説明

画像処理装置

【課題】複数の操作部を用いることにより、安定した運用を容易にする画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置では、本体部1に複数種類の操作部2が択一的に接続可能である。操作部2は、本体部1に接続されたときに操作部2の種類を識別するための識別情報を入力し、本体部1は、操作部2の種類に予め関連付けられた処理を実行することが可能で、関連付けられていない処理を実行しないように設定する。使用者が用いる操作部2の種類によって、画像処理装置が実行する処理の内容が限定される。管理者又はサービスマン等は専用の操作部2を用いてネットワーク設定等の特別な処理を画像処理装置に実行させる。一般ユーザ用の操作部2を用いる一般ユーザは、特別な処理を画像処理装置に実行させることはできない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者からの操作を受け付ける複数種類の操作部を備える画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、複写等の画像処理を行う画像処理装置が広く普及している。特に、プリント機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能、及び画像データの蓄積機能等の多数の機能を備えた所謂複合機と呼ばれる画像処理装置が利用されている。画像処理装置は、タッチパネル等を用いた操作部を備え、各種の処理に対応する使用者からの操作を受け付ける構成となっている。特許文献1には、着脱可能な操作部を備える画像処理装置が記載されている。また特許文献2には、複数の操作部を使用可能な画像処理装置が記載されている。
【0003】
多数の機能を備えた画像処理装置は、事業所等で複数の使用者によって使用されることがある。このような環境では、ネットワーク設定等の各種の設定を自由に変更可能にした場合は、複数の使用者によって設定が頻繁に変更され、画像処理装置の利便性が悪化する虞がある。そこで、特定の管理者のみが設定の変更をできるようにすることが行われる。例えば、管理者用のパスワードを設定しておき、管理者が操作部にパスワードを入力した場合に、画像処理装置の設定の変更が可能となる。
【0004】
また、画像処理装置は、実行できる機能の変更、又はプリント枚数のリセット等、使用者が利用できない特殊な機能を備えている。通常、このような特殊な機能は保守サービスを行うサービスマンによって利用される。例えば、予めサービスマン用のパスワードが設定されており、サービスマンが操作部にパスワードを入力した場合に、画像処理装置で特殊な機能が実行可能となる。また例えば、通常は行われることのない特殊な操作が予め設定されており、サービスマンが操作部で特殊な操作を行った場合に特殊な機能が利用可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−103748号公報
【特許文献2】特開2010−243733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
パスワード又は特殊な操作を用いて画像処理装置の機能を制限する技術では、パスワード又は特殊な操作の内容が漏えいする危険がある。パスワード又は特殊な操作の内容が漏えいした場合、一般の使用者による設定の自由な変更又は不正な使用等の不適切な使用が可能となり、安定した画像処理装置の運用ができなくなる。このため、パスワード又は特殊な操作の内容の漏えいを防止する必要があり、画像処理装置の運用が困難となる。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、複数の操作部を用いることにより、安定した運用を容易にする画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像処理装置は、画像処理を含む複数種類の処理を実行することが可能な処理手段を有する本体部と、該本体部とは別体であり、前記処理に対応する操作を受け付ける操作部とを備える画像処理装置において、前記操作部を複数備え、前記操作部は、複数の前記操作部の夫々を識別するための識別情報を前記本体部へ入力する入力手段を有し、前記本体部は、前記複数種類の処理の内の一部又は全部の処理を複数の前記操作部の夫々に関連付けてある関連付け手段と、入力された識別情報により識別される前記操作部に前記関連付け手段で関連付けられてある処理を実行するように前記処理手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明においては、画像処理装置は本体部と複数の操作部とを備え、操作部は識別情報を本体部へ入力し、画像処理装置は、複数種類の処理の内で操作部に予め関連付けられた処理を実行する。使用者が用いる操作部の区別によって、画像処理装置が実行する処理の内容が限定される。
