説明

画像形成システムおよび画像形成装置

【課題】画像が形成された1組の記録媒体が正しく揃っていないことに利用者が気付かないまま画像形成装置から記録媒体を持ち去ってしまうことを防止することができる画像形成システムおよび画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明の画像形成装置は、印刷ジョブに基づいて記録媒体に画像を形成する画像形成部と、画像が形成された記録媒体を収容する収容部と、画像形成部による画像形成処理の終了が認識された場合、収容部に収容されている記録媒体の枚数が印刷ジョブのデータにより特定される記録媒体の枚数と一致するか否かを判断する判断部と、枚数が一致すると判断される場合、収容部に収容されている記録媒体を第1の排出先に排出し、枚数が一致しないと判断される場合、記録媒体を第1の排出先とは異なる第2の排出先に排出する出力制御を行う制御部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システムおよび画像形成装置に関する。本発明は、特に、カーボンコピー印刷に用いられる画像形成システムおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、市役所や病院等の施設において、「顧客用」帳票、「処理用」帳票、および「控え用」帳票等からなる1組の帳票を、MFP(Multi−Function Peripheral)等の画像形成装置により作成するカーボンコピー印刷が利用されている。カーボンコピー印刷では、PC(Personal Computer)により生成された印刷ジョブをMFPが実行することにより、各帳票に対応する画像が用紙に形成され、画像が形成された複数枚の用紙がMFPから出力される(たとえば、特許文献1参照)。カーボンコピー印刷では、1組の帳票を構成する複数枚の帳票がすべて揃っていることが重要である。
【0003】
しかしながら、印刷ジョブの実行中にMFPにおいて紙詰まり等の不具合が発生する場合、1組の帳票が正しく揃わないことがある。たとえば、印刷ジョブの実行中に紙詰まりが発生して印刷ジョブが強制終了される場合、1組の帳票のうち特定の帳票が印刷されないまま印刷処理が終了してしまうことがある。あるいは、紙詰まり発生時に印刷ジョブが強制終了されず印刷処理が継続される場合、特定の帳票が重複して印刷されてしまうことがある。
【0004】
たとえば、上記3枚1組の帳票のうち「処理用」帳票が印刷されることなく印刷処理が終了された場合、「処理用」帳票が印刷されていないことに利用者が気付かないままMFPから他の2枚の帳票を持ち去って処理を進めれば、「顧客用」帳票を顧客に渡したにも関わらず、その後、処理が進められないという問題が生じる。一方、たとえば、「処理用」帳票が重複して印刷された場合、「処理用」帳票が2枚あることに利用者が気付かないままMFPから帳票を持ち去れば、同一の帳票に対して処理が二重に行われてしまうおそれがある。
【0005】
したがって、1組の帳票が正しく揃っていない場合、帳票が正しく揃っていないことに利用者が気付くようにして、帳票が正しく揃っていないことに利用者が気付かないままMFPから帳票を持ち去ってしまうことを防止することが望まれている。
【0006】
なお、下記の特許文献2には、複数枚の用紙に画像を形成する際、すべての用紙に対する印刷処理が終了するまで装置内部の保管部に印刷済みの用紙を保管しておき、印刷処理の終了後に用紙を一括出力する画像形成装置が開示されている。このような構成によれば、印刷処理の終了前に利用者が一部の帳票を持ち去って帳票がバラバラになることが防止される。しかしながら、上記の画像形成装置では、印刷終了後に帳票が正しく揃ってない場合であっても、正しく揃っている場合と同様に帳票が出力されるため、帳票が正しく揃っていないことに利用者は気付くことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−213365号公報
【特許文献2】特開2007−253343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものである。したがって、本発明の目的は、画像が形成された1組の記録媒体が正しく揃っていない場合、記録媒体が正しく揃っていないことに利用者が気付くようにして、記録媒体が正しく揃っていないことに利用者が気付かないまま画像形成装置から記録媒体を持ち去ってしまうことを防止することができる画像形成システムおよび画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0010】
