説明

画像形成装置、ジョブ実行システムおよびジョブ実行方法

【課題】従来よりも手間がかかることなく、プリント出力を行うことが可能となるようにする。
【解決手段】画像形成装置2に、ユーザによって送信される認証プリントジョブを受信する受信部26と、ユーザの入力によって受け付けられた識別情報と画像データに含まれる識別情報とを照合する照合部241と、受け付けられた識別情報と画像データに含まれる識別情報との照合が成功した場合に、認証プリントジョブを実行するジョブ実行部242と、認証プリントジョブが受信中である場合に、当該受信中の認証プリントジョブに対する照合部241による照合を可能とするために、識別情報を記憶しておくパスワード記憶部23と、を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MFP等の画像形成装置、ジョブ実行システムおよびジョブ実行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成を行う画像形成装置、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリのほか、複合機またはMFP(Multi Function Peripherals)と呼称される多機能機等が会社等のオフィスで使用されている。
【0003】
近年では、不正アクセスを防止するために、情報処理装置(パーソナルコンピュータ)にICカードを装着した場合に限り、当該情報処理装置が動作するように制御することが提案されている(特許文献1)。
【0004】
このような方法を応用した方法として機密文書印刷方法がある。すなわち、端末装置から画像形成装置に認証プリントジョブが送信された後、送信の主体であるユーザが画像形成装置の操作パネルを用いてユーザIDとパスワードとを入力し、認証処理が成功すればプリント出力を行うものである。なお、認証プリントジョブとは、端末装置からプリントジョブを画像形成装置に送信したユーザが、画像形成装置の操作パネルに対して所定の認証操作を行って認証処理が成功した場合に、当該プリントジョブを実行するものである。
【0005】
ユーザがユーザIDおよびパスワードを操作パネルから入力することによって認証処理が実行される場合の他に、ユーザがICカード認証装置や指静脈認証装置等の認証装置に対して所定の操作を行って認証処理が実行される場合もある。また、ユーザが認証プリントジョブのジョブIDおよびパスワードを入力することで認証を行い、当該認証プリントジョブを実行するものもある。
【特許文献1】特開2001−331234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、認証プリントジョブを送信したユーザが画像形成装置に対して所定の認証操作を行っても、当該認証プリントジョブの受信が行われていない場合、すなわち受信中である場合には、認証処理は実行されない。そのため、ユーザは、時間の経過を待って認証操作を再度行わなければならず、非常に手間である。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑み、従来よりも手間がかかることなく、プリント出力を行うことが可能となるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係る画像形成装置は、認証に基づいて実行されるプリントジョブである認証プリントジョブを実行することが可能な画像形成装置であって、ユーザによって送信される前記認証プリントジョブを受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記認証プリントジョブに係る画像データを記憶する画像データ記憶手段と、ユーザにより入力された識別情報を受け付ける受付手段と、前記受付手段によって受け付けられた前記識別情報と前記画像データ記憶手段に記憶されている画像データに含まれる識別情報とを照合する照合手段と、前記認証プリントジョブに係る、前記受付手段によって受け付けられた前記識別情報と前記画像データに含まれる前記識別情報との前記照合手段による照合が成功した場合に、当該認証プリントジョブを実行するジョブ実行手段と、前記受付手段によって受け付けられた前記識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、前記受信手段によって前記認証プリントジョブが受信中である場合に、当該受信中の認証プリントジョブに対する前記照合手段による照合を可能とするために、前記識別情報を前記識別情報記憶手段に記憶しておく制御手段と、を有する。
