説明

画像形成システム及び画像形成システムにおける搬送制御方法

【課題】 複数枚の用紙を纏めて用紙束を形成する後処理装置を有する画像形成システムにおける給紙制御では、画像形成装置における条件と後処理装置における条件とを満たすような給紙制御が行われるが、従来の給紙制御では、後処理充当時間に余分な時間が含まれる。その結果、後処理を含むトータルの画像形成時間が長くなって、効率が低いと言う問題がある。
【解決手段】 後処理装置内の条件により設定される基準時間を、連続して作成される複数の部の、前の部の最終用紙の搬送開始時刻と、後の部の最終用紙の搬送開始時刻との間の時間に設定して給紙制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの機能を合わせ持つ複合機等の画像形成システムに関し、特に、画像が形成された用紙に対して、ステイプル処理、折り畳み処理、ステイプルと折り畳みを合わせて行う処理、製本処理等の後処理を行う後処理装置を装備した画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ステイプル処理、折り畳み処理、製本処理等の後処理を行う後処理装置を装備した画像形成システムにおける用紙の搬送制御は、画像形成装置内での条件と後処理装置内での条件の双方を満たすように行われる。
【0003】
画像形成装置本体における条件は主として、給紙部の給紙能力と、画像形成部における画像形成能力とにより決定され、用紙の搬送速度及び用紙間の間隔が前記給紙能力と前記画像形成能力とにより設定される。
【0004】
後処理装置における条件は主として、複数枚の用紙束を形成するのに要する時間である。すなわち、ステイプル、折り畳み、製本等では、画像形成装置本体から1枚づつ排出される用紙を中間スタッカに集積し、1処理単位の枚数が揃った後に後処理が行われるので、先の処理単位の先頭用紙が後処理装置に搬入されてから、先の処理単位の用紙束が中間スタッカから排出されるまでは、後の処理単位の先頭用紙を後処理装置に搬入することが出来ないために、先の処理単位の用紙の最終用紙の後処理装置への搬入から、後の処理単位の先頭用紙の後処理装置への搬入まで時間を中間スタッカが空くまでの時間以上とする必要がある。
【0005】
後処理装置を装備した画像形成装置にいて、効率よく画像形成を実行する搬送制御に関ては、従来から種々の工夫がある。
【0006】
特許文献1では、後処理に必要な時間を認識する手段を有し、該認識手段が認識した時間に基づいて、前の処理単位の最終用紙の搬送開始時刻から、後の処理単位の先頭紙の搬送開始時刻までの時間を制御することが提案されている。
【0007】
特許文献2では、複数部の画像を形成するジョブにおいて、部単位で後処理の有無を判断し、後処理の有無により、画像形成タイミングを制御することが提案されている。
【0008】
特許文献3では、画像形成部に用紙を搬送する時に搬送開始時刻の制御において、後処理における条件を他の給紙条件に付加し、各種条件の論理積で搬送開始時刻を設定することが提案されている。
【特許文献1】特開平11−208979号公報
【特許文献2】特開2001−215858号公報
【特許文献3】特開2002−154856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1、2に開示されている搬送制御を図1を用いて具体的に説明する。
【0010】
たとえば、特許文献1の段落(0050)で説明されているように、特許文献1、2では、複数枚の用紙に画像を形成し、後処理を行う画像形成において、後処理に使用される時間を部間に設定する場合に、先の部(以下1部目と言う)の最終紙と、後の部(以下2部目と言う)の先頭紙との間の間隔を設定することにより後処理充当時間を設定している。
【0011】
図1(a)は3枚の用紙からなる部を2部作成する例を示す。
【0012】
図1において、黒丸は給紙が実行される搬送開始時刻、白丸は給紙が実行されないが搬送時刻に相当する時刻、tは用紙間隔、Tは基準時間、Uは後処理充当時間である。用紙間隔tは先の用紙の先端(又は後端)通過から後の用紙の先端(又は後端)通過までの時間、基準時間Tは複数部の連続画像形成を行う場合、前の部とそれに続く後の部との間の間隔を設定する場合の基準となる時間、後処理充当時間Uは後処理のために確保される時間である。
【0013】
