説明

画像合成装置、画像合成方法、プログラムおよび記録媒体

【課題】 画像を拡大または縮小し、他の画像に合成するにあたって、簡易な処理でありながらも、画像のデザインが変化しないように補完を行い、合成後の画像が不自然にならないようにすることができる画像合成装置、画像合成方法、プログラムおよび記録媒体提供する。
【解決手段】 透明部分および不透明部分を含む画像に対し、拡大または縮小処理を行い、拡大または縮小処理が行われた後の画像における透明部分のうち不透明部分と隣接する画素に対して、この画素を中心として、拡大または縮小処理が行われた後の画像における透明部分の画素を含む予め定める微小領域に含まれる画素に基づいて、色情報の補正処理を行う画像処理部107と、画像処理部107によって補正された画像、および他の画像を合成する画像合成部103とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明部分を含む画像を拡大または縮小して、他方の画像と合成する画像合成装置、画像合成方法、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、地上デジタル放送、デジタルCS(Communication Satellite)放送、およびデジタルBS(Broadcast Satellite )放送などのデジタル放送は、一般的なサービスとなっている。さらに、ワンセグ放送(携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービス)など、携帯端末によってデジタル放送画像を視聴するも一般的となっている。さらには、インターネット上でサーバに保持された動画データをストリーミングあるいはダウンロードして端末装置内に格納し、視聴することも行われている。
【0003】
これらの放送データあるいは動画データに対しては、フォーマット変換などを行い、必要に応じて別の画像を拡大もしくは縮小して合成し、合成した画像が端末の表示画面に表示されることが多い。たとえば、デジタル衛星放送ではデータ放送サービスが行われており、通常の番組画像に重ねて文字データが表示出力されるようになっている。
【0004】
また、コンピュータおよび携帯端末などにおいて、背景画像または表示中の動画データと、各種機能を示すアイコン、バッテリの残量レベル、またはメールなどの文字列などとを、重畳して表示することは一般的に行われている。
【0005】
前述した画像の拡大または縮小を行なう場合、最近傍法(Nearest Neighbor法)、または線形補間法(バイリニア法)などの手法を用いて、隣接あるいは周辺画素から画素を補間したり、画素を間引きしたりすることによって行われる。
【0006】
前述した手法に加え、さらに画像補間処理を行う方法が提案されている。たとえば特許文献1には、互いに異なる透明度値を有する複数の原画素から補間画素を得る場合に、所定の規則に従って複数の原画素の中から特定原画素を選択し、この選択された原画素が有する透明度値あるいは色成分を補間画素に対して設定する手法が提案されている。
【0007】
また、画像を合成する際の一般的な方法として、アルファブレンディングが知られている。アルファブレンディングとは、不透明度すなわち透過しない割合であるα値を計算し、一方の画像データに対してα値を乗算し拡大あるいは縮小処理を行い、(1−α)値を乗算された他方の画像データとを加算するようにした画像合成方法である。この方法おいては、画像の境界部分において、α値を連続的に変化させることで滑らかな表示を実現している。
【0008】
しかしながら、アルファブレンディングを行った場合に発生する画像境界付近で色化けが発生する場合がある。そこで色ばけを防止する方法として、特許文献2において、以下のよう手法が提案されている。優先度の高い一方の画像データに対して不透明度α値を乗算してから拡大縮小し、(1−α)値が乗算されて拡大縮小された他方の画像データと加算する。この手法によれば、優先度の高い一方の画像データに対して不透明度α値を乗算しておくこと、画像境界付近での色化けの発生が防止できる。
【0009】
【特許文献1】特開2003−158748号公報
【特許文献2】特開2003−309860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
画像の形状が意味を持つ場合、たとえばアイコン画像、あるいは、絵文字画像などにおいて、原画素を選択して補間する方法では、不自然感、違和感が発生する。
【0011】
図13は、従来の技術による画像の拡大処理を説明する図である。図13(1)は、原画像であり、各画素において、色成分R(赤),G(緑),B(青)に各々に0〜255の範囲の色成分値が設定されている。原画像は、縦横に5×5の画素がマトリクス状に配列されて成る。またここでは、図13(1)における原画像の左上の画素の座標を(1,1)としている。ここで座標を(x,y)としたときに、xは縦方向の位置を表し、yは横方向の位置を表す。各色成分R,G,Bは、最大256段階で表現され、その値が大きくなるほど、その色成分が濃いことを示している。たとえば、ある画素の色成分値が、[R=255,G=255,B=255]であれば、その画素は白色であり、また、[R=0,G=0,B=0]であれば黒色である。本例では、透明度(透過色)を示す情報は、各色成分R,G,Bの色成分値が予め定義された特定の値であれば、その画素は完全な透明であると定義しているが、透明度α値を定義しても同様に扱うことが可能である。図 において、黒塗り四角(■)は[R=255,G=0,B=0](不透明)の画素を表し、黒塗り菱形(◆)は[R=128,G=0,B=128](不透明)の画素を表し、黒丸(●)は[R=0,G=0,B=255](不透明)の画素を表し、白抜き四角(□)は透明色(透過色)の画素を表す。
【0012】
図13(1)に示される原画像を、この原画像の縦方向の長さを2倍、横方向の長さを2倍にし、面積が4倍となる画像に拡大する場合を考える。単純な画像拡大方法である最近傍法を適用すると、以下の計算式(1)〜(3)を用いて、拡大前の各画素の色成分値(R0,G0,B0)から、拡大後の画像の座標x,yにおける画素が持つRGBの色成分値(R1(x,y),G1(x,y),B1(x,y))が計算できる。
R1(x,y)=R0(int(x/2),int(y/2)) …(1)
G1(x,y)=G0(int(x/2),int(y/2)) …(2)
B1(x,y)=B0(int(x/2),int(y/2)) …(3)
【0013】
ただし式(1)〜(3)において、「R0(a,b)」は、拡大前画像のx=a,y=bの画素における赤成分値を示し、同様に「G0(a,b)」、「B0(a,b)」は、拡大前の緑、青の色成分値をそれぞれ示す。また「int(a)」は、aの小数点以下を四捨五入し整数化した値を示す。
【0014】
図13(2)は、式(1)〜(3)を用いて求めた拡大画像を示す図である。この図13(2)に示される拡大画像おいては、点線で囲まれた最小座標位置(1,5)と最大座標位置(6,10)とを含む矩形領域F1において、対応する原画像の領域では不透明部分と透明部分との境界が、斜め45度であるにもかかわらず、階段状となっており、ジャギー感(ギザギザ感)が感じられる問題点は明らかである。
【0015】
次に、特許文献1に記載されている手法を用いて、原画像を同様に4倍に拡大した場合について説明する。拡大画像の画素(x,y)の各色成分は、原画像の画素が透過色か非透過(不透明)色かによって異なり、以下の計算式(4)〜(15)によって求めることができる。
【0016】
原画像の[(x/2),((y−1)/2)]と[(x/2),((y+1)/2)]とが、ともに非透明色の場合は、以下の式(4)〜(6)を用いる。
R1(x,y)=(R0(x/2,(y+1)/2)
+R0(x/2,(y+1)/2))/2 …(4)
G1(x,y)=(G0(x/2,(y+1)/2)
+R0(x/2,(y+1)/2))/2 …(5)
B1(x,y)=(B0(x/2,(y+1)/2)
+R0(x/2,(y+1)/2))/2 …(6)
【0017】
原画像の[(x/2),((y−1)/2)]が透明色であり、[(x/2),((y+1)/2)]が非透明色の場合は、以下の式(7)〜(9)を用いる。
R1(x,y)=R0(x/2,(y+1)/2) …(7)
G1(x,y)=G0(x/2,(y+1)/2) …(8)
B1(x,y)=B0(x/2,(y+1)/2) …(9)
【0018】
原画像の[(x/2),((y−1)/2)]が非透明色であり、[(x/2),((y+1)/2)]が透明色の場合は、以下の式(10)〜(12)を用いる。
R1(x,y)=R0(x/2,(y+1)/2) …(10)
G1(x,y)=G0(x/2,(y+1)/2) …(11)
B1(x,y)=B0(x/2,(y+1)/2) …(12)
【0019】
