説明

画像処理装置

【課題】圧縮処理時に最小限の圧縮データを生成することができ、圧縮処理の時間及びデータの保存領域の消費量を低減することができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】CPUのデータ生成制御部205は、N番目のシアンバンドデータ,イエローバンドデータ,マゼンダバンドデータ,ブラックバンドデータそれぞれにC,Y,M,Kの有意の濃度値を有する画素のデータがあるか否かを判定する。データ生成制御部205は、いずれかのバンドデータに有意の濃度値を有する画素のデータがあると判定した場合、オブジェクトタグデータ生成部204によりN番目のオブジェクトタグバンドのデータを生成させる。データ生成制御部205はいずれのバンドデータにも有意の濃度値を有する画素のデータがないと判定した場合、オブジェクトタグデータ生成部204により属性値0のバンド(空のバンド)のデータを生成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PDL言語(Page Description Language:ページ記述言語)等から変換された中間言語から、バンド毎にビットマップイメージデータ及びオブジェクトタグデータを生成して出力する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷時の文字及び写真等の各描画オブジェクトの画質の向上を図るために、描画オブジェクトの種類毎に画像処理を切り換えることで、描画オブジェクト毎に最適となる画像処理を行って印刷出力する画像処理装置が提案されている。
【0003】
上述の画像処理装置においては、PDL言語で指定される個々の描画オブジェクトに対応するデータとして、印刷で使用する各色版のデータ[シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K)、又はレッド(R),グリーン(G),ブルー(B)等の色濃度情報を示すデータ]と、オブジェクトタグと呼ばれる版のデータとが生成されている。
オブジェクトタグデータは、文字が描画されている領域に属する画素にテキストタイプを示す属性値が、グラフィックデータが描画されている領域に属する画素にグラフィックタイプを示す属性値が、イメージデータが描画されている領域に属性する画素にイメージタイプを示す属性値がそれぞれ対応付けられている。
【0004】
印刷を行なう際に、オブジェクトタグデータで示される上述の各タイプの属性値と色版とを用いることにより、描画オブジェクト毎に適した上述の画像処理を行なうことが可能になる。このため、PDLによって記述されたPDLデータの入力時に各色版とオブジェクトタグの版とを生成し、これらのデータを一旦記憶部に圧縮して格納し、印刷時に記憶部からデータを取り出し、伸張して画像処理を行なっている。
【0005】
図19は、例えば特許文献1等の従来の画像処理装置のCPUによる画像処理の流れを示す概略ブロック図である。
図19中、401はPDLデータ、402はPDL解析部、403はビットマップデータ生成部、404はオブジェクトタグデータ生成部、405は圧縮部、407は記憶部、408は伸張部、409は出力データである。
PDL解析部402には、PDLによって記述されたPDLデータ401が入力される。PDL解析部402は、1ページ分のPDLデータ401から、バンド毎に中間フォーマットデータ(一般にディスプレイリストとも呼ばれる)を生成して、ビットマップデータ生成部403及びオブジェクトタグデータ生成部404へ与える。ビットマップデータ及びオブジェクトタグデータは、そのまま1ページ分を生成すると非常に大きなサイズとなるため(例えばA4サイズで600dpi、各色256階調、オブジェクトタグデータも1画素当たり256値を有するとした場合、略166MBになる)、中間フォーマットデータは1ページ分の画像を行方向に複数に分割してなる帯状の領域(バンド)毎に生成される。
【0006】
ビットマップデータ生成部403はバンド毎の中間フォーマットを描画データとして受け取りレンダリング処理を行なって、バンド毎に画像に展開する。
オブジェクトタグデータ生成部404は、中間フォーマットデータに基づき、各画素に描画オブジェクトの種類を表す属性値を与えて、バンド毎に画像に展開する。
【0007】
以上のようにバンド毎に生成された各ビットマップデータ及びオブジェクトタグデータは、圧縮部405にて圧縮され、記憶部407に一旦蓄えられた後、印刷が行なわれる際に伸張部408により元のデータに戻され、出力データ409として出力される。
データを記憶部407に圧縮して格納するのは、近年、印刷機のカラー化、出力可能解像度の向上、1ピクセル当たりの階調性向上により生成するイメージデータ量が増大し、保存領域の必要メモリ量が増加したため、この必要メモリ量を低減するためである。
【0008】
また、特許文献2には、白画像(トナー又はインクを付着させない濃度の画像)等の特定の画像についてキャッシュメモリに圧縮画像を記憶しておくことにより、展開及び圧縮の処理を省略して処理の高速化を図ることができる画像処理装置の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−267927号公報
【特許文献2】特許第4320497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献2の画像処理装置においてはオブジェクトタグデータの生成を行わないが、特許文献1等の従来のオブジェクトタグデータの生成も行う画像処理装置においては、オブジェクトタグデータの圧縮処理の時間及び保存量を低減することが求められている。
【0011】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、描画オブジェクトが白画像である場合、該描画オブジェクトの種類を表す属性値を画素に与えないように構成することにより、該属性値を画素に与える処理の時間を省略することができ、空の属性値画像のデータを生成することで、圧縮処理時に最小限の圧縮データを生成することができ、圧縮処理の時間及びデータの保存領域の消費量を低減することができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る画像処理装置は、描画オブジェクトを示すデータを含む入力画像データに基づいて、マトリクス状に配された画素からなる画像の画素に、印刷のための色空間の各色の濃度値を対応付けた色毎の色画像のデータを生成する手段を備える画像処理装置において、画像を分割してなる画像領域毎に、各色画像が有意の濃度値を対応付けた画素を含むか否かを判定する判定手段と、該判定手段により前記画素を含むと判定した画像領域について、前記画素に描画オブジェクトの種類を表す属性値を対応付けた属性値画像のデータを生成する手段と、前記判定手段により全ての色画像が前記画素を含まないと判定した画像領域について、全ての画素に他の属性値を対応付けた属性値画像のデータを生成する手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、描画オブジェクトが白画像(トナー又はインクを付着させない濃度の画像)である場合、該描画オブジェクトの種類を表す属性値を画素に与えないので、該属性値を画素に与える処理の時間を省略することができ、かつ空の属性値画像のデータを生成することで、圧縮処理時に最小限の圧縮データを生成することができ、データの保存領域の消費量を低減することができる。
