説明

画像形成システム、ホストコンピュータ及び画像形成プログラム

【課題】 エラーを分析・記録しておくことによって、印刷の際、所定の場合には印刷データの形式を変更する制御によって、同様のエラー発生を防止する。
【解決手段】 プリンタ10は、受信した印刷データに基づき印刷処理を行う出力部106と、エラー発生に応じてエラー情報作成部109が生成したエラー情報を送信するエラー制御部108と、を備え、ホストPC20は、生成した描画命令を所定PDLに変換して印刷データを生成するプリンタドライバ203と、印刷データをプリンタ10に送信する手段と、受信したエラー情報に基づき印刷データを抽出するエラー情報分析部208と、抽出した印刷データ情報を格納するエラーデータベース211と、を備え、生成した描画命令と同一形式の印刷データ情報がエラーデータベース211において格納されている場合、対象となる描画命令部分を他のPDLに変換して印刷データを生成するようにしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホストコンピュータと画像形成装置とからなる画像形成システムに関し、より詳しくは、エラーを分析し、その内容を記録しておくことにより、後に同様のエラーが画像形成装置において発生しないようにした画像形成システム関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、装置やシステム等において障害等による不具合が発生した場合は、その内容が記録されたエラーログを解析し、原因を究明したうえで障害等の復旧や再発の防止に当たることが有効とされている。
しかしながら、このような作業のほとんどは技術者等によって人的に行われ、正確性、経済性に欠けることから、従来よりその合理化が求められてきた。
そこで、所定のエラーログに基づいてプログラムの書き換えやシステム設定の変更を行うファクシミリ装置や、印刷装置毎のエラー発生情報履歴に基づき算出されたエラー頻度によって印刷データの出力制御を行う印刷制御装置が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−233909号公報(第1−4頁、第1図)
【特許文献2】特開平11−24854号公報(第1−2頁、第6図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているファクシミリ装置においては、プログラムの書き換えを行う際、問題の解析やプログラムの作成・修正に時間がかかるだけでなく、新たなプログラムに対する検証のために更に時間を要することがあるため、緊急の場合には対応できず、不便である。また、新たなプログラムやシステム設定データをインストールすることによってプログラムの書き換えやシステム設定の変更を行うようになっているが、その内容が具体的に示されておらず現実的でない。
また、特許文献2に記載の印刷制御装置においては、エラー頻度に応じた印刷装置の優先制御を行っているにすぎず、エラー発生に対する根本的な解決策にはなっていない。
【0005】
本発明は、以上のような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、画像形成装置におけるエラーを分析し、記録しておくことによって、印刷の際、所定の場合には印刷データの形式を変更してエラーの再発を防止し、安定した印刷処理を実現する画像形成システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成システムは、請求項1に記載するように、ホストコンピュータと画像形成装置とを有する画像形成システムであって、前記画像形成装置は、前記ホストコンピュータから印刷データを受信する印刷データ受信手段と、受信した前記印刷データに基づき印刷処理を行う印刷実行手段と、前記印刷処理に関連するエラー発生に応じて所定のエラー情報を生成するエラー情報生成手段と、生成された前記エラー情報を前記ホストコンピュータに送信するエラー情報送信手段と、を備え、前記ホストコンピュータは、各種アプリケーションの実行に応じ描画命令を生成する描画命令生成手段と、生成された前記描画命令を所定のページ記述言語に変換して印刷データを生成する印刷データ生成手段と、生成された前記印刷データを前記画像形成装置に送信する印刷データ送信手段と、前記画像形成装置から前記エラー情報を受信するエラー情報受信手段と、受信した前記エラー情報に基づき、少なくともそのエラーに関する印刷データを抽出するエラー情報分析手段と、抽出された前記印刷データの情報を格納するエラー情報格納手段と、前記エラー情報格納手段に格納されている印刷データが生成された場合、その元となる描画命令の部分を前記ページ記述言語とは異なる他のページ記述言語に変換して印刷データを生成させる印刷制御手段と、を備えた構成としてある。
【0007】
このような構成からなる本発明の画像形成システムによれば、画像形成装置におけるエラーログをホストコンピュータ側で保存しておき、過去に発生したエラーと同様の不具合が生じないように印刷データの生成を制御するようにしてある。
