説明

画像出力装置及び画像出力方法

【課題】 DVフォーマットで媒体記録された画像データを再生し、訂正不能な誤りデータが含まれる場合であってもエラーコンシールして出力できる画像出力装置を実現する。
【解決手段】 HDD記録再生ユニット部28に格納される記録媒体から1フレーム毎に順次出力された圧縮画像の中の前記記録媒体を再生した際に生じるエラーを検出するエラー検出器26と、圧縮画像にエラーが検出された場合に、エラーが検出されたブロックの圧縮画像をフレームメモリ13に格納させないで、エラーのないブロックの圧縮画像を格納させる記憶制御部19と、記憶制御部でフレームメモリに格納されるエラーのないブロックの圧縮画像と共にフレームメモリに格納させなかったブロックに対応する直前フレームのブロックの圧縮画像をフレームメモリから出力させる出力制御部19とを備えて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め記録媒体に記録された圧縮符号化画像の復号化及びエラー補正を行いながら出力する画像出力装置及び画像出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近になり、ディジタルビデオカセットにディジタル記録するDVカメラシステムが製品化されると共に、ハードディスクやDVDを記録媒体として用いるハードディスクムービーやDVDカムコーダなども製品化されるようになってきた。ハードディスクムービーやDVDカムコーダの記録フォーマットは民生用ディジタルVTR協議会で制定したSD(Standerd definition )規格やHD(High Definiton)規格に準拠して動作させ、使用者の利便性を保っている。
【0003】
そのSD規格やHD規格では、記録すべきカメラ映像をシャフリング、DV圧縮、及び誤り訂正符号を付した後にディシャフリングを行って記録媒体に記録する。再生はシャフリングを行って後に誤り符号訂正処理を行って得られるデータを例えば4フレームのメモリに記憶させ、誤り訂正不能なデータが生じた場合には4フレームメモリに記憶される直前のフレームのデータで置換するなどによりエラーコンシール(誤り補正)を行う。誤り訂正及び補正のされたデータはDV伸張及びディシャフリングがなされて映像信号が出力される。
【0004】
一方、ハードディスクムービーやDVDカムコーダとDVカメラシステムとの間のデータ転送は、エラー訂正、補正用4フレームメモリに記憶されるデータが、例えばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)1394インタフェース規格で規定されるiLINKによりなされる。その4フレームメモリのメモリー量を小さなメモリにすると共に、メモリを介して行う画像データの転送は簡易に、遅延時間が少なく、且つ高品質な映像データとして受け渡しがなされることは好ましい。
【0005】
特許文献1には、10トラックのデータ構成される1フレームの画像データに比して、3トラック分のメモリでシステムデータの更新又は新規作成並びに外符号及び内符号による符号化処理を可能にする記録再生装置が開示されている。その記録再生装置のブロック化処理回路は、トラック期間の先頭のタイミング固定期間にサブコード、VAUX等のシステムデータを伝送するバスフォーマットに対応したブロックデータを出力する。メモリ制御回路及びECC符号化回路は、所定の1トラック期間で入力処理を行い、次の1トラック期間で外符号の符号化を行い、次の1トラック期間で内符号の符号化及び出力処理を行う。また、システムデータについては、タイミング固定期間以外の期間に更新又は新規作成を行うようにした、3トラック分のメモリを用いた処理を可能にする記録再生装置が開示されている。
【特許文献1】特開平10−79169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている記録再生装置では、外符号及び内符号による符号化処理を可能にし、符号化して記録されたデータの再生時に生じる誤りデータの訂正処理は可能であるものの再生された画像データに訂正不能なデータが含まれる場合には、訂正不能な画像データを1フレーム前の画像データで置換することが出来ない。再生画像と共に誤りデータが表示されてしまう。入力される画像データに訂正不能なエラーが含まれる場合であってもその画像データのエラーコンシールを行うことが出来なかった。画像データのエラーコンシールには、別途複数フレームの画像を記憶するメモリー回路が必要である。