原画像の[(x/2),((y−1)/2)]および[(x/2),((y+1)/2)]がともに透明色の場合は、以下の式(13)〜(15)を用いる。
R1(x,y)=R0(x/2,(y−1)/2) …(13)
G1(x,y)=G0(x/2,(y−1)/2) …(14)
B1(x,y)=B0(x/2,(y−1)/2) …(15)
【0020】
図13(3)は、式(4)〜(15)を用いて求めた拡大画像を示す図である。この図13(3)に示される拡大画像おいても、明らかに図13(2)に示される拡大画像と同様のジャギー感の問題が残っていることが判る。また、実線で囲まれた最小座標位置(5,1)と最大座標位置(7,4)とを含む矩形領域F2において、赤色[R=255,G=0,B=0]の画素の横方法の幅が3ドットとなって、原画像の対応する部分と比較して3倍の幅となり、横方向に拡大すべき倍率である2倍よりも大きくなっており、原画像が保有している形状バランスを崩している問題点がある。
【0021】
さらに、赤色の画素と青色[R=0,G=0,B=255]の画素との境界領域に、それぞれの色成分が合成された紫色[R=128,G=0,B=128]という、原画像には存在しなかった色を有する画素が出現している。
【0022】
前述した手法以外に、画像の拡大方法として、バイリニアと呼ばれる線形補間方法が良く用いられている。これは変形後のあるピクセルが変形前のどの領域に相当するかを計算し、その領域内にあるピクセルの色の平均値を変形後のピクセルの色とする。この方法では、複数のピクセルの色の平均値を使うので、拡大または縮小後の画像には原画像には存在しなかった色が含まれることとなる。
【0023】
また、原画像に透明部分と非透明部分とがある場合、透明部分の非透明部分との境界において、半透明の画素が生成される。この半透明の画素からなる半透明領域を持つ画像と、他の動画像とを、透過度を表すα値を用いて合成した場合、画像境界付近での色化けの問題が発生するのは特許文献2の説明にある通りである。この色化けは、特許文献2による手法で回避可能ではあるが、拡大または縮小画像に、元々の画像には存在しなかった色が含まれてしまう点は変わらない。
【0024】
以上にように、最近傍法あるいは特許文献1の手法によって画像を拡大した場合はジャギーが残り、このジャギー感は、合成される画像が動画であれば、周囲の色が変化するのでより目立つことによって、より不自然さが強調されるのは明らかである。
【0025】
また、線形補間法あるいは特許文献2における手法で、縮小拡大処理を行った場合、原画像になかった色が出現する。このことはアイコン画像および絵文字画像など、色が変わることで本来のデザインから逸脱し、不自然さの要因となっている。これは特に原画像の色数が少ないデータにおいて、色成分の境界位置に本来存在しない色が出現することでユーザに不自然さを感じさせる問題がある。
【0026】
また特許文献1の手法では、たとえば絵文字画像などにおいて、縮小拡大される大きさによって線幅などのバランスが崩れ、デザインの統一性がなくなり、ユーザに不自然さおよび違和感を感じさせる問題がある。
【0027】
図14は、従来の技術を用いて画像の縮小処理を説明する図である。図14(1)は、原画像と、この原画像を最近傍法を用いて縮小した縮小画像とを表し、図14(2)は、原画像と、この原画像を周辺画素の色情報を用いて補間を行って縮小した縮小画像とを表す。このように画像の縮小においても、図14(1)に示す最近傍による縮小では、本来連続している部分が欠ける現象が発生し、また図14(2)に示す周辺画素の色情報を用いて補間を行う縮小では、本来存在しなかった色が発生する問題が存在する。
【0028】
したがって本発明の目的は、前述した課題を考慮し、たとえば透明部分を有するアイコン画像および絵文字画像などの画像を拡大または縮小し、他の画像に合成するにあたって、簡易な処理でありながらも、画像のデザインが変化しないように補完を行い、合成後の画像が不自然にならないようにすることができる画像合成装置、画像合成方法、プログラムおよび記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
透明部分および不透明部分を含む画像に対し、拡大または縮小処理を行う画像サイズ調整手段と、
拡大処理後または縮小処理前の画像における透明部分のうち不透明部分と隣接する画素に対して、この画素を中心として、拡大処理後または縮小処前の画像における透明部分の画素を含む予め定める微小領域に含まれる画素に基づいて、拡大または縮小処理後の画素における色情報の補正処理を行う画像補正手段と、
前記画像補正手段によって補正された画像、および他の画像を合成する画像合成手段とを含むことを特徴とする画像合成装置である。
【0030】
また本発明は、前記画像補正手段は、前記予め定める微少領域を、前記透明画素部分に含まれる補正処理の対象となる画素に関して、この画素を囲む所定の領域の画素を含むように選ぶことを特徴とする。
【0031】
また本発明は、前記画像補正手段は、前記予め定める微少領域を、拡大または縮小の倍率に応じて選ぶことを特徴とする。
【0032】
また本発明は、前記画像補正手段は、拡大または縮小の倍率に応じて、前記補正処理を行う基準を変更することを特徴とする。
【0033】
また本発明は、透明部分の画素を予め定義した色情報で表し、
前記画像補正手段は、前記色情報に基づいて透明部分の画素であるか、または不透明部分の画素であるかを判定することを特徴とする。
【0034】
また本発明は、前記画像補正手段は、前記予め定める微少領域とすべき領域に関する領域情報を複数有し、相互に隣接する透明部分の画素および不透明部分の画素が変化する方向と、拡大処理の倍率とに応じて、前記複数の領域情報のうちのいずれかを選択して、選択された領域情報に関する領域を、予め定める微小領域とすることを特徴とする。
【0035】
また本発明は、画像データを格納する画像格納部を含み、
画像サイズ調整手段は、前記画像格納部に格納されている画像データに対して、拡大または縮小処理を行うことを特徴とする。
【0036】
また本発明は、前記画像格納部には、圧縮された画像データが格納され、
前記画像サイズ調整手段および前記画像補正手段が、前記圧縮された画像データに対して一連の連続した処理を行って、圧縮前の画像データに展開することを特徴とする。
【0037】
また本発明は、前記画像格納部に格納された画像データは、機器の状態または操作ボタンを示すアイコン画像として表示される画像データを含むことを特徴とする。
【0038】
また本発明は、前記画像格納部に格納された画像データは、絵文字画像として表示される画像データを含むことを特徴とする。
【0039】
また本発明は、通信回線に接続され、前記拡大縮小処理手段によって拡大または縮小処理の対象となる画像データを、前記通信回線を経由して取得する通信手段を含むことを特徴とする。
【0040】
また本発明は、前記通信手段は、画像、文字コードおよびメッセージ作成時における文字フォントの表示サイズに関する情報を取得し、
前記画像サイズ調整手段は、前記通信手段によって取得された情報に基づいて、メッセージ作成時における画像と文字との比率を維持するように拡大または縮小処理における倍率を決定することを特徴とする。
【0041】
また本発明は、前記画像合成手段は、前記画像補正手段によって補正された画像を、透過度合いを示す透明度値に応じて合成することを特徴とする。
【0042】
また本発明は、透明部分および不透明部分を含む画像に対し、拡大または縮小処理を行う画像処理工程と、
拡大または縮小処理が行われた後の画像における透明部分のうち不透明部分と隣接する画素に対して、この画素を中心として、拡大または縮小処理が行われた後の画像における透明部分の画素を含む予め定める微小領域に含まれる画素に基づいて、色情報の補正処理を行う画像補正工程と、
補正処理が行われた後の画像、および他の画像を合成する画像合成工程とを含むことを特徴とする画像合成方法である。
【0043】
また本発明は、コンピュータを、前記画像合成装置として機能させるためのプログラムである。
また本発明は、前記プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、単純かつ高速に、拡大または縮小された画像における違和感を低減して、前記画像と他の画像とを合成することができる。画像の拡大処理または縮小処理は、最近傍法に代表される単純な手法を適用すればよく、たとえば原画像のうち、拡大または縮小後の画像の各画素の位置に相当する位置の近傍にある画素の色情報を取得し、拡大または縮小後の画素の色情報とする。特に拡大処理後または縮小処理前の画像において、透明部分のうち、不透明部分と隣接する透明画素部分に対してのみ色情報の補正処理を行うため、全ての画素に対して補正処理を行う場合に比較して処理量が極めて小さくなる。
【0045】
