説明

画像出力装置および画像出力方法

【課題】一定の情報量を有していないと判定されたページを、印刷画像データから削除する。
【解決手段】画像出力装置は、印刷画像データの描画オブジェクトをページ単位で分類する手段と、分類された描画オブジェクトのうち、ページ間で共通に使用されていない差分描画オブジェクトを抽出する差分描画オブジェクト抽出手段と、印刷画像データの各ページが一定の情報量を有しているかどうかを差分描画オブジェクトに基づいて判定するページ情報量判定手段と、ページ情報量判定手段で一定の情報量を有していないと判定されたページを、印刷画像データから削除するページ削除手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報量の少ないページを自動的に割り出すことができる画像出力装置および画像出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な紙媒体の資料として、プレゼンテーション資料や、フォームを使用した報告書等がある。これら資料には、執筆者の編集ミス等に起因して、白紙ページや、同一ページ等が存在する場合がある。
【0003】
従来、上述の様な白紙ページの混入等に対しては、画像処理装置コントローラが搭載する白紙ページ除去等の技術によって、自動的に印刷データからそのようなページを削除して無駄なページ印刷を防止すると共に、不要な印刷コストの削減を行っていた。
【0004】
たとえば、特許文献1に開示された白紙ページ除去等の技術においては、画像処理装置が複数の原稿を読みとる際に各原稿から特徴量を抽出し、当該特徴量を原稿毎に比較することによって、白紙ページもしくは同一ページと判断している。このような処理によって、資料内の白紙ページもしくは同一ページについて印刷データから自動的に除去することが可能となる。
【0005】
また、特許文献2には、ラスタライズ後の各画像データを複数の領域に等分割して、同一箇所の部分を共通領域として検出し、当該同一箇所部分を印刷時に各ページで共有使用する技術が開示されている。この技術によれば、共有使用する同一箇所部分については画像処理が一度で済み、同一ページが存在した場合の処理コストを軽減可能である。
【0006】
【特許文献1】特開平8−263636号公報
【特許文献2】特開2008−79208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、近年、映像投影装置およびプレゼンテーション用アプリケーションの普及を背景に、聴衆への挨拶や導入部分におけるユーモアなどプレゼンテーション内容とは直接関係のない事項のみが記載されたページも資料中に差し挟まれる様になった。その為、プレゼンテーション資料として用いられる原稿には、発表時においてのみ意味を持つような表現がそのまま残っている場合がある。そのような例として、以下のような原稿が挙げられる。
【0008】
聴衆への挨拶である「ご静聴、ありがとうございます。」、プレゼンテーションの終了を示す「End」、聴衆がメモを取るためのページであることを示す「Memo」等のみが記載されているページ。
【0009】
全ページに共通する背景画像のみが記載されているページ。
【0010】
報告書フォームのみが記載されているページ。
【0011】
上記の様なページは、白紙ページではないが、ユーザにとって有用な情報量が極端に少ないページである。特に背景画像や、フォームのみが記載されたページは、当該ページには有用な情報がまったく存在しないという点で、白紙ページと同義である。しかし、従来技術においては、予め印刷設定などによって印刷対象ページの調整が行われない限り、上述のようなページについてもそのまま印刷出力が行われてしまっていた。
【0012】
すなわち、従来技術による白紙ページ除去機能においては、上記の様なページは、情報量がゼロではなく白紙ページには該当しない為に除去の対象とはならず、先の問題を回避出来なかった。
【0013】
そして、特許文献1に記載の技術でも、各ページの特徴量を比較して白紙ページ/同一ページを検知していることから、背景画像のみのページや印刷価値の乏しいページが全原稿中1ページのみであった場合には除外対象とはならず印刷されてしまった。
【0014】
さらに、特許文献2においても、非共通領域の情報を使用して印刷の可否を判定していない為、背景画像のみのページや印刷価値の乏しいページが全原稿中1ページのみであった場合には共通領域を見いだすことができず、処理の共通化ができなかった。
【0015】
さらに、そもそも不要なページを印刷しないためには、予めユーザが印刷の要否を判断した上で出力前に印刷ページの指定を行なえばよいが、これはユーザにとり煩雑な作業であった。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る画像処理装置は、印刷画像データの描画オブジェクトを分類する手段と、前記分類された描画オブジェクトのうち、複数のページにおいて使用されていない差分描画オブジェクトを抽出する差分描画オブジェクト抽出手段と、前記差分描画オブジェクトの情報量を判定するページ情報量判定手段と、前記ページ情報量判定手段の結果に基づいて前記印刷画像データから削除するページを決定する、ページ削除手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る画像処理装置は、印刷画像データの描画オブジェクトを分類する手段と、前記分類された描画オブジェクトのうち、複数のページにおいて使用されていない差分描画オブジェクトを抽出する差分描画オブジェクト抽出手段と、前記差分描画オブジェクトの情報量を判定するページ情報量判定手段と、前記ページ情報量判定手段の結果に基づいて、前記印刷画像データを構成するページについて、印刷をするかどうかをユーザが指示するための削除指示情報を表示させるべく生成する手段と、前記ユーザからページ削除の指示を受けた場合に、指定されたページを前記印刷画像データから削除するページ削除手段と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明に係る画像処理方法は、印刷画像データの描画オブジェクトを分類するステップと、前記分類された描画オブジェクトのうち、複数のページにおいて使用されていない差分描画オブジェクトを抽出する差分描画オブジェクト抽出ステップと、前記差分描画オブジェクトの情報量を判定するページ情報量判定ステップと、前記ページ情報量判定ステップの結果に基づいて前記印刷画像データから削除するページを決定する、ページ削除ステップとを備えたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る画像処理方法は、印刷画像データの描画オブジェクトを分類するステップと、前記分類された描画オブジェクトのうち、複数のページにおいて使用されていない差分描画オブジェクトを抽出する差分描画オブジェクト抽出ステップと、前記差分描画オブジェクトの情報量を判定するページ情報量判定手段と、前記ページ情報量判定手段の結果に基づいて、前記印刷画像データを構成するページについて、印刷をするかどうかをユーザが指示するための削除指示情報を表示させるべく生成するステップと、前記ユーザからページ削除の指示を受けた場合に、指定されたページを前記印刷画像データから削除するページ削除ステップと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、情報量の少ないページを自動的に割り出すことができる。
