説明

画像形成装置、および印刷管理方法

【課題】印刷した印刷媒体のカウント値をユーザーごとに管理することができる画像形成装置、およびその印刷管理方法を提供すること。
【解決手段】画像形成装置であるプリンター1は、ユーザー情報を含む印刷データが入力されると、印刷データのジョブごとに印刷した用紙の面数およびシート数を印刷キュー管理部120でカウントする。ジョブ情報管理部130は、印刷した面数およびシート数と印刷データのユーザー情報と対応付けた印刷のログを印刷ログデータベース140に登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙等の記録媒体に印刷を行う画像形成装置に関し、特に、印刷した用紙数のカウントを行う画像形成装置、および印刷管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コピー機、複合機、プリンター等の画像形成装置では、印刷ページ数に応じた課金等を行うため、カウンターを設けて、印刷した用紙数やページ数をカウンターにカウントさせている。
【0003】
ここで、エラーが生じて適切に印刷できなかった分についてはユーザーに課金すべきではないため、カウント数を加算しないことが望まれる。そこで、特許文献1には、通常のカウンターとは別にミスプリントカウンターを設け、通常のカウンターのカウント数からミスプリント分を控除することによって適切な料金請求を実現する技術が開示されている。
【0004】
また、奇数ページ数のジョブについて両面印刷を行う場合、画像形成装置は、自己生成したページを付加し、合計が偶数ページのジョブとして扱うことにより、両面印刷を行うことがある。しかし、両面印刷において自己生成されたページの印刷の分についてはユーザーに課金すべきではない。同様に、実際には記録を行っていない白紙のページについても課金すべきでない。このため、特許文献2,3に記載の装置では、自己生成したページや白紙のページに対してはカウント数を加算しないようカウント制御を行うことにより、ユーザーに余分な料金を請求することがなく、不測の損害を生じさせない課金を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−207310号公報
【特許文献2】特開2001−169030号公報
【特許文献3】特開平11−316521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜3に記載の技術では、画像形成装置のユーザーごとにはカウントしていないので、例えば、1台のプリンターを複数のユーザーで共用している環境において、印刷した量をユーザーごとに管理することができない。このため、ユーザーごとに課金しようとする課金形態に対応できないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]ユーザー情報を含む印刷データの入力を受ける入力部と、印刷媒体に対して前記印刷データに基づく印刷を実行する印刷エンジンと、前記印刷された印刷媒体をカウントするカウント部と、前記印刷データのユーザー情報と前記カウントしたカウント値とを対応付けたログを記録するログ記録部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【0009】
この構成によれば、入力された印刷データのユーザー情報と、印刷された印刷媒体のカウント値とを対応付けたログが記録されるので、印刷した量をユーザーごとに管理することができる。したがって、ユーザーごとに管理されたカウント値を用いて、ユーザーごとに課金しようとする課金形態に対応できる。
【0010】
[適用例2]上記画像形成装置において、前記カウント部は、前記入力された印刷データのジョブごとにカウントを行い、前記ログ記録部は、前記印刷データのユーザー情報と前記ジョブごとにカウントしたカウント値とを対応付けたログをジョブ単位で記録することを特徴とする画像形成装置。
【0011】
この構成によれば、ジョブごとにカウントしたカウント値とユーザー情報のログをジョブ単位で記録することにより、ユーザー別に行う印刷した量の管理を簡単な処理で実現できる。
【0012】
[適用例3]上記画像形成装置において、前記カウント部は、前記印刷エンジンによる印刷中にエラーを生じた印刷媒体についてはカウントしないことを特徴とする画像形成装置。
【0013】
この構成によれば、エラーが生じた印刷媒体についてはカウントしないので、適切な課金を実現できる。
【0014】
[適用例4]上記画像形成装置において、前記カウント部は、前記印刷エンジンによる印刷の結果、白紙の印刷媒体についてはカウントしないことを特徴とする画像形成装置。