さらに、特に絵文字画像など、大きさが変わることによって画像のデザインが変わってしまうと、ユーザが不自然さを感じる場合があるが、前述した予め定める微小領域に含まれる画素に基づいて、色情報の補正処理を行うことによって、この不自然さが生じてしまうことを解消あるいは低減することができる。また合成される他の画像が変化する場合であっても、ユーザに透明部分および不透明部分の境界におけるエッジ部分に発生する階段状のジャギー感を感じさせことを抑制して、拡大された画像と他の画像との合成が可能となる。
【0046】
また本発明によれば、コンピュータを前記画像合成装置として機能せるためのプログラムを提供することができる。
【0047】
また本発明によれば、前記プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体として提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明は一例であって、これらによって本発明の構成が限定されるものではない。
【0049】
図1は、本発明の実施の一形態である画像合成装置1の構成を示す機能ブロック図である。画像合成装置1は、動画信号制御部101と、動画生成部102と、画像合成部103と、画像出力部104と、画像信号制御部105と、画像選択部109と、画像処理部107と、画像バッファ部108と、画像格納部109と、第1および第2入力端子110,111と、出力端子112とを含んで構成される。動画信号制御部101と、動画生成部102と、画像合成部103と、画像出力部104と、画像信号制御部105と、画像選択部109と、画像処理部107との各部は、たとえばマイクロコンピュータによって実現される。前記マイクロコンピュータは、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)と予め定めるプログラムが記録されたメモリとを含んで構成され、CPUが予め定めるプログラムを実行することによって前記各部として機能する。画像バッファ部108と、画像格納部109とはメモリによって実現される。
【0050】
第1入力端子110からは、動画像データを含む映像信号が入力される。この映像信号は、テレビジョン放送に代表される放送電波を受信することによって取得されてもよく、インターネットに代表されるネットワーク回線を介して取得されてもよく、画像合成装置1が設けられる端末内に格納された動画ファイルを読み出すことによって取得されてもよく、種別を問わない。第1入力端子110から入力された映像信号は、動画信号制御部101に与えられる。動画信号制御部101は、与えられた映像信号から表示に必要な信号を抽出して、動画生成部102に与える。動画生成部102は、動画信号制御部101から与えられる表示に必要な信号を、3原色コンポーネントデータR,G,Bによって表される動画像データに変換して、変換された動画像データを画像合成部103に与える。
【0051】
第2入力端子111からは、静止画像データを含む画像信号が入力される。第2入力端子111から入力される画像信号は、画像信号制御部105に与えられる。画像信号制御部105は、与えられた画像信号から画像データを抽出して、画像選択部109に与える。画像格納部109は、画像データを記憶可能である。画像選択部109は、画像信号制御部105から与えられる画像データと、画像格納部109に格納された画像データとのいずれかを選択して、画像として表示する画像データを画像処理部107に与える。画像サイズ調整手段および画像補正手段である画像処理部107は、画像の拡大処理または縮小処理と、必要に応じて補間処理とを行って、拡大された画像(以下、拡大画像という)の画像データを画像バッファ部108に与える。画像処理部107における画像の拡大処理、縮小処理および補間処理の詳細については後述する。
【0052】
画像バッファ部108は、与えられた拡大画像また縮小画像を格納する。画像合成部103は、動画生成部102によって生成された動画像データと、画像バッファ部108に格納されている画像データとの合成処理を行うことによって、動画像と拡大画像または縮小画像とを合成して、合成画像データを生成する。画像合成部103は生成した合成画像データを画像出力部104に与える。画像出力部104は、与えられた合成画像データを、出力端子112に与える。これによって出力端子112から合成画像データが出力され、図1には図示していないが、出力された合成画像データは、液晶表示装置などの表示装置に与えられて、画像として表示可能であり、また動画あるいは画像として記録装置に記録することも可能である。
【0053】
図2は、画像合成装置1を含んで構成される電子機器2の構成の一例を示すブロック図である。電子機器2は、画像入力部201、表示部202、操作部203、RAM( Random Access Memory)205およびROM(Read Only Memory)207、付加装置206、および中央制御部204を備えて構成される。
【0054】
画像入力部201は、テレビジョン(TV)放送を受信可能な受信機、あるいは、インターネットを経由して伝送されるストリーミング放送を受信可能な通信機を含んで構成され、デジタル動画データを含む映像信号を取得する。表示部202は、液晶パネルなどの表示装置を含んで構成され、合成画像データを画像として表示する。操作部203は、ユーザによる操作によって情報を入力する機能を有し、操作ボタンを含んで構成される。ユーザが操作ボタンを操作することによって、電子機器2の電源をオン/オフしたり、画像入力部201に含まれる受信機において受信される受信チャンネルの変更などを行ったりすることができる。また画像入力部201は、通信手段である通信装置を含んで構成され、インターネットなどの通信回線を経由して静止画像データを取得することができる。
【0055】
また電子機器2は、付加装置206として、画像入力部201からの映像信号に含まれる画像データを、表示部202によって表示可能なデジタルデータに展開するデコーダを含むことが望ましい。このほか、電子機器2には、マイクロフォン、スピーカ、ライト、通信装置、およびメモリカードインタフェース(I/F)などの外部記憶装置との接続装置などを備える構成としてもよい。
【0056】
RAM(Random Access Memory)205は、表示する画像データを格納しているビデオメモリ205a、拡大または縮小した画像を格納する画像バッファ205b、および中央制御部204がプログラムを実行するためのワークバッファ205cを備えて構成される。すなわち前述した画像バッファ部108は、RAM205を含んで構成される。また、ROM(Read Only Memory)207は、入力画像制御プログラムエリア207a、画像合成制御プログラムエリア207b、画像処理制御プログラムエリア207c、拡大または縮小する画像を予め格納した画像データエリア207d、および、その他プログラムエリア207eを備えて構成される。すなわち前述した画像格納部109は、ROM207を含んで構成される。
【0057】
中央制御部204は、ROM207の各エリアにそれぞれ格納されたプログラムに基づいて、前述した動画信号制御部101と、動画生成部102と、画像合成部103と、画像出力部104と、画像信号制御部105と、画像選択部109と、画像処理部107として機能し、また画像入力部201、表示部202、操作部203、RAM205、ROM207および付加装置206の各部の動作制御を行う。中央制御部204は、CPUを含んで構成される。入力画像制御プログラムエリア207aには、入力された映像信号および画像信号を表示可能な画像データに変換する機能を制御する入力画像制御プログラムが格納され、付加装置206としてデコーダを利用している場合はデコーダの制御プログラムも格納される。入力画像制御プログラムが実行されることによって、動画信号制御部101、動画生成部102および画像信号制御部105が機能する。
【0058】
画像合成制御プログラムエリア207bには、画像合成を制御する画像合成制御プログラムが格納され、画像合成プログラムが実行されることによって、画像合成部103が機能する。画像処理制御プログラムエリア207cには、画像の拡大処理および縮小処理を制御する拡大制御プログラムが格納され、画像処理制御プログラムを実行することによって、画像処理部107が機能する。その他プログラムエリア207eには、前記各プログラムによって実行される処理以外の処理を実行するための各種プログラムが格納され、これら各種プログラムが実行されることによって、画像出力部104および画像選択部109として機能させたり、RAM205を画像バッファ部108として機能させたり、ROM207を画像格納部109として機能させたりすることができる。また、画像データエリア207dには、機器の状態または操作ボタンを示すアイコン画像、絵文字画像などの画像データが格納されている。
【0059】
