画像形成方法
【課題】a−Si感光体を搭載した複写機・プリンタにおいてドラムヒ−ターを使用しなくても、高温高湿条件下で画像流れのない鮮明な画像を得る。特に、画像流れとクリーニング性、クリーニング部材耐久性を両立させ、長期に高画質を維持する。
【解決手段】クリーニング工程を有する、a−Si感光体101を使用したデジタル画像形成方法において、少なくともクリーニング工程に於いて、平均粒径が50〜500nmのペロブスカイト型結晶からなる研磨剤Mを介して感光体101の表面を摺擦する工程110と、感光体101の表面に被覆剤Sを塗布し、塗り伸ばす被覆工程111とを有する。
【解決手段】クリーニング工程を有する、a−Si感光体101を使用したデジタル画像形成方法において、少なくともクリーニング工程に於いて、平均粒径が50〜500nmのペロブスカイト型結晶からなる研磨剤Mを介して感光体101の表面を摺擦する工程110と、感光体101の表面に被覆剤Sを塗布し、塗り伸ばす被覆工程111とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転される像担持体と、像担持体を帯電する帯電工程と、帯電された像担持体に潜像を形成する潜像形成工程と、潜像を現像剤により現像剤像として現像する現像工程と、現像剤像を記録媒体に転写する転写工程と、を有する画像形成方法に関する。
【0002】
上記において、像担持体は電子写真感光体或いは静電記録誘電体等である。記録媒体は転写用紙等の記録材、或いはベルト型又はドラム型の中間転写体である。
【背景技術】
【0003】
近年、レーザプリンタ等のデジタル電子写真装置は、その画質の良さおよび高速プリントアウトなどの特徴で注目を浴びている。
【0004】
特に、アモルファスシリコン感光体(a−Si感光体)を使用した電子写真装置は、高感度、高安定性、高耐久性で、メンテナンス間隔が長かったり、ランニングコストの低減といった観点で好ましい。
【0005】
一方、電子写真装置の市場のニーズとして、小型化、高生産性化、省エネルギー化が進んでいる。高耐久な感光体を使用した電子写真装置に於いても、該感光体の小径化或いはより高速化、また環境ヒーターなどの温度制御手段を除去すること(ドラムヒーターレス)などが望まれている。
【0006】
a−Si感光体に代表される高耐久な感光体を使用したデジタル電子写真装置においては、従来の有機感光体(OPC)等のように表面層ごと帯電生成物を削り取る手法が使用できない。そのため、特にドラムヒーターレスでは高湿環境下で画像がボケる、いわゆる画像流れという画像欠陥が生じる場合があった。
【0007】
更に、a−Si感光体を小径化、或いは該a−Si感光体を使用した電子写真装置の高速化においては、各プロセス間、特に除電工程から主帯電工程までの時間が短くなり、帯電に際して過剰な電流を必要とする為、放電生成物の増量に伴い画像流れが悪化する。また、小型化においては各ユニットや感光体周りの空間の狭小化等に伴う、画像流れの悪化が生じる場合がある。
【0008】
これらの問題を解決する方法として、一次粒子の平均粒径と比抵抗を規定した2種の酸化チタン微粒子で表面処理されたトナーと、ポリウレタン発泡体からなるクリーニングローラを用いてa−Si感光体表面を研磨する方法が提案されている(特許文献1)。
【0009】
また、局在化した出力(罫線などの局在化した出力パターンを繰り返し)への対応として、磁気ブラシ部材とクリーニングブレードからなるクリーニング手段の上流側に除電光源を設ける。これにより、転写残トナーの静電力を弱め、該磁気ブラシから感光体表面への廃トナー再供給を均一化する方法が提案されている(特許文献2)。
【0010】
また、感光体表面の摺擦と帯電安定性を加味した方法として、クリーニング手段よりも上流側に除電手段を設け、さらに該クリーニング手段と該除電手段の間に摺擦手段を兼ねた注入帯電の補助帯電手段を使用する方法が提案されている(特許文献3)。
【0011】
また、平均粒径および電気抵抗値を規定した研磨剤を含有する現像剤を使用し、さらに弾性ローラからなる補助帯電部材を使用する方法が提案されている(特許文献4)。
【0012】
また、昨今では省エネルギーの観点からドラムヒーターレス、一方スリープ乃至は電源投入後即時プリントが市場ニーズの主流となっている。特に、スコロトロンなどのいわゆるコロナ帯電方式を採用した場合、長期放置後の画像形成時に高湿流れが発生する場合があった。この帯電による感光体表面の劣化抑止として脂肪酸金属塩などからなる保護剤を塗布する方法が提案されている(特許文献5)。
【0013】
また、研磨剤と潤滑剤を併用した例も提案されている(特許文献6)。
【特許文献1】特開2005−017524号公報
【特許文献2】特開平10 −049017号公報
【特許文献3】特開2003−091142号公報
【特許文献4】特開2001−042734号公報
【特許文献5】特開2005−115311号公報
【特許文献6】特開2005−165090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1の方法では、スポンジローラを使用しているため、罫線などの局在化した出力パターンを繰り返した時に、画像比率の差による研磨力の偏りが生じる場合があった。
【0015】
特許文献2の方法では、画像流れへの対策としては不十分である。
【0016】
特許文献3の方法では、補助帯電として注入帯電を使用しているため、高圧電源などの付帯装置の追加が必要であり、コスト高を免れない。
【0017】
特許文献4の構成では、特許文献1と同様に研磨力の偏りが生じる場合があった。なお、特許文献4に類する他の文献として、特開2001−005256号公報が挙げられる。
【0018】
特許文献5の方法は、感光体表面の帯電による磨耗の低減に注目し提案されたものであり、元来、長寿命な感光体を使用した場合の画像流れ、さらには該流れ抑止の為の保護剤の必要塗布量や、該保護剤の除去に対する開示が不十分である。。なお、特許文献5に類する他の文献として、特開2004−341480号公報、特開平08−202226号公報、特開2004−309939号公報、特開2004−109754号公報が挙げられる。
【0019】
特許文献6は、特にクリーニング部での潤滑剤としての作用効果を求めたものなどで、これらも流れに対する開示が不十分である。なお、特許文献6に類する他の文献として、特開2005−091979号公報、特開2004−053892号公報、特開2004−037734号公報、特開2003−140382号公報が挙げられる。
【0020】
本発明は、上述のごとき従来技術の問題点の解決を課題とする。具体的には、長期に渡って像担持体から帯電生成物を良好に除去できるクリーニング性を維持保持し、画像流れ等の画像欠陥を防止し、安定した画像特性を高水準で維持できる画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記の目的を達成するための本発明に係る画像形成方法の代表的な構成は、回転される像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電工程と、帯電された前記像担持体に潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像を現像剤により現像剤像として現像する現像工程と、前記現像剤像を記録媒体に転写する転写工程と、を有する画像形成方法において、前記転写工程から前記帯電工程の間で、平均粒径Dが30〜500nmである無機微粒子からなる研磨粒子介して前記像担持体の表面を摺擦する摺擦工程と、前記像担持体の表面に被覆剤を塗布し、塗り伸ばす被覆工程とを有する事を特徴とする画像形成方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明者らの検討の結果、特に磨耗量の少ない長寿命な像担持体において、特に画像流れを抑止し、長期に渡り高画質を維持するために、像担持体の表面に被覆剤をほぼ均一に塗布する。さらに、帯電生成物が付着した該被覆剤の塗布層を適宜除去し、新たな被覆剤を塗布することが有効である事を見出した。更に、該被覆剤の塗布必要量は像担持体の表面形状(粗さ)に依存する事を見出し、本発明に到った。
【0023】
すなわち、像担持体表面に対する塗布、塗伸ばし、除去が容易な被覆剤により像担持体表面へ帯電生成物が直接降積るのを抑止し、更に帯電生成物が付着した被覆剤層を適宜研磨剤で除去する事により画像流れを防止することができる。
【0024】
像担持体として、耐磨耗性が優れたa−Si感光体を使用した場合でも、帯電生成物を良好に掻き取ることができ、画像流れを防止できる。
【0025】
また、局在化した画像や、濃度が極端に低い画像等の出力で繰り返し使用(いわゆる耐刷)した場合の研磨力やクリーニングブレードへの負荷を均一化することができる。これにより、画像流れを防止するとともに、良好なクリーニング性を維持し、またクリーニングブレードや像担持体の損耗を抑制することができる。
【0026】
像担持体の表面形状と研磨剤の粒径の相関を規定した事で、帯電生成物を高効率に研磨除去すると主にクリーニング工程での特に長手方向への流動性を高めることができる。
【0027】
像担持体の表面粗さと被覆剤の塗布量の相関を規定する事で、最適な範囲で該被覆剤を塗布、塗り伸ばすことにより、流れの抑止、更に高画質と長寿命を両立できる。
【0028】
非接触現像方式である磁性1成分現像方式の採用で現像工程での研磨粒子の回収やそれに伴う現像特性の低下を抑止しする事ができる。また、研磨粒子のみならず高硬度な磁性トナーに依る像担持体表面の摺擦効果も重畳される。
【0029】
近接帯電方式、研磨粒子回収工程の付与等により、像担持体、クリーニング手段、帯電手段を含めたシステムの寿命を延ばすことができ、メンテナンスの負荷を低減する事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を詳細に説明する。
【実施例】
【0031】
《画像形成装置の構成》
図1に、本発明の画像形成方法を用いた画像形成装置の実施形態例を示す。この画像形成装置は、X方向(時計方向)に所定の速度で回転駆動される像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、感光体と記す)101を有する。この回転する感光体101は、帯電手段(主帯電手段)102により所定の極性・電位に一様に帯電処理される(帯電工程)。次いで、その一様帯電面に対して画像露光手段103により画像情報の露光がなされて、感光体101の面に、露光画像情報に対応した静電潜像が形成される(潜像形成工程)。次いで、その静電潜像が現像手段104で現像剤により現像剤像として可視像化される(現像工程)。その現像剤像が、感光体101と転写手段108との対向部である転写部において、記録媒体としての記録材(転写材)Pに対して順次に静電転写される(転写工程)。記録材Pは所定の制御タイミングで不図示の給紙手段部から給送され、レジスト手段112により転写部に対して所定の制御タイミングにて導入される。転写部を通った記録材Pは感光体101の面から分離され(分離工程)、搬送手段109により不図示の定着手段に導入される。定着手段は記録材P上の未定着の現像剤像を、熱、或いは熱と圧力、或いは圧力により記録材Pの面に固着画像として定着する(定着工程)。画像定着を受けた記録材Pが画像形成物として出力される。記録材分離後の感光体101の表面は後処理手段105により表面処理され、更にはイレーサランプ等の除電手段107により除電処理されて、繰り返して画像形成に供される。
【0032】
後処理手段105は、クリーニング容器105a内に、感光体101表面を研磨粒子(研磨剤)としての無機微粒子Mを介して摺擦する摺擦手段110を有している(摺擦工程)。又は感光体101表面を無機微粒子Mを介して摺擦し、更には過剰な無機微粒子を回収する摺擦手段110を有している。無機微粒子Mは後述するように平均粒径Dが30〜500nm、より好ましくは100〜300nmの粒子である。
【0033】
転写部において記録材分離後に感光体101の面に残留している転写残り現像剤(トナー)は摺擦手段110による感光体の表面に対する無機微粒子Mの摺擦・回収過程で感光体101表面から掻き落とされてクリーニング容器105a内の廃トナー部に貯留する。
【0034】
また、後処理手段105は、感光体101表面に被覆剤Sを塗布し、塗り伸ばす被覆剤の塗布手段111を有している(被覆工程)。塗布手段111は摺擦手段110よりも感光体101の回転方向下流側に位置させてある。
【0035】
感光体101の表面に対して、この表面に対する塗布、塗り伸ばし、除去が容易な被覆剤Sを塗布手段111により塗布することで、感光体表面に直接に帯電手段102や転写手段108による帯電生成物が付着するのを抑止することができる。更に、帯電生成物が付着した、感光体表面上の被覆剤層を摺擦手段110により無機微粒子Mによる摺擦で除去する事により画像流れを防止することができる。感光体101として、耐磨耗性が優れたa−Si感光体を使用した場合でも、帯電生成物を良好に掻き取ることができ、画像流れを防止できる。
【0036】
図1〜5、図7、図9の画像形成装置は、帯電手段102と転写手段108の両方共に、非接触帯電手段であるコロナ放電器を用いたものである。
【0037】
図6、図8、図10の画像形成装置は、帯電手段102と転写手段108の両方共に、接触帯電方式である帯電ローラを用いたものである。
【0038】
図11と図13の画像形成装置は、帯電手段102として近接帯電方式の電極板もしくは電極ローラを用い、転写手段108として接触帯電方式の帯電ローラを用いたものである。近接帯電は、帯電バイアスが印加される帯電部材と被帯電体との間に、ギャップ間電圧と補正パッシェンカーブで決まる放電可能領域を保証して例えば数10μmの微小間隙(隙間)を存在させて両者を非接触に対向させて被帯電体を帯電する帯電方式である。
【0039】
画像露光手段103は、例えば、レーザー走査露光手段である。LEDアレイ・螢光等などの光源と液晶シャッタ等の組み合わせなどによる、他のデジタル露光装置でもよい。画像結像投影光学装置等のアナログ露光手段でもよい。デジタル画像形成方法では、静電潜像形成方式として、画像情報と露光部との関係で、大きく分けて2つの方式がある。1つは、帯電した感光体101の表面に、画像情報の非画像部(背景部)を露光するバックグラウンド露光方式(背面露光方式:BAE、Back Area Exposure)である。もう1つは、帯電した感光体101の表面に、画像部を露光するイメージ露光方式(IAE、Image Area Exposure)である。BAE方式は、露光した背景部以外の部分を現像する正規現像方式が採用される。IAE方式は、逆に、非露光部分を現像する反転現像方式が採用される。
【0040】
像担持体が静電記録誘電体である場合は、その帯電処理面を除電針や電子銃等の除電手段で選択的に除電して静電潜像が形成される。
【0041】
現像手段104は、正規現像手段であっても、反転現像手段であってもよい。一般に、静電潜像のトナーによる現像方法には、1成分非接触現像方式と、1成分接触現像方式と、2成分接触現像方式と、2成分非接触現像方式と、の4種類に大別される。1成分非接触現像方式は、非磁性トナーをブレード等でスリーブ等の現像剤担持搬送部材上に塗布して、又は磁性トナーを現像剤担持搬送部材上に磁気力によって塗布して、像担持体に対して非接触状態で適用して静電潜像を現像する方法である。1成分接触現像方式は、上記のように現像剤担持搬送部材上に塗布した非磁性トナー又は磁性トナーを像担持体に対して接触状態で適用して静電潜像を現像する方法である。2成分接触現像方式は、トナーと磁性キャリアを混合した2成分現像剤を用いて磁気力により搬送して像担持体に対して接触状態で適用して静電潜像を現像する方法である。2成分非接触現像方式は、上記の2成分現像剤を像担持体に対して非接触状態で適用して静電潜像を現像する方法である。
【0042】
除電手段107に関して、図9〜11、13の画像形成装置は、転写手段108と後処理手段105の間に配してある。
【0043】
図4〜11、13の画像形成装置は、後処理手段105にブレードクリーニング手段(ブレードクリーニング工程)を具備させている。すなわち、感光体101のクリーニング手段として感光体101表面に当接させてクリーニングブレード106を配設し、このクリーニングブレード106により感光体表面を清掃させている。前記転写工程とこのブレードクリーニン工程の間に、前記摺擦工程及び前記被覆工程若しくは前記摺擦工程又は前記被覆工程がある。
【0044】
図7〜11、13の画像形成装置は、摺擦手段110と塗布手段111の両者の機能を同一の手段111で兼務させたものである。
【0045】
《被覆剤Sと塗布手段111》
被覆剤Sは、帯電手段102等で発生する帯電生成物質が、感光体101の表面に直接付着するのを防止するため、感光体の表面に実質的に全域に塗り伸ばされる必要がある。また、該被覆剤Sは帯電生成物が付着し、高湿環境下では感光体の表面と同様に低抵抗化するため、適宜除去される必要がある。更に、感光体の最表面に塗布されることから、潜像露光や除電光などの各光を透過させ、該感光体に到達させる窓材(透光性部材)としての機能、また帯電、現像、転写、クリーニング等の他の工程を阻害しない事も必要である。
【0046】
よって、いわゆる使い捨ての表面層として、該被覆剤Sには被膜生成容易性(軟らかくて塗伸ばしやすい)、掻き取り易さ、被膜の透明性、適宜な抵抗を有する事等が求められる。
【0047】
該被覆剤Sとしては、これらの物性から、フッ素系樹脂、脂肪酸金属塩、シリコーンオイル等の材料が挙げられる。中でも脂肪酸金属塩、特にステアリン酸亜鉛は、上記の各特性に優れ、また固体状への加工容易性も優れて好ましい。
【0048】
該被覆剤Sを感光体101の表面へ塗布する方法としては、粉末状、液状、あるいは該粉末状の材料を固体状に加工し、これらを直接塗りつける方法や、別途塗布部材を設けても良い。また、気体状の場合には噴霧などにより供給する事ができる。固体状に加工し、塗布部材を使用する形態は該被覆剤Sのメンテナンスや省スペース、また塗布量の制御も容易であり好ましい。
【0049】
塗布部材としては、ファーブラシ、スポンジ等の弾性部材、磁気ブラシ、ブレード状などの適宜の形態のものを使用できる。特に長寿命のシステムを考慮した場合、磁気ブラシを用いるのが好ましい。該磁気ブラシは構成上、長手方向(感光体軸線方向)への流動性を有し、均一塗布に優れ、また感光体としてアモルファスシリコンを使用した画像形成装置に、クリーニング補助手段として実用化されており、長寿命という観点でも有効である。
【0050】
ファーブラシは0.56〜3.33tex(5D〜30D)のファーブラシである時に良好な結果が得られた。0.56tex未満の場合にはファーが損耗や変形等により、塗布作用を長期に維持できなくなる場合がある。また3.33texを超える場合には感光体の損耗や塗布むらが生じる場合があった。tex(テクス)、D(デニール)は、何れも繊維の太さ(繊度)を示す単位である。従来、繊維の業界ではDが慣用されていたが、繊度の正式なSI単位はkg/mで、texは暫定併用単位となっている。相関は9D=1tex=1g/km=1×10−6kg/mである。
【0051】
弾性部材はAskerC硬度で5〜30°の範囲が好ましい。30°を超える硬い弾性部材では、塗布むらや感光体の損耗が生じる場合がある。また、5°未満の低硬度の弾性部材では、弾性部材が破損したり、外径が変化するなど、耐久性が低下する場合がある。
【0052】
磁気ブラシは適宜な磁性粒子コート厚規制部材を有した、マグネットローラや磁性体内包のスリーブ状のものを使用できる。また使用する磁性粒子も周知のものを使用できる。磁性粒子コート厚は、該磁性粒子の流動性と塗布能力を両立させる範囲が良く、具体的には数100μm〜数mmである。また、磁束密度や磁性粒子の磁化率などは、コート厚、塗布能力、磁性体流動性などから適宜な範囲で調整される。
【0053】
これらの塗布部材は、感光体表面に対して相対速度差を持って駆動される。また、特に長期放置後は、該放置により帯電生成物が蓄積している場合がある。該放置後の画像形成前等では塗布部材の駆動速度を、相対速度差を大きくなる様にして、摺擦性を向上させるなど、通常の画像形成時とは異なる速度で駆動する事も好ましい。
【0054】
該塗布部材の駆動条件として、感光体の面速度に対する相対速度[%]は、塗布部材の材料の物性、感光体の面速度や侵入圧等にもよるが、概ね−100〜+200%が良好な範囲である。−10〜+10%、および略連れ回りの+90〜+110%を除く範囲が好ましい。
【0055】
なお、該相対速度[%]は、+は感光体の回転方向に対し順方向、−はカウンター方向であり、例えば+100%は感光体と連れ回る状態、0%は停止状態、−100%は、感光体面速度と同速度でカウンター方向に回転している状態を指す。該相対速度の差は大きい方が良いが、大きすぎると部材の損耗が発生したりする場合がある。
【0056】
一方、塗布部材がブレード状の場合は、被覆剤塗布手段の簡略化の観点で好ましい。ブレード状塗布部材としては、クリーニングブレード106と同様の材料を使用することができる。特に摺擦・回収性のため、感光体との当接ニップ巾を広げたり、当接圧を上げる事が好ましい。ブレード状塗布部材はトナークリーニングを主目的としているわけではないので、感光体に対して設定角を鈍角に設定する等、設置条件を選択する事ができる。
【0057】
《無機微粒子M》
感光体101の表面に付着する帯電生成物を含む上記の被覆剤を摺擦除去する為の、研磨粒子(研磨剤)としての無機微粒子は、平均粒径Dが30〜500nmである事が好ましい。より好ましくは100nm〜300nmである。この粒径範囲の時、充分な摺擦・研磨作用を有し、更に流動性にも優れ、長手方向での均一な摺擦・研磨に好適である。
【0058】
無機微粒子Mは、ブレードクリーニング手段を有する系(図4〜11、13)では、クリーニングブレード106と感光体101のニップ直近のくさび形領域乃至はニップで、画像流れを効果的に防止しつつ、クリーニング阻止層乃至は潤滑剤としても働く。これにより、良好なクリーニング性を維持し、クリーニングブレード106や感光101の損耗を抑止して、長期に良好な画像を得る事ができる。
【0059】
30nm以下の小粒径の無機微粒子では摺擦・研磨作用が低減する場合がある。また、摺擦・回収手段での摺擦の均一性が低下する場合があった。一方、500nmを超えるような大粒径の無機微粒子の場合には、上記被覆剤Sで被覆された感光体101の微視的に均一な摺擦がされにくく、いわゆる粗削りとなる場合があった。また、ブレードクリーニング手段を有する系では、クリーニングブレード106と感光体101のニップ近傍、特にくさび形の部位に侵入しにくく、充分な摺擦作用が得られない場合がる。また、該くさび型部位、更にはクリーニングブレード106と感光体101のニップ部への侵入が、ニップ部長手方向で不均一となり、クリーニングブレード106乃至は感光体101の損耗が生じる場合があった。
【0060】
更には、無機微粒子Mはペロブスカイト型結晶構造を有する無機微粒子であることが好ましい。
【0061】
ペロブスカイト型の結晶構造を有する材料としては、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。これらの粒子は電子写真において、研磨剤として実用されており、また、粒径の制御も比較的行いやすく好ましい。
【0062】
無機微粒子の平均粒径については、電子顕微鏡にて5万倍の倍率で撮影した写真から100個の粒径を測定して、その平均を求めた。粒径は、一次粒子の最長辺をa、最短辺をbとしたとき、(a+b)/2として求めた。
【0063】
更に、該無機微粒子を現像剤に添加する場合は、トナー粒子に対する遊離率は20体積%以下であることが好ましく、15体積%以下が更に好ましい。
【0064】
ここで、遊離率とは、トナー粒子から遊離したペロブスカイト型結晶無機微粒子の割合を体積%で求めたものである。具体的には、パーティクルアナライザー(PT1000:横河電機(株)製)により公知の原理(「Japan Hardcopy 97論文集」65〜68頁(発行者:電子写真学会、発行日:1997年7月9日))で測定されたものである。
【0065】
更に詳しくは、遊離率は、結着樹脂の構成元素である炭素原子の発光と、ペロブスカイト型結晶無機微粒子の、構成原子の発光の同時性から、下記の式1により求めたものと定義する。
【0066】
遊離率(体積%)=「A/(B+A)]×100・・・式1
A:ペロブスカイト型結晶無機微粒子の構成原子のみの発光体
B:炭素原子と同時に発光したペロブスカイト型結晶無機微粒子の構成原子
の発光体積