(1)印刷ジョブを送信する印刷ジョブ送信装置と前記印刷ジョブを実行して画像形成を行う画像形成装置とを有する画像形成システムであって、前記印刷ジョブ送信装置は、前記画像形成装置により画像が形成される記録媒体の枚数を設定する枚数設定部と、前記枚数設定部により設定された前記記録媒体の枚数を示す枚数情報を含む印刷ジョブを前記画像形成装置に送信する送信部と、を有し、前記画像形成装置は、前記印刷ジョブに基づいて、記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により画像が形成された記録媒体を収容する収容部と、前記画像形成部による画像形成処理の終了が認識された場合、前記収容部に収容されている記録媒体の枚数が、前記枚数情報が示す枚数と一致するか否かを判断する判断部と、前記判断部により前記枚数が一致すると判断される場合、前記収容部に収容されている前記記録媒体を第1の排出先に排出し、前記判断部により前記枚数が一致しないと判断される場合、前記記録媒体を前記第1の排出先とは異なる第2の排出先に排出する出力制御を行う制御部と、を有することを特徴とする画像形成システム。
【0011】
(2)前記印刷ジョブ送信装置は、前記制御部による前記出力制御を行うか否かを印刷ジョブに対して設定する制御設定部をさらに有し、前記出力制御を行うことが前記印刷ジョブに設定されている場合、前記制御部による前記出力制御が行われ、前記制御部が前記出力制御を行わない場合には、前記収容部に収容されている前記記録媒体は、前記第1の排出先に排出されることを特徴とする上記(1)に記載の画像形成システム。
【0012】
(3)前記印刷ジョブは、各ページに共通のオブジェクトを有する複数ページの画像をページ毎に記録媒体に形成するためのデータを含むことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の画像形成システム。
【0013】
(4)印刷ジョブを送信する印刷ジョブ送信装置と前記印刷ジョブを実行して画像形成を行う画像形成装置とを有する画像形成システムで使用される前記画像形成装置であって、前記印刷ジョブ送信装置から送信された印刷ジョブを受信する受信部と、前記受信部により受信された前記印刷ジョブに基づいて、記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により画像が形成された記録媒体を収容する収容部と、前記画像形成部による画像形成処理の終了が認識された場合、前記収容部に収容されている記録媒体の枚数が、前記印刷ジョブの情報に基づき特定される記録媒体の枚数と一致するか否かを判断する判断部と、前記判断部により前記枚数が一致すると判断される場合、前記収容部に収容されている前記記録媒体を第1の排出先に排出し、前記判断部により前記枚数が一致しないと判断される場合、前記記録媒体を前記第1の排出先とは異なる第2の排出先に排出する出力制御を行う制御部と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【0014】
(5)前記印刷ジョブには、前記記録媒体の枚数を示す枚数情報が含まれており、前記判断部は、前記収容部に収容されている記録媒体の枚数が、前記枚数情報が示す枚数と一致するか否かを判断することを特徴とする上記(4)に記載の画像形成装置。
【0015】
(6)前記出力制御を行うことが前記印刷ジョブに設定されている場合、前記制御部による前記出力制御が行われ、前記制御部が前記出力制御を行わない場合には、前記収容部に収容されている前記記録媒体は、前記第1の排出先に排出されることを特徴とする上記(4)または(5)に記載の画像形成装置。
【0016】
(7)前記印刷ジョブは、各ページに共通のオブジェクトを有する複数ページの画像をページ毎に記録媒体に形成するためのデータを含むことを特徴とする上記(4)〜(6)のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0017】
(8)印刷ジョブを実行して画像形成を行う画像形成装置であって、印刷ジョブを生成するジョブ生成部と、前記ジョブ生成部により生成された前記印刷ジョブに基づいて、記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により画像が形成された記録媒体を収容する収容部と、前記画像形成部による画像形成処理の終了が認識された場合、前記収容部に収容されている記録媒体の枚数が、前記印刷ジョブの情報に基づき特定される記録媒体の枚数と一致するか否かを判断する判断部と、前記判断部により前記枚数が一致すると判断される場合、前記収容部に収容されている前記記録媒体を第1の排出先に排出し、前記判断部により前記枚数が一致しないと判断される場合、前記記録媒体を前記第1の排出先とは異なる第2の排出先に排出する出力制御を行う制御部と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【0018】
(9)前記画像形成装置により画像が形成される記録媒体の枚数を設定する枚数設定部をさらに有し、前記印刷ジョブは、前記枚数設定部により設定された前記記録媒体の枚数を示す枚数情報を含み、前記判断部は、前記収容部に収容されている記録媒体の枚数が、前記枚数情報が示す枚数と一致するか否かを判断することを特徴とする上記(8)に記載の画像形成装置。
