説明

画像処理装置

【課題】実行中のジョブを停止させる際における不利益の発生を抑制することが可能な画像処理装置を提供する。
【解決手段】ジョブの停止要求を受け付けた際に、停止緊急度が高い状態で実行されているジョブについては停止緊急度が低い状態で実行されている場合に比べて優先的に停止対象として選定する。即ち、誤ってジョブが実行されることによりユーザが被り得る不利益が大きいような停止緊急度の高いジョブについては、通常よりも停止対象として選定され易くなる。これにより、停止緊急度の高いジョブを速やかに停止することができるため、不利益の発生を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関し、特に複数のジョブを並列して実行することが可能な画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば印刷機能、読取機能、FAX送信機能、FAX受信機能など、様々な機能を備えた画像処理装置が知られている。こうした画像処理装置では、これらの機能を利用して、例えばコピージョブ(読取及び印刷)、スキャンジョブ(読取)、FAX受信印刷ジョブ(FAX受信及び印刷)、PCプリントジョブ(印刷)など、各種のジョブを実行することができる。また、例えばスキャンジョブとPCプリントジョブ等、複数のジョブを並列して実行可能な画像処理装置も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−3004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした画像処理装置において、複数のジョブを並列して実行しているときに、ユーザがある1つのジョブを停止させたい場合に、速やかにそのジョブを停止させることが難しいという問題があった。即ち、例えばユーザが停止ボタンを押したときに実行中のジョブを全て停止させる構成とすると、停止する必要のないジョブまで停止されてしまうと不都合がある。また、例えばユーザが操作パネル等を用いて停止しようとするジョブを選択してから停止を指示する構成とすると、停止の指示の入力までに時間がかかり、ジョブの停止を実行するタイミングが遅れてしまうという不都合がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、実行中のジョブを停止させる際における上述のような不利益の発生を抑制することが可能な画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、第1の発明に係る画像処理装置は、原稿を読み取る読取処理、画像を印刷する印刷処理、FAXデータを送信するFAX送信処理、及びFAXデータを受信するFAX受信処理のうち少なくとも一つの処理を伴うジョブを複数並列して実行可能な画像処理手段と、ジョブの停止要求を受け付ける受付手段と、前記受付手段において前記停止要求を受け付けた際に複数のジョブが実行されている場合に、実行されている複数のジョブのうち1つを停止対象のジョブとして選定可能であって、かつ停止緊急度が高い状態で実行されているジョブについては停止緊急度が低い状態で実行されている場合に比べて優先的に選定する選定手段と、前記選定手段により停止対象として選定されたジョブの実行を停止可能な停止手段と、を備える。
【0007】
第1の発明によれば、ジョブの停止要求を受け付けた際に、停止緊急度が高い状態で実行されているジョブについては停止緊急度が低い状態で実行されている場合に比べて優先的に停止対象として選定する。即ち、誤ってジョブが実行されることによりユーザが被り得る不利益が大きいような停止緊急度の高いジョブについては、停止対象として選定され易くなる。これにより、停止緊急度の高いジョブを速やかに停止することができるため、不利益の発生を抑制することができる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明の画像処理装置において、前記選定手段は、ジョブの処理対象が機密のデータであるか否かを判断し、機密のデータである場合に当該ジョブが停止緊急度の高い状態で実行されていると判断する。
【0009】
第2の発明によれば、ジョブの処理対象が機密のデータである場合に停止緊急度が高い状態でジョブが実行されていると判断する。即ち、機密のデータを処理する際には、停止緊急度が高い状態であると判断され、停止要求を行った時にそのジョブが優先的に選定されるために速やかに停止させることができる。従って、機密情報の漏洩の可能性を抑制することができる。
【0010】
第3の発明は、第1または第2の発明の画像処理装置において、前記選定手段は、印刷処理を伴うジョブについて、当該ジョブがカラー印刷を行うかモノクロ印刷を行うかを判断し、当該ジョブがカラー印刷を行う場合に停止緊急度が高い状態で実行されているとする。
【0011】
第3の発明によれば、一般にカラー印刷では、モノクロ印刷に比べてトナーやインクの消費量が大きいことから、カラー印刷を伴うジョブが実行されているときに停止要求がなされた場合には、そのジョブをモノクロ印刷の場合に比べて優先的に選定し、実行を停止させることで、トナー等の無駄な消費を抑制することができる。
【0012】
第4の発明は、第1から第3のいずれか一つの発明の画像処理装置において、前記選定手段は、印刷処理を伴うジョブについて、当該ジョブが特定種類の用紙に対して印刷するか否かを判断し、当該ジョブが特定種類の用紙に印刷する場合に緊急停止度が高い状態で実行されているとする。
【0013】
第4の発明によれば、印刷処理を伴うジョブについて、例えば高級紙など、特定種類の用紙に印刷する場合には、そのジョブを通常の用紙に印刷する場合よりも優先的に停止させることで、無駄な出費を抑制することができる。