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、DVフォーマットでDVカセット又はDVカセット以外の記録媒体に記録及び再生して得られた画像データが、所定のインタフェースフォーマットに従って入力されるDV圧縮及びシャフリングされた画像データであり、入力された画像データに訂正不能な誤りデータが含まれる場合であっても、簡易に訂正不能な誤りデータのエラーコンシールを行い、小さな遅延時間でDV伸張及びディシャフリングを行った画像データを出力することのできる画像出力装置及び画像出力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明における第1の発明は、予め記録媒体に所定ブロック単位で圧縮記録されている圧縮画像を順次出力する画像出力装置において、前記記録媒体から1フレーム毎に順次出力された前記圧縮画像の中の前記記録媒体を再生した際に生じるエラーを検出するエラー検出器と、前記エラー検出器で前記圧縮画像に前記エラーが検出された場合に、前記圧縮画像の中のエラーが検出されたブロックの圧縮画像を前記フレームメモリに格納させないで、前記エラーのないブロックの圧縮画像を格納させる記憶制御部と、前記記憶制御部で前記フレームメモリに格納されている前記エラーのないブロックの圧縮画像と共に前記フレームメモリに格納させなかったブロックの圧縮画像に対応する直前フレームのブロックの圧縮画像を前記フレームメモリから出力させる出力制御部と、を備えたことを特徴とする画像出力装置を提供する。
【0009】
第2の発明は、予め記録媒体に所定ブロック単位で圧縮記録されている圧縮画像を順次出力する画像出力装置において、前記記録媒体から1フレーム毎に順次出力された前記圧縮画像の中の前記記録媒体を再生した際に生じるエラーを検出するエラー検出器と、前記エラー検出器で前記圧縮画像のブロックの一部に前記エラーが検出された場合に、前記エラーが検出された前記一部のブロックの圧縮画像を最小輝度レベル或いは最大輝度レベルの画像に置換して、前記最小輝度レベル或いは最大輝度レベルの画像を前記フレームメモリに格納させない記憶妨害部と、前記フレームメモリに格納されている前記エラーのないブロックの圧縮画像と共に前記最小輝度レベル或いは最大輝度レベルの画像に対応する直前フレームのブロックの圧縮画像を前記フレームメモリから出力させる出力制御部と、を備えたことを特徴とする画像出力装置を提供する。
【0010】
第3の発明は、予め記録媒体に所定ブロック単位で圧縮記録されている圧縮画像を順次出力する画像出力方法において、前記記録媒体から1フレーム毎に順次出力された前記圧縮画像の中の前記記録媒体を再生した際に生じるエラーを検出し、前記圧縮画像に前記エラーが検出された場合に、前記圧縮画像の中のエラーが検出されたブロックの圧縮画像を前記フレームメモリに格納させないで、前記エラーのないブロックの圧縮画像を格納させ、前記フレームメモリに格納されている前記エラーのないブロックの圧縮画像と共に前記フレームメモリに格納させなかったブロックの圧縮画像に対応する直前フレームのブロックの圧縮画像を前記フレームメモリから出力させて行うことを特徴とする画像出力方法を提供する。
【0011】
第4の発明は、予め記録媒体に所定ブロック単位で圧縮記録されている圧縮画像を順次出力する画像出力方法において、前記記録媒体から1フレーム毎に順次出力された前記圧縮画像の中の前記記録媒体を再生した際に生じるエラーを検出し、前記圧縮画像のブロックの一部に前記エラーが検出された場合に、前記エラーが検出された前記一部のブロックの圧縮画像を最小輝度レベル或いは最大輝度レベルの画像に置換して、前記最小輝度レベル或いは最大輝度レベルの画像の前記フレームメモリへの格納を妨害し、前記フレームメモリに格納されている前記エラーのないブロックの圧縮画像と共に前記最小輝度レベル或いは最大輝度レベルの画像に対応する直前フレームのブロックの圧縮画像を前記フレームメモリから出力させて行うことを特徴とする画像出力方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、記録媒体から1フレーム毎に順次出力された圧縮画像の中の前記記録媒体を再生した際に生じるエラーを検出するエラー検出器と、前記エラー検出器で前記圧縮画像に前記エラーが検出された場合に、前記圧縮画像の中のエラーが検出されたブロックの圧縮画像をフレームメモリに格納させないで、前記エラーのないブロックの圧縮画像を格納させる記憶制御部と、前記記憶制御部で前記フレームメモリに格納されている前記エラーのないブロックの圧縮画像と共に前記フレームメモリに格納させなかったブロックの圧縮画像に対応する直前フレームのブロックの圧縮画像を前記フレームメモリから出力させる出力制御部と、を備えた格別な構成があるので、DVフォーマットでDVカセット又はDVカセット以外の記録媒体に記録及び再生して得られた画像データが、所定のインタフェースフォーマットに従って入力されるDV圧縮及びシャフリングされた画像データであり、入力された画像データに訂正不能な誤りデータが含まれる場合であっても、簡易に訂正不能な誤りデータのエラーコンシールを行い、小さな遅延時間でDV伸張及びディシャフリングを行った画像データを出力することのできる画像出力装置及び画像出力方法を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の実施例に係る画像出力装置について図1〜図6を用いて説明する。
図1は、本発明の実施に係る、画像出力装置の構成例を示すブロック図である。
図2は、本発明の実施に係る、画像出力装置の動作を説明するための図である。
【0014】
図3は、本発明の実施に係る、画像データ伝送フォーマット例を示す図である。
図4は、本発明の実施に係る、画像出力装置の応用構成例を示すブロック図である。
図5は、本発明の実施に係る、画像出力装置の応用構成例の要部(その1)を示す図である。
【0015】
図6は、本発明の実施に係る、画像出力装置の応用構成例の要部(その2)を示す図である。
その画像出力装置はDVフォーマットでDVカセット又はDVカセット以外の記録媒体に記録及び再生して得られた画像データが、所定のインタフェースフォーマットに従って入力されるDV圧縮及びシャフリングされた画像データであり、入力された画像データに訂正不能な誤りデータが含まれる場合であっても、簡易に訂正不能な誤りデータのエラーコンシールを行い、小さな遅延時間でDV伸張及びディシャフリングを行った画像データを出力することのできる画像出力装置を実現するという目的を、記録媒体から1フレーム毎に順次出力された圧縮画像の中の前記記録媒体を再生した際に生じるエラーを検出するエラー検出器と、前記エラー検出器で前記圧縮画像に前記エラーが検出された場合に、前記圧縮画像の中のエラーが検出されたブロックの圧縮画像をフレームメモリに格納させないで、前記エラーのないブロックの圧縮画像を格納させる記憶制御部と、前記記憶制御部で前記フレームメモリに格納されている前記エラーのないブロックの圧縮画像と共に前記フレームメモリに格納させなかったブロックの圧縮画像に対応する直前フレームのブロックの圧縮画像を前記フレームメモリから出力させる出力制御部と、を備えるようにして実現した。
【0016】
画像出力装置の構成について述べる。
図1に示す画像出力装置は、シャフリング/ディシャフリング部11、DV圧縮/DV伸張部12、メモリ13、iLINKインタフェース部14、誤り検出訂正処理部16、ディシャフリング/シャフリング部17、DV記録再生ユニット部18、及び制御部19よりなる本体装置部1と、メモリ23、iLINKインタフェース部24、誤り検出訂正処理部26、HDD記録再生ユニット部28、及び制御部29よりなる接続装置部2とで構成される。
【0017】
画像出力装置の動作について述べる。
まず、シャフリング/ディシャフリング部11はビデオカメラなどで撮影して得られる映像信号を入力し、その映像信号を構成するフレーム画像を8画素×32画素のマクロブロック毎に分割すると共に、分割して得られたマクロブロックの配置順を所定の配置順に変更する。DV圧縮/DV伸張部12は、配置が変更された順に入力されるマクロブロック画像データをDV圧縮する。DV圧縮はマクロブロックを構成する4つの8画素×8画素の輝度信号ブロック及び2つの8画素×8画素の色信号ブロックのそれぞれを直交変換して係数データを得、得られた係数データを量子化して、DV方式で圧縮符号化された画像データを得る。メモリ13は圧縮符号化された画像データを一時記憶する。iLINKインタフェース部14は、メモリ13に一時記憶される圧縮符号化された画像データを読み出し、後述の画像データ伝送用フォーマットの伝送用信号に変換する。変換して得られた伝送用信号は本体装置部1から出力され、接続装置部2に入力される。
【0018】
接続装置部2のiLINKインタフェース部24はiLINKインタフェース部14から入力された伝送用信号から圧縮符号化された画像データを得る。メモリ23は圧縮符号化された画像データを一時記憶する。誤り検出訂正処理部26は圧縮符号化された画像データに誤りデータ訂正用の内符号データ及び外符号データを付加する。HDD記録再生ユニット部28は、格納される図示しないハードディスクに誤り訂正用符号の付された圧縮画像データを記録する。
