作について示すタイミングチャートである。
【図4】CPUが歪補正処理を制御する場合のフローチャートである。
【図5】シーケンサが歪補正処理を制御する場合のフローチャートである。
【図6】開始トリガ信号を歪補正範囲算出部において保持する場合の変形例の構成を示す図である。
【図7】従来の歪補正処理の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置を有する画像処理システムの構成を示す図である。図1に示す画像処理システムは、画像処理装置100と、バスライン200と、撮像部300と、フレームメモリ400と、表示部500とを有している。
【0012】
画像処理装置100は、フレームメモリ300に格納された1フレーム分の画像データを複数のブロックに分割し、分割したブロック毎に所定の画像処理を実行する。なお、図1に示す画像処理装置100の構成は、本実施形態における画像処理装置を、フレームメモリ300に格納されている画像データに発生している歪みを補正するための歪補正処理装置に適用した場合の構成を示している。この画像処理装置100の詳細については後述する。
【0013】
バスライン200は、画像処理装置100において発生したデータやフレームメモリ300に格納された画像データ等の各種のデジタルデータを転送するための転送路である。このバスライン200には、画像処理装置100、撮像部300、フレームメモリ400、表示部500が接続されている。そして、画像処理装置100と、撮像部300と、フレームメモリ400と、表示部500とはバスライン200を介してデータ通信可能になされている。
【0014】
撮像部300は、被写体を撮像して画像データを得る。フレームメモリ400は、撮像部300によって得られた画像データ等の各種のデジタルデータを格納する。表示部500は、画像処理装置100における画像処理の結果としてフレームメモリ400に格納された画像データに基づく画像を表示する。
【0015】
次に、画像処理装置100の詳細について説明する。図1に示す画像処理装置100は、CPU101と、シーケンサ102と、CPUインターフェース(I/F)103と、画像処理部104とを有している。
【0016】
制御ブロックとしての機能を有するCPU101は、画像処理部104における分割したブロック毎の歪補正処理に関する制御、撮像部300の動作制御、表示部500の動作制御を含む画像処理システムの全体の動作を統括的に制御する。CPU101とは異なる制御ブロックとしての機能を有するシーケンサ102は、CPU101の動作サイクルを監視しつつ、画像処理部104における分割したブロック毎の歪補正処理に関する制御を、バスライン200を介さずに行う。
【0017】
本実施形態において、CPU101及びシーケンサ102は、ブロック毎の歪補正処理の開始時に画像処理部104内の設定レジスタの設定を行い、設定レジスタの設定後に開始トリガ信号を発行して画像処理部104内の歪補正範囲算出部を制御する。また、歪補正範囲算出部による歪補正範囲の算出後は、結果格納レジスタに保持されたレジスタ値を参照し、参照したレジスタ値を画像処理部104内の歪補正部に入力し、歪補正処理を開始させる。
【0018】
また、本実施形態におけるシーケンサ102は保持ブロックとしての開始トリガレジスタ102aを有している。この開始トリガレジスタ102aはCPU101によって発行された開始トリガ信号を保持しておくためのレジスタである。
【0019】
CPUI/F103は、CPU101がシーケンサ102及び画像処理部104と通信するためのインターフェースとして機能する。また、CPUI/F103は、シーケンサ102がCPU101及び画像処理部104と通信するためのインターフェースとしても機能する。
【0020】
画像処理部104は、CPU101又はシーケンサ102の制御に従ってバスライン200を介してフレームメモリ400から読み出した画像データに対する歪補正処理を行う。この画像処理部104は、歪補正範囲算出部1041と、設定レジスタ1042a,1042bと、結果格納レジスタ1043a,1043bと、セレクタ1044a,1044bと、歪補正部1045とを有している。
【0021】
画像処理ブロックとしての機能を有する歪補正範囲算出部1041は、設定レジスタ1042a又は設定レジスタ1042bに設定されている設定データに従って、ブロック毎の歪補正範囲を算出する。一般に、ブロック毎の歪補正処理においては、図2に示すような、歪補正後に得られる矩形ブロックを設定しておき、この矩形ブロックの歪補正結果が得られる画像データの入力範囲を歪補正範囲として算出する。歪補正後の各ブロックの座標と歪補正前の各ブロックの座標とには対応関係があるので、予め歪補正後の各ブロックの範囲を示す設定データを設定しておけば、そのブロックの範囲に対応した歪補正範囲を算出することができる。なお、歪補正後の矩形ブロックの範囲を設定するための設定データは、ブロックの開始座標、縦幅、横幅を含み、CPU101又はシーケンサ102によって設定される。
