説明

画像形成方法

【課題】 白地部(非画像部)の色調に優れ、均一であり、かつ印刷物近似性が高く、墨網色調変動の少ない印刷物校正用の画像形成方法を提供する。
【解決手段】 支持体上に少なくともシアン、マゼンタ、イエローを各々発色可能なハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀カラー感光材料に、印刷物と同一の画像データに基づいて画像露光する印刷物校正用の画像形成方法において、該画像データの非画像部を2種以上の異なる露光強度で露光し、かつ、該非画像部の少なくとも一種の画素サイズが3〜50μmになる露光であることを特徴とする画像形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成方法に関し、さらに詳しくは、ハロゲン化銀カラー感光材料又はインクジェット画像形成方法を用いる印刷物校正用の画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷物を作製する際、仕上がりの確認用に校正物を作製するが、従来の平台校正機による校正物の作製から、近年は、DDCP(デジタルダイレクトカラープルーフ)を利用する方法が用いられてきている。
【0003】
DDCPには、レーザー熱転写方式、銀塩写真方式、電子写真方式、インクジェット方式などの各種方法が用いられているが、印刷物との質感の近似性、モアレ等の検版性の観点から、印刷と同じ網点で画像を形成する方法が、高精度なDDCPとして不可欠な要件となっている。
【0004】
印刷物の再現において、画像部の色調を再現することが重視されているが、非画像部である印刷物の白地の再現も印刷物の全体の色調の再現の上で重要なポイントになっている。このためには、印刷用紙そのものを使うことが最善であるが、校正用に各種印刷用紙を取りそろえておくことが現実的でないとか、専用紙の使用が不可欠である等の理由で、実際の印刷用紙を使うことは困難であった。そのため、使用する用紙に着色する等の処理を施す方法が知られて(例えば、特許文献1、2参照。)いる。
【0005】
一方、印刷の網点と同様の網点で画像を形成する、CMS(カラーマネージメント)により、目的の印刷物、印刷機とのプロイファイルを作製し、白地部に、C,M,Y,K版の網点により地色を再現させる方法や、例えば、特定の法則により、白地部に画像データを書き込むことで、地色を再現する方法が知られて(例えば、特許文献3、4参照。)いる。CMSによる方法では、当然ながら、CMYKの網点により地色を再現するが、網点方式の出力方式のDDCPでは、C,M,Y,Kの出力データに対して、2値(ON,OFF)しか必要のないこと、および、装置コスト、安定性の理由から、多値の出力値がとれない構造になっており、特定の法則により地色を出力する場合も、C,M,Y,K版の出力値と同様の出力値で出力されている。そのため、白地部が、網点あるいは網点様に見えるため描画しようとしている画像と、地色をつけるための画像の区別が付きにくいなどの問題があった。
【0006】
一方、装置の高精度化により、多値出力値が出力可能な網点方式のDDCPも近年検討されており、このようなDDCPでは、画像データの白地部(非画像部)に現像の閾値レベルを僅かに越える微小な露光を行い、白地部を均一に発色させ、地色を再現する方式が知られて(例えば、特許文献5、6参照。)いる。しかしこのような方法では、現像の閾値付近での制御であり、各種変動の影響を受けやすいといった欠点があり特に画像中白地部に接している、網点周辺部に影響を与え色調に変化を与えやすいといった課題があり、上記特許に、その対応策も同時に示されているが、完全ではなかった。
【0007】
そこで、網点再現プルーフの白地を中間濃度かつ頻度を制御することで微妙な白地を再現白地部を濃度の異なるランダムドットで再現することは知られているが(例えば、特許文献7参照。)、画素サイズについての記載はないが、測定方法からみて、白地着色を行った際の、濃度ムラ等の比較的ピッチの大きな風合いの再現を目的としており、かつ、特定のYカプラーのみで発現する特殊な効果であった。
【特許文献1】特開2001−251528号公報 (第2〜4頁)
【特許文献2】特開平8−212324号公報 (第2〜3頁)
【特許文献3】特開2001−86357号公報 (第2〜5頁)
【特許文献4】特開2005−86319号公報
【特許文献5】特開2003−315984号公報 (特許請求の範囲)
【特許文献6】特開2004−69898号公報 (特許請求の範囲)
【特許文献7】特開2005−62631号公報 (実施例1、2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、白地部(非画像部)の色調に優れ、均一であり、かつ印刷物近似性が高く、墨網色調変動の少ない印刷物校正用の画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
【0010】
1.支持体上に少なくともシアン、マゼンタ、イエローを各々発色可能なハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀カラー感光材料に、印刷物と同一の画像データに基づいて画像露光する印刷物校正用の画像形成方法において、該画像データの非画像部を2種以上の異なる露光強度で露光し、かつ、該非画像部の少なくとも一種の画素サイズが3〜50μmになる露光であることを特徴とする画像形成方法。
【0011】
2.支持体上に少なくともシアン、マゼンタ、イエローを各々発色可能なハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀カラー感光材料に、印刷物と同一の画像データに基づいて画像露光する印刷物校正用の画像形成方法において、該画像データの非画像部のうち画像部に接する画素と接しない画素を異なる露光強度で露光することを特徴とする画像形成方法。
【0012】
3.支持体上に少なくともシアン、マゼンタ、イエローを各々発色可能なハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀カラー感光材料に、印刷物と同一の画像データに基づいて画像露光する印刷物校正用の画像形成方法において、該画像データの非画像部を2種以上の異なる露光強度で露光し、かつ、該非画像部の少なくとも一種の画素サイズが3〜50μmになる露光であり、更に、該画像データの非画像部のうち画像部に接する画素と接しない画素が異なる露光強度であることを特徴とする画像形成方法。
【0013】
4.印刷媒体に、印刷物と同一の画像データに基づいてインクジェット画像を形成する印刷物校正用の画像形成方法において、該画像データの非画像部に2種以上の異なる濃度の画像を形成し、かつ、該非画像部の画像の少なくとも一種の画素サイズが3〜50μmになる画素であることを特徴とする画像形成方法。
【0014】
5.印刷媒体に、印刷物と同一の画像データに基づいてインクジェット画像を形成する印刷物校正用の画像形成方法において、該画像データの非画像部のうち画像部に接する画素と接しない画素が異なる濃度であることを特徴とする画像形成方法。
【0015】
6.印刷媒体に、印刷物と同一の画像データに基づいてインクジェット画像を形成する印刷物校正用の画像形成方法において、該画像データの非画像部に2種以上の異なる濃度の画像を形成し、かつ、該非画像部の画像の少なくとも一種の画素サイズが3〜50μmになる画素であり、更に、該画像データの非画像部のうち画像部に接する画素と接しない画素が異なる濃度であることを特徴とする画像形成方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、白地部(非画像部)の色調に優れ、均一であり、かつ印刷物近似性が高く、墨網色調変動の少ない印刷物校正用の画像形成方法を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を更に詳しく説明する。本発明の、請求項1及び4に係る発明は、印刷物と同一の画像データに基づいて印刷物校正用の画像を形成する際、該画像データの非画像部が2種以上の異なる濃度となり、かつ、該非画像部の少なくとも一種の画素サイズが3〜50μmになる画像を、ハロゲン化銀カラー感光材料又はインクジェット画像形成方法を用い形成する方法である。尚、請求項1の方法は、2種以上の異なる露光強度でハロゲン化銀カラー感光材料に露光する方法であり、最終的には、その露光されたハロゲン化銀カラー感光材料を後述する現像処理をして、2種以上の異なる濃度の画像を形成する。
【0018】
白地部(非画像部)に異なる濃度をもつ画素は、出力に対する鮮鋭性の影響をキャンセルするために、それぞれの出力値で、10mm×10mm以上の領域を同一出力値で出力を行い求めることができる。
【0019】
異なる出力値の1種は、最低濃度の出力値が好ましく、実質的に濃度0の出力値である。
【0020】
非画像部(白地部)を形成する画素の内、実質的に濃度0の出力値の割合は、50%以上が好ましく、さらに好ましくは65%以上90%以下である。
【0021】
非画像部(白地部)を形成する画素の内、実質的に濃度0ではない画素の出力値は、0.01以上、1.0以下の濃度の出力値であることが好ましい。さらに好ましくは、0.05以上0.7以下である。
【0022】
非画像部を形成する2種以上の異なる濃度をもつ画素の配列は、規則的な配列でも良いし、ランダムな配列でもよいが、印刷物を形成する網点の配列とは異なる配列であることが好ましい。さらに好ましくは、モアレ、干渉ムラ等の発生から、ランダムな配列ドットであることが好ましい。
【0023】
非画像部の画素サイズは、画像部と同一でもよいし、異なってもかまわない。好ましい画素のサイズは3〜50μmであるが、5〜30μmが好ましい、通常の印刷物が2400dpi(dpiとは1インチ、即ち2.54cm当たりのドット数を表す)で行われているが、2400dpi程度の画素が特に好ましい。
【0024】
白地画像は、異なる濃度の画素を有するが、均一であることが好ましく、アパーチャー径2〜6mmの濃度計で測定した場合のバラツキが、0.1未満であることが好ましい。
【0025】
本発明の、請求項2及び5に係る発明は、印刷物と同一の画像データに基づいて印刷物校正用の画像を形成する際、該画像データの非画像部のうち画像部に接する画素と接しない画素が異なる画像をハロゲン化銀カラー感光材料又はインクジェット画像形成方法を用いる方法である。尚、請求項2の方法は、非画像部のうち画像部に接する画素と接しない画素を異なる露光強度でハロゲン化銀カラー感光材料に露光する方法であり、最終的には、その露光されたハロゲン化銀カラー感光材料を後述する現像処理をすることにより、画像部に接する画素と接しない画素は異なる濃度の画像を形成する。
【0026】
非画像部中、画像部に接する画素の濃度は、最低濃度の出力値であり、実質的に濃度0の出力値であることが好ましい。
【0027】
非画像部中、画像部に接しない画素の濃度は、実質的再現しようとする印刷物の白地部の濃度に相当する。
【0028】
非画像部中、画像部に接しない画素の濃度は、一定でもよいし、2種以上の異なる濃度を示す、出力値でも良い。これらの配列は、規則的な配列でも良いし、ランダムな配列でもよいが、印刷物を形成する網点の配列とは異なる配列であることが好ましい。さらに好ましくは、モアレ、干渉ムラ等の発生から、ランダムトドットであることが好ましい。
【0029】
請求項3に係る発明は、請求項1及び2を含む発明であり、請求項6の発明は請求項4及び5を含む発明である。
【0030】
画像周辺部は、隣接部に滲みを生じており、非画像部(白地部)が全く発色状態と白地着色等で僅かに発色させた場合滲みの影響が大きく現れる場合がある。
【0031】
より具体的にはハロゲン化銀カラー感光材料の場合、画像部隣接部は、データ的には、露光されていないが、光の滲み等により多少露光された状態になっているが、現像の閾値の関係で発色していない部分がある。これにたいし、白地部に地色を発色するだけの露光を与えると、隣接部は、地色露光+光の滲みになり、現像の閾値以下だった部分が閾値を越えることで、大きな影響を受ける。
【0032】
またインクジェット画像形成方法でも、画像周辺部のインクの滲みが、白地部にもインクを出射することで、滲みの量が大きく変化することがある。そのため、画像部と白地露光部接する確率を小さくすることで上記の効果が得られた。
【0033】
次いで、本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料の各構成要素について説明する。
【0034】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料に用いられるハロゲン化銀乳剤としては、95モル%以上が塩化銀からなるハロゲン化銀乳剤が好ましく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、塩沃化銀等任意のハロゲン組成を有するものが用いられる。中でも、塩化銀を95モル%以上含有する塩臭化銀、中でも臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤が好ましく用いられ、また、表面近傍に沃化銀を0.05〜0.5モル%含有する塩沃化銀も好ましく用いられる。臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤において、高濃度に臭化銀を含有する部分は、いわゆるコア・シェル型ハロゲン化銀乳剤であってもよいし、完全な層を形成せず単に部分的に組成の異なる領域が存在するだけのいわゆるエピタキシー接合した領域を形成していてもよい。臭化銀が高濃度に存在する部分は、ハロゲン化銀粒子の表面の結晶粒子の頂点に形成されることが特に好ましい。また、組成は連続的に変化してもよいし不連続に変化してもよい。
【0035】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料に用いられるネガ型ハロゲン化銀乳剤には、重金属イオンを含有させるのが有利である。これにより、いわゆる相反則不軌が改良され、高照度露光での減感が防止されたりシャドー領域での軟調化が防止されることが期待される。
【0036】
このような目的で用いることのできる重金属イオンとしては、鉄、イリジウム、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、コバルト等の第8〜10族金属や、カドミウム、亜鉛、水銀などの第12族遷移金属や、鉛、レニウム、モリブデン、タングステン、ガリウム、クロムの各イオンを挙げることができる。中でも鉄、イリジウム、白金、ルテニウム、ガリウム、オスミウムの金属イオンが好ましい。これらの金属イオンは、塩や、錯塩の形でハロゲン化銀乳剤に添加することができる。前記重金属イオンが錯体を形成する場合には、その配位子としてシアン化物イオン、チオシアン酸イオン、シアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、沃化物イオン、カルボニル、ニトロシル、アンモニア、1,2,4−トリアゾール、チアゾール等を挙げることができる。中でも、塩化物イオン、臭化物イオン等が好ましい。これらの配位子は単独であっても複数の配位子が併用されてもよい。
【0037】
これらの金属化合物の特性として、ハロゲン化銀乳剤粒子に含有させた時の電子トラップの深さとして特徴づけることもできる。深さが0.2eV以下の浅い電子トラップを与える化合物としては、第2鉛イオンまたはシアノ配位子を有する化合物を挙げることができ、相反則不軌、特に低照度不軌を改良するのに有効である。また、深さが0.35eV以上の深い電子トラップを与える化合物としては、ハロゲン化物イオンやニトロシル配位子を有するIr、Rh、Ru化合物を挙げることができる。これらの化合物は、高照度相反則不軌を改良する上で好ましく用いることができる。深さが0.2eV以下の浅い電子トラップを与える化合物と深さが0.35eV以上の深い電子トラップを与える化合物を併用することも好ましい形態である。これら化合物については、特開2000−214561号公報の4〜5ページに詳しい記載がある。
【0038】
ハロゲン化銀乳剤中に重金属イオンを含有させる方法としては、該重金属化合物をハロゲン化銀粒子の形成前、ハロゲン化銀粒子の形成中、ハロゲン化銀粒子の形成後の物理熟成中の各工程の任意の場所で添加すればよい。
【0039】
重金属化合物をハロゲン化物塩と一緒に溶解して粒子形成工程の全体或いは一部にわたって連続的に添加することができる。また、あらかじめこれらの重金属化合物を含有するハロゲン化銀微粒子を形成しておいて、これを添加することによって調製することもできる。前記重金属イオンのハロゲン化銀乳剤中への添加量は、ハロゲン化銀1モル当り1×10-9モル以上、1×10-2モル以下が好ましく、特に、1×10-8モル以上、5×10-5モル以下が好ましい。
【0040】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子の形状は、任意のものを用いることができる。好ましい例の1つは、(100)面を結晶表面として有する立方体である。また、米国特許第4,183,756号、同第4,225,666号、特開昭55−26589号、特公昭55−42737号や、ザ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィック・サイエンス(J.Photogr.Sci.)21、39(1973)等の文献に記載された方法等により、八面体、十四面体、十二面体等の形状を有する粒子をつくり、これを用いることもできる。更に、双晶面を有する粒子を用いてもよい。
【0041】
本発明に用いられる粒子は、単一の形状からなる粒子が好ましく用いられるが、単分散のハロゲン化銀乳剤を二種以上同一画像形成層に添加することが特に好ましい。
【0042】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子の粒径としては、特に制限はないが、迅速処理性適性及び到達感度や、他の写真性能を考慮すると、好ましくは0.1〜1.2μm、更に好ましくは、0.2〜1.0μmの範囲である。
【0043】
この粒径は、ハロゲン化銀粒子の投影面積か、あるいは直径近似値を使ってこれを測定して求めることができる。ハロゲン化銀粒子が実質的に均一形状である場合は、粒径分布は直径か投影面積としてかなり正確にこれを表すことができる。
【0044】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子の粒径分布は、好ましくは変動係数が0.22以下、更に好ましくは0.15以下の単分散ハロゲン化銀粒子であり、特に好ましくは、変動係数が0.15以下の単分散乳剤を2種以上、同一画像形成層に添加することである。ここでいう変動係数とは、粒径分布の広さを表す係数であり、次式によって定義される。
【0045】
変動係数=S/R
ここに、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。
【0046】
ハロゲン化銀乳剤の調製装置、調製方法としては、当業界において公知の種々の方法を用いることができる。
【0047】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、酸性法、中性法、アンモニア法の何れで得られたものであってもよい。該ハロゲン化銀粒子は、一時に成長させたものであってもよいし、種粒子を調製した後で成長させてもよい。種粒子を調製する方法と成長させる方法は同じであっても、異なってもよい。
【0048】
また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物塩を反応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時混合法、それらの組合せなど、いずれでもよいが、同時混合法で得られたものが好ましい。更に、同時混合法の一形式として、特開昭54−48521号等に記載されているpAgコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
【0049】