すなわち、本システムにおいては、通常、描画命令を一律に所定のページ記述言語に変換して印刷データを生成するようにしているが、過去にエラーを発生したところの印刷データと同一形式の印刷データが生成された場合には、その元となる描画命令の部分をあらためて他のページ記述言語に変換して印刷データを生成し、画像形成装置に出力するようにしている。
このため、画像形成装置におけるエラーの再発を効果的に防ぐことができ、信頼性及び利便性に優れた画像形成システムを実現することが可能である。
【0008】
特に、本発明の画像形成システムは、請求項2に記載するように、前記ホストコンピュータは、画像形成装置が処理可能な一以上のページ記述言語を予め登録するプリンタ情報管理手段を更に備え、前記印刷制御手段は、前記印刷データ生成手段によって生成された印刷データのページ記述言語が、前記プリンタ情報管理手段によって登録されていない場合、対象となる描画命令を前記プリンタ情報管理手段に登録されている他のページ記述言語に変換して印刷データを生成させるようにしてある。
【0009】
このように本発明の画像形成システムによれば、画像形成装置が処理可能なページ記述言語を予めホストコンピュータに登録しておくようにしている。そして、印刷処理の際、事前にその登録内容を参照することでエラー発生を事前に察知し、的確なページ記述言語に変換するようにしている。
例えば、画像形成装置が処理可能なページ記述言語としてはプリスクライブ(登録商標)のみであり、ホストコンピュータから通常出力されるページ記述言語がポストスクリプト(登録商標)と設定されてある場合には、画像形成装置側でエラーが発生する可能性が高いため、予めホストコンピュータ側で変換に用いるページ記述言語をプリスクライブ(登録商標)に変更して印刷データを生成するようにする仕組みである。
このため、ホストコンピュータが出力するページ記述言語と、画像形成装置が処理しうるページ記述言語との不一致によるエラー発生を極めて少なくすることができ、画像形成装置における安定した印刷処理を実現し、高い信頼性・拡張性を発揮することが可能である。
【0010】
また、本発明のホストコンピュータは、請求項3に記載するように、画像形成装置に対し印刷データを出力するホストコンピュータであって、各種アプリケーションの実行に応じ描画命令を生成する描画命令生成手段と、生成された前記描画命令を所定のページ記述言語に変換して印刷データを生成する印刷データ生成手段と、生成された前記印刷データを前記画像形成装置に送信する印刷データ送信手段と、前記画像形成装置から所定のエラー情報を受信するエラー情報受信手段と、受信した前記エラー情報に基づき、少なくともそのエラーに関する印刷データを抽出するエラー情報分析手段と、抽出された前記印刷データの情報を格納するエラー情報格納手段と、前記エラー情報格納手段に格納されている印刷データが生成された場合、その元となる描画命令の部分を前記ページ記述言語とは異なる他のページ記述言語に変換して印刷データを生成させる印刷制御手段と、を備えた構成としてある。
【0011】
このように本発明は、上述したシステム発明だけでなく、ホストコンピュータ単体として提供することによって様々な画像形成装置をその機種等を問わず使用することができるようになる。
したがって、利用者にとって使いやすく、汎用性および拡張性に優れた画像形成システムを実現し、提供することが可能である。
【0012】
また、本発明の画像形成プログラムは、請求項4に記載するように、ホストコンピュータと画像形成装置とから構成される画像形成システムとして提供させるためのプログラムであって、前記画像形成装置を構成するコンピュータを、前記ホストコンピュータから印刷データを受信する印刷データ受信手段、受信した前記印刷データに基づき印刷処理を行う印刷実行手段、前記印刷処理に関連するエラー発生に応じて所定のエラー情報を生成するエラー情報生成手段、生成された前記エラー情報を前記ホストコンピュータに送信するエラー情報送信手段、として機能させるとともに、前記ホストコンピュータを、各種アプリケーションの実行に応じ描画命令を生成する描画命令生成手段、生成された前記描画命令を所定のページ記述言語に変換して印刷データを生成する印刷データ生成手段、生成された前記印刷データを前記画像形成装置に送信する印刷データ送信手段、前記画像形成装置から前記エラー情報を受信するエラー情報受信手段、受信した前記エラー情報に基づき、少なくともそのエラーに関する印刷データを抽出するエラー情報分析手段、抽出された前記印刷データの情報を格納するエラー情報格納手段、前記エラー情報格納手段に格納されている印刷データが生成された場合、その元となる描画命令の部分を前記ページ記述言語とは異なる他のページ記述言語に変換して印刷データを生成させる印刷制御手段、として機能させるためのプログラムとしてある。
【0013】
このように本発明はプログラムとしても実現化することができる。