次に、画像処理部107において行われる画像の拡大処理の方法および補間処理の方法について説明する。ここでは理解を容易にするために、図2に示される中央制御部204によって描画対象とすべき画像データを、ROM207の画像データエリア207dから選択した後、その画像データを画像として表示したときのサイズを、縦方向(y方向)に2倍で、かつ横方向(x方向)に2倍で拡大し、すなわち画像の面積を4倍に拡大する場合について説明する。
【0060】
まず、中央制御部204によって、画像データエリア207d格納された画像データのうち、描画対象となる画像データを原画像データとして選択する。この原画像データは、各画素において、色成分値R(赤),G(緑),B(青)に各々に0〜255の範囲の値が設定されている。また、本実施の形態において、[R=240,G=0,B=240]の場合は透明色を表すと定義しているが、透明色は任意に定義可能であり、透明色は利用されない色を指定すればよい。
【0061】
次に、この原画像データを最近傍法によって拡大処理を行う。すなわち、拡大後のある画素の位置に相当する色情報は、拡大前の位置に最も近傍にある原画素の色成分情報を設定する。具体的には、以下の計算式(16)〜(17)に基づいて、拡大前の色成分値、(R0,G0,B0)から、拡大後の画像の座標x,yにおける画素が持つRGBの色成分値 (R1(x,y),G1(x,y),B1(x,y))が計算できる。
R1(x,y)=R0(int(x/2),int(y/2)) …(16)
G1(x,y)=G0(int(x/2),int(y/2)) …(17)
B1(x,y)=B0(int(x/2),int(y/2)) …(18)
【0062】
なお式(16)〜(18)において、「R0(a,b)」は、拡大前画像のx=a,y=bの画素における赤の色成分値を示し、同様に「G0(a,b)」および「B0(a,b)」は、拡大前の緑、青の色成分値をそれぞれ示す。また「int(a)」は、aの小数点以下を四捨五入し整数化した値を示す。
【0063】
拡大処理の終了後、中央制御部204は、拡大された画像(以下、拡大画像という)の全画素を走査し、透明部分のうち不透明部分に隣接する透明な画素を抽出する。抽出された透明部分と不透明部分との境界の透明な画素に着目し、当該画素を中心とした予め定める微小領域に含まれる画素に基づいて、すなわち予め定める微小領域に含まれる画素の色情報に基づいて、着目した画素の色情報の補正処理(以下、補間処理という)を行う。
【0064】
つまり中央制御部204は、拡大画像の座標x、座標yについて、それぞれ最小座標から最大座標に向けて走査し、不透明部分の画素と隣接する透明部分の画素を選び出す。以下、不透明部分の画素を不透明画素といい、透明部分の画素を透明画素という場合がある。本実施の形態で、透明画素とは、予め定義した透明色と同じ色情報を持つ画素である。
【0065】
図3および図4は、注目画素を中心とした予め定める微小領域に含まれる画像情報の一例を示す図である。図3では、縦が3画素であり横が3画素である3×3の領域を、予め定める微小領域として、この予め定める微小領域で切出された画像情報を示しており、7つのパターンについて、それぞれ補間処理前と、補間処理後との注目画素の状態について示している。また図4では、縦が5画素であり横が5画素である前記5×5の領域の各角に位置する画素を除く領域(以下、この領域を5×5の領域という場合がある)を、予め定める領域として、この予め定める微小領域で切出された画像情報を示しており、5つのパターンについて、それぞれ補間処理前と、補間処理後との注目画素の状態について示している。なお、図3および図4において、黒塗り四角(■)は[R=0,G=255,B=0](不透明)を表し、黒丸(●)は[R=255,G=0,B=255](不透明)の画素を表し、黒塗り菱形(◆)は[R=255,G=0,B=0](不透明)の画素を表し、白丸(○)は、透明色の注目画素を表し、白抜き四角(□)は透明色(透過色)の画素を表す。また図3(1)〜(4)は、注目画素の色情報が実際に変更される例を示しており、図3(5)〜(7)は、注目画素の色情報の変更が行われない例を示している。また図4(1)〜(4)は、注目画素の色情報が実際に変更される例を示しており、図4(5)は、注目画素の色情報の変更が行われない例を示している。
【0066】
中央制御部204は、予め定める微小領域が3×3の領域に選ばれているとき、抽出した全ての画素について、それぞれを注目画素として中心に配置し、図3に示すような3×3の領域に着目する。そして、この3×3の領域に含まれる注目画素の近傍8点の色成分を調べ、予め定める第1規則に基づいて着目した画素の色情報の補正処理を行い、補間画素を設定する。前記予め定める第1規則は、注目画素を外囲する近傍8点の画素うち、注目画素のまわりでN個の画素が同色であった場合に、着目画素の色情報を、このN個の画素の色情報と同じ色情報に変更する。前記Nは、3〜5のうちのいずれか1つに選ばれ、本実施の形態では、Nは5に選ばれる。すなわち本実施の形態では、注目画素を外囲する近傍8点の画素うち、5つの画素が同色であった場合に、着目画素の色情報をこの5つの画素の色情報と同じ色情報に補正変更する。
【0067】
また中央制御部204は、予め定める微小領域が5×5の領域に選ばれているとき、抽出した全ての画素について、それぞれを注目画素として中心に配置し、図4に示すようなのような5×5の領域に着目する。そして、この5×5の領域に含まれる注目画素の近傍20点の色成分を調べ、予め定める第2規則に基づいて着目した画素の色情報の補正処理を行い、補間画素を設定する。前記予め定める第2規則は、注目画素を中心とした3×3の領域で、かつ注目画素を外囲する8つの画素のうち、注目画素のまわりに連続してL字状に5つの画素の色情報が等しく、かつL字状の5つの画素の端に位置する画素に連なって、L字状の直交する2つの方向のうちのいずれか一方のみに不透明の画素が隣接しているときに、注目画素の色情報を、前記5つの画素の色情報に補正変更する。このような規則を用いることによって、画像における十字状の交差部分付近などにおいて、過剰な補間を抑制することができ、この結果、ジャギーと呼ばれる階段状の部分は補間を行うが、線分の交差やL字状の形状を持つ画像に対して、交差および屈折部分の補間を抑制することができます。
【0068】
図5(1)は、拡大前の原画像の画像情報を示す図であり、図5(2)は従来法によって原画像の縦横をそれぞれ2倍に拡大した拡大画像であり、図5(3)は予め定める微小領域として前記3×3の領域が選ばれ、かつN=5としたとき(方式1)に、中央制御部204によって原画像の縦横をそれぞれ2倍に拡大した拡大画像であり、図5(4)は予め定める微小領域として前記5×5の領域が選ばれたとき(方式2)に、中央制御部204によって原画像の縦横をそれぞれ2倍に拡大した拡大画像である。図5を見ても明らかなように、方式1および方式2のいずれも、従来法と比較して、矢印の左の曲線が、原画像により忠実であり、さらに方式2は方式1と比較して、矢印の根元の部分がより原画像に忠実である。すなわち原画像の縦横をそれぞれ2倍に拡大するときは、予め定める微小領域を3×3の領域とするよりも、5×5の領域としたほうが、画像のエッジ部分をより正確に補間することができる。
【0069】
予め定める微小領域が、3×3の領域の場合、前記Nは、3〜5のうちのいずれか1つに選ばれるが、Nは5に選ぶことが最も好ましい。
【0070】
図6は、Nが3および5に選ばれたときの補間処理の結果を示す図である。図6(1)は、原画像を拡大した拡大画像を示し、図6(2)は、図6(1)の拡大画像に対して、Nを3としたときの補間処理(閾値3画素補間)の結果を示す図であり、図6(3)は、図6(1)の拡大画像に対して、Nを5としたときの補間処理(閾値5画素補間)の結果を示す図である。図6において、黒塗り星印(★)は、注目画素を示し、黒塗り四角(■)は青色の画素を表し、黒丸(●)は赤色の画素を表す。このように、Nを3に選ぶよりも、5に選んだ方が、色の境界にあたる部分の補正がより自然になることが判る。また、注目画素のまわりに同じ色情報を有する画素が6個あるときには、これら6個の画素は、形状として注目画素を囲む状態となっているため、Nを6に選ぶと、輪郭が潰れてしまうおそれがあるので、予め定める微小領域が、3×3の領域の場合には、Nは5に選ぶことが最も好ましいことがわかる。
【0071】
本実施の形態では、操作部203から予め定める微小領域に関する情報を入力し、これに応じて中央制御部204が、ROM207に格納されている予め定める微小領域に関する領域情報を選択して、予め定める微小領域を設定する。したがって、ユーザは必要に応じて、前述した3×3の領域を微小領域として用いるのか、また5×5の領域を微小領域として用いるのか、また、Nを3〜5のどの値に選ぶのかを選択することができる。
【0072】
