説明

画像処理装置

【課題】1台の画像処理装置で印刷用の画像データを生成する画像処理をより高速に行う。
【解決手段】主画像処理部および少なくとも1つの従画像処理部を備え、主画像処理部は、ジョブ受付部が受付けた印刷ジョブの画像情報量が閾値を超えていると判定したとき、画像データ出力部からラスタ画像データを出力して従画像処理部にも分割画像データを生成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の画像処理チップを搭載する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像処理装置は、巨大な画像データの印刷ジョブを受けた場合に、その印刷ジョブに基づいて印刷用の画像データを生成する画像処理をネットワークに接続された別の装置に分散させて行うことにより、画像処理をより速く行うようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−123321号公報(段落「0029」〜段落「0046」、図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、印刷用の画像データを生成する画像処理をより速く行うために、ネットワークに接続された別の装置が必要となり、ネットワークに接続された別の装置が存在しない場合、画像処理をより速く行うことができないという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、1台の画像処理装置で印刷用の画像データを生成する画像処理をより高速に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明は、受付けた印刷ジョブの画像処理を行う画像処理装置において、主画像処理部および少なくとも1つの従画像処理部を備え、前記主画像処理部は、印刷ジョブを受付け、その印刷ジョブをジョブ情報と画像情報とに展開するジョブ受付部と、前記画像情報からラスタ画像データを生成する編集処理部と、前記ラスタ画像データを出力する画像データ出力部と、前記ラスタ画像データから色毎に分割された分割画像データを生成する主分散処理部と、前記画像データ出力部から出力されたラスタ画像データから色毎に分割された分割画像データを入力する分割画像データ入力部と、前記主分散処理部で生成された分割画像データと、前記分割画像データ入力部から入力した分割画像データとから画像形成データを生成する分割画像処理部とを有し、前記従画像処理部は、前記画像データ出力部から出力された前記ラスタ画像データを入力する画像データ入力部と、前記画像データ入力部で入力された前記ラスタ画像データから色毎に分割された分割画像データを生成する従分散処理部と、前記従分散処理部で生成された前記分割画像データを出力する分割画像データ出力部とを有し、前記主画像処理部は、前記ジョブ受付部が受付けた印刷ジョブの画像情報量が閾値を超えていると判定したとき、前記画像データ出力部から前記ラスタ画像データを出力して前記従画像処理部にも前記分割画像データを生成させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、1台の画像処理装置で印刷用の画像データを生成する画像処理をより高速に行うことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施例におけるASICの構成を示すブロック図
【図2】第1の実施例における画像処理装置の構成を示すブロック図
【図3】第1の実施例における画像処理装置の電源投入処理を示すフローチャート
【図4】第1の実施例におけるメインASICの画像処理を示すフローチャート
【図5】第1の実施例におけるメインASICの編集処理を示すフローチャート
【図6】第1の実施例における分散処理を示すフローチャート
【図7】第1の実施例におけるメインASICの分割処理を示すフローチャート
【図8】第1の実施例におけるメインASICが単体で行う分散処理を示すフローチャート
【図9】第1の実施例におけるメインASICが単体で行う分割処理を示すフローチャート
【図10】第1の実施例におけるサブASICの画像形成処理を示すフローチャート
【図11】第2の実施例における画像処理装置の構成を示すブロック図
【図12】第2の実施例におけるASICの構成を示すブロック図
【図13】第2の実施例における分散処理を示すフローチャート
【図14】第2の実施例におけるメインASICおよびサブASICの分割処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明による画像処理装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0009】
図2は第1の実施例における画像処理装置の構成を示すブロック図である。
図2において、画像処理装置としてのプリンタ101は、LAN(Local Area Network)等のネットワーク102を介して上位装置としてのPC(Personal Computer)103に通信可能に接続されている。
【0010】
プリンタ101は、内部に、ネットワーク102を介してPC103から受信した印刷命令(ジョブデータ)および画像データ等で構成される印刷ジョブにしたがって4色の現像剤で印刷するための画像形成データを生成する画像処理を行う主画像処理部としてのメインASIC(Application Specific Integrated Circuit)110と、そのメインASIC110が受信した印刷ジョブの画像処理の一部を受け持つ少なくとも1つに従画像処理部としてのサブASIC111と、メインASIC110から画像形成データを受け、画像形成を行う4個の画像形成部112と、メインASIC110と接続された記憶手段としてのメモリ150とにより構成されている。
【0011】
メインASIC110およびサブASIC111の内部構成は同じものであり、モード設定信号113がプルアップまたはプルダウンのどちらかになっているかでメインASIC110とサブASIC111は切り替わる。
【0012】
メインASIC110は、生成した画像形成データを出力する4連の端子を有し、それぞれの端子はそれぞれの画像形成部112と接続されている。したがって、それぞれの画像形成部112は、メインASIC110から生成された画像形成データを入力する。なお、メインASIC110とサブASIC111との間は各種信号線により接続さている。
【0013】
図1は第1の実施例におけるASICの構成を示すブロック図である。
図1において、ASIC120は、図2におけるメインASIC110およびサブASIC111として共通に使われる同種類のチップである。このASIC120は、ジョブ受付部121と、編集処理部122と、分散処理部123と、4個の分割画像処理部124と、メモリコントローラ125と、編集済みデータ出力部126と、編集済みデータ入力部127と、分割画像データ出力部128と、分割画像データ入力部129と、4個の分割画像データ選択部130と、データサイズ判定部131と、分散処理振り分け部132と、分散処理制御部133と、モード切替部134と、フロー制御部135とにより構成されている。
【0014】
ジョブ受付部121は、ネットワーク102を介してプリンタ101に対する印刷ジョブとしてのジョブデータ(ジョブ情報)およびPDL(Page Description Language:ページ記述言語)等により記述された画像データ(画像情報)を受信し、メモリコントローラ125を介して外部のメモリ150にジョブデータおよび画像データに展開して保存する。
【0015】