また、特開昭57−92523号、同57−92524号等に記載の反応母液中に配置された添加装置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を供給する装置、ドイツ公開特許第2,921,164号等に記載されている水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を連続的に濃度変化させて添加する装置、特公昭56−501776号等に記載の反応器外に反応母液を取り出し、限外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子間の距離を一定に保ちながら粒子形成を行なう装置などを用いてもよい。
【0050】
更に、必要で有ればチオエーテル等のハロゲン化銀溶剤を用いてもよい。また、メルカプト基を有する化合物、含窒素ヘテロ環化合物または増感色素のような化合物をハロゲン化銀粒子の形成時、または、粒子形成終了の後に添加して用いてもよい。
【0051】
本発明に用いられるネガ型ハロゲン化銀乳剤は、金化合物を用いる増感法、カルコゲン増感剤を用いる増感法等を適宜組み合わせて用いることができる。カルコゲン増感剤としては、イオウ増感剤、セレン増感剤、テルル増感剤などを用いることができるが、イオウ増感剤が好ましい。イオウ増感剤としては、チオ硫酸塩、トリエチルチオ尿素、アリルチオカルバミドチオ尿素、アリルイソチアシアネート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニン、無機イオウ等が挙げられる。
【0052】
イオウ増感剤の添加量としては、適用されるハロゲン化銀乳剤の種類や期待する効果の大きさなどにより適宜変更することが好ましいが、概ねハロゲン化銀1モル当たり5×10-10〜5×10-5モルの範囲、好ましくは5×10-8〜3×10-5モルの範囲である。
【0053】
金増感剤としては、塩化金酸、硫化金等の他各種の金錯体として添加することができる。用いられる配位子化合物としては、ジメチルローダニン、チオシアン酸、メルカプトテトラゾール、メルカプトトリアゾール等を挙げることができる。金化合物の使用量は、ハロゲン化銀乳剤の種類、使用する化合物の種類、熟成条件などによって一様ではないが、通常は、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-4〜1×10-8モルであることが好ましい。更に好ましくは1×10-5〜1×10-8モルである。これらの化合物は、増感剤としてではなく、塗布液の調製段階などで種々の目的で添加することもできる。
【0054】
本発明に用いられるネガ型ハロゲン化銀乳剤の化学増感法としては、還元増感法を用いてもよい。
【0055】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料には、400〜900nmの波長域の特定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む層を有することもできる。該ハロゲン化銀乳剤は、1種または、2種以上の増感色素を組み合わせて含有する。
【0056】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤に用いる分光増感色素としては、公知の化合物をいずれも用いることができるが、青感光性増感色素としては、特開平3−251840号28ページに記載のBS−1〜8を単独でまたは組み合わせて好ましく用いることができる。緑感光性増感色素としては、同公報28ページに記載のGS−1〜5が好ましく用いられる。赤感光性増感色素としては同公報29ページに記載のRS−1〜8が好ましく用いられる。
【0057】
これらの増感色素の添加時期としては、ハロゲン化銀粒子形成から化学増感終了までの任意の時期でよい。また、これらの色素の添加方法としては、水またはメタノール、エタノール、フッ素化アルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド等の水と混和性の有機溶媒に溶解して溶液として添加してもよいし、増感色素を密度が1.0g/mlより大きい、水混和性溶媒の溶液または、乳化物、懸濁液として添加してもよい。
【0058】
増感色素の分散方法としては、高速撹拌型分散機を用いて水系中に機械的に1μm以下の微粒子に粉砕・分散する方法以外に、特開昭58−105141号に記載のようにpH6〜8、60〜80℃の条件下で水系中において機械的に1μm以下の微粒子に粉砕・分散する方法、特公昭60−6496号に記載の表面張力を3.8×10-2N/m以下に抑える界面活性剤の存在下に分散する方法、特開昭50−80826号に記載の実質的に水を含まず、pKaが5を上回らない酸に溶解し、該溶解液を水性液に添加分散し、この分散物をハロゲン化銀乳剤に添加する方法等を用いることができる。
【0059】
分散に用いる分散媒としては水が好ましいが、少量の有機溶媒を含ませて溶解性を調整したり、ゼラチン等の親水性コロイドを添加して分散液の安定性を高めることもできる。
【0060】
分散液を調製するのに用いることのできる分散装置としては、例えば、特開平4−125631号公報の第1図に記載の高速撹拌型分散機の他、ボールミル、サンドミル、超音波分散機等を挙げることができる。
【0061】
また、これらの分散装置を用いるに際し、特開平4−125632号に記載のように、あらかじめ乾式粉砕などの前処理を施した後、湿式分散を行う等の方法をとってもよい。
【0062】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、1種または、2種以上の増感色素を組み合わせて含有してもよい。
【0063】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤には、ハロゲン化銀カラー感光材料の調製工程中に生じるカブリを防止したり、保存中の性能変動を小さくしたり、現像時に生じるカブリを防止する目的で、公知のカブリ防止剤、安定剤を用いることができる。この様な目的で用いることのできる好ましい化合物の例として、特開平2−146036号公報の7ページ下欄に記載された一般式(II)で表される含窒素複素環メルカプト化合物を挙げることができ、更に好ましい具体的な化合物としては、同公報の8ページに記載の(IIa−1)〜(IIa−8)、(IIb−1)〜(IIb−7)の化合物や、特開2000−267235号公報の8ページ右欄32〜36行目に記載の化合物を挙げることができる。これらの化合物は、その目的に応じて、ハロゲン化銀乳剤粒子の調製工程、化学増感工程、化学増感工程の終了時、塗布液調製工程などの任意の工程で添加される。これらの化合物の存在下に化学増感を行う場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10-5〜5×10-4モル程度の量で好ましく用いられる。化学増感終了時に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10-6〜1×10-2モル程度の量が好ましく、1×10-5〜5×10-3モルがより好ましい。塗布液調製工程において、ハロゲン化銀乳剤層に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10-6〜1×10-1モル程度の量が好ましく、1×10-5〜1×10-2モルがより好ましい。また、ハロゲン化銀乳剤層以外の層に添加する場合には、塗布皮膜中の含有量として、1m2当り1×10-9〜1×10-3モル程度の量が好ましい。
【0064】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤には、種々の目的で他の添加剤を加えることができる。例えば、特開平2−146036号公報に具体的に記載されているA−20、C−1、C−9、C−14、C−15、C−16、C−40等のジスルフィド、ポリスルフィド化合物、D−1、D−3、D−6、D−8等のチオスルホン酸化合物、無機イオウ等を用いることが好ましい。
【0065】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料に用いられるカプラーとしては、発色現像主薬の酸化体とカップリング反応して340nmより長波長域に分光吸収極大波長を有するカップリング生成物を形成し得るいかなる化合物をも用いることが出来るが、特に代表的な物としては、波長域350〜500nmに分光吸収極大波長を有する本発明に係るイエロー色素形成カプラーの他に、波長域500〜600nmに分光吸収極大波長を有するマゼンタ色素形成カプラー、波長域600〜750nmに分光吸収極大波長を有するシアン色素形成カプラーとして知られているものが代表的である。
【0066】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料に用いられるマゼンタカプラーとしては、特開平8−328210号公報の2ページに記載の一般式M−IもしくはM−IIで示される化合物が好ましい。好ましい化合物の具体例としては、同号6ページから16ページに記載のMCP−1〜MCP−41を挙げることができる。更に、他の具体例としては、欧州公開特許第0,273,712号の6〜21頁に記載されている化合物M−1〜M−61及び同第0,235,913号の36〜92頁に記載されている化合物1〜223の中の上述の代表的具体例以外のものがある。
【0067】
該マゼンタカプラーは、他の種類のマゼンタカプラーと併用することもでき、通常、総マゼンタカプラー量としては、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-3モル〜1モル、好ましくは1×10-2モル〜8×10-1モルの範囲で用いることができる。
【0068】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料において、形成されるマゼンタ画像の分光吸収のλmaxは530〜560nmであることが好ましく、またλL0.2は、580〜635nmであることが好ましい。λL0.2とは、画像色素の分光吸光度曲線において、最大吸光度が1.0である時、最大吸光度を示す波長よりも長波で、吸光度が0.2となる波長をいう。この量は、画像色素の長波側の不要吸収の大きさを示す目安となる量であり、λmaxに近い波長であるほど不要吸収が小さく好ましいことを表す。