【0021】
また、情報量の少ないページを印刷対象から除外した後に印刷処理を行う為、出力コストや印刷処理コストを軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(実施例1)
以下では、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施例による画像出力装置の構成を示すブロック図である。
【0024】
図1において、画像出力装置10は、操作部30、HDD40、コントローラ部50およびプリンタ部60により構成される。
【0025】
ホストコンピュータ20は、本発明による画像出力装置10のプリント機能を使用してたとえばプレゼンテーション資料を紙媒体に印刷する場合に、当該プレゼンテーション資料に係る印刷画像データ(印刷ジョブ)を画像出力装置10に送信する。ホストコンピュータ20と画像出力装置10は、有線LANまたは無線LANなどのネットワークにより接続される。
【0026】
操作部30は、不図示の画像表示部とキ−入力部とからなり、ユーザの操作指示を受け付ける機能を有する。また、画像出力装置10の情報をユーザに表示する機能も備える。
【0027】
HDD40は、入出力する印刷画像データなどを記憶しておくためのハードディスクドライブである。HDD40は、オブジェクト情報記憶部45および無駄ページ判定テーブル47を備える。
【0028】
オブジェクト情報記憶部45は、各ページのオブジェクト情報を格納する。
【0029】
無駄ページ判定テーブル47は、情報量が少なく印刷する必要性の乏しいページ(以下、「無駄ページ」と呼ぶ。)か否かを判定する際に用いられるテーブルであり、判断基準となる項目ごとに閾値が設定されたテーブルである。このテーブルは、ユーザ等によって予め作成されHDD40内に格納される。
【0030】
コントローラ部50は、画像出力装置10の制御全般を行う。
【0031】
プリンタ部60は、画像出力装置10にてラスタライズ処理されたラスタデータを紙等の記録媒体に印刷出力する。
【0032】
次に、コントローラ部50の詳細について説明する。
【0033】
ホストI/F100は、ホストコンピュータ20とのデータインターフェースであり、コネクタ、データバッファからなる。
【0034】
操作部I/F200は、ユーザが操作部30を介して入力したキ−情報や画像表示部を介してユーザに提示する情報の出し入れを行うインターフェースである。操作部I/F200は、コネクタとデータバッファとからなる。
【0035】
HDDI/F300は、HDD40とのインターフェースであり、コネクタおよびデータバッファからなる。
【0036】
CPU400は、中央演算装置であり、バス2000を介して他のブロックと接続され、各ブロック間にデータ、命令を伝達して、画像処理装置10を制御する。
【0037】
ROM500は、CPU400が実行するプログラムや文字フォント等の各種データを記憶する。
【0038】
RAM600は、各種データや画像を一時的に記憶しておくワークエリアである。
【0039】
ページメモリ700は、入出力する印刷画像データをそのままビットマップで展開できるメモリである。
【0040】
プリンタI/F800は、プリンタ部60にて印刷画像データをやり取りするためのインターフェースであり、コネクタ、データバッファからなる。
【0041】
中間データ生成部900は、印刷ジョブのPDL(Page Description Language)データから中間データを生成する。
【0042】
印刷判定処理部1100は、ホストコンピュータ20から受信した印刷画像データ(印刷ジョブ)中に含まれる無駄ページを取り除く等の処理を行う。
【0043】
ラスタライズ処理部1200は、印刷画像データをラスタライズし、ラスタデータを生成する。
【0044】
図2は、本発明に係る画像出力装置10における処理の概要を視覚的に示したイメージ図である。以下、処理の順に従い時系列に説明する。
【0045】
まず、参照符号A201乃至A206が示している各内容について説明する。
【0046】
A201は、全4ページで構成されたプレゼンテーション資料の印刷画像データの一例を示している。A202は、印刷画像データA201の描画オブジェクトをページ単位で分類した中間データである。A203は、中間データA202においてページ間で共通に使用される描画オブジェクト、(共通描画オブジェクト)であり、ここでは背景が示されている。A204は、中間データA202から共通描画オブジェクトを除外した差分としての描画オブジェクト(差分描画オブジェクト)を示している。A205は、無駄ページ判定テーブルである。A206は、中間データA202から無駄ページが除外されている様子を示している。
【0047】
画像出力装置10における処理の大まかな流れは以下のとおりである。
【0048】
最初に、S201において画像出力装置10が、ホストコンピュータ20から送信された印刷画像データ(印刷ジョブ)A201を受信し、受信した印刷画像データの描画オブジェクトを分類する処理を行う。この分類処理はページ単位で行い、上述の中間データA202が生成される。たとえば、ページ1については、「Title」の文字と背景の2つの描画オブジェクトに分類した中間データが生成される。生成された中間データA202は、HDD40に格納される。
【0049】
次いで、S202において画像出力装置10は、S201で分類された各ページの描画オブジェクト同士を比較し、他のページで共通に使用されている共通描画オブジェクトをA203として抽出する。
【0050】
次に、S203において画像出力装置10は、共通描画オブジェクトA203を中間データA202から除外した差分描画オブジェクトA204を抽出する。
【0051】
そして、S204において差分描画オブジェクトA204を無駄ページ判定テーブルA205と照合して、差分描画オブジェクトのページが一定の情報量を有しているかどうかを判定する。
【0052】
最後に、S205において、中間データA202から一定の情報量を有しないと判定された3ページ目と4ページ目が削除されて、印刷画像データ(ラスタデータ)A206が生成され、印刷処理がなされる。
【0053】
次に、本発明の特徴である印刷判定処理部1100における処理の詳細について説明する。
【0054】
図3は、画像出力装置10内の印刷判定処理部1100を中心とした処理の詳細を示したメインフローチャートである。そして、図11には、印刷判定処理部1100を構成する各部が示されている。すなわち、印刷判定処理部1100は、描画オブジェクト分類処理部1110、差分描画オブジェクト抽出処理部1120、ページ情報量判定処理部1130、ページ削除処理部1140から構成される。
【0055】
なお、以下に説明する各部の処理は、コントローラ50の制御の下で行われることを前提としている。当然のことながら画像出力装置10内の各部の機能を、CPU400によって実行されるソフトウェア処理として実施することも可能である。
【0056】
以下、印刷判定処理部1100における処理の流れについて、図2も参照しつつ説明する。
【0057】