【0010】
本発明に係る画像処理装置は、前記操作部及び前記本体部は、複数の前記操作部が択一的に前記本体部に接続される構成となっており、前記入力手段は、前記操作部が前記本体部に接続された場合に前記識別情報を入力する構成としてあり、前記制御手段は、前記処理手段の状態を、入力された識別情報により識別される前記操作部に前記関連付け手段で関連付けられてある処理を実行することが可能な状態であって、前記操作部に前記関連付け手段で関連付けられていない処理を実行しない状態に制御する手段を有することを特徴とする。
【0011】
本発明においては、本体部に複数の操作部が択一的に接続可能であり、操作部は接続時に識別情報を本体部へ入力し、本体部は、操作部に予め関連付けられた処理を実行することが可能であり、関連付けられていない処理を実行しない状態になる。本体部に接続される操作部の区別によって、画像処理装置が実行できる処理の内容が限定される。
【0012】
本発明に係る画像処理装置は、前記操作部は、受け付けた操作を示す操作情報を前記本体部へ送信する手段を有し、前記本体部は、複数の前記操作部との間で情報の送受信を行う送受信手段を有し、前記制御手段は、前記操作部から受信した操作情報が示す操作が対応する処理の内、入力された識別情報により識別される前記操作部に前記関連付け手段で関連付けられてある処理を前記処理手段に実行させ、前記操作部に前記関連付け手段で関連付けられていない処理を前記処理手段に実行させない手段を有することを特徴とする。
【0013】
本発明においては、本体部と複数の操作部とが通信可能である。画像処理装置は、操作部が受け付けた操作が対応する処理の内、操作部に予め関連付けられている処理を実行し、操作部に関連付けられていない処理を実行しない。操作を受け付けた操作部の区別によって、操作に対応する処理の実行が制限される。
【0014】
本発明に係る画像処理装置は、前記操作部は、操作に関する画像を表示する表示部を有し、前記本体部は、前記表示部が表示する画像の内容を規定した画像情報を記憶している手段と、該手段が記憶している画像情報の内、入力された識別情報により識別される前記操作部に前記関連付け手段で関連付けられてある処理に対応する操作に関する内容を含んでおり、前記操作部に前記関連付け手段で関連付けられていない処理に対応する操作に関する内容を含まないように画像の内容を規定した画像情報を、前記送受信手段に前記操作部へ送信させる手段を有し、前記操作部は、更に、前記本体部から受信した画面情報に基づいた内容の画像を前記表示部に表示させる手段を有することを特徴とする。
【0015】
本発明においては、本体部は操作部に応じた画像情報を送信し、操作部は画像情報に基づいた画像を表示部に表示する。操作部の表示部には、操作部の区別によって制限された処理に対応する操作のための画像が表示され、使用者は表示部に表示された画像を視認しながら操作部を操作する。操作部の区別によって、操作部で受け付ける操作が制限される。
【発明の効果】
【0016】
本発明にあっては、一般ユーザ用の操作部を使用する一般ユーザは、専用の操作部を使用するサービスマン等が利用する特別な機能を利用することができないので、使用者による画像処理装置の不適切な使用が不可能になる。従って、安定した画像処理装置の運用を容易に行うことができる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態1に係る画像処理装置を示す模式図である。
【図2】実施の形態1に係る画像処理装置を示す模式図である。
【図3】実施の形態1に係る画像処理装置の内部の機能構成を示すブロック図である。
【図4】識別テーブルの内容例を示す概念図である。
【図5】管理テーブルの内容例を示す概念図である。
【図6】操作部が本体部に装着されたときに実施の形態1に係る画像処理装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態2に係る画像処理装置を示す模式図である。
【図8】実施の形態2に係る画像処理装置の内部の機能構成を示すブロック図である。
【図9】実施の形態2に係る画像処理装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態2に係る画像処理装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1及び図2は、実施の形態1に係る画像処理装置を示す模式図である。画像処理装置は、プリント機能及びスキャナ機能等の画像処理装置としての機能を備える本体部1と、使用者の操作を受け付ける操作部2とからなる。操作部2は、本体部1とは別体であって、本体部1に対して着脱可能であり、本体部1に装着された状態で操作を受け付ける。また、複数種類の操作部2が存在しており、図2に示すように、複数種類の操作部2は交換可能である。即ち、一の操作部2を本体部1から離脱させ、他の操作部2を本体部1に装着させることができる。複数の操作部2の内、本体部1に装着できる操作部2は一つだけである。本体部1から離脱した操作部2は、操作を受け付けることはできない。
