説明

画像出力検査システム、画像検査装置およびプログラム

【課題】プリンタコントローラからプリント出力装置に中間調処理後の小値(例えば、2bit)のビットマップデータが転送される場合でも、正確な検査を行うこと。
【解決手段】画像検査装置104は、出力画像データから、中間調処理前の画像データを復元した正解画像データを生成する復元装置201と、画像出力媒体を読み取る画像読み取り装置105により生成された読取画像データと正解画像データとを比較し、画像出力媒体について印刷状態の良否判定を行なう画像比較装置202と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像出力検査システム、画像検査装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
大型のプリンタシステムや印刷機システムにおいては、プリンタ画像を生成するプリンタコントローラがプリント出力装置や印刷装置とは別筐体で、離れた場所に設置されていることが多い。上記プリンタコントローラからプリント出力装置に送信する画像データ形式としては、CMYKの多値のビットマップデータ(例えば、8bitデータ)を送信する方式と、CMYKの中間調処理後のビットマップデータ(例えば、2bitデータ)を送信する方式がある。ここで、CMYKの多値のビットマップデータよりも、CMYKの中間調処理後のビットマップデータの方がデータ量が少ないため、CMYKの中間調処理後のビットマップデータを送信する方式の方が、転送処理が軽減される。
【0003】
一方、プリント出力された媒体の印刷状態を検査し、その媒体の良否判定を行なう検査装置が既に公知となっている。一般的に検査装置は、画像形成装置にオプションとして追加され、画像出力検査システムを構成している。従来の印刷を検査する検査装置では、例えば、特許文献1に開示された技術のように、プリンタ言語に基づきビットマップ展開を行なうRIP(Raster Image Processing)処理後の多値CMYKビットマップデータを正解画像データとして検査を行ない、検査精度を向上させている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したように、転送処理を容易にするため中間調処理後のビットマップデータを扱う場合、オプションとして追加された検査装置は、中間調処理による網点化がされていない多値データを用いることが望ましいにも関わらず、中間調処理後のデータ量が少ないビットマップデータしか用いることができない。
【0005】
即ち、中間調処理後のCMYK2ビットデータはディザ処理後のデータであり、画像読取装置で読み取ったデータと検査用の正解画像データの網点一つ一つの位置まで正確に合わせて比較することが困難である。このため、中間調処理後のCMYK2ビットデータを検査用の正解画像データとして用いると、検査装置で正確な検査を行なうことが困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は上記した課題に鑑みてなされたものであり、プリンタコントローラからプリント出力装置に中間調処理後の小値(例えば、2bit)のビットマップデータが転送される場合でも、正確な検査を行うことができる画像出力検査システム、画像検査装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる画像出力検査システムは、入力されたプリンタ言語で指定された画像形成条件に従って中間調処理を施した出力画像データを生成するプリンタコントローラと、前記出力画像データに基づいて画像出力媒体に画像形成を行い、前記出力画像データを送信する画像出力装置と、前記画像出力媒体を読み取り、読取画像データを生成する画像読取装置と、前記画像出力装置に接続され、前記出力画像データから、中間調処理前の画像データを復元した正解画像データを生成し、前記読取画像データと前記正解画像データを比較し、前記画像出力媒体について印刷状態の良否判定を行なう画像検査装置と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる画像検査装置は、入力されたプリンタ言語で指定された画像形成条件に従って中間調処理を施した出力画像データに基づいて画像出力媒体に画像形成を行い、前記出力画像データを送信する画像出力装置に接続された画像検査装置であって、前記出力画像データから、中間調処理前の画像データを復元した正解画像データを生成する復元部と、前記画像出力媒体を読み取る画像読取装置により生成された読取画像データと、前記正解画像データとを比較し、前記画像出力媒体について印刷状態の良否判定を行なう画像比較部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかるプログラムは、入力されたプリンタ言語で指定された画像形成条件に従って中間調処理を施した出力画像データに基づいて画像出力媒体に画像形成を行い、前記出力画像データを送信する画像出力装置に接続されたコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記出力画像データから、中間調処理前の画像データを復元した正解画像データを生成するステップと、前記画像出力媒体を読み取る画像読取装置により生成された読取画像データと、前記正解画像データとを比較し、前記画像出力媒体について印刷状態の良否判定を行なうステップと、を前記コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プリンタコントローラからプリント出力装置に中間調処理後の小値のビットマップデータが転送される場合でも、正確な検査を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施の形態1の画像出力検査システムの構成図である。
【図2】図2は、実施の形態1の画像検査装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、実施の形態1の変形例1の画像検査装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、実施の形態1の変形例2の画像検査装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、実施の形態1の変形例3の画像検査装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、実施の形態2の画像出力検査システムの構成図である。
【図7】図7は、実施の形態2の画像検査装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、実施の形態2の変形例1の画像検査装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、実施の形態2の変形例2の画像検査装置の機能的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、画像出力検査システム、画像検査装置およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1の画像出力検査システムの構成図である。図1に示すように、本実施の形態の画像出力検査システムは、クライアントPC101と、プリンタコントローラに相当するプリントサーバーDFE(Digital Front−End)102と、画像出力装置に相当するプリンタ103と、画像検査装置104と、画像読み取り装置105とを備えている。クライアントPC101とプリントサーバーDFE102とプリンタ103と画像検査装置104とはそれぞれ互いにネットワークで接続されている。また、画像読み取り装置105は、画像検査装置104に有線または無線で接続されている。プリントサーバーDFE102と、プリンタ103、画像検査装置104とは離れて設置されることが多い。
【0014】
クライアントPC101がプリントを指示すると、プリントサーバーDFE102は、プリンタ言語の解析、画像の描画を行ない、最終的には、接続されているプリンタ103が受け取れる出力ビット数にあったビットマップ画像を生成する。本実施の形態では、プリントサーバーDFE102は、8ビットデータから中間調処理を行い、1200dpiCMYKの2ビットのRIPイメージを生成し、このRIPイメージデータをプリンタ103に転送する。
【0015】
プリンタ103は、RIPイメージデータに基づき画像形成された画像出力媒体を出力する。画像出力媒体は、画像検査装置104に接続されている画像読み取り装置105によって読み取られる。ここで、画像出力媒体としては、紙媒体の他、布、プラスチック等、印刷可能な媒体であればいずれでもよい。
【0016】
また、プリンタ103は、中間調処理された2ビットのビットマップ画像データ(2ビットのRIPイメージデータ)を画像検査装置104に送信する。すなわち、プリンタ103から出力される2ビットのRIPイメージデータは、画像検査装置104内の後述する復元装置により中間調処理前の8ビットのビットマップデータに復元される。そして、画像検査装置104において、RIPイメージデータと画像読み取り装置105で読み取られた読取画像データとを比較することにより、画像出力媒体の印刷状態検査を行なう。ここで、印刷状態とは、中間調処理後の画像データが所定の媒体に正しく印刷されているか否かの状態を示すものである。例えば、色、光沢、線の太さ、濃度、トナー落ちなどの印刷状態を示す総称である。