【0019】
ハードディスクに記録された信号を再生する際に生じる訂正不能な誤りデータの処理について述べる。
HDD記録再生ユニット部28は、ハードディスクに記録された誤り訂正用符号の付された圧縮画像データを再生する。誤り検出訂正処理部26は付加された内符号データ及び外符号データを基に再生された画像データに誤りデータがあるか否かを検出する。検出された誤りデータを正しいデータに訂正する。誤りデータの個数が多く、訂正不能な誤りデータが生じる場合は誤り訂正不能を示す訂正不能フラグを生成する。メモリ23は訂正不能フラグ及び訂正不能データを含む圧縮画像データを一時記憶する。iLINKインタフェース部24はメモリ23に記憶された訂正不能フラグ及び圧縮画像データをマクロブロック毎に伝送用フォーマットを形成し、伝送信号として生成する。
【0020】
iLINKインタフェース部14はiLINKインタフェース部24から供給されるマクロブロック毎の伝送信号から訂正不能フラグ及び圧縮画像データを得る。制御部19は訂正不能フラグの付されないマクロブロックの圧縮画像データをメモリ13に記憶させる。制御部19は、訂正不能フラグの付されたマクロブロックの圧縮画像データをメモリ13に記憶するのを妨害する。即ち、訂正不能フラグの付されたマクロブロックの圧縮画像データは、その部分が飛ばされてメモリ13に記憶される。メモリ13は圧縮画像データを1フレームごとの繰り返しで、即ち画像の1フレーム毎に、同じ画像位置の圧縮画像データをメモリ上の共通の場所に記憶させる。メモリ13には該当するマクロブロックの圧縮画像データは直前のフレーム画像の圧縮画像データが上書きされずにそのまま記憶されている。
【0021】
DV圧縮/DV伸張部12はメモリから入力される圧縮画像データのDV伸張を行う。訂正不能フラグの付されないマクロブロックの圧縮画像データ、及びメモリ13から読み出された1フレーム前の圧縮画像データは復号化され、画像データが得られる。訂正不能フラグの付されたマクロブロックの圧縮画像データは1フレーム前のマクロブロックの画像に置換された画像データとして得られる。DV圧縮/DV伸張部12からは、誤り検出訂正処理部26で訂正不能であとされた画像データのエラーがコンシールされた画像データとして得られる。シャフリング/ディシャフリング部11は、得られた画像データをディシャフリングし、走査順に配置された映像信号を出力する。以上の動作で、訂正不能な圧縮符号化データのコンシールを行うためのフレームメモリは最低必要な1フレームであり、エラーデータのコンシールに要する時間は短い。
【0022】
本体装置部1の付随的な機能である、メモリ13に記憶された圧縮画像データをDV記録再生ユニット部18に格納される図示しないDVカセットに記録する場合について述べる。
【0023】
誤り検出訂正処理部16はメモリ13に記憶される圧縮画像データに内符号及び外符号の誤り訂正符号を付加する。ディシャフリング/シャフリング部17はシャフリング/ディシャフリング部11でシャフリングされたマクロブロック画像の並べ順をディシャフリングし、フレーム画像と同じ並び順に並び替える。DV記録再生ユニット部18はフレームを構成する順に並べられた、誤り訂正符号の付された圧縮画像データの信号をディジタル変調し、図示しないDVカセットに記録する。
【0024】
次に、DV記録再生ユニット部18はDVカセットを再生し、再生して得られたディジタル変調信号をディジタル復調して誤り訂正符号の付された圧縮画像データを得る。ディシャフリング/シャフリング部17は圧縮画像データをシャフリングする。誤り検出訂正処理部16は圧縮画像データのエラー検出及びエラー訂正を行い、訂正不能な誤りデータが存在する場合は訂正不能フラグを付した圧縮画像データをメモリ13に記憶させる。その後の動作は上記と同様になされ、シャフリング/ディシャフリング部11から映像信号が出力される。
【0025】
本体装置部1は、入力される映像信号をDV圧縮してDVカセットに記録、再生すると共に、メモリ13に記憶される圧縮画像データは本体装置部1に接続される接続装置部2に格納されるハードディスクに記録して再生出来る。
【0026】
なお、入力される信号をHDD記録再生ユニット部28のみにより記録再生を行う場合では、誤り検出訂正処理部16、ディシャフリング/シャフリング部17、及びDV記録再生ユニット部18は不要である。
【0027】