【0014】
本発明に係る画像処理装置は、前記判定手段により全ての色画像が前記画素を含まないと判定した画像領域については、1色の色画像のデータのみ圧縮して記憶する手段と、該手段により圧縮して記憶した前記データを伸張して出力する手段と、該データを他色の色画像のデータとして出力する手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
各色とも同一解像度、同一階調であれば描画オブジェクトがない場合、どのプレーンも同じデータが生成されるため、1色の色画像のデータのみ圧縮して記録し、伸張して出力することにより、冗長に色画像のデータを圧縮して記録するのを防ぐことができ、すなわち圧縮、記録、伸張の処理量及び処理時間を低減することができ、装置のパフォーマンスが向上する。
【0016】
本発明に係る画像処理装置は、マトリクス状に配された画素からなり、複数の画素により描画オブジェクトが構成された画像の画素に、印刷のための色空間の各色の濃度値を対応付けた色毎の色画像のデータ、及び描画オブジェクトに属する画素には該描画オブジェクトの種類を表す属性値を対応付け、描画オブジェクトに属さない画素には他の属性値を対応付けた属性値画像のデータが入力される画像処理装置において、画像を分割してなる画像領域毎に、各色画像が有意の濃度値を対応付けた画素を含むか否かを判定する判定手段と、該判定手段により全ての色画像が前記画素を含まないと判定した画像領域について、属性値画像のデータを全ての画素に前記他の属性値を対応付けたデータに変更する手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、描画オブジェクトが白画像である場合に不必要となる属性値画像のデータを空の属性値画像のデータに変換するので、圧縮処理時に最小限の圧縮データを生成することができ、データの保存領域の消費量を低減することができる。
【0018】
本発明に係る画像処理装置は、前記画像領域は、画像を行方向に複数に分割した帯状の領域であることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、容易にデータの生成処理を行うことができる。
【0020】
本発明に係る画像処理装置は、描画オブジェクトを示すデータを含む入力画像データに基づいて、マトリクス状に配された画素からなる画像の画素に、印刷のための色空間の各色の濃度値を対応付けた色毎の色画像のデータを生成する手段、及び描画オブジェクトに属する画素には該描画オブジェクトの種類を表す属性値を対応付け、描画オブジェクトに属さない画素には他の属性値を対応付けた属性値画像のデータを生成する手段を備える画像処理装置において、画像を行方向に複数分割してなる帯状の画像領域毎に、描画オブジェクトの種類を表す属性値を対応付けた画素を含むか否かを判定する手段と、該手段により画像領域に前記画素が含まれると判定した場合に、行毎に、少なくとも1色の有意の濃度値を対応付けた画素が含まれるか否かを判定する手段と、該手段により前記画素が含まれないと判定した行に、描画オブジェクトの種類を表す属性値を対応付けた画素がある場合に、前記属性値を前記他の属性値に変更する手段とを備えることを特徴とする。
【0021】
本発明においては、色画像のデータのうち描画オブジェクトがないラインにつき、属性値画像のデータをライン単位で削除することで、圧縮時のデータ量を小さくすることができ、保存領域の消費量を低減することができる。
【0022】
本発明に係る画像処理装置は、マトリクス状に配された画素からなり、複数の画素により描画オブジェクトが構成された画像の画素に、印刷のための色空間の各色の濃度値を対応付けた色毎の色画像のデータ、及び描画オブジェクトに属する画素には該描画オブジェクトの種類を表す属性値を対応付け、描画オブジェクトに属さない画素には他の属性値を対応付けた属性値画像のデータが入力される画像処理装置において、画像を行方向に複数分割してなる帯状の画像領域毎に、描画オブジェクトの種類を表す属性値を対応付けた画素を含むか否かを判定する手段と、該手段により画像領域に前記画素が含まれると判定した場合に、行毎に、少なくとも1色の有意の濃度値を対応付けた画素が含まれるか否かを判定する手段と、該手段により前記画素が含まれないと判定した行に、描画オブジェクトの種類を表す属性値を対応付けた画素がある場合に、前記属性値を前記他の属性値に変更する手段とを備えることを特徴とする。
【0023】
本発明においては、色画像のデータのうち描画オブジェクトがないラインにつき、属性値画像のデータをライン単位で削除することで、圧縮時のデータ量を小さくすることができ、保存領域の消費量を低減することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、色画像のデータとともに属性値画像のデータを生成し、これらのデータを用いて最適な画像処理を行なう画像処理装置において、描画オブジェクトが白画像である場合、該描画オブジェクトの種類を表す属性値を画素に対応付けないように構成されているので、該属性値を画素に対応付ける処理の時間を省略することができ、空の属性値画像のデータを生成することで、圧縮処理時に最小限の圧縮データを生成することができ、圧縮処理の時間及びデータの保存領域の消費量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置としてのプリンタコントローラを示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るCPUによる画像処理の流れを示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るビットマップデータ生成部がPDLデータから、C,M,Y,Kに分解されたそれぞれのビットマップデータを生成する状態を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係るオブジェクトタグデータ生成部がPDLデータからオブジェクトタグデータを生成する状態を示す模式図である。