【0019】
(10)前記制御部による前記出力制御を行うか否かを印刷ジョブに対して設定する制御設定部をさらに有し、前記出力制御を行うことが前記印刷ジョブに設定されている場合、前記制御部による前記出力制御が行われ、前記制御部が前記出力制御を行わない場合には、前記収容部に収容されている前記記録媒体は、前記第1の排出先に排出されることを特徴とする上記(8)または(9)に記載の画像形成装置。
【0020】
(11)前記印刷ジョブは、各ページに共通のオブジェクトを有する複数ページの画像をページ毎に記録媒体に形成するためのデータを含むことを特徴とする上記(8)〜(10)のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、画像が形成された記録媒体の枚数が予め設定された枚数と一致しない場合、記録媒体の枚数が一致する場合とは異なる排出先に記録媒体が排出されるため、画像が形成された1組の記録媒体が正しく揃っていないことに利用者が気付くことができる。したがって、1組の記録媒体が正しく揃っていないことに利用者が気付かないまま画像形成装置から記録媒体を持ち去ってしまうことが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示されるPCの構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示されるMFPの構成を示す概略正面図である。
【図4】図1に示されるMFPの構成を示すブロック図である。
【図5】カーボンコピー印刷により作成される1組の帳票の一例を示す図である。
【図6】PCにより実行される印刷指示処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】PCのディスプレイに表示される出力設定画面の一例を示す図である。
【図8】MFPにより実行される印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】PCからMFPに送信される印刷データの一例を示す図である。
【図10】変形例に係るMFPのHDDの内容を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成システムの全体構成を示すブロック図である。
【0025】
本実施形態の画像形成システムは、印刷ジョブ送信装置としてのPC100と、画像形成装置としてのMFP200とを備え、これらはネットワーク300を介して相互に通信可能に接続されている。
【0026】
ネットワーク300は、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI(Fiber Distributed Data Interface)等の規格によりコンピュータやネットワーク機器同士を接続したLAN(Local Area Network)や、LAN同士を専用線で接続したWAN(Wide Area Network)等からなる。なお、ネットワーク300に接続される機器の種類および台数は、図1に示す例に限定されない。また、PC100とMFP200とは、ネットワーク300を介することなく直接機器間で接続(ローカル接続)されていてもよい。
【0027】
図2は、図1に示されるPCの構成を示すブロック図である。PC100は、CPU(Central Processing Unit)101、メモリ102、HDD(Hard Disk Drive)103、ディスプレイ104、入力装置105、および通信I/F(Interface)部106を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス107を介して相互に接続されている。
【0028】
CPU101は、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理を行う。メモリ102は、予め各種プログラムや各種データを格納しておくROM(Read Only Memory)、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM(Randam Access Memory)等からなる。
【0029】
HDD103は、オペレーティングシステムを含む各種プログラムや各種データを格納する。HDD103には、文書ファイルを作成するための文書ファイル作成アプリケーションと、文書ファイルをMFP200が解釈可能なページ記述言語(PDL)で記述された印刷データに変換するためのプリンタドライバとがインストールされている。ここで、文書ファイル作成アプリケーションには、たとえば、帳票作成用の専用のアプリケーションが含まれる。
【0030】
ディスプレイ104は、たとえば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。入力装置105は、マウス等のポインティングデバイスやキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0031】