【0009】
好ましくは、前記識別情報記憶手段は、前記受信手段による前記認証プリントジョブの受信が完了するまで、前記識別情報を記憶する。
【0010】
または、画像形成装置は、前記受信手段によって前記認証プリントジョブが受信中である場合に、当該認証プリントジョブの受信が完了した後に前記照合手段による再度の照合が行われる旨を表示する表示手段を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、従来よりも手間がかかることなく、プリント出力を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下では、コピー、スキャナ、ファックス、ネットワークプリンティング、およびドキュメントサーバ等の様々な機能を集約した処理装置であり、複合機またはMFP(Multi Function Peripherals)等と呼ばれる画像形成装置を用いる場合について説明する。
【0013】
図1はジョブ実行システム1の全体的な構成の例を示す図、図2は画像形成装置2のハードウェア構成の例を示す図、図3は画像形成装置2の機能的構成の例を示す図、図4は操作パネル20fの表示部21に表示される注意画面の例を示す図である。
【0014】
ジョブ実行システム1は、図1に示すように、複数の画像形成装置2(2A、2B、…)、端末装置3、管理装置(サーバ)4、および通信回線TC等によって構成される。通信回線TCとして、LAN、インターネット、公衆回線、または専用線等が用いられる。このようなジョブ実行システム1においては、各画像形成装置2、端末装置3および管理装置4がそれぞれ通信回線TCを介して接続されている。
【0015】
端末装置3は、画像形成装置2のクライアントであって、画像形成装置2のスキャナ、ファックス、ボックス、およびPCプリント等の機能を利用するための装置である。
【0016】
画像形成装置2は、公共団体(政府、地方自治体)、企業等のオフィス、学校または図書館等の公共施設、その他種々の場所に設置され、複数のユーザによって共用することができる。
【0017】
画像形成装置2は、図2に示すように、CPU20a、RAM20b、ROM20c、ハードディスク20d、制御用回路20e、操作パネル20f、スキャナ20g、印刷部(エンジン)20h、LANインタフェース20j、およびFAXモデム20k等によって構成される。
【0018】
制御用回路20eは、ハードディスク20d、操作パネル20f、スキャナ20g、印刷部20h、LANインタフェース20j、およびFAXモデム20k等を制御するための回路である。
【0019】
スキャナ20gは、原稿に描かれている文章、数式、記号、写真、図表、またはイラスト等のコンテンツの画像を光学的に読み取って画像データを生成する。
【0020】
印刷部20hは、スキャナ20gによって得られた画像データに基づく画像を用紙等の記録媒体に印刷する。
【0021】
LANインタフェース20jは、他の画像形成装置2等と通信を行うためのNIC(Network Interface Card)であって、画像形成装置2とハブまたはルータとを接続するために用いられる。
【0022】
FAXモデム20kは、他の画像形成装置2またはFAX端末等とファックスプロトコルによる通信を行う装置である。
【0023】
操作パネル20fは、タッチパネル式の液晶ディスプレイから構成される後述の表示部21およびテンキー等から構成される図示しない操作部によって構成される。表示部21には、ユーザに対してメッセージまたは指示を与えるための画面、ユーザが所望する処理の種類および処理条件を入力するための画面、およびCPU20a等で実行された処理の結果を示す画面等が表示される。
【0024】
ユーザは、上記の画面を見ながら表示部21または操作部を操作することによって、画像形成装置2に対して、処理の実行開始または中断等の指令を与え、データの宛先、印刷条件、またはスキャン条件等の処理条件を指定し、その他種々の事項を指定することができる。つまり、操作パネル20fは、画像形成装置2を操作するユーザのためのユーザインタフェースの役割を果たしている。
【0025】
画像形成装置2は、図3に示すように、パスワードデータベース22、パスワード記憶部23、制御部24、通信部25および受信部26等によって構成される。制御部24は、照合部241、ジョブ実行部242および受信判断部243を含む。これらの各構成部は、上で述べたCPU20a、RAM20b、ROM20c、その他の回路素子等によって構成される。RAM20bやROM20cには、これら各構成部の種々の機能を実現するためのコンピュータプログラムが組み込まれている。