【図5】オブジェクトタグデータを示す模式図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係るデータ生成制御部によるオブジェクトタグデータの生成制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態2に係るCPUによる画像処理の流れを示す機能ブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係るデータ生成制御部及び不要属性値除去部による不要属性値の除去処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】図8のフローチャートの処理内容を示す説明図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係るCPUによる画像処理の流れを示す機能ブロック図である。
【図11】オブジェクトタグヘッダ構造体を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係るオブジェクトタグヘッダ生成部による「Blank Band」値の設定処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態3に係るビットマップデータ圧縮制御部によるビットマップデータの圧縮・保存の処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態3に係るオブジェクトタグデータ解析部による伸張・出力の処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】本実施の形態4に係るCPUによる画像処理の流れを示す機能ブロック図である。
【図16】本実施の形態4に係るデータ変更制御部によるオブジェクトタグデータの変更制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施の形態5に係るCPUによる画像処理の流れを示す機能ブロック図である。
【図18】本発明の実施の形態5に係るデータ変更制御部及び不要属性値除去部による不要属性値の除去処理の手順を示すフローチャートである。
【図19】例えば特許文献1等の従来の画像処理装置のCPUによる画像処理の流れを示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像処理装置としてのプリンタコントローラ101を示すブロック図である。
プリンタコントローラ101は、I/F(インタフェース)103、CPU104、表示パネル105、ビデオI/F106、ROM107、RAM108、及びHDD109を備える。プリンタコントローラ101は、ネットワークによりPC102及び出力装置110と接続されている。
プリンタコントローラ101においては、PC102が生成したPDLデータをI/F103を介して受信する。CPU104は、受信されたPDLデータを解析して、ビットマップイメージデータ(色画像のデータ:以下、ビットマップデータという)及びオブジェクトタグデータ(属性値画像のデータ)を生成し、圧縮してHDD109に記録する。
【0027】
HDD109に圧縮して記録されたビットマップデータ及びオブジェクトタグデータは、CPU104により伸張され、ビデオI/F106を通じて出力装置110へ送信される。出力装置110は、ビットマップデータ及びオブジェクトタグデータに基づき最適な画像処理を行って印刷する。
RAM108はCPU104が処理を行なう際に使用されるワークメモリとして使用され、ROM107にはCPU104が動作を行なう際のプログラムが格納されている。またプリンタコントローラ101が動作している際、表示パネル105によりユーザに対して動作状況が表示されるように構成されている。
【0028】
図2は、CPU104による画像処理の流れを示す機能ブロック図である。
図中、201はPDLデータ、202はPDL解析部、203はビットマップデータ生成部、204はオブジェクトタグデータ生成部、205はデータ生成制御部、206は圧縮部、207は記憶部(HDD109)、208は伸張部、209は出力データである。CPU104には、PDLによって記述されたPDLデータ201が入力され、PDLデータ201は、ビットマップデータ及びオブジェクトタグデータに展開されて出力データ209として出力される。
【0029】
PDL解析部202は、PDL言語で記述された1ページ分のデータから、バンド毎に中間フォーマットデータを生成してビットマップデータ生成部203とオブジェクトタグデータ生成部204へ与える。中間フォーマットデータには、描画すべきオブジェクト、描画オブジェクトの色情報、描画オブジェクトの種類、座標等が記述されている。
ビットマップデータ生成部203は、PDL解析部202から入力されたバンド毎の中間フォーマットデータを描画データとして受け取り、RGB色空間によって表現された描画オブジェクトの色情報をCMYK色空間によって表現された色情報(CMYK色情報)に変換し、レンダリング処理を行なって各バンドの画像に展開する。CMYK色情報には、C(シアン)の濃度値、M(マゼンタ)の濃度値、Y(イエロー)の濃度値、K(ブラック)の濃度値が含まれる。本実施の形態では、C,M,Y,Kの各濃度値が0から255までの値を取ることができるものとする。
【0030】
図3は、ビットマップデータ生成部203がPDLデータから、C,M,Y,Kに分解されたそれぞれのビットマップデータを生成する状態を示す模式図である。
PC102上で作成された1ページ分のPDLデータには、黒で描かれた文字列「ABC」と、黄色を有する四角形及び青色を有する円形のグラフィックとが描かれている。さらに、青色の円形の下部に重ねて白色の長方形のグラフィックが描かれている。これをPDL解析部202により解析し、ビットマップデータ生成部203へ与えることにより色分解され、矢印右側のようにそれぞれシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各プレーンのビットマップデータが生成される。黒で描かれた文字列「ABC」はブラックプレーンにビットマップが生成され、青色で描かれ、下部が欠けた円形部分は色分解されることでシアンプレーン及びマゼンタプレーンにビットマップが生成される。黄色で描かれた四角形部分は文字が上書された部分を除いて、イエロープレーンにビットマップが生成される。
【0031】
図4は、オブジェクトタグデータ生成部204がPDLデータ201からオブジェクトデータを生成する状態を示す模式図である。