用紙間隔tは周知のように、給紙部の給紙速度や画像形成部の画像形成速度等により設定されるものであり、画像形成装置の基本仕様として設定され、インターバルタイマにより作られる。
【0014】
本発明における後処理は部単位で行われるものであるので、先の部の最終紙の搬送から後の部の最終紙の搬送までの時間が後処理充当時間Uとなる。後処理充当時間Uは、後処理に必要な最小時間U0を含むことが条件となり、後処理充当時間Uが最小時間U0よりも短いと後処理が不可能になる。
【0015】
なお図における時間は全てレジストローラ(二次給紙部)における通過時間であり、これらの時間はレジストローラにより制御される。
【0016】
特許文献1、2の従来例では、基準時間Tを1部目(先の部)の最終紙s13と2部目(後の部)の先頭紙s21間の時間としている。そして、基準時間Tを常に確保する搬送制御を行っている。なお、図1の制御において、後処理に必要な最小時間U0は10secであり、基準時間Tは最小時間U0に等しい10secである。
【0017】
図1(a)では、t=1sec、T=10secに設定し、T=10secに設定した結果、U=12secとなっている。全体としての先頭紙から最終紙までの時間Vは14secである。
【0018】
図1(b)は3枚の用紙からなる1部目と5枚の用紙からなる2部目を形成する例である。図1(b)の例では、基準時間Tを10secに設定した結果、後処理充当時間Uが14secとなっている。また、全体のとしての先頭紙から最終紙までの時間Vは16secである。
【0019】
図1(c)は5枚の用紙からなる1部目と3枚の用紙からなる2部目を形成する例である。図1(c)の例では、基準時間Tを10secに設定した結果、後処理充当時間Uが12secとなっている。また、全体のとしての先頭紙から最終紙までの時間Vは16secである。
【0020】
後処理に必要な最小時間U0は10secであるので、図1(a)の後処理充当時間Uが12secであるということは、後処理充当時間Uが2sec余分な時間を含み、図1(b)では、4sec余分な時間を含み、図1(c)では2sec余分な時間を含むことになり、それだけ、トータルとしての画像形成時間が長くなって、効率が低いことになる。
【0021】
このように、特許文献1、2の搬送制御では、後処理充当時間Uが不必要に長くなって、効率が低下する。
【0022】
次に、特許文献3における搬送制御について、図2を用いて具体的に説明する。
【0023】
特許文献3では、1部目の先頭紙から2部目の先頭紙までの時間を基準時間Tとしている。なお、図2においても、後処理に必要な最小時間U0は10secであり、基準時間Tを最小時間U0に等しい10secとしている。この搬送制御においては、1部目3枚、2部目3枚の画像形成の場合、図2(a)に示すように、後処理充当時間Uが最小時間U0に等しい10secとなる。ところが、1部目3枚、2部目5枚の画像形成では、図2(b)に示すように、後処理充当時間Uが12secとなる。すなわち、特許文献3の搬送制御では、図2(a)の例では、後処理充当時間Uが最小時間U0に等しく、余分な時間を含まないが、図2(b)の例では、後処理充当時間Uが2secだけ余分な時間を含み、それだけ、トータルの画像形成時間が長くなって、効率が低下する。すなわち、図2(a)の例では、V=12sec、図2(b)ではV=14secとなる。
【0024】
また、特許文献3の搬送制御では、1部目5枚、2部目3枚の画像形成の場合、図2(c)に示すように、後処理充当時間Uが8secとなり、後処理に必要な最小時間U0(10sec)よりも短くなって、後処理が不可能になる。
【0025】
以上、図1、2を用いて説明したように、複数枚の用紙を束ねて部を形成する後処理を伴った画像形成を行う場合に、従来の搬送制御では、余分な時間ができて効率が低かったり、後処理が出来ない場合が生ずる等の問題があった。
【0026】
本発明は、従来の搬送制御におけるこのような問題を解決し、高い効率で後処理を伴った画像形成を行う画像形成システム及び画像形成システムにおける搬送制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
前記目的は、下記の請求項に記載された発明により達成される。
(請求項1)
用紙に画像を形成する画像形成装置及び、
画像が形成された用紙に対して、複数枚の用紙をまとめる後処理を行う後処理装置を有し、前記画像形成装置に、画像形成部に向けて用紙を搬送する場合の搬送開始時刻を設定する給紙制御手段が設けられた画像形成システムにおいて、
