画像形成装置、トナー消費量算出方法、及びトナー消費量算出プログラム
【課題】トナー消費量を精度良く、早期に検知する。
【解決手段】入力された印刷データに対応する印刷ドット配列に基づいてトナー消費量を算出する画像形成装置であって、前記印刷ドット配列の入力ライン数をカウントする画像ライン検知手段と、前記画像ライン検知手段により得られるライン数と予め設定された分割ラインとに基づいて前記印刷ドット配列を分割するドット配列分割手段と、前記ドット配列分割手段により分割された印刷ドット配列を用いてトナー消費量を算出するトナー消費量算出手段と、前記分割された印刷ドット配列の境界領域に対応する印刷ドット配列を用いてトナー消費補正量を算出するトナー消費補正量算出手段とを有することにより上記課題を解決する。
【解決手段】入力された印刷データに対応する印刷ドット配列に基づいてトナー消費量を算出する画像形成装置であって、前記印刷ドット配列の入力ライン数をカウントする画像ライン検知手段と、前記画像ライン検知手段により得られるライン数と予め設定された分割ラインとに基づいて前記印刷ドット配列を分割するドット配列分割手段と、前記ドット配列分割手段により分割された印刷ドット配列を用いてトナー消費量を算出するトナー消費量算出手段と、前記分割された印刷ドット配列の境界領域に対応する印刷ドット配列を用いてトナー消費補正量を算出するトナー消費補正量算出手段とを有することにより上記課題を解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、トナー消費量算出方法、及びトナー消費量算出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、例えば電子写真方式の画像形成装置において、トナー容器から現像器内へトナーを補給することにより現像器内のトナー量を一定に保つことが行われている。現像器内のトナー量を一定に保つためには、現像器内のトナー消費量を精度良く検知してトナーを補給する必要がある。
【0003】
この現像器内のトナー消費量を検知する方法としては、注目画素に対する主走査方向及び副走査方向の印刷ドットの連続性を考慮し、トナー消費量を算出する2次元トナー消費量カウント方法が知られている。しかしながら、このような印刷ドットの連続性を考慮するには、1ページ分の静電潜像を形成した後でなければ、トナー消費量を検知することができなかった。したがって、高印字率や長尺の印刷の場合には、1ページ分の静電潜像を形成している際に、現像器内のトナー量が急激に低下し、トナー補給不足が生じる場合があった。
【0004】
なお、上述した1ページ分の静電潜像の完了を待たずに、分割した画像領域ごとに画像情報信号をカウントして、カウント値からトナー消費量を予測する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示す手法では、単に画像領域を分割して、分割した画像領域ごとに画像情報信号をカウントしているため、そのカウント値には、例えば分割した画像領域における境目のドットに対する周辺領域のドット連続性が考慮されていない。そのため、特許文献1に示す手法は、分割した画像領域ごとに、トナー消費量を早期に検知できる一方、分割した画像領域ごとのトナー消費量を精度良く検知することができないという問題が生じた。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、トナー消費量を精度良く、早期に検知する画像形成装置、及びトナー消費量算出方法、及びトナー消費量算出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、入力された印刷データに対応する印刷ドット配列に基づいてトナー消費量を算出する画像形成装置であって、前記印刷ドット配列の入力ライン数をカウントする画像ライン検知手段と、前記画像ライン検知手段により得られるライン数と予め設定された分割ラインとに基づいて前記印刷ドット配列を分割するドット配列分割手段と、前記ドット配列分割手段により分割された印刷ドット配列を用いてトナー消費量を算出するトナー消費量算出手段と、前記分割された印刷ドット配列の境界領域に対応する印刷ドット配列を用いてトナー消費補正量を算出するトナー消費補正量算出手段とを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、入力された印刷データに対応する印刷ドット配列に基づいてトナー消費量を算出し、算出されたトナー消費量を算出する画像形成装置におけるトナー消費量算出方法であって、前記印刷ドット配列の入力ライン数をカウントする画像ライン検知手順と、前記画像ライン検知手順により得られるライン数と予め設定された分割ラインとに基づいて前記印刷ドット配列を分割するドット配列分割手順と、前記ドット配列分割手順により分割された印刷ドット配列を用いてトナー消費量を算出するトナー消費量算出手順と、前記分割された印刷ドット配列の境界領域に対応する印刷ドット配列を用いてトナー消費補正量を算出するトナー消費補正量算出手順とを有することを特徴とするトナー消費量算出方法。
【0009】
また、本発明は、コンピュータを、上述した画像形成装置が有する各手段として機能させるためのトナー消費量算出プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、トナー消費量を精度良く、早期に検知することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図2】本実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】エンジン部が有するCPUの機能ブロックの一例を示す図である。
【図4】本実施形態に係る画像形成装置の機能ブロックの一例を示す図である。
【図5】トナー消費量カウント処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】周辺領域のドット連続性からトナー付着量を計算する方法を説明するための図である。
【図7】図5の処理において分割される印刷画像領域を説明するための図である。
【図8】1ページの印刷画像領域におけるA〜C領域を示す図である。
【図9】1ページの印刷画像領域をA〜C領域に分割した状態を示す図である。
【図10】分割したA〜C領域のトナー消費量を説明するための図である。
【図11】所定ライン数ごとに分割される印刷画像領域を説明するための図である。
【図12】所定ライン数ごとに分割される印刷画像領域のトナー消費量カウント処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
<画像形成装置の概略図>
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略図である。図1に示すように画像形成装置1は、画像形成部としての現像ユニット2と、トナーカートリッジ3と、中間転写ベルト4と、2次転写駆動ローラ5と、転写ベルトテンションローラ6と、一次転写ローラ7と、給紙トレイ8と、給紙ローラ9と、レジストローラ10と、二次転写ローラ11と、定着器12と、排紙ローラ13とを有するように構成される。
【0014】
現像ユニット2は、現像ユニット2A〜2Dを有し、例えばブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)等のトナーの色ごとに設けられ、それぞれの現像ユニット2A〜2Dにおいて各トナー画像を形成する。
【0015】
現像ユニット2A〜2Dは、それぞれ感光体14と、帯電器15と、現像器17と、クリーナーブレード18とを有するように構成され、感光体14の周囲に、帯電器15と、現像器17と、クリーナーブレード18とが配置される。なお、現像ユニット2A〜2Dの内部構成は共通である。また、露光器16は、現像ユニット2A〜2Dが形成する画像色に対応するレーザ光19を感光体14上に照射するように構成される。
【0016】
トナーカートリッジ3は、トナーカートリッジ3A〜3Dを有し、例えばブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のトナー色ごとに設けられる。
【0017】
中間転写ベルト4は、回転駆動する2次転写駆動ローラ5と、転写ベルトテンションローラ6とにより巻回されたエンドレス(無端状)ベルトである。一次転写ローラ7は、一次転写ローラ7A〜7Dを有し、感光体14A〜14Dに形成されたトナー画像を中間転写ベルト4に転写する。
【0018】
給紙トレイ8は、用紙20を積載する。用紙20は、給紙ローラ9とレジストローラ10とにより搬送され、二次転写ローラ11は、転写ベルト4に形成された画像を用紙20に転写する。定着器12は、用紙20に転写された画像を定着させる。なお、排紙ローラ13には、用紙20が通紙したことを検知する排紙センサが近接している。また、廃トナーボックス21が設けられ、転写ベルト4に形成されたトナーパターンや、用紙20に転写されずに残ったトナーを回収する。
【0019】
次に、上述した画像形成装置1の一般的な動作について説明する。画像形成装置1は、画像を形成するに際し、例えば感光体14Aの外周面を帯電器15Aにより一様に帯電した後、露光器16Aから照射したレーザ光19Aにより露光して静電潜像を形成する。現像器17Aは、トナーにより静電潜像を可視像化して、感光体14A上にトナー画像を形成する。
【0020】
感光体14A上のトナー画像は、感光体14Aと転写ベルト4とが接する位置(一次転写位置)で、一次転写ローラ7Aにより転写ベルト4上に転写され、転写ベルト4上にはトナー画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体14Aは、外周面に残留した不要なトナーがクリーニングブレード18により払拭され、次の画像形成のために待機する。
【0021】
現像ユニット2Aによりトナー画像が転写された転写ベルト4は、次の現像ユニット2Bに搬送される。現像ユニット2Bでは、現像ユニット2Aと同様の画像形成プロセスを経てトナー画像が形成され、転写ベルト4上に形成されたトナー画像に重畳されて転写される。
【0022】
転写ベルト4は、更に次の現像ユニット2C、2Dに搬送され、同様の動作によりトナー画像が転写され、転写ベルト4上にはフルカラートナー重ね画像が形成される。フルカラーの重ね画像が形成された転写ベルト4は、二次転写ローラ11の位置まで搬送される。
【0023】
給紙トレイ8に収納された用紙20は、給紙ローラ9により順次送りだされ、レジストローラ10により所定のタイミングで送りだされ、二次転写ローラ11上で転写ベルト4のトナー画像が用紙20に転写される。
【0024】
定着器12は、用紙20上のトナー画像を熱及び圧力により定着し、用紙20は、排紙ローラ13により外部に排紙される。
【0025】
なお、現像ユニット2A〜2Dには、それぞれトナーの残量を検知するトナー残量センサが設けられ、トナー残量センサは、現像ユニット2A〜2D内のトナー残量を検知する。検知されたトナー残量に基づいて、現像ユニット2A〜2Dには、トナーカートリッジ3A〜3Dからそれぞれトナーが供給される。
【0026】
<画像形成装置のハードウェア構成>
次に、図2を用いて、上述した画像形成装置1のハードウェア構成について説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0027】
図2に示すように、画像形成装置1は、コントローラ部30と、エンジン部40とを有するように構成される。また、コントローラ部30には、表示部31が接続される。
【0028】
コントローラ部30は、I/F部32と、画像メモリ部33と、CPU(Central Processing Unit)34とを有するように構成される。
【0029】
I/F部32は、例えばホストコンピュータ等の外部装置とのデータの送受信を可能とするインターフェースであり、例えば外部装置等から印刷データとしての画像信号を取得する。
【0030】
画像メモリ部33は、例えばI/F部32を介して、上述した外部装置等から取得した画像信号を記憶する。
【0031】
CPU34は、コントローラ部30の構成部全体を制御する。また、CPU34は、例えば表示部31から取得したユーザの指示内容に応じて、画像信号に対応する画像を形成するようエンジン部40に指示する。
【0032】
ここで、コントローラ部30のCPU34と接続される表示部31は、例えば液晶ディスプレイ等からなる。表示部31は、CPU34からの制御指令に応じて、ユーザへの操作案内や画像形成動作の進行状況を表示したり、装置の異常発生やトナーカートリッジ等のユニットの交換時期等を知らせる所定のメッセージを表示したりする。また、表示部31は、ユーザからの画像形成に関する指示等を受け付ける。
【0033】
エンジン部40は、ROM(Read Only Memory)41と、RAM(Random Access Memory)42と、CPU43と、現像ユニット2と、トナーカートリッジ3と、露光器16と、定着器12と、その他I/O部44とを有するように構成される。エンジン部40は、CPU34からの制御指令に応じて各種エンジンユニットを制御し、コントローラ部30から取得した画像信号に対応する画像を用紙20に形成する。