図3と同じPDLデータに基づいて、四角形、円形、及び長方形の画像に属する画素に対応してグラフィックオブジェクトを示す属性値が、文字列の画像に属する画素に対応してテキストオブジェクトを示す属性値が与えられる。同一の描画オブジェクトの種類に属する画素は、同一の画素値(属性値)を有する。例えば、グラフィックオブジェクトを示す属性値を2、テキストオブジェクトを示す属性値を1、描画オブジェクトがない画素の属性値を0とする。
【0032】
描画オブジェクトがテキストオブジェクトである場合、画素には属性情報として、テキストオブジェクトであることを示す情報以外にフォントの種類を指定する情報等が含まれ得る。描画オブジェクトがグラフィックオブジェクトである場合、画素には属性情報として、グラフィックオブジェクトであることを示す情報以外に、直線、円、又は多角形等を指定する情報等が含まれ得る。
【0033】
図4においては、テキストオブジェクトとグラフィックオブジェクトとで構成されたPDLデータの例を挙げているが、オブジェクトとしては他に写真イメージ等のイメージオブジェクト、及び線を示すストロークオブジェクト等が挙げられる。描画オブジェクトがイメージオブジェクトである場合、イメージオブジェクトであることを示す情報以外に、描画オブジェクトの実データの格納位置を示すポインタ情報等が含まれ得る。
【0034】
図3に示すビットマップデータ及び図4に示すオブジェクトタグデータは、上述したようにそのまま1ページ分を生成した場合、非常に大きなサイズとなるため、所定のバンド高を有するバンド毎に、ビットマップデータ生成部203及びオブジェクトタグデータデータ生成部204はPDL解析部202より中間フォーマットデータを受けとり、バンド毎に、各プレーンのビットマップデータとオブジェクトタグデータとを生成する。ここで、所定のバンド高毎にデータの作成を繰り返した場合にページ高を超えたときには、最終バンド高として、ページ高までの高さ分のデータを作成する。
【0035】
このようにバンド高毎に生成された各プレーンデータ及びオブジェクトタグデータは、圧縮部206にてデータが圧縮され、記憶部207に一旦蓄えられた後、印刷が行なわれる際、伸張部208でデータが元に戻された後、出力データ209として出力される。
ここで、従来の画像処理装置においては、図4に示すPDLデータのような場合、生成されるビットマップイメージの上から6番目のバンド(第6バンド)には白画像が含まれ、印刷すべきデータがないのにも関わらず、オブジェクトタグデータの第6バンドに、グラフィックオブジェクトを示す属性値を有するデータが生成されることになる。
【0036】
本実施の形態に係るCPU104はデータ生成制御部205を備えており、N番目のバンドのシアン色,マゼンダ色,イエロー色,ブラック色のビットマップデータ(シアンバンドデータ,マゼンダバンドデータ,イエローバンドデータ,ブラックバンドデータ)に有意の濃度値を有する画素のデータが含まれない場合、このN番目のバンドのオブジェクトタグデータの全ての画素の属性値を0にする。
図5は、このオブジェクトタグデータを示す模式図である。オブジェクトタグデータの第6バンドには有意の属性値を有する画素がなく、空の画像のデータとなっている。
【0037】
以下に、データ生成制御部205によるオブジェクトタグデータの生成制御処理について説明する。
図6は、データ生成制御部205によるオブジェクトタグデータの生成制御処理の手順を示すフローチャートである。
まず、データ生成制御部205は、Nに1を代入する(S1)。
そして、データ生成制御部205は、N番目のシアンバンドデータに、Cの有意の濃度値を示す画素のデータが含まれるか否かを、ビットマップデータ生成部203により各色のビットマップバンドデータを生成する際に取得される情報に基づいて判定する(S2)。データ生成制御部205は、前記画素のデータが含まれると判定した場合(S2:YES)、処理をステップS7へ進める。
【0038】
データ生成制御部205は、前記画素のデータが含まれないと判定した場合(S2:NO)、N番目のマゼンダバンドデータに、Mの有意の濃度値を有する画素のデータが含まれるか否かを判定する(S3)。データ生成制御部205は、前記画素のデータが含まれると判定した場合(S3:YES)、処理をステップS7へ進める。
【0039】
データ生成制御部205は、前記画素のデータが含まれないと判定した場合(S3:NO)、N番目のイエローバンドデータに、Yの有意の濃度値を有する画素のデータが含まれるか否かを判定する(S4)。データ生成制御部205は、前記画素のデータが含まれると判定した場合(S4:YES)、処理をステップS7へ進める。
【0040】
データ生成制御部205は、前記画素のデータが含まれないと判定した場合(S4:NO)、N番目のブラックバンドデータに、Kの有意の濃度値を有する画素のデータが含まれるか否かを判定する(S5)。データ生成制御部205は、前記画素のデータが含まれると判定した場合(S5:YES)、処理をステップS7へ進める。
【0041】
データ生成制御部205は、前記画素のデータが含まれないと判定した場合(S5:NO)、N番目のオブジェクトタグバンドは有意画素が存在しない(オブジェクトが存在しない)ものとして生成することをオブジェクトタグデータ生成部204に指示する。この指示により、オブジェクトタグデータ生成部204はN番目のバンドに対応する中間フォーマットデータに関係なく、空のオブジェクトタグバンドデータを生成する。すなわち、全ての画素の属性値が0であるバンドにする(S6)。
【0042】
データ生成制御部205は、C,M,Y,K色のビットマップバンドデータのうちの少なくとも1つのビットマップバンドデータにC,M,Y,又はKの有意の濃度値を有する画素のデータが含まれると判定した場合、N番目のオブジェクトタグバンドを生成することをオブジェクトタグデータ生成部204へ指示する。この指示により、オブジェクトタグデータ生成部204は、PDL解析部202から受け取った中間フォーマットデータに基づき、描画オブジェクトに属する画素には該描画オブジェクトの種類を表す属性値1又は2を対応付け、描画オブジェクトに属さない画素には属性値0を対応付けてN番目のバンドのオブジェクトタグデータを生成する(S7)。
【0043】
その後、データ生成制御部205はNをインクリメントし(S8)、N番目のバンドが最終バンドを超えたか否かを判定する(S9)。データ生成制御部205は最終バンドを超えていないと判定した場合(S9:NO)、処理をステップS2へ戻す。
データ生成制御部205は最終バンドを超えたと判定した場合(S9:YES)、1ページ分の生成が完了したことになるので処理を終了する。
【0044】
以上の処理を行なうことにより、図5に示すオブジェクトタグデータが得られる。
図4のオブジェクトタグと比較して、6番目のオブジェクトタグバンドデータが変化しており、有意の属性値が存在しない状態で生成されている。