また、HDD記録再生ユニット部28の代わりに、例えば図示しないDVD記録再生ユニット部や、図示しないICメモリ記録再生ユニット部を設ける場合では、DVDやICメモリに圧縮画像データを記録し、再生することができる。DVDやICメモリの再生時に生じる訂正不能な画像データはエラーコンシールした映像出力として得ることが出来る。
【0028】
次に、詳細に説明する。
図2を参照し、シャフリングについて述べる。
シャフリング/ディシャフリング部11は、水平方向720画素、垂直方向480画素で入力される画像データを水平方向32画素、垂直方向8画素のマクロブロックに分割する。それらのマクロブロックは水平方向に23個、垂直方向に60個存在する。同図に示すように、フレーム画像中より離れて存在するマクロブロックMBa〜MBeを取得してビデオセグメントを構成する。フレーム画像は、画像を構成する被写体に応じて領域毎に異なった情報量を有しており、画像の部分ごとに異なった符号量の圧縮画像として符号化される。MBa〜MBeの様にお互いに異なるそれぞれの領域で符号化された符号量の総和はほぼ一定の値として得られる。DV圧縮はビデオセグメント毎に符号量を固定長とした符号化を行う。
【0029】
ここで、1ビデオセグメントのデータ量は固定長とされる。1ビデオセグメントを構成するマクロブロックMBa〜MBeの符号量は可変長とされる。1マクロブロックを符号化したデータ量は、便宜上77バイとのデータとして扱い、仮に77バイトを超える符号量の圧縮符号化されたが生じた場合には、77バイトを超えるデータを他のマクロブロックの空き領域に格納する。制御部19は、1ビデオセグメントのデータ量を385(=77×5)バイト以下のデータ長になるようにDV圧縮/DV伸張部12の圧縮データ量を制御する。
【0030】
なお、マクロブロックを水平方向16画素、垂直方向16画素に分割した画像として処理するようにしても良い。
図3を参照し、iLINKインタフェース部で生成される伝送信号の伝送信号フォーマットについて述べる。
【0031】
同図に示す伝送信号フォーマットは、3バイトのDIF(Digital interface)ヘッダに続いて4ビットの誤りデータフラグ、量子化テーブルナンバー(QNO)、4個の輝度信号(Y0〜Y3)及び2個の色信号(CR、CB)ブロックの圧縮符号化データの順で伝送する記述例である。フラグの値が「1111」の場合はそれに続く6個のブロックのデータは誤りであることを示し、「0111」の場合は一部のブロックのデータが誤っていることを示す。また、フラグは、マクロブロックの符号化データが77バイトを越えており他のマクロブロックの符号化データと共に伝送する場合、及び他のマクロブロックの符号化データを空き領域に格納している場合の識別も行う。
【0032】
QNOは、そのマクロブロックをDV圧縮/DV伸張部12で圧縮符号化を行う際に使用する量子化テーブルの番号を指定する。DC0〜DC5は、Y0〜CRのブロックを直交変換した際に得られる直流(DC)成分に係るデータが格納される。AC0〜AC5にはY0〜CRのブロックを直交変換した際の交流(AC)成分に係るデータが格納される。DC0〜DC5のそれぞれは12ビットの値で表現され、AC0〜AC3のそれぞれは100ビットの値で表現される。Y0〜Y3のそれぞれは14バイトの固定領域とされ、CR、CBは10バイトの領域とされる。
【0033】
図4〜図6を参照して画像出力装置の応用例について述べる。図1に示した本体装置部1及び接続装置部2の機能部分と同一機能部分には同一の符号を付し、説明を省く。
図4に示す画像出力装置の応用例は本体装置部1a及び接続装置部2aよりなる。本体装置部1aは、図1に示した本体装置部1に比し、置換禁止ブロック検出部15が追加して構成している点で異なっており、接続装置部2aは接続装置部2に比し、データ置換部25を追加して構成している点で異なっている。
【0034】
図5に示すデータ置換部25は訂正漏れ検出器251、データ置換制御器253、画像データ置換器254、及びメモリ255より構成される。
図6に示す置換禁止ブロック検出部15は、DCデータ取得器151、データ比較器152、置換データ検出器153、及びデータ置換制御器154より構成される。
【0035】
画像出力装置の応用例の動作について述べる。
本体装置部1aに入力される映像入力信号を符号化して得られる圧縮符号化された符号化データを、iLINKインタフェース部14を介して接続装置部2aに伝送すると共に、圧縮符号化された符号化データをHDD記録再生ユニット部28に格納されるハードディスクに記録する動作は本体装置部1及び接続装置部2による動作と同様である。
【0036】