発光体積Bにおける「炭素原子と同時に発光した」とは、炭素原子の発光から2.6msec.以内に発光したペロブスカイト型結晶無機微粒子の構成原子の発光をいう。そして、それ以降の、ペロブスカイト型結晶無機微粒子の構成原子の発光はペロブスカイト型結晶無機微粒子の構成原子のみの発光とする。
【0067】
本発明では、炭素原子と同時に発光したペロブスカイト型結晶無機微粒子の構成原子の発光は、トナー粒子表面に付着したペロブスカイト型結晶無機微粒子を測定している。ペロブスカイト型結晶無機微粒子の構成原子のみの発光は、トナー粒子から遊離したペロブスカイト型結晶無機微粒子を測定していることになり、これらを用いて遊離率を求める。
【0068】
該無機微粒子の形状は、不定形でも構わないが、稜線或いは角を有する、具体的には多角形状、乃至は直方体状である形状が好ましい。ペロブスカイト型結晶無機微粒子中の、粒子形状が稜線乃至は角を有する粒子の含有率を50個数%以上にすることで、更に効率的に帯電生成物の除去が行えるので好ましい。
【0069】
例えば円形度が0.930以下である事が好ましい。更に好ましくは0.870〜0.930である。これは、多角形、乃至、例えば図14(SEM写真)の如き直方体状である事を示す。
【0070】
上記の如き粒径、円形度の無機微粒子を使用する事で感光体の表面を均一に、高効率に摺擦でき、帯電生成物が付着した被覆剤を好適に除去できる。特にブレードクリーニング手段を有する系では、クリーニングブレード106と感光体101の当接ニップ直近に該無機微粒子が介在しやすく、クリーニング性の維持や、該クリーニングブレード106の損耗抑止にも効果を有する。
【0071】
無機微粒子の円形度は、電子顕微鏡にて50000倍で撮影された無機微粒子の拡大画像をコンピュータに取り込む。そして、SoftImagingSystem社製のソフトウェア「analySIS」にて、粒子投影面積と同じ円の周囲長と粒子投影像の周囲長を算出し、以下の式にて円形度を算出した。
【0072】
円形度=(粒子投影面積と同じ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
対象データは、画像から得られた30以上500nmの無機微粒子像(研磨剤像)の中から無作為に200サンプル抽出したものを用い、その平均値を算出した。
【0073】
ペロブスカイト型結晶の無機微粒子は、周知の焼結・粉砕法で製造できる。また、直方体状の微粉体は、例えば、硫酸チタニル水溶液を加水分解して得た含水酸化チタンスラリーのpHを調整して得たチタニアゾルの分散液に、ストロンチウムの水酸化物を添加して、反応温度まで加温することで合成することができる。該含水酸化チタンスラリーのpHは0.5〜1.0とすることで、良好な結晶化度及び粒径のチタニアゾルが得られる。
【0074】
又、チタニアゾル粒子に吸着しているイオンを除去する目的で、該チタニアゾルの分散液に、水酸化ナトリウムの如きアルカリ性物質を添加することが好ましい。このときナトリウムイオン等を含水酸化チタン表面に吸着させないために、該スラリーのpHを7以上にしないことが好ましい。又、反応温度は60℃〜100℃が好ましく、所望の粒度分布を得るためには昇温速度を30℃/時間以下にすることが好ましく、反応時間は3〜7時間であることが好ましい。
【0075】
上記の如き方法により製造された無機微粒子を脂肪酸又はその金属塩で表面処理を行う方法としては以下の方法がある。たとえば、Arガス又はN2ガス雰囲気下、無機微粒子スラリーを脂肪酸ナトリウム水溶液中に入れ、ペロブスカイト型結晶表面に脂肪酸を析出させることができる。また、たとえばArガス又はN2ガス雰囲気下、無機微粒子スラリーを脂肪酸ナトリウム水溶液中に入れ、撹拌しながら、所望の金属塩水溶液を滴下することで、ペロブスカイト型結晶表面に脂肪酸金属塩を析出、吸着させることができる。例えばステアリン酸ナトリウム水溶液と硫酸アルミニウムを用いればステアリン酸アルミニウムを吸着させることができる。
【0076】
《感光体101》
画像形成システムのメンテナンス負荷低減の為に、感光体101は長寿命な感光体が好ましい。
【0077】
a−Si感光体(アモルファスシリコン感光体)は、耐磨耗性、耐久に伴う電位安定性などに優れた長寿命感光体である。
【0078】
a−Si感光体は、その表面層が、シリコン原子及び炭素原子若しくはシリコン原子又は炭素原子を母体として水素原子及びハロゲン原子若しくは水素原子又はハロゲン原子を含有する非単結晶材料からなるものである。
【0079】
図15は、a−Si感光体の層構成の例を説明するための模式的構成図である。感光体1500は、支持体1501の上に、感光層1502が設けられている。該感光層1502は光導電層1503と、表面層1504と、必要に応じて設けられる電荷注入阻止層1505、同1506とから構成され、各層は周知のa−Si感光体用材料、及びプラズマCVDなど周知の製造方法で作成できる。
【0080】
なお、本発明において像担持体としての感光体は、その表面形状が規定された感光体であることが好ましい。
【0081】
感光体表面の10点平均粗さRzとしては、前記無機微粒子Mが効果的に流動したり、或いは該無機微粒子等の凝集体をほぐすために、該無機微粒子の平均粒径Dの0.5〜2倍(0.5≦Rz/D≦2.0)であることが好ましい。
【0082】
該Rz/Dは、大きすぎると、前記無機微粒子が効果的に流動する事ができない。一方、小さすぎても前記無機微粒子の転がりが生じ難くなる。
【0083】
また、感光体表面の表面形状が、特に画像流れに影響することが判明した。特に、感光体表面の表面粗さRaが大きくなると、流れは悪化する方向にある。また該画像流れを抑止する為の上記被覆剤の必要塗布量は該表面粗さRaに依存する事を見出した。
【0084】
具体的には、感光体表面の表面粗さRaが0.01μm以上0.100μm以下(コサカ/巨視的粗さ)である。この表面粗さRaと、被覆剤被覆工程での感光体表面に対する被覆剤当接領域に於ける単位面積あたり(被覆剤長手方向1cmあたり、感光体が1cm進んだ時)の被覆剤の塗布量T[μg/cm2]が、下式を満たす範囲が好ましい。
【0085】
T≧0.61×Ra+0.064
a−Si感光体の表面形状は、例えば支持体1501の切削や、回転ボールミル等による処理を行い、支持体1501の表面形状を調整した上で感光層1502を形成する事で制御する事ができる。
【0086】
具体的には、アルミシリンダー等の支持体1501を切削する際のバイトの種類、角度、或いは切削ピッチの調整により、該支持体の表面形状を制御することができる。また、製造されるa−Si感光体は、図16の如く、支持体1501の表面形状に応じた表面形状を有する。さらに、作成された感光体の表面を、研磨テープなどを用いて研磨し、表面形状を制御する事も可能である。また、a−Si感光層の成膜時の原料ガスの流量やプラズマ放電電力、基板温度等の成膜条件にも依存する。例えば、プラズマCVDで製造する場合、原料ガス流量を増やすとともに、放電電力/原料ガス流量比を増加させるとRzやRaが増加傾向になるなどである。
【0087】
これら表面形状を制御する手法は、単独で制御しても、また複合的に制御しても良い。
【0088】
上記の感光体表面形状(Rz、Ra)は、JISB0601:1994に対応した表面粗さ測定装置で測定する事ができる。
【0089】
具体的には、小坂研究所(メーカー)製サーフコーダSE−3400を使用し、測定長l=5mm、速度0.05mm/sec、カットオフλc0.8mm、JIS1994モードにて、クリーニングブレードの長手方向に相当する方向で測定を行った。
【0090】
《BAE方式とIAE方式》
前述したように、ジタル画像形成方法では、潜像形成方式として画像情報と露光部との関係で、大きく分けてIAE方式(イメージ露光方式)とBAE方式(バックグラウンド露光方式)がある。BAE方式はアナログ画像形成方式と同じでいわゆる正規現像方式が、一方IAE方式は感光体と現像剤が逆極性の反転現像方式が採用される。
【0091】
図17は、左側部に、IAE方式の1ラインの状態、即ち1ラインのみ光ビームONの状態を、右側部に、BAE方式の1ラインの状態、即ち1ラインのみ光ビームOFFの潜像状態と、現像バイアスのDC成分を示している。
【0092】
実線は現像工程時の感光体表面電位である。また、現像バイアスはIAE方式に於いてVdi、BAE方式に於いてVdbである。
【0093】
現像剤は静電付着力により感光体表面に現像されるが、該静電付着力は、各々ΔVl1=Vdi−Vi、ΔVh1=Vb−Vdbのコントラストに起因する。
【0094】
言い換えれば、図17の1ライン部において、IAE方式では現像剤は感光体の電位の井戸が深いほど、或いは感光体が低電位なほど強く付着する傾向がある。一方、BAE方式では感光体の電位の山が高いほど、或いは感光体が高電位なほど、強く付着する傾向がある。
【0095】
感光体の表面電位が減衰し、破線のような状態になると、BAE方式では現像剤の付着力が低減する事により、クリーニング工程に於いて、現像剤が感光体の長手方向へ移動しやすくなり、転写残現像剤や研磨粒子等がクリーニングブレードで均一に均される。また、感光体電位の減衰に伴い、画像部と非画像部の電位差が減少することも有効に働く。
【0096】
本発明の実施形態系では、クリーニング工程に突入する前に除電工程を通過するため、クリーニング工程時には、図17の一点鎖線の様に、更に低電位でまた画像部と非画像部の電位差が低減され、BAE方式でより有効に作用する。特に、a−Si感光体はOPC等と比較して電位の減衰が大きいため、より効果的である。
【0097】
更に、本発明者らの検討の結果、特にa−Si感光体を使用する系に於いては、除電工程から帯電工程までの時間が100msec以下のような短時間では、帯電電位の低下や、ゴーストと言われる画像欠陥が生じる場合がある。
【0098】
クリーニング工程から帯電工程までの時間が100msec以下となる様な系では、クリーニング工程より上流に除電工程を配することで、除電工程から帯電工程の時間を長くする事ができ、上記の点からも効果的である。
【0099】
IAE方式では非画像部(背景部)の電位が画像部より高い為、転写分離性能に関してはIAE方式よりもBAE方式の方がラチチュードは広く、この点でもBAE方式が有利である。
【0100】
《現像剤》
現像剤としては周知の現像剤を使用できる。特に、高速・超寿命のシステムに於いては、現像手段もメンテナンスフリーである事が好ましく、非接触磁性1成分現像方式であるジャンピング現像方式が、a−Si感光体の画像形成装置などで実用化されている。
【0101】
ジャンピング現像は非接触現像であるが故に、前述したの研磨剤としての無機微粒子Mがクリーニング工程等からのすり抜けを生じても、現像手段への回収をし難く、該無機微粒子の現像手段中での濃縮等に起因する画像特性の変動を防止できる。また、トナーが磁性トナーであり、磁性体による研磨作用付加や摺擦回収部材として磁性体を利用できるなどの付加的な作用も期待できる。
【0102】
磁性1成分現像剤は磁性トナー粒子と、外添剤からなる現像剤であるが、該磁性トナー粒子の粒子径は高画質、高精細から小さい方が好ましい。一方、小さすぎるとトナークリーニングが困難になる場合がある。また、一般にトナー粒径が小さくなると、付着力に対する静電的付着力の寄与率が小さくなり、BAE方式の作用効果の観点からも小さすぎない方が好ましい。
【0103】
該トナー粒子の重量平均粒子径X(μm)は、4μm乃至12μmが好ましい範囲である。
【0104】
更に、フロー式粒子像測定装置で計測される円相当径3μm以上400μm以下のトナー粒子における平均円形度が0.930以上0.970未満(好ましくは0.935以上0.970未満)であることが好ましい。
【0105】
平均円形度aは高い方が離形性に優れる。即ち、付着力を低減できクリーニング性に有利であるほか、転写効率も向上する。一方、球形など、円形度が高すぎる場合にはクリーニングブレード部での流動性が低下し上記の研磨剤としての無機微粒子等を該クリーニングブレードの長手方向に均一に均す作用が低下してしまう。結果として、上記無機微粒子の作用や、クリーニング性の低下を招く場合がある。
【0106】
円形度はトナー粒子の、凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。
【0107】
平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものである。本発明ではシスメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA−2100を用いて23℃、60%RHの環境下で測定を行う。円相当径0.60μm〜400μmの範囲内の粒子を測定し、そこで測定された粒子の円形度a’を下記の式2により求める。円相当径3μm以上400μm以下の粒子において、該円形度a’の総和を全粒子数で除した値を平均円形度aと定義する。
【0108】
円形度a’=L0/L・・・式2
式2において、L0は粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長を示し、Lは512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理した時の粒子投影像の周囲長を示す。
【0109】
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02g加え、均一に分散させる。
【0110】
分散させる手段としては、超音波分散機「Tetora150型」(日科機バイオス社製)を用い、2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。また、円形度のバラツキを抑えるため、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100の機内温度が26〜27℃になるよう装置の設置環境を23℃±0.5℃にコントロールする。そして、一定時間おきに、好ましくは2時間おきに2μmラテックス粒子を用いて自動焦点調整を行う。
【0111】
トナー粒子の円形度測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナー粒子濃度が3000〜1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、トナー粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、円相当径3μm未満のデータをカットして、トナー粒子の平均円形度を求める。
【0112】
円形度a’の個数基準の円形度分布において、0.900以上の円形度a’を有する粒子が90個数%以上存在することが好ましい。平均円形度を制御した作用が有効に働き、上記クリーニング性や、クリーニングブレード長手方向の均一性を好適に維持できる。
【0113】
磁性トナー粒子の製造には、周知の粉砕法、重合法など、周知の方法を使用することができる。また、製造手段も混合機、混練機、粉砕機、分級機、篩い装置、何れも公知の装置を使用することができる。また、円形度の制御も公知の機械式や熱による表面改質手段を使用したり、重合条件を調整して制御することができる。また、トナー粒子に使用する結着樹脂、磁性体、ワックス等の添加剤、またトナー粒子に外添する添加剤は周知の物を使用することができる。
【0114】
《帯電方式》
感光体の帯電方式は、コロナ帯電方式、接触帯電方式、またこれらの中間に位置する、いわゆる近接帯電方式など、周知の帯電方式が使用できる。
【0115】
また、印加する帯電バイアスも、DCバイアスのみでも、DCバイアスにACバイアスを重畳(AC/DCと称する)してもよい。
【0116】
一般にコロナ帯電方式よりも接触帯電方式、近接帯電方式の方が、発生するオゾンやNOx等の生成物の量が少ない。また、該接触、および近接帯電方式は、小型での帯電性能に優れ、画像形性装置を小型化する場合に有効である。
【0117】
近接帯電方式は、接触帯電とほぼ同等のバイアスで、また感光体に接触していないため帯電部材表面が汚染され難い、更に該感光体と該帯電手段の空隙部で気流が生じるため、帯電生成物が帯電領域に蓄積され難い。
【0118】
近接帯電方式に於いて、感光体と帯電手段の空隙間隔は、最近接部で500μm以下、好ましくは20〜300μm、より好ましくは100μm以下、最適には50μm以下であり、感光体との距離が大きい(数mm)コロナ帯電とは区別されるものである。
【0119】
この空隙は、大きすぎた場合には帯電が不安定になりやすく、また、小さすぎた場合には、感光体に残留した研磨粒子等が存在する場合に、帯電部材表面が汚染されてしまう可能性がある。
【0120】
近接帯電の帯電手段102の形状は、例えば図11、図12の(1)や(2)のように、近接帯電手段102としての電極部材は、感光体101に近接させた状態で固定したものであっても、或いは図13のようにローラ乃至はベルト状の可動部材であっても良い。感光体との空隙が維持できるように、帯電手段102の画像領域外にスペーサーなどの部材を設ける事もできる。近接帯電部材の材料は周知のものが使用できるが、接触帯電手段と比較して高硬度に設定されるのが一般的である。空隙を維持できる硬度であれば良い。
【0121】
特に可動式の場合、実質的に表面積を稼ぐ事ができ、部材を長寿命化したり、清掃手段の付与などが容易である。
【0122】
《無機微粒子Mの摺擦、回収手段110》
前述した研磨粒子として無機微粒子Mを介して感光体101の表面を摺擦、及び/又は該無機微粒子Mを回収する摺擦・回収手段110としては、ファーブラシ、弾性部材、磁気ブラシ等の適宜の形態の部材を使用することができる。
【0123】
ブレードクリーニング手段を有する系では、クリーニングブレード106の負荷を低減し、損耗を抑止するのにも効果的である。
【0124】
該摺擦、回収手段110は、前述した被覆剤塗布手段111と同様の部材を使用することができる。
【0125】
また、これらの摺擦・回収部材において、該無機微粒子Mを回収する為、該無機微粒子Mとは逆極性のバイアスを印加する事も好ましい。
【0126】
《無機微粒子の製造例》
下記製造例にて、チタン酸ストロンチウムからなる、研磨粒子としてのペロブスカイト型結晶無機微粒子を作成した。
【0127】
1)製造例1
四塩化チタン水溶液にアンモニア水を添加することにより加水分解して得られた含水酸化チタンを純水で洗浄し、該含水酸化チタンのスラリーに含水酸化チタンに対するSO3として0.3%の硫酸を添加した。
【0128】
次に、該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを0.6に調整してチタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを5.0に調整し、上澄み液の電気伝導度が50μS/cmになるまで洗浄をくり返しした。
【0129】
該含水酸化チタンに対し、0.97倍モル量のSr(OH)2・8H2Oを加えてSUS製の反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、SrTiO3換算で0.6mol/リットルになるように蒸留水を加えた。窒素雰囲気中で該スラリーを60℃まで10℃/時間で昇温し、60℃に到達してから7時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後、純水で洗浄をくり返し、その後、ヌッチェで濾過を行った。得られたケーキを乾燥し、焼結工程を経由していないチタン酸ストロンチウム微粒子を得た。
【0130】
このチタン酸ストロンチウム微粒子を無機微粒子Aとした。該無機微粒子Aの物性を表1に示す。
【0131】
2)製造例2
四塩化チタン水溶液にアンモニア水を添加することにより加水分解して得られた含水酸化チタンを純水で洗浄し、該含水酸化チタンのスラリーに含水酸化チタンに対するSO3として0.25%の硫酸を添加した。次に、該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを0.65に調整してチタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを4.7に調整し上澄み液の電気伝導度が50μS/cmになるまで洗浄をくり返しした。
【0132】
該含水酸化チタンに対し、0.95倍モル量のSr(OH)2・8H2Oを加えてSUS製反応容器に入れ、窒素ガス置換した。さらにSrTiO3換算で0.6mol/リットルになるように蒸留水を加えた。
【0133】
窒素雰囲気中で該スラリーを65℃まで10℃/時間で昇温し、65℃に到達してから8時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後純水で洗浄をくり返した。
【0134】
さらに窒素雰囲気下、上記スラリーをスラリーの固形分に対して2質量%のステアリン酸ナトリウムを溶解した水溶液中に入れ、撹拌しながら、硫酸マグネシウム水溶液を滴下して、ペロブスカイト型結晶表面にステアリン酸マグネシウムを析出させた。
【0135】
該スラリーを純水でくり返し洗浄した後ヌッチェで濾過し、得られたケーキを乾燥してステアリン酸マグネシウムで表面処理したチタン酸ストロンチウム微粒子を得た。
【0136】
この焼結工程を経由していない表面処理されたチタン酸ストロンチウム微粒子を無機微粒子Bとする。該無機微粒子Bの物性を表1に示す。
【0137】
3)製造例3
上記製造例2に対し、添加する硫酸の量やpH、スラリー昇温温度や反応時間を調整してチタン酸ストロンチウム微粒子からなる無機微粒子Cを得た。該無機微粒子Cの物性を表1に示す。
【0138】
4)製造例4
硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チタンスラリーをアルカリ水溶液で洗浄した。次に、該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを0.7に調整してチタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを5.0に調整し、上澄み液の電気伝導度が70μS/cmになるまで洗浄をくり返しした。
【0139】
該含水酸化チタンに対し、0.98倍モル量のSr(OH)2・8H2Oを加えてSUS製の反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、SrTiO3換算で0.5mol/リットルになるように蒸留水を加えた。窒素雰囲気中で該スラリーを80℃まで7℃/時間で昇温し、80℃に到達してから6時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後、純水で洗浄をくり返し、その後、ヌッチェで濾過を行った。得られたケーキを乾燥し、焼結工程を経由していないチタン酸ストロンチウム微粒子を得た。
【0140】
このチタン酸ストロンチウム微粒子を無機微粒子Dとした。該無機微粒子Dの物性を表1に示す。
【0141】
また、この無機微粒子Dの電子顕微鏡にて5万倍の倍率で撮影した写真を図14に示す。図14において、平均1次粒径Dが100nmの直方体状のチタン酸ストロンチウム微粒子が見える。
【0142】
5)製造例5
硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チタンスラリーをアルカリ水溶液で洗浄した。次に、該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを0.8に調整してチタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを5.0に調整し、上澄み液の電気伝導度が70μS/cmになるまで洗浄をくり返しした。
【0143】
該含水酸化チタンに対し、0.95倍モル量のSr(OH)2・8H2Oを加えてSUS製の反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、SrTiO3換算で0.7mol/リットルになるように蒸留水を加えた。窒素雰囲気中で該スラリーを65℃まで8℃/時間で昇温し、65℃に到達してから5時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後、純水で洗浄をくり返し、その後、ヌッチェで濾過を行った。得られたケーキを乾燥し、焼結工程を経由していないチタン酸ストロンチウム微粒子を得た。
【0144】
このチタン酸ストロンチウム微粒子を無機微粒子Eとした。該無機微粒子Eの物性を表1に示す。
【0145】
6)製造例6
上記製造例5に対して、pH、加えるSr(OH)2・8H2Oの、含水酸化チタンに対するモル量、スラリー昇温温度や反応時間を調整してチタン酸ストロンチウム微粒子Fを得た。該無機微粒子Fの物性を表1に示す。