【0069】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料のマゼンタ画像形成層には、マゼンタカプラーに加えてイエローカプラーが含有されることが好ましい。本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料のマゼンタ画像形成性層に含有させる好ましいイエローカプラーとしては、公知のピバロイルアセトアニリド型もしくはベンゾイルアセトアニリド型等のカプラーが挙げられる。本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料のマゼンタ画像形成性層に含有させる好ましいイエローカプラーの具体例としては、例えば、特開平8−314079号公報の6〜15ページ右欄に記載のYCP−1〜YCP−39で表されるカプラーが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0070】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料において、シアン画像形成層中に含有されるシアンカプラーとしては、公知のフェノール系、ナフトール系又はイミダゾール系、アゾール系カプラーを用いることができる。例えば、アルキル基、アシルアミノ基、或いはウレイド基などを置換したフェノール系カプラー、5−アミノナフトール骨格から形成されるナフトール系カプラー、離脱基として酸素原子を導入した2当量型ナフトール系カプラーなどが代表される。このうち好ましい化合物としては、特開平6−95283号公報の13ページに記載の一般式[C−I]、[C−II]で表される化合物が挙げられる。
【0071】
アゾール系カプラーとしては、特開平8−171185号公報の2ページに記載の一般式〔I〕もしくは〔II〕で表されるピラゾロアゾール系カプラー、または、特開平11−282138号公報に記載の一般式(I)で表されるピロロアゾール系カプラーを挙げることができる。
【0072】
該シアンカプラーは、通常ハロゲン化銀乳剤層において、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-3〜1モル、好ましくは1×10-2〜8×10-1モルの範囲で用いることができる。
【0073】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料においては、公知のイエローカプラー、好ましくはアシルアセトアニリド系カプラー等を用いることができる。
【0074】
イエローカプラーの具体例としては、例えば、特開平3−241345号の5頁〜9頁に記載の化合物、Y−I−1〜Y−I−55で示される化合物、もしくは特開平3−209466号の11〜14頁に記載の化合物、Y−1〜Y−30で示される化合物も好ましく使用することができる。更に特開平6−95283号21ページ記載の一般式〔Y−I〕で表されるカプラー、特開2002−351023号に記載の一般式(I)、(II)の化合物等も挙げることができる。
【0075】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料において、形成されるイエロー画像の分光吸収のλmaxは425nm以上であることが好ましく、λL0.2は515nm以下であることが好ましい。
【0076】
該イエロー色画像の分光吸収のλL0.2とは、特開平6−95283号21ページ右欄1行〜24行に記載の内容で定義される値であり、イエロー色素画像の分光吸収特性で長波側の不要吸収の大きさを表す。
【0077】
該マゼンタ色画像、シアン色画像、及びイエロー色画像の分光吸収特性を調整するために、本発明に係る前記一般式(HBS−1)で表される化合物と共に、公知の色調調整作用を有する化合物を添加することができる。このための化合物としては、特開平6−95283号公報の22ページに記載の一般式[HBS−I]で示されるリン酸エステル系化合物、[HBS−II]で示されるホスフィンオキサイド系化合物が挙げられる。
【0078】
前記マゼンタ、シアン、イエローの各カプラーには、形成された色素画像の光、熱、湿度等による褪色を防止するため褪色防止剤を併用することができる。好ましい化合物としては、特開平2−66541号公報の3ページに記載の一般式IおよびIIで示されるフェニルエーテル系化合物、特開平3−174150号公報に記載の一般式IIIBで示されるフェノール系化合物、特開昭64−90445号公報に記載の一般式Aで示されるアミン系化合物、特開昭62−182741号公報に記載の一般式XII、XIII、XIV、XVで示される金属錯体が、特にマゼンタ色素用として好ましい。また、特開平1−196049号号公報に記載の一般式I′で示される化合物および特開平5−11417号公報に記載の一般式IIで示される化合物が、特にイエロー、シアン色素用として好ましい。
【0079】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料に用いられるステイン防止剤やその他の有機化合物を添加する際に、水中油滴型乳化分散法を用いる場合、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、または、分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程を組み入れてもよい。ステイン防止剤等を溶解して分散するために用いることのできる高沸点有機溶媒としては、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸エステル類、トリオクチルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類、特開平4−265975号公報の5ページに記載の(a−i)〜(a−x)を代表とする高級アルコール系化合物等が好ましく用いられる。また、高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0であることが好ましい。また、2種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
【0080】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料には、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で、種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができる。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることができるが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、特開平3−251840号公報の308ページに記載のAI−1〜11の染料および特開平6−3770号公報に記載の染料が好ましく用いられる。
【0081】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層のうち、最も支持体に近いハロゲン化銀乳剤層より支持体に近い側に少なくとも1層の耐拡散性化合物で着色された親水性コロイド層を有することが好ましい。着色物質としては、染料またはそれ以外の有機、無機の着色物質を用いることができる。
【0082】
本発明に用いられるハロゲン化銀カラー感光材料では、ハロゲン化銀乳剤層のうち、最も支持体に近いハロゲン化銀乳剤層より支持体に近い側に少なくとも1層の着色された親水性コロイド層に、白色顔料を含有していてもよい。例えば、ルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン、硫酸バリウム、ステアリン酸バリウム、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、カオリン等を用いることができるが、種々の理由から、中でも二酸化チタンが好ましい。白色顔料は、処理液が浸透できるような、例えば、ゼラチン等の親水性コロイドの水溶液バインダー中に分散される。白色顔料の塗布付量は、好ましくは0.1〜50g/m2の範囲であり、更に好ましくは0.2〜5g/m2の範囲である。
【0083】
支持体と、支持体から最も近いハロゲン化銀乳剤層との間には、白色顔料含有層の他に、必要に応じて、下塗り層、あるいは任意の位置に中間層等の非感光性親水性コロイド層を設けることができる。
【0084】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料中に、蛍光増白剤を添加することで白地性をより改良できる点で好ましい。蛍光増白剤は、紫外線を吸収して可視光の蛍光を発することのできる化合物であれば特に制限はないが、分子中に少なくとも1個以上のスルホン酸基を有するジアミノスチルベン系化合物であり、これらの化合物には、増感色素のハロゲン化銀カラー感光材料外への溶出を促進する効果もあり好ましい。他の好ましい一つの形態は、蛍光増白効果を有する固体微粒子化合物である。
【0085】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料においては、公知の各種界面活性剤を併せて用いることができる。感光材料に用いられる写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には、特開昭64−26854号に記載のA−1〜A−11が挙げられる。また、アルキル基に弗素原子を置換した界面活性剤も好ましく用いられる。これら界面活性剤を用いて乳化された油溶性添加剤の分散液は、通常、ハロゲン化銀乳剤を含有する塗布液に添加されるが、分散後塗布液に添加されるまでの時間、および塗布液に添加後塗布までの時間は短いほうがよく、各々10時間以内が好ましく、3時間以内、20分以内がより好ましい。
