説明

画像合成方法

【課題】仮想画像が対応づけられた画像対応被写体が含まれない撮影範囲であっても、当該画像対応被写体にて対応づけられた実画像上の位置に仮想画像を合成することが可能な画像合成方法を提供する。
【解決手段】複数回の撮影により撮影された実画像を構成する画像データを、撮影毎に解析し、当該実画像に含まれ画像対応被写体を検出し、実画像を構成する画像データと、検出した画像対応被写体の仮想画像の画像データとを合成し、連続する2回の撮影における、先の撮影により検出された画像対応被写体であって、後の撮影により検出されなかった画像対応被写体の、先の撮影にて撮影されていた位置が、後の撮影の撮影範囲外に位置する場合には、後の撮影により検出されなかった画像対応被写体に対応づけられた仮想画像の画像データを、後の撮影後に合成された画像データに合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影した実画像と生成した仮想画像とを合成する画像合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影した実画像と生成した仮想画像とを合成する画像合成方法としては、例えば、撮影した撮影画像に含まれる特定の被写体と対応づけられた付加画像を、特定の被写体の位置に応じて撮影画像上に配置して合成画像を生成する画像合成方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような画像合成方法にて合成された合成画像は、たとえば表示画面等に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010―187052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の画像合成方法は、特定の被写体の位置に応じて撮影画像上の位置に付加画像を配置するので、例えば前記特定の被写体(以下、画像対応被写体という)が撮影範囲内に存在する場合には付加画像としての仮想画像が配置されるが、画像対応被写体が撮影範囲から外れた場合には、表示画面内に仮想画像の一部が表示されるべき場合であっても、撮影範囲内に画像対応被写体がないため仮想画像は表示されないという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、仮想画像が対応づけられた画像対応被写体が含まれない撮影範囲であっても、当該画像対応被写体にて対応づけられた実画像上の位置に仮想画像を合成することが可能な画像合成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の画像合成方法は、被写体を撮影した実画像と既に生成されている仮想画像とを合成する画像合成方法であって、複数回の撮影により撮影された前記実画像を構成する画像データを、前記撮影毎に解析して、当該実画像に含まれ、前記仮想画像が対応づけられた画像対応被写体を検出する画像対応被写体検出工程と、前記実画像を構成する前記画像データと、検出した前記画像対応被写体に対応づけられている前記仮想画像の画像データとを合成する画像合成工程と、前記複数回の撮影のうちの、連続する2回の前記撮影における、先の前記撮影により検出された前記画像対応被写体と、後の前記撮影により検出された前記画像対応被写体とを比較する比較工程と、前記先の撮影により検出された前記画像対応被写体であって、前記後の撮影により検出されなかった前記画像対応被写体の、前記先の撮影にて撮影されていた位置が、前記後の撮影の撮影範囲外に位置する場合には、前記先の撮影にて撮影されていた位置に配置した、前記後の撮影により検出されなかった前記画像対応被写体に対応づけられた前記仮想画像の前記画像データを、前記後の撮影後の前記画像合成工程にて合成された画像データに合成する画像再合成工程と、を有することを特徴とする画像合成方法である。
【0007】