以上のように、本実施の形態においては、ビットマップ画像のバンドに描画オブジェクトがない場合(白画像である場合)に、不必要となるオブジェクトタグデータを生成する処理を行うのが避けられる。そして、空のオブジェクトデータを生成することで最小限の圧縮データを生成することになるため、保存領域の消費量を低減することができる。
【0045】
なお、本実施の形態においては、グラフィックオブジェクトを示す属性値を2、テキストオブジェクトを示す属性値を1、描画オブジェクトがない画像領域の属性値を0とした場合につき説明しているがこれに限定されるものではない。描画オブジェクトがない画素の属性値を例えば1等にしてもよい。該画素にはフォントの種類を指定する情報等がないので、圧縮データ量を減じることができる。但し、前記属性値を0にした方がより圧縮データ量を減じることができるので好ましい。
【0046】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係るプリンタコントローラ101は、実施の形態1に係るプリンタコントローラ101と同様の構成を有し、データ生成制御部205による処理が実施の形態1に係るデータ生成制御部205による処理と異なる。
【0047】
図7は、本発明の実施の形態2に係るCPU104による画像処理の流れを示す機能ブロック図である。図中、図2と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施の形態においては、機能部として不要属性値除去部210を有する。
CPU104においては、PDLによって記述されたPDLデータ201が入力され、PDLデータ201はビットマップデータ及びオブジェクトタグデータに展開され、出力データ209として出力される。1ページ分の画像は、バンド毎に分割して出力される。
【0048】
PDL解析部202は、PDLで記述された1ページ分のデータから、バンド毎に中間フォーマットデータを生成してビットマップデータ生成部203とオブジェクトタグデータ生成部204へ与える。
ビットマップデータ生成部203は、PDL解析部202から入力されたバンド毎の中間フォーマットを描画データとして受け取り、RGB色情報をCMYK色情報に変換し、レンダリング処理を行なって各バンドの画像に展開する。
【0049】
オブジェクトタグデータ生成部204は、グラフィックオブジェクトに属する画素には属性値として2を、テキストオブジェクトに属する画素には1を、描画オブジェクトがない画素には0を与える。
不要属性値除去部210は、全ての色のビットマップデータ(バンドデータ)で描画オブジェクトがないライン(有意の濃度値を有する画素がないライン)につき、オブジェクトタグデータ(バンドデータ)の同一ラインに描画オブジェクトの種類を表す属性値を有する画素がある場合に、該属性値を除去(削除)する、すなわち0にする。
【0050】
以下に、データ生成制御部205及び不要属性値除去部210による不要属性値の除去処理について説明する。
図8は、データ生成制御部205及び不要属性値除去部210による不要属性値の除去処理の手順を示すフローチャートである。
【0051】
まず、データ生成制御部205は、オブジェクトタグバンド(のデータ)に有意の属性値(1又は2の属性値)を有する画素(以下、有意画素という)(のデータ)が存在するか否かを判定する(S11)。データ生成制御部205は有意画素が存在しないと判定した場合(S11:NO)、この処理を終了する。オブジェクトタグバンドに有意画素が存在するか否かの判定は、オブジェクトタグデータ生成部204でオブジェクトタグデータを生成する際に予め行っておくことにしてもよい。
【0052】
データ生成制御部205はオブジェクトタグバンドに有意画素が存在すると判定した場合(S11:YES)、不要属性値除去部210によりバンドのライン数をカウントするための変数Mを1に初期化し(S12)、オブジェクトタグバンドのM番目のラインに有意画素があるか否かを判定する(S13)。
不要属性値除去部210は、M番目のラインに属性値がないと判定した場合(S13:NO)、処理をステップS18へ進める。不要属性値除去部210は有意画素があると判定した場合(S13:YES)、ビットマップデータのC,M,Y,Kの各M番目のラインデータをOR処理したラインデータLIを作成する(S14)。
【0053】
次に、不要属性値除去部210は、オブジェクトタグバンドのM番目のラインデータLTとラインデータLIとのAND処理を行ない、ラインデータLOを作成する(S15)。これにより、C,M,Y,Kの濃度値がない画素における有意の属性値は除去される。
そして、不要属性値除去部210はラインデータLOに有意画素が存在するか否かを判定する(S16)。ラインデータに有意画素が存在すると判定した場合(S16:YES)、処理をステップS18へ進める。不要属性値除去部210はラインデータに有意画素が存在しないと判定した場合(S16:NO)、オブジェクトタグバンドのM番目のラインデータの属性値を0にし、該ラインデータを「全てオブジェクトなしデータ」に変更する(S17)。
不要属性値除去部210は次のラインを処理するためにMの値をインクリメントする(S18)。
不要属性値除去部210は、M番目のラインがバンドの高さを超えたか否かを判定する(S19)。不要属性値除去部210はバンドの高さを超えていないと判定した場合(S19:NO)、処理をステップS13へ戻す。
不要属性値除去部210はバンドの高さを超えたと判定した場合(S19:YES)、処理を終了する。
【0054】
図9は、図8のフローチャートの処理内容を示す説明図である。図9の左側は図4に示したビットマップデータの第5バンド目のC,M,Y,Kプレーンを示している。各C,M,Y,Kのバンドを構成する各ラインにつきOR処理することによりラインデータLIを得ることができる。
「LIデータ(1バンド分)」はバンドを構成する各行のラインデータLIを連続して行毎につなげたと仮定した場合に得られるイメージである。この「LIデータ(1バンド分)」の各ラインデータLIとオブジェクトタグデータの第5バンドの各ラインデータLTとをAND処理することにより、オブジェクトタグデータのラインデータLOを得ることができる。
「LOデータ(1バンド分)」はバンドを構成する各行のラインデータLOを連続して行毎につなげたと仮定した場合に得られるイメージである。
【0055】
データ変更部210により上記の処理を行なった後、オブジェクトタグデータは圧縮して保存される。
本実施の形態においては、オブジェクトタグデータのラインのうち、ビットマップデータのC,M,Y,Kのいずれの濃度値もないラインと同一行のラインについて、属性値を0にすることにより圧縮時のデータ量を低減することができ、保存領域の消費量を低減することができる。