【0015】
この構成によれば、白紙の印刷媒体についてはカウントしないので、適切な課金を実現できる。
【0016】
[適用例5]ユーザー情報を含む印刷データの入力を受けるステップと、前記印刷データに基づいて印刷された印刷媒体をカウントするステップと、前記印刷データのユーザー情報と前記カウントされたカウント値とを対応付けたログを記録するステップと、を含むことを特徴とする印刷管理方法。
【0017】
このようにすれば、印刷量をユーザーごとに管理し、ユーザーごとに管理されたカウント値を用いることにより、ユーザーごとに課金しようとする課金形態に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施例に係るプリンターの構成を示す図。
【図2】印刷データのデータ構造を示す図。
【図3】コントローラーの機能ブロック図。
【図4】印刷の説明図。
【図5】印刷ログデータベースの一例を示す図。
【図6】印刷時の処理の流れを示すフローチャート。
【図7】カウント処理の概要を説明する図。
【図8】カウント処理の流れを示すフローチャート。
【図9】カウント処理の流れを示すフローチャート。
【図10】変形例2の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について実施例に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本実施例に係るプリンターの構成を示した図である。図1に示すように、画像形成装置の一例であるプリンター1は、LAN(Local Area Network)等のネットワークに接続しており、ネットワークを介してホスト装置2と通信可能になっている。
【0021】
ホスト装置2は、例えば、汎用のコンピューター等であり、プリンタードライバー2aおよび印刷管理アプリケーション2bがインストールされている。プリンタードライバー2aは、ユーザーからの指示に応じて印刷データを生成して、印刷データをプリンター1に送信する。
【0022】
図2に、印刷データのデータ構造を示す。図2に示すように、印刷データPDは、ジョブの印刷条件等、ジョブに関する情報を指定するジョブ情報PDa、および印刷対象とする画像を所定の言語で記述した画像情報PDb等から構成される。具体的には、ジョブ情報PDaには、ユーザー情報、ファイル名の情報、両面印刷の設定情報、製本用印刷の設定情報等が含まれている。
【0023】
印刷管理アプリケーション2bは、プリンター1に対して、印刷したシート数や面数等のログを確認するために用いられるアプリケーションである。
【0024】
次に、プリンター1の構成について説明する。プリンター1は、コントローラー10と、操作パネル20と、印刷エンジン30と、を備えている。
【0025】
操作パネル20は、プリンター1に備わる各種機能を利用するため等に、ユーザーからの様々な操作を受けるための部分であり、各種の操作ボタン21、およびLCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示パネル22を有する。
【0026】
印刷エンジン30は、印刷用紙等の印刷媒体に印刷を行うハードウェア部であり、コントローラー10からの制御に従って印刷を実行する。また、印刷エンジン30内部では、印刷した全ての用紙数をカウントする処理、および、印刷を完了したときに、用紙サイズ等の印刷条件、印刷ページ数、白紙ページ数、エラーページ数等の印刷結果を示す印刷結果情報を作成して、コントローラー10に通知する処理等が行われる。
【0027】
コントローラー10は、プリンター1の各部の動作を制御する部分であり、CPU11と、ROM12と、RAM13と、不揮発性メモリー14と、ネットワークI/F15と、パネルI/F16と、エンジンI/F17と、を有している。これらの構成は内部バスを介して相互に接続されている。
【0028】
ネットワークI/F15は、ネットワークに接続するインターフェイス部分であり、プリンター1は、このネットワークI/F15からネットワークを介してホスト装置2と相互にデータ通信が可能である。パネルI/F16は操作パネル20に接続するインターフェイス部分、エンジンI/F17は印刷エンジン30に接続するインターフェイス部分である。
【0029】
CPU11は、コントローラー10の主制御装置であり、RAM13を作業領域等として用い、ROM12に格納された各種のプログラムを実行することにより、プリンター1における様々な制御を行う。具体的には、CPU11は、印刷エンジン30に印刷指示を出すと共に印刷対象の画像データを受け渡す処理、操作パネル20を制御する処理、印刷ページ数のカウントを制御する処理等を行う。