このような画像合成方法によれば、連続する2回の撮影において、先の撮影により検出された画像対応被写体と、後の撮影により検出された画像対応被写体とを比較して、先の撮影により検出された画像対応被写体が、後の撮影にて検出されなかった場合には、2回の撮影の間に、撮影範囲が移動して画像対応被写体が撮影範囲から外れてしまった場合と、画像対応被写体が実際に取り除かれてしまった場合とが考えられる。このとき、画像対応被写体が取り除かれた場合には、画像対応被写体に対応づけられた仮想画像を実画像と合成する必要はないが、撮影範囲が移動して画像対応被写体が撮影範囲から外れてしまった場合には、撮影範囲内に画像対応被写体が存在しなかったとしても、画像対応被写体に対応づけられた仮想画像の一部でも撮影範囲に含まれる場合には、仮想画像の撮影範囲に含まれる部位は、実画像と合成されていることが望ましい。このため、先の撮影により検出された画像対応被写体が、後の撮影により検出されなかった場合であって、検出されなかった画像対応被写体の、先の撮影にて撮影されていた位置が、後の撮影の撮影範囲の外に位置する場合には、先の撮影にて撮影されていた位置に配置した、後の撮影により検出されなかった画像対応被写体に対応づけられた仮想画像の画像データを、後の撮影後の画像合成工程にて合成された画像データに合成するので、連続する2回の撮影の間に撮影範囲を移動して画像対応被写体が撮影範囲から外れたとしても、後の撮影にて検出されなかった画像対応被写体に対応づけられた仮想画像の、撮影範囲に含まれる部位が合成された合成画像を形成することが可能である。
【0008】
かかる画像合成方法であって、前記先の撮影により検出された前記画像対応被写体であって、前記後の撮影により検出されなかった前記画像対応被写体の、前記先の撮影にて撮影されていた位置が、前記後の撮影の撮影範囲内に位置する場合には、前記後の撮影により検出されなかった前記画像対応被写体に対応づけられた前記仮想画像の画像データを、前記後の撮影後の前記画像合成工程にて合成された画像データに合成しないことを有することが望ましい。
【0009】
このような画像合成方法によれば、先の撮影により検出された画像対応被写体が、後の撮影により検出されなかった場合であって、検出されなかった画像対応被写体の、先の撮影にて撮影されていた位置が、後の撮影の撮影範囲内に位置する場合には、実際に画像対応被写体が取り除かれている。そして、実際に画像対応被写体が取り除かれている場合には、後の撮影により検出されなかった画像対応被写体に対応づけられた仮想画像の画像データは合成されない。このため、現実の被写体の状態に合わせた合成画像を生成することが可能である。
【0010】
かかる画像合成方法であって、前記画像対応被写体は、前記先の撮影による前記実画像に複数含まれており、複数含まれている前記画像対応被写体のうちの2つの前記画像対応被写体間の相対位置が記憶されていることが望ましい。
【0011】
このような画像合成方法によれば、各々の画像対応被写体の正確な位置がわからない状態であっても、実画像を解析して2つの画像対応被写体の相対位置を記憶しておくことにより、一方の画像対応被写体の位置から他方の画像対応被写体の位置を特定することが可能である。このため、各々の画像対応被写体を正確に配置しなくとも、仮想画像が配置される位置を特定することが可能である。
【0012】
かかる画像合成方法であって、撮影された前記実画像を構成する前記画像データが記憶され、記憶された前記画像データが撮影される毎に更新される画像仮想展開領域と、検出された前記画像対応被写体と、検出された前記画像対応被写体に対応づけられた前記仮想画像と、前記相対位置とを対応づけた仮想画像情報が記憶され、前記画像仮想展開領域の前記画像データに対応して書き換えられる情報記憶領域と、を有することが望ましい。
【0013】
このような画像合成方法によれば、撮影された実画像の画像データが記憶され、撮影される毎に更新される画像仮想展開領域の画像データから検出された画像対応被写体と、検出された画像対応被写体に対応づけられた仮想画像と、相対位置とを対応づけた情報記憶領域の仮想画像情報は、画像仮想展開領域の画像データに対応して書き換えられるので、情報記憶領域には、画像仮想展開領域の画像データに合わせた最新の仮想画像情報を記憶しておくことが可能である。
【0014】
かかる画像合成方法であって、前記比較工程では、前記先の撮影にて記憶された前記情報記憶領域の仮想画像情報と、前記後の撮影にて検出された画像対応被写体の仮想画像情報と、を比較することが望ましい。
【0015】
このような画像合成方法によれば、情報記憶領域の仮想画像情報に基づいて、画像対応被写体の変化を検出するので、正確かつ容易に合成画像を生成することが可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、仮想画像が対応づけられた画像対応被写体が含まれない撮影範囲であっても、当該画像対応被写体にて対応づけられた実画像上の位置に仮想画像を合成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る画像合成方法を実現するための装置の一例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の画像合成方法を説明するためのフローチャートである。