ジョブ受付部121は、受信したジョブデータに基づいて受信した画像データのサイズ(画像情報量)が所定のサイズ(閾値)、例えば1Mバイト以下であるか否かの判定をデータサイズ判定部131に依頼し、その判定結果に基づき、画像データが所定のサイズ以下である場合には、当該ASIC120でその画像データの画像データ変換処理を行うこととし、分散処理振り分け部132に対して単独のASIC120で画像処理を行うための動作設定を行う。
【0016】
一方、画像データが所定のサイズより大きい場合には、プリンタ101に搭載された別のASIC120との間で分散して画像データ変換処理を行うこととし、そのために分散処理振り分け部132に分散して画像処理を行うための動作設定を行う。
ジョブ受付部121は、ネットワーク102により印刷ジョブを受信すると、その印刷ジョブをジョブデータと画像データとに分離してメモリコントローラ125を介して外部のメモリ150に格納し、画像処理部122に対して編集処理を開始するように指示する。
【0017】
データサイズ判定部131は、ジョブデータ受付部121が受信した印刷ジョブのジョブデータを解析し、画像データのサイズが所定のサイズ、例えば1Mバイト以下であるか否かを判定し、その判定結果をジョブ受付部121へ戻し、ジョブ受付部121は戻された判定結果を分散処理振り分け部132へ通知する。
【0018】
分散処理振り分け部132は、画像データのサイズの判定結果を受け、編集済みデータ出力部126、編集済みデータ入力部127、分割画像データ出力部128、および分割画像データ選択部130に対して分散処理フラグを立てて(分散処理が必要であることを示す信号として)出力する。また、分散処理振り分け部132は、編集処理部122よりページ処理開始タイミング信号を受け取って分散処理部123にタイミング信号を出力する。なお、本実施例において、「フラグ」とは、情報を通知する信号であり、「フラグを立てる(Highレベルにする)」または「フラグを落とす(Lowレベルにする)」ことにより、二つの情報を通知することができるものである。
【0019】
この分散処理フラグおよびタイミング信号はASIC120の外部にも出力され、出力された分散処理フラグおよびタイミング信号を入力した別のASIC120も同様にASIC120の内部の各部に出力することができるようになっている。
【0020】
編集処理部122は、ジョブ受付部121からの編集処理開始指示を受け、メモリコントローラ125を介して外部のメモリ150から画像データを読み出し、編集処理を実行してページ単位で分割され、RGB(Red、Green、Blue)空間で表現されたラスタ画像データである編集済みデータを生成する。なお、この編集処理は、ジョブごとに固有であり、処理を分散して実行することが不可能な処理である。
【0021】
編集処理部122は、生成した編集済みデータを外部のメモリ150に書き込み、またページ単位で編集済みのデータのメモリ150への書き込みが完了すると、ページ処理開始タイミング信号を出力する。この編集処理部122は、例えばプログラム(ソフトウェア)として実現される。
【0022】
分散処理部123は、編集済みデータを外部のメモリ150から読み出し、ページ単位で分散処理と色変換処理を行い、RGB空間で表現されていたラスタ画像データをCMYK空間に変換する。分散処理部123は、その処理結果としてC(シアン)色、M(マゼンタ)色、Y(イエロー)色、K(ブラック)色の色毎に4分割された分割画像データを出力する。
【0023】
分割画像処理部124は、C色、M色、Y色、K色に対応して4個存在し、それぞれが分割画像データに対して個別の処理を行ってASIC120の外部の画像形成部112で画像形成するために必要なドット画像形成データに変換して出力する。
分割処理制御部133は、分割画像処理部124および分割画像データ入力部129の動作を制御する。
メモリコントローラ125は、ASIC120内の各処理部が外部のメモリ150との間でデータの授受を行うためのインターフェース部である。
【0024】
画像データ出力部としての編集済みデータ出力部126は、分散処理振り分け部132より分散処理フラグを受け取っている場合、タイミング信号に合わせてメモリコントローラ125を介して編集済みデータを読み出し、その編集済みデータをASIC120の外部(例えば、サブASIC)に出力する。
【0025】
画像データ入力部としての編集済みデータ入力部127は、分散処理振り分け部132より分散処理フラグを受け取っている場合、ASIC120の外部(例えば、メインASIC)から編集済みデータを入力してメモリコントローラ125を介してその編集済みデータを外部のメモリ150に書き込む。
【0026】
分割画像データ出力部128は、分散処理振り分け部132より受け取ったタイミング信号に合わせて分散処理部123よりC色の画像データ、M色の画像データ、Y色の画像データ、K色の画像データを受け取り、そのC色の画像データ、M色の画像データ、Y色の画像データ、K色の画像データをASIC120の外部(例えば、メインASIC)に出力する。
【0027】
分割画像データ入力部129は、分散処理振り分け部132より分散処理フラグを受け取っている場合、ASIC120の外部(例えば、サブASIC)からC色、M色、Y色、K色の分割画像データを入力し、その4色の分割画像データをC色、M色、Y色、K色に対応する分割画像データ選択部130へ出力する。なお、分割画像データ入力部129が入力する分割画像データは、分割画像データ出力部128から出力された画像データから生成されたものである。
【0028】
分割画像データ選択部130は、分散処理振り分け部132より受けた分散処理フラグが立っている(分散処理が必要であることを示す信号)場合、分散処理部123または分割画像データ入力部129から分割画像データを入力し、分散処理振り分け部132より受けた分散処理フラグが落ちている(分散処理が不要であることを示す信号)場合、分散処理部123から分割画像データを入力し、その分割画像データを分割画像処理部124へ出力する。
【0029】
したがって、分割画像処理部124は、メインASIC120の主分散処理部で生成された分割画像データと、分割画像データ入力部129を介してサブASIC120から入力した分割画像データとから画像形成データを生成する。
【0030】
モード切替部134は、モード設定信号113を外部入力端子から入力し、ASIC120のリセット解除後のモード設定信号113の入力電位を検出してメインASICとして動作するかサブASICとして動作するかの判定を行い、その判定の結果をフロー制御部135へ通知する。
【0031】
フロー制御部135は、ASIC120の内部の各機能部に対して処理の開始、終了、および設定を指示することにより、画像処理の流れとしての処理フローを制御する。その制御のために、分散処理フラグ、ページ編集処理終了フラグ、全編集処理完了フラグ、メインASICの分散処理中フラグ、サブASICの分散処理中フラグ、メインASICの分散処理完了フラグ、サブASICの分散処理完了フラグ、および分割処理完了フラグを処理フローに合わせて出力する。
また、フロー制御部135は、ページ数カウンタを備え、現在のページ数カウント値を出力する。さらに、フロー制御部135は、ASIC120の外部に、サブASICの電源を切断するサブASICパワーオフ信号136を出力する。
【0032】
このように構成されたメインASIC120は、ジョブ受付部121が受付けた印刷ジョブの画像情報量が閾値を超えていると判定したとき、編集済みデータ出力部126からラスタ画像データを出力してサブASICにも分割画像データを生成させ、画像処理を分散して行う。
なお、メインASIC120の編集処理部122を主編集処理部、分散処理部123を主分散処理部、分割画像処理部124を主画像分割処理部、サブASIC120の編集処理部122を従編集処理部、分散処理部123を従分散処理部、分割画像処理部124を従画像分割処理部とする。