【0026】
まず、受信部26は、端末装置3から通信部25を介して認証プリントジョブを受信する。認証プリントジョブは、端末装置3からプリントジョブ(画像データ、プリント指示)を画像形成装置2に送信したユーザが、当該画像形成装置2の操作パネル20fまたは生体認証装置等の認証装置に対して所定の認証操作(ユーザIDおよびパスワードの入力、またはジョブIDおよびパスワードの入力等)を行って、認証処理が成功した場合に実行される。
【0027】
制御部24は、受信部26によって受信された上記認証プリントジョブに係る画像データをハードディスク20dに記憶させる。
【0028】
ここで、認証プリントジョブに係る画像データには、ユーザ識別情報であるユーザIDおよびパスワードが含まれている。すなわち、ユーザIDおよびパスワードと本文データとが1つの画像データになっている。画像データの先頭にユーザIDおよびパスワードが組み込まれ、その後ろに本文データが付加されている。
【0029】
したがって、受信部26は、端末装置3から送信される画像データに含まれるユーザIDおよびパスワードを先に受信し、続けて上記本文データを受信する。
【0030】
制御部24は、ユーザがユーザIDおよびパスワードの入力を行うための入力画面を表示部21に表示させる。
【0031】
そして、制御部24は、ユーザが操作パネル20fによってユーザIDおよびパスワードを入力したか否かをチェックする。ユーザによってユーザIDおよびパスワードが入力されれば、照合部241は、入力されたユーザIDおよびパスワードに適合する画像データがハードディスク20dに記憶されているか否かを判断する。
【0032】
入力されたユーザIDおよびパスワードに適合する画像データがハードディスク20dに記憶されていれば、ジョブ実行部242は、印刷部20hに当該画像データに基づく画像を用紙に印刷させる。
【0033】
一方、受信判断部243は、入力されたユーザIDおよびパスワードに適合する画像データがハードディスク20dに未だ記憶されていなければ、受信部26によって画像データが受信中であるか否かをチェックする。
【0034】
そして、制御部24は、画像データが受信中である場合には、ユーザによって入力された上記ユーザIDおよびパスワードを、パスワードデータベース22およびパスワード記憶部23に記憶させる。
【0035】
さらに、受信部26による画像データの受信が完了したとき、または、受信部26が画像データを受信中であっても、当該画像データに含まれるユーザIDおよびパスワードの情報を受信したときには、照合部241は、受信部26によって受信されたユーザIDおよびパスワードと、パスワード記憶部23に記憶されているユーザIDおよびパスワードとの照合を行う。
【0036】
ここで、上で述べたように、受信部26は端末装置3から送信される画像データに含まれるユーザIDおよびパスワードを本文データよりも先に受信するので、受信部26による画像データの受信が全て完了していなくても、照合部241は照合を行うことができる。
【0037】
なお、本実施形態では、印刷装置で印刷処理中のプリントジョブを制御するための機能を提供する印刷用のコマンド言語であるPJLコマンド(Hewlett Packard 社製)を用いて、画像データを送信している。これによって、ユーザID、パスワードおよび本文データの送信が開始されたことがわかるので、当該ユーザIDおよびパスワードの受信が完了したこともわかり、照合部241は照合を行うことが可能となる。
【0038】
制御部24は、受信部26によって受信されたユーザIDおよびパスワードと、パスワード記憶部23に記憶されているユーザIDおよびパスワードとが一致した場合には、印刷部20hに上記画像データに基づく画像を用紙に印刷させる。
【0039】
ここで、画像データが受信中である場合には、図4に示すように、制御部24は、画像データの受信が完了していない旨および当該画像データの受信が完了すれば、ユーザIDおよびパスワードの照合を再び行う旨を表示部21に表示させる。この場合、ユーザは、表示部21を視認すると、承諾ボタン21aを押す。また、ユーザは、受信部26による画像データの受信完了後における、ユーザIDおよびパスワードの再度の照合を望まない場合には、キャンセルボタン21bを押す。これにより、認証プリントジョブが破棄される。
【0040】
図5は本実施形態におけるジョブ実行処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0041】