最初に、S301において画像出力装置10は、ホストI/F100を介して印刷ジョブとしての印刷画像データ(PDLデータ)をホストコンピュータ20から受信する。
【0058】
次いで、S302において中間データ生成部900は、S303以下の処理に適した印刷画像データとするために、PDLデータを中間データに変換する。すなわち、本明細書において「中間データ」とはPDLデータから変換された印刷画像データであって、最終的に印刷するためのラスタライズ処理が未だ施されていない印刷画像データを指す。なお、後述のとおり、本発明において中間データを生成することは必須ではなく、省略することも可能である。
【0059】
次に、S303において描画オブジェクト分類処理部1110は、生成された中間データから描画オブジェクトを抽出してページ単位で分類し、ページ毎にオブジェクト情報を生成する。オブジェクト情報には、当該ページ中の描画オブジェクトの属性情報(文字または図形)、各描画オブジェクトの構成(文字であれば文字数、図形であれば描画面積など)、ページ情報(全ページ数のうちの何ページ目)などの情報が含まれる。描画オブジェクトの分類処理が終了すると、生成されたオブジェクト情報は、HDD40内のオブジェクト情報記憶部45に格納される。
【0060】
次にS304およびS305において差分描画オブジェクト抽出処理部1120は、オブジェクト情報記憶部45に格納されているオブジェクト情報を読み出し、各描画オブジェクトのうち複数のページ間で共通に使用されていない差分描画オブジェクトを抽出する。すなわち、まず、差分描画オブジェクト抽出処理部1120は、オブジェクト情報に基づいて、異なるページの描画オブジェクト同士を比較する(S304)。そして、その比較結果から他のページでも共通に使用されている共通描画オブジェクトを抽出した後、他のページでは共通に使用されていない差分描画オブジェクトを抽出する(S305)。抽出された共通描画オブジェクトと差分描画オブジェクトは、再びオブジェクト情報記憶部45に格納される。このようにして、印刷画像データの描画オブジェクトが、ページ単位で分類される。
【0061】
(差分描画オブジェクト抽出処理)
ここで、差分描画オブジェクト抽出処理部1120における処理について、図4を参照しつつさらに詳細に説明する。
【0062】
図4は、差分描画オブジェクト抽出処理部1120の処理を中心に、S303乃至S305の詳細について説明したフローチャートである。
【0063】
S401は、図3のS303と同様である。すなわち、中間データ生成部900で生成された中間データから、描画オブジェクト分類処理部1110がページ単位で描画オブジェクトを分類し、ページ毎のオブジェクト情報を生成する。
【0064】
次にS402において描画オブジェクト分類処理部1110は、各オブジェクト情報内のすべての描画オブジェクトに対して、未比較フラグをセットする。ここで未比較フラグとは、当該フラグのセットされた描画オブジェクト(以下、「未比較オブジェクト」と呼ぶ)が、比較元オブジェクトとしてS404の比較処理を行う必要があることを示すフラグである。未比較フラグがセットされた後、各オブジェクト情報はオブジェクト記憶部45に格納される。
【0065】
次にS403において差分描画オブジェクト抽出処理部1120は、他のページの描画オブジェクトと比較する1つの描画オブジェクトを比較元オブジェクトとして設定する。差分描画オブジェクト抽出処理を開始する段階では、すべてのオブジェクト情報内のすべての描画オブジェクトに対して未比較フラグがセットされている状態である。そのため、未比較オブジェクトのうち、たとえば、1ページ目の描画順が最も早い未比較オブジェクトを比較元オブジェクトとして設定する。ただし、どの未比較オブジェクトを最初に比較元オブジェクトとして設定するかは任意であり、たとえば、本実施例とは逆に最終ページの描画順が最も遅い未比較オブジェクトを最初の比較元オブジェクトに設定してもよい。
【0066】
次にS404において、差分描画オブジェクト抽出処理部1120は、比較元オブジェクトに設定された一の描画オブジェクトと他のページに含まれるすべての未比較オブジェクトとを比較する。具体的には、描画オブジェクトを構成する描画画素単位(ピクセル単位)で、比較元オブジェクトと他のページの未比較オブジェクトとを順に比較してゆく。
【0067】
次にS405では、差分描画オブジェクト抽出処理部1120は、S404で比較元オブジェクトと同じ内容の未比較オブジェクトが他ページに存在するかどうかを判定する。すなわち、比較元オブジェクトが属するページとは異なるページに、比較元オブジェクトと同じ情報を持った描画オブジェクトがあるかどうかを判定する。具体的な処理としては、S404の比較の結果、比較元オブジェクトとすべての描画画素が完全に一致する未比較オブジェクトがあるかどうかを確認し、完全に一致した場合に両描画オブジェクトを同一と判定する。
【0068】
S405において他ページに同一の描画オブジェクトありと判定された場合には、S406へと進む。
【0069】
S406において差分描画オブジェクト抽出処理部1120は、同一と判定された描画オブジェクトのそれぞれに対して共通フラグをセットする。共通フラグは、異なるページに同じ内容の描画オブジェクトが存在することを示すフラグである。共通フラグをセットした後、差分描画オブジェクト抽出処理部1120は、双方の描画オブジェクトに対する未比較フラグを削除して、双方のオブジェクト情報をオブジェクト情報記憶部45に格納する。
【0070】
S405において他ページに同じ描画オブジェクトがないと判定された場合には、S411へと進む。S411において差分描画オブジェクト抽出処理部1120は、比較元オブジェクトに対して差分フラグをセットする。差分フラグは、当該描画オブジェクトが他のページに同一の描画オブジェクトが存在しない差分描画オブジェクトであることを示すフラグである。この差分描画オブジェクトは、後述のページ情報量判定処理のS503で使用される。差分フラグをセットした後、差分描画オブジェクト抽出処理部1120は、比較元オブジェクトに対する未比較フラグを削除して、そのオブジェクト情報をオブジェクト情報記憶部45に格納する。
【0071】
S407において差分描画オブジェクト抽出処理部1120は、同一ページ内に未比較オブジェクトが存在するかどうかを判定する。
【0072】
未比較オブジェクトが同一ページ内にまだ存在する場合は、S412に進み、差分描画オブジェクト抽出処理部1120は、残っている未比較オブジェクトを次の比較元オブジェクトに設定しS404へ戻る。残っている未比較オブジェクトが複数存在する場合には、たとえば、描画順の早い方を次の比較元オブジェクトに設定する等すればよい。
【0073】
S407において同一ページ内に未比較オブジェクトが存在しないと判定された場合には、S408へと進む。
【0074】
S408において差分描画オブジェクト抽出処理部1120は、オブジェクト情報を参照して次のページが存在するかどうかを判定する。ここで現在のページが最終ページであり、次のページなしと判定された場合は処理を終了する。
【0075】
S408において次ページありと判定された場合は、S409において差分描画オブジェクト抽出処理部1120は、処理ページを次のページ(たとえば、2ページ目)に更新する。
【0076】
そして、S410において差分描画オブジェクト抽出処理部1120は、当該ページ(すなわち、2ページ目)に属する描画オブジェクトの中に未比較オブジェクトがあるかどうかを判定する。