【図3】図3(a)は、先の撮影の撮影範囲を示す図であり、図3(b)は、先の撮影による実画像と仮想画像とが合成された合成画像を示す図である。
【図4】図4(a)は、後の撮影の撮影範囲を示す図であり、図4(b)は、後の撮影の撮影範囲からマーカーが外れた場合の、後の撮影による実画像と仮想画像とが合成された合成画像を示す図である。
【図5】後の撮影時にBマーカーが外された場合の、後の撮影による実画像と仮想画像とが合成された合成画像を示す図である。
【図6】後の撮影の撮影時にBマーカーが移動された場合の、後の撮影による実画像と仮想画像とが合成された合成画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、本発明の概要について説明する。
本実施形態の画像合成方法は、予め生成されている仮想画像の情報が対応づけられた画像対応被写体を含む被写体を連続して撮影し、撮影される毎に、撮影された画像対応被写体の情報に基づく仮想画像と、撮影した実画像とを合成する。このとき、連続する2回の撮影において、先に撮影した実画像に含まれる画像対応被写体と、後に撮影した実画像に含まれる画像対応被写体とを比較し、先の撮影による実画像に含まれていた画像対応被写体が後の撮影による実画像に含まれていなかった場合に、当該含まれていなかった画像対応被写体が、後の撮影の撮影範囲から外れたのか、または、画像対応被写体が実際に取り除かれたのか、に応じて合成画像を生成するものである。たとえば、後の撮影による実画像にて含まれなくなった画像対応被写体の、先の撮影にて設けられていた位置が、後の撮影の撮影範囲内である場合には、実際に画像対応被写体が取り除かれている。このため、後の撮影による実画像にて含まれなくなった画像対応被写体に対応づけられた仮想画像は、後の撮影による実画像に合成しない。一方、後の撮影による実画像にて含まれなくなった画像対応被写体が、先の撮影にて設けられていた位置が後の撮影の撮影範囲外である場合には、後の実画像の撮影範囲では先の撮影の実画像と変化はない。このため、先の撮影の状態が継続されている、すなわち、後の撮影による実画像にて含まれなくなった画像対応被写体が、先の撮影時に配置されていた位置に存在するとして、後の撮影による実画像にて含まれなくなった画像対応被写体に対応づけられた仮想画像を後の撮影による実画像と合成する。
【0019】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る画像合成方法を実現するための装置の一例を示すブロック図である。
【0020】
本実施形態の画像合成方法を実現するための画像合成装置1は、被写体を撮影する撮像部10と、撮影した被写体の実画像と予め形成されている仮想画像とを合成する処理を含み画像合成装置1を制御する制御部12と、画像を合成するために必要な各種情報やデータが記憶される記憶部14と、合成された合成画像を表示する表示部16と、本画像合成装置1を操作するための操作部18と、を有している。
【0021】
本実施形態の画像合成装置1は、例えば、撮像部10と、撮影した画像を表示する表示部16とを有し持ち運び可能な、例えばデジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、モバイルコンピュータなどに、画像合成処理が実行可能なプログラムが記憶されている。
【0022】
そして、画像合成装置1の使用者が、被写体を撮影すると、表示部16に撮影された実画像が表示される。このとき、撮影された実画像20(図3)に、予め設定された、例えば、QRコード(登録商標)やバーコードなどの、所定の合成情報を示す画像対応被写体としてのマーカー21が含まれていた場合には、マーカー21を検出して情報を取得し、取得した情報に基づいて、撮影した実画像20と予め記憶されている仮想画像23(図3)とを合成した合成画像24(図3)を生成し合成画像24が表示部16に表示されるように構成されている。
【0023】
撮像部10は、例えば、デジタルカメラやデジタルビデオカメラのような、撮影により、画像を構成する複数の画素の各画像データを生成するCCDセンサーなどの撮像素子により、光情報を電気情報に変換するように構成されている。
【0024】
表示部16は、画像を構成する複数の画素の画像データを、各素子に対応させて表示することが可能な、例えば液晶パネルなどにて構成されている。ここで、各画素の画像データとは、例えば、各画素をR(レッド)成分、G(グリーン)成分、B(ブルー)成分に分解した各成分を示すデータである。