図5に示すように、まず、ユーザIDおよびパスワードの入力画面が表示部21に表示される(#1)。ユーザによってユーザIDおよびパスワードが入力されると(#2でYes)、入力されたユーザIDおよびパスワードに適合する画像データがハードディスク20dに記憶されているか否かが判別される(#3)。
【0042】
適合する画像データがハードディスク20dに記憶されている場合(#3でYes)、対象の画像データがリストアップされ(#4)、当該画像データに基づく画像が用紙に印刷される(#5)。印刷が完了していない場合には(#6でNo)、#5の印刷の処理が継続される。
【0043】
一方、適合する画像データがハードディスク20dに記憶されていない場合には(#3でNo)、画像データが受信中であるか否かが判別される(#7)。
【0044】
画像データが受信中である場合(#7でYes)、#2で入力されたユーザIDおよびパスワードが記憶(保持)される(#8)。
【0045】
そして、画像データの受信が完了した場合、または照合可能な状態となった場合、つまり、画像データに含まれるユーザIDおよびパスワードの情報を受信した場合には(#9でYes)、受信した画像データが、#8で記憶したユーザIDおよびパスワードと適合するものであるか否かが判別される(#10)。
【0046】
受信した画像データが適合するものである場合(#10でYes)、上述の#4、#5および#6の処理が実施される。一方、受信した画像データが適合するものでない場合には(#10でNo)、#1の処理に戻る。なお、#10の処理の後(#10でNo)、#1の処理に戻る代わりに、#7の処理に戻るようにしてもよい。
【0047】
図6は本実施形態におけるジョブ実行処理の流れの他の例を説明するフローチャートである。
【0048】
図6に示すように、本例の#21〜#26の処理は、上述の#1〜#6の処理と同じである。すなわち、まず、ユーザIDおよびパスワードの入力画面が表示部21に表示される(#21)。ユーザによってユーザIDおよびパスワードが入力されると(#22でYes)、入力されたユーザIDおよびパスワードに適合する画像データがハードディスク20dに記憶されているか否かが判別される(#23)。
【0049】
適合する画像データがハードディスク20dに記憶されている場合(#23でYes)、対象の画像データがリストアップされ(#24)、当該画像データに基づく画像が用紙に印刷される(#25)。印刷が完了していない場合には(#26でNo)、#25の印刷の処理が継続される。
【0050】
一方、適合する画像データがハードディスク20dに記憶されていない場合には(#23でNo)、画像データが受信中であるか否かが判別される(#27)。
【0051】
画像データが受信中である場合(#27でYes)、制御部24による時間の計測が開始される(#28)。そして、上述の図4の注意画面が表示部21に表示される(#29)。
【0052】
次いで、#22で入力されたユーザIDおよびパスワードが記憶(保持)される(#30)。
【0053】
ここで、ユーザによってキャンセルボタン21bが押下された場合には(#31でYes)、#21の処理に戻る。一方、ユーザによってキャンセルボタン21bが押下されていない場合には(#31でNo)、画像データの受信が完了したか否か、または照合可能な状態となったか否か、つまり、画像データに含まれるユーザIDおよびパスワードの情報を受信したか否かが判別される(#32)。
【0054】
画像データの受信が完了した場合、または画像データに含まれるユーザIDおよびパスワードの情報を受信した場合には(#32でYes)、制御部24による計測開始から所定時間が経過したか否かが判別される(#33)。
【0055】
制御部24による計測開始から所定時間が経過した場合には(#33でYes)、ユーザIDおよびパスワードの照合処理がキャンセルされ(#34)、#21の処理に戻る。
【0056】
一方、制御部24による計測開始から所定時間が経過していない場合には(#33でNo)、受信した画像データが、#30で記憶したユーザIDおよびパスワードと適合するものであるか否かが判別される(#35)。
【0057】
受信した画像データが適合するものである場合には(#35でYes)、上述の#24、#25および#26の処理が実施される。一方、受信した画像データが適合するものでない場合には(#35でNo)、#21の処理に戻る。なお、#35の処理の後(#35でNo)、#21の処理に戻る代わりに、#27の処理に戻るようにしてもよい。
【0058】
[本実施形態における効果]