【0033】
上述した構成の作用について説明する。
まず、ASICが行う電源投入処理を図3の第1の実施例における画像処理装置の電源投入処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図1を参照しながら説明する。
ユーザの操作によりプリンタ101の電源が投入され、複数のASIC120のリセット信号が解除されると、複数のASIC120の動作が開始される。
【0034】
S1:それぞれのASIC120内のモード切替部133は、モード設定信号113の入力電位を検出してメインASICとして動作するか、サブASICとして動作するかを判定し、その判定の結果をフロー制御部135に出力する。例えば、図2に示すプリンタ101中のメインASIC110では、モード設定信号113が+3.3Vにプルアップされているため、メインASICであると判定し、またプリンタ101中のサブASIC111では、モード設定信号113がグラウンドにプルダウンされているため、サブASICであると判定する。
【0035】
S2:フロー制御部135は、入力された判定結果が、メインASICであった場合、処理をS3へ移行し、サブASICであった場合、処理をS4へ移行する。
S3:フロー制御部135は、メインASICの処理フローを実行する。なお、フロー制御部135は、ASIC120の電源が切断されるまでメインASICとして動作し続ける。
S4:フロー制御部135は、サブASICの処理フローを実行する。なお、フロー制御部135は、ASIC120の電源が切断されるまでサブASICとして動作し続ける。
【0036】
次に、メインASICが行う処理フローとしての画像処理を図4の第1の実施例におけるメインASICの画像処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図1を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、メインASIC120は図2に示すメインASIC110、サブASIC120は図2に示すサブASIC111を示すものとする。
【0037】
S11:メインASIC120のジョブ受付部121は、印刷ジョブとしてジョブデータおよび画像データを受信し、ジョブデータと画像データとを分離して外部のメモリ150に格納する。ジョブ受付部121は、それと同時に、データサイズ判定部131へジョブデータを出力し、そのジョブデータを入力したデータサイズ判定部131は画像データのサイズが所定のサイズ、例えば1Mバイト以下であるか否かを判定し、その判定の結果をフロー制御部135に出力する。
【0038】
S12:フロー制御部135は、データサイズ判定部131の画像データのサイズの判定結果が、所定のサイズ(例えば、1Mバイト)以下である場合、処理をS14へ移行し、所定のサイズ(例えば、1Mバイト)より大きい場合、処理をS13へ移行する。
S13:フロー制御部135は、分散処理を行うことをメインASIC120内の各処理部およびサブASICへ伝えるために、分散処理フラグを立てて出力する。また、フロー制御部135は、サブASICパワーオフ信号136を出力している場合、その出力を停止することで図示しない基板上の回路によりサブASICの電源を投入し、処理をS15へ移行する。
【0039】
S14:フロー制御部135は、分散処理を行わないことをメインASIC120内の各処理部およびサブASICへ伝えるために、分散処理フラグを落として出力する。また、フロー制御部135は、サブASICの電源を切断するため、サブASICパワーオフ信号136を出力し、図示しない基板上の回路によりサブASICの電源を切断し、処理をS15へ移行する。
【0040】
S15:フロー制御部135は、編集処理部122に対して外部のメモリ150よりジョブデータを読み出し、そのジョブデータで設定された設定値に合わせて編集処理パラメータを設定するように指示する。その指示を受けた編集処理部122は、ジョブデータを解析し、編集処理パラメータを設定するとともに、フロー制御部135にページ数情報を出力する。
【0041】
ページ数情報が入力されたフロー制御部135は、ジョブ処理の経過に関する情報であるページ編集処理終了フラグ、全編集処理完了フラグ、メインASICの分散処理中フラグ、サブASICの分散処理中フラグ、メインASICの分散処理完了フラグ、サブASICの分散処理完了フラグ、分割処理完了フラグを落として初期化する。
S16:フロー制御部135は、編集処理部122に対して編集処理の実行の開始を指示して編集処理を起動する。
【0042】
ここで、メインASICが行う編集処理を図5の第1の実施例におけるメインASICの編集処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図1を参照しながら説明する。
S101:編集処理部122は、全編集処理完了フラグが立っているか否かを判定し、そのフラグが、立っている場合は編集処理を終了し、落ちている場合は処理をS102へ移行し、編集処理を継続する。
【0043】
S102:編集処理部122は、外部のメモリ150から画像データを読取り、編集処理パラメータに合わせてページ毎(ページ単位)のラスタデータである編集済みデータへと変換し、その編集済みデータを外部のメモリ150へ書き戻す処理を行う。
S103:編集処理部122は、1ページ分の編集済みデータが生成されるまでS102の処理を継続して行い、1ページ分の編集済みデータを生成すると処理をS104へ移行する。
【0044】
S104:編集処理部122は、ページ編集処理終了フラグが立っているか否かを判定し、そのフラグが、立っている場合はS105へ移行し、落ちている場合は処理をS106へ移行する。
【0045】
S105:編集処理部122は、ページ編集処理終了フラグを二重に立ててしまうことを防ぐため、すなわち既に生成されている1ページ分の編集済みデータの処理が完了するまで待機する。編集処理部122は、ページ編集処理終了フラグが落ちていることを確認すると処理をS106へ移行する。
S106:編集処理部122は、ページ編集処理終了フラグを立てるようにフロー制御部135へ要求し、またページ数カウンタの値を「−1」するようにフロー制御部135へ要求する。その要求をした後、S107へ移行する。
【0046】
S107:編集処理部122は、フロー制御部135から出力されるページ数カウンタの現在の値が「0」あるか否かを判定し、現在の値が、「0」である場合は全ページの編集処理が完了したとして処理をS108へ移行し、「0」でない場合は処理をS102へ移行して編集処理を継続する。
S108:全ページの編集処理が完了したと判定した編集処理部122は、フロー制御部135に対して全編集処理完了フラグを立てるように要求して編集処理を終了する。
【0047】
編集処理の説明を終了し、図4の説明に戻る。
S17:フロー制御部135は、分散処理フラグが立っているか否かを判定し、そのフラグが、立っていた場合は処理をS18へ移行し、落ちていた場合は処理をS20へ移行する。
S18:分散処理フラグが立っていると判定したフロー制御部135は、分散処理部123に対してメインASICとサブASICとで共同して分散処理を実行するように指示し、分散処理を起動する。
【0048】
ここで、メインASICが行う、メインASICとサブASICが共同して行う分散処理を図6の第1の実施例における分散処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図1を参照しながら説明する。