【0030】
不揮発性メモリー14は、フラッシュROM、NVRAM等の読み書き可能なメモリーであり、後述する印刷ログデータベース(以下、「印刷ログDB」という)を記憶する。
【0031】
図3に、コントローラー10の機能ブロック図を示す。図3に示すように、コントローラー10は、印刷データ処理部(入力部)100と、エンジン制御部110と、印刷キュー管理部(カウント部)120と、ジョブ情報管理部130と、印刷ログDB(ログ記録部)140と、出力制御部150と、を有する。
【0032】
印刷データ処理部100は、ホスト装置2のプリンタードライバー2aから印刷対象とする印刷データPDの入力を受け、画像情報PDbの記述を解釈して、ビットマップ形式の印刷イメージに変換する。そして、印刷イメージの画像データを印刷要求とともに1ページ分ずつエンジン制御部110に受け渡す処理、用紙サイズ、印刷方法、印刷色、印刷ページ数等を指定したジョブ情報PDaをジョブ情報管理部130に受け渡す処理を行う。
【0033】
また、両面印刷の場合および製本用印刷の場合、印刷データ処理部100は、白紙ページを加えて、印刷イメージの画像データを適切な順番でエンジン制御部110に受け渡す。なお、白紙ページとは、印刷の結果、実際には何ら画像が形成されないページのことであり、奇数ページ数の両面印刷時に付加される白紙ページと、製本用印刷時に付加される白紙ページとがある。
【0034】
例えば、両面印刷の場合、印刷データ処理部100は、エンジン制御部110に対して、裏面用の印刷イメージ、表面用の印刷イメージの画像データを交互に受け渡す。特に、奇数ページ数の印刷データPDについて両面印刷する場合、印刷データ処理部100は、最終ページの次に1ページ分の白紙ページを付加し、合計して偶数ページ数分の印刷イメージの画像データをエンジン制御部110に順次受け渡すことにより、両面印刷のための印刷処理を行う(図4(a)参照)。
【0035】
一方、製本用印刷の場合、印刷データ処理部100は、表紙用の白紙ページを1ページ目に付加し、ジョブの印刷イメージを2ページ目以降に並び替えて、印刷イメージの画像データをエンジン制御部110に順次受け渡すことにより、製本用の印刷処理を行う(図4(b)参照)。
【0036】
エンジン制御部110は、印刷エンジン30を制御する部分であり、印刷データ処理部100から受け取った印刷イメージのデータを印刷キュー管理部120に受け渡す処理、印刷エンジン30の動作を監視し、印刷結果情報を印刷キュー管理部120に通知する処理等を行う。
【0037】
印刷キュー管理部120は、印刷イメージのデータをキューに登録し、印刷イメージの印刷順を管理する処理を行う。上述したエンジン制御部110は、印刷キュー管理部120のキューから登録順が先頭となる印刷イメージのデータを取り出し、印刷エンジン30が処理可能な形式の画像データに変換して印刷エンジン30に出力することにより、印刷エンジン30による印刷を実行させる。こうして、印刷順序が管理される。
【0038】
また、印刷キュー管理部120は、エンジン制御部110からの印刷結果情報に基づいて、印刷した用紙の面数およびシート数をジョブ単位でカウントする処理、すなわちカウント部としての処理を行う。なお、面数とは、印刷した用紙の表面、裏面を別々にカウントした数のことである。シート数とは、表面または裏面の少なくとも一方に印刷が行われた用紙の枚数である。印刷キュー管理部120は、カウントしたカウント値、すなわち面数のカウント値およびシート数のカウント値を、ジョブ情報管理部130に通知する。
【0039】
ジョブ情報管理部130は、印刷データ処理部100から受け取るジョブ情報PDaを用いて、ジョブの印刷を管理する部分である。特に、ジョブ情報管理部130は、ジョブ情報PDaと、印刷キュー管理部120によってカウントされたカウント値とを対応付けたログのデータをジョブ単位で印刷ログDB140に登録する処理を行う。
【0040】
図5は、印刷ログDB140が記録するログの一例を示す図である。図5に示すように、印刷ログDB140は、ジョブ番号、ユーザー名、ファイル名、面数、シート数等の情報を含む印刷のログLGをジョブ単位で記録する。すなわち、印刷ログDB140は、ジョブ情報PDaの内容、および印刷キュー管理部120によるカウントの結果を記録する。これにより、印刷ログDB140では、ユーザー情報と印刷した量(面数、シート数)がジョブ単位で対応付けた状態で管理される。
【0041】