【0086】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料には、現像主薬酸化体と反応する化合物をハロゲン化銀乳剤層間に設けた中間層に添加して色濁りを防止したり、また、ハロゲン化銀乳剤層に直接添加してカブリ等を改良することが好ましい。このための化合物としてはハイドロキノン誘導体が好ましく、更に好ましくは2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノンのようなジアルキルハイドロキノンである。特に好ましい化合物は、特開平4−133056号に記載の一般式IIで示される化合物であり、同号13〜14ページ記載の化合物II−1〜II−14および17ページ記載の化合物1が挙げられる。
【0087】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料中には、紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり、色素画像の耐光性を改良することが好ましい。好ましい紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物としては特開平1−250944号に記載の一般式III−3で示される化合物、特開昭64−66646号に記載の一般式IIIで示される化合物、特開昭63−187240号に記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号に記載の一般式Iで示される化合物、特開平5−165144号に記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
【0088】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料には、油溶性染料や顔料を含有すると白地性が改良され好ましい。油溶性染料の代表的具体例は、特開平2−842号8ページ〜9ページに記載の化合物1〜27が挙げられる。
【0089】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料には、バインダーとしてゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じて他のゼラチン、例えば、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一あるいは共重合体のごとき合成親水性高分子物質等の親水性コロイドも用いることができる。
【0090】
これらバインダーに対する硬膜剤としては、ビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましい。特開昭61−249054号、同61−245153号に記載の化合物を使用することが好ましい。また、写真性能や画像保存性に悪影響するカビや細菌の繁殖を防ぐため、コロイド層中に特開平3−157646号に記載のような防腐剤および抗カビ剤を添加することが好ましい。また、ハロゲン化銀カラー感光材料または処理後のハロゲン化銀カラー感光材料表面の物性を改良するため、保護層に、例えば、特開平6−118543号や特開平2−73250号に記載の滑り剤やマット剤を添加することが好ましい。
【0091】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料に用いる支持体としては、どのような材質を用いてもよく、例えば、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートで被覆した紙、天然パルプや合成パルプからなる紙支持体、塩化ビニルシート、白色顔料を含有してもよいポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート支持体、バライタ紙などを用いることができる。なかでも、原紙の両面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体が好ましい。耐水性樹脂としては、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートまたはそれらのコポリマーが好ましい。
【0092】
紙の表面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体は、通常、50〜300g/m2の質量を有する表面の平滑なものが用いられるが、プルーフ画像を得る目的においては、取り扱い感覚を印刷用紙に近づけるため、130g/m2以下の原紙が好ましく用いられ、更に70〜120g/m2の原紙が好ましく用いられる。
【0093】
本発明に用いられる支持体としては、ランダムな凹凸を有するものであっても平滑なものであっても好ましく用いることができる。
【0094】
支持体に用いられる白色顔料としては、無機及び/または有機の白色顔料を用いることができ、好ましくは無機の白色顔料が用いられ、例えば、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等が挙げられる。白色顔料として好ましくは、硫酸バリウム、酸化チタンである。
【0095】
支持体の表面の耐水性樹脂層中に含有される白色顔料の量は、鮮鋭性を改良する観点からは13質量%以上が好ましく、更には15質量%以上が好ましい。
【0096】
紙支持体の両面を被覆する耐水性樹脂層における白色顔料の分散度は、特開平2−28640号公報に記載の方法で測定することができる。この方法で測定したときに、白色顔料の分散度が、前記公報に記載の変動係数として0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましい。
【0097】
本発明に用いられる両面に耐水性樹脂層を有する紙支持体の樹脂層は、1層であってもよいし、複数層からなってもよい。樹脂層を複数層とし、ハロゲン化銀乳剤層と接する面側に白色顔料を高濃度で含有させると鮮鋭性の向上効果が大きく、プルーフ用画像を形成するのに好ましい形態の1つである。
【0098】
また、支持体の中心面平均粗さ(SRa)の値としては0.15μm以下、更には0.12μm以下でことが、光沢性がよいという効果が得られる観点から好ましい。
【0099】
本発明に用いられるハロゲン化銀カラー感光材料は、必要に応じて支持体表面にコロナ放電、紫外線照射、火炎処理等を施した後、直接または下塗層(支持体表面の接着性、帯電防止性、寸度安定性、耐摩擦性、硬さ、ハレーション防止性、摩擦特性及び/またはその他の特性を付与するための1または2以上の下塗層)を介して塗布されていてもよい。
【0100】
ハロゲン化銀乳剤を用いたハロゲン化銀カラー感光材料の塗布に際して、塗布性を向上させる目的で、増粘剤を用いてもよい。塗布方法としては、2種以上の層を同時に塗布することのできるエクストルージョンコーティングまたはカーテンコーティングが特に有用である。
【0101】
本発明に係る感光材料の幅としては用途に応じて任意の幅の物を用いることができるが、プルーフの用途では400mm以上の幅が好ましく用いられる。800mmあるいはそれ以上の幅の感光材料も好ましく用いられる。
【0102】
次いで、本発明のハロゲン化銀カラー感光材料を用いた画像形成方法について説明する。
【0103】
本発明に用いられる露光装置の露光光源は、公知のものをいずれも好ましく用いることができるが、レーザーまたは発光ダイオード(以下、LEDと記す)がより好ましく用いられる。
【0104】
レーザーとしては、半導体レーザー(以下、LDと記す)がコンパクトであること、光源の寿命が長いことから好ましく用いられる。また、LDはDVD、音楽用CDの光ピックアップ、POSシステム用バーコードスキャナ等の用途や光通信等の用途に用いられており、安価であり、かつ比較的高出力のものが得られるという長所を有している。LDの具体的な例としては、アルミニウム・ガリウム・インジウム・ヒ素(650nm)、インジウム・ガリウム・リン(〜700nm)、ガリウム・ヒ素・リン(610〜900nm)、ガリウム・アルミニウム・ヒ素(760〜850nm)等を挙げることができる。最近では、青光を発振するレーザーも開発されているが、現状では、610nmよりも長波の光源としては、LDを用いるのが有利である。
【0105】
SHG素子を有するレーザー光源としては、LD、YAGレーザーから発振される光をSHG素子により半分の波長の光に変換して放出させるものであり、可視光が得られることから適当な光源がない緑〜青の領域の光源として用いられる。この種の光源の例としては、YAGレーザーにSHG素子を組み合わせたもの(532nm)等がある。
【0106】
ガスレーザーとしては、ヘリウム・カドミウムレーザー(約442nm)、アルゴンイオンレーザー(約514nm)、ヘリウムネオンレーザー(約544nm、633nm)等が挙げられる。
【0107】
LEDとしては、LDと同様の組成を有するものが知られているが、青〜赤外まで種々のものが実用化されている。
【0108】
本発明に用いられる露光光源としては、各レーザーを単独で用いてもよいし、これらを組合せ、マルチビームとして用いてもよい。LDの場合には、例えば、10個のLDを並べることにより10本の光束からなるビームが得られる。一方、ヘリウムネオンレーザーのような場合、レーザーから発した光をビームセパレーターで、例えば、10本の光束に分割する。
【0109】
露光用光源の強度変化は、LD、LEDのような場合には、個々の素子に流れる電流値を変化させる直接変調を行うことができる。LDの場合には、AOM(音響光学変調器)のような素子を用いて強度を変化させてもよい。ガスレーザーの場合には、AOM、EOM(電気光学変調器)等のデバイスを用いるのが一般である。
【0110】
光源としてLEDを用いる場合には、光量が弱ければ、複数の素子で同一の画素を重複して露光する方法を用いてもよい。
【0111】
また、これらに代わる光源として、有機発光素子を用いてもよく、これらについては、例えば、特開2000−258846号等に記載されている。
【0112】
光源の発光波長は、感光材料が十分な感度を有している波長領域であればいずれでも好ましく用いることができるが、色濁りを防止する意味で他の感光層と十分な感度差を有する波長領域を用いることが好ましい。感光材料のコントラストにも依存するが露光量の常用対数として0.6以上、好ましくは1.0以上の感度差があることが好ましい。この他に、光源の置かれた環境条件、動作条件などにより発光波長が変動するような場合には、分光感度のピーク波長に合わせることが理論上好ましく、これに関わってくる着色物質の分光吸収との関係も考慮して波長を選択することが好ましい。そのような例としては、特開平6−75342号、特開2001−83663号などが上げられる。また、発光波長だけでなく発光強度が変動する場合にも、分光感度との関係で発光波長を選択することが好ましく、その例としては、特開2002−72367号、及び日経ニューマテリアル1987年9月14日号54ページ等に記載されている。