通信I/F部106は、ネットワーク300を介し他の機器と通信するためのインタフェースであり、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格が用いられる。
【0032】
図3は、図1に示されるMFPの構成を示す概略正面図であり、図4は、図1に示されるMFPの構成を示すブロック図である。
【0033】
MFP200は、制御部210、操作パネル部220、画像読取部230、給紙部240、画像形成部250、一時保管部260、排紙部270、および異常終了用紙保管部280を備えており、これらは信号をやり取りするためのバスを介して相互に接続されている。なお、MFP200の上記各部のうち、PC100の上記各部と同様の機能を有する部分については、説明の重複を避けるためその説明を省略する。
【0034】
制御部210は、CPU201、メモリ202、HDD203、および通信I/F部204を有する。HDD203には、PC100からの印刷データを変換してビットマップ形式の画像データを生成するための画像データ生成プログラム、および、印刷処理の異常終了が認識された場合に異常終了用紙保管部280に用紙を保管する異常終了処理を実行するための異常終了処理実行プログラムが格納されている。
【0035】
操作パネル部220は、タッチパネル、テンキー、スタートボタン、ストップボタン等を備えており、各種情報の表示および各種指示の入力に使用される。
【0036】
画像読取部230は、所定の読み取り位置にセットされた原稿またはADF(Auto Document Feeder:自動原稿搬送装置)により所定の読み取り位置に搬送された原稿に蛍光ランプ等の光源で光を当て、その反射光をCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の撮像装置で光電変換して、その電気信号から画像データを生成する。
【0037】
給紙部240は、印刷に使用される記録媒体としての用紙を収容する。給紙部240は、複数の給紙トレイを有しており、給紙トレイに収容された用紙を1枚ずつ画像形成部250に送り出す。
【0038】
画像形成部250は、帯電、露光、現像、転写、および定着の各工程を含む電子写真式プロセス等の周知の作像プロセスを用いて、各種データに基づく画像を用紙上に形成する。
【0039】
一時保管部260は、収容部として、画像形成部250から搬送される印刷後の用紙を一時的に収容する。一時保管部260は、用紙を搬送するための搬送機構(不図示)を有し、印刷処理の終了が認識された場合、排紙部270または異常終了用紙保管部280に用紙をまとめて排出する。一時保管部260には、画像形成部250から搬送される印刷済みの用紙の枚数を認識するためのセンサおよびカウンタ(不図示)が設けられている。
【0040】
排紙部270は、一時保管部260に収容されている印刷後の用紙を排出する。排紙部270は、複数の排紙トレイを有しており、一時保管部260から搬送される印刷後の用紙は所定の排紙トレイに排出される。また、排紙部270には、ステープル処理およびパンチ処理等の後処理を施すための後処理装置(不図示)が設けられており、印刷設定に応じて、印刷済みの用紙に対して後処理を施すことができる。なお、排紙部270には、用紙を取り出すための扉が設けられた排紙ボックスが備えられ、一時保管部260から搬送される印刷後の用紙は排紙ボックスに収容されてもよい。
【0041】
異常終了用紙保管部280は、一時保管部260に収容されている印刷後の用紙を保管する。本実施形態の異常終了用紙保管部280は、用紙を取り出すための扉(不図示)が設けられており、一時保管部260から搬送される用紙がMFP200の外部に排出されることを防止している。
【0042】
なお、PC100およびMFP200は、それぞれ、上記の構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上記の構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。
【0043】
次に、図5を参照して、カーボンコピー印刷について説明する。
【0044】
図5は、カーボンコピー印刷により作成される1組の帳票の一例を示す図である。カーボンコピー印刷では、MFP200により各帳票に対応する画像が用紙上に形成されることにより、1組の帳票が作成される。たとえば、図5(A)〜図5(C)に示すような「顧客用」帳票、「処理用」帳票、および「控え用」帳票からなる3枚1組の帳票が作成される。
【0045】
このような1組の帳票の画像は、たとえば、専用のアプリケーションを用いてPC100により編集される。編集された帳票の画像についての印刷データがPC100からMFP200に送信されることにより、MFP200により1組の帳票が作成される。以下、図6〜図9を参照して、本実施形態における画像形成システムの動作について説明する。