【0019】
複数種類の操作部2の夫々は、使用者が互いに異なる。例えば、一般ユーザは一般ユーザ用の操作部2を用い、画像処理装置の管理者は管理者用の操作部2を用い、保守サービスを行うサービスマンはサービスマン用の操作部2を用い、画像処理装置の開発者は開発者用の操作部2を用いる。通常の状態では、本体部1に一般ユーザ用の操作部2が装着されており、一般ユーザは、操作部2を操作することで画像処理装置を使用する。管理者が画像処理装置を使用する場合は、一般ユーザ用の操作部2を離脱させ、管理者用の操作部2を装着させ、管理者が操作部2を操作する。なお、同じ種類の操作部2が複数個存在していてもよい。また、複数種類の操作部2は、互いに形状が同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0020】
図3は、実施の形態1に係る画像処理装置の内部の機能構成を示すブロック図である。本体部1は、画像処理装置の動作を制御する制御部11を備えている。制御部11は、画像処理装置を制御するための演算を行う演算部と、演算に必要なプログラム及び一時的なデータを記憶するメモリとを含んで構成されている。制御部11には、不揮発性のメモリ又はハードディスクからなる記憶部12と、操作部2が装着されるための装着コネクタ13が接続されている。また、本体部1は、原稿から光学的に画像を読み取る画像読取部14と、電子写真方式又はインクジェット方式等で画像を形成する画像形成部15と、外部との通信を行う通信部16と、画像データを記憶するハードディスクでなる画像記憶部17とを備えている。画像読取部14、画像形成部15、通信部16及び画像記憶部17は、本発明における処理手段に含まれる。また、制御部11は、各部の動作設定の処理を行う。制御部11は、本発明における処理手段及び制御手段としての動作を実行する。画像処理装置は、画像の複写、ファクシミリ通信、画像データに基づいた画像形成、画像データの蓄積及び各種の設定等の複数種類の処理を実行する。
【0021】
操作部2は、操作部2の動作を制御する制御部21を備えている。制御部21には、不揮発性のメモリからなる記憶部22と、本体部1に操作部2が装着するための装着コネクタ23とが接続されている。また操作部2は、液晶パネル等の表示部24と、タッチパネル又はテンキー等を用いた受付部25を備えている。表示部24は、操作メニュー画像等、使用者が操作を行うために必要な画像を表示する。使用者は、表示部24に表示された画像を見ながら受付部25を操作し、受付部25は、画像処理の開始指示を入力する操作等の各種の操作を受け付ける。装着コネクタ23は、操作部2が本体部1に装着される場合に装着コネクタ13に接続される。装着コネクタ13及び装着コネクタ23は、操作部2が本体部1に装着された状態で、本体部1と操作部2との間でデータを送受信する。記憶部22は、操作部2の種類を識別するための識別情報を記憶している。種類の異なる操作部2間では、識別情報の内容が互いに異なる。例えば、一般ユーザ用の操作部2と、管理者用の操作部2と、サービスマン用の操作部2と、開発者用の操作部2とは、互いに異なる識別情報を記憶部22で記憶している。なお、操作部2は表示部24を備えていない形態であってもよい。
【0022】
本体部1の記憶部12は、複数種類の操作部2の夫々の識別情報と操作部2の種類とを関連付けた識別テーブルを記憶している。図4は、識別テーブルの内容例を示す概念図である。識別テーブルには、識別情報と操作部2の種類とが互いに関連付けて記録されている。図4の例では、A〜Dの四種類の識別情報の夫々に対して、操作部2の種類が関連付けられている。例えば、一般ユーザ用の操作部2の記憶部22は、「A」という識別情報を記憶している。また、本体部1に装着されている操作部2から送信されて装着コネクタ13で受信した識別情報が「A」である場合は、装着している操作部2は一般ユーザ用の操作部2であると識別される。なお、一つの種類に対応する識別情報が複数あってもよい。
【0023】