【0025】
操作部18は、画像合成装置1を使用する使用者が、画像合成装置1に対し撮影等の操作を行ったり、設定を変更するなどの操作を行う部位であり、少なくとも実画像20を撮影するための所謂シャッターを有している。
【0026】
記憶部14は、本画像合成装置1にて合成画像を生成するための各種情報が記憶されており、また、情報が記憶される情報記憶領域14aと、合成画像を生成する処理の中で画像データが書き換えられていく作業領域となる画像仮想展開領域14bとを有している。
【0027】
情報記憶領域14aには、被写体に含まれているマーカー21に対応づけられた仮想画像23を特定する情報、仮想画像23の画像データ、仮想画像23の実画像20に対して配置すべき位置を示す位置情報、などが記憶されている。また、情報記憶領域14aには、撮影時に測定された撮像部10の視点から被写体までの距離を示す情報、実画像に含まれる複数のマーカー21のうちの各々2つのマーカー21間の相対位置を示す位置情報等、算出された情報も記憶される。
【0028】
また、情報記憶領域14aには、画像仮想展開領域14bの画像データに含まれるマーカー21、当該マーカー21に対応づけられた仮想画像23を特定する情報、複数のマーカー21間の相対位置を示す位置情報を対応づけた仮想画像情報を記憶する2つの仮想画像情報記憶領域14cが設けられている。2つの仮想画像情報記憶領域14cには連続して撮影される各撮影において生成された合成画像24の仮想画像情報が交互に書き換えられていく。
【0029】
画像仮想展開領域14bは、撮影された画像データが画素毎に記憶される記憶領域である。上述したように、各画素の画像データはR,G,Bの3つの成分を示すデータを有するので、画像仮想展開領域14bは、合成画像を構成する画素数の3倍の記憶領域を有している。
【0030】
画像仮想展開領域14bに記憶される画像データは、合成画像を生成する際には必要に応じて対応する画素の画像データが書き換えられる。そして、画像仮想展開領域14bに画素毎に記憶された3つのデータは、各画素の画像データが書き換えられる場合には、R成分、G成分、B成分の各データがそれぞれ書き換えられる。このとき、画像仮想展開領域14bは、記憶領域が表示部16または撮像部10の素子と同様に配列されている必要はなく、各記憶領域の画像データが、表示部16または撮像部10の素子と対応づけられて記憶されていればよい。
【0031】
制御部12は、使用者により操作部18が操作されることにより、撮像部10や表示部16を制御したり、撮影された実画像20の画像データからマーカー21を検出し、マーカー21にて示される情報を解析する解析処理、解析された情報に基づいて、実画像20と記憶部14に記憶されている仮想画像23とを合成する画像合成処理等の各種処理を実行する。
【0032】
次に、制御部12による画像合成方法について説明する。
本実施形態の画像合成方法は、画像合成装置1に設けられ、撮像部10にて撮影するための操作部18であるシャッターが操作されて処理が開始される。このとき、画像合成装置1が、デジタルカメラなどのように、単に実画像を撮影するときと、合成画像を生成するときとで処理を切り替えるスイッチが操作部18に設けられていてもよい。また、常に合成画像を生成する処理が実行されるように設定されており、撮影された実画像にマーカー21が検出されたときのみ合成画像を生成する処理を実行することとしてもよい。
【0033】
また、本画像合成装置1は、電源が投入されたとき、撮影を開始するスイッチが切り替えられたときなど、最初に撮影する前に、記憶部14の2つの仮想画像情報記憶領域14cが初期化されるように構成されている。
【0034】
本実施形態は、前述したように、画像合成装置1の撮像部10にて撮影するときに、撮影範囲内に、QRコード(登録商標)やバーコードなどの情報を示す画像対応被写体としてのマーカー21が含まれる状態に応じて合成画像24を生成する。本実施形態では、互いに異なる仮想画像が対応づけられた2つのマーカー21を用いて説明する。2つのマーカー21を区別するために、一方のマーカー21をAマーカー21a、他方のマーカー21をBマーカー21bとして説明する。ここでは、例えば、Aマーカー21aにはソファの仮想画像23aが対応づけられており、Bマーカー21bにはピアノの仮想画像23bが対応づけられており、例えば、撮影される室内にソファとピアノをどのように配置するかを検討する場合などに用いられる。
【0035】