S201:メインASICの分散処理振り分け部132は、ページ編集処理終了フラグが立っているか否かを判定し、そのフラグが、立っていた場合は処理すべきデータがあると判断して処理をS202へ移行し、落ちていた場合は処理すべきデータがないものと判断して処理をS207へ移行する。
【0049】
S202:処理すべきデータがあると判断した分散処理振り分け部132は、分散処理をメインASIC120で実行できる状態にあるか否かを確認するため、メインASIC120の分散処理中フラグが立っているか否かを判定し、そのフラグが、立っていた場合は処理をS204へ移行し、落ちていた場合は処理をS203へ移行する。
【0050】
S203:メインASIC120の分散処理中フラグが落ちていると判定した分散処理振り分け部132は、分散処理部123に対して分散処理の実行を指示し、フロー制御部135に対してページ編集処理終了フラグを落とすことを指示し、処理をS207へ移行する。分散処理部123は、その指示を受けて外部のメモリ150よりページ単位で編集済みデータを読み取り、分散処理と色変換処理を行いRGB空間で表現されていたラスタ画像データをCMYK空間に変換する。また、フロー制御部135は、その指示を受けてページ編集処理終了フラグを落とす。
【0051】
S204:分散処理振り分け部132は、分散処理をサブASIC120で実行できる状態にあるか否かを確認するため、サブASIC120の分散処理中フラグが立っているか否かを判定し、そのフラグが、立っていた場合は処理をS206へ移行し、落ちていた場合は処理をS205へ移行する。
S205:分散処理振り分け部132は、サブASIC120の分散処理部123に対して分散処理の実行を指示し、処理をS207へ移行する。なお、サブASIC120が行う分散処理は後述する。
【0052】
S206:分散処理振り分け部132は、メインASIC120およびサブASIC120のどちらも分散処理できる状態でないと判定したため、メインASIC120またはサブASIC120のどちらかの分散処理中フラグが落ちるまで待機する。分散処理振り分け部132は、どちらかの分散処理中フラグが落ちたことを検出すると処理をS202へ移行し、分散処理の振り分け処理を再実行する。
【0053】
S207:分散処理振り分け部132は、分散処理の状態が変化するまで待機する。すなわち、分散処理振り分け部132は、ページ編集処理終了フラグ、メインASIC120の分散処理中フラグ、またはサブASIC120の分散処理中フラグのいずれかが変化するまで待機し、変化が有った場合、処理をS208へ移行する。
【0054】
S208:分散処理振り分け部132は、S207において検出したフラグの変化が、メインASIC120の分散処理中フラグが立っている状態から落ちた状態になったこと、またはサブASIC120の分散処理中フラグが立っている状態から落ちた状態になったことを検出した場合(メインASIC120またはサブASIC120で分散処理が終了した場合)に限り、フロー制御部135に分散処理完了フラグを立てるように指示し、処理をS209へ移行する。分散処理振り分け部132は、ページ編集処理終了フラグが立ったことを検出した場合、処理をS201へ移行し、分散処理を再実行する。
【0055】
S209:分散処理振り分け部132は、S208において分散処理中フラグが落ちたASICの分散処理完了フラグが立っているか否かを判定し、そのフラグが、立っていた場合は処理をS210へ移行し、落ちていた場合は処理をS211へ移行する。
S210:分散処理振り分け部132は、分散処理完了フラグを二重に立てるのを防止するため、分散処理完了フラグが落ちるまで待機し、分散処理完了フラグが落ちたことを確認した後、処理をS211へ移行する。
【0056】
S211:分散処理振り分け部132は、S208において分散処理中フラグが落ちたASICの分散処理完了フラグを立てるようにフロー制御部135に指示し、処理をS212へ移行する。
S212:分散処理振り分け部132は、全ページの分散処理が終了したか否かを判定、すなわち全編集完了フラグ立っていて、かつページ編集処理終了フラグが落ちている場合、全ページの編集処理と分散処理が終了したと判定し、分散処理を終了する。一方、全ページの分散処理が終了していないと判定すると処理をS201へ移行し、分散処理を再実行する。
【0057】
分散処理の説明を終了し、図4の説明に戻る。
S19:フロー制御部135は、分割画像処理部124に対して分割処理を実行するように指示し、分割処理を起動して処理をS22へ移行する。
【0058】
ここで、メインASICが行う分割処理を図7の第1の実施例におけるメインASICの分割処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図1を参照しながら説明する。
S301:分割処理制御部133は、メインASIC120またはサブASIC120の分散処理完了フラグが立っているか否かを判定し、そのいずれかのフラグが立っていた場合は処理をS303へ移行し、どちらも落ちていた場合は処理をS302へ移行する。
【0059】
S302:分割処理制御部133は、メインASIC120またはサブASIC120の分散処理完了フラグが立つまで待機する。分割処理制御部133は、メインASIC120またはサブASIC120の分散処理完了フラグが立ったことを検出すると処理をS303へ移行する。
S303:分割処理制御部133は、メインASIC120の分散処理完了フラグが立っていると判定すると処理をS304へ移行し、一方メインASIC120の分散処理完了フラグが立っていないと判定すると処理をS305へ移行する。
【0060】
S304:分割処理制御部133は、メインASIC120が処理を行った分割画像データに対して分割処理を開始するために分割処理開始タイミング信号を出力する。分割画像データ選択部130は、分割処理開始タイミング信号を受け、分散処理部123より分割画像データを受信するようにパスの設定を行なう。
分割画像処理部124は、分割処理開始タイミング信号を受け、分割画像データ選択部130を介して分散処理部123より受信した分割画像データに対し、色毎に独立な処理の実行を開始し、処理をS306へ移行する。
【0061】
S305:分割処理制御部133は、サブASIC120が処理を行った分割画像データに対して分割処理を開始するために分割処理開始タイミング信号を出力する。分割画像データ選択部130は、分割処理開始タイミング信号を受け、分割画像データ入力部129より分割画像データを受信するようにパスの設定を行なう。
分割画像処理部124は、分割処理開始タイミング信号を受け、分割画像データ選択部130を介して分割画像データ入力部129より受信した分割画像データに対し、色毎に独立な処理の実行を開始し、処理をS306へ移行する。
【0062】
S306:分割処理制御部133は、S304またはS305において実行を開始した分割処理が終了するまで待機する。
S307:分割処理制御部133は、全ページの分割処理が終了したか否かを判定する。分割処理制御部133は、全編集処理完了フラグが立っていて、かつ分散処理完了フラグが立っている場合に、全ページの分割処理が終了したと判定し、フロー制御部135に分割処理完了フラグを立てるように要求する。一方、全ページの分割処理が終了していないと判定すると、分割処理制御部133は、処理をS301へ移行し、分割処理を再実行する。
【0063】
分割処理の説明を終了し、図4の説明に戻る。
S22:フロー制御部135は、全ページの分散処理が完了するまで待機する。フロー制御部135は、分割処理完了フラグが立っているか否かを判定し、そのフラグが立っていた場合、受信した印刷ジョブに対する処理が完了したと判断して本処理を終了する。
【0064】