また本体部1の記憶部12は、操作部2の種類と、本体部1で実行することが可能な処理とを関連付けて記録した管理テーブルを記憶している。図5は、管理テーブルの内容例を示す概念図である。図5中の丸印は、操作部2の種類に、夫々の処理が実行可能な処理として関連付けられていることを示し、×の印は、夫々の処理が実行可能な処理として関連付けられていないことを示す。画像処理装置の処理として、プリントの枚数等を設定するプリント設定の処理と、ネットワークアドレス等を設定するネットワーク設定の処理と、記録されたプリント枚数のリセットの処理と、画像記憶部17に記憶されたデータを書き換える処理とが例示されている。図5の例では、操作部2の内、一般ユーザ用の操作部2には、実行可能な処理としてプリント設定の処理が関連付けられており、他の処理は関連付けられていない。また、管理者用の操作部2には、プリント設定の処理とネットワーク設定の処理とが実行可能な処理として関連付けられている。サービスマン用の操作部2には、プリント設定の処理とネットワーク設定の処理とプリント枚数のリセットの処理とが実行可能な処理として関連付けられており、開発者用の操作部2には、全ての処理が実行可能な処理として関連付けられている。なお、図5に示した処理内容は一例であり、画像処理装置が実行できるその他の処理も、操作部2の種類に関連付けられている。即ち、管理テーブルには、操作部2の種類と、その他の処理の内で実行可能な処理とが関連付けて記録されている。識別テーブル及び管理テーブルを記憶していることにより、記憶部12は本発明における関連付け手段として機能する。
【0024】
図6は、操作部2が本体部1に装着されたときに実施の形態1に係る画像処理装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。操作部2が本体部1に装着された場合、本体部1の制御部11及び操作部2の制御部21は、本体部1と操作部2との間でデータの送受信を行うための接続の処理を行う(S11)。操作部2の制御部21は、次に、記憶部22から識別情報を読み出して装着コネクタ23から本体部1へ送信し、本体部1は、装着コネクタ13で操作部2からの識別情報を受信する(S12)。操作部2の制御部21及び装着コネクタ23は、本発明における入力手段に対応する。
【0025】
本体部1の制御部11は、次に、記憶部12で記憶している識別テーブルを参照し、受信した識別情報が識別テーブルに記録されているか否かを判定する(S13)。受信した識別情報が識別テーブルに記録されていない場合は(S13:NO)、制御部11は、エラー処理を行い(S14)、処理を終了する。ステップS14では、例えば、制御部11は、画像処理装置が各種の処理を実行できないように設定し、画像処理装置が各種の処理を実行できないことを示すエラーのメッセージを表示部24に表示させるためのエラー用のデータを、装着コネクタ13から操作部2へ送信する。操作部2は、エラー用のデータを装着コネクタ23で受信し、制御部21は、エラー用のデータに基づいて表示部24にエラーのメッセージを表示させる。
【0026】
ステップS13で、受信した識別情報が識別テーブルに記録されている場合は(S13:YES)、制御部11は、識別テーブルに記録された識別情報に関連付けられた操作部2の種類を特定する。制御部11は、次に、記憶部12で記憶している管理テーブルを参照し、操作部2の種類に関連付けられた処理内容を実行することが可能になるように、画像処理装置で実行することが可能な処理の内容を設定する(S15)。ステップS15では、制御部11は、特定された操作部2の種類に管理テーブルで関連付けられている処理を画像処理装置で実行可能に設定する。また、制御部11は、管理テーブルで操作部2の種類に関連付けられていない処理の実行を禁止する設定を行う。例えば、制御部11は、管理テーブルで操作部2の種類に関連付けられていない処理を実行するために必要なハードウェア及びソフトウェアへのアクセスを禁止する。ステップS15での処理により、画像処理装置は、操作部2の種類に関連付けられた処理を実行することが可能で、操作部2の種類に関連付けられていない処理を実行しない状態に制御される。
【0027】
図5の例では、一般ユーザ用の操作部2が本体部1に装着された場合は、プリント設定の処理が実行可能に設定され、ネットワーク設定、プリント枚数のリセット及びデータの書き換えの処理は実行できないように設定される。また、管理者用の操作部2が本体部1に装着された場合は、プリント設定及びネットワーク設定の処理が実行可能に設定され、プリント枚数のリセット及びデータの書き換えの処理は実行が禁止される。また、サービスマン用の操作部2が本体部1に装着された場合は、プリント設定、ネットワーク設定及びプリント枚数のリセットの処理が実行可能に設定され、データの書き換えの処理は実行が禁止される。また、開発者用の操作部2が本体部1に装着された場合は、全ての処理が実行可能に設定される。
【0028】
ステップS15が終了した後は、制御部11は、操作部2が本体部1に装着された際の処理を終了する。以後、画像処理装置は、必要に応じて、画像処理を含む複数種類の処理の内、実行可能に設定された処理を実行する。操作部2が本体部1に装着される都度、画像処理装置は、ステップS11〜S15の処理を実行する。