【0077】
S410において、当該ページ(すなわち、2ページ目)に未比較オブジェクトなしと判定された場合は、S408へと戻り、さらに次のページ(たとえば、3ページ目)が存在するかどうかの判定処理を行う。
【0078】
S410において、当該ページ(すなわち、3ページ目)に未比較オブジェクトありと判定された場合は、S403へと戻り、当該ページ(すなわち、3ページ目)に含まれる未比較オブジェクトの中から次の比較元オブジェクトを設定する。
【0079】
以上の処理を最終ページに至るまで繰り返し、ページ単位で分類された描画オブジェクトから複数のページ間で共通しない描画オブジェクトに差分フラグを付与して、差分描画オブジェクトを抽出する。
【0080】
なお、差分描画オブジェクトの抽出は、ホストコンピュータ20から受信した印刷ジョブであるPDLデータから直接行うことも可能である。この場合は、PDLデータにおけるオブジェクト描画命令の共通部分から共通描画オブジェクトを割り出し、残ったオブジェクト命令により表される部分を差分描画オブジェクトとするといった方法により抽出することができる。そして、中間データに変換してから差分描画オブジェクトを抽出した場合と同様に、抽出された差分描画オブジェクトに対して差分フラグを付与したオブジェクト情報をページ単位で生成すればよい。
【0081】
図3のフローに戻り、続きを説明する。
【0082】
次に、S306においてページ情報量判定処理部1130は、中間データの各ページが一定の情報量を有しているかどうかを判定する。このページ情報量判定処理は、差分フラグが付与された差分描画オブジェクトと無駄ページ判定テーブル47とを照合することによりなされる。すなわち、ページ情報量判定処理部1130は、まず、オブジェクト情報記憶部45から差分描画オブジェクトのオブジェクト情報を読み出し、HDD40から無駄ページ判定テーブル47を読み出す。そして、無駄ページ判定テーブル47内の項目毎に設けられた閾値と当該項目に対応する差分描画オブジェクトの数値とを照合する。そして、当該差分描画オブジェクトの数値が閾値に達していない場合には、当該差分描画オブジェクトの属するページが一定の情報量を有していないと判定する。このようにして、情報量が少なく印刷する価値の低いページかどうか、いわゆる無駄ページかどうかを判定する。
【0083】
無駄ページ判定テーブル47の一例が、図8に示されている。図8の例では、判定のための項目として文字数と描画面積が設けられ、それぞれに閾値がセット単位で設定されている。セット1は、文字数の閾値として5文字、描画面積の閾値として1000pxlが設定されている。セット2は、文字数の閾値として15文字、描画面積の閾値として2000pxlが設定されている。セット3は、文字数の閾値として30文字、描画面積の閾値として3000pxlが設定されている。すなわち、無駄ページ排除のレベルが低いセット1、排除レベルが中くらいのセット2、排除レベルが高いセット3の計3種類のセットが、無駄ページかどうかを判定するための基準として予め用意されている。
【0084】
ここで、文字数については、全角/半角や大文字/小文字に関係なく、1文字であればすべて同等に扱うことが望ましい。情報量は文字の数に依存するためである。たとえば、排除レベルの低いセット1の例では、文字数の閾値が「5」となっている。この場合には、描画オブジェクトの属性が文字でその文字数が5未満であれば、当該文字が全角か半角かといったこととは無関係に無駄ページと判定される。なお、文字数に代えて文章数を項目としてもよい。この場合には、たとえば、閾値を「2」と設定することで、文字数は一定程度以上(たとえば10文字以上)ではあるが「ご静聴ありがとうございます。」等の記載のみで文章数が1しかないページを、無駄ページと判定することができる。この場合の文章の数は、句点の数等を基準に判断すればよい。もちろん、文字数と文章数の両方を判定するための項目とし、双方の閾値をクリアした場合に一定の情報量ありとしてもよい。
【0085】
また、描画面積は、1のページ内に含まれる全描画オブジェクトの描画面積の総和であり、本実施例では、印刷解像度に換算した場合の描画画素数を用いている。単位はピクセル(pxl)である。この場合には、1のページ内に含まれる描画オブジェクトの描画面積の総和と設定された閾値とを照合し、描画面積の総和が閾値未満の場合には、無駄ページと判定されることになる。
【0086】
上記で説明した文字数、文章数および描画面積は無駄ページかどうかを判定するための項目の一例であり、これらの他にも文字等のスタイル設定の使用の有無、図形の使用色数およびグラデーション使用の有無といった様々な項目を自由に組み合わせてもよい。
【0087】
そして、無駄ページ判定テーブルに用意された複数のセットのうちいずれを適用するかについては、たとえば、事前に管理者が所定のセットを設定する等により、一律に適用されるようにすればよい。また、印刷ジョブの特性に合わせて最適なセットを個々のユーザがその都度選択できるようにしてもよい。これらの設定および選択は、管理者または個々のユーザが図1の操作部I/Fを介して行う。
【0088】
なお、無駄ページ判定テーブルの内容は、管理者またはユーザが任意に変更可能である。管理者やユーザが無駄ページ判定テーブルを編集する場合は、まず、ホストI/F100を通じてHDD40に格納されている無駄ページ判定テーブル47をホストコンピュータ20へ取り込む。その後、ユーザは、当該無駄ページ判定テーブルについて、新たな項目を追加あるいは削除したり、閾値を任意の値に変更する等して、編集済みの無駄ページ判定テーブル47をホストI/F100を通じてHDD40に格納する。この際、古い無駄ページ判定テーブル47は新たに編集された無駄ページ判定テーブル47によって上書きされ、HDD40内の無駄ページ判定テーブル47は更新される。
【0089】
ここで、図2のA204に示されている差分描画オブジェクトおよびA205に示されている無駄ページ判定テーブルを例に、ページ情報量判定処理における具体的な処理動作を説明する。最初に、図2のA204において、各ページの画像オブジェクトの構成、すなわち差分描画オブジェクトが以下のとおりであると仮定する。
1ページ目の差分描画オブジェクト:文字数が5、画素数が900pxl
2ページ目の差分描画オブジェクト:文字数が0、画素数が計2500pxl
3ページ目の差分描画オブジェクト:文字数が3、画素数が500
4ページ目の差分描画オブジェクト:文字数が4、画素数が700、
そして、無駄ページ判定テーブルについては、A205に示されているとおり、判定のための項目として文字数と描画面積が設定され、文字数の閾値として5文字、描画面積の閾値として1000pxlが設定されている。
【0090】
この場合、まず、ページ1については、描画面積は「900pxl」であり、閾値「1000pxl」未満であるが、文字数が「5」であるため、文字数の閾値「5」以上となる。このため、無駄ページではないと判定される。
【0091】
次に、2ページ目については、文字が存在しないため文字数によっては無駄ページかどうかを判定することができないが、描画面積が「計2500pxl」であるため、閾値の数値「1000pxl」を超えている。このため、無駄ページではないと判定される。
【0092】