これにより、パーソナルコンピュータ等の情報処理端末のみならず、デジタルカメラやイメージスキャナ等の描画処理機能を備えた様々なハードウェアにプログラムをインストールすることによって本発明を実現することができ、汎用性,拡張性に優れた画像形成プログラムとして提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明の画像形成システムによれば、画像形成装置において過去に発生したエラーの再発を効果的に防ぎ、信頼性及び利便性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について図1〜図8を参照して説明する。
ここで、以下に示す本実施形態の画像形成システムは、プログラム(ソフトウェア)の命令によりコンピュータで実行される処理,手段,機能によって実現される。プログラムは、コンピュータの各構成要素に指令を送り、以下に示すような所定の処理・機能を行わせる。すなわち、本実施形態の画像形成システムにおける各処理・手段は、プログラムとコンピュータとが協働した具体的手段によって実現される。
なお、プログラムの全部又は一部は、例えば、磁気ディスク,光ディスク,半導体メモリ,その他任意のコンピュータで読取り可能な記録媒体により提供され、記録媒体から読み出されたプログラムがコンピュータにインストールされて実行される。また、プログラムは、記録媒体を介さず、通信回線を通じて直接にコンピュータにロードし実行することもできる。
【0016】
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る画像形成システムを形成するプリンタ及びホストPCの機能構成を示すブロック図である。
これらの図に示すとおり、本実施形態の画像形成システム1は、プリンタ10及びホストPC20によって構成されており、ホストPC20から送信された印刷データをプリンタ10が受信して所定の記録媒体に印刷する仕組みとなっている。
なお、これら各装置間は有線・無線等によって直接接続される他、インターネット、LAN等、所定のネットワークを介して接続される形態であっても良い。
【0017】
まず、プリンタ10の構成について図1を参照しながら説明する。
プリンタ10は、特許請求の範囲に記載するところの画像形成装置に相当するものである。
通信インタフェース101は、ホストPC20との間で通信を行うためのインタフェースであり、本インタフェースを介して、印刷データやエラー情報の送受信が行われる。
データ受信部102(印刷データ受信手段)は、通信インタフェース101を介して印刷データを受信するものである。
【0018】
データ解析部103は、データ受信部102によって受信したデータの解析を行うものであり、具体的には、受信した印刷データを抽出し、描画データ処理部104に受け渡して描画処理を行わせる。
描画データ処理部104は、データ解析部103からの印刷データに基づいて中間形式の処理命令(ディスプレイリスト)を生成するものである。
描画部105は、描画データ処理部104によって生成されたディスプレイリストをビットマップデータに変換し、VRAM等の記憶媒体に保持させるものである。
出力部106は、描画部105によってビットマップ化されたデータに基づいて記録媒体に印刷を行うものである。
なお、特許請求の範囲に記載する印刷実行手段は、上述のデータ解析部103、描画データ処理部104、描画部105及び出力部106が連続的又は相互的に作用することによって実現されるものである。
【0019】
システム制御部107は、装置全体の共有情報を管理し、各構成部の制御を行うものである。
エラー制御部108は、エラーが発生した場合に必要な処理を行うものであり、例えば、エラー発生に伴う実行処理の停止、停止後の立ち上げに伴う初期化、メモリ開放等を行う。また、エラー情報作成部109に対するエラー情報の作成依頼や、作成されたエラー情報をホストPC20に送信する処理(エラー情報送信手段)もエラー制御部108により制御される。
【0020】
エラー情報作成部109(エラー情報作成手段)は、エラー発生時、各部(データ解析部103,描画データ処理部104,描画部105等)に問い合わせてエラーに関する様々な情報を抽出し所定のエラー情報を作成するものである。
具体的には、エラーが発生したと思われる印刷データのページ記述言語(以下、PDLという。)、その印刷データを特定するためのIDやエラーの種類、エラー発生場所、エラーが発生したときのプリンタの状態等が抽出され、エラー情報が作成される。例えば、図7は、座標上の点(0,0)と点(100,100)を対角の点に持つ矩形を塗り潰す旨の印刷データを処理する際に発生したエラーに関して作成されたエラー情報の例を示したものであり、エラー発生に関するPDLとしてはPostScriptが特定された様子を表している。
【0021】
次に、ホストPC20の構成について図2を参照しながら説明する。
ホストPC20は、特許請求の範囲に記載するところのホストコンピュータに相当するものである。
アプリケーション201は、ホストPC20上で動作するワードプロセッサやスプレッドシート等のアプリケーションプログラムが格納され動作するものである。