誤り検出訂正処理部26は、HDD記録再生ユニット部28に格納されるハードディスクを再生して得られる、誤りデータ訂正用の内符号データ及び外符号データの付加された圧縮符号化画像データを基に、再生して得られた画像データに誤りデータがあるか否かを検出する。誤りデータが検出された場合は誤りデータを正しいデータに訂正する。誤りデータの個数が多く、訂正能力を超えてしまうなどにより、訂正不能な誤りデータが生じる場合は誤り訂正不能であることを示す訂正不能フラグを生成する。
【0037】
データ置換部25の訂正漏れ検出器251は、誤り検出訂正処理部26で検出された誤りデータ(訂正不能データ)を基に、マクロブロックを構成するY0〜Y3、CB、及びCRの各ブロックのうち、どのブロックのデータが誤っているかを検出する。データ置換制御器253は、データが誤っているとして検出されたブロックのデータを特別なデータに置換させるための制御信号を生成する。画像データ置換器254は、誤り検出訂正処理部26から供給される誤りデータを含むマクロブロックのうち、データ置換制御器253により指定された誤っているブロックのDCレベルを、メモリ255に記憶される特別なデータに置換する。メモリ255に記憶される特別なデータは、Y0〜Y3の輝度ブロックのDCレベルのうち、取りうる最大レベルのDC値(ホワイトピーク)、又は取りうる最小レベルのDC値(黒レベル)である。画像データ置換器254は、誤りデータを含む輝度信号ブロックのDC値を最大レベル値又は最小レベル値のいずれか一方のレベル値に置換する。誤りデータを含むCR、CBの色信号ブロックは取りうるDC値を最大レベルのDC値に置換する。
【0038】
メモリ23は訂正不能フラグ、正常なブロックのDC、AC係数データ、及び訂正不能なためDCレベルが置換されたブロックの係数データよりなる圧縮画像データを一時記憶する。iLINKインタフェース部24はメモリ23に記憶された訂正不能フラグ及びDCレベルが置換された圧縮画像データを図3に示したフォーマットでiLINKインタフェース部14に伝送する。
【0039】
本体装置部1aの置換禁止ブロック検出部15は、接続装置部2aからマクロブロックの単位で伝送される圧縮画像データのうち、データ置換部25でDCレベルが最大レベル、又は最小レベルに置換されたブロックを検出する。検出されたブロックの符号化データはメモリ13で上書きがなされないようにする。即ち、DCデータ取得器151は図3に示したフォーマットで伝送されるマクロブロックの符号化データから、Y0〜Y3、CB、及びCRの各ブロックのDCレベルのデータを得る。データ比較器152は得られたY0〜Y3のそれぞれのDCレベルを比較する。4つのDCレベルのうち一部に最大レベル又は最小レベルのものがあるかを比較する。置換データ検出器153は、全てのY0〜Y3のブロックのDCレベルが共に最大レベル又は最小レベルのいずれでもないとして検出された場合は、最大レベル又は最小レベルのブロックに誤りデータが含まれるものとして判断する。データ置換制御器154は、誤りデータが含まれるとして判断されたブロックの圧縮画像データがメモリ13に上書きされるのを禁止するための制御信号を生成する。マクロブロック内のY0〜Y4の全てがほぼ同一の最大レベル又は最小レベルである場合には、それらのブロックの輝度が最大レベル又は最小レベルの画像であると判断する。データ置換制御器154は、それらのブロックの画像データをメモリ13に上書きを許可する制御信号を生成する。
【0040】
データ比較器152はDCデータ取得器151で取得されるCR及びCBのDCレベルとY0〜Y3のそれぞれのDCレベルを比較する。通常の映像の場合は、色信号のDCレベルが輝度信号のDCレベルを越えた大きな値を取ることがないのでDCレベルが最大値である場合には画像データ置換器254でDCレベルが置換されたブロックであるとして検出する。データ置換制御器154はメモリ13への上書きを禁止するための制御信号を生成する。iLINKインタフェース部14を介して得られたマクロブロック単位の圧縮符号化された画像データは、誤りデータを含むブロックの画像データのみがメモリ13に記憶されなく、記憶されない画像データと画面上で同一場所の直前のフレーム画像に置換された圧縮符号化データとして得られ、得られた圧縮符号化データはDV伸張され、伸張された映像信号が本体装置部1aから出力される。
【0041】
図1に示した画像出力装置の場合では、符号化データのうち1ブロックでも訂正不能な画像データがある場合には1マクロブロック全体の画像データが直前のフレーム画像に置換され、エラーコンシールされた映像信号として出力されるのに比し、図4に示した画像出力装置の応用例の場合ではマクロブロック画像のうち、訂正不能なブロックの画像のみがエラーコンシールされた画像として得られるため、より高品質な映像信号出力が得られる。