【0022】
本実施形態においては、1フレーム分の画像データにおいて最初に処理すべきブロック(例えば左上端のブロックであるブロック1)に対応した設定データをCPU101によって設定し、残りのブロックに対応した設定データをシーケンサ102によって設定する。このような構成とすることにより、CPU101が全てのブロックに対する歪補正処理を制御する必要がないので、CPU101の負荷を軽減することが可能である。
【0023】
設定レジスタ1042aと結果格納レジスタ1043aとは、CPU101が歪補正範囲算出部1041とデータ通信するためのレジスタセットである。設定レジスタ1042aは、CPU101によって設定された設定データを保持する。結果格納レジスタ1043aは、CPU101によって設定された設定データに基づく歪補正範囲の算出結果データ(即ち、歪補正範囲データ)を保持する。
【0024】
設定レジスタ1042bと結果格納レジスタ1043bとは、シーケンサ102が歪補正範囲算出部1041とデータ通信するためのレジスタセットである。設定レジスタ1042bは、シーケンサ102によって設定された設定データを保持する。結果格納レジスタ1043bは、シーケンサ102によって設定された設定データに基づく歪補正範囲の算出結果データ(即ち、歪補正範囲データ)を保持する。
【0025】
上述したように、本実施形態においては、設定レジスタ1042aと結果格納レジスタ1043aとがCPU101専用であり、設定レジスタ1042bと結果格納レジスタ1043bとがシーケンサ102専用である。このように構成しておくことにより、CPU101とシーケンサ102の何れかによって設定された設定データが他方の設定の際に上書きされることがなく、また、CPU101とシーケンサ102の何れかによる歪補正算出部1041の制御に従って保持された結果データが、他方による歪補正算出部1041の制御の際に上書きされることがない。
【0026】
セレクタ1044aは、シーケンサ102から入力される開始トリガ信号に従って、設定レジスタ1042aと設定レジスタ1042bとの何れかを選択する。セレクタ1044bは、シーケンサ102から入力される開始トリガ信号に従って、結果格納レジスタ1043aと結果格納レジスタ1043bとの何れかを選択する。
【0027】
本実施形態では、CPU101で発行される開始トリガ信号とシーケンサ102で発行される開始トリガ信号とは異なる論理レベルを有し、セレクタ1044a及びセレクタ1044bにおいて開始トリガ信号の識別を行えるようになっている。そして、セレクタ1044aは、入力された開始トリガ信号がCPU101で発行されたものである場合に設定レジスタ1042aを選択し、入力された開始トリガ信号がシーケンサ102で発行されたものである場合に設定レジスタ1042bを選択する。また、セレクタ1044bは、入力された開始トリガ信号がCPU101で発行されたものである場合に結果格納レジスタ1043aを選択し、入力された開始トリガ信号がシーケンサ102で発行されたものである場合に結果格納レジスタ1043bを選択する。
【0028】
歪補正部1045は、CPU101によって参照された結果格納レジスタ1043aの値(歪補正範囲)又はシーケンサ102によって参照された結果格納レジスタ1043bの値(歪補正範囲)に従った範囲の画像データを、バスライン200を介してフレームメモリ400から読み出して歪補正処理を行う。
【0029】
次に、図1に示す画像処理装置100の動作について詳述する。図3は、本実施形態における画像処理装置100の動作について示すタイミングチャートである。また、図4及び図5は、本実施形態における画像処理装置100の動作について示すフローチャートである。なお、図3においては、例えば動画撮影や連写撮影によって得られる2フレーム分の画像データに対する歪補正処理に関する動作を示している。
【0030】
上述したように、各フレームの最初のブロックであるブロック1の歪補正処理はCPU101が制御する。この場合は図4に示す制御がなされる。この際、CPU101は、CPUI/F103を介してブロック1の範囲を示す設定データを設定レジスタ1042aに設定する(ステップS101)。その後、CPU101は歪補正範囲算出部1041を動作させるべく、CPUI/F103を介して開始トリガ信号を発行する。