本実施形態では、端末装置3から認証プリントジョブを画像形成装置2に送信したユーザが、操作パネル20fでユーザIDおよびパスワードの入力を行った際に、画像形成装置2において当該認証プリントジョブに係る画像データの受信が開始されていない場合や、当該画像データの受信が完了していない場合でも、入力されたユーザIDおよびパスワードの情報を破棄することなく、上記画像データに含まれる照合可能な情報、すなわち、ユーザIDおよびパスワードが受信されるまで、上記入力されたユーザIDおよびパスワードを保持(記憶)する。そして、ユーザIDおよびパスワードを受信することができれば、照合処理を再び実施する。
【0059】
このような方法によって、ユーザはユーザIDおよびパスワードを再度入力する必要がない。
【0060】
したがって、ユーザが所定の認証操作を行った際に、認証プリントジョブに係る画像データが受信されていない場合に、当該認証操作に基づく認証情報を破棄していた従来の方法よりも手間がかかることなく、プリント出力を行うことが可能となる。
【0061】
また、ユーザIDおよびパスワードを再度入力する必要がないので、ユーザが苛立ちや不安感などの精神的苦痛を受けてしまうことが軽減される。
【0062】
[他の実施形態]
上記実施形態では、認証プリントジョブにおける認証処理の際に、識別情報として、ユーザIDおよびパスワードを入力することとしたが、以下に説明するように、ジョブIDおよびパスワードを入力するようにしてもよい。
【0063】
図7は本実施形態におけるジョブ実行処理の流れの他の例を説明するフローチャートである。
【0064】
図7に示すように、まず、ジョブIDおよびパスワードの入力画面が表示部21に表示される(#41)。ユーザによってジョブIDおよびパスワードが入力されると(#42でYes)、入力されたジョブIDおよびパスワードに適合する画像データがハードディスク20dに記憶されているか否かが判別される(#43)。
【0065】
適合する画像データがハードディスク20dに記憶されている場合(#43でYes)、対象の画像データがリストアップされ(#44)、当該画像データに基づく画像が用紙に印刷される(#45)。印刷が完了していない場合には(#46でNo)、#45の印刷の処理が継続される。
【0066】
一方、適合する画像データがハードディスク20dに記憶されていない場合には(#43でNo)、画像データが受信中であるか否かが判別される(#47)。
【0067】
画像データが受信中である場合(#47でYes)、#42で入力されたジョブIDおよびパスワードが記憶(保持)される(#48)。
【0068】
そして、画像データの受信が完了した場合、または照合可能な状態となった場合、つまり、画像データに含まれるジョブIDおよびパスワードの情報を受信した場合には(#49でYes)、受信した画像データが、#48で記憶したジョブIDおよびパスワードと適合するものであるか否かが判別される(#50)。
【0069】
受信した画像データが適合するものである場合(#50でYes)、上述の#44、#45および#46の処理が実施される。一方、受信した画像データが適合するものでない場合には(#50でNo)、#41の処理に戻る。なお、#50の処理の後(#50でNo)、#41の処理に戻る代わりに、#47の処理に戻るようにしてもよい。また、#44の処理でリストアップされた画像データはそのまま印刷してもよいが、一旦画面に表示させ、ユーザに選択させてもよい。
【0070】
図8は本実施形態におけるジョブ実行処理の流れの他の例を説明するフローチャートである。
【0071】
図8に示すように、本例の#61〜#66の処理は、上述の#41〜#46の処理と同じである。すなわち、まず、ジョブIDおよびパスワードの入力画面が表示部21に表示される(#61)。ユーザによってジョブIDおよびパスワードが入力されると(#62でYes)、入力されたジョブIDおよびパスワードに適合する画像データがハードディスク20dに記憶されているか否かが判別される(#63)。
【0072】
適合する画像データがハードディスク20dに記憶されている場合(#63でYes)、対象の画像データがリストアップされ(#64)、当該画像データに基づく画像が用紙に印刷される(#65)。印刷が完了していない場合には(#66でNo)、#65の印刷の処理が継続される。
【0073】
一方、適合する画像データがハードディスク20dに記憶されていない場合には(#63でNo)、画像データが受信中であるか否かが判別される(#67)。
【0074】
画像データが受信中である場合(#67でYes)、制御部24による時間の計測が開始される(#68)。そして、上述の図4の注意画面が表示部21に表示される(#69)。
【0075】
次いで、#62で入力されたジョブIDおよびパスワードが記憶(保持)される(#70)。