次に、3ページ目については、文字数は「3」で、閾値「5」未満であり、描画面積も「500pxl」で、閾値「1000pxl」未満である。したがって、いずれの項目についても閾値未満であるため、無駄ページと判定される。
【0093】
次に、4ページ目については、文字数は「4」で、閾値「5」未満であり、描画面積も「700pxl」で、閾値「1000pxl」未満である。したがって、いずれの項目についても閾値未満であるため、無駄ページと判定される。
【0094】
以上のとおり、3ページ目、4ページ目が、無駄ページと判定され、当該ページについては印刷の対象外となる。
【0095】
(ページ情報量判定処理)
図5および図12は、S306におけるページ情報量判定処理において無駄ページかどうかを判定する場合の処理の詳細について説明したフローチャートである。まず、図5について説明する。
【0096】
S501においてページ情報量判定処理部1130は、まず、差分フラグがセットされた差分描画オブジェクトのすべてに対し未照合フラグをセットする。未照合フラグとは、無駄判定テーブルとの照合処理を終えていない差分描画オブジェクトであることを示すフラグである。なお、未照合フラグがセットされた差分描画オブジェクトを、以下「未照合オブジェクト」と呼ぶ。
【0097】
次にS502においてページ情報量判定処理部1130は、無駄ページ判定テーブル47と照合する差分描画オブジェクトとして、未照合オブジェクトのうちの1つを照合元オブジェクトとして設定する。
【0098】
ページ情報量判定処理を開始する段階では、すべての差分描画オブジェクトに対して未照合フラグがセットされている状態である。そのため、すべての未照合オブジェクトのうち、たとえば、1ページ目の描画順が最も早い未照合オブジェクトを照合元オブジェクトとして設定する。ただし、どの未照合オブジェクトを最初の照合元オブジェクトとして設定するかは任意であり、たとえば、本実施例とは逆に最終ページの描画順が最も遅い未照合オブジェクトを最初に比較元オブジェクトに設定してもよい。
【0099】
S503においてページ情報量判定処理部1130は、まず、無駄ページ判定テーブル47を読み出す。次に、ページ情報量判定処理部1130は、無駄ページ判定テーブル47の予め選択されたセットの閾値と照合元オブジェクトに設定された一の差分描画オブジェクトの数値とを照合する。すなわち、管理者等によって事前に選択されたセットの各項目に設定されている閾値と照合元オブジェクトの対応する数値とをそれぞれ照合する。
【0100】
S504においてページ情報量判定処理部1130は、照合元オブジェクトの各数値が無駄ページ判定テーブル47の各閾値に達しているか否かを判定する。S504において、照合元オブジェクトの各数値がいずれの項目の閾値にも達していなかった場合、S505に進む。
【0101】
S505においてページ情報量判定処理部1130は、照合元オブジェクトに対してセットされている未照合フラグを削除し、対応するオブジェクト情報をオブジェクト情報記憶部45に格納する。
【0102】
その後、S506においてページ情報量判定処理部1130は、同じ処理ページ内に未照合オブジェクトがあるかどうかを判定する。その結果、未照合オブジェクトがあると判定された場合は、S507においてページ情報量判定処理部1130は、当該未照合オブジェクトを次の照合元オブジェクトに設定し、S502へ戻る。
【0103】
S504において、照合元オブジェクトの各数値がいずれかの項目の閾値に達していた場合には、S509に進む。すなわち、S509においてページ情報量判定処理部1130は、当該処理ページを無駄ページではないと判断した上で、次に処理するページがあるか否かを判定する。
【0104】
S509において次に処理するページがあると判定された場合は、S510においてページ情報量判定処理部1130は、次のページを新たな処理ページに設定する。
【0105】
新たな処理ページが設定された後は、S511においてページ情報量判定処理部1130は、当該処理ページに未照合オブジェクトがあるかどうかを判定する。未照合オブジェクトがあると判定された場合はS502に戻る。未照合オブジェクトがないと判定された場合はS509に戻り、次に処理するページがあるか否かを判定する。
【0106】
S506の処理において、処理ページ内に未照合オブジェクトがないと判定された場合には、S508に進む。
【0107】
S508に処理が進むということは、当該処理ページの差分描画オブジェクトの各数値のすべてがいずれの項目の閾値にも達していないことを意味している。したがって、S508においてページ情報量判定処理部1130は、当該処理ページに対し無駄ページフラグをセットして、当該ページのオブジェクト情報をオブジェクト情報記憶部45に格納する。無駄ページフラグのセットが終わると、S509に進み、次に処理するページがあるか否かを判定する。
【0108】
S509において、次に処理するページがないと判定されるとページ情報量判定処理は終了する。
【0109】
以上のようにして、描画オブジェクトを構成する文字数から、印刷画像データの各ページが一定の情報量を有するページかそれとも一定の情報量を有さない無駄ページかが判定される。
【0110】
なお、文章数や描画面積を基準にする場合には、図12のフローチャートに示されるように、各項目の閾値と当該ページ内にある全描画オブジェクトの対応する数値の合計値とを照合することによって無駄ページかどうかを判定する。以下、図12のフローについて説明する。
【0111】
まず、S1201は、S501と同じであり、全差分描画オブジェクトに未照合フラグがセットされる。
【0112】
S1202においてページ情報量判定処理部1130は、最初の処理ページ内に含まれるすべての未照合オブジェクトを照合元オブジェクトに設定する。
【0113】
S1203においてページ情報量判定処理部1130は、各照合元オブジェクトから、照合する項目に対応した数値の合計値を算出する。たとえば、照合する項目が文章数の場合、当該ページに含まれるすべての照合元オブジェクトをチェックし、文章単位での数の合計値を算出する。また、照合する項目が描画面積の場合には、当該ページに含まれるすべての照合元オブジェクトをチェックし、当該ページ内に存在する全オブジェクトの描画面積の合計値を算出する。
【0114】
S1204においてページ情報量判定処理部1130は、算出した合計値と無駄ページ判定テーブルの対応する項目の閾値とを照合する。
【0115】
S1205においてページ情報量判定処理部1130は、合計値が閾値に達しているかどうかを判定する。達していると判定された場合には当該処理ページは一定の情報量を有するページであると判断して、S1208へと進み、次に処理するページがあるか否かを判定する。次に処理するページがある場合には、次のページを処理ページに設定してS1202へと戻る。次のページがない場合には処理を終了する。
【0116】
S1205で閾値に達していないと判定された場合には、S1206においてページ情報量判定処理部1130は、照合元オブジェクトに対してセットされている未照合フラグを削除し、S1207へと進む。
【0117】
S1207においてページ情報量判定処理部1130は、当該処理ページに対し無駄ページフラグをセットして、当該ページのオブジェクト情報をオブジェクト情報記憶部45に格納する。
【0118】