出力制御部150は、上述した印刷ログDB140に記録されたデータの出力を制御する。具体的には、操作パネル20への操作に応じて、印刷ログDB140のユーザー情報、面数、シート数等の所望の情報を表示パネル22に表示させる制御や、ホスト装置2の印刷管理アプリケーション2bからの要求に応じて所望の情報をホスト装置2に出力する制御を行う。
【0042】
図6は、印刷時の処理の流れを示すフローチャートである。以下、本プリンター1による印刷時の処理についてフローチャートに従って説明する。なお、以下に説明する処理は、ROM12に記憶されたプログラムをCPU11が実行することにより行われる。
【0043】
プリンター1が印刷管理アプリケーション2b等から印刷データPDを受信して、印刷データ処理部100に印刷データPDが入力されると(ステップS1)、印刷キュー管理部120は、入力された印刷データPDのジョブ情報PDaを印刷データ処理部100から受け取り、ジョブ情報PDaに含まれるユーザー情報を取得する(ステップS2)。
【0044】
次に、印刷キュー管理部120は、受信した印刷データPDのジョブについて、面数およびシート数のカウント値を「0」に設定することにより、初期化する(ステップS3)。
【0045】
次に、印刷データ処理部100は、入力された印刷データPDの画像情報を解釈して、1ページ分の印刷イメージを生成する(ステップS4)。なお、両面印刷または製本用印刷時の白紙ページについては、このステップS4にて白紙の印刷イメージが生成される。そして、片面印刷、両面印刷等の条件を指定した印刷要求とともに、印刷イメージの画像データをエンジン制御部110に受け渡す。
【0046】
次に、エンジン制御部110は、片面印刷、両面印刷等の条件を印刷エンジン30に指定するとともに、1ページ分の印刷イメージの画像データを印刷エンジン30に出力する。これにより、印刷要求の指示に応じて1ページ分の片面印刷または両面印刷が印刷エンジン30によって実行される(ステップS5)。
【0047】
次に、印刷キュー管理部120はカウント処理を行う(ステップS6)。
【0048】
ここで、カウント処理の概要について説明する。図7に、カウント処理の概要を示す。カウント処理では、印刷したシート数および面数をカウントし、特に、エラーを生じることがなかった用紙のシート数、およびエラーを生じることがなく、且つ白紙ページでなかった面数をカウントする。なお、図7では、片面印刷時に生じるカウントの場合分けをケースA〜C、両面印刷時に生じるカウントの場合分けをケースD〜Jに示している。
【0049】
まず、片面印刷の場合について説明する。片面印刷において印刷時にエラーが発生した場合、エラーを生じたシートについては課金すべきでないため、カウント処理では当該ページの分について面数およびシート数は加算しない(図7のケースA)。
【0050】
また、片面印刷が白紙ページの印刷出力であった場合、実際には用紙に何ら画像が形成されておらず、課金すべきでないため、当該白紙ページの分について面数およびシート数は加算しない(ケースB)。これは、製本用印刷において表紙を片面印刷した場合に該当する。
【0051】
片面印刷においてエラーの発生がなく、白紙ページの印刷出力でなかった場合は、当該印刷に対しては課金すべきであり、面数を1、シート数を1加算する(ケースC)。
【0052】
次に、両面印刷の場合について説明する。上述したように、両面印刷では、用紙の裏面、表面の順番に印刷が行われる。また、一方の面の印刷でエラーを生じていた場合、当該エラーを生じた用紙については両面の印刷分について共に課金すべきではなく、奇数ページの印刷完了時にはカウントすべきであるかを確定できない。そこで、両面印刷では、奇数ページの裏面印刷のタイミングではカウントすることなく、偶数ページの表面印刷のタイミングで、偶数ページの表面印刷の結果および同じシートの反対面に対して行った裏面印刷の結果に基づいて、裏面印刷の分および表面印刷の分について纏めてカウントを行う。以下、両面印刷において生じる各ケースについて説明する。
【0053】
まず、両面印刷の表面印刷時にエラーが発生した場合、シート裏面の印刷結果に関わらず、シート両面の印刷について課金すべきでないため、面数、シート数は加算しない(ケースD)。
【0054】
両面印刷の表面印刷時にエラーを生じることなく、白紙ページの印刷出力であった場合に、裏面印刷においてエラーを生じていれば、シート両面の印刷について課金すべきでなく、当該シートの印刷に対して面数、シート数は加算しない(ケースE)。これは、裏面印刷においてエラーを生じた後の表面印刷において、白紙ページを出力した場合に該当する。
【0055】