【0146】
7)製造例7
硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チタンスラリーをアルカリ水溶液で洗浄した。次に、該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを1.5に調整してチタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを5.3に調整し上澄み液の電気伝導度が100μS/cmになるまで洗浄をくり返しした。
【0147】
該含水酸化チタンに対し、1.07倍モル量のSr(OH)2・8H2Oを加えてSUS製反応容器に入れ、窒素ガス置換した。さらにSrTiO3換算で0.3mol/リットルになるように蒸留水を加えた。
【0148】
窒素雰囲気中で該スラリーを87℃まで70℃/時間で昇温し、87℃に到達してから5時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後純水で洗浄をくり返した。
【0149】
さらに窒素雰囲気下、上記スラリーをスラリーの固形分に対して1質量%のステアリン酸ナトリウムを溶解した水溶液中に入れ、撹拌しながら、硫酸亜鉛水溶液を滴下して、ペロブスカイト型結晶表面にステアリン酸亜鉛を析出させた。
【0150】
該スラリーを純水でくり返し洗浄した後ヌッチェで濾過し、得られたケーキを乾燥してステアリン酸亜鉛で表面処理したチタン酸ストロンチウム微粒子を得た。
【0151】
この一次粒子の平均粒径が320nmのチタン酸ストロンチウム微粒子をGとした。無機微粒子Gの物性を表1に示す。
【0152】
8)製造例8
四塩化チタン水溶液にアンモニア水を添加することにより加水分解して得られた含水酸化チタンを上澄み液の電気伝導度が90μS/cmになるまで純水で洗浄した。
【0153】
該含水酸化チタンに対し、1.5倍モル量のSr(OH)2・8H2Oを加えてSUS製反応容器に入れ、窒素ガス置換した。さらにSrTiO3換算で0.2mol/リットルになるように蒸留水を加えた。
【0154】
窒素雰囲気中で該スラリーを80℃まで15℃/時間で昇温し、80℃に到達してから5時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後純水で洗浄をくり返した。
【0155】
さらに窒素雰囲気下、上記スラリーをスラリーの固形分に対して18質量%のステアリン酸ナトリウムを溶解した水溶液中に入れ、撹拌しながら、硫酸亜鉛水溶液を滴下して、ペロブスカイト型結晶表面にステアリン酸亜鉛を析出させた。
【0156】
該スラリーを純水でくり返し洗浄した後ヌッチェで濾過し、得られたケーキを乾燥してステアリン酸亜鉛で表面処理したチタン酸ストロンチウム微粒子を得た。
【0157】
この一次粒子の平均粒径が350nmのチタン酸ストロンチウム微粒子Hとした。該無機微粒子Hの物性を表1に示す。
【0158】
9)製造例9
製造例8に対して、上澄み液の電気伝導度、加えるSr(OH)2・8H2Oの量、昇温温度や反応時間を調整して、一次粒子の平均粒径が420nmのチタン酸ストロンチウム微粉体Iとした。該無機微粒子Iの物性を表1に示す。
【0159】
10)製造例10
製造例8に対して、上澄み液の電気伝導度、加えるSr(OH)2・8H2Oの量、昇温温度や反応時間を調整して、一次粒子の平均粒径が500nmのチタン酸ストロンチウム微粒子Jとした。該無機微粒子Jの物性を表1に示す。
【0160】
11)製造例11
一次粒子の平均粒径が130nmの、結晶形状が不定形のチタン酸ストロンチウム微粒子Kとした。該無機微粒子Kの物性を表1に示す。
【0161】
12)製造例12
一次粒子の平均粒径が280nmの、結晶形状が不定形のチタン酸ストロンチウム微粒子Lとした。該無機微粒子Lの物性を表1に示す。
【0162】
13)製造例13
無機微粉体Eを1000℃で焼結した後に解砕して焼結工程を経由したチタン酸ストロンチウム微粒子を得た。一次粒子の平均粒径が500nmであり、不定形な粒子形状を有するチタン酸ストロンチウム微粒子を無機微粒子Mとした。該無機微粒子Mの物性を表1に示す。
【0163】
14)製造例14
塩化チタン100g/l(TiCl4)水溶液300mlにTiと同当量の炭酸ストロンチウム(SrCO3)を溶解し、窒素雰囲気下で溶液中の塩素イオンと同当量の水酸化カリウム(KOH)を加え、オートクレープ中で140℃、3時間攪拌過熱した。生成物の濾過、洗浄、乾燥を施して、チタン酸ストロンチウム微粒子Nを得た。該微粒子Nは一次粒子の平均粒径が190nmであり、球形な粒子形状を有する。該無機微粒子Nの物性を表1に示す。
【0164】
14)比較製造例1
硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チタンスラリーをアルカリ水溶液で洗浄した。次に、該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを4.0に調整してチタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを8.0に調整し、上澄み液の電気伝導度が100μS/cmになるまで洗浄をくり返しした。
【0165】
該含水酸化チタンに対し、1.02倍モル量のSr(OH)2・8H2Oを加えてSUS製の反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、SrTiO3換算で0.3mol/リットルになるように蒸留水を加えた。窒素雰囲気中で該スラリーを90℃まで30℃/時間で昇温し、90℃に到達してから5時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後、純水で洗浄をくり返し、その後、ヌッチェで濾過を行った。得られたケーキを乾燥し、一次粒子の平均粒径が25nmのチタン酸ストロンチウム微粒子を得た。
【0166】
このチタン酸ストロンチウム微粒子を比較微粉体Aとした。該比較微粉体Aの物性を表1に示す。
【0167】
15)比較製造例2
一次粒子の平均粒径が620nmのチタン酸ストロンチウム微粒子を得た。このチタン酸ストロンチウム微粒子を比較微粒子Bとした。該比較微粒子Bの物性を表1に示す。
【0168】
16)比較製造例3
一次粒子の平均粒径が24nmの、結晶形状が不定形なチタン酸ストロンチウム微粒子を得た。
【0169】
このチタン酸ストロンチウム微粒子を比較微粒子Cとした。該比較微粒子Cの物性を表1に示す。
【0170】
17)比較製造例4
一次粒子の平均粒径が530nmの、結晶形状が不定形なチタン酸ストロンチウム微粒子を得た。
【0171】
このチタン酸ストロンチウム微粒子を比較微粒子Dとした。該比較微粒子Dの物性を表1に示す。
【0172】
18)比較製造例5
炭酸ストロンチウム600gと酸化チタン350gをボールミルにて、8時間湿式混合した後、ろ過乾燥し、この混合物を10kg/cm2の圧力で成形して1200℃で7時間焼結した。これを、機械粉砕して、焼結工程を経由した一次粒子の平均粒径が700nmチタン酸ストロンチウム微粒子を得た。
【0173】
このチタン酸ストロンチウム微粒子を比較微粒子Eとした。該比較微粒子Eの物性を表1に示す。
【0174】
【表1】
【0175】
《感光体の製造例》
下記製造例にて、a−Si感光体を作成した。
【0176】
外径80mm(φ80と記載する)の支持体の表面を、市販の切削旋盤を使用して切削した。R形状のバイトの種類を振った支持体、平バイトの設置角度及び侵入量を制御した支持体を作成した。また、回転ボールミルを用い、粒径の異なる金属球をシリンダーに衝突させ、不規則な形状の支持体を作成した。
【0177】
a−Si感光体の分光感度ピークは大略660〜700nm、また表面層の抵抗率は2×1016Ω・cmであった。
【0178】
感光層の成膜状件は表2の条件に固定し、RF−CVDで成膜して、正帯電のa−Si感光体P01〜P05を作成した。
【0179】
また、感光体P01等同一の方法で作成した感光体をバフ研磨し、感光体P06〜P07を得た。
【0180】
また、成膜条件、特に光導電層部および電荷注入阻止層部のPower、基板温度およびガス流量を調整し感光体P08〜P12を作成した。
【0181】
作成した感光体P01〜P12の表面形状を測定した。結果を表3に示す。
【0182】
【表2】
【0183】
【表3】
【0184】
本例では詳細は割愛するが、プラズマCVDの条件を振ることでも表面形状を制御できる。例えば、ガス流量を増加させるとともに、放電電力/ガス流量を増加させると、感光体表面の10点平均粗さRzや表面粗さRaが増加する、などである。
【0185】
表3の感光体P01〜P07の表面形状Rzを、表1の無機微粒子A〜N、比較微粒子A〜Eの各平均1次粒径Dで除した結果を表4に示す。
【0186】
【表4】
【0187】
《被覆剤Sの製造例》
下記製造例にて、被覆剤Sを作成した。
【0188】
市販のステアリン酸亜鉛(堺化学工業製SZ−2000)を用意した。微粉末状態のままのものと、A3長の直方体状に成型した固体状のものとを用意した。固体状成型品の硬度はJIS鉛筆硬度でH〜Fであった。
【0189】
《被覆剤塗布手段111の製造例》
上記被覆剤Sを感光体101の表面に塗布する手段としては、現像剤に外添し、現像手段から供給する方法もある。しかし、この場合は、現像スリーブが被覆剤で汚染され、現像濃度低下などの弊害が出る場合があるため、下記の如く別途、被覆剤塗布部材111を設けた。
【0190】
A.直接塗布部材
上記被覆剤Sの固体状成型品を、図18の如く、バネ111−1を用いて、感光体101の表面に直接に当接させるようにした。
【0191】
B.ファーブラシ
1texのレーヨン系導電糸を使用し、100kF/inch2で毛の長さを4mmとし、外径18mmのファーブラシ111−2を作成した。
なお、F/inch2は、使用する繊維の密度を表す単位(F;フィラメント・・・繊維本数)で、本例では1インチ四方に100k本の密度である事を示す。
【0192】
C.弾性ローラ
弾性発泡体からなるアスカーC硬度で25度の外径18mmの弾性ローラ111−3を作成した。
【0193】
D.磁気ブラシ
外径15mmの6極マグネットローラを作成し、さらに磁性粒子として公知の、平均粒径が略20μmの磁性キャリアを準備した。使用する画像形成装置が磁性現像剤を使用する場合には機構簡易化のため、該磁性現像剤を磁性粒子として使用した。更に、磁性キャリア層厚規制部材を設け、外径20mmの磁気ブラシ111−4を作成した。
【0194】
上記、B〜Dの塗布部材については、感光体との当接部で、該感光体をカウンター方向に駆動するよう手段を設け、また、リーク等の抑止のため接地を施した。
【0195】
更に、図18のように、直方体状に成型された被覆剤Sを固定部材に設置し、所定の当接圧で塗布部材B〜Dに当接する様にした。
【0196】
《現像剤の製造例》
下記製造例にて、トナー粒子、及び各種添加剤からなる現像剤を作成した。
【0197】
周知のポリエステル系結着樹脂・・・100質量部
磁性酸化鉄 ・・・100質量部
モノアゾ鉄化合物 ・・・・・2質量部
サリチル酸Al化合物 ・・・・・1質量部
フィッシャートロプシュワックス・・・・4質量部
(DSCピークトップ温度=104℃、Mw/Mn=1.8)
の混合物をヘンシェルミキサーで前混合する。それを、130℃に加熱された2軸エクストルーダで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕してトナー粗粉砕物を得た。
【0198】
得られた粗粉砕物を、機械式粉砕機ターボミルを用いて、粉砕機入り口エアー温度を−15℃、出口エアー温度を48℃、粉砕ローター及びライナーを冷却する冷媒の温度を−5℃に調整して機械式粉砕にて微粉砕する。
【0199】
得られた微粉砕物をコアンダ効果を利用した多分割分級装置(日鉄鉱業社製エルボジェット分級機)で微粉及び粗粉を同時に厳密に分級除去した。
【0200】
その後、機械式表面改質装置を用いて種々の円形度のトナー粒子を作成した。
【0201】
該トナー粒子に100質量部に、BET200m2/gの乾式シリカに疎水化処理を施した、疎水化シリカ粒子1.5質量部を、ヘンシェルミキサーで混合する。
【0202】
これにより、重量平均粒子径Xが6.4μmで、表5に示すような平均円形度aの負帯電性トナーT1〜T11を得た。
【0203】
【表5】
【0204】
《摺擦・回収部材110の製造例》
下記製造例にて、各種摺擦・回収手段110を作成した。
【0205】
1)製造例1
キヤノン(株)製複写機iR6570に使用されているクリーニングブレードと同一材料からなる、厚さ2mmのウレタンブレード材110−1を作成した。
【0206】
該部材は、自由長5mm、当接角140°(順方向で40°)、及び当接圧は総圧800gで設置出来る様にした。
【0207】
2)製造例2
カーボンを分散させた、2tex(18D)のレーヨンを、9.3×103F/cm2(60kF/inch2)で具備させたブラシローラ110−2を作成した。このブラシローラ110−2を感光体に1.5mm侵入するように配置した。また、クリーニング容器105a内には、該ブラシローラに0.5mm侵入するようにスクレーパーを設置した。
【0208】
3)製造例3
周知の方法で、φ8の芯金上にカーボンを分散した発泡ウレタンからなる弾性ローラ110−3を作成した。該弾性ローラは、平均孔径がφ50μmの単泡セルを多数有する。Asker−C硬度は25度であり、感光体に0.5mm侵入するように設置した。また、クリーニング容器105a内には、該弾性ローラに0.2mm侵入するようにスクレーパーを設置した。
【0209】
4)製造例4
周知の方法で、φ8の芯金上にプラスチックマグネットからなるマグネットローラを作成した。該マグネットローラ上に磁性粒子が1.5mm厚でコートされる様に、不図示の厚規制部材、スクレーパーを設け、磁気ブラシ110−4を作成した。該磁気ブラシは、感光体表面に0.2mmの侵入量で当接する様に設置した。
【0210】
上記のファーブラシローラ110−2、弾性ローラ110−3、磁気ブラシ110−4は感光体の回転に同期し、該感光体の面速度に対して任意の速度で回転駆動する駆動手段を有する。
【0211】
上記の各摺擦・研磨部材110−1〜4は、チャージアップ抑止等のため、接地した。また、必要に応じて、接地する変わりに、後述する実施例のようにバイアス印加手段を付加しても良い。
【0212】
〔実施例1〕
評価装置として、キヤノン(株)製複写機iR6570(スコロトロン帯電器、感光体面速度290mm/sec、65ppm機)を改造して、図1の如き評価機とした。
【0213】
具体的には、帯電条件、露光条件を外部制御できるようにし、感光体面速度を調整可能とした。当然ながら該面速度に同期して、紙搬送など、各ユニットの条件も調整される。なお、本実施例では感光体面速度はiR6750デフォルトのままとした。
【0214】
耐刷、及び各評価に際して、感光体の現像位置での暗電位は420V、潜像露光後電位は50Vとなる様に、帯電条件及び露光条件を調整した。
【0215】
更に、ドラムヒーター、及びクリーニングブレード、標準で装備させてあるクリーニング補助部材(マグネットローラ、ドクターローラ等)を除し、摺擦・回収手段110及び被覆剤塗布手段111を設け、クリーニング容器105aを下記の如く改造した。
【0216】
摺擦・回収部材110としてはファーブラシ110−2を使用し、感光体への侵入量0.5mm、駆動速度−80%(カウンター方向80%)とした。更にクリーニング容器105aから無機微粒子Mを供給できる様にした。
【0217】
転写残トナーや紙粉、過剰な無機微粒子等を回収する廃トナー部とは、不図示の仕切り部材で区切った。廃トナー部通過後、不図示のスクレーパーで清掃された摺擦・回収機手段110−2は、無機微粒子部から感光体101表面へ、該無機微粒子を供給する。
【0218】
無機微粒子はA〜Mを使用し、現像剤はT10(表6:平均円形度a=0.918)を使用した。
【0219】
被覆剤Sとして、前述のステアリン酸亜鉛微粉末を容器に入れた。被覆剤供給手段111は、ファーブラシ111−2を用い、感光体への侵入量0.5mm、駆動速度+75%(順方向75%)とした。被覆剤の塗布量としては、被覆剤S及び塗布部材、被覆剤Sの容器の合計重量の、耐刷評価前後の差から求めた。成型品についても同様に求める事が出来る。
【0220】
評価用感光体は前述の感光体P01を用いた、
該評価装置を用いて、温度30℃/湿度80%の(H/H)環境下で、図19の如く、通紙方向に等間隔の罫線(500μm線を10mm間隔で配した。画像比率5%)を、連続で20k枚/日で耐刷した。その後、各種評価用画像形成を行い、メインスイッチをオフして夜間放置した。翌朝、評価用画像形成後、同様に20k枚/日の耐刷試験を継続し、300kまでの耐刷試験を行った。次に、温度10℃/湿度15%の(L/L)環境下で、同様に、100k枚、合計400k枚の通紙耐久を行った。100k毎には5晩放置とし、長期放置後の特性を評価した。
【0221】
評価用画像としては、300μm線を5mm間隔で交差させた格子画像、1ドット1スペース、1ドット2スペースのハーフトーン画像、ベタ黒、及び17階調画像を形成した。
【0222】
本実施例1では、被覆剤塗布量Tは0.88[μg/cm2]であった。
【0223】
感光体耐久性は、感光体表面の磨耗量、及びキズで評価した。摩耗量は、反射分光式干渉計(商品名:MCPD−2000、大塚電子(株)社製)により測定し、1回転あたりの摩耗Rate[nm/回転]として算出した。また、感光体表面のキズは、感光体表面の任意の12点、及び目視でキズ又はスジが現認された箇所は、追加測定点として、表面粗さを測定した。
【0224】
評価基準は下記の通りである。
【0225】
1)画像流れ(H/H環境)
耐刷翌朝のサンプル画像から判定した。判定基準は下記の通りである。
【0226】
◎;非常に良好(上記評価画像に於いて、線、及びドットのボケ無し)
○;良好(格子画像は流れ認識できず、ハーフトーン又は階調画像の一部領域でドットのボケ又は濃度低下あり、但しA4通紙10枚以内で回復)
●;実用可能(格子画像は流れ認識できず、ハーフトーン又は階調画像でドットのボケ又は濃度低下あり、回復まで10〜30枚)
△;実用可能(格子画像は流れ認識できず、ハーフトーン又は階調画像でドットのボケ又は濃度低下あり、回復まで30枚超過、又は、格子画像で若干の流れ認識できるが、格子画象の流れ回復まで10枚以内)
×;上記以外(格子画像で流れ認識される)
2)CLN(クリーニング)耐久性
クリーニング性は、フィルミング・トナー融着や擦り抜け、異音(振動音、共鳴音)を評価した。特にブレードクリーニングを使用する際に評価するが、耐久前後で該クリーニングブレードのエッヂ部を顕微鏡観察し、損耗レベルを評価した。
【0227】
耐刷試験後に摺擦・除去部材の表面、またクリーニングブレードではカット面と当接面を顕微鏡観察し、欠けや抉れや部材損耗領域の大きさ及び個数、またトナーすり抜けや、ビビリ、捲れといったクリーニング不良を評価した。
【0228】
判定基準は下記の通りである。
【0229】
◎;非常に良好(欠け、えぐれ、又はファーの損耗領域無し。トナー粒径以下の欠け、えぐれ、又はファーの損耗領域が3箇所以内。擦り抜けなし、めくれ、ビビリ、共鳴音、何れも無し)
○;良好(トナー粒径以下の欠け、えぐれ、又はファーの損耗領域が4〜5箇所、トナー粒径以上は無し、擦り抜け無し、めくれ無し、共鳴音は感光体停止時に発生する場合がある、又はビビリが発生する場合がある(頻度少))
●;実用可能(トナー粒径以下の欠け、えぐれ、又はファーの損耗領域が6〜10箇所、トナー粒径以上のものが有るが、トナー粒径の2倍以上のものは無し、擦り抜け無し、共鳴音又はビビリが発生する場合がある(頻度少))
△;実用可能(トナー粒径以下の欠け、えぐれ、又はファーの損耗領域が10箇所以上、トナー粒径の2倍以上のものが有るが、擦り抜け無し、共鳴音とビビリの双方が発生する場合がある(頻度少))
×;上記以外(欠け、えぐれ、又はファーの損耗領域等に起因する擦り抜け有り、又はブレードの場合はメクレが発生す場合がある、ビビリと共鳴音が発生する乃至は頻度が高い)
3)感光体耐久性
感光体損耗の評価として、上記耐刷試験後、H/H環境下で体刷試験を継続し、合計1,200k枚の耐刷試験とした。被覆剤S、塗布部材111、無機微粉体、及び摺擦・回収部材110等は、400k毎に必要に応じて補充、交換等のメンテナンスを行っている。
【0230】
耐刷試験前後の各感光体の膜厚摩耗を測定した。感光体の膜厚測定は、感光体の表面層厚については周方向に6箇所、長軸方向で6箇所の、計36箇所を測定し、その平均値を、平均表面層厚とした。磨耗量の算出は、耐久前後の平均表面層厚の差分、感光体の回転数で除し、10,000回転あたりの摩耗Rate[nm/10k回転(rot)]として算出した。画像濃度は絶対濃度で測定し、各画像評価時における上記画像を濃度計「RD−918」(マクベス社製)を使用して測定した。
【0231】
判定基準は下記の通りである。
【0232】
◎;非常に良好(摩耗Rateが1.5[nm/10krot]以下、且つ偏摩耗無し)
○;良好(摩耗Rateが1.5[nm/10krot]以下、偏摩耗あるが、2.0[nm/10krot]を超える測定点無し、且つ、偏磨耗部とその近傍の画像濃度差は0.2以下)
×;上記以外(摩耗Rateが1.5[nm/10krot]超過、又は2.0[nm/10krot]を超える測定点あり。又は偏磨耗部とその近傍の画像濃度差は0.2超過)
評価結果を表6〜表8に示す。
【0233】
〔実施例2〜7〕
評価用感光体として、感光体P02〜P07を用いた以外は実施例1と同様に評価を行った。被覆剤塗布量は実施例1同様である。結果を表6〜表8に示す。
【0234】
特に、流れとCLN耐久性の結果を、無機微粒子の平均1次粒径Dとの相関として図20に示す。表6〜表8、及び図20より、無機微粒子の平均粒径Dが30〜500nmの時、良好な結果が得られた。無機微粒子の平均粒径Dが100〜300nmの時、更に良好な結果が得られた。また、無機微粒子A〜M、特にEと、Nの比較から、無機微粒子の円形度は0.930以下が好ましい事が分る。
【0235】
また、流れの評価結果が●以上、すなわち平均粒径Dが30〜500nmの無機微粒子について、感光体P01〜P07のRzとの比(Rz/D)との相関を取ったものを図21に示す。図21より、Rz/Dが0.5〜2.0の時、更に良好な結果が得られている事が分る。
【0236】
また、被覆剤塗布部材111を弾性ローラ111−3を使用し、感光体への侵入量0.3mm侵入する様にした。また摺擦・回収部材110を、弾性ローラ110−3にしてファーブラシの場合と同様の駆動条件で駆動させた系でも、上記ファーブラシを使用した場合と同様の結果が得られた。
【0237】
100mm/sec(大略20ppm)未満の低速機では、市場で求められる寿命レベルは数k〜数10Kである。a−Si感光体のような長寿命な感光体、さらに被覆手段や摺擦手段の併用は、技術的には良好な結果が得られるが、コストアップが生じるため、対費用効果の観点から、必ずしも実用的ではない。
【0238】
〔比較例1〜7〕
無機微粒子として比較微粒子A〜Eを用いた以外は、実施例1のファーブラシの例と同様の評価を行った。被覆剤塗布量Tも実施例1同様である。
【0239】
比較例1〜5の耐刷評価結果を、表6〜表8に示す。特に流れ、CLN耐久性で実施例との差異が見られた。
【0240】
【表6】
【0241】
【表7】
【0242】
【表8】
【0243】
〔実施例8〕
被覆剤S、摺擦・回収部材110は実施例1と同様のものを使用した。被覆剤塗布部材は実施例1同様に弾性部材111−3を使用し、被覆剤塗布手段111−3の、感光体への侵入量及び駆動速度を振って、該被覆剤Sの塗布量Tを制御し、実施例1と同様の評価を行った。
【0244】
摺擦・研磨部材110も同様に弾性部材110−3とし、上記塗布量Tの増減に準ずる形で、摺擦・回収能力を合せる為に、必要に応じて、侵入量、及び駆動条件を調整した。
【0245】
感光体P01、無機微粒子Dを使用し、実施例1と同様の耐刷試験を行い、該塗布量T[μg/cm2]に対する依存性を評価した。
【0246】
また、同様に感光体P08、P09、P10、P11、P12に対し、無機微粒子を各々D、E、E、F、Fを使用し、同様の耐刷試験、評価を行った。なお、各感光体に対する無機微粒子はRz/Dがほぼ1.0で条件が大きくかけ離れない様に選択した物である。
【0247】
評価結果を表9〜表11に示す。
【0248】
表11より、感光体耐久性に関しては、本実施例の殆どの評価で非常に良い結果が得られた。被覆剤Sとして金属石鹸である材料を使用したことと、無機微粒子の作用が相乗したものと考えられる。