【0017】
図2は、実施例1の画像検査装置104の機能的構成を示すブロック図である。本実施の形態の画像検査装置104は、図2に示すように、復元装置201と、画像比較装置202とを主に備えている。復元装置201は、中間調処理後の2ビット画像から、中間調処理前の8ビット画像である正解画像データを生成(復元)する。
【0018】
本実施の形態では、復元装置201として平滑フィルタを用いる。復元装置201である平滑フィルタの処理としては、例えば、2ビットのRIPイメージデータの画素値「00」を8ビットのRIPイメージデータの画素値「0」に対応させ、2ビットのRIPイメージデータの画素値「11」を8ビットのRIPイメージデータの画素値「255」に対応させている。同様の処理を2ビットのRIPイメージデータの画素値「01」「10」に行なうことで、2ビットのRIPイメージデータの「01」は8ビットのRIPイメージデータの画素値「86」、2ビットのRIPイメージデータの画素値「10」は8ビットのRIPイメージデータの画素値「170」に対応づけている。そして、復元装置201は、「00」「01」に対応するデータである「0」と「86」の平均をとって8ビットのRIPイメージデータの画素値43を生成し、同様の処理で「01」「10」に対応するデータである「86」「170」の平均から8ビットのRIPイメージデータの画素値128を生成する。
【0019】
画像比較装置202では、生成された8ビットのRIPイメージデータである正解画像データと、画像出力媒体の印刷画像を読み取った画像読み取り装置105から送信される8ビット画像である読取画像データとを比較することにより、画像出力媒体の印刷状態の判定(例えば、濃度や異常画像(文字のトナー落ちなど)の判定)を行う。
【0020】
このように本実施の形態では、中間調処理後のRIPイメージデータに対して復元装置201(例えば、平滑化フィルタ)を用いて中間調処理前のRIPイメージデータを復元することで、少ない演算量で正解画像データを正確に生成することができる。このため、本実施の形態では、このような正解画像データと読取画像データとを比較して画像出力媒体の印刷状態を検査しているので、精度の高い検査を実現することができる。
【0021】
(変形例1)
カラープリンタ103の出力である画像出力媒体を検査するためには、正解画像データと検査対象である読取画像データの画像の色空間を一致させる必要がある。すなわち、画像比較装置202が画像データの比較を行うためには、2つの画像データは同じ色空間に変換されている必要がある。
【0022】
図3は、実施例1の変形例1にかかる画像検査装置104の機能的構成を示すブロック図である。本変形例の画像検査装置104は、図3に示すように、復元装置201と、画像比較装置202と、色変換装置301と、色変換装置302とを主に備えている。ここで、復元装置201、画像比較装置202の機能、構成については実施の形態1と同様である。
【0023】
色変換装置301は、画像読み取り装置105で読み取られた読取画像データを、所定の色空間の画像に色変換する。また、復元装置201は、プリンタ103から取得された中間調処理後のRIPイメージデータを、実施の形態1と同様に、中間調処理前の8ビットデータである正解画像データに変換する。そして、色変換装置302は、この正解画像データを、色変換装置301による変換後の上記色空間と同一の色空間に色変換する。画像比較装置202は、同一の色空間に変換された正解画像データと読取画像データとを比較することにより、画像出力媒体の印刷状態の判定を行う。
【0024】
このように、本変形例では、同一の色空間に変換された正解画像データと読取画像データとを比較して画像出力媒体の印刷状態を検査しているので、より精度の高い検査を実現することができる。
【0025】
(変形例2)
変形例1では、色変換装置301と色変換装置302を用いて、正解画像データと読取画像データを同一の色空間に変換したが、2つの色変換装置を用いる必要はなく、何れか一方の色空間に合わせれば画像の比較は可能である。
【0026】
図4は、実施の形態1の変形例2の画像検査装置104の機能的構成を示すブロック図である。本変形例の画像検査装置104は、図4に示すように、復元装置201と、画像比較装置202と、色変換装置401とを主に備えている。ここで、復元装置201、画像比較装置202の機能、構成については実施の形態1と同様である。
【0027】
色変換装置401は、復元装置201から出力される正解画像データの色空間を、画像読み取り装置105で読み取られた読取画像データの色空間と同一の色空間に色変換する。本変形例では、このように正解画像データの色空間を、画像読み取り装置105で読み取られた読取画像データの色空間に合わせて比較することで、カラー画像出力装置であっても、画像出力媒体の検査を行なうことができる。