【0014】
第5の発明は、第1から第4のいずれか一つの発明の画像処理装置において、前記選定手段は、印刷処理を伴うジョブについて、当該ジョブの印刷枚数が基準以上であるか否かを判断し、当該ジョブの印刷枚数が基準以上である場合に緊急停止度が高い状態で実行されているとする。
【0015】
第5の発明によれば、ジョブの印刷枚数が多い場合には、印刷枚数が少ない場合に比べて優先的に停止させることで、用紙の無駄な消費を抑えることができる。
【0016】
第6の発明は、第1から第5のいずれか一つの発明の画像処理装置において、前記受付手段は、停止解除要求をさらに受け付け可能であって、前記停止手段が停止対象のジョブを停止した後、前記受付手段において停止解除要求を受け付けた場合に、停止されたジョブを再開する再開手段を備える。
【0017】
第6の発明によれば、ジョブを停止した後、停止解除要求を受け付けた場合に停止されたジョブを再開する。従って、ユーザが停止要求を行うことで意図しないジョブが停止された場合には、停止解除要求を行うことで停止されたジョブを再開することができる。
【0018】
第7の発明は、第1から第5のいずれか一つの発明の画像処理装置において、前記選定手段によって選定されたジョブを通知する通知手段をさらに備え、前記受付手段は、停止確認をさらに受け付け可能であって、前記停止手段は、前記選定手段によって停止対象のジョブが選定された後、前記受付手段において停止確認を受け付けた場合に前記停止対象のジョブを停止させ、停止確認を受け付けていない場合に前記停止対象のジョブを停止させない。
【0019】
第7の発明によれば、停止対象のジョブが選定された後、停止確認を受け付けた場合にそのジョブを停止させ、停止確認を受け付けていない場合にそのジョブを停止させない。即ち、停止対象として選定されたジョブを直ちに停止するのでなく、ユーザの停止確認に基づいて停止させることで、ユーザが意図しないジョブを停止させることを回避できる。
【0020】
第8の発明は、第1から第7のいずれか一つの発明の画像処理装置において、複数のジョブのうちから1つのジョブの選択指示を受け付け可能な選択受付手段をさらに備え、前記選定手段は、前記停止要求を受け付けた際に実行されている複数のジョブのうち2以上のジョブが停止緊急度の高い状態で実行されている場合に、停止緊急度の高い状態で実行されているジョブのうち前記選択受付手段により選択指示を受け付けたジョブを停止対象のジョブとして選定可能である。
【0021】
第8の発明によれば、停止要求を受け付けた際に実行されている複数のジョブのうち2以上のジョブが停止緊急度の高い状態で実行されている場合に、停止緊急度の高い状態で実行されているジョブのうち選択指示を受け付けたジョブを停止対象のジョブとして選定可能である。即ち、停止要求を受け付けた時に、停止緊急度が高い状態のジョブが複数実行されている場合には、停止対象とするジョブを自動的に選定するのが困難な場合がある。そこで、そのような場合には、ユーザの選択に基づいて停止対象の選定を行うことで、ユーザの意図と異なるジョブを停止させてしまう事態を回避することができる。
【0022】
第9の発明は、第1から第8のいずれか一つの発明の画像処理装置において、前記選定手段は、FAX受信処理を伴うジョブについて、少なくともFAX受信処理が実行されている間は当該ジョブを選定しない。
【0023】
第9の発明によれば、一般にFAX受信処理を伴うジョブをFAX受信処理中に誤って停止させた場合に、FAXデータを再取得することは困難であるため、FAX受信処理が実行されている間はそのジョブを選定しないことでそのような事態を回避することができる。
【0024】
第10の発明は、第1から第9のいずれか一つの発明の画像処理装置において、ジョブの実行指示の入力操作が可能な操作手段と、通信回線を介して外部装置からのジョブの実行指示を受信可能な通信手段と、をさらに備え、前記選定手段は、前記操作手段からの実行指示により実行されるジョブを前記通信手段からの実行指示により実行されるジョブよりも優先的に選定する。
【0025】
第10の発明によれば、操作手段からの実行指示により実行されるジョブを通信手段からの実行指示により実行されるジョブよりも優先的に選定する。即ち、停止要求を行ったユーザが、外部装置からの実行指示により実行されるジョブの停止を意図する可能性は低いと考えられるため、操作手段からの実行指示により実行されるジョブの方を停止対象として優先的に選定することで、ユーザの意図に沿ったジョブが選定される可能性を高めることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ジョブの停止要求を受け付けた際に、停止緊急度が高い状態で実行されているジョブについては停止緊急度が低い状態で実行されている場合に比べて優先的に停止対象として選定する。即ち、誤ってジョブが実行されることによりユーザが被り得る不利益が大きいような停止緊急度の高いジョブについては、停止対象として選定され易くなる。これにより、停止緊急度の高いジョブを速やかに停止することができるため、不利益の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態1における複合機の外観斜視図
【図2】複合機及びコンピュータの電気的構成を簡略に示すブロック図
【図3】ジョブ停止処理を示すフローチャート
【図4】状態判断処理を示すフローチャート
【図5】並列して実行されるジョブ間の停止緊急度の高低を示す表
【図6】実施形態2におけるジョブ停止処理を示すフローチャート
【図7】実施形態3において並列して実行されるジョブ間の停止緊急度の高低を示す表