S20:一方、S17において、分散処理フラグが落ちていたと判定したフロー制御部135は、分散処理部123に対してメインASIC120単体で分散処理を実行するように指示する。
S21:フロー制御部135は、分割画像処理部124に対してメインASIC120単体で分割処理を実行するように指示し、処理をS22へ移行する。
【0065】
ここで、S20においてメインASICが単体で行う分散処理を図8の第1の実施例におけるメインASICが単体で行う分散処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図1を参照しながら説明する。
【0066】
S401:分散処理振り分け部132は、ページ編集処理終了フラグが立っているか否かを判定し、そのフラグが、立っていた場合は処理すべきデータが存在すると判断して処理をS402へ移行する。一方、ページ編集処理終了フラグが落ちていた場合、処理すべきデータが存在しないので、分散処理振り分け部132はページ編集処理終了フラグが立つまで待機し、ページ編集処理終了フラグが立ったことを検出すると処理をS402へ移行する。
【0067】
S402:分散処理振り分け部132は、分散処理部123に対して分散処理の実行を指示し、フロー制御部135に対してページ編集処理終了フラグを落とすことを指示し、処理をS403へ移行する。分散処理部123は、その指示を受けて外部のメモリ150より編集済みデータを読み取り、分散処理と色変換処理を行いRGB空間で表現されていたラスタ画像データをCMYK空間に変換する。また、フロー制御部135は、その指示を受けてページ編集処理終了フラグを落とす。
【0068】
S403:分散処理振り分け部132は、メインASIC120の分散処理中フラグが立った状態から落ちた状態に変化するまで待機する。分散処理振り分け部132は、分散処理中フラグが落ちたことを検出すると処理をS404へ移行する。
S404:分散処理振り分け部132は、フロー制御部135に分散処理完了フラグを立てるように指示し、処理をS405へ移行する。
【0069】
S405:分散処理振り分け部132は、全ページの分散処理が終了したか否かを判定、すなわち全編集完了フラグ立っていて、かつページ編集処理終了フラグが落ちている場合、全ページの編集処理と分散処理が終了したと判定し、分散処理を終了する。一方、全ページの分散処理が終了していないと判定すると処理をS401へ移行し、分散処理を再実行する。
【0070】
次に、S21においてメインASICが単体で行う分割処理を図9の第1の実施例におけるメインASICが単体で行う分割処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図1を参照しながら説明する。
【0071】
S501:分割処理制御部133は、メインASIC120の分散処理完了フラグが立っているか否かを判定し、そのフラグが立っていた場合は処理すべきデータが存在すると判定して処理をS502へ移行する。一方、分散処理完了フラグが落ちていた場合、処理すべきデータが存在しないので、分割処理制御部133は分散処理完了フラグが立つまで待機し、分散処理完了フラグが立ったことを検出すると処理をS502へ移行する。
【0072】
S502:分割処理制御部133は、メインASIC120が処理を行った分割画像データに対して分割処理を開始するために分割処理開始タイミング信号を出力する。また、分割処理制御部133は、フロー制御部135にメインASIC120の分散処理完了フラグを落とすことを指示する。
分割画像データ選択部130は、分割処理開始タイミング信号を受け、分散処理部123より分割画像データを受信するようにパスの設定を行なう。
【0073】
分割画像処理部124は、分割処理開始タイミング信号を受け、分割画像データ選択部130を介して分散処理部123より受信した分割画像データに対し、色毎に独立な分割画像処理の実行を開始し、処理をS503へ移行する。
S503:分割処理制御部133は、S502において実行を開始した分割処理が終了するまで待機する。分割処理制御部133は、分割処理の終了を検出すると処理をS504へ移行する。
【0074】
S504:分割処理制御部133は、全ページの分割処理が終了したか否かを判定する。分割処理制御部133は、全編集処理完了フラグが立っていて、かつ分散処理完了フラグが立っている場合に、全ページの分割処理が終了したと判定し、フロー制御部135に分割処理完了フラグを立てるように要求する。一方、全ページの分割処理が終了していないと判定すると、分割処理制御部133は、処理をS501へ移行し、分割処理を再実行する。
【0075】
このようにしてメインASICは画像処理を行う。
次に、図6のS205においてサブASICが行う分散処理としての画像形成処理を図10の第1の実施例におけるサブASICの画像形成処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図1を参照しながら説明する。
【0076】
S601:サブASIC120のフロー制御部135は、メインASIC120のフロー制御部135が図4のS13において出力する分散処理フラグが立っているのを確認するとサブASIC120の分散処理振り分け部132に分散処理の開始を指示する。サブASIC120の分散処理振り分け部132は、分散処理の開始の指示を受けると処理をS602へ移行する。
【0077】
S602:サブASIC120の分散処理振り分け部132は、サブASIC120の分散処理部123に対して分散処理の実行を指示し、処理をS603へ移行する。サブASIC120の分散処理部123は、その指示を受けて編集済みデータ入力部127を介してメインASIC120から受信した編集済みデータを外部のメモリ150から読み取り、分散処理と色変換処理を行いRGB空間で表現されていたラスタ画像データをCMYK空間に変換する。
【0078】
S603:サブASIC120の分散処理振り分け部132は、サブASIC120の分散処理部123の処理が終了するまで待機し、その処理の終了を検出すると処理を604へ移行する。
S604:サブASIC120の分散処理振り分け部132は、メインASIC120のフロー制御部135にサブASIC120の分散処理完了フラグを立てるように指示し、処理をS605へ移行する。それと同時に、サブASIC120の分散処理振り分け部132は、サブASIC120の分割画像データ出力部128より分割画像データをメインASIC120の分割画像データ入力部129に出力する。
【0079】
S605:サブASIC120の分散処理振り分け部132は、分割画像データの出力が終了するまで待機し、分割画像データの出力が終了すると分割処理を終了する。
このように、1台の画像処理装置101に印刷用の画像データを生成する画像処理を行う複数のASIC120を備え、印刷ジョブに含まれる画像データのサイズが所定のサイズより大きい場合に、複数のASIC120で画像処理を分散して行うようにしたことにより、1台の画像処理装置101で画像処理をより高速に行うことができるようになる。
【0080】
また、印刷ジョブに含まれる画像データのサイズが所定のサイズ以下の場合に、ひとつのASIC120で画像処理を行い、他のASIC120の動作を停止し、電源を切断することにより消費電力を削減することができる。
【0081】
以上説明したように、第1の実施例では、1台の画像処理装置に印刷用の画像データを生成する画像処理を行う複数のASICを備え、印刷ジョブに含まれる画像データのサイズが所定のサイズより大きい場合に、複数のASICで画像処理を分散して行うようにしたことにより、1台の画像処理装置で画像処理をより高速に行うことができるという効果が得られる。