グラフィックスライブラリ202は、ホストPC20上のOSがサポートしているグラフィックス関係のモジュールを示すものであり、アプリケーション201で作成された図形等は、グラフィックスライブラリ202を介して所定の描画命令が生成され(描画命令生成手段)、プリンタドライバ203に出力される。
【0022】
プリンタドライバ203は、グラフィックスライブラリ202から送られてきた描画命令を予め設定されたPDLに変換して印刷データを生成するものである(印刷データ生成手段)。例えば、図6は、座標上の点(0,0)と点(100,100)を対角点とする矩形を塗り潰す命令を表した例であり、左部に描画命令を、右部にPDLによって変換された後の印刷データをそれぞれ示したものである。
なお、本実施形態において、通常、プリンタドライバ203は、描画命令を所定のPDLに変換するが、過去にエラー発生を伴った印刷データが生成された場合には対応する元の描画命令の部分を他のPDLに変換して再度印刷データを生成するようにしている(印刷制御手段)。また、使用可能なプリンタの情報やそのプリンタが処理可能なPDLを予め登録しておき印刷処理の際に参照することによって、ホストPC20で生成された印刷データのPDLが、プリンタ10が処理可能なPDLと一致しない場合に、さらにPDLを変更する制御も可能である。
【0023】
スプーラ204は、プリンタドライバ203で生成された印刷データを一時的にハードディスク等に保持させておくものであり、スプーラ204内の印刷データは印刷データ送信手段によって順次プリンタ10に送信される。
通信インタフェース205は、プリンタ10との通信を行うものであり、本インタフェースを介して、印刷データやエラー情報のやりとりが行われる。
データ受信部206(エラー情報受信手段)は、プリンタ10からのエラー情報を受信するものである。
【0024】
データ解析部207は、データ受信部206によって受信したデータの解析を行うものであり、具体的には、受信データの中から所定のエラー情報を抽出するものである。
エラー情報分析部208(エラー情報分析手段)は、データ解析部207によって抽出されたエラー情報をさらに分析するものである。
具体的には、エラー情報からエラーに関連する印刷データを特定し抽出するものである。また、これらエラー発生に係る印刷データの他、その基となる描画命令部分(コマンド等)、エラーの種類、エラーが発生したときのプリンタの状態等も抽出することも可能である。
【0025】
プリンタ情報管理部(プリンタ情報管理手段)210は、ホストPC20に接続されうるプリンタに関するPDLの情報が予め登録されているものである。
これは、ホストPC20で生成された印刷データをそのままプリンタに送信して良いか否か、すなわち、その印刷データのPDLをプリンタ10が処理可能かどうかを判断するために用いられる。
具体的には、ホストPC20において生成された印刷データのPDLが、プリンタ情報管理部210に登録されてあれば、その印刷データをそのまま送信し、それ以外の場合には、プリンタ情報管理部210に登録されている他のPDLに変換する処理をプリンタドライバ203の制御によって行う。
【0026】
エラーデータベース211(エラー情報格納手段)は、過去に発生したエラーの内容やその原因等を保存しておくものである。具体的には、エラー情報分析部208によって分析され特定された印刷データや描画命令等のエラー情報を保存しておくものである。
これは、エラーデータベース211を参照することによって、エラー発生の可能性が高いデータを特定するためである。
例えば、図8には、エラーデータベース211に格納される情報の例として、エラーが発生したときの印刷データを示しているが、この印刷データと同様の印刷データが生成された場合はPostScript以外のページ記述言語に変換して印刷データを生成し直すことによって同様のエラーの回避を図ることができる。
描画命令保存部209は、グラフィックスライブラリ202で生成された描画命令情報を一時的に保存しておくものである。これは、前述の通り、印刷データの生成をやり直す可能性があるため一時的に保持しておくものであり、印刷処理が終了すれば自動的に消去される。
【0027】
次に、以上のような構成からなる本実施形態の画像形成システムにおける動作手順について図3乃至図5を参照しながら説明する。
図3は、本実施形態に係る画像形成システムのホストPCにおいて印刷データが生成されプリンタに送信されるまでの動作手順、図4は、プリンタにおいて印刷データを受信しエラー情報を送信するまでの動作手順、図5は、ホストPCにおいて受信したエラー情報を保存するまでの動作手順を示したフローチャートである。
【0028】
図3に示すとおり、ホストPC20では、アプリケーション201において所定のアプリケーションプログラム上の印刷処理が実行されると(S301)、グラフィックスライブラリ202を利用して所定の描画命令が生成される(S302)。