両面印刷の表面印刷時にエラーを生じることなく、白紙ページの印刷出力であった場合、裏面印刷が白紙ページであれば、実際には用紙の表面、裏面ともに何ら画像が印刷されていないため課金すべきでなく、当該シートの印刷に対して面数、シート数は加算しない(ケースF)。
【0056】
両面印刷の表面印刷時にエラーを生じることなく、白紙ページの印刷出力であった場合、裏面印刷にてエラーを生じることなく、且つ白紙ページでなければ、表面については課金すべきでないが、裏面に印刷した分について課金すべきであるので、当該シートの印刷に対して面数を1、シート数を1加算する(ケースG)。これは、裏面印刷が適切に行われた後、表面印刷において白紙ページを出力した場合に該当する。
【0057】
両面印刷の表面印刷時にエラーを生じることなく、且つ白紙ページの印刷出力ではなかった場合、裏面印刷においてエラーを生じていれば、シートの裏面については適切に印刷されていないため、当該シートについては課金すべきでなく、当該シートの印刷に対して面数、シート数は加算しない(ケースH)。これは、裏面印刷においてエラーが発生した後、表面印刷が適切に行われた場合に該当する。
【0058】
両面印刷の表面印刷時にエラーを生じることなく、且つ白紙ページの印刷出力ではなかった場合、裏面印刷においてエラーを生じることなく白紙ページが出力されていれば、表面の印刷に対して課金すべきであり、裏面印刷の分については課金すべきでないため、当該シートの印刷に対して面数を1、シート数を1加算する(ケースI)。これは、裏面印刷において白紙ページを出力した後、表面印刷が適切に行われた場合に該当する。
【0059】
両面印刷の表面印刷時および裏面印刷において、エラーを生じることなく、共に白紙ページの印刷出力ではなかった場合、表面、裏面の印刷共に課金すべきであるので、当該シートの印刷に対して面数を2、シート数を1加算する(ケースJ)。これは、裏面印刷が適切に行われた後、表面印刷が適切に行われた場合に該当する。
【0060】
以上に説明したカウント方法を実現するカウント処理について、図8,9のフローチャートに従って説明する。
【0061】
印刷キュー管理部120は、エンジン制御部110から印刷結果情報を受け取って、カウント処理を開始する。カウント処理では、まず、印刷キュー管理部120は、印刷要求に指定された印刷方法が片面印刷であるか否かを判断する(ステップS10)。片面印刷であった場合(ステップS10:Yes)、エンジン制御部110から受け取った印刷結果情報に従って、白紙の印刷ではなく、且つエラーを生じていないか否かを判断する(ステップS11)。
【0062】
行われた片面印刷が白紙の出力ではなく、且つエラーを生じていない場合(ステップS11:Yes)、上述したケースCに該当し、印刷キュー管理部120は、面数およびシート数のそれぞれに1を加算する(ステップS12)。その後、カウント処理を終了して、図6の処理に戻る。
【0063】
行われた片面印刷が、白紙の出力であるか、またはエラーを生じていた場合(ステップS11:No)、上述したケースA,Bに該当し、印刷キュー管理部120は、面数およびシート数を加算することなく、カウント処理を終了して、図6の処理に戻る。
【0064】
一方、印刷要求に指定された印刷方法が片面印刷ではなく、両面印刷であった場合(ステップS10:No)、印刷キュー管理部120は、行われた印刷が、両面印刷における裏面の印刷であったかを判断する(ステップS13)。裏面の印刷であった場合(ステップS13:Yes)、裏面印刷にてエラーが発生したかを判断する(ステップS14)。エラーを生じていた場合(ステップS14:Yes)、上述したケースEに該当し、印刷キュー管理部120は、面数およびシート数を加算することなく、カウント処理を終了する。
【0065】
裏面印刷においてエラーを生じていなかった場合(ステップS14:No)、片面印刷されたか否かを判断する(ステップS15)。
【0066】
なお、印刷要求に指定された印刷方法が両面印刷であったときの片面印刷とは、両面印刷を行おうとしたが両面印刷に対応するサイズの用紙がプリンターに残されていない場合に、裏面印刷に代えて、両面印刷に対応していない他のサイズの用紙の表面に印刷することである。例えば、両面印刷に対応するサイズの用紙がないとき、その旨を告げる警告画面が表示パネル22に表示される。そして、ユーザーが操作ボタン21を操作することにより、他のサイズの用紙に変更して印刷を行う旨を指示した場合、他のサイズの用紙の表面に対して、結果として片面印刷が行われる。
【0067】
こうして、両面印刷の印刷要求に対して、実際には片面印刷を行っていた場合(ステップS15:Yes)、ユーザーの指示の上で片面印刷に変更しているので当該片面印刷の分について課金すべきとして、印刷キュー管理部120は、面数およびシート数のそれぞれに1を加算し(ステップS16)、カウント処理を終了する。