【0034】
ROM41は、CPU43が実行する演算プログラムや各種エンジンユニットを制御するための各種データ等を記憶する。
【0035】
RAM42は、CPU43における演算結果やその他のデータ等を一次的に記憶する。
【0036】
CPU43は、エンジン部40の各構成部全体を制御する。CPU43は、例えば現像ユニット2と、トナーカートリッジ3と、露光器16と、定着器12等を制御して画像を形成する。また、CPU43は、その他I/O部44と接続されたセンサ、モータ、クラッチ等の電装品の入出力を制御する。
【0037】
その他I/F部44は、エンジン部40との間で制御情報又はデータ自体の入出力を行う1又は複数のデバイス等を総称したものである。具体的には、その他I/O部44は、現像ユニット2、トナーカートリッジ3、露光器16、及び定着器12以外のセンサ、モータ、クラッチ等の画像形成時に必要なデバイスと接続されている。
【0038】
上述したように、本実施形態では、エンジン部40のCPU43により画像形成装置1の画像形成に係る制御が行われる。
【0039】
<エンジン部40が有するCPU43の機能構成>
次に、図3を用いて、上述したエンジン部40が有するCPU43の各機能について説明する。図3は、エンジン部が有するCPUの機能ブロックの一例を示す図である。
【0040】
図3に示すように、CPU43は、画像ライン検知手段50と、分割ライン判定手段51と、ドット配列分割手段52と、トナー消費量算出手段53と、トナー消費補正量算出手段54と、トナー補給制御手段55とを有するように構成される。
【0041】
画像ライン検知手段50は、コントローラ30から1ラインごとに入力される印刷データに対応する印刷ドット配列の入力ライン数をカウントする。
【0042】
分割ライン判定手段51は、例えば規定値又は所定条件等を用いて、印刷ドット配列を分割するための分割ラインを判定する。分割ライン判定手段51は、例えば所定条件として、上述したトナー残量センサにより検知された現像ユニット2A〜2Dのトナー残量レベル又はコントローラ部30から取得した印刷データに含まれる画像サイズ(例えばA4、長尺等)の一方又は両方を用いて分割ラインを判定する。
【0043】
ドット配列分割手段52は、画像ライン検知手段50により得られるライン数と予め設定された分割ラインとに基づいて印刷ドット配列を分割する。なお、分割ラインは、分割ライン判定手段51等により設定することができる。
【0044】
トナー消費量算出手段53は、ドット配列分割手段52により分割された印刷ドット配列を用いてトナー消費量を算出する。例えば、トナー消費量算出手段53は、分割された印刷ドット配列のうち、対象とする印刷ドットのトナー消費量を、印刷ドットを中心として設定された重みマトリクスの合計値により算出する。なお、重みマトリクス及びトナー消費量の算出方法については後述する。
【0045】
トナー消費補正量算出手段54は、ドット配列分割手段52により分割された印刷ドット配列の境界領域に対応する印刷ドット配列を用いてトナー消費補正量を算出する。トナー消費補正量は、例えば分割された印刷ドット配列からトナー消費量算出手段53により算出されたトナー消費量の不足分を補正する補正量として用いられる。
【0046】
例えば、トナー消費補正量算出手段54は、上述した境界領域に対応する印刷ドット配列のうち、対象とする印刷ドットのトナー消費量を、重みマトリクスの合計値から対象とする印刷ドットの重みを減算して算出する。なお、トナー消費補正量の算出方法については後述する。
【0047】
トナー補給制御手段55は、トナー消費量算出手段53により得られるトナー消費量と、トナー消費補正量算出手段54により得られるトナー消費補正量とに基づいてトナー補給制御を行う。
【0048】
<画像形成装置の機能ブロック>
次に、図4を用いて、上述した画像形成装置1の機能ブロック例について説明する。図4は、本実施形態に係る画像形成装置の機能ブロックの一例を示す図である。なお、図4に示すコントローラ部30及びエンジン部40は、本実施形態のトナー消費量算出に係る主な機能を概略的に示している。
【0049】
図4に示すように、コントローラ部30は、I/F部32と、色変換部35と、階調補正部36と、パルス変調部37とを有するように構成される。なお、色変換部35、階調補正部36、及びパルス変調部37は、CPU34により制御される機能である。
【0050】
色変換部35は、例えば画像形成出力を指示するホストコンピュータ50から、I/F部32を介して印刷データとしての画像信号を取得すると、取得した画像信号に対応する画像内の各画素のRGB成分階調レベルを示すRGB階調データを、CMYK成分階調レベルを示すCMYK階調データへ変換する。
【0051】
階調補正部36は、色変換部35から取得したCMYK階調データに対してエンジン部40のγ特性変化補正、誤差拡散法、ディザ法等のハーフトーン処理を施して、ハーフトーンCMYK階調データに変換する。なお、ハーフトーンCMYK階調データは、各画素に付着させるべきCMYK各色のトナードットのサイズ及びその配列信号を示す。
【0052】
パルス変調部37は、階調補正部36から取得したハーフトーンCMYK階調データを用いて、感光体14上の露光のON/OFF状態、即ち、感光体14上の印刷ドット配列を示す2値データのビデオ信号を作成して、エンジン部40へ1ライン単位で順次出力する。
【0053】
また、図4に示すように、エンジン部40のCPU43は、切替スイッチA〜Cと、ビデオ信号バッファA〜Cと、トナー消費量変換部A〜Cと、カウンタA〜Cとを有し、これらの構成を用いて、上述した画像ライン検知手段50と、分割ライン判定手段51と、ドット配列分割手段52と、トナー消費量算出手段53と、トナー消費補正量算出手段54とを機能させるための制御を行う。
【0054】
切替スイッチA〜Cは、それぞれのスイッチのON/OFFを切り替えて、コントローラ部30のパルス変調部37から1ライン単位で取得した印刷ドット配列を示すビデオ信号を、ビデオ信号バッファA〜Cの少なくとも1つに振り分ける。なお、切替スイッチA〜CにおけるそれぞれのスイッチのON/OFF切り替えは、例えばドット配列分割手段52等により、入力されるラインごとに行うことが可能である。
【0055】
ビデオ信号バッファA〜Cは、切替スイッチA〜Cにより振り分けられたビデオ信号を一時的に記憶する。
【0056】
トナー付着量変換部A〜Cは、ビデオ信号バッファA〜Cに蓄積されたビデオ信号に基づき、計算対象とする印刷ドットについて、その印刷ドットを中心とした主走査方向及び副走査方向の周辺領域のドット連続性からトナー付着量に変換する。なお、トナー付着量変換部A及びBは、例えば図3に示すトナー消費量算出手段53に相当し、トナー付着量変換部Cは、例えば図3に示すトナー消費補正量算出手段54に相当する。
【0057】
カウンタA〜カウンタCは、トナー付着量変換部A〜Cから取得したトナー付着量を積算する。このように、カウンタA〜カウンタCには、ビデオ信号バッファA〜Cに記憶されたビデオ信号の2次元カウント技術に基づきカウントされたトナー消費量が保持される。
【0058】
<トナー消費量カウント処理について>
次に、図5を用いて、上述したカウンタA〜カウンタCによりカウントされるトナー消費量カウント処理の流れについて説明する。図5は、トナー消費量カウント処理の流れを示すフローチャートである。
【0059】
なお、図5の例では、1ページ単位のトナー消費量カウント処理について説明し、連続印刷の場合は本処理を1ページ単位で繰り返し実施するものとする。また、図5の例では、1ページを2等分してトナー消費量をカウントするものである。
【0060】
図5に示すように、画像ライン検知手段50は、コントローラ部30から出力されたビデオ信号が入力したか否か判断し(S10)、ビデオ信号が入力したと判断すると(S10において、YES)、入力されるビデオ信号のライン数のカウントを開始する(S11)。
【0061】
次に、切替スイッチAをON(接続状態)とし(S12)、ビデオ信号のビデオ信号バッファAへの蓄積を開始する。なお、画像ライン検知手段50は、ビデオ信号が入力していないと判断した場合(S10において、NO)には、S10の処理を続ける。
【0062】
ドット配列分割手段52は、画像ライン検知手段50によりカウントされる入力ライン数が規定値−1(規定値−1=入力ライン数)か否か判断する(S13)。
【0063】
ドット配列分割手段52は、入力ライン数が規定値−1であると判断した場合(S13において、YES)、切替スイッチCをONとし(S14)、ビデオ信号のビデオ信号バッファCへの蓄積を開始する。このとき、ビデオ信号のビデオ信号バッファAへの蓄積も継続して行われる。したがって、この場合には、切替スイッチA及びCがONの状態となり、コントローラ部30から取得したビデオ信号はビデオ信号バッファA及びCに出力され蓄積される。
【0064】
なお、入力ライン数が規定値−1でないと判断した場合(S13において、NO)、S13の処理に戻り、入力ライン数が規定値−1になるまで待機する。
【0065】
ここで、「規定値」とは、例えば1ページの印刷データに対応する印刷ドット配列を分割するための基準となる分割ラインを示し、予め固定値等が設定されていても良く、また分割ライン判定手段51により任意に設定されても良い。図5の例のように、1ページを2分割の領域に分ける場合、「規定値」は、1ページの総ライン数に1/2を乗じた値となる。また、「規定値−1」とは、1ページの総ライン数に1/2を乗じた値から1ライン減算した値(総ライン数に1/2乗じた値よりも1ライン前の値)を示す。
【0066】
次に、ドット配列分割手段52は、画像ライン検知手段50によりカウントされる入力ライン数が規定値(規定値=入力ライン数)か否か判断する(S15)。
【0067】
ドット配列分割手段52は、入力ライン数が規定値であると判断した場合(S15において、YES)、規定値と判断された入力ライン(規定値ライン)のビデオ信号をビデオ信号バッファAに出力した後、切替スイッチAをOFF(開放状態)とし、切替スイッチBをONとする(S16)。ここでは、規定値ラインのビデオ信号のビデオ信号バッファCへの出力も継続して行われ、コントローラ部30から取得したビデオ信号は、ビデオ信号バッファA及びCに蓄積される。
【0068】
なお、入力ライン数が規定値でないと判断した場合(S15において、NO)、S15の処理に戻り、入力ライン数が規定値になるまで待機する。
【0069】
このようにして、ビデオ信号バッファAに1ページ目の印刷画像の1ライン目(先頭)から規定値ライン目までのビデオ信号を一次記憶する。トナー消費量変換部Aは、一次記憶したビデオ信号をトナー消費量に変換し、カウンタAにはビデオ信号バッファAに一次記憶されたビデオ信号のトナー消費量が積算される(S17)。
【0070】
なお、カウンタAにトナー消費量が積算されると、積算された値をRAM42に記録する。これにより、1ページの静電潜像形成中のトナー消費量を更新していくことが可能となる。また、トナー補給制御手段55は、カウンタAに積算された値に基づき、トナーカートリッジ3から現像ユニット2にトナー補給するように制御しても良い。
【0071】
次に、ドット配列分割手段52は、入力ライン数が予め設定した規定値+1(規定値+1=入力ライン数)か否か判断する(S18)。ここで、「規定値+1」とは、1ページの総ライン数に1/2を乗じた値に1ライン加算した値(総ライン数に1/2乗じた値よりも1ライン後の値)を示す。
【0072】
ドット配列分割手段52は、入力ライン数が規定値+1であると判断した場合(S18において、YES)、規定値+1と判断された入力ライン(規定値+1ライン)のビデオ信号をビデオ信号バッファCに出力した後、入力切替スイッチCをOFFとする(S19)。ここでは、規定値+1ラインのビデオ信号のビデオ信号バッファBへの出力も継続して行われ、コントローラ部30から取得したビデオ信号は、ビデオ信号バッファB及びCに蓄積される。
【0073】
なお、入力ライン数が規定値+1でないと判断した場合(S18において、NO)、S18の処理に戻り、入力ライン数が規定値+1になるまで待機する。
【0074】
このようにして、ビデオ信号バッファCに1ページ目の印刷画像の規定値ラインと規定値+1ラインの2ライン分のビデオ信号を一次記憶する。トナー消費量変換部Cは、一次記憶したビデオ信号をトナー消費量に変換し、カウンタCにはビデオ信号バッファCに一次記憶されたビデオ信号のトナー消費量が積算される(S20)。
【0075】
なお、カウンタCにトナー消費量が積算されると、積算された値をRAM42に記録する。これにより、1ページの静電潜像形成中のトナー消費量を更新していくことが可能となる。また、トナー補給制御手段55は、カウンタCに積算された値に基づき、トナーカートリッジ3から現像ユニット2にトナー補給するように制御しても良い。
【0076】
本実施形態では、カウンタCに積算された値が、カウンタA及びカウンタBにおいてそれぞれ不足するトナー消費量の不足分を補正する補正量として用いられる。
【0077】