次に、プリンタドライバ203は、この描画命令を予め定められた所定のPDLに変換して印刷データを生成する(S303)。
ここで、生成された印刷データの一部又は全部が同一である印刷データ情報が、エラーデータベース211から検出されるか否かを判定する(S304)。すなわち、過去に同様のエラーが発生していないかどうかを確認する。
ステップS304の結果、係る印刷データと同一の印刷データがエラーデータベース211から検出されない場合(S304:NO)は、過去にエラー発生はなかったと判断してそのままステップS306にすすむ。
一方、ステップS304の結果、係る印刷データと同一の印刷データがエラーデータベース211から検出された場合(S304:YES)には、過去に同様のエラーが発生したことが確認されるため、プリンタドライバ203は、前記描画命令を他のPDLに変換して印刷データを生成する(S305)。
【0029】
次に、プリンタドライバ203は、ステップS304又はS305で生成された印刷データを、対象のプリンタ10によってはエラーを発生する可能性が高いか否かを判定する(S306)。
具体的には、プリンタ情報管理部210に問い合わせて、その印刷データのPDLが対象のプリンタによって処理することができるか否かを確認するものであり、例えば、プリンタ情報管理部210における当該PDLの登録の有無やPDLの互換性の判定を行ったり、ホストPC20から使用可能なプリンタの情報をネットワークを利用して取得するようにして判定を行う。
ステップS306の結果、エラー発生の可能性が低いと判定された場合(S306:NO)、生成された印刷データは、プリンタドライバ203によってスプーラ204に蓄積される(S307)。一方、エラー発生の可能性が高いと判定された場合(S306:YES)はステップS310にすすむ。
【0030】
ステップS307の後、プリンタドライバ203は、印刷データの生成処理が終了したか否かを判断する(S308)。
この結果、全ての印刷データの生成処理及びスプーラ204への蓄積処理が終了した場合(S308:YES)、スプーラ204は、蓄積している印刷データを、通信インタフェース205を介して順次プリンタ10に送信する(S309)。
一方、全ての印刷データの生成処理等が終了していない場合(S308:NO)には、対象となる全ての印刷データが生成されるまで、ステップS302からの手順が繰り返される。
【0031】
ステップS306の結果、エラー発生の可能性が高いと判定された場合(S306:YES)、プリンタドライバ203は、対象のプリンタが他のPDLを処理可能かどうか確認する(S310)。具体的には、プリンタ情報管理部210に問い合わせて印刷データを送ろうとしているプリンタが当該他のPDLについて処理可能か否かを確認する。また、ネットワークを介してプリンタから直接使用可能なPDLを問い合わせても良い。
ステップS310の結果、他のPDLに切り替え可能と判定した場合(S310:YES)、プリンタドライバ203は、スプーラ204に指示して作成途中の印刷データをスプーラ204から消去する(S311)。
次に、プリンタドライバ203は、他のPDLに切り替え(S312)、描画命令保存部209に保持してあった描画命令を切り替えた他のPDLによって変換し直すこととなる(S313→S303)。
【0032】
次に、図4を参照しながら、印刷データを受信したプリンタの動作手順を説明する。
プリンタ10では、ホストPC20から送信されたデータを、通信インタフェース101を介し、データ受信部102によって受信する(S401)。
受信したデータはデータ解析部103によって解析され、印刷データを描画処理したうえで、印刷処理が行われる(S402)。具体的には、データ受信部102が受信した印刷データに基づいて、描画処理部104が中間形式の描画命令を生成し、それを描画部105がビットマップデータに変換する。そして、このビットマップデータを出力部106に送ることによって所定の記録媒体に印刷が行われることとなる。
【0033】
ここで、描画処理の実行中に、エラーが発生した場合には、エラー制御部108がこれを検知することとしており、具体的には、データ解析部103、描画データ処理部104及び描画部105における描画処理中に何らかのエラーが発生した場合には、所定の通知がエラー制御部108に対して行われる(S403)。
係る通知を受け、エラー制御部108は、システム制御部107を介して描画処理の動作を停止させ(S404)、又、エラー情報作成部109にエラー情報の作成を依頼する。
エラー情報作成部109は、エラー発生元のデータ解析部103、描画データ処理部104、描画部105又はシステム制御部107からエラーの内容やそのときの装置状態、その他エラーに関する情報を抽出し収集する(S405)。
【0034】
次に、エラー情報作成部109は、ステップS405において収集した情報を基にエラー情報を作成し(S406)、エラー情報の作成が終わったらその旨をエラー制御部108に通知する。
エラー情報作成終了の通知を受けたエラー制御部108は、メモリ開放等の必要なエラー処理を行った後、装置を復旧させる(S407)。