【0031】
シーケンサ102は、CPU101が開始トリガ信号を発行したか否かを判定しており(ステップS102)、CPU101が開始トリガ信号を発行するまで待機する。ステップS102において、CPU101が開始トリガ信号を発行すると、シーケンサ102は、CPUI/F103を介してCPU101により発行された開始トリガ信号を開始トリガレジスタ102aに保持する(ステップS103)。その後、シーケンサ102は、自身が歪補正範囲算出部1041を使用中、即ちシーケンサ102自身が歪補正範囲算出部1041を制御しているか否かを判定する(ステップS104)。ステップS104の判定において、自身が歪補正範囲算出部1041を使用中である場合に、シーケンサ102は、ステップS104の判定を行いつつ待機する。ステップS104の判定において、自身が歪補正範囲算出部1041を使用中でない場合に、シーケンサ102は、開始トリガレジスタ102aに保持していた開始トリガ信号を出力する(ステップS105)。この開始トリガ信号に応答して、歪補正範囲算出部1041は、セレクタ1044aを介して設定レジスタ1042aに設定されている設定データを読み出し、この読み出した設定データを用いてブロック1に対応した歪補正範囲を算出する。この期間中、図3に示すように、歪補正範囲算出部1041がCPU101によって使用中、即ちCPU101が歪補正範囲算出部1041を制御している期間となる(ステップS106)。
【0032】
歪補正範囲算出部1041における歪補正範囲の算出後、歪補正範囲算出部1041は、歪補正範囲の算出結果データを、セレクタ1044bを介して結果格納レジスタ1043aに保持する(ステップS107)。算出結果データを保持した後、歪補正範囲算出部1041は、CPUI/F103を介してCPU101に割り込み信号を発行する(ステップS108)。この割り込み信号に応答して、CPU101はCPUI/F103を介して結果格納レジスタ1043aに保持されている算出結果データを参照し、参照した算出結果データをCPUI/F103を介して歪補正部1045に入力する(ステップS109)。この算出結果データの入力に応答して、歪補正部1045によるブロック1に対する歪補正処理が実行される。また、算出結果データを歪補正部1045に入力した後、CPU101は、シーケンサ102を動作させるべく、CPUI/F103を介してシーケンサ102に開始トリガ信号を発行する。この開始トリガ信号に応答して、シーケンサ102はバスライン200を介してフレームメモリ400に格納されたシーケンスコードを読み出し、ブロック2以後の歪補正処理を実行する。この場合は図5に示す制御がなされる。
【0033】
なお、歪補正範囲算出部1041から割り込み信号が発行された時点で、CPU101が画像処理装置100よりも優先度の高い他のブロックの制御を行っている場合があり得る。このような場合には、優先度の高い他のブロックの制御が終了するまでの時間である割り込み処理応答時間の経過後に、結果格納レジスタ1043aに保持されている算出結果データが参照される。
【0034】
図5において、シーケンサ102は、現在の処理対象となっているブロックの範囲を示す設定データをCPUI/F103を介して設定レジスタ1042bに設定する(ステップS201)。その後、シーケンサ102は、歪補正範囲算出部1041がCPU101によって使用中、即ちCPU101が歪補正範囲算出部1041を制御している期間であるか否かを判定する(ステップS202)。ステップS202において、歪補正範囲算出部1041がCPU101によって使用中である場合に、シーケンサ102は、ステップS202の判定を行いつつ待機する。ステップS202の判定において、歪補正範囲算出部1041がCPU101によって使用中でない場合に、シーケンサ102は、開始トリガ信号を出力する(ステップS203)。これを受けて、歪補正範囲算出部1041は、セレクタ1044aを介して設定レジスタ1042bに設定されている設定データを読み出し、現在の処理対象となっているブロックに対応した歪補正範囲を算出する。この期間中、図3に示すように、歪補正範囲算出部1041はシーケンサ102によって使用中(図3のSEQ)となる(ステップS204)。
【0035】