前記給紙制御手段は、前後の用紙間の間隔である用紙間隔と、
前後の用紙束における先の用紙束の最終紙の搬送開始から、後の用紙束の最終紙の搬送開始までの基準時間と、
に基づいて、複数の用紙束を連続して形成する場合の各用紙束の最終紙の前記搬送開始時刻を設定することを特徴とする画像形成システム。
(請求項2)
前記用紙間隔は、所定時間間隔のインターバル信号を出力するタイマにより作られることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
(請求項3)
前記基準時間は前記後処理装置が行う後処理に必要な最短時間を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成システム。
(請求項4)
前記後処理装置は、中間スタッカ及び後処理部を有し、前記中間スタッカに複数枚の用紙を集積した後に、集積された用紙束を前記後処理部に搬送して、前記後処理を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成システム。
(請求項5)
用紙間隔として設定された時間の経過と、
先の用紙束の最終紙の搬送開始から、後の用紙束の最終紙の搬送開始までの時間を基準として設定された基準時間の経過と、
があったときに、前記後の用紙束の前記最終紙の搬送が開始するように、用紙の搬送開始時刻を設定して用紙を搬送することを特徴とする画像形成システムにおける搬送制御方法。
(請求項6)
前記基準時間は、先の用紙束の最終紙の搬送開始から、後の用紙束の最終紙の搬送開始までの時間に等しいことを特徴とする請求項5に記載の画像形成システムにおける搬送制御方法。
【発明の効果】
【0028】
請求項1〜6のいずれかの発明により、ステイプル処理、折り畳み処理、製本処理等のように複数枚の用紙をまとめて用紙束を作成する後処理装置を備えた画像形成システムにおいて、後処理に必要な時間が、常に確実に確保されるとともに、無駄な時間が無く、短時間の画像形成時間が設定され、高効率の画像形成が行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に、本発明の実施の形態に係る画像形成システムの全体構成を図3を参照して説明する。
【0030】
図3は画像形成装置A、用紙後処理装置FS、用紙断裁装置B、糊付け製本装置Cから成る画像形成システムの全体構成図である。
【0031】
図示の画像形成装置Aは、画像読取部1、画像処理部2、画像書込部3、画像形成部4、収納部5、給紙手段6、定着装置7、排紙部8、裏面用搬送部9等を備えている。
【0032】
画像形成装置Aの上部には、自動原稿送り装置DFが搭載されている。画像形成装置Aの図示の左側面の排紙部8側には、用紙断裁装置B及び糊付け製本装置Cを備えた用紙後処理装置FSが連結されている。
【0033】
自動原稿送り装置DFの原稿台上に載置された原稿dは矢印方向に搬送され画像読み取り部1の光学系により原稿の片面又は両面の画像が結像し、CCDイメージセンサ1Aに読み込まれる。
【0034】
CCDイメージセンサ1Aにより光電変換されたアナログ信号は、画像処理部2において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、画像書込部3に信号を送る。
【0035】
画像書込部3においては、半導体レーザからの出力光が画像形成部4の感光体ドラム4Aに照射され、潜像を形成する。画像形成部4においては、帯電、露光、現像、転写、分離、クリーニング等の処理が行われる。用紙Sを収納する収納部5から一次給紙部6Aにより搬出された用紙Sはレジストローラからなる二次給紙部6Bにより画像形成部4に供給され、転写手段4Bにより画像の転写を受ける。画像を担持した用紙Sは、定着装置7により定着処理され、排紙部8から用紙後処理装置FSに送り込まれる。或いは搬送路切り替え板8Aにより裏面用給紙部9に送り込まれた片面画像処理済みの用紙Sは再び画像形成部4において、両面画像処理後、排紙部8から排出され、用紙後処理装置FSにおいて、中綴じ処理、二つ折り処理された後、用紙断裁装置Bに送り込まれる。
【0036】
用紙後処理装置FSは、シフト処理装置21、中間スタッカ22、付加用紙給紙部23、ステイプル処理装置24、中折り装置25、固定排紙皿26及び昇降排紙皿27を有する。
【0037】