【0028】
より具体的には、色変換装置401は、以下のような色変換を行う。画像読み取り装置105から出力される読取画像データは、一般的にRGBである。本変形例の色変換装置401は、画像比較装置202が正解画像データと読取画像データとの比較を行うために、復元装置201から出力されるCMYK8ビット画像である正解画像データを、CMYKの色空間からRGBの色空間に変換する。色変換装置401は、CMYKからRGBへ変換するための色変換テーブルであるLUT(Look Up Table)で構成しても良いし、マスキング演算などのような算術演算によって色変換を行ってもよい。
【0029】
このように本変形例では、一般的なカラープリンタと一般的な画像読み取り装置の場合でも、少ない変換手順により正解画像データと読取画像データとを比較することができ、安価な画像検査装置104を構築できる。また、本変形例では、カラー画像出力装置の検査装置として共通の色空間で画像の比較を行い、画像出力媒体の検査を行なうので、より精度の高い検査を実現することができる。
【0030】
(変形例3)
図5は、実施の形態1の変形例3の画像検査装置104の機能的構成を示すブロック図である。本変形例の画像検査装置104は、図5に示すように、復元部としての平滑化フィルタ501と、画像比較装置202と、色変換装置401と、平滑フィルタ502と、を主に備えている。ここで、画像比較装置202、色変換装置401の機能、構成については実施の形態1の変形例2と同様である。
【0031】
中間調処理後の画像を中間調処理前の画像に復元する方法として、例えば中間調処理後の2ビット画像を0→0、1→86、2→170、3→255と変換するのは一番簡単な方法である。しかし、上述したとおり、この方法では中間調処理後のディザの起伏がそのまま残存するのでこれを正解画像データとした場合、画像読み取り装置105からの読取画像データとの比較が難しい。
【0032】
このため、本変形例では、ディザの起伏を滑らかにするために、中間調処理後の画像に平滑化フィルタ501をかけ、平滑化フィルタ501による平滑化後のRIPイメージデータを、正解画像データとする。平滑化フィルタ501のマトリクスサイズは、ディザを平滑化できる程度に大きいサイズである。
【0033】
一方、画像読み取り装置105の出力も画像出力媒体の網点をそのまま読み取っている場合は網点を平滑化して平坦にする必要がある。このため平滑フィルタ502により画像読み取り装置105の出力に対して平滑化を行う。
【0034】
このように本変形例では、正解画像データの生成時と読取画像データの入力時の双方に対して、必要に応じて平滑フィルタ501,502を用いることで、位置ずれに強く、精度の高い比較を行うことができ、より精度の高い検査を実現することができる。
【0035】
(実施の形態2)
図6は、実施の形態2の画像出力検査システムの構成図である。図6に示すように、本実施の形態の画像出力検査システムは、クライアントPC101と、プリンタコントローラに相当するプリントサーバーDFE102と、画像出力装置に相当するプリンタ1603と、画像検査装置1604と、画像読み取り装置105とを備えている。クライアントPC101とプリントサーバーDFE102とプリンタ1603と画像検査装置1604とはそれぞれ互いにネットワークで接続されている。また、画像読み取り装置105は、画像検査装置1604に有線または無線で接続されている。ここで、クライアントPC101、プリントサーバーDFE102、画像読み取り装置105の機能、構成は実施の形態1と同様である。
【0036】
本実施の形態のプリンタ1603は、画像検査装置1604にRIPイメージデータとともに、RIPイメージデータの属性情報を送信する点が実施の形態1と異なっている。また、本実施の形態の画像検査装置1604は、プリンタ1603から受信した属性情報に基づいて、RIPイメージデータの復元を行う点が実施の形態1と異なっている。その他のプリンタ1603、画像検査装置1604の機能は実施の形態1と同様である。
【0037】
ここで、属性情報は、RIPイメージデータの対象が文字オブジェクト、グラフィックオブジェクト、イメージオブジェクトの何れであるかを一画素単位で指定する情報である。本実施の形態では、文字、グラフィック、イメージの3つであるので2ビットで表せる。このビット数は使用するシステムに合わせて決めればよい。
【0038】
図7は、実施の形態2の画像検査装置1604の機能的構成を示すブロック図である。本実施の形態の画像検査装置1604は、図7に示すように、平滑化フィルタ601,602,603と、セレクタ604と、色変換装置401と、画像比較装置202とを主に備えている。ここで、画像比較装置202は、実施の形態1と同様の機能、構成を有する。また、色変換装置401は、実施の形態1の変形例2と同様の機能、構成を有している。