【0249】
表10より、無機微粒子の作用に相乗して、被覆剤Sが金属石鹸である事も有り、少量の塗布でクリーニング性、クリーニング耐久性は良好な結果が得られた。
【0250】
表9より、クリーニング性、クリーニング耐久性が非常に良好な範囲であっても、流れは必ずしも非常に良好ではなく、該被覆剤Sの塗布量Tの下限は、クリーニングに対するそれよりも多量に必要であることが分る。
【0251】
これについては次ぎの考察される。すなわち、潤滑剤として機能させる為には、感光体と、それに当接する塗布手段111、摺擦手段110等との当接部にある程度以上存在していれば良い。これに対し、流れを抑止する為には、感光体表面全体に塗伸ばし被覆させるために、潤滑剤としてよりも多量に必要があるためと考えられる。
【0252】
表9〜表11より、感光体のRaによって、被覆剤Sの好適な塗布量Tの範囲が異なる事が分る。
【0253】
Raと、表9(流れ)と表10(クリーニング耐久性)の“◎”の領域の相関を、図22に示す。
【0254】
被覆剤の必要塗布量の下限は、流れで律速されており、単位面積あたり(被覆剤長手方向1cmあたり、感光体が1cm進んだ時)の被覆剤の塗布量T[μg/cm2]が、式3を満たすとき、良好な結果が得られた。
【0255】
T≧0.61×Ra+0.064・・・式3
また、塗布量Tが過多の場合は、塗伸ばしのむらや塗布量むらといった、塗布むらが生じる場合があり、摺擦・研磨が均一にできず、局所的に流れへの効果が低減する場合があった。
【0256】
CLN耐久性については、Raが小さすぎると、摺擦・回収手段110や塗布手段111の駆動トルクが上昇したり、これらの部材の損耗が生じる場合があった。一方、Raが大きすぎると摺擦むらが生じ、局所的に流れや、クリーニング性に対する効果が局所的に低減する場合があった。Raは式4の範囲である事が好ましい。
【0257】
0.010μm≦Ra≦0.100μm・・・式4
また、塗布量Tが過剰塗布の場合は、摺擦・回収手段110や塗布手段111の駆動トルクが上昇や、これらの部材の損耗が生じる場合があった。表10〜表12、及び図22より、塗布量Tは式5の範囲である事が好ましい。
【0258】
T≦1.500μg/cm2・・・式5
図22の波線で示した領域の時、流れ、クリーニング耐久性、感光体耐久性何れの特性も非常に良好な結果が得られた。
【0259】
【表9】
【0260】
【表10】
【0261】
【表11】
【0262】
〔比較例8〕
実施例1に対して、被覆剤S及び被覆剤塗布手段111を除した以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表12に示す。
【0263】
表12より、クリーニング耐久性、感光体耐久性は実施例1にほぼ準じた結果が得られた。一方、流れに関しては、特にコロナ帯電器の帯電器跡流れで被覆剤塗布をした実施例1よりもレベルが低下していた。
【0264】
また、ステアリン酸亜鉛微粉末を除して被覆剤無しとした以外は、上記同様に、実施例1と同じ評価を行った。なお、こちらの被覆剤塗布手段111の当接条件、駆動条件も実施例1と同様とした。この系でも表12と同等の結果が得られたが、一部、該被覆剤塗布手段111のファーの損耗が発生する場合があった。
【0265】
【表12】
【0266】
〔実施例9〕
実施例1に対して、被覆剤として固体状成型品を用い、直接塗布、ファーブラシ塗布、弾性ローラ塗布について評価を行った。
【0267】
直接塗布方式として、成型された被覆剤Sを、直接塗布する手段111−1で、感光体表面に所定の当接圧で直接当接させ(図18)、替りに微粉末状態の被覆剤Sを被覆剤容器は除去した。
【0268】
感光体の表面形状等による塗布むらを防止するため、駆動手段により、感光体の母線方向にレシプロ駆動されるようにした。当接圧、レシプロの条件を調節する事で、塗布量Tを制御できる。該被覆剤Sや感光体への損耗を生じさせない範囲で調整すればよい。
【0269】
ファーブラシ方式、弾性ローラ方式については、図2の如き装置構成とした。
【0270】
ファーブラシ塗布方式として、押し当て手段を用いて被覆剤の固体状成型品を、ファーブラシからなる被覆剤塗布部材111−2に所定の当接圧で当接する様にした。こちらも粉末用の容器はは除去した。被覆剤塗布量Tの制御は、成型された被覆剤Sの硬度、及び/又は該被覆剤Sを、被覆剤塗布部材111に当接させる条件、及び/又は塗布手段111−2の駆動条件を調整すればよい。なお、被覆剤Sをレシプロさせる機構は付与しなかった。
【0271】
弾性ローラ塗布方式として、弾性ローラからなる塗布手段111−3を用い、ファーブラシ式塗布手段111−2に準じて評価機を準備した。
【0272】
上記何れの方式も被覆剤塗布量Tは実施例1同様の0.88[μg/cm2]となる様にした。各々、実施例1と同様の評価を行った所、実施例1と同様の結果が得られた。また、成型された被覆剤Sを使用することで装置構成が簡略化できたほか、メンテナンスが容易になった。
【0273】
〔実施例10〕
実施例9に対して、被覆剤塗布部材111を、平均粒径15μmの磁性粒子でコートされた磁気ブラシ111−4とした。被覆剤塗布量Tの制御は、被覆剤Sの固体状成型体を塗布手段である磁気ブラシ111−4に当接させる条件と、該磁気ブラシ111−4の駆動条件を調整して行うことができる。磁気ブラシ111−4の駆動条件は+75%(順方向75%)とした。
【0274】
この状態で、実施例9と同様の評価を行った所、同様の結果が得られた。また、磁気ブラシの被覆剤塗布手段111−4を使用した本例では、被覆剤S及び被覆剤塗布手段111について、1200k枚の耐刷に於いてメンテナンスが不要、乃至は成型された被覆剤Sの交換と、メンテナンス性が非常に向上した。
【0275】
〔実施例11〕
現像剤T10(表6)に、更に無機微粒子A〜M、及び比較微粒子A〜Eを、トナー粒子100質量部に対して各々1.5質量部を周知の方法で外添し、現像剤T10’を得た。
【0276】
現像剤として、該T10’を使用し、無機微粒子を現像手段から供給する様にした。当然ながら、現像条件、転写条件は、現像剤に変化に伴い調整を行っている。
【0277】
摺擦・回収部材110は、平均粒径15μmの磁性粒子でコートされた磁気ブラシ110−4を使用した。磁気ブラシ110−4は層厚規制部材、スクレーパーにより過剰な磁性粒子が掻き取られ、また一定の外径を保持する様になっている。替りに図3の如く、無機微粒子を格納する機構を除した。
【0278】
上記以外は実施例10と同様にして、実施例10と同様の評価を行った。結果を表14に示す。
【0279】
流れに関して、実施例1同様の結果が得られた。現像手段から無機微粒子を供給するため、形成する画像比率等による無機微粒子の作用の局在化は特に無かった。
【0280】
磁気ブラシの流動性により、画像比率や画像の局在化による無機微粒子の局在化を抑止し、均一に摺擦がなされていると考えられる。また、磁気ブラシの摺擦・回収部材に関しては、1200k枚の耐刷に於いてメンテナンスが不要であった。
【0281】
さらに、磁気ブラシを構成する磁性粒子として、磁性現像剤であるT10’を使用しても同様の結果が得られた。
【0282】
〔実施例12〕
実施例11に対し、被覆剤塗布手段である磁気ブラシ111−4、摺擦・回収手段である磁気ブラシ110−4にコートされる磁性粒子として、各無機微粒子が外添された現像剤T10’を使用した。更に、磁気ブラシ式被覆剤塗布手段111−4を感光体に対して−70%(カウンター70%)で駆動する様にした。駆動方向の変動に伴い、被覆剤S、ドクターローラ、スクレーパーの位置を調整した。なお、被覆剤Sの塗布量Tは実施例11と同等であった。
【0283】
その他の条件は実施例11と同様にして、実施例11と同様の評価を行った。結果を表13に示す。
【0284】
表13より、本実施例12で、特に流れに関して、更に良好な結果が得られた。また、被覆剤S、及びメンテナンス性も良好であった。
【0285】
磁気ブラシを使用し、被覆剤の塗布、摺擦・回収の局在化が抑止された事に加え、塗布手段をカウンター駆動した事により、摺擦・回収手段110から漏れる無機微粒子等を掻き取った後の感光体表面に被覆剤が塗り伸ばされる。
【0286】
図23に、感光体101と塗布手段111の当接部近傍のモデル図を示す。感光体101、及び塗布手段111は夫々矢印の方向に移動する。
【0287】
感光体101の進行方向に於いて、当接部の上流側(図23中では下側)で、不図示の摺擦・回収手段110から漏れてきた過剰な無機微粒子は、塗布手段111の回転により、該当接部への侵入が抑制される。
【0288】
一方、該当接部より下流側(図中では上側)では、過剰な該無機微粒子が除去された感光体101の表面に被覆剤Sが塗布される。
【0289】
その後、塗布手段111により当接部近傍まで搬送された被覆剤Sは、感光体101の表面と塗布手段111の摺擦により、均一に塗布・塗伸ばしがなされる。
【0290】
また、感光体101の移動により当接部近傍で、被覆剤Sの滞留が生じる。滞留中にも、感光体101及び塗布手段111の移動により被覆剤Sが長手方向に均されるなどする。
【0291】
これにより、より均一な被膜が構成されることが相乗した結果と考えられる。或いは感光体101と塗布手段111の当接ニップ直近で被覆剤Sの滞留領域が生じやすく、被膜形成を助長してるとも考えられる。
【0292】
〔実施例13〕
実施例11に対し、更に図5の如く、キヤノン(株)製複写機iR6570のクリーニング手段(ブレードクリーニング)106を付与した。クリーニングブレード106の設置条件は複写機iR6570と同等とした。
【0293】
被覆剤塗布手段である磁気ブラシ111−4、摺擦・回収手段である磁気ブラシ110−4にコートされる磁性粒子として、各無機微粒子が外添された現像剤T10’を使用した。その他の条件は実施例11と同様にして、実施例11と同様の評価を行った。
【0294】
結果を表13に示す。表13より、本実施例13で、特に流れに関して、実施例11よりも更に良好な結果が得られた。また、クリーニングブレード106(CLNブレード)の損耗も殆ど無く、メンテナンス性も良好であった。
【0295】
磁気ブラシを使用し、被覆剤の塗布、摺擦・回収の局在化が抑止された事に加え、クリーニングブレード106により、被覆剤が塗り伸ばされ、より均一な被膜が構成されることが相乗した結果と考えられる。
【0296】
【表13】
【0297】
〔実施例14〕
被覆剤塗布手段である磁気ブラシ111−4、摺擦・回収手段である磁気ブラシ110−4にコートされる磁性粒子として、各無機微粒子が外添された現像剤T10’を使用した。
【0298】
更に、実施例13に対し、磁気ブラシ式被覆剤塗布手段111−4を感光体に対して−80%(カウンター80%)で駆動する様にした。被覆剤Sの塗布量Tは実施例11と同等である。本実施例では、被覆剤塗布手段111−4に摺擦・回収機能を兼務させ、該塗布手段111−4にドクターローラ、スクレーパーを持たせ、独立で存在していた磁気ブラシ式摺擦・回収手段を除した図7の如き構成とした。
【0299】
実施例13と同様の評価を行った結果を表11に示す。表11より、実施例13と同様に良好な結果が得られた。
【0300】
〔実施例15〕
現像剤T10’のうち、何れも平均1次粒径Dが500nmである無機微粒子J、Mを外添したものを使用した。また、感光体はP01を使用し、感光体面速度を320mm/secで80ppmとし、また耐刷試験で形成する画像として、500μm線を20mm間隔で配した。画像比率2.5%とした。給紙、排紙手段等の各手段の速度や、帯電手段に印加するバイアス条件、露光手段等は、該感光体面速度に付随して調整した。
【0301】
この条件で、実施例11と同様に、耐刷試験及び評価を行った。結果を表14に示す。表14より、直方体状の無機微粒子Jの方が不定形の無機微粒子Mよりも流れやCLN耐久性に対するラチチュードが広い事が分る。
【0302】
【表14】
【0303】
〔実施例16〕
感光体はP01を使用した。また、現像剤は、平均1次粒径Dが320nmの無機微粒子Gを、T1〜T11に対して、実施例11の如く外添した物を使用した。
【0304】
これらの感光体、無機微粒子、現像剤を用い、実施例11と同様に耐刷、評価を行った。結果を表15に示す。
【0305】
表15より、トナー平均円形度aが、0.930〜0.970、特に0.935以上の時、良好な結果が得られた。トナーの円形度を制御する事で、摺擦・回収手段手段の当接部近傍での均一性が向上し、クリーニング耐久性が向上したり、均一に摺擦・回収がなされるため、均一塗布の効果が相乗し、流れレベルも向上したものと考えられる。
【0306】
【表15】
【0307】
〔実施例17〕
実施例14に対し、図8の如く、帯電手段102を、キヤノン(株)製複写機iR400用の帯電ローラとし、該帯電手段102の保持、感光体への当接条件、該帯電手段用清掃部材も上記iR400の仕様とした。
【0308】
また、転写/分離手段108も該iR400のものを使用した。iR6570に標準で付いていた転写前帯電手段(不図示)を除し、いわゆるコロナ帯電が無い状態とした。
【0309】
帯電手段102、及び該帯電手段清掃手段は40k枚毎に新品に交換し、実施例14と同様の耐刷評価を行った。結果を表16に示す。表16より、特に流れで実施例14よりも良好な結果が得られた。
【0310】
〔実施例18〕
図13の如く、導電性樹脂ローラの表面に抵抗調整用に樹脂薄膜層を設け、iR400用の帯電ローラと同様の抵抗を有する帯電手段102を作成した。この帯電手段102は近接距離規制手段として画像領域外にコロを設け、感光体に対して最近接距離で30μmを維持する様に設置した。この帯電手段102は感光体101に同期して回転駆動する様にした以外は、該帯電手段102の保持、該帯電手段用清掃部材も上記iR400の仕様とした。
【0311】
上記以外は実施例17と同様にして、実施例14と同様の耐刷評価を行った結果を表16に示す。表16より、実施例17同様に、特に流れで実施例14よりも良好な結果が得られた。更に、実施例17よりも帯電手段の汚染が少なく、帯電手段及び該帯電手段清掃手段の耐久性も向上した。
【0312】
一般に、コロナ帯電手段では画像形成中にハウジング部に帯電生成物が付着し、長期放置中に、該ハウジング部から帯電生成物が感光体表面に降積し、帯電器対向部に流れが生じやすくなる。実施例17、実施例18で、流れが改善されているのは、コロナ帯電手段を除したことにより、上記の降積が抑止された為と考えられる。
【0313】
【表16】
【0314】
〔実施例19〕
感光体P01と同様の表面性を有するφ30のa−Si感光体を作成した。
【0315】
評価装置として、キヤノン(株)製複写機iR400を改造して、図10の如き評価機とした。具体的には、除電手段107としてピーク波長680nmのLEDを使用し、図1に示すように、転写工程とクリーニング工程の間に配した。
【0316】
感光体面速度を240mm/secで50ppm(ppm;Print Per minute)とし、正帯電a−Si感光体と、負帯電現像剤の正規現像用に、高圧電源を改造して極性及びバイアスを調整できる様にした。
【0317】
このときの、クリーニング工程から帯電工程までの時間は90msecであり、また除電工程から帯電工程までの時間は130msecである。
【0318】
さらに、潜像露光手段を改造し、中心波長660nmのレーザーを使用し、スポット径40μmで600dpiのBAE、256階調のPWMとした。
【0319】
また、廃トナー搬送手段を設け、クリーニング手段に回収された転写残トナーや紙粉等は、不図示の廃トナーボックスに回収されるようにした。さらに電位評価を行えるように露光量や帯電条件の調整や、電位計の設置が可能にする等の改造を施した。なお、電位計は本体TRek杜製344、及び同社製プローブ555P−1を用い、専用治具にて現像手段位置に設置して電位を測定するようにした。
【0320】
更に、iR400のカートリッヂの廃トナー送り羽を除去し、成型された被覆剤S、及び磁気ブラシ式被覆剤塗布手段111−4、ドクターローラ、スクレーパー(不図示)を設置した。
【0321】
感光体の現像位置電位は、実施例1〜18と同様の電位設定とし、更に実施例17と同様の耐刷、及び評価を行った。結果、実施例17同様に非常に良好な結果が得られた。
更に、感光体面速度や除電手段107の位置を変化させて、同様の評価を行った結果、除電工程から帯電工程の時間が100msec以上のとき、帯電電位や画質が安定していた。
一方、クリーニング工程から帯電工程が100msec以下のとき、クリーニング工程と帯電工程の間に除電工程を設けた系では、帯電電位が不安定になったりして、画質が低下する場合があった。逆に画質を安定化させるため帯電手段の電流量を増加させると、クリーニング手段の損耗が生じたり、摺擦もしくは被覆が不十分となる場合があった。
【0322】
また、帯電手段102を近接帯電方式とした図11〜図13の如き構成の場合にも、同様に良好な結果が得られた。特に回動可能な図13の構成は図11の構成よりも帯電手段102自体の耐久性が良好であった。
【図面の簡単な説明】
【0323】
【図1】実施形態例(その1)の画像形成装置の概略構成図
【図2】実施形態例(その2)の画像形成装置の概略構成図
【図3】実施形態例(その3)の画像形成装置の概略構成図
【図4】実施形態例(その4)の画像形成装置の概略構成図
【図5】実施形態例(その5)の画像形成装置の概略構成図
【図6】実施形態例(その6)の画像形成装置の概略構成図
【図7】実施形態例(その7)の画像形成装置の概略構成図
【図8】実施形態例(その8)の画像形成装置の概略構成図
【図9】実施形態例(その9)の画像形成装置の概略構成図
【図10】実施形態例(その10)の画像形成装置の概略構成図
【図11】実施形態例(その11)の画像形成装置の概略構成図
【図12】(a)と(b)は、それぞれ、図11における近接帯電手段の別の形態例を示す概略図
【図13】実施形態例(その12)の画像形成装置の概略構成図
【図14】無機微粒子の一例の電子顕微鏡写真(SEM写真)
【図15】a−Si感光体の層構成の一例を示す図
【図16】(a)・(b)・(c)は、それぞれ、感光体の支持体表面形状と感光体表面形状の関連を示す概略図
【図17】IAE方式とBAE方式の感光体表面電位モデル図
【図18】被覆剤塗布手段の一例(直接塗布)を示す概略図
【図19】実施例と比較例とで用いたの耐刷試験用チャートの概略図
【図20】実施例1〜7における、無機微粒子の平均粒径と評価結果の相関を示すグラフ
【図21】実施例1〜7における、感光体表面のRzと無機微粒子の平均粒径Dとの比Rz/Dと評価結果の相関を示すグラフ
【図22】実施例8における、感光体表面のRaと被覆剤塗布量Tの好適範囲を示すグラフ
【図23】実施例12における、被覆剤塗布手段をカウンター駆動した時の無機微粒子と被覆剤Sの挙動を説明する為のモデル図
【図24】実施形態例の画像形成装置の概略構成図
【符号の説明】
【0324】
101・1500;感光体、102;帯電手段、103;潜像形成露光手段、104;現像手段、105;後処理手段、105a;クリーニング容器、106;クリーニング手段、107;除電手段、108;転写手段、109;搬送手段、110;摺擦・回収手段、111;被覆剤塗布手段、1501;支持体、1502;感光層、1503;光導電層、1504;表面層、1505・1506;電荷注入阻止層、X;感光体進行方向、P;転写材、S;被覆剤、Vdi・Vdb;現像バイアスDC電位、ΔVl1・ΔVl1;現像コントラスト
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転される像担持体と、像担持体を帯電する帯電工程と、帯電された像担持体に潜像を形成する潜像形成工程と、潜像を現像剤により現像剤像として現像する現像工程と、現像剤像を記録媒体に転写する転写工程と、を有する画像形成方法に関する。
【0002】
上記において、像担持体は電子写真感光体或いは静電記録誘電体等である。記録媒体は転写用紙等の記録材、或いはベルト型又はドラム型の中間転写体である。
【背景技術】
【0003】
近年、レーザプリンタ等のデジタル電子写真装置は、その画質の良さおよび高速プリントアウトなどの特徴で注目を浴びている。
【0004】
特に、アモルファスシリコン感光体(a−Si感光体)を使用した電子写真装置は、高感度、高安定性、高耐久性で、メンテナンス間隔が長かったり、ランニングコストの低減といった観点で好ましい。
【0005】
一方、電子写真装置の市場のニーズとして、小型化、高生産性化、省エネルギー化が進んでいる。高耐久な感光体を使用した電子写真装置に於いても、該感光体の小径化或いはより高速化、また環境ヒーターなどの温度制御手段を除去すること(ドラムヒーターレス)などが望まれている。
【0006】
a−Si感光体に代表される高耐久な感光体を使用したデジタル電子写真装置においては、従来の有機感光体(OPC)等のように表面層ごと帯電生成物を削り取る手法が使用できない。そのため、特にドラムヒーターレスでは高湿環境下で画像がボケる、いわゆる画像流れという画像欠陥が生じる場合があった。
【0007】
更に、a−Si感光体を小径化、或いは該a−Si感光体を使用した電子写真装置の高速化においては、各プロセス間、特に除電工程から主帯電工程までの時間が短くなり、帯電に際して過剰な電流を必要とする為、放電生成物の増量に伴い画像流れが悪化する。また、小型化においては各ユニットや感光体周りの空間の狭小化等に伴う、画像流れの悪化が生じる場合がある。
【0008】
これらの問題を解決する方法として、一次粒子の平均粒径と比抵抗を規定した2種の酸化チタン微粒子で表面処理されたトナーと、ポリウレタン発泡体からなるクリーニングローラを用いてa−Si感光体表面を研磨する方法が提案されている(特許文献1)。
【0009】
また、局在化した出力(罫線などの局在化した出力パターンを繰り返し)への対応として、磁気ブラシ部材とクリーニングブレードからなるクリーニング手段の上流側に除電光源を設ける。これにより、転写残トナーの静電力を弱め、該磁気ブラシから感光体表面への廃トナー再供給を均一化する方法が提案されている(特許文献2)。
【0010】
また、感光体表面の摺擦と帯電安定性を加味した方法として、クリーニング手段よりも上流側に除電手段を設け、さらに該クリーニング手段と該除電手段の間に摺擦手段を兼ねた注入帯電の補助帯電手段を使用する方法が提案されている(特許文献3)。
【0011】
また、平均粒径および電気抵抗値を規定した研磨剤を含有する現像剤を使用し、さらに弾性ローラからなる補助帯電部材を使用する方法が提案されている(特許文献4)。
【0012】
また、昨今では省エネルギーの観点からドラムヒーターレス、一方スリープ乃至は電源投入後即時プリントが市場ニーズの主流となっている。特に、スコロトロンなどのいわゆるコロナ帯電方式を採用した場合、長期放置後の画像形成時に高湿流れが発生する場合があった。この帯電による感光体表面の劣化抑止として脂肪酸金属塩などからなる保護剤を塗布する方法が提案されている(特許文献5)。
【0013】
また、研磨剤と潤滑剤を併用した例も提案されている(特許文献6)。
【特許文献1】特開2005−017524号公報
【特許文献2】特開平10 −049017号公報
【特許文献3】特開2003−091142号公報
【特許文献4】特開2001−042734号公報
【特許文献5】特開2005−115311号公報
【特許文献6】特開2005−165090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1の方法では、スポンジローラを使用しているため、罫線などの局在化した出力パターンを繰り返した時に、画像比率の差による研磨力の偏りが生じる場合があった。
【0015】
特許文献2の方法では、画像流れへの対策としては不十分である。
【0016】
特許文献3の方法では、補助帯電として注入帯電を使用しているため、高圧電源などの付帯装置の追加が必要であり、コスト高を免れない。
【0017】
特許文献4の構成では、特許文献1と同様に研磨力の偏りが生じる場合があった。なお、特許文献4に類する他の文献として、特開2001−005256号公報が挙げられる。
【0018】
特許文献5の方法は、感光体表面の帯電による磨耗の低減に注目し提案されたものであり、元来、長寿命な感光体を使用した場合の画像流れ、さらには該流れ抑止の為の保護剤の必要塗布量や、該保護剤の除去に対する開示が不十分である。。なお、特許文献5に類する他の文献として、特開2004−341480号公報、特開平08−202226号公報、特開2004−309939号公報、特開2004−109754号公報が挙げられる。
【0019】