画像形成装置Aから排出された用紙Sは導入部20から用紙後処理装置FSに導入される。後処理された用紙は大量画像形成モータや後処理モードでは昇降排紙皿27に排紙され、少量画像形成モードにおいては、固定排紙皿26に排紙される。
【0038】
シフト処理モードでは、シフト処理装置21によりシフト処理されて昇降排紙皿27に排紙される。綴じ処理モードでは、1枚づつ画像形成装置Aから排紙され、又は付加用紙給紙部23から給紙された用紙Sはストッパ22Aにより停止し、中間スタッカ22に設定枚数分堆積され、堆積した用紙Sの束に対してステイプル処理装置24により、綴じ処理された後に昇降排紙皿27に排紙される。付加用紙給紙部23からは、画像形成装置Aから供給された用紙Sの束に表紙やインサート紙Sが供給された前記のシフト処理や綴じ処理を施されて昇降排紙皿27に排紙される。
【0039】
製本モードにおいては、画像形成装置Aから供給された用紙S及び付加用紙給紙部23から供給された用紙Sは、ストッパ22Bにより停止し、中間スタッカ22上に設定枚数分堆積する。設定枚数分の用紙Sの束は、中折り部25に搬送され、用紙Sの中央部を折り線とする中折りが行われた後に排紙され、用紙断裁装置Bに送られる。
【0040】
用紙断裁装置Bは一次搬送部30、二次搬送部31及び断裁機32を有する。断裁装置32は用紙Sの束の端部を断裁し、端部の揃えるものである。
【0041】
一次搬送部30から導入され、断裁機32で断裁し、二次搬送部31で搬送され用紙断裁装置Bから排出された用紙Sの束SAは、糊付け製本装置Cに導入される。
【0042】
糊付け製本装置Cは搬送支持部40、糊付け機41及び加圧機42を有する。
【0043】
断裁装置Bから糊付け装置Cに送られた用紙束SAは、搬送支持部40で搬送されてその端部が糊付け機41の下方に設定された後に、糊付け機41によりの糊付けが行われ、糊付けされた用紙束SAは、加圧機42で前の用紙束SAの上に重なった状態で加圧されて前の用紙束SAに結合される。
【0044】
このようにして、複数の用紙束SAが結合された冊子SBが形成された後に、糊付け製本装置Cから排出される。
【0045】
図4は図3に示す画像形成システムの制御系のブロック図である。
【0046】
画像形成装置100は図3における画像形成装置Aの制御系であり、プリンタ制御部101、状態管理部102、画像処理部103及び給紙部104を有する。プリンタ制御部101は用紙に画像を形成する制御を行うものであり、給紙制御手段101A及びタイマ101B、101Cを有する。タイマ101Bは図5、6における用紙間隔tを作るものであり、間隔tの連続した信号を出力するインターバルタイマである。用紙間隔tは一次給紙部6Aの給紙能力や画像形成部4の画像形成速度等により設定される。
【0047】
画像処理部103は画像読取装置200からの画像データを処理して、1頁単位の画像データを作成する。状態管理部102は画像処理部103からの頁単位の画像データをプリンタ制御部101における画像形成に同期して伝送する。給紙部104はプリンタ制御部101からの指令に基づいて、図3の二次給紙部6Bの起動、停止を行う。
【0048】
後処理装置300は、図3における後処理FS、用紙断裁装置B及び糊付け製本装置Cの制御系であり、後処理制御部301、スタッカ制御部302及び後処理部303を有する。
【0049】
スタッカ制御部302は図3の中間スタッカ22における用紙の積載制御を行い、具体的には、ストッパ22A、22Bを制御して、用紙の積載と積載した用紙の排出とを制御する。後処理部303は、シフト処理装置21、ステイプル処理装置24,中折り装置25、用紙断裁装置B及び用紙糊付け装置Cを制御する。
【0050】
図5は図3に示す画像形成システムにおける用紙搬送のタイムチャートである。
【0051】
転写手段4Bの上流に設けられた二次給紙部6Bを制御する給紙制御手段104により画像を記録する用紙Sを1枚づつ搬送する搬送制御が行われる。
【0052】
二次給紙部6Bにより搬送された3枚の用紙S11、S12、S13に対して画像形成が行われ、中間スタッカ22上で纏められて用紙束SA1が形成される。用紙束SA1は中折り部25における中折り、断裁機32による断裁及び糊付け機41による糊付けの各処理を受けた後に、加圧機42に送られる。
【0053】