このように、描画オブジェクトを構成する文章数や描画面積を基準にする場合には、描画オブジェクト毎の数値ではなく1ページに含まれる全描画オブジェクトの合計値と照合することによって無駄ページかどうかを判定する。なお、描画オブジェクト毎に照合するか、1ページに含まれる全描画オブジェクトの合計値と照合するかは、基準となる項目の性質やユーザの利便性の観点から適宜選択して用いればよく、特に限定されるものではない。たとえば、描画面積については、本実施例とは反対に描画オブジェクト毎の数値と照合して判断してもよい。この場合には、無駄ページと判定されにくくなる。
【0119】
図3のフローに戻り、続きを説明する。
【0120】
S306におけるページ情報量判定処理が終わると、S307に進む。
【0121】
S307においてページ削除処理部1140は、一定の情報量を有さない無駄ページがあるか否かを判定する。すなわち、ページ削除処理部1140は、オブジェクト情報記憶部45から全ページのオブジェクト情報を読み出し、いずれかのページのオブジェクト情報に無駄ページフラグが存在するかどうかを確認する。無駄ページありと判定された場合には、S308に進み、無駄ページなしと判定された場合には、S309に進む。
【0122】
S308においてページ削除処理部1140は、S302で生成された中間データから、無駄ページフラグがセットされているページを削除する。このようにページ情報判定処理部1130で一定の情報量を有さないと判定されたページが、中間データから削除される。無駄ページを削除する処理が終了するとS309に進む。
【0123】
S309においてラスタライズ処理部1200は、必要に応じて無駄ページが削除された中間データをラスタライズし、最終的にプリンタ部60で印字するためのラスタデータを生成する。
【0124】
最後にS310において、プリンタ部60がラスタデータに基づき印刷処理を行う。
【0125】
以上のとおり、本実施例に係る画像出力装置では、ホストコンピュータ20から受信した当初の印刷画像データから無駄ページを除いた印刷画像データに対してラスタライズ処理がなされる。印刷画像データに対してラスタライズ処理がなされる前の時点において情報量の少ないページを割り出し、自動的にそのような無駄ページを印刷対象から取り除くことができる。
【0126】
なお、ホストコンピュータ20において無駄ページを判定し印刷対象から取り除いた、印刷画像データ画像出力装置10に送信してもよい。
この場合、印刷画像データから無駄ページを省くために用いられる無駄ページ判定テーブル47や印刷判定処理部1100はホストコンピュータ20に存在している。
【0127】
(実施例2)
実施例1においては、無駄ページと判断されたページを最終的な印刷画像データから単に除外した。次に、削除された無駄ページの概要を把握するための一覧を添付する実施形態について説明する。
【0128】
図6は、情報量の少ない無駄ページとして印刷画像データから削除されたページの一覧を記載したページを追加する処理について説明したフローチャートである。この処理は、実施例1において説明した図3のフローチャートのS308およびS309に代替するものである。したがって、その他のステップにおける処理については実施例1と共通するため、代替する部分を中心に説明する。
【0129】
以下、図6のフローチャートに沿って本処理の流れを説明する。
【0130】
図3のS307において、無駄ページがあると判定されると、S601においてラスタライズ処理部1200は、中間データの全ページについてラスタライズ処理を行い、ラスタデータを生成する。
【0131】
次に、S602においてページ削除処理部1140は、生成されたラスタデータのうち、無駄ページのラスタデータに対して加工処理を行う。具体的には、無駄ページではないページの印刷出力解像度よりも十分に低い解像度に変換すると共に、画像サイズを十分に小さい大きさに縮小する。たとえば、無駄ページではないページの印刷出力解像度が600dpiと仮定した場合、無駄ページについては、解像度を72dpiに変換し、さらに画像サイズを1/16に縮小する。ここでの変換解像度と、画像サイズの縮小割合については、無駄ページの概要が把握できる程度を目安として決定すればよく、ユーザの希望に合わせて任意に変更すればよい。実際の変更作業は、たとえば、操作部I/F200を介して行えばよい。なお、解像度の変換方式と画像サイズの変更方式については、特に限定されるものではなく、当業者において適用可能な公知技術を用いればよい。その具体的な内容については本発明のポイントではないため説明を省略する。加工された無駄ページのラスタデータは別途HDD40に格納される。
【0132】
次に、S603においてページ削除処理部1140は、S601でラスタライズ処理された全ページのラスタデータから無駄ページ分を削除する。
【0133】
続いてS604においてページ削除処理部1140は、まず、HDD40内に格納されている加工された無駄ページのラスタデータを読み出す。そして、無駄ページが削除されたラスタデータの末尾に空白ページを付加し、加工された無駄ページのラスタデータを空白ページに配置して、削除した無駄ページの一覧を記載した新規のページを作成する。
【0134】
S605においてラスタライズ処理部1200は、作成された新規ページをラスタライズ処理する。
【0135】
S606においてページ削除処理部1140は、無駄ページが削除されたラスタデータに、削除したページの一覧を記載した新規ページのラスタデータを結合して、最終的な印刷用のラスタデータを生成する。
【0136】
図7は、本実施例の一例を視覚的に表したイメージ図である。
【0137】
701は、図2のA206に対応しており、当初の印刷画像データに無駄ページと判定されたページが含まれている様子を示している。703および704は、無駄ページと判定された3ページ目と4ページ目である。705は、本実施例において作成される無駄ページとして削除されたページの一覧を記載したページである。703および704に対応する3ページ目と4ページ目の縮小加工されたデータが等間隔で配置されており、この一覧により無駄ページとして削除されたページの概要を把握することができる。
【0138】
本実施例に係る画像出力装置によれば、無駄ページとして削除されたページを縮小加工した一覧ページが添付されるので、出力コストを抑えつつ削除されたページの概要を把握することができる。
【0139】
(実施例3)
次に、無駄ページと判定されたページについてユーザが印刷するか否かを決定できる実施形態を説明する。
【0140】
図9は、最終的な印刷画像データの作成に際し、無駄ページと判定されたページを含めるか否かをユーザの指示によって決定する処理について説明したフローチャートである。この処理は、実施例1において説明した図3のフローチャートのS308に代替するものである。したがって、図3に示されたフローチャートの他のステップにおける処理については実施例1と共通するため、代替部分を中心に説明する。
【0141】
以下、図9のフローチャートに沿って本処理の流れを説明する。
【0142】
まず、S901においてラスタライズ処理部1200は、中間データのうち無駄ページと判定されたページに対しラスタライズ処理を行い、ラスタデータを生成する。
【0143】