【0029】
以上詳述した如く、本実施の形態の画像処理装置では、本体部1に複数種類の操作部2が択一的に装着可能であり、画像処理装置は、本体部1に装着された操作部2の種類に応じた処理を実行する。操作部2は、本体部1に装着されたときに識別情報を送信し、本体部1は、操作部2の種類に予め関連付けられた処理を実行可能に設定し、関連付けられていない処理を実行不能に設定する。例えば、管理者が利用する処理の内容を、管理者用の操作部2に関連付けておき、一般ユーザ用の操作部2には関連付けないようにしておく。管理者は、管理者用の操作部2を使用することで、ネットワーク設定等の管理者用の処理を画像処理装置に実行させることができる。一般ユーザは、一般ユーザ用の操作部2を使用するので、ネットワーク設定等の管理者用の処理を画像処理装置に実行させることはできない。同様に、サービスマンはサービスマン用の操作部2を使用してサービスマン用の処理を画像処理装置に実行させる一方で、一般ユーザはサービスマン用の処理を画像処理装置に実行させることはできない。また同様に、一般ユーザは開発者用の処理を画像処理装置に実行させることはできない。
【0030】
一般ユーザは、管理者又はサービスマン等が利用する特別な機能を利用することができないので、一般ユーザによる設定の自由な変更又は不正な使用等、使用者による画像処理装置の不適切な使用が不可能になる。従って、安定した画像処理装置の運用が可能となる。また、不適切な使用を防止するためのパスワード又は特殊な操作を管理する必要が無くなり、画像処理装置の運用が容易となる。
【0031】
なお、本実施の形態においては、識別情報を記憶部22に記憶しておき、記憶部22から読み出した識別情報を操作部2から送信する形態を示したが、画像処理装置は、その他の方法で識別情報を操作部2から本体部1へ入力する形態であってもよい。例えば、装着コネクタ23が装着コネクタ13に装着されたときに接続される信号線の電位を予め設定しておき、この電位を本体部1で検出することにより識別情報を操作部2から本体部1へ入力する形態であってもよい。
【0032】
また、本実施の形態においては、操作部2が本体部1に装着される形態を示したが、画像処理装置は、その他の方法で操作部2が本体部1に接続される形態であってもよい。例えば、操作部2はケーブルを介して本体部1に接続される形態であってもよい。また例えば、本体部1及び操作部2は無線通信の機能を備え、無線通信により一対一接続することにより、操作部2が択一的に本体部1に接続される形態であってもよい。
【0033】
また、本実施の形態においては、本体部1で実行できる処理を操作部2の種類に関連付けた形態を示したが、画像処理装置は、本体部1で実行できる処理を個々の操作部2に関連づけた形態であってもよい。この形態では、記憶部22は、各操作部2に固有の識別情報を記憶している。記憶部12で記憶する管理テーブルでは、本体部1で実行できる処理に、識別情報で識別される個々の操作部2が関連付けられている。この形態においても、特定の処理の内容を一般ユーザ用の操作部2には関連付けないようにしておくことにより、安定した画像処理装置の運用が可能となる。
【0034】
(実施の形態2)
図7は、実施の形態2に係る画像処理装置を示す模式図である。本体部1と複数の操作部3とは、無線通信でデータの送受信を行うことが可能である。一般ユーザ用、管理者用、サービスマン用及び開発者用等の複数種類の操作部3が存在している。また、同じ種類の操作部3が複数個存在していてもよい。複数種類の操作部3の夫々は、使用者が互いに異なる。本体部1は、複数の操作部3との間で並列的にデータの送受信を行うことができる。
【0035】
図8は、実施の形態2に係る画像処理装置の内部の機能構成を示すブロック図である。本体部1の制御部11には、操作部3との間でデータの送受信を行う送受信部(送受信手段)18が接続されている。記憶部12は、操作部3の種類に応じた操作用の画像を表示部34に表示させるために必要な画像情報を記憶している。画像情報は、画像処理の開始指示を入力する操作等、操作部3の種類に応じて本体部1で実行可能な処理に対応する操作を行うために必要なメニュー画像等の操作に関する画像の内容を規定した情報である。記憶部12は、操作部3の複数の種類の夫々について画像情報を記憶している。本体部1内のその他の構成は実施の形態1と同様であり、対応する部分に同符号を付してその説明を省略する。操作部3は、操作部3を制御する制御部31を備えている。制御部31には、不揮発性のメモリからなる記憶部32と、本体部1との間でデータの送受信を行う送受信部33とが接続されている。また操作部3は、表示部34と、タッチパネル又はテンキー等を用いた受付部35を備えている。記憶部32は、実施の形態1と同様の識別情報を記憶している。