また、印刷ジョブに含まれる画像データのサイズが所定のサイズ以下の場合に、ひとつのASICで画像処理を行い、他のASICの動作を停止し、電源を切断することにより消費電力を削減することができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0082】
図11は第2の実施例における画像処理装置の構成を示すブロック図、図12は第2の実施例におけるASICの構成を示すブロック図である。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0083】
図11において、画像処理装置としてのプリンタ301は、ネットワーク102を介してPC103から受信した印刷ジョブに対する画像処理を行うメインASIC310と、メインASIC310が受信した印刷ジョブの画像処理の一部を受け持つサブASIC311と、メインASIC310およびサブASIC311が出力した画像形成データを選択して画像形成部112と接続する二つのアナログスイッチ312とにより構成される。なお、その他の構成は第1の実施例と同様である。
【0084】
メインASIC310およびサブASIC311の内部構成は同じものであり、モード設定信号113がプルアップまたはプルダウンのどちらかになっているかでメインASIC310とサブASIC311は切り替わる。
また、メインASIC310の4連の画像形成データの出力端子のうち2連は直接、画像形成部112の入力端子に接続され、残りの2連は二つのアナログスイッチ312のそれぞれの入力端子に接続されている。サブASIC311の4連の画像形成データの出力端子のうち2連はメインASIC310の入力端子に接続され、残りの2連は二つのアナログスイッチ312のそれぞれの入力端子に接続されている。
【0085】
二つのアナログスイッチ312は、それぞれ二つの入力端子を備え、それぞれの入力端子は上述したメインASIC310の出力端子およびサブASIC311の出力端子に接続されている。また、このアナログスイッチ312は、メインASIC310またはサブASIC311から入力された画像形成データを選択するスイッチング素子等の選択手段を備え、メインASIC310から出力される選択信号313により選択手段が駆動され、メインASIC310またはサブASIC311のいずれかから入力された画像形成データを選択して画像形成部112に出力する。
【0086】
図12において、ASIC320は、図11におけるメインASIC310およびサブASIC311として共通に使われるものである。このASIC320は、ジョブ受付部121と、編集処理部122と、分散処理部333と、4個の分割画像処理部334と、メモリコントローラ125と、編集済みデータ出力部126と、編集済みデータ入力部127と、分割画像データ出力部128と、分割画像データ入力部129と、4個の分割画像データ選択部130と、データサイズ判定部131と、分散処理振り分け部336と、分散処理制御部332と、モード切替部134と、フロー制御部331と、二つの画像合成部335とにより構成されている。
【0087】
フロー制御部331は、ASIC320の内部の各機能部に対して処理の開始、終了、および設定を指示することにより、画像処理の流れとしての処理フローを制御する。その制御のために、分散処理フラグ、ページ編集処理終了フラグ、全編集処理完了フラグ、分散処理中フラグ、メインASICの分散処理完了フラグ、サブASICの分散処理完了フラグ、および分割処理完了フラグを処理フローに合わせて出力する。
また、フロー制御部331は、ページ数カウンタを備え、現在のページ数カウント値を出力する。さらに、フロー制御部331は、ASIC320の外部に、サブASICの電源を切断するサブASICパワーオフ信号136を出力する。
【0088】
分割処理制御部332は、分割画像処理部334および分割画像データ入力部129の動作を制御する。また、分割処理制御部332は、二つのアナログスイッチ312を切り替える選択信号313を出力する。
分散処理部333は、編集済みデータを外部のメモリ150から読み出し、ページ単位で分散処理と色変換処理を行い、RGB空間で表現されていたラスタ画像データをCMYK空間に変換する。分散処理部333は、その処理結果としてC(シアン)色、M(マゼンタ)色、Y(イエロー)色、K(ブラック)色の色毎に4分割された分割画像データを出力する。
【0089】
また、分散処理部333は、分散処理フラグが立っていない場合、分割データとしてC色、M色、Y色、K色の色毎に4分割された分割画像データを出力し、分散処理フラグが立っている場合、メインASICとして動作するとき、分割データとしてK色の奇数ラインと偶数ラインおよびM色の奇数ラインと偶数ラインを出力(例えば、分散処理部333AがK色の奇数ライン、分散処理部333BがK色の偶数ライン、分散処理部333CがM色の奇数ライン、分散処理部333DがM色の偶数ラインを出力)し、サブASICとして動作するとき、Y色の奇数ラインと偶数ラインおよびC色の奇数ラインと偶数ラインに分けたものを出力(例えば、分散処理部333AがY色の奇数ライン、分散処理部333BがY色の偶数ライン、分散処理部333CがC色の奇数ライン、分散処理部333DがC色の偶数ラインを出力)する。
【0090】
分割画像処理部334は、C色、M色、Y色、K色に対応して4個存在し、それぞれが分割画像データに対して個別の処理を行ってASIC320の外部の画像形成部112で画像形成するために必要なドット画像形成データに変換して画像合成部335へ出力する。4個の分割画像処理部334のうち二つの分割画像処理部334(334B、334D)の出力は、画像合成部335以外に直接、ASIC320の外部端子を介してアナログスイッチ312も接続されている。
【0091】
画像合成部335は、フロー制御部331から受け取った分散処理フラグが立っている場合、二つの画像処理部334から入力された画像形成データを奇数ラインと偶数ラインとを交互にASIC320の外部に出力し、合成された画像形成データとして出力する。このとき、奇数ラインを出力するのは複数の分割画像処理部334のうち出力が直接、ASIC320の外部端子に接続されていない二つの分割画像処理部334(334A、334C)からの入力である。また、偶数ラインを出力するのは複数の分割画像処理部334のうち出力が直接、ASIC320の外部端子に接続されている二つの分割画像処理部334(334B、334D)からの入力である。
【0092】
また、分散フラグが落ちている場合、画像合成部335は二つの画像処理部334から入力された画像形成データの片方を選択して出力する。このとき、出力するのは、複数の分割画像処理部334のうち出力が直接、ASIC320の外部端子に接続されていない二つの分割画像処理部334(334A、334C)からの入力である。
【0093】
分散処理振り分け部336は、画像データのサイズの判定結果を受け、編集済みデータ出力部126、編集済みデータ入力部127、分割画像データ出力部128、および分割画像データ選択部130に対して分散処理フラグを立てて(分散処理が必要であることを示す信号として)出力する。また、分散処理振り分け部336は、編集処理部122よりページ処理開始タイミング信号を受け取って分散処理部333にタイミング信号を出力する。
【0094】
分散処理フラグおよびタイミング信号はASIC320の外部にも出力され、また同様に、ASIC320の外部から分散処理フラグおよびタイミング信号が入力された場合、それを受け取ってASIC320の内部の各部に出力することができるようになっている。
【0095】