【発明を実施するための形態】
【0028】
<実施形態1>
次に本発明の実施形態1について図1から図5を参照して説明する。
本実施形態では、本発明をスキャナ機能、プリンタ機能、コピー機能、ファクシミリ機能等を備えた複合機10(画像処理装置の一例)に適用した例を示す。
【0029】
(複合機及びコンピュータの構成)
図1は、複合機10の外観斜視図であり、図2は、複合機10及びコンピュータ30の電気的構成を簡略に示すブロック図である。
【0030】
複合機10は、図2に示すように、CPU11、ROM12、RAM13、NVRAM(不揮発性メモリ)14、ネットワークインターフェイス15、ファクシミリインターフェイス16を備えている。ROM12には、後述するジョブ停止処理など、このプリンタ1の各種の動作を実行するためのプログラムが記憶されている。CPU11(画像処理手段、選定手段、停止手段、再開手段の一例)は、ROM12から読み出したプログラムに従って、その処理結果をRAM13またはNVRAM14に記憶させながら各部を制御する。
【0031】
ネットワークインターフェイス15(受付手段、通信手段の一例)は、LAN等の通信回線25を介して外部のコンピュータ30等に接続され、相互にデータ通信が可能となっている。ファクシミリインターフェイス16(通信手段の一例)は、電話回線26(通信回線の一例)に接続され、このファクシミリインターフェイス16を介して外部のファクシミリ装置等との間でファクシミリデータの送受信が可能となっている。
【0032】
また、複合機10は、図1にも示すように、表示部18及び操作部19を備えている。表示部18(通知手段の一例)は、ディスプレイや指示ランプ等を備え、各種の設定画面や装置の動作状態等を表示することが可能である。操作部19(受付手段、選択受付手段、操作手段の一例)は、複数のボタンを備え、ユーザが各種の指示を入力することが可能である。また、操作部19は、ジョブの停止要求を入力するための停止ボタン19Aを備えている。
【0033】
複合機10は、さらに、読取部21、印刷部22、画像解析部23を備えている。読取部21は、原稿送り装置21Aを備えており、この原稿送り装置21Aにセットされた原稿を順次読み取り、画像データを出力する。印刷部22は、印刷データに基づいて用紙上にカラーまたはモノクロの画像を印刷する。
【0034】
画像解析部23は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によって構成されており、読取部21によって読み取られた画像データや、コンピュータ30等からネットワークインターフェイス15を介して受信した画像データ、ファクシミリインターフェイス16からファクシミリデータとして受信した画像データを解析し、その画像データが機密のデータであるか否かを判定する。
【0035】
より詳細には、画像データをROM12若しくはNVRAM14に記憶された所定の画像パターン(文字、記号、図形等)と照合し、画像データにその画像パターンが含まれると判断された場合に原稿が機密のデータであると判定する。また、画像解析部23は、OCR(Optical Character Recognition、光学文字認識)技術を用いて画像データの文字認識を行い、画像データに特定のキーワードが含まれる場合に機密のデータであると判断しても良い。
【0036】
一方、コンピュータ30は、CPU31、ROM32、RAM33、ハードディスクドライブ34、キーボードやポインティングデバイスからなる操作部35、ディスプレイ等からなる表示部36、通信回線25に接続されるネットワークインターフェイス37等を備えている。ハードディスクドライブ34には、印刷用の画像データを作成するためのアプリケーションソフトや、複合機10を制御するためのプリンタドライバなどの各種プログラムが記憶されている。
【0037】
(プリンタの動作)
図3は、ジョブ停止処理を示すフローチャートであり、図4は、状態判断処理を示すフローチャートである。また、図5は、並列して実行されるジョブ間の停止緊急度の高低を示す表である。
【0038】
複合機10は、例えば、コピージョブ、スキャンジョブ、FAX送信ジョブ、FAX受信ジョブ、PCプリントジョブ等の各種のジョブを実行することができる。ここで、コピージョブは、読取部21によって原稿画像を読み取る読取処理と、読み取った画像データを印刷部22によって印刷する印刷処理とを行うジョブである。スキャンジョブは、読取処理によって読み取った画像データを指定された場所(コンピュータ30のハードディスクドライブ34や複合機10のNVRAM14等)に電子ファイルとして保存するジョブである。
【0039】
FAX送信ジョブは、原稿画像を読み取る読取処理と、読み取った画像データをファクシミリインターフェイス16によってFAXデータとして送信する送信処理とを行うジョブである。FAX受信ジョブは、ファクシミリインターフェイス16によってFAXデータを受信し、RAM13上に記憶する受信処理と、受信したFAXデータを印刷する印刷処理とを行うジョブである。PCプリントは、ネットワークインターフェイス15によってコンピュータ30等から受信した画像データを印刷処理によって印刷するジョブである。
【0040】
複合機10のCPU11は、上述したような各種ジョブの実行要求を操作部19、ネットワークインターフェイス15、あるいはファクシミリインターフェイス16を介して受け付けると、そのジョブをキューに登録する。そして、キューに登録されたジョブを原則として登録された順序で実行し、実行終了後にキューから削除する。但し、割り込み機能によりジョブの順位を変更することも可能である。CPU11は、複数のジョブがキューに登録されているときに、実行中のジョブと並列して実行可能なジョブが存在する場合には、それらのジョブを並列に実行することが可能である。