【0039】
平滑化フィルタ601は、RIPイメージデータに対して文字オブジェクト用の平滑化処理を行う。平滑化フィルタ602は、RIPイメージデータに対してグラフィックオブジェクト用の平滑化処理を行う。平滑化フィルタ603は、RIPイメージデータに対してイメージオブジェクト用の平滑化処理を行う。より具体的には、文字オブジェクト用の平滑化フィルタ601が用いるディザマトリクスのマトリクスサイズは、平滑化フィルタ602,603が用いるディザマトリックスのマトリクスサイズより小さく構成されている。また、グラフィックオブジェクト用の平滑化フィルタ602が用いるディザマトリクスのマトリクスサイズは、イメージオブジェクト用の平滑化フィルタ603が用いるディザマトリックスのマトリクスサイズより小さく構成されている。これは、文字オブジェクトの場合には線数が最も細かく、グラフィクスオブジェクトがその次に線数が細かく、イメージオブジェクトの場合、最も線数が荒いためである。
【0040】
セレクタ604は、プリンタ1603からRIPイメージデータの属性情報を受信し、属性情報の内容によって、平滑化フィルタ601〜603の何れか一つを選択し、選択された平滑化フィルタによる平滑化処理後のRIPイメージデータを正解画像データとして色変換装置401へ送出する。すなわち、本実施の形態では、属性情報によって、ディザを平滑化する平滑化フィルタを変えている。図7では、異なる平滑化フィルタの出力を属性情報によって選択する構成を採り、すなわち、オブジェクトによって使用するディザや線数が異なるため、それに合わせた平滑化フィルタを適用している。
【0041】
これにより、線数の細かい文字オブジェクトのディザに対しては、小さなマトリクスの平滑化フィルタ601を適用することで文字の輪郭(エッジ)を保ったまま8ビットの多値化(復元)が可能となる。また、比較的線数の低いグラフィックオブジェクトや、それよりもさらに線数が低いイメージオブジェクトなどはマトリクスサイズの大きな平滑化フィルタ602、603で十分にディザの起伏をならす必要がある。
【0042】
このように本実施の形態では、RIP処理後のRIPイメージデータから検査用の正解画像データを生成する場合、文字部はボケすぎず、グラフィックやイメージ(絵柄)部は滑らかな正解画像データを得ることができ、これにより精度の高い検査が可能となる。
【0043】
(変形例1)
図8は、実施の形態2の変形例1の画像検査装置1604の機能的構成を示すブロック図である。本変形例の画像検査装置1604は、図8に示すように、平滑化フィルタ601,602,603と、セレクタ604と、γ補正部700と、色変換装置401と、画像比較装置202とを主に備えている。ここで、画像比較装置202は、実施の形態1、2と同様の機能、構成を有する。また、色変換装置401は、実施の形態1の変形例2および実施の形態2と同様の機能、構成を有している。また、平滑化フィルタ601〜603、セレクタ604は、実施の形態2と同様の機能、構成を有する。
【0044】
本実施の形態のγ補正部700は、セレクタ604から出力される平滑化処理後のRIPイメージデータに対して、γ補正を行う。RIP処理後のRIPイメージデータから検査用の正解画像データを生成する場合、平滑化フィルタ601〜603のいずれかにより、平滑化を行って中間調処理前の画像データを生成(復元)する。しかし、平滑化しただけでは元の画像を正確に復元できない場合がある。このような場合には、平滑後のRIPイメージデータに対してγ補正を行って階調を調整することが必須である。
【0045】
本変形例では、このように、平滑後のRIPイメージデータに対してγ補正を行っているので、平滑化だけでは正解画像データの正確な値が求まらない場合にも正確な正解画像データを求めることができ、この正解画像データと読取画像データと比較して画像出力媒体の印刷状態を検査しているので、更に精度の高い検査を実現することができる。
【0046】
(変形例2)
図9は、実施の形態2の変形例2の画像検査装置1604の機能的構成を示すブロック図である。本変形例の画像検査装置1604は、図9に示すように、平滑化フィルタ601,602,603と、γ補正部701,702,703と、セレクタ604と、色変換装置401と、画像比較装置202とを主に備えている。ここで、画像比較装置202は、実施の形態1、2と同様の機能、構成を有する。また、色変換装置401は、実施の形態1の変形例2および実施の形態2と同様の機能、構成を有している。また、平滑化フィルタ601〜603、セレクタ604は、実施の形態2と同様の機能、構成を有する。
【0047】