このように、メインASIC320は、複数の主分割画像処理部334を備え、またサブASICは、複数の従分割画像処理部334を備え、その複数の主分割画像処理部334(例えば、分割画像処理部334Aと分割画像処理部334B、分割画像処理部334Cと分割画像処理部334D)および複数の従分割画像処理部334(例えば、分割画像処理部334Aと分割画像処理部334B、分割画像処理部334Cと分割画像処理部334D)は、それぞれ一の色(C色、M色、Y色、K色のいずれか1色)の画像形成データを生成する。
【0096】
上述した構成の作用について説明する。なお、第2の実施例の構成の作用は、第1の実施例の構成の作用と図4に示すS18およびS19が異なるので、その異なる作用を以下に説明し、第1の実施例の構成の作用と同様の部分の説明は省略する。
まず、図4に示すS18においてメインASICがサブASICと共同して行う分散処理を図13の第2の実施例における分散処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図12を参照しながら説明する。
【0097】
S701:メインASICの分散処理振り分け部336は、ページ編集処理終了フラグが立っているか否かを判定し、そのフラグが、立っていた場合は処理すべきデータが存在すると判断して処理をS702へ移行する。一方、ページ編集処理終了フラグが落ちていた場合、処理すべきデータが存在しないので、分散処理振り分け部336はページ編集処理終了フラグが立つまで待機し、ページ編集処理終了フラグが立ったことを検出すると処理をS702へ移行する。
【0098】
S702:メインASICの分散処理振り分け部336は、メインASICの分散処理部333とサブASICの分散処理部333の両方に対して分散処理の実行を指示し、メインASICのフロー制御部331にページ編集処理終了フラグを落とすことを指示して処理をS703へ移行する。
【0099】
メインASICとサブASICの分散処理部333は、その指示を受けて外部のメモリ150より編集済みデータを読み取り、分散処理と色変換処理を行いRGB空間で表現されていたラスタ画像データをCMYK空間に変換する。また、メインASICのフロー制御部331は、その指示を受けてメインASICの分散処理中フラグとサブASICの分散処理中フラグを立て、ページ編集処理終了フラグを落とす。
【0100】
S703:メインASICの分散処理振り分け部336は、メインASIC120の分散処理中フラグとサブASICの分散処理中フラグの両方が立った状態から落ちた状態に変化するまで待機する。分散処理振り分け部336は、両方の分散処理中フラグが落ちたことを検出すると処理をS704へ移行する。
【0101】
なお、メインASICの分散処理中フラグは、メインASICの分散処理部333が分散処理を完了したときに、メインASICのフロー制御部331に当該フラグを落とすように要求し、その要求を受けたメインASICのフロー制御部331により落とされる。また、サブASICの分散処理中フラグは、サブASICの分散処理部333が分散処理を完了したときに、メインASICのフロー制御部331に当該フラグを落とすように要求し、その要求を受けたメインASICのフロー制御部331により落とされる。
【0102】
S704:メインASICの分散処理振り分け部336は、メインASICのフロー制御部331に分散処理完了フラグを立てるように指示し、処理をS705へ移行する。
【0103】
S705:メインASICの分散処理振り分け部336は、全ページの分散処理が終了したか否かを判定、すなわち全編集完了フラグ立っていて、かつページ編集処理終了フラグが落ちている場合、全ページの編集処理と分散処理が終了したと判定し、分散処理を終了する。一方、全ページの分散処理が終了していないと判定すると処理をS701へ移行し、分散処理を再実行する。
【0104】
次に、図4に示すS19においてメインASICおよびサブASICが行う分割処理を図14の第2の実施例におけるメインASICおよびサブASICの分割処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図12を参照しながら説明する。
S801:メインASICの分割処理制御部332は、メインASICの分散処理完了フラグが立っているか否かを判定し、そのフラグが立っていた場合は処理すべきデータが存在すると判定して処理をS802へ移行する。一方、分散処理完了フラグが落ちていた場合、処理すべきデータが存在しないので、分割処理制御部332は分散処理完了フラグが立つまで待機し、分散処理完了フラグが立ったことを検出すると処理をS802へ移行する。
【0105】
S802:メインASICの分割処理制御部332は、分割処理を開始するために分割処理開始タイミング信号を出力する。また、メインASICの分割処理制御部332は、フロー制御部331にメインASICの分散処理完了フラグを落とすことを指示する。
【0106】
メインASICの分割処理制御部332は分割処理開始タイミング信号を受け、メインASICの分割画像データ選択部130に対してメインASICの分散処理部333より分割画像データを受信するようにパスの設定を行う。また、メインASICの分割処理制御部332はアナログスイッチ312の選択信号313を変化させ、サブASICからの画像形成データを画像形成部112に接続させる。
【0107】
メインASICの分割画像処理部334は、分割処理開始タイミング信号を受け、メインASICの分割画像データ選択部130を介してメインASICの分散処理部333より受信した分割画像データに対し、ライン毎に独立した処理の実行を開始する。メインASICの画像合成部335は、メインASICの分割画像処理部334から受け取った画像形成データに対し、奇数ラインと偶数ラインとで交互に出力を行う。
【0108】
上記奇数ラインの出力は、複数のメインASICの分割画像処理部334のうち、出力が直接、ASIC320の外部端子に接続されていない二つのメインASICの分割画像処理部334(334A、334C)からの入力である。また、上記偶数ラインの出力は、メインASICの分割画像処理部334(334B、334D)からの入力である。
【0109】
サブASICの分割処理制御部332は分割処理開始タイミング信号を受け、サブASICの分割画像データ選択部130に対してサブASICの分散処理部333より分割画像データを受信するようにパスの設定を行う。
【0110】
サブASICの分割画像処理部334は、分割処理開始タイミング信号を受け、サブASICの分割画像データ選択部130を介してサブASICの分散処理部333より受信した分割画像データに対し、ライン毎に独立した処理の実行を開始する。サブASICの画像合成部335は、サブASICの分割画像処理部334から受け取った画像形成データに対し、奇数ラインと偶数ラインとで交互に出力し、合成された画像形成データとして出力する。
【0111】
上記奇数ラインの出力は、複数のサブASICの分割画像処理部334のうち、出力が直接、ASIC320の外部端子に接続されていない二つのサブASICの分割画像処理部334(334A、334C)からの入力である。また、上記偶数ラインの出力は、サブASICの分割画像処理部334(334B、334D)からの入力である。
【0112】
S803:メインASICの分割処理制御部332は、S802において実行を開始した分割処理が終了するまで待機する。メインASICの分割処理制御部332は、分割処理の終了を検出すると処理をS804へ移行する。
【0113】
S804:メインASICの分割処理制御部332は、全ページの分割処理が終了したか否かを判定する。メインASICの分割処理制御部332は、全編集処理完了フラグが立っていて、かつ分散処理完了フラグが立っている場合に、全ページの分割処理が終了したと判定し、メインASICのフロー制御部331に分割処理完了フラグを立てるように要求する。一方、全ページの分割処理が終了していないと判定すると、メインASICの分割処理制御部332は、処理をS801へ移行し、分割処理を再実行する。