【0041】
本複合機10では、各種ジョブに含まれる読取処理、印刷処理、送信処理、及び受信処理の4種類の処理について、異なる種類の処理を複数並列に実行することが可能であり、また、同種類の処理を複数並列に実行することができない。即ち、例えば、コピージョブの印刷処理とFAX送信ジョブの読取処理とを並列して実行することができ、また、FAX受信ジョブの受信処理とPCプリントジョブの印刷処理とを並列して実行することができる。一方、コピージョブの読取処理とスキャンジョブの読取処理とは並列に実行できず、また、FAX受信ジョブの印刷処理とPCプリントジョブの印刷処理とは並列に実行できない。なお、例えば、コピージョブの印刷処理と、スキャンジョブの読取処理と、FAX受信ジョブの受信処理とのように、3つ以上のジョブを並列して実行することも可能である。
【0042】
ユーザは、ジョブを誤った状態で実行させたときなど、実行中のジョブを停止させたい場合には、停止ボタン19Aを押すことによってジョブの停止要求を入力することができる。なお、誤った状態とは、例えば、誤った原稿を読取部21にセットしたり、読み取りや印刷の条件(解像度、印刷枚数、用紙サイズ等)を誤って設定したり、誤った種類の用紙をトレイにセットしたり、あるいはFAX送信ジョブの送信先を誤って指定したりした状態などである。CPU11は、ジョブの実行中に停止要求が入力されると、以下に示すようにジョブ停止処理を実行する。
【0043】
CPU11は、図3に示すジョブ停止処理において、まず複数のジョブが実行中であるかを判断する(S101)。実行中のジョブが1つのみである場合(S101:No)には、そのジョブの実行を停止し、そのジョブをキューから削除(キャンセル)する(S102)。なお、実行中のジョブが1つのみの場合には、ユーザが停止させようとしているジョブがほぼ確定しているため、ユーザによる確認等を経ずに直ちにジョブを停止しても、ユーザが意図しない結果になる可能性は低いと考えられる。
【0044】
また、実行中のジョブが複数存在する場合(S101:Yes)には、状態判断処理を行う(S103)。この状態判断処理は、続いてジョブの停止緊急度の判定を行うために、各ジョブの実行状態を判断するものである。ここで停止緊急度とは、停止要求が入力されたときに実行されているジョブ毎に、停止動作を行う緊急度合を評価するための指標であり、ジョブが続行されることによってユーザが被り得る不利益が大きい場合ほど停止緊急度が高い状態とされる。ここでは、ジョブの実行状態をその処理内容に応じて第1状態と第2状態との2種類に分け、各ジョブについて第1状態と第2状態とのいずれの状態で実行されているかを判断する。第2状態は第1状態に比べて停止緊急度が高い状態である。
【0045】
CPU11は、図4に示す状態判断処理を開始すると、まずカウンタnに1をセットし(S201)、実行中のジョブのうち1番目のジョブを判断対象にセットする(S202)。そして、判断対象のジョブの処理対象が機密のデータであるかを判断する(S203)。
【0046】
ここで、CPU11は、ジョブの処理対象が機密のデータであるかを判断するために、コピージョブ、スキャンジョブ、FAX送信ジョブの読取処理を行う際に、読取部21によってプレスキャンを行う。このプレスキャンは、実際の処理対象となる画像データを読み取るための本スキャンを行う前に行われる簡易的な読み取りであって、本スキャンに比べて解像度が低いために短時間で行われる。そして、このプレスキャンによって得られた画像データを画像解析部23に送り、既述のように処理対象が機密のデータであるかを判定し、その結果をRAM13に記憶させる。
【0047】
また、FAX受信ジョブを行う際には受信処理により受信されたFAXデータを、PCプリントジョブを行う際にはコンピュータ30から送信されたデータを、画像解析部23に送り、同様に機密のデータであるかを判定し、その結果をRAM13に記憶させる。CPU11は、この状態判断処理において、これらの判定結果に基づいて実行中のジョブの処理対象が機密のデータであるかを判断する。
【0048】
なお、例えば、ユーザによるジョブの実行要求入力時に、ジョブの機密性に関する情報を入力できるように構成して、その情報に基づいて機密のデータであるかを判断しても良く、この場合には画像解析部23による画像解析は不要である。
CPU11は、ジョブの処理対象が機密のデータであると判断した場合(S203:Yes)には、そのジョブの実行状態を第2状態と判断する(S204)。
【0049】
また、CPU11は、ジョブの処理対象が機密のデータでないと判断した場合(S203:No)には、そのジョブにおいてカラー印刷を行うかを判断する(S205)。そのジョブがカラー印刷を行う場合(S205:Yes)には、S204に進み、実行状態を第2状態と判断する。また、そのジョブがモノクロ印刷を行う場合、若しくは印刷処理を含まない場合(S205:No)には、続いて特定種類の用紙に印刷を行うかを判断する(S206)。
【0050】
ここで、特定種類の用紙とは、例えば、通常使用するコピー用紙よりも高価な用紙などである。CPU11は、例えば、ユーザが操作部19やコンピュータ30上でジョブの実行要求を入力する際に、入力される用紙に関する設定情報(用紙サイズ、使用トレイ、用紙の材質など)に基づいて用紙の種類を取得し、用紙が特定種類に該当するかを判断することができる。そして、CPU11は、特定種類の用紙に印刷を行う場合(S206:Yes)には、S204に進んで、ジョブの実行状態を第2状態と判断する。
【0051】