図7は、画像合成装置1において、図13(1)に示される原画像を、この原画像の縦方向の長さを2倍、横方向の長さを2倍にし、面積が4倍となる画像に拡大し、補間処理を行った画像を示す。前記3×3の領域を微小領域とし、前記Nは、5に選んでいる。図7と、図13(1)および(2)とを比較すると判るように、本発明の画像合成装置1によって原画像により忠実な拡大画像を得ることができる。
【0073】
次に、画像処理部107において行われる画像の縮小処理の方法について説明する。ここでは理解を容易にするために、図2に示される中央制御部204によって描画対象とすべき画像データを、ROM207の画像データエリア207dから選択した後、その画像データを画像として表示したときのサイズを、縦方向(y方向)に1/2倍で、かつ横方向(x方向)に1/2倍で縮小し、すなわち画像の面積を1/4倍に縮小する場合について説明する。まず、中央制御部204によって、画像データエリア207d格納された画像データのうち、描画対象となる画像データを原画像データとして選択する。画像入力部201からインターネットなどの通信回線を経由して静止画像データを描画対象とすべき画像データとする場合については、処理対象となる画像データの取得経路が異なるのみであるので、説明を省略する。
【0074】
図8は、原画像の画像情報と、縮小処理によって縮小した画像の画像情報とを示す図である。中央制御部204は、まず単純拡大縮小方法によって縮小処理を行う。すなわち、縮小後のある座標点に対応する原画像の座標点を求め、原画像の色情報を縮小後の座標点の色情報としてRAM205に格納する。その後、中央制御部204は、原画像の座標x、座標yについて、それぞれ最小座標から最大座標に向けて走査し、不透明部分の画素と隣接する透明部分の画素を選び出す。そして中央制御部204は、原画像における微小領域を設定し、透明画素の上下左右方向に近接する4点中2点以上が同色であった場合、前記格納している色情報に代えて、透明画素の上下左右方向に近接する4点中2点以上が同色であったその色情報を設定することで実現する。
【0075】
前述したように補間処理または縮小処理を行った後、中央制御部204は、処理された画像を、画像バッファ205bに格納し、画像入力部201から入力される他の画像、たとえば動画像と重ね合わせる合成処理を行った後、合成処理された画像データをビデオメモリ205aに格納する。
【0076】
画像合成部103として機能する中央制御部204は、透過度合いを示す透過度値αを用いて以下の計算式(19)〜(21)によって、画像を合成する。ここでのαは、0〜255の値をとり、255は全透過、0は透過しないことを意味する。透過度値αは、画像合成制御プログラムに予め設定されるか、あるいは、操作部203から透過度値αに関する情報を入力することによって設定してもよい。座標(x,y)における出力画素情報のRGB値を(OR(x,y),OG(x,y),OB(x,y))とすると、(OR(x,y),OG(x,y),OB(x,y))は、合成前の画素(IR(x,y),IG(x,y),IB(x,y))、および、本手法によって拡大されたx,y座標に描画すべき画素(XR(x,y),XG(x,y),XB(x,y))から以下のように計算される。
OR(x,y)=α・IR(x,y)+(255−α)・XR(x,y) …(19)
OG(x,y)=α・IG(x,y)+(255−α)・XG(x,y) …(20)
OB(x,y)=α・IB(x,y)+(255−α)・XB(x,y) …(21)
【0077】
ビデオメモリ205aに格納された画像データは、たとえば液晶表示装置などの表示装置によって表示される。他の画像は、TV放送、ストリーミング放送の他、ユーザが任意に設定した背景画像であっても同様の処理が可能である。
【0078】
以上のような画像合成装置1では、単純かつ高速に、拡大または縮小された画像における違和感を低減して、前記画像と他の画像とを重畳して合成することができる。画像の拡大処理または縮小処理は、最近傍法に代表される単純な手法が適用され、原画像のうち、拡大または縮小後の画像の各画素の位置に相当する位置の近傍にある画素の色情報を取得し、拡大または縮小後の画素の色情報とする。特に拡大または縮小後の画像において、透明部分のうち、不透明部分と隣接する透明画素部分に対してのみ色情報の補正処理を行うため、全ての画素に対して補正処理を行う場合に比較して処理量が極めて小さくなる。
【0079】
さらに、特に絵文字画像など、大きさが変わることによって画像のデザインが変わってしまうと、ユーザが不自然さを感じる場合があるが、前述した予め定める微小領域に含まれる画素に基づいて、色情報の補正処理を行うことによって、この不自然さが生じてしまうことを解消あるいは低減することができる。また合成される他の画像が変化する場合であっても、ユーザに透明部分および不透明部分の境界におけるエッジ部分に発生する階段状のジャギー感を感じさせことを抑制して、拡大された画像と他の画像との合成が可能となる。
【0080】
また透明色を予め定義した色情報で表され、画素が透明であるのか不透明であるかの判定を行うことによって、画像データの容量削減を実現することができる。
【0081】
また上記の構成によって拡大または縮小された画像を、他の画像、たとえば動画像と重ね合わせる合成処理を行うことで、透明部分を含む画像、たとえばアイコン画像、絵文字画像などの高速な拡大または縮小処理を行い、かつ、合成画像を見るユーザに違和感および不自然さを感じさせずに、高速に画像合成を行うことができる。
【0082】
さらに高速かつ不自然さがない縮小および拡大を行えることから、アイコン画像、絵文字画像などのサイズバリエーションの多くを、機器のメモリに保持する必要がなくなり、機器のROMの容量の削減に繋がる。また、したがって電子機器2は、特に計算性能に制限がある携帯端末機器に有効に適用することができる。
【0083】
また画像合成装置1では、透過度値αを用いた合成処理を行うが、画像全体で透過度値αを1つ設定するだけでよく、各々の画素に透過度値αを設定する場合に比べて計算量を削減することができる。
【0084】
さらに、予め定める微小領域の大きさを変更することによって、直線の交差点における過剰な補間を防ぎ、拡大画像における外形を、原画像により忠実に表現することができる。
【0085】
また、本発明の他の実施の形態において前述した予め定める微小領域の大きさは、拡大倍率に応じて増減させてもよい。たとえば、前述の実施の形態において、予め定める微小領域の大きさを拡大倍率によって増減させる指令情報を操作部203から入力することによって、中央制御部204は予め定める微小領域の大きさを、拡大倍率に応じて増減させる構成としてもよい。拡大倍率の指示情報は、操作部203から入力される。たとえば、予め定める微小領域の一辺の長さをSとすると、Sの値を、縮小時は3に固定し、拡大時は下記のような式(22)によって予め定める微小領域を決定してもよい。
S=int(n)×2−1 …(22)
【0086】
なお「n」は、拡大率(1は等しい倍率)を表し、「int(a)」は、「a」の小数点以下を四捨五入し整数化した値を示す。また「n」は、2または3が好ましく、3倍程度を超える拡大を行う場合は、画質低下が著しく補正のメリットは少なくなる。
【0087】
このように予め定める微小領域の範囲を、拡大倍率に応じて設定することによって、より正確な補間が実現でき、ユーザに透明部分および不透明部分の境界におけるエッジ部分に発生する階段状のジャギー感を感じさせことをより抑制することができる。
【0088】
また、本発明の実施のさらに他の形態においては、拡大倍率に応じて補正を行う基準を変更してもよい。たとえば、前述の実施の形態において、拡大倍率に応じて補正を行う基準を変更する指令情報を操作部203から入力することによって、中央制御部204は拡大倍率に応じて補正を行う基準を変更する構成としてもよい。拡大倍率の指示情報は、操作部203から入力される。具体的には拡大倍率が2倍を除く倍率の場合には、注目画素の近傍8画素のうち5画素が同じ色情報を有することを判定基準として用いる。一方、拡大倍率が2倍のとき、注目画素の8近傍の画素ではなく、8近傍の画素のうち注目画素から見て上下左右(縦および横方向)の画素を除いた残りの4画素のみを対象にして、この4画素のうち3画素が同じ色情報を有する場合は補間を行うように判定基準を変更する。このことによって判定に用いる画素が少なくなるので、メモリへのアクセス時間が減り処理の高速化が実現できる。
【0089】
また、本実施の実施のさらに他の形態においては、予め定める微小領域の縦および横の範囲は、相互に隣接する透明画素と不透明画素との変化の方向と、拡大倍率とによって、定義してもよい。横方向(x方向)が主走査方向の場合、横方向の予め定める微小領域の幅Sx、縦方向に含まれる微小領域の幅Syは以下の式(23)〜(26)のように定義できる。
透明画素と不透明画素とが横方向に変化した場合は、
Sx=int(n)×2−1 …(23)
Sy=max((int(n)×2−3),3) …(24)