次に、ドット配列分割手段52は、入力ライン数が1ページ分の総ライン数(総ライン数=入力ライン数)か否か判断する(S21)。なお、入力ライン数が総ライン数でないと判断した場合(S21において、NO)、S21の処理に戻り、入力ライン数が総ライン数になるまで待機する。
【0078】
ドット配列分割手段52は、入力ライン数が総ライン数(1ページの最終ライン)であると判断した場合(S21において、YES)、最終ラインと判断された入力ラインのビデオ信号をビデオ信号バッファBに出力した後、切替スイッチBをOFFする(S22)。ここで、コントローラ部30から取得したビデオ信号は、ビデオ信号バッファBに蓄積される。
【0079】
このようにして、ビデオ信号バッファBに1ページ目の印刷画像の規定値+1ラインから最終ラインまでのビデオ信号を一次記憶する。トナー消費量変換部Bは、一次記憶したビデオ信号をトナー消費量に変換し、カウントBにはビデオ信号バッファBに一次記憶されたビデオ信号のトナー消費量が積算される(S23)。
【0080】
なお、カウンタBにトナー消費量が積算されると、積算された値をRAM42に記録する。これにより、エンジン部40において1ページ分のトナー消費量が確定される。また、トナー補給制御手段55は、カウンタBに積算された値に基づき、トナーカートリッジ3から現像ユニット2にトナー補給するように制御しても良い。
【0081】
次に、CPU43は、処理を終了するか否か判断し(S24)、例えば連続印刷の場合等、処理を終了しないと判断した場合(S24において、NO)、ビデオ信号バッファA〜Cにバッファしたビデオ信号をクリアし、カウントA〜Cに保持した値をクリアして、S11の処理に戻り、後続の処理を続ける。
【0082】
なお、処理を終了すると判断した場合(S24において、YES)、ビデオ信号バッファA〜Cのビデオ信号をクリアし、カウントA〜Cの値をクリアして処理を終了する。
【0083】
上述したように、本実施形態では、分割された領域ごとに2次元トナー消費カウント技術によるトナー消費量及びトナー消費補正量が得られるため、1ページ分の静電潜像の形成完了を待つことなく、早期に精度良く、分割された領域ごとのトナー消費量を得ることが可能となる。
【0084】
<トナー消費量への変換方法>
次に、上述したビデオ信号バッファA〜Cに一次記憶されたビデオ信号のトナー消費量への変換方法の一例として、図6を用いて、計算対象とする印刷ドットのトナー消費量計算方法について説明する。
【0085】
図6は、周辺領域のドット連続性からトナー消費量を計算する方法を説明するための図である。図6の例では、例えば計算対象とする印刷ドットを中心として、予め3×3ドットの重みマトリクスを定義する。ここで、重みマトリクスは、計算対象とする印刷ドットの周辺領域の光ビームの重なり(ドットの連続性)によりトナー付着量に変動が生じるのを考慮し、予め対象とする印刷ドットの周辺領域のドットについて重み係数を設定したものである。なお、重み係数は、例えば使用する感光体やトナーの種類、機種等により異なる。
【0086】
計算対象の印刷ドットのトナー消費量を計算する場合には、重みマトリクスにより設定された重み係数と露光情報(露光の有無)を用いて、例えば重み係数と露光の有無の積の総和をトナー付着量(トナー消費量)とする。
【0087】
すなわち、計算対象の印刷ドット(重みマトリクスの中心位置にあるドット)のトナー消費量は、図6に示すように重みマトリクスで設定した周辺ドットの重み係数(重み(i,j):自然数)と露光(露光(i,j):露光あり「1」、露光なし「0」)の積の総和、マトリクス計算式(Σ(重み(i,j)×露光(i,j)))により算出することができる。
【0088】
本実施形態では、トナー消費量算出手段53及びトナー消費補正量算出手段54が、上述した重みマトリクスを用いた2次元トナー消費カウント技術によりトナー消費量を算出する。なお、例えばビデオ信号バッファA〜Cに一次的に記憶した印刷画像領域の領域端部を算出する場合には、領域外の周辺ドットは露光なし「0」として計算する。また、トナーが現像される量は、感光体14を露光する量に比例するが、あるレベルを超えると飽和する。
【0089】
したがって、予めマトリクス計算式により算出されたトナー消費量の値に、上限値を設けたり、一定量のオフセット値を設けたりすることにより、算出された対象の印刷ドットのトナー消費量に対して補正を行っても良い。なお、本実施形態におけるトナー消費量の計算手法については、これに限定されるものではない。
【0090】
<規定値ラインで分割される印刷画像領域について>
次に、図7を用いて、上述した図5に示す処理において印刷画像領域を分割した際に、ビデオ信号バッファA〜Cに一時記憶される印刷画像領域について説明する。図7は、図5の処理において分割される印刷画像領域を説明するための図である。
【0091】
図7に示すように、図5の処理では予め規定値ラインを設け、規定値ラインにより1ページの印刷画像領域を分割する。したがって、例えばビデオ信号バッファAには、1ページの印刷画像領域のうち、例えばA領域とする1ライン目(先頭)から規定値ライン目までのビデオ信号が一次記憶される。
【0092】
また、ビデオ信号バッファBには、1ページの印刷画像領域のうち、例えばB領域とする規定値ライン+1ライン目から最終ラインまでのビデオ信号が一次記憶される。
【0093】
また、ビデオ信号バッファCには、1ページ目の印刷画像領域のうち、例えばC領域とする規定値ラインと規定値+1ラインの2ライン分のビデオ信号を一次記憶される。このように、ビデオ信号バッファCには、A領域とB領域とに分割される境目領域(C領域)に含まれる2ライン分のビデオ信号が一次記憶される。
【0094】
すなわち、ビデオ信号バッファCには、ビデオ信号バッファAに記憶された規定値ライン目のビデオ信号に重複した信号と、ビデオ信号バッファBに記憶された規定値ライン+1ライン目の信号に重複した信号が記憶される。
【0095】
<規定値ラインで分割される各印刷画像領域のトナー消費量の算出方法について>
次に、図8〜図10を用いて、上述した図5の処理で1ページの印刷画像領域を分割した各印刷画像領域のトナー消費量の算出方法について説明する。図8は、1ページの印刷画像領域におけるA〜C領域を示す図である。また、図9は、1ページの印刷画像領域をA〜C領域に分割した状態を示す図である。また、図10は、分割したA〜C領域のトナー消費量を説明するための図である。
【0096】
図8に示す1ページの印刷画像領域は、例えば主走査方向に10ドット、副走査方向に20ドットの画像サイズにより構成されている。なお、各ドットには露光の有無(露光有り「●」、露光なし「○」)が示されている。
【0097】
図8に示すように、例えば1ページの印刷画像領域を2等分してトナー消費量を算出する場合には、A領域〜C領域の3領域を用いる。具体的には、A領域とB領域はそれぞれ1ページの印刷画像領域を2分割した領域とし、C領域は、A領域とB領域のそれぞれの境界領域が重複する領域(A領域とB領域の境界領域2ライン分の領域)とする。
【0098】
図8の例では、副走査方向10ライン目が規定値ラインとなる。したがって、A領域には副走査方向1ライン目から10ライン目(規定値ライン)までが含まれ、B領域には副走査方向11ライン目(規定値+1ライン)から20ライン目までが含まれ、C領域には副走査方向10ライン目(規定値ライン)と11ライン目(規定値+1ライン)とが含まれる。
【0099】
ここで、図9は、ビデオ信号バッファA〜Cがそれぞれ記憶している情報(A領域〜C領域のビデオ信号)を分離して示したものである。なお、図9の例では、A領域〜C領域の各領域端部を計算対象の印刷ドットとする場合を考慮して、例えば各領域端部の外周に露光なし領域を擬似的に付加した状態を示している。
【0100】
上述したように、各ドットのトナー消費量を計算する場合には、図6に示す計算対象の印刷ドットを中心とする3×3の重みマトリクスを用いるため、単に領域Aと領域Bに分割した領域から得られるトナー消費量には不足が生じることとなる。
【0101】
例えば、図10(A)は、ビデオ信号バッファAに含まれる副走査方向8ライン目から10ライン目を示しており、図10(B)は、ビデオ信号バッファBに含まれる副走査方向11ライン目から13ライン目を示している。
【0102】
図10(A)に示すように、例えば計算対象とする印刷ドット(10,3)は、10ライン目に含まれるドットであるが、ビデオ信号バッファAの情報には副走査方向11ライン目の情報(各ドットの重み係数と露光情報)が不足している。
【0103】
また、図10(B)に示すように、例えば計算対象とする印刷ドット(11,3)は、11ライン目に含まれるドットであるが、ビデオ信号バッファBの情報には副走査方向10ライン目の情報(各ドットの重み係数と露光情報)が不足している。
【0104】
したがって、単に分割された領域A及び領域Bのトナー消費量を算出する場合には、分割した領域の境目となるドット(図9の例では10ライン目及び11ライン目のドット)に対する周辺領域のドット連続性が考慮されないこととなる。
【0105】
そこで、分割した領域の境目領域のドット(図9の例では領域Cに相当する部分)のビデオ信号を記憶したビデオ信号バッファCを用いて、不足分をそれぞれ算出する。ビデオ信号バッファCには、ビデオ信号バッファA及びビデオ信号バッファBにおいてそれぞれ不足したライン分の重み係数と露光情報が含まれている。
【0106】
具体的には、トナー消費補正量算出手段54は、ビデオ信号バッファA及びビデオ信号バッファBの不足分を、ビデオ信号バッファCのトナー消費量=Σ(重み(i,j)×露光(i,j))−(Σ(重み(2,j)×露光(2,j))の式を用いてそれぞれ算出する。
【0107】
なお、この式の(Σ(重み(2,j)×露光(2,j))は、ビデオ信号バッファCの情報を用いて、ビデオ信号バッファA又はビデオ信号バッファBのトナー消費量を算出するにあたり、重複しているライン分の重み係数と露光情報を引くためのものである。
【0108】
上述した式を用いた場合、図10(C)に示すビデオ信号バッファAの10ライン目の不足分(すなわち11ライン目の情報)は、次のように算出する。
【0109】
図10(C)に示すように、計算対象の印刷ドット(10,3)の不足分は、副走査方向(1)の9ライン分(Σ(重み(1,j)×露光(1,j))+副走査方向(2)の10ライン分(Σ(重み(2,j)×露光(2,j))+副走査方向(3)の11ライン分(Σ(重み(3,j)×露光(3,j))−副走査方向(2)の10ライン分(Σ(重み(2,j)×露光(2,j))によって算出する。
【0110】
上述したように、図10(C)に示す副走査方向(2)の10ライン分は、既に計算対象の印刷ドット(10,3)を算出するにあたって、ビデオ信号バッファAにおいて算出済みのため減算する。図10(C)に示す副走査方向(1)の9ライン目分については、露光なし「0」として算出する(9ライン分は既にビデオ信号バッファAにおいて算出済み)。
【0111】
上述の結果、調査対象とする印刷ドット(10,3)の不足分として、図10(C)に示す副走査方向(3)の11ライン分(Σ(重み(3,j)×露光(3,j))(10ライン目に対する11ライン目の加算値分)が算出される。
【0112】
同様に、図10(D)に示すビデオ信号バッファBの11ライン目の不足分(すなわち10ライン目の情報)は、次のように算出する。
【0113】
図9(D)に示すように、計算対象の印刷ドット(11,3)の不足分は、副走査方向(1)の10ライン分(Σ(重み(1,j)×露光(1,j))+副走査方向(2)の11ライン分(Σ(重み(2,j)×露光(2,j))+副走査方向(3)の12ライン分(Σ(重み(3,j)×露光(3,j))−副走査方向(2)の11ライン分(Σ(重み(2,j)×露光(2,j))によって算出する。
【0114】
上述したように、図10(D)に示す副走査方向(2)の11ライン分は、既に計算対象の印刷ドット(11,3)を算出するにあたって、ビデオ信号バッファBにおいて算出済みのため減算する。また、図10(D)に示す副走査方向(3)の12ライン目分については、露光なし「0」として算出する(12ライン分は既にビデオ信号バッファBにおいて算出済み)。
【0115】
上述の結果、調査対象とする印刷ドット(11,3)の不足分として、図10(D)に示す副走査方向(1)の10ライン分(Σ(重み(1,j)×露光(1,j))(すなわち11ライン目に対する10ライン目の加算値分)が算出される。
【0116】
上述したように、ビデオ信号バッファA又はビデオ信号バッファBにおけるトナー消費量は、Σ(重み(i,j)×露光(i,j))により算出し、ビデオ信号バッファCにおけるトナー消費量は、ラインごとにΣ(重み(i,j)×露光(i,j))−(Σ(重み(2,j)×露光(2,j))を用いて算出する。
【0117】
<所定ライン数ごとに分割される印刷画像領域について>
次に、図11を用いて、所定ライン数ごとに印刷画像領域を分割した際に、ビデオ信号バッファA〜Cに一次記憶される印刷画像領域について説明する。図11は、所定ライン数ごとに分割される印刷画像領域を説明するための図である。
【0118】