【0036】
図9及び図10は、実施の形態2に係る画像処理装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。本体部1と操作部3との通信が接続された後、操作部3の制御部31は、記憶部32から識別情報を読み出して送受信部33に本体部1へ送信させる(S201)。制御部31及び送受信部33は、本発明における入力手段に対応する。本体部1は、送受信部18で操作部3からの識別情報を受信し(S202)、制御部11は、記憶部12で記憶している識別テーブルを参照し、受信した識別情報が識別テーブルに記録されているか否かを判定する(S203)。受信した識別情報が識別テーブルに記録されていない場合は(S203:NO)、制御部11は、エラーのメッセージを表示部34に表示させるためのエラー用のデータを送受信部18に操作部3へ送信させる(S204)。エラー用のデータは記憶部12に予め記憶されている。操作部3は、エラー用のデータを送受信部33で受信する(S205)。制御部31は、エラー用のデータに基づいて、画像処理装置が各種の処理を実行できないことを示すエラーのメッセージを表示部34に表示させ(S206)、処理を終了する。なお、操作部3は記憶部32にエラー用のデータを予め記憶しておき、本体部1は、ステップS204でエラーのメッセージの表示指示を送信し、操作部3は指示に従ってエラーのメッセージを表示してもよい。
【0037】
ステップS203で、受信した識別情報が識別テーブルに記録されている場合は(S203:YES)、制御部11は、識別テーブルに記録された識別情報に関連付けられた操作部3の種類を特定する。制御部11は、次に、操作部3の種類に応じた画像情報を記憶部12から読み出し、読み出した画像情報を送受信部18に操作部3へ送信させる(S207)。操作部3は、画像情報を送受信部33で受信し(S208)、受信した画像情報に基づいて、使用者が操作を行うために必要なメニュー画像等の操作に関する画像を表示部34に表示させる(S209)。ステップS209では、表示部34は、管理テーブルで操作部3の種類に関連付けられた処理に対応する操作に関する画像を表示する。表示した画像には、管理テーブルで操作部3の種類に関連付けられていない処理に対応する操作に関する内容は含まれていない。
【0038】
制御部31は、次に、表示部34に表示した画像を視認しながら使用者が行う操作の受付を待ち受ける(S210)。使用者からの操作がない場合は(S210:NO)、制御部31は、操作の待ち受けを続行する。使用者からの操作を受付部35で受け付けた場合は(S210:YES)、制御部31は、受け付けた操作を示す操作情報を送受信部33に本体部1へ送信させる(S211)。本体部1は、操作情報を送受信部18で受信する(S212)。制御部11は、次に、記憶部12で記憶している管理テーブルを参照し、受信した操作情報が示す操作が対応する処理は、管理テーブルで操作部3の種類に関連付けられた処理であるか否かを判定する(S213)。操作が対応する処理が管理テーブルで操作部3の種類に関連付けられた処理である場合は(S213:YES)、制御部11は、操作部3で受け付けた操作に応じた処理を実行する(S214)。ステップS214では、本体部1は、画像処理等の処理を実行する。ステップS214が終了した後、制御部11は、処理を終了する。
【0039】
ステップS213で、操作が対応する処理が管理テーブルで操作部3の種類に関連付けられた処理ではない場合は(S213:NO)、制御部11は、操作部3で受け付けた操作に応じた処理を実行せず(S215)、処理を終了する。画像処理装置は、ステップS201〜S215の処理を随時実行する。なお、画像処理装置は、ステップS201〜S208の処理を通信の接続時に行い、接続が継続している間はステップS201〜S208の処理を省略してもよい。
【0040】
以上詳述した如く、本実施の形態の画像処理装置では、本体部1と複数の操作部3とが並列的に通信可能である。画像処理装置は、本体部1と通信する操作部3が受け付けた操作が対応する処理の内、操作部3の種類に予め関連付けられている処理を実行し、操作部3の種類に関連付けられていない処理を実行しない。本体部1は、操作部3の種類に応じた画像情報を送信し、操作部3は表示部34に画像情報に基づいた画像を表示する。表示部34には、操作部3の種類に関連付けられた処理に対応する操作のための画像が表示され、操作部3の種類に関連付けられていない処理に関する操作のための画像は表示されない。このため、操作部3は、操作部3の種類に関連付けられていない処理に対応する操作を受け付けることが困難となる。
【0041】