【0114】
なお、本実施例では、複数のASICからの画像形成データの接続を切替えて画像形成部に出力する機能をASICの外部のアナログスイッチで実現するようにしたが、これに限られることなく、ASIC内部への画像形成データ入力パスを備え、ASIC内部で切替えるようにしても良い。
【0115】
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例の効果に加え、メインASICおよびサブASICのそれぞれに画像合成部を設けたことにより、それぞれのASICで2色ずつの画像処理を行うことができるようになり、画像処理の処理速度を向上させることができるという効果が得られる。
【0116】
なお、第1の実施例および第2の実施例では、画像処理装置をプリンタとして説明したが、それに限られることなく、複写機や複合機(MFP)としても良い。
また、ASICの数をメインASICとサブASICの2個で構成したものとして説明したが、3個以上としてもよく、また、画像処理装置は4色の現像剤を使用する構成としたが、3色以下、または5色以上の現像剤を使用する構成としても良い。
【0117】
さらに、各ASICの処理状態が変化した場合、各ASICが自身の処理状態をメインASICへ通知し、メインASICが各ASICの処理状態を常に保持するようにしたが、例えば各ASICが処理状態を保持し、メインASICが逐次、各ASICに確認するようにしても良い。
またさらに、メインASICが分散処理を行う条件を、印刷ジョブの画像のデータサイズとしたが、印刷ジョブの用紙のサイズとし、所定の用紙サイズが選択されたときに、分散処理を行うようにしても良い。
【符号の説明】
【0118】
101、301 プリンタ
102 ネットワーク
103 PC
110、310 メインASIC
111、311 サブASIC
112 画像形成部
120 ASIC
121 ジョブ受付部
122 編集処理部
123、333 分散処理部
124、334 分割画像処理部
125 メモリコントローラ
126 編集済みデータ出力部
127 編集済みデータ入力部
128 分割画像データ出力部
129 分割画像データ入力部
130 分割画像データ選択部
131 データサイズ判定部
132、336 分散処理振り分け部
133、332 分散処理制御部
134 モード切替部
135、331 フロー制御部
312 アナログスイッチ
335 画像合成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受付けた印刷ジョブの画像処理を行う画像処理装置において、
主画像処理部および少なくとも1つの従画像処理部を備え、
前記主画像処理部は、
印刷ジョブを受付け、その印刷ジョブをジョブ情報と画像情報とに展開するジョブ受付部と、
前記画像情報からラスタ画像データを生成する編集処理部と、
前記ラスタ画像データを出力する画像データ出力部と、
前記ラスタ画像データから色毎に分割された分割画像データを生成する主分散処理部と、
前記画像データ出力部から出力されたラスタ画像データから色毎に分割された分割画像データを入力する分割画像データ入力部と、
前記主分散処理部で生成された分割画像データと、前記分割画像データ入力部から入力した分割画像データとから画像形成データを生成する分割画像処理部とを有し、
前記従画像処理部は、
前記画像データ出力部から出力された前記ラスタ画像データを入力する画像データ入力部と、
前記画像データ入力部で入力された前記ラスタ画像データから色毎に分割された分割画像データを生成する従分散処理部と、
前記従分散処理部で生成された前記分割画像データを出力する分割画像データ出力部とを有し、
前記主画像処理部は、前記ジョブ受付部が受付けた印刷ジョブの画像情報量が閾値を超えていると判定したとき、前記画像データ出力部から前記ラスタ画像データを出力して前記従画像処理部にも前記分割画像データを生成させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1の画像処理装置において、
前記主画像処理部は、前記画像データ出力部からページ毎の前記ラスタ画像データを出力して前記従画像処理部に前記分割画像データを生成させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
受付けた印刷ジョブの画像処理を行う画像処理装置において、
主画像処理部および少なくとも1つの従画像処理部を備え、
前記主画像処理部は、
印刷ジョブを受付け、その印刷ジョブをジョブ情報と画像情報とに展開するジョブ受付部と、
前記画像情報からラスタ画像データを生成する主編集処理部と、
前記ラスタ画像データから色毎に分割された分割画像データを生成する主分散処理部と、
前記主分散処理部で生成された分割画像データから画像形成データを生成する主分割画像処理部とを有し、
前記従画像処理部は、
前記画像情報からラスタ画像データを生成する従編集処理部と、
前記ラスタ画像データから色毎に分割された分割画像データを生成する従分散処理部と、
前記主分散処理部で生成された分割画像データから画像形成データを生成する従分割画像処理部とを有し、
前記主画像処理部は、前記ジョブ受付部が受付けた印刷ジョブの画像情報量が閾値を超えていると判定したとき、前記従画像処理部にも前記画像情報から前記分割画像データを生成させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項3の画像処理装置において、
前記主画像処理部は、複数の主分割画像処理部を備え、
前記従画像処理部は、複数の従分割画像処理部を備え、
前記複数の主分割画像処理部および前記複数の従分割画像処理部は、それぞれ一の色の画像形成データを生成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項4の画像処理装置において、
前記主画像処理部は、画像形成データを合成する主画像合成部を備え、
前記従画像処理部は、画像形成データを合成する従画像合成部を備え、
前記複数の主分割画像処理部のうち、ひとつの主分割画像処理部で、奇数ラインの画像形成データを生成し、他のひとつの主分割画像処理部で、偶数ラインの画像形成データを生成し、前記主画像合成部で前記奇数ラインの画像形成データと前記偶数ラインの画像形成データとを合成し、
前記複数の従分割画像処理部のうち、ひとつの従分割画像処理部で、奇数ラインの画像形成データを生成し、他のひとつの従分割画像処理部で、偶数ラインの画像形成データを生成し、前記従画像合成部で前記奇数ラインの画像形成データと前記偶数ラインの画像形成データとを合成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項の画像処理装置において、
前記主画像処理部と、前記従画像処理部とを同種類のチップとしたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項の画像処理装置において、
前記主画像処理部は、前記ジョブ受付部が受付けた印刷ジョブの画像情報量が閾値より少ないと判定したとき、前記従画像処理部の電源を切断することを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−248996(P2012−248996A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117901(P2011−117901)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】