なお、図11の例では、例えばトナー残量センサ等により検知されたトナー残量レベルやコントローラ部30から取得した印刷データに含まれる画像サイズ(A4、B4、長尺等)等に基づいて、分割ライン判定手段51により1ページの印刷画像領域を分割する所定ライン数が決定される。
【0119】
これにより、RAM42に記録されるトナー消費量の更新周期を自由に決めることが可能となり、分割数を大きくするほど、ビデオ信号バッファA及びBに蓄積するメモリ量を小さくすることが可能となる。
【0120】
図11に示すように、所定ライン数ごとに分割される印刷画像領域を用いる場合には、1ページの総ライン数を所定ライン数ごとに分割し、分割した所定ライン数ごとに、ビデオ信号バッファAとビデオ信号バッファBに交互に一次記憶させる。例えば、ビデオ信号バッファAには、1ライン目からMod(入力ライン数、分割ライン周期)=0までのビデオ信号が記憶される。なお、「Mod(入力ライン数、分割ライン周期)=0」とは、入力ライン数を分割ライン数で除算したときの余りが0であることを意味する。
【0121】
また、ビデオ信号Bには、Mod(入力ライン数、分割ライン周期)=分割ライン周期+1からMod(入力ライン数、分割ライン周期×2)=0までのビデオ信号が記憶される。このように、ビデオ信号バッファAとビデオ信号バッファBには、所定ライン数ごとに分割した領域の信号がそれぞれ交互に記憶される。
【0122】
また、ビデオ信号バッファCには、ビデオ信号バッファAとビデオ信号バッファBとに交互に記憶されていく際、その境界領域の2ライン分のビデオ信号が記憶される。
【0123】
<所定ライン数ごとに分割される印刷画像領域のトナー消費量カウント処理について>
次に、図12を用いて、図11に示す所定ライン数ごとに分割される印刷画像領域について、カウンタA〜Cによりカウントされるトナー消費量カウント処理の流れを説明する。図12は、所定ライン数ごとに分割される印刷画像領域のトナー消費量カウント処理の流れを示すフローチャートである。
【0124】
なお、図12の例では、1ページ単位のトナー消費量カウント処理について説明し、連続印刷の場合は本処理を1ページ単位で繰り返し実施しても良い。
【0125】
図12に示すように、画像ライン検知手段50は、コントローラ部30から出力されたビデオ信号が入力したか否か判断する(S30)。ビデオ信号が入力したと判断すると(S30において、YES)、分割ライン判定手段51は、1ページの印刷画像領域を何ライン周期で分割するか、印刷画像領域を分割する基準となる所定ライン数を決定する(S31)。
【0126】
ここで、分割ライン判定手段51は、例えば装置の状況に応じて分割ラインとしての所定ライン数をを判定する。具体的には、分割ライン判定手段51は、予め規定した所定ライン数を周期としても良く、トナー残量センサ等により検知されたトナー残量レベル(ニアエンド等)やコントローラ部30から取得した印刷データに含まれる画像サイズ(例えばA4、B4、長尺等)等の状況に応じて所定ライン数を決定しても良い。
【0127】
なお、ビデオ信号が入力していないと判断した場合(S30において、NO)、ビデオ信号の入力まで待機する。
【0128】
次に、画像ライン検知手段50は、入力されるビデオ信号のライン数のカウントを開始し(S32)、入力ライン数が1ページ分の総ライン数に達したか否か判断する(S33)。1ページ分のライン数に達していないと判断した場合(S33において、NO)、切替スイッチAをONし(S34)、ビデオ信号バッファAへの蓄積を開始する。なお、1ページ分のライン数に達していると判断した場合(S33において、YES)、処理を終了する。
【0129】
次に、ドット配列分割手段52は、入力ライン数がMod(入力ライン数、分割ライン周期(所定ライン数))=0か否か判断し(S35)、入力ライン数がMod(入力ライン数、分割ライン周期)=0であると判断した場合(S35において、YES)、Mod(入力ライン数、分割ライン周期)=0と判断された入力ラインのビデオ信号をビデオ信号バッファAに出力した後、切替スイッチAをOFFし、切替スイッチBをONにし(S36)、ビデオ信号のビデオ信号バッファBへの蓄積を開始する。
【0130】
このようにして、ビデオ信号バッファAに1ページ目の印刷画像の1ライン目(先頭)からMod(入力ライン数、分割ライン周期)=0までのビデオ信号を一次記憶する。トナー消費量変換部Aは、一次記憶したビデオ信号をトナー消費量に変換し、カウンタAにはビデオ信号バッファAに一次記憶されたビデオ信号のトナー消費量が積算される(S37)。なお、S37の処理の後、積算された値をRAM42に記録し、トナー補給制御手段55により、積算された値に基づきトナー補給を行っても良い。
【0131】
次に、ビデオ信号バッファAをクリアし、カウンタAをクリアする(S38)。S35の処理において、Mod(入力ライン数、分割ライン周期)=0でないと判断した場合(S35において、NO)、入力ライン数がカウントされ、Mod(入力ライン数、分割ライン周期)=0になるまで待機する(後述の処理は行わない)。
【0132】
次に、ドット配列分割手段52は、入力ライン数がMod(入力ライン数、分割ライン周期×2)=0か否か判断し(S39)、入力ライン数がMod(入力ライン数、分割ライン周期×2)=0であると判断した場合(S39において、YES)、Mod(入力ライン数、分割ライン周期×2)=0と判断された入力ラインのビデオ信号をビデオ信号バッファBに出力した後、切替スイッチBをOFFする(S40)。
【0133】
このようにして、ビデオ信号バッファBに1ページ目の印刷画像のMod(入力ライン数、分割ライン周期)=分割ライン周期+1ライン目からMod(入力ライン数、分割ライン周期×2)=0までのビデオ信号を一次記憶する。トナー消費量変換部Bは、一次記憶したビデオ信号をトナー消費量に変換し、カウンタBにはビデオ信号バッファBに一次記憶されたビデオ信号のトナー消費量が積算される(S41)。なお、S41の処理の後、積算された値をRAM42に記録し、トナー補給制御手段55により、積算された値に基づきトナー補給を行っても良い。
【0134】
次に、ビデオ信号バッファBをクリアし、カウンタBをクリアし(S42)、S33の処理に戻る。
【0135】
つまり、S33〜S42の処理では、1ページの分割された領域のうち、奇数部分の領域と偶数部分の領域とをそれぞれビデオ信号バッファA及びビデオ信号バッファBに交互に割り当て、それぞれのトナー消費量を算出し、カウンタA及びBで積算する。ここで、トナー消費量を精度良く検知するためには、分割した境界領域におけるトナー消費量算出処理が必要となるため、ビデオ信号バッファC及びカウンタCを用いた処理を、上述したS33〜S42の処理と並列して行う。
【0136】
具体的には、図12に示すように、S32の処理でライン数のカウントを開始しながら、ドット配列分割手段52は、入力ライン数がMod(入力ライン数、分割ライン周期(所定ライン数))=分割ライン周期−1か否か判断する(S43)。
【0137】
ドット配列分割手段52は、入力ライン数が分割周期−1であると判断した場合(S43において、YES)、切替スイッチCをONとし(S44)、分割ライン周期−1と判断した入力ラインのビデオ信号についてビデオ信号バッファCへの蓄積を開始する。なお、入力ライン数が、分割周期−1でないと判断した場合(S43において、NO)、S43の処理に戻り、入力ライン数が分割周期−1になるまで待機する。
【0138】
次に、ドット配列分割手段52は、入力ライン数がMod(入力ライン数、分割ライン周期(所定ライン数))=分割ライン周期+1か否か判断する(S45)。ドット配列分割手段52は、入力ライン数が分割周期+1であると判断した場合(S45において、YES)、分割周期+1ラインと判断した入力ラインのビデオ信号をビデオ信号バッファCに出力した後、切替スイッチCをOFFする(S46)。
【0139】
このようにして、ビデオ信号バッファCに1ページ目の印刷画像のMod(入力ライン数、分割ライン周期)=分割ライン周期−1と、Mod(入力ライン数、分割ライン周期)=分割ライン周期+1のビデオ信号を一次記憶する。トナー消費量変換部Cは、一次記憶したビデオ信号をトナー消費量に変換し、カウンタCにビデオバッファCに一次記憶されたビデオ信号のトナー消費量が積算される(S47)。
【0140】
次に、ビデオ信号バッファCをクリアし、カウンタCをクリアし(S48)、S43の処理に戻る。
【0141】
なお、入力ライン数が、分割周期+1でないと判断した場合(S45において、NO)、S37の処理に戻り、入力ライン数が分割周期+1になるまで待機する。
【0142】
このように、図12の処理では、カウンタA、Bにおけるカウントと並列にカウンタCにおけるカウントを行うことで、トナー消費量を精度良く取得することが可能となる。また、トナー残量レベルや画像サイズ等の状況に応じて領域を分割し、自由にトナー消費量を算出する周期を決定することが可能となる。
【0143】
上述したように、本発明の実施形態によれば、トナー消費量を精度良く、早期に検知することを可能とする。すなわち、分割された領域ごとに2次元トナー消費カウント技術によるトナー消費量及びトナー消費補正量が得られるため、1ページ分の静電潜像の形成完了を待つことなく、早期に精度良く、分割された領域ごとのトナー消費量を得ることが可能となる。
【0144】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0145】
1 画像形成装置
2 現像ユニット
3 トナーカートリッジ
4 中間転写ベルト
5 2次転写駆動ローラ
6 転写ベルトテンションローラ
7 一次転写ローラ
8 給紙トレイ
9 給紙ローラ
10 レジストローラ
11 二次転写ローラ
12 定着器
13 排紙ローラ
14 感光体
15 帯電器
16 露光器
17 現像器
18 クリーナーブレード
21 廃トナーボックス
30 コントローラ部
31 表示部
32 I/F部
33 画像メモリ
35 色変換部
36 階調補正部
37 パルス変調部
34,43 CPU
40 エンジン部
41 ROM
42 RAM
44 その他I/O部
50 画像ライン検知手段
51 分割ライン判定手段
52 ドット配列分割手段
53 トナー消費量算出手段
54 トナー消費補正量算出手段
55 トナー補給制御手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0146】
【特許文献1】特開2009−300832号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、トナー消費量算出方法、及びトナー消費量算出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、例えば電子写真方式の画像形成装置において、トナー容器から現像器内へトナーを補給することにより現像器内のトナー量を一定に保つことが行われている。現像器内のトナー量を一定に保つためには、現像器内のトナー消費量を精度良く検知してトナーを補給する必要がある。
【0003】
この現像器内のトナー消費量を検知する方法としては、注目画素に対する主走査方向及び副走査方向の印刷ドットの連続性を考慮し、トナー消費量を算出する2次元トナー消費量カウント方法が知られている。しかしながら、このような印刷ドットの連続性を考慮するには、1ページ分の静電潜像を形成した後でなければ、トナー消費量を検知することができなかった。したがって、高印字率や長尺の印刷の場合には、1ページ分の静電潜像を形成している際に、現像器内のトナー量が急激に低下し、トナー補給不足が生じる場合があった。
【0004】
なお、上述した1ページ分の静電潜像の完了を待たずに、分割した画像領域ごとに画像情報信号をカウントして、カウント値からトナー消費量を予測する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示す手法では、単に画像領域を分割して、分割した画像領域ごとに画像情報信号をカウントしているため、そのカウント値には、例えば分割した画像領域における境目のドットに対する周辺領域のドット連続性が考慮されていない。そのため、特許文献1に示す手法は、分割した画像領域ごとに、トナー消費量を早期に検知できる一方、分割した画像領域ごとのトナー消費量を精度良く検知することができないという問題が生じた。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、トナー消費量を精度良く、早期に検知する画像形成装置、及びトナー消費量算出方法、及びトナー消費量算出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、入力された印刷データに対応する印刷ドット配列に基づいてトナー消費量を算出する画像形成装置であって、前記印刷ドット配列の入力ライン数をカウントする画像ライン検知手段と、前記画像ライン検知手段により得られるライン数と予め設定された分割ラインとに基づいて前記印刷ドット配列を分割するドット配列分割手段と、前記ドット配列分割手段により分割された印刷ドット配列を用いてトナー消費量を算出するトナー消費量算出手段と、前記分割された印刷ドット配列の境界領域に対応する印刷ドット配列を用いてトナー消費補正量を算出するトナー消費補正量算出手段とを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、入力された印刷データに対応する印刷ドット配列に基づいてトナー消費量を算出し、算出されたトナー消費量を算出する画像形成装置におけるトナー消費量算出方法であって、前記印刷ドット配列の入力ライン数をカウントする画像ライン検知手順と、前記画像ライン検知手順により得られるライン数と予め設定された分割ラインとに基づいて前記印刷ドット配列を分割するドット配列分割手順と、前記ドット配列分割手順により分割された印刷ドット配列を用いてトナー消費量を算出するトナー消費量算出手順と、前記分割された印刷ドット配列の境界領域に対応する印刷ドット配列を用いてトナー消費補正量を算出するトナー消費補正量算出手順とを有することを特徴とするトナー消費量算出方法。