【0068】
また、行われた印刷が片面印刷ではなく、両面印刷の裏面印刷であった場合(ステップS15:No)、裏面印刷の分のカウントは表面印刷時に行うため、ここでは、面数およびシート数を加算することなく、カウント処理を終了する。
【0069】
ステップS13の説明に戻って、当該カウント処理の直前に行われた印刷が、両面印刷の表面印刷であった場合(ステップS13:No)、印刷キュー管理部120は、表面印刷においてエラーが発生したかを判断する(ステップS17)。表面印刷においてエラーを生じていた場合(ステップS17:Yes)、上述したケースDに該当し、面数およびシート数を加算することなく、カウント処理を終了する。
【0070】
表面印刷においてエラーを生じていない場合(ステップS17:No)、印刷キュー管理部120は、さらに表面印刷で白紙が出力されたかを判断する(ステップS18)。表面印刷で白紙が出力されていれば(ステップS18:Yes)、ステップS20に進む。表面印刷で白紙が出力されていなければ(ステップS18:No)、表面印刷においてエラーがなく且つ白紙の出力ではなかったため、上述したケースG,I,Jに該当し、面数を1加算して(ステップS19)、ステップS20に進む。
【0071】
ステップS20に処理が進むと、印刷キュー管理部120は、前回の裏面印刷でエラーが発生したか否かを判断する。裏面印刷でエラーを生じていた場合(ステップS20:Yes)、上述したケースE,Hに該当し、面数を「0」に設定する(ステップS21)。
【0072】
裏面印刷でエラーを生じていない場合(ステップS20:No)、印刷キュー管理部120は、裏面印刷で白紙を出力したかを判断する(ステップS22)。裏面印刷で白紙を出力していた場合(ステップS22:Yes)、ステップS24に進む。裏面印刷で白紙を出力していなかった場合(ステップS22:No)、上述したケースJに該当し、面数をさらに1加算する(ステップS23)。これにより、ケースJに対しては、ステップS19と合わせて面数が合計2加算されることとなって、ステップS24に進む。
【0073】
ステップS24に処理が進むと、印刷キュー管理部120は、面数のカウント値が「0」より大きくなっているかを判断する。ステップS19またはS23にて面数が加算されていれば(ステップS24:Yes)、ケースG,I,Jに該当するので、シート数を加算して「1」としてから(ステップS25)、カウント処理を終了する。面数が0以下であれば(ステップS24:No)、課金に値する面がなく、課金すべきシート数もないため、面数およびシート数を加算することなく、カウント処理を終了する。
【0074】
カウント処理を終了すると、図6の処理に戻って、入力された印刷データPDのジョブを終了したかを判断する(ステップS7)。ジョブに残りのページがあった場合(ステップS7:No)、ステップS4に戻って、次ページの印刷イメージを生成して、ステップS4〜S6の処理を繰り返す。ジョブの全ページについて印刷が行われるとジョブを終了して(ステップS7:Yes)、印刷キュー管理部120は、ジョブ情報のユーザー情報、および面数およびシート数のカウント値を対応付けた印刷のログLGを印刷ログDB140に記録する(ステップS8)。こうして、入力された印刷データのジョブに対してログLGを記録すると、図7の処理を終了する。
【0075】
以上に説明したプリンター1によれば、図5に示すように、ユーザー情報と面数およびシート数のカウント値とを対応付けた印刷のログLGを印刷ログDB140が記録することによって、面数およびシート数の印刷量がユーザーごとに管理される。ユーザーやサービスマン等は、操作パネル20または印刷管理アプリケーション2bから、印刷ログDB140が記録するログLGを確認して、ユーザーごとに印刷した量を知ることができる。これにより、ユーザー別に課金する課金形態に対応できる。
【0076】
また、カウント処理において、エラーを生じた分は、面数、シート数をカウントしていない。さらに、白紙を出力した分は、実際には画像が形成されていないので、面数をカウントしていない。したがって、印刷ログDB140に記録されたカウント値を用いることによって、印刷エラー、白紙の印刷による課金すべきでない分についてはユーザーに課金することがなく、適切な課金を実現できる。
【0077】
なお、印刷ログDB140は、ジョブ単位でカウントされたシート数および面数とともにジョブ情報PDaのログをジョブ単位で記録することにより、ユーザー情報に対応付けてシート数および面数を管理している。これにより、ユーザー別の課金に対応できる印刷量の管理を、ジョブ単位で行う簡単な処理で実現することができる。