【0046】
図6は、PCにより実行される印刷指示処理の手順を示すフローチャートである。本実施形態では、帳票作成用のアプリケーションにより帳票が編集された後、当該アプリケーションを介してプリンタドライバが起動される。プリンタドライバを介して、PC100の利用者により印刷指示が行われる。なお、図6のフローチャートに示されるアルゴリズムは、PC100のHDD103にプログラムとして記憶されており、CPU101により実行される。
【0047】
印刷指示処理では、まず、帳票構成枚数が設定される(ステップS101)。本実施形態では、プリンタドライバが起動されることにより、帳票構成枚数を設定するための出力設定画面400(図7(A)参照)がPC100のディスプレイ104に表示される。ディスプレイ104に表示される出力設定画面400を通じて、PC100の利用者により1組の帳票を構成する用紙の枚数が設定される。
【0048】
図7は、出力設定画面の一例を示す図である。図7(A)に示されるとおり、出力設定画面400は、印刷ジョブに対する異常終了処理の実行を設定するためのチェックボックス410と、1組の帳票を構成する用紙の枚数を設定するためのスピンボタン420とを有する。ステップS101に示す処理では、ユーザ操作により、チェックボックス410がチェックされ、スピンボタン420で枚数が指定される場合、帳票構成枚数が設定される(図7(B)参照)。
【0049】
続いて、MFP200に対して印刷処理が指示される(ステップS102)。本実施形態では、ステップS101に示す処理で設定された用紙の枚数を示す枚数情報を含む帳票の印刷データが生成され、印刷データがPC100からMFP200に送信される。
【0050】
以上のとおり、図6に示すフローチャートの処理によれば、1組の帳票を構成する用紙の枚数が設定され、当該枚数を示す枚数情報を含む帳票の印刷データがMFP200に送信される。
【0051】
図8は、MFPにより実行される印刷処理の手順を示すフローチャートである。なお、図8のフローチャートに示されるアルゴリズムは、MFP200のHDD203にプログラムとして記憶されており、CPU201により実行される。
【0052】
印刷処理では、まず、印刷指示が受け付けられる(ステップS201)。本実施形態では、PC100から送信された印刷データが印刷ジョブとして受信される。
【0053】
図9は、PCからMFPに送信される印刷データの一例を示す図である。印刷データ500は、複数ページの画像をページ毎に用紙上に形成するためのデータであり、ヘッダ部510と本体部520とを有する。ヘッダ部510には、カーボンコピー印刷を行うことを示す情報、異常終了処理を実行することを示す情報、および1組の帳票を構成する用紙の枚数を示す枚数情報が記述されている。本体部520には、各帳票(ページ)の画像に含まれるオブジェクトを示す情報が記述されている。なお、カーボンコピー印刷では、すべてのページに共通するオブジェクトが多数含まれる。
【0054】
続いて、画像の印刷が行われる(ステップS202)。本実施形態では、印刷データに基づいて、1つの帳票の画像が用紙上に形成される。
【0055】
続いて、用紙が一時保管部260に保管される(ステップS203)。本実施形態では、ステップS202に示す処理で帳票の画像が形成された用紙が、一時保管部260に収容される。
【0056】
続いて、印刷処理が終了したか否かが判断される(ステップS204)。本実施形態では、各帳票の画像を用紙上に形成する画像形成処理が終了したか否かが判断される。ここで、印刷処理が終了する場合には、印刷ジョブが最後まで実行されて終了する場合のみならず、印刷ジョブの実行中のキャンセル指示や紙詰まりにより印刷ジョブが強制終了される場合が含まれる。
【0057】
印刷処理が終了していないと判断される場合(ステップS204:NO)、ステップS202の処理に戻る。その結果、次のページ(帳票)の画像が用紙上に形成される。
【0058】
一方、印刷処理が終了したと判断される場合(ステップS204:YES)、印刷ジョブがカーボンコピー印刷ジョブであるか否かが判断される(ステップS205)。本実施形態では、印刷データ500のヘッダ部510が参照され、カーボンコピー印刷を行うことを示す情報および異常終了処理を実行することを示す情報が「ON」であるか否かが判断される。これらの情報が「ON」である場合、印刷ジョブがカーボンコピー印刷ジョブであると判断される。
【0059】
印刷ジョブがカーボンコピー印刷ジョブでないと判断される場合(ステップS205:NO)、全用紙が排紙部270に排出され(ステップS207)、処理が終了される。本実施形態では、異常終了処理を行わないとして、一時保管部260に収容されている用紙が、通常の排出先である排紙部270に排出される。
【0060】
一方、印刷ジョブがカーボンコピー印刷ジョブであると判断される場合(ステップS205:YES)、帳票構成枚数分の印刷が行われたか否かが判断される(ステップS206)。本実施形態では、一時保管部260に収容されている用紙の枚数が、印刷データの枚数情報が示す枚数と一致するか否かが判断される。枚数が一致すると判断される場合、帳票構成枚数分の印刷が行われたと判断される。