また、CPU11は、ジョブが特定種類でない用紙に印刷を行う場合、若しくは印刷処理を含まない場合(S206:No)には、ジョブが基準以上の枚数の用紙に印刷を行うものであるかを判断する(S207)。そして、基準以上の枚数の印刷を行う場合(S207:Yes)には、S204にてそのジョブの実行状態を第2状態と判断する。また、ジョブが基準未満の枚数の用紙に印刷を行う場合、若しくは印刷処理を含まない場合(S207:No)には、そのジョブの実行状態を第1状態と判断する(S208)。
【0052】
こうして、判断対象のジョブについて実行状態を判断した後、CPU11は、実行中のジョブのなかに未だ判断を行っていないものが存在するかを判断し(S209)、存在する場合(S209:Yes)には、カウンタを1つ増加させた後(S210)、S202に戻り、次のジョブを判断対象として同様の処理を行う。
また、実行中の全てのジョブについて判断を行った場合(S209:No)には、この状態判断処理を抜ける。
【0053】
CPU11は、図3のS103にて、状態判断処理を行った後、その判断の結果に基づいて各ジョブの停止緊急度の高低を比較し停止対象のジョブの選定を行う(S104)。ここで、図5は、停止対象のジョブを選定する際に、並列に実行される2つのジョブについて停止緊急度の高低を示す表である。この表は、ROM12若しくはNVRAM14に記憶されている。同図に示すように、2つのジョブのそれぞれについての実行中の処理内容及びその実行状態から停止緊急度がより高いジョブが判定され、そのジョブが停止対象のジョブとして優先的に選定される。なお、同図においては、矢印の指す側のジョブが停止緊急度のより高いジョブであり、斜線は実行されないジョブ(処理)の組合せを示す。
【0054】
例えば、FAX送信ジョブの読取処理が第1状態で実行され、並列してコピージョブの印刷処理が第2状態で実行されている場合には、コピージョブを優先して選定する。また、例えば、3つのジョブが並列に実行されている場合には、上記表により1番目のジョブと2番目とのジョブとでいずれを優先するかを調べ、さらにそのジョブと3番目とのジョブとでいずれを優先するかを調べて、それにより停止対象のジョブを選定する。
【0055】
同図に示すように、一部の例外を除き、1つのジョブについて処理内容が同じであれば、実行状態が第2状態の方が第1状態の場合に比べて選定されやすくなる。例えば、コピージョブの読取処理は、第1状態で実行されている場合には、FAX送信ジョブの受信処理に対してのみ優先される。これに対し、コピージョブの読取処理が、第2状態で実行されている場合には、その他にもコピージョブの印刷処理、FAX受信ジョブの印刷処理、及びPCプリントジョブの印刷処理がそれぞれ第1状態で実行されている場合に、それらよりも優先される。
【0056】
但し、FAX送信ジョブの送信処理については、実行状態にかかわらず、常に優先的に停止対象として選定される。また、FAX受信ジョブの受信処理については、実行状態にかかわらず、常に停止対象として選定されない。また、同図において、「?」は、2つのジョブのいずれも優先的に選定しない非選定状態とすることを示す。即ち、この例では、2つのジョブのいずれも第2状態で実行されており、停止緊急度が互いに同程度であり、いずれのジョブを優先的に選定するかを定めることが困難な場合に非選定状態とする。
【0057】
次に、CPU11は、停止対象のジョブが選定されたかを判断する(S105)。そして、停止対象のジョブが選定されていない非選定状態の場合(S105:No)には、表示部18にジョブ選択画面を表示する(S106)。このジョブ選択画面では、例えば「キャンセルするジョブを選択して下さい。1.FAX送信 2.コピー」のように実行中のジョブ名がキャンセル可能なジョブとして表示され、ユーザが操作部19によって表示されたジョブのうちの1つを停止対象として選択する選択指示を入力することができる。
【0058】
なお、ジョブ選択画面では、ジョブ名の他に、そのジョブに関する付加情報(例えば、FAXデータの送信元、送信先や印刷枚数など)を表示して、ユーザが表示されたジョブが何のジョブかを把握し易くしても良い。
そして、ユーザによって選択指示が入力されると、CPU11は、選択されたジョブを停止対象として選定してそのジョブを停止し、キューから削除する(S107)。
【0059】
また、CPU11は、S104において停止対象のジョブが選定された場合(S105:Yes)には、選定されたジョブを停止し(S108)、続いて、表示部18に停止確認変更画面を表示する(S109)。この停止確認変更画面では、例えば、「コピージョブを停止しました。このジョブをキャンセルしますか?それともキャンセルするジョブをスキャンジョブに変更しますか?」というように、停止したジョブ名をキャンセル可能なジョブとして示し、さらに他の実行中のジョブをキャンセル対象として変更可能なジョブとして示す。ここで、ユーザは、操作部19により停止確認または停止するジョブの変更指示のいずれかを入力することができる。なお、キャンセルするジョブの変更指示は、停止されたジョブに対する停止解除要求を兼ねている。
【0060】
そして、停止確認変更画面において、ユーザにより停止確認が入力された場合(S110:Yes)には、停止したジョブをキューから削除し、このジョブ停止処理を終了する(S111)。また、停止するジョブの変更指示(停止解除要求)が入力された場合(S110:No)には、停止したジョブを再開する(S112)。
【0061】
ここで、停止された処理が読取処理であれば、原稿に対する読み取りを中断した箇所から読み取りを再開しても良く、また、読み取りをその原稿の始めからやり直しても良い。また、停止された処理が印刷処理であれば、用紙に対する印刷を中断した箇所から続けて印刷を再開しても良く、あるいは新しい用紙に対して再度印刷を行っても良い。また、停止された処理が送信処理であれば、再びFAXデータを始めから送り直せば良い。