透明画素と不透明画素とが縦方向に変化した場合は、
Sx=int(n)×2−1 …(25)
Sy=max((int(n)×2−3),3) …(26)
【0090】
ここで、「max(a,b)」は、「a」と「b」とのうち、大きい方の値を示している。なお「n」は、拡大率(1は等しい倍率)を表し、「int(a)」は、「a」の小数点以下を四捨五入し整数化した値を示す。
【0091】
ただし、特定倍率(2倍以下)かつ特定の規則(注目画素の8近傍のうち5画素の色情報が同一)の場合は、原画像の主走査方向に透明画素と不透明画素とが変化する場合のみを考えればよい。これは上記補間処理の予め定める規則に適合する画素は、原画像において、主、副のいずれの走査方向にも変化しているからである。
【0092】
次に、本発明の実施の他の形態の画像合成装置について説明する。本実施の形態の画像合成装置の構成は、前述した画像合成装置1の構成と同様であるので、同様の構成には同様の参照符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。本実施の形態の画像合成装置では、画像サイズ調整手段および前記画像補正手段である画像処理部107が、前記圧縮された画像データに対して一連の連続した処理を行って、圧縮前の画像データに展開する。
【0093】
図9は、本実施の形態の画像処理部107における処理を説明する図である。図9(1)は、原画像の画像データの画像情報を示す図である。本実施の形態例においては、図9(1)で表される縦方向(y方向)が6画素(ピクセル)であり、横方向(x方向)が13画素(ピクセル)であり、1画素あたり3バイトのRGBの色成分情報を持つ原画像を、縦方向に2倍で、かつ横方向に2倍し、すなわち全体を4倍に拡大する場合について説明する。
【0094】
図9(2)は、原画像の画像データを、色成分情報とランレングスによって圧縮した例を示す図である。図9(2)では、データ部分は16進数で表記し、バイト境界は「,」で表記している。ここで4バイトが1セットのデータとなっており、最初の3バイトがそれぞれRGBの色成分情報であり、残る1バイトがその色の連続ビット数である。この例では、原画像の容量は234バイト(6×13×3)に対し、圧縮後は、104バイトに圧縮されている。本来は画像の大きさ(この例では縦方向に6ピクセルで、かつ横方向に13ピクセル)の情報を別途保持する必要があるが、図9では省略している。また図9において、黒塗り四角(■)は[R=0,G=255,B=0](不透明)の画素を表し、黒丸(●)は[R=255,G=0,B=255](不透明)の画素を表し、黒塗り菱形(◆)は[R=255,G=0,B=0](不透明)の画素を表し、白抜き四角(□)は透明色(透過色)の画素を表す。
【0095】
図9(3)〜(6)は、圧縮された画像の展開、拡大、補間の一連の処理を説明する図である。本実施の形態の画像合成装置では、原画像の横方向の1ライン分の画像データを格納できる第1バッファ11および第2バッファ12と、拡大描画用バッファ13とを備えている。第1バッファ11および第2バッファ12は、画像バッファ部108に含まれ、また画像バッファ205bまたはワークバッファ205cに設けられ、拡大描画用バッファ13は、画像バッファ205bに設けられる。
【0096】
図9(3)で示すように、画像処理部107は、まず、原画像の圧縮データの色情報とランレングス情報とに基づいて、第1バッファ11に展開する。次に第1バッファ11に展開された原画像データをx方向に2倍して、矢符F3で示すように拡大描画用バッファ13に原画像の1画素あたり2画素ずつx方向に沿って順番にコピーしていく。このようにしてx方向に2倍に拡大された1ライン分の画像を生成する。
【0097】
このとき、原画像の第1ラインと展開画像の第1ラインとは、1:1で対応しているため、不透明画素との境界にある透明画素の補間処理は行わない。また、拡大描画用バッファ13に他の画像が存在し、これに合成して描画する場合は、第1バッファ11における色成分情報が透明色か否かを判定し、透明色であれば、元画素の色成分情報をコピーしない、すなわち描画しない処理とすることも可能である。
【0098】
次に、図9(4)で示すように、原画像の第2ラインを第2バッファ12に展開した後、第1バッファ11に展開された原画像データに基づいて、図9(3)に示す処理と同様にx方向に2倍に拡大して拡大描画用バッファ13に格納していく。この処理において、格納する画素が透明画素から非透明画素に変化したとき、透明画素と不透明画素との境界部分において、図示した注目画素Gを中心とし、透明画素を含み縦×横が仮想的に3×3画素となるような仮想の3×3マスク14を想定し、検索対象画素の色成分、すなわち注目画素Gの8近傍の各画素の色成分を調べ、同一の色成分が5画素あれば、注目画素Gの色成分情報を前記同一の色成分の5つの画素と同一の色成分情報に変更し、補間を行う。仮想の3×3マスク14によって規定される領域が、予め定める微小領域である。
【0099】
図9(4)に示されるように、x方向の左から右に向かう方向で、透明画素から不透明画素に変化する部分において補間処理を行い、不透明画素から透明画素に変化した部分については、仮想の3×3マスクに含まれる注目画素の8近傍について、同一の色成分の画素数が条件に満たないので、補間処理は行わない。
【0100】
続いて、図9(5)に示されるように、第2バッファ12の内容を第1バッファ11にコピーし、第1バッファ11に基づいて、図9(3)に示す処理と同様にx方向に2倍に拡大して拡大描画用バッファ13に格納していく。この例では、補間処理の条件を満たす場合はないので、補間処理は行われない。
【0101】
さらに、図9(5)に示されるように、原画像の第3ラインを第2バッファ12に展開し、第1バッファ11に展開された原画像データに基づいて、図9(3)に示す処理と同様にx方向に2倍に拡大して、補間の条件を満たす場合は、補間処理を行う。
【0102】
以上の処理を繰り返して、圧縮された画像データの展開処理、拡大処理および補間処理を分割不可能な一連の処理として行う。
【0103】
このように、原画像の2ライン分を格納した第1および第2バッファ11,12の画像情報から、原画像の2倍の画像情報、すなわち拡大画像の4ライン分の画像情報を求めることが可能である。すなわち第1バッファ11に格納された原画像の第nラインの各画素の情報から、拡大画像の2nラインと2n+1ラインとの各画素の情報が計算でき、第2バッファ12に格納された原画像のn+1ラインの各画素の情報から、拡大画像の2(n+1)ラインと2(n+1)+1ラインとの各画素の情報が計算できる。したがって、拡大後の2n〜2n+2ライン、2n+1〜2n+3ラインのいずれの場合であっても、仮想の3×3マスクの微小領域の画素の情報を求めることができる。
【0104】
以上によって、展開バッファは原画像の2行分のみで、すなわち第1および第2バッファ11,12だけで、画像の展開と補間を行うことができ、処理速度に影響を与えることなく、画像の展開に必要なワークメモリの領域を削減することで、機器に搭載するRAMの容量を削減可能である。また、処理が簡便で高速なこととあいまって、画像処理専用のハードウェアを必要とせずに、ソフトウェアを用いて高速な処理を行うことが可能である。
【0105】
また処理時間の違いは機器構成に依存するが、計算量としては、補間時の画像読み出し分、すなわち、拡大後の画像サイズ分のメモリアクセスの時間が増加する。たとえば、一例として1000ピクセル×1000ピクセルの画像を2倍に拡大する処理を、Peintium4(R)3.40GHz、MEM:2GB FreeBSD6.2R/gcc−3.4.6を用いて行い、その処理時間を測定すると、拡大処理の後に補間処理を行った場合には、処理時間が0.894msとなり、本実施の形態のように拡大処理を行いながら補間処理を行った場合には、処理時間が0.773msとなった。したがって、処理時間が約0.86倍となり、処理時間が短くなっていることがわかる。
【0106】
また前記補間処理では、注目画素の8近傍の全てを検索対象画素として色成分を調べるのではなく、拡大画像におけるライン(y座標)と、透明画素および不透明画素の変化の向きとによって、注目画素の8近傍のうちの一部を検索対象画素として予め設定しておくことで、検索対象画素の色成分を調べる計算量の削減が可能であり、補間処理にかかる時間を低減することができる。
【0107】