【0009】
また、本発明は、コンピュータを、上述した画像形成装置が有する各手段として機能させるためのトナー消費量算出プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、トナー消費量を精度良く、早期に検知することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図2】本実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】エンジン部が有するCPUの機能ブロックの一例を示す図である。
【図4】本実施形態に係る画像形成装置の機能ブロックの一例を示す図である。
【図5】トナー消費量カウント処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】周辺領域のドット連続性からトナー付着量を計算する方法を説明するための図である。
【図7】図5の処理において分割される印刷画像領域を説明するための図である。
【図8】1ページの印刷画像領域におけるA〜C領域を示す図である。
【図9】1ページの印刷画像領域をA〜C領域に分割した状態を示す図である。
【図10】分割したA〜C領域のトナー消費量を説明するための図である。
【図11】所定ライン数ごとに分割される印刷画像領域を説明するための図である。
【図12】所定ライン数ごとに分割される印刷画像領域のトナー消費量カウント処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
<画像形成装置の概略図>
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略図である。図1に示すように画像形成装置1は、画像形成部としての現像ユニット2と、トナーカートリッジ3と、中間転写ベルト4と、2次転写駆動ローラ5と、転写ベルトテンションローラ6と、一次転写ローラ7と、給紙トレイ8と、給紙ローラ9と、レジストローラ10と、二次転写ローラ11と、定着器12と、排紙ローラ13とを有するように構成される。
【0014】
現像ユニット2は、現像ユニット2A〜2Dを有し、例えばブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)等のトナーの色ごとに設けられ、それぞれの現像ユニット2A〜2Dにおいて各トナー画像を形成する。
【0015】
現像ユニット2A〜2Dは、それぞれ感光体14と、帯電器15と、現像器17と、クリーナーブレード18とを有するように構成され、感光体14の周囲に、帯電器15と、現像器17と、クリーナーブレード18とが配置される。なお、現像ユニット2A〜2Dの内部構成は共通である。また、露光器16は、現像ユニット2A〜2Dが形成する画像色に対応するレーザ光19を感光体14上に照射するように構成される。
【0016】
トナーカートリッジ3は、トナーカートリッジ3A〜3Dを有し、例えばブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のトナー色ごとに設けられる。
【0017】
中間転写ベルト4は、回転駆動する2次転写駆動ローラ5と、転写ベルトテンションローラ6とにより巻回されたエンドレス(無端状)ベルトである。一次転写ローラ7は、一次転写ローラ7A〜7Dを有し、感光体14A〜14Dに形成されたトナー画像を中間転写ベルト4に転写する。
【0018】
給紙トレイ8は、用紙20を積載する。用紙20は、給紙ローラ9とレジストローラ10とにより搬送され、二次転写ローラ11は、転写ベルト4に形成された画像を用紙20に転写する。定着器12は、用紙20に転写された画像を定着させる。なお、排紙ローラ13には、用紙20が通紙したことを検知する排紙センサが近接している。また、廃トナーボックス21が設けられ、転写ベルト4に形成されたトナーパターンや、用紙20に転写されずに残ったトナーを回収する。
【0019】
次に、上述した画像形成装置1の一般的な動作について説明する。画像形成装置1は、画像を形成するに際し、例えば感光体14Aの外周面を帯電器15Aにより一様に帯電した後、露光器16Aから照射したレーザ光19Aにより露光して静電潜像を形成する。現像器17Aは、トナーにより静電潜像を可視像化して、感光体14A上にトナー画像を形成する。
【0020】
感光体14A上のトナー画像は、感光体14Aと転写ベルト4とが接する位置(一次転写位置)で、一次転写ローラ7Aにより転写ベルト4上に転写され、転写ベルト4上にはトナー画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体14Aは、外周面に残留した不要なトナーがクリーニングブレード18により払拭され、次の画像形成のために待機する。
【0021】
現像ユニット2Aによりトナー画像が転写された転写ベルト4は、次の現像ユニット2Bに搬送される。現像ユニット2Bでは、現像ユニット2Aと同様の画像形成プロセスを経てトナー画像が形成され、転写ベルト4上に形成されたトナー画像に重畳されて転写される。
【0022】
転写ベルト4は、更に次の現像ユニット2C、2Dに搬送され、同様の動作によりトナー画像が転写され、転写ベルト4上にはフルカラートナー重ね画像が形成される。フルカラーの重ね画像が形成された転写ベルト4は、二次転写ローラ11の位置まで搬送される。
【0023】
給紙トレイ8に収納された用紙20は、給紙ローラ9により順次送りだされ、レジストローラ10により所定のタイミングで送りだされ、二次転写ローラ11上で転写ベルト4のトナー画像が用紙20に転写される。
【0024】
定着器12は、用紙20上のトナー画像を熱及び圧力により定着し、用紙20は、排紙ローラ13により外部に排紙される。
【0025】
なお、現像ユニット2A〜2Dには、それぞれトナーの残量を検知するトナー残量センサが設けられ、トナー残量センサは、現像ユニット2A〜2D内のトナー残量を検知する。検知されたトナー残量に基づいて、現像ユニット2A〜2Dには、トナーカートリッジ3A〜3Dからそれぞれトナーが供給される。
【0026】
<画像形成装置のハードウェア構成>
次に、図2を用いて、上述した画像形成装置1のハードウェア構成について説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0027】
図2に示すように、画像形成装置1は、コントローラ部30と、エンジン部40とを有するように構成される。また、コントローラ部30には、表示部31が接続される。
【0028】
コントローラ部30は、I/F部32と、画像メモリ部33と、CPU(Central Processing Unit)34とを有するように構成される。
【0029】
I/F部32は、例えばホストコンピュータ等の外部装置とのデータの送受信を可能とするインターフェースであり、例えば外部装置等から印刷データとしての画像信号を取得する。
【0030】
画像メモリ部33は、例えばI/F部32を介して、上述した外部装置等から取得した画像信号を記憶する。
【0031】
CPU34は、コントローラ部30の構成部全体を制御する。また、CPU34は、例えば表示部31から取得したユーザの指示内容に応じて、画像信号に対応する画像を形成するようエンジン部40に指示する。
【0032】
ここで、コントローラ部30のCPU34と接続される表示部31は、例えば液晶ディスプレイ等からなる。表示部31は、CPU34からの制御指令に応じて、ユーザへの操作案内や画像形成動作の進行状況を表示したり、装置の異常発生やトナーカートリッジ等のユニットの交換時期等を知らせる所定のメッセージを表示したりする。また、表示部31は、ユーザからの画像形成に関する指示等を受け付ける。
【0033】
エンジン部40は、ROM(Read Only Memory)41と、RAM(Random Access Memory)42と、CPU43と、現像ユニット2と、トナーカートリッジ3と、露光器16と、定着器12と、その他I/O部44とを有するように構成される。エンジン部40は、CPU34からの制御指令に応じて各種エンジンユニットを制御し、コントローラ部30から取得した画像信号に対応する画像を用紙20に形成する。
【0034】
ROM41は、CPU43が実行する演算プログラムや各種エンジンユニットを制御するための各種データ等を記憶する。
【0035】
RAM42は、CPU43における演算結果やその他のデータ等を一次的に記憶する。
【0036】
CPU43は、エンジン部40の各構成部全体を制御する。CPU43は、例えば現像ユニット2と、トナーカートリッジ3と、露光器16と、定着器12等を制御して画像を形成する。また、CPU43は、その他I/O部44と接続されたセンサ、モータ、クラッチ等の電装品の入出力を制御する。
【0037】
その他I/F部44は、エンジン部40との間で制御情報又はデータ自体の入出力を行う1又は複数のデバイス等を総称したものである。具体的には、その他I/O部44は、現像ユニット2、トナーカートリッジ3、露光器16、及び定着器12以外のセンサ、モータ、クラッチ等の画像形成時に必要なデバイスと接続されている。
【0038】
上述したように、本実施形態では、エンジン部40のCPU43により画像形成装置1の画像形成に係る制御が行われる。
【0039】
<エンジン部40が有するCPU43の機能構成>
次に、図3を用いて、上述したエンジン部40が有するCPU43の各機能について説明する。図3は、エンジン部が有するCPUの機能ブロックの一例を示す図である。
【0040】
図3に示すように、CPU43は、画像ライン検知手段50と、分割ライン判定手段51と、ドット配列分割手段52と、トナー消費量算出手段53と、トナー消費補正量算出手段54と、トナー補給制御手段55とを有するように構成される。
【0041】
画像ライン検知手段50は、コントローラ30から1ラインごとに入力される印刷データに対応する印刷ドット配列の入力ライン数をカウントする。
【0042】
分割ライン判定手段51は、例えば規定値又は所定条件等を用いて、印刷ドット配列を分割するための分割ラインを判定する。分割ライン判定手段51は、例えば所定条件として、上述したトナー残量センサにより検知された現像ユニット2A〜2Dのトナー残量レベル又はコントローラ部30から取得した印刷データに含まれる画像サイズ(例えばA4、長尺等)の一方又は両方を用いて分割ラインを判定する。
【0043】
ドット配列分割手段52は、画像ライン検知手段50により得られるライン数と予め設定された分割ラインとに基づいて印刷ドット配列を分割する。なお、分割ラインは、分割ライン判定手段51等により設定することができる。
【0044】
トナー消費量算出手段53は、ドット配列分割手段52により分割された印刷ドット配列を用いてトナー消費量を算出する。例えば、トナー消費量算出手段53は、分割された印刷ドット配列のうち、対象とする印刷ドットのトナー消費量を、印刷ドットを中心として設定された重みマトリクスの合計値により算出する。なお、重みマトリクス及びトナー消費量の算出方法については後述する。
【0045】
トナー消費補正量算出手段54は、ドット配列分割手段52により分割された印刷ドット配列の境界領域に対応する印刷ドット配列を用いてトナー消費補正量を算出する。トナー消費補正量は、例えば分割された印刷ドット配列からトナー消費量算出手段53により算出されたトナー消費量の不足分を補正する補正量として用いられる。
【0046】
例えば、トナー消費補正量算出手段54は、上述した境界領域に対応する印刷ドット配列のうち、対象とする印刷ドットのトナー消費量を、重みマトリクスの合計値から対象とする印刷ドットの重みを減算して算出する。なお、トナー消費補正量の算出方法については後述する。
【0047】
トナー補給制御手段55は、トナー消費量算出手段53により得られるトナー消費量と、トナー消費補正量算出手段54により得られるトナー消費補正量とに基づいてトナー補給制御を行う。
【0048】
<画像形成装置の機能ブロック>
次に、図4を用いて、上述した画像形成装置1の機能ブロック例について説明する。図4は、本実施形態に係る画像形成装置の機能ブロックの一例を示す図である。なお、図4に示すコントローラ部30及びエンジン部40は、本実施形態のトナー消費量算出に係る主な機能を概略的に示している。