【0056】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係るプリンタコントローラ101は、実施の形態1に係るプリンタコントローラ101と同様の構成を有し、CPU104によるビットマップデータ及びオブジェクトタグデータの圧縮、保存(記憶)、伸張の処理が、実施の形態1に係るCPU104によるビットマップデータ及びオブジェクトタグデータの圧縮、保存、伸張の処理と異なる。
【0057】
図10は、本発明の実施の形態3に係るCPU104による画像処理の流れを示す機能ブロック図である。図中、図2と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施の形態においては、機能部として、オブジェクトタグヘッダ生成部211、ビットマップデータ圧縮制御部212、及びオブジェクトタグヘッダ解析部213をさらに備える。
CPU104においては、PDLによって記述されたPDLデータ201が入力され、PDLデータ201はビットマップデータ及びオブジェクトタグデータに展開されて、出力データ209として出力される。1ページ分の画像は、バンド毎に分割して出力される。
【0058】
PDL解析部202は、PDLで記述された1ページ分のデータから、バンド毎に中間フォーマットデータを生成してビットマップデータ生成部203とオブジェクトタグデータ生成部204へ与える。
ビットマップデータ生成部203は、PDL解析部202から入力されたバンド毎の中間フォーマットを描画データとして受け取り、RGB色情報をCMYK色情報に変換し、レンダリング処理を行なって各バンドの画像に展開し、データ生成制御部205及びビットマップデータ圧縮制御部212へ与える。
【0059】
オブジェクトタグデータ生成部204は、グラフィックオブジェクトに属する画素には属性値として2を、テキストオブジェクトに属する画素には1を、描画オブジェクトがない画素には0を与える。
オブジェクトタグヘッダ生成部211は、オブジェクトタグヘッダ構造体のメンバ変数「Blank Band」に対する値を設定する。
ビットマップデータ圧縮制御部212は、オブジェクトタグバンドが空のバンドである場合、シアンバンドのデータのみ圧縮・保存する。
オブジェクトタグヘッダ解析部213は、オブジェクトタグバンドが空のバンドである場合、シアンバンドデータのみ伸張し、得られたデータCをシアンバンド、マゼンダバンド、イエローバンド、ブラックバンドのデータとして出力する。
【0060】
以下に、オブジェクトタグヘッダ生成部211による「Blank Band」値の設定処理について説明する。
図11は、オブジェクトタグヘッダ構造体を示す図である。
オブジェクトタグヘッダ生成部211は、データ生成制御部205が、図6に示すフローチャートの「N番目のオブジェクトタグバンドを属性値0のバンドに」(S6)及び「N番目のオブジェクトタグバンドを生成」(S7)のいずれの処理を行ったかを判定して、オブジェクトタグヘッダ構造体のメンバ変数「Blank Band」に対する値を設定する。
【0061】
図12は、オブジェクトタグヘッダ生成部211による「Blank Band」値の設定処理の手順を示すフローチャートである。
まず、オブジェクトタグヘッダ生成部211は、N番目のオブジェクトタグバンドとして属性値0のバンド(空のオブジェクトタグバンド)を生成するように指示されたか否かを判定する(S21)。
オブジェクトタグヘッダ生成部211は、空のオブジェクトタグバンドを生成するように指示されていないと判定した場合(S21:NO)、変数「Blank Band」として「FALSE」を設定し(S22)、指示されたと判定した場合(S21:YES)、変数「Blank Band」として「TRUE」を設定する(S23)。オブジェクトタグヘッダ生成部211は、このオブジェクトタグヘッダ構造体を、オブジェクトタグデータ生成部204で生成されたN番目のバンドデータとともに圧縮部206で圧縮して記録部207に記録する(S24)。
【0062】
次に、ビットマップデータ圧縮制御部212によるビットマップデータの圧縮・保存の処理について説明する。
図13は、ビットマップデータ圧縮制御部212によるビットマップデータの圧縮・保存の処理の手順を示すフローチャートである。
まず、ビットマップデータ圧縮制御部212は、N番目のシアンバンド(データ)を圧縮して保存し(S31)、N番目のオブジェクトタグバンドとして空のオブジェクトタグバンドの生成を指示されたか否かを判定する(S32)。
ビットマップデータ圧縮制御部212は、前記生成を指示されていないと判定した場合(S32:NO)、N番目のマゼンタバンド、イエローバンド、ブラックバンド(データ)を順次圧縮して保存する処理を行い(S33,S34,S35)、処理を終了する。前記生成を指示されていると判定した場合(S32:YES)、マゼンタ、イエロー、ブラックのバンドは圧縮・保存を行なわずに処理を終了する。これは、各色とも同一解像度、同一階調であれば描画オブジェクトがない場合、どのプレーンも同じデータが生成されるため、1色分のデータを圧縮・保存するのみで十分であるからである。
【0063】
次に、オブジェクトタグヘッダ解析部213による伸張・出力の処理について説明する。
図14は、オブジェクトタグヘッダ解析部213による伸張・出力の処理の手順を示すフローチャートである。
まず、オブジェクトタグヘッダ解析部213は、圧縮されたN番目のオブジェクトタグバンドデータを伸張部208により伸張し、出力する(S41)。
その後、オブジェクトタグヘッダ解析部213は、N番目のシアンバンドデータを伸張し、これをデータCとしておくとともに(S42)、N番目のシアンバンドデータとして出力する(S43)。
【0064】
そして、オブジェクトタグヘッダ解析部213は、S41で伸張したオブジェクトタグバンドとともに取り出されたオブジェクトタグヘッダ構造体の「Blank Band」の値が「TRUE」であるか否かを判定する(S44)。
オブジェクトタグヘッダ解析部213は「FALSE」であると判定した場合(S44:NO)、記憶部207から圧縮されたN番目のマゼンタ、イエロー、ブラックバンド(データ)をそれぞれ伸張して出力し(S45,S46,S47)、処理を終了する。
オブジェクトタグヘッダ解析部213は「TRUE」であると判定した場合(S44:YES)、データCをそれぞれ伸張されたマゼンタ、イエロー、ブラックバンド(データ)として出力し(S48,S49,S50)、処理を終了する。
【0065】
以上のように、本実施の形態においては、空のオブジェクトタグバンドを生成する場合、1色分のビットマップデータ(バンドデータ)を圧縮・保存することにより、ビットマップデータの冗長な保存を避けることができるのみならず、伸張処理も1色分のバンドデータのみ行い、得られたデータCを用いて他色の出力処理も行うので、伸張処理も短縮化でき、パフォーマンスが向上する。
【0066】
実施の形態4.