特許文献6は、特にクリーニング部での潤滑剤としての作用効果を求めたものなどで、これらも流れに対する開示が不十分である。なお、特許文献6に類する他の文献として、特開2005−091979号公報、特開2004−053892号公報、特開2004−037734号公報、特開2003−140382号公報が挙げられる。
【0020】
本発明は、上述のごとき従来技術の問題点の解決を課題とする。具体的には、長期に渡って像担持体から帯電生成物を良好に除去できるクリーニング性を維持保持し、画像流れ等の画像欠陥を防止し、安定した画像特性を高水準で維持できる画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記の目的を達成するための本発明に係る画像形成方法の代表的な構成は、回転される像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電工程と、帯電された前記像担持体に潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像を現像剤により現像剤像として現像する現像工程と、前記現像剤像を記録媒体に転写する転写工程と、を有する画像形成方法において、前記転写工程から前記帯電工程の間で、平均粒径Dが30〜500nmである無機微粒子からなる研磨粒子介して前記像担持体の表面を摺擦する摺擦工程と、前記像担持体の表面に被覆剤を塗布し、塗り伸ばす被覆工程とを有する事を特徴とする画像形成方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明者らの検討の結果、特に磨耗量の少ない長寿命な像担持体において、特に画像流れを抑止し、長期に渡り高画質を維持するために、像担持体の表面に被覆剤をほぼ均一に塗布する。さらに、帯電生成物が付着した該被覆剤の塗布層を適宜除去し、新たな被覆剤を塗布することが有効である事を見出した。更に、該被覆剤の塗布必要量は像担持体の表面形状(粗さ)に依存する事を見出し、本発明に到った。
【0023】
すなわち、像担持体表面に対する塗布、塗伸ばし、除去が容易な被覆剤により像担持体表面へ帯電生成物が直接降積るのを抑止し、更に帯電生成物が付着した被覆剤層を適宜研磨剤で除去する事により画像流れを防止することができる。
【0024】
像担持体として、耐磨耗性が優れたa−Si感光体を使用した場合でも、帯電生成物を良好に掻き取ることができ、画像流れを防止できる。
【0025】
また、局在化した画像や、濃度が極端に低い画像等の出力で繰り返し使用(いわゆる耐刷)した場合の研磨力やクリーニングブレードへの負荷を均一化することができる。これにより、画像流れを防止するとともに、良好なクリーニング性を維持し、またクリーニングブレードや像担持体の損耗を抑制することができる。
【0026】
像担持体の表面形状と研磨剤の粒径の相関を規定した事で、帯電生成物を高効率に研磨除去すると主にクリーニング工程での特に長手方向への流動性を高めることができる。
【0027】
像担持体の表面粗さと被覆剤の塗布量の相関を規定する事で、最適な範囲で該被覆剤を塗布、塗り伸ばすことにより、流れの抑止、更に高画質と長寿命を両立できる。
【0028】
非接触現像方式である磁性1成分現像方式の採用で現像工程での研磨粒子の回収やそれに伴う現像特性の低下を抑止しする事ができる。また、研磨粒子のみならず高硬度な磁性トナーに依る像担持体表面の摺擦効果も重畳される。
【0029】
近接帯電方式、研磨粒子回収工程の付与等により、像担持体、クリーニング手段、帯電手段を含めたシステムの寿命を延ばすことができ、メンテナンスの負荷を低減する事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を詳細に説明する。
【実施例】
【0031】
《画像形成装置の構成》
図1に、本発明の画像形成方法を用いた画像形成装置の実施形態例を示す。この画像形成装置は、X方向(時計方向)に所定の速度で回転駆動される像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、感光体と記す)101を有する。この回転する感光体101は、帯電手段(主帯電手段)102により所定の極性・電位に一様に帯電処理される(帯電工程)。次いで、その一様帯電面に対して画像露光手段103により画像情報の露光がなされて、感光体101の面に、露光画像情報に対応した静電潜像が形成される(潜像形成工程)。次いで、その静電潜像が現像手段104で現像剤により現像剤像として可視像化される(現像工程)。その現像剤像が、感光体101と転写手段108との対向部である転写部において、記録媒体としての記録材(転写材)Pに対して順次に静電転写される(転写工程)。記録材Pは所定の制御タイミングで不図示の給紙手段部から給送され、レジスト手段112により転写部に対して所定の制御タイミングにて導入される。転写部を通った記録材Pは感光体101の面から分離され(分離工程)、搬送手段109により不図示の定着手段に導入される。定着手段は記録材P上の未定着の現像剤像を、熱、或いは熱と圧力、或いは圧力により記録材Pの面に固着画像として定着する(定着工程)。画像定着を受けた記録材Pが画像形成物として出力される。記録材分離後の感光体101の表面は後処理手段105により表面処理され、更にはイレーサランプ等の除電手段107により除電処理されて、繰り返して画像形成に供される。
【0032】
後処理手段105は、クリーニング容器105a内に、感光体101表面を研磨粒子(研磨剤)としての無機微粒子Mを介して摺擦する摺擦手段110を有している(摺擦工程)。又は感光体101表面を無機微粒子Mを介して摺擦し、更には過剰な無機微粒子を回収する摺擦手段110を有している。無機微粒子Mは後述するように平均粒径Dが30〜500nm、より好ましくは100〜300nmの粒子である。
【0033】
転写部において記録材分離後に感光体101の面に残留している転写残り現像剤(トナー)は摺擦手段110による感光体の表面に対する無機微粒子Mの摺擦・回収過程で感光体101表面から掻き落とされてクリーニング容器105a内の廃トナー部に貯留する。
【0034】
また、後処理手段105は、感光体101表面に被覆剤Sを塗布し、塗り伸ばす被覆剤の塗布手段111を有している(被覆工程)。塗布手段111は摺擦手段110よりも感光体101の回転方向下流側に位置させてある。
【0035】
感光体101の表面に対して、この表面に対する塗布、塗り伸ばし、除去が容易な被覆剤Sを塗布手段111により塗布することで、感光体表面に直接に帯電手段102や転写手段108による帯電生成物が付着するのを抑止することができる。更に、帯電生成物が付着した、感光体表面上の被覆剤層を摺擦手段110により無機微粒子Mによる摺擦で除去する事により画像流れを防止することができる。感光体101として、耐磨耗性が優れたa−Si感光体を使用した場合でも、帯電生成物を良好に掻き取ることができ、画像流れを防止できる。
【0036】
図1〜5、図7、図9の画像形成装置は、帯電手段102と転写手段108の両方共に、非接触帯電手段であるコロナ放電器を用いたものである。
【0037】
図6、図8、図10の画像形成装置は、帯電手段102と転写手段108の両方共に、接触帯電方式である帯電ローラを用いたものである。
【0038】
図11と図13の画像形成装置は、帯電手段102として近接帯電方式の電極板もしくは電極ローラを用い、転写手段108として接触帯電方式の帯電ローラを用いたものである。近接帯電は、帯電バイアスが印加される帯電部材と被帯電体との間に、ギャップ間電圧と補正パッシェンカーブで決まる放電可能領域を保証して例えば数10μmの微小間隙(隙間)を存在させて両者を非接触に対向させて被帯電体を帯電する帯電方式である。
【0039】
画像露光手段103は、例えば、レーザー走査露光手段である。LEDアレイ・螢光等などの光源と液晶シャッタ等の組み合わせなどによる、他のデジタル露光装置でもよい。画像結像投影光学装置等のアナログ露光手段でもよい。デジタル画像形成方法では、静電潜像形成方式として、画像情報と露光部との関係で、大きく分けて2つの方式がある。1つは、帯電した感光体101の表面に、画像情報の非画像部(背景部)を露光するバックグラウンド露光方式(背面露光方式:BAE、Back Area Exposure)である。もう1つは、帯電した感光体101の表面に、画像部を露光するイメージ露光方式(IAE、Image Area Exposure)である。BAE方式は、露光した背景部以外の部分を現像する正規現像方式が採用される。IAE方式は、逆に、非露光部分を現像する反転現像方式が採用される。
【0040】
像担持体が静電記録誘電体である場合は、その帯電処理面を除電針や電子銃等の除電手段で選択的に除電して静電潜像が形成される。
【0041】
現像手段104は、正規現像手段であっても、反転現像手段であってもよい。一般に、静電潜像のトナーによる現像方法には、1成分非接触現像方式と、1成分接触現像方式と、2成分接触現像方式と、2成分非接触現像方式と、の4種類に大別される。1成分非接触現像方式は、非磁性トナーをブレード等でスリーブ等の現像剤担持搬送部材上に塗布して、又は磁性トナーを現像剤担持搬送部材上に磁気力によって塗布して、像担持体に対して非接触状態で適用して静電潜像を現像する方法である。1成分接触現像方式は、上記のように現像剤担持搬送部材上に塗布した非磁性トナー又は磁性トナーを像担持体に対して接触状態で適用して静電潜像を現像する方法である。2成分接触現像方式は、トナーと磁性キャリアを混合した2成分現像剤を用いて磁気力により搬送して像担持体に対して接触状態で適用して静電潜像を現像する方法である。2成分非接触現像方式は、上記の2成分現像剤を像担持体に対して非接触状態で適用して静電潜像を現像する方法である。
【0042】
除電手段107に関して、図9〜11、13の画像形成装置は、転写手段108と後処理手段105の間に配してある。
【0043】
図4〜11、13の画像形成装置は、後処理手段105にブレードクリーニング手段(ブレードクリーニング工程)を具備させている。すなわち、感光体101のクリーニング手段として感光体101表面に当接させてクリーニングブレード106を配設し、このクリーニングブレード106により感光体表面を清掃させている。前記転写工程とこのブレードクリーニン工程の間に、前記摺擦工程及び前記被覆工程若しくは前記摺擦工程又は前記被覆工程がある。
【0044】
図7〜11、13の画像形成装置は、摺擦手段110と塗布手段111の両者の機能を同一の手段111で兼務させたものである。
【0045】
《被覆剤Sと塗布手段111》
被覆剤Sは、帯電手段102等で発生する帯電生成物質が、感光体101の表面に直接付着するのを防止するため、感光体の表面に実質的に全域に塗り伸ばされる必要がある。また、該被覆剤Sは帯電生成物が付着し、高湿環境下では感光体の表面と同様に低抵抗化するため、適宜除去される必要がある。更に、感光体の最表面に塗布されることから、潜像露光や除電光などの各光を透過させ、該感光体に到達させる窓材(透光性部材)としての機能、また帯電、現像、転写、クリーニング等の他の工程を阻害しない事も必要である。
【0046】
よって、いわゆる使い捨ての表面層として、該被覆剤Sには被膜生成容易性(軟らかくて塗伸ばしやすい)、掻き取り易さ、被膜の透明性、適宜な抵抗を有する事等が求められる。
【0047】
該被覆剤Sとしては、これらの物性から、フッ素系樹脂、脂肪酸金属塩、シリコーンオイル等の材料が挙げられる。中でも脂肪酸金属塩、特にステアリン酸亜鉛は、上記の各特性に優れ、また固体状への加工容易性も優れて好ましい。
【0048】
該被覆剤Sを感光体101の表面へ塗布する方法としては、粉末状、液状、あるいは該粉末状の材料を固体状に加工し、これらを直接塗りつける方法や、別途塗布部材を設けても良い。また、気体状の場合には噴霧などにより供給する事ができる。固体状に加工し、塗布部材を使用する形態は該被覆剤Sのメンテナンスや省スペース、また塗布量の制御も容易であり好ましい。
【0049】
塗布部材としては、ファーブラシ、スポンジ等の弾性部材、磁気ブラシ、ブレード状などの適宜の形態のものを使用できる。特に長寿命のシステムを考慮した場合、磁気ブラシを用いるのが好ましい。該磁気ブラシは構成上、長手方向(感光体軸線方向)への流動性を有し、均一塗布に優れ、また感光体としてアモルファスシリコンを使用した画像形成装置に、クリーニング補助手段として実用化されており、長寿命という観点でも有効である。
【0050】
ファーブラシは0.56〜3.33tex(5D〜30D)のファーブラシである時に良好な結果が得られた。0.56tex未満の場合にはファーが損耗や変形等により、塗布作用を長期に維持できなくなる場合がある。また3.33texを超える場合には感光体の損耗や塗布むらが生じる場合があった。tex(テクス)、D(デニール)は、何れも繊維の太さ(繊度)を示す単位である。従来、繊維の業界ではDが慣用されていたが、繊度の正式なSI単位はkg/mで、texは暫定併用単位となっている。相関は9D=1tex=1g/km=1×10−6kg/mである。
【0051】
弾性部材はAskerC硬度で5〜30°の範囲が好ましい。30°を超える硬い弾性部材では、塗布むらや感光体の損耗が生じる場合がある。また、5°未満の低硬度の弾性部材では、弾性部材が破損したり、外径が変化するなど、耐久性が低下する場合がある。
【0052】
磁気ブラシは適宜な磁性粒子コート厚規制部材を有した、マグネットローラや磁性体内包のスリーブ状のものを使用できる。また使用する磁性粒子も周知のものを使用できる。磁性粒子コート厚は、該磁性粒子の流動性と塗布能力を両立させる範囲が良く、具体的には数100μm〜数mmである。また、磁束密度や磁性粒子の磁化率などは、コート厚、塗布能力、磁性体流動性などから適宜な範囲で調整される。
【0053】
これらの塗布部材は、感光体表面に対して相対速度差を持って駆動される。また、特に長期放置後は、該放置により帯電生成物が蓄積している場合がある。該放置後の画像形成前等では塗布部材の駆動速度を、相対速度差を大きくなる様にして、摺擦性を向上させるなど、通常の画像形成時とは異なる速度で駆動する事も好ましい。
【0054】
該塗布部材の駆動条件として、感光体の面速度に対する相対速度[%]は、塗布部材の材料の物性、感光体の面速度や侵入圧等にもよるが、概ね−100〜+200%が良好な範囲である。−10〜+10%、および略連れ回りの+90〜+110%を除く範囲が好ましい。
【0055】
なお、該相対速度[%]は、+は感光体の回転方向に対し順方向、−はカウンター方向であり、例えば+100%は感光体と連れ回る状態、0%は停止状態、−100%は、感光体面速度と同速度でカウンター方向に回転している状態を指す。該相対速度の差は大きい方が良いが、大きすぎると部材の損耗が発生したりする場合がある。
【0056】
一方、塗布部材がブレード状の場合は、被覆剤塗布手段の簡略化の観点で好ましい。ブレード状塗布部材としては、クリーニングブレード106と同様の材料を使用することができる。特に摺擦・回収性のため、感光体との当接ニップ巾を広げたり、当接圧を上げる事が好ましい。ブレード状塗布部材はトナークリーニングを主目的としているわけではないので、感光体に対して設定角を鈍角に設定する等、設置条件を選択する事ができる。
【0057】
《無機微粒子M》
感光体101の表面に付着する帯電生成物を含む上記の被覆剤を摺擦除去する為の、研磨粒子(研磨剤)としての無機微粒子は、平均粒径Dが30〜500nmである事が好ましい。より好ましくは100nm〜300nmである。この粒径範囲の時、充分な摺擦・研磨作用を有し、更に流動性にも優れ、長手方向での均一な摺擦・研磨に好適である。
【0058】
無機微粒子Mは、ブレードクリーニング手段を有する系(図4〜11、13)では、クリーニングブレード106と感光体101のニップ直近のくさび形領域乃至はニップで、画像流れを効果的に防止しつつ、クリーニング阻止層乃至は潤滑剤としても働く。これにより、良好なクリーニング性を維持し、クリーニングブレード106や感光101の損耗を抑止して、長期に良好な画像を得る事ができる。
【0059】
30nm以下の小粒径の無機微粒子では摺擦・研磨作用が低減する場合がある。また、摺擦・回収手段での摺擦の均一性が低下する場合があった。一方、500nmを超えるような大粒径の無機微粒子の場合には、上記被覆剤Sで被覆された感光体101の微視的に均一な摺擦がされにくく、いわゆる粗削りとなる場合があった。また、ブレードクリーニング手段を有する系では、クリーニングブレード106と感光体101のニップ近傍、特にくさび形の部位に侵入しにくく、充分な摺擦作用が得られない場合がる。また、該くさび型部位、更にはクリーニングブレード106と感光体101のニップ部への侵入が、ニップ部長手方向で不均一となり、クリーニングブレード106乃至は感光体101の損耗が生じる場合があった。
【0060】
更には、無機微粒子Mはペロブスカイト型結晶構造を有する無機微粒子であることが好ましい。
【0061】
ペロブスカイト型の結晶構造を有する材料としては、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。これらの粒子は電子写真において、研磨剤として実用されており、また、粒径の制御も比較的行いやすく好ましい。
【0062】
無機微粒子の平均粒径については、電子顕微鏡にて5万倍の倍率で撮影した写真から100個の粒径を測定して、その平均を求めた。粒径は、一次粒子の最長辺をa、最短辺をbとしたとき、(a+b)/2として求めた。
【0063】
更に、該無機微粒子を現像剤に添加する場合は、トナー粒子に対する遊離率は20体積%以下であることが好ましく、15体積%以下が更に好ましい。
【0064】
ここで、遊離率とは、トナー粒子から遊離したペロブスカイト型結晶無機微粒子の割合を体積%で求めたものである。具体的には、パーティクルアナライザー(PT1000:横河電機(株)製)により公知の原理(「Japan Hardcopy 97論文集」65〜68頁(発行者:電子写真学会、発行日:1997年7月9日))で測定されたものである。
【0065】
更に詳しくは、遊離率は、結着樹脂の構成元素である炭素原子の発光と、ペロブスカイト型結晶無機微粒子の、構成原子の発光の同時性から、下記の式1により求めたものと定義する。
【0066】
遊離率(体積%)=「A/(B+A)]×100・・・式1
A:ペロブスカイト型結晶無機微粒子の構成原子のみの発光体
B:炭素原子と同時に発光したペロブスカイト型結晶無機微粒子の構成原子
の発光体積
発光体積Bにおける「炭素原子と同時に発光した」とは、炭素原子の発光から2.6msec.以内に発光したペロブスカイト型結晶無機微粒子の構成原子の発光をいう。そして、それ以降の、ペロブスカイト型結晶無機微粒子の構成原子の発光はペロブスカイト型結晶無機微粒子の構成原子のみの発光とする。
【0067】
本発明では、炭素原子と同時に発光したペロブスカイト型結晶無機微粒子の構成原子の発光は、トナー粒子表面に付着したペロブスカイト型結晶無機微粒子を測定している。ペロブスカイト型結晶無機微粒子の構成原子のみの発光は、トナー粒子から遊離したペロブスカイト型結晶無機微粒子を測定していることになり、これらを用いて遊離率を求める。
【0068】
該無機微粒子の形状は、不定形でも構わないが、稜線或いは角を有する、具体的には多角形状、乃至は直方体状である形状が好ましい。ペロブスカイト型結晶無機微粒子中の、粒子形状が稜線乃至は角を有する粒子の含有率を50個数%以上にすることで、更に効率的に帯電生成物の除去が行えるので好ましい。
【0069】
例えば円形度が0.930以下である事が好ましい。更に好ましくは0.870〜0.930である。これは、多角形、乃至、例えば図14(SEM写真)の如き直方体状である事を示す。
【0070】
上記の如き粒径、円形度の無機微粒子を使用する事で感光体の表面を均一に、高効率に摺擦でき、帯電生成物が付着した被覆剤を好適に除去できる。特にブレードクリーニング手段を有する系では、クリーニングブレード106と感光体101の当接ニップ直近に該無機微粒子が介在しやすく、クリーニング性の維持や、該クリーニングブレード106の損耗抑止にも効果を有する。
【0071】
無機微粒子の円形度は、電子顕微鏡にて50000倍で撮影された無機微粒子の拡大画像をコンピュータに取り込む。そして、SoftImagingSystem社製のソフトウェア「analySIS」にて、粒子投影面積と同じ円の周囲長と粒子投影像の周囲長を算出し、以下の式にて円形度を算出した。
【0072】
円形度=(粒子投影面積と同じ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
対象データは、画像から得られた30以上500nmの無機微粒子像(研磨剤像)の中から無作為に200サンプル抽出したものを用い、その平均値を算出した。
【0073】
ペロブスカイト型結晶の無機微粒子は、周知の焼結・粉砕法で製造できる。また、直方体状の微粉体は、例えば、硫酸チタニル水溶液を加水分解して得た含水酸化チタンスラリーのpHを調整して得たチタニアゾルの分散液に、ストロンチウムの水酸化物を添加して、反応温度まで加温することで合成することができる。該含水酸化チタンスラリーのpHは0.5〜1.0とすることで、良好な結晶化度及び粒径のチタニアゾルが得られる。
【0074】
又、チタニアゾル粒子に吸着しているイオンを除去する目的で、該チタニアゾルの分散液に、水酸化ナトリウムの如きアルカリ性物質を添加することが好ましい。このときナトリウムイオン等を含水酸化チタン表面に吸着させないために、該スラリーのpHを7以上にしないことが好ましい。又、反応温度は60℃〜100℃が好ましく、所望の粒度分布を得るためには昇温速度を30℃/時間以下にすることが好ましく、反応時間は3〜7時間であることが好ましい。
【0075】
上記の如き方法により製造された無機微粒子を脂肪酸又はその金属塩で表面処理を行う方法としては以下の方法がある。たとえば、Arガス又はN2ガス雰囲気下、無機微粒子スラリーを脂肪酸ナトリウム水溶液中に入れ、ペロブスカイト型結晶表面に脂肪酸を析出させることができる。また、たとえばArガス又はN2ガス雰囲気下、無機微粒子スラリーを脂肪酸ナトリウム水溶液中に入れ、撹拌しながら、所望の金属塩水溶液を滴下することで、ペロブスカイト型結晶表面に脂肪酸金属塩を析出、吸着させることができる。例えばステアリン酸ナトリウム水溶液と硫酸アルミニウムを用いればステアリン酸アルミニウムを吸着させることができる。
【0076】
《感光体101》
画像形成システムのメンテナンス負荷低減の為に、感光体101は長寿命な感光体が好ましい。
【0077】
a−Si感光体(アモルファスシリコン感光体)は、耐磨耗性、耐久に伴う電位安定性などに優れた長寿命感光体である。
【0078】
a−Si感光体は、その表面層が、シリコン原子及び炭素原子若しくはシリコン原子又は炭素原子を母体として水素原子及びハロゲン原子若しくは水素原子又はハロゲン原子を含有する非単結晶材料からなるものである。
【0079】
図15は、a−Si感光体の層構成の例を説明するための模式的構成図である。感光体1500は、支持体1501の上に、感光層1502が設けられている。該感光層1502は光導電層1503と、表面層1504と、必要に応じて設けられる電荷注入阻止層1505、同1506とから構成され、各層は周知のa−Si感光体用材料、及びプラズマCVDなど周知の製造方法で作成できる。
【0080】
なお、本発明において像担持体としての感光体は、その表面形状が規定された感光体であることが好ましい。
【0081】
感光体表面の10点平均粗さRzとしては、前記無機微粒子Mが効果的に流動したり、或いは該無機微粒子等の凝集体をほぐすために、該無機微粒子の平均粒径Dの0.5〜2倍(0.5≦Rz/D≦2.0)であることが好ましい。
【0082】
該Rz/Dは、大きすぎると、前記無機微粒子が効果的に流動する事ができない。一方、小さすぎても前記無機微粒子の転がりが生じ難くなる。
【0083】
また、感光体表面の表面形状が、特に画像流れに影響することが判明した。特に、感光体表面の表面粗さRaが大きくなると、流れは悪化する方向にある。また該画像流れを抑止する為の上記被覆剤の必要塗布量は該表面粗さRaに依存する事を見出した。
【0084】
具体的には、感光体表面の表面粗さRaが0.01μm以上0.100μm以下(コサカ/巨視的粗さ)である。この表面粗さRaと、被覆剤被覆工程での感光体表面に対する被覆剤当接領域に於ける単位面積あたり(被覆剤長手方向1cmあたり、感光体が1cm進んだ時)の被覆剤の塗布量T[μg/cm2]が、下式を満たす範囲が好ましい。
【0085】
T≧0.61×Ra+0.064
a−Si感光体の表面形状は、例えば支持体1501の切削や、回転ボールミル等による処理を行い、支持体1501の表面形状を調整した上で感光層1502を形成する事で制御する事ができる。