図2は、本実施形態の画像合成方法を説明するためのフローチャートである。図3(a)は、先の撮影の撮影範囲を示す図であり、図3(b)は、先の撮影による実画像と仮想画像とが合成された合成画像を示す図である。図4(a)は、後の撮影の撮影範囲を示す図であり、図4(b)は、後の撮影の撮影範囲からマーカーが外れた場合の、後の撮影による実画像と仮想画像とが合成された合成画像を示す図である。
【0036】
制御部12は、シャッターが操作されると撮像部10にて被写体を撮影し、撮影された実画像20を構成する各画素の画像データを生成し(S1)、生成した画像データを記憶部14の画像仮想展開領域14bに記憶する(S2)。この撮影が先の撮影に相当する。ここでは、図3(a)に示すような撮影範囲F1にて撮影されたとする。また、このとき、制御部12は実画像の撮影時に撮像部10から取得した情報に基づき、一般的なカメラにも搭載されているオートフォーカス機構の原理を利用して、例えば、レンズの上半分と下半分にて生じる重心位置の違いを利用して被写体と、撮像部10の視点位置との距離を計測し、計測した距離情報を記憶部14に記憶する。
【0037】
次に制御部12は、撮影した実画像20の画像データに画像対応被写体としてのマーカー21が撮影されているか否かを解析する(画像対応被写体検出工程S3)。このとき、実画像20の画像データにマーカー21が撮影されていた場合には(S4)、マーカー21に対応づけられている情報を記憶部14から取得する(S5)。ここで、取得される情報には、マーカー21に対応づけられている仮想画像23を特定する情報、撮影した実画像20と仮想画像23とを合成するための位置情報、等が含まれる。
【0038】
また、撮影した実画像20の画像データを解析し、実画像20の画像データにマーカー21が撮影されていなかった場合には、画像仮想展開領域14bに記憶されている実画像20の画像データに基づいて、実画像20が表示部16に表示される(S13)。
【0039】
本実施形態の場合には、撮影した実画像20の画像データを解析して(S3)、実画像20の画像データにAマーカー21a及びBマーカー21bが検出され(S4)、Aマーカー21aに対応づけられている情報及びBマーカー21bに対応づけられている情報が記憶部14から取得される(S5)。このとき、撮影した実画像20と合成するソファの仮想画像23a及びピアノの仮想画像23bとを合成するための位置情報、すなわち、Aマーカー21aの位置に位置あわせてソファの仮想画像23aが配置され、Bマーカー21bの位置に合わせてピアノの仮想画像23bが配置されることを示す情報が取得される(S5)。
【0040】
次に制御部12は、取得した情報に基づいて、画像仮想展開領域14bに記憶されている実画像20の対象となる画素の画像データを、マーカー21に対応づけられて情報記憶領域14aに記憶されている仮想画像23の画像データに書き換えて合成画像24を生成する(画像合成工程S6)。そして、生成された合成画像に含まれているマーカー21の仮想画像情報を一方の仮想画像情報記憶領域14cに記憶する(S7)。
【0041】
本実施形態の場合には、画像仮想展開領域14bに記憶されている実画像20の対象となる画素の画像データを、Aマーカー21aに対応づけられて情報記憶領域14aに記憶されているソファの仮想画像23a、Bマーカー21bに対応づけられて情報記憶領域14aに記憶されているピアノの仮想画像23bの画像データに書き換えて合成画像24を生成する(S6)。そして、生成された合成画像に含まれているAマーカー21a及びBマーカー21bの仮想画像情報を仮想画像情報記憶領域14cに記憶する(S7)。
【0042】
次に制御部12は、この撮影が最初の撮影か否かを判定する(S8)。本実施形態の場合には最初の撮影なので、画像仮想展開領域14bにて合成された、図3(b)に示すような合成画像24を表示部16に表示する(S13)。
【0043】
次に、画像合成装置1の向きが、撮影範囲F2が図4(a)に示すように左方向に変更されて撮影されたとする。この撮影が後の撮影に相当する。このとき、Bマーカー21bは撮影範囲F2から外れている。
【0044】
撮像部10により、図4(a)に示すような撮影範囲にて被写体を撮影し、撮影された実画像20を構成する各画素の画像データを生成し(S1)、生成した画像データを記憶部14の画像仮想展開領域14bに記憶する(S2)。このときも、制御部12は実画像の撮影時に撮像部10から取得した情報に基づき、被写体と、撮像部10の視点位置との距離を計測し、計測した距離情報を記憶部14に記憶する。
【0045】