実施の形態2の変形例1では、RIPイメージデータのオブジェクトの種類によらず一律のγ補正を行っていたが、この場合、不具合が発生することがある。これはドットゲインの影響によるものである。すなわち、低線数と高線数のデジタル的に同じ面積率の網点を画像出力媒体上に形成した場合には、ドットゲインの影響で高線数のディザの方が濃度が高くなる。これは、RIP処理後のRIPイメージデータを平滑化して正解画像データを生成した場合に、元の線数によって画像出力媒体上での濃度が異なることを意味している。このため、本変形例では、元のディザの種類や線数に応じて、γ補正部701〜703の入出力特性を調整している。
【0048】
このように本変形例では、元のディザの種類や線数に応じてγ補正を行うことにより、どのような線数をもつ対象に対しても更に高精度な正解画像データを生成することができ、この正解画像データと読取画像データと比較して画像出力媒体の印刷状態を検査しているので、更に精度の高い検査を実現することができる。
【0049】
なお、上記実施の形態1、2およびこれらの各変形例の画像検査装置では、上述した各装置、各部を、回路等のハードウェアで実現することができる。
【0050】
また、上記実施の形態1、2およびこれらの各変形例の画像検査装置では、上述した各装置、各部を、画像検査プログラムで実現することもできる。この場合、上記実施の形態1、2およびこれらの各変形例の画像検査装置で実行される画像検査プログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向プログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0051】
上記実施の形態1、2およびこれらの各変形例の画像検査装置で実行される画像検査プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録してコンピュータプログラムプロダクトとして提供するように構成してもよい。
【0052】
さらに、上記実施の形態1、2およびこれらの各変形例の画像検査装置で実行される画像検査プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、上記実施の形態1、2およびこれらの各変形例の画像検査装置で実行される画像検査プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0053】
上記実施の形態1、2およびこれらの各変形例の画像検査装置で実行される画像検査プログラムは、上述した各部(復元装置、画像比較装置、色変換装置等)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから画像処理プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、復元装置、画像比較装置、色変換装置等が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0054】
以上、実施の形態、変形例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態、変形例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0055】
101 クライアントPC
102 プリントサーバーDFE
103,1603 プリンタ
104,1604 画像検査装置
105 画像読み取り装置
201 復元装置
202 画像比較装置
301,302,401 色変換装置
501,502,601,602,603 平滑化フィルタ
604 セレクタ
700,701,702,703 γ補正部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【特許文献1】特許第3836107号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたプリンタ言語で指定された画像形成条件に従って中間調処理を施した出力画像データを生成するプリンタコントローラと、
前記出力画像データに基づいて画像出力媒体に画像形成を行い、前記出力画像データを送信する画像出力装置と、
前記画像出力媒体を読み取り、読取画像データを生成する画像読取装置と、
前記画像出力装置に接続され、前記出力画像データから、中間調処理前の画像データを復元した正解画像データを生成し、前記読取画像データと前記正解画像データを比較し、前記画像出力媒体について印刷状態の良否判定を行なう画像検査装置と、
を備えたことを特徴とする画像出力検査システム。
【請求項2】
入力されたプリンタ言語で指定された画像形成条件に従って中間調処理を施した出力画像データに基づいて画像出力媒体に画像形成を行い、前記出力画像データを送信する画像出力装置に接続された画像検査装置であって、