本実施の形態においても、管理者は、管理者用の操作部3を使用することで、ネットワーク設定等の管理者用の処理を画像処理装置に実行させることができる。一方、一般ユーザは、一般ユーザ用の操作部3を使用するので、ネットワーク設定等の管理者用の処理を画像処理装置に実行させることはできない。同様に、サービスマン又は開発者はサービスマン用又は開発者用の操作部3を使用してサービスマン用又は開発者用の処理を画像処理装置に実行させ、一般ユーザはサービスマン用又は開発者用の処理を画像処理装置に実行させることはできない。実施の形態1と同様に、一般ユーザによる設定の自由な変更又は不正な使用等、使用者による画像処理装置の不適切な使用が不可能になる。従って、安定した画像処理装置の運用が可能となる。また、不適切な使用を防止するためのパスワード又は特殊な操作を管理する必要が無くなる。
【0042】
なお、本実施の形態においては、本体部1と複数の操作部3とが無線通信を行う形態を示したが、画像処理装置は、本体部1と複数の操作部3とが有線で接続され、有線通信を行う形態であってもよい。また、画像処理装置は、操作部3が表示部34を備えていない形態であってもよい。この形態の場合は、ステップS207〜S209の処理は省略される。また、画像処理装置は、本体部1で実行できる処理を個々の操作部3に関連づけた形態であってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 本体部
11 制御部
12 記憶部
13 装着コネクタ
18 送受信部
2、3 操作部
21、31 制御部
22、32 記憶部
23 装着コネクタ
24、34 表示部
25、35 受付部
33 送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理を含む複数種類の処理を実行することが可能な処理手段を有する本体部と、該本体部とは別体であり、前記処理に対応する操作を受け付ける操作部とを備える画像処理装置において、
前記操作部を複数備え、
前記操作部は、
複数の前記操作部の夫々を識別するための識別情報を前記本体部へ入力する入力手段を有し、
前記本体部は、
前記複数種類の処理の内の一部又は全部の処理を複数の前記操作部の夫々に関連付けてある関連付け手段と、
入力された識別情報により識別される前記操作部に前記関連付け手段で関連付けられてある処理を実行するように前記処理手段を制御する制御手段と
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記操作部及び前記本体部は、
複数の前記操作部が択一的に前記本体部に接続される構成となっており、
前記入力手段は、
前記操作部が前記本体部に接続された場合に前記識別情報を入力する構成としてあり、
前記制御手段は、
前記処理手段の状態を、入力された識別情報により識別される前記操作部に前記関連付け手段で関連付けられてある処理を実行することが可能な状態であって、前記操作部に前記関連付け手段で関連付けられていない処理を実行しない状態に制御する手段を有すること
を特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記操作部は、
受け付けた操作を示す操作情報を前記本体部へ送信する手段を有し、
前記本体部は、
複数の前記操作部との間で情報の送受信を行う送受信手段を有し、
前記制御手段は、
前記操作部から受信した操作情報が示す操作が対応する処理の内、入力された識別情報により識別される前記操作部に前記関連付け手段で関連付けられてある処理を前記処理手段に実行させ、前記操作部に前記関連付け手段で関連付けられていない処理を前記処理手段に実行させない手段を有すること
を特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記操作部は、
操作に関する画像を表示する表示部を有し、
前記本体部は、
前記表示部が表示する画像の内容を規定した画像情報を記憶している手段と、
該手段が記憶している画像情報の内、入力された識別情報により識別される前記操作部に前記関連付け手段で関連付けられてある処理に対応する操作に関する内容を含んでおり、前記操作部に前記関連付け手段で関連付けられていない処理に対応する操作に関する内容を含まないように画像の内容を規定した画像情報を、前記送受信手段に前記操作部へ送信させる手段を有し、
前記操作部は、更に、
前記本体部から受信した画面情報に基づいた内容の画像を前記表示部に表示させる手段を有すること
を特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−70276(P2013−70276A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208052(P2011−208052)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】