本発明の実施の形態4に係るプリンタコントローラ101は、実施の形態1に係るプリンタコントローラ101と同様の構成を有し、外部装置で既にページ毎に各色版のビットマップデータとオブジェクトタグデータが生成され、該データが入力I/Fを通じて受信される点が異なり、CPU104による処理が実施の形態1に係るCPU104による処理と異なる。このプリンタコントローラ101及び出力装置110を備えるプリンタは、ホストベースプリンタと呼ばれている。
【0067】
図15は、本実施の形態4に係るCPU104による画像処理の流れを示す機能ブロック図である。
図中、301はビットマップデータ及びオブジェクトタグデータ、302は入力データ判別部、303はオブジェクトタグデータ変更部、304はデータ変更制御部、305は圧縮部、306は記憶部、307は伸張部、308は出力データである。CPU104においては、ビットマップデータ及びオブジェクトタグデータ301が入力され、オブジェクトタグデータが必要に応じ変更されて、出力データ308として出力される。
【0068】
入力データ判別部302は、入力されたビットマップデータ及びオブジェクトタグデータ301を選別し、バンド毎に分割してビットマップデータはデータ生成制御部304及び圧縮部305へ、オブジェクトタグデータはオブジェクトタグデータ変更部303へ与える。ビットマップデータは各画素にCMYK色情報(0〜255の階調値)を有し、オブジェクトタグデータは、グラフィックオブジェクトに属する画素には属性値として2を、テキストオブジェクトに属する画素には1を、描画オブジェクトがない画素には0を有する。
【0069】
データ変更制御部304は、各色のビットマップデータ(バンドデータ)に有意画素がない場合に、対応するバンドのオブジェクトタグデータをオブジェクトタグデータ変更部303により空のオブジェクトタグバンドに変更する。
その後、各ビットマップデータ及びオブジェクトタグデータは、圧縮部305にてデータが圧縮され、記憶部306に一旦蓄えられた後、印刷が行なわれる際、伸張部307でデータが元に戻され、出力データ308として出力される。
【0070】
以下に、データ変更制御部304によるオブジェクトタグデータの変更制御処理について説明する。
図16は、データ変更制御部304によるオブジェクトタグデータの変更制御処理の手順を示すフローチャートである。
まず、データ変更制御部304は、Nに1を代入する(S51)。
そして、データ変更制御部304は、N番目のシアンバンドデータに、Cの有意の濃度値を示す画素のデータが含まれるか否かを判定する(S52)。データ変更制御部304は、前記画素のデータが含まれると判定した場合(S52:YES)、処理をステップS57へ進める。
【0071】
データ変更制御部304は、前記画素のデータが含まれないと判定した場合(S52:NO)、N番目のマゼンダバンドデータに、Mの有意の濃度値を有する画素のデータが含まれるか否かを判定する(S53)。データ変更制御部304は、前記画素のデータが含まれると判定した場合(S53:YES)、処理をステップS57へ進める。
【0072】
データ変更制御部304は、前記画素のデータが含まれないと判定した場合(S53:NO)、N番目のイエローバンドデータに、Yの有意の濃度値を有する画素のデータが含まれるか否かを判定する(S54)。データ変更制御部304は、前記画素のデータが含まれると判定した場合(S54:YES)、処理をステップS57へ進める。
【0073】
データ変更制御部304は、前記画素のデータが含まれないと判定した場合(S54:NO)、N番目のブラックバンドデータに、Kの有意の濃度値を有する画素のデータが含まれるか否かを判定する(S55)。データ変更制御部304は、前記画素のデータが含まれると判定した場合(S55:YES)、処理をステップS57へ進める。
【0074】
データ変更制御部304は、前記画素のデータが含まれないと判定した場合(S55:NO)、N番目のオブジェクトタグバンドは有意画素が存在しないものに変更することをオブジェクトタグデータ変更部303に指示する。この指示により、オブジェクトタグデータ変更部303はオブジェクトタグバンドを空のオブジェクトタグバンドに変更する。すなわち、全ての画素の属性値が0であるバンドに変更する(S56)。
【0075】
データ変更制御部304は、C,M,Y,K色のビットマップバンドデータのうちの少なくとも1つのビットマップバンドデータにC,M,Y,又はKの有意の濃度値を有する画素のデータが含まれる場合、オブジェクトタグデータ変更部303にN番目のオブジェクトタグバンドは変更しないように指示する(S57)。
【0076】
その後、データ変更制御部304はNをインクリメントし(S58)、N番目のバンドが最終バンドを超えたか否かを判定する(S59)。データ変更制御部304は最終バンドを超えていないと判定した場合(S59:NO)、処理をステップS52へ戻す。
データ変更制御部304は、最終バンドを超えたと判定した場合(S59:YES)、1ページ分の生成が完了したことになるので処理を終了する。
【0077】
以上のように、本実施の形態においては、ビットマップデータのバンドに描画オブジェクトがない場合(白画像である場合)、不必要となる同一バンドのオブジェクトタグデータを空のデータに変更するので、後段の圧縮処理時に最小限の圧縮データを生成することができ、記憶部306の保存領域の消費量を低減することができる。
【0078】
実施の形態5.