【0076】
ここで、ユーザによってキャンセルボタン21bが押下された場合には(#71でYes)、#61の処理に戻る。一方、ユーザによってキャンセルボタン21bが押下されていない場合には(#71でNo)、画像データの受信が完了したか否か、または照合可能な状態となったか否か、つまり、画像データに含まれるジョブIDおよびパスワードの情報を受信したか否かが判別される(#72)。
【0077】
画像データの受信が完了した場合、または画像データに含まれるジョブIDおよびパスワードの情報を受信した場合には(#72でYes)、制御部24による計測開始から所定時間が経過したか否かが判別される(#73)。
【0078】
制御部24による計測開始から所定時間が経過した場合には(#73でYes)、ジョブIDおよびパスワードの照合処理がキャンセルされ(#74)、#61の処理に戻る。
【0079】
一方、制御部24による計測開始から所定時間が経過していない場合には(#73でNo)、受信した画像データが、#70で記憶したジョブIDおよびパスワードと適合するものであるか否かが判別される(#75)。
【0080】
受信した画像データが適合するものである場合には(#75でYes)、上述の#64、#65および#66の処理が実施される。一方、受信した画像データが適合するものでない場合には(#75でNo)、#61の処理に戻る。なお、#75の処理の後(#75でNo)、#61の処理に戻る代わりに、#67の処理に戻るようにしてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、ユーザにより入力されたユーザIDおよびパスワードに適合する画像データが画像形成装置2のハードディスク20dに保存されている場合について説明したが、当該画像データが管理装置4に保存されてもよい。
【0082】
この場合、制御部24は、ユーザによってユーザIDおよびパスワードが入力されると、当該ユーザIDおよびパスワードと照合可能な画像データが管理装置4に存在するか否かについて当該管理装置4に問い合わせる。
【0083】
そして、照合可能な画像データ、つまり、何らかのユーザIDおよびパスワードを含む画像データが管理装置4に存在する場合には、受信部26は管理装置4から当該画像データを受信する。
【0084】
受信した画像データが、入力されたユーザIDおよびパスワードに適合するものであれば、印刷部20hは当該画像データに基づく画像を用紙に印刷する。
【0085】
一方、管理装置4に照合可能な画像データが存在しない場合には、制御部24は管理装置4への上記問い合わせを定期的に行う。照合可能な画像データが管理装置4に保存されれば、受信部26は管理装置4から当該画像データを受信する。受信した画像データが、入力されたユーザIDおよびパスワードに適合するものであれば、印刷部20hは当該画像データに基づく画像を用紙に印刷する。
【0086】
また、上記実施形態では、照合の処理を画像形成装置2において実施したが、管理装置4にパスワード記憶部を設けて、管理装置4において照合の処理を実施してもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、ユーザは、所定の認証操作として、操作パネル20fを用いてユーザIDおよびパスワードの入力を行う場合について説明したが、ICカード認証装置や指静脈認証装置等の認証装置を画像形成装置2に設け、当該認証装置に対して所定の認証操作を行うようにしてもよい。
【0088】
さらに、ユーザがユーザIDおよびパスワードを入力した時点で、認証プリントジョブに係る画像データの受信が開始されていない場合において、当該画像データの受信が開始されたときに、ユーザに対して画像データの受信が開始された旨をメール等で通知してもよい。
【0089】
その他、画像形成装置2の全体または各部の構成、処理内容、処理順序等は、本発明の趣旨に沿って適宜変更することが可能であり、この場合にも上記の特有かつ格別の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】ジョブ実行システムの全体的な構成の例を示す図である。
【図2】画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【図3】画像形成装置の機能的構成の例を示す図である。
【図4】操作パネルの表示部に表示される注意画面の例を示す図である。
【図5】本実施形態におけるジョブ実行処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図6】本実施形態におけるジョブ実行処理の流れの他の例を説明するフローチャートである。