【0086】
具体的には、アルミシリンダー等の支持体1501を切削する際のバイトの種類、角度、或いは切削ピッチの調整により、該支持体の表面形状を制御することができる。また、製造されるa−Si感光体は、図16の如く、支持体1501の表面形状に応じた表面形状を有する。さらに、作成された感光体の表面を、研磨テープなどを用いて研磨し、表面形状を制御する事も可能である。また、a−Si感光層の成膜時の原料ガスの流量やプラズマ放電電力、基板温度等の成膜条件にも依存する。例えば、プラズマCVDで製造する場合、原料ガス流量を増やすとともに、放電電力/原料ガス流量比を増加させるとRzやRaが増加傾向になるなどである。
【0087】
これら表面形状を制御する手法は、単独で制御しても、また複合的に制御しても良い。
【0088】
上記の感光体表面形状(Rz、Ra)は、JISB0601:1994に対応した表面粗さ測定装置で測定する事ができる。
【0089】
具体的には、小坂研究所(メーカー)製サーフコーダSE−3400を使用し、測定長l=5mm、速度0.05mm/sec、カットオフλc0.8mm、JIS1994モードにて、クリーニングブレードの長手方向に相当する方向で測定を行った。
【0090】
《BAE方式とIAE方式》
前述したように、ジタル画像形成方法では、潜像形成方式として画像情報と露光部との関係で、大きく分けてIAE方式(イメージ露光方式)とBAE方式(バックグラウンド露光方式)がある。BAE方式はアナログ画像形成方式と同じでいわゆる正規現像方式が、一方IAE方式は感光体と現像剤が逆極性の反転現像方式が採用される。
【0091】
図17は、左側部に、IAE方式の1ラインの状態、即ち1ラインのみ光ビームONの状態を、右側部に、BAE方式の1ラインの状態、即ち1ラインのみ光ビームOFFの潜像状態と、現像バイアスのDC成分を示している。
【0092】
実線は現像工程時の感光体表面電位である。また、現像バイアスはIAE方式に於いてVdi、BAE方式に於いてVdbである。
【0093】
現像剤は静電付着力により感光体表面に現像されるが、該静電付着力は、各々ΔVl1=Vdi−Vi、ΔVh1=Vb−Vdbのコントラストに起因する。
【0094】
言い換えれば、図17の1ライン部において、IAE方式では現像剤は感光体の電位の井戸が深いほど、或いは感光体が低電位なほど強く付着する傾向がある。一方、BAE方式では感光体の電位の山が高いほど、或いは感光体が高電位なほど、強く付着する傾向がある。
【0095】
感光体の表面電位が減衰し、破線のような状態になると、BAE方式では現像剤の付着力が低減する事により、クリーニング工程に於いて、現像剤が感光体の長手方向へ移動しやすくなり、転写残現像剤や研磨粒子等がクリーニングブレードで均一に均される。また、感光体電位の減衰に伴い、画像部と非画像部の電位差が減少することも有効に働く。
【0096】
本発明の実施形態系では、クリーニング工程に突入する前に除電工程を通過するため、クリーニング工程時には、図17の一点鎖線の様に、更に低電位でまた画像部と非画像部の電位差が低減され、BAE方式でより有効に作用する。特に、a−Si感光体はOPC等と比較して電位の減衰が大きいため、より効果的である。
【0097】
更に、本発明者らの検討の結果、特にa−Si感光体を使用する系に於いては、除電工程から帯電工程までの時間が100msec以下のような短時間では、帯電電位の低下や、ゴーストと言われる画像欠陥が生じる場合がある。
【0098】
クリーニング工程から帯電工程までの時間が100msec以下となる様な系では、クリーニング工程より上流に除電工程を配することで、除電工程から帯電工程の時間を長くする事ができ、上記の点からも効果的である。
【0099】
IAE方式では非画像部(背景部)の電位が画像部より高い為、転写分離性能に関してはIAE方式よりもBAE方式の方がラチチュードは広く、この点でもBAE方式が有利である。
【0100】
《現像剤》
現像剤としては周知の現像剤を使用できる。特に、高速・超寿命のシステムに於いては、現像手段もメンテナンスフリーである事が好ましく、非接触磁性1成分現像方式であるジャンピング現像方式が、a−Si感光体の画像形成装置などで実用化されている。
【0101】
ジャンピング現像は非接触現像であるが故に、前述したの研磨剤としての無機微粒子Mがクリーニング工程等からのすり抜けを生じても、現像手段への回収をし難く、該無機微粒子の現像手段中での濃縮等に起因する画像特性の変動を防止できる。また、トナーが磁性トナーであり、磁性体による研磨作用付加や摺擦回収部材として磁性体を利用できるなどの付加的な作用も期待できる。
【0102】
磁性1成分現像剤は磁性トナー粒子と、外添剤からなる現像剤であるが、該磁性トナー粒子の粒子径は高画質、高精細から小さい方が好ましい。一方、小さすぎるとトナークリーニングが困難になる場合がある。また、一般にトナー粒径が小さくなると、付着力に対する静電的付着力の寄与率が小さくなり、BAE方式の作用効果の観点からも小さすぎない方が好ましい。
【0103】
該トナー粒子の重量平均粒子径X(μm)は、4μm乃至12μmが好ましい範囲である。
【0104】
更に、フロー式粒子像測定装置で計測される円相当径3μm以上400μm以下のトナー粒子における平均円形度が0.930以上0.970未満(好ましくは0.935以上0.970未満)であることが好ましい。
【0105】
平均円形度aは高い方が離形性に優れる。即ち、付着力を低減できクリーニング性に有利であるほか、転写効率も向上する。一方、球形など、円形度が高すぎる場合にはクリーニングブレード部での流動性が低下し上記の研磨剤としての無機微粒子等を該クリーニングブレードの長手方向に均一に均す作用が低下してしまう。結果として、上記無機微粒子の作用や、クリーニング性の低下を招く場合がある。
【0106】
円形度はトナー粒子の、凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。
【0107】
平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものである。本発明ではシスメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA−2100を用いて23℃、60%RHの環境下で測定を行う。円相当径0.60μm〜400μmの範囲内の粒子を測定し、そこで測定された粒子の円形度a’を下記の式2により求める。円相当径3μm以上400μm以下の粒子において、該円形度a’の総和を全粒子数で除した値を平均円形度aと定義する。
【0108】
円形度a’=L0/L・・・式2
式2において、L0は粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長を示し、Lは512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理した時の粒子投影像の周囲長を示す。
【0109】
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02g加え、均一に分散させる。
【0110】
分散させる手段としては、超音波分散機「Tetora150型」(日科機バイオス社製)を用い、2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。また、円形度のバラツキを抑えるため、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100の機内温度が26〜27℃になるよう装置の設置環境を23℃±0.5℃にコントロールする。そして、一定時間おきに、好ましくは2時間おきに2μmラテックス粒子を用いて自動焦点調整を行う。
【0111】
トナー粒子の円形度測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナー粒子濃度が3000〜1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、トナー粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、円相当径3μm未満のデータをカットして、トナー粒子の平均円形度を求める。
【0112】
円形度a’の個数基準の円形度分布において、0.900以上の円形度a’を有する粒子が90個数%以上存在することが好ましい。平均円形度を制御した作用が有効に働き、上記クリーニング性や、クリーニングブレード長手方向の均一性を好適に維持できる。
【0113】
磁性トナー粒子の製造には、周知の粉砕法、重合法など、周知の方法を使用することができる。また、製造手段も混合機、混練機、粉砕機、分級機、篩い装置、何れも公知の装置を使用することができる。また、円形度の制御も公知の機械式や熱による表面改質手段を使用したり、重合条件を調整して制御することができる。また、トナー粒子に使用する結着樹脂、磁性体、ワックス等の添加剤、またトナー粒子に外添する添加剤は周知の物を使用することができる。
【0114】
《帯電方式》
感光体の帯電方式は、コロナ帯電方式、接触帯電方式、またこれらの中間に位置する、いわゆる近接帯電方式など、周知の帯電方式が使用できる。
【0115】
また、印加する帯電バイアスも、DCバイアスのみでも、DCバイアスにACバイアスを重畳(AC/DCと称する)してもよい。
【0116】
一般にコロナ帯電方式よりも接触帯電方式、近接帯電方式の方が、発生するオゾンやNOx等の生成物の量が少ない。また、該接触、および近接帯電方式は、小型での帯電性能に優れ、画像形性装置を小型化する場合に有効である。
【0117】
近接帯電方式は、接触帯電とほぼ同等のバイアスで、また感光体に接触していないため帯電部材表面が汚染され難い、更に該感光体と該帯電手段の空隙部で気流が生じるため、帯電生成物が帯電領域に蓄積され難い。
【0118】
近接帯電方式に於いて、感光体と帯電手段の空隙間隔は、最近接部で500μm以下、好ましくは20〜300μm、より好ましくは100μm以下、最適には50μm以下であり、感光体との距離が大きい(数mm)コロナ帯電とは区別されるものである。
【0119】
この空隙は、大きすぎた場合には帯電が不安定になりやすく、また、小さすぎた場合には、感光体に残留した研磨粒子等が存在する場合に、帯電部材表面が汚染されてしまう可能性がある。
【0120】
近接帯電の帯電手段102の形状は、例えば図11、図12の(1)や(2)のように、近接帯電手段102としての電極部材は、感光体101に近接させた状態で固定したものであっても、或いは図13のようにローラ乃至はベルト状の可動部材であっても良い。感光体との空隙が維持できるように、帯電手段102の画像領域外にスペーサーなどの部材を設ける事もできる。近接帯電部材の材料は周知のものが使用できるが、接触帯電手段と比較して高硬度に設定されるのが一般的である。空隙を維持できる硬度であれば良い。
【0121】
特に可動式の場合、実質的に表面積を稼ぐ事ができ、部材を長寿命化したり、清掃手段の付与などが容易である。
【0122】
《無機微粒子Mの摺擦、回収手段110》
前述した研磨粒子として無機微粒子Mを介して感光体101の表面を摺擦、及び/又は該無機微粒子Mを回収する摺擦・回収手段110としては、ファーブラシ、弾性部材、磁気ブラシ等の適宜の形態の部材を使用することができる。
【0123】
ブレードクリーニング手段を有する系では、クリーニングブレード106の負荷を低減し、損耗を抑止するのにも効果的である。
【0124】
該摺擦、回収手段110は、前述した被覆剤塗布手段111と同様の部材を使用することができる。
【0125】
また、これらの摺擦・回収部材において、該無機微粒子Mを回収する為、該無機微粒子Mとは逆極性のバイアスを印加する事も好ましい。
【0126】
《無機微粒子の製造例》
下記製造例にて、チタン酸ストロンチウムからなる、研磨粒子としてのペロブスカイト型結晶無機微粒子を作成した。
【0127】
1)製造例1
四塩化チタン水溶液にアンモニア水を添加することにより加水分解して得られた含水酸化チタンを純水で洗浄し、該含水酸化チタンのスラリーに含水酸化チタンに対するSO3として0.3%の硫酸を添加した。
【0128】
次に、該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを0.6に調整してチタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを5.0に調整し、上澄み液の電気伝導度が50μS/cmになるまで洗浄をくり返しした。
【0129】
該含水酸化チタンに対し、0.97倍モル量のSr(OH)2・8H2Oを加えてSUS製の反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、SrTiO3換算で0.6mol/リットルになるように蒸留水を加えた。窒素雰囲気中で該スラリーを60℃まで10℃/時間で昇温し、60℃に到達してから7時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後、純水で洗浄をくり返し、その後、ヌッチェで濾過を行った。得られたケーキを乾燥し、焼結工程を経由していないチタン酸ストロンチウム微粒子を得た。
【0130】
このチタン酸ストロンチウム微粒子を無機微粒子Aとした。該無機微粒子Aの物性を表1に示す。
【0131】
2)製造例2
四塩化チタン水溶液にアンモニア水を添加することにより加水分解して得られた含水酸化チタンを純水で洗浄し、該含水酸化チタンのスラリーに含水酸化チタンに対するSO3として0.25%の硫酸を添加した。次に、該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを0.65に調整してチタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを4.7に調整し上澄み液の電気伝導度が50μS/cmになるまで洗浄をくり返しした。
【0132】
該含水酸化チタンに対し、0.95倍モル量のSr(OH)2・8H2Oを加えてSUS製反応容器に入れ、窒素ガス置換した。さらにSrTiO3換算で0.6mol/リットルになるように蒸留水を加えた。
【0133】
窒素雰囲気中で該スラリーを65℃まで10℃/時間で昇温し、65℃に到達してから8時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後純水で洗浄をくり返した。
【0134】
さらに窒素雰囲気下、上記スラリーをスラリーの固形分に対して2質量%のステアリン酸ナトリウムを溶解した水溶液中に入れ、撹拌しながら、硫酸マグネシウム水溶液を滴下して、ペロブスカイト型結晶表面にステアリン酸マグネシウムを析出させた。
【0135】
該スラリーを純水でくり返し洗浄した後ヌッチェで濾過し、得られたケーキを乾燥してステアリン酸マグネシウムで表面処理したチタン酸ストロンチウム微粒子を得た。
【0136】
この焼結工程を経由していない表面処理されたチタン酸ストロンチウム微粒子を無機微粒子Bとする。該無機微粒子Bの物性を表1に示す。
【0137】
3)製造例3
上記製造例2に対し、添加する硫酸の量やpH、スラリー昇温温度や反応時間を調整してチタン酸ストロンチウム微粒子からなる無機微粒子Cを得た。該無機微粒子Cの物性を表1に示す。
【0138】
4)製造例4
硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チタンスラリーをアルカリ水溶液で洗浄した。次に、該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを0.7に調整してチタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを5.0に調整し、上澄み液の電気伝導度が70μS/cmになるまで洗浄をくり返しした。
【0139】
該含水酸化チタンに対し、0.98倍モル量のSr(OH)2・8H2Oを加えてSUS製の反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、SrTiO3換算で0.5mol/リットルになるように蒸留水を加えた。窒素雰囲気中で該スラリーを80℃まで7℃/時間で昇温し、80℃に到達してから6時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後、純水で洗浄をくり返し、その後、ヌッチェで濾過を行った。得られたケーキを乾燥し、焼結工程を経由していないチタン酸ストロンチウム微粒子を得た。
【0140】
このチタン酸ストロンチウム微粒子を無機微粒子Dとした。該無機微粒子Dの物性を表1に示す。
【0141】
また、この無機微粒子Dの電子顕微鏡にて5万倍の倍率で撮影した写真を図14に示す。図14において、平均1次粒径Dが100nmの直方体状のチタン酸ストロンチウム微粒子が見える。
【0142】
5)製造例5
硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チタンスラリーをアルカリ水溶液で洗浄した。次に、該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを0.8に調整してチタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを5.0に調整し、上澄み液の電気伝導度が70μS/cmになるまで洗浄をくり返しした。
【0143】
該含水酸化チタンに対し、0.95倍モル量のSr(OH)2・8H2Oを加えてSUS製の反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、SrTiO3換算で0.7mol/リットルになるように蒸留水を加えた。窒素雰囲気中で該スラリーを65℃まで8℃/時間で昇温し、65℃に到達してから5時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後、純水で洗浄をくり返し、その後、ヌッチェで濾過を行った。得られたケーキを乾燥し、焼結工程を経由していないチタン酸ストロンチウム微粒子を得た。
【0144】
このチタン酸ストロンチウム微粒子を無機微粒子Eとした。該無機微粒子Eの物性を表1に示す。
【0145】
6)製造例6
上記製造例5に対して、pH、加えるSr(OH)2・8H2Oの、含水酸化チタンに対するモル量、スラリー昇温温度や反応時間を調整してチタン酸ストロンチウム微粒子Fを得た。該無機微粒子Fの物性を表1に示す。
【0146】
7)製造例7
硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チタンスラリーをアルカリ水溶液で洗浄した。次に、該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを1.5に調整してチタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを5.3に調整し上澄み液の電気伝導度が100μS/cmになるまで洗浄をくり返しした。
【0147】
該含水酸化チタンに対し、1.07倍モル量のSr(OH)2・8H2Oを加えてSUS製反応容器に入れ、窒素ガス置換した。さらにSrTiO3換算で0.3mol/リットルになるように蒸留水を加えた。
【0148】
窒素雰囲気中で該スラリーを87℃まで70℃/時間で昇温し、87℃に到達してから5時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後純水で洗浄をくり返した。
【0149】
さらに窒素雰囲気下、上記スラリーをスラリーの固形分に対して1質量%のステアリン酸ナトリウムを溶解した水溶液中に入れ、撹拌しながら、硫酸亜鉛水溶液を滴下して、ペロブスカイト型結晶表面にステアリン酸亜鉛を析出させた。
【0150】
該スラリーを純水でくり返し洗浄した後ヌッチェで濾過し、得られたケーキを乾燥してステアリン酸亜鉛で表面処理したチタン酸ストロンチウム微粒子を得た。
【0151】
この一次粒子の平均粒径が320nmのチタン酸ストロンチウム微粒子をGとした。無機微粒子Gの物性を表1に示す。
【0152】
8)製造例8
四塩化チタン水溶液にアンモニア水を添加することにより加水分解して得られた含水酸化チタンを上澄み液の電気伝導度が90μS/cmになるまで純水で洗浄した。
【0153】
該含水酸化チタンに対し、1.5倍モル量のSr(OH)2・8H2Oを加えてSUS製反応容器に入れ、窒素ガス置換した。さらにSrTiO3換算で0.2mol/リットルになるように蒸留水を加えた。
【0154】
窒素雰囲気中で該スラリーを80℃まで15℃/時間で昇温し、80℃に到達してから5時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後純水で洗浄をくり返した。
【0155】
さらに窒素雰囲気下、上記スラリーをスラリーの固形分に対して18質量%のステアリン酸ナトリウムを溶解した水溶液中に入れ、撹拌しながら、硫酸亜鉛水溶液を滴下して、ペロブスカイト型結晶表面にステアリン酸亜鉛を析出させた。
【0156】
該スラリーを純水でくり返し洗浄した後ヌッチェで濾過し、得られたケーキを乾燥してステアリン酸亜鉛で表面処理したチタン酸ストロンチウム微粒子を得た。
【0157】
この一次粒子の平均粒径が350nmのチタン酸ストロンチウム微粒子Hとした。該無機微粒子Hの物性を表1に示す。
【0158】
9)製造例9
製造例8に対して、上澄み液の電気伝導度、加えるSr(OH)2・8H2Oの量、昇温温度や反応時間を調整して、一次粒子の平均粒径が420nmのチタン酸ストロンチウム微粉体Iとした。該無機微粒子Iの物性を表1に示す。
【0159】
10)製造例10
製造例8に対して、上澄み液の電気伝導度、加えるSr(OH)2・8H2Oの量、昇温温度や反応時間を調整して、一次粒子の平均粒径が500nmのチタン酸ストロンチウム微粒子Jとした。該無機微粒子Jの物性を表1に示す。
【0160】
11)製造例11
一次粒子の平均粒径が130nmの、結晶形状が不定形のチタン酸ストロンチウム微粒子Kとした。該無機微粒子Kの物性を表1に示す。
【0161】
12)製造例12
一次粒子の平均粒径が280nmの、結晶形状が不定形のチタン酸ストロンチウム微粒子Lとした。該無機微粒子Lの物性を表1に示す。
【0162】
13)製造例13
無機微粉体Eを1000℃で焼結した後に解砕して焼結工程を経由したチタン酸ストロンチウム微粒子を得た。一次粒子の平均粒径が500nmであり、不定形な粒子形状を有するチタン酸ストロンチウム微粒子を無機微粒子Mとした。該無機微粒子Mの物性を表1に示す。
【0163】
14)製造例14
塩化チタン100g/l(TiCl4)水溶液300mlにTiと同当量の炭酸ストロンチウム(SrCO3)を溶解し、窒素雰囲気下で溶液中の塩素イオンと同当量の水酸化カリウム(KOH)を加え、オートクレープ中で140℃、3時間攪拌過熱した。生成物の濾過、洗浄、乾燥を施して、チタン酸ストロンチウム微粒子Nを得た。該微粒子Nは一次粒子の平均粒径が190nmであり、球形な粒子形状を有する。該無機微粒子Nの物性を表1に示す。
【0164】
14)比較製造例1
硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チタンスラリーをアルカリ水溶液で洗浄した。次に、該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを4.0に調整してチタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを8.0に調整し、上澄み液の電気伝導度が100μS/cmになるまで洗浄をくり返しした。
【0165】
該含水酸化チタンに対し、1.02倍モル量のSr(OH)2・8H2Oを加えてSUS製の反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、SrTiO3換算で0.3mol/リットルになるように蒸留水を加えた。窒素雰囲気中で該スラリーを90℃まで30℃/時間で昇温し、90℃に到達してから5時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後、純水で洗浄をくり返し、その後、ヌッチェで濾過を行った。得られたケーキを乾燥し、一次粒子の平均粒径が25nmのチタン酸ストロンチウム微粒子を得た。
【0166】
このチタン酸ストロンチウム微粒子を比較微粉体Aとした。該比較微粉体Aの物性を表1に示す。
【0167】
15)比較製造例2