続いて、CPU11は、変更指示されたジョブの実行を停止し、そのジョブをキューから削除する(S113)。その後、このジョブ停止処理を終了する。
【0062】
(本実施形態の効果)
以上のように本実施形態によれば、ジョブの停止要求を受け付けた際に、停止緊急度が高い状態で実行されているジョブについては停止緊急度が低い状態で実行されている場合に比べて優先的に停止対象として選定する。即ち、誤ってジョブが実行されることによりユーザが被り得る不利益が大きいような停止緊急度の高いジョブについては、通常よりも停止対象として選定され易くなる。これにより、停止緊急度の高いジョブを速やかに停止することができるため、不利益の発生を抑制することができる。
【0063】
また、ジョブの処理対象が機密のデータである場合に停止緊急度が高い状態でジョブが実行されていると判断する。即ち、機密のデータを処理する際には、停止緊急度が高い状態であると判断され、停止要求を行った時にそのジョブが優先的に選定されるために速やかに停止させることができる。従って、機密情報の漏洩の可能性を抑制することができる。
【0064】
より具体的には、例えば、送信処理を速やかに停止させることで、機密のデータの送信を完全に止めるかあるいは送信される機密のデータの量を抑制することができる。また、印刷処理を速やかに停止させることで、機密のデータが用紙上に印刷されることを完全に止めるか、あるいは印刷されるデータの量、若しくは機密のデータが印刷される用紙の枚数を抑制することができる。また、読取処理を速やかに停止することで、機密のデータがコンピュータ30のハードディスクドライブ34や複合機10のNVRAM14等の保存されるのを完全に止めるか、あるいは保存されるデータの量を抑制することができる。
【0065】
また、一般にカラー印刷では、モノクロ印刷に比べてトナーやインクの消費量が大きいことから、カラー印刷を伴うジョブが実行されているときに停止要求がなされた場合には、そのジョブをモノクロ印刷の場合に比べて優先的に選定し、実行を停止させることで、トナー等の無駄な消費を抑制することができる。
【0066】
また、印刷処理を伴うジョブについて、例えば高級紙など、特定種類の用紙に印刷する場合には、そのジョブを通常の用紙に印刷する場合よりも優先的に停止させることで、無駄な出費を抑制することができる。
【0067】
また、ジョブの印刷枚数が多い場合には、印刷枚数が少ない場合に比べて優先的に停止させることで、用紙の無駄な消費を抑えることができる。
【0068】
また、ジョブを停止した後、停止解除要求を受け付けた場合に停止されたジョブを再開する。従って、ユーザが停止要求を行うことで意図しないジョブが停止された場合には、停止解除要求を行うことで停止されたジョブを再開することができる。
【0069】
また、停止要求を受け付けた際に実行されている複数のジョブのうち2以上のジョブが停止緊急度の高い状態で実行されている場合に、停止緊急度の高い状態で実行されているジョブのうち選択指示を受け付けたジョブを停止対象のジョブとして選定可能である。即ち、停止要求を受け付けた時に、停止緊急度が高い状態のジョブが複数実行されている場合には、停止対象とするジョブを自動的に選定するのが困難な場合がある。そこで、そのような場合には、ユーザの選択に基づいて停止対象の選定を行うことで、ユーザの意図と異なるジョブを停止させてしまう事態を回避することができる。
【0070】
また、一般にFAX受信処理を伴うジョブをFAX受信処理中に誤って停止させた場合に、FAXデータを再取得することは困難であるため、FAX受信処理が実行されている間はそのジョブを選定しないことでそのような事態を回避することができる。
【0071】
<実施形態2>
次に本発明の実施形態2について図6を参照して説明する。図6は、本実施形態におけるジョブ停止処理を示すフローチャートである。なお、以下の実施形態2,3において、複合機10の構成は上記実施形態と同様である。
【0072】
CPU11は、ジョブの実行中に停止要求が入力されると、図6に示すジョブ停止処理を開始する。ジョブ停止処理においては、まず複数のジョブが実行されているかを判断し(S301)、実行中のジョブが1つのみの場合(S301:No)には、そのジョブを停止してキューから削除する(S302)。
【0073】
なお、S302の処理では、ジョブを停止した後、表示部18に「ジョブを停止しました。ジョブをキャンセルしますか?」等のメッセージを表示し、そこでユーザによって停止確認が入力されたときにそのジョブをキューから削除し、停止確認が入力されない場合(停止取り消しが入力された場合)にはそのジョブを再開するようにしても良い。あるいは、まず実行中のジョブの停止確認画面を表示し、そこでユーザによって停止確認が入力された場合にそのジョブを停止し、キューから削除するようにしても良い。
【0074】
CPU11は、S301にて複数のジョブが実行中である場合(S301:Yes)には、上記実施形態と同様の状態判断処理を行い(S303)、その結果に基づいてジョブの停止緊急度を判定し停止対象のジョブを選定する(S304)。なお、ここでは、全てのジョブの組合せにおいて停止緊急度の高低、即ち優先的に選定するジョブが定められており、言い換えれば図5相当の表において非選定状態(「?」)の箇所が存在しないものとする。
【0075】
続いて、CPU11は、表示部18に停止確認画面を表示する(S305)。この停止確認画面では、例えば、「コピージョブを停止しました。このジョブをキャンセルしますか?」というように、停止したジョブ名をキャンセル可能なジョブとして示す。ここで、ユーザは、操作部19により停止確認(キャンセル指示)または選定解除指示のいずれかを入力することができる。