【図7】本実施形態におけるジョブ実行処理の流れの他の例を説明するフローチャートである。
【図8】本実施形態におけるジョブ実行処理の流れの他の例を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0091】
1 ジョブ実行システム
2 画像形成装置
3 端末装置
4 管理装置
20d ハードディスク(画像データ記憶手段)
20f 操作パネル
21 表示部(表示手段)
21b キャンセルボタン(第1キャンセル手段)
23 パスワード記憶部(識別情報記憶手段)
24 制御部(制御手段、第2キャンセル手段)
26 受信部(受信手段)
241 照合部(受付手段、照合手段)
242 ジョブ実行部(ジョブ実行手段)
243 受信判断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証に基づいて実行されるプリントジョブである認証プリントジョブを実行することが可能な画像形成装置であって、
ユーザによって送信される前記認証プリントジョブを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記認証プリントジョブに係る画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
ユーザにより入力された識別情報を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられた前記識別情報と前記画像データ記憶手段に記憶されている画像データに含まれる識別情報とを照合する照合手段と、
前記認証プリントジョブに係る、前記受付手段によって受け付けられた前記識別情報と前記画像データに含まれる前記識別情報との前記照合手段による照合が成功した場合に、当該認証プリントジョブを実行するジョブ実行手段と、
前記受付手段によって受け付けられた前記識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、
前記受信手段によって前記認証プリントジョブが受信中である場合に、当該受信中の認証プリントジョブに対する前記照合手段による照合を可能とするために、前記識別情報を前記識別情報記憶手段に記憶しておく制御手段と、を有する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記識別情報記憶手段は、前記受信手段による前記認証プリントジョブの受信が完了するまで、前記識別情報を記憶する、
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記受信手段によって前記認証プリントジョブが受信中である場合に、当該認証プリントジョブの受信が完了した後に前記照合手段による再度の照合が行われる旨を表示する表示手段を有する、
請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記表示手段による表示中に、前記照合手段による再度の照合をキャンセルする、第1キャンセル手段を有する、
請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記認証プリントジョブの受信が開始されてから所定時間が経過したときに、前記照合手段による再度の照合をキャンセルする、第2キャンセル手段を有する、
請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記識別情報は、ユーザ識別情報である、
請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ユーザ識別情報は、ユーザIDおよびパスワードである、
請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記識別情報は、ジョブ識別情報およびパスワードである、
請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
認証に基づいて実行されるプリントジョブである認証プリントジョブを実行することが可能なジョブ実行システムであって、
ユーザによって送信される前記認証プリントジョブを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記認証プリントジョブに係る画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