本発明の実施の形態4に係るプリンタコントローラ101は、実施の形態4に係るプリンタコントローラ101と同様の構成を有し、データ変更制御部304によるデータ変更の処理が実施の形態4に係るデータ変更の処理と異なる。
【0079】
図17は、本発明の実施の形態5に係るCPU104による画像処理の流れを示す機能ブロック図である。図中、図15と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施の形態においては、機能部としてオブジェクトタグデータ変更部303に代えて、不要属性値除去部309を有する。
【0080】
以下に、データ変更制御部304及び不要属性値除去部309による不要属性値の除去処理について説明する。
図18は、データ変更制御部304及び不要属性値除去部309による不要属性値の除去処理の手順を示すフローチャートである。
【0081】
まず、データ変更制御部304は、オブジェクトタグバンド(のデータ)に有意の属性値(1又は2の属性値)を有する画素(以下、有意画素という)(のデータ)が存在するか否かを判定する(S61)。データ変更制御部304は有意画素が存在しないと判定した場合(S61:NO)、この処理を終了する。
【0082】
データ変更制御部304はオブジェクトタグバンドに有意画素が存在すると判定した場合(S61:YES)、不要属性値除去部309によりバンドのライン数をカウントするための変数Mを1に初期化し(S62)、オブジェクトタグバンドのM番目のラインに有意画素があるか否かを判定する(S63)。
不要属性値除去部309は、M番目のラインに有意画素がないと判定した場合(S63:NO)、処理をステップS68へ進める。不要属性値除去部309は有意画素があると判定した場合(S63:YES)、ビットマップデータのC,M,Y,Kの各M番目のラインデータをOR処理したラインデータLIを作成する(S64)。
【0083】
次に、不要属性値除去部309は、オブジェクトタグバンドのM番目のラインデータLTとラインデータLIとのAND処理を行ない、ラインデータLOを生成する(S65)。これにより、C,M,Y,Kの濃度値がない画素における有意の属性値は削除される。
そして、不要属性値除去部309はラインデータLOに有意画素が存在するか否かを判定する(S66)。ラインデータに有意画素が存在すると判定した場合(S66:YES)、処理をステップS68へ進める。不要属性値除去部309はラインデータに有意画素が存在しないと判定した場合(S66:NO)、オブジェクトタグバンドのM番目のラインデータの属性値を0にし、該ラインデータを「全てオブジェクトなしデータ」に変更する(S67)。
【0084】
不要属性値除去部309は次のラインを処理するためにMの値をインクリメントする(S68)。
不要属性値除去部309は、M番目のラインがバンドの高さを超えたか否かを判定する(S69)。不要属性値除去部309はバンドの高さを超えていないと判定した場合(S69:NO)、処理をステップS63へ戻す。
不要属性値除去部309はバンドの高さを超えたと判定した場合(S69:YES)、処理を終了する。
【0085】
不要属性値除去部309により上記の処理を行なった後、オブジェクトタグデータは圧縮して保存される。
本実施の形態においては、オブジェクトタグデータのラインのうち、ビットマップデータのC,M,Y,Kのいずれの濃度値もないラインと同一行のラインについて、属性値を0にするので圧縮時のデータ量を低減することができ、保存領域の消費量を低減することができる。
【0086】
なお、前記実施の形態1乃至5においては、ビットマップデータのプレーンとしてCMYKのプレーンを用いた場合につき説明しているがこれに限定されるものではない。RGB等の他の表色系データを用いることができる。
【0087】
本発明は上述した実施の形態1乃至5の内容に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
101 プリンタコントローラ
102 PC
103 I/F
104 CPU
105 表示パネル
106 ビデオI/F
107 ROM
108 RAM
109 HDD
110 出力装置
201 PDLデータ
202 PDL解析部
203 ビットマップデータ生成部
204 オブジェクトタグデータ生成部
205 データ生成制御部
206、305 圧縮部
207、306 記憶部
208、307 伸張部
209、308 出力データ
210、309 不要属性値除去部
211 オブジェクトタグヘッダ生成部
212 ビットマップデータ圧縮制御部
213 オブジェクトタグヘッダ解析部
301 ビットマップデータ及びオブジェクトタグデータ
302 入力データ判別部
303 オブジェクトタグデータ変更部
304 データ変更制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
描画オブジェクトを示すデータを含む入力画像データに基づいて、マトリクス状に配された画素からなる画像の画素に、印刷のための色空間の各色の濃度値を対応付けた色毎の色画像のデータを生成する手段を備える画像処理装置において、
画像を分割してなる画像領域毎に、各色画像が有意の濃度値を対応付けた画素を含むか否かを判定する判定手段と、
該判定手段により前記画素を含むと判定した画像領域について、前記画素に描画オブジェクトの種類を表す属性値を対応付けた属性値画像のデータを生成する手段と、
前記判定手段により全ての色画像が前記画素を含まないと判定した画像領域について、全ての画素に他の属性値を対応付けた属性値画像のデータを生成する手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記判定手段により全ての色画像が前記画素を含まないと判定した画像領域については、1色の色画像のデータのみ圧縮して記憶する手段と、
該手段により圧縮して記憶した前記データを伸張して出力する手段と、
該データを他色の色画像のデータとして出力する手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
マトリクス状に配された画素からなり、複数の画素により描画オブジェクトが構成された画像の画素に、印刷のための色空間の各色の濃度値を対応付けた色毎の色画像のデータ、及び描画オブジェクトに属する画素には該描画オブジェクトの種類を表す属性値を対応付け、描画オブジェクトに属さない画素には他の属性値を対応付けた属性値画像のデータが入力される画像処理装置において、
画像を分割してなる画像領域毎に、各色画像が有意の濃度値を対応付けた画素を含むか否かを判定する判定手段と、
該判定手段により全ての色画像が前記画素を含まないと判定した画像領域について、属性値画像のデータを全ての画素に前記他の属性値を対応付けたデータに変更する手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
前記画像領域は、画像を行方向に複数に分割した帯状の領域であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
描画オブジェクトを示すデータを含む入力画像データに基づいて、マトリクス状に配された画素からなる画像の画素に、印刷のための色空間の各色の濃度値を対応付けた色毎の色画像のデータを生成する手段、及び描画オブジェクトに属する画素には該描画オブジェクトの種類を表す属性値を対応付け、描画オブジェクトに属さない画素には他の属性値を対応付けた属性値画像のデータを生成する手段を備える画像処理装置において、
画像を行方向に複数分割してなる帯状の画像領域毎に、描画オブジェクトの種類を表す属性値を対応付けた画素を含むか否かを判定する手段と、
該手段により画像領域に前記画素が含まれると判定した場合に、行毎に、少なくとも1色の有意の濃度値を対応付けた画素が含まれるか否かを判定する手段と、
該手段により前記画素が含まれないと判定した行に、描画オブジェクトの種類を表す属性値を対応付けた画素がある場合に、前記属性値を前記他の属性値に変更する手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
マトリクス状に配された画素からなり、複数の画素により描画オブジェクトが構成された画像の画素に、印刷のための色空間の各色の濃度値を対応付けた色毎の色画像のデータ、及び描画オブジェクトに属する画素には該描画オブジェクトの種類を表す属性値を対応付け、描画オブジェクトに属さない画素には他の属性値を対応付けた属性値画像のデータが入力される画像処理装置において、
画像を行方向に複数分割してなる帯状の画像領域毎に、描画オブジェクトの種類を表す属性値を対応付けた画素を含むか否かを判定する手段と、
該手段により画像領域に前記画素が含まれると判定した場合に、行毎に、少なくとも1色の有意の濃度値を対応付けた画素が含まれるか否かを判定する手段と、
該手段により前記画素が含まれないと判定した行に、描画オブジェクトの種類を表す属性値を対応付けた画素がある場合に、前記属性値を前記他の属性値に変更する手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−15904(P2012−15904A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152140(P2010−152140)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】