次に制御部12は、実画像20の画像データに画像対応被写体としてのマーカー21が撮影されているか否かを解析する(画像対応被写体検出工程S3)。このとき、実画像20の画像データにAマーカー21aが撮影されているので、Aマーカー21aが検出され(S4)、Aマーカー21aに対応づけられている情報を記憶部14から取得する(S5)。このとき、撮影した実画像20と合成するソファの仮想画像23aとを合成するための位置情報、すなわち、Aマーカー21aの位置に位置あわせてソファの仮想画像23aが配置されることを示す情報が取得される(S5)。
【0046】
次に制御部12は、取得した情報に基づいて、画像仮想展開領域14bに記憶されている実画像20の対象となる画素の画像データを、Aマーカー21aに対応づけられて情報記憶領域14aに記憶されているソファの仮想画像23aの画像データに書き換えて合成画像24を生成する(画像合成工程S6)。そして、生成された合成画像に含まれているAマーカー21aの仮想画像情報を仮想画像情報記憶領域14cに記憶する(S7)。
【0047】
次に制御部12は、この撮影が最初の撮影か否かを判定する(S8)。この場合には、2回目の撮影(以下、後の撮影という)なので、後の撮影にて生成された合成画像の仮想画像情報と、後の撮影の直前の撮影(以下、先の撮影という)にて生成された合成画像24の仮想画像情報とを比較する(比較工程S9)。
【0048】
このとき、先の撮影にて生成された合成画像24の仮想画像情報には含まれていたが、後の撮影にて生成された合成画像の仮想画像情報に含まれていないマーカー21がある場合には、含まれなくなったマーカー(以下、非含有マーカーという)21の位置情報に基づいて、非含有マーカー21が設けられていた位置が後の撮影の撮影範囲内に含まれているか否かを判定する(S10)。
【0049】
そして、非含有マーカー21が設けられていた位置が、後の撮影の撮影範囲内に含まれている場合には、マーカー21が実際に取り除かれているので、仮想画像情報から非含有マーカー21の仮想画像情報を削除して(S12)、画像仮想展開領域14bにて合成されている合成画像24を表示部16に表示する(S13)。
【0050】
一方、非含有マーカー21が設けられていた位置が、後の撮影の撮影範囲内に含まれていない場合には、マーカー21の状態が変更されたことは検出されないので、先の撮影時と同じ位置に非含有マーカー21に対応づけられた仮想画像23が配置されるように、画像仮想展開領域14bに記憶されている実画像20の対象となる画素の画像データを書き換え(画像再合成工程S11)、画像仮想展開領域14bにて合成された合成画像24を表示部16に表示する(S13)。
【0051】
本実施形態の場合には、後の撮影にて生成された合成画像24の仮想画像情報と、先の撮影にて生成された合成画像24の仮想画像情報とを比較する(比較工程S9)。このとき、Bマーカー21bは、先の撮影にて生成された合成画像24の仮想画像情報には含まれていたが、後の撮影にて生成された合成画像24の仮想画像情報に含まれていない。このため、Bマーカー21bが後の撮影の撮影範囲F2内に含まれているか否かを判定する(S10)。このとき、先の撮影時に算出したAマーカー21aとBマーカー21bとの相対位置を示す位置情報を情報記憶領域14aから取得し、後の撮影の撮影範囲F2に含まれているAマーカー21aの位置と取得した相対位置とにより、Bマーカー21bが設けられていた位置を特定し、特定した位置が後の撮影の撮影範囲F2内に含まれているか否かを判定する。このとき、先の撮影にてBマーカー21bが設けられていた位置は、後の撮影の撮影範囲の外側なので、先の撮影時と同じ位置にBマーカー21bに対応づけられたピアノの仮想画像23bが配置されるように、画像仮想展開領域14bに記憶されている実画像20の対象となる画素の画像データを書き換える(画像再合成工程S11)。そして、画像仮想展開領域14bにて合成された、図4(b)に示すような、ソファの仮想画像23aとピアノの仮想画像23bとが合成された合成画像24を表示部16に表示する(S13)。
【0052】
図5は、後の撮影時にBマーカーが外された場合の、後の撮影による実画像と仮想画像とが合成された合成画像を示す図である。図6は、後の撮影の撮影時にBマーカーが移動された場合の、後の撮影による実画像と仮想画像とが合成された合成画像を示す図である。
【0053】