一次粒子の平均粒径が620nmのチタン酸ストロンチウム微粒子を得た。このチタン酸ストロンチウム微粒子を比較微粒子Bとした。該比較微粒子Bの物性を表1に示す。
【0168】
16)比較製造例3
一次粒子の平均粒径が24nmの、結晶形状が不定形なチタン酸ストロンチウム微粒子を得た。
【0169】
このチタン酸ストロンチウム微粒子を比較微粒子Cとした。該比較微粒子Cの物性を表1に示す。
【0170】
17)比較製造例4
一次粒子の平均粒径が530nmの、結晶形状が不定形なチタン酸ストロンチウム微粒子を得た。
【0171】
このチタン酸ストロンチウム微粒子を比較微粒子Dとした。該比較微粒子Dの物性を表1に示す。
【0172】
18)比較製造例5
炭酸ストロンチウム600gと酸化チタン350gをボールミルにて、8時間湿式混合した後、ろ過乾燥し、この混合物を10kg/cm2の圧力で成形して1200℃で7時間焼結した。これを、機械粉砕して、焼結工程を経由した一次粒子の平均粒径が700nmチタン酸ストロンチウム微粒子を得た。
【0173】
このチタン酸ストロンチウム微粒子を比較微粒子Eとした。該比較微粒子Eの物性を表1に示す。
【0174】
【表1】
【0175】
《感光体の製造例》
下記製造例にて、a−Si感光体を作成した。
【0176】
外径80mm(φ80と記載する)の支持体の表面を、市販の切削旋盤を使用して切削した。R形状のバイトの種類を振った支持体、平バイトの設置角度及び侵入量を制御した支持体を作成した。また、回転ボールミルを用い、粒径の異なる金属球をシリンダーに衝突させ、不規則な形状の支持体を作成した。
【0177】
a−Si感光体の分光感度ピークは大略660〜700nm、また表面層の抵抗率は2×1016Ω・cmであった。
【0178】
感光層の成膜状件は表2の条件に固定し、RF−CVDで成膜して、正帯電のa−Si感光体P01〜P05を作成した。
【0179】
また、感光体P01等同一の方法で作成した感光体をバフ研磨し、感光体P06〜P07を得た。
【0180】
また、成膜条件、特に光導電層部および電荷注入阻止層部のPower、基板温度およびガス流量を調整し感光体P08〜P12を作成した。
【0181】
作成した感光体P01〜P12の表面形状を測定した。結果を表3に示す。
【0182】
【表2】
【0183】
【表3】
【0184】
本例では詳細は割愛するが、プラズマCVDの条件を振ることでも表面形状を制御できる。例えば、ガス流量を増加させるとともに、放電電力/ガス流量を増加させると、感光体表面の10点平均粗さRzや表面粗さRaが増加する、などである。
【0185】
表3の感光体P01〜P07の表面形状Rzを、表1の無機微粒子A〜N、比較微粒子A〜Eの各平均1次粒径Dで除した結果を表4に示す。
【0186】
【表4】
【0187】
《被覆剤Sの製造例》
下記製造例にて、被覆剤Sを作成した。
【0188】
市販のステアリン酸亜鉛(堺化学工業製SZ−2000)を用意した。微粉末状態のままのものと、A3長の直方体状に成型した固体状のものとを用意した。固体状成型品の硬度はJIS鉛筆硬度でH〜Fであった。
【0189】
《被覆剤塗布手段111の製造例》
上記被覆剤Sを感光体101の表面に塗布する手段としては、現像剤に外添し、現像手段から供給する方法もある。しかし、この場合は、現像スリーブが被覆剤で汚染され、現像濃度低下などの弊害が出る場合があるため、下記の如く別途、被覆剤塗布部材111を設けた。
【0190】
A.直接塗布部材
上記被覆剤Sの固体状成型品を、図18の如く、バネ111−1を用いて、感光体101の表面に直接に当接させるようにした。
【0191】
B.ファーブラシ
1texのレーヨン系導電糸を使用し、100kF/inch2で毛の長さを4mmとし、外径18mmのファーブラシ111−2を作成した。
なお、F/inch2は、使用する繊維の密度を表す単位(F;フィラメント・・・繊維本数)で、本例では1インチ四方に100k本の密度である事を示す。
【0192】
C.弾性ローラ
弾性発泡体からなるアスカーC硬度で25度の外径18mmの弾性ローラ111−3を作成した。
【0193】
D.磁気ブラシ
外径15mmの6極マグネットローラを作成し、さらに磁性粒子として公知の、平均粒径が略20μmの磁性キャリアを準備した。使用する画像形成装置が磁性現像剤を使用する場合には機構簡易化のため、該磁性現像剤を磁性粒子として使用した。更に、磁性キャリア層厚規制部材を設け、外径20mmの磁気ブラシ111−4を作成した。
【0194】
上記、B〜Dの塗布部材については、感光体との当接部で、該感光体をカウンター方向に駆動するよう手段を設け、また、リーク等の抑止のため接地を施した。
【0195】
更に、図18のように、直方体状に成型された被覆剤Sを固定部材に設置し、所定の当接圧で塗布部材B〜Dに当接する様にした。
【0196】
《現像剤の製造例》
下記製造例にて、トナー粒子、及び各種添加剤からなる現像剤を作成した。
【0197】
周知のポリエステル系結着樹脂・・・100質量部
磁性酸化鉄 ・・・100質量部
モノアゾ鉄化合物 ・・・・・2質量部
サリチル酸Al化合物 ・・・・・1質量部
フィッシャートロプシュワックス・・・・4質量部
(DSCピークトップ温度=104℃、Mw/Mn=1.8)
の混合物をヘンシェルミキサーで前混合する。それを、130℃に加熱された2軸エクストルーダで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕してトナー粗粉砕物を得た。
【0198】
得られた粗粉砕物を、機械式粉砕機ターボミルを用いて、粉砕機入り口エアー温度を−15℃、出口エアー温度を48℃、粉砕ローター及びライナーを冷却する冷媒の温度を−5℃に調整して機械式粉砕にて微粉砕する。
【0199】
得られた微粉砕物をコアンダ効果を利用した多分割分級装置(日鉄鉱業社製エルボジェット分級機)で微粉及び粗粉を同時に厳密に分級除去した。
【0200】
その後、機械式表面改質装置を用いて種々の円形度のトナー粒子を作成した。
【0201】
該トナー粒子に100質量部に、BET200m2/gの乾式シリカに疎水化処理を施した、疎水化シリカ粒子1.5質量部を、ヘンシェルミキサーで混合する。
【0202】
これにより、重量平均粒子径Xが6.4μmで、表5に示すような平均円形度aの負帯電性トナーT1〜T11を得た。
【0203】
【表5】
【0204】
《摺擦・回収部材110の製造例》
下記製造例にて、各種摺擦・回収手段110を作成した。
【0205】
1)製造例1
キヤノン(株)製複写機iR6570に使用されているクリーニングブレードと同一材料からなる、厚さ2mmのウレタンブレード材110−1を作成した。
【0206】
該部材は、自由長5mm、当接角140°(順方向で40°)、及び当接圧は総圧800gで設置出来る様にした。
【0207】
2)製造例2
カーボンを分散させた、2tex(18D)のレーヨンを、9.3×103F/cm2(60kF/inch2)で具備させたブラシローラ110−2を作成した。このブラシローラ110−2を感光体に1.5mm侵入するように配置した。また、クリーニング容器105a内には、該ブラシローラに0.5mm侵入するようにスクレーパーを設置した。
【0208】
3)製造例3
周知の方法で、φ8の芯金上にカーボンを分散した発泡ウレタンからなる弾性ローラ110−3を作成した。該弾性ローラは、平均孔径がφ50μmの単泡セルを多数有する。Asker−C硬度は25度であり、感光体に0.5mm侵入するように設置した。また、クリーニング容器105a内には、該弾性ローラに0.2mm侵入するようにスクレーパーを設置した。
【0209】
4)製造例4
周知の方法で、φ8の芯金上にプラスチックマグネットからなるマグネットローラを作成した。該マグネットローラ上に磁性粒子が1.5mm厚でコートされる様に、不図示の厚規制部材、スクレーパーを設け、磁気ブラシ110−4を作成した。該磁気ブラシは、感光体表面に0.2mmの侵入量で当接する様に設置した。
【0210】
上記のファーブラシローラ110−2、弾性ローラ110−3、磁気ブラシ110−4は感光体の回転に同期し、該感光体の面速度に対して任意の速度で回転駆動する駆動手段を有する。
【0211】
上記の各摺擦・研磨部材110−1〜4は、チャージアップ抑止等のため、接地した。また、必要に応じて、接地する変わりに、後述する実施例のようにバイアス印加手段を付加しても良い。
【0212】
〔実施例1〕
評価装置として、キヤノン(株)製複写機iR6570(スコロトロン帯電器、感光体面速度290mm/sec、65ppm機)を改造して、図1の如き評価機とした。
【0213】
具体的には、帯電条件、露光条件を外部制御できるようにし、感光体面速度を調整可能とした。当然ながら該面速度に同期して、紙搬送など、各ユニットの条件も調整される。なお、本実施例では感光体面速度はiR6750デフォルトのままとした。
【0214】
耐刷、及び各評価に際して、感光体の現像位置での暗電位は420V、潜像露光後電位は50Vとなる様に、帯電条件及び露光条件を調整した。
【0215】
更に、ドラムヒーター、及びクリーニングブレード、標準で装備させてあるクリーニング補助部材(マグネットローラ、ドクターローラ等)を除し、摺擦・回収手段110及び被覆剤塗布手段111を設け、クリーニング容器105aを下記の如く改造した。
【0216】
摺擦・回収部材110としてはファーブラシ110−2を使用し、感光体への侵入量0.5mm、駆動速度−80%(カウンター方向80%)とした。更にクリーニング容器105aから無機微粒子Mを供給できる様にした。
【0217】
転写残トナーや紙粉、過剰な無機微粒子等を回収する廃トナー部とは、不図示の仕切り部材で区切った。廃トナー部通過後、不図示のスクレーパーで清掃された摺擦・回収機手段110−2は、無機微粒子部から感光体101表面へ、該無機微粒子を供給する。
【0218】
無機微粒子はA〜Mを使用し、現像剤はT10(表6:平均円形度a=0.918)を使用した。
【0219】
被覆剤Sとして、前述のステアリン酸亜鉛微粉末を容器に入れた。被覆剤供給手段111は、ファーブラシ111−2を用い、感光体への侵入量0.5mm、駆動速度+75%(順方向75%)とした。被覆剤の塗布量としては、被覆剤S及び塗布部材、被覆剤Sの容器の合計重量の、耐刷評価前後の差から求めた。成型品についても同様に求める事が出来る。
【0220】
評価用感光体は前述の感光体P01を用いた、
該評価装置を用いて、温度30℃/湿度80%の(H/H)環境下で、図19の如く、通紙方向に等間隔の罫線(500μm線を10mm間隔で配した。画像比率5%)を、連続で20k枚/日で耐刷した。その後、各種評価用画像形成を行い、メインスイッチをオフして夜間放置した。翌朝、評価用画像形成後、同様に20k枚/日の耐刷試験を継続し、300kまでの耐刷試験を行った。次に、温度10℃/湿度15%の(L/L)環境下で、同様に、100k枚、合計400k枚の通紙耐久を行った。100k毎には5晩放置とし、長期放置後の特性を評価した。
【0221】
評価用画像としては、300μm線を5mm間隔で交差させた格子画像、1ドット1スペース、1ドット2スペースのハーフトーン画像、ベタ黒、及び17階調画像を形成した。
【0222】
本実施例1では、被覆剤塗布量Tは0.88[μg/cm2]であった。
【0223】
感光体耐久性は、感光体表面の磨耗量、及びキズで評価した。摩耗量は、反射分光式干渉計(商品名:MCPD−2000、大塚電子(株)社製)により測定し、1回転あたりの摩耗Rate[nm/回転]として算出した。また、感光体表面のキズは、感光体表面の任意の12点、及び目視でキズ又はスジが現認された箇所は、追加測定点として、表面粗さを測定した。
【0224】
評価基準は下記の通りである。
【0225】
1)画像流れ(H/H環境)
耐刷翌朝のサンプル画像から判定した。判定基準は下記の通りである。
【0226】
◎;非常に良好(上記評価画像に於いて、線、及びドットのボケ無し)
○;良好(格子画像は流れ認識できず、ハーフトーン又は階調画像の一部領域でドットのボケ又は濃度低下あり、但しA4通紙10枚以内で回復)
●;実用可能(格子画像は流れ認識できず、ハーフトーン又は階調画像でドットのボケ又は濃度低下あり、回復まで10〜30枚)
△;実用可能(格子画像は流れ認識できず、ハーフトーン又は階調画像でドットのボケ又は濃度低下あり、回復まで30枚超過、又は、格子画像で若干の流れ認識できるが、格子画象の流れ回復まで10枚以内)
×;上記以外(格子画像で流れ認識される)
2)CLN(クリーニング)耐久性
クリーニング性は、フィルミング・トナー融着や擦り抜け、異音(振動音、共鳴音)を評価した。特にブレードクリーニングを使用する際に評価するが、耐久前後で該クリーニングブレードのエッヂ部を顕微鏡観察し、損耗レベルを評価した。
【0227】
耐刷試験後に摺擦・除去部材の表面、またクリーニングブレードではカット面と当接面を顕微鏡観察し、欠けや抉れや部材損耗領域の大きさ及び個数、またトナーすり抜けや、ビビリ、捲れといったクリーニング不良を評価した。
【0228】
判定基準は下記の通りである。
【0229】
◎;非常に良好(欠け、えぐれ、又はファーの損耗領域無し。トナー粒径以下の欠け、えぐれ、又はファーの損耗領域が3箇所以内。擦り抜けなし、めくれ、ビビリ、共鳴音、何れも無し)
○;良好(トナー粒径以下の欠け、えぐれ、又はファーの損耗領域が4〜5箇所、トナー粒径以上は無し、擦り抜け無し、めくれ無し、共鳴音は感光体停止時に発生する場合がある、又はビビリが発生する場合がある(頻度少))
●;実用可能(トナー粒径以下の欠け、えぐれ、又はファーの損耗領域が6〜10箇所、トナー粒径以上のものが有るが、トナー粒径の2倍以上のものは無し、擦り抜け無し、共鳴音又はビビリが発生する場合がある(頻度少))
△;実用可能(トナー粒径以下の欠け、えぐれ、又はファーの損耗領域が10箇所以上、トナー粒径の2倍以上のものが有るが、擦り抜け無し、共鳴音とビビリの双方が発生する場合がある(頻度少))
×;上記以外(欠け、えぐれ、又はファーの損耗領域等に起因する擦り抜け有り、又はブレードの場合はメクレが発生す場合がある、ビビリと共鳴音が発生する乃至は頻度が高い)
3)感光体耐久性
感光体損耗の評価として、上記耐刷試験後、H/H環境下で体刷試験を継続し、合計1,200k枚の耐刷試験とした。被覆剤S、塗布部材111、無機微粉体、及び摺擦・回収部材110等は、400k毎に必要に応じて補充、交換等のメンテナンスを行っている。
【0230】
耐刷試験前後の各感光体の膜厚摩耗を測定した。感光体の膜厚測定は、感光体の表面層厚については周方向に6箇所、長軸方向で6箇所の、計36箇所を測定し、その平均値を、平均表面層厚とした。磨耗量の算出は、耐久前後の平均表面層厚の差分、感光体の回転数で除し、10,000回転あたりの摩耗Rate[nm/10k回転(rot)]として算出した。画像濃度は絶対濃度で測定し、各画像評価時における上記画像を濃度計「RD−918」(マクベス社製)を使用して測定した。
【0231】
判定基準は下記の通りである。
【0232】
◎;非常に良好(摩耗Rateが1.5[nm/10krot]以下、且つ偏摩耗無し)
○;良好(摩耗Rateが1.5[nm/10krot]以下、偏摩耗あるが、2.0[nm/10krot]を超える測定点無し、且つ、偏磨耗部とその近傍の画像濃度差は0.2以下)
×;上記以外(摩耗Rateが1.5[nm/10krot]超過、又は2.0[nm/10krot]を超える測定点あり。又は偏磨耗部とその近傍の画像濃度差は0.2超過)
評価結果を表6〜表8に示す。
【0233】
〔実施例2〜7〕
評価用感光体として、感光体P02〜P07を用いた以外は実施例1と同様に評価を行った。被覆剤塗布量は実施例1同様である。結果を表6〜表8に示す。
【0234】
特に、流れとCLN耐久性の結果を、無機微粒子の平均1次粒径Dとの相関として図20に示す。表6〜表8、及び図20より、無機微粒子の平均粒径Dが30〜500nmの時、良好な結果が得られた。無機微粒子の平均粒径Dが100〜300nmの時、更に良好な結果が得られた。また、無機微粒子A〜M、特にEと、Nの比較から、無機微粒子の円形度は0.930以下が好ましい事が分る。
【0235】
また、流れの評価結果が●以上、すなわち平均粒径Dが30〜500nmの無機微粒子について、感光体P01〜P07のRzとの比(Rz/D)との相関を取ったものを図21に示す。図21より、Rz/Dが0.5〜2.0の時、更に良好な結果が得られている事が分る。
【0236】
また、被覆剤塗布部材111を弾性ローラ111−3を使用し、感光体への侵入量0.3mm侵入する様にした。また摺擦・回収部材110を、弾性ローラ110−3にしてファーブラシの場合と同様の駆動条件で駆動させた系でも、上記ファーブラシを使用した場合と同様の結果が得られた。
【0237】
100mm/sec(大略20ppm)未満の低速機では、市場で求められる寿命レベルは数k〜数10Kである。a−Si感光体のような長寿命な感光体、さらに被覆手段や摺擦手段の併用は、技術的には良好な結果が得られるが、コストアップが生じるため、対費用効果の観点から、必ずしも実用的ではない。
【0238】
〔比較例1〜7〕
無機微粒子として比較微粒子A〜Eを用いた以外は、実施例1のファーブラシの例と同様の評価を行った。被覆剤塗布量Tも実施例1同様である。
【0239】
比較例1〜5の耐刷評価結果を、表6〜表8に示す。特に流れ、CLN耐久性で実施例との差異が見られた。
【0240】
【表6】
【0241】
【表7】
【0242】
【表8】
【0243】
〔実施例8〕
被覆剤S、摺擦・回収部材110は実施例1と同様のものを使用した。被覆剤塗布部材は実施例1同様に弾性部材111−3を使用し、被覆剤塗布手段111−3の、感光体への侵入量及び駆動速度を振って、該被覆剤Sの塗布量Tを制御し、実施例1と同様の評価を行った。
【0244】
摺擦・研磨部材110も同様に弾性部材110−3とし、上記塗布量Tの増減に準ずる形で、摺擦・回収能力を合せる為に、必要に応じて、侵入量、及び駆動条件を調整した。
【0245】
感光体P01、無機微粒子Dを使用し、実施例1と同様の耐刷試験を行い、該塗布量T[μg/cm2]に対する依存性を評価した。
【0246】
また、同様に感光体P08、P09、P10、P11、P12に対し、無機微粒子を各々D、E、E、F、Fを使用し、同様の耐刷試験、評価を行った。なお、各感光体に対する無機微粒子はRz/Dがほぼ1.0で条件が大きくかけ離れない様に選択した物である。
【0247】
評価結果を表9〜表11に示す。
【0248】
表11より、感光体耐久性に関しては、本実施例の殆どの評価で非常に良い結果が得られた。被覆剤Sとして金属石鹸である材料を使用したことと、無機微粒子の作用が相乗したものと考えられる。
【0249】
表10より、無機微粒子の作用に相乗して、被覆剤Sが金属石鹸である事も有り、少量の塗布でクリーニング性、クリーニング耐久性は良好な結果が得られた。
【0250】
表9より、クリーニング性、クリーニング耐久性が非常に良好な範囲であっても、流れは必ずしも非常に良好ではなく、該被覆剤Sの塗布量Tの下限は、クリーニングに対するそれよりも多量に必要であることが分る。
【0251】
これについては次ぎの考察される。すなわち、潤滑剤として機能させる為には、感光体と、それに当接する塗布手段111、摺擦手段110等との当接部にある程度以上存在していれば良い。これに対し、流れを抑止する為には、感光体表面全体に塗伸ばし被覆させるために、潤滑剤としてよりも多量に必要があるためと考えられる。
【0252】
表9〜表11より、感光体のRaによって、被覆剤Sの好適な塗布量Tの範囲が異なる事が分る。
【0253】
Raと、表9(流れ)と表10(クリーニング耐久性)の“◎”の領域の相関を、図22に示す。
【0254】
被覆剤の必要塗布量の下限は、流れで律速されており、単位面積あたり(被覆剤長手方向1cmあたり、感光体が1cm進んだ時)の被覆剤の塗布量T[μg/cm2]が、式3を満たすとき、良好な結果が得られた。
【0255】
T≧0.61×Ra+0.064・・・式3
また、塗布量Tが過多の場合は、塗伸ばしのむらや塗布量むらといった、塗布むらが生じる場合があり、摺擦・研磨が均一にできず、局所的に流れへの効果が低減する場合があった。
【0256】
CLN耐久性については、Raが小さすぎると、摺擦・回収手段110や塗布手段111の駆動トルクが上昇したり、これらの部材の損耗が生じる場合があった。一方、Raが大きすぎると摺擦むらが生じ、局所的に流れや、クリーニング性に対する効果が局所的に低減する場合があった。Raは式4の範囲である事が好ましい。
【0257】
0.010μm≦Ra≦0.100μm・・・式4
また、塗布量Tが過剰塗布の場合は、摺擦・回収手段110や塗布手段111の駆動トルクが上昇や、これらの部材の損耗が生じる場合があった。表10〜表12、及び図22より、塗布量Tは式5の範囲である事が好ましい。
【0258】
T≦1.500μg/cm2・・・式5
図22の波線で示した領域の時、流れ、クリーニング耐久性、感光体耐久性何れの特性も非常に良好な結果が得られた。
【0259】
【表9】
【0260】
【表10】
【0261】
【表11】
【0262】
〔比較例8〕
実施例1に対して、被覆剤S及び被覆剤塗布手段111を除した以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表12に示す。
【0263】
表12より、クリーニング耐久性、感光体耐久性は実施例1にほぼ準じた結果が得られた。一方、流れに関しては、特にコロナ帯電器の帯電器跡流れで被覆剤塗布をした実施例1よりもレベルが低下していた。
【0264】
また、ステアリン酸亜鉛微粉末を除して被覆剤無しとした以外は、上記同様に、実施例1と同じ評価を行った。なお、こちらの被覆剤塗布手段111の当接条件、駆動条件も実施例1と同様とした。この系でも表12と同等の結果が得られたが、一部、該被覆剤塗布手段111のファーの損耗が発生する場合があった。
【0265】
【表12】
【0266】
〔実施例9〕
実施例1に対して、被覆剤として固体状成型品を用い、直接塗布、ファーブラシ塗布、弾性ローラ塗布について評価を行った。
【0267】
直接塗布方式として、成型された被覆剤Sを、直接塗布する手段111−1で、感光体表面に所定の当接圧で直接当接させ(図18)、替りに微粉末状態の被覆剤Sを被覆剤容器は除去した。
【0268】
感光体の表面形状等による塗布むらを防止するため、駆動手段により、感光体の母線方向にレシプロ駆動されるようにした。当接圧、レシプロの条件を調節する事で、塗布量Tを制御できる。該被覆剤Sや感光体への損耗を生じさせない範囲で調整すればよい。
【0269】
ファーブラシ方式、弾性ローラ方式については、図2の如き装置構成とした。
【0270】
ファーブラシ塗布方式として、押し当て手段を用いて被覆剤の固体状成型品を、ファーブラシからなる被覆剤塗布部材111−2に所定の当接圧で当接する様にした。こちらも粉末用の容器はは除去した。被覆剤塗布量Tの制御は、成型された被覆剤Sの硬度、及び/又は該被覆剤Sを、被覆剤塗布部材111に当接させる条件、及び/又は塗布手段111−2の駆動条件を調整すればよい。なお、被覆剤Sをレシプロさせる機構は付与しなかった。
【0271】
弾性ローラ塗布方式として、弾性ローラからなる塗布手段111−3を用い、ファーブラシ式塗布手段111−2に準じて評価機を準備した。
【0272】
上記何れの方式も被覆剤塗布量Tは実施例1同様の0.88[μg/cm2]となる様にした。各々、実施例1と同様の評価を行った所、実施例1と同様の結果が得られた。また、成型された被覆剤Sを使用することで装置構成が簡略化できたほか、メンテナンスが容易になった。
【0273】
〔実施例10〕
実施例9に対して、被覆剤塗布部材111を、平均粒径15μmの磁性粒子でコートされた磁気ブラシ111−4とした。被覆剤塗布量Tの制御は、被覆剤Sの固体状成型体を塗布手段である磁気ブラシ111−4に当接させる条件と、該磁気ブラシ111−4の駆動条件を調整して行うことができる。磁気ブラシ111−4の駆動条件は+75%(順方向75%)とした。
【0274】
この状態で、実施例9と同様の評価を行った所、同様の結果が得られた。また、磁気ブラシの被覆剤塗布手段111−4を使用した本例では、被覆剤S及び被覆剤塗布手段111について、1200k枚の耐刷に於いてメンテナンスが不要、乃至は成型された被覆剤Sの交換と、メンテナンス性が非常に向上した。
【0275】
〔実施例11〕
現像剤T10(表6)に、更に無機微粒子A〜M、及び比較微粒子A〜Eを、トナー粒子100質量部に対して各々1.5質量部を周知の方法で外添し、現像剤T10’を得た。
【0276】
現像剤として、該T10’を使用し、無機微粒子を現像手段から供給する様にした。当然ながら、現像条件、転写条件は、現像剤に変化に伴い調整を行っている。
【0277】