用紙束SA1が中間スタッカ22から排出され、中間スタッカ22に次の用紙の供給が可能な状態となった段階で、次の画像形成された用紙S21〜S23が中間スタッカ22に供給されて、中間スタッカ22上で用紙束SA2が形成される。用紙束SA2が、中折り、断裁及び糊付けの各処理を受けた後に、加圧機42に供給される。加圧機42上で、用紙束SA1とSA2とが結合されて冊子SBが作成される。
【0054】
図6は本発明の実施の形態における搬送制御を説明する図である。
【0055】
図1について説明したように、図6においても、tは用紙間隔、Tは基準時間、Uは後処理充当時間である。また、図6に示す時間は用紙Sが二次給紙部6Bが搬送を開始する時間であり、給紙制御手段104により制御される時間である。用紙間隔tは図4におけるタイマ101Bにより作られ、基準時間Tは図4におけるタイマ101Cにより作られる。用紙間隔tは用紙サイズに対応した値を有する。
【0056】
図6に示す例でも、t=10secは、黒丸が二次給紙部6Bが用紙を搬送する時刻、白丸が用紙の搬送はないが、搬送に相当する時刻であり、後処理に必要な最小時間U0は10secである。
【0057】
本発明においては、基準時間Tを先の部(1部目)の最終紙の搬送開始時刻から、後の部(2部目)の最終紙の搬送開始時刻までの時間としている。
【0058】
図示の例では、基準時間Tは後処理に必要な最短時間U0に等しい10secとしている。しかしながら、基準時間Tは最短時間U0に等しくない場合があり、基準時間Tは次に式で表される。
T=n×t+α
tは前記用紙間隔、nは部、すなわち後処理における処理単位当たりの用紙枚数、αは0を含む付加時間、
図6の例ではα=0である。
【0059】
図6(a)の1部目3枚、2部目3枚の画像形成の場合、基準時間T=10sec、後処理充当時間U=10secとなって、後処理充当時間に余分な時間が含まれていない。
【0060】
図6(a)において、1部目の最終紙S13から2部目の先頭紙S21までの時間Wは、中間スタッカから1部目の用紙束が搬出されて2部目の用紙Sを中間スタッカに搬入することが可能になるまでの待機時間である。待機時間Wは、複数枚の用紙からなる用紙束の搬送速度が1枚の用紙を搬送する搬送速度よりも低いことにより生ずる時間であり、用紙間隔tに比較してさほど大きな値を取る必要はない。
【0061】
図6(b)の1部目3枚、2部目5枚の画像形成の例では、基準時間T=10sec、後処理充当時間U=10secであり、後処理充当時間Uに余分な時間は含まれていない。
【0062】
図6(c)の1部目5枚、2部目3枚の画像形成の例でも、基準時間T=10sec、後処理充当時間U=10secであり、後処理充当時間Uに余分な時間は含まれない。
【0063】
画像形成に要する全体としての時間Vも、1部目、2部目3枚の図6(a)の例では、V=12sec、1部目3枚、2部目5枚の図6(b)の例では、V=12sec、1部目5枚、2部目3枚の図6(c)の例では、V=14secとなる。
【0064】
本発明における搬送制御と、従来例における搬送制御とを表1にまとめて示す。
【0065】
【表1】

【0066】
表1から分かるように、いずれのケースにおいても本発明の搬送制御では、従来例以下のトータル時間となり、効率が向上している。また、制御不能となることもない。
【0067】
図7は図6に示す搬送制御のフローチャートである。図6、7に示す制御は図4における給紙制御手段101Aにより行われる。
【0068】
STEP1において、タイマ101Bに設定されている用紙間隔の時間tがタイムアップすると、STEP2に移行する。用紙間隔tは、図6に示すように、一定時間間隔の信号を出力するインターバルタイマであるタイマ101Bにより作られる時間であり、用紙を搬送する場合(黒丸)だけでなく、用紙を搬送しない場合(白丸)にも出力されるインターバル信号で設定される。
【0069】
STEP2において、1部、すなわち、1後処理単位の最終紙搬送開始であるか否かを検出する。最終紙でないときは、STEP3において、基準時間Tがタイムアップしたか否かを検出する。基準時間Tは前記に説明したように、後処理に必要な時間を基準として設定されている時間であり、図6の例では、後処理最小時間U0に等しい時間である。
STEP2において部の最終が検出された場合又はSTEP3において、基準時間Tがタイムアップしたとき、後の束の先頭紙の搬送を開始し、用紙間隔tを作るタイマ101B及び基準時間Tを作るタイマ101Cをセットする。
【0070】