【0113】
通常、面積階調露光であればY、M、C、墨の発色をさせることで目的を達することもできる。より好ましくは、墨に加えてM、C等の単色が発色したことを識別するには、3値以上の露光量を使い分けて露光することが好ましい。印刷においては、特別な色の版を用いることがあるが、これを再現するためには、4値以上の露光量を使い分けて露光することが好ましい。
【0114】
レーザー光源の場合には、ビーム径は25μm以下であることが好ましく、6〜22μmがより好ましい。6μmより小さいと画質的には好ましいが、調整が困難であったり、処理速度が低下したりする。一方、25μmより大きいとムラが大きくなり、画像の鮮鋭性も劣化する。ビーム径を最適化することによってムラのない高精細の画像の書き込みを高速で行うことができる。
【0115】
このような光で画像を描くには、ハロゲン化銀カラー感光材料上を光束が走査する必要があるが、ハロゲン化銀カラー感光材料を円筒状のドラムに巻き付け、これを高速に回転しながら回転方向に直角な方向に光束を動かす、いわゆる円筒外面走査方式をとってもよく、円筒状の窪みにハロゲン化銀カラー感光材料を密着させて露光する、いわゆる円筒内面走査方式も好ましく用いることができる。多面体ミラーを高速で回転させ、これによって搬送されるハロゲン化銀カラー感光材料を搬送方向に対して直角に光束を移動して露光する、いわゆる平面走査方式をとってもよい。高画質であり、かつ大きな画像を得る観点から、円筒外面走査方式がより好ましく用いられる。
【0116】
円筒外面走査方式で露光を行うには、ハロゲン化銀カラー感光材料を正確に円筒状のドラムに密着されなければならない。この密着を確実に行なうためには、正確に位置合わせして搬送する必要がある。本発明に用いられるハロゲン化銀カラー感光材料は、露光する側の面(ハロゲン化銀乳剤層塗設面側)が外側に巻かれたものがより的確に位置合わせでき、好ましく用いることができる。同様な観点から、本発明に用いられるハロゲン化銀カラー感光材料に用いられる支持体としては、適正な剛度があり、テーバー剛度で0.8〜4.0が好ましい。
【0117】
露光ドラム径は、露光するハロゲン化銀カラー感光材料の大きさに適合させて任意に設定することができる。露光ドラムの回転数も任意に設定できるが、レーザー光のビーム径、エネルギー強度、書き込みパターンやハロゲン化銀カラー感光材料の感度などにより、適切な回転数を選択することができる。生産性の観点からは、より高速な回転で走査露光できる方が好ましいが、具体的には1分間に200〜3000回転が好ましく用いられる。
【0118】
露光ドラムへのハロゲン化銀カラー感光材料の固定方法は、機械的な手段によって固定させてもよいし、ドラム表面に吸引できる微小な穴をハロゲン化銀カラー感光材料の大きさに応じて多数設けておき、ハロゲン化銀カラー感光材料を吸引して密着させることもできる。ハロゲン化銀カラー感光材料を露光ドラムにできるだけ密着させることが、画像ムラ等のトラブルを防ぐには重要である。
【0119】
画像形成に用いる装置としては、複数の感光材料を予めセットしておき、適宜感光材料を選択して使用する方式を好ましく用いることができる。この場合、2種類の感光材料は、例えば幅の違う感光材料であったり、面質(支持体の凹凸)が異なる感光材料であったりすることができる。感光材料の選択は、画像形成装置のスイッチなどで設定する方式であっても、画像データとともに設定情報を送信し、それに基づいて選択されるのでもよい。また画像データのサイズに応じて最適な感光材料のサイズを自動的に選択する事も有利に用いることができる。特別な場合には、同じ種類の感光材料を装填しておき、一方の感光材料が使い終わったとき、自動的に他方の感光材料を使うようにすることもでき、連続無人運転が可能となり有利に用いることができる。
【0120】
次いで、現像処理について説明する。
【0121】
本発明において、発色現像処理で用いられる芳香族一級アミン現像主薬としては、公知の化合物を用いることができる。これらの化合物の例として下記の化合物を挙げることができる。
【0122】
CD−1:N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン
CD−2:2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン
CD−3:2−アミノ−5−(N−エチル−N−ラウリルアミノ)トルエン
CD−4:4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ)アニリン
CD−5:2−メチル−4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ)アニリン
CD−6:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−(メタンスルホンアミド)エチル)−アニリン
CD−7:N−(2−アミノ−5−ジエチルアミノフェニルエチル)メタンスルホンアミド
CD−8:N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン
CD−9:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−メトキシエチルアニリン
CD−10:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−エトキシエチル)アニリン
CD−11:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(γ−ヒドロキシプロピル)アニリン
本発明においては、発色現像液は任意のpH域で使用できるが、迅速処理の観点からpH9.5〜13.0であることが好ましく、より好ましくはpH9.8〜12.0の範囲で用いられる。
【0123】
本発明に係る発色現像の処理温度は、35℃以上、70℃以下が好ましい。温度が高いほど短時間の処理が可能であり好ましいが、処理液の安定性からはあまり高くない方が好ましく、37℃以上、60℃以下で処理することがより好ましい。
【0124】
発色現像時間は、従来一般には3分30秒程度で行われているが、本発明では40秒以内が好ましく、更に25秒以内の範囲で行うことが更に好ましい。発色現像液には、前記の発色現像主薬に加えて、既知の現像液成分化合物を添加することができる。通常、pH緩衝作用を有するアルカリ剤、塩化物イオン、ベンゾトリアゾール類等の現像抑制剤、保恒剤、キレート剤などが用いられる。
【0125】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料は、発色現像後、漂白処理及び定着処理を施される。なお、漂白処理は定着処理と同時に行なってもよい。定着処理の後は、通常は水洗処理が行なわれる。また、水洗処理の代替として、安定化処理を行なってもよい。
【0126】
本発明に係るハロゲン化銀カラー感光材料の現像処理に用いる現像処理装置としては、処理槽に配置されたローラーにハロゲン化銀カラー感光材料を挟んで搬送するローラートランスポートタイプであっても、ベルトにハロゲン化銀カラー感光材料を固定して搬送するエンドレスベルト方式であってもよいが、処理槽をスリット状に形成して、この処理槽に処理液を供給するとともにハロゲン化銀カラー感光材料を搬送する方式や処理液を噴霧状にするスプレー方式、処理液を含浸させた担体との接触によるウエッブ方式、粘性処理液による方式なども用いることができる。大量にハロゲン化銀カラー感光材料を処理する場合には、自動現像機を用いてランニング処理されるのが通常であるが、この際、処理量に応じて補充を行う補充液量は少ない程好ましく、環境適性等より最も好ましい処理形態は、補充方法として錠剤の形態で処理剤を添加することであり、この方法としては、公開技報94−16935号に記載の方法が最も好ましい。
【0127】
インクジェット画像形成方法を用いる場合は、市販されている、インクジェットプリンターと専用紙を用いる方法でもいいが、専用紙と異なる被転写媒体へインクジェット方式により記録する方法が好ましい。具体的には、室温で固形のワックスインクを用いる相変化インクジェット方式、速乾性の有機溶剤を主体としたインクを用いるソルベント系インクジェット方式や、記録後紫外線(UV)光により架橋させるUVインクジェット方式などである。
【0128】
中でも、特開平6−200204号、特表2000−504778号等に開示されている紫外線硬化型インクジェット方式は、ソルベント系インクジェット方式に比べ比較的低臭気であり、速乾性、インク吸収性の無い記録媒体への記録が出来る点で、好ましい。この場合、記録紙は印刷紙を用い、インクは使用する印刷インクを用いることが好ましい。
【実施例】
【0129】
実施例1
《ハロゲン化銀カラー感光材料の作製》
片面に高密度ポリエチレンを、もう一方の面にアナターゼ型酸化チタンを15質量%の含有量で分散して含む溶融ポリエチレンをラミネートした、平米当たりの質量が115gのポリエチレンラミネート紙反射支持体(テーバー剛度=3.5、PY値=2.7μm)上に、下記表1に記載の構成からなる各層を、酸化チタンを含有するポリエチレン層面側に塗設し、更に裏面側にはゼラチン6.00g/m2、酸化チタン2.0g/m2、シリカマット剤0.65g/m2を含む層を塗設した多層ハロゲン化銀カラー感光材料である試料を作製した。この時の支持体の厚みは100μmであり、また塗布は、塗布速度250m/minで行った。
【0130】
カプラーは高沸点溶媒に溶解して超音波分散し、分散物として添加したが、この時、界面活性剤として(SU−1)を用いた。又、硬膜剤として(H−1)、(H−2)を添加した。また各層に(F−1)を全量が0.04g/m2となるように添加した。
【0131】
塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)を第8層に20mg/m2、界面活性剤(SU−3)を第1層に15mg/m2添加し、表面張力を調整した。
【0132】
【表1】

【0133】
SU−1:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム塩
SU−3:スルホ琥珀酸ジ(n−ヘキシル)・ナトリウム塩
H−1:テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン
H−2:2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム
HQ−1:2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン
HQ−2:2,5−ジ((1,1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカルボニル)ブチル)ハイドロキノン
HQ−3:2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノンと2,5−ジ−secテトラデシルハイドロキノンと2−sec−ドデシル−5−sec−テトラデシルハイドロキノンの質量比1:1:2の混合物
HQ−4:2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン
PVP:ポリビニルピロリドン
【0134】
【化1】

【0135】
【化2】

【0136】
【化3】

【0137】
上記試料の作製に用いた各感光性ハロゲン化銀乳剤は、以下の方法に従って調製した。
【0138】
(青感光性ハロゲン化銀乳剤の調製)
40℃に保温した2%ゼラチン水溶液1リットル中に、下記(A液)及び(B液)をpAg=7.3、pH=3.0に制御しつつ同時添加し、更に下記(C液)及び(D液)をpAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ同時添加した。この時、pAgの制御は、特開昭59−45437号公報に記載の方法に従って行い、pH制御は硫酸または水酸化ナトリウム水溶液を用いて行った。
【0139】
〈A液〉
塩化ナトリウム 3.42g
臭化カリウム 0.03g
水を加えて 200mlに仕上げた
〈B液〉
硝酸銀 10g
水を加えて 200mlに仕上げた
〈C液〉
塩化ナトリウム 102.7g
ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム 4×10-8モル
ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 2×10-5モル
臭化カリウム 1.0g
水を加えて 600mlに仕上げた
〈D液〉
硝酸銀 300g
水を加えて 600mlに仕上げた
添加終了後、花王アトラス社製のデモールNの5%水溶液と硫酸マグネシウムの20%水溶液とを用いて脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.71μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体の乳剤EMP−101を得た。
【0140】
上記乳剤EMP−101に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行い、青感光性ハロゲン化銀乳剤Em−B101を得た。
【0141】
チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX
塩化金酸 0.5mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10-4モル/モルAgX
増感色素:BS−1 4×10-4モル/モルAgX
増感色素:BS−2 1×10-4モル/モルAgX
臭化カリウム 0.2g/モルAgX
次いで、上記乳剤EMP−101の調製において、(A液)と(B液)の添加時間、及び(C液)と(D液)の添加時間とをそれぞれ変更した以外は同様にして、平均粒径0.64μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体の乳剤EMP−102を得た。
【0142】
上記青感光性ハロゲン化銀乳剤Em−B101の調製において、乳剤EMP−101に代えて、乳剤EMP−102を用いた以外同様にして、青感光性ハロゲン化銀乳剤Em−B102を調製し、Em−B101とEm−B102の1:1の混合物を第7層で用いる青感光性ハロゲン化銀乳剤とした。
【0143】
(緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
上記乳剤EMP−101の調製において、(A液)と(B液)の添加時間、及び(C液)と(D液)の添加時間とをそれぞれ変更した以外は同様にして、平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体の乳剤EMP−103を得た。
【0144】
上記乳剤EMP−102に対し、下記化合物を用い55℃にて最適に化学増感を行い、緑感光性ハロゲン化銀乳剤Em−G101を得た。
【0145】
チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX
塩化金酸 1.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10-4モル/モルAgX
増感色素:GS−1 1×10-4モル/モルAgX
増感色素:GS−2 1×10-4モル/モルAgX
増感色素:GS−3 2×10-4モル/モルAgX
塩化ナトリウム 0.5g/モルAgX
次いで、上記乳剤EMP−103の調製において、(A液)と(B液)の添加時間、及び(C液)と(D液)の添加時間をそれぞれ変更した以外は同様にして、平均粒径0.50μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体の乳剤EMP−104を得た。
【0146】
上記緑感光性ハロゲン化銀乳剤Em−G101の調製において、EMP−103に代えてEMP−104を用いた以外同様にして緑感光性ハロゲン化銀乳剤Em−G102を調製し、Em−G101とEm−G102の1:1の混合物を第5層で用いた緑感光性ハロゲン化銀乳剤とした。
【0147】
(赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
前記調製した乳剤EMP−103に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行い、赤感光性ハロゲン化銀乳剤Em−R101を得た。
【0148】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 2×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 2×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 2×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−4 1×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−1 1×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−2 1×10-4モル/モルAgX
強色増感剤:SS−1 2×10-4モル/モルAgX
次に、前記調製した乳剤EMP−103に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行い、赤感光性ハロゲン化銀乳剤Em−R102を得た。
【0149】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 2×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 2×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 2×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−4 1×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−1 2×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−2 2×10-4モル/モルAgX
強色増感剤:SS−1 2×10-4モル/モルAgX
上記調製した赤感光性ハロゲン化銀乳剤Em−R101と赤感光性ハロゲン化銀乳剤Em−R102の1:1の混合物を、第3層の赤感光性ハロゲン化銀乳剤として用いた。
【0150】
上記各感光性ハロゲン化銀乳剤の調製に用いた添加剤の詳細は、以下の通りである。
【0151】
STAB−1:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール
STAB−2:1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
STAB−3:1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
STAB−4:p−トルエンチオスルホン酸
【0152】
【化4】

【0153】
《画像の形成》
上記で得られた試料に対し、下記に記載する露光装置を用いて評価用網点画像チャートを走査露光により露光した。
【0154】
〔露光装置〕
下記の光源を有するドラム露光方式の露光装置を使用した。
【0155】
上記で得られた試料を毎分1000回転の回転ドラム外面に固定し、その回転に同期させて主走査及び副走査を行い網点画像からなる評価用網点画像チャートを露光した。
【0156】
露光装置は、光源としてBのLEDを主走査方向に10個並べ、露光のタイミングを少しづつ遅延させることによって同じ場所を10個のLEDで露光出来るように調整し、また、副走査方向にも10個のLEDを並べ、隣接する10画素分の露光が1度に出来る露光ヘッドを準備した。各ビームの径は約10μmで、この間隔でビームを配列し、副走査のピッチは約100μmとした。1画素当たりの露光時間は約100ナノ秒であった。