【0076】
そして、ユーザにより操作部19から停止確認が入力された場合(S306:Yes)には、停止対象として選定されたジョブを停止し、キューより削除する(S307)。また、ジョブの選定解除指示が入力された場合(S306:No)には、停止対象のジョブを変更するための変更画面を表示部18に表示する(S308)。この変更画面では、例えば「PCプリントジョブをキャンセルしますか?」というように、先に選定されたジョブ以外の実行中のジョブが表示され、停止対象をそのジョブに変更する変更指示を入力することができる。そして、変更指示が入力されると、CPU11は、指示されたジョブを停止し、キューから削除する(S309)。
【0077】
以上のように本実施形態によれば、停止対象のジョブが選定された後、停止確認を受け付けた場合にそのジョブを停止させ、停止確認を受け付けていない場合にそのジョブを停止させない。即ち、停止対象として選定されたジョブを直ちに停止するのでなく、ユーザの停止確認に基づいて停止させることで、ユーザが意図しないジョブを停止させることを回避できる。
【0078】
また、停止緊急度が高い状態と判断されたジョブが停止対象として優先的に選定され、ユーザが選定されたジョブを実行中の他のジョブに比べて少ない操作で速やかに停止させることができるため、ユーザの不利益の発生を抑制することができる。
【0079】
<実施形態3>
次に本発明の実施形態3について図7を参照して説明する。図7は、並列して実行されるジョブ間の停止緊急度の高低を示す表である。
【0080】
本実施形態では、ジョブ停止処理において、図7の表に基づいて停止対象のジョブを選定する。なお、コピージョブ、スキャンジョブ、FAX送信ジョブについては、操作部19から入力された実行要求に基づいて実行され、FAX受信ジョブはファクシミリインターフェイス16から、PCプリントジョブはネットワークインターフェイス15から入力された実行要求に基づいて実行されるものとする。
【0081】
同図に示すように、本実施形態では、操作部19から実行指示が入力されたジョブと、ファクシミリインターフェイス16若しくはネットワークインターフェイス15から実行指示が入力されたジョブとを比較したときに、前者のジョブを後者よりも停止緊急度の高いジョブとして優先的に選定する。即ち、停止要求を行ったユーザが、外部装置からの実行指示により実行されるジョブの停止を意図する可能性は低いと考えられるため、操作手段からの実行指示により実行されるジョブの方を停止対象として優先的に選定することで、ユーザの意図に沿ったジョブが選定される可能性を高めることができる。
【0082】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、本発明を、読取処理、印刷処理、FAX送信処理、FAX受信処理の4種類の処理を行うことが可能な複合機に適用した例を示したが、本発明は、これらのうち少なくとも一種類の処理を伴うジョブを複数並列して実行可能な画像処理装置に適用することができる。例えば、本発明を、FAXの送受信機能を備えておらず、読取処理と印刷処理のみを並列して実行可能な画像処理装置に適用することができる。また、例えば、印刷処理のみを複数のジョブに対して並列して実行可能な印刷装置などにも本発明を適用することができる。
【0083】
(2)上記実施形態では、停止要求が入力されたときに実行中のジョブのみを停止させるものを示したが、本発明によれば、ユーザが停止させるジョブを選択・変更する際などに、停止対象として実行待機中のジョブを含めて指定できるようにしても良い。
【0084】
(3)上記実施形態では、5種類のジョブを実行するものを示したが、本発明は、これら以外のジョブを実行する場合にも適用することができる。例えば、装置にUSBメモリ等の外部記憶媒体を接続可能な接続部を設けた場合には、その外部記憶媒体から読み出したデータを印刷処理により印刷するダイレクトプリントや、読取処理により読み取ったデータを外部記憶媒体に書き込むスキャン・トゥ・メモリといったジョブを実行する場合にも本発明を適用することができる。また、例えば、コンピュータ等から送信されたデータをFAX送信処理により送信するジョブや、あるいはFAX受信処理により受信したFAXデータを装置のメモリ上に保存するジョブを実行する場合にも本発明を適用することができる。
【0085】
(4)上記実施形態では、装置に設けられた停止ボタンを押すことで、ジョブの停止要求が入力されるものを示したが、本発明によれば、例えば、操作手段としてタッチパネルを備えるものでは、タッチパネル上に表示される停止ボタンを操作することで停止要求を入力しても良い。
【0086】
また、例えば、図1においてコンピュータ30のCPU31により実行されるプログラム(プリンタドライバ等)により、ユーザがジョブの停止要求を複合機10側に送信し、複合機10側のCPU11がネットワークインターフェイス15よりその停止要求を受け付ける構成としても良い。さらに、複合機10のCPU11がコンピュータ30側に信号を送信して、表示部36に上述の停止確認変更画面やジョブ選択画面などに相当する画面を表示させ、ユーザが操作部35からの操作により停止確認やその他の指示を複合機10側に送信する構成としても良い。
【0087】
(5)上記実施形態では、FAX送信ジョブの送信処理及びFAX受信ジョブの受信処理においては、ジョブの実行状態が停止対象の選定(停止緊急度の高低)に影響しない例を示したが、本発明によれば、これらの処理においても、ジョブが第2状態で実行されている場合に第1状態で実行されている場合よりも優先的に選定されるようにしても良い。