図3の画像形成システムは、中間スタッカ22上に複数枚の用紙を集積し、中間スタッカ22上でステイプル処理装置24が綴じ処理を行う例であるが、本発明では、複数枚の用紙をまとめて後処理を行う種々の後処理装置に適用出来るものであり、ステイプルのみを行うもの、折り処理のみを行うもの、ステイプル及び折り処理を行うもの、糊付けを行うもの等種々の形態の後処理装置に適用することが出来る。
【0071】
図8はこのような後処理装置又はこのような後処理装置の一部として用いられるユニットを示す。
【0072】
図8において、後処理装置FSは、中間スタッカ22を有する。画像形成装置から排出された用紙Sは中間スタッカ22上に設定枚数分集積され、集積が完了した段階で用紙束が次の後処理工程部、たとえば、ステイプル処理部や折り畳み部に搬送され、後処理が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】従来技術における搬送制御を説明する図である。
【図2】従来技術における搬送制御を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像形成システムの全体図である。
【図4】図3に示す画像形成システムの制御系のブロック図である。
【図5】図3、4に示す画像形成システムにおける搬送制御のタイムチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係る画像形成システムにおける搬送制御を説明する図である。
【図7】図6に示す搬送制御のフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態における後処理装置の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
101 プリンタ制御部
101A 給紙制御手段
102 状態管理部
103 画像処理部
104 給紙部
t 用紙間隔
T 基準時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を形成する画像形成装置及び、
画像が形成された用紙に対して、複数枚の用紙をまとめる後処理を行う後処理装置を有し、前記画像形成装置に、画像形成部に向けて用紙を搬送する場合の搬送開始時刻を設定する給紙制御手段が設けられた画像形成システムにおいて、
前記給紙制御手段は、前後の用紙間の間隔である用紙間隔と、
前後の用紙束における先の用紙束の最終紙の搬送開始から、後の用紙束の最終紙の搬送開始までの基準時間と、
に基づいて、複数の用紙束を連続して形成する場合の各用紙束の最終紙の前記搬送開始時刻を設定することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記用紙間隔は、所定時間間隔のインターバル信号を出力するタイマにより作られることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記基準時間は前記後処理装置が行う後処理に必要な最短時間を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記後処理装置は、中間スタッカ及び後処理部を有し、前記中間スタッカに複数枚の用紙を集積した後に、集積された用紙束を前記後処理部に搬送して、前記後処理を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項5】
用紙間隔として設定された時間の経過と、
先の用紙束の最終紙の搬送開始から、後の用紙束の最終紙の搬送開始までの時間を基準として設定された基準時間の経過と、
があったときに、前記後の用紙束の前記最終紙の搬送が開始するように、用紙の搬送開始時刻を設定して用紙を搬送することを特徴とする画像形成システムにおける搬送制御方法。
【請求項6】
前記基準時間は、先の用紙束の最終紙の搬送開始から、後の用紙束の最終紙の搬送開始までの時間に等しいことを特徴とする請求項5に記載の画像形成システムにおける搬送制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−44923(P2006−44923A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−231967(P2004−231967)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】