歪補正範囲算出部1041における歪補正範囲の算出後、歪補正範囲算出部1041は、セレクタ1044bを介して歪補正範囲の算出結果データを結果格納レジスタ1043bに保持する(ステップS205)。算出結果データを保持した後、歪補正範囲算出部1041は、CPUI/F103を介してシーケンサ102に割り込み信号を発行する(ステップS206)。この割り込み信号に応答して、シーケンサ102は結果格納レジスタ1043bに保持されている算出結果データをCPUI/F103を介して参照し、参照した算出結果データをCPUI/F103を介して歪補正部1045に入力する(ステップS207)。これにより、歪補正部1045による歪補正処理が実行される。このようなステップS201〜ステップS207の動作が1フレーム分のブロックの画像データに対する処理が終了するまで繰り返される。
【0036】
以上説明したように、本実施形態においては、CPU用の設定レジスタ及び結果格納レジスタとシーケンサ用の設定レジスタ及び結果格納レジスタとをそれぞれ持たせている。このため、ブロック1の歪補正処理以外の期間であっても、シーケンサ102が歪補正範囲算出部1041を制御していない期間中においては、CPU101が歪補正範囲算出部1041を使用することが可能である。したがって、図3に示すように、シーケンサ102が歪補正範囲算出部1041を制御している期間中にCPU101が設定レジスタ1042aの設定を行っておき、その後のシーケンサ102が歪補正範囲算出部1041を制御していない期間を利用して次のフレームのブロック1に対応した歪補正範囲を算出してこの算出結果を結果格納レジスタ1043aに格納しておくようにすれば、次のフレームにおいては、結果格納レジスタ1043aの値を参照するだけでブロック1における歪補正処理を行うことが可能である。このようにCPU101とシーケンサ102とで歪補正範囲算出部1041へのアクセスを排他的に行うことにより、画像処理時間を大幅に短縮することが可能である。
【0037】
なお、上述した実施形態では、CPU101で発行された開始トリガ信号とシーケンサ102で発行された開始トリガ信号とを排他的に歪補正範囲算出部1041に入力するために、CPU101で発行された開始トリガ信号を開始トリガレジスタ102aに保持するようにしている。これに限らず、例えば図6のような構成としても歪補正範囲算出部1041への排他的なアクセスを可能とすることができる。なお、図6は、図1に対する変更部分のみを示している。図6に示す構成は、歪補正範囲算出部1041に、CPU101で発行された開始トリガ信号を保持するための保持ブロックとしての開始トリガバッファ1041aと、シーケンサ102で発行された開始トリガ信号を保持するための保持ブロックとしての開始トリガバッファ1041bとを持たせたものである。図6に示す構成において、歪補正範囲算出部1041は、開始トリガバッファ1041aと開始トリガバッファ1041bとで先に開始トリガ信号が保持されたほうに対応した設定レジスタを用いて歪補正範囲を算出する。このような図6に示す構成を用いても上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0038】
また、上述した実施形態においては、画像処理装置100の例として歪補正処理装置を例示している。しかしながら、本実施形態の技術は歪補正処理装置に限らず、複数の制御ブロックが共通の画像処理ブロックを制御する種々の画像処理装置に対して適用可能である。
【0039】
さらに、上述した実施形態では、制御ブロックとして、CPU101と、シーケンサ102とを例示している。しかしながら、本実施形態の技術は例えば2つのCPUによって1つの画像処理ブロックを制御する場合等、複数の制御ブロックで共通の画像処理ブロックを制御する種々の画像処理装置に対して適用可能である。また、制御ブロックの数も2つに限るものではない。例えば、3つの制御ブロックで共通の画像処理ブロックを制御する画像処理装置の場合には、設定レジスタと結果格納レジスタとを3つずつ持たせれば良い。このような構成としても、ある制御ブロックが画像処理ブロックを制御している期間中に、残りの制御ブロックに設定レジスタの設定を行わせることで画像処理時間の短縮を図ることができる。
【0040】
また、上述した実施形態ではCPU101とシーケンサ102とが共通のバスライン200を経由して画像処理部104内のレジスタセットと通信可能な例を示している。これに対し、CPU101と設定レジスタ1042a及び結果格納レジスタ1042a、シーケンサ102と設定レジスタ1042b及び結果格納レジスタ1042bをそれぞれ直接接続するようにしても良い。
【0041】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0042】
さらに、上記した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、上述したような課題を解決でき、上述したような効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0043】