そして、エラー制御部108は、エラー情報作成部109で作成されたエラー情報を、通信インタフェース101を介してホストPC20に送信する(S408)。
【0035】
次に、図5を参照しながら、エラー情報を受信したホストPCの動作手順を説明する。
ホストPC20では、プリンタ10から送信されたデータを、通信インタフェース205を介し、データ受信部206によって受信する(S501)。
次に、データ解析部207が、受信データを解析し、受信データが所定のエラー情報である場合には、エラー情報分析部208にエラー情報が渡され、さらにその内容が分析されることとなる(S502)。
【0036】
そして、エラー情報分析部208によって分析されたエラー情報の内容が、エラーデータベース211に保存される(S503)。具体的には、エラーが発生したところの印刷データ等を保存しておくこととなる。
これにより、エラー発生の可能性が高い印刷データが特定され、印刷データの生成後、エラーデータベース211を参照することによって必要な場合には他のPDLによって印刷データを生成し直してエラー発生を防ぐことができるようになる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の画像形成システム1によれば、プリンタ10におけるエラー発生に伴ってエラー情報を生成し、ホストPC20では、エラー情報分析部208がそのエラー情報を分析し、エラー発生に関連する印刷データをエラーデータベース211に保存しておくようにしている。
そして、所定のPDLによって生成された印刷データが、エラーデータベース211に保存されてある印刷データと同一形式である場合には、他のPDLに変換して印刷データを生成するようにしている。
【0038】
このため、プリンタ10で発生した過去のエラーと同様のエラーが再発する可能性を極めて低くすることができ、信頼性及び利便性の向上を図ることができる。
また、プリンタ10の性能や機種を問わず、安定的に印刷処理ができ、汎用性・拡張性に優れた画像形成システム1を実現することができる。
【0039】
さらに、本実施形態の画像形成システム1は、プリンタ情報管理部210を備えており、プリンタが処理可能なページ記述言語を予め参照したり、ネットワークを介して係る情報を取得・参照することによって、ページ記述言語の不一致によるエラーの発生を回避するようにすることができる。
このため、さらにエラー発生頻度が少なく、より信頼性の高い画像形成システム1を実現することが可能である。
【0040】
以上、本発明の画像形成システムについて、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明にかかる画像形成システムは、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、本発明に係る画像形成装置10は、印刷データをポリゴンによって生成するようにしてもよい。具体的には、印刷対象が特定の円や楕円の図形データの場合、所定のPDLによって生成された印刷データの処理において過去にエラーが発生しているような場合には、あらためてポリゴンによって印刷データを生成することでエラーを回避することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、ホストコンピュータと画像形成装置とからなる画像形成システムに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システムを構成するプリンタの機能構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成システムを構成するホストPCの機能構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成システムのホストPCにおいて印刷データが生成されプリンタに送信されるまでの動作手順を示したフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像形成システムのプリンタにおいて、印刷データを受信し、エラー情報を送信するまでの動作手順を示したフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係る画像形成システムのホストPCにおいて、プリンタから受信したエラー情報を保存するまでの動作手順を示したフローチャートである
【図6】本発明の一実施形態に係る画像形成システムのホストPCにおいて行われる描画命令から印刷データへの変換処理を説明するための説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る画像形成システムのプリンタのエラー情報作成部によって作成されるエラー情報の例を示した図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る画像形成システムのホストPCのエラーデータベースに保存されるエラー情報分析結果の例を示した図である。