【0042】
ここで、本体装置部1と接続装置部2aが組み合わされた場合、又は本体装置部1aと接続装置部2が組み合わされた場合は、本体装置部1と接続装置部2の組み合わせによると同様の動作を行う。即ち、置換禁止ブロック検出部15やデータ置換部25を共に有する組み合わせでは高品質の映像を再生することができる。置換禁止ブロック検出部15やデータ置換部25のうちの一方しか備えられない場合であっても、両者を備えない本体装置部1と接続装置部2の組み合わせより画質が劣化した映像信号が再生されることはない。本体装置部1a及び接続装置部2aは、本体装置部1及び接続装置部2に比して上位互換の関係にある。
【0043】
以上のように、本実施例で示した画像出力装置によれば、HDD記録再生ユニット部28に格納される記録媒体から1フレーム毎に順次出力された圧縮画像の中の訂正処理のなされないエラーを検出するエラー検出器26と、前記エラー検出器で前記圧縮画像に前記エラーが検出された場合に、前記圧縮画像の中のエラーが検出されたマクロブロックの圧縮画像をフレームメモリ13に格納させないで、前記エラーのないマクロブロックの圧縮画像を格納させる記憶制御部19と、前記記憶制御部で前記フレームメモリに格納されている前記エラーのないマクロブロックの圧縮画像と共に前記フレームメモリに格納させなかったマクロブロックの圧縮画像に対応する直前フレームのマクロブロックの圧縮画像を前記フレームメモリから出力させる出力制御部19と、を備えた格別な構成があるので、DVフォーマットでDVカセット又はDVカセット以外の記録媒体に記録及び再生して得られた画像データが、所定のインタフェースフォーマットに従って入力されるDV圧縮及びシャフリングされた画像データであり、入力された画像データに訂正不能な誤りデータが含まれる場合であっても、簡易に訂正不能な誤りデータのエラーコンシールを行い、小さな遅延時間でDV伸張及びディシャフリングを行った画像データを出力することのできる画像出力装置を実現できる。
【0044】
また、本実施の応用例で示した画像出力装置によれば、HDD記録再生ユニット部28に格納される記録媒体から1フレーム毎に順次出力された圧縮画像の中の前記記録媒体を再生した際に生じるエラーを検出するエラー検出器251と、前記エラー検出器で前記圧縮画像のブロックの一部に前記エラーが検出された場合に、前記エラーが検出された前記一部のブロックの圧縮画像を最小輝度レベル或いは最大輝度レベルの画像に置換して、前記最小輝度レベル或いは最大輝度レベルの画像をフレームメモリ13に格納させない記憶妨害部154と、前記フレームメモリに格納されている前記エラーのないブロックの圧縮画像と共に前記最小輝度レベル或いは最大輝度レベルの画像に対応する直前フレームのブロックの圧縮画像を前記フレームメモリから出力させる出力制御部19とを備えた格別な構成があるので、DVフォーマットでDVカセット又はDVカセット以外の記録媒体に記録及び再生して得られた画像データが、所定のインタフェースフォーマットに従って入力されるDV圧縮及びシャフリングされた画像データであり、入力された画像データに訂正不能なマクロブロック単位の誤りデータが含まれる場合であっても、訂正不能な誤りデータのうち誤りデータを含むブロック画像のエラーコンシールを行い、小さな遅延時間でDV伸張及びディシャフリングを行った画像データを出力することのできる画像出力装置を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
予め記録媒体に記録された圧縮符号化画像の復号化及びエラー補正を行いながら出力する画像出力装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施に係る、画像出力装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施に係る、画像出力装置の動作を説明するための図である。
【図3】本発明の実施に係る、画像データ伝送フォーマット例を示す図である。
【図4】本発明の実施に係る、画像出力装置の応用構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施に係る、画像出力装置の応用構成例の要部(その1)を示す図である。
【図6】本発明の実施に係る、画像出力装置の応用構成例の要部(その2)を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1、1a 本体装置部