このとき、先の撮影にてBマーカー21bが設けられていた位置が、後の撮影の撮影範囲内の場合には、Bマーカー21bが取り外された状態となるので、図5に示すような、ソファの仮想画像23aのみが合成された合成画像24を表示部16に表示する(S13)。また、後の撮影にてBマーカー21bが移動されて後の撮影の撮影範囲内に存在する場合には、撮影された実画像のAマーカー21aの位置にソファの仮想画像23aを、Bマーカー21bの位置にピアノの仮想画像23bを合成した、図6に示すような合成画像24を表示部16に表示する(S13)。
【0054】
本実施形態の画像合成方法によれば、連続する2回の撮影において、先の撮影により検出されたAマーカー21a及びBマーカー21bと、後の撮影により検出されたAマーカー21aとを比較して、先の撮影により検出されたBマーカー21bが、後の撮影にて検出されなかった場合には、2回の撮影の間に、撮影範囲F1が移動してBマーカー21bが撮影範囲F2から外れてしまった場合と、Bマーカー21bが取り除かれた場合とが考えられる。このとき、Bマーカー21bが取り除かれた場合には、Bマーカー21bに対応づけられたピアノの仮想画像23bを実画像20と合成する必要はないが、撮影範囲F1が移動してBマーカー21bが撮影範囲F2から外れてしまった場合であって、撮影範囲F2内にBマーカー21bが無かったとしても、Bマーカー21bに対応づけられたピアノの仮想画像23bが撮影範囲F2に含まれる場合には、ピアノの仮想画像23bが合成されることが望ましい。このため、先の撮影により検出されたBマーカー21bが、後の撮影により検出されなかった場合であって、Bマーカー21bの、先の撮影にて撮影されていた位置が、後の撮影の撮影範囲F2外に位置する場合には、先の撮影にて撮影されていた位置に配置した、Bマーカー21bに対応づけられたピアノの仮想画像23bの画像データを、後の撮影後に合成された画像データに追加して合成するので、連続する2回の撮影の間に撮影範囲をF1からF2移動してBマーカー21bが撮影範囲F2から外れたとしても、後の撮影にて検出されなかったBマーカー21bに対応づけられたピアノの仮想画像23bが合成された合成画像24を形成することが可能である。
【0055】
また、先の撮影により検出されたBマーカー21bが、後の撮影により検出されなかった場合であって、Bマーカー21bの、先の撮影にて撮影されていた位置が、後の撮影の撮影範囲F2内に位置する場合には、実際にBマーカー21bが取り除かれている。そして、実際にBマーカー21bが取り除かれている場合には、後の撮影により検出されなかったBマーカー21bに対応づけられたピアノの仮想画像23bの画像データを、後の撮影後に合成された画像データに合成しないので、生成される合成画像24に検出されなかったBマーカー21bに対応づけられたピアノの仮想画像23bは合成されない。このため、現実の被写体の状態に合わせた合成画像24を生成することが可能である。
【0056】
また、各々のAマーカー21a及びBマーカー21bの正確な位置がわからない状態であっても、実画像20の画像データを解析して、Aマーカー21aとBマーカー21bとの相対位置を記憶しておくことにより、Aマーカー21aの位置からBマーカー21bの位置を特定することが可能である。このため、各々のAマーカー21a及びBマーカー21bを正確に配置しなくとも、ソファの仮想画像23a及びピアノの仮想画像23bが配置される位置を特定することが可能である。
【0057】
また、撮影された実画像20の画像データが記憶され、撮影される毎に更新される画像仮想展開領域14bの画像データから、検出されたAマーカー21a及びBマーカー21bと、検出されたAマーカー21a及びBマーカー21bに対応づけられたソファの仮想画像23a及びピアノの仮想画像23bと、相対位置とを対応づけた、情報記憶領域14aの仮想画像情報は、画像仮想展開領域14bの画像データに対応して書き換えられるので、情報記憶領域14aには、画像仮想展開領域14bの画像データに合わせた最新の仮想画像情報を記憶しておくことが可能である。
【0058】
また、情報記憶領域14aに記憶されている最新の仮想画像情報に基づいて、Aマーカー21a及びBマーカー21bの変化を検出するので、正確かつ容易に合成画像24を生成することが可能である。
【0059】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0060】
上記実施形態においては、画像対応被写体としてAマーカー21a及びBマーカー21bの2つを用いた例について説明したが、これに限らず、3つ以上のマーカー21を用いても良い。
【0061】
また、上記実施形態においては、各々のマーカー21の位置を示す位置情報を、2つのマーカー21の相対位置とする例について説明したが、1つのマーカー21が被写体、例えば床との相対位置情報を有しており、この相対位置情報を有するマーカーとの相対位置から、各々のマーカーの被写体との相対位置を求めることにより、各々のマーカー21の被写体に対する絶対位置を記憶しておいても良い。