100…画像処理装置、101…CPU、102…シーケンサ、102a…開始トリガレジスタ、103…シーケンサ、104…画像処理部、200…バスライン、201…シーケンサ、300…撮像部、400…フレームメモリ、500…表示部、1041…歪補正範囲算出部、1041a,1041b…開始トリガバッファ、1042a,1042b…設定レジスタ、1043a,1043b…結果格納レジスタ、1044a,1044b…セレクタ、1045…歪補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された設定データに基づいて所定の処理を行う画像処理ブロックと、
前記画像処理ブロックにおける前記所定の処理を独立して制御する複数の制御ブロックと、
前記複数の制御ブロックの各々が前記画像処理ブロックとデータ通信するための複数のレジスタセットと、
を具備し、
何れかの前記制御ブロックが前記画像処理ブロックにおける前記所定の処理を制御している際に、残りの前記制御ブロックが各々対応するレジスタセットを用いて前記画像処理ブロックとデータ通信することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記レジスタセットは、前記画像処理ブロックにおける前記所定の処理のための前記設定データを保持するための第1のレジスタと、前記画像処理ブロックにおける前記所定の処理によって得られる結果データを保持するための第2のレジスタとを有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記複数の制御ブロックは、前記画像処理ブロックにおける前記所定の処理を制御する際に前記画像処理ブロックに対して開始トリガ信号を発行し、
前記画像処理ブロックは、何れかの前記制御ブロックによって発行された開始トリガ信号に応答して前記所定の処理を実行し、
前記画像処理ブロックが何れかの前記制御ブロックによって発行された開始トリガ信号に応答して前記所定の処理を実行している際に、他の前記制御ブロックから発行された開始トリガ信号を保持する保持ブロックをさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記保持ブロックは何れかの前記制御ブロックに設けられており、
前記保持ブロックが設けられた制御ブロックは、自身が前記画像処理ブロックに対して開始トリガ信号を発行している期間中は他の制御ブロックによって発行された開始トリガ信号を前記保持ブロックに保持し、自身が前記画像処理ブロックに対して開始トリガ信号を発行していない期間中は前記保持ブロックに保持していた他の制御ブロックによって発行された開始トリガ信号を前記画像処理ブロックに出力することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記保持ブロックは前記画像処理ブロックに設けられており、何れかの前記制御ブロックによって発行された開始トリガ信号に応答して前記所定の処理を実行している期間中には、他の制御ブロックによって発行された開始トリガ信号を前記保持ブロックに保持し、何れかの前記制御ブロックによって発行された開始トリガ信号に応答して前記所定の処理を実行していない期間中には、前記保持ブロックに保持していた他の制御ブロックによって発行された開始トリガ信号に応答して前記所定の処理を実行することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
複数の制御ブロックと、該複数の制御ブロックが共通にアクセス可能な画像処理ブロックとを有する画像処理装置において、
何れかの前記制御ブロックは、バスラインを介することなく前記画像処理ブロックにアクセスするとともに、該アクセスを行う際には前記画像処理ブロックに対して開始トリガ信号を発行し、
前記画像処理ブロックは、前記開始トリガ信号に応答して所定の処理を実行するとともに、該所定の処理の終了時に前記開始トリガを発行した前記制御ブロックに対して割り込み信号を発行し、
前記開始トリガ信号と前記割り込み信号とに基づいて、前記画像処理ブロックへの排他的制御を行うことを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−30209(P2011−30209A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137745(P2010−137745)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】