摺擦・回収部材110は、平均粒径15μmの磁性粒子でコートされた磁気ブラシ110−4を使用した。磁気ブラシ110−4は層厚規制部材、スクレーパーにより過剰な磁性粒子が掻き取られ、また一定の外径を保持する様になっている。替りに図3の如く、無機微粒子を格納する機構を除した。
【0278】
上記以外は実施例10と同様にして、実施例10と同様の評価を行った。結果を表14に示す。
【0279】
流れに関して、実施例1同様の結果が得られた。現像手段から無機微粒子を供給するため、形成する画像比率等による無機微粒子の作用の局在化は特に無かった。
【0280】
磁気ブラシの流動性により、画像比率や画像の局在化による無機微粒子の局在化を抑止し、均一に摺擦がなされていると考えられる。また、磁気ブラシの摺擦・回収部材に関しては、1200k枚の耐刷に於いてメンテナンスが不要であった。
【0281】
さらに、磁気ブラシを構成する磁性粒子として、磁性現像剤であるT10’を使用しても同様の結果が得られた。
【0282】
〔実施例12〕
実施例11に対し、被覆剤塗布手段である磁気ブラシ111−4、摺擦・回収手段である磁気ブラシ110−4にコートされる磁性粒子として、各無機微粒子が外添された現像剤T10’を使用した。更に、磁気ブラシ式被覆剤塗布手段111−4を感光体に対して−70%(カウンター70%)で駆動する様にした。駆動方向の変動に伴い、被覆剤S、ドクターローラ、スクレーパーの位置を調整した。なお、被覆剤Sの塗布量Tは実施例11と同等であった。
【0283】
その他の条件は実施例11と同様にして、実施例11と同様の評価を行った。結果を表13に示す。
【0284】
表13より、本実施例12で、特に流れに関して、更に良好な結果が得られた。また、被覆剤S、及びメンテナンス性も良好であった。
【0285】
磁気ブラシを使用し、被覆剤の塗布、摺擦・回収の局在化が抑止された事に加え、塗布手段をカウンター駆動した事により、摺擦・回収手段110から漏れる無機微粒子等を掻き取った後の感光体表面に被覆剤が塗り伸ばされる。
【0286】
図23に、感光体101と塗布手段111の当接部近傍のモデル図を示す。感光体101、及び塗布手段111は夫々矢印の方向に移動する。
【0287】
感光体101の進行方向に於いて、当接部の上流側(図23中では下側)で、不図示の摺擦・回収手段110から漏れてきた過剰な無機微粒子は、塗布手段111の回転により、該当接部への侵入が抑制される。
【0288】
一方、該当接部より下流側(図中では上側)では、過剰な該無機微粒子が除去された感光体101の表面に被覆剤Sが塗布される。
【0289】
その後、塗布手段111により当接部近傍まで搬送された被覆剤Sは、感光体101の表面と塗布手段111の摺擦により、均一に塗布・塗伸ばしがなされる。
【0290】
また、感光体101の移動により当接部近傍で、被覆剤Sの滞留が生じる。滞留中にも、感光体101及び塗布手段111の移動により被覆剤Sが長手方向に均されるなどする。
【0291】
これにより、より均一な被膜が構成されることが相乗した結果と考えられる。或いは感光体101と塗布手段111の当接ニップ直近で被覆剤Sの滞留領域が生じやすく、被膜形成を助長してるとも考えられる。
【0292】
〔実施例13〕
実施例11に対し、更に図5の如く、キヤノン(株)製複写機iR6570のクリーニング手段(ブレードクリーニング)106を付与した。クリーニングブレード106の設置条件は複写機iR6570と同等とした。
【0293】
被覆剤塗布手段である磁気ブラシ111−4、摺擦・回収手段である磁気ブラシ110−4にコートされる磁性粒子として、各無機微粒子が外添された現像剤T10’を使用した。その他の条件は実施例11と同様にして、実施例11と同様の評価を行った。
【0294】
結果を表13に示す。表13より、本実施例13で、特に流れに関して、実施例11よりも更に良好な結果が得られた。また、クリーニングブレード106(CLNブレード)の損耗も殆ど無く、メンテナンス性も良好であった。
【0295】
磁気ブラシを使用し、被覆剤の塗布、摺擦・回収の局在化が抑止された事に加え、クリーニングブレード106により、被覆剤が塗り伸ばされ、より均一な被膜が構成されることが相乗した結果と考えられる。
【0296】
【表13】
【0297】
〔実施例14〕
被覆剤塗布手段である磁気ブラシ111−4、摺擦・回収手段である磁気ブラシ110−4にコートされる磁性粒子として、各無機微粒子が外添された現像剤T10’を使用した。
【0298】
更に、実施例13に対し、磁気ブラシ式被覆剤塗布手段111−4を感光体に対して−80%(カウンター80%)で駆動する様にした。被覆剤Sの塗布量Tは実施例11と同等である。本実施例では、被覆剤塗布手段111−4に摺擦・回収機能を兼務させ、該塗布手段111−4にドクターローラ、スクレーパーを持たせ、独立で存在していた磁気ブラシ式摺擦・回収手段を除した図7の如き構成とした。
【0299】
実施例13と同様の評価を行った結果を表11に示す。表11より、実施例13と同様に良好な結果が得られた。
【0300】
〔実施例15〕
現像剤T10’のうち、何れも平均1次粒径Dが500nmである無機微粒子J、Mを外添したものを使用した。また、感光体はP01を使用し、感光体面速度を320mm/secで80ppmとし、また耐刷試験で形成する画像として、500μm線を20mm間隔で配した。画像比率2.5%とした。給紙、排紙手段等の各手段の速度や、帯電手段に印加するバイアス条件、露光手段等は、該感光体面速度に付随して調整した。
【0301】
この条件で、実施例11と同様に、耐刷試験及び評価を行った。結果を表14に示す。表14より、直方体状の無機微粒子Jの方が不定形の無機微粒子Mよりも流れやCLN耐久性に対するラチチュードが広い事が分る。
【0302】
【表14】
【0303】
〔実施例16〕
感光体はP01を使用した。また、現像剤は、平均1次粒径Dが320nmの無機微粒子Gを、T1〜T11に対して、実施例11の如く外添した物を使用した。
【0304】
これらの感光体、無機微粒子、現像剤を用い、実施例11と同様に耐刷、評価を行った。結果を表15に示す。
【0305】
表15より、トナー平均円形度aが、0.930〜0.970、特に0.935以上の時、良好な結果が得られた。トナーの円形度を制御する事で、摺擦・回収手段手段の当接部近傍での均一性が向上し、クリーニング耐久性が向上したり、均一に摺擦・回収がなされるため、均一塗布の効果が相乗し、流れレベルも向上したものと考えられる。
【0306】
【表15】
【0307】
〔実施例17〕
実施例14に対し、図8の如く、帯電手段102を、キヤノン(株)製複写機iR400用の帯電ローラとし、該帯電手段102の保持、感光体への当接条件、該帯電手段用清掃部材も上記iR400の仕様とした。
【0308】
また、転写/分離手段108も該iR400のものを使用した。iR6570に標準で付いていた転写前帯電手段(不図示)を除し、いわゆるコロナ帯電が無い状態とした。
【0309】
帯電手段102、及び該帯電手段清掃手段は40k枚毎に新品に交換し、実施例14と同様の耐刷評価を行った。結果を表16に示す。表16より、特に流れで実施例14よりも良好な結果が得られた。
【0310】
〔実施例18〕
図13の如く、導電性樹脂ローラの表面に抵抗調整用に樹脂薄膜層を設け、iR400用の帯電ローラと同様の抵抗を有する帯電手段102を作成した。この帯電手段102は近接距離規制手段として画像領域外にコロを設け、感光体に対して最近接距離で30μmを維持する様に設置した。この帯電手段102は感光体101に同期して回転駆動する様にした以外は、該帯電手段102の保持、該帯電手段用清掃部材も上記iR400の仕様とした。
【0311】
上記以外は実施例17と同様にして、実施例14と同様の耐刷評価を行った結果を表16に示す。表16より、実施例17同様に、特に流れで実施例14よりも良好な結果が得られた。更に、実施例17よりも帯電手段の汚染が少なく、帯電手段及び該帯電手段清掃手段の耐久性も向上した。
【0312】
一般に、コロナ帯電手段では画像形成中にハウジング部に帯電生成物が付着し、長期放置中に、該ハウジング部から帯電生成物が感光体表面に降積し、帯電器対向部に流れが生じやすくなる。実施例17、実施例18で、流れが改善されているのは、コロナ帯電手段を除したことにより、上記の降積が抑止された為と考えられる。
【0313】
【表16】
【0314】
〔実施例19〕
感光体P01と同様の表面性を有するφ30のa−Si感光体を作成した。
【0315】
評価装置として、キヤノン(株)製複写機iR400を改造して、図10の如き評価機とした。具体的には、除電手段107としてピーク波長680nmのLEDを使用し、図1に示すように、転写工程とクリーニング工程の間に配した。
【0316】
感光体面速度を240mm/secで50ppm(ppm;Print Per minute)とし、正帯電a−Si感光体と、負帯電現像剤の正規現像用に、高圧電源を改造して極性及びバイアスを調整できる様にした。
【0317】
このときの、クリーニング工程から帯電工程までの時間は90msecであり、また除電工程から帯電工程までの時間は130msecである。
【0318】
さらに、潜像露光手段を改造し、中心波長660nmのレーザーを使用し、スポット径40μmで600dpiのBAE、256階調のPWMとした。
【0319】
また、廃トナー搬送手段を設け、クリーニング手段に回収された転写残トナーや紙粉等は、不図示の廃トナーボックスに回収されるようにした。さらに電位評価を行えるように露光量や帯電条件の調整や、電位計の設置が可能にする等の改造を施した。なお、電位計は本体TRek杜製344、及び同社製プローブ555P−1を用い、専用治具にて現像手段位置に設置して電位を測定するようにした。
【0320】
更に、iR400のカートリッヂの廃トナー送り羽を除去し、成型された被覆剤S、及び磁気ブラシ式被覆剤塗布手段111−4、ドクターローラ、スクレーパー(不図示)を設置した。
【0321】
感光体の現像位置電位は、実施例1〜18と同様の電位設定とし、更に実施例17と同様の耐刷、及び評価を行った。結果、実施例17同様に非常に良好な結果が得られた。
更に、感光体面速度や除電手段107の位置を変化させて、同様の評価を行った結果、除電工程から帯電工程の時間が100msec以上のとき、帯電電位や画質が安定していた。
一方、クリーニング工程から帯電工程が100msec以下のとき、クリーニング工程と帯電工程の間に除電工程を設けた系では、帯電電位が不安定になったりして、画質が低下する場合があった。逆に画質を安定化させるため帯電手段の電流量を増加させると、クリーニング手段の損耗が生じたり、摺擦もしくは被覆が不十分となる場合があった。
【0322】
また、帯電手段102を近接帯電方式とした図11〜図13の如き構成の場合にも、同様に良好な結果が得られた。特に回動可能な図13の構成は図11の構成よりも帯電手段102自体の耐久性が良好であった。
【図面の簡単な説明】
【0323】
【図1】実施形態例(その1)の画像形成装置の概略構成図
【図2】実施形態例(その2)の画像形成装置の概略構成図
【図3】実施形態例(その3)の画像形成装置の概略構成図
【図4】実施形態例(その4)の画像形成装置の概略構成図
【図5】実施形態例(その5)の画像形成装置の概略構成図
【図6】実施形態例(その6)の画像形成装置の概略構成図
【図7】実施形態例(その7)の画像形成装置の概略構成図
【図8】実施形態例(その8)の画像形成装置の概略構成図
【図9】実施形態例(その9)の画像形成装置の概略構成図
【図10】実施形態例(その10)の画像形成装置の概略構成図
【図11】実施形態例(その11)の画像形成装置の概略構成図
【図12】(a)と(b)は、それぞれ、図11における近接帯電手段の別の形態例を示す概略図
【図13】実施形態例(その12)の画像形成装置の概略構成図
【図14】無機微粒子の一例の電子顕微鏡写真(SEM写真)
【図15】a−Si感光体の層構成の一例を示す図
【図16】(a)・(b)・(c)は、それぞれ、感光体の支持体表面形状と感光体表面形状の関連を示す概略図
【図17】IAE方式とBAE方式の感光体表面電位モデル図
【図18】被覆剤塗布手段の一例(直接塗布)を示す概略図
【図19】実施例と比較例とで用いたの耐刷試験用チャートの概略図
【図20】実施例1〜7における、無機微粒子の平均粒径と評価結果の相関を示すグラフ
【図21】実施例1〜7における、感光体表面のRzと無機微粒子の平均粒径Dとの比Rz/Dと評価結果の相関を示すグラフ
【図22】実施例8における、感光体表面のRaと被覆剤塗布量Tの好適範囲を示すグラフ
【図23】実施例12における、被覆剤塗布手段をカウンター駆動した時の無機微粒子と被覆剤Sの挙動を説明する為のモデル図
【図24】実施形態例の画像形成装置の概略構成図
【符号の説明】
【0324】
101・1500;感光体、102;帯電手段、103;潜像形成露光手段、104;現像手段、105;後処理手段、105a;クリーニング容器、106;クリーニング手段、107;除電手段、108;転写手段、109;搬送手段、110;摺擦・回収手段、111;被覆剤塗布手段、1501;支持体、1502;感光層、1503;光導電層、1504;表面層、1505・1506;電荷注入阻止層、X;感光体進行方向、P;転写材、S;被覆剤、Vdi・Vdb;現像バイアスDC電位、ΔVl1・ΔVl1;現像コントラスト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転される像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電工程と、帯電された前記像担持体に潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像を現像剤により現像剤像として現像する現像工程と、前記現像剤像を記録媒体に転写する転写工程と、を有する画像形成方法において、
前記転写工程から前記帯電工程の間で、平均粒径Dが30〜500nmである無機微粒子からなる研磨粒子介して前記像担持体の表面を摺擦する摺擦工程と、前記像担持体の表面に被覆剤を塗布し、塗り伸ばす被覆工程とを有する事を特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
前記無機微粒子の平均粒径Dが100〜300nmである事を特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記被覆剤が脂肪酸金属塩である事を特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記無機微粒子がペロブスカイト型結晶体である事を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記像担持体が電子写真感光体であり、その表面層が、シリコン原子及び炭素原子若しくはシリコン原子又は炭素原子を母体として水素原子及びハロゲン原子若しくは水素原子又はハロゲン原子を含有する非単結晶材料からなる事を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項6】
前記像担持体の表面の10点平均粗さRzが前記無機微粒子の平均粒径Dの0.5倍以上2倍以下である事を特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項7】
前記像担持体の表面の表面粗さRaが0.01μm以上0.100μm以下であり、前記表面粗さRa[μm]と、前記被覆工程での前記像担持体の表面に対する被覆剤当接領域に於ける単位面積[cm2]あたりの被覆剤の塗布量T[μg/cm2]が、下式を満たす事を特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の画像形成方法。
T≧0.61×Ra+0.064
【請求項8】
前記塗布量T[μg/cm2]が1.5以下である事を特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。
【請求項9】
前記像担持体の表面に被覆される前の前記被覆剤が所定の形状に成型された固体状である事を特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項10】
前記被覆工程が磁気ブラシによりなされる事を特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項11】
前記現像工程で使用される現像剤が、少なくとも磁性トナー粒子及び外添剤からなる磁性現像剤である事を特徴とする請求項1から10のいずれか記載の画像形成方法。
【請求項12】
前記磁性トナー粒子の重量平均粒子径X(μm)が4μm乃至12μmであり、フロー式粒子像測定方法で計測される円相当径3μm以上400μm以下で測定される平均円形度a’の平均値(平均円形度a)が0.930以上0.970未満であることを特徴とする請求項11に記載の画像形成方法。
【請求項13】
前記無機微粒子の円形度が、0.930以下であることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項14】
前記無機微粒子が、直方体状の粒子であることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項15】
前記被覆工程が回転部材によりなされ、前記回転部材が前記像担持体に当接する位置で像担持体回転方向に対してカウンター方向に駆動される事を特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項16】
前記帯電工程が接触帯電方式乃至は近接帯電方式である事を特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項17】
前記像担持体の表面にブレードを当接させてクリーニングするブレードクリーニング工程を有し、前記摺擦工程及び前記被覆工程若しくは前記摺擦工程又は前記被覆工程が、前記転写工程と前記クリーニング工程の間にあることを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項18】
前記転写工程と前記クリーニング工程との間に、前記像担持体の表面を除電する除電工程を有する事を特徴とする請求項17に記載の画像形成方法。
【請求項19】
前記像担持体の表面の、前記クリーニング工程から前記帯電工程の中心までの移動時間が100msec以下である事を特徴とする請求項17又は18のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項20】
前記潜像形成工程は背面露光方式である事を特徴とする請求項1から19のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項1】
回転される像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電工程と、帯電された前記像担持体に潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像を現像剤により現像剤像として現像する現像工程と、前記現像剤像を記録媒体に転写する転写工程と、を有する画像形成方法において、
前記転写工程から前記帯電工程の間で、平均粒径Dが30〜500nmである無機微粒子からなる研磨粒子介して前記像担持体の表面を摺擦する摺擦工程と、前記像担持体の表面に被覆剤を塗布し、塗り伸ばす被覆工程とを有する事を特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
前記無機微粒子の平均粒径Dが100〜300nmである事を特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記被覆剤が脂肪酸金属塩である事を特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記無機微粒子がペロブスカイト型結晶体である事を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記像担持体が電子写真感光体であり、その表面層が、シリコン原子及び炭素原子若しくはシリコン原子又は炭素原子を母体として水素原子及びハロゲン原子若しくは水素原子又はハロゲン原子を含有する非単結晶材料からなる事を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項6】
前記像担持体の表面の10点平均粗さRzが前記無機微粒子の平均粒径Dの0.5倍以上2倍以下である事を特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項7】
前記像担持体の表面の表面粗さRaが0.01μm以上0.100μm以下であり、前記表面粗さRa[μm]と、前記被覆工程での前記像担持体の表面に対する被覆剤当接領域に於ける単位面積[cm2]あたりの被覆剤の塗布量T[μg/cm2]が、下式を満たす事を特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の画像形成方法。
T≧0.61×Ra+0.064
【請求項8】
前記塗布量T[μg/cm2]が1.5以下である事を特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。
【請求項9】
前記像担持体の表面に被覆される前の前記被覆剤が所定の形状に成型された固体状である事を特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項10】
前記被覆工程が磁気ブラシによりなされる事を特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項11】
前記現像工程で使用される現像剤が、少なくとも磁性トナー粒子及び外添剤からなる磁性現像剤である事を特徴とする請求項1から10のいずれか記載の画像形成方法。
【請求項12】
前記磁性トナー粒子の重量平均粒子径X(μm)が4μm乃至12μmであり、フロー式粒子像測定方法で計測される円相当径3μm以上400μm以下で測定される平均円形度a’の平均値(平均円形度a)が0.930以上0.970未満であることを特徴とする請求項11に記載の画像形成方法。
【請求項13】
前記無機微粒子の円形度が、0.930以下であることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項14】
前記無機微粒子が、直方体状の粒子であることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項15】
前記被覆工程が回転部材によりなされ、前記回転部材が前記像担持体に当接する位置で像担持体回転方向に対してカウンター方向に駆動される事を特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項16】
前記帯電工程が接触帯電方式乃至は近接帯電方式である事を特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項17】
前記像担持体の表面にブレードを当接させてクリーニングするブレードクリーニング工程を有し、前記摺擦工程及び前記被覆工程若しくは前記摺擦工程又は前記被覆工程が、前記転写工程と前記クリーニング工程の間にあることを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項18】
前記転写工程と前記クリーニング工程との間に、前記像担持体の表面を除電する除電工程を有する事を特徴とする請求項17に記載の画像形成方法。
【請求項19】
前記像担持体の表面の、前記クリーニング工程から前記帯電工程の中心までの移動時間が100msec以下である事を特徴とする請求項17又は18のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項20】
前記潜像形成工程は背面露光方式である事を特徴とする請求項1から19のいずれかに記載の画像形成方法。
【図17】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2008−129401(P2008−129401A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−315446(P2006−315446)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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