【0061】
帳票構成枚数分の印刷が行われたと判断される場合(ステップS206:YES)、全用紙が排紙部270に排出され(ステップS207)、処理が終了される。本実施形態では、画像が形成された用紙(すなわち、帳票)の枚数が予め設定された枚数と一致するとして、一時保管部260に収容されている1組の帳票が、通常の排出先である排紙部270に排出される。1組の帳票が排紙部270に排出されることにより、1組の帳票を構成する複数枚の帳票は、印刷設定にしたがって、同一または異なる排紙トレイ(または、排紙ボックス)に排出される。
【0062】
一方、ステップS206に示す処理において、帳票構成枚数分の印刷が行われていないと判断される場合(ステップS206:NO)、全用紙が異常終了用紙保管部280に保管され(ステップ208)、処理が終了される。本実施形態では、画像が形成された用紙(すなわち、帳票)の枚数が予め設定された枚数と一致しないとして、一時保管部260に収容されている、枚数に過不足のある1組の帳票が、異常終了用紙保管部280に保管される。たとえば、印刷ジョブの実行中のキャンセル指示により印刷処理が強制終了された場合、帳票の枚数は不足している。あるいは、印刷ジョブの実行中に紙詰まりが発生し、その後強制終了されることなく印刷処理が再開され、同じ画像が重複して形成されてしまった場合、帳票の枚数は多くなる。ステップS208に示す処理では、枚数に過不足のある1組の帳票が、異常終了用紙保管部280に保管される。枚数に過不足がある帳票が異常終了用紙保管部280に保管されることにより、帳票が正しく揃っていないことに利用者が気付くことができる。
【0063】
以上のとおり、図8に示すフローチャートの処理によれば、画像形成部250により画像が形成された用紙が一時保管部260に収容され、印刷処理の終了が認識された場合、印刷ジョブがカーボンコピー印刷ジョブであるか否かが判断される。印刷ジョブがカーボンコピー印刷ジョブであると判断される場合、一時保管部260に収容されている用紙の枚数が、予め設定された用紙の枚数と一致するか否かが判断される。そして、用紙の枚数が一致すると判断される場合には、一時保管部260に収容されている1組の用紙(すなわち、1組の帳票)が排紙部270に搬送され、排紙トレイから排出される。一方、用紙の枚数が一致しないと判断される場合には、一時保管部260に収容されている帳票が異常終了用紙保管部280に保管される。
【0064】
このような構成によれば、印刷処理の異常終了により、1組の帳票が過不足なく作成されなかった場合、1組の帳票が正しく揃っていないことに利用者が気付くことができる。したがって、帳票が正しく揃っていないことに利用者が気付かないまま、MFP200から帳票を持ち去ってしまうことが防止される。その結果、1組の帳票が正しく揃っていないことに利用者が気付かないままMFP200から帳票を持ち去ってしまうことに起因して生じる問題が解消される。
【0065】
また、利用者が、1組の帳票が正しく揃っていないことに気付いて帳票を再印刷する場合であっても、印刷処理が正常に終了した1組の帳票と、印刷処理が異常終了した1組の帳票とが異なる排出先に排出されるため、これらの2組の帳票が混ざり合ってしまうことがない。したがって、2組の帳票が混ざり合うことにより同一の帳票に対して処理が二重に行われることが防止される。
【0066】
(変形例)
上述した実施形態では、印刷ジョブは、印刷ジョブ送信装置であるPC100により生成され、MFP200に送信された。しかしながら、印刷ジョブは、MFP200により生成されてもよい。
【0067】
図10は、本実施形態の変形例に係るMFPのHDDの内容を示す図である。HDD203には、文書ファイルを作成するための文書ファイル作成アプリケーション(帳票作成用のアプリケーション)、文書ファイルをMFP200が解釈可能なPDLで記述された印刷データに変換するための印刷ジョブ生成プログラム、印刷データを変換してビットマップ形式の画像データを生成するための画像データ生成プログラム、および、印刷処理の異常終了が認識された場合に異常終了用紙保管部280に用紙を保管する異常終了処理を実行するための異常終了処理実行プログラムが格納されている。
【0068】
なお、HDD203に文書ファイル作成アプリケーションおよび印刷ジョブ生成プログラム(プリンタドライバ)が記憶されている点を除いては、変形例に係るMFPの構成は、本実施形態に係るMFPの構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0069】
このような構成によれば、MFP200の操作パネル部220を通じて、ユーザが、帳票作成用のアプリケーションにより帳票を編集した後、帳票構成枚数を設定して印刷の実行を指示すれば、MFP200内部で印刷ジョブが生成され、印刷ジョブが実行される。そして、印刷処理の異常終了により、1組の帳票が過不足なく作成されなかった場合、帳票が異常終了用紙保管部280に保管される。