【0157】
露光方法
a.白地部露光なし。
b.白地部を均一露光で地色を発色。
c.白地部を2400dpiの画素で発色濃度が0になる出力値と0にはならない2種の出力値出力。発色濃度が0にならない出力値で出力している画素の出力値は、2種の出力値は、出力0の頻度は75%でランダムな配列で出力した際に目標となる印刷用紙の色調に合うように調整した。
d.白地部を2400dpiの画素で発色濃度が0になる出力値と0にはならない2種の出力値出力。発色濃度が0にならない出力値で出力している画素の出力値は、2種の出力値は、出力0の頻度は45%でランダムな配列で出力した際に目標となる印刷用紙の色調に合うように調整した。
e.白地部の隣接部の画素を発色濃度が0になる出力値で出力し、画像部に隣接しない部分についてと0にはならない2種の出力値出力。発色濃度が0にならない出力値で出力している画素の出力値は、印刷用紙の色調に合うように調整した。
f.白地部を2400dpiの画素で発色濃度が0になる出力値と0にはならない2種の出力値出力。ただし、画像部隣接部は、発色濃度が0になる出力値であり、隣接部以外の非画像部の画素は、出力0の頻度は75%でランダムな配列で出力。発色濃度が0にならない出力値で出力している画素の出力値は、目標となる印刷用紙の色調に合うように調整した。
【0158】
以上の露光パターンa〜fに対応する、網点画像の露光から得られた画像を図1に示す。得られた露光済みの各試料を下記現像処理により現像した。
【0159】
〔現像処理〕
処理工程 処理温度 処理時間 補充量(ml/m2
発色現像 38.0±0.3℃ 120秒 80ml
漂白定着 38.0±0.5℃ 90秒 120ml
安定化 30〜34℃ 60秒 150ml
乾燥 60〜80℃ 30秒
上記各処理工程で使用した処理液は、以下の通りである。
【0160】
〈発色現像液タンク液と補充液〉
タンク液 補充液
純水 800ml 800ml
トリエチレンジアミン 2g 3g
ジエチレングリコール 10g 10g
臭化カリウム 0.01g −
塩化カリウム 3.5g −
亜硫酸カリウム 0.25g 0.5g
N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)−4−アミノアニリン硫酸塩
2.9g 4.8g
N,N−ジスルホエチルヒドロキシルアミン 20.4g 18.0g
トリエタノールアミン 10.0g 10.0g
ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム塩 2.0g 2.0g
蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体)
2.0g 2.5g
炭酸カリウム 30g 30g
水を加えて全量を1リットルとし、タンク液はpH=10.0に、補充液はpH=10.6に調整した。
【0161】
〈漂白定着液タンク液及び補充液〉
ジエチレントリアミン五酢酸第二鉄アンモニウム2水塩 65g
ジエチレントリアミン五酢酸 3g
チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 100ml
2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール 2.0g
亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 27.5ml
水を加えて全量を1リットルとし、炭酸カリウム又は氷酢酸でpH=5.0に調整した。
【0162】
〈安定化液タンク液及び補充液〉
o−フェニルフェノール 1.0g
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
ジエチレングリコール 1.0g
蛍光増白剤(チノパールSFP) 2.0g
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g
硫酸亜鉛 0.5g
硫酸マグネシウム・7水塩 0.2g
PVP(ポリビニルピロリドン) 1.0g
アンモニア水(水酸化アンモニウム25%水溶液) 2.5g
ニトリロ三酢酸・三ナトリウム塩 1.5g
水を加えて全量を1リットルとし、硫酸又はアンモニア水でpH=7.5に調整した。
【0163】
《形成画像の評価》
以上のようにして形成した画像及び白地特性について、下記の測定及び評価を行った。
〔白地部の色調差ΔE1の測定〕
上記で得られた試料について白地部の色調差ΔE1を求めた。色調差ΔE1は、ミノルタ社製の分光測色計CM−2022を用い、照明と受光の幾何条件d−0、キセノンパルス光源を用いて測光し、2°視野補助標準の光D50でのL*、a*、b*の値を求め、印刷物の白地の値と、得られた試料との白地差の値から、ΔE1={(Δa*2+(Δb*2+(ΔL*21/2として求めた。結果を表2に白地色調として示す。
【0164】
〔印刷物近似性の評価〕
上記作製した各画像について、基準である印刷物との近似性を目視評価し、下記の基準に則り印刷物近似性と白地状態の感覚評価を行った。
◎:得られた画像が印刷物に対する近似性が非常に高い
○:得られた画像が印刷物に対する近似性が高く、良好である
△:得られた画像が印刷物に対し、一部で近似性に異なる部分がある
×:得られた画像が印刷物に対し、近似性が低い
結果を表2に印刷物近似性として示す。
【0165】
〔白地画素の濃度差ΔDの測定〕
上記作製した白地の網点画像部について、エックスライト社製の530型濃度計を用い、アパーチャ径2mmでランダムに50点の濃度測定を行い、画像濃度の最大値と最小値との濃度差ΔDを求めた。結果を表2に白地均一性として示す。
【0166】
〔墨網色調変動ΔEK50の評価〕
白地着色を行っていない物に対して、K網50%部の色差をΔE1の測定と同様の方法で求めた。結果を表2に墨網色調変動として示す。
【0167】
【表2】

【0168】
表2から、本発明の露光方法による試料は、いずれも優れた画像を与えたことが判る。
【0169】
実施例2
Y,M,C,Kインクおよび地色着色用にY,M,Cインクを混合希釈したインクを用いた、インクジエットプリンターを用いでマット用インクジェット用紙に出力を行った。その際地色を付けるために、実施例1のa〜fの出力パターンと同様にインクを出射した。(なお出力値0は出射なし。)
【0170】
【表3】

【0171】
表3から、本発明のインクジェット画像形成方法による試料は、いずれも優れた画像を与えたことが判る。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1】露光パターンa〜fに対応する、網点画像の露光から得られた画像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に少なくともシアン、マゼンタ、イエローを各々発色可能なハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀カラー感光材料に、印刷物と同一の画像データに基づいて画像露光する印刷物校正用の画像形成方法において、該画像データの非画像部を2種以上の異なる露光強度で露光し、かつ、該非画像部の少なくとも一種の画素サイズが3〜50μmになる露光であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
支持体上に少なくともシアン、マゼンタ、イエローを各々発色可能なハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀カラー感光材料に、印刷物と同一の画像データに基づいて画像露光する印刷物校正用の画像形成方法において、該画像データの非画像部のうち画像部に接する画素と接しない画素を異なる露光強度で露光することを特徴とする画像形成方法。
【請求項3】
支持体上に少なくともシアン、マゼンタ、イエローを各々発色可能なハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀カラー感光材料に、印刷物と同一の画像データに基づいて画像露光する印刷物校正用の画像形成方法において、該画像データの非画像部を2種以上の異なる露光強度で露光し、かつ、該非画像部の少なくとも一種の画素サイズが3〜50μmになる露光であり、更に、該画像データの非画像部のうち画像部に接する画素と接しない画素が異なる露光強度であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項4】
印刷媒体に、印刷物と同一の画像データに基づいてインクジェット画像を形成する印刷物校正用の画像形成方法において、該画像データの非画像部に2種以上の異なる濃度の画像を形成し、かつ、該非画像部の画像の少なくとも一種の画素サイズが3〜50μmになる画素であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項5】
印刷媒体に、印刷物と同一の画像データに基づいてインクジェット画像を形成する印刷物校正用の画像形成方法において、該画像データの非画像部のうち画像部に接する画素と接しない画素が異なる濃度であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項6】
印刷媒体に、印刷物と同一の画像データに基づいてインクジェット画像を形成する印刷物校正用の画像形成方法において、該画像データの非画像部に2種以上の異なる濃度の画像を形成し、かつ、該非画像部の画像の少なくとも一種の画素サイズが3〜50μmになる画素であり、更に、該画像データの非画像部のうち画像部に接する画素と接しない画素が異なる濃度であることを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−93724(P2007−93724A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−279808(P2005−279808)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】