図10は、検索対象画素が予め設定された、縦横2倍拡大時の仮想の3×3マスクを示す図である。図10において、黒塗り四角(■)は検索対象画素を表し、白丸(○)は、注目画素を表し、白抜き四角(□)は検索除外画素を表す。図10(1)は、拡大画像における第(2n)ライン(nは、自然数)の注目画素に用いられ、x方向の左から右に向かう方向で透明画素から不透明画素に変化する場合に用いられる仮想の3×3マスクを示す。図10(2)は、拡大画像における第(2n)ラインの注目画素に用いられ、x方向の左から右に向かう方向で不透明画素から透明画素に変化する場合に用いられる仮想の3×3マスクを示す。図10(3)は、拡大画像における第(2n+1)ラインの注目画素に用いられ、x方向の左から右に向かう方向で透明画素から不透明画素に変化する場合に用いられる仮想の3×3マスクを示す。図10(4)は、拡大画像における第(2n+1)ラインの注目画素に用いられ、x方向の左から右に向かう方向で不透明画素から透明画素に変化する場合に用いられる仮想の3×3マスクを示す。すなわちこれらの図10に示すマスクが用いられる場合には、黒塗り四角(■)の部分の色成分のみを調べることになる。したがって色成分情報を調べなければならない探査対象画素が各々5画素だけになり、前述した近傍8の画素の全て探索対象画素とする場合に比べて、メモリアクセスおよび色成分情報の比較回数が削減され、合計の計算量を低減することができる。
【0108】
また、前述したような仮想のマスクに予め検索対象画素を設定しておく方法は、原画像を4倍に拡大するとき以外にも応用可能であり、たとえば縦方向に3倍で、かつ横方向に3倍し、すなわち全体で9倍に拡大する場合についても、同様にして適用することができる。
【0109】
図11は、検索対象画素が予め設定された、縦横3倍拡大時の仮想の4×4マスクを示す図である。図11において、黒塗り四角(■)は検索対象画素を表し、白丸(○)は、注目画素を表し、白抜き四角(□)は検索除外画素を表す。図11(1)は、拡大画像における第(3n)ライン(nは、自然数)の注目画素に用いられ、x方向の左から右に向かう方向で透明画素から不透明画素に変化する場合に用いられる仮想の4×4マスクを示す。図11(2)は、拡大画像における第(3n)ラインの注目画素に用いられ、x方向の左から右に向かう方向で不透明画素から透明画素に変化する場合に用いられる仮想の3×4マスクを示す。図11(3)は、拡大画像における第(3n+1)ラインの注目画素に用いられ、x方向の左から右に向かう方向で透明画素から不透明画素に変化する場合に用いられる仮想の4×4マスクを示す。図11(4)は、拡大画像における第(3n+1)ラインの注目画素に用いられ、x方向の左から右に向かう方向で不透明画素から透明画素に変化する場合に用いられる仮想の4×4マスクを示す。すなわちこれらの図11に示すマスクが用いられる場合には、黒塗り四角(■)の部分の色成分のみを調べることになる。
【0110】
縦方向および横方向をそれぞれ3倍に拡大する場合、原画像を2ライン分格納した第1バッファ11および第2バッファ12の画像情報から、拡大画像における2ラインの3倍すなわち6ライン分の画像情報が抽出可能である。したがって、仮想の4×4マスクの微小領域については、拡大後の画像の4ライン分の情報があれば求めることが可能であり、拡大画像の6ライン分の情報があれば、1〜4ライン、2〜5ライン、3〜6ラインの全ての場合の4ライン分の色情報が抽出可能ある。図11のようなマスクを設定し、検索対象画素の色画素成分の同一性を検査し、同一の色画素成分を持つ画素が規定数、本例では5を超えると、補間することで、原画像についての2行分のバッファで、画像の展開、拡大および補間を行うことが可能である。
【0111】
次に、本発明の実施のさらに他の形態の電子機器について説明する。本実施の形態の電子機器は、前述した電子機器2の構成と同様であるので、同様の構成には同様の参照符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。本実施の形態の電子機器は、通信を介して電子メールなどのメッセージ情報を受信可能なメッセージ受信機器である。メッセージ情報を送信する電子機器は、従来からのPC(パーソナルコンピュータ)および携帯電話機などの通信機能をもつ機器であれば構成を問わない。
【0112】
まず、メッセージ送信者は、自ら作成あるいは編集した画像を含む電子メッセージ(メッセージ情報)を作成し、通信機能を持つ機器を用いて作成した前記電子メッセージを送信する。送信された電子メッセージは、インターネットなどの通信回線を経由して本実施の形態の電子機器に配送される。この配送方法は、例えばSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)による電子メール配送プロトコルを利用するとよい。ただし、このとき電子メッセージの作成方法、通信方法はどのような方法であっても、本実施の形態に影響はない。その他プログラムエリア207eには、文字フォントが格納されている。
【0113】
前記プロトコルによって配信された電子メッセージは、図1における画像信号制御部105において、文字コード列、画像データ、および作成時文字表示サイズ情報に分離する。SMTPプロトコルを用いた電子メールの場合は、電子メールのヘッダー部に下記のような1行を追加するとよい。
X−fontsize:16dot
【0114】
ここで「dot」単位で表記したのは、画像は一般に「dot」単位で扱われているため、文字フォントのサイズで一般的に用いられているポイントあるいはパイカに比べて、文字フォントのサイズと画像のサイズの比率を正確に表現できるからである。
【0115】
このようにして受け取った文字コード列を、画像処理部107は、受信ユーザが予め指定しておいた文字フォントサイズで、指定のフォントサイズに応じた画像サイズになるように画像を拡大または縮小する。具体的には、拡大率Lを下記の式(27)で求める。拡大率Lが1未満の場合は縮小を意味している。
拡大率L=表示フォントサイズ(dot)/作成時フォントサイズ …(27)
【0116】
たとえば、作成時フォントサイズは、上記ヘッダーの例のように16dotであり、表示フォントサイズが32dotであれば、拡大率Lは2となる。
【0117】
このようにして求めた拡大率を用いて、前述した各実施の形態のいずれかで示される拡大または縮小処理を行った後、画像合成部103において任意の背景画像と合成し、表示部202である液晶表示パネルに合成した画像を表示する。
【0118】
以上のような構成によって、作成者が意図した大きさの画像を、適切に表示部202に表示することが可能となる。
【0119】
図12(1)は、メッセージ作成者の電子機器において電子メッセージを表示した画面を示す図であり、小さな画面上で小さなフォントを用いてメッセージを作成している例を示している。図12(2)は、メッセージ受信者の電子機器において前記電子メッセージを表示した画面を示す図であり、メッセージを受け取った電子機器において、画面に合わせて大きな文字フォントを用いたが、画像の拡大処理を行わなかった場合の例を示している。図12(3)は、メッセージ受信者の電子機器であって、本実施の形態の電子機器において前記電子メッセージを表示した画面を示す図である。
【0120】
電子機器では、各機種毎にあった大きさの文字フォントを内蔵しており、文字フォントの大きさの変更はなんら支障がない。しかしながらユーザ自身が作成したオリジナルの画像など、各機種間で共通に保持していない画像については共通の情報がなく、たとえば画像と文字コード列からなる電子メッセージが送られてきた場合、元のデザインを示す情報がなければ、図12(2)に示すように送信者が意図したデザインで再現されないことが多い。本実施の形態の電子機器では、ある作成者が作成した透過色を含む画像を他の利用者の電子機器において受信して表示する場合、作成者と解像度の異なる電子機器を持つ利用者が、たとえ受け取った画像を拡大または縮小して表示を行ったとしても、本来の作成者のイメージを崩さずに、メッセージ作成者意図通りに表示させることができる。これによって、利用者間のコミュニケーションを円滑に行うことができるようになるという効果を達成することができる。また拡大率を表わす情報、あるいはフォントサイズと、画像サイズを表す情報とが電子メッセージに付与されて送られ、電子機器において受信される場合においても、本方式を適用することが可能である。
【0121】
また本発明の実施の一形態のプログラムは、前述したROM207に記憶される各種プログラムのうち、画像合成制御プログラムおよび画像処理制御プログラムを少なくとも含み、コンピュータを、前述した画像合成装置として機能させる。これらのプログラムは、コンピュータの記憶装置たとえば半導体メモリあるいはハードディスク装置などの記憶装置に記憶されているが、これらの記憶装置に限定されるものではなく、コンピュータで読取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。記録媒体は、たとえば図示しない外部記憶装置としてプログラム読取装置を設け、そこに記録媒体を挿入することによって読取り可能な記録媒体であってもよいし、あるいは他の装置の記憶装置であってもよい。いずれの記録媒体であっても、記憶されているプログラムがコンピュータからアクセスされて実行される構成であればよい。
【0122】