【0070】
本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0071】
たとえば、上記実施形態では、1組の帳票を構成する用紙の枚数がユーザ操作に基づき設定された。しかしながら、用紙の枚数は、プリンタドライバを起動するアプリケーション(または、アプリケーションにおける帳票のテンプレート)に応じて予め設定され、プリンタドライバの起動時に自動的に設定されてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、一時保管部260に収容されている用紙の枚数が予め設定された枚数と一致しないと判断された場合、一時保管部260に収容されている複数枚の用紙が、異常終了用紙保管部280に保管された。しかしながら、一時保管部260に収容されている用紙の枚数が予め設定された枚数と一致しないと判断された場合、一時保管260部に収容されている複数枚の用紙が、排紙部270に設けられた専用の排紙トレイや排紙ボックスに排出されてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、印刷データのヘッダ部に記述されている枚数情報に基づいて、画像が形成される用紙の枚数が求められ、一時保管部260に収容されている用紙の枚数と比較された。しかしながら、印刷データの本体部の情報を解析して画像が形成される用紙の枚数(ページ数)を求め、当該求められた用紙の枚数が、一時保管部260に収容されている用紙の枚数と比較されてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、印刷ジョブがカーボンコピー印刷ジョブである場合に限り、異常終了処理が実行された。しかしながら、たとえば、各ページに共通のオブジェクトを有さない複数ページの画像を用紙に形成する通常の印刷ジョブに対して、異常終了処理が実行されてもよい。
【0075】
本実施形態にかかる画像形成システムにおける各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウエア回路、またはプログラムされたコンピュータのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえば、フレキシブルディスクおよびCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、装置の一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0076】
100 PC、
101,201 CPU、
102,202 メモリ、
103,203 HDD、
104 ディスプレイ、
105 入力装置、
106,204 通信I/F部、
107 バス、
200 MFP、
210 制御部、
220 操作パネル部、
230 画像読取部、
240 給紙部、
250 画像形成部、
260 一時保管部、
270 排紙部、
280 異常終了用紙保管部、
300 ネットワーク、
400 出力設定画面、
500 印刷データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブを送信する印刷ジョブ送信装置と前記印刷ジョブを実行して画像形成を行う画像形成装置とを有する画像形成システムであって、
前記印刷ジョブ送信装置は、
前記画像形成装置により画像が形成される記録媒体の枚数を設定する枚数設定部と、
前記枚数設定部により設定された前記記録媒体の枚数を示す枚数情報を含む印刷ジョブを前記画像形成装置に送信する送信部と、を有し、
前記画像形成装置は、
前記印刷ジョブに基づいて、記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により画像が形成された記録媒体を収容する収容部と、
前記画像形成部による画像形成処理の終了が認識された場合、前記収容部に収容されている記録媒体の枚数が、前記枚数情報が示す枚数と一致するか否かを判断する判断部と、
前記判断部により前記枚数が一致すると判断される場合、前記収容部に収容されている前記記録媒体を第1の排出先に排出し、前記判断部により前記枚数が一致しないと判断される場合、前記記録媒体を前記第1の排出先とは異なる第2の排出先に排出する出力制御を行う制御部と、を有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記印刷ジョブ送信装置は、
前記制御部による前記出力制御を行うか否かを印刷ジョブに対して設定する制御設定部をさらに有し、
前記出力制御を行うことが前記印刷ジョブに設定されている場合、前記制御部による前記出力制御が行われ、