次に、S902においてページ削除処理部1140は、生成された無駄ページのラスタデータを用いて削除指示情報を生成する。そのためにページ削除処理部1140は、まず、無駄ページではないページの印刷出力解像度よりも十分に低い解像度に無駄ページのラスタデータを変換すると共に、画像サイズを十分に小さい大きさに縮小する。たとえば、解像度を72dpiに変換し、画像サイズを1/20に縮小する。ここでの変換解像度と画像サイズの縮小割合については、実施例2と同様、無駄ページの概要が把握できる程度を目安に決定すればよい。すなわち、印刷の要否をユーザが判断できるだけの解像度と画像サイズであればよい。なお、解像度の変換方式と画像サイズの変更方式については、特に限定されるものではなく、当業者において適用可能な公知技術を用いればよい。その具体的な内容については本発明のポイントではないため説明を省略する。そして、加工された無駄ページ画像、無駄ページを特定するページ番号、無駄ページと判定された理由(判定テーブルの項目)などで構成された削除指示情報を生成する。削除指示情報は、ユーザが無駄ページと判定されたページについて印刷の要否を判断するのに有用な情報であればよく、上記の内容に限られない。すなわち、上記以外にも、執筆者名や当該ページで使用されている色数などの情報を含めてもよい。
【0144】
次に、S903において不図示の通信部は、ホストコンピュータ20に、生成された削除指示情報をホストI/F100を介して送信する。
【0145】
ホストコンピュータ20では、予めインストールされている削除指示ユーティリティによって、受信した削除指示情報に基づいてダイアログ画面を生成し、ディスプレイ等に表示する。削除指示ユーティリティは、無駄ページと判定されたページを印刷するか否かをユーザが選択するために使用するユーティリティである。
【0146】
図10は、ホストコンピュータ20における削除指示ユーティリティによってユーザに提示されるダイアログ画面の一例である。
【0147】
1000はダイアログ画面の全体を示している。
【0148】
1001はページ番号を示す項目であり、無駄ページと判定されたページを特定するページ番号が示される。
【0149】
1002は無駄ページの画像イメージを示す項目であり、無駄ページの内容を示す縮小画像が表示される。ここで表示されている縮小画像は、S902において加工処理された画像である。
【0150】
1003は無駄ページと判定された理由を示す項目であり、無駄ページ判定テーブル47との照合の結果、満足しなかった閾値の項目内容が表示される。
【0151】
1004はユーザが削除意思を表示するための項目であり、ユーザがチェック可能なチェックボックスが表示される。
【0152】
ユーザは、このダイアログ画面において表示されている無駄ページの画像イメージや判定理由から、印刷するか否かを判断し、印刷する必要がないと判断したページのチェックボックスにチェックを付与する。1006は、ユーザがチェックを付与した状態を示している。
【0153】
1005は送信ボタンである。ユーザが無駄ページと判定されたページを印刷するか否かを決定し、必要なチェックを入れた後、当該ダイアログ画面の内容を画像出力装置10に送信する際に押下される。なお、この場合に送信されるダイアログ画面の内容に対応するデータは画像出力装置10が認識可能な任意のデータ形式であればよく、特に限定されない。
【0154】
S904において不図示の受信部がホストI/F100を介してダイアログ画面の内容を表したデータを受信すると、S905においてページ削除処理部1140は、受信したデータを参照し、削除が指定されたページが存在するかどうかを判定する。すなわち、チェックボックスにチェックがあるページの有無を確認する。
【0155】
S905において削除が指定されたページが存在しないと判定された場合は、本処理を終了し、図3のS309へと続く。
【0156】
S905において削除が指定されたページが存在すると判定された場合は、S906に進む。
【0157】
S906においてページ削除処理部1140は、削除が指定された無駄ページを中間データから削除する。削除が完了すると本処理を終了し、図3のS309へと続く。
【0158】
図3のS309では、ユーザによって印刷不要とされたページが削除された中間データに対し、ラスタライズ処理部1200においてラスタライズ処理がなされ、最終的な印刷用のラスタデータが生成される。
【0159】
なお、削除指示情報をホストコンピュータ20に送信した後、ユーザからの指示を受信するまで画像出力装置を待機状態にしてもよい。この場合、指示を受信できたかどうかの確認を、任意の時間間隔(たとえば、1秒間隔)で繰り返すようにすればよい。受信確認の間隔の設定は、ユーザが操作部30を介して行うことが可能である。そして、本処理が終了するタイミングで待機状態から通常状態への移行するようにすればよい。
もちろん、画像出力装置全体を待機状態にするのではなく、削除指示情報を送信した当該印刷画像データとの関係においてのみ待機状態にし、他の印刷画像データとの関係においては通常の処理を行えるようにしてもよい。
【0160】
(その他の実施形態)
尚、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0161】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0162】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であっても良い。
【0163】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスクがある。また、更に、記録媒体としては、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
【0164】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、その接続先のホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0165】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0166】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。また、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0167】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】本発明に係る画像出力装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る画像出力装置における処理の概要を視覚的に示したイメージ図である。
【図3】本発明に係る画像出力装置内の印刷判定処理部においてなされる処理の詳細を示したメインフローチャートである。
【図4】差分画像オブジェクト抽出処理部における処理を中心に、S303乃至S305の詳細について説明したフローチャートである。
【図5】ページ情報量判定処理の詳細について説明したフローチャートである。
【図6】無駄ページとして削除されたページの一覧を記載したページを追加する処理について説明したフローチャートである。
【図7】実施例2の一例を視覚的に表したイメージ図である。
【図8】無駄ページ判定テーブルの一例である。