前記出力画像データから、中間調処理前の画像データを復元した正解画像データを生成する復元部と、
前記画像出力媒体を読み取る画像読取装置により生成された読取画像データと、前記正解画像データとを比較し、前記画像出力媒体について印刷状態の良否判定を行なう画像比較部と、
を備えたことを特徴とする画像検査装置。
【請求項3】
前記読取画像データの色空間と前記正解画像データの色空間は、同一の色空間であることを特徴とする請求項2に記載の画像検査装置。
【請求項4】
前記読取画像データの色空間を所定の色空間に変換する第1色変換部と、
前記正解画像データの色空間を前記所定の色空間と同一の色空間に変換する第2色変換部と、をさらに備え、
前記画像比較部は、前記同一の色空間に変換された、前記読取画像データと前記正解画像データとを比較することを特徴とする請求項3に記載の画像検査装置。
【請求項5】
前記正解画像データの色空間を前記読取画像データの色空間と同一の色空間に変換する色変換部、をさらに備え、
前記画像比較部は、前記読取画像データと、色変換された前記正解画像データとを比較することを特徴とする請求項3に記載の画像検査装置。
【請求項6】
前記読取画像データがRGBデータであり、
前記正解画像データがCMYKデータであり、
前記色変換部は、前記CMYKデータをRGBデータに色変換することを特徴とする請求項5に記載の画像検査装置。
【請求項7】
前記読取画像データに対して平滑化処理を施す第1平滑化部をさらに備え、
前記復元部は、前記正解画像データに対して平滑化処理を施す第2平滑化部を備え、
前記画像比較部は、平滑化処理が施された前記読取画像データと、平滑化処理が施された前記正解画像データとを比較することを特徴とする請求項2に記載の画像検査装置。
【請求項8】
前記復元部は、前記中間調処理後の画像データに対して平滑化処理を施す複数の平滑化部と、
前記画像データの画素毎の属性を表す属性情報に基づいて、前記複数の平滑化部の中から、平滑化部を選択する選択部と、をさらに備え、
前記画像比較部は、選択された平滑化部により平滑化処理が施された前記中間処理後の画像データを正解画像データとして、前記読取画像データと比較することを特徴とする請求項2に記載の画像検査装置。
【請求項9】
前記選択された平滑化部によって平滑化処理が施された画像データに対してγ補正を行なうγ補正部をさらに備え、
前記画像比較部は、γ補正された画像データを前記正解画像データとして、前記読取画像データと比較することを特徴とする請求項8に記載の画像検査装置。
【請求項10】
前記複数の平滑化部のそれぞれに対応して設けられ、平滑化処理が施された画像データに対して互いに異なるγ補正を行なう複数のγ補正部をさらに備え、
前記選択部は、前記属性情報に基づいて、前記複数のγ補正部の中からγ補正部を選択することを特徴とする請求項8に記載の画像検査装置。
【請求項11】
前記属性情報は、前記画像データが文字オブジェクト、グラフィックオブジェクト、イメージオブジェクトのいずれかを示し、
前記複数の平滑化部のそれぞれは、前記文字オブジェクト、前記グラフィックオブジェクト、前記イメージオブジェクトのそれぞれに対応して設けられていることを特徴とする請求項8に記載の画像検査装置。
【請求項12】
前記複数の平滑化部のそれぞれは、ディザマトリクスのサイズが、前記文字オブジェクト、前記グラフィックオブジェクト、前記イメージオブジェクトの順に小さいサイズで設定されていることを特徴とする請求項11に記載の画像検査装置。
【請求項13】
前記属性情報は、前記画像出力装置から受信することを特徴とする請求項8に記載の画像検査装置。
【請求項14】
入力されたプリンタ言語で指定された画像形成条件に従って中間調処理を施した出力画像データに基づいて画像出力媒体に画像形成を行い、前記出力画像データを送信する画像出力装置に接続されたコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記出力画像データから、中間調処理前の画像データを復元した正解画像データを生成するステップと、
前記画像出力媒体を読み取る画像読取装置により生成された読取画像データと、前記正解画像データとを比較し、前記画像出力媒体について印刷状態の良否判定を行なうステップと、
を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−146033(P2011−146033A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254816(P2010−254816)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】