前記制御部が前記出力制御を行わない場合には、前記収容部に収容されている前記記録媒体は、前記第1の排出先に排出されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記印刷ジョブは、各ページに共通のオブジェクトを有する複数ページの画像をページ毎に記録媒体に形成するためのデータを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
印刷ジョブを送信する印刷ジョブ送信装置と前記印刷ジョブを実行して画像形成を行う画像形成装置とを有する画像形成システムで使用される前記画像形成装置であって、
前記印刷ジョブ送信装置から送信された印刷ジョブを受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記印刷ジョブに基づいて、記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により画像が形成された記録媒体を収容する収容部と、
前記画像形成部による画像形成処理の終了が認識された場合、前記収容部に収容されている記録媒体の枚数が、前記印刷ジョブの情報に基づき特定される記録媒体の枚数と一致するか否かを判断する判断部と、
前記判断部により前記枚数が一致すると判断される場合、前記収容部に収容されている前記記録媒体を第1の排出先に排出し、前記判断部により前記枚数が一致しないと判断される場合、前記記録媒体を前記第1の排出先とは異なる第2の排出先に排出する出力制御を行う制御部と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記印刷ジョブには、前記記録媒体の枚数を示す枚数情報が含まれており、
前記判断部は、前記収容部に収容されている記録媒体の枚数が、前記枚数情報が示す枚数と一致するか否かを判断することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記出力制御を行うことが前記印刷ジョブに設定されている場合、前記制御部による前記出力制御が行われ、
前記制御部が前記出力制御を行わない場合には、前記収容部に収容されている前記記録媒体は、前記第1の排出先に排出されることを特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記印刷ジョブは、各ページに共通のオブジェクトを有する複数ページの画像をページ毎に記録媒体に形成するためのデータを含むことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
印刷ジョブを実行して画像形成を行う画像形成装置であって、
印刷ジョブを生成するジョブ生成部と、
前記ジョブ生成部により生成された前記印刷ジョブに基づいて、記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により画像が形成された記録媒体を収容する収容部と、
前記画像形成部による画像形成処理の終了が認識された場合、前記収容部に収容されている記録媒体の枚数が、前記印刷ジョブの情報に基づき特定される記録媒体の枚数と一致するか否かを判断する判断部と、
前記判断部により前記枚数が一致すると判断される場合、前記収容部に収容されている前記記録媒体を第1の排出先に排出し、前記判断部により前記枚数が一致しないと判断される場合、前記記録媒体を前記第1の排出先とは異なる第2の排出先に排出する出力制御を行う制御部と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成装置により画像が形成される記録媒体の枚数を設定する枚数設定部をさらに有し、
前記印刷ジョブは、前記枚数設定部により設定された前記記録媒体の枚数を示す枚数情報を含み、
前記判断部は、前記収容部に収容されている記録媒体の枚数が、前記枚数情報が示す枚数と一致するか否かを判断することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部による前記出力制御を行うか否かを印刷ジョブに対して設定する制御設定部をさらに有し、
前記出力制御を行うことが前記印刷ジョブに設定されている場合、前記制御部による前記出力制御が行われ、
前記制御部が前記出力制御を行わない場合には、前記収容部に収容されている前記記録媒体は、前記第1の排出先に排出されることを特徴とする請求項8または9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記印刷ジョブは、各ページに共通のオブジェクトを有する複数ページの画像をページ毎に記録媒体に形成するためのデータを含むことを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−153070(P2012−153070A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15647(P2011−15647)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】