【図9】無駄ページと判定されたページについて印刷するか否かをユーザの指示によって決定する処理について説明したフローチャートである。
【図10】ホストコンピュータ20における削除指示ユーティリティによってユーザに提示されるダイアログ画面の一例である。
【図11】本発明に係る画像出力装置10の印刷判定処理部1100の内部構成を示したブロック図である。
【図12】ページ情報量判定処理において無駄ページかどうかを判定する場合の処理の詳細について説明したフローチャートである。
【符号の説明】
【0169】
10 画像出力装置
20 ホストコンピュータ
30 操作部
40 HDD
45 オブジェクト情報記憶部
47 無駄ページ判定テーブル
50 コントローラ部
60 プリンタ部
100 ホストI/F
200 操作部 I/F
300 HDD I/F
400 CPU
500 ROM
600 RAM
700 ページメモリ
800 プリンタI/F
1100 印刷判定処理部
1110 中間データ生成部
1120 描画オブジェクト分類処理部
1130 差分描画オブジェクト抽出処理部
1140 ページ情報量判定処理部
1150 ページ削除処理部
1160 ラスタライズ処理部
2000 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷画像データの描画オブジェクトを分類する手段と、
前記分類された描画オブジェクトのうち、複数のページにおいて使用されていない差分描画オブジェクトを抽出する差分描画オブジェクト抽出手段と、
前記差分描画オブジェクトの情報量を判定するページ情報量判定手段と、
前記ページ情報量判定手段の結果に基づいて前記印刷画像データから削除するページを決定する、ページ削除手段と
を備えたことを特徴とする画像出力装置。
【請求項2】
前記ページ削除手段は、さらに、削除したページの一覧を記載したページを作成することを特徴とする請求項1に記載の画像出力装置。
【請求項3】
印刷画像データの描画オブジェクトを分類する手段と、
前記分類された描画オブジェクトのうち、複数のページにおいて使用されていない差分描画オブジェクトを抽出する差分描画オブジェクト抽出手段と、
前記差分描画オブジェクトの情報量を判定するページ情報量判定手段と、
前記ページ情報量判定手段の結果に基づいて、前記印刷画像データを構成するページについて、印刷をするかどうかをユーザが指示するための削除指示情報を表示させるべく生成する手段と、
前記ユーザからページ削除の指示を受けた場合に、指定されたページを前記印刷画像データから削除するページ削除手段と、
を備えたことを特徴とする画像出力装置。
【請求項4】
前記差分描画オブジェクト抽出手段は、描画画素単位で描画オブジェクトを比較し、前記比較の結果から複数のページにおいて使用されていない差分描画オブジェクトを抽出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像出力装置。
【請求項5】
前記ページ情報量判定手段は、項目毎に閾値が設定された判定テーブルと前記差分描画オブジェクトの情報量の前記項目に対応する数値とを照合することにより、前記印刷画像データの各ページが一定の情報量を有しているかどうかを判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像出力装置。
【請求項6】
前記項目は、文字数および/または描画画素数であることを特徴とする請求項5に記載の画像出力装置。
【請求項7】
前記印刷画像データは、PDLデータまたはラスタライズ処理を施す前の中間データであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像出力装置。
【請求項8】
印刷画像データの描画オブジェクトを分類するステップと、
前記分類された描画オブジェクトのうち、複数のページにおいて使用されていない差分描画オブジェクトを抽出する差分描画オブジェクト抽出ステップと、
前記差分描画オブジェクトの情報量を判定するページ情報量判定ステップと、
前記ページ情報量判定ステップの結果に基づいて前記印刷画像データから削除するページを決定する、ページ削除ステップと
を備えたことを特徴とする画像出力方法。
【請求項9】
前記ページ削除ステップは、さらに、削除したページの一覧を記載したページを作成するステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の画像出力方法。
【請求項10】
印刷画像データの描画オブジェクトを分類するステップと、
前記分類された描画オブジェクトのうち、複数のページにおいて使用されていない差分描画オブジェクトを抽出する差分描画オブジェクト抽出ステップと、
前記差分描画オブジェクトの情報量を判定するページ情報量判定手段と、
前記ページ情報量判定手段の結果に基づいて、前記印刷画像データを構成するページについて、印刷をするかどうかをユーザが指示するための削除指示情報を表示させるべく生成するステップと、
前記ユーザからページ削除の指示を受けた場合に、指定されたページを前記印刷画像データから削除するページ削除ステップと、
を備えたことを特徴とする画像出力方法。
【請求項11】
前記差分描画オブジェクト抽出ステップは、描画画素単位で描画オブジェクトを比較し、前記比較の結果から複数のページにおいて使用されていない差分描画オブジェクトを抽出することを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の画像出力方法。
【請求項12】
前記ページ情報量判定ステップは、項目毎に閾値が設定された判定テーブルと前記差分描画オブジェクトの情報量の前記項目に対応する数値とを照合することにより、前記印刷画像データの各ページが一定の情報量を有しているかどうかを判定することを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の画像出力方法。
【請求項13】
前記項目は、文字数および/または描画画素数であることを特徴とする請求項12に記載の画像出力方法。
【請求項14】
前記印刷画像データは、PDLデータまたはラスタライズ処理を施す前の中間データであることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の画像出力方法。
【請求項15】
コンピュータに請求項8乃至14のいずれか1項に記載の画像出力方法を実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項16】
コンピュータにより読み出し可能なプログラムを格納した記憶媒体であって、請求項15記載のコンピュータプログラムを格納したことを特徴とする記憶媒体。

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図2】
image rotate

【図7】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−171709(P2010−171709A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12019(P2009−12019)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】