【0078】
以上、実施の形態の一実施例について説明したが、実施の形態としては上述した全ての構成を備えたものに限られることなく、また、その趣旨に逸脱しない様々な形態としてもよい。以下、変形例について説明する。
【0079】
(変形例1)上記実施例では、印刷した面数およびシート数をカウントして、ユーザー情報と対応付けたログLGとして印刷ログDB140に記録したが、記録の対象とする情報はこれに限られない。例えば、片面印刷による面数と、両面印刷による面数とを別途カウントして、ユーザー情報と対応付けて記録してもよい。このようにすれば、片面印刷と両面印刷に対して別々に課金することができる。
【0080】
また、カラー印刷による面数およびシート数、モノクロ印刷による面数およびシート数を別途カウントして、ユーザー情報と対応付けて記録してもよい。このようにすれば、カラー印刷とモノクロ印刷に対して別々に課金することができる。
【0081】
さらに、用紙サイズや用紙の種類ごとに、面数およびシート数を別途カウントして、ユーザー情報と対応付けて記録してもよい。このようにすれば、用紙サイズや用紙の種類ごとに課金することができる。
【0082】
(変形例2)上記実施例では、面数およびシート数をユーザー情報に対応付けてジョブ単位で記録するようにしたが、ユーザー単位で面数およびシート数を記録するようにしてもよい。すなわち、ジョブごとにカウントされた面数およびシート数をユーザーごとに集計して、図10に例として示すように、ユーザーごとに合計した面数、シート数を印刷ログDB140に記録するようにしてもよい。
【0083】
(変形例3)上記実施例では、画像形成装置の一例としてのプリンター1について説明したが、画像形成装置としてはこれに限られることなく、ファクシミリ、複写機、複合機等の装置であってもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…画像形成装置としてのプリンター、2…ホスト装置、10…コントローラー、11…CPU、12…ROM、13…RAM、14…不揮発性メモリー、15…ネットワークI/F、20…操作パネル、21…操作ボタン、22…表示パネル、30…印刷エンジン、100…入力部としての印刷データ処理部、110…エンジン制御部、120…カウント部としての印刷キュー管理部、130…ジョブ情報管理部、140…印刷ログ記録部としての印刷ログデータベース、150…出力制御部、LG…ログ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザー情報を含む印刷データの入力を受ける入力部と、
印刷媒体に対して前記印刷データに基づく印刷を実行する印刷エンジンと、
前記印刷された印刷媒体をカウントするカウント部と、
前記印刷データのユーザー情報と前記カウントしたカウント値とを対応付けたログを記録するログ記録部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記カウント部は、前記入力された印刷データのジョブごとにカウントを行い、
前記ログ記録部は、前記印刷データのユーザー情報と前記ジョブごとにカウントしたカウント値とを対応付けたログをジョブ単位で記録することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
前記カウント部は、前記印刷エンジンによる印刷中にエラーを生じた印刷媒体についてはカウントしないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記カウント部は、前記印刷エンジンによる印刷の結果、白紙の印刷媒体についてはカウントしないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
ユーザー情報を含む印刷データの入力を受けるステップと、
前記印刷データに基づいて印刷された印刷媒体をカウントするステップと、
前記印刷データのユーザー情報と前記カウントされたカウント値とを対応付けたログを記録するステップと、を含むことを特徴とする印刷管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−214684(P2010−214684A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62402(P2009−62402)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】