2、2a 接続装置部
11 シャフリング/ディシャフリング部
12 DV圧縮/DV伸張部
13 メモリ
14 iLINKインタフェース部
15 置換禁止ブロック検出部
16 誤り検出訂正処理部
17 ディシャフリング/シャフリング部
18 DV記録再生ユニット部
19 制御部
23 メモリ
24 iLINKインタフェース部
25 データ置換部
26 誤り検出訂正処理部
28 HDD記録再生ユニット部
29 制御部
151 DCデータ取得器
152 データ比較器
153 置換データ検出器
154 データ置換制御器
251 訂正漏れ検出器
253 データ置換制御器
254 画像データ置換器
255 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め記録媒体に所定ブロック単位で圧縮記録されている圧縮画像を順次出力する画像出力装置において、
前記記録媒体から1フレーム毎に順次出力された前記圧縮画像の中の前記記録媒体を再生した際に生じるエラーを検出するエラー検出器と、
前記エラー検出器で前記圧縮画像に前記エラーが検出された場合に、前記圧縮画像の中のエラーが検出されたブロックの圧縮画像を前記フレームメモリに格納させないで、前記エラーのないブロックの圧縮画像を格納させる記憶制御部と、
前記記憶制御部で前記フレームメモリに格納されている前記エラーのないブロックの圧縮画像と共に前記フレームメモリに格納させなかったブロックの圧縮画像に対応する直前フレームのブロックの圧縮画像を前記フレームメモリから出力させる出力制御部と、
を備えたことを特徴とする画像出力装置。
【請求項2】
予め記録媒体に所定ブロック単位で圧縮記録されている圧縮画像を順次出力する画像出力装置において、
前記記録媒体から1フレーム毎に順次出力された前記圧縮画像の中の前記記録媒体を再生した際に生じるエラーを検出するエラー検出器と、
前記エラー検出器で前記圧縮画像のブロックの一部に前記エラーが検出された場合に、前記エラーが検出された前記一部のブロックの圧縮画像を最小輝度レベル或いは最大輝度レベルの画像に置換して、前記最小輝度レベル或いは最大輝度レベルの画像を前記フレームメモリに格納させない記憶妨害部と、
前記フレームメモリに格納されている前記エラーのないブロックの圧縮画像と共に前記最小輝度レベル或いは最大輝度レベルの画像に対応する直前フレームのブロックの圧縮画像を前記フレームメモリから出力させる出力制御部と、
を備えたことを特徴とする画像出力装置。
【請求項3】
予め記録媒体に所定ブロック単位で圧縮記録されている圧縮画像を順次出力する画像出力方法において、
前記記録媒体から1フレーム毎に順次出力された前記圧縮画像の中の前記記録媒体を再生した際に生じるエラーを検出し、
前記圧縮画像に前記エラーが検出された場合に、前記圧縮画像の中のエラーが検出されたブロックの圧縮画像を前記フレームメモリに格納させないで、前記エラーのないブロックの圧縮画像を格納させ、
前記フレームメモリに格納されている前記エラーのないブロックの圧縮画像と共に前記フレームメモリに格納させなかったブロックの圧縮画像に対応する直前フレームのブロックの圧縮画像を前記フレームメモリから出力させて行うことを特徴とする画像出力方法。
【請求項4】
予め記録媒体に所定ブロック単位で圧縮記録されている圧縮画像を順次出力する画像出力方法において、
前記記録媒体から1フレーム毎に順次出力された前記圧縮画像の中の前記記録媒体を再生した際に生じるエラーを検出し、
前記圧縮画像のブロックの一部に前記エラーが検出された場合に、前記エラーが検出された前記一部のブロックの圧縮画像を最小輝度レベル或いは最大輝度レベルの画像に置換して、前記最小輝度レベル或いは最大輝度レベルの画像の前記フレームメモリへの格納を妨害し、
前記フレームメモリに格納されている前記エラーのないブロックの圧縮画像と共に前記最小輝度レベル或いは最大輝度レベルの画像に対応する直前フレームのブロックの圧縮画像を前記フレームメモリから出力させて行うことを特徴とする画像出力方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−143005(P2007−143005A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−336834(P2005−336834)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】