本体と分離可能に構成される記録媒体は、たとえば磁気テープ/カセットテープなどのテープ系の記録媒体、フレキシブルディスク/ハードディスクなどの磁気ディスクもしくはCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)/MO(Magneto Optical disk)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disk)などの光ディスクのディスク系の記録媒体、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを含む)/光カードなどのカード系の記録媒体、またはマスクROM/EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)/EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)/フラッシュROMなどの半導体メモリを含む固定的にプログラムを担持する記録媒体であってもよい。したがって、本発明は、コンピュータに部品情報表示方法の各ステップを実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として提供することができる。
【0123】
尚、ここまで挙げた実施形態における内容は、本発明の主旨を変えない限り、上記記載に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の実施の一形態である画像合成装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】画像合成装置1を含んで構成される電子機器2の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】注目画素を中心とした予め定める微小領域に含まれる画像情報の一例を示す図である。
【図4】注目画素を中心とした予め定める微小領域に含まれる画像情報の一例を示す図である。
【図5】拡大前の原画像の画像情報と、拡大画像の画像情報とを示す図である。
【図6】Nが3および5に選ばれたときの補間処理の結果を示す図である。
【図7】画像合成装置1において、原画像を、この原画像の縦方向の長さを2倍、横方向の長さを2倍にし、面積が4倍となる画像に拡大し、補間処理を行った画像を示す。
【図8】原画像の画像情報と、縮小処理によって縮小した画像の画像情報とを示す図である。
【図9】本実施の形態の画像処理部107における処理を説明する図である。
【図10】検索対象画素が予め設定された、縦横2倍拡大時の仮想の3×3マスクを示す図である。
【図11】検索対象画素が予め設定された、縦横3倍拡大時の仮想の4×4マスクを示す図である。
【図12】メッセージ作成者の電子機器において電子メッセージを表示した画面を示す図と、メッセージ受信者の電子機器において前記電子メッセージを表示した画面を示す図である。
【図13】従来の技術による画像の拡大処理を説明する図である。
【図14】従来の技術を用いて画像の縮小処理を説明する図である。
【符号の説明】
【0125】
1 画像合成装置
2 電子機器
11 第1バッファ
12 第2バッファ
13 拡大描画用バッファ
101 動画信号制御部
102 動画生成部
103 画像合成部
104 画像出力部
105 画像信号制御部
106 画像選択部
107 画像処理部
108 画像バッファ部
109 画像格納部
110 第1入力端子
111 第2入力端子
112 出力端子
207a 入力画像制御プログラムエリア
207b 画像合成制御プログラムエリア
207c 画像処理制御プログラムエリア
207d 画像データエリア
207e 他プログラムエリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明部分および不透明部分を含む画像に対し、拡大または縮小処理を行う画像サイズ調整手段と、
拡大処理後または縮小処理前の画像における透明部分のうち不透明部分と隣接する画素に対して、この画素を中心として、拡大処理後または縮小処前の画像における透明部分の画素を含む予め定める微小領域に含まれる画素に基づいて、拡大または縮小処理後の画素における色情報の補正処理を行う画像補正手段と、
前記画像補正手段によって補正された画像、および他の画像を合成する画像合成手段とを含むことを特徴とする画像合成装置。
【請求項2】
前記画像補正手段は、前記予め定める微少領域を、前記透明画素部分に含まれる補正処理の対象となる画素に関して、この画素を囲む所定の領域の画素を含むように選ぶことを特徴とする請求項1に記載の画像合成装置。
【請求項3】
前記画像補正手段は、前記予め定める微少領域を、拡大または縮小の倍率に応じて選ぶことを特徴とする請求項1または2に記載の画像合成装置。
【請求項4】
前記画像補正手段は、拡大または縮小の倍率に応じて、前記補正処理を行う基準を変更することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像合成装置。
【請求項5】
透明部分の画素を予め定義した色情報で表し、
前記画像補正手段は、前記色情報に基づいて透明部分の画素であるか、または不透明部分の画素であるかを判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像合成装置。
【請求項6】
前記画像補正手段は、前記予め定める微少領域とすべき領域に関する領域情報を複数有し、相互に隣接する透明部分の画素および不透明部分の画素が変化する方向と、拡大処理の倍率とに応じて、前記複数の領域情報のうちのいずれかを選択して、選択された領域情報に関する領域を、予め定める微小領域とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像合成装置。
【請求項7】
画像データを格納する画像格納部を含み、
画像サイズ調整手段は、前記画像格納部に格納されている画像データに対して、拡大または縮小処理を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の画像合成装置。
【請求項8】
前記画像格納部には、圧縮された画像データが格納され、
前記画像サイズ調整手段および前記画像補正手段が、前記圧縮された画像データに対して一連の連続した処理を行って、圧縮前の画像データに展開することを特徴とする請求項7に記載の画像合成装置。
【請求項9】
前記画像格納部に格納された画像データは、機器の状態または操作ボタンを示すアイコン画像として表示される画像データを含むことを特徴とする請求項7または8に記載の画像合成装置。
【請求項10】
前記画像格納部に格納された画像データは、絵文字画像として表示される画像データを含むことを特徴とする請求項7または8に記載の画像合成装置。
【請求項11】
通信回線に接続され、前記拡大縮小処理手段によって拡大または縮小処理の対象となる画像データを、前記通信回線を経由して取得する通信手段を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の画像合成装置。
【請求項12】
前記通信手段は、画像、文字コードおよびメッセージ作成時における文字フォントの表示サイズに関する情報を取得し、
前記画像サイズ調整手段は、前記通信手段によって取得された情報に基づいて、メッセージ作成時における画像と文字との比率を維持するように拡大または縮小処理における倍率を決定することを特徴とする請求項11に記載の画像合成装置。
【請求項13】
前記画像合成手段は、前記画像補正手段によって補正された画像を、透過度合いを示す透明度値に応じて合成することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項14】
透明部分および不透明部分を含む画像に対し、拡大または縮小処理を行う画像処理工程と、
拡大または縮小処理が行われた後の画像における透明部分のうち不透明部分と隣接する画素に対して、この画素を中心として、拡大または縮小処理が行われた後の画像における透明部分の画素を含む予め定める微小領域に含まれる画素に基づいて、色情報の補正処理を行う画像補正工程と、
補正処理が行われた後の画像、および他の画像を合成する画像合成工程とを含むことを特徴とする画像合成方法。
【請求項15】
コンピュータを、請求項1〜13のいずれか1つに記載の画像合成装置として機能させるためのプログラム。
【請求項16】
請求項15記載のプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−94902(P2009−94902A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−264921(P2007−264921)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】