【0049】
図4に示すように、コントローラ部30は、I/F部32と、色変換部35と、階調補正部36と、パルス変調部37とを有するように構成される。なお、色変換部35、階調補正部36、及びパルス変調部37は、CPU34により制御される機能である。
【0050】
色変換部35は、例えば画像形成出力を指示するホストコンピュータ50から、I/F部32を介して印刷データとしての画像信号を取得すると、取得した画像信号に対応する画像内の各画素のRGB成分階調レベルを示すRGB階調データを、CMYK成分階調レベルを示すCMYK階調データへ変換する。
【0051】
階調補正部36は、色変換部35から取得したCMYK階調データに対してエンジン部40のγ特性変化補正、誤差拡散法、ディザ法等のハーフトーン処理を施して、ハーフトーンCMYK階調データに変換する。なお、ハーフトーンCMYK階調データは、各画素に付着させるべきCMYK各色のトナードットのサイズ及びその配列信号を示す。
【0052】
パルス変調部37は、階調補正部36から取得したハーフトーンCMYK階調データを用いて、感光体14上の露光のON/OFF状態、即ち、感光体14上の印刷ドット配列を示す2値データのビデオ信号を作成して、エンジン部40へ1ライン単位で順次出力する。
【0053】
また、図4に示すように、エンジン部40のCPU43は、切替スイッチA〜Cと、ビデオ信号バッファA〜Cと、トナー消費量変換部A〜Cと、カウンタA〜Cとを有し、これらの構成を用いて、上述した画像ライン検知手段50と、分割ライン判定手段51と、ドット配列分割手段52と、トナー消費量算出手段53と、トナー消費補正量算出手段54とを機能させるための制御を行う。
【0054】
切替スイッチA〜Cは、それぞれのスイッチのON/OFFを切り替えて、コントローラ部30のパルス変調部37から1ライン単位で取得した印刷ドット配列を示すビデオ信号を、ビデオ信号バッファA〜Cの少なくとも1つに振り分ける。なお、切替スイッチA〜CにおけるそれぞれのスイッチのON/OFF切り替えは、例えばドット配列分割手段52等により、入力されるラインごとに行うことが可能である。
【0055】
ビデオ信号バッファA〜Cは、切替スイッチA〜Cにより振り分けられたビデオ信号を一時的に記憶する。
【0056】
トナー付着量変換部A〜Cは、ビデオ信号バッファA〜Cに蓄積されたビデオ信号に基づき、計算対象とする印刷ドットについて、その印刷ドットを中心とした主走査方向及び副走査方向の周辺領域のドット連続性からトナー付着量に変換する。なお、トナー付着量変換部A及びBは、例えば図3に示すトナー消費量算出手段53に相当し、トナー付着量変換部Cは、例えば図3に示すトナー消費補正量算出手段54に相当する。
【0057】
カウンタA〜カウンタCは、トナー付着量変換部A〜Cから取得したトナー付着量を積算する。このように、カウンタA〜カウンタCには、ビデオ信号バッファA〜Cに記憶されたビデオ信号の2次元カウント技術に基づきカウントされたトナー消費量が保持される。
【0058】
<トナー消費量カウント処理について>
次に、図5を用いて、上述したカウンタA〜カウンタCによりカウントされるトナー消費量カウント処理の流れについて説明する。図5は、トナー消費量カウント処理の流れを示すフローチャートである。
【0059】
なお、図5の例では、1ページ単位のトナー消費量カウント処理について説明し、連続印刷の場合は本処理を1ページ単位で繰り返し実施するものとする。また、図5の例では、1ページを2等分してトナー消費量をカウントするものである。
【0060】
図5に示すように、画像ライン検知手段50は、コントローラ部30から出力されたビデオ信号が入力したか否か判断し(S10)、ビデオ信号が入力したと判断すると(S10において、YES)、入力されるビデオ信号のライン数のカウントを開始する(S11)。
【0061】
次に、切替スイッチAをON(接続状態)とし(S12)、ビデオ信号のビデオ信号バッファAへの蓄積を開始する。なお、画像ライン検知手段50は、ビデオ信号が入力していないと判断した場合(S10において、NO)には、S10の処理を続ける。
【0062】
ドット配列分割手段52は、画像ライン検知手段50によりカウントされる入力ライン数が規定値−1(規定値−1=入力ライン数)か否か判断する(S13)。
【0063】
ドット配列分割手段52は、入力ライン数が規定値−1であると判断した場合(S13において、YES)、切替スイッチCをONとし(S14)、ビデオ信号のビデオ信号バッファCへの蓄積を開始する。このとき、ビデオ信号のビデオ信号バッファAへの蓄積も継続して行われる。したがって、この場合には、切替スイッチA及びCがONの状態となり、コントローラ部30から取得したビデオ信号はビデオ信号バッファA及びCに出力され蓄積される。
【0064】
なお、入力ライン数が規定値−1でないと判断した場合(S13において、NO)、S13の処理に戻り、入力ライン数が規定値−1になるまで待機する。
【0065】
ここで、「規定値」とは、例えば1ページの印刷データに対応する印刷ドット配列を分割するための基準となる分割ラインを示し、予め固定値等が設定されていても良く、また分割ライン判定手段51により任意に設定されても良い。図5の例のように、1ページを2分割の領域に分ける場合、「規定値」は、1ページの総ライン数に1/2を乗じた値となる。また、「規定値−1」とは、1ページの総ライン数に1/2を乗じた値から1ライン減算した値(総ライン数に1/2乗じた値よりも1ライン前の値)を示す。
【0066】
次に、ドット配列分割手段52は、画像ライン検知手段50によりカウントされる入力ライン数が規定値(規定値=入力ライン数)か否か判断する(S15)。
【0067】
ドット配列分割手段52は、入力ライン数が規定値であると判断した場合(S15において、YES)、規定値と判断された入力ライン(規定値ライン)のビデオ信号をビデオ信号バッファAに出力した後、切替スイッチAをOFF(開放状態)とし、切替スイッチBをONとする(S16)。ここでは、規定値ラインのビデオ信号のビデオ信号バッファCへの出力も継続して行われ、コントローラ部30から取得したビデオ信号は、ビデオ信号バッファA及びCに蓄積される。
【0068】
なお、入力ライン数が規定値でないと判断した場合(S15において、NO)、S15の処理に戻り、入力ライン数が規定値になるまで待機する。
【0069】
このようにして、ビデオ信号バッファAに1ページ目の印刷画像の1ライン目(先頭)から規定値ライン目までのビデオ信号を一次記憶する。トナー消費量変換部Aは、一次記憶したビデオ信号をトナー消費量に変換し、カウンタAにはビデオ信号バッファAに一次記憶されたビデオ信号のトナー消費量が積算される(S17)。
【0070】
なお、カウンタAにトナー消費量が積算されると、積算された値をRAM42に記録する。これにより、1ページの静電潜像形成中のトナー消費量を更新していくことが可能となる。また、トナー補給制御手段55は、カウンタAに積算された値に基づき、トナーカートリッジ3から現像ユニット2にトナー補給するように制御しても良い。
【0071】
次に、ドット配列分割手段52は、入力ライン数が予め設定した規定値+1(規定値+1=入力ライン数)か否か判断する(S18)。ここで、「規定値+1」とは、1ページの総ライン数に1/2を乗じた値に1ライン加算した値(総ライン数に1/2乗じた値よりも1ライン後の値)を示す。
【0072】
ドット配列分割手段52は、入力ライン数が規定値+1であると判断した場合(S18において、YES)、規定値+1と判断された入力ライン(規定値+1ライン)のビデオ信号をビデオ信号バッファCに出力した後、入力切替スイッチCをOFFとする(S19)。ここでは、規定値+1ラインのビデオ信号のビデオ信号バッファBへの出力も継続して行われ、コントローラ部30から取得したビデオ信号は、ビデオ信号バッファB及びCに蓄積される。
【0073】
なお、入力ライン数が規定値+1でないと判断した場合(S18において、NO)、S18の処理に戻り、入力ライン数が規定値+1になるまで待機する。
【0074】
このようにして、ビデオ信号バッファCに1ページ目の印刷画像の規定値ラインと規定値+1ラインの2ライン分のビデオ信号を一次記憶する。トナー消費量変換部Cは、一次記憶したビデオ信号をトナー消費量に変換し、カウンタCにはビデオ信号バッファCに一次記憶されたビデオ信号のトナー消費量が積算される(S20)。
【0075】
なお、カウンタCにトナー消費量が積算されると、積算された値をRAM42に記録する。これにより、1ページの静電潜像形成中のトナー消費量を更新していくことが可能となる。また、トナー補給制御手段55は、カウンタCに積算された値に基づき、トナーカートリッジ3から現像ユニット2にトナー補給するように制御しても良い。
【0076】
本実施形態では、カウンタCに積算された値が、カウンタA及びカウンタBにおいてそれぞれ不足するトナー消費量の不足分を補正する補正量として用いられる。
【0077】
次に、ドット配列分割手段52は、入力ライン数が1ページ分の総ライン数(総ライン数=入力ライン数)か否か判断する(S21)。なお、入力ライン数が総ライン数でないと判断した場合(S21において、NO)、S21の処理に戻り、入力ライン数が総ライン数になるまで待機する。
【0078】
ドット配列分割手段52は、入力ライン数が総ライン数(1ページの最終ライン)であると判断した場合(S21において、YES)、最終ラインと判断された入力ラインのビデオ信号をビデオ信号バッファBに出力した後、切替スイッチBをOFFする(S22)。ここで、コントローラ部30から取得したビデオ信号は、ビデオ信号バッファBに蓄積される。
【0079】
このようにして、ビデオ信号バッファBに1ページ目の印刷画像の規定値+1ラインから最終ラインまでのビデオ信号を一次記憶する。トナー消費量変換部Bは、一次記憶したビデオ信号をトナー消費量に変換し、カウントBにはビデオ信号バッファBに一次記憶されたビデオ信号のトナー消費量が積算される(S23)。
【0080】
なお、カウンタBにトナー消費量が積算されると、積算された値をRAM42に記録する。これにより、エンジン部40において1ページ分のトナー消費量が確定される。また、トナー補給制御手段55は、カウンタBに積算された値に基づき、トナーカートリッジ3から現像ユニット2にトナー補給するように制御しても良い。
【0081】
次に、CPU43は、処理を終了するか否か判断し(S24)、例えば連続印刷の場合等、処理を終了しないと判断した場合(S24において、NO)、ビデオ信号バッファA〜Cにバッファしたビデオ信号をクリアし、カウントA〜Cに保持した値をクリアして、S11の処理に戻り、後続の処理を続ける。
【0082】
なお、処理を終了すると判断した場合(S24において、YES)、ビデオ信号バッファA〜Cのビデオ信号をクリアし、カウントA〜Cの値をクリアして処理を終了する。
【0083】
上述したように、本実施形態では、分割された領域ごとに2次元トナー消費カウント技術によるトナー消費量及びトナー消費補正量が得られるため、1ページ分の静電潜像の形成完了を待つことなく、早期に精度良く、分割された領域ごとのトナー消費量を得ることが可能となる。
【0084】
<トナー消費量への変換方法>
次に、上述したビデオ信号バッファA〜Cに一次記憶されたビデオ信号のトナー消費量への変換方法の一例として、図6を用いて、計算対象とする印刷ドットのトナー消費量計算方法について説明する。
【0085】
図6は、周辺領域のドット連続性からトナー消費量を計算する方法を説明するための図である。図6の例では、例えば計算対象とする印刷ドットを中心として、予め3×3ドットの重みマトリクスを定義する。ここで、重みマトリクスは、計算対象とする印刷ドットの周辺領域の光ビームの重なり(ドットの連続性)によりトナー付着量に変動が生じるのを考慮し、予め対象とする印刷ドットの周辺領域のドットについて重み係数を設定したものである。なお、重み係数は、例えば使用する感光体やトナーの種類、機種等により異なる。
【0086】
計算対象の印刷ドットのトナー消費量を計算する場合には、重みマトリクスにより設定された重み係数と露光情報(露光の有無)を用いて、例えば重み係数と露光の有無の積の総和をトナー付着量(トナー消費量)とする。
【0087】
すなわち、計算対象の印刷ドット(重みマトリクスの中心位置にあるドット)のトナー消費量は、図6に示すように重みマトリクスで設定した周辺ドットの重み係数(重み(i,j):自然数)と露光(露光(i,j):露光あり「1」、露光なし「0」)の積の総和、マトリクス計算式(Σ(重み(i,j)×露光(i,j)))により算出することができる。
【0088】
本実施形態では、トナー消費量算出手段53及びトナー消費補正量算出手段54が、上述した重みマトリクスを用いた2次元トナー消費カウント技術によりトナー消費量を算出する。なお、例えばビデオ信号バッファA〜Cに一次的に記憶した印刷画像領域の領域端部を算出する場合には、領域外の周辺ドットは露光なし「0」として計算する。また、トナーが現像される量は、感光体14を露光する量に比例するが、あるレベルを超えると飽和する。