【0088】
(6)上記実施形態では、停止緊急度の高低を判定するために、ジョブの実行状態を、第1状態と第2状態との2段階に分けたが、本発明によれば、3段階以上に分けても良い。例えば、処理対象が機密のデータのジョブは2点、カラー印刷を含むジョブは1点、それ以外は0点等として、合計点数を停止緊急度とし、合計点数が最も多いジョブを停止対象として選定しても良い。
【0089】
(7)ジョブの実行状態を判断する際の条件は、図4に示した以外にも適宜変更することができる。例えば、図4に示した4つの条件(S203,S205,S206,S207)のうち、いずれか1つ、2つまたは3つの条件を用いて断しても良く、あるいは他の条件を用いて判断しても良い。
【符号の説明】
【0090】
10…複合機
11…CPU
15…ネットワークインターフェイス
16…ファクシミリインターフェイス
18…表示部
19…操作部
19A…停止ボタン
25…通信回線
26…電話回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取る読取処理、画像を印刷する印刷処理、FAXデータを送信するFAX送信処理、及びFAXデータを受信するFAX受信処理のうち少なくとも一つの処理を伴うジョブを複数並列して実行可能な画像処理手段と、
ジョブの停止要求を受け付ける受付手段と、
前記受付手段において前記停止要求を受け付けた際に複数のジョブが実行されている場合に、実行されている複数のジョブのうち1つを停止対象のジョブとして選定可能であって、かつ停止緊急度が高い状態で実行されているジョブについては停止緊急度が低い状態で実行されている場合に比べて優先的に選定する選定手段と、
前記選定手段により停止対象として選定されたジョブの実行を停止可能な停止手段と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記選定手段は、ジョブの処理対象が機密のデータである場合に、当該ジョブが停止緊急度の高い状態で実行されているとする、画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像処理装置において、
前記選定手段は、印刷処理を伴うジョブについて、当該ジョブがカラー印刷を行うかモノクロ印刷を行うかを判断し、当該ジョブがカラー印刷を行う場合に停止緊急度が高い状態で実行されているとする、画像処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記選定手段は、印刷処理を伴うジョブについて、当該ジョブが特定種類の用紙に対して印刷するか否かを判断し、当該ジョブが特定種類の用紙に印刷する場合に緊急停止度が高い状態で実行されているとする、画像処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記選定手段は、印刷処理を伴うジョブについて、当該ジョブの印刷枚数が基準以上であるか否かを判断し、当該ジョブの印刷枚数が基準以上である場合に緊急停止度が高い状態で実行されているとする、画像処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記受付手段は、停止解除要求をさらに受け付け可能であって、
前記停止手段が停止対象のジョブを停止した後、前記受付手段において停止解除要求を受け付けた場合に、停止されたジョブを再開する再開手段を備える、画像処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記選定手段によって選定されたジョブを通知する通知手段をさらに備え、
前記受付手段は、停止確認をさらに受け付け可能であって、
前記停止手段は、前記選定手段によって停止対象のジョブが選定された後、前記受付手段において停止確認を受け付けた場合に前記停止対象のジョブを停止させ、停止確認を受け付けていない場合に前記停止対象のジョブを停止させない、画像処理装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
複数のジョブのうちから1つのジョブの選択指示を受け付け可能な選択受付手段をさらに備え、
前記選定手段は、前記停止要求を受け付けた際に実行されている複数のジョブのうち2以上のジョブが停止緊急度の高い状態で実行されている場合に、停止緊急度の高い状態で実行されているジョブのうち前記選択受付手段により選択指示を受け付けたジョブを停止対象のジョブとして選定可能である、画像処理装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記選定手段は、FAX受信処理を伴うジョブについて、少なくともFAX受信処理が実行されている間は当該ジョブを選定しない、画像処理装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
ジョブの実行指示の入力操作が可能な操作手段と、
通信回線を介して外部装置からのジョブの実行指示を受信可能な通信手段と、をさらに備え、
前記選定手段は、前記操作手段からの実行指示により実行されるジョブを前記通信手段からの実行指示により実行されるジョブよりも優先的に選定する、画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−55268(P2011−55268A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202645(P2009−202645)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】