【0062】
上記実施形態では、静止画像を合成する例について説明したが、動画を合成する場合には、動画のフレームレートに合わせて、合成した画像を生成して表示すればよい。例えば、フレームレートが15fpsであれば、1秒間に15回、上記のように画像の合成処理を繰り返し表示部の画像を書き換えることにより実現可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 画像合成装置
10 撮像部
12 制御部
14 記憶部
14a 情報記憶領域
14b 画像仮想展開領域
14c 仮想画像情報記憶領域
16 表示部
18 操作部
20 実画像
21 マーカー
21a Aマーカー
21b Bマーカー
23 仮想画像
23a ソファの仮想画像
23b ピアノの仮想画像
24 合成画像
F1 先の撮影における撮影範囲
F2 後の撮影における撮影範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮影した実画像と既に生成されている仮想画像とを合成する画像合成方法であって、
複数回の撮影により撮影された前記実画像を構成する画像データを、前記撮影毎に解析して、当該実画像に含まれ、前記仮想画像が対応づけられた画像対応被写体を検出する画像対応被写体検出工程と、
前記実画像を構成する前記画像データと、検出した前記画像対応被写体に対応づけられている前記仮想画像の画像データとを合成する画像合成工程と、
前記複数回の撮影のうちの、連続する2回の前記撮影における、先の前記撮影により検出された前記画像対応被写体と、後の前記撮影により検出された前記画像対応被写体とを比較する比較工程と、
前記先の撮影により検出された前記画像対応被写体であって、前記後の撮影により検出されなかった前記画像対応被写体の、前記先の撮影にて撮影されていた位置が、前記後の撮影の撮影範囲外に位置する場合には、前記先の撮影にて撮影されていた位置に配置した、前記後の撮影により検出されなかった前記画像対応被写体に対応づけられた前記仮想画像の前記画像データを、前記後の撮影後の前記画像合成工程にて合成された画像データに合成する画像再合成工程と、
を有することを特徴とする画像合成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の画像合成方法であって、
前記先の撮影により検出された前記画像対応被写体であって、前記後の撮影により検出されなかった前記画像対応被写体の、前記先の撮影にて撮影されていた位置が、前記後の撮影の撮影範囲内に位置する場合には、前記後の撮影により検出されなかった前記画像対応被写体に対応づけられた前記仮想画像の画像データを、前記後の撮影後の前記画像合成工程にて合成された画像データに合成しないことを特徴とする画像合成方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像合成方法であって、
前記画像対応被写体は、前記先の撮影による前記実画像に複数含まれており、
複数含まれている前記画像対応被写体のうちの2つの前記画像対応被写体間の相対位置が記憶されていることを特徴とする画像合成方法。
【請求項4】
請求項3に記載の画像合成方法であって、
撮影された前記実画像を構成する前記画像データが記憶され、記憶された前記画像データが撮影される毎に更新される画像仮想展開領域と、
検出された前記画像対応被写体と、検出された前記画像対応被写体に対応づけられた前記仮想画像と、前記相対位置とを対応づけた仮想画像情報が記憶され、前記画像仮想展開領域の前記画像データに対応して書き換えられる情報記憶領域と、を有することを特徴とする画像合成方法。
【請求項5】
請求項4に記載の画像合成方法であって、
前記比較工程では、前記先の撮影にて記憶された前記情報記憶領域の前記仮想画像情報と、
前記後の撮影にて検出された前記画像対応被写体の前記仮想画像情報と、を比較することを特徴とする画像合成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−175666(P2012−175666A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38749(P2011−38749)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】