【0089】
したがって、予めマトリクス計算式により算出されたトナー消費量の値に、上限値を設けたり、一定量のオフセット値を設けたりすることにより、算出された対象の印刷ドットのトナー消費量に対して補正を行っても良い。なお、本実施形態におけるトナー消費量の計算手法については、これに限定されるものではない。
【0090】
<規定値ラインで分割される印刷画像領域について>
次に、図7を用いて、上述した図5に示す処理において印刷画像領域を分割した際に、ビデオ信号バッファA〜Cに一時記憶される印刷画像領域について説明する。図7は、図5の処理において分割される印刷画像領域を説明するための図である。
【0091】
図7に示すように、図5の処理では予め規定値ラインを設け、規定値ラインにより1ページの印刷画像領域を分割する。したがって、例えばビデオ信号バッファAには、1ページの印刷画像領域のうち、例えばA領域とする1ライン目(先頭)から規定値ライン目までのビデオ信号が一次記憶される。
【0092】
また、ビデオ信号バッファBには、1ページの印刷画像領域のうち、例えばB領域とする規定値ライン+1ライン目から最終ラインまでのビデオ信号が一次記憶される。
【0093】
また、ビデオ信号バッファCには、1ページ目の印刷画像領域のうち、例えばC領域とする規定値ラインと規定値+1ラインの2ライン分のビデオ信号を一次記憶される。このように、ビデオ信号バッファCには、A領域とB領域とに分割される境目領域(C領域)に含まれる2ライン分のビデオ信号が一次記憶される。
【0094】
すなわち、ビデオ信号バッファCには、ビデオ信号バッファAに記憶された規定値ライン目のビデオ信号に重複した信号と、ビデオ信号バッファBに記憶された規定値ライン+1ライン目の信号に重複した信号が記憶される。
【0095】
<規定値ラインで分割される各印刷画像領域のトナー消費量の算出方法について>
次に、図8〜図10を用いて、上述した図5の処理で1ページの印刷画像領域を分割した各印刷画像領域のトナー消費量の算出方法について説明する。図8は、1ページの印刷画像領域におけるA〜C領域を示す図である。また、図9は、1ページの印刷画像領域をA〜C領域に分割した状態を示す図である。また、図10は、分割したA〜C領域のトナー消費量を説明するための図である。
【0096】
図8に示す1ページの印刷画像領域は、例えば主走査方向に10ドット、副走査方向に20ドットの画像サイズにより構成されている。なお、各ドットには露光の有無(露光有り「●」、露光なし「○」)が示されている。
【0097】
図8に示すように、例えば1ページの印刷画像領域を2等分してトナー消費量を算出する場合には、A領域〜C領域の3領域を用いる。具体的には、A領域とB領域はそれぞれ1ページの印刷画像領域を2分割した領域とし、C領域は、A領域とB領域のそれぞれの境界領域が重複する領域(A領域とB領域の境界領域2ライン分の領域)とする。
【0098】
図8の例では、副走査方向10ライン目が規定値ラインとなる。したがって、A領域には副走査方向1ライン目から10ライン目(規定値ライン)までが含まれ、B領域には副走査方向11ライン目(規定値+1ライン)から20ライン目までが含まれ、C領域には副走査方向10ライン目(規定値ライン)と11ライン目(規定値+1ライン)とが含まれる。
【0099】
ここで、図9は、ビデオ信号バッファA〜Cがそれぞれ記憶している情報(A領域〜C領域のビデオ信号)を分離して示したものである。なお、図9の例では、A領域〜C領域の各領域端部を計算対象の印刷ドットとする場合を考慮して、例えば各領域端部の外周に露光なし領域を擬似的に付加した状態を示している。
【0100】
上述したように、各ドットのトナー消費量を計算する場合には、図6に示す計算対象の印刷ドットを中心とする3×3の重みマトリクスを用いるため、単に領域Aと領域Bに分割した領域から得られるトナー消費量には不足が生じることとなる。
【0101】
例えば、図10(A)は、ビデオ信号バッファAに含まれる副走査方向8ライン目から10ライン目を示しており、図10(B)は、ビデオ信号バッファBに含まれる副走査方向11ライン目から13ライン目を示している。
【0102】
図10(A)に示すように、例えば計算対象とする印刷ドット(10,3)は、10ライン目に含まれるドットであるが、ビデオ信号バッファAの情報には副走査方向11ライン目の情報(各ドットの重み係数と露光情報)が不足している。
【0103】
また、図10(B)に示すように、例えば計算対象とする印刷ドット(11,3)は、11ライン目に含まれるドットであるが、ビデオ信号バッファBの情報には副走査方向10ライン目の情報(各ドットの重み係数と露光情報)が不足している。
【0104】
したがって、単に分割された領域A及び領域Bのトナー消費量を算出する場合には、分割した領域の境目となるドット(図9の例では10ライン目及び11ライン目のドット)に対する周辺領域のドット連続性が考慮されないこととなる。
【0105】
そこで、分割した領域の境目領域のドット(図9の例では領域Cに相当する部分)のビデオ信号を記憶したビデオ信号バッファCを用いて、不足分をそれぞれ算出する。ビデオ信号バッファCには、ビデオ信号バッファA及びビデオ信号バッファBにおいてそれぞれ不足したライン分の重み係数と露光情報が含まれている。
【0106】
具体的には、トナー消費補正量算出手段54は、ビデオ信号バッファA及びビデオ信号バッファBの不足分を、ビデオ信号バッファCのトナー消費量=Σ(重み(i,j)×露光(i,j))−(Σ(重み(2,j)×露光(2,j))の式を用いてそれぞれ算出する。
【0107】
なお、この式の(Σ(重み(2,j)×露光(2,j))は、ビデオ信号バッファCの情報を用いて、ビデオ信号バッファA又はビデオ信号バッファBのトナー消費量を算出するにあたり、重複しているライン分の重み係数と露光情報を引くためのものである。
【0108】
上述した式を用いた場合、図10(C)に示すビデオ信号バッファAの10ライン目の不足分(すなわち11ライン目の情報)は、次のように算出する。
【0109】
図10(C)に示すように、計算対象の印刷ドット(10,3)の不足分は、副走査方向(1)の9ライン分(Σ(重み(1,j)×露光(1,j))+副走査方向(2)の10ライン分(Σ(重み(2,j)×露光(2,j))+副走査方向(3)の11ライン分(Σ(重み(3,j)×露光(3,j))−副走査方向(2)の10ライン分(Σ(重み(2,j)×露光(2,j))によって算出する。
【0110】
上述したように、図10(C)に示す副走査方向(2)の10ライン分は、既に計算対象の印刷ドット(10,3)を算出するにあたって、ビデオ信号バッファAにおいて算出済みのため減算する。図10(C)に示す副走査方向(1)の9ライン目分については、露光なし「0」として算出する(9ライン分は既にビデオ信号バッファAにおいて算出済み)。
【0111】
上述の結果、調査対象とする印刷ドット(10,3)の不足分として、図10(C)に示す副走査方向(3)の11ライン分(Σ(重み(3,j)×露光(3,j))(10ライン目に対する11ライン目の加算値分)が算出される。
【0112】
同様に、図10(D)に示すビデオ信号バッファBの11ライン目の不足分(すなわち10ライン目の情報)は、次のように算出する。
【0113】
図9(D)に示すように、計算対象の印刷ドット(11,3)の不足分は、副走査方向(1)の10ライン分(Σ(重み(1,j)×露光(1,j))+副走査方向(2)の11ライン分(Σ(重み(2,j)×露光(2,j))+副走査方向(3)の12ライン分(Σ(重み(3,j)×露光(3,j))−副走査方向(2)の11ライン分(Σ(重み(2,j)×露光(2,j))によって算出する。
【0114】
上述したように、図10(D)に示す副走査方向(2)の11ライン分は、既に計算対象の印刷ドット(11,3)を算出するにあたって、ビデオ信号バッファBにおいて算出済みのため減算する。また、図10(D)に示す副走査方向(3)の12ライン目分については、露光なし「0」として算出する(12ライン分は既にビデオ信号バッファBにおいて算出済み)。
【0115】
上述の結果、調査対象とする印刷ドット(11,3)の不足分として、図10(D)に示す副走査方向(1)の10ライン分(Σ(重み(1,j)×露光(1,j))(すなわち11ライン目に対する10ライン目の加算値分)が算出される。
【0116】
上述したように、ビデオ信号バッファA又はビデオ信号バッファBにおけるトナー消費量は、Σ(重み(i,j)×露光(i,j))により算出し、ビデオ信号バッファCにおけるトナー消費量は、ラインごとにΣ(重み(i,j)×露光(i,j))−(Σ(重み(2,j)×露光(2,j))を用いて算出する。
【0117】
<所定ライン数ごとに分割される印刷画像領域について>
次に、図11を用いて、所定ライン数ごとに印刷画像領域を分割した際に、ビデオ信号バッファA〜Cに一次記憶される印刷画像領域について説明する。図11は、所定ライン数ごとに分割される印刷画像領域を説明するための図である。
【0118】
なお、図11の例では、例えばトナー残量センサ等により検知されたトナー残量レベルやコントローラ部30から取得した印刷データに含まれる画像サイズ(A4、B4、長尺等)等に基づいて、分割ライン判定手段51により1ページの印刷画像領域を分割する所定ライン数が決定される。
【0119】
これにより、RAM42に記録されるトナー消費量の更新周期を自由に決めることが可能となり、分割数を大きくするほど、ビデオ信号バッファA及びBに蓄積するメモリ量を小さくすることが可能となる。
【0120】
図11に示すように、所定ライン数ごとに分割される印刷画像領域を用いる場合には、1ページの総ライン数を所定ライン数ごとに分割し、分割した所定ライン数ごとに、ビデオ信号バッファAとビデオ信号バッファBに交互に一次記憶させる。例えば、ビデオ信号バッファAには、1ライン目からMod(入力ライン数、分割ライン周期)=0までのビデオ信号が記憶される。なお、「Mod(入力ライン数、分割ライン周期)=0」とは、入力ライン数を分割ライン数で除算したときの余りが0であることを意味する。
【0121】
また、ビデオ信号Bには、Mod(入力ライン数、分割ライン周期)=分割ライン周期+1からMod(入力ライン数、分割ライン周期×2)=0までのビデオ信号が記憶される。このように、ビデオ信号バッファAとビデオ信号バッファBには、所定ライン数ごとに分割した領域の信号がそれぞれ交互に記憶される。
【0122】
また、ビデオ信号バッファCには、ビデオ信号バッファAとビデオ信号バッファBとに交互に記憶されていく際、その境界領域の2ライン分のビデオ信号が記憶される。
【0123】
<所定ライン数ごとに分割される印刷画像領域のトナー消費量カウント処理について>
次に、図12を用いて、図11に示す所定ライン数ごとに分割される印刷画像領域について、カウンタA〜Cによりカウントされるトナー消費量カウント処理の流れを説明する。図12は、所定ライン数ごとに分割される印刷画像領域のトナー消費量カウント処理の流れを示すフローチャートである。
【0124】
なお、図12の例では、1ページ単位のトナー消費量カウント処理について説明し、連続印刷の場合は本処理を1ページ単位で繰り返し実施しても良い。
【0125】
図12に示すように、画像ライン検知手段50は、コントローラ部30から出力されたビデオ信号が入力したか否か判断する(S30)。ビデオ信号が入力したと判断すると(S30において、YES)、分割ライン判定手段51は、1ページの印刷画像領域を何ライン周期で分割するか、印刷画像領域を分割する基準となる所定ライン数を決定する(S31)。
【0126】
ここで、分割ライン判定手段51は、例えば装置の状況に応じて分割ラインとしての所定ライン数をを判定する。具体的には、分割ライン判定手段51は、予め規定した所定ライン数を周期としても良く、トナー残量センサ等により検知されたトナー残量レベル(ニアエンド等)やコントローラ部30から取得した印刷データに含まれる画像サイズ(例えばA4、B4、長尺等)等の状況に応じて所定ライン数を決定しても良い。
【0127】
なお、ビデオ信号が入力していないと判断した場合(S30において、NO)、ビデオ信号の入力まで待機する。
【0128】
次に、画像ライン検知手段50は、入力されるビデオ信号のライン数のカウントを開始し(S32)、入力ライン数が1ページ分の総ライン数に達したか否か判断する(S33)。1ページ分のライン数に達していないと判断した場合(S33において、NO)、切替スイッチAをONし(S34)、ビデオ信号バッファAへの蓄積を開始する。なお、1ページ分のライン数に達していると判断した場合(S33において、YES)、処理を終了する。
【0129】
次に、ドット配列分割手段52は、入力ライン数がMod(入力ライン数、分割ライン周期(所定ライン数))=0か否か判断し(S35)、入力ライン数がMod(入力ライン数、分割ライン周期)=0であると判断した場合(S35において、YES)、Mod(入力ライン数、分割ライン周期)=0と判断された入力ラインのビデオ信号をビデオ信号バッファAに出力した後、切替スイッチAをOFFし、切替スイッチBをONにし(S36)、ビデオ信号のビデオ信号バッファBへの蓄積を開始する。