【符号の説明】
【0043】
1 画像形成システム
10 プリンタ(画像形成装置)
20 ホストPC(ホストコンピュータ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホストコンピュータと画像形成装置とを有する画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、
前記ホストコンピュータから印刷データを受信する印刷データ受信手段と、
受信した前記印刷データに基づき印刷処理を行う印刷実行手段と、
前記印刷処理に関連するエラー発生に応じて所定のエラー情報を生成するエラー情報生成手段と、
生成された前記エラー情報を前記ホストコンピュータに送信するエラー情報送信手段と、を備え、
前記ホストコンピュータは、
各種アプリケーションの実行に応じ描画命令を生成する描画命令生成手段と、
生成された前記描画命令を所定のページ記述言語に変換して印刷データを生成する印刷データ生成手段と、
生成された前記印刷データを前記画像形成装置に送信する印刷データ送信手段と、
前記画像形成装置から前記エラー情報を受信するエラー情報受信手段と、
受信した前記エラー情報に基づき、少なくともそのエラーに関する印刷データを抽出するエラー情報分析手段と、
抽出された前記印刷データの情報を格納するエラー情報格納手段と、
前記エラー情報格納手段に格納されている印刷データが生成された場合、その元となる描画命令の部分を前記ページ記述言語とは異なる他のページ記述言語に変換して印刷データを生成させる印刷制御手段と、を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記ホストコンピュータは、
画像形成装置が処理可能な一以上のページ記述言語を予め登録するプリンタ情報管理手段を更に備え、
前記印刷制御手段は、
前記印刷データ生成手段によって生成された印刷データのページ記述言語が、前記プリンタ情報管理手段によって登録されていない場合、対象となる描画命令を前記プリンタ情報管理手段に登録されている他のページ記述言語に変換して印刷データを生成させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
画像形成装置に対し印刷データを出力するホストコンピュータであって、
各種アプリケーションの実行に応じ描画命令を生成する描画命令生成手段と、
生成された前記描画命令を所定のページ記述言語に変換して印刷データを生成する印刷データ生成手段と、
生成された前記印刷データを前記画像形成装置に送信する印刷データ送信手段と、
前記画像形成装置から所定のエラー情報を受信するエラー情報受信手段と、
受信した前記エラー情報に基づき、少なくともそのエラーに関する印刷データを抽出するエラー情報分析手段と、
抽出された前記印刷データの情報を格納するエラー情報格納手段と、
前記エラー情報格納手段に格納されている印刷データが生成された場合、その元となる描画命令の部分を前記ページ記述言語とは異なる他のページ記述言語に変換して印刷データを生成させる印刷制御手段と、を備えることを特徴とするホストコンピュータ。
【請求項4】
ホストコンピュータと画像形成装置とを有する画像形成システムとして提供させるためのプログラムであって、
前記画像形成装置を構成するコンピュータを、
前記ホストコンピュータから印刷データを受信する印刷データ受信手段、
受信した前記印刷データに基づき印刷処理を行う印刷実行手段、
前記印刷処理に関連するエラー発生に応じて所定のエラー情報を生成するエラー情報生成手段、
生成された前記エラー情報を前記ホストコンピュータに送信するエラー情報送信手段、として機能させるとともに、
前記ホストコンピュータを、
各種アプリケーションの実行に応じ描画命令を生成する描画命令生成手段、
生成された前記描画命令を所定のページ記述言語に変換して印刷データを生成する印刷データ生成手段、
生成された前記印刷データを前記画像形成装置に送信する印刷データ送信手段、
前記画像形成装置から前記エラー情報を受信するエラー情報受信手段、
受信した前記エラー情報に基づき、少なくともそのエラーに関する印刷データを抽出するエラー情報分析手段、
抽出された前記印刷データの情報を格納するエラー情報格納手段、
前記エラー情報格納手段に格納されている印刷データが生成された場合、その元となる描画命令の部分を前記ページ記述言語とは異なる他のページ記述言語に変換して印刷データを生成させる印刷制御手段、として機能させるための画像形成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−287416(P2008−287416A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−130522(P2007−130522)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】