ユーザにより入力された識別情報を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられた前記識別情報と前記画像データ記憶手段に記憶されている画像データに含まれる識別情報とを照合する照合手段と、
前記認証プリントジョブに係る、前記受付手段によって受け付けられた前記識別情報と前記画像データに含まれる前記識別情報との前記照合手段による照合が成功した場合に、当該認証プリントジョブを実行するジョブ実行手段と、
前記受付手段によって受け付けられた前記識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、
前記受信手段によって前記認証プリントジョブが受信中である場合に、当該受信中の認証プリントジョブに対する前記照合手段による照合を可能とするために、前記識別情報を前記識別情報記憶手段に記憶しておく制御手段と、を有する、
ことを特徴とするジョブ実行システム。
【請求項10】
前記識別情報記憶手段は、前記受信手段による前記認証プリントジョブの受信が完了するまで、前記識別情報を記憶する、
請求項9記載のジョブ実行システム。
【請求項11】
前記受信手段によって前記認証プリントジョブが受信中である場合に、当該認証プリントジョブの受信が完了した後に前記照合手段による再度の照合が行われる旨を表示する表示手段を有する、
請求項9または10記載のジョブ実行システム。
【請求項12】
前記表示手段による表示中に、前記照合手段による再度の照合をキャンセルする、第1キャンセル手段を有する、
請求項11記載のジョブ実行システム。
【請求項13】
前記認証プリントジョブの受信が開始されてから所定時間が経過したときに、前記照合手段による再度の照合をキャンセルする、第2キャンセル手段を有する、
請求項9ないし12のいずれかに記載のジョブ実行システム。
【請求項14】
前記識別情報は、ユーザ識別情報である、
請求項9ないし13のいずれかに記載のジョブ実行システム。
【請求項15】
前記ユーザ識別情報は、ユーザIDおよびパスワードである、
請求項14記載のジョブ実行システム。
【請求項16】
前記識別情報は、ジョブ識別情報およびパスワードである、
請求項9ないし13のいずれかに記載のジョブ実行システム。
【請求項17】
認証に基づいて実行されるプリントジョブである認証プリントジョブを実行することが可能なジョブ実行方法であって、
ユーザによって送信される前記認証プリントジョブを受信する受信ステップと、
ユーザにより入力された識別情報を受け付ける受付ステップと、
前記認証プリントジョブが受信中である場合に、受け付けられた前記識別情報と当該受信中の認証プリントジョブに係る画像データに含まれる識別情報との照合を可能とするために、前記識別情報を記憶しておく識別情報記憶ステップと、
受け付けられた前記識別情報と記憶された前記画像データに含まれる識別情報とを照合する照合ステップと、
前記照合が成功した場合に、前記認証プリントジョブを実行する実行ステップと、
を有することを特徴とするジョブ実行方法。
【請求項18】
前記識別情報記憶ステップにおいては、前記認証プリントジョブの受信が完了するまで、前記識別情報を記憶する、
請求項17記載のジョブ実行方法。
【請求項19】
前記認証プリントジョブが受信中である場合に、当該認証プリントジョブの受信が完了した後に再度の照合が行われる旨を表示する表示ステップを有する、
請求項17または18記載のジョブ実行方法。
【請求項20】
前記旨の表示中に、再度の照合をキャンセルする、第1キャンセルステップを有する、
請求項19記載のジョブ実行方法。
【請求項21】
前記認証プリントジョブの受信が開始されてから所定時間が経過したときに、再度の照合をキャンセルする、第2キャンセルステップを有する、
請求項17ないし20のいずれかに記載のジョブ実行方法。
【請求項22】
前記識別情報は、ユーザ識別情報である、
請求項17ないし21のいずれかに記載のジョブ実行方法。
【請求項23】
前記ユーザ識別情報は、ユーザIDおよびパスワードである、
請求項22記載のジョブ実行方法。
【請求項24】
前記識別情報は、ジョブ識別情報およびパスワードである、
請求項17ないし21のいずれかに記載のジョブ実行方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−3006(P2010−3006A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159503(P2008−159503)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】