【0130】
このようにして、ビデオ信号バッファAに1ページ目の印刷画像の1ライン目(先頭)からMod(入力ライン数、分割ライン周期)=0までのビデオ信号を一次記憶する。トナー消費量変換部Aは、一次記憶したビデオ信号をトナー消費量に変換し、カウンタAにはビデオ信号バッファAに一次記憶されたビデオ信号のトナー消費量が積算される(S37)。なお、S37の処理の後、積算された値をRAM42に記録し、トナー補給制御手段55により、積算された値に基づきトナー補給を行っても良い。
【0131】
次に、ビデオ信号バッファAをクリアし、カウンタAをクリアする(S38)。S35の処理において、Mod(入力ライン数、分割ライン周期)=0でないと判断した場合(S35において、NO)、入力ライン数がカウントされ、Mod(入力ライン数、分割ライン周期)=0になるまで待機する(後述の処理は行わない)。
【0132】
次に、ドット配列分割手段52は、入力ライン数がMod(入力ライン数、分割ライン周期×2)=0か否か判断し(S39)、入力ライン数がMod(入力ライン数、分割ライン周期×2)=0であると判断した場合(S39において、YES)、Mod(入力ライン数、分割ライン周期×2)=0と判断された入力ラインのビデオ信号をビデオ信号バッファBに出力した後、切替スイッチBをOFFする(S40)。
【0133】
このようにして、ビデオ信号バッファBに1ページ目の印刷画像のMod(入力ライン数、分割ライン周期)=分割ライン周期+1ライン目からMod(入力ライン数、分割ライン周期×2)=0までのビデオ信号を一次記憶する。トナー消費量変換部Bは、一次記憶したビデオ信号をトナー消費量に変換し、カウンタBにはビデオ信号バッファBに一次記憶されたビデオ信号のトナー消費量が積算される(S41)。なお、S41の処理の後、積算された値をRAM42に記録し、トナー補給制御手段55により、積算された値に基づきトナー補給を行っても良い。
【0134】
次に、ビデオ信号バッファBをクリアし、カウンタBをクリアし(S42)、S33の処理に戻る。
【0135】
つまり、S33〜S42の処理では、1ページの分割された領域のうち、奇数部分の領域と偶数部分の領域とをそれぞれビデオ信号バッファA及びビデオ信号バッファBに交互に割り当て、それぞれのトナー消費量を算出し、カウンタA及びBで積算する。ここで、トナー消費量を精度良く検知するためには、分割した境界領域におけるトナー消費量算出処理が必要となるため、ビデオ信号バッファC及びカウンタCを用いた処理を、上述したS33〜S42の処理と並列して行う。
【0136】
具体的には、図12に示すように、S32の処理でライン数のカウントを開始しながら、ドット配列分割手段52は、入力ライン数がMod(入力ライン数、分割ライン周期(所定ライン数))=分割ライン周期−1か否か判断する(S43)。
【0137】
ドット配列分割手段52は、入力ライン数が分割周期−1であると判断した場合(S43において、YES)、切替スイッチCをONとし(S44)、分割ライン周期−1と判断した入力ラインのビデオ信号についてビデオ信号バッファCへの蓄積を開始する。なお、入力ライン数が、分割周期−1でないと判断した場合(S43において、NO)、S43の処理に戻り、入力ライン数が分割周期−1になるまで待機する。
【0138】
次に、ドット配列分割手段52は、入力ライン数がMod(入力ライン数、分割ライン周期(所定ライン数))=分割ライン周期+1か否か判断する(S45)。ドット配列分割手段52は、入力ライン数が分割周期+1であると判断した場合(S45において、YES)、分割周期+1ラインと判断した入力ラインのビデオ信号をビデオ信号バッファCに出力した後、切替スイッチCをOFFする(S46)。
【0139】
このようにして、ビデオ信号バッファCに1ページ目の印刷画像のMod(入力ライン数、分割ライン周期)=分割ライン周期−1と、Mod(入力ライン数、分割ライン周期)=分割ライン周期+1のビデオ信号を一次記憶する。トナー消費量変換部Cは、一次記憶したビデオ信号をトナー消費量に変換し、カウンタCにビデオバッファCに一次記憶されたビデオ信号のトナー消費量が積算される(S47)。
【0140】
次に、ビデオ信号バッファCをクリアし、カウンタCをクリアし(S48)、S43の処理に戻る。
【0141】
なお、入力ライン数が、分割周期+1でないと判断した場合(S45において、NO)、S37の処理に戻り、入力ライン数が分割周期+1になるまで待機する。
【0142】
このように、図12の処理では、カウンタA、Bにおけるカウントと並列にカウンタCにおけるカウントを行うことで、トナー消費量を精度良く取得することが可能となる。また、トナー残量レベルや画像サイズ等の状況に応じて領域を分割し、自由にトナー消費量を算出する周期を決定することが可能となる。
【0143】
上述したように、本発明の実施形態によれば、トナー消費量を精度良く、早期に検知することを可能とする。すなわち、分割された領域ごとに2次元トナー消費カウント技術によるトナー消費量及びトナー消費補正量が得られるため、1ページ分の静電潜像の形成完了を待つことなく、早期に精度良く、分割された領域ごとのトナー消費量を得ることが可能となる。
【0144】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0145】
1 画像形成装置
2 現像ユニット
3 トナーカートリッジ
4 中間転写ベルト
5 2次転写駆動ローラ
6 転写ベルトテンションローラ
7 一次転写ローラ
8 給紙トレイ
9 給紙ローラ
10 レジストローラ
11 二次転写ローラ
12 定着器
13 排紙ローラ
14 感光体
15 帯電器
16 露光器
17 現像器
18 クリーナーブレード
21 廃トナーボックス
30 コントローラ部
31 表示部
32 I/F部
33 画像メモリ
35 色変換部
36 階調補正部
37 パルス変調部
34,43 CPU
40 エンジン部
41 ROM
42 RAM
44 その他I/O部
50 画像ライン検知手段
51 分割ライン判定手段
52 ドット配列分割手段
53 トナー消費量算出手段
54 トナー消費補正量算出手段
55 トナー補給制御手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0146】
【特許文献1】特開2009−300832号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された印刷データに対応する印刷ドット配列に基づいてトナー消費量を算出する画像形成装置であって、
前記印刷ドット配列の入力ライン数をカウントする画像ライン検知手段と、
前記画像ライン検知手段により得られるライン数と予め設定された分割ラインとに基づいて前記印刷ドット配列を分割するドット配列分割手段と、
前記ドット配列分割手段により分割された印刷ドット配列を用いてトナー消費量を算出するトナー消費量算出手段と、
前記分割された印刷ドット配列の境界領域に対応する印刷ドット配列を用いてトナー消費補正量を算出するトナー消費補正量算出手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
規定値又は所定条件を用いて、前記印刷ドット配列を分割するための前記分割ラインを判定する分割ライン判定手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記分割ライン判定手段は、
前記所定条件としてトナー残量レベル又は前記印刷データに含まれる画像サイズにより、前記分割ラインを判定することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー消費量算出手段は、
前記印刷ドット配列のうち対象とする印刷ドットのトナー消費量を、前記印刷ドットを中心として設定された重みマトリクスの合計値により算出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー消費補正量算出手段は、
前記境界領域に対応する印刷ドット配列のうち対象とする印刷ドットのトナー消費量を、前記重みマトリクスの合計値から前記印刷ドットの重みを減算して算出することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記トナー消費量算出手段により得られるトナー消費量又は前記トナー消費補正量算出手段により得られるトナー消費補正量とに基づいてトナー補給制御を行うトナー補給制御手段とを有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
入力された印刷データに対応する印刷ドット配列に基づいてトナー消費量を算出し、算出されたトナー消費量を算出する画像形成装置におけるトナー消費量算出方法であって、
前記印刷ドット配列の入力ライン数をカウントする画像ライン検知手順と、
前記画像ライン検知手順により得られるライン数と予め設定された分割ラインとに基づいて前記印刷ドット配列を分割するドット配列分割手順と、
前記ドット配列分割手順により分割された印刷ドット配列を用いてトナー消費量を算出するトナー消費量算出手順と、
前記分割された印刷ドット配列の境界領域に対応する印刷ドット配列を用いてトナー消費補正量を算出するトナー消費補正量算出手順とを有することを特徴とするトナー消費量算出方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像形成装置が有する各手段として機能させるためのトナー消費量算出プログラム。
【請求項1】
入力された印刷データに対応する印刷ドット配列に基づいてトナー消費量を算出する画像形成装置であって、
前記印刷ドット配列の入力ライン数をカウントする画像ライン検知手段と、
前記画像ライン検知手段により得られるライン数と予め設定された分割ラインとに基づいて前記印刷ドット配列を分割するドット配列分割手段と、
前記ドット配列分割手段により分割された印刷ドット配列を用いてトナー消費量を算出するトナー消費量算出手段と、
前記分割された印刷ドット配列の境界領域に対応する印刷ドット配列を用いてトナー消費補正量を算出するトナー消費補正量算出手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
規定値又は所定条件を用いて、前記印刷ドット配列を分割するための前記分割ラインを判定する分割ライン判定手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記分割ライン判定手段は、
前記所定条件としてトナー残量レベル又は前記印刷データに含まれる画像サイズにより、前記分割ラインを判定することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー消費量算出手段は、
前記印刷ドット配列のうち対象とする印刷ドットのトナー消費量を、前記印刷ドットを中心として設定された重みマトリクスの合計値により算出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー消費補正量算出手段は、
前記境界領域に対応する印刷ドット配列のうち対象とする印刷ドットのトナー消費量を、前記重みマトリクスの合計値から前記印刷ドットの重みを減算して算出することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記トナー消費量算出手段により得られるトナー消費量又は前記トナー消費補正量算出手段により得られるトナー消費補正量とに基づいてトナー補給制御を行うトナー補給制御手段とを有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
入力された印刷データに対応する印刷ドット配列に基づいてトナー消費量を算出し、算出されたトナー消費量を算出する画像形成装置におけるトナー消費量算出方法であって、
前記印刷ドット配列の入力ライン数をカウントする画像ライン検知手順と、
前記画像ライン検知手順により得られるライン数と予め設定された分割ラインとに基づいて前記印刷ドット配列を分割するドット配列分割手順と、
前記ドット配列分割手順により分割された印刷ドット配列を用いてトナー消費量を算出するトナー消費量算出手順と、
前記分割された印刷ドット配列の境界領域に対応する印刷ドット配列を用いてトナー消費補正量を算出するトナー消費補正量算出手順とを有することを特徴とするトナー消費量算出方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像形成装置が有する各手段として機能させるためのトナー消費量算出プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−24946(P2013−24946A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157177(P2011−157177)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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